記録装置
【課題】 シリアルタイプの記録装置に搭載可能なインクジェット記録ヘッドが、主走査方向に大型化した際にも、記録装置本体の大型化を低減可能な構成のインクジェット記録ヘッドを提供することが本発明の目的である。
【解決手段】 本発明の記録装置に搭載されるインクジェット記録ヘッドは、主走査方向について、記録ヘッドの中心でもあるインク供給ユニットの中心から、配線基板に配置されたコンタクトパッド群の中心がずれて配置されており、さらに支持基板の中心がずれて配置されている構成である。
【解決手段】 本発明の記録装置に搭載されるインクジェット記録ヘッドは、主走査方向について、記録ヘッドの中心でもあるインク供給ユニットの中心から、配線基板に配置されたコンタクトパッド群の中心がずれて配置されており、さらに支持基板の中心がずれて配置されている構成である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクなどの液体を吐出して記録媒体に記録を行うための液体吐出ヘッドを用いた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録ヘッドなどの液体吐出ヘッドを用いた記録装置として、例液体吐出ヘッド(以下、記録ヘッド)を記録媒体に対して往復移動させて記録を行ういわゆるシリアルスキャンタイプのインクジェット記録装置(以下、記録装置)が知られている。
【0003】
一般的なシリアルスキャンタイプの記録装置の構成例について図10を用いて説明する。
【0004】
シリアルスキャンタイプの記録装置は、記録ヘッドの吐出口から記録媒体に向かってインクを吐出する動作と、記録ヘッドの往復移動方向である主走査方向と主走査方向と交差する副走査方向に記録媒体を搬送する動作とを繰り返して記録を行う。図10において主走査方向は矢印Aが示す方向で、副走査方向は矢印Bが示す方向である。
【0005】
記録装置は、記録ヘッドをキャリッジ4001に搭載し、主走査方向Aに往復移動させて記録動作を行う。いわゆるホームポジションである待機領域Cには、非記録時に、記録ヘッドの吐出口内部のインクの乾燥を防止するために吐出口を密閉するキャップ部材5000などが設けられている。また、吐出の信頼性確保のために行う回復処理機構なども設置されているため、記録装置にはそれらの設置領域が確保されている。
【0006】
次に記録ヘッドの具体的な構成について、特許文献1に記載されている記録ヘッドを例として、図11を用いて説明する。
【0007】
図11に示した記録ヘッドは、記録装置本体のキャリッジに対して着脱可能に搭載される、いわゆるカートリッジ方式を採ったものとなっている。
【0008】
記録ヘッドは、記録素子基板48と、記録素子基板が配される支持基板47と、記録素子基板に電気信号を伝達する配線テープ43、本体との電気接続をなすためのコンタクトパッド42aが配置された配線基板42を備えた記録素子ユニット41を有している。
【0009】
この記録ヘッドは、インクタンク(不図示)として、例えば、ブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローの4つが各色独立のインクタンクを備えるように構成されている。これらのインクタンクは、それぞれがインク供給ユニット40に対して独立して着脱自在となるように装着されている。
【0010】
記録ヘッドが記録装置に装着される際に、配線基板42に配置されたコンタクトパッド42aと本体キャリッジに搭載されているコンタクトピンとが当接することにより、記録装置と記録ヘッドとの電気的接続がなされる。その際、配線基板42はキャリッジに搭載されているコンタクトピンから反力を受ける。よって、インク供給ユニット40の変形や、キャリッジ搭載時に当接させる際の各突き当て基準に対する精度の低下を抑制するために、配線基板に配置されたコンタクトパッドはキャリッジの移動方向について、インク供給ユニットの中心部に取り付けられている。
【0011】
また、キャリッジの移動方向における記録素子ユニット41の中心(支持基板47の中心)は、インク供給ユニット40の中心とは、ずれた位置に設けられている。なお、記録素子ユニット41とキャップ部材5000とは対応した位置に設けられており、記録素子ユニット41に対してキャップ部材5000が当接して、吐出口を密閉する構成となっている。
【0012】
そのため、配線テープ43と配線基板42との電気接続部は、インク供給ユニット40の中心でもある配線基板42の中心からずれた部位に取り付けられる。このようにして、配線テープの配線抵抗が大きくなり過ぎないように、さらには取り個数が減らないように、配線テープの形状は、配線基板42と記録素子基板との間を最短距離でつなげるような長方形の形状となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2002−019146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
近年では、より良い画質を得るためにインクの多色化によるインクタンクの数の増加や、インクタンクの交換頻度を少なくするのためなどの理由で、1つのインクタンクの容量が大容量化している。また、インクタンクの容量が同じでも、インクタンクの高さを低くし、横幅を大きくすることで記録装置を高さ方向に小型化する試みもなされている。
【0015】
したがってインクタンクを搭載するインク供給ユニットは、図11や図12(a)に示す従来の構成に比べて、図12(b)に示すように主走査方向(図10、図12のA方向)に大型化する傾向にある。
【0016】
このようにインク供給ユニットが大型化、すなわち記録ヘッドが大型化すると、図12(b)に示すように、記録装置本体の待機領域Cが設けられていない側の領域を大きくしなければならず、記録装置の大型化を招いてしまう。
【0017】
そこで、記録装置の大型化を招かないために、図12(c)に示すように、記録装置の待機領域Cのうち、キャップ部材5000の位置は変えずに、キャップ部材にあわせて支持基板47の中心をインク供給ユニットの中心からずらす構成が考えられる。
【0018】
図11で説明したように、配線テープ43と配線基板42との電気接続部の中心を、配線基板の中心からずれた位置に配置することで、インク供給ユニットの中心からずれた位置に、支持基板47の中心が配置される構成が記載されている。
【0019】
しかしながら、図11の構成では、インク供給ユニット40の中心と支持基板47の中心とのずれ量は、インク供給ユニット40の中心と配線テープ43と配線基板42との電気接続部の中心とのずれ量に依存する。よって、図12(c)に示すように、一定以上にインク供給ユニットの中心と支持基板との中心とのずれ量を大きくすることができないため、記録装置の大型化を招いてしまう。
【0020】
そこで、本発明の目的は、記録ヘッドがキャリッジの移動方向に大型化した際にも、インク供給ユニットの中心と支持基板との中心とのずれ量を大きくすることが可能な記録ヘッドを提供し、記録装置の大型化を低減可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の記録装置は、筐体と、前記記録装置と電気接続が可能な複数の接続端子で構成され、前記筐体の一面に設けられている接続端子群と、前記接続端子を介して前記記録装置から伝達される信号に応じて前記吐出口から液体を吐出する液体吐出基板と、前記液体吐出基板を支持し前記筐体の別の一面に設けられている支持基板と、を備える前記液体吐出ヘッドと、
前記記録装置の一端側に設けられ、記録動作時以外に前記液体吐出ヘッドを待機させるための待機領域と、
前記液体吐出ヘッドと電気接続が可能な接続端子を備えており、前記液体吐出ヘッドを搭載して前記待機領域と前記記録装置の他端とを往復移動するキャリッジと、を備え、
前記液体吐出ヘッドが前記待機領域から前記記録装置の他端に移動する方向について、前記筐体の中心からずれた位置に前記接続端子群の中心が配置されており、さらにずれた位置に前記支持基板の中心が配置されており、
前記待機領域の中心から前記移動する方向にずれた位置に、前記吐出口を覆うためのキャップ部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の構成によれば、液体吐出ヘッドの移動方向について、液体供給部材の中心と支持基板の中心とのずれ量が従来に比べて大きい液体吐出ヘッドを提供することができる。また、それにより、液体吐出ヘッドの待機領域を有効に活用可能となり、記録装置の大型化を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一例であるインクジェット記録ヘッドの説明図である。
【図2】図1のインクジェット記録ヘッドの分解斜視図である。
【図3】図1のインクジェット記録ヘッドにおける各要素の説明図である。
【図4】本発明の一例である実施形態1の説明図である。
【図5】本発明の一例である実施形態2の説明図である。
【図6】本発明の一例である実施形態3の説明図である。
【図7】本発明の一例である実施形態4の説明図である。
【図8】本発明のインクジェット記録ヘッドを搭載可能な記録装置の説明図である。
【図9】本発明を適用したインクジェット記録ヘッドと比較例のインクジェット記録ヘッドを記録装置に搭載した際の模式図である。
【図10】従来の記録装置の説明図である。
【図11】従来のインクジェット記録ヘッドの外観斜視図である。
【図12】本発明の課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0025】
なお、本明細書において「記録」とは、文字や図形など有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わない。さらに、広く記録媒体上に画像、模様、パターンなどを形成する場合、または媒体の加工を行う場合をも包含する。
【0026】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、布、プラスチックフィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革などのインクを受容可能な物をも含むものである。
【0027】
さらに、「インク」とは、上記「記録」の定義と同様に広く解釈されるべきであり、記録媒体に付与されることによって、画像、模様、パターンなどの形成または記録媒体の加工あるいはインクの処理に供され得る液体を含む。したがって、記録に関して用いることが可能なあらゆる液体を包含している。
【0028】
<液体吐出ヘッド>
本発明の記録装置に適用可能な液体吐出ヘッドの一例として、インクジェット記録ヘッドについて図1を用いて説明する。
【0029】
図1は、本発明の実施形態の一例であるインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッドとする)を示す図である。
【0030】
記録ヘッド1は、記録素子ユニット10と、インクタンク(不図示)から供給されるインクを記録素子ユニット10の記録素子基板11、12(図2参照)へ供給するための流路を有するインク供給ユニット20とで構成される。
【0031】
記録ヘッド1に対しては、顔料ブラック、染料ブラック、シアン、マゼンダ、イエロー、グレーの計6個のインクタンクが独立して着脱可能で、それぞれ個別に交換可能となっている。このような構成とすることにより、インクタンクを適宜交換して、インクを無駄無く使用できるので、インクジェット記録装置の印刷のランニングコストを低く抑えることができる。
【0032】
次に、記録ヘッド1に関して、それを構成しているそれぞれの構成要素について図2を参照してさらに詳しく説明する。
【0033】
記録ヘッド1は、記録装置から送られる電気信号に応じて記録素子を駆動させることにより、インクを貯留するインクタンク(不図示)から供給されるインクを記録素子基板に設けられた吐出口から吐出する。記録素子としては例えば、電気熱変換素子やピエゾ素子などが挙げられるが、ここでは電気熱変換素子を用いたものについて説明する。
【0034】
≪記録素子ユニット≫
記録素子ユニット10は、液体吐出基板としてのブラックインク用の第1の記録素子基板11とカラーインク用の第2の記録素子基板12と、該記録素子基板の支持基板としての第1のプレート14および第2のプレート13とを備える。記録素子ユニットはさらに、記録装置と記録ヘッドとの電気的接続を行うための接続端子としてのコンタクトパッド26を複数有する配線基板15と、配線基板と第1の記録素子基板および第2の記録素子基板とを電気的に接続する配線テープ16とを備える。図に示すように複数のコンタクトパッド26からなる接続端子群は記録ヘッド1の筐体の一面に設けられている。
【0035】
記録素子基板11、12は、インクに対して膜沸騰を生じさせるための熱エネルギーを生成する電気熱変換素子と、電気熱変換素子と対向するように配置されたインク吐出口110とを備える。記録素子基板において、記録装置からコンタクトパッド26を介して伝達される電気信号に応じて電気熱変換素子が駆動され、インク吐出口110からインクが吐出される。
【0036】
第1のプレート14は、例えば、厚さ0.5〜10mmのアルミナ材料で形成されている。第1のプレート14の素材は、アルミナに限られる事なく、記録素子基板11、12の材料の線膨張係数と同等のもの、もしくは記録素子基板11、12の材料と同等以上の熱伝導率を有する他の材料で作られてもよい。例えば、シリコン、窒化アルミニウム、ジルコニア、窒化珪素、炭化珪素、モリブデン、タングステンのうちいずれかであってもよい。第1のプレート14には、インク供給口として第1の記録素子基板11と第2の記録素子基板12にインクを供給するためのスリットが形成されている。また、両側部には、インク供給ユニット20との接続用のビス止め部が形成されている。
【0037】
第2のプレート13、例えば、厚さ0.5〜1mmの一枚の板状部材であり、アルミナ材料で形成されている。そして、第1のプレート14に接着固定された第1の記録素子基板11と第2の記録素子基板12とのそれぞれの外形寸法よりも大きな2つの開口部を有する形状となっている。第2のプレート13は第1のプレート14に接着剤により接着されている。これによって、配線テープ16を接着した際に、配線テープ16を第1の記録素子基板11および第2の記録素子基板12に接着面平面上で接触して電気接続できるようになっている。
【0038】
配線テープ16は、第1の記録素子基板11と第2の記録素子基板12に対してインクを吐出するための電気信号を伝達するための信号経路を形成するものである。配線テープ16は、それぞれの記録素子基板11、12に対応する2つの開口部が形成されている。この開口部の縁付近には、それぞれの記録素子基板11、12の電極部に接続される電極端子が形成されている。配線テープ16の端部には、複数のコンタクトパッド26を有する配線基板15と電気的接続を行うための電気接続部27が形成されており、電極端子と電気端子接続部は連続した銅箔の配線パターンでつながっている。
【0039】
配線テープ16は裏面で接着剤によって第2のプレート13の下面に接着固定され、さらに、第1のプレート14の一側面側に折り曲げられている。接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂を主成分とした厚さ10〜100μmの熱硬化接着剤が使用されている。
【0040】
配線テープ16と第1の記録素子基板11および第2の記録素子基板12との電気的な接続は、例えば、記録素子基板11、12の電極部と配線テープ16の電極端部とを熱超音波圧着法により電気接合させることにより行われている。そして、第1の記録素子基板11および第2の記録素子基板12と配線テープ16との電気接続部27は、第1の封止剤と第2の封止剤によって封止されており、これによって電気接続部がインクによる腐食や外的衝撃から保護されている。第1の封止剤は、主に配線テープの電極端子と記録素子基板11、12の電極部との接続部の裏側からの封止と記録素子基板11,12の外周部分の封止とに用いられており、第2の封止剤は、接続部の表側からの封止に用いられている。
【0041】
配線テープ16の電気接続部27と配線基板15との接続は、異方性導電フィルムなどを用いて熱圧着によりなされる。配線基板15には、位置決め用の端子位置決め穴と、固定用の端子結合穴とが形成されている。
【0042】
≪液体供給部材≫
図2に示すように、液体供給部材としてのインク供給ユニット20は、タンク保持部材23と、タンク保持部材の底面に取り付けられる流路形成部材22とで構成される。
【0043】
インクタンク(不図示)と連結するタンク保持部材23は、インクタンクから記録素子ユニット10にインクを導くためのものであり、例えば、樹脂成形により形成されている。タンク保持部材23には、インクタンクのインク供給口部分に当接する連結部が設けられている。ここには、外部からのゴミの進入を防ぐためのフィルタ24が溶着により接合されており、さらに、連結部からのインクの蒸発を防止するために、シールゴム25が装着されている。タンク保持部材23内には、連結部のインクタンクとの接触面から下面に延びるインク流路が形成されている。
【0044】
タンク保持部材23の底面には、記録素子ユニット10にインクを供給するインク導入口が開口された流路形成部材22が、インク導入口とタンク保持部材23のインク流路とが連通するように位置決めされ、超音波溶着により取り付けられている。
【0045】
また、記録素子ユニットとインク供給ユニットとは、第1のプレート14のインク供給口と、流路形成部材22のインク導入口とに対応する位置に穴が設けられたジョイントシール部材21を間に挟み込んで、圧接させて固定して2つのビスにより締結されている。ジョイントシール部材はゴムなどの圧縮永久ひずみが少ない弾性材料から作られており、これを記録素子ユニットとインク供給ユニットとの間に挟んで圧接させることで、インク供給口とインク導入口とをインクリークが発生しないように連通させることができる。
【0046】
次に、図3を参照して、本発明の各実施形態で共通の用語について定義する。
【0047】
図3(a)は、記録ヘッド1をコンタクトパッド26が設けられている側から見た図であり、図3(b)は、記録ヘッド1を記録素子基板が設けられている側から見た図である。
【0048】
図3(a)、(b)に示すように本明細書において、液体供給部材(インク供給ユニット20)の中心とは、x方向(第1の方向)については20aであり、z方向(第2の方向)については20bである。接続端子群(コンタクトパッド26群)の中心とは、x方向については26aであり、z方向については26bである。x方向について支持基板の中心とは、14aである。配線基板15の中心とは、x方向については15aであり、z方向については15bである。x方向について電気接続部27の中心とは、27aである。x方向について配線テープの中心とは、支持基板に配されている部分の幅の中心であり、16aである。なお、第1の方向であるx方向は、記録ヘッドが記録装置のキャリッジに搭載されて、記録動作が行われる際に、記録装置の一端側と他端側とをキャリッジが往復移動する主走査方向である。また、第2の方向であるz方向は、x方向に垂直であって、コンタクトパッドが設けられている面に平行な方向である。
【0049】
また、液体供給部材(インク供給ユニット20)のアスペクト比とは、液体供給部材の[x方向の幅/z方向の幅]である(図3(a))。この液体供給部材のアスペクト比が大きいほど、記録ヘッドはx方向に幅が大きくなり、この大きさは記録ヘッドに搭載されるインクタンクの大きさに依存する。
【0050】
また、接続端子群(コンタクトパッド26群)のアスペクト比とは、コンタクトパッド26が配置されている領域の[x方向の幅/z方向の幅]である(図3(a))。
【0051】
以下、本発明の特徴であるインク供給ユニットの中心と支持基板との中心とのずれ量を大きくすることが可能な構成について説明する。
【0052】
[実施形態]
(実施形態1)
本発明の一例である実施形態1について、図4を参照して詳細に説明する。図に示すように、複数のコンタクトパッド26からなる接続端子群が設けられる記録ヘッド1の筐体の一面は矩形状であり、その長辺が前記移動する方向(X方向)に沿っている。
【0053】
本実施形態の記録ヘッドにおけるインク供給ユニット20のアスペクト比は、約2.2(x方向の幅が約97mm、z方向の幅が約44mm)である。この値は、従来の記録ヘッドにおけるインク供給ユニットのアスペクト比(例えば、図11の記録ヘッドでは約0.9である)と比較すると大きい値であると言え、本発明の記録ヘッドは、x方向に横長の形状を有している。
【0054】
図4に示すように、x方向について、配線テープ16は配線基板15に対して可能な限り、支持基板の中心14aが設けられている側にずらして配置した。すなわち、配線基板の中心15aと電気接続部の中心27aとは、2.62mmずれて配置されている。図11で説明した従来例と同様に、このような構成にすることで、一定のずれ量を得ることが可能である。
【0055】
本実施形態においては、x方向についてコンタクトパッド群の中心26aをインク供給ユニットの中心20aから2.18mmずらして配置することにより、従来の構成に比べてx方向についてさらにずれ量を大きくした。このような構成とすることで、インク供給ユニットの中心20aと、支持基板との中心14aとを4.80mmとすることができた。
【0056】
記録ヘッドが記録装置のキャリッジに搭載されると、コンタクトパッド26は、キャリッジのコンタクトピンから荷重を受ける。よって、コンタクトパッド群の中心26aがインク供給ユニットの中心20aからずれると、記録ヘッドがキャリッジに搭載された際に、x方向について荷重バランスに影響を与えることが考えられる。
【0057】
しかしながら本発明においては、インク供給ユニットのアスペクト比が2以上と大きいため、コンタクトパッド群の中心26aを、インク供給ユニットの中心20aからずらしたとしても、x方向についての荷重バランスに与える影響を小さくすることができる。具体的には、インク供給ユニット20の変形の抑制や、記録装置のキャリッジに記録ヘッドを搭載する際に当接させる各突き当て基準に対する影響などを小さくすることができる。
【0058】
また、本実施形態においては、コンタクトパッド群のアスペクト比は、約3.5であり、インク供給ユニットのアスペクト比の約2.2よりも大きいため、コンタクトパッド群はx方向に幅広く配置されている。なお、コンタクトパッド群のx方向の幅が約36.5mm、z方向の幅が約10.5mmである。よって、インク供給ユニットの中心20aからのコンタクトパッド群の中心26aのずれが、x方向についての荷重バランスに与える影響をさらに小さくすることができ、x方向の荷重バランスを安定させることができる。
【0059】
また、図4に示すように、z方向についての配線基板の中心15bを、インク供給ユニットの中心20bよりも、支持基板が設けられている側に配置することで、配線テープ16のz方向の長さを短くすることができる。本実施形態においては、15bと20bとのずれ量を2.81mmとした。配線テープ16を短くすることで、配線抵抗の増大やコストの増大を抑制することができるという効果を奏する。また、z方向におけるコンタクトパッドの中心26bを配線基板の中心15bよりも支持基板が設けられている側とは反対側に配置することで、コンタクトパッドの中心とインク供給ユニットとが近づくため、z方向における荷重バランスを安定させることができる。本実施形態においては、26bと15bとのずれ量を3.87mmとし、20bと26bとのずれ量を1.06mmとした。
【0060】
以上、説明した構成とすることで、x方向に大型化した記録ヘッドについて、キャリッジ搭載時のx方向についての荷重バランスに与える影響を抑えつつ、x方向のインク供給ユニットの中心と支持基板の中心とのずれ量の大きい記録ヘッドを得ることができる。
【0061】
また、キャリッジ搭載時のz方向についての荷重バランスの安定した記録ヘッドを得ることができる。
【0062】
(実施形態2)
本発明の一例である実施形態2について、図5を参照して詳細に説明する。
【0063】
図5に示すように実施形態2においては、実施形態1に比べて、x方向について配線基板の中心15aをさらにずらして配置することにより、インク供給ユニットの中心20aと支持基板の中心14aとのずれ量を大きくした。本実施形態においては、20aと26aとのずれ量を0.81mm、26aと15aとのずれ量を2.82mm、15aと14a(16a、27a)とのずれ量を3.23mmとした。このような構成とすることで、インク供給ユニットの中心20aと、支持基板との中心14aとを6.86mmとすることができた。
【0064】
実施形態2は、26a−15a−14aにおいて、ずれ量を大きくすることができるため、実施形態1に比べて、20aと26aとのずれ量を小さくすることができる。したがって、20aと26aとのずれ量がx方向の荷重バランスに与える影響をより小さくすることができる。
【0065】
なお、実施形態2におけるインク供給ユニットのアスペクト比は、実施形態1と同様の構成のインク供給ユニットを用いており約2.2であり、コンタクトパッド群のアスペクト比は約3.2(x方向の幅が約34.0mm、z方向の幅が約10.5mm)である。
【0066】
実施形態2において、実施形態1と同様の構成については、実施形態1と同様の効果を奏する。
【0067】
(実施形態3)
本発明の一例である実施形態3について、図6を参照して詳細に説明する。
【0068】
図6に示すように実施形態3における構成は、実施形態1の構成に比べて、電気接続部の中心27aが、コンタクトパッド群の中心26aと配線基板の中心14aとの間に配置されている点で異なる。
【0069】
このように、支持基板の中心14a(配線テープの中心16a)と電気接続部の中心27aをずらして配置することにより、さらに、インク供給ユニットの中心20aと支持基板の中心16aとのずれ量を大きくした。本実施形態においては、20aと26a(15a)とのずれ量を2.00mm、26a(15a)と27aとのずれ量を1.70mm、27aと14a(16a、27a)とのずれ量を2.68mm、27a−14aとのずれ量を3.25mmとした。このような構成とすることで、インク供給ユニットの中心20aと、支持基板との中心14aとを7.05mmとすることができた。
【0070】
実施形態3は、27aと14aとでずれ量を大きくすることができるため、実施形態2に比べて、x方向における配線基板15の増大によるコストの上昇を抑制することができる。
【0071】
また、実施形態3は、実施形態1に比べてさらに20aと14aとのずれ量を大きくすることができる。
【0072】
また、実施形態3は、実施形態1の構成で実施形態3と同じずれ量とする場合には、14a(16a)と27aとの距離を、20aと26aとの距離よりも大きくすることができるため、20aと26aとのずれ量を小さくすることができる。よって、20aと26aとのずれ量がx方向の荷重バランスに与える影響をより小さくすることができる。
【0073】
実施形態3では、配線テープの中心16aと電気接続部の中心27aとをずらすことにより配線テープの形状が長方形の形状ではなくなるが、配線テープの形状が許す限り曲げることで、取り個数が減少することによるコストアップを抑制することができる。
【0074】
また、支持基板の中心14a(配線テープの中心16a)と電気接続部の中心27aとの距離を、インク供給ユニットの中心20aとコンタクトパッド群の中心26aとの距離よりも大きくすることで、20aと26aとのずれ量を小さくすることができる。
【0075】
なお、実施形態3におけるインク供給ユニットのアスペクト比は、実施形態1と同様の構成のインク供給ユニットを用いており約2.2であり、コンタクトパッド群のアスペクト比は実施形態1と同様の構成を用いており、約3.5である。実施形態3において、実施形態1または2と同様の構成については、実施形態1または2と同様の効果を奏する。
【0076】
(実施形態4)
本発明の一例である実施形態4について、図7を参照して詳細に説明する。
【0077】
図7に示すように実施形態4における構成は、インク供給ユニット20aの中心からコンタクトパッド群の中心26aおよび配線基板の中心15aをずらして配置し、さらに支持基板の中心14aからも電気接続部の中心27aをずらして配置した。本実施形態においては、20aと26aとのずれ量を1.12mm、26aと15aとのずれ量を2.12mm、15aと27aとのずれ量を2.68mm、27aと14aとのずれ量を3.24mmとした。このような構成とすることで、インク供給ユニットの中心20aと、支持基板との中心14aとを9.11mmとすることができた。
【0078】
このような構成とすることで実施形態4では、実施形態1から3の構成に比べてさらに20aと14aとのずれ量を大きくすることができる。 なお、実施形態4におけるインク供給ユニットのアスペクト比は、実施形態1と同様の構成のインク供給ユニットを用いており、約2.2であり、コンタクトパッド群のアスペクト比は実施形態2と同様の構成を用いており約3.2である。
【0079】
実施形態4において、実施形態1乃至3のいずれかと同様の構成については、実施形態1乃至3のいずれかと同様の効果を奏する。
【0080】
以上、本発明によれば、インク供給ユニットのアスペクト比が2以上であるため、キャリッジ搭載時のx方向の荷重バランスに与える影響を抑制しつつ、インク供給ユニットの中心と支持基板の中心とのずれ量の大きい記録ヘッドと得ることができる。
【0081】
また、コンタクトパッド群のアスペクト比が3以上であることにより、キャリッジ搭載時のz方向についての荷重バランスが安定した記録ヘッドを得ることができる。
【0082】
<記録装置>
本発明の液体吐出ヘッドを搭載可能な記録装置について、図8を参照して説明する。
【0083】
図8にインクジェット記録方式を用いた記録装置の概略構成を示し、記録装置の記録動作機構について説明する。
【0084】
記録装置IJRAは、不図示の記録媒体を装置本体内へと自動的に給送する自動給送部M3022と、記録位置から排出部M3030へと記録媒体を導く搬送部M3029とから構成されている。
【0085】
さらに記録装置IJRAは、キャリッジの往復移動方向、すなわち主走査方向の一端側に記録動作時以外に前記液体吐出ヘッドを待機させるための待機領域と、いわゆるホームポジションである待機領域32を備える。待機領域32には、非記録時に、記録ヘッドの吐出口内部のインクの乾燥を防止するために吐出口を密閉するキャップ部材M5000などが設けられている。ここで待機領域は記録ヘッド1の幅に対応した幅を有する。このキャップ部材M5000は、主走査方向について待機境域32の中心から記録装置IJRAの中心へ向かってずれた位置に設けられている。また、吐出の信頼性確保のために行う回復処理機構なども設置されているため、記録装置にはそれらの設置領域が確保されている。
【0086】
上述の記録部は、キャリッジ軸M4021によって移動可能に支持されたキャリッジM4001と、このキャリッジM4001に着脱可能に搭載される記録ヘッドとからなる。
【0087】
なお、記録ヘッドがキャリッジに搭載されて、ホームポジション(待機領域32)で待機している状態で、支持基板の中心と記録装置側のキャップ部材の中心とは対応した位置となるように、待機領域にキャップ部材は設けられている。このような位置にキャップ部材M5000を配置することで、記録素子ユニット41に対してキャップ部材M5000が当接して、吐出口を密閉する構成としている。
【0088】
このような記録装置IJRAに対して、本発明の記録ヘッドを搭載すると、図9(a)のようになる。図9(b)は図12(b)と、図9(c)は図12(c)と同様の構成であり、本発明に対する比較例として図示している。
【0089】
図9を見れば分かるように、本発明の記録ヘッドを記録装置に搭載すれば、たとえ記録ヘッドがA方向について大型化した場合でも記録装置のA方向における大型化を低減することが可能となる。
【符号の説明】
【0090】
1 インクジェット記録ヘッド
10 記録素子ユニット
11、12 記録素子基板
13、14 支持基板
14a x方向における支持基板の中心
15 配線基板
16 配線テープ
20 インク供給ユニット
20a x方向におけるインク供給ユニットの中心
26 コンタクトパッド
26a x方向におけるコンタクトパッド群の中心
32 待機領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクなどの液体を吐出して記録媒体に記録を行うための液体吐出ヘッドを用いた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録ヘッドなどの液体吐出ヘッドを用いた記録装置として、例液体吐出ヘッド(以下、記録ヘッド)を記録媒体に対して往復移動させて記録を行ういわゆるシリアルスキャンタイプのインクジェット記録装置(以下、記録装置)が知られている。
【0003】
一般的なシリアルスキャンタイプの記録装置の構成例について図10を用いて説明する。
【0004】
シリアルスキャンタイプの記録装置は、記録ヘッドの吐出口から記録媒体に向かってインクを吐出する動作と、記録ヘッドの往復移動方向である主走査方向と主走査方向と交差する副走査方向に記録媒体を搬送する動作とを繰り返して記録を行う。図10において主走査方向は矢印Aが示す方向で、副走査方向は矢印Bが示す方向である。
【0005】
記録装置は、記録ヘッドをキャリッジ4001に搭載し、主走査方向Aに往復移動させて記録動作を行う。いわゆるホームポジションである待機領域Cには、非記録時に、記録ヘッドの吐出口内部のインクの乾燥を防止するために吐出口を密閉するキャップ部材5000などが設けられている。また、吐出の信頼性確保のために行う回復処理機構なども設置されているため、記録装置にはそれらの設置領域が確保されている。
【0006】
次に記録ヘッドの具体的な構成について、特許文献1に記載されている記録ヘッドを例として、図11を用いて説明する。
【0007】
図11に示した記録ヘッドは、記録装置本体のキャリッジに対して着脱可能に搭載される、いわゆるカートリッジ方式を採ったものとなっている。
【0008】
記録ヘッドは、記録素子基板48と、記録素子基板が配される支持基板47と、記録素子基板に電気信号を伝達する配線テープ43、本体との電気接続をなすためのコンタクトパッド42aが配置された配線基板42を備えた記録素子ユニット41を有している。
【0009】
この記録ヘッドは、インクタンク(不図示)として、例えば、ブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローの4つが各色独立のインクタンクを備えるように構成されている。これらのインクタンクは、それぞれがインク供給ユニット40に対して独立して着脱自在となるように装着されている。
【0010】
記録ヘッドが記録装置に装着される際に、配線基板42に配置されたコンタクトパッド42aと本体キャリッジに搭載されているコンタクトピンとが当接することにより、記録装置と記録ヘッドとの電気的接続がなされる。その際、配線基板42はキャリッジに搭載されているコンタクトピンから反力を受ける。よって、インク供給ユニット40の変形や、キャリッジ搭載時に当接させる際の各突き当て基準に対する精度の低下を抑制するために、配線基板に配置されたコンタクトパッドはキャリッジの移動方向について、インク供給ユニットの中心部に取り付けられている。
【0011】
また、キャリッジの移動方向における記録素子ユニット41の中心(支持基板47の中心)は、インク供給ユニット40の中心とは、ずれた位置に設けられている。なお、記録素子ユニット41とキャップ部材5000とは対応した位置に設けられており、記録素子ユニット41に対してキャップ部材5000が当接して、吐出口を密閉する構成となっている。
【0012】
そのため、配線テープ43と配線基板42との電気接続部は、インク供給ユニット40の中心でもある配線基板42の中心からずれた部位に取り付けられる。このようにして、配線テープの配線抵抗が大きくなり過ぎないように、さらには取り個数が減らないように、配線テープの形状は、配線基板42と記録素子基板との間を最短距離でつなげるような長方形の形状となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2002−019146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
近年では、より良い画質を得るためにインクの多色化によるインクタンクの数の増加や、インクタンクの交換頻度を少なくするのためなどの理由で、1つのインクタンクの容量が大容量化している。また、インクタンクの容量が同じでも、インクタンクの高さを低くし、横幅を大きくすることで記録装置を高さ方向に小型化する試みもなされている。
【0015】
したがってインクタンクを搭載するインク供給ユニットは、図11や図12(a)に示す従来の構成に比べて、図12(b)に示すように主走査方向(図10、図12のA方向)に大型化する傾向にある。
【0016】
このようにインク供給ユニットが大型化、すなわち記録ヘッドが大型化すると、図12(b)に示すように、記録装置本体の待機領域Cが設けられていない側の領域を大きくしなければならず、記録装置の大型化を招いてしまう。
【0017】
そこで、記録装置の大型化を招かないために、図12(c)に示すように、記録装置の待機領域Cのうち、キャップ部材5000の位置は変えずに、キャップ部材にあわせて支持基板47の中心をインク供給ユニットの中心からずらす構成が考えられる。
【0018】
図11で説明したように、配線テープ43と配線基板42との電気接続部の中心を、配線基板の中心からずれた位置に配置することで、インク供給ユニットの中心からずれた位置に、支持基板47の中心が配置される構成が記載されている。
【0019】
しかしながら、図11の構成では、インク供給ユニット40の中心と支持基板47の中心とのずれ量は、インク供給ユニット40の中心と配線テープ43と配線基板42との電気接続部の中心とのずれ量に依存する。よって、図12(c)に示すように、一定以上にインク供給ユニットの中心と支持基板との中心とのずれ量を大きくすることができないため、記録装置の大型化を招いてしまう。
【0020】
そこで、本発明の目的は、記録ヘッドがキャリッジの移動方向に大型化した際にも、インク供給ユニットの中心と支持基板との中心とのずれ量を大きくすることが可能な記録ヘッドを提供し、記録装置の大型化を低減可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の記録装置は、筐体と、前記記録装置と電気接続が可能な複数の接続端子で構成され、前記筐体の一面に設けられている接続端子群と、前記接続端子を介して前記記録装置から伝達される信号に応じて前記吐出口から液体を吐出する液体吐出基板と、前記液体吐出基板を支持し前記筐体の別の一面に設けられている支持基板と、を備える前記液体吐出ヘッドと、
前記記録装置の一端側に設けられ、記録動作時以外に前記液体吐出ヘッドを待機させるための待機領域と、
前記液体吐出ヘッドと電気接続が可能な接続端子を備えており、前記液体吐出ヘッドを搭載して前記待機領域と前記記録装置の他端とを往復移動するキャリッジと、を備え、
前記液体吐出ヘッドが前記待機領域から前記記録装置の他端に移動する方向について、前記筐体の中心からずれた位置に前記接続端子群の中心が配置されており、さらにずれた位置に前記支持基板の中心が配置されており、
前記待機領域の中心から前記移動する方向にずれた位置に、前記吐出口を覆うためのキャップ部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の構成によれば、液体吐出ヘッドの移動方向について、液体供給部材の中心と支持基板の中心とのずれ量が従来に比べて大きい液体吐出ヘッドを提供することができる。また、それにより、液体吐出ヘッドの待機領域を有効に活用可能となり、記録装置の大型化を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一例であるインクジェット記録ヘッドの説明図である。
【図2】図1のインクジェット記録ヘッドの分解斜視図である。
【図3】図1のインクジェット記録ヘッドにおける各要素の説明図である。
【図4】本発明の一例である実施形態1の説明図である。
【図5】本発明の一例である実施形態2の説明図である。
【図6】本発明の一例である実施形態3の説明図である。
【図7】本発明の一例である実施形態4の説明図である。
【図8】本発明のインクジェット記録ヘッドを搭載可能な記録装置の説明図である。
【図9】本発明を適用したインクジェット記録ヘッドと比較例のインクジェット記録ヘッドを記録装置に搭載した際の模式図である。
【図10】従来の記録装置の説明図である。
【図11】従来のインクジェット記録ヘッドの外観斜視図である。
【図12】本発明の課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0025】
なお、本明細書において「記録」とは、文字や図形など有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わない。さらに、広く記録媒体上に画像、模様、パターンなどを形成する場合、または媒体の加工を行う場合をも包含する。
【0026】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、布、プラスチックフィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革などのインクを受容可能な物をも含むものである。
【0027】
さらに、「インク」とは、上記「記録」の定義と同様に広く解釈されるべきであり、記録媒体に付与されることによって、画像、模様、パターンなどの形成または記録媒体の加工あるいはインクの処理に供され得る液体を含む。したがって、記録に関して用いることが可能なあらゆる液体を包含している。
【0028】
<液体吐出ヘッド>
本発明の記録装置に適用可能な液体吐出ヘッドの一例として、インクジェット記録ヘッドについて図1を用いて説明する。
【0029】
図1は、本発明の実施形態の一例であるインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッドとする)を示す図である。
【0030】
記録ヘッド1は、記録素子ユニット10と、インクタンク(不図示)から供給されるインクを記録素子ユニット10の記録素子基板11、12(図2参照)へ供給するための流路を有するインク供給ユニット20とで構成される。
【0031】
記録ヘッド1に対しては、顔料ブラック、染料ブラック、シアン、マゼンダ、イエロー、グレーの計6個のインクタンクが独立して着脱可能で、それぞれ個別に交換可能となっている。このような構成とすることにより、インクタンクを適宜交換して、インクを無駄無く使用できるので、インクジェット記録装置の印刷のランニングコストを低く抑えることができる。
【0032】
次に、記録ヘッド1に関して、それを構成しているそれぞれの構成要素について図2を参照してさらに詳しく説明する。
【0033】
記録ヘッド1は、記録装置から送られる電気信号に応じて記録素子を駆動させることにより、インクを貯留するインクタンク(不図示)から供給されるインクを記録素子基板に設けられた吐出口から吐出する。記録素子としては例えば、電気熱変換素子やピエゾ素子などが挙げられるが、ここでは電気熱変換素子を用いたものについて説明する。
【0034】
≪記録素子ユニット≫
記録素子ユニット10は、液体吐出基板としてのブラックインク用の第1の記録素子基板11とカラーインク用の第2の記録素子基板12と、該記録素子基板の支持基板としての第1のプレート14および第2のプレート13とを備える。記録素子ユニットはさらに、記録装置と記録ヘッドとの電気的接続を行うための接続端子としてのコンタクトパッド26を複数有する配線基板15と、配線基板と第1の記録素子基板および第2の記録素子基板とを電気的に接続する配線テープ16とを備える。図に示すように複数のコンタクトパッド26からなる接続端子群は記録ヘッド1の筐体の一面に設けられている。
【0035】
記録素子基板11、12は、インクに対して膜沸騰を生じさせるための熱エネルギーを生成する電気熱変換素子と、電気熱変換素子と対向するように配置されたインク吐出口110とを備える。記録素子基板において、記録装置からコンタクトパッド26を介して伝達される電気信号に応じて電気熱変換素子が駆動され、インク吐出口110からインクが吐出される。
【0036】
第1のプレート14は、例えば、厚さ0.5〜10mmのアルミナ材料で形成されている。第1のプレート14の素材は、アルミナに限られる事なく、記録素子基板11、12の材料の線膨張係数と同等のもの、もしくは記録素子基板11、12の材料と同等以上の熱伝導率を有する他の材料で作られてもよい。例えば、シリコン、窒化アルミニウム、ジルコニア、窒化珪素、炭化珪素、モリブデン、タングステンのうちいずれかであってもよい。第1のプレート14には、インク供給口として第1の記録素子基板11と第2の記録素子基板12にインクを供給するためのスリットが形成されている。また、両側部には、インク供給ユニット20との接続用のビス止め部が形成されている。
【0037】
第2のプレート13、例えば、厚さ0.5〜1mmの一枚の板状部材であり、アルミナ材料で形成されている。そして、第1のプレート14に接着固定された第1の記録素子基板11と第2の記録素子基板12とのそれぞれの外形寸法よりも大きな2つの開口部を有する形状となっている。第2のプレート13は第1のプレート14に接着剤により接着されている。これによって、配線テープ16を接着した際に、配線テープ16を第1の記録素子基板11および第2の記録素子基板12に接着面平面上で接触して電気接続できるようになっている。
【0038】
配線テープ16は、第1の記録素子基板11と第2の記録素子基板12に対してインクを吐出するための電気信号を伝達するための信号経路を形成するものである。配線テープ16は、それぞれの記録素子基板11、12に対応する2つの開口部が形成されている。この開口部の縁付近には、それぞれの記録素子基板11、12の電極部に接続される電極端子が形成されている。配線テープ16の端部には、複数のコンタクトパッド26を有する配線基板15と電気的接続を行うための電気接続部27が形成されており、電極端子と電気端子接続部は連続した銅箔の配線パターンでつながっている。
【0039】
配線テープ16は裏面で接着剤によって第2のプレート13の下面に接着固定され、さらに、第1のプレート14の一側面側に折り曲げられている。接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂を主成分とした厚さ10〜100μmの熱硬化接着剤が使用されている。
【0040】
配線テープ16と第1の記録素子基板11および第2の記録素子基板12との電気的な接続は、例えば、記録素子基板11、12の電極部と配線テープ16の電極端部とを熱超音波圧着法により電気接合させることにより行われている。そして、第1の記録素子基板11および第2の記録素子基板12と配線テープ16との電気接続部27は、第1の封止剤と第2の封止剤によって封止されており、これによって電気接続部がインクによる腐食や外的衝撃から保護されている。第1の封止剤は、主に配線テープの電極端子と記録素子基板11、12の電極部との接続部の裏側からの封止と記録素子基板11,12の外周部分の封止とに用いられており、第2の封止剤は、接続部の表側からの封止に用いられている。
【0041】
配線テープ16の電気接続部27と配線基板15との接続は、異方性導電フィルムなどを用いて熱圧着によりなされる。配線基板15には、位置決め用の端子位置決め穴と、固定用の端子結合穴とが形成されている。
【0042】
≪液体供給部材≫
図2に示すように、液体供給部材としてのインク供給ユニット20は、タンク保持部材23と、タンク保持部材の底面に取り付けられる流路形成部材22とで構成される。
【0043】
インクタンク(不図示)と連結するタンク保持部材23は、インクタンクから記録素子ユニット10にインクを導くためのものであり、例えば、樹脂成形により形成されている。タンク保持部材23には、インクタンクのインク供給口部分に当接する連結部が設けられている。ここには、外部からのゴミの進入を防ぐためのフィルタ24が溶着により接合されており、さらに、連結部からのインクの蒸発を防止するために、シールゴム25が装着されている。タンク保持部材23内には、連結部のインクタンクとの接触面から下面に延びるインク流路が形成されている。
【0044】
タンク保持部材23の底面には、記録素子ユニット10にインクを供給するインク導入口が開口された流路形成部材22が、インク導入口とタンク保持部材23のインク流路とが連通するように位置決めされ、超音波溶着により取り付けられている。
【0045】
また、記録素子ユニットとインク供給ユニットとは、第1のプレート14のインク供給口と、流路形成部材22のインク導入口とに対応する位置に穴が設けられたジョイントシール部材21を間に挟み込んで、圧接させて固定して2つのビスにより締結されている。ジョイントシール部材はゴムなどの圧縮永久ひずみが少ない弾性材料から作られており、これを記録素子ユニットとインク供給ユニットとの間に挟んで圧接させることで、インク供給口とインク導入口とをインクリークが発生しないように連通させることができる。
【0046】
次に、図3を参照して、本発明の各実施形態で共通の用語について定義する。
【0047】
図3(a)は、記録ヘッド1をコンタクトパッド26が設けられている側から見た図であり、図3(b)は、記録ヘッド1を記録素子基板が設けられている側から見た図である。
【0048】
図3(a)、(b)に示すように本明細書において、液体供給部材(インク供給ユニット20)の中心とは、x方向(第1の方向)については20aであり、z方向(第2の方向)については20bである。接続端子群(コンタクトパッド26群)の中心とは、x方向については26aであり、z方向については26bである。x方向について支持基板の中心とは、14aである。配線基板15の中心とは、x方向については15aであり、z方向については15bである。x方向について電気接続部27の中心とは、27aである。x方向について配線テープの中心とは、支持基板に配されている部分の幅の中心であり、16aである。なお、第1の方向であるx方向は、記録ヘッドが記録装置のキャリッジに搭載されて、記録動作が行われる際に、記録装置の一端側と他端側とをキャリッジが往復移動する主走査方向である。また、第2の方向であるz方向は、x方向に垂直であって、コンタクトパッドが設けられている面に平行な方向である。
【0049】
また、液体供給部材(インク供給ユニット20)のアスペクト比とは、液体供給部材の[x方向の幅/z方向の幅]である(図3(a))。この液体供給部材のアスペクト比が大きいほど、記録ヘッドはx方向に幅が大きくなり、この大きさは記録ヘッドに搭載されるインクタンクの大きさに依存する。
【0050】
また、接続端子群(コンタクトパッド26群)のアスペクト比とは、コンタクトパッド26が配置されている領域の[x方向の幅/z方向の幅]である(図3(a))。
【0051】
以下、本発明の特徴であるインク供給ユニットの中心と支持基板との中心とのずれ量を大きくすることが可能な構成について説明する。
【0052】
[実施形態]
(実施形態1)
本発明の一例である実施形態1について、図4を参照して詳細に説明する。図に示すように、複数のコンタクトパッド26からなる接続端子群が設けられる記録ヘッド1の筐体の一面は矩形状であり、その長辺が前記移動する方向(X方向)に沿っている。
【0053】
本実施形態の記録ヘッドにおけるインク供給ユニット20のアスペクト比は、約2.2(x方向の幅が約97mm、z方向の幅が約44mm)である。この値は、従来の記録ヘッドにおけるインク供給ユニットのアスペクト比(例えば、図11の記録ヘッドでは約0.9である)と比較すると大きい値であると言え、本発明の記録ヘッドは、x方向に横長の形状を有している。
【0054】
図4に示すように、x方向について、配線テープ16は配線基板15に対して可能な限り、支持基板の中心14aが設けられている側にずらして配置した。すなわち、配線基板の中心15aと電気接続部の中心27aとは、2.62mmずれて配置されている。図11で説明した従来例と同様に、このような構成にすることで、一定のずれ量を得ることが可能である。
【0055】
本実施形態においては、x方向についてコンタクトパッド群の中心26aをインク供給ユニットの中心20aから2.18mmずらして配置することにより、従来の構成に比べてx方向についてさらにずれ量を大きくした。このような構成とすることで、インク供給ユニットの中心20aと、支持基板との中心14aとを4.80mmとすることができた。
【0056】
記録ヘッドが記録装置のキャリッジに搭載されると、コンタクトパッド26は、キャリッジのコンタクトピンから荷重を受ける。よって、コンタクトパッド群の中心26aがインク供給ユニットの中心20aからずれると、記録ヘッドがキャリッジに搭載された際に、x方向について荷重バランスに影響を与えることが考えられる。
【0057】
しかしながら本発明においては、インク供給ユニットのアスペクト比が2以上と大きいため、コンタクトパッド群の中心26aを、インク供給ユニットの中心20aからずらしたとしても、x方向についての荷重バランスに与える影響を小さくすることができる。具体的には、インク供給ユニット20の変形の抑制や、記録装置のキャリッジに記録ヘッドを搭載する際に当接させる各突き当て基準に対する影響などを小さくすることができる。
【0058】
また、本実施形態においては、コンタクトパッド群のアスペクト比は、約3.5であり、インク供給ユニットのアスペクト比の約2.2よりも大きいため、コンタクトパッド群はx方向に幅広く配置されている。なお、コンタクトパッド群のx方向の幅が約36.5mm、z方向の幅が約10.5mmである。よって、インク供給ユニットの中心20aからのコンタクトパッド群の中心26aのずれが、x方向についての荷重バランスに与える影響をさらに小さくすることができ、x方向の荷重バランスを安定させることができる。
【0059】
また、図4に示すように、z方向についての配線基板の中心15bを、インク供給ユニットの中心20bよりも、支持基板が設けられている側に配置することで、配線テープ16のz方向の長さを短くすることができる。本実施形態においては、15bと20bとのずれ量を2.81mmとした。配線テープ16を短くすることで、配線抵抗の増大やコストの増大を抑制することができるという効果を奏する。また、z方向におけるコンタクトパッドの中心26bを配線基板の中心15bよりも支持基板が設けられている側とは反対側に配置することで、コンタクトパッドの中心とインク供給ユニットとが近づくため、z方向における荷重バランスを安定させることができる。本実施形態においては、26bと15bとのずれ量を3.87mmとし、20bと26bとのずれ量を1.06mmとした。
【0060】
以上、説明した構成とすることで、x方向に大型化した記録ヘッドについて、キャリッジ搭載時のx方向についての荷重バランスに与える影響を抑えつつ、x方向のインク供給ユニットの中心と支持基板の中心とのずれ量の大きい記録ヘッドを得ることができる。
【0061】
また、キャリッジ搭載時のz方向についての荷重バランスの安定した記録ヘッドを得ることができる。
【0062】
(実施形態2)
本発明の一例である実施形態2について、図5を参照して詳細に説明する。
【0063】
図5に示すように実施形態2においては、実施形態1に比べて、x方向について配線基板の中心15aをさらにずらして配置することにより、インク供給ユニットの中心20aと支持基板の中心14aとのずれ量を大きくした。本実施形態においては、20aと26aとのずれ量を0.81mm、26aと15aとのずれ量を2.82mm、15aと14a(16a、27a)とのずれ量を3.23mmとした。このような構成とすることで、インク供給ユニットの中心20aと、支持基板との中心14aとを6.86mmとすることができた。
【0064】
実施形態2は、26a−15a−14aにおいて、ずれ量を大きくすることができるため、実施形態1に比べて、20aと26aとのずれ量を小さくすることができる。したがって、20aと26aとのずれ量がx方向の荷重バランスに与える影響をより小さくすることができる。
【0065】
なお、実施形態2におけるインク供給ユニットのアスペクト比は、実施形態1と同様の構成のインク供給ユニットを用いており約2.2であり、コンタクトパッド群のアスペクト比は約3.2(x方向の幅が約34.0mm、z方向の幅が約10.5mm)である。
【0066】
実施形態2において、実施形態1と同様の構成については、実施形態1と同様の効果を奏する。
【0067】
(実施形態3)
本発明の一例である実施形態3について、図6を参照して詳細に説明する。
【0068】
図6に示すように実施形態3における構成は、実施形態1の構成に比べて、電気接続部の中心27aが、コンタクトパッド群の中心26aと配線基板の中心14aとの間に配置されている点で異なる。
【0069】
このように、支持基板の中心14a(配線テープの中心16a)と電気接続部の中心27aをずらして配置することにより、さらに、インク供給ユニットの中心20aと支持基板の中心16aとのずれ量を大きくした。本実施形態においては、20aと26a(15a)とのずれ量を2.00mm、26a(15a)と27aとのずれ量を1.70mm、27aと14a(16a、27a)とのずれ量を2.68mm、27a−14aとのずれ量を3.25mmとした。このような構成とすることで、インク供給ユニットの中心20aと、支持基板との中心14aとを7.05mmとすることができた。
【0070】
実施形態3は、27aと14aとでずれ量を大きくすることができるため、実施形態2に比べて、x方向における配線基板15の増大によるコストの上昇を抑制することができる。
【0071】
また、実施形態3は、実施形態1に比べてさらに20aと14aとのずれ量を大きくすることができる。
【0072】
また、実施形態3は、実施形態1の構成で実施形態3と同じずれ量とする場合には、14a(16a)と27aとの距離を、20aと26aとの距離よりも大きくすることができるため、20aと26aとのずれ量を小さくすることができる。よって、20aと26aとのずれ量がx方向の荷重バランスに与える影響をより小さくすることができる。
【0073】
実施形態3では、配線テープの中心16aと電気接続部の中心27aとをずらすことにより配線テープの形状が長方形の形状ではなくなるが、配線テープの形状が許す限り曲げることで、取り個数が減少することによるコストアップを抑制することができる。
【0074】
また、支持基板の中心14a(配線テープの中心16a)と電気接続部の中心27aとの距離を、インク供給ユニットの中心20aとコンタクトパッド群の中心26aとの距離よりも大きくすることで、20aと26aとのずれ量を小さくすることができる。
【0075】
なお、実施形態3におけるインク供給ユニットのアスペクト比は、実施形態1と同様の構成のインク供給ユニットを用いており約2.2であり、コンタクトパッド群のアスペクト比は実施形態1と同様の構成を用いており、約3.5である。実施形態3において、実施形態1または2と同様の構成については、実施形態1または2と同様の効果を奏する。
【0076】
(実施形態4)
本発明の一例である実施形態4について、図7を参照して詳細に説明する。
【0077】
図7に示すように実施形態4における構成は、インク供給ユニット20aの中心からコンタクトパッド群の中心26aおよび配線基板の中心15aをずらして配置し、さらに支持基板の中心14aからも電気接続部の中心27aをずらして配置した。本実施形態においては、20aと26aとのずれ量を1.12mm、26aと15aとのずれ量を2.12mm、15aと27aとのずれ量を2.68mm、27aと14aとのずれ量を3.24mmとした。このような構成とすることで、インク供給ユニットの中心20aと、支持基板との中心14aとを9.11mmとすることができた。
【0078】
このような構成とすることで実施形態4では、実施形態1から3の構成に比べてさらに20aと14aとのずれ量を大きくすることができる。 なお、実施形態4におけるインク供給ユニットのアスペクト比は、実施形態1と同様の構成のインク供給ユニットを用いており、約2.2であり、コンタクトパッド群のアスペクト比は実施形態2と同様の構成を用いており約3.2である。
【0079】
実施形態4において、実施形態1乃至3のいずれかと同様の構成については、実施形態1乃至3のいずれかと同様の効果を奏する。
【0080】
以上、本発明によれば、インク供給ユニットのアスペクト比が2以上であるため、キャリッジ搭載時のx方向の荷重バランスに与える影響を抑制しつつ、インク供給ユニットの中心と支持基板の中心とのずれ量の大きい記録ヘッドと得ることができる。
【0081】
また、コンタクトパッド群のアスペクト比が3以上であることにより、キャリッジ搭載時のz方向についての荷重バランスが安定した記録ヘッドを得ることができる。
【0082】
<記録装置>
本発明の液体吐出ヘッドを搭載可能な記録装置について、図8を参照して説明する。
【0083】
図8にインクジェット記録方式を用いた記録装置の概略構成を示し、記録装置の記録動作機構について説明する。
【0084】
記録装置IJRAは、不図示の記録媒体を装置本体内へと自動的に給送する自動給送部M3022と、記録位置から排出部M3030へと記録媒体を導く搬送部M3029とから構成されている。
【0085】
さらに記録装置IJRAは、キャリッジの往復移動方向、すなわち主走査方向の一端側に記録動作時以外に前記液体吐出ヘッドを待機させるための待機領域と、いわゆるホームポジションである待機領域32を備える。待機領域32には、非記録時に、記録ヘッドの吐出口内部のインクの乾燥を防止するために吐出口を密閉するキャップ部材M5000などが設けられている。ここで待機領域は記録ヘッド1の幅に対応した幅を有する。このキャップ部材M5000は、主走査方向について待機境域32の中心から記録装置IJRAの中心へ向かってずれた位置に設けられている。また、吐出の信頼性確保のために行う回復処理機構なども設置されているため、記録装置にはそれらの設置領域が確保されている。
【0086】
上述の記録部は、キャリッジ軸M4021によって移動可能に支持されたキャリッジM4001と、このキャリッジM4001に着脱可能に搭載される記録ヘッドとからなる。
【0087】
なお、記録ヘッドがキャリッジに搭載されて、ホームポジション(待機領域32)で待機している状態で、支持基板の中心と記録装置側のキャップ部材の中心とは対応した位置となるように、待機領域にキャップ部材は設けられている。このような位置にキャップ部材M5000を配置することで、記録素子ユニット41に対してキャップ部材M5000が当接して、吐出口を密閉する構成としている。
【0088】
このような記録装置IJRAに対して、本発明の記録ヘッドを搭載すると、図9(a)のようになる。図9(b)は図12(b)と、図9(c)は図12(c)と同様の構成であり、本発明に対する比較例として図示している。
【0089】
図9を見れば分かるように、本発明の記録ヘッドを記録装置に搭載すれば、たとえ記録ヘッドがA方向について大型化した場合でも記録装置のA方向における大型化を低減することが可能となる。
【符号の説明】
【0090】
1 インクジェット記録ヘッド
10 記録素子ユニット
11、12 記録素子基板
13、14 支持基板
14a x方向における支持基板の中心
15 配線基板
16 配線テープ
20 インク供給ユニット
20a x方向におけるインク供給ユニットの中心
26 コンタクトパッド
26a x方向におけるコンタクトパッド群の中心
32 待機領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体吐出ヘッドを往復移動させて記録を行う記録装置であって、
筐体と、前記記録装置と電気接続が可能な複数の接続端子で構成され、前記筐体の一面に設けられている接続端子群と、前記接続端子を介して前記記録装置から伝達される信号に応じて前記吐出口から液体を吐出する液体吐出基板と、前記液体吐出基板を支持し前記筐体の別の一面に設けられている支持基板と、を備える前記液体吐出ヘッドと、
前記記録装置の一端側に設けられ、記録動作時以外に前記液体吐出ヘッドを待機させるための待機領域と、
前記液体吐出ヘッドと電気接続が可能な接続端子を備えており、前記液体吐出ヘッドを搭載して前記待機領域と前記記録装置の他端側とを往復移動するキャリッジと、を備え、
前記液体吐出ヘッドが前記待機領域から前記記録装置の他端に移動する方向について、前記筐体の中心からずれた位置に前記接続端子群の中心が配置されており、さらにずれた位置に前記支持基板の中心が配置されており、
前記待機領域の中心から前記移動する方向にずれた位置に、前記吐出口を覆うためのキャップ部材が設けられていることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記接続端子群が設けられた前記筐体の前記一面の長辺が前記移動する方向に沿った矩形状であり、該筐体の前記一面のアスペクト比は2以上であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記接続端子群は、長辺が前記移動する方向に沿った矩形状に配置されており、該接続端子群のアスペクト比は3以上であることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記筐体の前記一面のアスペクト比よりも、前記接続端子群のアスペクト比の方が大きいことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の記録装置。
【請求項5】
前記液体吐出ヘッドは、前記接続端子群が配された配線基板と、前記液体吐出基板と前記配線基板とを電気的に接続するための配線テープと、を備え、
前記移動する方向について、前記接続端子群の中心と前記支持基板の中心との間に、前記配線基板の中心が配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の記録装置。
【請求項6】
前記液体吐出ヘッドは、前記接続端子群が配された配線基板と、前記液体吐出基板と前記配線基板とを電気的に接続するための配線テープと、を備え、
前記移動する方向について、前記接続端子群の中心と前記支持基板の中心との間に、前記配線基板と前記配線テープとの電気接続部の中心が配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記移動する方向について、前記配線基板の中心と前記支持基板の中心との間に、前記電気接続部の中心が配置されていることを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
【請求項8】
前記移動する方向に垂直であって前記接続端子群が設けられた前記筐体の前記一面に平行な方向について、前記筐体の中心と前記接続端子群の中心との距離よりも、前記電気接続部の中心と前記支持基板の中心との距離の方が大きいことを特徴とする請求項6または7に記載の記録装置。
【請求項9】
前記配線テープは、前記接続端子群が配置される面および前記支持基板が配置される面に配されており、
前記移動する方向について、前記支持基板の中心と、前記支持基板が配される面に配された部分の前記配線テープの中心とがほぼ同じであることを特徴とする請求項5から8のいずれかに記載の記録装置。
【請求項10】
前記移動する方向に垂直であって前記接続端子群が設けられた前記筐体の前記一面に平行な方向について、前記筐体の中心よりも前記液体吐出基板が設けられている側にずれて、前記配線基板の中心が配置されていることを特徴とする請求項5から9のいずれかに記載の記録装置。
【請求項11】
前記移動する方向に垂直であって前記接続端子群が設けられた前記筐体の前記一面に平行な方向について、前記配線基板の中心よりも前記液体吐出基板が設けられている側とは反対側にずれて、前記接続端子群の中心が配置されていることを特徴とする請求項10に記載の記録装置。
【請求項1】
液体吐出ヘッドを往復移動させて記録を行う記録装置であって、
筐体と、前記記録装置と電気接続が可能な複数の接続端子で構成され、前記筐体の一面に設けられている接続端子群と、前記接続端子を介して前記記録装置から伝達される信号に応じて前記吐出口から液体を吐出する液体吐出基板と、前記液体吐出基板を支持し前記筐体の別の一面に設けられている支持基板と、を備える前記液体吐出ヘッドと、
前記記録装置の一端側に設けられ、記録動作時以外に前記液体吐出ヘッドを待機させるための待機領域と、
前記液体吐出ヘッドと電気接続が可能な接続端子を備えており、前記液体吐出ヘッドを搭載して前記待機領域と前記記録装置の他端側とを往復移動するキャリッジと、を備え、
前記液体吐出ヘッドが前記待機領域から前記記録装置の他端に移動する方向について、前記筐体の中心からずれた位置に前記接続端子群の中心が配置されており、さらにずれた位置に前記支持基板の中心が配置されており、
前記待機領域の中心から前記移動する方向にずれた位置に、前記吐出口を覆うためのキャップ部材が設けられていることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記接続端子群が設けられた前記筐体の前記一面の長辺が前記移動する方向に沿った矩形状であり、該筐体の前記一面のアスペクト比は2以上であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記接続端子群は、長辺が前記移動する方向に沿った矩形状に配置されており、該接続端子群のアスペクト比は3以上であることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記筐体の前記一面のアスペクト比よりも、前記接続端子群のアスペクト比の方が大きいことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の記録装置。
【請求項5】
前記液体吐出ヘッドは、前記接続端子群が配された配線基板と、前記液体吐出基板と前記配線基板とを電気的に接続するための配線テープと、を備え、
前記移動する方向について、前記接続端子群の中心と前記支持基板の中心との間に、前記配線基板の中心が配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の記録装置。
【請求項6】
前記液体吐出ヘッドは、前記接続端子群が配された配線基板と、前記液体吐出基板と前記配線基板とを電気的に接続するための配線テープと、を備え、
前記移動する方向について、前記接続端子群の中心と前記支持基板の中心との間に、前記配線基板と前記配線テープとの電気接続部の中心が配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記移動する方向について、前記配線基板の中心と前記支持基板の中心との間に、前記電気接続部の中心が配置されていることを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
【請求項8】
前記移動する方向に垂直であって前記接続端子群が設けられた前記筐体の前記一面に平行な方向について、前記筐体の中心と前記接続端子群の中心との距離よりも、前記電気接続部の中心と前記支持基板の中心との距離の方が大きいことを特徴とする請求項6または7に記載の記録装置。
【請求項9】
前記配線テープは、前記接続端子群が配置される面および前記支持基板が配置される面に配されており、
前記移動する方向について、前記支持基板の中心と、前記支持基板が配される面に配された部分の前記配線テープの中心とがほぼ同じであることを特徴とする請求項5から8のいずれかに記載の記録装置。
【請求項10】
前記移動する方向に垂直であって前記接続端子群が設けられた前記筐体の前記一面に平行な方向について、前記筐体の中心よりも前記液体吐出基板が設けられている側にずれて、前記配線基板の中心が配置されていることを特徴とする請求項5から9のいずれかに記載の記録装置。
【請求項11】
前記移動する方向に垂直であって前記接続端子群が設けられた前記筐体の前記一面に平行な方向について、前記配線基板の中心よりも前記液体吐出基板が設けられている側とは反対側にずれて、前記接続端子群の中心が配置されていることを特徴とする請求項10に記載の記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−76427(P2010−76427A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144617(P2009−144617)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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