説明

設備機器管理システム

【課題】 直接目視できない位置に設置された設備機器であっても、地図上で現物を照合確認できるようにすること。
【解決手段】 管理対象の設備機器に取り付けられた記録媒体から当該設備機器の識別情報を非接触で読取る読み取り手段と、管理対象の設備機器の識別情報と設置位置情報を格納した第1の記憶手段と、地図情報を記憶した第2の記憶手段と、前記読み取り手段によって管理対象の設備機器の記録媒体から読取った識別情報により前記記憶手段を検索し、管理対象の設備機器の設置位置情報を取得し、該設置位置情報によって前記第2の記憶手段から対応する位置の地図データを取得し、当該設備機器の設置位置を地図上に表示させる地図表示処理手段と、表示された設備機器の設置位置と実際の設置位置との一致、不一致をユーザの入力操作によって受付け、管理結果として第3の記憶手段に登録する手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、市街地等の各種の地域に設置された設備機器の諸データを地図上に表示して管理する設備機器管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
市街地等の地域には、CATV、電力送配電、無線LAN基地局等の施設で、さまざまな設備機器が設置されている。これらの設備機器の設置場所、設置状況等を把握し、施設として効率的に運用するためには、地図上に表示して管理することが不可欠となっている。
そこで、設置した設備機器の現況の写真を、地図の表示と連動して表示するシステムもある。
図8は、従来における設備機器管理システムの概要を示すブロック構成図であり、各種の指示を入力する入力部81、地図データおよび設備機器データを格納するデータベース部82、全体を制御するデータ処理部83、処理結果を表示する表示部84とから構成されている。
このような構成の設備機器管理システムにおいては、データ処理部83はデータベース部82より地図データを読出し、その地図データを可視化した地図を表示部84に表示させる。
一方、表示部84で表示した地図上で設備機器の位置を指定し、また、入力部81より設備機器を識別するIDを含む設備機器の諸データを入力し、データ処理部83によりデータベース部82に登録する。データ処理部83は、登録した設備機器データと地図データを合成して表示部84に地図表示する。
なお、本発明に関連する公知技術文献としては下記の特許文献1、特許文献2がある。
【特許文献1】特開2003−214889号公報
【特許文献2】特開平8−241119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、設備機器の諸データは、現地据付作業前に設備機器データに割り当てた識別子に対するものであり、施工直後あるいは施工後の変更(移動、撤去等)が行われた場合の現物の位置を反映しているわけではない。
機器番号や管理番号などの識別子が直接目視できない位置に取り付けられている設備機器、例えば識別子が機器本体の背面に取り付けられていたり、他の設備機器で遮蔽された位置関係に取り付けられている設備機器にあっては、識別子を直接目視確認することができないことから、現物と識別子との照合ができないままとなり、設備機器の補修、交換等の管理を行う場合に障害を来たすという問題があった。
また、設備機器の写真を表示する方式、その他の方式においても、現物との照合はできないという問題があった。
【0004】
本発明の目的は、識別子が直接目視できない位置に設置された設備機器であっても、地図上で現物を照合確認し、施設の最適な計画、維持管理をすることができる設備機器管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の設備機器管理システムは、管理対象の設備機器に取り付けられた記録媒体から当該設備機器の識別情報を非接触で読取る読み取り手段と、管理対象の設備機器の識別情報と設置位置情報を格納した第1の記憶手段と、地図情報を記憶した第2の記憶手段と、前記読み取り手段によって管理対象の設備機器の記録媒体から読取った識別情報により前記記憶手段を検索し、管理対象の設備機器の設置位置情報を取得し、該設置位置情報によって前記第2の記憶手段から対応する位置の地図データを取得し、当該設備機器の設置位置を地図上に表示させる地図表示処理手段と、表示された設備機器の設置位置と実際の設置位置との一致、不一致をユーザの入力操作によって受付け、管理結果として第3の記憶手段に登録する手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の設備機器管理システムによれば、識別子が直接目視できない位置に設置された設備機器であっても、地図上で現物を照合確認し、施設の最適な計画、維持管理をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を適用した設備機器管理システムの一実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態の一例を示すシステム構成図であり、地図データベース3および設備機器データベース4を備えたホストシステム1と、この地図データベース3および設備機器データベース4を共有する移動端末システム2から構成されている。
移動端末システム2とホストシステム1とは、公衆回線網を使ってリアルタイムに、あるいはオフラインで同期をとることで、データを共有している。
地図データベース3には、例えば施設を設置した地域の住宅地図を示す地図データおよび全世帯の情報が登録されている。
設備機器データベース4には、設備機器のIDおよび位置データが格納される。
また、ホストシステム1は、地図データベース3や設備機器データベース4の更新処理を行うDB更新部9、地図データベース3や設備機器データベース4の検索処理を行う検索処理部10、地図表示を行う表示部11を備えている。
移動端末システム2には電子タグリーダ5が接続され、設備機器6に貼付けなどの形態によって取り付けられた電子タグ7に記録された設備機器IDを読込むことができるように構成されている。
【0008】
図2は、設備機器データベース4に格納される設備機器データの構成図であり、設備機器ID21、位置情報22、設備機器情報23の各データから構成され、設備機器の表示位置を特定するようになっている。
設備機器情報23は、型番、設置日付、接続関係、製造番号等の情報で構成されている。
図3は、移動端末システム2の構成を示した図である。
すなわち、設備機器6に貼付された電子タグ7へ電波を送信し、電子タグ7からの電波を受信して設備機器6のIDを読取る電子タグリーダ部31、この電子タグリーダ部31が読取った設備機器6のIDに対する設備機器データを保持するデータベース部32、地図データを可視化した地図を表示する表示部34、情報を入力する入力部33、設備機器6のIDを照合して地図に表示するデータ処理部35および、照合結果を格納するログ部36から構成されている。
ここで、データ処理部35は、電子タグリーダ部31から読出した設備機器6のIDに対応する設備機器データが、データベース部32に存在するか否かを照合する設備機器照合処理部352と、存在する場合は、その設備機器データを可視化して該当する位置に表示させる地図表示処理部351とを備えている。
データベース部32の地図データベース3と設備機器データベース4は、ホストシステム1と公衆回線網等を介して共有するようになっており、また、ログ部36のデータもホストシステム1と公衆回線網等を介して共有するようになっている。
【0009】
図4は、設備機器管理システム全体の作業概要を示すフローチャートである。
本実施形態における設備機器管理システムにおいて、ホストシステム1と移動端末システム2は次のように使用する。
準備作業401で使用するのはホストシステム1、現地作業402では移動端末システム2、保守作業403ではホストシステム1と移動端末システム2である。
準備作業401は、例えばCATV施設にあっては、アンプやブースターのような設備機器6の準備を行う作業である。設置する設備機器6に対し、識別可能なIDを割り振り、ホストシステム1により設備機器データベース4に登録する(ステップ404)。
そして、電子タグ7に設備機器ID21を書込み、その電子タグ7を設備機器6に貼付する(ステップ405)。
次に、型名等の設備機器情報23と位置情報22を設備機器IDと関連させ、設備機器データベース4に登録し(ステップ406)、ホストシステム1により地図を表示、目視確認する(ステップ407)。
現地作業402は、電子タグ7を貼付した設備機器6を現地に据付工事する(ステップ408)。工事終了後、移動端末システム2を使用して、電子タグ7から設備機器IDを読取り、確認する(ステップ409)。
保守作業403は、設置済の設備機器6を照合確認する。
移動端末システム2を使用して、アンプやブースターのような設備機器6の電子タグ7から設備機器IDを読取り(ステップ410)、また照合の確度向上の設定(任意)を行う(ステップ411)。照合の確度向上の設定として、(a)近傍の電柱のような設備機器のIDを読取る、(b)衛星電波が受信可能な場所では、GPS機能を移動端末システム2に内蔵させ、観測地点の位置を取り込む、等を行い、照合確認する(ステップ412)。照合確認結果はログ部36に格納し、ホストシステム1で地図データベース3、設備機器データベース4に反映する(ステップ413)。
【0010】
図5は、移動端末システム2の現物照合処理の概要を示すフローチャートである。
現物照合処理にあたり、照合の確度向上の設定(任意)を行う(ステップ501)。
移動端末システム2は、照合対象の設備機器6に貼付された電子タグ7から設備機器IDを読取り(ステップ502)、設備機器データベース4を検索する(ステップ503)。
検索により該当する設備機器IDが設備機器データベース4に登録されているかを判定する(ステップ504)。
登録されていない場合はエラー表示し、かつログ部36に図7に示すように設備機器ID71と結果72を書き込む。この例では、結果72は「エラー」と書き込む(ステップ509)。
登録されていれば、地図データ表示処理部351によって、図6に示すように該当する設備機器63の位置情報22を設備機器IDによって設備機器データベース4から取得し、さらにその位置情報22によって地図データベース3を検索し、該当する設備機器63が存在する位置を地図表示する。このとき、照合の確度向上の設定として近傍の設備機器62が読取られていれば、設備機器データベース4と地図データベース3を検索し、近傍の設備機器62とその周辺領域を地図表示する。また、GPS機能により観測地点の位置65が取り込まれていれば地図データベース3を検索し、その観測地点の位置65とその周辺領域を表示する(ステップ505)。
使用者は、地図上の設備機器の位置と現況の設備機器の位置を確認する。このとき、地図データベース3の地図データ(道路、建物等)の表示を基準として、該当する設備機器63の位置を目視確認するが、照合の確度向上の設定が行われていれば、次のように確度の高い照合を行う。すなわち、現況の設備機器の位置が近傍の設備機器62の周辺領域内、または観測点の位置65の周辺領域内(図6の設備機器63)にあれば一致と判断し、周辺領域外(図6の設備機器64)にあれば不一致と判断する。そして、一致、不一致の判断を移動端末システム2に入力する(ステップ506)。
【0011】
移動端末システム2は、一致、不一致を判断し(ステップ507)、一致であれば、ログ部36の結果72に「合格」と書き込む(ステップ508)。不一致であれば、使用者は現況位置64を地図上で指定する(ステップ510)。移動端末システム2は、ログ部36の結果72に変更と書き込む(ステップ511)。
移動端末システム2で現地よりログ部36に収集したログは、ホストシステム1により次のように活用する。
結果72が「合格」である設備機器6は、確認済設備機器として、設備機器データベース4に登録する。また、結果72が「変更」である設備機器6は、工事計画書等のチェックを行い、同じく確認済設備機器として、設備機器データベース4に登録する。これらのデータは、資産管理資料としても活用できる。
結果72がエラーである場合は、(a)設備機器データベース4に登録されている設備機器6が現地に存在しない、(b)現地に存在する設備機器6が設備機器データベース4に登録されていない、というケースを照合し、配置位置の変更であることがわかれば結果72を「変更」と登録変更し、そうでなければ工事で交換廃棄物と照合する。
このように、ログ解析により、最適な工事管理と予定を立てることができる。
【0012】
以上のように、本実施の形態の設備機器管理システムによれば、次のような効果がある。
(1)識別子が直接目視できない位置に設置された設備機器であっても、地図上で現物を照合確認し、施設の最適な計画、維持管理をすることができる。
(2)現物照合により確認するので、精度の高い資産管理ができる。
【0013】
なお、上記の実施形態においては、管理対象となる設備機器の設置位置が正しいかどうかをユーザに判定させるために、基準となる他の設備機器の位置を表示しているが、衛星電波を利用したGPS機能を移動端末システム2に内蔵させ、設備機器データベースに登録されている位置情報で示される位置に移動端末システム2を移動させた場合に、その位置に管理対象となる設備機器が設置されているか否かによって、当該設備機器の設置位置が正しいかどうかをユーザに判定させるように構成することができる。
GPS機能を搭載した場合には、基準となる他の設備機器を選定する必要がなくなり、かつ基準となる他の設備機器自体が正規でない位置に設置されていた場合の誤認を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態例を示すシステム構成図である。
【図2】設備機器データベースに格納されているデータの構成図である。
【図3】移動端末装置の内部構成図である。
【図4】現物照合施設管理システム全体の作業概要を示すフローチャートである。
【図5】移動端末システムの現物照合処理の概要を示すフローチャートである。
【図6】画面上の地図に現物照合した設備機器が表示される具体例の説明図である。
【図7】ログに記載されるデータの構成図である。
【図8】従来の施設管理システムの概略構成図である。
【符号の説明】
【0015】
1…ホストシステム、2…移動端末システム、3…地図データベース、4…設備機器データベース、5…電子タグリーダ、6…設備機器、7…電子タグ、8…ログ、401…準備作業、402…現地作業、403…保守作業。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備機器を管理する設備機器管理システムにおいて、
管理対象の設備機器に取り付けられた記録媒体から当該設備機器の識別情報を非接触で読取る読み取り手段と、
管理対象の設備機器の識別情報と設置位置情報を格納した第1の記憶手段と、
地図情報を記憶した第2の記憶手段と、
前記読み取り手段によって管理対象の設備機器の記録媒体から読取った識別情報により前記記憶手段を検索し、管理対象の設備機器の設置位置情報を取得し、該設置位置情報によって前記第2の記憶手段から対応する位置の地図データを取得し、当該設備機器の設置位置を地図上に表示させる地図表示処理手段と、
表示された設備機器の設置位置と実際の設置位置との一致、不一致をユーザの入力操作によって受付け、管理結果として第3の記憶手段に登録する手段と
を備えることを特徴とする設備機器管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−277176(P2006−277176A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−93619(P2005−93619)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】