説明

記録装置および記録方法

【課題】ディスク等への記録動作に起因する表面の傷や圧接痕等を抑制する記録装置。
【解決手段】インクを吐出する記録ヘッドを用いて記録を行う記録装置であって、搬送ローラと複数の従動ローラとを備え、搬送ローラと従動ローラとの間の被搬送媒体を搬送する搬送手段と、複数の従動ローラを搬送ローラに対して押圧する押圧手段と、押圧手段の押圧/非押圧を複数の従動ローラのそれぞれについて設定することのできる押圧設定手段と、を備え、押圧設定手段は、記録領域と非記録領域とを有する被搬送媒体を搬送手段によって搬送して記録ヘッドを用いて被搬送媒体に記録する際は、記録領域と対向する複数の従動ローラについて非押圧状態に保持する記録装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送媒体を搬送するためのローラ対によってディスク等の記録媒体における傷や圧接痕等が生じることを防止可能な記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置等の記録装置では一般的な単票用紙の他に、CD、DVD、BD等の光ディスクや磁気ディスク(以下「ディスク」と総称する)へ記録を行うために、ディスクを搭載して記録装置内へ搬送する搬送トレイが別途準備されていることがある。このような搬送トレイを用いた記録ではディスクを単票用紙とは異なる経路で記録装置内へと搬送する。例えば、ディスクを戴置した搬送トレイを記録装置の前面の排紙側から通紙面に概ね水平に挿入し、記録装置の排出手段および搬送手段を記録時とは逆方向に駆動することによって、搬送トレイを単票用紙の搬送方向とは逆方向に記録装置の後部まで搬送する。そして、搬送手段により単票用紙の記録の場合と同じ搬送方向に搬送トレイを搬送しながら記録を行い、記録が終了すると排出手段により記録装置の前面の排紙側から搬送トレイを排出する。このような構成において、搬送トレイを挿入する際に、ディスクの記録領域に排出手段の歯付きローラが容易に接触しない構成を採っている記録装置がある(特許文献1参照)。これにより、歯付きローラによってディスクが損傷することを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−211757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、排出手段の歯付きローラによる傷等は防止できるものの、被搬送媒体の搬送に係るローラ対がディスク等の記録媒体の記録領域に接触して傷等が生じることを全て防止できるものではない。例えば、搬送ローラに対して被搬送媒体を押圧する従動ローラなどは、単票用紙など紙の記録媒体を搬送する際に均一な搬送力を作用させるために、比較的高密度で配置される必要がある。このため、搬送トレイ上のディスクを避けた位置になるように従動ローラを配置して従動ローラがディスクに接触しないようにすることは、困難である。
【0005】
本発明の目的は、ディスク等の記録媒体に記録を行う際に、従動ローラなどの被搬送媒体を搬送ローラに押圧するローラが高密度で配されている場合でも、搬送によってディスク等の記録媒体に損傷を与えないようにすることが可能な記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための、本発明の記録装置は、インクを吐出する記録ヘッドを用いて記録を行う記録装置であって、搬送ローラと複数の従動ローラとを備え、搬送ローラと従動ローラとの間の被搬送媒体を搬送する搬送手段と、複数の従動ローラを搬送ローラに対して押圧する押圧手段と、押圧手段の押圧/非押圧を複数の従動ローラのそれぞれについて設定することのできる押圧設定手段と、を備え、押圧設定手段は、記録領域と非記録領域とを有する被搬送媒体を搬送手段によって搬送して記録ヘッドを用いて被搬送媒体に記録する際は、記録領域と対向する複数の従動ローラについて非押圧状態に保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ディスクや厚紙等の被搬送媒体の搬送および記録の際の押圧手段による押圧/非押圧を設定することによって、従動ローラがディスク表面を押圧することによるディスク表面への傷や圧接痕等が抑制可能となる。本発明の押圧設定手段は、トレイ搬送時にディスクと対向する領域の複数の従動ローラを非押圧状態とし、搬送方向と直交する方向におけるディスクの両端外側に位置するトレイの領域と対向する領域の複数の従動ローラを押圧状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】搬送トレイを使用する記録装置の構成を示す斜視図である。
【図2】(a)および(b)は、搬送トレイを使用する記録装置において被搬送媒体挿入時のガイドの構成を示す側断面図である。
【図3】搬送トレイの斜視図である。
【図4】(a)および(b)は、搬送トレイを記録装置にセットしたときの搬送ユニットを示す側断面図である。
【図5】(a)および(b)は、本発明による実施例1における押圧設定手段を示す斜視図である。
【図6】本発明による実施例1におけるディスク記録処理工程を示すフロー図である。
【図7】(a)および(b)は、本発明による実施例1における押圧設定手段を示す側断面図である。
【図8】(a)および(b)は、本発明による実施例2における押圧設定手段を示す斜視図である。
【図9】(a)から(c)は、本発明による実施例3における押圧設定手段を示す斜視図である。
【図10】(a)から(c)は、本発明による実施例3における押圧設定手段を示す側断面図である。
【図11】本発明による実施例3におけるディスク記録処理工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0009】
本発明による実施例1について説明する。
【0010】
なお、本発明の実施例1であるインクジェット記録装置は、複写機、ファクシミリ等にも適用することができ、PC用記録装置のみに適用されることに限定されるものではない。
【0011】
図1は、搬送トレイ1を使用してディスク等の記録媒体へ記録可能な記録装置本体100を示す斜視図である。図4は、記録装置内の搬送トレイ1を含む搬送ユニットを示す断面図である。記録装置本体100は下ケース101、上ケース102、アクセスカバー103、給紙カバーユニット200、排紙トレイユニット300、操作部400等の外装部材から構成されている。給紙カバーユニット200は給紙トレイ201と給紙サブトレイ202、203とから構成されている。給紙トレイ201はその1つの端部を中心として上ケース102に対して回転自在に設けられている。また、給紙サブトレイ202は給紙トレイ201に対して回転自在に、また給紙サブトレイ203は給紙サブトレイ202に対してスライドして収納されるように設けられている。これら給紙サブトレイ202、203は単票用紙105の長さに応じて回転またはスライドして伸長することにより、単票用紙105の支持長さを三段階に拡大することができ、様々な長さの単票用紙105を確実に積載可能としている。単票用紙105は、通常、給紙開口部106から給紙ローラ(図示せず)によって一枚ずつ搬送され、記録装置本体100内部に内蔵されている記録ヘッド117のインク吐出口に対向する位置へと搬送が行われる。この位置への搬送は、搬送ローラ114と複数の従動ローラ115とからなる搬送ローラ対によって単票用紙105を挟持し、搬送ローラ114を回転させることによって行われる。この搬送ローラ対は従動ローラ115を搬送ローラ114に押圧することが可能となっている。単票用紙105の搬送は、全ての従動ローラ115は押圧状態で行われる。記録ヘッド117により記録された単票用紙105は排紙開口部107から記録装置本体100の外部へ搬出され、排紙トレイユニット300上に順次積載される。排紙トレイユニット300は下ケース101に対して回転可能な函体を形成する排紙トレイケース301および排紙トレイカバー302と、この函体内にスライドして収納される排紙サブトレイ303、304、305とから構成されている。ここで排紙サブトレイ303は排紙トレイケース301と排紙トレイカバー302とから成る函体に対して、排紙サブトレイ304は排紙サブトレイ303に対して、また排紙サブトレイ305は排紙サブトレイ304に対してそれぞれスライド可能に設けられている。これら排紙サブトレイ303、304、305も前記給紙トレイ部200と同様、単票用紙105の長さに応じて個々をスライドさせて引き出すことで、単票用紙105の支持長さを四段階に拡大でき、様々な長さの単票用紙105を確実に積載可能としている。これら排紙サブトレイ303、304、305は引き出した状態においてその上面が排紙トレイカバー302の上面と概ね平行になるように形成されている。アクセスカバー103はその1つの端部を中心として上ケース102に対して回転自在に設けられ、その回転によって記録装置本体100の上面に設けられた開口部(図示せず)を開閉できるようになっている。このアクセスカバー103を開くことにより、記録装置本体100内部に収納されている記録ヘッド117やインクタンク(図示せず)等の交換が可能となる。操作部400には電源キー401、レジュームキー402が押下可能に設けられ、記録装置本体100内に配置された操作基板(図示せず)上のスイッチの入力が可能となっている。また、点灯、点滅により記録装置本体100の様々な状態をユーザーに対して知らせる表示機能を備えるLED(発光ダイオード)が操作基板上に設けられており、LEDの光を導き拡散させるためのライトガイド403が操作部400に設けられている。
【0012】
ディスク5への記録は、専用の搬送トレイ1にディスク5を載置して搬送できるような構成をとって行う。ディスク5は、その硬度および形状等から、一般的な単票用紙と同一の搬送経路を同一の搬送方向(矢印β、第1搬送方向)に搬送して記録を行うことが困難である。そこで、単票用紙105に記録を行う際の搬送方向とは逆方向である排紙トレイユニット300側から矢印α方向に搬送トレイ1を挿入して、記録開始のための所定位置まで搬送し、その後通常の第1搬送方向(矢印β方向)に搬送トレイ1を搬送して記録を行う。ここで、記録ヘッド117は搬送トレイ1の上方の位置にキャリッジで支持されており、キャリッジを第1搬送方向と直交する方向に往復移動させながら記録ヘッド117のインク吐出口からインクを吐出させて記録を行う。しかし、記録ヘッド117の方式はこれに限られず、いわゆるフルライン式の記録ヘッドであってもよい。
【0013】
図2(a)および(b)はそれぞれトレイベースレバー104の操作前および操作後を示す側断面図である。ディスク5への記録を行うに際して、トレイベースレバー104を矢印110方向に回転させることにより、トレイベース108がトレイベースレバー104に追従して例えばガイド溝に沿って回転する。これによって通紙面111とトレイベース108のガイド面108aとが同一面となり、トレイベース108をガイドとして搬送トレイ1を挿入することが可能となる。またトレイベースレバー104が回転することで、搬送トレイ1の挿入口104aが表れる。そして、搬送トレイ1を挿入口104aから矢印α方向に挿入することができる。
【0014】
図3は搬送トレイ1を示す斜視図であり、ディスク5を搭載する面および記録領域を示している。矢印αは搬送トレイ1の記録装置本体への挿入方向である。搬送トレイ1の挿入側先端1aは傾斜しており、搬送ローラ114と従動ローラ115とのニップ部への進入時のガイド部として作用するものである。搬送トレイ1の上面1bには、ディスク5を搭載するための円形の凹形状部1cが設けられていて、凹形状部1cの外周部1dは、搬送トレイ1の挿入側先端部1aからの最短距離が距離Xであるように配置されている。凹形状部1cに搭載されるディスク5の上面が、記録装置による記録の対象である記録領域となる。なお、搬送トレイ1の上面1bの、ディスク5が搭載される凹形状部1cの外側の領域が、非記録領域となる。
【0015】
図4(a)および(b)はそれぞれ記録開始前の搬送トレイ1挿入の段階および記録終了直前の段階の搬送トレイ1の位置を示す側断面図である。矢印αは搬送トレイ1の挿入方向、矢印βは搬送トレイ1の排出方向を示す。図4(a)の状態では搬送トレイ1は先端部1aが搬送ローラ114と従動ローラ115とから一定距離Aだけ離れた搬送トレイ挿入のための所定位置にセットされる。コロ307は搬送トレイ1の上面1bに圧接され、搬送トレイ1を排紙ローラ112、113へ付勢する。この状態から排紙ローラ112、113を矢印118方向に回転させ、搬送トレイ1を矢印α方向(第2搬送方向)に搬送して、記録装置内の記録開始のための所定位置まで移動させる。ここで、コロ307は、搬送トレイ1が搬送されても、ディスク5上面の記録領域に触れない位置に配設されている。図4(b)で、記録作業は、搬送ローラ114により搬送トレイ1を記録開始のための所定位置から矢印β方向(第1搬送方向)に搬送し、記録ヘッド117を第1搬送方向と直交する方向に往復運動させてディスク5の記録領域にインクを吐出して行う。
【0016】
図5(a)および(b)は本発明の押圧設定手段を示した斜視図であり、それぞれ全押圧状態および部分的押圧状態に押圧/非押圧を設定した様子を表している。そして、図6は実施例1におけるディスク5への記録処理工程のフローの1つの例を示している。ここで、従動ローラ115(図7(a)、(b)参照)は、複数の領域に分割された従動ローラホルダ116の各領域に2個あるいは3個一組で回転自在に取り付けられているが、本発明で従動ローラ115の個数はこれに限定されない。単票用紙105への記録時には、押圧手段により全ての従動ローラ115が押圧されている図5(a)の全押圧状態を保ち、搬送ローラ114によって矢印β方向へ単票用紙105の搬送を行い記録する。続いて、ディスク5への記録時の動作を説明する。尚、動作開始時において搬送トレイ1挿入口は開口しており、搬送トレイ1を記録装置内へ挿入可能な図2(b)の状態になっているものとする。図6のステップA1で、図5(a)の状態を保持し、ディスク5を戴置した搬送トレイ1を手動で搬送トレイ挿入のための所定位置へセットする。ステップA2で、押圧設定手段により、図5(b)の部分的押圧状態に押圧手段を設定する。具体的には、ディスク5の上面に対向する位置となる複数の従動ローラ115を非押圧とし、搬送トレイ1の上面1bの搬送方向と直交する方向におけるディスク5の両外側に位置する非記録領域に配置される複数の従動ローラ115を押圧とする。そして、排紙ローラ112および113で搬送トレイ1を搬送ローラ114と従動ローラ115との間のニップ部へ送り込む。このとき、搬送トレイ1は傾斜した先端部1aにガイドされて、ニップ部へ進入できるようになっている。ステップA3で、図5(b)の部分的押圧状態を保持しながら、搬送ローラ114によって矢印αで示す第2搬送方向へ搬送トレイ1の搬送を行う。ステップA4で、搬送トレイ1を記録開始のための所定位置まで引き込んだ後、搬送ローラ114により矢印βで示す第1搬送方向へ搬送する。ステップA5で、記録ヘッド117からインクを吐出してディスク5に記録を行う。
【0017】
図7(a)および(b)は、押圧設定手段によって、従動ローラ115を搬送ローラ114に対して押圧状態および非押圧状態とした時のカム120、121位置での側断面図を示す。これらはそれぞれ図5(a)および(b)の各状態での側断面図に相当する。図7(a)は全押圧状態、図7(b)は部分的押圧状態にあるときの従動ローラホルダ116のポジションをそれぞれ示している。従動ローラホルダ116は、ばね(図示せず)によって矢印122の方向に付勢されることで従動ローラ115を搬送ローラ114に押圧することができる。ばねは、複数の領域に分割された従動ローラホルダ116の各領域に対して配設されており、従動ローラホルダ116の全ての領域は矢印122方向に付勢されている。また、従動ローラホルダ116は領域毎に押圧および非押圧のポジションを設定することができる。具体的には、従動ローラホルダカム120と121とでカムの位相を変えることで、図7(b)に示すように従動ローラ115をそれぞれ押圧および非押圧の状態に設定することができる。従動ローラホルダカム120、121は、従動ローラと略平行に配設された回動可能なカムシャフト119に圧入されており、従動ローラホルダカム120、121の制御によって、全押圧状態および部分的押圧状態を保持できるようになっている。
【0018】
以上の構成により、本発明によれば、ディスク5へ記録を行う際に、従動ローラ115を部分的押圧状態にすることができる。すなわち、搬送トレイ1の搬送方向に直交する方向の両端の非記録領域に対向する従動ローラ115を押圧状態にしたまま、ディスク5上面の記録領域に対向する従動ローラホルダ116の領域の従動ローラ115を非押圧状態にすることができる。これにより、搬送トレイ1の搬送を可能としたまま、ディスク5の記録領域上を従動ローラ115が通過することを防止することができ、ディスク5の記録領域上の傷や圧接痕の発生を抑制可能なインクジェット記録装置を提供できる。
【0019】
なお、単票用紙105への記録時には、従動ローラホルダ116は従動ローラ115を搬送ローラ114に押圧するポジションを保持して幅方向に作用する均一な搬送力を保証して、本発明の構成が単票用紙105の搬送に影響しないように配慮されている。
【実施例2】
【0020】
本発明による実施例2について説明する。
【0021】
図8(a)および(b)は、それぞれ記録領域と非記録領域とを有する2種類の幅の被搬送媒体の搬送状態を示している。本実施例において、被搬送媒体は厚紙であり、図8(a)は幅の狭い厚紙125の搬送状態、図8(b)は幅の広い厚紙125の搬送状態を示している。実施例1の記録装置を、図8(a)のように、厚紙125の記録領域に対応する従動ローラホルダ116の領域の従動ローラ115を非押圧状態にし、非記録領域126のみを従動ローラ115と搬送ローラ114とで挟持して搬送するような構成にも適用できる。ここでは、実施例1の搬送トレイ1を使用せずに、厚紙125を直接的に記録装置に挿入し搬送する。この構成によれば、表面の傷つきやすい厚紙125に対しても、表面の傷や圧接痕の発生の防止が可能となる。また、図8(b)のように、従動ローラカム121に加えてさらに従動ローラカム127を制御して各従動ローラ115の押圧/非押圧を設定する構成として、実施例1とは別の部分的押圧状態ポジションを採用することができる。この構成によれば、幅の広い被搬送媒体にも同様の表面傷つき防止効果を得ることができる。
【実施例3】
【0022】
本発明による実施例3について説明する。
【0023】
図9(a)および(c)はそれぞれ、実施例1における従動ローラホルダ116の全押圧状態および部分的押圧状態のポジションを示し、図9(b)は、新たな、全非押圧状態のポジションを示している。図10(a)から(c)は、押圧設定手段によって、従動ローラ115を搬送ローラ114に対して押圧または非押圧状態とした時のカム128、129位置での側断面図を示す。これらはそれぞれ図9(a)から(c)の各状態の側断面図に相当し、具体的には、図10(a)は全押圧状態、図10(b)は全非押圧状態、図10(c)は部分的押圧状態における側断面図を示している。そして、図11は実施例3におけるディスク5への記録処理工程のフローの1つの例を示している。実施例1の記録装置において、全非押圧状態のポジションを追加し、従動ローラホルダ116の3つのポジションを持つようにする。これらのポジションは実施例1と同様にカムで制御する。ここで、ディスク5への記録時の動作を説明する。尚、動作開始時において搬送トレイ1挿入口は開口しており、搬送トレイ1が挿入可能な図2(b)の状態になっているものとする。図11のステップB1で図9(a)の従動ローラホルダ116の全押圧状態のポジションを保持しつつ、手動で搬送トレイ1を搬送トレイ挿入のための所定位置へセットする。そして、ステップB2で、押圧設定手段により、従動ローラホルダ116のポジションを図9(b)の全非押圧状態のポジションに設定する。ステップB3で図9(b)の状態を保持しながら、排紙ローラ112、113によって搬送トレイ1を矢印α方向(第2搬送方向)へ搬送する。ステップB4で搬送トレイ1を先端部1aが搬送ローラ114を通過した搬送トレイかみこみのための所定位置まで搬送し、次いで押圧設定手段により従動ローラホルダ116のポジションを図9(c)の部分的押圧状態のポジションに設定する。ステップB5で図9(c)の状態を保持しながら、搬送トレイ1を矢印α方向(第2搬送方向)へさらに搬送する。ステップB6で、搬送トレイ1を、記録開始のための所定位置まで引き込んでから、搬送ローラ114により矢印β方向(第1搬送方向)へ搬送する。最後に、ステップB7で記録ヘッド117からインクを吐出してディスク5に記録を行う。以上、図9(b)の全非押圧状態を設けることでステップB2およびB3の動作が加わり、搬送トレイ1を矢印α方向(第2搬送方向)へ挿入する時にトレイの先端部1aに頼らずに所定位置にセットできる。この構成によれば、搬送トレイ1を、搬送ローラ114と従動ローラ115とのニップに確実にかみこんで、搬送することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 搬送トレイ
1a 先端部
5 ディスク
112、113 排紙ローラ
114 搬送ローラ
116 従動ローラホルダ
119 シャフト
120、121 従動ローラカム
α 第2搬送方向
β 第1搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する記録ヘッドを用いて記録を行う記録装置であって、
搬送ローラと複数の従動ローラとを備え、搬送ローラと従動ローラとの間の被搬送媒体を搬送する搬送手段と、
前記複数の従動ローラを前記搬送ローラに対して押圧する押圧手段と、
前記押圧手段の押圧/非押圧を前記複数の従動ローラのそれぞれについて設定することのできる押圧設定手段と、
を備え、
前記押圧設定手段は、記録領域と非記録領域とを有する前記被搬送媒体を前記搬送手段によって搬送して記録ヘッドを用いて前記被搬送媒体に記録する際は、前記記録領域と対向する前記複数の従動ローラについて非押圧状態に保持することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記押圧手段は、複数の領域に分割された従動ローラホルダを備え、
前記押圧設定手段は、前記複数の領域のそれぞれについての押圧/非押圧を設定する複数のカムであり、前記複数のカムは、前記搬送ローラと平行に配設されたシャフトに位相を異として回動可能に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記被搬送媒体を搬送して記録ヘッドを用いて記録する際は、前記非記録領域と対向する前記複数の従動ローラについて押圧状態に保持することを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記被搬送媒体を記録時の搬送方向とは逆方向に搬送する際は、前記被搬送媒体と対向する前記複数の従動ローラの全てについて非押圧状態に保持することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記被搬送媒体は、専用の搬送トレイに載置されたディスクであり、前記ディスクは記録領域を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記被搬送媒体は、厚紙であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項7】
搬送ローラと複数の従動ローラとを備え、搬送ローラと従動ローラとの間の被搬送媒体を搬送する搬送手段と、
前記複数の従動ローラを前記搬送ローラに対して押圧する押圧手段と、
前記押圧手段の押圧/非押圧を前記複数の従動ローラのそれぞれについて設定することのできる押圧設定手段と、
を備え、インクを吐出する記録ヘッドを用いて記録を行う記録装置による記録方法であって、
記録領域と非記録領域とを有する前記被搬送媒体を前記搬送手段によって搬送する工程と、
記録ヘッドを用いて前記被搬送媒体に記録する工程と、
を含み、ここで、前記押圧設定手段は、前記各工程の間、前記記録領域と対向する前記複数の従動ローラについて非押圧状態に保持することを特徴とする記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−236352(P2012−236352A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107293(P2011−107293)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】