説明

設備更新計画支援システム

【課題】設備の劣化度に基づいて、真に更新が必要な設備を更新するための設備更新計画の作成を支援する。
【解決手段】流入ポンプ21,22毎の消費電力量及び流入流量に基づいて、単位流量あたりの消費電力量を示す消費電力原単位を演算し、演算された現在の消費電力原単位と、導入当初又はメンテナンス直後の所定期間における基本消費電力原単位とを比較表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理プラントの設備機器を対象とした設備更新計画支援システムに係り、例えば、設備の劣化度に基づいて、真に更新が必要な設備を更新するための設備更新計画の作成を支援し得る設備更新計画支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上下水道プラントにおける浄水場や下水処理場といった個々の水処理プラントにおいては、大量の水を処理するため、通常、複数系列の水処理プロセスを備えており、水処理プロセスへの水の輸送、処理のために複数台数のポンプ、送風機などの機器を有している。
【0003】
この種の水処理プラントは、設備の耐用年数や水質規制の変化などの要因により、設備を更新している。但し、投資コストがかかる、水処理を停止できない、という事情から、通常、一度に設備更新するのではなく、数年かけて順次更新していく。
【0004】
設備の更新計画については、従来は設備の標準的耐用年数に基づいて立てられていたが、近年、公共投資が削減される傾向にあることから、効率的に設備を更新したいという要望が高い。また、設備の更新は、公共事業であるため、投資効果を定量的に提示し、一般の市民や財源を管理する国、自治体にその投資の有効性を示す必要がある。
【0005】
通常、水処理プラントの設備機器の更新計画では、設備・機器の標準的耐用年数、設備の補修履歴及び設備の更新する際の費用と更新で得られる効果の費用対効果をオフラインで解析し、設備更新計画を決定している(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】下水道維持管理指針−2003年版−(下水道協会)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、同一の仕様の機器・設備が必ずしも標準的耐用年数で劣化するとは限らず、設置環境や稼動頻度、利用方法等により実際の劣化度が異なっている。すなわち、設備の更新計画は、設備の真の劣化度に基づいて立てられていないため、真に更新が必要な設備・機器を更新できていない可能性があり、設備の安全性、安定性、経済性の観点から最適化を図る余地がある。
【0008】
本発明は上記実情を考慮してなされたもので、設備の劣化度に基づいて、真に更新が必要な設備を更新するための設備更新計画の作成を支援し得る設備更新計画支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、水や空気を輸送する機器を有する水処理プラントに対し、前記機器による水や空気の流量と、前記機器における消費電力量とを蓄積するデータベース装置を参照しながら、前記機器の更新計画の作成を支援する設備更新計画支援システムであって、前記機器毎の前記消費電力量及び前記流量に基づいて、単位流量あたりの消費電力量を示す消費電力原単位を演算する演算手段と、前記機器毎に、導入当初又はメンテナンス直後の所定期間における消費電力原単位を示す基本消費電力原単位が前記演算手段から書き込まれ、当該基本消費電力原単位を保存する保存手段と、前記保存手段内の基本消費電力原単位と、前記演算手段により演算された現在の消費電力原単位とを比較表示する表示手段とを備えた設備更新計画支援システムである。
【0010】
第2の発明は、水や空気を輸送する機器を有する水処理プラントに対し、前記機器による水や空気の流量と、前記機器における消費電力量とを蓄積するデータベース装置を参照しながら、前記機器の更新計画の作成を支援する設備更新計画支援システムであって、前記機器毎に、導入当初又はメンテナンス直後の所定期間における前記消費電力量と前記流量とを保存する保存手段と、前記保存手段に保存された消費電力量と流量とに基づいて、当該消費電力量と流量との関係を表す基本機器性能関数情報を算出する基本関数算出手段と、前記基本機器性能関数情報を前記保存手段に書き込む手段と、前記データベース装置を参照して現在の消費電力量と流量との関係を表す現在機器性能関数情報を算出する現在関数算出手段と、前記保存手段内の基本機器性能関数情報と、前記現在関数算出手段により算出された現在機器性能関数情報とを比較表示する表示手段とを備えた設備更新計画支援システムである。
【0011】
第3の発明は、水や空気を輸送する機器を有する水処理プラントに対し、前記機器による水や空気の流量と、前記機器における消費電力量とを蓄積するデータベース装置を参照しながら、前記機器の更新計画の作成を支援する設備更新計画支援システムであって、前記機器毎の前記消費電力量及び前記流量に基づいて、単位流量あたりの消費電力量を示す消費電力原単位を演算する演算手段と、前記演算手段により演算された消費電力原単位を保存する保存手段と、前記機器毎の定格運転時の消費電力量を示す定格電力及び定格運転時の流量を示す定格容量を入力するための基本性能入力手段と、前記機器毎の前記定格電力及び定格容量に基づいて、定格容量あたりの定格電力を示す定格運転時消費電力原単位を演算する基本性能演算手段と、前記保存手段内の消費電力原単位と、前記基本性能演算手段により演算された定格運転時消費電力原単位とを比較表示する表示手段とを備えた設備更新計画支援システムである。
【0012】
第4の発明は、水や空気を輸送する機器を有する水処理プラントに対し、前記機器による水や空気の流量と、前記機器における消費電力量とを蓄積するデータベース装置を参照しながら、前記機器の更新計画の作成を支援する設備更新計画支援システムであって、前記機器毎の前記消費電力量及び前記流量に基づいて、単位流量あたりの消費電力量を示す消費電力原単位を演算する演算手段と、前記演算手段により演算された消費電力原単位に対し、単位電力あたりの電力料金を乗じることにより、単位流量あたりの電力料金を示すコスト原単位を演算するコスト原単位演算手段と、前記コスト原単位演算手段により演算されたコスト原単位を日時データと関連付けて保存する保存手段と、前記保存手段内のコスト原単位及び日時データに基づいて、所定期間毎のコスト原単位の平均値を算出する平均値算出手段と、前記所定期間毎のコスト原単位の平均値に基づいて、当該所定期間毎のコスト原単位の推移と将来のコスト原単位の推移とを表すコスト原単位関数情報を算出するコスト原単位関数算出手段と、前記コスト原単位関数情報に基づいて、将来の所定期間にかかるコストを予測するコスト予測手段と、前記コスト予測手段により予測されたコストを表示する表示手段とを備えた設備更新計画支援システムである。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明によれば、設備の劣化度に基づいて、真に更新が必要な設備を更新するための設備更新計画の作成を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【図2】同実施形態におけるデータ保存部の構成を示す模式図である。
【図3】同実施形態における基本消費電力原単位保存部の構成を示す模式図である。
【図4】同実施形態における定期的にメンテナンスをした場合の消費電力原単位と時間の関係を示す模式図である。
【図5】同実施形態における原単位を監視してメンテナンスをした場合の消費電力原単位と時間の関係を示す模式図である。
【図6】同実施形態における他の監視対象の一例を示す模式図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【図8】同実施形態におけるデータ保存部の構成を示す模式図である。
【図9】同実施形態における基本消費電力原単位保存部の構成を示す模式図である。
【図10】同実施形態における各水処理系列(1系、2系)の電力消費原単位の推移の例を示す模式図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【図12】本発明の第4の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【図13】本発明の第6の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【図14】同実施形態におけるデータ保存部の構成を示す模式図である。
【図15】同実施形態における基本機器性能関数保存部の構成を示す模式図である。
【図16】同実施形態における曝気風量と消費電力の関係を示す模式図である。
【図17】本発明の第7の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【図18】本発明の第8の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【図19】同実施形態における消費電力原単位保存部の構成を示す模式図である。
【図20】本発明の第9の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【図21】同実施形態におけるコスト原単位データ保存部の構成を示す模式図である。
【図22】同実施形態における各送風機のコスト原単位と時間との関係を示す模式図である。
【図23】本発明の第10の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【図24】同実施形態におけるデータ保存部の構成を示す模式図である。
【図25】同実施形態におけるコスト原単位データ保存部の構成を示す模式図である。
【図26】同実施形態における更新計画の入力例を示す模式図である。
【図27】同実施形態における機器性能の入力例を示す模式図である。
【図28】同実施形態における各系列の更新の有無とコスト原単位の推移を示す模式図である。
【図29】本発明の第11の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【図30】本発明の第12の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【図31】本発明の第13の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【図32】本発明の第14の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【図33】本発明の第15の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【図34】本発明の第16の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【図35】本発明の第17の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【図36】本発明の第18の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【図37】本発明の第19の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【図38】同実施形態における基本空気倍率保存部の構成を示す模式図である。
【図39】本発明の第20の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の各実施形態について図面を用いて説明するが、その前に本発明の概要を述べる。本発明の概要は、設備更新計画支援装置により収集・蓄積されたデータを使って、単位性能あたりのエネルギー又はコストを演算することにより、実際の個別設備・機器にかかっているエネルギー又はコストを演算し、また、その経時変化から設備・機器の劣化度をオンラインで診断することにより、使用電力量・使用エネルギー量、エネルギーを利用する際に発生するコストという観点から、適切な設備・機器のメンテナンス・更新計画を支援するものである。また、現在の原単位の劣化度から将来を予測し、どのタイミングで設備更新をするのがもっとも効果的であるかを定量的に演算する。また、メンテナンスとは、機器の保守・点検及び補修のことをいい、更新とは機器の交換及び水処理設備のリプレースをいう。
【0016】
なお、以下の設備更新計画支援装置は、機能部毎に、ハードウェア構成、又はハードウェア資源とソフトウェアとの組合せ構成のいずれでも実施可能となっている。組合せ構成のソフトウェアとしては、予めネットワーク又は記憶媒体から対応する装置のコンピュータにインストールされ、装置の機能を実現させるためのプログラムが用いられる。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。この水処理プラント10aは、着水井1、第1及び第2流入ポンプ21,22、運転状態センサ2s1,2s2、流入流量計3、水処理プロセス4及び水質センサ4sを備えている。設備更新計画支援システムは、ポンプ電力量計121,122及び設備更新計画支援装置301を備えている。設備更新計画支援装置301は、データ保存部20a、基本消費電力原単位保存部21a、各保存部20a,21aを有するデータベース装置20、消費電力原単位演算部22及び表示装置23を備えている。
【0018】
ここで、着水井1は、例えば浄水場であれば河川から取水された原水を保持するところであり、下水処理場であれば下水管で集められた下水をくみ上げて保持するところであり、第1及び第2流入ポンプ21,22が配置されている。
【0019】
第1及び第2流入ポンプ21,22は、個別に運転可能であり、運転時に着水井1内の水を水処理プロセスに流入させるものである。
【0020】
運転状態センサ2s1,2s2は、各流入ポンプ21,22の運転状態(運転/停止、異常/正常、弁の開/閉、弁開度、ポンプ回転数など)を個別にデータベース装置20に送信するものである。
【0021】
流入流量計3は、両流入ポンプ21,22による水処理プロセス4への流入流量を計測し、得られた流入流量の値をデータベース装置20に送信するものである。
【0022】
水処理プロセス4は、各流入ポンプ21,22から流入された水を処理し、得られた処理水を送出するものであり、例えば、図示しない各種機器(例、制御弁、散気装置、攪拌器、乾燥機、脱水機)をもっている。
【0023】
水質センサ4sは、水処理プロセス4内の水質を検出し、得られた水質データをデータベース装置20に送信するものである。
【0024】
ポンプ電力量計121,122は、各流入ポンプ21,22の消費電力量を個別にデータベース装置20に送信するものである。
【0025】
データ保存部20aは、図2に示すように、データベース装置20内の図示しないデータベース管理システム(DBMS)により読出/書込可能な記憶装置であり、データベース装置20に送信された第1及び第2流入ポンプ運転状態、流入流量、水質データ、第1及び第2流入ポンプ消費電力量の各データが逐次、日時データと共に書き込まれ、これら各データを蓄積するものである。
【0026】
基本消費電力原単位保存部21aは、図3に示すように、流入ポンプ21,22毎に、導入当初又はメンテナンス直後の所定期間における消費電力原単位を示す基本消費電力原単位が消費電力原単位演算部22からデータベース装置20のDBMSを介して書き込まれ、当該基本消費電力原単位を保存する記憶装置である。
【0027】
データベース装置20は、各保存部20a,21aに対し、各データの読出/書込を実行するDBMS機能をもっている。なお、説明の便宜上、以下ではDBMSについての記載を省略する。また、これらの結果は図2、図3のような表示のほかにトレンドグラフとして、導入直後の消費原単位(所定期間の平均値)と現在の消費原単位値を併せて表示することも可能である。
【0028】
消費電力原単位演算部22は、データ保存部20aを参照して流入ポンプ21,22毎の消費電力量及び流入流量に基づいて、単位流量あたりの消費電力量を示す消費電力原単位を演算する機能と、得られた流入ポンプ21,22毎の消費電力原単位を表示装置23に送出する機能と、基本消費電力原単位保存部21a内の基本消費電力原単位を表示装置23に送出する機能とをもっている。
【0029】
なお、消費電力原単位は、機器の基本性能(例、送風機であれば曝気風量、攪拌器であれば攪拌速度、乾燥機・脱水機であれば処理量等)あたりの消費電力を意味しており、ここでいう流入ポンプ21,22の単位流量あたりの消費電力量に限定されない。
【0030】
表示装置23は、基本消費電力原単位保存部21a内の基本消費電力原単位と、消費電力原単位演算部22により演算された現在の消費電力原単位とを比較表示する機能をもっている。
【0031】
次に、以上のように構成された設備更新計画支援システムの動作を説明する。
水処理プラント10aでは、通常運用時はどちらか1台の流入ポンプ21又は22を使っており、流量の多いときは2台の流入ポンプ21,22を利用し水処理プロセス4に原水を供給する運用を行っている。
【0032】
第1及び第2流入ポンプ21,22の運転状態を運転状態センサ2s1,2s2でモニタリングし、流入流量を流入流量計3でモニタリングし、第1及び第2流入ポンプ21,22の消費電力量を電力量計121,122でモニタリングしており、それらのデータが信号線を介してデータベース装置20内のデータ保存部20aに蓄積されている。
【0033】
各流入ポンプ21,22の運転状態と流入流量と電力量から、消費電力原単位演算部22では、第1及び第2流入ポンプ21,22の各々について、消費電力量/流入流量で求められる消費電力原単位を演算する。
【0034】
基本消費電力原単位保存部21aには各流入ポンプ21,22を設置した直後の所定期間(1日から1週間程度)の平均値である消費電力原単位が保存される。
【0035】
現時点での消費電力原単位とポンプ導入直後の基本消費電力原単位は信号線を介して、表示装置23に表示される。
【0036】
原単位の演算に使う流量、電力量計のセンサ値は瞬時値ではなく、移動平均値や時間平均値、日平均値などを使う方がセンサのノイズの影響を受けにくいため望ましい。
【0037】
上述したように本実施形態によれば、流入ポンプ21,22毎の消費電力量及び流入流量に基づいて、単位流量あたりの消費電力量を示す消費電力原単位を演算し、演算された現在の消費電力原単位と、導入当初又はメンテナンス直後の所定期間における基本消費電力原単位とを比較表示する構成により、設備の劣化度に基づいて、真に更新が必要な設備を更新するための設備更新計画の作成を支援することができる。
【0038】
補足すると、(1)各流入ポンプ21,22は使っていくうちに、同量の流量を吐出する際の電流値が増大したり、同じ出力電流でも流入ポンプ21,22内又はポンプ配管の目詰まりや機器の劣化により流量が低下する場合がある。定期的に機器のメンテナンスを行っている場合、原単位と時間の関係は、図4に示すように変化する。
【0039】
よって、図4のB0(基本消費電力原単位)と現在の消費電力原単位を併せて表示することによって、この原単位の差から、オペレータが流入ポンプ21,22のメンテナンスのタイミングや機器を更新するタイミングを判断することを支援することができる。
【0040】
(2)耐用年数もしくは使い物にならなくなったら流入ポンプ21,22を新しいものに更新するという従来の管理方法に対し、図5に示すように、原単位がある値以上になった場合に補修を行うという予防保全的な運用とし、メンテナンス間隔が短くなってきた流入ポンプ21,22を更新するという管理方法に変更することにより、機器を長持ちさせることができるとともに、必要なタイミングで機器をメンテナンスしたり、更新したりすることが可能となるため、設備の安全性・安定性及び経済性の観点からより適切な管理を行うことが可能となる。
【0041】
(3)第1流入ポンプ21と第2流入ポンプ22の原単位を併せて監視することにより、原単位の変化率から各流入ポンプ21,22の劣化度合いを判断できると同時に、その原単位の値の大小関係により、いずれの流入ポンプ21,22の方が経済的であるかを判断できるため、いずれの流入ポンプ21,22を先に更新するかを判断することが可能となる。
【0042】
(他の実施形態)
消費電力量にエネルギー換算係数又は、コスト換算係数を乗じて、消費エネルギー原単位又はコスト原単位を監視するものであってもよい。
【0043】
ポンプは流入ポンプ21,22に限らず、水処理プロセス4内のどのポンプ(例えば、循環ポンプ、消毒ポンプ、薬品注入ポンプなど)であってもよい。
【0044】
機器はポンプに限らず、空気を供給する送風機であって、送風機の運転状況と曝気風量と送風機の電力量から原単位を監視するものであってもよい。また、図6に示す機器と基本性能との原単位を監視するものであってもよい。
【0045】
電力量は電力量計で直接計測するものでなく、電流計と電圧計(+力率系又は無効電力量計)を設置し、その掛け算により消費電力量を計測するものであってもよい。
【0046】
基本消費電力原単位保存部21に保存されるデータは機器の導入当初でなく、メンテナンス直後の所定期間(約1週間)の平均値データが保存されるように構成されたものであってもよい。
【0047】
(第2の実施形態)
図7は本発明の第2の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図であり、図1と略同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、ここでは異なる部分について主に述べる。なお、以下の各実施形態も同様にして重複した説明を省略する。
【0048】
すなわち、本実施形態は、2系列の水処理プロセス41,42を備えた水処理プラント10bを対象とした設備更新計画支援装置302に関するものである。
【0049】
これに伴い、水処理プラント10bにおいては、水処理プロセス41,42への流入流量を計測してデータベース装置20に送信する流入流量計31,32と、水処理プロセス41,42内の水質を検出して水質データをデータベース装置20に送信する水質センサ4s1,4s2とを備えている。また、流入ポンプ21,22の電力量計121,122に代えて、水処理プロセス41,42の水処理プロセス電力量計141,142が設けられている。各水処理プロセス電力量計141,142は、水処理プロセス41,42の消費電力量を個別にデータベース装置20に送信するものである。
【0050】
一方、データベース装置20内のデータ保存部20bは、図8に示すように、データベース装置20に送信された第1及び第2流入ポンプ運転状態、第1及び第2系列流入流量、第1及び第2系列水質データ、第1及び第2系列水処理プロセス消費電力量の各データが逐次、日時データと共に書き込まれ、これら各データを蓄積するものとなっている。
【0051】
基本消費電力原単位保存部21bは、図9に示すように、前述した「流入ポンプ21,22」に代えて、「複数の機器を備えた処理系列の水処理プロセス41,42」毎に、導入当初又はメンテナンス直後の所定期間における消費電力原単位を示す基本消費電力原単位が消費電力原単位演算部22から書き込まれ、当該基本消費電力原単位を保存するものとなっている。
【0052】
消費電力原単位演算部22は、前述した「流入ポンプ21,22」に代えて、「複数の機器を備えた処理系列の水処理プロセス41,42」毎に消費電力原単位を演算するものであり、具体的には、データ保存部20bを参照して水処理プロセス41,42毎の消費電力量及び流入流量に基づいて、単位流量あたりの消費電力量を示す消費電力原単位を演算する機能と、得られた水処理プロセス41,42毎の消費電力原単位を表示装置23に送出する機能と、基本消費電力原単位保存部21a内の基本消費電力原単位を表示装置23に送出する機能とをもっている。
【0053】
次に、以上のように構成された設備更新計画支援システムの動作を説明する。
第1系列、第2系列それぞれに関して、流入ポンプ21,22、水処理プロセス41,42の機器の運転・停止の状況がデジタル信号として計測され、また、それぞれの系列に流入する流入流量が流入流量計31,32で計測されるとともに、これら機器の消費電力量が電力量計141,142により系列別にセンシングされ、これらのデータが信号線を介し、データベース装置20内のデータ保存部20bに蓄積されている。
【0054】
処理系列別の流入量と電力量から消費電力原単位演算部22では第1系列、第2系列それぞれについて、(各系列に設置されている機器の消費電力量)/(各系列への流入流量)により、消費電力原単位が計算される。
【0055】
基本消費電力原単位保存部21bにはそれぞれの系列を稼動した直後の原単位が保存されている。現時点での消費電力原単位と処理系列の稼動直後の基本消費電力原単位は信号線を介して、表示装置23に表示される。
【0056】
原単位の演算に使う流量などのセンサ値は瞬時値ではなく、移動平均値や時間平均値、日平均値などを使う方がセンサのノイズの影響を受けにくいため望ましい。
【0057】
処理系列別の消費電力原単位は、各処理系列に設置されている機器類の劣化、配管のつまりなどにより、例えば年スパンなどの大きなスパンで原単位を見ると図10のように時間を追うごとに大きくなると考えられる。
【0058】
また、各処理系列により機器性能が異なれば、基本となる原単位に違いが生じるため、例えば処理水質規制の強化により、順次設備更新をしていく必要が生じた場合、原単位の増大が図10のように同様であれば、原単位の大きな第1系列を先に更新した方が望ましいといえる。
【0059】
よって図10の基本消費電力原単位と現在の消費電力原単位及び処理系列別の消費電力原単位を併せて表示することによって、設備管理者が処理系列の更新タイミングを判別することを支援することができる。
【0060】
設備管理者はこの消費電力原単位と設備の構造面(コンクリートの劣化状況)なども勘案し、構造面で問題がないのであれば、消費電力原単位の高い池を更新した方がより経済的であると考えられる。
【0061】
上述したように本実施形態によれば、複数の機器を備えた処理系列を対象としても第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができ、さらに、消費電力原単位の高い処理系列から更新することにより、より大きな投資効果を期待することができる。
【0062】
(他の実施形態)
消費電力量にエネルギー換算係数又は、コスト換算係数を乗じてかつ別燃料の利用があればそれらの消費エネルギー量やコストを加味し、消費エネルギー原単位又はコスト原単位を監視するものであってもよい。
【0063】
系列数は2だけではなく、2以上のいくつであってもよい。
【0064】
電力量は電力量計で直接計測するものでなく、電流計と電圧計(+力率系又は無効電力量計)を設置し、その掛け算により消費電力量を計測するものであってもよい。
【0065】
消費電力量は図7のように各系列の機器の消費電力量を合算して1つの電力量計で計測するものでなくとも、各機器の消費電力量をそれぞれ計測し、それを足し合わせたものをその系列の消費電力量としてもよい。
【0066】
(第3の実施形態)
図11は本発明の第3の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【0067】
本実施形態は、図1に示した構成に原単位診断部24が付加された構成となっている。
【0068】
ここで、原単位診断部24は、基本消費電力原単位保存部21a内の基本消費電力原単位と、消費電力原単位演算部22により演算された現在の消費電力原単位との差分を演算する機能と、この差分が所定の診断値以上か否かを判定する機能と、判定の結果、差分が所定の診断値以上のとき、当該機器のメンテナンスを促すガイダンス情報を表示装置23に出力する機能とをもっている。
【0069】
次に、以上のように構成された設備更新計画支援システムの動作を説明する。
原単位診断部24では、基本消費電力原単位と現在の消費電力原単位の差を演算し、その差が外部から設定された診断値以上になった場合に、機器効率の低下を検出し、メンテナンスを行うよう表示装置23にガイダンスをする。診断値は例えば、基本消費電力原単位の10〜20%の値で設定する。
【0070】
上述したように本実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、常時原単位の値を監視していなくとも、自動で適切なメンテナンスのタイミングをガイダンスすることができる。
【0071】
(他の実施形態)
原単位診断部24は差を演算し診断するものでなく、基本消費電力原単位と現在の消費電力原単位の比を演算し、診断するものであってもよい。
【0072】
原単位診断部24は、機器のメンテナンス直後に、オペレータの操作により起動され、メンテナンス直後の値と基本消費電力原単位との差を診断してもよい。この値の監視は、メンテナンスによる原単位の回復度合いを診断するものであり、メンテナンス後に当初の機器性能に回復しているか否かの診断が可能となる。メンテナンス直後と基本消費電力原単位の差が、あらかじめ登録された診断しきい値以上であれば、機器更新のタイミングといえるため、これをガイダンスすることにより、適切な機器更新を見こめる。
【0073】
前回メンテナンスと今回メンテナンス間の原単位データの分散(σ値)を監視するものであってもよい(請求項1に対応)。例えば、原単位診断部24が、消費電力原単位演算部22により演算された消費電力原単位に基づいて、所定期間毎に当該消費電力原単位の分散データを算出する機能と、この算出した所定期間毎の分散データ間の差分を算出し、この差分が所定の診断値以上か否かを判定する機能と、この判定の結果、分散データ間の差分が所定の診断値以上のとき、当該機器の分散異常情報を表示装置23に出力する機能とを持つものとしてもよい。このように、分散を監視することにより、例えば機器の電流値の異常な変動を捕らえることができる。これにより、機器が重故障を起こす前に事前に機器の悪化を診断することが可能となる。
【0074】
(第4の実施形態:請求項2に対応)
図12は本発明の第4の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【0075】
本実施形態は、図1に示した構成に原単位変化率診断部25が付加された構成となっている。
【0076】
ここで、原単位変化率診断部25は、消費電力原単位演算部22により演算された単位時間前の消費電力原単位と現在の消費電力原単位との差分を当該単位時間で割った原単位変化率を演算する機能と、この原単位変化率が所定の診断値以上か否かを判定する機能と、この判定の結果、原単位変化率が所定の診断値以上のとき、当該機器のメンテナンスを促すガイダンス情報を表示装置23に出力する機能とをもっている。
【0077】
次に、以上のように構成された設備更新計画支援システムの動作を説明する。
原単位変化率診断部25では、単位時間前に収集されたデータにより計算された消費電力原単位と現在データの消費電力原単位の差を単位時間で割った原単位変化率を監視し、変化率が外部から設定された診断値以上になった場合に機器効率の低下を検出し、メンテナンスを行うよう表示装置23にガイダンスをする。
【0078】
上述したように本実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、常時原単位の値を監視していなくとも、自動で適切なメンテナンスのタイミングをガイダンスすることができる。特に、機器に故障があった場合はこの変化率が大きくなると考えられるため、故障の早期発見に寄与することができる。
【0079】
(他の実施形態)
メンテナンス直後のみのデータの変化率を診断するものであってもよい。この値の監視は、メンテナンス後の機器性能の変化率を監視することになる。メンテナンス直後データの変化率が、登録した診断閾値以上であれば、メンテナンスによる機器の回復が十分でないといえるため、これをガイダンスすることにより、適切な機器更新を見込める。
【0080】
前回メンテナンスと今回メンテナンス間の原単位データの分散の変化率を監視するものであってもよい。分散の変化率を監視することにより、たとえば機器の電流値の異常な変動が増えたか否かを捕らえることができる。これにより、機器が重故障を起こす前に事前に機器の悪化を診断することが可能となる。
【0081】
(第5の実施形態:請求項3に対応)
次に、本発明の第5の実施形態について図12を参照しながら説明する。
すなわち、本実施形態は、図12に示した原単位変化率診断部25が、ガイダンス情報の出力間隔に対応するメンテナンス間隔が基準間隔以下か否かを判定する機能と、この判定の結果、メンテナンス間隔が基準間隔以下のとき、当該機器の更新を促す更新ガイダンス情報を出力する機能とを更に備えた構成となっている。
【0082】
次に、以上のように構成された設備更新計画支援システムの動作を説明する。
原単位変化率診断部25では、前回ステップの消費電力原単位と現在の消費電力原単位の差をステップ時間で割った原単位変化率を監視し、変化率が外部から設定される診断値以上になった場合にメンテナンスを行うよう表示装置23にガイダンスをする。またそのメンテナンス間隔がある診断値以下になった場合に、機器を更新するよう表示装置23にガイダンスをする。
【0083】
上述したように本実施形態によれば、第4の実施形態の効果に加え、常時、自動で適切なメンテナンスのタイミングだけでなく、機器更新のタイミングをガイダンスすることができる。
【0084】
(他の実施形態)
原単位の診断は、変化率による診断でなく、基本電力消費原単位と現在の電力消費原単位の差もしくは率により実施するものであってもよい。
【0085】
機器更新のタイミングは、メンテナンス間隔により診断するのではなく、ある期間内でのメンテナンス回数(頻度)で診断するものであってもよい。
【0086】
(第6の実施形態:請求項4に対応)
図13は本発明の第6の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【0087】
本実施形態が対象とする水処理プラント10cは、第1及び第2送風機51,52で曝気槽7に空気を供給しており、第1及び第2送風機51,52から供給される風量を調節するためのインバータと風量を計測する風量計61,62が設置されており、また第1及び第2送風機51,52の電力消費量が各送風機電力量計151,152により計測されている。
【0088】
一方、設備更新計画支援装置306は、データ保存部20c、基本機器性能関数保存部26、各保存部20c,26を有するデータベース装置20、機器性能演算部27及び表示装置23を備えている。
【0089】
データ保存部20cは、図14に示すように、データベース装置20内の図示しないデータベース管理システム(DBMS)により読出/書込可能な記憶装置であり、データベース装置20に送信された流入ポンプ運転状態、流入流量、水質データ、第1及び第2送風機曝気風量(以下、単に風量ともいう)、第1及び第2送風機消費電力量の各データが逐次、日時データと共に書き込まれ、これら各データを蓄積するものである。
【0090】
基本機器性能関数保存部26は、図15に示すように、各送風機51,52毎に、導入当初又はメンテナンス直後の所定期間における曝気風量及び消費電力量がデータベース装置20のDBMSを介して書き込まれ、且つ機器性能演算部27から当該消費電力量と流量との関係を表す基本機器性能関数情報が書き込まれ、これら曝気風量、消費電力量及び基本機器性能関数情報を保存する記憶装置である。
【0091】
機器性能演算部27は、基本機器性能関数保存部26に保存された消費電力量と曝気風量とに基づいて、当該消費電力量と曝気風量との関係を表す基本機器性能関数情報を算出する機能と、この基本機器性能関数情報を基本機器性能関数保存部26に書き込む機能と、データ保存部20cを参照して現在の消費電力量と流量との関係を表す現在機器性能関数情報を算出する機能と、この現在機器性能関数情報を表示装置23に送出する機能とをもっている。
【0092】
表示装置23は、基本機器性能関数保存部26内の基本機器性能関数情報と、機器性能演算部27により演算された現在機器性能関数情報とを比較表示する機能をもっている。
【0093】
次に、以上のように構成された設備更新計画支援システムの動作を説明する。
第1及び第2送風機51,52により、水処理プロセス4に空気が供給されている。水処理プロセスでは生物が各送風機51,52により供給された空気中の酸素を利用して、汚濁物の除去を行う。この空気の必要量は、水処理プロセス4に流入する汚濁物の量や質により変化する。このため、各送風機51,52からの空気の供給量を調整するために回転数が制御できるようインバータが設置されており、水処理に必要な空気量が供給されるよう回転数が自動制御されている。
【0094】
基本機器性能関数保存部26では、風量計61,62、電力量計151,152のデータから機器別に運転初期段階での所定期間(1週間程度)の間の曝気風量と消費電力量の関係を逐次保存する。機器性能演算部27は、その関係から曝気風量と消費電力量の関係式を算出し、図16に示すような2次元の関数情報として基本機器性能関数保存部26に保存する。
【0095】
また、機器性能演算部27は、現在の曝気風量と電力量の関係(図16の○で示されるプロット)を常時計算している。表示装置23は、基本機器性能関数保存部26に保存された関数情報と機器性能演算部27での演算結果を併せて表示する。
【0096】
流入する汚濁物質の量や質は1日単位で変化し、また、その流量と電力消費量の関係は通常インバータで回転数制御する場合、その関係は図16の実線部のような曲線の関係にある。また、機器の性能が劣化するとこの曲線が点線のように上部に移動する。
【0097】
このようなことから、基本機器性能関数保存部26に保存された曲線と現時点での曲線の比較により、機器の劣化度をオペレータが判断することができる。
【0098】
上述したように本実施形態によれば、基本機器性能関数と、現在機器性能関数とを表示することにより、インバータのような回転機器のように曝気風量と消費電力量の関係が非線形にあるものに対しても、基本機器性能関数との差によりその機器の劣化度を診断することができる。
【0099】
(他の実施形態)
インバータによるものでなくとも例えば空気配管の出口の風量調節弁や送風機の吸い込み側のインレットベーンで風量を調節する場合でも適用できる。
【0100】
送風機51,52でなくともポンプ21,22であってもよく、弁や回転数により流量を調節する調節部があり、それらの流量と、電力消費量を計測していればどのような機器であってもよい。
【0101】
(第7の実施形態:請求項5に対応)
図17は本発明の第7の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【0102】
すなわち、本実施形態は、図13に示した構成に機器性能診断部28が付加された構成となっている。
【0103】
ここで、機器性能診断部28は、基本機器性能関数保存部26内の基本機器性能関数情報と、機器性能演算部27により演算された現在機器性能関数情報との差分を演算する機能と、差分が所定の診断値以上か否かを判定する機能と、判定の結果、差分が所定の診断値以上のとき、当該機器のメンテナンスを促すガイダンス情報を表示装置23に出力する機能とをもっている。
【0104】
次に、以上のように構成された設備更新計画支援システムの動作を説明する。
機器性能診断部28では、その時の風量における基本機器性能関数保存部26に保存された関数と機器性能演算部27での演算結果との差を測定する。差は図16の破線部分となる。この差が所定期間の間ある閾値以上であると判定した際に機器性能の低下を検出し、メンテナンスを行うよう表示装置23にガイダンスする。
【0105】
上述したように本実施形態によれば、第6の実施形態の効果に加え、常時、機器性能関数と現在の値の差を監視していなくとも、自動で適切なメンテナンスのタイミングをガイダンスすることができる。
【0106】
(他の実施形態)
実施形態では乖離度を誤差で測定したが、例えば曲線との距離で乖離度を測定するものであってもよく、基本機器性能曲線と現在の曝気風量と消費電力量のプロットとの乖離度を演算するものであればどのようなものであってもよい。
【0107】
(第8の実施形態:請求項6及び請求項7に対応)
図18は本発明の第8の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【0108】
本実施形態は、2台の送風機51,52から1系列の水処理プロセス4に空気を流入する水処理プラント10cを対象とし、設備更新計画支援装置308側では、データベース装置20内にデータ保存部20cと消費電力原単位保存部21cとを有し、また図1に示した構成に対し、基本性能入力部29、定格運転原単位比較評価部31を付加した構成となっている。
【0109】
ここで、データ保存部20cは、前述同様に、図14に示す構成となっている。
【0110】
消費電力原単位保存部21cは、図19に示すように、消費電力原単位演算部22により逐次演算された送風機51,52毎の消費電力原単位(=消費電力量/曝気風量)がDBMSにより日時データに関連付けて保存される。
【0111】
基本性能入力部29は、オペレータの操作により、送風機51,52毎の定格運転時の消費電力量を示す定格電力及び定格運転時の風量を示す定格容量を入力する消費電力原単位演算部22に入力するものである。
【0112】
これに伴い、消費電力原単位演算部22は、データ保存部20c内の現在の消費電力量及び風量から消費電力原単位を演算してデータベース装置20及び表示装置22に送出する機能に加え、基本性能入力部29から入力された定格電力及び定格容量に基づいて、低格容量あたりの定格電力を示す定格運転時消費電力原単位を演算する機能と、この定格運転時消費電力原単位を定格運転原単位比較評価部31及び表示装置23に送出する機能とをもっている。
【0113】
定格運転原単位比較評価部31は、消費電力原単位保存部21c内の日時データに基づいて所定期間内の消費電力原単位と、消費電力原単位演算部22から受けた定格運転時消費電力原単位とを比較する機能と、この比較の結果、定格運転時消費電力原単位に対し、所定期間内の消費電力原単位が常に大きいか又は常に小さいとき、当該大きい又は小さい旨を表すガイダンス情報を表示装置23に出力する機能とをもっている。
【0114】
次に、以上のように構成された設備更新計画支援システムの動作を説明する。
消費電力原単位演算部22では、第1送風機電力量計151、第2送風機電力量計152と第1風量計61、第2風量計62の情報から電力量/曝気風量で計算される消費電力原単位を演算し、逐次データベース装置20内のデータ保存部20cに蓄える一方で、基本性能入力部29に入力された各機器の定格容量、定格電力の情報から[定格電力(定格運転時の消費電力量)/定格容量(定格運転時の曝気風量)]で計算される定格運転消費電力原単位を計算する。これら原単位データは信号線を介して、表示装置23に表示される。
【0115】
定格運転原単位比較評価部31では、定格運転時消費電力原単位と所定期間内(例えば、月単位、年単位)の消費電力原単位を評価し、消費電力原単位データの推移が定格運転の消費電力原単位に比べ、常に低い場合又は、常に高い場合にその旨を表示装置23を通してガイダンスする。
【0116】
上述したように本実施形態によれば、定格運転時の消費電力原単位と、通常運転時の消費電力原単位とを比較して両者が常に離れている場合にはその旨を表示装置23を通じてガイダンスする構成により、機器の仕様と、実際の運用とが適合していない可能性が高い場合を通知できる。
【0117】
例えば、定格運転消費電力原単位に対して、常に消費電力原単位が低い場合は機器がオーバースペックである可能性が高く、より小さなポンプを選定し、消費電力を抑えた方が経済的メリットが得られる可能性があり、その判断を支援する情報となる。また逆に定格運転消費電力原単位に対して、常に消費電力原単位が高い場合は機器に対する負荷が高いため、故障リスクが高く、また機器寿命が短くなる可能性が高くなるため、より大きなポンプへの更新または、新規のポンプの追加が推奨される。
【0118】
補足すると、従来、同一の性能を有する機器・設備でも、かかるコスト又はエネルギーが異なる場合が多い。理由は、機器・設備を必ずしも定格で運転するとは限らず、処理する水の水質・水量に応じて回転機器であれば回転数を制御し、制御弁により処理水量を絞る場合がある。
【0119】
このため、従来、オフラインデータによる解析では、実際の設備・機器にかかるコスト又はエネルギーを全て考慮できるわけではなく、最も経済的メリットのある設備更新計画であるとは限らない。例えば、ほとんどの期間に定格の50%で運転される機器があれば、その機器よりも小さい定格の機器を導入した方がコスト面、エネルギー面で経済的である場合もある。
【0120】
しかしながら、本実施形態では、定格運転時の消費電力原単位と、実際の消費電力原単位を比較することにより、より定格運転に近い機器に更新することができる。
【0121】
(他の実施形態)
定格運転原単位比較評価部31でのガイダンスの判断は、定格運転消費電力原単位より常に高いもしくは低いで判断するのではなく、所定期間の消費電力原単位がある割合(例えば95%)以上、定格運転消費電力原単位より高い又は低いで判断してもよい。
【0122】
(第9の実施形態:請求項8に対応)
図20は本発明の第9の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【0123】
本実施形態は、2台の送風機51,52から1系列の水処理プロセス4に空気を流入する水処理プラント10cを対象とし、設備更新計画支援装置309側では、データ保存部20c、コスト原単位データ保存部32、各保存部20c,32を有するデータベース装置20、コスト原単位演算部33、コスト原単位予測部34、総コスト演算部35及び表示装置23を備えている。
【0124】
ここで、コスト原単位データ保存部32は、コスト原単位演算部33に書き込まれ、コスト原単位予測部34に読み出される記憶装置であり、図21に示すように、送風機51,52毎のコスト原単位と日時データとを関連付けて保存し、送風機51,52毎の所定期間におけるコスト原単位の平均値と期間データとを関連付けて保存している。
【0125】
コスト原単位演算部33は、データ保存部20cを参照し、送風機51,52毎の消費電力量及び風量に基づいて、単位風量あたりの消費電力量を示す消費電力原単位を演算する機能と、この消費電力原単位に対し、単位電力あたりの電力料金を乗じることにより、単位流量あたりの電力料金を示すコスト原単位を演算する機能と、このコスト原単位を日時データと関連付けてコスト原単位データ保存部32に書き込む機能と、コスト原単位データ保存部32内のコスト原単位及び日時データに基づいて、所定期間毎のコスト原単位の平均値を算出する機能と、この平均値を日時データと関連付けてコスト原単位データ保存部32に書き込む機能とをもっている。
【0126】
コスト原単位予測部34は、コスト原単位データ保存部32を参照し、所定期間毎のコスト原単位の平均値に基づいて、当該所定期間毎のコスト原単位の推移と将来のコスト原単位の推移とを表すコスト原単位関数情報を算出する機能と、このコスト原単位関数情報を総コスト演算部35に送出する機能とをもっている。
【0127】
総コスト演算部35は、このコスト原単位関数情報に基づいて、将来の所定期間にかかるコストを予測する機能と、この予測したコストを表示装置23に送出する機能とをもっている。
【0128】
次に、以上のように構成された設備更新計画支援システムの動作を説明する。
コスト原単位演算部33では、第1送風機電力量計151、第2送風機電力量計152と第1風量計61、第2風量計62の情報から電力量/曝気風量で計算される消費電力原単位に単位電力あたりの電力料金を掛け合わせることによって、各送風機別のコスト原単位を演算する。この原単位データはコスト原単位保存部32に逐次保存される。
【0129】
コスト原単位予測部34では、将来期間(例えば、1年〜10年くらいのスパン)のコスト原単位の変化をコスト原単位保存部に蓄えられた月平均又は年平均レベルの平均データを元に将来の各機器のコスト原単位を図22のように(1)式で示される指数関数で近似して外挿し、予測する。
【0130】
y(t)=a*exp(b*t) (1)式
y(t):時刻tにおけるコスト原単位(円/m3)
t:時刻(年)(導入当初をゼロとする)
b;定数
ここで、定数a,bは現在から過去の推移に最も適合するようにコスト原単位予測部34で算出される。
【0131】
総コスト演算部35では将来の所定期間にかかる1m3の曝気風量あたりコスト[円/m3]を図22の現在から将来のある地点までの部分を積分する(第2送風機52の単位曝気量あたりの総コストは図22の斜線部の面積に対応する。第1送風機51の単位曝気風量も同様に積分することにより求めることができる。)ことによって求め、表示装置23に表示する。この値を第1送風機51と第2送風機52で比較することによりオペレータはどちらの送風機51,52を先に更新するべきかの判断が可能となり、設備の更新計画に反映させることができる。
【0132】
上述したように本実施形態によれば、所定期間毎のコスト原単位の推移と将来のコスト原単位の推移とを表す関数情報を算出し、この関数情報に基づいて将来の所定期間にかかるコストを予測する構成により、現在値のコスト比較ではなく、現在から将来期間のライフサイクルコストを比較することになるため、将来も見据え、より経済的な設備更新計画の立案が可能となる。
【0133】
また、将来の効果を定量的に示すことができるため、設備投資効果のPRに役立てることができる。
【0134】
(他の実施形態)
コスト演算を行う機器は送風機ではなく、例えば図6に示すような他の機器でもよい。
【0135】
総コスト演算部35の演算は、単位性能(曝気量)あたりのコストで比較するのではなく、今後の予測曝気量を現在値と今後の処理水量の計画値とから予測し、予測曝気量と将来コスト原単位を乗じることによって、実際にかかる総コストを予測し、表示装置23に表示するものであってもよい。
【0136】
将来予測に使う式は式(1)の形に限らず、過去のデータを使って、例えばy=ax+bの線形式、又はy=ax2+bx+cなどの多項式の形で近似式を作成し、将来値を予測するものであってもよい。
【0137】
(第10の実施形態:請求項9に対応)
図23は本発明の第10の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【0138】
本実施形態は、2系列の水処理プロセス41,42に各送風機51,52が個別に空気を輸送する水処理プラント10dを対象とし、設備更新計画支援装置3010側では、図20に示した構成に対し、更新計画入力部36及び更新機器性能入力部37を付加した構成となっている。なお、データベース装置20は、水処理プラント10dの構成に対応したデータ保存部20d及びコスト原単位データ保存部32’を備えている。
【0139】
ここで、データ保存部20dは、図24に示すように、第1及び第2ポンプ運転状態、第1及び第2系列流入流量、第1及び第2系列水質データ、第1及び第2系列水処理プロセス消費電力量、第1及び第2送風機曝気風量、第1及び第2送風機消費電力量、第1及び第2流入ポンプ消費電力量の各データが、日時データと共に保存されている。
【0140】
コスト原単位データ保存部32’は、図25に示すように、第1及び第2ポンプコスト原単位、第1及び第2送風機コスト原単位の各データが日時データと共に保存されており、第1及び第2ポンプコスト原単位、第1及び第2送風機コスト原単位の所定期間における平均値が期間データと共に保存されている。
【0141】
更新計画入力部36は、オペレータの操作により、機器(例、各流入ポンプ21,22及び各送風機51,52のいずれか)の更新時期を更新機器コスト演算部38に入力する機能をもっている。
【0142】
更新機器性能入力部37は、オペレータの操作により、更新時期に更新される機器(例、各流入ポンプ21,22及び各送風機51,52のいずれか)の定格運転時の消費電力量を示す定格電力及び定格運転時の流量を示す定格容量を総コスト演算部35に入力する機能をもっている。
【0143】
これに伴い、総コスト演算部35は、前述したコストを予測する機能に加え、更新機器性能入力部37から入力された機器毎の定格電力及び定格容量に基づいて、定格容量あたりの定格電力を示す定格運転時消費電力原単位を演算し、この定格運転時消費電力原単位に対し、単位電力あたりの電力料金を乗じることにより、更新後のコスト原単位を演算し、この更新後のコスト原単位及び更新時期に基づいて、前述した機能により予測したコストを修正する機能をもっている。
【0144】
次に、以上のように構成された設備更新計画支援システムの動作を説明する。
コスト原単位演算部33では、1系水処理プロセス内機器の電力量計141、2系水処理プロセス内機器の電力量計142、第1流入流量計31、第2流入流量計32の情報から電力量/流入流量で計算される消費電力原単位に単位電力あたりの電力料金を掛け合わせることによって、各系列別のコスト原単位C1,C2を演算する。
【0145】
この原単位データはデータベース装置20内のコスト原単位保存部32’に逐次保存される。コスト原単位予測部34では、将来期間(例えば、1年〜15年くらいのスパン)のコスト原単位の変化をコスト原単位保存部32’に蓄えられた月平均又は年平均レベルの平均データを元に将来の各系列のコスト原単位を前述と同様に(1)式で示されるような指数関数で近似して外挿し、予測する。
【0146】
一方で、更新計画入力部36にはどの機器・系列をいつ更新するかという計画が入力される。また、更新機器性能入力部37には更新される機器の定格電力、定格容量などの基本性能が入力される。
【0147】
総コスト演算部35では、設備の更新をしない場合の将来の所定期間の間にかかる1m3の流入流量あたりコスト(円/m3)をコスト原単位予測部34で予測されたデータを積分することによって求める一方、更新計画入力部36と更新器性能入力部37に入力されたデータより、更新計画入力部36に入力されたように設備更新を行った場合の流入流量あたりのコスト原単位を演算し、このコスト原単位に流入流量の計画値を乗じることにより、所定期間の総コストを演算する。
【0148】
設備更新を行った場合の流入流量あたりのコストの演算方法に関して、更新計画に図26の項目が入力され、機器性能の部分に図27の項目が入力されたと仮定し、期間10+T年間の総コストの具体的な演算方法の一例を以下に示す。
【0149】
更新しない場合の第1流入ポンプのコスト原単位予測値と第1送風機のコスト原単位予測値Cp1,t(円/(m3・年))、Cb1,t(円/(m3・年))をコスト原単位予測部34で計算する(計算方法は第9の実施形態に記載)。
【0150】
更新機器性能入力部37に入力されたデータより、更新後の第1流入ポンプ21と第1送風機51のコスト原単位C’p1(円/(m3・年))、C’b1(円/(m3・年))を定格電力/定格容量に単位電力あたりの電力料金と期間(年)を掛け合わせることによって、それぞれ計算する。
【0151】
次に(2)式、(3)式により、更新によるコスト原単位の低下を演算する。
【0152】
Ecp1,t = Cp1,t − C’p1 (t=t〜T+10) (2)式
Ecb1,t = Cb1,t − C’b1 (t=t〜T+10) (3)式
Ecp1,t: 第1流入ポンプ更新21に伴うt年後の原単位の低下量(円/(m3・年))
Ecb1,t: 第1送風機51更新に伴うt年後の原単位の低下量(円/(m3・年))
更新機器に関しては機器の劣化がないと仮定すると、更新した場合のコスト原単位C’1,t[円/(m3・年)]は(4)式で計算される。
【0153】
C’1,t = C1,t − Ecp1,t − Ecb1,t・D1,t (t=5〜10+T) (4)式
C1,t:更新しない場合のt年後の1系コスト原単位予測値(円/(年・m3))
D1,t:t年後の1系空気倍率予測値(m3曝気風量)/(m3流入流量))
同様に更新しない場合の第2流入ポンプ22のコスト原単位予測値と第2送風機52のコスト原単位予測値Cp2,t[円/(m3・年)]、Cb2,t[円/(m3・年)]をコスト原単位予測部34で計算する(計算方法は第9の実施形態に記載)。更新機器性能入力部37に入力されたデータより、更新後の第2流入ポンプ22と第2送風機52のコスト原単位C’p2[円/(m3・年)]、C’b2[円/(m3・年)]を定格電力/定格容量に単位電力あたりの電力料金と期間(年)を掛け合わせることによって、それぞれ計算する。
【0154】
次に(5)式、(6)式により、更新によるコスト原単位の低下を演算する。
【0155】
Ecp2,t = Cp2,t − C’p2 (5)式
Ecb2,t = Cb2,t − C’b2 (6)式
Ecp2,t:第2流入ポンプ22更新に伴うt年後の原単位の低下量[円/(m3・年)]
Ecb2,t:第2送風機52更新に伴うt年後の原単位の低下量[円/(m3・年)]
また、更新前第2散気装置72の散気効率の仕様G2、更新後の散気装置72の散気効率の仕様G’2とし、更新前の第2散気装置72導入直後の空気倍率(第2曝気風量/第2流入流量)Dとすると更新後の空気倍率予測値D’2は、
D’2=D2・G2/G’2で示される。
【0156】
更新機器は機器の劣化がなく、定格運転でほぼ推移すると仮定すると、2系を更新した場合の2系のコスト原単位[円/(m3・年)]は時間tの関数として、(7)式で計算される。
【0157】
C’2,t = C2,t−Ecp2,t−Cb2,t・D2,t+D’2・C’b2 (t=10〜10+T) (7)式
C2,t:更新しない場合のt年後の2系コスト原単位予測値[円/(m3・年)]
D2,t:t年後の2系空気倍率予測値[m3(曝気風量)/m3(流入流量)]
将来の処理流量計画が時間tの関数で、1系がQ1,t、2系がQ2,tであるとすると、設備更新しない場合の現在から(10+T)年後のライフサイクルコストLC[円]は、
【数1】

【0158】
図28(a)は1系を更新しない場合とした場合のコスト原単位の推移、図28(b)は2系を更新しない場合とした場合のコスト原単位の推移図で、図28(c)はそれを合算したものである。計画流入量が計画期間で一定でQの場合、(9)式−(8)式により求められるものと図28(c)の斜線部面積にQを乗じたものが一致し、この部分が更新によるコスト削減量となる。
【0159】
上述したように本実施形態によれば、機器を更新した場合と更新しない場合との夫々のコストを予測する構成により、現在値のコスト比較ではなく、現在から将来期間のライフサイクルコストを比較することになるため、将来も見据え、より経済的な設備更新計画の立案が可能となる。
【0160】
(他の実施形態)
更新機器の原単位は劣化しないと仮定しなくとも、原単位の劣化関数を与えて更新した場合のライフサイクルコストを演算するものであってもよい。
【0161】
更新計画入力部36に入力する更新計画は図26の形式に限らず、更新する年次と更新する機器を示すものであれば、どのような形式であってもよい。
【0162】
更新機器性能入力部37に入力する形式は、図27の形式に限らず、更新する機器の基本性能と消費電力量の関係を計算できるものであれば、どのような形式であってもよい。
【0163】
各系列別のライフサイクルコストを計算するものとしたが、計算方法は実施形態の方法でなくともよい。例えば、各系列に設置されている各機器のライフサイクルコストを個別に計算し、最終的に合算するものであってもよい。
【0164】
各系列別のライフサイクルコストを計算しなくとも、各機器を更新する場合と更新しない場合のライフサイクルコストを計算するものであってもよい。例えば流入ポンプ21,22を更新する場合と更新しない場合のライフサイクルコストLCを計算し、流入ポンプ21,22の機器代、工事費を勘案し、流入ポンプ21,22の更新をする、しないの支援を行うものであってもよい。
【0165】
工事費や機器代を更新機器性能入力部37に併せて入力し、投資コストと改善コストを合わせて表示するものであってもよい。
【0166】
(第11の実施形態:請求項10に対応)
図29は本発明の第11の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。図23に示した構成に対し、総コスト比較評価部38を付加した構成である。
【0167】
ここで、総コスト比較評価部38は、同一の機器に関し、更新計画入力部36から複数の更新時期が入力されたとき、総コスト演算部35によって当該更新時期毎に得られる修正後のコストを互いに比較し、当該修正後のコストのうち、最も安いコスト及び更新時期を示すガイダンス情報を表示装置23に出力する機能をもっている。
【0168】
次に、以上のように構成された設備更新計画支援システムの動作を説明する。
更新計画入力部36にはどの機器・系列をいつ更新するかという計画(計画A、B・・・)が2つ以上入力される。また、更新機器基本性能入力部37には更新予定の機器(機器a,b,c,d・・)の定格電力、定格容量などの基本性能が入力される。入力された複数の計画それぞれに対して、第10の実施形態に記載の方法により、総コストを計算する。
【0169】
総コスト比較評価部38では、各計画の総コストを比較評価し、各計画のコスト値を表示すると同時に、最もコストの安い計画がどの計画であるかを表示装置23にガイダンスする。
【0170】
上述したように本実施形態によれば、複数の更新計画毎に得られたコストのうち、最も安いコストの計画を表示する構成により、複数の設備更新計画のうち、最も経済的に効果のある計画立案を支援することができる。
【0171】
(第12の実施形態:請求項11に対応)
図30は本発明の第12の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【0172】
本実施形態は、図23に示した構成に対し、更新計画入力部36及び更新機器性能入力部37を省略し、更新計画入力部39及び更新計画最適化部40を付加した構成となっている。
【0173】
ここで、更新計画入力部39は、オペレータの操作により、更新時期の範囲を示す更新計画期間を総コスト演算部35に入力する機能と、更新予定の機器(機器a,b,c,d・・)の定格電力、定格容量などの基本性能と更新機器の導入コスト(工事費も含む)とを総コスト演算部35及び更新計画最適化部40に入力する機能をもっている。
【0174】
更新計画最適化部40は、更新計画入力部39から入力された更新計画期間に含まれる更新時期を順次選択して総コスト演算部35に送出する機能と、同一の機器に関し、順次複数の更新時期を選択したとき、総コスト演算部35によって当該更新時期毎に得られる修正後のコストを互いに比較し、当該修正後のコストのうち、最も安いコスト及び更新時期を示すガイダンス情報を表示装置23に出力する機能とをもっている。
【0175】
次に、以上のように構成された設備更新計画支援システムの動作を説明する。
更新計画入力部39には、更新予定の機器(機器a,b,c,d・・)の定格電力、定格容量などの基本性能と更新機器の導入コスト(工事費も含む)と計画期間が入力される。
【0176】
更新計画最適化部40ではこの更新計画入力部39に入力された情報より、計画期間内で最もライフサイクルコストが最小となる設備更新計画を導出する。
【0177】
更新計画最適化部40では、更新予定の機器それぞれをいつ更新するのが最もコストが小さくなるか、更新しない場合の総コスト予測と更新した場合の総コスト予測値の差が最も大きくなるよう更新時期を最適化する。また、それが導入コストに対して、計画期間で回収できるか否かを演算し、回収できないものに関しては更新しないと判断し、回収できるものに対しては、最適化で算出された更新時期に更新するよう計画が導出される。
【0178】
最適化演算方法は更新時期を全探索する(計画期間が30年の場合は、1年目、2年目、・・・30年目に更新した場合のコストを第10の実施形態に記載の方法により計算し、最もライフサイクルコストが小さくなる時期を導出する)ものであってもよいし、更新機器と更新時期の組み合わせをGA(遺伝的アルゴリズム)、SA(シミュレーテッドアニーリング)などの一般的な最適化手法により探索するものであってよい。
【0179】
上述したように本実施形態によれば、更新時期の範囲を示す更新計画期間のうち、最も安いコストとなる更新時期を探索する構成により、投資効果を最大化する設備更新計画を自動で立案できる。
【0180】
(他の実施形態)
最適化方法は実施形態のように各機器について更新時期を最適化演算するのではなく、複数の機器をグループ化しておいて、グループ化された機器類の更新時期を最適化するものであってもよい。
【0181】
(第13の実施形態:請求項12に対応)
図31は本発明の第13の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【0182】
本実施形態は、図30に示した構成に対し、予算計画入力部41を付加した構成である。
【0183】
ここで、予算計画入力部41は、オペレータの操作により、各時期の予算を示す予算計画を更新計画最適化部40に入力するものである。
【0184】
これに伴い、更新計画最適化部40は、前述した機能に加え、更新計画入力部39から受けた機器の導入コストの合計が、予算計画入力部から受けた予算に収まる範囲内で、更新計画期間に含まれる更新時期を順次選択する機能をもっている。
【0185】
次に、以上のように構成された設備更新計画支援システムの動作を説明する。
更新計画入力部39には、更新予定の機器(機器a,b,c,d・・)の定格電力、定格容量などの基本性能と更新機器の導入コスト(工事費も含む)と計画期間が入力される。
【0186】
予算計画入力部41には、各年次毎の予算計画(利用できる最大予算)が入力される。
【0187】
更新計画最適化部40では、更新機器の導入コストがこの予算計画の制約条件の範囲内となるよう条件の絞込みを行い、絞り込まれた条件の中で、計画期間内で最もライフサイクルコストが最小となる設備更新計画を導出する。
【0188】
上述したように本実施形態によれば、入力された予算計画の範囲内で更新計画を最適化する構成により、予算計画の範囲内で投資効果を最大化する設備更新計画を立案できる。
【0189】
予算計画の制約条件下で最適化演算を行うので、第12の実施形態に比べ、探索範囲が狭く、計算量(計算時間)を削減できる。
【0190】
(第14の実施形態:請求項13に対応)
図32は本発明の第14の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【0191】
本実施形態は、図30に示した構成に対し、機器重要度設定部42を付加した構成となっている。
【0192】
ここで、機器重要度設定部42は、オペレータの操作により、更新される機器の重要度を更新計画最適化部40に入力する機能をもっている。
【0193】
これに伴い、更新計画最適化部40は、前述した機能に加え、機器重要度設定部42から受けた重要度を受ける機能と、同一の機器に関し、順次複数の更新時期を選択したとき、重要度が高い機器については、総コスト演算部35によって得られる更新後のコスト原単位が初期のコスト原単位と比較して閾値に安全係数を乗じた値以上に高くなる更新時期の直前の「更新時期」及び「修正後のコスト」を示すガイダンス情報を表示装置23に出力する機能と、同一の機器に関し、順次複数の更新時期を選択されたとき、重要度が低い機器については、総コスト演算部35によって当該更新時期毎に得られる修正後のコストを互いに比較し、当該修正後のコストのうち、最も安いコスト及び更新時期を示すガイダンス情報を表示装置23に出力する機能とをもっている。
【0194】
次に、以上のように構成された設備更新計画支援システムの動作を説明する。
機器重要度設定部42には、各機器別にその重要度が設定される。設定は、例えば、故障した場合、水処理を停止せざるを得ないなどの重度の被害が生じるものを3、停止するほどではないが処理量を減らすなどの処置をしなくてはならないなどの被害が生じるものを2、処理量を減らさなくとも代替が効くものを1として、重要度を設定する。
【0195】
更新計画最適化部40では、入力された重要度を元に以下のような法則に基づき、計画を立案する。
【0196】
重要度3の機器は、コスト原単位予測部で予測される原単位が初期の原単位と比較して、ある閾値に安全係数(α1:α1<1)を乗じた値(補足:閾値が低めに設定され、機器更新を早めに行うことになる。)以上に大きくなると予測された年度に、ライフサイクルコストLCが最も小さくならなくとも更新する。
【0197】
重要度2の機器は、コスト原単位予測部で予測される原単位が初期の原単位と比較して、ある閾値以上に大きくなると予測された年度に、ライフサイクルコストLCが最も小さくならなくとも更新する。
【0198】
重要度1の機器はライフサイクルコストLCが最も小さい場合に更新する。
【0199】
上述したように本実施形態によれば、設備の重要度に応じて、コスト重視、リスク重視を切り分けた更新計画を立案できるため、リスクが小さく、ライフサイクルコストLCが小さくなるような更新計画を立案できる。
【0200】
(他の実施形態)
設備の重要度の設定方法は、実施形態の方法に限らず、例えば、その機器が故障した場合の被害想定額に発生確率を乗じたリスク係数を算出し、そのリスク係数の大小によって、重要度を算出するものであってもよい。
【0201】
設備の重要度は3に限らず2以上の何段階であってもよい。
【0202】
更新計画最適化部の更新計画の導出方法は実施形態の方法に限らず、例えば機器別の重要度に応じて重み付け係数を設定し、重み付け係数にコストを乗じた重み付きコストが最小となるよう設備更新計画を立案するものであってもよい。
【0203】
(第15の実施形態:請求項14に対応)
図33は本発明の第15の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【0204】
本実施形態は、図30に示した構成に対し、必要人員コスト設定部43を付加した構成である。
【0205】
ここで、必要人員コスト設定部43は、オペレータの操作により、各時期における更新前の人員数及び人員単価並びに更新後の人員数及び人員単価が設定されるものである。
【0206】
これに伴い、総コスト演算部35は、前述した機能により予測したコストを、必要人員コスト設定部43の設定内容に基づいて修正する機能をもっている。
【0207】
次に、以上のように構成された設備更新計画支援システムの動作を説明する。
必要人員コスト設定部43には、更新前の人員数と各人員の単価[円/年]と更新計画上の必要人員数と各人員の単価[円/年]が外部より設定される。これにより、各人員の単価と人員数を乗じて積み上げることによって、総コスト演算部35では前述の運転コストに加えて、人件費も計算する。
【0208】
上述したように本実施形態によれば、必要人員の人員数と単価を設定する構成により、人件費も含めた設備更新の投資効果を算出することが可能となる。
【0209】
(第16の実施形態:請求項15に対応)
図34は本発明の第16の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【0210】
すなわち、本実施形態は、図30に示した構成に対し、水質シミュレーション部44を付加した構成となっている。
【0211】
ここで、水質シミュレーション部44は、更新計画入力部39から入力されたデータに基づいて、設備更新後の水質をシミュレーションするものであり、例えば、更新計画入力部39により入力される「更新される機器の定格容量」に基づいて当該機器の更新後の水質をシミュレーションにより予測し、得られた水質の予測値を表示装置23に出力する機能をもっている。
【0212】
次に、以上のように構成された設備更新計画支援システムの動作を説明する。
水質シミュレーション部40では、更新計画入力部39に設定されたデータに基づいて、設備更新後の水質をシミュレーションする。機器の定格電力の変更のみであれば、水質が大きく変化することはないが、プロセス構成を変更する場合(たとえば、標準活性汚泥法から嫌気−好気法(AO法)への変更)や機器の定格容量を小さいものに変更する場合、処理水質が変わる可能性がある。
【0213】
この際には、処理水質が目標水質を達成できるか否かを検討する必要がある。水質シミュレーションはたとえば、生物処理の国際的標準モデルとなりつつある活性汚泥モデル(ASM)を使って水質を予測するものであっても良いし、非特許文献1に記載の方法により、窒素除去・リン除去に必要な条件を満たしているかを演算するものであっても良い。
【0214】
上述したように本実施形態によれば、更新計画に基づいて水質をシミュレーションする構成により、設備更新後に処理水質が目標を満たすか否かの検討をすることが可能となる。
【0215】
(他の実施形態)
更新計画最適化部40の最適化演算の制約条件として、水質シミュレーション部44でのシミュレーション結果が水質目標値を達成する範囲とするものであってもよい。これにより、水質目標を達成する範囲内での最適化演算となり、経済的観点だけでなく、処理性能の観点からも条件を満たす設備更新計画を自動で立案することが可能となる。(請求項16に対応)この場合、更新計画最適化部40は、前述した機能に加え、水質シミュレーション部44により得られた水質の予測値が所定の水質目標値を達成する範囲内で、更新計画期間に含まれる更新時期を順次選択するものとなる。
【0216】
(第17の実施形態:請求項17に対応)
図35は本発明の第17の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【0217】
本実施形態は、図34に示した構成に対し、水質コスト演算部45を付加した構成となっている。
【0218】
ここで、水質コスト演算部45は、水質シミュレーション部44により得られた水質の予測値に所定のコスト換算係数を乗じて水質コストを算出する機能と、この水質コストを総コスト演算部35に送出する機能とをもっている。
【0219】
これに伴い、総コスト演算部35は、前述した機能により予測したコストを、水質コスト演算部45から受けた水質コストにも基づいて修正するものとなる。
【0220】
次に、以上のように構成された設備更新計画支援システムの動作を説明する。
水質コスト演算部45では、水質シミュレーション部44で計算された水質予測結果を例えば(10)式のような形でコスト換算する。
【0221】
EC = w1・s1+w2・s2+w3・s3+・・・+wn・sn (10)式
EC:水質コスト(円)
1,・・・,wn:水質s1,・・・,snのコスト換算係数[円/(kg/日)]
1,・・・,sn:評価対象水質の予測負荷量(kg/日)
水質s1,・・・,snに相当するのは、下水処理場であれば、COD(chemical oxygen demand:化学的酸素要求量)、BOD(biochemical oxygen demand:生物学的酸素要求量)、SS(suspended solids:浮遊物質)、T−N、T−Pなどが挙げられる。これら全てを換算するのではなく、代表水質をコスト換算してもよい。
【0222】
浄水場であれば、水道法で定められている50の水質があるが、例えば濁度で代表させてもよい。W1・・・Wnの換算係数は、例えば、その水質を1kg除去するのに一般的に何円必要かというものから想定するなどの方法がある。またオランダ、ベルギーなど欧州では賦課金制度(窒素、リン、CODの下水処理場からの放流負荷量に対して賦課金を徴収する制度。)をとっており、その値を利用して、設定する方法もある。
【0223】
総コスト演算部35ではこの水質コストECと運転コストの和が最小となるよう最適化演算を行う。
【0224】
上述したように本実施形態によれば、第17の実施形態の効果に加え、設備更新後の水質コストを含めて更新計画を最適化する構成により、経済面だけでなく、環境面も考慮した最適設備更新計画を立案することが可能となる。
【0225】
(第18の実施形態:請求項18に対応)
図36は本発明の第18の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【0226】
本実施形態は、図1に示した構成に対し、第1及び第2流入ポンプ絶縁診断装置521,522、ポンプ起動/停止回数カウント装置46、累積運転時間計測装置47、設備評価関数演算部48を備えた構成となっている。
【0227】
ここで、第1及び第2流入ポンプ絶縁診断装置521,522は、各流入ポンプ21,22の漏れ電流及び筐体振動に基づいて、当該機器の絶縁レベルを判定する機能をもっている。
【0228】
ポンプ起動/停止回数カウント装置46は、各流入ポンプ21,22の起動回数及び停止回数をカウントし、起動回数及び停止回数を保持する機能をもっている。
【0229】
累積運転時間計測装置47は、各流入ポンプ21,22の累積運転時間を計測し、累積運転時間を保持する機能をもっている。
【0230】
設備評価関数演算部48は、基本消費電力原単位保存部21a内の基本消費電力原単位と、消費電力原単位演算部22により演算された現在の消費電力原単位との差分を演算する機能と、この「差分」、各絶縁診断装置521,522により得られた「絶縁レベル」、累積運転時間計測装置47により得られた「累積運転時間」及びカウント装置46により得られた「起動回数及び停止回数」にそれぞれ個別の正規化係数を乗じて合計することにより、当該機器の評価値を算出する機能と、この評価値が所定のしきい値以上になったとき、当該機器のメンテナンスを促すガイダンス情報を表示装置23に出力する機能とをもっている。
【0231】
次に、以上のように構成された設備更新計画支援システムの動作を説明する。
消費電力原単位演算部22では、各流入ポンプ21,22の消費電力量と流入流量計の計測値の情報から、各流入ポンプの消費電力原単位C1、C2を演算する。また設備導入当初の消費電力原単位をC01、C02で保持する。
【0232】
第1及び第2流入ポンプ絶縁診断装置521,522では、各流入ポンプ21,22に接続されているスイッチギアの漏れ電流をCT(Current Trans-former)センサで検出するとともに、盤振動、遮断機の筐体振動をAE(Acoustic Emission)センサで検出し、AE信号をウェーブレット変換し、ノイズ成分を除去し、解析することによって、絶縁レベルの低下に比例する部分放電電荷量を推定し、この部分放電電荷量に基づいて各流入ポンプ21,22の絶縁レベル(I1、I2)を10段階(高いほど絶縁レベルが低下と判断。)で評価する。ここで、CTセンサ及びAEセンサを用いて部分放電電荷量を推定する技術は、例えば特開2002−90413に詳しい。
【0233】
また、ポンプ起動/停止回数カウント装置46では、第1及び第2流入ポンプ21,22の各々の起動/停止回数が設置当初から何回起こったかをカウントする(カウント値O1、O2)。
【0234】
一方、累積運転時間計測装置47では、それぞれの流入ポンプ21,22起動時の累積運転時間(T1[時間]、T2[時間])が計測される。
【0235】
設備評価関数演算部48では、例えば、次の(11)式及び(12)式を演算する。
【0236】
DE1=Zc・(C1−C01)+Ze・I1+Zo・O1+Zt・T1 (11)式
DE2=Zc・(C2−C02)+Ze・I2+Zo・O2+Zt・T2 (12)式
DE1:流入ポンプ1の設備診断評価関数値
DE2:流入ポンプ2の設備診断評価関数値
Zc:消費電力原単位正規化係数
Ze:絶縁診断値正規化係数
Zo:起動/停止回数正規化係数
Zt:運転累積時間正規化係数
各正規化係数は機器交換の判断値を元に設定する。例えば、原単位の悪化度が初期の原単位の20%、絶縁レベルが8、起動/停止回数が100回、累積運転時間が5年で機器の交換タイミングであるようなものの正規化係数は、
Zc=1/1.2、Ze=1/8、Zo=1/100、Zt=1/(5・365・24)で設定する。
【0237】
この評価関数値を表示装置23に表示するとともにこの評価関数値が予め設定された値以上になった場合に、メンテナンスもしくは更新するようガイダンスを行う。
【0238】
上述したように本実施形態によれば、消費電力原単位の差分、機器の絶縁レベル、累積運転時間及び起動停止回数に基づいて、機器の劣化度を評価することから、例えばDE1、DE2の比較によりどちらの流入ポンプの方が機器の劣化度が高いかを判断できるため、どちらのポンプを優先的に交換するべきかの判断が可能となる。
【0239】
原単位の劣化だけではなく、絶縁診断や機器の使用状況に関するパラメータも票価値に含まれるので総合的な視点から、機器のメンテナンス、更新タイミングを支援することが可能となる。
【0240】
(他の実施形態)
設備評価関数の式は(11)、(12)式のような形式に限らず、例えばすべての数値を掛け合わせた形など、消費電力原単位、絶縁診断値、ON/OFF回数、累積運転時間などの値が大きくなった場合に評価関数値が大きくなるものであればどのような式であってもよい。
【0241】
設備評価関数に取り入れられるものは前述のもの全てが含まれる必要はない。これに伴い、設備更新計画支援システムは、ポンプ起動/停止回数カウント装置46、累積運転時間計測装置47、第1及び第2流入ポンプ絶縁診断装置521,522のうちいずれかひとつ以上を有する構成であればよい。設備評価関数に取り入れられるものは、例えば絶縁診断値と消費電力原単位のみであるものであってもよく、また、設備の悪化を示す指標となるものであれば、どのような指標を付加してもよい。
【0242】
第15の実施形態において、総コストを最小化するような設備更新計画を立てるシステムの評価関数として、総コストにかわって、(11)、(12)式のような設備評価関数を利用してその値が最小となるよう設備更新計画を立てるシステムであってもよい。
【0243】
絶縁診断方法は実施形態のように10段階の絶縁レベルにより評価するものでなくとも、2以上の段階で評価するものであってもよいし、部分放電電荷量を直接的に正規化し評価するものであってもよい。
【0244】
(第19の実施形態:請求項19に対応)
図37は本発明の第19の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【0245】
本実施形態が対象とする水処理プラント10c’は、水処理プロセス4内の生物反応槽内に空気を供給する送風機5と、送風機5から供給される空気の風量を計測する風量計6と、送風機5から供給した空気を微細化し、空気中の酸素を溶け込ますための散気装置7aと、生物反応槽内の溶存酸素を計測する溶存酸素計8とが設置されている。また、送風機5の電力消費量が電力量計15により計測されている。
【0246】
一方、設備更新計画支援装置3019は、図1と同様の構成において、基本空気倍率保存部53及び空気倍率演算部54を備えている。
【0247】
ここで、基本空気倍率保存部53は、図38に示すように、空気倍率演算部54により演算された空気倍率を日時データと共に保存するものである。
【0248】
空気倍率演算部54は、水処理プラント4内の生物反応槽に関し、送風機5による風量を、流入ポンプ2による流入流量で除算することにより、生物反応槽の空気倍率を演算する機能と、この空気倍率を日時データと共に基本空気倍率保存部に書き込む機能とをもっている。
【0249】
次に、以上のように構成された設備更新計画支援システムの動作を説明する。
消費電力原単位演算部22では、第1風量計6と第1送風機電力量計15の情報から(消費電力量/曝気風量)の演算により消費電力原単位を逐次演算する。
【0250】
基本消費電力原単位保存部21cには、送風機5を設置した直後の所定期間(1日から1週間程度)の平均値である消費電力原単位が保存される。
【0251】
現時点での消費電力原単位と送風機導入直後の基本消費電力原単位は信号線を介して、表示装置23に表示される。原単位の演算に使う風量計6などのセンサ値は瞬時値ではなく、移動平均値や時間平均値、日平均値などを使う方がセンサのノイズの影響を受けにくいため望ましい。
【0252】
空気倍率演算部54では、流入流量計3と第1風量計6の情報から(曝気風量/流入流量)の演算により空気倍率を逐次演算する。また、基本空気倍率保存部53では散気装置7を設置した直後の所定期間(1日から1週間程度)の平均値である空気倍率が保存される。現時点での空気倍率と散気装置導入直後の空気倍率は、信号線を介して、表示装置23に表示される。
空気の供給量は、溶存酸素計8の計測値が一定となるかもしくは空気倍率が一定となるよう制御されていることが多い。溶存酸素計8で制御されている場合、流入水の性状(水質)が変わらなければ、空気倍率はほぼ一定となるが、通常下水の水質は日間変動があるためこの空気倍率は変動する。しかし、雨水の大量流入などの異常がなければ日平均水質がそれほど大きく変化することはないため、月レベル、年レベルの平均をみれば、空気倍率はほぼ同様となる。よって、送風機の異常や散気装置の目詰まり、空気配管上での空気漏れがなければ、同じ溶存酸素濃度を保つために必要な風量は同様であるため、空気倍率は同様に保たれるが、上記のように何らかの異常があれば空気倍率は大きくなる。一方、毒物の混入などにより、生物が働かなくなったばあい、同じ溶存酸素を保つための空気倍率は小さくなる。送風機5本体の異常は、送風機5の消費電力原単位と基本消費電力原単位とを比較することにより判定できるため、空気倍率と基本空気倍率の比較により、散気装置7の目詰まり、空気配管の空気漏れ又は流入水の異常を判定する。比較は差分をとって、差がある閾値以上になったら異常と判定してもよいし、比率又は変化率がしきい値以上になったら異常と判定してもよい。
【0253】
一方、空気倍率が一定となるよう制御されている場合は、送風機5の異常や散気装置7の目詰まり、空気配管上での空気漏れがあった場合、平均溶存酸素濃度が低下する。一方、毒物の混入があった場合、溶存酸素濃度は大きく増大する。
【0254】
送風機5本体の異常は送風機5の消費電力原単位と基本消費電力原単位を比較することにより判定できるため、溶存酸素濃度平均値の監視により、散気装置7の目詰まり、空気配管上での空気漏れのような異常、又は毒物の混入などの異常を判定することができる。
【0255】
上述したように本実施形態によれば、送風機5の消費電力原単位と空気倍率、溶存酸素の関係を監視することにより、送風機5本体の異常のみならずさまざまな種類の異常を判断することができる。
【0256】
(第20の実施形態:請求項20に対応)
図39は本発明の第20の実施形態に係る水処理プラント及びその設備更新計画支援システムの構成を示す模式図である。
【0257】
本実施形態は、同一河川流域において、互いに離れて設けられた3つの水処理プラント10aのデータが集中管理センタ60内の設備更新計画支援装置301に配信される構成となっている。
【0258】
ここで、3つの水処理プラント10a及び設備更新計画支援装置301は、それぞれ図1に示した構成を備えている。
【0259】
次に、以上のように構成された設備更新計画支援システムの動作を説明する。
水処理施設A,B,Cにおける各水処理プラント10aのデータが集中管理センタ60に配信され集約されている。集中管理センタ60では、例えば、第1の実施形態の設備更新計画支援装置301が入っており、設備更新計画支援装置301が、前述同様に、各装置20,23及び各部20a,21a,22を実行することにより、機器の劣化判断や設備更新計画を支援する。
【0260】
上述したように本実施形態によれば、複数の水処理プラント10aに対し、設備更新計画支援装置301が処理を実行する構成により、複数の水処理プラント10aにおいて、どの施設から更新すべきかという判断が可能となる。また、各水処理プラント10aで更新計画を立てるよりもより大きな経済効果が期待できる。
【0261】
(他の実施形態)
本実施形態は、第1の実施形態の設備更新計画支援装置301及び水処理プラント10aを用いた場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、第2〜第19の実施形態のいずれの設備更新計画支援装置302〜304,306〜3019及び水処理プラント10a〜10dを用いた構成に変形しても、同様に実施して同様の作用効果を得ることができる。
【0262】
集中管理センタ60の管理者は、水道事業者や下水道事業者とは別のサービス事業者であってもよく、例えば、集中管理センタ60で解析した設備更新計画に基づいて各水処理プラント10a向けにレポートを作成し、そのレポートの対価を得るサービス事業者であってもよい。この場合、例えば設備更新計画支援装置101は、ガイダンス情報を含む設備更新計画情報を作成する機能と、この設備更新計画情報を水処理プラント10aの運営事業者の端末に向けて送信する機能とを備えればよい。
【0263】
集中管理センタ60は、集約する水処理プラント10aの個数を3に限らず、2以上いくつの同一流域、同一管理自治体の水処理プラント10aのデータを集約してもよい。
【0264】
なお、上記実施形態に記載した手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、光磁気ディスク(MO)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することもできる。
【0265】
また、この記憶媒体としては、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であっても良い。
【0266】
また、記憶媒体からコンピュータにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース装置20管理ソフト、ネットワークソフト等のMW(ミドルウェア)等が上記実施形態を実現するための各処理の一部を実行しても良い。
【0267】
さらに、本発明における記憶媒体は、コンピュータと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝送されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0268】
また、記憶媒体は1つに限らず、複数の媒体から上記実施形態における処理が実行される場合も本発明における記憶媒体に含まれ、媒体構成は何れの構成であっても良い。
【0269】
尚、本発明におけるコンピュータは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、上記実施形態における各処理を実行するものであって、パソコン等の1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であっても良い。
【0270】
また、本発明におけるコンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって本発明の機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0271】
なお、本願発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組合せてもよい。
【0272】
以下に、本分割出願の原出願(特願2007−1723)における出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0273】
[1] 水や空気を輸送する機器を有する水処理プラントに対し、前記機器による水や空気の流量と、前記機器における消費電力量とを蓄積するデータベース装置を参照しながら、前記機器の更新計画の作成を支援する設備更新計画支援システムであって、
前記機器毎の前記消費電力量及び前記流量に基づいて、単位流量あたりの消費電力量を示す消費電力原単位を演算する演算手段と、
前記機器毎に、導入当初又はメンテナンス直後の所定期間における消費電力原単位を示す基本消費電力原単位が前記演算手段から書き込まれ、当該基本消費電力原単位を保存する保存手段と、
前記保存手段内の基本消費電力原単位と、前記演算手段により演算された現在の消費電力原単位とを比較表示する表示手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【0274】
[2] [1]に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記演算手段は、「機器」に代えて、「複数の機器を備えた処理系列」毎の消費電力量及び前記流量に基づいて、単位流量あたりの消費電力量を示す消費電力原単位を演算し、
前記保存手段は、「機器」に代えて、「複数の機器を備えた処理系列」毎に、導入当初又はメンテナンス直後の所定期間における消費電力原単位を示す基本消費電力原単位が前記演算手段から書き込まれ、当該基本消費電力原単位を保存することを特徴とする設備更新計画支援システム。
【0275】
[3] [1]に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記保存手段内の基本消費電力原単位と、前記演算手段により演算された現在の消費電力原単位との差分を演算する差分演算手段と、
前記差分が所定の診断値以上か否かを判定する判定手段と、
前記判定の結果、前記差分が所定の診断値以上のとき、当該機器のメンテナンスを促すガイダンス情報を出力するガイダンス情報出力手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【0276】
[4] [3]に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記機器のメンテナンス直後に、オペレータの操作により、前記差分演算手段、前記判定手段及び前記ガイダンス情報出力手段を起動する起動手段を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【0277】
[5] [3]に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記演算手段により演算された消費電力原単位に基づいて、所定期間毎に当該消費電力原単位の分散データを算出する分散算出手段と、
前記分散算出手段により算出された所定期間毎の分散データ間の差分を算出し、この差分が所定の診断値以上か否かを判定する分散判定手段と、
この判定の結果、前記分散データ間の差分が所定の診断値以上のとき、当該機器の分散異常情報を出力する分散異常出力手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【0278】
[6] [1]に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記演算手段により演算された単位時間前の消費電力原単位と現在の消費電力原単位との差分を当該単位時間で割った原単位変化率を演算する変化率演算手段と、
前記原単位変化率が所定の診断値以上か否かを判定する判定手段と、
前記判定の結果、前記原単位変化率が所定の診断値以上のとき、当該機器のメンテナンスを促すガイダンス情報を出力するガイダンス情報出力手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【0279】
[7] [6]に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記ガイダンス情報の出力間隔に対応するメンテナンス間隔が基準間隔以下か否かを判定するメンテナンス間隔判定手段と、
この判定の結果、前記メンテナンス間隔が基準間隔以下のとき、当該機器の更新を促す更新ガイダンス情報を出力する更新情報出力手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【0280】
[8] 水や空気を輸送する機器を有する水処理プラントに対し、前記機器による水や空気の流量と、前記機器における消費電力量とを蓄積するデータベース装置を参照しながら、前記機器の更新計画の作成を支援する設備更新計画支援システムであって、
前記機器毎に、導入当初又はメンテナンス直後の所定期間における前記消費電力量と前記流量とを保存する保存手段と、
前記保存手段に保存された消費電力量と流量とに基づいて、当該消費電力量と流量との関係を表す基本機器性能関数情報を算出する基本関数算出手段と、
前記基本機器性能関数情報を前記保存手段に書き込む手段と、
前記データベース装置を参照して現在の消費電力量と流量との関係を表す現在機器性能関数情報を算出する現在関数算出手段と、
前記保存手段内の基本機器性能関数情報と、前記現在関数算出手段により算出された現在機器性能関数情報とを比較表示する表示手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【0281】
[9] [8]に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記保存手段内の基本機器性能関数情報と、前記現在関数算出手段により演算された現在機器性能関数情報との差分を演算する差分演算手段と
前記差分が所定の診断値以上か否かを判定する判定手段と、
前記判定の結果、前記差分が所定の診断値以上のとき、当該機器のメンテナンスを促すガイダンス情報を出力するガイダンス情報出力手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【0282】
[10] 水や空気を輸送する機器を有する水処理プラントに対し、前記機器による水や空気の流量と、前記機器における消費電力量とを蓄積するデータベース装置を参照しながら、前記機器の更新計画の作成を支援する設備更新計画支援システムであって、
前記機器毎の前記消費電力量及び前記流量に基づいて、単位流量あたりの消費電力量を示す消費電力原単位を演算する演算手段と、
前記演算手段により演算された消費電力原単位を保存する保存手段と、
前記機器毎の定格運転時の消費電力量を示す定格電力及び定格運転時の流量を示す定格容量を入力するための基本性能入力手段と、
前記機器毎の前記定格電力及び定格容量に基づいて、定格容量あたりの定格電力を示す定格運転時消費電力原単位を演算する基本性能演算手段と、
前記保存手段内の消費電力原単位と、前記基本性能演算手段により演算された定格運転時消費電力原単位とを比較表示する表示手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【0283】
[11] [10]に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記保存手段は前記消費電力原単位と日時データとを互いに関連付けて保存しており、
前記日時データに基づいて所定期間内の消費電力原単位と、前記定格運転時消費電力原単位とを比較する比較手段と、
この比較の結果、前記定格運転時消費電力原単位に対し、前記所定期間内の消費電力原単位が常に大きいか又は常に小さいとき、当該大きい又は小さい旨を表すガイダンス情報を出力するガイダンス情報出力手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【0284】
[12] 水や空気を輸送する機器を有する水処理プラントに対し、前記機器による水や空気の流量と、前記機器における消費電力量とを蓄積するデータベース装置を参照しながら、前記機器の更新計画の作成を支援する設備更新計画支援システムであって、
前記機器毎の前記消費電力量及び前記流量に基づいて、単位流量あたりの消費電力量を示す消費電力原単位を演算する演算手段と、
前記演算手段により演算された消費電力原単位に対し、単位電力あたりの電力料金を乗じることにより、単位流量あたりの電力料金を示すコスト原単位を演算するコスト原単位演算手段と、
前記コスト原単位演算手段により演算されたコスト原単位を日時データと関連付けて保存する保存手段と、
前記保存手段内のコスト原単位及び日時データに基づいて、所定期間毎のコスト原単位の平均値を算出する平均値算出手段と、
前記所定期間毎のコスト原単位の平均値に基づいて、当該所定期間毎のコスト原単位の推移と将来のコスト原単位の推移とを表すコスト原単位関数情報を算出するコスト原単位関数算出手段と、
前記コスト原単位関数情報に基づいて、将来の所定期間にかかるコストを予測するコスト予測手段と、
前記コスト予測手段により予測されたコストを表示する表示手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【0285】
[13] [12]に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記機器の更新時期を入力するための更新時期入力手段と、
前記更新時期に更新される機器の定格運転時の消費電力量を示す定格電力及び定格運転時の流量を示す定格容量を入力するための更新機器性能入力手段と、
前記機器毎の前記定格電力及び定格容量に基づいて、定格容量あたりの定格電力を示す定格運転時消費電力原単位を演算する基本性能演算手段と、
前記基本性能演算手段により演算された定格運転時消費電力原単位に対し、単位電力あたりの電力料金を乗じることにより、更新後のコスト原単位を演算する更新後コスト原単位演算手段と、
前記コスト予測手段により予測されたコストを、前記更新後のコスト原単位及び前記更新時期に基づいて修正するコスト修正手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【0286】
[14] [13]に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
同一の機器に関し、前記更新時期入力手段から複数の更新時期が入力されたとき、前記基本性能演算手段、前記更新後コスト原単位演算手段及び前記コスト修正手段によって当該更新時期毎に得られる修正後のコストを互いに比較し、当該修正後のコストのうち、最も安いコスト及び更新時期を示すガイダンス情報を出力する手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【0287】
[15] [13]に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記更新時期入力手段に代えて、
更新時期の範囲を示す更新計画期間を入力するための計画期間入力手段と、
前記更新計画期間に含まれる更新時期を順次選択する更新時期選択手段と、
同一の機器に関し、前記更新時期選択手段から順次複数の更新時期が選択されたとき、前記基本性能演算手段、前記更新後コスト原単位演算手段及び前記コスト修正手段によって当該更新時期毎に得られる修正後のコストを互いに比較し、当該修正後のコストのうち、最も安いコスト及び更新時期を示すガイダンス情報を出力する手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【0288】
[16] [15]に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
更新される機器の導入コストを入力するための導入コスト入力手段と、
各時期の予算を示す予算計画を入力するための予算計画入力手段とを備えており、
前記更新時期選択手段は、前記機器の導入コストの合計が前記予算に収まる範囲内で、前記更新計画期間に含まれる更新時期を順次選択することを特徴とする設備更新計画支援システム。
【0289】
[17] [13]に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記更新時期入力手段に代えて、
更新時期の範囲を示す更新計画期間を入力するための計画期間入力手段と、
更新される機器の重要度を入力するための機器重要度手段と、
前記更新計画期間に含まれる更新時期を順次選択する更新時期選択手段と、
同一の機器に関し、前記更新時期選択手段から順次複数の更新時期が選択されたとき、前記重要度が高い機器については、前記基本性能演算手段及び前記更新後コスト原単位演算手段によって得られる前記更新後のコスト原単位が初期のコスト原単位と比較して閾値に安全係数を乗じた値以上に高くなる更新時期の直前の「更新時期」及び前記コスト修正手段によって得られる「修正後のコスト」を示すガイダンス情報を出力する手段と、
同一の機器に関し、前記更新時期選択手段から順次複数の更新時期が選択されたとき、前記重要度が低い機器については、前記基本性能演算手段、前記更新後コスト原単位演算手段及び前記コスト修正手段によって当該更新時期毎に得られる修正後のコストを互いに比較し、当該修正後のコストのうち、最も安いコスト及び更新時期を示すガイダンス情報を出力する手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【0290】
[18] [13]に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記更新時期入力手段に代えて、
更新時期の範囲を示す更新計画期間を入力するための計画期間入力手段と、
各時期における更新前の人員数及び人員単価並びに更新後の人員数及び人員単価が設定される人員単価設定手段と、
前記更新計画期間に含まれる更新時期を順次選択する更新時期選択手段と、
同一の機器に関し、前記更新時期選択手段から順次複数の更新時期が選択されたとき、前記基本性能演算手段、前記更新後コスト原単位演算手段及び前記コスト修正手段によって当該更新時期毎に得られる修正後のコストを互いに比較し、当該修正後のコストのうち、最も安いコスト及び更新時期を示すガイダンス情報を出力する手段と
を備えており、
前記コスト修正手段は、前記コスト予測手段により予測されたコストを、前記人員単価設定手段の設定内容にも基づいて修正することを特徴とする設備更新計画支援システム。
【0291】
[19] [15]に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記更新機器性能入力手段により入力される「更新される機器の定格容量」に基づいて当該機器の更新後の水質をシミュレーションにより予測し、得られた水質の予測値を出力する水質シミュレーション手段を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【0292】
[20] [19]に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記更新時期選択手段は、前記水質の予測値が所定の水質目標値を達成する範囲内で、前記更新計画期間に含まれる更新時期を順次選択することを特徴とする設備更新計画支援システム。
【0293】
[21] [19]に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記水質の予測値に所定のコスト換算係数を乗じて水質コストを算出する水質コスト算出手段を備えており、
前記コスト修正手段は、前記コスト予測手段により予測されたコストを、前記水質コストにも基づいて修正することを特徴とする設備更新計画支援システム。
【0294】
[22] [1]に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記機器の起動回数及び停止回数をカウントする起動/停止回数カウント手段、
前記機器の累積運転時間を計測する累積運転時間計測手段、
前記機器の漏れ電流及び筐体振動に基づいて、当該機器の絶縁レベルを判定する絶縁レベル判定手段、
前記保存手段内の基本消費電力原単位と、前記演算手段により演算された現在の消費電力原単位との差分を演算する差分演算手段、のうちいずれかひとつ以上を有し、
「前記差分」、「前記絶縁レベル」、「前記累積運転時間」及び「前記起動回数及び停止回数」にそれぞれ個別の正規化係数を乗じて合計することにより、当該機器の評価値を算出する機器評価値算出手段と、
この評価値が所定のしきい値以上になったとき、当該機器のメンテナンスを促すガイダンス情報を出力する手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【0295】
[23] [1]に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記水処理プラント内の生物反応槽に関し、前記空気を前記生物反応槽に輸送する機器による空気の流量を、前記水を前記生物反応槽に輸送する機器による水の流量で除算することにより、前記生物反応槽の空気倍率を演算する空気倍率演算手段と、
前記生物反応槽の溶存酸素を計測する溶存酸素計測手段と、
前記空気倍率又は前記溶存酸素が所定のしきい値以上に変動するとき、異常情報を出力する手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【0296】
[24] [1]乃至[23]のいずれか1項に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
互いに離れて設けられた複数の前記水処理プラントに対し、前記各手段を実行することを特徴とする設備更新計画支援システム。
【0297】
[25] [15]乃至[18]のいずれか1項に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記ガイダンス情報を含む設備更新計画情報を作成する手段と、
前記設備更新計画情報を前記水処理プラントを運営する事業者の端末に向けて送信する手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【符号の説明】
【0298】
10a,10b,10c,10d…水処理プラント、1…着水井、21,22,2…流入ポンプ、2s1,2s2,2s…運転状態センサ、3,31,32…流入流量計、4,41,42…水処理プロセス、4s,4s1,4s2…水質センサ、51,52,5…送風機、61,62,6…風量計、7,71,72…曝気槽、7a…散気装置、8…溶存酸素計、121,122…ポンプ電力量計、141,142…水処理プロセス電力量計、151,152…送風機電力量計、301〜304,306〜3019…設備更新計画支援装置、20a,20b,20c,20d…データ保存部、21a,21b…基本消費電力原単位保存部、20…データベース装置、22…消費電力原単位演算部、23…表示装置、24…原単位診断部、25…原単位変化率診断部、26…基本機器性能関数保存部、27…機器性能演算部、28…機器性能診断部、29…基本性能入力部、31…定格運転原単位比較評価部、32,32’…コスト原単位データ保存部、33…コスト原単位演算部、34…コスト原単位予測部、35…総コスト演算部、36,39…更新計画入力部、37…更新機器性能入力部、38…総コスト比較評価部、40…更新計画最適化部、41…予算計画入力部、42…機器重要度設定部、43…必要人員コスト設定部、44…水質シミュレーション部、45…水質コスト演算部、46…ポンプ起動/停止回数カウント装置、47…累積運転時間計測装置、48…設備評価関数演算部、521,522…第1及び第2流入ポンプ絶縁診断装置、53…基本空気倍率保存部、54…空気倍率演算部、60…集中管理センタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水や空気を輸送する機器を有する水処理プラントに対し、前記機器による水や空気の流量と、前記機器における消費電力量とを蓄積するデータベース装置を参照しながら、前記機器の更新計画の作成を支援する設備更新計画支援システムであって、
前記機器毎の前記消費電力量及び前記流量に基づいて、単位流量あたりの消費電力量を示す消費電力原単位を演算する演算手段と、
前記機器毎に、導入当初又はメンテナンス直後の所定期間における消費電力原単位を示す基本消費電力原単位が前記演算手段から書き込まれ、当該基本消費電力原単位を保存する保存手段と、
前記保存手段内の基本消費電力原単位と、前記演算手段により演算された現在の消費電力原単位とを比較表示する表示手段と、
前記保存手段内の基本消費電力原単位と、前記演算手段により演算された現在の消費電力原単位との差分を演算する差分演算手段と、
前記差分が所定の診断値以上か否かを判定する判定手段と、
前記判定の結果、前記差分が所定の診断値以上のとき、当該機器のメンテナンスを促すガイダンス情報を出力するガイダンス情報出力手段と、
前記演算手段により演算された消費電力原単位に基づいて、所定期間毎に当該消費電力原単位の分散データを算出する分散算出手段と、
前記分散算出手段により算出された所定期間毎の分散データ間の差分を算出し、この差分が所定の診断値以上か否かを判定する分散判定手段と、
この判定の結果、前記分散データ間の差分が所定の診断値以上のとき、当該機器の分散異常情報を出力する分散異常出力手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【請求項2】
水や空気を輸送する機器を有する水処理プラントに対し、前記機器による水や空気の流量と、前記機器における消費電力量とを蓄積するデータベース装置を参照しながら、前記機器の更新計画の作成を支援する設備更新計画支援システムであって、
前記機器毎の前記消費電力量及び前記流量に基づいて、単位流量あたりの消費電力量を示す消費電力原単位を演算する演算手段と、
前記機器毎に、導入当初又はメンテナンス直後の所定期間における消費電力原単位を示す基本消費電力原単位が前記演算手段から書き込まれ、当該基本消費電力原単位を保存する保存手段と、
前記保存手段内の基本消費電力原単位と、前記演算手段により演算された現在の消費電力原単位とを比較表示する表示手段と、
前記演算手段により演算された単位時間前の消費電力原単位と現在の消費電力原単位との差分を当該単位時間で割った原単位変化率を演算する変化率演算手段と、
前記原単位変化率が所定の診断値以上か否かを判定する判定手段と、
前記判定の結果、前記原単位変化率が所定の診断値以上のとき、当該機器のメンテナンスを促すガイダンス情報を出力するガイダンス情報出力手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【請求項3】
請求項2に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記ガイダンス情報の出力間隔に対応するメンテナンス間隔が基準間隔以下か否かを判定するメンテナンス間隔判定手段と、
この判定の結果、前記メンテナンス間隔が基準間隔以下のとき、当該機器の更新を促す更新ガイダンス情報を出力する更新情報出力手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【請求項4】
水や空気を輸送する機器を有する水処理プラントに対し、前記機器による水や空気の流量と、前記機器における消費電力量とを蓄積するデータベース装置を参照しながら、前記機器の更新計画の作成を支援する設備更新計画支援システムであって、
前記機器毎に、導入当初又はメンテナンス直後の所定期間における前記消費電力量と前記流量とを保存する保存手段と、
前記保存手段に保存された消費電力量と流量とに基づいて、当該消費電力量と流量との関係を表す基本機器性能関数情報を算出する基本関数算出手段と、
前記基本機器性能関数情報を前記保存手段に書き込む手段と、
前記データベース装置を参照して現在の消費電力量と流量との関係を表す現在機器性能関数情報を算出する現在関数算出手段と、
前記保存手段内の基本機器性能関数情報と、前記現在関数算出手段により算出された現在機器性能関数情報とを比較表示する表示手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【請求項5】
請求項4に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記保存手段内の基本機器性能関数情報と、前記現在関数算出手段により演算された現在機器性能関数情報との差分を演算する差分演算手段と
前記差分が所定の診断値以上か否かを判定する判定手段と、
前記判定の結果、前記差分が所定の診断値以上のとき、当該機器のメンテナンスを促すガイダンス情報を出力するガイダンス情報出力手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【請求項6】
水や空気を輸送する機器を有する水処理プラントに対し、前記機器による水や空気の流量と、前記機器における消費電力量とを蓄積するデータベース装置を参照しながら、前記機器の更新計画の作成を支援する設備更新計画支援システムであって、
前記機器毎の前記消費電力量及び前記流量に基づいて、単位流量あたりの消費電力量を示す消費電力原単位を演算する演算手段と、
前記演算手段により演算された消費電力原単位を保存する保存手段と、
前記機器毎の定格運転時の消費電力量を示す定格電力及び定格運転時の流量を示す定格容量を入力するための基本性能入力手段と、
前記機器毎の前記定格電力及び定格容量に基づいて、定格容量あたりの定格電力を示す定格運転時消費電力原単位を演算する基本性能演算手段と、
前記保存手段内の消費電力原単位と、前記基本性能演算手段により演算された定格運転時消費電力原単位とを比較表示する表示手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【請求項7】
請求項6に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記保存手段は前記消費電力原単位と日時データとを互いに関連付けて保存しており、
前記日時データに基づいて所定期間内の消費電力原単位と、前記定格運転時消費電力原単位とを比較する比較手段と、
この比較の結果、前記定格運転時消費電力原単位に対し、前記所定期間内の消費電力原単位が常に大きいか又は常に小さいとき、当該大きい又は小さい旨を表すガイダンス情報を出力するガイダンス情報出力手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【請求項8】
水や空気を輸送する機器を有する水処理プラントに対し、前記機器による水や空気の流量と、前記機器における消費電力量とを蓄積するデータベース装置を参照しながら、前記機器の更新計画の作成を支援する設備更新計画支援システムであって、
前記機器毎の前記消費電力量及び前記流量に基づいて、単位流量あたりの消費電力量を示す消費電力原単位を演算する演算手段と、
前記演算手段により演算された消費電力原単位に対し、単位電力あたりの電力料金を乗じることにより、単位流量あたりの電力料金を示すコスト原単位を演算するコスト原単位演算手段と、
前記コスト原単位演算手段により演算されたコスト原単位を日時データと関連付けて保存する保存手段と、
前記保存手段内のコスト原単位及び日時データに基づいて、所定期間毎のコスト原単位の平均値を算出する平均値算出手段と、
前記所定期間毎のコスト原単位の平均値に基づいて、当該所定期間毎のコスト原単位の推移と将来のコスト原単位の推移とを表すコスト原単位関数情報を算出するコスト原単位関数算出手段と、
前記コスト原単位関数情報に基づいて、将来の所定期間にかかるコストを予測するコスト予測手段と、
前記コスト予測手段により予測されたコストを表示する表示手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【請求項9】
請求項8に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記機器の更新時期を入力するための更新時期入力手段と、
前記更新時期に更新される機器の定格運転時の消費電力量を示す定格電力及び定格運転時の流量を示す定格容量を入力するための更新機器性能入力手段と、
前記機器毎の前記定格電力及び定格容量に基づいて、定格容量あたりの定格電力を示す定格運転時消費電力原単位を演算する基本性能演算手段と、
前記基本性能演算手段により演算された定格運転時消費電力原単位に対し、単位電力あたりの電力料金を乗じることにより、更新後のコスト原単位を演算する更新後コスト原単位演算手段と、
前記コスト予測手段により予測されたコストを、前記更新後のコスト原単位及び前記更新時期に基づいて修正するコスト修正手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【請求項10】
請求項9に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
同一の機器に関し、前記更新時期入力手段から複数の更新時期が入力されたとき、前記基本性能演算手段、前記更新後コスト原単位演算手段及び前記コスト修正手段によって当該更新時期毎に得られる修正後のコストを互いに比較し、当該修正後のコストのうち、最も安いコスト及び更新時期を示すガイダンス情報を出力する手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【請求項11】
請求項9に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記更新時期入力手段に代えて、
更新時期の範囲を示す更新計画期間を入力するための計画期間入力手段と、
前記更新計画期間に含まれる更新時期を順次選択する更新時期選択手段と、
同一の機器に関し、前記更新時期選択手段から順次複数の更新時期が選択されたとき、前記基本性能演算手段、前記更新後コスト原単位演算手段及び前記コスト修正手段によって当該更新時期毎に得られる修正後のコストを互いに比較し、当該修正後のコストのうち、最も安いコスト及び更新時期を示すガイダンス情報を出力する手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【請求項12】
請求項11に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
更新される機器の導入コストを入力するための導入コスト入力手段と、
各時期の予算を示す予算計画を入力するための予算計画入力手段とを備えており、
前記更新時期選択手段は、前記機器の導入コストの合計が前記予算に収まる範囲内で、前記更新計画期間に含まれる更新時期を順次選択することを特徴とする設備更新計画支援システム。
【請求項13】
請求項9に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記更新時期入力手段に代えて、
更新時期の範囲を示す更新計画期間を入力するための計画期間入力手段と、
更新される機器の重要度を入力するための機器重要度手段と、
前記更新計画期間に含まれる更新時期を順次選択する更新時期選択手段と、
同一の機器に関し、前記更新時期選択手段から順次複数の更新時期が選択されたとき、前記重要度が高い機器については、前記基本性能演算手段及び前記更新後コスト原単位演算手段によって得られる前記更新後のコスト原単位が初期のコスト原単位と比較して閾値に安全係数を乗じた値以上に高くなる更新時期の直前の「更新時期」及び前記コスト修正手段によって得られる「修正後のコスト」を示すガイダンス情報を出力する手段と、
同一の機器に関し、前記更新時期選択手段から順次複数の更新時期が選択されたとき、前記重要度が低い機器については、前記基本性能演算手段、前記更新後コスト原単位演算手段及び前記コスト修正手段によって当該更新時期毎に得られる修正後のコストを互いに比較し、当該修正後のコストのうち、最も安いコスト及び更新時期を示すガイダンス情報を出力する手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【請求項14】
請求項9に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記更新時期入力手段に代えて、
更新時期の範囲を示す更新計画期間を入力するための計画期間入力手段と、
各時期における更新前の人員数及び人員単価並びに更新後の人員数及び人員単価が設定される人員単価設定手段と、
前記更新計画期間に含まれる更新時期を順次選択する更新時期選択手段と、
同一の機器に関し、前記更新時期選択手段から順次複数の更新時期が選択されたとき、前記基本性能演算手段、前記更新後コスト原単位演算手段及び前記コスト修正手段によって当該更新時期毎に得られる修正後のコストを互いに比較し、当該修正後のコストのうち、最も安いコスト及び更新時期を示すガイダンス情報を出力する手段と
を備えており、
前記コスト修正手段は、前記コスト予測手段により予測されたコストを、前記人員単価設定手段の設定内容にも基づいて修正することを特徴とする設備更新計画支援システム。
【請求項15】
請求項11に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記更新機器性能入力手段により入力される「更新される機器の定格容量」に基づいて当該機器の更新後の水質をシミュレーションにより予測し、得られた水質の予測値を出力する水質シミュレーション手段を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【請求項16】
請求項15に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記更新時期選択手段は、前記水質の予測値が所定の水質目標値を達成する範囲内で、前記更新計画期間に含まれる更新時期を順次選択することを特徴とする設備更新計画支援システム。
【請求項17】
請求項15に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記水質の予測値に所定のコスト換算係数を乗じて水質コストを算出する水質コスト算出手段を備えており、
前記コスト修正手段は、前記コスト予測手段により予測されたコストを、前記水質コストにも基づいて修正することを特徴とする設備更新計画支援システム。
【請求項18】
水や空気を輸送する機器を有する水処理プラントに対し、前記機器による水や空気の流量と、前記機器における消費電力量とを蓄積するデータベース装置を参照しながら、前記機器の更新計画の作成を支援する設備更新計画支援システムであって、
前記機器毎の前記消費電力量及び前記流量に基づいて、単位流量あたりの消費電力量を示す消費電力原単位を演算する演算手段と、
前記機器毎に、導入当初又はメンテナンス直後の所定期間における消費電力原単位を示す基本消費電力原単位が前記演算手段から書き込まれ、当該基本消費電力原単位を保存する保存手段と、
前記保存手段内の基本消費電力原単位と、前記演算手段により演算された現在の消費電力原単位とを比較表示する表示手段と、
前記機器の起動回数及び停止回数をカウントする起動/停止回数カウント手段、
前記機器の累積運転時間を計測する累積運転時間計測手段、
前記機器の漏れ電流及び筐体振動に基づいて、当該機器の絶縁レベルを判定する絶縁レベル判定手段、
前記保存手段内の基本消費電力原単位と、前記演算手段により演算された現在の消費電力原単位との差分を演算する差分演算手段、のうちいずれかひとつ以上を有し、
「前記差分」、「前記絶縁レベル」、「前記累積運転時間」及び「前記起動回数及び停止回数」にそれぞれ個別の正規化係数を乗じて合計することにより、当該機器の評価値を算出する機器評価値算出手段と、
この評価値が所定のしきい値以上になったとき、当該機器のメンテナンスを促すガイダンス情報を出力する手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【請求項19】
水や空気を輸送する機器を有する水処理プラントに対し、前記機器による水や空気の流量と、前記機器における消費電力量とを蓄積するデータベース装置を参照しながら、前記機器の更新計画の作成を支援する設備更新計画支援システムであって、
前記機器毎の前記消費電力量及び前記流量に基づいて、単位流量あたりの消費電力量を示す消費電力原単位を演算する演算手段と、
前記機器毎に、導入当初又はメンテナンス直後の所定期間における消費電力原単位を示す基本消費電力原単位が前記演算手段から書き込まれ、当該基本消費電力原単位を保存する保存手段と、
前記保存手段内の基本消費電力原単位と、前記演算手段により演算された現在の消費電力原単位とを比較表示する表示手段と、
前記水処理プラント内の生物反応槽に関し、前記空気を前記生物反応槽に輸送する機器による空気の流量を、前記水を前記生物反応槽に輸送する機器による水の流量で除算することにより、前記生物反応槽の空気倍率を演算する空気倍率演算手段と、
前記生物反応槽の溶存酸素を計測する溶存酸素計測手段と、
前記空気倍率又は前記溶存酸素が所定のしきい値以上に変動するとき、異常情報を出力する手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。
【請求項20】
請求項1乃至請求項19のいずれか1項に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
互いに離れて設けられた複数の前記水処理プラントに対し、前記各手段を実行することを特徴とする設備更新計画支援システム。
【請求項21】
請求項11乃至請求項14のいずれか1項に記載の設備更新計画支援システムにおいて、
前記ガイダンス情報を含む設備更新計画情報を作成する手段と、
前記設備更新計画情報を前記水処理プラントを運営する事業者の端末に向けて送信する手段と
を備えたことを特徴とする設備更新計画支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2011−181088(P2011−181088A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95987(P2011−95987)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【分割の表示】特願2007−1723(P2007−1723)の分割
【原出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(390014568)東芝プラントシステム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】