説明

記録装置及び記録材料

【課題】記録媒体への優れた転写効率を有する記録装置を提供する。
【解決手段】中間転写体10と、吸液成分、及び紫外線を照射することにより硬化する硬化材料を含み、更に親水基/疎水基バランスが8以上18以下の紫外線硬化樹脂及び親水基/疎水基バランスが8以上18以下の界面活性剤から選択される少なくとも何れかを含む硬化性溶液層12Bと、中間転写体10上に形成された硬化性溶液層12Bに、インク滴を付与するインク付与手段14と、転写手段16と、前記硬化性溶液層12Bが転写された記録媒体に、紫外線を照射する紫外線照射手段18と、を有することを特徴とする記録装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置及び記録材料に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを利用した記録方式では、浸透媒体や非浸透媒体などの多様な記録媒体に対し記録を行うために、中間転写体に記録した後、記録媒体に転写する方式が提案されている。
【0003】
例えば、画像層のインク流れや混色を防止する目的で、紫外線硬化性インクを噴射して受像体に画像層を形成し、記録媒体と受像体上の画像層とのニップを転写に充分な圧力を用いて形成し、画像層に紫外線を照射するインクジェット記録装置において、紫外線供給装置と画像層とに挟まれる受像体又は紫外線供給装置用ハウジングが設けられているインクジェット記録装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、インク使用量を低減する目的で、紫外線(UV)硬化型インクを中間転写体に付与し、中間転写体を押圧してUV硬化型インクを最終基材へ転写し、UV硬化型インクへ紫外線を照射するインクジェット画像形成方法において、最終基材上のUV硬化型インクドット径が中間転写媒体上のUV硬化型インクドット径より大きいことを特徴とするインクジェット画像形成方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
さらに、飛翔インク滴が中間転写体に転写されるのに先だって、中間転写体の表面に液体を付着させ、その液体上にインクを付着させてから、中間転写体上のインクを液体とともに被印刷体に転写することを特徴とする記録方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
一方、印刷版上のインクまたは飛翔インク滴が中間転写体に転写されるのに先だって、中間転写体の表面に液体を付着させ、その液体上にインクを付着させてから、中間転写体上のインクを液体とともに被印刷体に転写することを特徴とする記録方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
また、静電界を利用して油性インクをインクジェット方式により画像保持体表面に画像を形成し、該画像担持体に形成された画像を印刷媒体上に接触転写することにより印刷物を作成することを特徴とするインクジェット式印刷方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
【0007】
更に、流動性を低下させた着色インクを記録ヘッドより中間転写体に付与し、インク像を形成する形成工程と、インク像を記録媒体へ転写する転写工程と、転写工程の前に、画像の耐擦過性を向上させる第2材料を中間転写体に付与するインクジェット記録方法が提案されている(例えば、特許文献6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−152945号公報
【特許文献2】特開2007−15241号公報
【特許文献3】特開2001−212956号公報
【特許文献4】特開2001−212956号公報
【特許文献5】特開2001−315426号公報
【特許文献6】特開2005−170036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、記録媒体への優れた転写効率を有する記録装置および記録用材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
中間転写体と、
前記中間転写体上に形成され、吸液成分、及び紫外線を照射することにより硬化する硬化材料を含み、更に親水基/疎水基バランスが8以上18以下の紫外線硬化樹脂、及び親水基/疎水基バランスが8以上18以下の界面活性剤から選択される少なくとも何れかを含む硬化性溶液層と、
前記中間転写体上に形成された前記硬化性溶液層に、インク滴を付与するインク付与手段と、
前記インク滴が付与された前記硬化性溶液層を記録媒体に接触させた後に、前記硬化性溶液層硬化性溶液層を前記中間転写体から剥離することにより、前記中間転写媒体から前記記録媒体に前記硬化性溶液層を転写する転写手段と、
前記硬化性溶液層硬化性溶液層が転写された記録媒体に、紫外線を照射する紫外線照射手段と、
を有することを特徴とする記録装置である。
【0011】
請求項2に係る発明は、
前記硬化性溶液層を構成する各成分を混合した混合液を中間転写体上に塗布することにより、該硬化性溶液層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の記録装置である。
【0012】
請求項3に係る発明は、
中間転写体と、
前記中間転写体上に、吸液成分、及び紫外線を照射することにより硬化する硬化材料を含み、更に親水基/疎水基バランスが8以上18以下の紫外線硬化樹脂、及び親水基/疎水基バランスが8以上18以下の界面活性剤から選択される少なくとも何れかを含む記録材料を供給して、硬化性溶液層を形成する硬化性溶液層形成手段と、
前記中間転写体上に形成された前記硬化性溶液層に、インク滴を付与するインク付与手段と、
前記インク滴が付与された前記硬化性溶液層を記録媒体に接触させた後に、前記硬化性溶液層硬化性溶液層を前記中間転写体から剥離することにより、前記中間転写媒体から前記記録媒体に前記硬化性溶液層を転写する転写手段と、
前記硬化性溶液層硬化性溶液層が転写された記録媒体に、紫外線を照射する紫外線照射手段と、
を有することを特徴とする記録装置である。
【0013】
請求項4に係る発明は、
吸液成分、及び紫外線を照射することにより硬化する硬化材料を含み、更に親水基/疎水基バランスが8以上18以下の紫外線硬化樹脂、及び親水基/疎水基バランスが8以上18以下の界面活性剤から選択される少なくとも何れかを含むことを特徴とする記録材料である。
【0014】
請求項5に係る発明は、
前記紫外線硬化樹脂がシリコーン系紫外線硬化性樹脂であり、前記界面活性剤がシリコーン系界面活性剤であることを特徴とする請求項4に記載の記録材料である。
【0015】
請求項6に係る発明は、
前記シリコーン系紫外線硬化性樹脂以外の紫外線硬化樹脂を含むことを特徴とする請求項5に記載の記録材料である。
【0016】
請求項7に係る発明は、
前記硬化材料100質量部に対する前記吸液成分の含有量が、10質量部以上100質量部以下であり、前記硬化材料100質量部に対する前記紫外線硬化樹脂及び前記界面活性剤の合計含有量が、0.01質量部以上30質量部以下であることを特徴とする請求項4〜請求項6の何れか1項に記載の記録材料である。
【0017】
請求項8に係る発明は、
紫外線硬化型ウレタンアクリル樹脂を少なくとも含むことを特徴と請求項4〜請求項7の何れか1項に記載の記録材料である。
【0018】
請求項9に係る発明は、
前記紫外線硬化樹脂及び前記界面活性剤の25℃における粘度が、10mPas以上2000mPas以下であることを特徴とする請求項4〜請求項8の何れか1項に記載の記録材料である。
【0019】
請求項10に係る発明は、
側鎖型エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド変性のジメチルシロキサン界面活性剤を0.1質量%以上30質量%以下と、多官能アクリルウレタンオリゴマー誘導体を5質量%以上30質量%以下と、溶解性パラメーターが10以下のエチレンオキサイド変性又はプロピレンオキサイド変性のアクリルモノマーを10質量%以上50質量%以下とを、それぞれ含むことを特徴とする請求項4〜請求項9の何れか1項に記載の記録材料である。
【0020】
請求項11に係る発明は、
前記溶解性パラメーターが10以下のエチレンオキサイド変性又はプロピレンオキサイド変性のアクリルモノマーが、ポリプロピレングリコール又はポリエチレングリコール成分の何れかを含むポリエーテル変性多官能アクリルモノマーであることを特徴とする請求項10に記載の記録材料である。
【0021】
請求項12に係る発明は、
前記側鎖型エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド変性のジメチルシロキサン界面活性剤が、ポリプロピレングリコール変性又はポリエチレングリコールポリエーテル変性のアクリル、及び、ポリアルキレン変性アクリルから選ばれる何れかを側鎖又は主鎖に含むジメチルシロキサン成分であることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の記録材料である。
【0022】
請求項13に係る発明は、
前記紫外線硬化型ウレタンアクリル樹脂が、ポリエーテル、アルキル基、フェニル基、シアヌール酸誘導体から選択されるウレタン誘導体を1種以上含む、単官能又は2つ以上の多官能アクリルウレタン樹脂であることを特徴とする請求項8〜請求項12の何れか1項に記載の記録材料である。
【発明の効果】
【0023】
請求項1及び3に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、記録媒体への優れた転写効率を有する記録装置が提供される。
【0024】
請求項2に係る発明によれば、硬化性溶液層を構成する各成分を混合した混合液を中間転写体上に塗布することにより、該硬化性溶液層が形成されていない場合に比べて、記録媒体への優れた転写効率を有するという効果が顕著になる。
【0025】
請求項4に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、硬化性溶液層を構成する材料として用いる場合に、記録媒体への優れた転写効率を実現する記録材料が提供される。
【0026】
請求項5に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、画像形成時の潜像安定性が良好になる効果がある。
【0027】
請求項6に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、記録媒体への濡れ性向上に効果がある。
【0028】
請求項7に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、粒子によるインク潜像固定が容易になり、界面活性剤が吸液成分のインク濡れ性を向上させる効果がある。
【0029】
請求項8に係る発明によれば、紫外線硬化型ウレタンアクリル樹脂を含まない場合に比べて、製膜硬化後の可撓性に優れる。
【0030】
請求項9に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、硬化性溶液層の塗膜欠陥(ピンホール)を抑制するという効果がある。
【0031】
請求項10に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、硬化性溶液層間の相溶性変化による相分離を抑制することができる。
【0032】
請求項11に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、硬化性溶液層で形成される塗膜の機械強度の低下・脆化を抑制することができる。
【0033】
請求項12に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、安定した画像保持が可能となる。
【0034】
請求項13に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、硬化性溶液層で形成される塗膜の可撓性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本実施形態に係る記録装置の第一実施形態の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本実施形態に係る記録装置の第一実施形態は、中間転写体と、前記中間転写体上に、吸液成分、及び紫外線を照射することにより硬化する硬化材料を含み、更に親水基/疎水基バランス(HLB)が8以上18以下の紫外線硬化樹脂、及び親水基/疎水基バランスが8以上18以下の界面活性剤から選択される少なくとも何れかを含む記録材料を供給して、硬化性溶液層を形成する硬化性溶液層形成手段と、前記中間転写体上に形成された前記硬化性溶液層に、インク滴を付与するインク付与手段と、前記インク滴が付与された前記硬化性溶液層を記録媒体に接触させた後に、前記硬化性溶液層硬化性溶液層を前記中間転写体から剥離することにより、前記中間転写媒体から前記記録媒体に前記硬化性溶液層を転写する転写手段と、前記硬化性溶液層硬化性溶液層が転写された記録媒体に、紫外線を照射する紫外線照射手段と、を有することを特徴とする。
【0037】
また、本実施形態に係る記録装置の第二実施形態は、中間転写体と、前記中間転写体上に形成され、吸液成分、及び紫外線を照射することにより硬化する硬化材料を含み、更に親水基/疎水基バランスが8以上18以下の紫外線硬化樹脂、及び親水基/疎水基バランスが8以上18以下の界面活性剤から選択される少なくとも何れかを含む硬化性溶液層と、前記中間転写体上に形成された前記硬化性溶液層に、インク滴を付与するインク付与手段と、前記インク滴が付与された前記硬化性溶液層を記録媒体に接触させた後に、前記硬化性溶液層硬化性溶液層を前記中間転写体から剥離することにより、前記中間転写媒体から前記記録媒体に前記硬化性溶液層を転写する転写手段と、前記硬化性溶液層硬化性溶液層が転写された記録媒体に、紫外線を照射する紫外線照射手段と、を有することを特徴とする。
【0038】
一方、本実施形態に係る記録材料は、吸液成分、及び紫外線を照射することにより硬化する硬化材料を含み、更に親水基/疎水基バランスが8以上18以下の紫外線硬化樹脂、及び親水基/疎水基バランスが8以上18以下の界面活性剤から選択される少なくとも何れかを含むことを特徴とする。
【0039】
本実施形態に係る記録装置の第一実施形態は、中間転写体上に本実施形態に係る記録材料を供給して、硬化性溶液層を形成し(以降、前記硬化性溶液層が形成された中間転写体を「中間転写媒体」という場合がある。)、これを用いて画像を形成する記録装置である。
【0040】
また、本実施形態に係る記録装置の第二実施形態は、本実施形態に係る記録装置の第一実施形態と同様の硬化性溶液層が形成された中間転写体(中間転写媒体)を用いて画像を形成する記録装置である。本実施形態に係る記録装置の第二実施形態に用いられる中間転写媒体において、硬化性溶液層を形成する方法としては、中間転写体上に塗布する方法が挙げられる。
【0041】
<記録材料>
本実施形態に係る記録材料は、中間転写媒体を作製する際に用いられ、吸液成分、及び紫外線を照射することにより硬化する硬化材料を含み、更に親水基/疎水基バランスが8以上18以下の紫外線硬化樹脂(以下、「高HLB紫外線硬化樹脂」という場合がある。)、及び親水基/疎水基バランスが8以上18以下の界面活性剤(以下、「高HLB界面活性剤」という場合がある。)から選択される少なくとも何れかを含む。ここで、親水基/疎水基バランス(Hydrophile− Lipophile Barance、以下「HLB」という場合がある。)は、以下の式(グリフィン法)により定義されている。
・HLB = 20 × (親水部の式量の総和/分子量)
【0042】
本実施形態に係る記録材料を用いて作製した中間転写媒体は、インク滴が付与され(インク付与工程)、中間転写体から前記硬化性溶液層を剥離し、前記記録媒体に前記硬化性溶液層を転写し(転写工程)、紫外線を照射する(紫外線照射工程)ことにより画像が得られる。
【0043】
前記中間転写媒体は、液体インクの溶媒である水を吸収し、かつ画像形成に必要な吸液成分を硬化材料中に安定に分散かつ、表面露出させその表面物性を制御して急速に画像の粘着固定が行なわれる。高HLB紫外線硬化樹脂、及び高HLB界面活性剤から選択される少なくとも何れかを含むことにより、インク吸液能と記録媒体へ転写する際の粘度、転写後の記録媒体への付着性及び転写性が上がる。その結果、前記中間転写媒体を用いてインクジェット画像記録を行うと、記録媒体への優れた転写効率を有し、更にエッジ拡がり、画像埋まり、にじみがそれぞれ抑制された画像が得られる。
【0044】
また、ポリアクリル酸の塩(Na、Ca、K塩など)等の吸液成分とHLBの高い界面活性剤等の硬化性溶液層を構成する成分を混合し、中間転写体上に塗布して、硬化性溶液層を形成すると、吸液成分は表面に露出する。表面に露出した吸液成分は初期の画像形成の際のインク吸液速度を上げ、かつ下層に存在する吸液成分に効率よく、インクを吸収させるだけでなく、油性の紫外線硬化樹脂上においてもインク拡散を防ぎ、画像固定インク濡れ性の保持を行なうため表面の水に対する接触角を制御させ、表面インク拡がりを抑制する。その結果、本実施形態に係る中間転写媒体を用いてインクジェット画像記録を行うと、記録媒体への優れた転写効率を有し、エッジ拡がり、画像埋まり、にじみがそれぞれ抑制された画像が得られる、という効果が顕著になる。
【0045】
本実施形態に係る記録材料は、紫外線硬化樹脂内に、吸液成分と、高HLB界面活性剤を含むことにより、水性インクの界面での浸透性を制御し、適度な画像固定能が得られるが、従来のW/O(Water in oil)系の界面活性剤ではHLBが3.5以上6以下程度で、中間転写体表面への濡れ性はあるものの、水性インクには撥水性が高く、硬化材料、吸液成分を介しての表面からの浸透性に劣る。さらに疎水性紫外線硬化樹脂、モノマー、プレポリマー間でのなじみが悪く、相分離か凝集して均一な分散性が取れにくい。
【0046】
本実施形態に係る記録材料は、さらに高HLB界面活性剤のHLBを調製することにより、中間転写体表面の濡れ性と塗布表面のインク接液性の双方の機能を適度に調整でき、例えば11程度のHLBをもつ紫外線硬化樹脂と、これより高いHLBをもつ界面活性剤を用いることにより、安定した塗布性とインク打滴後の界面での濡れ性・ひろがり・膜厚変動が改善され、インク接液時の粒子への浸透性が向上する。その結果、前記中間転写媒体を用いてインクジェット画像記録を行うと、記録媒体へ、潜像画質の優れた塗膜が効率よく転写される。また、エッジ拡がり、画像埋まり、にじみについても抑制された画像が得られる。
【0047】
HLBが8未満の界面活性剤を用いた場合、インク接液性はあるが、インク浸透・固定に対する変動が大きく、シリコーン系界面活性剤のように印字界面の性質(親・疎水性)の制御はまだ不充分で画質の変動が外部環境等に左右されやすい。
【0048】
また、高HLB界面活性剤に、紫外線硬化モノマー等の紫外線を照射することにより硬化する硬化材料と併用して用いた場合は、高い疎水性をもつベルト界面の塗布と付着性が上がり、かつ硬化材料を単独使用した場合に比べその総配合量を抑えることができ、塗液自体の粒子相溶性、粘性増加抑制、分散安定性が良好になる。1種以上のHLBの異なる界面活性剤の併用で、それぞれの粒子・紫外線硬化樹脂・モノマーの相溶性、ベルト界面塗布親和性、インク接液時の濡れ性、浸透性が制御され、使い分けることにより、それぞれの界面での機能分離性を考慮した配合設計に対応する。
【0049】
塗布界面では表面張力の異なる水溶性インクと疎水性塗布表面でのインク打滴時のインク侵入の浸透速度の制御と拡がりを調整し、画像保持(粘性塗膜上)能の安定化と記録媒体に転写する際の潜像安定化、及び紫外線硬化する際の記録媒体上での画像固定に寄与する。
一方、反応性のない界面活性剤のみでは紫外線硬化能はなく、画像固定及び保持に不利であり、加圧転写時のにじみ画像ずれ、line・ドットとの形成に障害があり、硬化材料と併用することにより適度な安定性が維持される。更に転写時のベルト界面で硬化剥離性が向上し、転写後の表面が粒子露出部がある場合は界面活性剤での吸湿性の低減による高湿環境下の画像光沢の保持及び有利である。
【0050】
以上、高HLB界面活性剤を硬化材料と併用して用いた場合の効果について述べたが、の高HLB紫外線硬化樹脂を用いても、高HLB界面活性剤を用いた場合と同様の効果が得られる。また、高HLB紫外線硬化樹脂は、紫外線に対する反応性も有しているので、印字表面付近の硬化材料および中間体界面の離型としての役割も有する。
【0051】
前記中間転写媒体は、紫外線による硬化材料の高速硬化性をもつ特徴を生かして、高速化対応と吸液成分の液中分散による、トナーなどの粉体では取り扱い困難な粒子状態における印字でも高画質化され、従来の水性・油性インクジェットでは記録困難な非浸透メデアに対しても、表面性に優れ光沢のある高耐湿性の転写媒体が提供される。
また、吸液成分を保持する紫外線硬化樹脂は粘着性を保持し、適度な表面インク濡れ性をもつことによる潜像の保持、転写までの画像劣化を抑え、かつ硬化による剥離転写性、クリーニング性も効率が向上し、残留粘着性半硬化量品の量の低減も、紫外線による硬化材料の再硬化によるブレード・ブラシ等のクリーニング工程での効率も向上する。
【0052】
離型性の優れる紫外線硬化材料においてはシリコーン変性モノマー類・界面活性剤を併用して、官能基数の少ない、長鎖アルキルレン、またはエチレン−ポリプロピレングリコール、ポリブタジエン・ヘキサメチレン基等のかとう性を側鎖・または主鎖にもつモノマーにイソシアネート類を反応させて柔軟性の優れるウレタンユニットをもつアクリル酸エステル、ポリエステルやポリオーテル系、ポリアセタール系などの光重合性オリゴマーとプリブレンドさせて使用してもよく、画像の収縮を防ぎ、インク吸液性が制御される。
【0053】
紫外線硬化インクを用いた印刷による画像形成の際には硬化性溶液層(にじみ防止、撥水性制御)に紫外線硬化インクを打ち込み、さらに良好な表面性を付与するために界面活性剤による表面処理コート(印字も含む)により、画像固定・印字・光沢、良好な表面性付与などを機能分離する方法に比べ、単独層中にこれらの機能を複合化させ、安定した画質保持を水性インクで対応し、大幅な高速吸液対応と画像固定に寄与する。
【0054】
吸液成分の分散安定性おいては界面活性剤として親水性ユニットと疎水性ユニットによりHLB値を制御した界面活性剤分散材等の使用しさらに高分子型界面活性剤、脂肪酸エステル、アルキルアミン類などのHLBの異なるものにこれに分散性、相溶性の優れる希釈剤等を添加により露出粒子上でのインク固定、広がりにムラが無く、インク吸液速度の向上、さらにインク濡れ性の保持、粒子分散状態の経時変化防止、塗布膜厚の安定化、親・疎水性のバランス調整を行い潜像形成時の安定性した吸液性を維持される。
【0055】
吸液成分の表面の、静電的、酸−塩基相互作用、溶解性パラメータの異なる希釈剤との相溶性を上げるため、HLBの調整によりさらに紫外線硬化樹脂分散性・相溶性を向上させ、低濃度でも充分な分散安定性を保持し、かつ画像保持を安定化する。
【0056】
さらに粒径に応じた界面活性剤の最適量をその表面をカバーするに充分な添加量を保持し、表面を親水化または疎水化させることにより、紫外線硬化樹脂媒体の相溶性、希釈剤への膨潤性を制御し、かつ粒子沈降性を抑え、長期にわたり塗液の安定した粒子濃度・粘度の維持と塗工時の安定した膜厚と塗膜強度が得られる。
【0057】
吸液成分の分散に用いられる分散剤としてはシリコーン系界面活性剤で高分子分散剤としては側鎖等に親水部(EO)mと疎水部(PO)nを有する重合体(m、nは繰り返し数)が好適で、分子量によりそのかとう性と界面での密着性が調整され、これに両末端及び側鎖端部にアクリル変性したUV反応性モノマーなどを使用してもよい。
【0058】
後述するように中間転写媒体の硬化性溶液層に用いた場合、吸液成分は部分的に表面に粒子が露出されてもよく、水性インクを効率よく吸収させるために、露出面積は1%以上100%以下が好ましく、30%以上80%以下であることがより好ましい。つまり吸液成分は硬化性溶液層の中部または下層に位置している部分があってもよい。水性インクでは該露出部よりインクが表面より浸透してゆく1次吸液工程と吸液成分内に2次吸液して膨潤浸透してゆく工程を含んでもよい。一方、積層して吸液成分が重なる場合には印字による吸液成分の膨潤が大きくなり印字による解像度低下、にじみ、劣化しやすくなる場合がある。また記録媒体への硬化性溶液層の加圧転写による効率も低下し、剥離しにくくなる。
【0059】
次に、本実施形態に係る記録材料に含まれる各成分について説明する。
前記硬化材料は、紫外線を照射することにより硬化するものである。例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイミド樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニルエーテル樹脂などが挙げられる。また、紫外線硬化性のモノマー、紫外線硬化性のマクロマー、紫外線硬化性のオリゴマー、及び紫外線硬化性のプレポリマーも挙げられる。
【0060】
ここで、紫外線硬化性のモノマーとしては、例えば、アルコール/多価アルコール/アミノアルコール類のアクリル酸エステル、アルコール/多価アルコール類のメタクリル酸エステル、アクリル脂肪族アミド、アクリル脂環アミド、アクリル芳香族アミド類等のラジカル硬化性材料;エポキシモノマー、オキセタンモノマー、ビニルエーテルモノマー等のカチオン硬化性材料;などが挙げられる。上記紫外線硬化性のマクロマー、紫外線硬化性のオリゴマー、紫外線硬化性のプレポリマーとしては、これらモノマーを重合させたものの他、エポキシ、ウレタン、ポリエステル、ポリエーテル骨格に、アクリロイル基やメタクリロイル基の付加した、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ウレタンメタクリレート、ポリエステルメタクリレート等のラジカル硬化性材料が挙げられる。
【0061】
硬化反応がラジカル反応により進行するタイプである場合、紫外線重合開始剤と併用して用いられ、例えば、ベンゾフェノン、チオキサントン系、ベンジルジメチルケタール、α-ヒドロキシケトン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、 α-アミノケトン、α-アミノアルキルフェノン、モノアシルフォスフィンオキサイド、ビスアシルフォスフィンオキサイド、ヒドロキシベンゾフェノン、アミノベンゾフェノン、チタノセン型、オキシムエステル型、オキシフェニル酢酸エステル型などが挙げられる。
【0062】
また硬化反応がカチオン反応により進行するタイプである場合、併用して用いる紫外線重合開始剤としては、例えば、アリールスルホニウム塩、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、アレン-イオン錯体誘導体、トリアジン系開始剤等が挙げられる。
【0063】
前記吸液成分は、インク液体を吸収するもので、吸液成分とインクを重量比30:100で24時間混合した後、混合液中からフィルターにより吸液成分を取り出した時、吸液成分の重量がインク混合前に対して5%以上増加するものである。
吸液成分は画像形成上、紫外線硬化樹脂に分散混合して使用し、樹脂相溶性の少ない粒子が好ましい。吸液成分としては、酸塩基性の異なる4級塩構造をモノマーに有するポリメタアクリル樹脂またはマレイン酸及びその架橋共重合体、ポリメタアクリル酸エステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の架橋共重合体、リグニン、セルロース等の天然材料が挙げられる。
【0064】
また、後述するインクが水性インクの場合には、カルボン酸及びその塩類形成して未架橋でも架橋されていてもよく、架橋による膨潤性の制御、中空化及び多孔化によるインク吸収する表面積を増加させるなどの方法を用いてもよい。水性インクでアルボン酸、もしくはNa、K等の中和塩を使用することでインク吸液性は向上するため好ましい。
【0065】
前記吸液成分は懸濁重合、エマルション重合、溶液重合などにより作製され、そのままの形状での使用や、ボールミルやサンドミル、凍結粉砕、スプレードライなどによる粉砕工程、溶剤による再沈降による方法等で、粒径を20μm以下にすることが好ましく、10μm以下にすることがより好ましく、0.1μm以上5μm以下にすることが画像解像度・ラインエッジ再現性・ドット形成保持安定性などの画質上の点で更に好ましい。
【0066】
吸液成分の粒径・およびその分布は硬化性溶液層中に配合量と膨潤性に依存して、樹脂量に対して10質量%以上100質量%以下配合させることが好ましく、20質量%以上から50質量%以下配合させることがより好ましい。また、中心粒径を0.1μm以上10μm以下が好ましく、1μm以上5μm以下がより好ましく、粒度分布が小さいことが好ましい。更に多色・混色の抑制に寄与する界面活性剤を用いることにより、ムラ・にじみ・色ずれのない画像が得られ、ラインエッジ部の真直度、ドットの形状安定性が向上する。
【0067】
高HLB紫外線硬化樹脂としては、アクリル酸エステル、アルコール・多価アルコール類のメタクリル酸エステルモノマーやウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、変性ポリオールアクリレート等前駆体、オリゴマー類でラジカル反応性で粘度の異なるモノアクリレートモノマー、反応性ポリアクリレート前駆体で希釈、混合調整した液粘度を調整し、該吸液成分との相溶性も改善されることが好ましい。
【0068】
また、硬化性溶液層に含まれる硬化材料は、シリコーン変性されているシリコーン化合物であることが好ましい。
【0069】
前記高HLB界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤であることが好ましく、o/w(Oil in water)タイプの疎水性紫外線硬化樹脂媒体中でのインク保持性・紫外線硬化樹脂界面での界面活性効果に寄与するアルコキシ変性シリコーン、アルキル・アルコキシ変性シリコーンポリカプロラクトン変性シリコ−ン、アルキルフェエウポリエーテル変性シリコーン、直鎖乗ポリエーテル変性シリコーンなどの疎水基がジメイルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン系界面活性剤及びこれらの側鎖・主鎖にアクリル基またはメタクリル基等の光反応性基を結合したものを用いてもよい。
【0070】
また、シリコーン系界面活性剤以外の高HLB値界面活性剤を使用してもよく、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルポリオキシエチレンククチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル・アリルエーテルやポリオキシエチレンアルキルエーテルポリオキシエチレンオレイン酸エステル類、さらにポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールドデシルエーテル、ポリエチレングリコールスイテアリルエーテル、ポリエチレングリコールセチルエーテル、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、及びポリエチレングリコールモノラウレートポリエチレングリコールモノステアレートポリエチレングリコールモノオレエート等が挙げられる。
【0071】
反応性基としてはラジカル重合性のアクリル、プロペニル基、メタクリル基などを疎水基側やポリエーテル基末端に配した1から多官能のアクリル誘導体を用いて、インク界面の固化、および画像固定に有効に利用でき、ベルト界面では転写・固化により、光定着ともに剥離されるようになり、用紙上に転写・定着される機能を有する。
【0072】
以上、高HLB紫外線硬化樹脂及び高HLB界面活性剤について説明したが、高HLB界面活性剤は、前記硬化材料と併用して用いるものであり、高HLB紫外線硬化樹脂は、硬化材料としての機能も有する。
【0073】
本実施形態においては、前記紫外線硬化樹脂がシリコーン系紫外線硬化性樹脂であり、前記界面活性剤がシリコーン系界面活性剤であることが好ましい。
また、前記シリコーン系紫外線硬化性樹脂以外の紫外線硬化樹脂を含むことも好ましい。
【0074】
前記硬化材料100質量部に対する吸液成分の含有量が10質量部以上100質量部以下(20質量部以上50質量部以下がより好ましい。)であることが好ましく、前記高HLB紫外線硬化樹脂及び前記高HLB界面活性剤の合計含有量が0.01質量部以上30質量部以下(0.1質量部以上10質量部以下がより好ましい。)であることがより好ましい。
【0075】
また、前記高HLB紫外線硬化樹脂及び前記高HLB界面活性剤の25℃における粘度が8mPas以上18mPas以下であることが好ましく、10mPas以上2000mPas以下であることがより好ましく、50mPas以上1500mPas以下であることが更に好ましく、50mPas以上1000mPas以下であることが特に好ましい。HLBが8未満であると、中間転写体界面での濡れ性を上げられず、18を超えると、水性インクの濡れ性が上がるが、吸液成分の膨潤性が上がり、吸液成分自体の相溶性が増すことにより、塗布膜厚の制御や塗布性、表面性などが悪化する場合がある。ここで、高HLB紫外線硬化樹脂及び高HLB界面活性剤の粘度は、23℃において、HAAKE)製モジュール型粘度計で一定せん断速度(10−1s)にして安定した粘度を測定する。
【0076】
また、前記硬化材料を用いずに、前記高HLB界面活性剤のみを用いた場合には、インク濡れ性と界面での塗布性を両立するため中程度のHLB(10以上14以下)のもので活用される一方、未反応性では転写時のインクにじみ・カラーレジストレーションの影響を受けやすく、硬化材料と共に用いた方が効果的である。
【0077】
また、HLBが高いと、高sp値(溶解性パラメーター)のモノマー類とは親和性を持ち、かつ界面での相分離を抑制させ、インクの濡れ性を保持しつつ、表面(塗布面)のレベリング性、粒子界面の凝集性を保持しつつ、分散安定性に寄与している。
更に、印字界面の偏在による耐湿性の向上と画像光沢性の保持、さらに転写時のインクの拡がりを制御し、安定した画質濃度の調整がされる。
【0078】
前記高HLB紫外線硬化樹脂及び前記高HLB界面活性剤は、単独で用いても、併用して用いてもよいが、併用して用いる場合、像流れの発生が抑制される点で、高HLB紫外線硬化樹脂の使用量が高HLB界面活性剤の使用量よりも多いことが好ましい。具体的には、(高HLB紫外線硬化樹脂/高HLB界面活性剤×100)が0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、1質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
【0079】
また、硬化性溶液層における硬化材料と吸液成分と使用量の比率(硬化材料:吸液成分、質量比)は、5:95乃至95:5が好ましく、20:80乃至80:20がより好ましい。
さらに、高HLB界面活性剤の使用量は吸液成分に対し、0.01質量%以上20質量%以下が好ましく、0.1質量%以上5質量%であることがより好ましい。
【0080】
前記硬化性溶液層は、印字塗膜のかとう性・接着性・耐光性・折り曲げ耐性の点で、紫外線硬化型ウレタンアクリル樹脂を含んでいることが好ましい。該紫外線硬化型ウレタンアクリル樹脂としては、ポリエーテル、アルキル基、フェニル基、シアヌール酸誘導体から選択される誘導体を1種以上含む、単官能又は多官能アクリルウレタン樹脂が挙げられ、これらの硬化性溶液層における含有量は、1質量%以上50質量%以下が好ましい。
【0081】
前記硬化性溶液層は接着性・吸湿性の優れたエチレンオキレイド部分とかとう性・柔軟性と疎水性の調整能を併せ持つポリプロピレン部分でHLB性能をその分子量で制御している点で、側鎖型エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド変性のジメチルシロキサン界面活性剤を0.1質量%以上30質量%以下、多官能アクリルウレタンオリゴマー誘導体を5質量%以上30質量%以下、溶解性パラメーターが10以下のエチレンオキサイド変性又はプロピレンオキサイド変性のアクリルモノマーを10質量%以上50質量%以下、それぞれ含むことが好ましい。
【0082】
前記溶解性パラメーターが10以下(8以上9.5以下がより好ましい。)のエチレンオキサイド変性又はプロピレンオキサイド変性のアクリルモノマーとしては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール成分を含むポリエーテル変性多官能アクリルモノマーが挙げられる。ここで、溶解性パラメーターはFedorsによる化学構造式から算出して求められる。
【0083】
前記前記側鎖型エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド変性のジメチルシロキサン界面活性剤が、ポリプロピレングリコール変性又はポリエチレングリコールポリエーテル変性のアクリル、及び、ポリアルキレン変性アクリルから選ばれる何れかを側鎖又は主鎖に含むジメチルシロキサン成分であることが好ましい。
【0084】
本実施形態に係る記録装置の第二実施形態に用いられる中間転写媒体において、本実施形態に係る記録材料を塗布して、硬化性溶液層を形成する方法としては、一般的な塗布方法により形成されるが、中でも塗布層がムラ無く、薄く形成される、層形成速度が速い点から、ロール塗布、ギャップ塗布、ベルト塗布、ウエブ塗布、ディップ塗布、ブレード塗布など粘度、膜厚、製膜状態に合わせる。
【0085】
また、本実施形態に係る記録材料を用いて形成された硬化性溶液層の厚みは、3μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上20μm以下がより好ましい。
一方、硬化性溶液層形成用溶液の粘度は、100mPs以上30000mPs以下が好ましく、100mPs以上1500mPs以下がより好ましい。ここで、硬化性溶液層形成用溶液の粘度は、23℃において、モジュール型粘度・粘弾性測定装置(HAAAKE社製MARSII)を用いて測定した。
【0086】
(中間転写体)
前記中間転写体は円筒状でもベルト状でもよい。また、中間転写体から硬化性溶液層が剥離しやすくなる(記録媒体への効率的な転写)点、また、転写膜の表面状態の環境変化の影響を受けにくく経時安定化がはかれ、また、硬化性溶液層が硬化性の速い材料構成で構成することで、転写時の高速転写が容易になる点で、中間転写体表面は離型性を有していることが好ましい。離型性を有するための方法としては、(1)中間転写体の素材を離型性がいいものにする。(2)離型性が向上する外添剤を添加する。(3)中間体上の予め離型層を塗布させておく等の方法が挙げられる。
【0087】
(1)の方法では、用いる中間転写体の素材として、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素樹脂や、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム等が挙げられる。
【0088】
具体的には、中間転写体が円筒状である場合、アルミやステンレスの外周面に半導電性(25℃における体積抵抗が10Ω・cm以上1013Ω・cm以下)の粒子保持層を形成してもよい。
また、中間転写体がベルト状である場合、記録装置内におけるベルト回転駆動し、必要な機械強度を持ち、転写/定着する際に熱を使用する場合には、必要な耐熱性を持つものであれば良く、ポリイミド、ポリアミドイミド、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエーテルサルフォン、ステンレス等が挙げられる。
【0089】
(2)の方法において、外添剤としては、Si系オイル /フッソ系オイル /炭化水素系・ポリアルキレングリコール/脂肪酸エステル/フェニルエーテル/リン酸エステルなどが挙げられ、Siオイル変性モノマー/フッソ系オイル変性モノマー/PP orPE基を含む反応性モノマー類が好ましい。
【0090】
また、中間転写体表面層に、低表面エネルギー化する剥離剤塗布工程を設けてもよい(シリコーン系オイル、フッソ系オイル、炭化水素系・ポリアルキレングリコール/脂肪酸エステル、フェニルエーテル、リン酸エステルなどが挙げられ、シリコーンオイル変性モノマー、フッソ系オイル変性モノマー、プロピレン基又はエチレン基を含む反応性モノマー類が好ましい。
【0091】
<記録材料>
先ず、本実施形態に係る記録装置の第一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る記録装置の第一実施形態の一例を示す概略構成図である。図1に示す記録装置101は、例えば、無端ベルト状の中間転写ベルト(中間転写体)10の周囲に、中間転写ベルト10の移動方向(矢印方向)における上流側から順に、中間転写ベルト10上にインク受像用の硬化性溶液(本実施形態に係る記録材料)12Aを供給し、硬化性溶液層(既述の硬化性溶液層)12Bを形成して、中間転写媒体を製造する溶液供給装置(硬化性溶液層形成手段)12、中間転写ベルト10上に形成された受像層12Bにインク滴14Aを付与し画像Tを形成するインクジェット記録ヘッド14(インク付与手段)、画像Tが形成された受像層12Bを記録媒体Pに接触させ圧力を加えることにより画像Tが形成された受像層12Bを記録媒体P上に転写する転写装置16(転写手段)、及び中間転写ベルト10表面に残留する受像層12Bの残留物や付着した異物(記録媒体Pの紙粉等)等を除去するクリーニング装置20が配置されている。
【0092】
また、転写装置16よりもさらに記録媒体Pの進行方向下流側には、記録媒体Pに転写された硬化性溶液層12Bをさらに硬化させることにより受像層12Bを記録媒体Pに定着させる紫外線照射装置18が配置されている。
【0093】
中間転写ベルト10は、例えば、3つの支持ロール10Aから10B、及び加圧ロール16B(転写装置16)により内周面側から張力を掛けつつ回転するように支持されて配設されている。また中間転写ベルト10は、記録媒体Pの幅と同等又はそれ以上の幅(軸方向長さ)を有している。
【0094】
溶液供給装置12は、例えば、インク受像用の硬化性溶液12A(以下、「硬化性溶液12A」と略す場合がある)を収納する筐体12C内に、当該硬化性溶液12Aを中間転写ベルト10へ供給する供給ロール12Dと、供給された硬化性溶液12Aにより形成された受像層12Bの層厚を規定するブレード12Eと、を含んで構成されている。
【0095】
溶液供給装置12は、その供給ローラ12Dが中間転写ベルト10に連続的に接触するようにしてもよいし、中間転写ベルト10から離間する構成としてもよい。また、溶液供給装置12は、独立した溶液供給システム(図示せず)より硬化性溶液12Aを筐体12Cへ供給させ、硬化性溶液12Aの供給がとぎれないようにしてもよい。硬化性溶液12Aの詳細については後述する。
【0096】
溶液供給装置12は、上記構成に限られず、公知の供給法(塗布法:例えば、バーコーター塗布、スプレー方式の塗布、インクジェット方式の塗布、エアーナイフ方式の塗布、ブレード方式の塗布、ロール方式の塗布等)などを利用した装置が適用される。
【0097】
インクジェット記録ヘッド14は、例えば、中間転写ベルト10の移動方向上流側から、ブラックインクを付与するための記録ヘッド14Kと、シアンインクを付与するための記録ヘッド14Cと、マゼンタインクを付与するための記録ヘッド14Mと、イエローインクを付与するための記録ヘッド14Yと、の各色の記録ヘッドを含んで構成されている。無論、記録ヘッド14の構成は上記構成に限られず、例えば、記録ヘッド14Kのみで構成してもよいし、記録ヘッド14C、記録ヘッド14M、及び記録ヘッド14Yのみで構成してもよい。
【0098】
各記録ヘッド14は、張力が掛けられて回転支持された中間転写ベルト10における非屈曲領域上で、且つ中間転写ベルト10表面と記録ヘッド14のノズル面との距離が例えば0.7から1.5mmにして配置されている。
【0099】
また、各記録ヘッド14は、例えば、記録媒体Pの幅と同等又はそれ以上の幅を持つライン型インクジェット記録ヘッドが好ましいが、従来のスキャン型のインクジェット記録ヘッドを用いてもよい。
各記録ヘッド14のインク付与方式は、圧電素子駆動型、発熱素子駆動型等、インク付与される方式であれば制限はない。なお、インクの詳細については後述する。
【0100】
転写装置16は、以下のように構成されている。具体的には、例えば、加圧ロール16Bにより中間転写ベルト10を張架し、非屈曲領域を形成している。中間転写ベルト10の非屈曲領域において、加圧ロール16Bに対向する位置には、記録媒体Pを支持する支持体22が設けられている。また、加圧ロール16Aは、中間転写ベルト10の加圧ロール16Bと対向する位置に配置され、支持体22に設けられた開口部(図示せず)を通して記録媒体Pに接触する。
【0101】
また紫外線照射装置18は、中間転写ベルト10の外側で、記録媒体Pの硬化性溶液層12Bが転写された面と対向する位置に設けられ、中間転写ベルト10から剥離された硬化性溶液層12Bに直接紫外線等を照射する。
【0102】
ここで、紫外線照射装置18としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、デイープ紫外線ランプ、マイクロ波を用い外部から無電極で水銀灯を励起するランプ、紫外線レーザー、キセノンランプ、UV−LED(紫外線発光ダイオード)などが適用される。
【0103】
記録媒体Pとしては、浸透媒体(例えば、普通紙や、コート紙等)、非浸透媒体(例えば、アート紙、樹脂フィルムなど)、いずれも適用される。記録媒体Pは、これらに限られず、その他、半導体基板など工業製品も含まれる。
【0104】
以下、記録装置101の画像記録プロセスにつき、説明する。
記録装置101では、中間転写ベルト10が回転駆動され、まず、溶液供給装置12により、中間転写ベルト10表面に硬化性溶液12Aを供給して、受像層(硬化性溶液層)12Bを形成する。
【0105】
また、例えば、受像層12Bの厚みをインク滴14Aが受像層12Bの最下層まで到達しない程度とすれば、記録媒体Pへの転写後では受像層12Bのうちインク滴14Aが存在する領域が露出せず、インク滴14Aが存在しない領域が硬化後には保護層として機能する。
【0106】
次に、インクジェット記録ヘッド14によりインク滴14Aを付与し、中間転写ベルト10上に供給された受像層12Bに当該インク滴14Aを付与する。インクジェット記録ヘッド14は画像情報に基づき、受像層12Bにインク滴14Aを付与する。
【0107】
この際、インクジェット記録ヘッド14によるインク滴14Aの付与は、張力が掛けられて回転支持された中間転写ベルト10における非屈曲領域上で行われる。つまり、ベルト表面がたわみのない状態で受像層12Bにインク滴14Aの付与がなされる。
【0108】
加圧ロール16A及び16Bによって硬化性溶液層12Bに加えられる圧力は、転写効率の向上及び画像乱れの抑制といった観点から、0.001MPa以上2MPa以下の範囲とすることが好ましい。
【0109】
次に、剥離位置において受像層12Bが中間転写ベルト10から剥離されることにより、インク滴14Aによる画像Tが含まれる硬化性樹脂層(画像層)が記録媒体Pに形成される。
【0110】
次に、中間転写ベルト10から剥離された記録媒体P上の硬化性溶液層12Bは、紫外線照射装置18により、記録媒体Pとは接していない面に直接紫外線等が照射され、さらに硬化することにより記録媒体Pに定着する。
【0111】
一方、受像層12Bが記録媒体Pへ転写された後の中間転写ベルト10表面に残った硬化性溶液層12Bの残留物や異物は、クリーニング装置20により除去される。
以上のようにして、本実施形態に係る記録装置101では、画像記録が行われる。
【0112】
以下、本実施形態に用いられるインク滴14Aに含まれるインクの詳細について説明する。
【0113】
インクとしては、溶媒として水性溶媒を含む水性インク、溶媒として油性溶媒を含む油性インクが挙げられる。本実施形態においては、水性インク又は油性インクを用い、記録媒体として非浸透媒体を用いた場合でも、ヒーター等により溶媒を揮発させることなく良い画像定着性が得られる。また、インクとしては、紫外線硬化型インクも使用される。紫外線硬化型インクを用いることにより、耐久性の高い画像が形成される。
【0114】
水性インクとしては、例えば、記録材として水溶性染料又は顔料を水性溶媒に分散又は溶解したインクが挙げられる。また、油性インクとしては、例えば、記録材として油溶性染料を油性溶媒に溶解したインク、記録材として染料又は顔料を逆ミセル化して分散したインクが挙げられる。
【0115】
油性インクを用いる場合は、低揮発性又は不揮発性(沸点が80℃以上)の溶媒を用いた油性インクを用いることが好ましい。油性インクの溶媒が低揮発性又は不揮発性であることにより、ヘッドノズル端部において、溶媒揮発によるインク状態変化が起きにくいため、ヘッドノズル耐目詰まり性が良い。また油性インクの溶媒が低揮発性又は不揮発性であることにより、インク滴を受容した受像層が記録媒体に転写された後に、油性インクの溶媒が記録媒体に浸透しても、カール・カックルが生じにくい。さらに油性インクの溶媒は、カチオン硬化性のものであってもよい。
【0116】
本実施形態においては、インクとして水性インクを用いることが好ましい。この場合、上記硬化性溶液層12Bに含まれる吸液成分としては、吸水材料を用いることが好ましい。
【0117】
まず、記録材について説明する。記録材としては、主に色材が挙げられる。色材としては、染料、顔料のいずれも用いられるが、耐久性の点で顔料であること好ましい。顔料としては有機顔料、無機顔料のいずれも使用でき、黒色顔料ではファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料等が挙げられる。黒色とシアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料のほか、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色又は淡色の体質顔料、プラスチックピグメント等を使用してもよい。また、本発明のために、新規に合成した顔料でも構わない。
【0118】
また、シリカ、アルミナ、又は、ポリマービード等をコアとして、その表面に染料又は顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等を顔料として使用する方法もある。
【0119】
黒色顔料の具体例としては、Raven7000,Raven5750,Raven5250,Raven5000 ULTRAII,Raven 3500,Raven2000,Raven1500,Raven1250,Raven1200,Raven1190 ULTRAII,Raven1170,Raven1255,Raven1080,Raven1060(以上コロンビアン・カーボン社製)、Regal400R,Regal330R,Regal660R,Mogul L,Black Pearls L,Monarch 700,Monarch 800,Monarch 880,Monarch 900,Monarch 1000,Monarch 1100,Monarch 1300,Monarch 1400(以上キャボット社製)、Color Black FW1,Color Black FW2,Color Black FW2V,Color Black 18,Color Black FW200,Color Black S150,Color Black S160,Color Black S170,Printex35,Printex U,Printex V,Printex140U,Printex140V,Special Black 6,Special Black 5,Special Black 4A,Special Black4(以上デグッサ社製)、No.25,No.33,No.40,No.47,No.52,No.900,No.2300,MCF−88,MA600,MA7,MA8,MA100(以上三菱化学社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0120】
シアン色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Blue−1,−2,−3,−15,−15:1,−15:2,−15:3,−15:4,−16,−22,−60等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0121】
マゼンタ色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Red−5,−7,−12,−48,−48:1,−57,−112,−122,−123,−146,−168,−177,−184,−202, C.I.Pigment Violet −19等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0122】
黄色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Yellow−1,−2,−3,−12,−13,−14,−16,−17,−73,−74,−75,−83,−93,−95,−97,−98,−114,−128,−129,−138,−151,−154,−180等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0123】
ここで、色材として顔料を使用した場合には、併せて顔料分散剤を用いることが好ましい。使用される顔料分散剤としては、高分子分散剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0124】
高分子分散剤としては、親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体が好適に用いられる。親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体としては、縮合系重合体と付加重合体とが使用される。縮合系重合体としては、公知のポリエステル系分散剤が挙げられる。付加重合体としては、α,β−エチレン性不飽和基を有する単量体の付加重合体が挙げられる。親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体と疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体を組み合わせて共重合することにより目的の高分子分散剤が得られる。また、親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体の単独重合体も用いられる。
【0125】
親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体としては、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、りん酸基等を有する単量体、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロオキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
【0126】
疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等が挙げられる。
【0127】
高分子分散剤として用いられる、好ましい共重合体の例としては、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。また、これらの重合体に、ポリオキシエチレン基、水酸基を有する単量体を共重合させてもよい。
【0128】
上記高分子分散剤としては、例えば重量平均分子量で2000乃至50000のものが挙げられる。
【0129】
これら顔料分散剤は、単独で用いても、二種類以上を併用しても構わない。顔料分散剤の添加量は、顔料により大きく異なるため一概には言えないが、一般に顔料に対し、合計で0.1乃至100質量%が挙げられる。
【0130】
色材として水に自己分散する顔料も用いられる。水に自己分散する顔料とは、顔料表面に水に対する可溶化基を数多く有し、高分子分散剤が存在しなくとも水中で分散する顔料のことを指す。具体的には、通常のいわゆる顔料に対して酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理等を施すことにより、水に自己分散する顔料が得られる。
【0131】
また、水に自己分散する顔料としては、上記顔料に対して表面改質処理を施した顔料の他、キャボット社製のCab−o−jet−200、Cab−o−jet−300、IJX−157、IJX−253、IJX−266、IJX−273、IJX−444、IJX−55、Cab−o−jet−260M、Cab−o−jet−250C、Cab−o−jet−270Y、Cab−o−jet−1027R、Cab−o−jet−554B、オリエント化学社製のMicrojet Black CW−1、CW−2等の市販の自己分散顔料等も使用される。
【0132】
自己分散顔料としては、その表面に官能基として少なくともスルホン酸、スルホン酸塩、カルボン酸、又はカルボン酸塩を有する顔料であることが好ましい。より好ましくは、表面に官能基として少なくともカルボン酸、又はカルボン酸塩を有する顔料である。
【0133】
更に、樹脂により被覆された顔料等も使用される。これは、マイクロカプセル顔料と呼ばれ、大日本インキ化学工業社製、東洋インキ社製などの市販のマイクロカプセル顔料だけでなく、本発明のために試作されたマイクロカプセル顔料等も使用される。
【0134】
また、高分子物質を上記顔料に物理的に吸着又は化学的に結合させた樹脂分散型顔料も用いられる。
【0135】
記録材としては、その他、親水性のアニオン染料、直接染料、カチオン染料、反応性染料、高分子染料等や油溶性染料等の染料類、染料で着色したワックス粉・樹脂粉類やエマルション類、蛍光染料や蛍光顔料、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、フェライトやマグネタイトに代表される強磁性体等の磁性体類、酸化チタン、酸化亜鉛に代表される半導体や光触媒類、その他有機、無機の電子材料粒子類などが挙げられる。
【0136】
記録材の含有量(濃度)は、例えばインクに対して5乃至30質量%の範囲が挙げられる。
記録材の体積平均粒径は、例えば10nm以上1000nm以下の範囲が挙げられる。
【0137】
記録材の体積平均粒径とは、記録材そのものの粒径、又は記録材に分散剤等の添加物が付着している場合には、添加物が付着した粒径をいう。体積平均粒径の測定装置には、マイクロトラックUPA粒度分析計9340(Leeds&Northrup社製)を用いた。その測定は、インク4mlを測定セルに入れ、測定した。なお、測定時の入力値として、粘度にはインクの粘度を、分散粒子の密度は記録材の密度とした。
【0138】
次に水性溶媒について説明する。水性溶媒としては、水が挙げられ、特にイオン交換水、超純水、蒸留水、限外濾過水を使用することがよい。また、水性溶媒と共に、水溶性有機溶媒を用いてもよい。水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が使用される。
【0139】
水溶性有機溶媒の具体例としては、多価アルコール類では、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2−へキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、キシリトールなどの糖アルコール類、キシロース、グルコース、ガラクトースなどの糖類等が挙げられる。
【0140】
多価アルコール類誘導体としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0141】
含窒素溶媒としては、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等が、アルコール類としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類が挙げられる。
含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
水溶性有機溶媒としては、その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等も用いられる。
【0142】
水溶性有機溶媒は、少なくとも1種類以上使用してもよい。水溶性有機溶媒の含有量としては、例えば1質量%以上70質量%以下の範囲が挙げられる。
【0143】
次に、油性溶媒について説明する。油性溶媒としては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、グリコール類、含窒素溶媒、植物油等の有機溶媒が使用される。脂肪族炭化水素の例として、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルヘキサン、n−オクタン、メチルヘプタン、ジメチルヘキサン、ノナン、デカン等が挙げられ、アイソパーなどのn−パラフィン系溶剤、iso−パラフィン系溶剤、シクロパラフィン系溶剤などのパラフィン系溶剤でも構わない。また、芳香族炭化水素としては、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等が挙げられる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、ヘキサノン、ヘプタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル等が挙げられる。エーテル類としては、ジエチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルイソプロピルエータル等が挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。その他、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル等のグリコール誘導体を溶媒として用いても良い。植物油としては、乾性油、半乾性油、不乾性油などが挙げられる。乾性油としては、荏の油、アマニ油、桐油、ケシ油、くるみ油、紅花油、ひまわり油などが挙げられ、半乾性油としては菜種油、不乾性油としては、ヤシ油が挙げられる。上記溶媒は単独もしくは二種以上併用しても良い。
【0144】
次に、その他の添加剤について説明する。インクには、その他、必要に応じて、界面活性材が添加される。
【0145】
これら界面活性剤の種類としては、各種のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、好ましくは、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が用いられる。
【0146】
以下、界面活性剤の具体例を列挙する。
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が使用でき、好ましくは、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩等が用いられる。
【0147】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキルアルカノールアミド、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、アセチレングリコール、アセチレングリコールのポリオキシエチレン付加物等が挙げられ、好ましくは、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、アセチレングリコール、アセチレングリコールのポリオキシエチレン付加物が用いられる。
【0148】
その他、ポリシロキサンオキシエチレン付加物等のシリコーン系界面活性剤や、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル等のフッ素系界面活性剤、スピクリスポール酸やラムノリピド、リゾレシチン等のバイオサーファクタント等も使用される。
【0149】
これらの界面活性剤は単独で使用しても混合して使用してもよい。また界面活性剤の親水基/疎水基バランス(HLB)は、溶解性等を考慮すると例えば3以上20以下の範囲が挙げられる。
【0150】
これらの界面活性剤の添加量は、例えば0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上3質量%質量%以下の範囲がより好ましい。
【0151】
また、インクには、その他、浸透性を調整する目的で浸透剤、インク吐出性改善等の特性制御を目的でポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等や、導電率、pHを調整するために水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属類の化合物等、その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、及びキレート化剤等も添加される。
【0152】
次に、インクの好適な特性について説明する。まず、インクの表面張力は、例えば20mN/m以上45mN/m以下の範囲が挙げられる。
【0153】
ここで、表面張力としては、ウイルヘルミー型表面張力計(協和界面科学株式会社製)を用い、23℃、55%RHの環境において測定した値を採用した。
【0154】
インクの粘度は、1.5mPa・s以上30mPa・s以下、好ましくは1.5mPa・s以上20mPa・s以下の範囲が挙げられる。ヘッド吐出性の観点からは、インクの粘度は20mPa・s以下が好ましい。また、インクの粘度は、上記硬化性溶液の粘度に比べ低いことがよい。
【0155】
ここで、粘度としては、レオマット115(Contraves製)を測定装置として用いて、測定温度は23℃、せん断速度は1400s−1の条件で測定した値を採用した。
【0156】
なお、インクは、上記構成に限定されるものではない。記録材以外に、例えば、液晶材料、電子材料など機能性材料を含むものであってもよい。
【0157】
以上、本実施形態に係る記録装置の第一実施形態について説明したが、本実施形態に係る記録装置の第二実施形態は、既述の硬化性溶液層が形成された中間転写媒体を用い、硬化性溶液層形成手段を備えていないこと以外、本実施形態に係る記録装置の第一実施形態と同様である。
本実施形態に係る記録装置(第一実施形態及び第二実施形態)により、記録媒体への優れた転写効率を有し、更にエッジ拡がり、画像埋まり、にじみがそれぞれ抑制された画像が得られる
【実施例】
【0158】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本実施形態を制限するものではない。尚、以下の実施例において特にことわらない限り、「部」は「質量部」を示す。
【0159】
<実施例1>
厚さ83μmのポリイミドシームレスベルト(日東電工製 遠心成形半導電ベルト)に、ダイコーターを用いて、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を塗布(厚み33μm)し、中間転写体とした。
【0160】
シリコーン変性2官能アクリレートUVモノマーUV3500(BYK社製、HLB=11):10部、希釈剤としてジエトキシトリメチロールプロタン(東亞合成製、sp値=9.1、TMPと記載する場合がある。):33部、及びM313(東亞合成製イソシアヌレートウレタントリアクリレート):20部を混合溶解しておき、これに吸液成分としてアクアリックCS7s(日本触媒)架橋スルホン酸変性ポリアクリル酸ナトリウムを中心粒径2.8μmにボールミル粉砕し分球したものを35部添加した。また界面活性剤として表1に示すA(シリコーン樹脂界面活性剤、HLB=16)を2部添加して混合し、混合液を調製した。該混合液はブレードコーターで塗布ギャップ=20μmにて、中間転写体上に塗工して、膜厚15μmの中間転写媒体1を作製した。尚、表1に示す界面活性剤であるA〜Eは表1の上部に記載の構造であり、表1に記載の物性を有する。また、表1に示す構造式において、Rは直鎖状アルキル鎖、R’は末端アクリル基を有する反応性アルキル基で1官能以上、3官能以下のノニオン性界面活性剤を示す。
【0161】
【表1】

【0162】
中間転写媒体1を、図1で溶液供給装置12を有していない構成の記録装置に、中間転写ベルト10として装着し、中間転写媒体1(他の紫外線硬化性溶液層)上に、インクジェットヘッドにより、ベタ&2dotライン画像を印字(解像度1200×1200dpi、ドロップサイズ2pL)し、熱圧力(40℃、0.5MPa/cm)により用紙(OK金藤トップコート紙)へ転写仮画像を形成した。更に得られた画像に160Wハロゲンランプにて1秒間紫外線照射し、硬化することにより、画像を形成し、以下の評価を実施した。その結果を中間転写媒体1の水に対する接触角と共に表2に示す。
【0163】
(評価)
[表面光沢]
得られた画像の表面光沢(G75°)を、村上色彩研究所製のデジタルグロスメーター(GM26D(入射角75°))を用いて測定した。その結果を表2に示す。
【0164】
[十点平均表面粗さ]
得られた画像の十点平均表面粗さ(Rz)を、触針式表面粗さ計を用いて測定した。その結果を表2に示す。
【0165】
[転写効率]
用紙へ転写された画像の重量を、中間転写媒体1上に印字された画像の重量で割って、100を掛けることにより、転写効率を求めた。その結果を表2に示す。尚、中間転写媒体1を装着した実施例1では、転写効率も95%と高く、残留物は容易にブレードで掻き取れた。
【0166】
[にじみ]
得られた画像の端部のにじみの有無を目視で確認し、以下の基準で評価した。その結果を概要と共に表2に示す。○:にじみ又ははみ出しが無い。△:僅かなにじみ又ははみ出しの少なくとも一方が有る。×:はっきりとしたにじみ又ははみ出しが有る。
【0167】
[印字ムラ]
得られた画像のパッチベタ部の印字ムラの有無を目視で確認し、以下の基準で評価した。その結果を概要と共に表2に示す。○:印字ムラ無し、△:僅かな印字ムラ有り、×:はっきりとした印字ムラ有り。
【0168】
<実施例2>
実施例1において、シリコーン変性2官能アクリレートUVモノマーUV3500(BYK社製、HLB=11):10部を、シリコーン変性アクリル樹脂混合液にTEGO2200N(デグサ製エチレンオキサイド・ポロピレンオキサイド変性側鎖3官能アクリルモノマー):5部に変更し、アクアリックCS7sの使用量を40部に変更し、界面活性剤を表1に示すB(シリコーン樹脂界面活性剤、HLB=12)に変更したこと以外、実施例1と同様にして混合液を調製し、該混合液を用い、塗布ギャップ=7μmにて中間転写体上に塗工して、膜厚15μmの中間転写媒体2を作製し、実施例1と同様に評価した。その結果を表2に示す。
【0169】
<実施例3>
実施例1において、シリコーン変性2官能アクリレートUVモノマーUV3500(BYK社製、HLB=11):10部、シリコーン変性アクリル樹脂混合液にTEGO2200N(デグサ製エチレンオキサイド・ポロピレンオキサイド変性側鎖3官能アクリルモノマー):10部に変更し、TMP:33部及びM313:20部を、HDDA(1,6ヘキサンジオールジアクリレート):40部、TMP:20部に変更し、更に界面活性剤を表1に示すC(シリコーン樹脂界面活性剤、HLB=10)に変更したこと以外、実施例1と同様にして混合液を調製し、該混合液を用い、塗布ギャップ=7μmにて中間転写体上に塗工して、膜厚13μmの中間転写媒体3を作製し、実施例1と同様に評価した。その結果を表2に示す。
【0170】
<比較例1>
実施例1において、シリコーン変性2官能アクリレートUVモノマーUV3500(BYK社製、HLB=11):10部、シリコーン変性アクリル樹脂混合液にTEGO2200N(デグサ製エチレンオキサイド・ポロピレンオキサイド変性側鎖3官能アクリルモノマー):10部に変更し、TMP:33部及びM313:20部を、HDDA(1,6ヘキサンジオールジアクリレート):40部、TMP:20部に変更し、更に界面活性剤を表1に示すD(シリコーン樹脂界面活性剤、HLB=7)に変更したこと以外、実施例1と同様にして混合液を調製し、該混合液を用い、塗布ギャップ=7μmにて中間転写体上に塗工して、膜厚23μmの中間転写媒体4を作製し、実施例1と同様に評価した。その結果を表2に示す。
【0171】
<比較例2>
実施例1において、シリコーン変性2官能アクリレートUVモノマーUV3500(BYK社製、HLB=11):10部、シリコーン変性アクリル樹脂混合液にTEGO2200N(デグサ製エチレンオキサイド・ポロピレンオキサイド変性側鎖3官能アクリルモノマー):10部に変更し、TMP:33部及びM313:20部を、HDDA(1,6ヘキサンジオールジアクリレート):40部、TMP:20部に変更し、更に界面活性剤を表1に示すE(シリコーン樹脂界面活性剤、HLB=5)に変更したこと以外、実施例1と同様にして混合液を調製し、該混合液を用い、塗布ギャップ=7μmにて中間転写体上に塗工して、膜厚23μmの中間転写媒体5を作製し、実施例1と同様に評価した。その結果を表2に示す。
【0172】
【表2】

【符号の説明】
【0173】
10 中間転写ベルト(中間転写体)
12 溶液供給装置
12A 硬化性溶液
12B 硬化性溶液層
14 インクジェット記録ヘッド(付与手段)
14A インク滴
16 転写装置(転写手段)
18 紫外線照射装置
26 中間転写ドラム(中間転写体)
101 記録装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間転写体と、
前記中間転写体上に形成され、吸液成分、及び紫外線を照射することにより硬化する硬化材料を含み、更に親水基/疎水基バランスが8以上18以下の紫外線硬化樹脂、及び親水基/疎水基バランスが8以上18以下の界面活性剤から選択される少なくとも何れかを含む硬化性溶液層と、
前記中間転写体上に形成された前記硬化性溶液層に、インク滴を付与するインク付与手段と、
前記インク滴が付与された前記硬化性溶液層を記録媒体に接触させた後に、前記硬化性溶液層硬化性溶液層を前記中間転写体から剥離することにより、前記中間転写媒体から前記記録媒体に前記硬化性溶液層を転写する転写手段と、
前記硬化性溶液層硬化性溶液層が転写された記録媒体に、紫外線を照射する紫外線照射手段と、
を有することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記硬化性溶液層を構成する各成分を混合した混合液を中間転写体上に塗布することにより、該硬化性溶液層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
中間転写体と、
前記中間転写体上に、吸液成分、及び紫外線を照射することにより硬化する硬化材料を含み、更に親水基/疎水基バランスが8以上18以下の紫外線硬化樹脂、及び親水基/疎水基バランスが8以上18以下の界面活性剤から選択される少なくとも何れかを含む記録材料を供給して、硬化性溶液層を形成する硬化性溶液層形成手段と、
前記中間転写体上に形成された前記硬化性溶液層に、インク滴を付与するインク付与手段と、
前記インク滴が付与された前記硬化性溶液層を記録媒体に接触させた後に、前記硬化性溶液層硬化性溶液層を前記中間転写体から剥離することにより、前記中間転写媒体から前記記録媒体に前記硬化性溶液層を転写する転写手段と、
前記硬化性溶液層硬化性溶液層が転写された記録媒体に、紫外線を照射する紫外線照射手段と、
を有することを特徴とする記録装置。
【請求項4】
吸液成分、及び紫外線を照射することにより硬化する硬化材料を含み、更に親水基/疎水基バランスが8以上18以下の紫外線硬化樹脂、及び親水基/疎水基バランスが8以上18以下の界面活性剤から選択される少なくとも何れかを含むことを特徴とする記録材料。
【請求項5】
前記紫外線硬化樹脂がシリコーン系紫外線硬化性樹脂であり、前記界面活性剤がシリコーン系界面活性剤であることを特徴とする請求項4に記載の記録材料。
【請求項6】
前記シリコーン系紫外線硬化性樹脂以外の紫外線硬化樹脂を含むことを特徴とする請求項5に記載の記録材料。
【請求項7】
前記硬化材料100質量部に対する前記吸液成分の含有量が、10質量部以上100質量部以下であり、前記硬化材料100質量部に対する前記紫外線硬化樹脂及び前記界面活性剤の合計含有量が、0.01質量部以上30質量部以下であることを特徴とする請求項4〜請求項6の何れか1項に記載の記録材料。
【請求項8】
紫外線硬化型ウレタンアクリル樹脂を少なくとも含むことを特徴と請求項4〜請求項7の何れか1項に記載の記録材料。
【請求項9】
前記紫外線硬化樹脂及び前記界面活性剤の25℃における粘度が、10mPas以上2000mPas以下であることを特徴とする請求項4〜請求項8の何れか1項に記載の記録材料。
【請求項10】
側鎖型エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド変性のジメチルシロキサン界面活性剤を0.1質量%以上30質量%以下と、多官能アクリルウレタンオリゴマー誘導体を5質量%以上30質量%以下と、溶解性パラメーターが10以下のエチレンオキサイド変性又はプロピレンオキサイド変性のアクリルモノマーを10質量%以上50質量%以下とを、それぞれ含むことを特徴とする請求項4〜請求項9の何れか1項に記載の記録材料。
【請求項11】
前記溶解性パラメーターが10以下のエチレンオキサイド変性又はプロピレンオキサイド変性のアクリルモノマーが、ポリプロピレングリコール又はポリエチレングリコール成分の何れかを含むポリエーテル変性多官能アクリルモノマーであることを特徴とする請求項10に記載の記録材料。
【請求項12】
前記側鎖型エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド変性のジメチルシロキサン界面活性剤が、ポリプロピレングリコール変性又はポリエチレングリコールポリエーテル変性のアクリル、及び、ポリアルキレン変性アクリルから選ばれる何れかを側鎖又は主鎖に含むジメチルシロキサン成分であることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の記録材料。
【請求項13】
前記紫外線硬化型ウレタンアクリル樹脂が、ポリエーテル、アルキル基、フェニル基、シアヌール酸誘導体から選択されるウレタン誘導体を1種以上含む、単官能又は2つ以上の多官能アクリルウレタン樹脂であることを特徴とする請求項8〜請求項12の何れか1項に記載の記録材料。

【図1】
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【公開番号】特開2010−228193(P2010−228193A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76482(P2009−76482)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】