説明

記録装置

【課題】待機時も含め、電源容量を効率良く使用するための記録装置を提供すること。
【解決手段】AC電源で動作する記録装置であって、AC電源から所定のDC電圧を生成するDC電圧生成手段と、生成されたDC電圧によって充電する充電手段と、前記充電手段において充電される二次電池と、放電手段を備え、又、前記二次電池は複数備えており、前記充電手段は、前述の記録装置の非印字時に充電するよう構成し、更に、前記充電手段は、前述の記録装置の非印字時に複数ある二次電池を1つずつ充電するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AC/DC電源と二次電池を搭載した記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の被記録媒体に対して記録を行うインクジェット記録装置は、高密度且つ高速な記録動作が可能であることから、各種装置の出力媒体としてのプリンタ、或いはポータブルプリンタ等として応用され、且つ、商品化されている。
【0003】
一般に、インクジェット記録装置は、記録手段(記録ヘッド)及びインクタンクを搭載するキャリッジと、被記録媒体を搬送する搬送手段と、これらを制御するための制御手段とを具備する。そして、複数の吐出口からインク滴を吐出させる記録ヘッドを記録紙の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)にシリアルスキャンさせるとともに、一方で、非記録時に被記録媒体を記録幅に等しい量で間欠搬送するものである。
【0004】
この記録方法は、記録信号に応じてインクを記録用紙上に吐出させて記録を行うものであり、ランニングコストが安く、静かな記録方式として広く用いられている。又、近年では、複数色のインクを用い、カラー記録装置に応用した製品も数多く実用化されている。
又、近年のPCの高速化により、カラー画像を容易に扱うことが可能となり、画像記録においても、大容量のデータを処理することが望まれている。
【0005】
シリアルインクジェットプリンタにおける記録動作の高速化はインク吐出周波数の高速化や記録ノズル数の増加によって実現可能である。又、記録画像の高精細化は記録ノズルを高密度に配置することによって可能となるため、記録ヘッドが長尺化する傾向にある。
【0006】
こうした、記録ヘッドの長尺化に伴う問題点として、電源容量の増大、形状の大型化、コストアップ等の問題が生じる。
【0007】
これらを解決する方法として、印字されるデータの数をカウントし、カウント値に基づいて、記録内容を複数に分割して印字する等の方法がある(特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】特許第3376118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来例でも解決できるのは印字動作時の平均化に過ぎず、実際は、待機時と印字動作時における電力差も大きい。
【0010】
又、電源容量を削り過ぎると分割印字になる割合も増えることや、分割印字を行うことで、スループットが下がってしまう問題もあった。
【0011】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、待機時も含め、電源容量を効率良く使用するための記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を達成するため、本発明の記録装置は以下の構成を備える。
【0013】
即ち、商用電源からDC電源を生成するAC/DC電源を内蔵する記録装置において、記録ヘッドを駆動させる電力ラインに充放電回路付きの複数の充電池を備え、待機時には、複数の充電池を1つずつ充電する手段と、印字動作時には印字濃度とそのエリアをドットカウント値より算出する手段と、その算出したドットカウント値から負荷レベルを判断し、負荷に応じて複数の充電池から選択し放電する手段により構成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、記録装置で必要とする電流値の小さい待機時に内蔵する充電池を1つずつ充電し、一方、プリンタの印字動作時には待機時に比べ大きな電流値を必要とするため、充電池への充電を休止し、且つ、印字濃度が高く、電源にとって高負荷のときには、負荷に応じて複数の充電池から幾つかを選択し、放電することで、電源の不足分を補うことができる。このため、待機時も含めた電力の平均化を図ることができ、一瞬の高負荷のために普段使用しない大容量の電源搭載を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の記録装置に係る実施の形態を説明する。
(1)記録装置の説明
図4は、本発明を適応可能なカラーインクジェット記録装置の一実施形態の構成を示す概略斜視図である。
【0016】
図4において、202はインクカートリッジである。これらは、4色のカラーインク(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)がそれぞれ入れられたインクタンクと、記録ヘッド(201)から構成されている。103は紙送りローラで、104の補助ローラとともに印字紙(107)を抑えながら図中の矢印方向に回転し、印字紙(107)の給紙を行うとともに、103、104同様に印字紙(107)を抑える役割も果たしている。
【0017】
106はキャリッジであり、4つのインクカートリッジを支持し、搭載するインクカートリッジ(202)及び記録ヘッド(201)を印字とともに移動させる。このキャリッジ(106)は、記録装置が印字を行っていないとき、或いは記録ヘッドの回復動作を行うときには、図の点線で示したホームポジション位置に待機するように制御される。
【0018】
印字開始前、図の位置(ホームポジション)に位置するキャリッジ(106)は、印字開始命令が来ると、x方向に移動しながら記録ヘッド(201)に設けられた記録素子を駆動して、紙面上に記録ヘッドの記録幅に対応した領域の印字を行う。キャリッジの走査方向に沿って紙面端部まで印字が終了すると、キャリッジは元のホームポジションに戻り、再びx方向への記録を行う。
【0019】
前回の記録走査が終了してから、続く記録走査が始まる前に紙送りローラ(103)が図に示した矢印方向へ回転して、必要な幅だけy方向への紙送りが行われる。このように、印字のための主走査と紙送りとを繰り返すことにより、一紙面上への印字が完成する。記録ヘッドからインクを吐出する記録動作は、記録制御手段(不図示)からの制御に基づいて行われる。
【0020】
又、記録速度を高めるため、一方向への主走査時のみ記録を行うのではなく、x方向への主走査の記録が終わり、キャリッジをホームポジション側へ戻す際の復路においても記録を行う構成であっても良い。
【0021】
又、以上説明した例では、インクタンクと記録ヘッドとが分離可能にキャリッジ(106)に保持しているものである。記録用のインクを収容するインクタンク(202)と記録紙(107)に向けてインクを吐出する記録ヘッド(201)とが一体になったインクジェットカートリッジであっても良い。更に、1つの記録ヘッドから複数色のインクを吐出可能な複数色一体型記録ヘッドを用いても良い。
【0022】
又、前述の回復動作を行う位置には、ヘッドの前面(吐出口面)をキャップするキャッピング手段(不図示)や、キャッピング手段によるキャップ状態で記録ヘッド内の増粘インクや気泡を除去する等のヘッド回復動作を行う回復ユニット(不図示)が設けられている。又、キャッピング手段の側方には、クリーニングブレード(不図示)等が設けられ、記録ヘッド(201)に向けて突出可能に支持され、記録ヘッドの前面との当接が可能となっている。これにより、回復動作後に、クリーニングブレードを記録ヘッドの移動経路中に突出させ、記録ヘッドの移動に伴って、記録ヘッド前面の不要なインク滴や汚れ等の払拭が行われる。
(2)制御構成の説明
次に、装置構成の各部の記録制御を実行するための制御構成について、図5に示すブロック図を参照して説明する。
【0023】
制御回路を示す同図において、505は記録信号を入力するインターフェ−ス、501はCPU、502はCPU501が実行する制御プログラムを格納するプログラムROM、503は各種データ(上記記録信号やヘッドに供給される記録データ等)を保存しておくダイナミック型のRAM(DRAM)であり、印字ドット数や、インク記録ヘッドの交換回数等も記憶できる。504は記録ヘッドに対する記録データの供給制御を行うゲートアレイであり、インターフェース(505)、CPU(501)、DRAM(503)間のデータの転送制御も行う。506は記録ヘッドを搬送するためのキャリッジモータ(CRモータ)、507は記録用紙搬送のための搬送モータ(LFモータ)である。508,509は各々搬送モータ(507)、キャリッジモータ(506)を駆動するモータドライバである。201は記録ヘッドである。
(3)充放電回路の説明
図1を用いて、充放電回路について説明する。
【0024】
600は電源ユニットであり、AC電源からDC電圧を生成し、印刷装置内部に供給する。601はヘッドの駆動電圧Vh、602はロジック駆動電圧Vcc、603はモータの駆動電圧Vmである。604はメインボードであり、この中に前述の記録制御部(500)がある。
【0025】
記録制御部(500)には、605に印字データ生成部、606は印字duty算出部、607は充電残量と印字dutyを比較する比較器がある。
【0026】
608はキャリッジボードで、106のキャリッジに201記録ヘッドと共に搭載されている。609は充放電回路で、キャリッジボード(608)上にあり、613の二次電池をコントロールしている。610は選択式放電部であり、メインボードの記録制御部からくる負荷レベル信号により、二次電池(613)をいくつ放電させるかを制御している。611は電池充電レベル検知部で、二次電池(613)の充電残量を管理している。612は選択式充電部であり、記録制御部(500)から来る待機時情報を基に、印刷装置が待機時のときに二次電池(613)を順番に充電する。印字動作時には充電を休止する。
【0027】
614はコンデンサで、電源ユニット(600)から供給されるVh(601)と二次電池(613)の放電電圧を平滑する役目がある。
【0028】
201は記録ヘッドで、615のヘッド駆動回路とコンデンサ(614)から供給されるVh(601)により印字動作を行う。
(4)充放電シーケンスの説明
次に、図2及び図3を用いて二次電池の充放電のシーケンスについて説明する。
【0029】
図2は充放電回路(609)の充電シーケンスを示す図である。
【0030】
ステップS201で印刷装置が待機時であるか判断し、待機時の場合はステップS202で二次電池を順番に1つずつ充電する。ステップS203で全ての電池が充電終了したか判断し、終わってなければステップS201へ戻り、再び他の二次電池の充電を開始する。又、印字動作が始まった場合は、充電を休止する。
【0031】
図3を用い放電のシーケンスについて説明する。
【0032】
印字動作が始まると印字データを生成するときにステップS301で所定のエリアのドットをカウントする。ステップS302で前述のドットカウント値と電源供給容量のピーク値を比較する。ドットカウント値が電源容量を超えない場合は、ステップS303で通常印字を行う。又、越えてしまった場合は、ステップS304で電池残量と電源容量のオーバー分を比較する。電池容量が多かった場合は、ステップS305でその負荷レベルにより、放電電池数を決定し、ステップS306で電源容量プラス電池放電の電力供給により、通常の印字を行う。ステップS304で電池容量分が少ない場合には、ステップS307にて印字データを複数に分割した分割印字を行う。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の特徴を示した図である。
【図2】充電のフローチャート図である。
【図3】放電のフローチャート図である。
【図4】本発明を適応可能なインクジェット記録装置の構成を示す図である。
【図5】本発明を適応可能なインクジェット記録装置の制御ブロック図である。
【符号の説明】
【0034】
103 紙送りローラ
104 補助ローラ
106 キャリッジ
107 印字紙
201 記録ヘッド
202 インクカートリッジ
500 記録制御部
501 CPU
502 プログラムROM
503 DRAM
504 ゲートアレイ
505 インターフェース
506 キャリッジモータ(CRモータ)
507 搬送モータ(LFモータ)
508 モータドライバ
509 モータドライバ
600 電源ユニット
601 ヘッドの駆動電圧Vh
602 ロジック駆動電圧Vcc
603 モータの駆動電圧Vm
604 メインボード
605 印字データ生成部
606 印字duty算出部
607 比較器
608 キャリッジボード
609 充放電回路
610 選択式放電部
611 電池充電レベル検知部
612 選択式充電部
613 二次電池
614 コンデンサ
615 ヘッド駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
AC電源で動作する記録装置であって、AC電源から所定のDC電圧を生成するDC電圧生成手段と、生成されたDC電圧によって充電する充電手段と、前記充電手段において充電される二次電池と、放電手段を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記二次電池は複数備えることを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項3】
前記充電手段は、前述の記録装置の非印字時に充電することを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項4】
前記充電手段は、前述の記録装置の非印字時に複数ある二次電池を1つずつ充電することを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項5】
前記放電手段は、印字時に放電することを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項6】
前記放電手段は、印字時に、その負荷に応じて、複数ある二次電池から放電量を選択して放電することを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項7】
前記充電手段は、非印字時に充電し、印字時には、その充電を休止することを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項8】
前記充電手段は、非印字時に充電し、前記二次電池の満充電状態を判別し、そのときは、その二次電池への充電を止めることを特徴とする請求項1記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−192815(P2006−192815A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−8442(P2005−8442)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】