説明

設定データ通信機能を有する電話端末

【課題】電話端末個々の機能設定をネットワーク構成とは無関係に、かつ設定に関する特別な接続作業やインタフェースを要せずに自動的に実行する技術を提供する。
【解決手段】既に設定済みの電話端末1−1に、設定を行っていない電話端末1−2から発信を行い通話呼を確立する。そして、電話端末1−2は自電話端末のユーザが所定の操作を行うと、電話端末1−1に設定データの要求信号を送信する。設定データの要求信号を受信した電話端末1−1は、自電話端末のユーザが所定の操作を行うと、自電話端末の設定データを複写して電話端末1−2に送信する。設定データを受信した電話端末1−2は自電話端末の設定を、受信した設定データによって更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電話端末に関し、特に、電話端末機能の設定を簡略化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、IP電話端末の設定および変更作業を効率的かつ正確に行う技術が開示されている。
【0003】
この技術によれば、IP電話端末が、IP電話端末にIPアドレスを割り当てるDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバから、IP電話端末の設定データを蓄積するFTPサーバのIPアドレスと設定データのファイル名を取得する。これによりIP電話端末は、FTPサーバから設定データファイルをダウンロードして自動的に設定を行うことができる。
【0004】
又、特許文献2には、複数の端末で共有される共通情報を端末間で選択的に移送する技術が開示されている。
【0005】
この技術によれば、情報管理のサーバ機能を具備すると共に共通情報を保持する第一のPCに、情報管理のクライアント機能を具備すると共に共通情報を保持する携帯端末を接続する。そして、前記第一のPCが保持する共通情報が前記携帯端末が保持する共通情報よりも新しい情報である場合に、第一のPCが保持する共通情報を携帯端末に移送する。次に、情報管理のサーバ機能を具備すると共に共通情報を保持する第二のPCに前記携帯端末を接続し、当該携帯端末が保持する共通情報が当該第二のPCが保持する共通情報よりも新しい情報である場合に、携帯端末が保持する共通情報を当該第二のPCに移送する。これにより、前記第一のPCと前記第二のPCの共通情報を最新の情報に合わせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−339803号公報
【0007】
【特許文献2】特開2002−116966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、工事者が、予め区切られたネットワーク毎に共通の設定データファイルを作成して一括設定を行うものであり、同一のネットワーク内であっても利用者によって異なるIP電話端末個々の機能設定を行いたい場合や、異なるネットワークに接続されたIP電話端末に対し同じ機能設定を行う場合については考慮していない。
【0009】
また、特許文献2に記載の技術は、端末(PC)間で同じ設定を行うための技術であるが、設定の度に携帯端末を準備して端末(PC)への接続作業を行わなければならず、設定作業の効率化を損なう。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、電話端末個々の機能設定をネットワーク構成とは無関係に、かつ設定に関する特別な接続作業やインタフェースを要せずにユーザが理解しやすい簡単な操作で電話端末個々の機能設定を実行する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の態様は、自電話端末が着信を受付けて応答した後、相手電話端末から設定データ送信要求信号の受信と、自電話端末の操作者の所定の操作と、を検出した場合に、自電話端末に設定済みの設定データを複写して相手電話端末に送信する。また、自電話端末が発信し、相手電話端末が応答した後、自電話端末の操作者から所定の操作を検出した場合に、設定データ送信要求信号を相手電話端末に送信する。そして、相手電話端末から設定データを受信するとその設定データで自電話端末の設定を更新する。
【0012】
例えば、本発明の態様は、電話機の機能または動作に係わる複数の設定項目を具備する電話端末であって、他電話端末との通話中に自電話端末に対して特定操作が為されると前記他電話端末に対して前記他電話端末に設定されている所定の設定項目に係わる設定データの送信を要求する設定データ送信要求手段と、前記他電話端末から前記設定項目に係わる設定データを受信すると当該設定データを自電話端末に設定する設定手段と、他電話端末から通話中に自電話端末に対して設定データの送信を要求され、且つ、自電話端末に対して送信を許可する特定操作が為されると、自電話端末に設定されている所定の設定項目に係わる設定データを送信する設定データ送信手段とを有することを特徴とする設定データ通信機能を有する電話端末。
【発明の効果】
【0013】
電話端末の機能設定に関し、ネットワークとは無関係に、ユーザにわかりやすい簡単な方法で柔軟性のある設定作業を効率的に行える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態に係る電話端末1を含む電話システムの概略図である。
【図2】図2は、本実施の形態に係る電話端末1が他の電話端末1の個別の設定と同じ設定を自電話端末に行う場合の動作を説明するためのシーケンス図である。
【図3】図3は、図3は、本実施の形態に係る電話端末1が他の電話端末1の内線グループ設定に関する設定と同じ設定を自電話端末に行う場合の動作例を説明するためのシーケンス図である。
【図4】図4は、本実施の形態に係る電話端末1が他の電話端末1の外線設定と同じ設定を自電話端末に行う場合の動作例を説明するためのシーケンス図である。
【図5】図5は、電話端末1の概略機能構成図である。
【図6】図6は、図6は、着信形態対応設定項目テーブル1030の記憶内容を模式的に表した図である。
【図7】図7は、本実施の形態に係る電話端末1の設定データ要求信号の送信と設定データの受信に関する動作を説明するためのフロー図である。
【図8】図8は、本実施の形態に係る電話端末1の設定データ要求信号の受信と設定データの送信に関する動作を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施の形態に係る電話端末1を含む電話システムの概略図である。
【0017】
図示するように、本実施の形態に係る電話端末1を含む電話システムは、LAN3に接続された電話端末1と、LAN3とWAN4に接続されたサーバ/ゲートウェイ2と、を有する。ここで、サーバ/ゲートウェイ4は、電話端末1を登録するレジストラサーバ機能と、電話端末1のセッションに関連するメッセージを転送するプロキシサーバ機能と、LAN3とWAN4の中継を行い電話回線に関連する制御を行うゲートウェイ機能と、を有する。また、本説明では、電話端末1のうち、電話端末1−1が既に端末個別設定と内線グループ設定と外線設定を完了している電話端末であり、内線グループAと内線グループBの両方に属しているものとする。また、電話端末1−2は新規に端末個別設定と内線グループ設定と外線設定を行う電話端末である。ここで端末個別設定とは、自端末指定の内線着信における鳴動音、着信時の表示や捕捉ボタンの割付、保留転送操作、保留音、、自動転送電話や留守番電話の起動解除条件(曜日や時刻)、代理応答操作、待機時の表示画面の内容(年月日、時刻、カレンダー、インスタントメッセージの表示位置)、電話帳や発着信履歴、プログラマブルキーに関する設定である。また、内線グループ設定とは、内線グループへ参加するための情報、着信鳴動音、着信表示や捕捉ボタンの割付、保留転送操作、プレゼンス表示、一斉通知に関する設定である。また、外線設定とは、複数敷設されている回線のうち利用する回線、着信鳴動音、着信表示、捕捉ボタンの割付、保留転送操作や短縮ダイヤルに関する設定である。
【0018】
図2は、本実施の形態に係る電話端末1−1が他の電話端末1−2の個別の設定と同じ設定を自電話端末に行う場合の動作を説明するためのシーケンス図である。ここで、電話端末1−2のユーザは、設定内容や電話端末1−2単独での設定方法を知らない状況にあるが、電話端末1−1と同じ端末個別設定を要求しているものとする。尚、本説明では、電話のセッションに係わるメッセージそのものに対する応答メッセージは省略し、登録および電話の発着信、切断等の動作がわかるメッセージに変更して説明する。
【0019】
電話端末1−2は、ユーザによる電源投入などの起動操作により起動処理を行い(ステップ100)、サーバ/ゲートウェイ2に登録を行う(ステップ101)。ここで、電話端末1−2に対しユーザからの設定がなにも成されていない場合、デフォルト設定での仮登録となる。また、電話端末1−2はこの仮登録によって電話発信が可能となる。
【0020】
次に、電話端末1−2は、ユーザから電話端末1−1への個別発信操作を受け付けると、個別発信メッセージをサーバ/ゲートウェイ2に送信する(ステップ102)。ここで個別発信とは、一つの電話端末1に対して行う発信である。これを受けたサーバ/ゲートウェイ2は、電話端末1−1にその個別発信メッセージを転送する(ステップ103)。
【0021】
サーバ/ゲートウェイ2から個別発信メッセージを受信した電話端末1−1は、着信鳴動を行い(ステップ104)、電話端末1−1のユーザが応答するのを待つ。
【0022】
電話端末1−1は、ユーザからの応答操作を受け付けると、応答メッセージをサーバ/ゲートウェイ2に送信する(ステップ105)。これを受けたサーバ/ゲートウェイ2は、電話端末1−1にその応答メッセージを転送し(ステップ106)、電話端末1−2との呼接続処理を行う。これにより、電話端末1−1と電話端末1−2の通話呼が確立する(ステップ107)。通話呼が確立すると、電話端末1−1は、確立した通話呼の着信形態を記憶する(ステップ108)。ここでは着信形態として「個別着信」が記憶される。ここで個別着信とは前記個別発信に対応した着信のことである。
【0023】
次に、電話端末1−2は、ユーザからの所定の操作(設定データを要求する操作)を検出すると設定データ要求信号を送信する(ステップ109)。ここで所定の操作とは、予め定められたテンキー押下の他、所定時間内(切断と判断される時間以内)のフックボタンの押下、または特別に具備された専用ボタンの押下である。また、設定データ要求信号とは、PB信号の他、特別に定められたメッセージである。
【0024】
電話端末1−2より、設定データ要求信号を受信した電話端末1−1は、自電話端末のユーザからの所定の操作(設定データ要求に対する許可を示す操作)を待つ。ここで所定の操作とは、電話端末1−1のユーザが行う操作と同じ操作である。尚、一つの操作を定めるのではなく、電話端末1−2のユーザが任意にボタンを選択し、電話端末1−1のユーザが同じ操作を行った場合に設定データ要求に対する許可と判断しても良い。また、電話端末1−1の表示部に設定データの要求を示すメッセージを表示し、そこに許可する場合の操作方法を示しても良い。
【0025】
次に、電話端末1−1は、ユーザからの所定の操作を検出すると、当該通話呼を確立した着信形態が個別着信であることから、自電話端末に設定済みの個別着信に対応した設定項目に係わる設定データを選択し、複写する(ステップ110)。
【0026】
そして、電話端末1−1は複写した設定データを電話端末1−2に送信する(ステップ111)。ここで、設定データは音声信号に変換、またはメッセージとして送信する。
【0027】
設定データを受信した電話端末1−2は、ユーザからの切断操作を待つ。そして、ユーザからの切断操作を検出した電話端末1−2は、切断メッセージをサーバ/ゲートウェイ2に送信する(ステップ112)。これを受けたサーバ/ゲートウェイ2は、この切断メッセージを電話端末1−1に送信し(ステップ113)、これにより通話呼は開放される。
【0028】
通話呼が開放された後、電話端末1−2は、受信した設定データにより自電話端末の設定を更新する(ステップ114)。
【0029】
図3は、本実施の形態に係る電話端末1−2が他の電話端末1(電話端末1−1を含む)の内線グループに関する設定と同じ設定を自電話端末に行う場合の動作例を説明するためのシーケンス図である。ここで、電話端末1−2のユーザは、設定内容や電話端末1−2単独での設定方法を知らない状況にあるが、電話端末1−1が所属する内線グループのうち内線グループBの設定を要求しているものとする。尚、本説明では、電話のセッションに係わるメッセージそのものに対する応答メッセージなどは省略し、登録および電話の発着信、切断等の動作がわかるメッセージに変更して説明する。
【0030】
電話端末1−2は、ユーザによる電源投入などの起動操作により起動処理を行い(ステップ200)サーバ/ゲートウェイ2に登録を行う(ステップ201)。次に、電話端末1−2は、ユーザからの電話端末1−1が所属する内線グループBへの内線グループ発信操作を受け付けると、内線グループ発信のメッセージをサーバ/ゲートウェイ2に送信する(ステップ202)。これを受けたサーバ/ゲートウェイ2は、電話端末1−1を含む内線グループBに所属する電話端末1全てに、その内線グループ発信メッセージを転送する(ステップ203、204)。
【0031】
サーバ/ゲートウェイ2から内線グループ発信メッセージを受けた電話端末1−1を含む内線グループBに所属する電話端末1は、着信鳴動を行い(ステップ205、206)、電話端末1−1を含む内線グループBに所属する電話端末1の何れかのユーザが応答するのを待つ。
【0032】
ここでは、電話端末1−1のユーザが応答するものとするが、内線グループBに所属する電話端末1の何れのユーザが応答しても良い。
【0033】
電話端末1−1は、ユーザからの応答操作を受け付けると、応答メッセージをサーバ/ゲートウェイ2に送信する(ステップ207)。これを受けたサーバ/ゲートウェイ2は、電話端末1−1にその応答メッセージを転送する(ステップ208)。これにより、電話端末1−1と電話端末1−2の通話呼が確立する(ステップ209)。
【0034】
そして、電話端末1−1は、着信形態を記憶する(ステップ210)。ここでは着信形態として「内線グループ着信」が記憶される。
【0035】
次に、電話端末1−2は、ユーザからの所定の操作(設定データを要求する操作)を検出すると設定データ要求信号を送信する(ステップ210)。ここで所定の操作とは、図2で説明した操作と同じである。また、設定データ要求信号とは、PB信号の他、特別に定められたメッセージでも良い。
【0036】
電話端末1−2より、設定データ要求信号を受信した電話端末1−1は、自電話端末のユーザからの所定の操作(設定データ要求に対する応答操作)を待つ。ここで所定の操作とは、図2で説明した操作と同じである。
【0037】
次に、電話端末1−1は、ユーザからの所定の操作を検出すると、この通話呼を確立した着信形態が内線グループ着信であることから、自電話端末に設定済みで内線グループ着信対応の設定項目に関する設定データを選択し、複写する(ステップ212)。但し、ここでは内線グループ着信対応の設定項目の中で、内線グループBに関する設定データのみを選択して複写する。
【0038】
そして、電話端末1−1は複写した内線グループBの設定データを電話端末1−2に送信する(ステップ213)。ここで、設定データは音声信号に変換して送信する、又はメッセージとして送信する。
【0039】
設定データを受信した電話端末1−2は、ユーザからの切断操作を待つ。そして、ユーザからの切断操作を検出した電話端末1−2は、切断メッセージをサーバ/ゲートウェイ2に送信する(ステップ214)。これを受けたサーバ/ゲートウェイ2は、この切断メッセージを電話端末1−1に送信し(ステップ215)、これにより通話呼は開放される。
【0040】
通話呼が開放された後、電話端末1−2は、受信した設定データにより自電話端末の内線グループ設定を更新する(ステップ216)。
【0041】
そして、電話端末1−2は自動的に再起動を行う(ステップ217)。
【0042】
再起動された電話端末1−2は、内線グループ設定が更新されているため、その設定内容にて、サーバ/ゲートウェイ2に内線グループBへの参加を含む登録を行う(ステップ218)。
【0043】
図4は、本実施の形態に係る電話端末1−1が他の電話端末1の外線設定と同じ設定を自電話端末に行う場合の動作例を説明するためのシーケンス図である。ここで、電話端末1−2のユーザは、設定内容や電話端末1−2単独での設定方法を知らない状況にあるが、電話端末1−1が利用する外線設定を要求しているものとする。尚、本説明では、電話のセッションに係わるメッセージそのものに対する応答メッセージなどは省略し、登録および電話の発着信、切断動作がわかるメッセージのみに簡略化して説明する。
【0044】
電話端末1−2は、ユーザによる電源投入などの起動操作により起動処理を行い(ステップ300)サーバ/ゲートウェイ2に登録を行う(ステップ301)。ここで、電話端末1−2に対しユーザからの外線に関する設定がなにも成されていない場合、デフォルト設定での仮登録となる。この仮登録にて1回線の外線電話発信のみ可能となる。
【0045】
次に、電話端末1−2は、ユーザからの外線発信操作を受け付けると、外線発信のメッセージをサーバ/ゲートウェイ2に送信する(ステップ302)。ここで、外線ボタンの割付けを含み、外線設定が成されていない状態での外線発信操作とは、例えばテンキーの0番を押下後にダイヤル番号を押下する、所謂ゼロ番発信操作である。
【0046】
外線発信のメッセージを受けたサーバ/ゲートウェイ2は、WAN4を経由して電話端末1−1を含む電話端末1に発信メッセージを転送する(ステップ302〜304)。ここで電話端末1−1を含む電話端末1は、電話端末1−2のユーザがダイヤルした電話番号に対応する外線からの着信を受け付ける設定が成されているものとする。
【0047】
サーバ/ゲートウェイ2から外線発信メッセージを受けた電話端末1−1を含む電話端末1は、着信鳴動を行い(ステップ305、306)、電話端末1−1を含む電話端末1の何れかのユーザが応答するのを待つ。
【0048】
ここでは、電話端末1−1のユーザが応答するものとするが、外線発信メッセージを受信した電話端末1のユーザの何れが応答しても良い。
【0049】
電話端末1−1は、ユーザからの応答操作を受け付けると、応答メッセージをサーバ/ゲートウェイ2に送信する(ステップ307)。これを受けたサーバ/ゲートウェイ2は、WAN4を介して電話端末1−2にその応答メッセージを転送する(ステップ308、309)。これにより、電話端末1−1と電話端末1−2の通話呼が確立する(ステップ310)。
【0050】
そして、電話端末1−1は、着信形態を記憶する(ステップ311)。ここでは着信形態として「外線着信」が記憶される。
【0051】
次に、電話端末1−2は、ユーザからの所定の操作(設定データを要求する操作)を検出すると設定データ要求信号を送信する(ステップ312)。
【0052】
電話端末1−2より、設定データ要求信号を受信した電話端末1−1は、自電話端末のユーザからの所定の操作(設定データ要求に対する応答操作)を待つ。ここで所定の操作とは、図2で説明した操作と同じである。
【0053】
次に、電話端末1−1は、ユーザからの所定の操作を検出すると、この通話呼を確立した着信形態が外線着信であることから、自電話端末に設定済みで外線着信に対応した設定項目に関する設定データを選択し、複写する(ステップ313)。そして、電話端末1−1は複写した外線設定データを電話端末1−2に送信する(ステップ314)。ここで、設定データは音声信号に変換して送信する、またはメッセージとして送信する。
【0054】
設定データを受信した電話端末1−2は、ユーザからの切断操作を待つ。
【0055】
そして、ユーザからの切断操作を検出した電話端末1−2は、切断メッセージをサーバ/ゲートウェイ2に送信する(ステップ315)。これを受けたサーバ/ゲートウェイ2は、この切断メッセージをWAN4を介して電話端末1−1に送信し(ステップ316、317)、これにより通話呼は開放される。
【0056】
通話呼が開放された後、電話端末1−2は、受信した設定データにより自電話端末の外線設定を更新する(ステップ318)。
【0057】
そして、電話端末1−2は自動的に再起動を行う(ステップ319)。
【0058】
再起動された電話端末1−2は、外線設定が更新されているため、その設定内容にて、サーバ/ゲートウェイ2に外線への参加を含む登録を行う(ステップ320)。
【0059】
次に、電話端末1の詳細について説明する。
【0060】
図5は、電話端末1の概略機能構成図である。
【0061】
図示するように、電話端末1は、通信インターフェース部100と、マンマシンインターフェース部101と、電話機能部102と、電話設定部103と、着信形態対応設定項目テーブル1030と、着信形態記憶部104と、設定データ要求信号送信部105と、設定データ要求信号受信部106と、設定データ送信部107と、設定データ選択/複写部108と、設定データ受信部109と、を有する。
【0062】
通信インターフェース部100は、LAN3を介してサーバ/ゲートウェイ2や他の電話端末1と通信を行うための物理インターフェースや通信プロトコルを実装する。
【0063】
マンマシンインターフェース部101は、ユーザが電話の発着信などの各種操作を行うためのインターフェースである。図示していないが、ハンドセット、スピーカ、フックボタン、ダイヤルキー、LEDランプ付のボタン等の操作部、およびLCD等の表示部を備える。
【0064】
電話機能部102は、サーバ/ゲートウェイ2への登録処理や、電話発着信、インスタントメッセージの送受信などを実現するSIP(Session Initiation Protocol)などのプロトコルが実装される他、内線発着信、グループ発着信、マルチライン対応の外線発着信、転送機能、電話帳機能、発着信履歴機能などビジネス電話に係わる機能を備える。ここで、サーバ/ゲートウェイ2への登録処理には、SIPレジストラサーバ機能への登録とゲートウェイの内線グループ機能やマルチライン対応外線機能に対する登録がある。
【0065】
電話設定部103は、電話機能部102で説明した各種機能の設定および更新を行う。電話設定部103は、通常マンマシンインターフェース部101を介してユーザからの設定および更新を受け付ける、または図示していないがLAN上に接続された設定用の端末(PCなど)から通信インタフェース部100を介して設定を受け付ける。また、電話設定部103は着信形態対応設定項目テーブル1030を有する。
【0066】
着信形態対応設定項目テーブル1030は、着信形態毎にその着信に関連する設定項目を予め記憶している。着信形態対応設定項目テーブル1030については図6で説明する。
【0067】
着信形態記憶部104は、電話機能部102から着信形態の通知を受け記憶する。そして設定データ選択/複写部108に記憶した着信形態を通知する。
【0068】
設定データ要求信号送信部105は、マンマシンインタフェース部101を介して検出した所定のユーザ操作に従い、通話呼を確立している相手電話端末1に対する設定データ要求信号の送信を、電話機能部102を介して実行する。尚、設定データ要求信号の送信は、電話機能部102において他の電話端末1との通話呼が確立している場合に限り有効である。
【0069】
設定データ要求信号受信部106は、通話呼を確立している相手電話端末1からの設定データ要求信号を電話機能部102を介して受信し、後述の設定データ送信部107に通知する。尚、設定データ要求信号受信部106は、電話機能部102で他の電話端末1との通話呼が確立している場合に限り有効である。
【0070】
設定データ送信部107は、設定データ要求信号受信部106から設定データ要求信号受信の通知を受け、更にマンマシンインタフェース部101を経由したユーザの所定の操作を受け付けると、後述の設定データ選択/複写部108に設定データの選択および複写の実行を指示する。そして、複写された自電話端末1の設定データを設定データ選択/複写部108から取得して電話機能部102を介して通話呼が確立している相手電話端末1に送信する。
【0071】
設定データ選択/複写部107は、設定データ送信部107から指示たに従い、通話呼の着信形態を着信形態記憶部104から取得し、取得した着信形態に対応した設定項目に関し、自電話端末に設定済みの設定データを選択し、それを複写する。そして設定データ送信部106に複写した設定データを引き渡す。この設定データの送信に関する動作は図8で説明する。
【0072】
設定データ受信部109は、通話呼を確立している相手電話端末1から受信した設定データにより電話設定部103を更新する。この設定データを受信して更新するまでの動作については図7で説明する。
【0073】
図6は、着信形態対応設定項目テーブル1030の記憶内容を模式的に表した図である。図示するように着信形態対応設定項目テーブル1030には、設定項目毎にレコード1031が予め記憶されている。レコード1031は、個別着信対応の設定項目が記憶されたフィールド1032と、内線グループ着信対応の設定項目が記憶されたフィールド1033と、外線着信対応の設定項目が記憶されたフィールド1034と、を有する。
【0074】
図7は、本実施の形態に係る電話端末1の設定データ要求信号の送信と設定データの受信に関する動作を説明するためのフロー図である。このフローは、自電話端末1からの発信により、相手電話端末1との通話呼が確立した後開始される。
【0075】
まず、設定データ要求信号送信部105は、マンマシンインターフェース部101を介してユーザによる所定の操作の検出を行う(ステップ400)。
【0076】
また、設定データ要求信号送信部105は、電話機能部102を介して確立中の通話呼の切断を監視する(ステップ406)。
【0077】
そして、設定データ要求信号送信部105は、確立中の通話呼の切断を検出すると(ステップ406でYES)本フローを終了する。
【0078】
一方、設定データ要求信号送信部105は、ユーザによる所定の操作を検出すると(ステップ400でYES)、設定データ要求信号を電話機能部102を介して相手電話端末1に送信する(ステップ401)。
【0079】
次に、設定データ受信部109は、設定データの受信(ステップ402)もしくは電話機能部102を介した通話呼の切断(ステップ407)、所定の時間経過(ステップ408)を監視する。
【0080】
そして、設定データ受信部109は、通話呼の切断を電話機能部102から検出すると(ステップ407でYES)本フローを終了する。
【0081】
また、設定データ受信部109は、設定データを受信せず所定時間経過した場合(ステップ408でYES)、マンマシンインタフェース部101のLCD表示画面にエラー通知を行い(ステップ409)、ステップ400に戻る。
【0082】
一方、設定データ受信部109は、相手電話端末1から電話機能部102を介して設定データを受信すると(ステップ402でYES)、電話設定部103に対し、受信した設定データにて更新処理を実行する(ステップ403)。
【0083】
また、設定データ受信部109は、受信した設定データが個別着信対応の設定項目に関する設定データか否か判定する(ステップ404)。
【0084】
そして、設定データ受信部109は、受信した設定データが個別着信対応の設定項目に関する設定データの場合(ステップ404でYES)、そのまま本フローを終了する。
【0085】
一方、設定データ受信部109は、受信した設定データが個別着信対応の設定項目に関する設定データで無い場合、要するに、内線グループ着信対応または外線着信対応の設定項目に関する設定データの場合(ステップ404でNO)、自電話端末1の再起動処理を実行し(ステップ405)、本フローを終了する。
【0086】
図8は、本実施の形態に係る電話端末1の設定データ要求信号の受信と設定データの送信に関する動作を説明するためのフロー図である。このフローは、自電話端末1が着信し、相手電話端末1との通話呼が確立した後開始される。
【0087】
まず、着信形態記憶部104は、本フローを開始した着信イベントに対する着信形態を電話機能部102から取得して記憶する(ステップ500)。
【0088】
次に、設定データ要求信号受信部106は、電話機能部102を介した相手電話端末1からの設定データ要求信号の受信(ステップ501)、もしくは確立中の通話呼の切断(ステップ510)を監視する。
【0089】
そして、設定データ要求信号受信部106は、確立中の通話呼の切断を電話機能部102を介して検出すると(ステップ510でYES)、本フローを終了する。
【0090】
一方、設定データ要求信号受信部106は、相手電話端末1から設定データ要求信号を受信すると(ステップ501でYES)、電話機能部102を介し、自電話端末1のユーザからの所定の操作(ステップ502)、もしくは確立中の通話呼の切断(ステップ511)を監視する。
【0091】
そして、設定データ要求信号受信部106は、確立中の通話呼の切断を電話機能部102を介して検出すると(ステップ511でYES)、本フローを終了する。
【0092】
一方、設定データ要求信号受信部106は、電話機能部102を介して自電話端末1のユーザからの所定の操作を検出すると(ステップ502でYES)、その旨を設定データ送信部107に通知する。
【0093】
通知を受けた設定データ送信部107は、設定データ選択/複写部108に、設定データの選択と複写を指示する。
【0094】
設定データ送信部107から指示を受けた設定データ選択/複写部108は、着信形態記憶部104から当該着信形態を取得する。そして設定データ選択/複写部108は、通話呼を確立した着信形態が、個別着信と内線グループ着信と外線着信のうちの何れであったのかを判定する(ステップ503、507)。
【0095】
そして、設定データ選択/複写部108は、通話呼を確立した着信形態が個別着信の場合(ステップ503でYES)、電話設定部103から、自電話端末に設定されている個別着信対応の設定項目に関する設定データを選択(ステップ504)して複写する(ステップ505)。そして、複写した設定データを設定データ送信部107に引き渡す。
【0096】
複写された設定データを受けた設定データ送信部107は、電話機能部102を介して、相手電話端末1に設定データを送信する(ステップ506)。そして、本フローを終了する。
【0097】
一方、設定データ選択/複写部108は、通話呼を確立した着信形態が内線グループ着信の場合(ステップ507でYES)、電話設定部103から、自電話端末に設定されているグループ着信対応の設定項目に関する設定データを選択して(ステップ508)、複写する(ステップ505)。ここで、自電話端末1が複数の内線グループに所属している場合にはどの内線グループへの着信であったかも判別し、その内線グループに係わる設定データを選択する。そして、複写した設定データを設定データ送信部107に引き渡す。
【0098】
複写された設定データを受けた設定データ送信部107は、電話機能部102を介して、相手電話端末1に設定データを送信する(ステップ506)。そして、本フローを終了する。
【0099】
一方、設定データ選択/複写部108は、通話呼を確立した着信形態が外線着信の場合(ステップ507でNO)、電話設定部103から、自電話端末に設定されている外線着信対応の設定項目に関する設定データを選択して(ステップ509)、複写する(ステップ505)。そして、複写した設定データを設定データ送信部107に引き渡す。
【0100】
複写された設定データを受けた設定データ送信部107は、電話機能部102を介して、相手電話端末1に設定データを送信する(ステップ506)。そして、本フローを終了する。
【0101】
以上、本発明の実施の形態について説明した。
【0102】
本実施の形態に係る電話端末1は、通常の発着信動作で確立した通話呼の中で、相手電話端末1から複写した設定データを自電話端末1の設定に反映する。また、通話呼を確立した着信形態に応じて、複写する設定データを選択する。
【0103】
従って、本実施の形態によれば、LANの構成とは無関係に、ユーザが設定内容や電話端末に直接設定を行う方法を知らなくとも、1台の設定済み電話端末があればそれと同じ設定を行うことができる。
【0104】
また、特別に電話端末を設定する環境を設けずに、電話システムの運用形態のまま設定を行える。
【0105】
更には、設定済みの電話端末の一部の設定を、その設定に関連する発着信形態を利用したユーザにわかりやすい方法で選択的に自電話端末1に反映させることができる。
【0106】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0107】
例えば、上記の実施の形態において、設定データは電話端末1に保存されているが、サーバ/ゲートウェイ2に保存しても良い。
【0108】
また、図5に示す電話端末1の機能構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいはDSP(Digital Signal Processor)などの計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。または、CPU、メモリ、HDD、DVD−ROM等の補助記憶装置、およびNIC(Network Interface Card)、モデム等の通信インターフェースを備えたPC(Personal Computer)等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することで実現されるものでもよい。
【符号の説明】
【0109】
1:電話端末、2:サーバ/ゲートウェイ、3:LAN、4:WAN、100:通信インターフェース部、101:マンマシンインターフェース部、102:電話機能部、103:電話設定部、1030:着信形態対応設定項目テーブル、104:着信形態記憶部104、105:設定データ要求信号送信部、106:設定データ要求信号受信部、107:設定データ送信部、108:設定データ選択/複写部、109:設定データ受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話機の機能または動作に係わる複数の設定項目を具備する電話端末であって、
他電話端末との通話中に自電話端末に対して特定操作が為されると前記他電話端末に対して前記他電話端末に設定されている所定の設定項目に係わる設定データの送信を要求する設定データ送信要求手段と、
前記他電話端末から前記設定項目に係わる設定データを受信すると当該設定データを自電話端末に設定する設定手段と、
他電話端末から通話中に自電話端末に対して設定データの送信を要求され、且つ、自電話端末に対して送信を許可する特定操作が為されると、自電話端末に設定されている所定の設定項目に係わる設定データを送信する設定データ送信手段とを有することを特徴とする設定データ通信機能を有する電話端末。
【請求項2】
請求項1に記載の電話端末であって、
他電話端末から着信があった場合に当該着信がグループ着信、個別着信、外線着信のいずれかの着信形態であるかを記憶する着信形態記憶手段と、
前記着信形態の種別と前記複数の設定項目の各々を対応付けて記憶する着信種別対応設定項目記憶手段と、をさらに有し、
他電話端末から通話中に自電話端末に対して設定データの送信を要求され、且つ、自電話端末に対して送信を許可する特定操作が為されると、着信種別対応設定項目記憶手段を参照して、自電話端末に設定されている設定項目の内、 当該着信形態に係わる設定データを前記通話中の他電話端末に送信することを特徴とする設定データ通信機能を有する電話端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−227661(P2012−227661A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92354(P2011−92354)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】