設備機器の制御装置
【課題】エネルギー供給者が物件にエネルギー単価を通知する場合に、エネルギー消費量が最も抑制されるエネルギー単価のピーク時間帯であっても、ユーザの快適性が確保される制御装置を提供する。
【解決手段】本発明の設備機器の制御装置30は、通信部31、第1決定部36b、第2決定部36c、および調整制御部36dを有する。通信部31は、時間帯別のエネルギーの単価情報を受け付ける。第1決定部36bおよび第2決定部36cは、エネルギーの単価の要素を含む指標をもとに、所定期間の中で、エネルギー単価がピークとなる第1時間帯とその前後の第2および第3時間帯を決定する。3種類の時間帯の中で、調整制御部36dが実行するエネルギー消費量の抑制強度は、第1時間帯が最も強くなるように定められており、第1時間帯に強くエネルギー消費量を抑制しても、快適性が維持されやすい。
【解決手段】本発明の設備機器の制御装置30は、通信部31、第1決定部36b、第2決定部36c、および調整制御部36dを有する。通信部31は、時間帯別のエネルギーの単価情報を受け付ける。第1決定部36bおよび第2決定部36cは、エネルギーの単価の要素を含む指標をもとに、所定期間の中で、エネルギー単価がピークとなる第1時間帯とその前後の第2および第3時間帯を決定する。3種類の時間帯の中で、調整制御部36dが実行するエネルギー消費量の抑制強度は、第1時間帯が最も強くなるように定められており、第1時間帯に強くエネルギー消費量を抑制しても、快適性が維持されやすい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備機器の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー供給者が、ユーザである複数の物件に対して、エネルギーの需要が高い時間帯の消費量抑制を働き掛け、エネルギー供給設備の効率的な運用を図る動きが普及しつつある。
【0003】
例えば、実際に、エネルギー供給者が、物件に対し時間帯別のエネルギー単価を通知する方式も採用されている(特許文献1:特開2007−139213)。この方式は、エネルギー需要の高い時間帯にエネルギー消費量を抑制するよう、ユーザに動機付けを行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、エネルギー単価が通知される場合に、ユーザがエネルギー価格の低減を重視しすぎると、ユーザの快適性が損なわれる事態が発生し得る。特に、過度にエネルギー消費量を抑制した場合には、最もエネルギー消費量が抑制されるべきエネルギー単価のピーク時間帯に、著しくユーザの快適性が損なわれる事態が起こり得る。
【0005】
本発明の課題は、エネルギー供給者が物件に対しエネルギー単価を通知する場合に、エネルギー消費量が最も抑制されるべきエネルギー単価のピーク時間帯であっても、ユーザの快適性が確保される制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る制御装置は、設備機器を制御する制御装置であって、受付部、第1決定部、第2決定部および調整制御部を備える。受付部は、設備機器が供給を受けるエネルギーの時間帯別の単価情報を受け付ける。第1決定部は、単価情報に基づいて、第1期間の中でエネルギー単価の要素を含む指標がピークを迎える時間帯である第1時間帯を決定する。第2決定部は、第1期間の中で、第1時間帯より前の時間帯である第2時間帯と、第1時間帯より後の時間帯である第3時間帯とを決定する。調整制御部は、設備機器のエネルギー消費量の抑制の強度が、前記第1時間帯に、第2時間帯および第3時間帯よりも強くなるように、エネルギー消費量を調整するエネルギー調整制御を実行する。
【0007】
ここでは、所定の第1期間は、少なくとも第1時間帯(エネルギーの単価の要素を含む指標がピークを迎える時間帯)、第2時間帯(第1時間帯より前の時間帯)、および第3時間帯(第1時間帯より後の時間帯)の3種類の時間帯に分類される。この3種類の時間帯の中で、第1時間帯に最も強くエネルギー消費量が抑制される。その他の時間帯には第1時間帯ほど強くエネルギー消費量が抑制されないので、第1時間帯にエネルギー消費量を強く抑制しても、快適性は損なわれにくい。
【0008】
本発明の第2観点に係る制御装置は、第1観点に係る制御装置であって、調整制御部は、設備機器のエネルギー消費量の抑制の強度が、第3時間帯では第1時間帯以下となり、第2時間帯では第3時間帯よりも小さくなるように、前記エネルギー消費量を調整するエネルギー調整制御を実行する。
【0009】
ここでは、第2時間帯には、3種類の時間帯の中で最も弱くエネルギー消費量が抑制されるため、第1時間帯を迎えた際にある程度快適性が維持されている可能性が高い。その結果、第1時間帯に、エネルギー消費量を強く抑制しても、快適性は損なわれにくい。さらに、第3時間帯は、第1時間帯以下の強度でエネルギー調整制御を実行するため、ユーザの快適性の度合いに応じて柔軟なエネルギー調整制御が実現される。
【0010】
本発明の第3観点に係る制御装置は、第1観点もしくは第2観点に係る制御装置であって、第1期間におけるエネルギー消費量を予測する予測部を備える。第1決定部は、予測部により予測されたエネルギー消費量とエネルギーの単価の乗積を、第1時間帯を決定する指標として算出する。
【0011】
ここでは、予測されるエネルギー消費量とエネルギー単価との積により算出される指標、すなわち予測されるエネルギー価格、がピークを迎える時間が第1時間帯として決定される。そのため、最もエネルギー価格が高くなると予測される時間帯に、強いエネルギー調整制御が実行される。
【0012】
本発明の第4観点に係る制御装置は、第1観点から第3観点のいずれかに係る制御装置であって、第2時間帯にはエネルギー消費量を抑制しない。
【0013】
ここでは、第2時間帯にエネルギー消費量を抑制するエネルギー調整制御が実行されない。そのため、第1時間帯に強くエネルギー抑制が実行されても、ユーザの快適性がより維持され易くなる。
【0014】
本発明の第5観点に係る制御装置は、第1観点から第4観点のいずれかに係る制御装置であって、エネルギー算出部をさらに備える。エネルギー算出部は、条件に従って、エネルギー調整制御を実行した場合のエネルギー調整可能量を算出する。また、調整制御部は、前記の条件に対応するエネルギー調整制御を実行する。
【0015】
ここでは、予めエネルギー調整可能量を把握した上で、エネルギー調整制御を実行することが可能となる。
【0016】
本発明の第6観点に係る制御装置は、第5観点に係る制御装置であって、入力部をさらに備える。入力部は、選択基準の入力を受け付ける。エネルギー算出部は複数の条件に従ってエネルギー調整可能量を算出する。調整制御部は、選択基準に基づいて、前記複数の条件のうちの1の条件を決定し、その1の条件に対応するエネルギー調整制御を実行する。
【0017】
ここでは、複数の条件が用意され、ユーザがエネルギー調整制御の条件選択に関与する。その結果、ユーザの意向を反映したエネルギー調整制御が容易となる。
【0018】
本発明の第7観点に係る制御装置は、第1観点から第6観点のいずれかに係る制御装置であって、受付部が同時間帯について複数の単価情報を受け付ける。第1決定部は、同時間帯についての複数の単価情報に基づいて、時間帯別に最安値のエネルギー単価を判断する。第1時間帯は、この時間帯別の最安値のエネルギー単価の要素を含む指標に基づいて決定される。
【0019】
ここでは、複数のエネルギー供給者がある場合に、時間帯別に最安値のエネルギー単価を提示したエネルギー供給者からエネルギーが調達される。従って、最も経済的に有利なエネルギー調整制御が実現される。
【発明の効果】
【0020】
本発明の第1観点に係る制御装置では、エネルギー単価の要素を含む指標がピークを迎える第1時間帯に最も強くエネルギー消費量が抑制される。その他の時間帯には、第1時間帯ほど強くエネルギー消費量が抑制されないので、第1時間帯にもある程度ユーザの快適性が保たれている可能性が高い。その結果、ピークを迎える時間帯に強めのエネルギー調整制御が実行されたとしても、ユーザの快適性が損なわれにくい。
【0021】
本発明の第2観点に係る制御装置では、エネルギー単価の要素を含む指標がピークを迎える時間帯より前の第2時間帯に、3種類の時間帯の中でエネルギー調整制御の強度が最も弱くなる。そのため、ピークを迎える時間帯になった際に、ある程度ユーザの快適性が保たれている可能性が高い。その結果、ピークを迎える時間帯に強めのエネルギー調整制御が実行されたとしても、ユーザの快適性が損なわれにくい。また、ピークを迎える時間帯より後の時間帯は、ピーク時間帯以下の強度でエネルギー調整制御を実行するため、ユーザの快適性の度合いに応じて柔軟なエネルギー調整制御が実現される。
【0022】
本発明の第3観点に係る制御装置では、エネルギー価格がピークになると予測される時間帯に強めのエネルギー調整制御が実行される。その結果、快適性を確保しながら、エネルギー価格を低減するエネルギー調整制御が実現され易い。
【0023】
本発明の第4観点に係る制御装置では、エネルギー単価の要素を含む指標がピークを迎える時間帯の前には、エネルギー消費量の抑制が行われないため、ピークを迎える時間帯のユーザの快適性確保が容易となる。
【0024】
本発明の第5観点に係る制御装置では、予めエネルギー調整可能量を把握した上で、エネルギー調整制御を実行することができる。
【0025】
本発明の第6観点に係る制御装置では、複数の条件が用意され、ユーザがエネルギー調整制御の条件を自ら選択する。ユーザの要望を反映させたエネルギー調整制御の実現が容易となる。
【0026】
本発明の第7観点に係る制御装置では、複数のエネルギー供給会社の中で、最安値の単価を提示したエネルギー供給者からエネルギーを調達することで、最も経済的に有利なエネルギー調整制御が実行される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態に係るシステム全体の概略構成図
【図2】第1および第2実施形態に係る電力会社の管理装置の概略構成図
【図3】第1実施形態に係る設備機器の制御装置の概略構成図
【図4】第1実施形態に係る強度記憶領域に記憶されるエネルギー調整制御の強度の例1
【図5】第1および第2実施形態に係る制御情報記憶領域に記憶される情報の例
【図6】第1および第2実施形態に係る最安単価記憶領域に記憶される最安単価情報の例
【図7】第1および第2実施形態に係る予測量記憶領域に記憶される時間別の予測エネルギー消費量の情報の例
【図8】第1および第2実施形態に係る予測価格記憶領域に記憶される時間別の予測エネルギー価格の情報の例
【図9】第1および第2実施形態に係る複数の電力会社からエネルギー供給を受ける場合のエネルギー単価の比較の例
【図10】第1および第2実施形態に係る時間帯記憶領域に記憶される時刻情報の例
【図11】第1および第2実施形態に係る制御装置における時間帯の種類の決定の流れを示すフローチャート
【図12】第1実施形態に係る制御装置におけるエネルギー調整制御の処理の流れを示すフローチャート
【図13】(a)第1実施形態に係る強度記憶領域に記憶されるエネルギー調整制御の強度の例2 (b)第1実施形態に係る強度記憶領域に記憶されるエネルギー調整制御の強度の例3 (c)第1実施形態に係る強度記憶領域に記憶されるエネルギー調整制御の強度の例4
【図14】第2実施形態に係るシステム全体の概略構成図
【図15】第2実施形態に係る設備機器の制御装置の概略構成図
【図16】第2実施形態に係る強度記憶領域に記憶されるエネルギー調整制御の強度の例
【図17】第2実施形態に係るエネルギー調整可能量算出の演算経過例
【図18】第2実施形態に係る制御装置におけるエネルギー調整可能量の算出および1の条件の決定の流れを示すフローチャート
【図19】第2実施形態に係る制御装置におけるエネルギー調整制御の処理の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して、第1実施形態に係るエネルギー管理システム100について説明する。
【0029】
(1)エネルギー管理システム100の全体構成
図1に、本実施形態に係るエネルギー管理システム100を示す。エネルギー管理システム100では、電力会社S,Tから物件A,Bにエネルギーを供給する。物件A,Bは、オフィスビル、テナントビル、工場および一般家庭等の、1又は複数の設備機器が設置される建物である。なお、図1では、電力会社がエネルギーを供給する物件として、物件A,Bの2つしか記載されていないが、物件の数は2つに限られるものではない。また、電力会社はS,Tの2つが図示されているが、電力会社の数は2つに限られるものではない。電力会社の数は2つより多くてもよいし、1つであってもよい。
【0030】
電力会社S,Tは、管理装置10,10を有する。物件A,Bは、設備機器の制御装置30,30と、複数の設備機器としての空調機40,40,・・・と、空調機40,40,・・・に電力を供給する電源6,6と、電源6,6から空調機40,40,・・・に供給される電力量を計測する電力メーター7,7とを有する。管理装置10,10と、制御装置30,30とは、インターネット80aを介して接続されている。また、同一物件内の制御装置30と、空調機40,40,・・・とは、専用の制御線80bを介して接続されている。
【0031】
なお、空調機40,40・・・は、室外機41,41・・・、室内機42,42・・・、および室外機41,41・・・と室内機42,42・・・とを接続する冷媒配管(図示せず)を有する。空調機40,40・・・は、マルチ式であっても、ペア式であってもよい。
【0032】
電力会社S,Tの管理装置10,10は、インターネット80aを介して、物件A,Bの制御装置30,30に対して、所定時間間隔(本実施形態では、1日間隔)で、エネルギーの時間帯別の単価情報を配信する。例えば、管理装置10,10は、午前7時に、当日午前9時から翌日午前9時の時間帯別の単価情報を配信する。また、管理装置10,10は、物件A,Bの制御装置30,30に、時間帯別の単価情報と併せて、情報を配信する電力会社名も配信する。エネルギー単価は、時間帯によって変動し、通常、エネルギー需要が高い時間はエネルギー単価が高く、エネルギー需要が低い時間はエネルギー単価が安くなるように電力会社S,Tにより決定されている。電力会社S,Tは、単価情報の配信により、物件A,Bに対してエネルギー消費量の調整を強制するものではない。しかし、単価情報の配信は、物件A,Bがエネルギー消費量を調整する動機付けとなる。
【0033】
(2)各装置の構成
以下、エネルギー管理システム100に含まれる、管理装置10,10および制御装置30,30について説明する。
【0034】
(2−1)管理装置10の構成
図2に、管理装置10の概略構成図を示す。以下、電力会社Sに設置された管理装置10について説明するが、電力会社Tに設置された管理装置10についても同様の構成である。
【0035】
管理装置10は、通信部11、表示部12、入力部13、記憶部14、および制御部15を備える。
【0036】
(2−1−1)通信部11
通信部11は、管理装置10をインターネット80aに接続可能にするネットワークインターフェースである。
【0037】
(2−1−2)表示部12
表示部12は、主としてディスプレイから構成されている。
【0038】
(2−1−3)入力部13
入力部13は、主として操作ボタン、キーボード、およびマウス等から構成されている。
【0039】
(2−1−4)記憶部14
記憶部14は、主としてハードディスクから構成されている。記憶部14には、各物件A,Bに配信されるエネルギーの単価情報が記憶されている。単価情報は、契約内容に応じて物件A,B間で相違するものであってもよい。
【0040】
(2−1−5)制御部15
制御部15は、主としてCPU、ROMおよびRAMから構成されている。制御部15は、記憶部14に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、所定時間間隔(本実施形態では、1日間隔)で、通信部11に、物件A,Bに対し、時間帯別の単価情報を配信させる。
【0041】
(2−2)制御装置30の構成
図3に、制御装置30の概略構成図を示す。以下、物件Aに設置された制御装置30について説明するが、物件Bに設置された制御装置30についても同様の構成である。
【0042】
制御装置30は、通信部31、出力部32、入力部33、時間管理部34、記憶部35、および制御部36を備える。
【0043】
(2−2−1)通信部31
通信部31は、主として、制御装置30をインターネット80aに接続可能にするネットワークインターフェースである。通信部31は、所定時間間隔(本実施形態では、1日間隔)で、インターネット80aを介して、電力会社S,Tの管理装置10,10から配信される時間帯別の単価情報を受け付ける。受け付けた情報は後述する単価記憶領域35cに記憶される。
【0044】
(2−2−2)出力部32
出力部32は、主として、ディスプレイから構成されている。出力部32には、空調機40,40,・・・の運転態様(例えば、空調機のON/OFF、運転モード(冷房モード/暖房モード)、風向き、風量、吸込み温度、および設定温度)を示す画面が表示される。また、例えば、後述する予測量記憶領域35gおよび予測価格記憶領域35hに記憶された予測エネルギー消費量および予測エネルギー価格、および/または、制御情報記憶領域35eに記憶された実際のエネルギー消費量が表示される。
【0045】
(2−2−3)入力部33
入力部33は、主として、操作ボタンおよび上記ディスプレイを覆うタッチパネルから構成されている。空調機40,40・・・の発停信号、設定温度の変更、運転モードの変更など、空調機40,40・・・に対するユーザからの各種指令が入力される。
【0046】
(2−2−4)時間管理部34
時間管理部34は、電力会社S,Tの管理装置10,10と略同期する時計を有し、制御装置30の実行する各種制御の時間管理を行う。
【0047】
(2−2−5)記憶部35
記憶部35は、主としてハードディスクから構成されている。記憶部35には、後述する制御部36が読み出して実行可能なプログラムが記憶されている。また、記憶部35は、運転状況記憶領域35a、強度記憶領域35b、単価記憶領域35c、時間帯記憶領域35d、制御情報記憶領域35e、最安単価記憶領域35f、予測量記憶領域35gおよび予測価格記憶領域35hを有する。
【0048】
(2−2−5−1)運転状況記憶領域35a
運転状況記憶領域35aは、後述する運転状況把握部36aが取得した、空調機40,40・・・の状況および電力メーター7によって計測されたエネルギー消費量を運転状況として記憶する。なお、空調機40,40・・・の状況には、例えば、空調機のON/OFF、運転モード(冷房モード/暖房モード)、吸込み温度、設定温度、稼働時間、稼働率、および稼動時の運転能力(%)が含まれる。ここで運転能力(%)とは、空調機40,40・・・(より正確には、主として圧縮機)の定格能力に対して、空調機40,40・・・がどの程度の能力で動作しているかを意味する。運転状況記憶領域35aは、データの取得日時とともに、空調機40,40・・・の状況およびエネルギー消費量のデータを記憶する。
【0049】
(2−2−5−2)強度記憶領域35b
強度記憶領域35bに記憶されるのは、後述する第1決定部36bおよび第2決定部36cにより決定される時間帯の種類(第1から第3時間帯)別の、エネルギー調整制御の強度である。より具体的には、時間帯の種類別の許容最大運転能力(%)の数値が強度記憶領域35bに記憶されている。なお、エネルギー調整制御の強度は、第1時間帯が最も強く、第3時間帯は第1時間帯以下であり、第2時間帯に最も弱くなるように定められている。図4は、強度記憶領域35bに記憶されたエネルギー調整制御の強度の一例を示す図である。
【0050】
ここで、エネルギー調整制御とは、通常制御に対し、エネルギー単価を含む指標を考慮して、エネルギー消費量を抑制するように運転を制御することをいう。通常制御とは、エネルギー単価を含む指標は考慮せず、例えば設定温度および湿度などに関する目標値と現在値の乖離の程度に基づいて、空調機40,40・・・を制御する運転状態をいう。
【0051】
許容最大運転能力(%)とは、空調機40,40・・・(より正確には、主として圧縮機)のエネルギー調整制御時に許容される最大の運転能力を示し、定格能力に対する百分率で表す。エネルギー調整制御中は、それ以上の能力で運転することはできない。
【0052】
強度とは、エネルギー消費量抑制の強度を示す。例えば、許容最大運転能力を60%に抑制するエネルギー調整制御と、許容最大運転能力を80%に抑制するエネルギー調整制御では、許容最大運転能力を60%に抑制するエネルギー調整制御の方が強度は強い。
【0053】
なお、強度記憶領域35bに記憶されている値は、予め強度記憶領域35bに記憶されている固定値であってもよいし、入力部33からユーザが入力することで更新可能なものであってもよい。また、例えば運転状況記憶領域35aに記憶された過去の運転状況、予想される使用電力量、予想されるエネルギー価格、環境条件、設備の稼働状況、および各時間帯の長さなどを基に、適宜数値が自動的に更新されてもよい。なお、過去の運転状況とは、例えば、過去の室温、湿度、照度、および換気量などである。環境条件とは、例えば、天候、外気温、および明るさなどである。設備の稼動状態とは、例えば設備のON/OFFおよびエネルギー消費量などである。
【0054】
(2−2−5−3)単価記憶領域35c
単価記憶領域35cには、通信部31によって受け付けられた、電力会社の管理装置10,10から配信された時間帯別の単価情報が記憶される。また、単価情報と併せて、単価情報を配信した電力会社名も配信されるため、複数の電力会社から単価情報を受け付ける場合にも、どの電力会社から配信を受けた単価であるか判別可能に記憶される。
【0055】
(2−2−5−4)時間帯記憶領域35d
時間帯記憶領域35dには、後述する第1決定部36bおよび第2決定部36cによって決定された第1から第3時間帯の開始時刻および終了時刻が記憶される。
【0056】
(2−2−5−5)制御情報記憶領域35e
制御情報記憶領域35eには、エネルギー調整制御の実行時間と内容に関する情報が記憶される。
【0057】
エネルギー調整制御の実行時間に関する情報としては、例えば、実行済みのエネルギー調整制御の開始時刻と終了時刻が記憶される。エネルギー調整制御の内容に関する情報としては、例えば、第1から第3までの時間帯の種類、時間帯の種類に対応する強度記憶領域35bに記憶された許容最大運転能力、および各時間帯の開始時刻から終了時刻までの間に実際に消費されたエネルギー消費量などが記憶される。図5に、制御情報記憶領域35eに記憶される情報の例を示す。
【0058】
(2−2−5−6)最安単価記憶領域35f
最安単価記憶領域35fには、後述する第1決定部36bによって作成された最安値の単価情報が記憶される。図6は記憶される情報の例である。時間帯別の最安単価(最安値のエネルギー単価)のほか、最安単価を提示した電力会社名も記憶される。なお、物件Aがエネルギーの供給を受ける電力会社が1社しかない場合には、その電力会社1が提供する単価情報がそのまま最安単価記憶領域35fに記憶される。
【0059】
(2−2−5−7)予測量記憶領域35g
予測量記憶領域35gには、予測部36fによって予測された、所定期間(本実施形態では、1日)の所定時間毎(本実施形態では、1時間毎)の予測エネルギー消費量が記憶される。図7に予測エネルギー消費量の情報の例を示す。
【0060】
(2−2−5−8)予測価格記憶領域35h
予測価格記憶領域35hには、後述する第1決定部36bによって作成された所定時間毎(本実施形態では、1時間毎)の予測エネルギー価格の情報が記憶される。図8に予測エネルギー価格の情報の例を示す。
【0061】
(2−2−6)制御部36
制御部36は、主としてCPU、ROMおよびRAMから構成されている。制御部36は、上述の記億部35に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、図3に示すように、主として、運転状況把握部36a、第1決定部36b、第2決定部36c、調整制御部36d、供給会社指示部36eおよび予測部36fとして機能する。
【0062】
(2−2−6−1)運転状況把握部36a
運転状況把握部36aは、空調機40,40・・・の状況と、電力メーター7によって計測されたエネルギー消費量を空調機40,40・・・の運転状況として取得する。なお、空調機40,40・・・の状況には、例えば、空調機のON/OFF、運転モード(冷房モード/暖房モード)、吸込み温度、設定温度、稼働時間、稼働率、および稼動時の運転能力(%)が含まれる。運転状況把握部36aは、空調機40,40・・・の状況およびエネルギー消費量を、時間管理部34から時刻の提示を受けて、所定時間間隔(本実施形態では、5分間隔)で空調機40,40・・・および電力メーター7と通信することにより取得する。運転状況把握部36aによって取得された値は、上述の運転状況記憶領域35aに記憶される。
【0063】
(2−2−6−2)第1決定部36b
第1決定部36bは、主に第1時間帯の決定と、予測エネルギー価格の計算の2つの処理を実行する。
【0064】
第1時間帯は、以下のようにして決定される。
【0065】
第1決定部36bは、通信部31が受け付けた1または複数の時間帯別の単価情報から作成された最安単価情報を基に、所定期間(本実施形態では、1日)の中でエネルギー単価の要素を含む指標がピークを迎える時間帯を第1時間帯として決定する。
【0066】
なお、最安単価情報は、以下のように第1決定部36bにより決定され、最安単価記憶領域35fに記憶される情報である。
【0067】
同じ時間帯に複数の単価情報が存在する場合には、第1決定部36bは、各電力会社のエネルギー単価を比較し、図9のように時間帯別の最安単価(最安値のエネルギー単価)を決定する。なお、複数の電力会社が同一のエネルギー単価を提示した時間帯については、例えば、いずれの電力会社を選択するのか予め定めておく、もしくは、その前の時間帯に最安値の単価を提示した会社を連続して選択するなどの方法により定める。電力会社が1社しかない場合には、提供される単価情報が、そのまま最安単価情報と決定される。決定された時間帯別の最安単価情報は、図6のように、最安単価を提供する電力会社の名前とともに、最安単価記憶領域35fに記憶される。
【0068】
所定期間の中でエネルギー単価の要素を含む指標がピークを迎える時間帯とは、例えば、エネルギー単価が所定期間内で最大となる時間帯のうち1の時間帯をさす。
【0069】
ただし、エネルギー単価の要素を含む指標は、エネルギー単価そのものに限定されるものではない。
【0070】
また、ピークを迎える時間帯とは、エネルギー単価の要素を含む指標が最大となる時間帯に限定されない。例えば、ピークを迎える時間帯は、エネルギー単価が所定値を超過するという条件によって定まる時間帯であってもよいし、エネルギー単価が最大となる1以上の時間帯を含む所定長さ(例えば3時間)の時間帯であるとしてもよい。
【0071】
以下に、エネルギー単価が所定期間内で最大となる時間帯の1つを第1時間帯とする場合を例に、第1時間帯の決定方法を具体的に説明する。ここでは、電力会社は複数存在すると仮定する。
【0072】
まず、第1決定部36bは、例えば午前9時00分に、単価記憶領域35cに複数存在する、当日の午前9時から翌日の午前9時までのエネルギーの単価情報を読み出す。そして、時間帯別に各電力会社のエネルギー単価を比較し、図9のように時間帯別の最安単価を決定する。決定された最安単価情報は、例えば図6のような形式で、最安単価記憶領域35fに記憶される。
【0073】
その上で、第1決定部36bは、最安単価記憶領域35fに記憶された情報を基に、所定期間の中で単価が最大となる時間帯の1つを第1時間帯として決定する。例えば、図6の例では、所定期間(当日午前9時から翌日午前9時までの期間)の中で、当日の13時から16時までがエネルギー単価が最大となる唯一の時間帯なので、第1決定部36bは、当日の13時から16時を第1時間帯と決定する。なお、このようにして第1時間帯を決定した時に、第1時間帯が所定期間の開始時刻(本事例では当日午前9時)から始まる場合には、一定時間(例えば2時間)、開始時刻を遅らせるように第1時間帯を決定する。このようにすることで、必ず最も抑制の強度が弱くなる時間帯(第2時間帯)が確保され、第1時間帯の快適性が維持され易くなる。
【0074】
次に、第1決定部36bで実施される、予測エネルギー価格の計算の処理について説明する。
【0075】
第1決定部36bは、最安単価記憶領域35fに記憶された単価情報と、後述する予測部36fが予測するエネルギー消費量の乗積を算出する。具体的な処理として、第1決定部36bは、最安単価記憶領域35fに記憶された単価情報と、予測量記憶領域35gに記憶された予測エネルギー消費量の情報とを読み出し、時間別に乗積を算出する。
【0076】
より具体的には、図6の単価情報が最安単価記憶領域35fに記憶されており、図7の予測エネルギー消費量が予測量記憶領域35gに記憶されていた場合、時間別にエネルギー単価とエネルギー消費量の掛け算が実行され、図8のような予測エネルギー価格の表が作成される。作成された情報は、予測価格記憶領域35hに記憶される。
【0077】
このようにして算出された予測エネルギー価格が出力部32に出力されることで、ユーザは事前に予測エネルギー価格を知ることが可能となる。
【0078】
また、予測エネルギー価格は、第1決定部36bが第1時間帯を決定する際の、エネルギー単価の要素を含む指標として使用されてもよい。具体的には、図8のように予測エネルギー価格が算出された場合、例えば、予測エネルギー価格が最大となる13時から15時までが、第1時間帯と決定される。
【0079】
(2−2−6−3)第2決定部36c
第2決定部36cは、所定期間の中で、第1時間帯より前の時間を第2時間帯、第1時間帯より後の時間を第3時間帯として決定する。
【0080】
例えば、所定期間が当日午前9時から翌日の午前9時までで、第1時間帯が当日の13時から16時であったとした場合、第2時間帯は当日の9時から13時まで、第3時間帯は当日の16時から翌日の9時までと決定される。
【0081】
(2−2−6−4)調整制御部36d
調整制御部36dは、時間管理部34の現在時刻と、時間帯記憶領域35cに保管された第1から第3の時間帯の開始時刻および終了時刻とをもとに、現在、第1から第3時間帯のいずれの時間帯にあるのかを判別する。そして、調整制御部36dは、判別した時間帯の終了時刻まで、強度記憶領域35bに記憶された許容最大運転能力を使用してエネルギー調整制御を実行する。なお、強度記憶領域35bには、エネルギー調整制御の強度が第1時間帯≧第3時間帯>第2時間帯となるような条件が記憶されている。
【0082】
より、具体的には、調整制御部36dは以下のように機能する。
【0083】
例えば、時間管理部34の現在時刻が13時00分で、図10の情報が時間帯記憶領域35cに記憶されていた場合、図10を読み出した調整制御部36dは、現在第1時間帯にあると判別する。そして、強度記憶領域35bに図4の情報が記憶されていた場合、調整制御部36dは許容最大運転能力40%でエネルギー調整制御を実行する。そして、調整制御部36dは、第1時間帯の終了時刻16時00分までこのエネルギー調整制御を継続する。16時00分を経過すると、調整制御部36dは、再び時間帯の判別を実行し、以下同様に繰り返す。
【0084】
(2−2−6−5)供給会社指示部36e
供給会社指示部36eは、最安単価記憶領域35fに記憶されたデータを基に、時間別に最安値の電力供給会社から電力を購入するよう配電盤(図示されない)に指示を与える。
【0085】
(2−2−6−6)予測部36f
予測部36fは、所定期間(本実施形態では、1日)のエネルギー消費量を予測する。本実施形態では、予測されるエネルギー消費量として、過去のエネルギー消費量をそのまま利用する。予測されたエネルギー消費量は、予測量記憶領域35gに記憶される。
【0086】
具体的には、本実施形態では、前日の9時から当日の9時までの1時間毎のエネルギー消費量の情報を、当日9時から翌日9時までの1時間毎の予測エネルギー消費量としてそのまま利用する。図7は、作成される予測エネルギー消費量の情報の例である。なお、図7は、1時間毎の予測エネルギー消費量の情報であるが、より短い時間間隔、もしくは、より長い時間間隔でエネルギー消費量を予測してもよい。
【0087】
なお、エネルギー消費量の予測方法は、上記の方法に限定されるものではない。例えば、過去1週間のエネルギー消費量から統計的に時間別のエネルギー消費量を算出してもよい。また、過去の情報に代えて又は加えて、例えば、当日の気象予報等のデータに基づいてエネルギー消費量を予測するものであってもよい。
【0088】
(3)エネルギー管理システム100で行われる制御処理について
図11は、制御装置30における時間帯の種類の決定処理の流れを示すフローチャートである。図12は、制御装置30におけるエネルギー調整制御の処理の流れを示すフローチャートである。図11および図12に示す処理は、それぞれ独立している。以下、図11および図12を用いて、空調機40,40・・・を制御する制御装置30における処理の流れを説明する。
【0089】
まず、図11について説明する。
【0090】
ステップS101は、本実施形態では、毎日午前9時00分に実施される。ステップS101では、第1決定部36bが単価記憶領域35cから、当日午前9時から翌日午前9時の単価情報を読み出す。
【0091】
なお、単価情報は、1または複数の電力会社S,Tの管理装置10,10から、物件Aの制御装置30に対し、所定時間間隔(本実施形態では1日間隔)で配信される。本実施形態では、午前7時に、当日午前9時から翌日午前9時の単価情報が配信される。配信された単価情報は単価記憶領域35cに記憶される。
【0092】
ステップS102では、第1決定部36bは、ステップS101で読み出されたエネルギー単価情報に基づき、図9のように各電力会社のエネルギー単価を時間帯別に比較し、時間帯別の最安単価を決定する。電力会社が1社しかない場合には、配信された単価情報がそのまま最安単価情報として決定される。時間帯別の最安単価は、最安単価を提示した電力会社名と共に最安単価記憶領域35fに記憶される。
【0093】
ステップS103では、予測部36fが運転状況記憶領域35aから過去のエネルギー消費量を読み出し、所定期間(本実施形態では当日午前9時から翌日午前9時)の時間別のエネルギー消費量の予測を実行する。予測されたエネルギー消費量は、予測量記憶領域35gに記憶される。
【0094】
ステップS104では、第1決定部36bは、最安単価記憶領域35fの最安単価情報と、予測量記憶領域35gの予測エネルギー消費量との情報を使用して、時間毎の単価と予測エネルギー消費量の積を求める。その結果、例えば、図8のような1時間毎の予測エネルギー価格の表が作成される。予測エネルギー価格の表は予測価格記憶領域35hに記憶される。
【0095】
ステップS105では、所定期間(第1期間)である当日午前9時から翌日午前9時の中で、エネルギー単価のピーク時間帯である第1時間帯を第1決定部36bが決定する。決定には、最安単価記憶領域35fに記憶された最安単価情報が使用される。決定された第1時間帯の開始時刻および終了時刻は、時間帯記憶領域35dに記憶される。また、ステップS105では、エネルギー単価に代えて、予測価格記憶領域35hに記憶された予測エネルギー価格を第1時間帯の決定に使用してもよい。なお、エネルギー単価で候補時間帯を決定する場合、ステップS103およびステップS104は、時間帯の決定処理には不要である。
【0096】
ステップS106では、第2決定部36cが、所定期間の中で第1時間帯より前の第2時間帯と、第1時間帯より後の第3時間帯とを決定する。決定された第2および第3時間帯の開始時刻と終了時刻は、時間帯記憶領域35dに記憶される。
【0097】
次に、図12について説明する。
【0098】
ステップS111では、調整制御部36dは、時間管理部34の提示する現在時刻と、時間帯記憶領域35dに記憶された情報とを使用して、現在第1から第3のいずれの種類の時間帯にあるのかを判別する。
【0099】
例えば、時間管理部34の現在時刻が13時00分で、図10の情報が時間帯記憶領域35cに記憶されていた場合、図10の情報を読み出した調整制御部36dは、現在第1時間帯にあると判別する。
【0100】
ステップS112では、調整制御部36dは、ステップS111で判別された種類の時間帯に対応する許容最大運転能力を強度記憶領域35bから呼び出し、その条件に則ったエネルギー調整制御を開始する。この時、ステップS111で判別された時間帯の種類と、時間帯の種類に対応する許容最大運転能力と、エネルギー調整制御の開始時刻とは、制御情報記憶領域35eに記憶される。
【0101】
例えば、現在13時00分であり、強度記憶領域35bに図4の情報が記憶されていたとすると、調整制御部36dは許容最大運転能力40%でエネルギー調整制御を開始する。この時、調整制御部36dに判別された時間帯は第1時間帯であったという情報、許容最大運転能力40%という値、およびエネルギー調整制御の開始時刻13時00分は制御情報記憶領域35eに記憶される。
【0102】
ステップS113では、調整制御部36dは、時間管理部34の現在時刻を使用して、現在のエネルギー調整制御を継続すべきか否かを判別する。
【0103】
具体的には、調整制御部36dは、時間管理部34の現在時刻と、時間帯記憶領域35dに記憶されているステップS111で判別された時間帯の終了時刻とを比較する。現在時刻が終了時刻を経過していた場合にはステップS114に進み、経過していない場合には、経過するまでステップS113を繰り返す。
【0104】
ステップS114では、調整制御部36dは、現在のエネルギー調整制御を終了する。具体的には、調整制御部36dは、空調機40,40・・・に対し、許容運転最大能力の設定を解除するよう命令する。また、エネルギー調整制御の終了時刻と、エネルギー調整制御の内容に関する情報、例えば、ステップS111からステップS114までの一連の時間に実際に消費されたエネルギー消費量とは、制御情報記憶領域35eに記憶される。なお、実際に消費されたエネルギー消費量は、運転状況記憶領域35aに記憶されたデータに基づき記憶される。制御情報記憶領域35eへの情報の記憶後は、ステップS111に戻る。
【0105】
(4)特徴
(4−1)
本実施形態では、設備機器を制御する制御装置30は、通信部31、第1決定部36b、第2決定部36cおよび調整制御部36dを備える。通信部31は、設備機器が供給を受けるエネルギーの時間帯別の単価情報を受け付ける。第1決定部36bは、単価情報に基づいて、第1期間の中でエネルギー単価の要素を含む指標がピークを迎える時間帯である第1時間帯を決定する。第2決定部36cは、第1期間の中で、第1時間帯より前の時間帯である第2時間帯と、第1時間帯より後の時間帯である第3時間帯とを決定する。調整制御部36dは、設備機器のエネルギー消費量の抑制の強度が、前記第1時間帯に、第2時間帯および第3時間帯よりも強くなるように、エネルギー消費量を調整するエネルギー調整制御を実行する。
【0106】
ここでは、所定の第1期間は、少なくとも第1時間帯(エネルギーの単価の要素を含む指標がピークを迎える時間帯)、第2時間帯(第1時間帯より前の時間帯)、および第3時間帯(第1時間帯より後の時間帯)の3種類の時間帯に分類される。この3種類の時間帯の中で第1時間帯に最も強くエネルギー消費量が抑制される。第2時間帯および第3時間帯には第1時間帯ほど強くエネルギー消費量が抑制されないので、第1時間帯にエネルギー消費量を強く抑制しても、快適性は損なわれにくい。
【0107】
(4−2)
本実施形態では、調整制御部36dは、設備機器のエネルギー消費量の抑制の強度が、前記第3時間帯では前記第1時間帯以下となり、前記第2時間帯では前記第3時間帯よりも小さくなるように、前記エネルギー消費量を調整するエネルギー調整制御を実行する。
【0108】
第2時間帯には、3種類の時間帯の中で最も弱くエネルギー消費量が抑制されるため、第1時間帯を迎えた際にある程度快適性が維持されている可能性が高い。その結果、第1時間帯に、エネルギー消費量を強く抑制しても、快適性は損なわれにくい。さらに、第3時間帯は、第1時間帯以下の強度でエネルギー調整制御を実行するため、ユーザの快適性の度合いに応じて柔軟なエネルギー調整制御が実現される。
【0109】
(4−3)
本実施形態では、予測部36fがエネルギー消費量を予測する。第1決定部36bは、予測されるエネルギー消費量とエネルギー単価の積を、第1時間帯を決定する指標として使用することもできる。
【0110】
これにより、予測されるエネルギー消費量とエネルギー単価との積により算出される指標、すなわち予測されるエネルギー価格、がピークを迎える時間が第1時間帯として決定される。そのため、最もエネルギー価格が高くなると予測される時間帯に、強いエネルギー調整制御が実行される。
【0111】
(4−4)
本実施形態では、通信部31は、複数の電力会社から同時間帯について単価情報を受け付け、第1決定部36bは、同時間帯についての複数の単価情報に基づいて、時間帯別の最安値のエネルギー単価を判断する。その結果作成された時間帯別の最安値のエネルギー単価に基づいて、第1決定部36bは第1時間帯を決定する。
【0112】
ここでは、最安値の電力供給会社を選択することで、最も経済効率の高い施設運営が実現される。
【0113】
(5)変形例
(5−1)変形例1A
エネルギー供給会社の管理装置10からの単価情報の配信の態様は、上述したものに限られない。例えば、電話通信回線を通じて単価情報がFAX配信される態様であってもよい。この場合、制御装置30は、ユーザが入力部33を介して入力したFAXに記載の単価情報を受け付ける。
【0114】
(5−2)変形例1B
強度記憶領域35bは、時間帯の種類別の許容最大運転能力に代えて又は加えて、許容されるエネルギー消費量の最大値、エネルギー調整量、空調機40,40・・・の稼働台数などの値であってもよい。強度記憶領域35bに記憶される情報の例を、図13(a)から(c)に示す。
【0115】
(5−3)変形例1C
調整制御部36dは、明らかに快適性が確保できない可能性が高い場合には、選択されたエネルギー調整制御を実行しなくてもよい。例えば、現在、温度もしくは湿度の実測値が設定値に到達しておらず、予め定めた以上に乖離している場合には、エネルギー調整制御を実行しなくてもよい。その他、例えば運転開始後一定時間は、エネルギー調整制御の指令を実行しないようにしてもよい。
【0116】
(5−4)変形例1D
第2時間帯にはエネルギー調整制御を実行しないとしてもよい。すなわち、第2時間帯の許容最大運転能力を100%としてもよい。第2時間帯にエネルギー調整制御を実行しないことで、更に第1時間帯のユーザの快適性が保持され易くなる。
【0117】
(5−5)変形例1E
第1決定部36bは、所定時間の中で複数の第1時間帯を決定してもかまわない。この時、第2決定部36cも、複数の第2時間帯および第3時間を決定する。
【0118】
具体的には、例えば、所定時間の中でエネルギー単価が最大となる時間帯がn個存在する場合に、第1決定部36bはn個のエネルギー単価が最大となる時間帯それぞれを第1時間帯と決定する。次に、第2決定部は、1番目の第1時間帯より前の時間を第2時間帯と決定し、n番目の第1時間帯より後の時間を第3時間帯と決定する。その後、一番初めの第1時間帯と二番目の第1時間帯の間の時間を等分に分割し、前半を第3時間帯、後半を第2時間帯と決定する。さらに、二番目の第1時間帯と三番目の第1時間帯の間の時間帯についても、同様に第3時間帯と第2時間帯を決定する。同様の決定を合計(n−1)回繰り返す。
【0119】
第1から第3時間帯を複数設けることで、エネルギー消費量の抑制とユーザの快適性のバランス維持がよりきめ細かく実行される。
【0120】
なお、2つの第1時間帯の間の第3時間帯と第2時間帯の決定方法は、上記に限られたものではない。例えば、2つの第1時間帯の間でエネルギー単価が最低となる時間までを第3時間帯とし、その後を第2時間帯としてもよい。
【0121】
(5−6)変形例1F
本実施形態では、所定期間(1日)の全てを、第1から第3のいずれかの時間帯に区分しているが、所定期間(1日)の一部を第1から第3のいずれかの時間帯に区分してもよい。
【0122】
例えば、所定期間の中で、エネルギー単価が最大となる時間帯を第1時間帯と決定し、第1時間帯の直前の2時間を第2時間帯と決定し、第1時間帯の直後の2時間を第3時間帯と決定してもよい。
【0123】
(5−7)変形例1G
空調機40,40・・・は設備機器の例示であり、例えば、照明、ファンが制御装置30の制御対象であってもよい。これにより、幅広い設備に対して本制御装置を適用することが可能である。
【0124】
(5−7)変形例1H
制御装置30は、物件の設備機器全体をエネルギー調整制御の対象とするものである必要はなく、その一部についてエネルギー調整制御を実行するものであってもよい。また、例えば、設備機器の種類別や、物件のフロア別に、それぞれエネルギー調整制御を実行するものであってもよい。
【0125】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係るエネルギー管理システム200について説明する(図14参照)。第2実施形態に係るエネルギー管理システム200は、制御装置230,230の構成を除き、第1実施形態に係るエネルギー管理システム100と同様である。したがって、第1実施形態との差異である、制御装置230の構成と、エネルギー管理システム200で行われる制御処理について説明する。
【0126】
(1)各部の構成
(1−1)制御装置230の構成
図15に、制御装置230の概略構成図を示す。以下、物件Aに設置された制御装置230について説明するが、物件Bに設置された制御装置230についても同様の構成である。
【0127】
制御装置230は、通信部231、出力部232、入力部233、時間管理部234、記憶部235、および制御部236を備える。ここで、通信部231、時間管理部234は、それぞれ第1実施形態に係る通信部31、時間管理部34と同様の構成である。したがって、以下、出力部232、入力部233、記憶部235および制御部236について説明する。
【0128】
(1−1−1)出力部232
出力部232は、主として、ディスプレイから構成されている。出力部232には、第1実施形態の出力部32と同様に、空調機40,40,・・・の運転態様(例えば、空調機のON/OFF、運転モード(冷房モード/暖房モード)、風向き、風量、吸込み温度、および設定温度)を示す画面が表示される。また、後述するエネルギー算出部236gにより複数の条件に従って算出された複数のエネルギー調整可能量が表示される。更に、予測量記憶領域235gおよび予測価格記憶領域235hに記憶された予測エネルギー消費量および予測エネルギー価格、および/または、運転状況記憶領域235eに記憶された各時間帯別の実際のエネルギー消費量が表示される。
【0129】
(1−1−2)入力部233
入力部233は、主として、操作ボタンおよび上記ディスプレイを覆うタッチパネルから構成されている。第1実施形態の入力部33と同様に、空調機40,40・・・の発停信号、設定温度の変更、運転モードの変更など、空調機40,40・・・に対するユーザからの各種指令が入力される。また、入力部233は、選択基準の入力を、ユーザから受け付ける。なお、選択基準とは、エネルギー調整制御の内容を決定する1の条件を、調整制御部236dが複数の選択肢から決定するための基準となる。すなわち、調整制御部236dは、ユーザが入力した選択基準に基づいて、エネルギー調整制御の内容を決定する複数の条件の中から、実際に実行するエネルギー調整制御に対応する1の条件を決定する。
【0130】
(1−1−3)記憶部235
記憶部235は、主として、ハードディスクから構成されている。記憶部235には、後述する制御部236が読み出して実行可能なプログラムが記憶されている。また、記憶部235は、主として、運転状況記憶領域235a、強度記憶領域235b、単価記憶領域235c、時間帯記憶領域235d、制御情報記憶領域235e、最安単価記憶領域235f、予測量記憶領域235g、予測価格記憶領域235h、および選択条件記憶領域235iを有する。領域235a,235c,235d,235e,235f,235g,235hは、それぞれ第1実施形態の領域35a,35c,35d,35e,35f,35g,35hと同様の構成である。したがって、以下強度記憶領域235b、選択条件記憶領域235iについて説明する。
【0131】
(1−1−3−1)強度記憶領域235b
第2実施形態では、強度記憶領域235bに、時間帯の種類(第1から第3時間帯)の別に加え、複数の条件別にエネルギー調整制御の強度が記憶される。より具体的には、本実施形態では、複数の条件としてエネルギー調整制御の抑制の程度(例えば、弱、中、強の三段階)を設定し、条件別かつ時間帯の種類別にエネルギー調整制御の強度が定められている。図16に強度記憶領域235bに記憶されている複数の条件別のエネルギー調整制御の強度の例を示す。
【0132】
なお、他の実施形態では、条件であるエネルギー調整制御の抑制の程度の段階は、三段階である必要はない。また、条件は、エネルギー調整制御の抑制の程度の段階には限られず、例えば、ユーザの快適性の段階(例えば、きわめて快適、快適、やや快適など)などであってもよい。また、強度記憶領域235bに記憶されている値は、予め強度記憶領域235bに記憶されている固定値であってもよいし、入力部233からユーザが入力することで更新可能なものであってもよい。また、例えば、過去の運転状況、予想される使用電力量、予想されるエネルギー価格、環境条件、設備の稼働状況、、および各時間帯の長さなどを基に、適宜数値が更新されるものであってもよい。なお、過去の運転状況とは、例えば、過去の室温、湿度、照度、および換気量などである。環境条件とは、例えば、天候、外気温、および明るさなどである。設備の稼動状態とは、例えば設備のON/OFFおよびエネルギー消費量などである。
【0133】
(1−1−3−2)選択条件記憶領域235i
選択条件記憶領域235iは、後述するよう調整制御部236dが決定した1の条件と共に、決定した条件に対応する第1から第3時間帯の許容最大運転能力を記憶する。
【0134】
(1−1−4)制御部236
制御部236は、主としてCPU、ROMおよびRAMから構成されている。制御部236は、上述の記憶部235に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、図15に示すように、主として、運転状況把握部236a、第1決定部236b、第2決定部236c、調整制御部236d、供給会社指示部236e、予測部236fおよびエネルギー算出部236gとして機能する。
【0135】
236a、236b、236c、236eおよび236fは、それぞれ36a、36b、36c、36eおよび36fと同様の構成である。したがって、以下調整制御部236dおよびエネルギー算出部236gについて説明する。
【0136】
(1−1−4−1)調整制御部236d
調整制御部236dは、強度記憶領域235bの複数の条件、本実施形態では、エネルギー調整制御の抑制の程度の段階から、エネルギー調整制御の1の条件を決定する。また、調整制御部236dは、時間管理部234の現在時刻と、時間帯記憶領域235cに保管された第1から第3時間帯の開始時刻および終了時刻とを基に、現在、第1から第3時間帯のいずれの時間帯にあるのかを判別し、自ら選択した1の条件に応じてエネルギー調整制御を実行する。
【0137】
エネルギー調整制御の1の条件の決定は、具体的には以下のように実施される。
【0138】
まず、後述するエネルギー算出部236gにより条件に従って算出されたエネルギー調整可能量が、午前9時頃に出力部232に出力される。ユーザはこの出力を見て、エネルギー調整制御の強度の段階(例えば、弱、中、強の三段階)の中からエネルギー調整制御の条件に対応する1の段階を選択し、入力部233に入力する。調整制御部236dは、この入力を選択基準として、1の条件を決定する。
【0139】
その後、調整制御部236dが決定した条件と、決定した条件に対応する強度記憶領域235bに記憶された第1から第3時間帯の許容最大運転能力の情報は、選択条件記憶領域235iに記憶される。例えば、強度記憶領域235bに図16の情報が記憶されており、三段階の中から「中」をユーザが入力部233に入力したとすれば、第1時間帯の許容最大運転能力は20%、第2時間帯の許容最大運転能力は60%、第3時間帯の許容最大運転能力は40%と選択条件記憶領域235iに記憶される。
【0140】
なお、調整制御部236dが条件を決定する方法は、上記の方法に限定されない。例えば、ユーザが選択基準を毎日入力する代わりに、一度入力された選択基準が繰り返し条件の決定に使用されてもよい。また、調整制御部236dは、ユーザの選択基準の入力に代えて、または加えて、例えば以下のような方法で、1の条件を決定してもよい。例えば、算出されたエネルギー調整可能量が所定の値の範囲内に収まるような1の条件が、調整制御部236dにより自動的に決定されてもよい。また、例えば、運転状況記憶領域235aに記憶された過去の運転状況や制御情報記憶領域235eに記憶された過去のエネルギー調整制御に関する情報、予想される使用電力量、予想されるエネルギー価格、環境条件、設備の稼働状況、および各時間帯の長さなどを考慮して1の条件を決定してもよい。
【0141】
次に、調整制御部236dが実行するエネルギー調整制御の方法について、具体的に説明する。
【0142】
調整制御部236dは、時間管理部234の現在時刻と、時間帯記憶領域235cに保管された第1から第3時間帯の開始時刻および終了時刻とをもとに、現在、第1から第3時間帯のいずれの種類の時間帯にあるのかを判別する。そして、調整制御部236dは、判別した時間帯の終了時刻まで、選択条件記憶領域235iに記憶された許容最大運転能力を使用してエネルギー調整制御を実行する。なお、選択条件記憶領域235iには、エネルギー調整制御の強度が第1時間帯≧第3時間帯>第2時間帯となるような条件が記憶されている。
【0143】
(1−1−4−2)エネルギー算出部236g
エネルギー算出部236gは、予測量記憶領域235gと、強度記憶領域235bとに記憶された情報を使用して、エネルギー調整制御を実行した場合のエネルギー調整可能量を条件に従って算出する。エネルギー算出部236gによる算出は、本実施形態では9時ごろ、予測部36fによる予測エネルギー消費量の算出後に実施される。
【0144】
具体的に、1日分(午前9時から翌日午前9時)のエネルギー調整可能量の算出方法について説明する。
【0145】
まず、午前9時から午前10時のエネルギー調整可能量の算出について説明する。
【0146】
エネルギー算出部236gは、午前9時から午前10時までの予測エネルギー消費量を予測量記憶領域235gから呼び出す。予測エネルギー消費量は、前述のとおり、同時間帯の前日の実績である。
【0147】
他方で、エネルギー算出部236gは、午前9時から午前10時が、第1から第3時間帯のいずれの時間帯に該当するか、時間帯記憶領域235dに記憶された情報から判断する。更に、判断した時間帯の種類に対応する許容最大運転能力を強度記憶領域235bから呼び出し、その許容最大運転能力で1時間運転をした場合の、最大エネルギー消費量を条件に従って算出する。
【0148】
最後に、予測エネルギー消費量から最大エネルギー消費量を減じ、午前9時から午前10時のエネルギー調整可能量を条件に従って算出する。
【0149】
例えば、午前9時から午前10時の、定格電力100kWの空調機40,40・・・(主として圧縮機)の予測エネルギー消費量が、90kWhであると予測量記憶領域235gに記憶されていたとする。また、時間帯記憶領域235dには、午前9時から午前10時までの時間帯は第2時間帯と記憶されていたとする。この時、強度記憶領域235bに図16の情報が記憶されていたとすれば、条件別(エネルギー調整制御の強度の程度の段階弱・中・強の別)に、第2時間帯の許容最大運転能力が80%、60%、40%と定められていることになる。そのため、条件に従って1時間運転した場合の最大エネルギー消費量は、弱・中・強の条件に対して、80kWh、60kWh、40kWhである。そこで、予測エネルギー消費量90kWhからそれぞれの最大エネルギー消費量を減じると、図17のように、この1時間のエネルギー調整可能量は、10kWh、30kWh、50kWhと条件に従って算出される。
【0150】
同様の算出を、10時から11時、11時から12時と、翌日午前9時の分まで繰り返して実行する。そして、算出された差の値を条件別に積算して、条件に従ったエネルギー調整可能量として算出する。
【0151】
(2)エネルギー管理システム200で行われる制御処理について
図18は、エネルギー調整可能量の算出処理および条件決定の流れを示すフローチャートである。図19は、空調機40,40・・・を制御する制御装置230におけるエネルギー調整制御の処理の流れを示すフローチャートである。以下、図18および図19を用いて、制御装置230における処理の流れを説明する。なお、時間帯の種類の決定の流れを示すフローチャートは、第1実施形態の図11と同様であるので、説明は省略する。
【0152】
まず、図18を説明する。
【0153】
ステップS221は、本実施形態では午前9時ごろ、図11のフローチャートによる時間帯の決定処理後に実行される。なお、エネルギー調整可能量の算出には、後述するようにエネルギー予想量が使用されるので、ステップS103は必須のステップである。ステップS221では、エネルギー算出部236gは、予測量記憶領域235gから、1時間分(本実施形態では、初めは、午前9時から午前10時までの1時間)の予測エネルギー消費量のデータを読み出す。
【0154】
ステップS222では、ステップS221で予測エネルギー消費量を読み出す対象となった時間帯が、第1から第3時間帯のいずれの時間帯に当たるかを判別する。具体的には、エネルギー算出部236gが、時間帯記憶領域235dを参照し、ステップS221で情報を読み出した時間帯(例えば、午前9時から10時まで)が、第1から第3時間帯のいずれの時間帯の種類に当たるかを判別する。
【0155】
ステップS223では、エネルギー算出部236gが、強度記憶領域235bから,ステップS222で判別した時間帯の種類に対応する許容最大運転能力を読み出し、許容最大運転能力で1時間連続して運転した場合の、最大エネルギー消費量を条件に従って算出する。
【0156】
ステップS224では、ステップS221で読み出された予測エネルギー消費量から、ステップS223で算出された最大エネルギー消費量を減算する。
【0157】
ステップS225では、ステップS224の計算結果を、条件別に設けた変数Sn(条件が三種類あれば、S1、S2およびS3)に加算する。
【0158】
ステップS226では、既に1日分(24回)の計算が実行されたかを判別する。まだ1日分の処理が実施されていない場合には、再びS221に戻り、次の1時間(例えば、午前9時から午前10時の処理が終了した場合には、午前10時から午前11時)について、ステップS221からS225の処理を繰り返す。1日分の処理が終了した場合には、ステップS227に進む。
【0159】
ステップS227では、エネルギー算出部236gが条件に従って算出された変数Snが、エネルギー調整可能量として出力部232に出力される。
【0160】
ステップS228では、調整制御部236dがエネルギー調整可能量の算出に使用した複数の条件の中から1の条件を決定する。本実施形態では、ステップS227の出力を基にユーザが1の条件そのものを選択基準として選択し、入力部233に入力し、その入力どおりに調整制御部236dが1の条件を決定する。1の条件の決定後は、Snの値はリセットされる。
【0161】
なお、本実施形態では、ユーザが条件の決定を直接行っているが、他の実施形態では、ユーザが間接的な選択基準を入力部233に入力してもよい。例えば、ユーザは快適性重視もしくは省エネ重視などのエネルギー調整制御の傾向を選択基準として入力部233に入力してもよいし、例えばエネルギー調整可能量が満たすべき数値条件を入力部233に入力しても良い。また、ユーザは毎日選択基準を入力する必要はなく、一度入力した選択基準に則って調整制御部236dが繰り返し条件を決定しても良い。
【0162】
なお、エネルギー算出部236gにより決定された条件と、決定された条件に対応する第1から第3時間帯の許容最大運転能力は、選択条件記憶領域235iに記憶される。
【0163】
次に、図19について説明する。
【0164】
ステップS211、S213およびS214については、それぞれステップS111、S113およびS114と同じであるため、ステップS212についてのみ説明する。
【0165】
ステップS212では、調整制御部236dは、ステップS211で判別された時間帯に対応する許容最大運転能力を選択条件記憶領域235iから呼び出し、その条件に則ったエネルギー調整制御を開始する。この時、ステップS211で判別された時間帯の種類と、時間帯の種類に対応する許容最大運転能力と、エネルギー調整制御の開始時刻とは、制御情報記憶領域235eに記憶される。
【0166】
(3)特徴
(3−1)
本実施形態では、条件に従ってエネルギー調整制御を実行した場合のエネルギー調整可能量を算出するエネルギー算出部236gをさらに備える。調整制御部236dは、条件に対応するエネルギー調整制御を実行する。
【0167】
ここでは、予めエネルギー調整可能量を把握した上で、エネルギー調整制御を実行することが可能となる。
【0168】
(3−2)
さらに、本実施形態では、入力部233をさらに備える。入力部233がユーザから選択基準の入力を受け付ける。エネルギー算出部236gは複数の条件に従ってエネルギー調整可能量を算出する。調整制御部236dは、選択基準に基づいて、前記複数の条件のうちの1の条件を決定し、その1の条件に対応するエネルギー調整制御を実行する。
【0169】
ここでは、複数の条件が用意され、ユーザがエネルギー調整制御の条件選択に関与する。その結果、ユーザの意向を反映したエネルギー調整制御が容易となる。
【0170】
(4)変形例
第1実施形態に係る変形例1Aから1Fの要旨は、第2実施形態にも当てはまる。
【符号の説明】
【0171】
1 電力会社
2 物件
6 電源
7 電力メーター
30,230 制御装置
31,231 通信部
33,233 入力部
36b,236b 第1決定部
36c,236c 第2決定部
36d,236d 調整制御部
36f,236f 予測部
36g,236g エネルギー算出部
40 空調機
100,200 エネルギー管理システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0172】
【特許文献1】特開2007−139213号
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備機器の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー供給者が、ユーザである複数の物件に対して、エネルギーの需要が高い時間帯の消費量抑制を働き掛け、エネルギー供給設備の効率的な運用を図る動きが普及しつつある。
【0003】
例えば、実際に、エネルギー供給者が、物件に対し時間帯別のエネルギー単価を通知する方式も採用されている(特許文献1:特開2007−139213)。この方式は、エネルギー需要の高い時間帯にエネルギー消費量を抑制するよう、ユーザに動機付けを行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、エネルギー単価が通知される場合に、ユーザがエネルギー価格の低減を重視しすぎると、ユーザの快適性が損なわれる事態が発生し得る。特に、過度にエネルギー消費量を抑制した場合には、最もエネルギー消費量が抑制されるべきエネルギー単価のピーク時間帯に、著しくユーザの快適性が損なわれる事態が起こり得る。
【0005】
本発明の課題は、エネルギー供給者が物件に対しエネルギー単価を通知する場合に、エネルギー消費量が最も抑制されるべきエネルギー単価のピーク時間帯であっても、ユーザの快適性が確保される制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る制御装置は、設備機器を制御する制御装置であって、受付部、第1決定部、第2決定部および調整制御部を備える。受付部は、設備機器が供給を受けるエネルギーの時間帯別の単価情報を受け付ける。第1決定部は、単価情報に基づいて、第1期間の中でエネルギー単価の要素を含む指標がピークを迎える時間帯である第1時間帯を決定する。第2決定部は、第1期間の中で、第1時間帯より前の時間帯である第2時間帯と、第1時間帯より後の時間帯である第3時間帯とを決定する。調整制御部は、設備機器のエネルギー消費量の抑制の強度が、前記第1時間帯に、第2時間帯および第3時間帯よりも強くなるように、エネルギー消費量を調整するエネルギー調整制御を実行する。
【0007】
ここでは、所定の第1期間は、少なくとも第1時間帯(エネルギーの単価の要素を含む指標がピークを迎える時間帯)、第2時間帯(第1時間帯より前の時間帯)、および第3時間帯(第1時間帯より後の時間帯)の3種類の時間帯に分類される。この3種類の時間帯の中で、第1時間帯に最も強くエネルギー消費量が抑制される。その他の時間帯には第1時間帯ほど強くエネルギー消費量が抑制されないので、第1時間帯にエネルギー消費量を強く抑制しても、快適性は損なわれにくい。
【0008】
本発明の第2観点に係る制御装置は、第1観点に係る制御装置であって、調整制御部は、設備機器のエネルギー消費量の抑制の強度が、第3時間帯では第1時間帯以下となり、第2時間帯では第3時間帯よりも小さくなるように、前記エネルギー消費量を調整するエネルギー調整制御を実行する。
【0009】
ここでは、第2時間帯には、3種類の時間帯の中で最も弱くエネルギー消費量が抑制されるため、第1時間帯を迎えた際にある程度快適性が維持されている可能性が高い。その結果、第1時間帯に、エネルギー消費量を強く抑制しても、快適性は損なわれにくい。さらに、第3時間帯は、第1時間帯以下の強度でエネルギー調整制御を実行するため、ユーザの快適性の度合いに応じて柔軟なエネルギー調整制御が実現される。
【0010】
本発明の第3観点に係る制御装置は、第1観点もしくは第2観点に係る制御装置であって、第1期間におけるエネルギー消費量を予測する予測部を備える。第1決定部は、予測部により予測されたエネルギー消費量とエネルギーの単価の乗積を、第1時間帯を決定する指標として算出する。
【0011】
ここでは、予測されるエネルギー消費量とエネルギー単価との積により算出される指標、すなわち予測されるエネルギー価格、がピークを迎える時間が第1時間帯として決定される。そのため、最もエネルギー価格が高くなると予測される時間帯に、強いエネルギー調整制御が実行される。
【0012】
本発明の第4観点に係る制御装置は、第1観点から第3観点のいずれかに係る制御装置であって、第2時間帯にはエネルギー消費量を抑制しない。
【0013】
ここでは、第2時間帯にエネルギー消費量を抑制するエネルギー調整制御が実行されない。そのため、第1時間帯に強くエネルギー抑制が実行されても、ユーザの快適性がより維持され易くなる。
【0014】
本発明の第5観点に係る制御装置は、第1観点から第4観点のいずれかに係る制御装置であって、エネルギー算出部をさらに備える。エネルギー算出部は、条件に従って、エネルギー調整制御を実行した場合のエネルギー調整可能量を算出する。また、調整制御部は、前記の条件に対応するエネルギー調整制御を実行する。
【0015】
ここでは、予めエネルギー調整可能量を把握した上で、エネルギー調整制御を実行することが可能となる。
【0016】
本発明の第6観点に係る制御装置は、第5観点に係る制御装置であって、入力部をさらに備える。入力部は、選択基準の入力を受け付ける。エネルギー算出部は複数の条件に従ってエネルギー調整可能量を算出する。調整制御部は、選択基準に基づいて、前記複数の条件のうちの1の条件を決定し、その1の条件に対応するエネルギー調整制御を実行する。
【0017】
ここでは、複数の条件が用意され、ユーザがエネルギー調整制御の条件選択に関与する。その結果、ユーザの意向を反映したエネルギー調整制御が容易となる。
【0018】
本発明の第7観点に係る制御装置は、第1観点から第6観点のいずれかに係る制御装置であって、受付部が同時間帯について複数の単価情報を受け付ける。第1決定部は、同時間帯についての複数の単価情報に基づいて、時間帯別に最安値のエネルギー単価を判断する。第1時間帯は、この時間帯別の最安値のエネルギー単価の要素を含む指標に基づいて決定される。
【0019】
ここでは、複数のエネルギー供給者がある場合に、時間帯別に最安値のエネルギー単価を提示したエネルギー供給者からエネルギーが調達される。従って、最も経済的に有利なエネルギー調整制御が実現される。
【発明の効果】
【0020】
本発明の第1観点に係る制御装置では、エネルギー単価の要素を含む指標がピークを迎える第1時間帯に最も強くエネルギー消費量が抑制される。その他の時間帯には、第1時間帯ほど強くエネルギー消費量が抑制されないので、第1時間帯にもある程度ユーザの快適性が保たれている可能性が高い。その結果、ピークを迎える時間帯に強めのエネルギー調整制御が実行されたとしても、ユーザの快適性が損なわれにくい。
【0021】
本発明の第2観点に係る制御装置では、エネルギー単価の要素を含む指標がピークを迎える時間帯より前の第2時間帯に、3種類の時間帯の中でエネルギー調整制御の強度が最も弱くなる。そのため、ピークを迎える時間帯になった際に、ある程度ユーザの快適性が保たれている可能性が高い。その結果、ピークを迎える時間帯に強めのエネルギー調整制御が実行されたとしても、ユーザの快適性が損なわれにくい。また、ピークを迎える時間帯より後の時間帯は、ピーク時間帯以下の強度でエネルギー調整制御を実行するため、ユーザの快適性の度合いに応じて柔軟なエネルギー調整制御が実現される。
【0022】
本発明の第3観点に係る制御装置では、エネルギー価格がピークになると予測される時間帯に強めのエネルギー調整制御が実行される。その結果、快適性を確保しながら、エネルギー価格を低減するエネルギー調整制御が実現され易い。
【0023】
本発明の第4観点に係る制御装置では、エネルギー単価の要素を含む指標がピークを迎える時間帯の前には、エネルギー消費量の抑制が行われないため、ピークを迎える時間帯のユーザの快適性確保が容易となる。
【0024】
本発明の第5観点に係る制御装置では、予めエネルギー調整可能量を把握した上で、エネルギー調整制御を実行することができる。
【0025】
本発明の第6観点に係る制御装置では、複数の条件が用意され、ユーザがエネルギー調整制御の条件を自ら選択する。ユーザの要望を反映させたエネルギー調整制御の実現が容易となる。
【0026】
本発明の第7観点に係る制御装置では、複数のエネルギー供給会社の中で、最安値の単価を提示したエネルギー供給者からエネルギーを調達することで、最も経済的に有利なエネルギー調整制御が実行される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態に係るシステム全体の概略構成図
【図2】第1および第2実施形態に係る電力会社の管理装置の概略構成図
【図3】第1実施形態に係る設備機器の制御装置の概略構成図
【図4】第1実施形態に係る強度記憶領域に記憶されるエネルギー調整制御の強度の例1
【図5】第1および第2実施形態に係る制御情報記憶領域に記憶される情報の例
【図6】第1および第2実施形態に係る最安単価記憶領域に記憶される最安単価情報の例
【図7】第1および第2実施形態に係る予測量記憶領域に記憶される時間別の予測エネルギー消費量の情報の例
【図8】第1および第2実施形態に係る予測価格記憶領域に記憶される時間別の予測エネルギー価格の情報の例
【図9】第1および第2実施形態に係る複数の電力会社からエネルギー供給を受ける場合のエネルギー単価の比較の例
【図10】第1および第2実施形態に係る時間帯記憶領域に記憶される時刻情報の例
【図11】第1および第2実施形態に係る制御装置における時間帯の種類の決定の流れを示すフローチャート
【図12】第1実施形態に係る制御装置におけるエネルギー調整制御の処理の流れを示すフローチャート
【図13】(a)第1実施形態に係る強度記憶領域に記憶されるエネルギー調整制御の強度の例2 (b)第1実施形態に係る強度記憶領域に記憶されるエネルギー調整制御の強度の例3 (c)第1実施形態に係る強度記憶領域に記憶されるエネルギー調整制御の強度の例4
【図14】第2実施形態に係るシステム全体の概略構成図
【図15】第2実施形態に係る設備機器の制御装置の概略構成図
【図16】第2実施形態に係る強度記憶領域に記憶されるエネルギー調整制御の強度の例
【図17】第2実施形態に係るエネルギー調整可能量算出の演算経過例
【図18】第2実施形態に係る制御装置におけるエネルギー調整可能量の算出および1の条件の決定の流れを示すフローチャート
【図19】第2実施形態に係る制御装置におけるエネルギー調整制御の処理の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して、第1実施形態に係るエネルギー管理システム100について説明する。
【0029】
(1)エネルギー管理システム100の全体構成
図1に、本実施形態に係るエネルギー管理システム100を示す。エネルギー管理システム100では、電力会社S,Tから物件A,Bにエネルギーを供給する。物件A,Bは、オフィスビル、テナントビル、工場および一般家庭等の、1又は複数の設備機器が設置される建物である。なお、図1では、電力会社がエネルギーを供給する物件として、物件A,Bの2つしか記載されていないが、物件の数は2つに限られるものではない。また、電力会社はS,Tの2つが図示されているが、電力会社の数は2つに限られるものではない。電力会社の数は2つより多くてもよいし、1つであってもよい。
【0030】
電力会社S,Tは、管理装置10,10を有する。物件A,Bは、設備機器の制御装置30,30と、複数の設備機器としての空調機40,40,・・・と、空調機40,40,・・・に電力を供給する電源6,6と、電源6,6から空調機40,40,・・・に供給される電力量を計測する電力メーター7,7とを有する。管理装置10,10と、制御装置30,30とは、インターネット80aを介して接続されている。また、同一物件内の制御装置30と、空調機40,40,・・・とは、専用の制御線80bを介して接続されている。
【0031】
なお、空調機40,40・・・は、室外機41,41・・・、室内機42,42・・・、および室外機41,41・・・と室内機42,42・・・とを接続する冷媒配管(図示せず)を有する。空調機40,40・・・は、マルチ式であっても、ペア式であってもよい。
【0032】
電力会社S,Tの管理装置10,10は、インターネット80aを介して、物件A,Bの制御装置30,30に対して、所定時間間隔(本実施形態では、1日間隔)で、エネルギーの時間帯別の単価情報を配信する。例えば、管理装置10,10は、午前7時に、当日午前9時から翌日午前9時の時間帯別の単価情報を配信する。また、管理装置10,10は、物件A,Bの制御装置30,30に、時間帯別の単価情報と併せて、情報を配信する電力会社名も配信する。エネルギー単価は、時間帯によって変動し、通常、エネルギー需要が高い時間はエネルギー単価が高く、エネルギー需要が低い時間はエネルギー単価が安くなるように電力会社S,Tにより決定されている。電力会社S,Tは、単価情報の配信により、物件A,Bに対してエネルギー消費量の調整を強制するものではない。しかし、単価情報の配信は、物件A,Bがエネルギー消費量を調整する動機付けとなる。
【0033】
(2)各装置の構成
以下、エネルギー管理システム100に含まれる、管理装置10,10および制御装置30,30について説明する。
【0034】
(2−1)管理装置10の構成
図2に、管理装置10の概略構成図を示す。以下、電力会社Sに設置された管理装置10について説明するが、電力会社Tに設置された管理装置10についても同様の構成である。
【0035】
管理装置10は、通信部11、表示部12、入力部13、記憶部14、および制御部15を備える。
【0036】
(2−1−1)通信部11
通信部11は、管理装置10をインターネット80aに接続可能にするネットワークインターフェースである。
【0037】
(2−1−2)表示部12
表示部12は、主としてディスプレイから構成されている。
【0038】
(2−1−3)入力部13
入力部13は、主として操作ボタン、キーボード、およびマウス等から構成されている。
【0039】
(2−1−4)記憶部14
記憶部14は、主としてハードディスクから構成されている。記憶部14には、各物件A,Bに配信されるエネルギーの単価情報が記憶されている。単価情報は、契約内容に応じて物件A,B間で相違するものであってもよい。
【0040】
(2−1−5)制御部15
制御部15は、主としてCPU、ROMおよびRAMから構成されている。制御部15は、記憶部14に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、所定時間間隔(本実施形態では、1日間隔)で、通信部11に、物件A,Bに対し、時間帯別の単価情報を配信させる。
【0041】
(2−2)制御装置30の構成
図3に、制御装置30の概略構成図を示す。以下、物件Aに設置された制御装置30について説明するが、物件Bに設置された制御装置30についても同様の構成である。
【0042】
制御装置30は、通信部31、出力部32、入力部33、時間管理部34、記憶部35、および制御部36を備える。
【0043】
(2−2−1)通信部31
通信部31は、主として、制御装置30をインターネット80aに接続可能にするネットワークインターフェースである。通信部31は、所定時間間隔(本実施形態では、1日間隔)で、インターネット80aを介して、電力会社S,Tの管理装置10,10から配信される時間帯別の単価情報を受け付ける。受け付けた情報は後述する単価記憶領域35cに記憶される。
【0044】
(2−2−2)出力部32
出力部32は、主として、ディスプレイから構成されている。出力部32には、空調機40,40,・・・の運転態様(例えば、空調機のON/OFF、運転モード(冷房モード/暖房モード)、風向き、風量、吸込み温度、および設定温度)を示す画面が表示される。また、例えば、後述する予測量記憶領域35gおよび予測価格記憶領域35hに記憶された予測エネルギー消費量および予測エネルギー価格、および/または、制御情報記憶領域35eに記憶された実際のエネルギー消費量が表示される。
【0045】
(2−2−3)入力部33
入力部33は、主として、操作ボタンおよび上記ディスプレイを覆うタッチパネルから構成されている。空調機40,40・・・の発停信号、設定温度の変更、運転モードの変更など、空調機40,40・・・に対するユーザからの各種指令が入力される。
【0046】
(2−2−4)時間管理部34
時間管理部34は、電力会社S,Tの管理装置10,10と略同期する時計を有し、制御装置30の実行する各種制御の時間管理を行う。
【0047】
(2−2−5)記憶部35
記憶部35は、主としてハードディスクから構成されている。記憶部35には、後述する制御部36が読み出して実行可能なプログラムが記憶されている。また、記憶部35は、運転状況記憶領域35a、強度記憶領域35b、単価記憶領域35c、時間帯記憶領域35d、制御情報記憶領域35e、最安単価記憶領域35f、予測量記憶領域35gおよび予測価格記憶領域35hを有する。
【0048】
(2−2−5−1)運転状況記憶領域35a
運転状況記憶領域35aは、後述する運転状況把握部36aが取得した、空調機40,40・・・の状況および電力メーター7によって計測されたエネルギー消費量を運転状況として記憶する。なお、空調機40,40・・・の状況には、例えば、空調機のON/OFF、運転モード(冷房モード/暖房モード)、吸込み温度、設定温度、稼働時間、稼働率、および稼動時の運転能力(%)が含まれる。ここで運転能力(%)とは、空調機40,40・・・(より正確には、主として圧縮機)の定格能力に対して、空調機40,40・・・がどの程度の能力で動作しているかを意味する。運転状況記憶領域35aは、データの取得日時とともに、空調機40,40・・・の状況およびエネルギー消費量のデータを記憶する。
【0049】
(2−2−5−2)強度記憶領域35b
強度記憶領域35bに記憶されるのは、後述する第1決定部36bおよび第2決定部36cにより決定される時間帯の種類(第1から第3時間帯)別の、エネルギー調整制御の強度である。より具体的には、時間帯の種類別の許容最大運転能力(%)の数値が強度記憶領域35bに記憶されている。なお、エネルギー調整制御の強度は、第1時間帯が最も強く、第3時間帯は第1時間帯以下であり、第2時間帯に最も弱くなるように定められている。図4は、強度記憶領域35bに記憶されたエネルギー調整制御の強度の一例を示す図である。
【0050】
ここで、エネルギー調整制御とは、通常制御に対し、エネルギー単価を含む指標を考慮して、エネルギー消費量を抑制するように運転を制御することをいう。通常制御とは、エネルギー単価を含む指標は考慮せず、例えば設定温度および湿度などに関する目標値と現在値の乖離の程度に基づいて、空調機40,40・・・を制御する運転状態をいう。
【0051】
許容最大運転能力(%)とは、空調機40,40・・・(より正確には、主として圧縮機)のエネルギー調整制御時に許容される最大の運転能力を示し、定格能力に対する百分率で表す。エネルギー調整制御中は、それ以上の能力で運転することはできない。
【0052】
強度とは、エネルギー消費量抑制の強度を示す。例えば、許容最大運転能力を60%に抑制するエネルギー調整制御と、許容最大運転能力を80%に抑制するエネルギー調整制御では、許容最大運転能力を60%に抑制するエネルギー調整制御の方が強度は強い。
【0053】
なお、強度記憶領域35bに記憶されている値は、予め強度記憶領域35bに記憶されている固定値であってもよいし、入力部33からユーザが入力することで更新可能なものであってもよい。また、例えば運転状況記憶領域35aに記憶された過去の運転状況、予想される使用電力量、予想されるエネルギー価格、環境条件、設備の稼働状況、および各時間帯の長さなどを基に、適宜数値が自動的に更新されてもよい。なお、過去の運転状況とは、例えば、過去の室温、湿度、照度、および換気量などである。環境条件とは、例えば、天候、外気温、および明るさなどである。設備の稼動状態とは、例えば設備のON/OFFおよびエネルギー消費量などである。
【0054】
(2−2−5−3)単価記憶領域35c
単価記憶領域35cには、通信部31によって受け付けられた、電力会社の管理装置10,10から配信された時間帯別の単価情報が記憶される。また、単価情報と併せて、単価情報を配信した電力会社名も配信されるため、複数の電力会社から単価情報を受け付ける場合にも、どの電力会社から配信を受けた単価であるか判別可能に記憶される。
【0055】
(2−2−5−4)時間帯記憶領域35d
時間帯記憶領域35dには、後述する第1決定部36bおよび第2決定部36cによって決定された第1から第3時間帯の開始時刻および終了時刻が記憶される。
【0056】
(2−2−5−5)制御情報記憶領域35e
制御情報記憶領域35eには、エネルギー調整制御の実行時間と内容に関する情報が記憶される。
【0057】
エネルギー調整制御の実行時間に関する情報としては、例えば、実行済みのエネルギー調整制御の開始時刻と終了時刻が記憶される。エネルギー調整制御の内容に関する情報としては、例えば、第1から第3までの時間帯の種類、時間帯の種類に対応する強度記憶領域35bに記憶された許容最大運転能力、および各時間帯の開始時刻から終了時刻までの間に実際に消費されたエネルギー消費量などが記憶される。図5に、制御情報記憶領域35eに記憶される情報の例を示す。
【0058】
(2−2−5−6)最安単価記憶領域35f
最安単価記憶領域35fには、後述する第1決定部36bによって作成された最安値の単価情報が記憶される。図6は記憶される情報の例である。時間帯別の最安単価(最安値のエネルギー単価)のほか、最安単価を提示した電力会社名も記憶される。なお、物件Aがエネルギーの供給を受ける電力会社が1社しかない場合には、その電力会社1が提供する単価情報がそのまま最安単価記憶領域35fに記憶される。
【0059】
(2−2−5−7)予測量記憶領域35g
予測量記憶領域35gには、予測部36fによって予測された、所定期間(本実施形態では、1日)の所定時間毎(本実施形態では、1時間毎)の予測エネルギー消費量が記憶される。図7に予測エネルギー消費量の情報の例を示す。
【0060】
(2−2−5−8)予測価格記憶領域35h
予測価格記憶領域35hには、後述する第1決定部36bによって作成された所定時間毎(本実施形態では、1時間毎)の予測エネルギー価格の情報が記憶される。図8に予測エネルギー価格の情報の例を示す。
【0061】
(2−2−6)制御部36
制御部36は、主としてCPU、ROMおよびRAMから構成されている。制御部36は、上述の記億部35に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、図3に示すように、主として、運転状況把握部36a、第1決定部36b、第2決定部36c、調整制御部36d、供給会社指示部36eおよび予測部36fとして機能する。
【0062】
(2−2−6−1)運転状況把握部36a
運転状況把握部36aは、空調機40,40・・・の状況と、電力メーター7によって計測されたエネルギー消費量を空調機40,40・・・の運転状況として取得する。なお、空調機40,40・・・の状況には、例えば、空調機のON/OFF、運転モード(冷房モード/暖房モード)、吸込み温度、設定温度、稼働時間、稼働率、および稼動時の運転能力(%)が含まれる。運転状況把握部36aは、空調機40,40・・・の状況およびエネルギー消費量を、時間管理部34から時刻の提示を受けて、所定時間間隔(本実施形態では、5分間隔)で空調機40,40・・・および電力メーター7と通信することにより取得する。運転状況把握部36aによって取得された値は、上述の運転状況記憶領域35aに記憶される。
【0063】
(2−2−6−2)第1決定部36b
第1決定部36bは、主に第1時間帯の決定と、予測エネルギー価格の計算の2つの処理を実行する。
【0064】
第1時間帯は、以下のようにして決定される。
【0065】
第1決定部36bは、通信部31が受け付けた1または複数の時間帯別の単価情報から作成された最安単価情報を基に、所定期間(本実施形態では、1日)の中でエネルギー単価の要素を含む指標がピークを迎える時間帯を第1時間帯として決定する。
【0066】
なお、最安単価情報は、以下のように第1決定部36bにより決定され、最安単価記憶領域35fに記憶される情報である。
【0067】
同じ時間帯に複数の単価情報が存在する場合には、第1決定部36bは、各電力会社のエネルギー単価を比較し、図9のように時間帯別の最安単価(最安値のエネルギー単価)を決定する。なお、複数の電力会社が同一のエネルギー単価を提示した時間帯については、例えば、いずれの電力会社を選択するのか予め定めておく、もしくは、その前の時間帯に最安値の単価を提示した会社を連続して選択するなどの方法により定める。電力会社が1社しかない場合には、提供される単価情報が、そのまま最安単価情報と決定される。決定された時間帯別の最安単価情報は、図6のように、最安単価を提供する電力会社の名前とともに、最安単価記憶領域35fに記憶される。
【0068】
所定期間の中でエネルギー単価の要素を含む指標がピークを迎える時間帯とは、例えば、エネルギー単価が所定期間内で最大となる時間帯のうち1の時間帯をさす。
【0069】
ただし、エネルギー単価の要素を含む指標は、エネルギー単価そのものに限定されるものではない。
【0070】
また、ピークを迎える時間帯とは、エネルギー単価の要素を含む指標が最大となる時間帯に限定されない。例えば、ピークを迎える時間帯は、エネルギー単価が所定値を超過するという条件によって定まる時間帯であってもよいし、エネルギー単価が最大となる1以上の時間帯を含む所定長さ(例えば3時間)の時間帯であるとしてもよい。
【0071】
以下に、エネルギー単価が所定期間内で最大となる時間帯の1つを第1時間帯とする場合を例に、第1時間帯の決定方法を具体的に説明する。ここでは、電力会社は複数存在すると仮定する。
【0072】
まず、第1決定部36bは、例えば午前9時00分に、単価記憶領域35cに複数存在する、当日の午前9時から翌日の午前9時までのエネルギーの単価情報を読み出す。そして、時間帯別に各電力会社のエネルギー単価を比較し、図9のように時間帯別の最安単価を決定する。決定された最安単価情報は、例えば図6のような形式で、最安単価記憶領域35fに記憶される。
【0073】
その上で、第1決定部36bは、最安単価記憶領域35fに記憶された情報を基に、所定期間の中で単価が最大となる時間帯の1つを第1時間帯として決定する。例えば、図6の例では、所定期間(当日午前9時から翌日午前9時までの期間)の中で、当日の13時から16時までがエネルギー単価が最大となる唯一の時間帯なので、第1決定部36bは、当日の13時から16時を第1時間帯と決定する。なお、このようにして第1時間帯を決定した時に、第1時間帯が所定期間の開始時刻(本事例では当日午前9時)から始まる場合には、一定時間(例えば2時間)、開始時刻を遅らせるように第1時間帯を決定する。このようにすることで、必ず最も抑制の強度が弱くなる時間帯(第2時間帯)が確保され、第1時間帯の快適性が維持され易くなる。
【0074】
次に、第1決定部36bで実施される、予測エネルギー価格の計算の処理について説明する。
【0075】
第1決定部36bは、最安単価記憶領域35fに記憶された単価情報と、後述する予測部36fが予測するエネルギー消費量の乗積を算出する。具体的な処理として、第1決定部36bは、最安単価記憶領域35fに記憶された単価情報と、予測量記憶領域35gに記憶された予測エネルギー消費量の情報とを読み出し、時間別に乗積を算出する。
【0076】
より具体的には、図6の単価情報が最安単価記憶領域35fに記憶されており、図7の予測エネルギー消費量が予測量記憶領域35gに記憶されていた場合、時間別にエネルギー単価とエネルギー消費量の掛け算が実行され、図8のような予測エネルギー価格の表が作成される。作成された情報は、予測価格記憶領域35hに記憶される。
【0077】
このようにして算出された予測エネルギー価格が出力部32に出力されることで、ユーザは事前に予測エネルギー価格を知ることが可能となる。
【0078】
また、予測エネルギー価格は、第1決定部36bが第1時間帯を決定する際の、エネルギー単価の要素を含む指標として使用されてもよい。具体的には、図8のように予測エネルギー価格が算出された場合、例えば、予測エネルギー価格が最大となる13時から15時までが、第1時間帯と決定される。
【0079】
(2−2−6−3)第2決定部36c
第2決定部36cは、所定期間の中で、第1時間帯より前の時間を第2時間帯、第1時間帯より後の時間を第3時間帯として決定する。
【0080】
例えば、所定期間が当日午前9時から翌日の午前9時までで、第1時間帯が当日の13時から16時であったとした場合、第2時間帯は当日の9時から13時まで、第3時間帯は当日の16時から翌日の9時までと決定される。
【0081】
(2−2−6−4)調整制御部36d
調整制御部36dは、時間管理部34の現在時刻と、時間帯記憶領域35cに保管された第1から第3の時間帯の開始時刻および終了時刻とをもとに、現在、第1から第3時間帯のいずれの時間帯にあるのかを判別する。そして、調整制御部36dは、判別した時間帯の終了時刻まで、強度記憶領域35bに記憶された許容最大運転能力を使用してエネルギー調整制御を実行する。なお、強度記憶領域35bには、エネルギー調整制御の強度が第1時間帯≧第3時間帯>第2時間帯となるような条件が記憶されている。
【0082】
より、具体的には、調整制御部36dは以下のように機能する。
【0083】
例えば、時間管理部34の現在時刻が13時00分で、図10の情報が時間帯記憶領域35cに記憶されていた場合、図10を読み出した調整制御部36dは、現在第1時間帯にあると判別する。そして、強度記憶領域35bに図4の情報が記憶されていた場合、調整制御部36dは許容最大運転能力40%でエネルギー調整制御を実行する。そして、調整制御部36dは、第1時間帯の終了時刻16時00分までこのエネルギー調整制御を継続する。16時00分を経過すると、調整制御部36dは、再び時間帯の判別を実行し、以下同様に繰り返す。
【0084】
(2−2−6−5)供給会社指示部36e
供給会社指示部36eは、最安単価記憶領域35fに記憶されたデータを基に、時間別に最安値の電力供給会社から電力を購入するよう配電盤(図示されない)に指示を与える。
【0085】
(2−2−6−6)予測部36f
予測部36fは、所定期間(本実施形態では、1日)のエネルギー消費量を予測する。本実施形態では、予測されるエネルギー消費量として、過去のエネルギー消費量をそのまま利用する。予測されたエネルギー消費量は、予測量記憶領域35gに記憶される。
【0086】
具体的には、本実施形態では、前日の9時から当日の9時までの1時間毎のエネルギー消費量の情報を、当日9時から翌日9時までの1時間毎の予測エネルギー消費量としてそのまま利用する。図7は、作成される予測エネルギー消費量の情報の例である。なお、図7は、1時間毎の予測エネルギー消費量の情報であるが、より短い時間間隔、もしくは、より長い時間間隔でエネルギー消費量を予測してもよい。
【0087】
なお、エネルギー消費量の予測方法は、上記の方法に限定されるものではない。例えば、過去1週間のエネルギー消費量から統計的に時間別のエネルギー消費量を算出してもよい。また、過去の情報に代えて又は加えて、例えば、当日の気象予報等のデータに基づいてエネルギー消費量を予測するものであってもよい。
【0088】
(3)エネルギー管理システム100で行われる制御処理について
図11は、制御装置30における時間帯の種類の決定処理の流れを示すフローチャートである。図12は、制御装置30におけるエネルギー調整制御の処理の流れを示すフローチャートである。図11および図12に示す処理は、それぞれ独立している。以下、図11および図12を用いて、空調機40,40・・・を制御する制御装置30における処理の流れを説明する。
【0089】
まず、図11について説明する。
【0090】
ステップS101は、本実施形態では、毎日午前9時00分に実施される。ステップS101では、第1決定部36bが単価記憶領域35cから、当日午前9時から翌日午前9時の単価情報を読み出す。
【0091】
なお、単価情報は、1または複数の電力会社S,Tの管理装置10,10から、物件Aの制御装置30に対し、所定時間間隔(本実施形態では1日間隔)で配信される。本実施形態では、午前7時に、当日午前9時から翌日午前9時の単価情報が配信される。配信された単価情報は単価記憶領域35cに記憶される。
【0092】
ステップS102では、第1決定部36bは、ステップS101で読み出されたエネルギー単価情報に基づき、図9のように各電力会社のエネルギー単価を時間帯別に比較し、時間帯別の最安単価を決定する。電力会社が1社しかない場合には、配信された単価情報がそのまま最安単価情報として決定される。時間帯別の最安単価は、最安単価を提示した電力会社名と共に最安単価記憶領域35fに記憶される。
【0093】
ステップS103では、予測部36fが運転状況記憶領域35aから過去のエネルギー消費量を読み出し、所定期間(本実施形態では当日午前9時から翌日午前9時)の時間別のエネルギー消費量の予測を実行する。予測されたエネルギー消費量は、予測量記憶領域35gに記憶される。
【0094】
ステップS104では、第1決定部36bは、最安単価記憶領域35fの最安単価情報と、予測量記憶領域35gの予測エネルギー消費量との情報を使用して、時間毎の単価と予測エネルギー消費量の積を求める。その結果、例えば、図8のような1時間毎の予測エネルギー価格の表が作成される。予測エネルギー価格の表は予測価格記憶領域35hに記憶される。
【0095】
ステップS105では、所定期間(第1期間)である当日午前9時から翌日午前9時の中で、エネルギー単価のピーク時間帯である第1時間帯を第1決定部36bが決定する。決定には、最安単価記憶領域35fに記憶された最安単価情報が使用される。決定された第1時間帯の開始時刻および終了時刻は、時間帯記憶領域35dに記憶される。また、ステップS105では、エネルギー単価に代えて、予測価格記憶領域35hに記憶された予測エネルギー価格を第1時間帯の決定に使用してもよい。なお、エネルギー単価で候補時間帯を決定する場合、ステップS103およびステップS104は、時間帯の決定処理には不要である。
【0096】
ステップS106では、第2決定部36cが、所定期間の中で第1時間帯より前の第2時間帯と、第1時間帯より後の第3時間帯とを決定する。決定された第2および第3時間帯の開始時刻と終了時刻は、時間帯記憶領域35dに記憶される。
【0097】
次に、図12について説明する。
【0098】
ステップS111では、調整制御部36dは、時間管理部34の提示する現在時刻と、時間帯記憶領域35dに記憶された情報とを使用して、現在第1から第3のいずれの種類の時間帯にあるのかを判別する。
【0099】
例えば、時間管理部34の現在時刻が13時00分で、図10の情報が時間帯記憶領域35cに記憶されていた場合、図10の情報を読み出した調整制御部36dは、現在第1時間帯にあると判別する。
【0100】
ステップS112では、調整制御部36dは、ステップS111で判別された種類の時間帯に対応する許容最大運転能力を強度記憶領域35bから呼び出し、その条件に則ったエネルギー調整制御を開始する。この時、ステップS111で判別された時間帯の種類と、時間帯の種類に対応する許容最大運転能力と、エネルギー調整制御の開始時刻とは、制御情報記憶領域35eに記憶される。
【0101】
例えば、現在13時00分であり、強度記憶領域35bに図4の情報が記憶されていたとすると、調整制御部36dは許容最大運転能力40%でエネルギー調整制御を開始する。この時、調整制御部36dに判別された時間帯は第1時間帯であったという情報、許容最大運転能力40%という値、およびエネルギー調整制御の開始時刻13時00分は制御情報記憶領域35eに記憶される。
【0102】
ステップS113では、調整制御部36dは、時間管理部34の現在時刻を使用して、現在のエネルギー調整制御を継続すべきか否かを判別する。
【0103】
具体的には、調整制御部36dは、時間管理部34の現在時刻と、時間帯記憶領域35dに記憶されているステップS111で判別された時間帯の終了時刻とを比較する。現在時刻が終了時刻を経過していた場合にはステップS114に進み、経過していない場合には、経過するまでステップS113を繰り返す。
【0104】
ステップS114では、調整制御部36dは、現在のエネルギー調整制御を終了する。具体的には、調整制御部36dは、空調機40,40・・・に対し、許容運転最大能力の設定を解除するよう命令する。また、エネルギー調整制御の終了時刻と、エネルギー調整制御の内容に関する情報、例えば、ステップS111からステップS114までの一連の時間に実際に消費されたエネルギー消費量とは、制御情報記憶領域35eに記憶される。なお、実際に消費されたエネルギー消費量は、運転状況記憶領域35aに記憶されたデータに基づき記憶される。制御情報記憶領域35eへの情報の記憶後は、ステップS111に戻る。
【0105】
(4)特徴
(4−1)
本実施形態では、設備機器を制御する制御装置30は、通信部31、第1決定部36b、第2決定部36cおよび調整制御部36dを備える。通信部31は、設備機器が供給を受けるエネルギーの時間帯別の単価情報を受け付ける。第1決定部36bは、単価情報に基づいて、第1期間の中でエネルギー単価の要素を含む指標がピークを迎える時間帯である第1時間帯を決定する。第2決定部36cは、第1期間の中で、第1時間帯より前の時間帯である第2時間帯と、第1時間帯より後の時間帯である第3時間帯とを決定する。調整制御部36dは、設備機器のエネルギー消費量の抑制の強度が、前記第1時間帯に、第2時間帯および第3時間帯よりも強くなるように、エネルギー消費量を調整するエネルギー調整制御を実行する。
【0106】
ここでは、所定の第1期間は、少なくとも第1時間帯(エネルギーの単価の要素を含む指標がピークを迎える時間帯)、第2時間帯(第1時間帯より前の時間帯)、および第3時間帯(第1時間帯より後の時間帯)の3種類の時間帯に分類される。この3種類の時間帯の中で第1時間帯に最も強くエネルギー消費量が抑制される。第2時間帯および第3時間帯には第1時間帯ほど強くエネルギー消費量が抑制されないので、第1時間帯にエネルギー消費量を強く抑制しても、快適性は損なわれにくい。
【0107】
(4−2)
本実施形態では、調整制御部36dは、設備機器のエネルギー消費量の抑制の強度が、前記第3時間帯では前記第1時間帯以下となり、前記第2時間帯では前記第3時間帯よりも小さくなるように、前記エネルギー消費量を調整するエネルギー調整制御を実行する。
【0108】
第2時間帯には、3種類の時間帯の中で最も弱くエネルギー消費量が抑制されるため、第1時間帯を迎えた際にある程度快適性が維持されている可能性が高い。その結果、第1時間帯に、エネルギー消費量を強く抑制しても、快適性は損なわれにくい。さらに、第3時間帯は、第1時間帯以下の強度でエネルギー調整制御を実行するため、ユーザの快適性の度合いに応じて柔軟なエネルギー調整制御が実現される。
【0109】
(4−3)
本実施形態では、予測部36fがエネルギー消費量を予測する。第1決定部36bは、予測されるエネルギー消費量とエネルギー単価の積を、第1時間帯を決定する指標として使用することもできる。
【0110】
これにより、予測されるエネルギー消費量とエネルギー単価との積により算出される指標、すなわち予測されるエネルギー価格、がピークを迎える時間が第1時間帯として決定される。そのため、最もエネルギー価格が高くなると予測される時間帯に、強いエネルギー調整制御が実行される。
【0111】
(4−4)
本実施形態では、通信部31は、複数の電力会社から同時間帯について単価情報を受け付け、第1決定部36bは、同時間帯についての複数の単価情報に基づいて、時間帯別の最安値のエネルギー単価を判断する。その結果作成された時間帯別の最安値のエネルギー単価に基づいて、第1決定部36bは第1時間帯を決定する。
【0112】
ここでは、最安値の電力供給会社を選択することで、最も経済効率の高い施設運営が実現される。
【0113】
(5)変形例
(5−1)変形例1A
エネルギー供給会社の管理装置10からの単価情報の配信の態様は、上述したものに限られない。例えば、電話通信回線を通じて単価情報がFAX配信される態様であってもよい。この場合、制御装置30は、ユーザが入力部33を介して入力したFAXに記載の単価情報を受け付ける。
【0114】
(5−2)変形例1B
強度記憶領域35bは、時間帯の種類別の許容最大運転能力に代えて又は加えて、許容されるエネルギー消費量の最大値、エネルギー調整量、空調機40,40・・・の稼働台数などの値であってもよい。強度記憶領域35bに記憶される情報の例を、図13(a)から(c)に示す。
【0115】
(5−3)変形例1C
調整制御部36dは、明らかに快適性が確保できない可能性が高い場合には、選択されたエネルギー調整制御を実行しなくてもよい。例えば、現在、温度もしくは湿度の実測値が設定値に到達しておらず、予め定めた以上に乖離している場合には、エネルギー調整制御を実行しなくてもよい。その他、例えば運転開始後一定時間は、エネルギー調整制御の指令を実行しないようにしてもよい。
【0116】
(5−4)変形例1D
第2時間帯にはエネルギー調整制御を実行しないとしてもよい。すなわち、第2時間帯の許容最大運転能力を100%としてもよい。第2時間帯にエネルギー調整制御を実行しないことで、更に第1時間帯のユーザの快適性が保持され易くなる。
【0117】
(5−5)変形例1E
第1決定部36bは、所定時間の中で複数の第1時間帯を決定してもかまわない。この時、第2決定部36cも、複数の第2時間帯および第3時間を決定する。
【0118】
具体的には、例えば、所定時間の中でエネルギー単価が最大となる時間帯がn個存在する場合に、第1決定部36bはn個のエネルギー単価が最大となる時間帯それぞれを第1時間帯と決定する。次に、第2決定部は、1番目の第1時間帯より前の時間を第2時間帯と決定し、n番目の第1時間帯より後の時間を第3時間帯と決定する。その後、一番初めの第1時間帯と二番目の第1時間帯の間の時間を等分に分割し、前半を第3時間帯、後半を第2時間帯と決定する。さらに、二番目の第1時間帯と三番目の第1時間帯の間の時間帯についても、同様に第3時間帯と第2時間帯を決定する。同様の決定を合計(n−1)回繰り返す。
【0119】
第1から第3時間帯を複数設けることで、エネルギー消費量の抑制とユーザの快適性のバランス維持がよりきめ細かく実行される。
【0120】
なお、2つの第1時間帯の間の第3時間帯と第2時間帯の決定方法は、上記に限られたものではない。例えば、2つの第1時間帯の間でエネルギー単価が最低となる時間までを第3時間帯とし、その後を第2時間帯としてもよい。
【0121】
(5−6)変形例1F
本実施形態では、所定期間(1日)の全てを、第1から第3のいずれかの時間帯に区分しているが、所定期間(1日)の一部を第1から第3のいずれかの時間帯に区分してもよい。
【0122】
例えば、所定期間の中で、エネルギー単価が最大となる時間帯を第1時間帯と決定し、第1時間帯の直前の2時間を第2時間帯と決定し、第1時間帯の直後の2時間を第3時間帯と決定してもよい。
【0123】
(5−7)変形例1G
空調機40,40・・・は設備機器の例示であり、例えば、照明、ファンが制御装置30の制御対象であってもよい。これにより、幅広い設備に対して本制御装置を適用することが可能である。
【0124】
(5−7)変形例1H
制御装置30は、物件の設備機器全体をエネルギー調整制御の対象とするものである必要はなく、その一部についてエネルギー調整制御を実行するものであってもよい。また、例えば、設備機器の種類別や、物件のフロア別に、それぞれエネルギー調整制御を実行するものであってもよい。
【0125】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係るエネルギー管理システム200について説明する(図14参照)。第2実施形態に係るエネルギー管理システム200は、制御装置230,230の構成を除き、第1実施形態に係るエネルギー管理システム100と同様である。したがって、第1実施形態との差異である、制御装置230の構成と、エネルギー管理システム200で行われる制御処理について説明する。
【0126】
(1)各部の構成
(1−1)制御装置230の構成
図15に、制御装置230の概略構成図を示す。以下、物件Aに設置された制御装置230について説明するが、物件Bに設置された制御装置230についても同様の構成である。
【0127】
制御装置230は、通信部231、出力部232、入力部233、時間管理部234、記憶部235、および制御部236を備える。ここで、通信部231、時間管理部234は、それぞれ第1実施形態に係る通信部31、時間管理部34と同様の構成である。したがって、以下、出力部232、入力部233、記憶部235および制御部236について説明する。
【0128】
(1−1−1)出力部232
出力部232は、主として、ディスプレイから構成されている。出力部232には、第1実施形態の出力部32と同様に、空調機40,40,・・・の運転態様(例えば、空調機のON/OFF、運転モード(冷房モード/暖房モード)、風向き、風量、吸込み温度、および設定温度)を示す画面が表示される。また、後述するエネルギー算出部236gにより複数の条件に従って算出された複数のエネルギー調整可能量が表示される。更に、予測量記憶領域235gおよび予測価格記憶領域235hに記憶された予測エネルギー消費量および予測エネルギー価格、および/または、運転状況記憶領域235eに記憶された各時間帯別の実際のエネルギー消費量が表示される。
【0129】
(1−1−2)入力部233
入力部233は、主として、操作ボタンおよび上記ディスプレイを覆うタッチパネルから構成されている。第1実施形態の入力部33と同様に、空調機40,40・・・の発停信号、設定温度の変更、運転モードの変更など、空調機40,40・・・に対するユーザからの各種指令が入力される。また、入力部233は、選択基準の入力を、ユーザから受け付ける。なお、選択基準とは、エネルギー調整制御の内容を決定する1の条件を、調整制御部236dが複数の選択肢から決定するための基準となる。すなわち、調整制御部236dは、ユーザが入力した選択基準に基づいて、エネルギー調整制御の内容を決定する複数の条件の中から、実際に実行するエネルギー調整制御に対応する1の条件を決定する。
【0130】
(1−1−3)記憶部235
記憶部235は、主として、ハードディスクから構成されている。記憶部235には、後述する制御部236が読み出して実行可能なプログラムが記憶されている。また、記憶部235は、主として、運転状況記憶領域235a、強度記憶領域235b、単価記憶領域235c、時間帯記憶領域235d、制御情報記憶領域235e、最安単価記憶領域235f、予測量記憶領域235g、予測価格記憶領域235h、および選択条件記憶領域235iを有する。領域235a,235c,235d,235e,235f,235g,235hは、それぞれ第1実施形態の領域35a,35c,35d,35e,35f,35g,35hと同様の構成である。したがって、以下強度記憶領域235b、選択条件記憶領域235iについて説明する。
【0131】
(1−1−3−1)強度記憶領域235b
第2実施形態では、強度記憶領域235bに、時間帯の種類(第1から第3時間帯)の別に加え、複数の条件別にエネルギー調整制御の強度が記憶される。より具体的には、本実施形態では、複数の条件としてエネルギー調整制御の抑制の程度(例えば、弱、中、強の三段階)を設定し、条件別かつ時間帯の種類別にエネルギー調整制御の強度が定められている。図16に強度記憶領域235bに記憶されている複数の条件別のエネルギー調整制御の強度の例を示す。
【0132】
なお、他の実施形態では、条件であるエネルギー調整制御の抑制の程度の段階は、三段階である必要はない。また、条件は、エネルギー調整制御の抑制の程度の段階には限られず、例えば、ユーザの快適性の段階(例えば、きわめて快適、快適、やや快適など)などであってもよい。また、強度記憶領域235bに記憶されている値は、予め強度記憶領域235bに記憶されている固定値であってもよいし、入力部233からユーザが入力することで更新可能なものであってもよい。また、例えば、過去の運転状況、予想される使用電力量、予想されるエネルギー価格、環境条件、設備の稼働状況、、および各時間帯の長さなどを基に、適宜数値が更新されるものであってもよい。なお、過去の運転状況とは、例えば、過去の室温、湿度、照度、および換気量などである。環境条件とは、例えば、天候、外気温、および明るさなどである。設備の稼動状態とは、例えば設備のON/OFFおよびエネルギー消費量などである。
【0133】
(1−1−3−2)選択条件記憶領域235i
選択条件記憶領域235iは、後述するよう調整制御部236dが決定した1の条件と共に、決定した条件に対応する第1から第3時間帯の許容最大運転能力を記憶する。
【0134】
(1−1−4)制御部236
制御部236は、主としてCPU、ROMおよびRAMから構成されている。制御部236は、上述の記憶部235に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、図15に示すように、主として、運転状況把握部236a、第1決定部236b、第2決定部236c、調整制御部236d、供給会社指示部236e、予測部236fおよびエネルギー算出部236gとして機能する。
【0135】
236a、236b、236c、236eおよび236fは、それぞれ36a、36b、36c、36eおよび36fと同様の構成である。したがって、以下調整制御部236dおよびエネルギー算出部236gについて説明する。
【0136】
(1−1−4−1)調整制御部236d
調整制御部236dは、強度記憶領域235bの複数の条件、本実施形態では、エネルギー調整制御の抑制の程度の段階から、エネルギー調整制御の1の条件を決定する。また、調整制御部236dは、時間管理部234の現在時刻と、時間帯記憶領域235cに保管された第1から第3時間帯の開始時刻および終了時刻とを基に、現在、第1から第3時間帯のいずれの時間帯にあるのかを判別し、自ら選択した1の条件に応じてエネルギー調整制御を実行する。
【0137】
エネルギー調整制御の1の条件の決定は、具体的には以下のように実施される。
【0138】
まず、後述するエネルギー算出部236gにより条件に従って算出されたエネルギー調整可能量が、午前9時頃に出力部232に出力される。ユーザはこの出力を見て、エネルギー調整制御の強度の段階(例えば、弱、中、強の三段階)の中からエネルギー調整制御の条件に対応する1の段階を選択し、入力部233に入力する。調整制御部236dは、この入力を選択基準として、1の条件を決定する。
【0139】
その後、調整制御部236dが決定した条件と、決定した条件に対応する強度記憶領域235bに記憶された第1から第3時間帯の許容最大運転能力の情報は、選択条件記憶領域235iに記憶される。例えば、強度記憶領域235bに図16の情報が記憶されており、三段階の中から「中」をユーザが入力部233に入力したとすれば、第1時間帯の許容最大運転能力は20%、第2時間帯の許容最大運転能力は60%、第3時間帯の許容最大運転能力は40%と選択条件記憶領域235iに記憶される。
【0140】
なお、調整制御部236dが条件を決定する方法は、上記の方法に限定されない。例えば、ユーザが選択基準を毎日入力する代わりに、一度入力された選択基準が繰り返し条件の決定に使用されてもよい。また、調整制御部236dは、ユーザの選択基準の入力に代えて、または加えて、例えば以下のような方法で、1の条件を決定してもよい。例えば、算出されたエネルギー調整可能量が所定の値の範囲内に収まるような1の条件が、調整制御部236dにより自動的に決定されてもよい。また、例えば、運転状況記憶領域235aに記憶された過去の運転状況や制御情報記憶領域235eに記憶された過去のエネルギー調整制御に関する情報、予想される使用電力量、予想されるエネルギー価格、環境条件、設備の稼働状況、および各時間帯の長さなどを考慮して1の条件を決定してもよい。
【0141】
次に、調整制御部236dが実行するエネルギー調整制御の方法について、具体的に説明する。
【0142】
調整制御部236dは、時間管理部234の現在時刻と、時間帯記憶領域235cに保管された第1から第3時間帯の開始時刻および終了時刻とをもとに、現在、第1から第3時間帯のいずれの種類の時間帯にあるのかを判別する。そして、調整制御部236dは、判別した時間帯の終了時刻まで、選択条件記憶領域235iに記憶された許容最大運転能力を使用してエネルギー調整制御を実行する。なお、選択条件記憶領域235iには、エネルギー調整制御の強度が第1時間帯≧第3時間帯>第2時間帯となるような条件が記憶されている。
【0143】
(1−1−4−2)エネルギー算出部236g
エネルギー算出部236gは、予測量記憶領域235gと、強度記憶領域235bとに記憶された情報を使用して、エネルギー調整制御を実行した場合のエネルギー調整可能量を条件に従って算出する。エネルギー算出部236gによる算出は、本実施形態では9時ごろ、予測部36fによる予測エネルギー消費量の算出後に実施される。
【0144】
具体的に、1日分(午前9時から翌日午前9時)のエネルギー調整可能量の算出方法について説明する。
【0145】
まず、午前9時から午前10時のエネルギー調整可能量の算出について説明する。
【0146】
エネルギー算出部236gは、午前9時から午前10時までの予測エネルギー消費量を予測量記憶領域235gから呼び出す。予測エネルギー消費量は、前述のとおり、同時間帯の前日の実績である。
【0147】
他方で、エネルギー算出部236gは、午前9時から午前10時が、第1から第3時間帯のいずれの時間帯に該当するか、時間帯記憶領域235dに記憶された情報から判断する。更に、判断した時間帯の種類に対応する許容最大運転能力を強度記憶領域235bから呼び出し、その許容最大運転能力で1時間運転をした場合の、最大エネルギー消費量を条件に従って算出する。
【0148】
最後に、予測エネルギー消費量から最大エネルギー消費量を減じ、午前9時から午前10時のエネルギー調整可能量を条件に従って算出する。
【0149】
例えば、午前9時から午前10時の、定格電力100kWの空調機40,40・・・(主として圧縮機)の予測エネルギー消費量が、90kWhであると予測量記憶領域235gに記憶されていたとする。また、時間帯記憶領域235dには、午前9時から午前10時までの時間帯は第2時間帯と記憶されていたとする。この時、強度記憶領域235bに図16の情報が記憶されていたとすれば、条件別(エネルギー調整制御の強度の程度の段階弱・中・強の別)に、第2時間帯の許容最大運転能力が80%、60%、40%と定められていることになる。そのため、条件に従って1時間運転した場合の最大エネルギー消費量は、弱・中・強の条件に対して、80kWh、60kWh、40kWhである。そこで、予測エネルギー消費量90kWhからそれぞれの最大エネルギー消費量を減じると、図17のように、この1時間のエネルギー調整可能量は、10kWh、30kWh、50kWhと条件に従って算出される。
【0150】
同様の算出を、10時から11時、11時から12時と、翌日午前9時の分まで繰り返して実行する。そして、算出された差の値を条件別に積算して、条件に従ったエネルギー調整可能量として算出する。
【0151】
(2)エネルギー管理システム200で行われる制御処理について
図18は、エネルギー調整可能量の算出処理および条件決定の流れを示すフローチャートである。図19は、空調機40,40・・・を制御する制御装置230におけるエネルギー調整制御の処理の流れを示すフローチャートである。以下、図18および図19を用いて、制御装置230における処理の流れを説明する。なお、時間帯の種類の決定の流れを示すフローチャートは、第1実施形態の図11と同様であるので、説明は省略する。
【0152】
まず、図18を説明する。
【0153】
ステップS221は、本実施形態では午前9時ごろ、図11のフローチャートによる時間帯の決定処理後に実行される。なお、エネルギー調整可能量の算出には、後述するようにエネルギー予想量が使用されるので、ステップS103は必須のステップである。ステップS221では、エネルギー算出部236gは、予測量記憶領域235gから、1時間分(本実施形態では、初めは、午前9時から午前10時までの1時間)の予測エネルギー消費量のデータを読み出す。
【0154】
ステップS222では、ステップS221で予測エネルギー消費量を読み出す対象となった時間帯が、第1から第3時間帯のいずれの時間帯に当たるかを判別する。具体的には、エネルギー算出部236gが、時間帯記憶領域235dを参照し、ステップS221で情報を読み出した時間帯(例えば、午前9時から10時まで)が、第1から第3時間帯のいずれの時間帯の種類に当たるかを判別する。
【0155】
ステップS223では、エネルギー算出部236gが、強度記憶領域235bから,ステップS222で判別した時間帯の種類に対応する許容最大運転能力を読み出し、許容最大運転能力で1時間連続して運転した場合の、最大エネルギー消費量を条件に従って算出する。
【0156】
ステップS224では、ステップS221で読み出された予測エネルギー消費量から、ステップS223で算出された最大エネルギー消費量を減算する。
【0157】
ステップS225では、ステップS224の計算結果を、条件別に設けた変数Sn(条件が三種類あれば、S1、S2およびS3)に加算する。
【0158】
ステップS226では、既に1日分(24回)の計算が実行されたかを判別する。まだ1日分の処理が実施されていない場合には、再びS221に戻り、次の1時間(例えば、午前9時から午前10時の処理が終了した場合には、午前10時から午前11時)について、ステップS221からS225の処理を繰り返す。1日分の処理が終了した場合には、ステップS227に進む。
【0159】
ステップS227では、エネルギー算出部236gが条件に従って算出された変数Snが、エネルギー調整可能量として出力部232に出力される。
【0160】
ステップS228では、調整制御部236dがエネルギー調整可能量の算出に使用した複数の条件の中から1の条件を決定する。本実施形態では、ステップS227の出力を基にユーザが1の条件そのものを選択基準として選択し、入力部233に入力し、その入力どおりに調整制御部236dが1の条件を決定する。1の条件の決定後は、Snの値はリセットされる。
【0161】
なお、本実施形態では、ユーザが条件の決定を直接行っているが、他の実施形態では、ユーザが間接的な選択基準を入力部233に入力してもよい。例えば、ユーザは快適性重視もしくは省エネ重視などのエネルギー調整制御の傾向を選択基準として入力部233に入力してもよいし、例えばエネルギー調整可能量が満たすべき数値条件を入力部233に入力しても良い。また、ユーザは毎日選択基準を入力する必要はなく、一度入力した選択基準に則って調整制御部236dが繰り返し条件を決定しても良い。
【0162】
なお、エネルギー算出部236gにより決定された条件と、決定された条件に対応する第1から第3時間帯の許容最大運転能力は、選択条件記憶領域235iに記憶される。
【0163】
次に、図19について説明する。
【0164】
ステップS211、S213およびS214については、それぞれステップS111、S113およびS114と同じであるため、ステップS212についてのみ説明する。
【0165】
ステップS212では、調整制御部236dは、ステップS211で判別された時間帯に対応する許容最大運転能力を選択条件記憶領域235iから呼び出し、その条件に則ったエネルギー調整制御を開始する。この時、ステップS211で判別された時間帯の種類と、時間帯の種類に対応する許容最大運転能力と、エネルギー調整制御の開始時刻とは、制御情報記憶領域235eに記憶される。
【0166】
(3)特徴
(3−1)
本実施形態では、条件に従ってエネルギー調整制御を実行した場合のエネルギー調整可能量を算出するエネルギー算出部236gをさらに備える。調整制御部236dは、条件に対応するエネルギー調整制御を実行する。
【0167】
ここでは、予めエネルギー調整可能量を把握した上で、エネルギー調整制御を実行することが可能となる。
【0168】
(3−2)
さらに、本実施形態では、入力部233をさらに備える。入力部233がユーザから選択基準の入力を受け付ける。エネルギー算出部236gは複数の条件に従ってエネルギー調整可能量を算出する。調整制御部236dは、選択基準に基づいて、前記複数の条件のうちの1の条件を決定し、その1の条件に対応するエネルギー調整制御を実行する。
【0169】
ここでは、複数の条件が用意され、ユーザがエネルギー調整制御の条件選択に関与する。その結果、ユーザの意向を反映したエネルギー調整制御が容易となる。
【0170】
(4)変形例
第1実施形態に係る変形例1Aから1Fの要旨は、第2実施形態にも当てはまる。
【符号の説明】
【0171】
1 電力会社
2 物件
6 電源
7 電力メーター
30,230 制御装置
31,231 通信部
33,233 入力部
36b,236b 第1決定部
36c,236c 第2決定部
36d,236d 調整制御部
36f,236f 予測部
36g,236g エネルギー算出部
40 空調機
100,200 エネルギー管理システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0172】
【特許文献1】特開2007−139213号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備機器を制御する制御装置(30,230)であって、
前記設備機器が供給を受けるエネルギーの、時間帯別の単価情報を受け付ける受付部(31,231)と、
前記単価情報に基づいて、第1期間の中で前記エネルギーの単価の要素を含む指標がピークを迎える時間帯となる第1時間帯を決定する第1決定部(36b,236b)と、
前記第1期間の中で、前記第1時間帯より前の時間帯である第2時間帯と、前記第1時間帯より後の時間帯である第3時間帯とを決定する第2決定部(36c,236c)と、
前記設備機器のエネルギー消費量の抑制の強度が、前記第1時間帯に、第2時間帯および第3時間帯よりも強くなるように、前記エネルギー消費量を調整するエネルギー調整制御を実行する調整制御部(36d,236d)と、
を備える、制御装置(30,230)。
【請求項2】
前記調整制御部(36d,236d)は、前記設備機器のエネルギー消費量の抑制の強度が、前記第3時間帯では前記第1時間帯以下となり、前記第2時間帯では前記第3時間帯よりも小さくなるように、前記エネルギー消費量を調整するエネルギー調整制御を実行する、
請求項1に記載の制御装置(30,230)。
【請求項3】
前記第1期間における前記エネルギー消費量を予測する予測部(36f,236f)、
をさらに備え、
前記第1決定部(36b,236b)は、前記予測部(36e,236e)により予測された前記エネルギー消費量と、前記エネルギーの単価の乗積を、前記指標として算出する、
請求項1又は2のいずれか1項に記載の制御装置(30,230)。
【請求項4】
前記調整制御部(36d,236d)は、前記第2時間帯に、前記エネルギー消費量を抑制しない、
請求項1から3のいずれか1項に記載の制御装置(30,230)。
【請求項5】
条件に従って、前記エネルギー調整制御を実行した場合のエネルギー調整可能量を算出するエネルギー算出部(236g)、
をさらに備え、
前記調整制御部(236d)は、前記条件に対応する前記エネルギー調整制御を実行する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の制御装置(230)。
【請求項6】
ユーザから、選択基準の入力を受け付ける入力部(233)
をさらに備え、
前記エネルギー算出部(236g)は複数の前記条件に従って前記エネルギー調整可能量を算出し、
前記調整制御部(236d)は、前記選択基準に基づいて、前記複数の条件から1の条件を決定し、前記1の条件に対応する前記エネルギー調整制御を実行する、
請求項5に記載の制御装置(230)。
【請求項7】
前記受付部(31,231)は、同時間帯について複数の前記単価情報を受け付け、
前記第1決定部(36b,236b)は、前記同時間帯についての複数の単価情報に基づいて、時間帯別の最安値のエネルギー単価を判断し、前記時間帯別の最安値のエネルギー単価の要素を含む指標に基づいて前記第1時間帯を決定する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項1】
設備機器を制御する制御装置(30,230)であって、
前記設備機器が供給を受けるエネルギーの、時間帯別の単価情報を受け付ける受付部(31,231)と、
前記単価情報に基づいて、第1期間の中で前記エネルギーの単価の要素を含む指標がピークを迎える時間帯となる第1時間帯を決定する第1決定部(36b,236b)と、
前記第1期間の中で、前記第1時間帯より前の時間帯である第2時間帯と、前記第1時間帯より後の時間帯である第3時間帯とを決定する第2決定部(36c,236c)と、
前記設備機器のエネルギー消費量の抑制の強度が、前記第1時間帯に、第2時間帯および第3時間帯よりも強くなるように、前記エネルギー消費量を調整するエネルギー調整制御を実行する調整制御部(36d,236d)と、
を備える、制御装置(30,230)。
【請求項2】
前記調整制御部(36d,236d)は、前記設備機器のエネルギー消費量の抑制の強度が、前記第3時間帯では前記第1時間帯以下となり、前記第2時間帯では前記第3時間帯よりも小さくなるように、前記エネルギー消費量を調整するエネルギー調整制御を実行する、
請求項1に記載の制御装置(30,230)。
【請求項3】
前記第1期間における前記エネルギー消費量を予測する予測部(36f,236f)、
をさらに備え、
前記第1決定部(36b,236b)は、前記予測部(36e,236e)により予測された前記エネルギー消費量と、前記エネルギーの単価の乗積を、前記指標として算出する、
請求項1又は2のいずれか1項に記載の制御装置(30,230)。
【請求項4】
前記調整制御部(36d,236d)は、前記第2時間帯に、前記エネルギー消費量を抑制しない、
請求項1から3のいずれか1項に記載の制御装置(30,230)。
【請求項5】
条件に従って、前記エネルギー調整制御を実行した場合のエネルギー調整可能量を算出するエネルギー算出部(236g)、
をさらに備え、
前記調整制御部(236d)は、前記条件に対応する前記エネルギー調整制御を実行する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の制御装置(230)。
【請求項6】
ユーザから、選択基準の入力を受け付ける入力部(233)
をさらに備え、
前記エネルギー算出部(236g)は複数の前記条件に従って前記エネルギー調整可能量を算出し、
前記調整制御部(236d)は、前記選択基準に基づいて、前記複数の条件から1の条件を決定し、前記1の条件に対応する前記エネルギー調整制御を実行する、
請求項5に記載の制御装置(230)。
【請求項7】
前記受付部(31,231)は、同時間帯について複数の前記単価情報を受け付け、
前記第1決定部(36b,236b)は、前記同時間帯についての複数の単価情報に基づいて、時間帯別の最安値のエネルギー単価を判断し、前記時間帯別の最安値のエネルギー単価の要素を含む指標に基づいて前記第1時間帯を決定する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−15235(P2013−15235A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146755(P2011−146755)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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