説明

記録装置

【課題】カートリッジ装着部へインクカートリッジが挿入されるときに、勢いよく挿入された被検出板部が光センサと衝突することを抑制する手段を提供する。
【解決手段】カートリッジ装着部110は、被検出板部42と第1保護板部44との間に位置する発光部115又は受光部116を有する光センサ113と、インクカートリッジが30挿入される挿入向きにおいて光センサ113より開口112側に配置されており、第1保護板部44に接触可能な姿勢及び被検出板部43の移動経路から外れた姿勢に移動可能なシャッタ124と、を有する。シャッタ124は、第1保護板部44と当接してシャッタ124を姿勢変化させるガイド部128を有し、シャッタ本体126部が被検出板部43の移動経路に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジ装着部への挿抜において、インクカートリッジの被検出板部が光センサにより検知され得る記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インクを用いて記録用紙(被記録媒体)に画像を記録する画像記録装置が知られている。この画像記録装置は、インクジェット方式の記録ヘッドを備え、記録ヘッドのノズルからインク滴を記録用紙へ向けて選択的に噴出する。このインク滴が記録用紙に着弾することによって、記録用紙に所望の画像が記録される。この画像記録装置には、記録ヘッドへ供給するインクを貯蔵するインクカートリッジが設けられる。このインクカートリッジは、カートリッジ形式が採用されて、画像記録装置に設けられたカートリッジ装着部に対して着脱可能とされることが多い。インクカートリッジ内のインクが無くなると、そのインクカートリッジが画像記録装置のカートリッジ装着部から取り外されて、インクを貯蔵する新たなインクカートリッジがカートリッジ装着部に装着される。
【0003】
前述されたようなインクカートリッジは、インクの種別や容量、液面などを判定するための被検出部を有しているものがある。インクカートリッジがカートリッジ装着部に装着されると、インクカートリッジの被検出部が光センサにより検知可能な位置となり、光センサの検知信号により、インクの種別などが判定可能となる。インクカートリッジの被検出部を光センサにより検知可能な位置に合わせるために、カートリッジ装着部にガイドが設けられた構成が公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−128643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インクカートリッジに設けられる被検出部として、例えば、光センサから出射される光を遮断又は減衰させる素材からなる板形状のものがある。この板形状の被検出部が、フォーク(U字)型の光センサの2つのアームに設けられた発光部と受光部との間に進入することによって、受光部が受光する光に強度が変化して、光センサの出力信号が変化する。
【0006】
しかしながら、カートリッジ装着部へインクカートリッジが装着されるときに、落下又は減圧時に変形した被検出部が光センサのアームに当たり、その状態でインクカートリッジが更に挿入されることにより、光センサが破損したり、光センサが基板から脱落したりすることが生じ得る。
【0007】
そして、カートリッジ装着部の光センサが破損すると、その交換のために画像記録装置をメーカーへ修理に出さなければならず、ユーザはその間、画像記録装置が使用できないこととなり不便である。また、メーカーにとっても、光センサの交換のための輸送費や修理コストが問題となってきている。
【0008】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、カートリッジ装着部へインクカートリッジが挿入されるときに、勢いよく挿入された被検出板部が光センサと衝突することを抑制する手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明は、インクを貯留するインク室と、挿入方向に延出され、カートリッジ装着部へ挿入される第1過程又はカートリッジ装着部から脱抜される第2過程の少なくとも一方において光学的に検出される被検出板部と、上記被検出板部に対して挿入方向と交差する方向へ所定間隔が隔てられて配置された第1保護板部と、を有するインクカートリッジが、開口を介してカートリッジ装着部に挿抜可能である記録装置に関する。上記カートリッジ装着部は、上記第1過程における第1位置において上記被検出板部と上記第1保護板部との間に位置する発光部又は受光部を有する光センサと、上記インクカートリッジが挿入される挿入向きにおいて上記発光部又は上記受光部より上記開口側に配置されており、上記第1保護板部に接触可能な第1姿勢、及び上記被検出板部の移動経路から外れた第2姿勢に移動可能な第1シャッタと、を有する。上記第1シャッタは、上記第1位置より上記開口側の第2位置において、上記第1保護板部と当接し、当該第1シャッタを第1姿勢から第2姿勢へ移動させる第1ガイド部を有し、上記第1姿勢において、少なくとも一部が、上記第1位置と上記第2位置との間であって上記被検出板部の移動経路に配置される。
【0010】
カートリッジ装着部にインクカートリッジが挿入されると、第2位置において、第1シャッタの第1ガイド部にインクカートリッジの第1保護板部が当接する。そして、インクカートリッジが更に挿入向きへ進められると、第1保護板部によって第1シャッタが第1姿勢から第2姿勢に姿勢変化する。したがって、第1位置と第2位置との間において、インクカートリッジの被検出板部が第1シャッタに当接することがない。インクカートリッジが更に挿入向きへ進められると、第1位置において、被検出板部が光センサに検出され得る状態となる。
【0011】
インクカートリッジの第1保護板部は、落下や衝突などに対して被検出板部を保護する。落下や衝突などによって第1保護板部が破損又は変形していれば、前述されたように、カートリッジ装着部にインクカートリッジが挿入されると、第2位置において、第1保護板部が第1シャッタの第1ガイド部に当接しない。したがって、第1シャッタは、付勢部材により付勢されて第1姿勢に維持される。そして、第1位置と第2位置の間において、被検出板部が第1シャッタに当接する。これにより、被検出板部が第1位置に到達するようにインクカートリッジを更に進めることができなくなるので、被検出板部が光センサに衝突することがない。
【0012】
(2) 上記インクカートリッジは、上記第1保護板部に対して上記被検出板部を挟んで対称な位置に配置された第2保護板部を更に有し、上記光センサは、上記第1過程における上記第1位置において上記被検出板部と上記第2保護板部との間に進入する受光部又は発光部を更に有し、上記カートリッジ装着部は、上記インクカートリッジが挿入される挿入向きにおいて上記発光部又は上記受光部より上記開口側に配置されており、上記第1保護板部に接触可能な第1姿勢、及び上記被検出板部の移動経路から外れた第2姿勢に移動可能な第2シャッタ、を更に有し、上記第2シャッタは、上記第2位置において、上記第2保護板部と当接し、当該第2シャッタを第1姿勢から第2姿勢へ移動させる第2ガイド部を有するものであってもよい。
【0013】
これにより、被検出板部が第1保護板部及び第2保護板部により挟まれるようにして保護される。また、第1保護板部又は第2保護板部のいずれか一方が破損又は変形していれば、カートリッジ装着部へインクカートリッジが挿入される過程において、第1シャッタ又は第2シャッタが第1姿勢から第2姿勢へ姿勢変化しないので、第1位置と第2位置の間において、被検出板部が第1シャッタ又は第2シャッタに当接する。これにより、被検出板部が第1位置に到達するようにインクカートリッジを更に進めることができなくなるので、被検出板部が光センサに衝突することがない。
【0014】
(3) 本発明は、インクを貯留するインク室と、挿入方向に延出され、カートリッジ装着部へ挿入される第1過程又はカートリッジ装着部から脱抜される第2過程の少なくとも一方において光学的に検出される被検出板部と、上記被検出板部に対して挿入方向と交差する方向へ所定間隔が隔てられて配置された第1保護板部と、を有するインクカートリッジが、開口を介してカートリッジ装着部に挿抜可能である記録装置に関する。上記カートリッジ装着部は、上記第1過程における第1位置において上記被検出板部と上記第1保護板部との間に位置する発光部又は受光部を有する光センサと、上記インクカートリッジが挿入される挿入向きにおいて上記発光部又は上記受光部より上記開口側に配置されており、上記第1保護板部に接触可能な第3姿勢、及び第1過程における上記第1保護板部の移動経路から外れた第4姿勢に移動可能な第1ロック部材と、上記第3姿勢の上記第1ロック部材により上記被検出板部の移動経路に維持され、上記第1ロック部材が上記第4姿勢であるときに、上記被検出板部の移動経路から外れ得る第3シャッタと、を有する。
【0015】
カートリッジ装着部にインクカートリッジが挿入されると、第1位置より開口側において、第1ロック部材にインクカートリッジの第1保護板部が当接する。そして、インクカートリッジが更に挿入向きへ進められると、第1保護板部によって第1ロック部材が第3姿勢から第4姿勢に姿勢変化する。したがって、インクカートリッジの被検出板部が第3シャッタと当接すると、第3シャッタが被検出板部の移動経路から外れる姿勢に姿勢変化する。そして、インクカートリッジが更に挿入向きへ進められると、第1位置において、被検出板部が光センサに検出され得る状態となる。
【0016】
インクカートリッジの第1保護板部は、落下や衝突などに対して被検出板部を保護する。落下や衝突などによって第1保護板部が破損又は変形していれば、前述されたように、カートリッジ装着部にインクカートリッジが挿入されると、第1保護板部が第1ロック部材に当接しない。したがって、第3シャッタは、第1ロック部材により、被検出板部の移動経路に位置され、被検出板部が第3シャッタに当接しても姿勢変化しない。これにより、被検出板部が第1位置に到達するようにインクカートリッジを更に進めることができなくなるので、被検出板部が光センサに衝突することがない。
【0017】
(4) 上記インクカートリッジは、上記第1保護板部に対して上記被検出板部を挟んで対称な位置に配置された第2保護板部を更に有し、上記光センサは、上記第1過程における上記第1位置において上記被検出板部と上記第2保護板部との間に進入する受光部又は発光部を更に有し、上記カートリッジ装着部は、上記インクカートリッジが挿入される挿入向きにおいて上記発光部又は上記受光部より上記開口側に配置されており、上記第2保護板部に接触可能な第5姿勢、及び第1過程における上記第2保護板部の移動経路から外れた第6姿勢に移動可能な第2ロック部材と、を更に有するものであってもよい。上記第3シャッタは、第5姿勢の上記第2ロック部材により上記被検出板部の移動経路に維持され、上記第2ロック部材が上記第6姿勢であるときに、上記被検出板部の移動経路から外れ得るものである。
【0018】
これにより、被検出板部が第1保護板部及び第2保護板部により挟まれるようにして保護される。また、第1保護板部又は第2保護板部のいずれか一方が破損又は変形していれば、カートリッジ装着部へインクカートリッジが挿入される過程において、第1ロック部材又は第2ロック部材のいずれか一方が第3姿勢又は第5姿勢から第4姿勢又は第6姿勢へ姿勢変化しないので、被検出板部が第3シャッタに当接しても、第3シャッタが姿勢変化しない。これにより、被検出板部が第1位置に到達するようにインクカートリッジを更に進めることができなくなるので、被検出板部が光センサに衝突することがない。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかる記録装置によれば、落下や衝突などによって第1保護板部が破損又は変形していれば、カートリッジ装着部にインクカートリッジが挿入される過程において、被検出板部が第1シャッタの一部分に当接してインクカートリッジを更に進めることができなくなるので、被検出板部が光センサに衝突することがない。これにより、被検出板部との当接による光センサの破損が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、第1実施形態におけるインクカートリッジ100が装着された状態のプリンタ10の構成を示す模式図である。
【図2】図2は、インクカートリッジ100の外観構成を示す斜視図である。
【図3】図3は、カートリッジ装着部110の構成を示す断面図である。
【図4】図4は、シャッタ124,125の構成を示す斜視図である。
【図5】図5は、カートリッジ装着部110へインクカートリッジ30が挿入される過程を示す断面図である。
【図6】図6は、カートリッジ装着部110へインクカートリッジ30が挿入される過程における被検出板部43、第1保護板部44、第2保護板部45,シャッタ124,125及び光センサ113の状態を示す斜視図である。
【図7】図7は、カートリッジ装着部110へインクカートリッジ30が装着された状態を示す断面図である。
【図8】図8は、カートリッジ装着部110へインクカートリッジ30が装着された状態における被検出板部43、第1保護板部44、第2保護板部45,シャッタ124,125及び光センサ113の状態を示す斜視図である。
【図9】図9は、第1保護板部44が破損したインクカートリッジ30が挿入される過程における被検出板部43、第1保護板部44、第2保護板部45,シャッタ124,125及び光センサ113の状態を示す斜視図である。
【図10】図10は、第2実施形態におけるシャッタ135及びロック部材136,137の構成を示す斜視図である。
【図11】図11は、カートリッジ装着部110へインクカートリッジ30が挿入される過程における被検出板部43、第1保護板部44、第2保護板部45,シャッタ135、ロック部材136,137及び光センサ113の状態を示す部分断面図である。
【図12】図12は、第1保護板部44が破損したカートリッジ装着部110へインクカートリッジ30が挿入される過程における被検出板部43、第1保護板部44、第2保護板部45,シャッタ135、ロック部材136,137及び光センサ113の状態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0022】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態が説明される。
【0023】
[プリンタ10の概要]
プリンタ10は、インクジェット記録方式に基づいて、記録用紙に対してインク滴を選択的に吐出することにより画像を記録するものである。図1に示されるように、プリンタ10は、インク供給装置100を備えている。インク供給装置100には、カートリッジ装着部110が設けられている。カートリッジ装着部110には、インクカートリッジ30が装着され得る。カートリッジ装着部110には、その一面が外部に開放された開口112が設けられている。インクカートリッジ30は、開口112を介してカートリッジ装着部110に挿入されることにより(第1過程)、カートリッジ装着部110に装着され、或いはカートリッジ装着部110から脱抜されることにより(第2過程)、カートリッジ装着部110から取り外される。プリンタ10が、記録装置に相当する。
【0024】
インクカートリッジ30には、プリンタ10で使用可能なインクが貯留されている。カートリッジ装着部110に装着された状態において、インクカートリッジ30と記録ヘッド21とがインクチューブ20で接続される。記録ヘッド21にはサブタンク28が設けられている。サブタンク28は、インクチューブ20を通じて供給されるインクを一時的に貯留する。記録ヘッド21は、インクジェット記録方式によって、サブタンク28から供給されたインクをノズル29から選択的に吐出する。
【0025】
給紙トレイ15から給紙ローラ23によって搬送路24へ送給された記録用紙は、搬送ローラ対25によってプラテン26上へ搬送される。記録ヘッド21は、プラテン26上を通過する記録用紙に対してインクを選択的に吐出する。これにより、画像が記録用紙に記録される。プラテン26を通過した記録用紙は、排出ローラ対22によって、搬送路24の最下流側に設けられた排紙トレイ16に排出される。
【0026】
[インクカートリッジ30]
図1,2に示されるように、インクカートリッジ30はインクが貯留される容器である。インクカートリッジ30の内部に形成されている空間がインク室36である。インク室36は、インクカートリッジ30の外観を形成している本体31により形成される空間であってもよいし、本体31とは別の部材によって形成される空間であってもよい。
【0027】
インクカートリッジ30は、図2に示された起立状態、つまり、同図の下側の面を底面とし、同図の上側の面を上面として、カートリッジ装着部110に対して矢印50で示される方向(以下「挿入方向50」と称する。)に沿って装着される。すなわち、インクカートリッジ30は、挿入方向50に沿ってカートリッジ装着部110に挿入され、また、挿入方向50に対して反対方向沿ってカートリッジ装着部110から脱抜される。インクカートリッジ30は、起立状態のままカートリッジ装着部110に水平方向に挿抜される。
【0028】
インクカートリッジ30は、略直方体形状の本体31を有する。本体31は、左右方向51が短く、上下方向52と前後方向53が左右方向51よりも長い扁平形状である。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿入されるときに前方側となる本体31の壁が前壁40であり、後方側となる本体31の壁が後壁41である。前壁40と後壁41とは、挿入方向50において対向している。なお、挿入方向50は前後方向53と平行である。
【0029】
本体31の前壁40における上下方向52の中央付近には、液面検知部33が設けられている。液面検知部33は、インク室36に通ずるように、一方が開口である箱形である。また、液面検知部33は、光センサ114の発光部から出射された赤外光を透過させる透光性の樹脂からなる一対の壁を含む。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されると、カートリッジ装着部110に設けられた2つのアームからなるフォーク型の光センサ114の発光部から照射された赤外光を、液面検知部33を介して受光部へ透過させる状態と、液面検知部33それ自体、又は液面検知部33の内側又は外側に設けられた赤外光を遮光又は減衰させる部材により受光部で受光される光量が制限される状態とがある。この液面検知部33の状態に応じて、インク室36内のインクの液面が所定位置以下になったことが検知される。なお、インクの液面の検知手法としては、公知の手段が採用されればよい。また、光センサ114が赤外光を出射する壁面は垂直であっても傾斜していてもよい。
【0030】
本体31の前壁40における液面検知部33の下側に、インク供給部37が設けられている。インク供給部37は、円筒形状の外形をなしており、前壁40から挿入方向50に沿って外側へ突出している。インク供給部37の中心部に、挿入方向50に延びるインク流路38が形成されている。インク流路38を通ってインク室36からカートリッジ装着部110に設けられたインクニードル122へインクが流出される。
【0031】
本体31の上壁39における前後方向53の中央付近には、係合部42が形成されている。係合部42は、上壁39から凹んだ空間に形成されており、インクカートリッジ30の左右方向51及び上下方向52に拡がる平面を有する。係合部42には、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態で、後述されるロックレバー145が係合する。この係合部42は、インクカートリッジ30を外側に押し出させる付勢力を受けるものである。
【0032】
本体31の上壁39における前壁40側には、上下方向52及び前後方向53に沿って延びる平面を有する被検出板部43が形成されている。被検出板部43は左右方向51を厚み方向とする板状であり、上壁39の左右方向51のほぼ中央に配置されている。被検出板部43は、光センサ113から左右方向51へ出射される赤外光を遮光又は減衰させるものである。つまり、被検出板部43は、光センサ113により光学的に検出可能なものである。
【0033】
被検出板部43に対して左右方向51へ所定間隔が隔てられて第1保護板部44及び第2保護板部45が設けられている。第1保護板部44及び第2保護板部45は、それぞれが上下方向52及び前後方向53に沿って延びる平面を有し、左右方向51を厚み方向とする板状である。第1保護板部44と第2保護板部45とは、被検出板部43を覆うように挟んで左右方向51において対称な位置に配置されている。
【0034】
被検出板部43と、第1保護板部44及び第2保護板部45との間は、光センサ113の発光部115及び受光部116を備える2つのアームがそれぞれ進入可能な空間である(図8参照)。前壁40において、被検出板部43と、第1保護板部44と第2保護板部45との間はそれぞれ開口しており、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着される過程において、この開口を通じて、光センサ113の発光部115及び受光部116が、被検出板部43と、第1保護板部44及び第2保護板部45との空間にそれぞれ進入する。
【0035】
[カートリッジ装着部110]
図3に示されるように、カートリッジ装着部110は、プリンタ10の正面側に開口112を有する。開口112を通じてカートリッジ装着部110へインクカートリッジ30が挿入されることにより(第1過程)、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着され、開口112を通じてカートリッジ装着部110からインクカートリッジ30が脱抜されることにより(第2過程)、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から取り外される。
【0036】
カートリッジ装着部110には、光センサ113,114、インクニードル122及びロック機構144などが設けられている。
【0037】
図3に示されるように、カートリッジ装着部110の内部空間における天井となる上壁の終端側には、光センサ113が設けられている。光センサ113が配置されている挿入方向50の位置が、第1位置に相当する。光センサ113は、インクカートリッジ30の被検出板部43を検出するものである。図6に示されるように、光センサ113の外形は、2つのアーム部を有しており、アーム部の先端から被検出板が進入可能に開口するフォーク型である。そのフォーク型の一方の先端部に、赤外光を出射可能な発光ダイオードなどの発光素子を備えた発光部115が設けられており、他方の先端部に、発光素子から出射された拡散赤外光を受光可能なフォトトランジスタなどの受光素子を備えた受光部116が設けられている。この発光部115と受光部116により、光センサ113は、光透過型のフォトインタラプタとして構成されている。発光部115と受光部116とは、被検出板部43が進入可能な空間を隔てて、図3における紙面と垂直な方向に並んで配置されている。被検出板部43が光センサ113に検出されているか否かによって、カートリッジ装着部110におけるインクカートリッジ30の有無が判定される。
【0038】
図3に示されるように、カートリッジ装着部110の内部空間における、開口112と挿入方向50において対向する奥部には、光センサ114が設けられている。光センサ114は、液面検知部33においてインクの液面を検知するものである。光センサ114は、前述された光センサ114と同様の光透過型のフォトインタラプタである。液面検知部33におけるインクが光センサ114に検出されているか否かによって、インクの液面が所定位置以下になったかどうかが判定される。なお、液面検知部33において、インク室36内部又は外部にインクの液面に応じて姿勢変化する検出子が設けられており、光センサ114が、液面検知部33において検出子の姿勢変化を検出するものであってもよい。
【0039】
カートリッジ装着部110には、ロック機構144が設けられている。ロック機構144は、インクカートリッジ30が装着位置に配置された状態で、インクカートリッジ30が開口112から飛び出す向き(図3における左向き)へ移動することを規制して、インクカートリッジ30を装着位置に保持する。なお、各図においては、カートリッジ装着部110において、インクカートリッジ30を開口112から飛び出す向きへ付勢する付勢部材が現れていないが、カートリッジ装着部110の終端部に適宜コイルバネなどが設けられていてもよい。
【0040】
ロック機構144は、ロックレバー145を有する。ロックレバー145は、図3に示されるロック姿勢から矢印101で示されるアンロック姿勢側へ回動可能に支持されている。ロックレバー145に外力が加えられていない状態では、ロックレバー145は不図示のコイルバネによって常にロック姿勢側へ付勢されている。ロックレバー145においてカートリッジ装着部110の内部空間へ進入可能な一端150がインクカートリッジ30の係合部42と係合可能である(図7参照)。この係合により、カートリッジ装着部110におけるインクカートリッジ30のロックが実現される。ロックレバー145の他端151は、ユーザが押下されるものであり、ユーザの押下によって、ロック姿勢のロックレバー145がアンロック姿勢へ姿勢変化される。
【0041】
カートリッジ装着部110の内部空間の終端部には、管状のインクニードル122が設けられている。インクニードル122は、挿入方向50に沿って延出された管形状の部材である。インクニードル122は、カートリッジ装着部110の背面側においてインクチューブ20と接続されている。カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が装着されると、インクニードル122がインク供給部37に挿入される。これにより、インク室36からインクニードル122を通じてインクチューブ20へインクが供給される。なお、図3,5,7においてはインクチューブ20が省略されている。
【0042】
図3,4に示されるように、カートリッジ装着部110の内部空間における天井となる上壁には、シャッタ124,125が上下方向102,103に移動可能に設けられている。シャッタ124,125が配置されている挿入方向50の位置が、第2位置に相当する。シャッタ124,125は、光センサ113より開口112側に配置されている。シャッタ124,125は、図3における紙面と垂直な方向に並列されて組み合わされている。シャッタ124,125が第1シャッタ及び第2シャッタにそれぞれ相当する。
【0043】
シャッタ124は、シャッタ本体126とガイド部128とを有する。シャッタ125は、シャッタ本体127とガイド部129とを有する。シャッタ本体126,127は、互いの接合部分が厚み方向に相互に切り欠かれることにより、1枚の平板となるように組み合わされている。各シャッタ124,125は、相互に組み合わされた状態において、上下方向102,103へそれぞれ移動可能である。シャッタ本体126,127は、後述される第1姿勢において、インクカートリッジ30の被検出板部43と当接し得る一部分である。
【0044】
ガイド部128,129は、各シャッタ本体126,127における接合されていない側の端であって下端側から開口112へ向かって挿入方向50と反対側へ突出している。各ガイド部128,129の位置は、インクカートリッジ30の第1保護板部44及び第2保護板部45に対応している。したがって、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿入されると、第1保護板部44及び第2保護板部45は、ガイド部128,129にそれぞれ当接する。ガイド部128,129の各下面130,131は、挿入方向50に対して鋭角をなすように下から上へ向かう傾斜面である。各下面130,131に、インクカートリッジ30の第1保護板部44及び第2保護板部45がそれぞれ当接し、更にインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿入されることにより、各下面130,131がガイド面となってシャッタ124,125が上方へ押し上げられる。ガイド部128,129が、第1ガイド部及び第2ガイド部にそれぞれ相当する。
【0045】
図3に示されるように、シャッタ124,125は、コイルバネ133によってそれぞれが下方へ付勢されている。なお、各図には現れていないが、コイルバネ133は2個設けられており、それぞれがシャッタ124,125を下方へ付勢している。したがって、上下方向へ移動可能な各シャッタ124,125は、外力を受けない限り、移動範囲の下端に維持される。下端に維持されたシャッタ124,125は、インクカートリッジ30の被検出板部43、第1保護板部44及び第2保護板部45と当接可能である。つまり、シャッタ本体126,127及びガイド部128,129が、それぞれ被検出板部43、第1保護板部44及び第2保護板部45の移動経路に配置される。この下端に維持されたシャッタ124,125の姿勢が、第1姿勢である。
【0046】
インクカートリッジ30の第1保護板部44及び第2保護板部45がガイド部128,129に当接し、更にインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿入されると、シャッタ124,125は、コイルバネ133の付勢力に抗して上方へ押し上げられる。シャッタ124,125が第1保護板部44及び第2保護板部45に完全に乗り上がった状態が、第2姿勢である。第2姿勢では、シャッタ124,125は、被検出板部43と当接し得ない。
【0047】
[インクカートリッジ30の装着]
カートリッジ装着部110に装着されているインクカートリッジ30のインクが使い切られると、プリンタ10は、光センサ114の出力信号に基づいて、インクが無いことをディスプレイの表示などにより報知する。ユーザは、この報知に基づいて、インクカートリッジ30を交換すべきタイミングを知る。インクカートリッジ30の交換においては、使用済みのインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から脱抜され、新しいインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿入される。
【0048】
図5,6に示されるように、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が挿入されると、第2位置において、シャッタ124,125のガイド部128,129にインクカートリッジ30の第1保護板部44及び第2保護板部45がそれぞれ当接する。そして、インクカートリッジ30が更に挿入されると、第1保護板部44及び第2保護板部45の各角部がガイド部128,129の各下面130,131に沿って摺動し、最終的には各ガイド部128,129が第1保護板部44及び第2保護板部45にそれぞれ乗り上がることにより、シャッタ124,125がコイルバネ133の付勢力に抗して上方へ移動される。つまり、シャッタ124,125が第1姿勢から第2姿勢に姿勢変化される。これにより、シャッタ本体126,127は、インクカートリッジ30の被検出板部43の移動経路から上方へ退避した状態となり、被検出板部43と当接し得ない。
【0049】
図7,8に示されるように、インクカートリッジ30が更に挿入されると、第1位置において、被検出板部43が光センサ113に検出され得る状態となる。つまり、光センサ113の発光部115が被検出板部43と第1保護板部44との間に進入し、受光部116が被検出板部43と第2保護板部45との間に進入する。これにより、発光部115から受光部116への光路に被検出板部43が進入するので、発光部115の拡散赤外光が被検出板部43により遮光又は減衰され、その光強度(輝度)が受光部116において電気信号に変換されて出力される。被検出板部43の検出の有無により、例えば、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着されたことの検知や、インクカートリッジ30の種別の判定が行われる。これらの判定は公知の手法が採用され得る。
【0050】
インクカートリッジ30の第1保護板部44及び第2保護板部45は、落下や衝突などに対して被検出板部43を保護している。仮に、落下や衝突などによって第1保護板部44が破損していれば、図9に示されるように、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が挿入されると、第2位置において、第2保護板部45はシャッタ125のガイド部129に当接して、シャッタ125を上方へ押し上げるが、第1保護板部44がシャッタ124のガイド部128に当接しない。したがって、シャッタ124は、コイルバネ133に付勢されて第1姿勢に維持される。シャッタ124が第1姿勢の状態において、インクカートリッジ30が更にカートリッジ装着部110へ挿入されると、被検出板部43がシャッタ124のシャッタ本体126に当接する。これにより、被検出板部43を光センサ113の検出位置(第1位置)へ到達するようにインクカートリッジ30を更に進めることができなくなるので、被検出板部43が変形していたとしても、光センサ133に衝突することがない。
【0051】
[本実施形態の作用効果]
前述されたように、落下や衝突などによって第1保護板部45又は第2保護板部46が破損又は変形していれば、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が挿入される過程において、被検出板部43がシャッタ124,125のシャッタ本体126,127に当接してインクカートリッジ30を更に進めることができなくなるので、被検出板部43が光センサ113に衝突することがない。これにより、被検出板部43との当接による光センサ113の破損が防止される。
【0052】
なお、本実施形態においては、被検出板部43が第1保護板部45及び第2保護板部46により挟まれるようにして保護されており、第1保護板部45又は第2保護板部46のいずれか一方が破損又は変形していれば、カートリッジ装着部110へインクカートリッジ30が挿入される過程において、シャッタ124,125のいずれか一方が第1姿勢から第2姿勢へ姿勢変化しないので、被検出板部43がシャッタ124,125のいずれか一方に当接するが、仮に、第1保護板部45又は第2保護板部46の一方のみしかインクカートリッジ30に設けられていない態様であれば、シャッタ124,125も、対応するいずれか一方のみが設けられていればよい。
【0053】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態を説明する。
【0054】
第2実施形態は、前述された第1実施形態において、カートリッジ装着部110に設けられたシャッタ124,125に代えて、シャッタ135及びロック部材136,137が設けられている点のみが相違する。したがって、プリンタ10の主たる構成やインクカートリッジ30の構成は第1実施形態と同様なので、ここでは、これらの詳細な説明が省略され、シャッタ135及びロック部材136,137の詳細な構成が説明される。
【0055】
シャッタ135及びロック部材136,137のは、前述されたシャッタ124,125と同様に、カートリッジ装着部110の内部空間における天井となる上壁に設けられている。シャッタ135及びロック部材136,137は、光センサ113より開口112側に配置されている。シャッタ135が第3シャッタに相当する。
【0056】
図10に示されるように、シャッタ135は、シャッタ本体135と軸139とを有する。シャッタ本体135は、T字形状をした平板である。シャッタ本体135の上端側において外側へそれぞれ突出する部分が、ロック部材136,137と当接し得る当接部140,141である。シャッタ本体135の下端側であって、当接部140,141より幅方向の内側となる部分が、インクカートリッジ30の被検出板部43と当接し得るシャッタ部142である。
【0057】
軸139は、当接部140,141より下端側において幅方向へシャッタ本体135を貫通して延びている。各図には現れていないが、シャッタ本体135は、軸139を介してカートリッジ装着部110のフレームに回転自在に支持されている。シャッタ本体135が軸139周りに回転することによって、シャッタ部142がインクカートリッジ30の被検出板部43の移動経路に対して進退する。シャッタ部142が鉛直下方へ延びている状態において(図12参照)、シャッタ部142が被検出板部42の移動経路に位置する。シャッタ部142が水平方向へ延びている状態において(図11参照)、シャッタ部142が被検出板部43の移動経路から外れる。
【0058】
ロック部材136,137は、シャッタ135より開口112側に配置されて、上下方向104,105へそれぞれ移動可能である。各ロック部材136,137は、上下が逆となったL字形状に屈曲された角柱形状である。各ロック部材136,137において、水平方向へ延びる部分の端部146,147は、シャッタ本体135の当接部140,141と対向しており、当接部140,141とそれぞれ当接し得る。各ロック部材136,137の端部146,147がシャッタ本体135の当接部140,141に当接することにより、シャッタ本体135の回転が制止されて、シャッタ本体135は、シャッタ部142が下方へ延びる状態に維持される。
【0059】
ロック部材136,137において、鉛直下方へ延びる部分の端面148,149は、開口112へ向かって下から上へ向かう傾斜面である。各端面148,149の位置は、インクカートリッジ30の第1保護板部44及び第2保護板部45に対応している。したがって、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿入されると、第1保護板部44及び第2保護板部45は、端面148,149にそれぞれ当接する。各端面148,149に、インクカートリッジ30の第1保護板部44及び第2保護板部45がそれぞれ当接し、更にインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿入されることにより、各端面148,149がガイド面となってロック部材136,137が上方へ押し上げられる。
【0060】
なお、図示されていないが、ロック部材136,137は、前述されたコイルバネ133と同様のコイルバネによって、それぞれが下方へ付勢されている。したがって、上下方向へ移動可能な各ロック部材136,137は、外力を受けない限り、移動範囲の下端に維持される。ロック部材136,137が移動範囲の下端に維持された状態が、第3姿勢及び第5姿勢である。下端に維持されたロック部材136,137の各端部146,147は、前述されたように、シャッタ本体135の当接部140,141に当接する。つまり、ロック部材136,137によって、シャッタ本体135が、シャッタ部142を被検出板部43の移動経路に配置した状態に維持される。
【0061】
インクカートリッジ30の第1保護板部44及び第2保護板部45により、ロック部材136,137がコイルバネの付勢力に抗して上方へ押し上げられると、各端部146,147は、シャッタ本体135の当接部140,141より上側に位置され、シャッタ本体135が如何なる回転姿勢であっても、当接部140,141とは当接し得ない。この状態において、シャッタ本体135は軸139周りに回転自在である。ロック部材136,137の端部146,147が当接部140,141より上側に移動された状態が、第4姿勢及び第6姿勢である。
【0062】
[インクカートリッジ30の装着]
第1実施形態と同様にして、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が挿入されると、第2位置において、ロック部材136,137の端面148,149にインクカートリッジ30の第1保護板部44及び第2保護板部45がそれぞれ当接する。そして、インクカートリッジ30が更に挿入されると、第1保護板部44及び第2保護板部45の各角部が端面148,149に沿って摺動し、最終的には各ロック部材136,137が第1保護板部44及び第2保護板部45にそれぞれ乗り上がることにより、ロック部材136,137がコイルバネの付勢力に抗して上方へ移動される。つまり、ロック部材136,137が第3姿勢及び第5姿勢から第4姿勢及び第6姿勢に姿勢変化される。これにより、シャッタ本体138は、軸139周りに回動自在となる。
【0063】
図11に示されるように、インクカートリッジ30が更に挿入されると、被検出板部43がシャッタ本体138のシャッタ部142に当接する。そして、インクカートリッジ30が更に挿入されると、シャッタ部142が被検出板部43に乗り上がることにより、シャッタ本体138が軸139周りに回転する。これにより、被検出板部43を光センサ113側へ向かうように、更にインクカートリッジ30を挿入可能となる。
【0064】
更にインクカートリッジ30が挿入されると、第1位置において、被検出板部43が光センサ113に検出され得る状態となる。つまり、光センサ113の発光部115が被検出板部43と第1保護板部44との間に進入し、受光部116が被検出板部43と第2保護板部45との間に進入する。これにより、発光部115から受光部116への光路に被検出板部43が進入するので、発光部115の拡散赤外光が被検出板部43により遮光又は減衰され、その光強度の変化が受光部116から電気信号の変化として出力される。被検出板部43の検出の有無により、例えば、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着されたことの判定や、インクカートリッジ30の種別の判定が行われる。
【0065】
インクカートリッジ30の第1保護板部44及び第2保護板部45は、落下や衝突などに対して被検出板部43を保護している。仮に、落下や衝突などによって第1保護板部44が破損していれば(図9参照)、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が挿入されると、第2保護板部45はロック部材137の端面149に当接して、ロック部材137を上方へ押し上げるが、第1保護板部44がロック部材136の端面148に当接しない。したがって、図12に示されるように、シャッタ本体138は、当接部140がロック部材136の端部146と当接した状態となり、ロック部材136によりシャッタ本体138の回転が制止された状態に維持される。そうすると、インクカートリッジ30が更にカートリッジ装着部110へ挿入されると、被検出板部43がシャッタ本体138のシャッタ部142に当接する。これにより、被検出板部43を光センサ113の検出位置(第1位置)へ到達するようにインクカートリッジ30を更に進めることができなくなるので、被検出板部43が変形していたとしても、光センサ133に衝突することがない。
【0066】
このような第2実施形態によっても、前述された第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0067】
なお、第2実施形態においては、2つのロック部材136,137により1つのシャッタ本体138の回転が制止され得る構成であるが、シャッタ本体が2つ設けられており、2つのロック部材136,137によりそれぞれ回転が制止される構成であってもよい。また、第1保護板部45又は第2保護板部46の一方のみしかインクカートリッジ30に設けられていない態様であれば、ロック部材136,137も、対応するいずれか一方のみが設けられていればよい。
【符号の説明】
【0068】
10・・・プリンタ(記録装置)
30・・・インクカートリッジ
36・・・インク室
43・・・被検出板部
44・・・第1保護板部
45・・・第2保護板部
110・・・カートリッジ装着部
112・・・開口
113・・・光センサ
115・・・発光部
116・・・受光部
124・・・シャッタ(第1シャッタ)
125・・・シャッタ(第2シャッタ)
128・・・ガイド部(第1ガイド部)
129・・・ガイド部(第2ガイド部)
136・・・ロック部材(第1ロック部材)
137・・・ロック部材(第2ロック部材)
142・・・シャッタ(第3シャッタ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを貯留するインク室と、挿入方向に延出され、カートリッジ装着部へ挿入される第1過程又はカートリッジ装着部から脱抜される第2過程の少なくとも一方において光学的に検出される被検出板部と、上記被検出板部に対して挿入方向と交差する方向へ所定間隔が隔てられて配置された第1保護板部と、を有するインクカートリッジが、開口を介してカートリッジ装着部に挿抜可能である記録装置であって、
上記カートリッジ装着部は、
上記第1過程における第1位置において上記被検出板部と上記第1保護板部との間に位置する発光部又は受光部を有する光センサと、
上記インクカートリッジが挿入される挿入向きにおいて上記発光部又は上記受光部より上記開口側に配置されており、上記第1保護板部に接触可能な第1姿勢、及び上記被検出板部の移動経路から外れた第2姿勢に移動可能な第1シャッタと、を有し、
上記第1シャッタは、
上記第1位置より上記開口側の第2位置において、上記第1保護板部と当接し、当該第1シャッタを第1姿勢から第2姿勢へ移動させる第1ガイド部を有し、上記第1姿勢において、少なくとも一部が、上記第1位置と上記第2位置との間であって上記被検出板部の移動経路に配置されるものである記録装置。
【請求項2】
上記インクカートリッジは、上記第1保護板部に対して上記被検出板部を挟んで対称な位置に配置された第2保護板部を更に有し、
上記光センサは、上記第1過程における上記第1位置において上記被検出板部と上記第2保護板部との間に進入する受光部又は発光部を更に有し、
上記カートリッジ装着部は、上記インクカートリッジが挿入される挿入向きにおいて上記発光部又は上記受光部より上記開口側に配置されており、上記第1保護板部に接触可能な第1姿勢、及び上記被検出板部の移動経路から外れた第2姿勢に移動可能な第2シャッタ、を更に有し、
上記第2シャッタは、
上記第2位置において、上記第2保護板部と当接し、当該第2シャッタを第1姿勢から第2姿勢へ移動させる第2ガイド部を有する請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
インクを貯留するインク室と、挿入方向に延出され、カートリッジ装着部へ挿入される第1過程又はカートリッジ装着部から脱抜される第2過程の少なくとも一方において光学的に検出される被検出板部と、上記被検出板部に対して挿入方向と交差する方向へ所定間隔が隔てられて配置された第1保護板部と、を有するインクカートリッジが、開口を介してカートリッジ装着部に挿抜可能である記録装置であって、
上記カートリッジ装着部は、
上記第1過程における第1位置において上記被検出板部と上記第1保護板部との間に位置する発光部又は受光部を有する光センサと、
上記インクカートリッジが挿入される挿入向きにおいて上記発光部又は上記受光部より上記開口側に配置されており、上記第1保護板部に接触可能な第3姿勢、及び第1過程における上記第1保護板部の移動経路から外れた第4姿勢に移動可能な第1ロック部材と、
上記第3姿勢の上記第1ロック部材により上記被検出板部の移動経路に維持され、上記第1ロック部材が上記第4姿勢であるときに、上記被検出板部の移動経路から外れ得る第3シャッタと、を有する記録装置。
【請求項4】
上記インクカートリッジは、上記第1保護板部に対して上記被検出板部を挟んで対称な位置に配置された第2保護板部を更に有し、
上記光センサは、上記第1過程における上記第1位置において上記被検出板部と上記第2保護板部との間に進入する受光部又は発光部を更に有し、
上記カートリッジ装着部は、上記インクカートリッジが挿入される挿入向きにおいて上記発光部又は上記受光部より上記開口側に配置されており、上記第2保護板部に接触可能な第5姿勢、及び第1過程における上記第2保護板部の移動経路から外れた第6姿勢に移動可能な第2ロック部材と、
上記第3シャッタは、第5姿勢の上記第2ロック部材により上記被検出板部の移動経路に維持され、上記第2ロック部材が上記第6姿勢であるときに、上記被検出板部の移動経路から外れ得るものである請求項3に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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