説明

記録装置

【課題】付着部にインクを残存しにくくする。
【解決手段】プリンタは、搬送ベルト8と、乾燥部13と、乾燥部13の加熱ローラ14からの熱を搬送ベルト8に伝達する伝達ローラ17,18と、インクの付着部である搬送ベルト8、乾燥部13、伝達ローラ17,18と当接する第1〜第5ブレード61〜65と、加熱ローラ14を加熱するハロゲンランプ16と、これらを制御する制御装置とを含んでいる。制御装置は、付着部の温度が水の沸点以上である否かを判定する判定部を含んでいる。そして、判定部が付着部の温度が水の沸点以上であると判定した後に、付着部が第1〜第5ブレードの少なくともいずれかにより払拭されるワイピング動作が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を記録する記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インクを吐出する記録ヘッドと、記録媒体を搬送する搬送ベルト(付着部)と、ブレード(当接部)とを有し、搬送ベルトに付着したインクをブレードで払拭する記録装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−76863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術においては、記録ヘッドから吐出されるインクが水溶性インク(水・潤湿剤・着色剤等を含む)の場合、水の分子間力が高いため、インクの付着部への密着力が高くなる。このため、当接部によって付着部が払拭されてもインクが付着部から除去されにくく、インクが付着部に残存する問題が生じ得る。
【0005】
そこで、本発明の目的は、付着部にインクが残存しにくくなる記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の記録装置は、水溶性のインクを吐出する吐出面を有し、記録媒体にインクを吐出して画像を記録する記録ヘッドと、前記記録ヘッドから吐出されたインクが付着する付着部と、前記付着部に当接可能な当接部分を有する当接部と、前記付着部を加熱する加熱手段と、前記付着部の温度が水の沸点以上であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が前記付着部の温度が水の沸点以上であると判定した後に、少なくとも、前記当接部分が前記付着部に当接しつつ前記付着部に対して相対移動する払拭動作が行われるように、前記当接部及び前記付着部の少なくとも一方を駆動する払拭手段とを備えている。なお、付着部は、記録ヘッドから吐出されたインクが直接的に付着するもの、及び、インクが直接的に付着したものと接触することによって間接的に付着するもの、の少なくともいずれか一方である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の記録装置によると、付着部の温度を水の沸点以上にして付着部に付着したインクを加熱することで、インクから分子間力の高い水を蒸発させる。すると、インクの付着部への付着力が低下する。このため、付着部に付着したインクが当接部分によって除去されやすくなり、付着部にインクが残存しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態によるインクジェットプリンタの全体的な構成を示す概略側面図である。
【図2】加熱機構、乾燥部、払拭機構を示す側面図である。
【図3】ヘッド及び環状部材を示す概略図である。
【図4】プリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【図5】インク除去評価を行う際の概略構成図である。
【図6】プリンタの制御装置が実行する内容を示すフローチャートである。
【図7】パージ動作、及び、第3ワイピング動作を説明するための動作状況図である。
【図8】本発明の第2実施形態によるインクジェットプリンタの要部側面図である。
【図9】本発明の第2実施形態によるインクジェットプリンタのパージ動作、及び、第4,5ワイピング動作を説明するための動作状況図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
先ず、図1及び図2を参照し、本発明に係る記録装置の第1実施形態としてのインクジェットプリンタ1の全体構成について説明する。
【0011】
プリンタ1は、直方体形状の筐体1aを有する。筐体1aの天板上部には、排紙部31が設けられている。筐体1aにより画定される空間には、後述の給紙ユニット1cから排紙部31に向けて、図1に示す太矢印に沿って、用紙Pが搬送される用紙搬送経路が形成されている。
【0012】
筐体1aは、ブラックインクを吐出するインクジェットヘッド10(以下、ヘッド10と称する)、ヘッド10を昇降させるヘッド昇降機構33(図4参照)、用紙Pを搬送する搬送機構11と、加熱機構19と、払拭機構60(図2、7参照)、カートリッジ4、プリンタ1の各部の動作を制御する制御装置100等を収容している。カートリッジ4は、ヘッド10に供給されるブラックインクが貯留されている。
【0013】
本実施形態におけるブラックインクには、水溶性のインクが採用されており、着色剤、分散剤、湿潤剤、浸透剤及び水などを含んでいる。インク組成物の含有量は、水が49重量%、湿潤剤としてのグリセリンが40重量%とその大半を占めている。そして、着色剤としての顔料(カーボンブラック)が5重量%、分散剤としてのナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩が3重量%、浸透剤としてのエタノールが3重量%となっている。
なお、インク組成物は、上述以外の組成物から構成されていてもよい。例えば、着色剤には、染料が採用されていてもよい。分散剤には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース等の水溶性高分子、ポリオキシエチレン類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類等の非イオン界面活性剤、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類等の陰イオン界面活性剤等が採用されていてもよい。湿潤剤には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、N?メチル?2?ピロリドン、1,3?ジメチルイミダゾリジノン等の含窒素有機溶媒等が採用されていてもよい。浸透剤には、2−エチルー1.3ヘキサンジオール、2、2、4−トリメチル1、3ペンタンジオール等が採用されていてもよい。
【0014】
制御装置100は、外部装置から供給された画像データに基づいて、搬送機構11、ヘッド10などを制御して記録動作を行う。ここで記録動作とは、プリンタ1の各部による用紙Pの搬送動作、及び、用紙Pの搬送に同期したインクの吐出動作等をいう。制御装置100は、各メンテナンス指令に基づいて、搬送機構11、加熱機構19、払拭機構60、キャップ昇降機構41などを制御し、メンテナンスを行う。ここで、メンテナンスとは、ヘッド10からインクを強制排出するパージ動作や、ヘッド10の吐出面10aを覆うキャッピング動作や、搬送ベルト8の表面8a上のインクを払拭する第1ワイピング動作や、乾燥部13及び伝達ローラ17,18からインクを払拭する第2ワイピング動作や、環状部材40(後述する)の先端からインクを払拭する第3ワイピング動作などをいう。第1〜第3動作は、払拭動作の一例である。メンテナンスの具体的な内容については後述する。
【0015】
ヘッド10は、主走査方向に長尺なライン式であり、略直方体の外形形状を有する。ヘッド10は、フレーム3に支持されている。ヘッド10は、可撓性チューブ(不図示)を介してカートリッジ4と接続される。そして、カートリッジ4からヘッド10にインクが供給される。ヘッド10の下面は多数の吐出口(不図示)が開口した吐出面10aとなっており、ヘッド10の内部にはカートリッジ4から供給されたインクが吐出口に至るまでの流路が形成されている。
【0016】
なお、カートリッジ4内のインクは、記録時においてヘッド10側の負圧により自動的に吸引される。また、チューブの途中部位にはポンプ34(図4参照)が設けられており、パージするときに、制御装置100の制御によってポンプ34が駆動される。ポンプ34が駆動されると、カートリッジ4内のインクがヘッド10の内部流路に強制的に送られ、流路内のインクに圧力が付与される。こうして、ヘッド10の吐出口からインクがパージされる。フレーム3には、ヘッド10の下端外周を囲む環状部材40が設けられている。
【0017】
図3に示すように、環状部材40は、ゴム等の弾性材料からなり、平面視で吐出面10aの外周を囲む環形状を有する。環状部材40の下端には、断面視逆三角形状の突出部40aが形成されている。
【0018】
環状部材40は、キャップ昇降機構41により上下に昇降可能である。キャップ昇降機構41は、複数のギア41Gと、これらギア41Gを駆動する駆動モータ41M(図4参照)とを有しており、これらのギア41Gの駆動により環状部材40が鉛直方向に昇降する。この昇降によって、環状部材40は、突出部40aが吐出面10aよりも上方に位置する上昇位置(図7(a)参照)と、突出部40aが吐出面10aよりも下方に位置する下降位置(図7(b)、(c)参照)とを取り得る。なお、ヘッド10が記録位置(後述する)にあるときに、環状部材40が下降位置に配置されると、図3に示すように、突出部40aが表面8aと当接する。
【0019】
制御装置100は、キャッピング中には環状部材40が下降位置を取り、キャッピングを行わないときは環状部材40が上昇位置を取るように、キャップ昇降機構41(駆動モータ41M)を制御する。キャッピング中、図3に示すように、表面8aに突出部40aの先端が当接することによって吐出面10aを封止する。すなわち、吐出面10aと表面8aとの間に形成される吐出空間V1が、外部空間V2から隔離される。これにより、吐出面10aの吐出口近傍のインクの乾燥が抑制される。一方、制御装置100が、環状部材40が上昇位置を取るように、キャップ昇降機構41を制御することで、吐出空間V1が、外部空間V2に開放された非封止状態となる。また、制御装置100は、第3ワイピング動作中に、環状部材40が下降位置をとるように制御する。
【0020】
ヘッド昇降機構33は、制御装置100の制御により、フレーム3を鉛直方向に沿って昇降させ、ヘッド10を記録位置とワイピング位置の間で移動させる。記録位置では、図7(a)に示すように、ヘッド10が搬送ベルト8と記録に適した間隔で対向する。ワイピング位置では、図7(b)に示すように、ヘッド10が搬送ベルト8から記録位置以上の間隔で離隔する。ヘッド10がワイピング位置にあるとき、ワイパ67a(後述する)により環状部材40が払拭される。
【0021】
搬送機構11は、給紙ユニット1c、ガイド29、送りローラ対22〜24、ベルトユニット12、及び、乾燥部13等を有しており、給紙ユニット1cから排紙部31までの用紙搬送経路を構成している。これら給紙ユニット1c、送りローラ対22〜24、ベルトユニット12、及び、乾燥部13は、制御装置100により制御される。
【0022】
給紙ユニット1cは、給紙トレイ20及び給紙ローラ21を有する。給紙トレイ20は、上方に開口する箱であり、用紙Pを収容可能である。給紙ローラ21は、制御装置100の制御によって給紙モータ21M(図4参照)が駆動されることで回転し、給紙トレイ20の最も上方にある用紙Pを送り出す。給紙ローラ21によって送り出された用紙Pは、ガイド29によりガイドされ且つ送りローラ対22によって挟持されつつベルトユニット12へと送られる。このとき、制御装置100の制御によって送りモータ22M(図4参照)が駆動されることで送りローラ対22が回転し、送りローラ対22によって挟持された用紙Pが搬送される。
【0023】
ベルトユニット12は、2つのベルトローラ6、7と、両ベルトローラ6、7間に巻回されヘッド10の吐出面10aと対向する位置を通過する表面(対向面)8aを有するエンドレスの搬送ベルト8(搬送部材)と、搬送ベルト8の外側に配置されたニップローラ26とを有する。搬送ベルト8は、エチレンプロピレンゴム(EDPM)などのゴム素材でできた基材の表面にシリコン処理を施すことによって形成されており、当該シリコン処理が施され粘着性を有する面が表面8aとなっている。
【0024】
ベルトローラ7は、駆動ローラであって制御装置100によって駆動された搬送モータ7M(図4参照)によって回転し、図1中時計回りに回転する。ベルトローラ7の回転に伴い、搬送ベルト8が走行する。ベルトローラ6は、従動ローラであって、搬送ベルト8が走行するのに伴って、図1中時計回りに回転する。
【0025】
ニップローラ26は、ベルトローラ6と対向する位置に配置されており、用紙Pを搬送ベルト8の表面8aに対して押さえ付ける。押さえ付けられた用紙Pは、表面8a上に保持されたまま吐出面10aと対向する位置を通過するように、搬送される。用紙Pがヘッド10の真下(吐出面10aと対向する位置)を通過する際に、制御装置100の制御によりヘッド10が駆動され、吐出面10aの吐出口から用紙Pの表面(記録面)に向けてインクが吐出されることで、用紙P上に画像が記録される。吐出口からのインク吐出動作は、センサ32からの検出信号に基づき、制御装置100の制御によって行われる。その後、ベルトユニット12によって、用紙Pは乾燥部13に搬送される。
【0026】
乾燥部13は、図2に示すように、互いに回転軸が平行となるように対向して配置された加熱ローラ14及び加圧ローラ15からなる。加熱ローラ14は、金属製(例えば、アルミニウム金属)の円筒部材からなる。また、加熱ローラ14は、制御装置100によって駆動された駆動モータ14M(図4参照)によって図2中反時計回りに回転する。加圧ローラ15は、加熱ローラ14に下方から圧接しており、加熱ローラ14の回転駆動に伴って従動回転するようになっている。また、加熱ローラ14及び加圧ローラ15は、主走査方向に関する長さが搬送ベルト8の幅とほぼ同じになっている。また、加熱ローラ14及び加圧ローラ15は、主走査方向に関して、加熱ローラ14及び加圧ローラ15の中心と、搬送ベルト8の中心とがほぼ一致するように配置されている。
【0027】
ベルトユニット12によって搬送された用紙Pは、乾燥部13によってさらに搬送される。乾燥部13から搬送された用紙Pは、ガイド29によりガイドされ且つ送りローラ対23,24によって挟持されつつ上方に搬送され、筐体1a上部に形成された開口30から排紙部31へと排出される。このとき、制御装置100の制御によって送りローラ対23、24用の送りモータ23M、24M(図4参照)が駆動されることで送りローラ対23、24が回転し、用紙Pが搬送される。
【0028】
加熱機構19は、加熱ローラ14の内部に配置されたハロゲンランプ(加熱体)16と、2つの伝達ローラ(伝達部)17,18とを有している。ハロゲンランプ16は、制御装置100の制御によって、加熱ローラ14全体を所定温度まで加熱する。本実施形態における制御装置100は、用紙Pに画像を記録する記録動作を行うときに第1所定温度(例えば、80℃)まで加熱ローラ14を加熱するように、ハロゲンランプ16を制御する。また、制御装置100は、第1〜第3ワイピング動作を行うときに第2所定温度(例えば、120℃)まで加熱ローラ14を加熱するように、ハロゲンランプ16を制御する。このように加熱機構19と制御装置100によって、加熱手段が構成されている。なお、変形例として、制御装置100は、記録動作のときも第1〜第3ワイピング動作のときにも、同じ温度(例えば、第2所定温度)まで加熱ローラ14を加熱するように、ハロゲンランプ16を制御してもよい。これによると、記録動作のとき、用紙Pの乾燥を迅速に行うことができる。
【0029】
伝達ローラ17,18は、回転軸が加熱ローラ14の回転軸と平行になるように配置され、主走査方向の長さが加熱ローラ14と同じである。また、伝達ローラ17,18も、金属製(例えば、アルミニウム金属)からなり、主走査方向に関して、伝達ローラ17,18の中心と搬送ベルト8の中心とがほぼ一致するように配置されている。伝達ローラ17は、加熱ローラ14及び伝達ローラ18の外周面と接触するように配置されており、加熱ローラ14の熱を伝達ローラ18に伝達する。伝達ローラ18は、その外周面が搬送ベルト8の表面8aと接触するように配置されており、加熱ローラ14からの熱を伝達する。これにより、ハロゲンランプ16によって加熱ローラ14が加熱されると、これら伝達ローラ17,18によって表面8aも加熱することが可能となり、表面8aに付着したインクの水分を短時間で蒸発させることができる。
【0030】
なお、伝達ローラ17は、加熱ローラ14の回転に伴って従動回転する。伝達ローラ17は、伝達ローラ18及び加熱ローラ14よりもわずかに上方に配置されている。つまり、伝達ローラ17は、搬送される用紙Pとは接触しない位置に配置されている。伝達ローラ18は、搬送ベルト8が走行している場合は、その搬送ベルト8の走行に伴って従動回転する。このとき、伝達ローラ18は、伝達ローラ17に対してスリップする。これにより、搬送ベルト8の走行が加熱ローラ14の回転に影響せず、又は、加熱ローラ14の回転が搬送ベルト8の走行に影響しなくなる。
【0031】
この構成において、制御装置100の制御によって加熱ローラ14が加熱された状態で回転駆動されているときに、画像が記録された用紙Pが乾燥部13に向かって搬送されると、まずは、伝達ローラ18によって用紙Pの記録面に熱が加えられる。これにより、用紙Pに吐出されたインク中の水分が蒸発して用紙Pの乾燥が促進される。その後、用紙Pが、乾燥部13の加熱ローラ14及び加圧ローラ15によって挟持されつつ加熱され、用紙Pの記録面にさらに熱が加えられる。これにより、用紙Pに吐出されたインクが乾燥する。このように本実施形態においては、乾燥部13の熱を搬送ベルト8の表面8aに伝達する伝達ローラ18も、用紙Pを乾燥させる乾燥部としての機能を有している。
【0032】
加熱ローラ14には、温度センサ38(図4参照)が取り付けられている。温度センサ38は、ハロゲンランプ16によって加熱された加熱ローラ14の表面温度を計測し、制御装置100に出力する。
【0033】
払拭機構60は、図2に示すように、第1〜第5ブレード(当接部)61〜65と、これら第1〜第5ブレード61〜65のそれぞれを支持する支持部61a〜65aと、制御装置100の制御によって支持部61a〜65aを回動させるモータ61M〜65Mとを有している。各ブレード61〜65は、ゴム等の弾性材料からなり、主走査方向に延在する板状部材である。各ブレード61〜65の主走査方向の長さはいずれも同じであり、搬送ベルト8の幅とほぼ同じである。第1ブレード61は、搬送ベルト8の近傍であって支持部61aが回動することで第1ブレード61の先端が搬送ベルト8に当接可能な位置に配置されている。第2ブレード62は、加圧ローラ15の近傍であって支持部62aが回動することで第2ブレード62の先端が加圧ローラ15に当接可能な位置に配置されている。第3ブレード63は、加熱ローラ14の近傍であって支持部63aが回動することで第3ブレード63の先端が加熱ローラ14に当接可能な位置に配置されている。第4,5ブレード64,65は伝達ローラ17,18の近傍であって支持部64a,65aが回動することで第4、5ブレード64、65の先端が伝達ローラ17,18にそれぞれ当接可能な位置に配置されている。
【0034】
この構成において、制御装置100の制御によってモータ61M〜65Mが駆動されると、第1〜第5ブレード61〜65が、離隔位置(図2(a)に示す位置)と、当接位置(図2(b)に示す位置)との間において揺動するように、支持部61a〜65aが回動する。離隔位置は、第1〜第5ブレード61〜65の先端(当接部分)と搬送ベルト8の表面8a、加圧ローラ15、加熱ローラ14及び伝達ローラ17,18とがそれぞれ離隔する離隔状態(図2(a)に示す状態)をとるときの第1〜第5ブレード61〜65の位置である。当接位置は、第1〜第5ブレード61〜65の先端と搬送ベルト8の表面8a、加圧ローラ15、加熱ローラ14及び伝達ローラ17,18とがそれぞれ当接する当接状態位置(図2(b)に示す状態)をとるときの第1〜第5ブレードの位置である。つまり、搬送ベルト8の表面8a、加圧ローラ15、加熱ローラ14及び伝達ローラ17,18に付着したインクを払拭するときに、各ブレード61〜65が当接位置に位置付けられ、当該払拭が終了したら各ブレード61〜65が離隔位置に位置付けられる。そして、第1〜第5ブレード61〜65が当接位置にある状態で、搬送モータ7M、駆動モータ14Mが駆動することで、第1〜第5ブレード61〜65が搬送ベルト8、加熱ローラ14、加圧ローラ15、伝達ローラ17、18に対してそれぞれ相対移動して、これらを払拭する。このように、支持部61a〜65a、モータ61M〜65M、制御装置100によって、払拭手段の一部が構成されている。また、搬送機構11に含まれる搬送モータ7M、駆動モータ14Mは払拭手段としての役割も果たしている。
【0035】
また、払拭機構60は、ワイパ(当接部)67a(図7参照)と、ワイパ67aを主走査方向に往復移動させるワイパ移動機構68(図4参照)とを有している。ワイパ67aは、ヘッド10に対して図1の紙面奥側の位置を待機位置として、制御装置100によってワイパ移動機構68が制御されることで、主走査方向に移動可能である。ワイパ67aも板状部材であって、各ブレード61〜65と同様の材質からなる。また、ワイパ67aは、ヘッド10がワイピング位置にあって環状部材40が下降位置にあるときに、ワイパ67aが主走査方向に移動すると、ワイパ67aの上端(当接部分)が環状部材40に接触可能なように、ワイパ移動機構68に支持されている。これにより、環状部材40に付着したインクがワイパ67aによって除去される。ワイパ移動機構68、制御装置100もまた払拭手段の一部を構成している。
【0036】
次に、図4を参照し、プリンタ1の電気的構成について説明する。
【0037】
制御装置100は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)101に加えて、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory:不揮発性RAMを含む)103、ASIC(Application Specific Integrated Circuit )104、I/F(Interface)105、I/O(Input/Output Port)106等を有する。ROM102には、CPU101が実行するプログラム、各種固定データ等が記憶されている。RAM103には、プログラム実行時に必要なデータが一時的に記憶される。ASIC104では、画像データの書き換え、並び替え等(例えば、信号処理や画像処理)が行われる。I/F105は、外部装置(プリンタ1に接続されたPC等)とのデータ送受信を行う。I/O106は、各種センサの検出信号の入力/出力を行う。
【0038】
制御装置100は、各モータ7M,14M,21M,22M〜24M,41M,61M〜65M、用紙センサ32、ヘッド昇降機構33、ワイパ移動機構68、ポンプ34、温度センサ38、ハロゲンランプ16、及び、ヘッド10の制御基板等に接続されている。
【0039】
制御装置100は、図1に示すように、上述のハードウェアによって構築された判定部100aを有している。判定部(判定手段)101は、温度センサ38によって計測された温度(加熱ローラ14の表面温度)に基づいて、付着部の温度が水の沸点以上であるか否かを判定する。具体的には、計測された温度が第2所定温度(120℃)に到達すると、インクが付着する付着部である、加熱ローラ14、加圧ローラ15、伝達ローラ17,18、搬送ベルト8及び搬送ベルト8に当接した環状部材40の先端が、水の沸点以上に加熱されたとみなす。ここでいう、水の沸点は、1気圧における沸点である。
【0040】
これにより、判定部100aは、ハロゲンランプ16が加熱され始めてから温度センサ38によって計測された温度が第2所定温度に達すると、付着部の温度が水の沸点以上であると判定する。付着部の温度が水の沸点以上になると、付着したインクの水分が蒸発する。インク中に含まれる水分が大幅に減ると、インクの水分による分子間力が小さくなり、各ブレード61〜65及びワイパ67aによって付着部に付着したインクを掻き落とすことができる。一方、インク中に含まれる水分の多くが残留している状態では、インクと付着部との付着力が大きいため、ブレード61〜65及びワイパ67aで付着インクを掻き落とそうとしても当該インクの大部分がブレード61〜65及びワイパ67aと付着部との間をすり抜け、多くのインクが付着部に残存する。
【0041】
ここで、第1〜第3実施例及び第1〜第5比較例のインク除去評価について、以下に説明する。図5(a)に示すように、ヒータ上にアルミ板を設置し、当該アルミ板を所定の温度(表1参照)まで上昇させる。その後、当該温度を維持しつつアルミ板上にブラックインクを1滴(約20mg)塗布し、キムワイプ(日本製紙クレシア社製)にて約2500mmに延ばす。このとき、キムワイプにインクが若干吸収されるため、塗布した時点よりインク量は減少するが、各実施例及び比較例におけるアルミ板上のインク量はほぼ同じである。そして、ゴム硬度50°のゴム製のブレードをアルミ板の上面に対して45°傾けた状態で配置するとともに、ブレード先端が2mm程度撓んだ状態で、払拭方向に約30mm/secの速度で移動させて、アルミ板上のインクを払拭する。このときのインクの払拭は、アルミ板上にインクを延ばしてから5秒後に行う。
【0042】
その後、図5(b)に示すように、アルミ板上に載置した白紙(Xerox社製4200)上に、500gの錘を載せる。そして、白紙を30mm/secの速度で払拭方向と同方向に引きずる。その後、紙の汚れ具合を評価する。このときの評価は、紙のアルミ板に対向する面にインクがほとんど付着していない及び一部にインクが僅かに付着している程度を○、紙のアルミ板に対向する面の大部分に薄くインクが付着している状態を△、紙のアルミ板に対向する面の大部分に濃くインクが付着している状態を×、として評価する。このようなインク除去評価を各実施例及び比較例において実施した結果を表1に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
表1に示すように、アルミ板が水の沸点以上に加熱された第1〜第3実施例においては、いずれも○の評価となった。一方、アルミ板が水の沸点未満に加熱された第1〜第5比較例においては、×及び△の評価となった。このように、付着部であるアルミ板の温度が水の沸点以上になると、付着したインクの水分が短時間で蒸発するため、インクの水分による分子間力が小さくなり、アルミ板上からブレードでインクを掻き落とすことができる。一方、アルミ板の温度が水の沸点未満であると、インクの水分が多く残留しているので、インクとアルミ板との付着力が大きい。この結果、アルミ板上からブレードでインクを効果的に掻き落とすことができず、多くのインクがアルミ板に残存する。
【0045】
次に、図6、図7を参照し、制御装置100が実行する動作内容について説明する。以下の各処理は、ROM102に記憶されているプログラムにしたがって、CPU101が実行する。制御装置100は、図6に示すように、先ず、記録指令又はメンテナンス指令の受信の有無を判定する(ステップ1:S1)。記録指令は、用紙Pに対して記録動作が行われるときに受信される。メンテナンス指令は、パージ動作、第1〜第3ワイピング動作、及び、キャッピング動作が行われるときに受信される。一方、第1ワイピング動作は、パージ動作の後にも行われるが、単独でも実施可能な動作である。このため、第1ワイピング指令を受信すると、第1ワイピング動作のみが実行される。
【0046】
制御装置100は、ステップ1において、記録指令又はメンテナンス指令を受信しなければ(NO)、待機状態を継続する。制御装置100は、ステップ1において、記録指令又はメンテナンス指令を受信すると(YES)、ステップ2(S2)に進む。
【0047】
ステップ2において、制御装置100は、記録指令を受信したか否か判定する。このとき、制御装置100が記録指令を受信したときは、ステップ3(S3)に進む。一方、制御装置100がメンテナンス指令を受信したときは、ステップ4(S4)に進む。
【0048】
ステップ3において、制御装置100は記録動作を行う。具体的には、制御装置100は、給紙トレイ20からベルトユニット12、乾燥部13を経由して排紙部31まで用紙Pが搬送されるように、給紙モータ21M、送りモータ22M〜24M、搬送モータ7M及び駆動モータ14Mを制御する。このとき、制御装置100は、加熱ローラ14を第1所定温度まで加熱するようにハロゲンランプ16を制御する。そして、制御装置100は、用紙センサ32から出力された用紙Pの前端を検出する検出信号を受信してから所定時間経過後(すなわち、用紙Pがヘッド10の真下を通過するとき)に、画像データに基づく吐出信号をヘッド10に出力する。これによって、ヘッド10からインクが吐出され、用紙P上に画像が記録される。画像が記録された用紙Pは、まずは伝達ローラ18によって用紙Pの記録面に熱が加えられる。その後、さらに用紙Pの記録面が乾燥部13によって加熱され、用紙Pが乾燥する。用紙Pは、ガイド29によりガイドされ且つ送りローラ対23〜24によって挟持されつつ搬送され、排紙部31に排出される。
【0049】
そして、制御装置100は、用紙Pが排紙部31に排出された後、各モータ21M、22M〜24M、7M、14Mの駆動を停止するとともに、ハロゲンランプ16をOFFにする。こうして、記録動作が終了する。
【0050】
ステップ4において、制御装置100は、パージ指令を受信したか否かを判定する。このとき、制御装置100がパージ指令を受信したときは、ステップ5(S5)に進む。パージ指令は、ヘッド10の吐出口近傍のインクの水分蒸発により、吐出性能が低下した場合(例えば、所定日数が経過したとき)などに受信される。一方、制御装置100が第1〜第3ワイピング指令及びキャッピング指令のいずれかを受信したときは、ステップ7(S7)に進む。
【0051】
ステップ5において、制御装置100はパージ動作を行う。具体的には、制御装置100は、ポンプ34を駆動し、図7(a)に示すように、すべての吐出口から搬送ベルト8の表面8a上に所定量のインクを排出する。
【0052】
次に、ステップ6(S6)において、制御装置100は第1ワイピング動作を行う。具体的には、制御装置100は、加熱ローラ14を第2所定温度まで加熱するためにハロゲンランプ16を制御するとともに、図2(b)に示すように、第1ブレード61が搬送ベルト8の表面8aに当接する当接位置を取るようにモータ61Mを制御する。その後、制御装置100は、搬送モータ7Mを制御して搬送ベルト8を回転させる。これにより、パージによって搬送ベルト8の表面8aに付着したインクが、第1ブレード61によってある程度払拭される。また、このとき、伝達ローラ18は伝達ローラ17を介して加熱ローラ14によって加熱されており、伝達ローラ18と接触する搬送ベルト8の表面8aも加熱される。伝達ローラ18は、搬送ベルト8の走行によって表面8a全体と接触する。このため、搬送ベルト8全体が加熱される。そして、温度センサ38によって計測された温度が第2所定温度に達すると、判定部100aが搬送ベルト8の表面8aの温度が、水の沸点以上であると判定する。つまり、搬送ベルト8の表面8aに残存したインクが、搬送ベルト8からの熱及び伝達ローラ18からの熱によって加熱され、インクの水分が蒸発する。制御装置100は、表面8aの温度が水の沸点以上であると判定部100aが判定した後に、搬送ベルト8が1周以上回転してから停止するように、搬送モータ7Mを制御する。このように判定部100aが判定した後に第1ワイピング動作が継続されていることで、残存したインクが第1ブレード61によって表面8aから掻き落とされる(払拭される)。この後、制御装置100は、図2(a)に示すように、第1ブレード61が搬送ベルト8の表面8aから離隔する離隔位置を取るようにモータ61Mを制御するとともに、ハロゲンランプ16をOFFにする。こうして、第1ワイピング動作が終了する。
【0053】
変形例として、判定部100aが表面8aの温度が水の沸点以上であると判定した後に、制御装置100は、第1ブレード61の先端が搬送ベルト8の表面8aに当接する当接位置を取るようにモータ61Mを制御してもよい。これにより、搬送ベルト8の表面8aに付着したインクであって水分が蒸発したインクを、第1ブレード61によって表面8aから掻き落とすことが可能となる(第1ワイピング動作)。また、第1ブレード61の先端と、搬送ベルト8との接触時間が、判定部100aが判定するよりも前に両者が接触している場合と比較して短くなるので、第1ブレード61の先端の摩耗が抑制される。
【0054】
また、別の変形例として、第1ブレード61が搬送ベルト8の表面8aに常に当接していてもよい。これにおいても、制御装置100は、表面8aの温度が水の沸点以上であると判定部100aが判定した後に、搬送ベルト8が1周以上回転してから停止するように、搬送モータ7Mを制御する。したがって、残存したインクが第1ブレード61によって表面8aから掻き落とされる。
【0055】
ステップ7において、制御装置100は、第1ワイピング指令を受信したか否かを判定する。なお、第1ワイピング指令は、ヘッド10からのインク吐出によって、ヘッド10近傍に生じるインクミストが搬送ベルト8の表面8aに付着する可能性があると判定されるとき(例えば、100枚の用紙Pに対して記録動作が行われたときなど)に受信する。このとき、制御装置100が第1ワイピング指令を受信したときは、ステップ6に進み、上述と同様な処理が行われる。一方、制御装置100が第2及び第3ワイピング指令及びキャッピング指令のいずれかを受信したときは、ステップ8(S8)に進む。
【0056】
ステップ8において、制御装置100は、第2ワイピング指令を受信したか否かを判定する。なお、第2ワイピング指令は、ヘッド10からのインク吐出によって、ヘッド10近傍に生じるインクミストが加圧ローラ15、加熱ローラ14及び伝達ローラ17,18に付着する可能性があると判定されるときや記録が行われた用紙Pの記録面と接触する回数が多くなって伝達ローラ18,加熱ローラ14に多くのインクが付着する可能性があると判定されるとき(例えば、100枚の用紙Pに対して記録動作が行われたときなど)に受信する。このとき、制御装置100が第2ワイピング指令を受信したときは、ステップ9(S9)に進む。一方、制御装置100が第3ワイピング又はキャッピング指令を受信したときは、ステップ10(S10)に進む。
【0057】
ステップ9において、制御装置100は第2ワイピング動作を行う。具体的には、制御装置100は、加熱ローラ14を第2所定温度まで加熱するためにハロゲンランプ16を制御するとともに、図2(b)に示すように、第2〜第5ブレード62〜65が加圧ローラ15、加熱ローラ14及び伝達ローラ17,18に当接する当接位置を取るようにモータ62M〜65Mを制御する。その後、制御装置100は、駆動モータ14Mを制御して加熱ローラ14を回転させる。これにより、加熱ローラ14とともに加圧ローラ15及び伝達ローラ17が回転する。また、伝達ローラ18は伝達ローラ17と接触しているので伝達ローラ17の回転に伴って回転する。このとき、伝達ローラ18は搬送ベルト8に対してスリップする。これにより、加圧ローラ15、加熱ローラ14及び伝達ローラ17,18に付着したインクが、第2〜第5ブレード62〜65によってある程度払拭される。また、このとき、加圧ローラ15及び伝達ローラ17,18は加熱ローラ14によって加熱されている。そして、温度センサ38によって計測された温度が第2所定温度に達すると、判定部100aが付着部(加熱ローラ14、加圧ローラ15及び伝達ローラ17,18)の温度が、水の沸点以上であると判定する。つまり、付着部に残存したインクが、加熱ローラ14からの熱によって加熱され、インクの水分が蒸発する。制御装置100は、付着部の温度が水の沸点以上であると判定部100aが判定した後に、加熱ローラ14が1回転以上してから停止するように、駆動モータ14Mを制御する。このとき、加圧ローラ15及び伝達ローラ17,18も1回転以上してから停止する。このように判定部100aが判定した後に第2ワイピング動作が継続されていることで、残存したインクが第2〜第5ブレード62〜65によって掻き落とされる(払拭される)。この後、制御装置100は、図2(a)に示すように、第2〜第5ブレード62〜65が付着部から離隔する離隔位置を取るようにモータ62M〜65Mを制御するとともに、ハロゲンランプ16をOFFにする。こうして、第2ワイピング動作が終了する。
【0058】
変形例として、判定部100aが付着部(加熱ローラ14、加圧ローラ15及び伝達ローラ17,18)の温度が水の沸点以上であると判定した後に、制御部100は、第2〜第5ブレード62〜65が付着部に当接する当接位置を取るようにモータ62M〜65Mを制御してもよい。これにより、付着部に付着したインクであって水分が蒸発したインクを、第2〜第5ブレード62〜65によって付着部から掻き落とすことが可能となる(第2ワイピング動作)。また、第2〜第5ブレード62〜65と、付着部との接触時間が、判定部100aが判定するよりも前に両者が接触している場合と比較して短くなるので、第2〜第5ブレード62〜65の先端の摩耗が抑制される。
【0059】
また、別の変形例として、第2〜第5ブレード62〜65が付着部(加熱ローラ14、加圧ローラ15及び伝達ローラ17,18)に常に当接していてもよい。これにおいても、制御装置100は、付着部の温度が水の沸点以上であると判定部100aが判定した後に、加熱ローラ14、加圧ローラ15及び伝達ローラ17,18が1回転以上してから停止させる。したがって、残存したインクが第2〜第5ブレード62〜65によって掻き落とされる。また、別の変形例として、第1ワイピング動作と第2ワイピング動作とは同時に行われても良い。
【0060】
ステップ10において、制御装置100は、第3ワイピング指令を受信したか否かを判定する。なお、第3ワイピング指令は、ヘッド10からのインク吐出によって、ヘッド10近傍に生じるインクミストが環状部材40の先端に付着する可能性があると判定されるとき(例えば、100枚の用紙Pに対して記録動作が行われたときなど)に受信する。このとき、制御装置100が第3ワイピング指令を受信したときは、ステップ11(S11)に進む。一方、制御装置100がキャピング指令を受信したときは、ステップ12(S12)に進む。
【0061】
ステップ11において、制御装置100は第3ワイピング動作を行う。具体的には、制御装置100は、加熱ローラ14を第2所定温度まで加熱するためにハロゲンランプ16を制御するとともに、図3に示すようにヘッド10が記録位置、環状部材40が下降位置を取るようにヘッド昇降機構33及び駆動モータ41Mを制御する。このとき、搬送ベルト8は伝達ローラ18と接触しており、搬送ベルト8の伝達ローラ18との接触領域のみならず、記録ヘッド10及び環状部材40と対向する領域までも加熱される。このため、搬送ベルト8と当接する環状部材40の先端も加熱される。そして、温度センサ38によって計測された温度が第2所定温度に達すると、判定部100aが、環状部材40の先端の温度が水の沸点以上であると判定する。つまり、環状部材40の先端に付着したインクが、加熱された搬送ベルト8からの熱によって加熱され、インクの水分が蒸発する。制御装置100は、環状部材40の先端の温度が水の沸点以上であると判定部100aが判定した後に、図7(b)に示すように、ヘッド昇降機構33を制御して、ヘッド10を記録位置からワイピング位置に移動させる。このとき、環状部材40の先端は、ワイパ67aが主走査方向に移動すると、ワイパ67aの上端と接触する位置にある。制御装置100は、図7(c)に示すように、ワイパ移動機構68を制御して、ワイパ67aを待機位置から主走査方向に沿って移動させて環状部材40の先端を払拭する(第3ワイピング動作)。このように判定部100aが判定した後に第3ワイピング動作が行われることで、環状部材40の先端に付着したインクがワイパ67aによって掻き落とされる。この後、制御装置100は、環状部材40が上昇位置を取るように駆動モータ41Mを制御するとともに、ハロゲンランプ16をOFFにする。そして、制御装置100は、ワイパ移動機構68を制御してワイパ67aを待機位置に戻した後に、ヘッド昇降機構33を制御して、ヘッド10をワイピング位置から記録位置に移動させる。こうして、第3ワイピング動作が終了する。
【0062】
ステップ12において、制御装置100はキャッピング動作を行う。具体的には、制御装置100は、図3に示すように環状部材40が下降位置を取るように駆動モータ41Mを制御する。このとき、ヘッド10は記録位置に配置されている。これにより、吐出面10aと搬送ベルト8の表面8aとの間に形成される吐出空間V1が外部空間V2から隔離された封止状態となる。こうして、キャッピング動作が終了する。
【0063】
以上に述べたように、本実施形態によるプリンタ1によると、第1〜第3ワイピング動作において、付着部(搬送ベルト8の表面8a、加熱ローラ14、加圧ローラ15、伝達ローラ17,18及び環状部材40の先端)を加熱することで付着部に付着したインクも加熱し、分子間力の高い水をインクから蒸発させる。すると、インクの付着部への付着力が低下する。このため、付着部に付着したインクがワイパ67a、第1〜第5ブレード61〜65の先端によって除去されやすくなり、付着部にインクが残存しにくくなる。
【0064】
また、判定部100aの判定においては、温度センサ38によって計測された温度に基づいて、付着部の温度が水の沸点以上であるか否かを判定する。このため、判定部100aによる判定精度が向上する。
変形例として、判定部100aは、加熱機構19がインクを加熱するために投入した熱量に基づいて、付着部の温度が水の沸点以上であるか否かを判定してもよい。この場合、判定部100aは、例えば、プリンタ1を使用することが可能な環境温度の下限値から付着部を第2所定温度まで上昇させるために必要な投入熱量を算出する。必要な投入熱量は、付着部の質量(g)、付着部の比熱(cal/(g/K))及び環境温度の下限値から第2所定温度までの温度が変化したときの温度変化(K)から求められる。そして、判定部100aは、加熱機構19からの熱量が算出した投入熱量に到達したときに、付着部の温度が水の沸点以上であると判定する。これにおいても、判定部100aによる判定精度が向上する。
【0065】
また、吐出面10aと対向する搬送ベルト8の表面8a(支持部)に付着したインクを加熱してから第1ブレード61で掻き落とすため、インクを効果的に除去することが可能となる。したがって、表面8aに付着したインクが用紙Pの裏面に付着するのを抑制することが可能となる。なお、表面8aにインクが付着する場合とは、例えば、用紙Pのジャムが発生して、用紙Pに吐出すべきインクが表面8aに付着した場合や、吐出面10aの吐出性能を維持するための吐出をヘッド10から表面8aに向けて行う場合などが挙げられる。
【0066】
また、乾燥部13に付着したインクを加熱してから第2、第3ブレード62,63で掻き落とすため、インクを効果的に除去することが可能となる。したがって、乾燥部13に付着したインクが用紙Pの記録面に付着するのを抑制することが可能となる。なお、乾燥部13の加熱ローラ14は、搬送される用紙Pの記録面と接触するため、用紙Pを介して間接的に、吐出面10aから吐出されたインクが付着する。また、加圧ローラ15は、加熱ローラ14と接触しているため、加熱ローラ14に付着したインクが付着する。
【0067】
また、制御装置100は、記録動作が行われるときよりも第1〜第3ワイピング動作が行われるときの方がハロゲンランプ16の温度が高くなるように制御する。このため、記録動作が行われるときに、消費電力を抑制することができる。
【0068】
また、加熱機構19が伝達ローラ17,18を有しているので、加熱ローラ14の熱を搬送ベルト8に伝達することが可能となる。このため、乾燥部13及び搬送ベルト8のそれぞれを個別に加熱する機構を設ける必要がなくなり、プリンタ1の装置構成が簡易なる。
【0069】
また、環状部材40の先端を加熱するとともに、当該先端に付着したインクを加熱してから、ワイパ67aでインクを掻き落とすため、インクを効果的に除去することが可能となる。このため、キャッピング中の吐出空間V1内には環状部材40に付着したインクが存在しにくくなる。したがって、環状部材40に付着したインクの増粘によって吐出口近傍のインクから水分が吸収されることによる、吐出口近傍のインクの増粘を抑制することが可能となる。
【0070】
変形例として、第1ワイピング動作、第3ワイピング動作は行われなくても良い。つまり、プリンタ1はステップ6、ステップ7、ステップ10、ステップ11を行わなくても良い。
また別の変形例として、伝達ローラ17、18を備えていなくても良い。伝達ローラ17、18を備えない場合には、乾燥部13の熱は、搬送ベルト8には伝達されない。この場合に、搬送ベルト8の表面8aに対向して表面8aを加熱するハロゲンランプをさらに備えてもよい。
また、別の変形例として、ベルトユニット12を備えず、ヘッド10の搬送方向Cの上流側及び下流側に配置された送りローラ対と、ヘッド10の吐出面10aと対向するプラテン(支持部)を備えた構成としても良い。この場合には、伝達ローラ17、18を備えていなくても良い。
【0071】
続いて、図8を参照しつつ、本発明に係る記録装置の第2実施形態としてのインクジェットプリンタ201について説明する。本実施形態のプリンタ201は、乾燥部13及び伝達ローラ17,18などが設けられておらず、ベルトユニット12に代えて対向部212が設けられているだけで、これ以外は第1実施形態のプリンタ1とほぼ同様である。なお、第1実施形態と同様な構成においては、同符号で示し説明を省略する。
【0072】
対向部212は、ヘッド10の吐出面10aと対向する位置に配置されている。対向部212は、ヘッド10と対向する回転体263と、回転体263の周面に固定されたプラテン261(支持部)及びインク受け部262とを有している。回転体263は、主走査方向の軸を有し且つ制御装置100の制御により当該軸を中心として回転する。
【0073】
プラテン261及びインク受け部262は、共に主走査方向及び副走査方向に関して吐出面10aより一回り大きなサイズを有し、且つ、鉛直方向に互いに対向して配置されている。
【0074】
プラテン261の表面は、吐出面10aに対向しつつ用紙Pを支持する支持面261a(対向面)であり、用紙Pを保持できるように材料や加工に工夫が施されている。例えば支持面261aに、副走査方向に沿ったリブが多数形成されている。また、プラテン261は、樹脂により構成されている。
【0075】
インク受け部262は、水分を透過しない又は透過し難い材料から構成されている。インク受け部262の表面は、平滑であって、吐出面10aに対向するインク受け面262aである。また、インク受け部262の内部には、ヒータ264が設けられている。本実施形態における制御装置100は、第4、5ワイピング動作を行うときに第2所定温度までインク受け面262aを加熱するように、ヒータ264を制御する。第4、5ワイピング動作が、払拭動作の一例である。このようにヒータ264と制御装置100によって、加熱手段が構成されている。なお、ヒータ264の熱は、回転体263を介してプラテン261に伝達される。変形例として、ヒータ264の熱が、回転体263を介してプラテン261に伝達されない構成としてもよい。
【0076】
回転体263の回転により、支持面261aが吐出面10aに対向し且つインク受け面262aが吐出面10aに対向しない第1状態(図8参照)と、支持面261aが吐出面10aに対向せず且つインク受け面262aが吐出面10aに対向する第2状態(図9(a),(b)参照)とが切り換わる。本実施形態において、制御装置100は、用紙Pに向けて吐出口からインクを吐出して用紙Pに画像を記録するときや第5ワイピング動作が行われるときは第1状態、パージ動作や第4ワイピング動作が行われるとき及びキャッピング状態においては第2状態となるように、回転体263の駆動を制御する。
【0077】
支持部の下方には、廃液トレイ265が配置されている。この廃液トレイ265は、パージ動作や第4、5ワイピング動作の際に上方から落下してきたインクを受容する。
【0078】
次に、図9を参照し、制御装置100が実行する制御内容(パージ動作、第4ワイピング動作、第5ワイピング動作)について説明する。
【0079】
制御装置100は、パージ指令を受信すると、第1及び第2状態のいずれであるかを判定し、第1状態のときは制御装置100が回転モータ(不図示)を駆動し、回転体263を回転させて第2状態にする。第2状態のときは、制御装置100がポンプ34を駆動し、図9(a)に示すように、すべての吐出口からインク受け面262a上に所定量のインクを排出する(パージ動作)。
【0080】
次に、制御装置100は、第4ワイピング動作を行う。具体的には、制御装置100は、インク受け面262aを第2所定温度まで加熱するためにヒータ264を制御するとともに、ヘッド昇降機構33を制御して、図9(b)に示すように、ヘッド10を記録位置からワイピング位置に移動させる。そして、インク受け面262aの温度を測定する温度センサ(不図示)によって計測された温度が第2所定温度に達すると、判定部100aが、インク受け部262の温度が水の沸点以上であると判定する。このとき、インク受け面262aが、インク受け部262の熱によって加熱され、インクの水分が蒸発している。制御装置100は、インク受け部262の温度が水の沸点以上であると判定部100aが判定した後にワイパ移動機構68を制御して、ワイパ267aを待機位置から主走査方向に沿って移動させてインク受け面262aをワイピングする(第4ワイピング動作)。本実施形態におけるワイパ267aは、図9(b)に示すように、ヘッド10がワイピング位置、環状部材40が上昇位置にあるときに、ワイパ267aが主走査方向へ移動すると、ワイパ267aの上端は吐出面10aに当接せず、ワイパ267aの下端がインク受け面262aに当接するように、ワイパ267aはワイパ移動機構68に支持されている。こうして、インク受け面262aに付着したインクがワイパ267aによって掻き落とされる。
【0081】
この後、制御装置100は、回転体263が第1状態をとるように回転体263を制御する。そして、制御装置100は、図9(c)に示すように、ワイパ移動機構68を制御して、ワイパ267aを待機位置に戻す。このとき、ワイパ267aにより支持面10aが払拭される(第5ワイピング動作)。このとき、プラテン261は、ヒータ264の熱によって加熱され、支持面261aに付着したインクの水分が蒸発している。そして、制御装置100は、ヘッド昇降機構33を制御して、図9(d)に示すように、ヘッド10をワイピング位置から記録位置に移動させる。ワイパ移動機構68、制御装置100により払拭手段が構成されている。変形例として、第4ワイピング動作の後に、制御装置100は回転体263が第1状態をとるように回転体263を回転させなくてもよい。第4ワイピング動作の後に、インク受け面262aを吐出面10aに対向させたままとする場合には、プラテン261の支持面261aはワイパ267aにより払拭されない。
【0082】
制御装置100は、所定時間が経過するまでに記録指令を受信したか否かを判定する。このとき、所定時間が経過するまでに記録指令を受信しない場合、キャピング動作を行う。つまり、制御装置100は、回転体263が第2状態をとるように回転体263を制御するとともに、駆動モータ41Mを駆動し、環状部材40を上昇位置から下降位置に移動させる。これにより、吐出空間V1が外部空間V2から隔離されたキャッピング状態となる。制御装置100は、次に記録指令やパージ指令を受信するまで、キャッピング状態を維持する。
【0083】
一方、所定時間が経過するまでに記録指令を受信した場合、制御装置100が、第1及び第2状態のいずれであるかを判定し、第2状態のときは、制御装置100が回転モータを駆動し、回転体263を回転させて第1状態にする。一方、第1状態のときはそのままとなる。そして、制御装置100は、受信した記録指令に基づいて、記録動作を行う。
【0084】
記録動作において、制御装置100は、外部装置から受信した記録指令に基づいて、給紙ローラ21用の給紙モータ21M、各送りローラ対22〜24用の送りモータ22M〜24M等を駆動する。給紙トレイ20から送り出された用紙Pは、ガイド29を通って支持部212に送られる。支持部212へと送られた用紙Pは、支持面261aに支持され且つ回転する送りローラ対22,23に挟持されつつ搬送される。用紙Pがヘッド10の真下を順次通過する際に、制御装置100の制御によりヘッド10が駆動され、吐出面10aの吐出口から用紙Pの表面に向けてインクが吐出されることで、用紙P上に画像が形成される。用紙Pは、その後、ガイド29によりガイドされ且つ送りローラ対23、24によって挟持されつつ上方に搬送され、筐体1a上部に形成された開口30から排紙部31へと排出される。
【0085】
以上に述べたように、本実施形態によるプリンタ201によると、吐出面10a(吐出口)からインクを吐出する際に生じるインクミストや吐出面10a(吐出口)からのパージによってプラテン261(付着部)やインク受け部262(付着部)にインクが付着しても、当該プラテン261及びインク受け部262は加熱されるため、インクも加熱される。つまり、分子間力の高い水をインクから蒸発させることが可能となり、インクのプラテン261及びインク受け部262への付着力が低下する。このため、プラテン261及びインク受け部262に付着したインクがワイパ267aの下端によって除去されやすくなり、インクが残存しにくくなる。また、プラテン261及びインク受け部262からインクが除去されるため、プラテン261及びインク受け部262に付着したインクが周辺部材に付着するのを抑制することが可能となる。なお、第1実施形態と同様な構成においては、同じ効果を得ることが可能である。
【0086】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、第1〜第5ブレード61〜65、ワイパ67aに代えて、クリーニングローラが設けられていてもよい。この場合においても、第1実施形態と同様な効果を得ることができる。第1〜第5ブレード61〜65やワイパ67a,267aは、先端が付着部の表面に当接しつつ当該表面に対して相対的に移動することにより当該表面上のインクを除去することができる限りは、板状に限定されず、様々な形状であってよい。
【0087】
加熱手段は、ドライヤを有していてもよい。この場合、ドライヤは、制御装置100によって、付着部を加熱するように制御されればよい。また、加熱手段は、付着部を加熱することができるものであれば、どのような構成であってもよい。また、加熱手段が、第1〜第5ブレード61〜65及びワイパ67a,267aを加熱する機構を有し、加熱された第1〜第5ブレード61〜65及びワイパ67a,267aを払拭する払拭部をさらに有していてもよい。これにより、第1〜第5ブレード61〜65及びワイパ67a,267aからワイピングによって付着したインクを効果的に除去することができる。この場合、第1〜第5ブレード61〜65及びワイパ67a,267aも付着部となる。また、搬送ベルト8に限定されず、例えば、回転ドラムによって用紙Pが搬送されてもよい。この場合も第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0088】
本発明は、ライン式・シリアル式のいずれにも適用可能であり、また、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等にも適用可能である。記録媒体は、用紙Pに限定されず、記録可能な様々な媒体であってよい。
【符号の説明】
【0089】
1 インクジェットプリンタ(記録装置)
8 搬送ベルト(搬送部材:付着部)
10 ヘッド(記録ヘッド)
10a 吐出面
13 乾燥部
14 加熱ローラ(付着部)
15 加圧ローラ(付着部)
16 ハロゲンランプ(加熱体)
17,18 伝達ローラ(伝達部:付着部)
38 温度センサ
40 環状部材(付着部)
61 第1ブレード(当接部)
62 第2ブレード(当接部)
63 第3ブレード(当接部)
64 第4ブレード(当接部)
65 第5ブレード(当接部)
67a,267a ワイパ(当接部)
100 制御装置101 判定部(判定手段)
261 プラテン(支持部:付着部)
262 インク受け部(付着部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性のインクを吐出する吐出面を有し、記録媒体にインクを吐出して画像を記録する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドから吐出されたインクが付着する付着部と、
前記付着部に当接可能な当接部分を有する当接部と、
前記付着部を加熱する加熱手段と、
前記付着部の温度が水の沸点以上であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が前記付着部の温度が水の沸点以上であると判定した後に、少なくとも、前記当接部分が前記付着部に当接しつつ前記付着部に対して相対移動する払拭動作が行われるように、前記当接部及び前記付着部の少なくとも一方を駆動する払拭手段とを備えたことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記加熱手段がインクを加熱するために投入した熱量に基づいて、前記付着部の温度が水の沸点以上であるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記加熱手段の温度を計測する温度センサをさらに備えており、
前記判定手段は、前記温度センサによって計測された温度に基づいて前記付着部の温度が水の沸点以上であるか否かを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記払拭手段は、前記判定手段が前記付着部の温度が水の沸点以上であると判定した後であって前記払拭動作が行われる前に、前記当接部分と前記付着部とが離隔する離隔状態から前記当接部分と前記付着部とが当接する当接状態となるように、前記当接部及び前記付着部の少なくとも一方を駆動することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記付着部として、前記記録ヘッドの前記吐出面と対向する位置を通る搬送経路に沿って搬送される記録媒体の搬送方向において、前記記録ヘッドよりも下流側に配置され、画像が記録された記録媒体と接触しつつ記録媒体を加熱することによって、記録媒体に付着したインクを乾燥させる乾燥部を備えており、
前記加熱手段は、前記乾燥部を加熱する加熱体を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記付着部として、前記吐出面と対向する対向面で記録媒体を支持しつつ記録媒体を所定の搬送方向に搬送する無端状の搬送部材をさらに備えており、
前記加熱手段は、前記加熱体により加熱された前記乾燥部の熱を前記搬送部材に伝達する伝達部をさらに有していることを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
【請求項7】
前記加熱手段は、記録媒体に画像を記録する記録動作が行われているときよりも、前記払拭動作が行われているときの方が前記付着部の温度が高くなるように制御することを特徴とする請求項5又は6に記載の記録装置。
【請求項8】
前記付着部として、前記吐出面と対向する対向面で記録媒体を支持する支持部を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項9】
前記付着部として、前記吐出面から吐出されたインクを受けるインク受け部を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項10】
前記付着部として、前記吐出面と対向する吐出空間が外部空間から封止された封止状態と、前記吐出空間が前記外部空間に対して開放された非封止状態とを取り得るキャップ部を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−14019(P2013−14019A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146491(P2011−146491)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】