説明

設定受付方法及びコンピュータプログラム

【課題】印刷装置の印刷設定を受け付けるダイアログボックスが多数のページを有し、各ページに多数の設定項目が設けられている場合に、ユーザが設定状態の確認及び設定の変更等を容易に行うことができる設定受付方法及びコンュータプログラムを提供する。
【解決手段】ダイアログボックスの複数のタブページに共通の表示を行う共通表示領域50を設ける。共通表示領域50の一覧表示部51には、ダイアログボックスにて設定可能ないくつかの設定項目の設定状態を一覧表示する。一覧表示部51に表示した各設定状態は、ユーザにより選択可能にしてあり、選択操作に伴って設定状態の表示が切り替えられ、選択操作により設定状態を直接的に変更することができる。選択した設定状態に係る設定項目に付随する従属的な設定項目が存在する場合には、選択操作に伴ってサブメニューを表示し、従属的な設定項目の設定を受け付ける構成としてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ又はデジタル複合機等の印刷装置に係る設定を受け付ける設定受付方法及びプリンタドライバなどのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PC(パーソナルコンピュータ)などで作成された文章又は画像等による原稿を印刷用紙に印刷する印刷装置が広く普及している。また、近年では、印刷機能の他にファクシミリ機能、スキャナ機能及びコピー機能等の多数の機能を備える印刷装置、所謂デジタル複合機も普及している。これらの印刷装置は、LANなどのネットワーク又は印刷装置用の専用ケーブル等を介してPCに接続される。PCにて動作するワープロ又は表計算等のアプリケーションプログラムにて作成された原稿に係るデータを与えられて、印刷用紙に原稿の印刷を行う。このとき、PC上のアプリケーションプログラムと印刷装置との間のデータの授受は、印刷装置を制御するためのコンピュータプログラム、所謂プリンタドライバを介して行われる。プリンタドライバは、アプリケーションプログラムから原稿に係るデータが与えられる。原稿に係るデータを与えられたプリンタドライバは、このデータを印刷装置が印刷を行うためのデータ形式に変換して印刷装置へ与える。
【0003】
印刷装置にて印刷を行う際には、印刷用紙のサイズ、印刷用紙の向き、集約印刷又は両面印刷等の印刷条件を設定して多種多様な原稿の印刷を行うことができる。プリンタドライバはユーザによる印刷条件の設定を受け付けて、設定に応じたデータを印刷装置へ与えると共に、設定に応じた印刷装置の制御を行う。ユーザがPCからこれらの設定を行う場合、PCの画面に設定用のダイアログボックスを表示し、このダイアログボックスに設けられた設定項目を選択操作して行う。
【0004】
特許文献1においては、PCのディスプレイにプロパティダイアログボックスを表示し、このダイアログボックスにプリンタの外観を模式的に示す絵図の画像と、プリンタへの給紙に関わる情報を示す給紙掲示欄と、排紙に関わる情報を示す排紙掲示欄とを引出線によって関連付けて表示する印刷情報設定装置が提案されている。これにより、プリンタドライバによる給紙及び排紙の設定時の操作性を高めることができるという利点がある。
【0005】
特許文献2においては、印刷設定画面を表示する際に、印刷装置の全体又は一部の三次元画像を表示すると共に、そのときに既に設定されている印刷装置の各部における印刷設定情報を収集して、収拾した印刷情報を表すアニメーション動画を表示するプリンタドライバプログラムが提案されている。これにより、印刷装置の印刷設定項目をユーザが容易に視覚的に確認することができるという利点がある。
【特許文献1】特開2005−293607号公報
【特許文献2】特開2004−230836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年の印刷装置では、多機能化に伴ってプリンタドライバにより設定可能な設定項目の数も増加している。設定項目の増加から、プリンタドライバにより表示される設定のためのダイアログボックスには、表示を切り替えることが可能な複数のページ、所謂タブページが設けられる。各タブページには、多数の設定項目が機能毎にまとめられて分散して配置されることが多い。ユーザは設定の変更を行う場合に、ダイアログボックスのタブページを切り替えて所望の設定項目を表示させる必要があり、操作が繁雑であるという問題があった。また、ダイアログボックスに多数のタブページが設けられている場合には、多数のタブページを切り替えて所望の設定項目を探し出さなければならない。よって、印刷装置の多機能化に伴って所望の設定項目を探し出すことが困難となり、プリンタドライバの操作性及び利便性等を低下させるという問題があった。これにより、ユーザが印刷装置の機能を十分に利用することができない虞がある。
【0007】
特許文献1に記載の印刷情報設定装置は、プリンタの画像、給紙掲示欄及び排紙掲示欄を引出線で関連付けて表示する。これにより、ユーザによる設定状態の確認及び変更等を容易化することが可能であり、プリンタの給紙及び排紙に関する設定については操作性を向上することができる。しかしながら、その他の多種多様な設定項目について操作性を向上することはできず、上述の問題点を解決することはできない。
【0008】
特許文献2に記載のプリンタドライバプログラムは、印刷装置の各部の設定情報を視覚的にユーザに示すことができ、設定状態の確認をユーザが容易に行うことができる。しかしながら、設定の変更を容易化するものではなく、上述の問題を解決することはできない。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、共通表示領域に対する操作のみで簡単に設定状態を変更することができる設定受付方法及びコンピュータプログラムを提供することにある。このため、ダイアログボックスの複数のページに共通する共通表示領域を設けて、一又は複数の設定項目の設定状態を共通表示領域に表示すると共に、表示された設定状態への選択の受け付けに伴って設定状態を変更する構成の設定受付方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【0010】
また本発明の他の目的とするところは、所謂トグル的な切替方法で設定状態を変更させることができ、簡単な操作で設定状態の変更を行うことができるコンピュータプログラムを提供することにある。このため、複数の項目から一の項目を択一的に選択して設定する設定項目について、共通表示領域に表示された設定状態の選択を受け付ける都度、設定状態を順に変更する構成の設定受付方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【0011】
また本発明の他の目的とするところは、多数の項目の設定を行う必要がある設定項目についても、簡単な操作で設定状態の変更を行うことができるコンピュータプログラムを提供することにある。このため、従属して設定する必要のある従属設定項目を有する設定項目について、共通表示領域に表示された設定状態の選択を受け付けた場合には、この従属設定項目のための受付手段を更に表示して設定を受け付ける構成の設定受付方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1発明に係る設定受付方法は、印刷装置に係る一又は複数の設定項目がそれぞれ設けられた複数のページ及び該複数のページの表示を切り替える切替手段を有するダイアログボックスを表示し、該ダイアログボックスの設定項目に対する設定を受け付ける設定受付方法において、前記複数のページに共通して設けられた共通表示領域を有する前記ダイアログボックスを表示し、前記共通表示領域に一又は複数の設定項目の設定状態を表示し、前記共通表示領域に表示された設定状態への選択を受け付け、選択の受け付けに伴って前記設定状態を変更することを特徴とする。
【0013】
また、第2発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、印刷装置に係る一又は複数の設定項目がそれぞれ設けられた複数のページ及び該複数のページの表示を切り替える切替手段を有するダイアログボックスを表示させ、該ダイアログボックスの設定項目に対する設定を受け付けさせ、受け付けた設定に応じて前記印刷装置に印刷を行わせるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、前記複数のページに共通して設けられた共通表示領域を有する前記ダイアログボックスを表示させ、前記共通表示領域に一又は複数の設定項目の設定状態を表示させ、前記共通表示領域に表示された設定状態への選択を受け付けさせ、選択の受け付けに伴って前記設定状態を変更させることを特徴とする。
【0014】
また、第3発明に係るコンピュータプログラムは、選択を受け付けた設定状態に係る設定項目が、複数の項目から一の項目を択一的に選択して設定するものである場合に、コンピュータに、前記選択状態への選択を受け付ける都度、前記選択状態を順に前記複数の項目に変更させることを特徴とする。
【0015】
また、第4発明に係るコンピュータプログラムは、設定を受け付けた設定状態に係る設定項目が、従属して設定する必要のある従属設定項目を有する場合に、コンピュータに、前記従属設定項目の設定を受け付ける受付手段を表示させ、前記従属設定項目の設定を受け付けさせることを特徴とする。
【0016】
本発明においては、タブページ及びタブなどの複数のページ及び切替手段を有し、設定項目の設定状態を複数のページに共通して表示する共通表示領域を設けたダイアログボックスを表示して、印刷装置に係る設定の受け付けを行う。また、共通表示領域に表示された設定状態へのユーザによる選択を受け付けて、選択の受け付けに伴って設定状態の変更を行う。ユーザは、共通表示領域に表示された設定状態について、ページの切り替えを行うことなく設定状態の変更を行うことが可能となる。共通表示領域に、ユーザが変更を頻繁に行う可能性が高い設定項目の設定状態を表示しておくことによって、設定変更のための操作を確実に簡略化することができる。
【0017】
また、本発明においては、例えば、印刷した複数部の出力をソートするか否か、又は印刷装置に搭載された3つの給紙トレイのいずれを選択するか等のように、複数の項目から一の項目を択一的に選択して設定する設定項目については、設定状態の選択を受け付ける都度、設定状態を順に変更する。上述のソートするか否かの設定は、選択を受け付ける毎にソートする又はソートしないをトグル的に変更することができる。また、給紙トレイの選択設定は、給紙トレイ1、給紙トレイ2、給紙トレイ3、自動選択等の順に繰り返し変更することができる。ユーザは設定状態の選択操作(例えばマウスのクリック操作など)のみで設定を変更することができる。
【0018】
また、本発明においては、例えば、原稿サイズの設定に伴う原稿の向き設定、又はステープル止めを行うか否かの設定に伴うステープル止めの位置設定等のように、主となる設定項目が従属する設定項目を有するとき、設定状態の選択を受け付けた場合に従属設定項目の設定を受け付ける受付手段を表示する。これにより、従属設定項目についてもページの切り替えを行うことなく設定を行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
第1発明及び第2発明による場合は、ダイアログボックスの複数のページに共通して設けられた共通表示領域に、一又は複数の設定項目の設定状態を表示する。また、表示された設定状態への選択の受け付けに伴って設定状態を変更する。これにより、共通表示領域に表示された設定状態について、ユーザはページの切り替えを行うことなく設定状態の変更を行うことができる。よって、設定状態の変更を容易に行うことができ、印刷装置の設定を行うプリンタドライバなどのコンピュータプログラムの操作性及び利便性等を向上させることができる。
【0020】
また、第3発明による場合は、複数の項目から一の項目を択一的に選択して設定する設定項目について、共通表示領域に表示された設定状態の選択を受け付ける都度、設定状態を順に変更する。これにより、ユーザは設定状態の選択操作のみで設定を変更することができ、簡単な操作で設定状態の変更を行うことができるため、コンピュータプログラムの操作性をより向上させることができる。
【0021】
また、第4発明による場合は、従属して設定する必要のある従属設定項目を有する設定項目について、設定状態の選択を受け付けた場合に、従属設定項目のための受付手段を更に表示して設定を受け付ける。これにより、従属設定項目についてもページの切り替えを行うことなく設定を行うことができる。よって、設定状態の変更を行うための操作を簡単化することができ、コンピュータプログラムの利便性をより向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、本発明に係る設定受付方法を適用した印刷システムの構成を示すブロック図である。図において10はプリンタ又はデジタル複合機等の印刷装置である。印刷装置10は、印刷機能の他にスキャナ機能、コピー機能又はファクシミリ機能等を備えるものであってよいが、図1にはその他の機能を実現するためのハードウェアについては図示を省略してあり、印刷機能に関するハードウェアを図示してある。また、図において30はPCであり、本実施の形態の印刷システムは、印刷装置10及びPC30がUSB(Universal Serial Bus)ケーブル又はLAN(Local Area Network)ケーブル等の通信ケーブルにより接続され、PC30から印刷用のデータが印刷装置10へ与えられて、印刷装置10がこのデータの印刷を行う構成である。
【0023】
PC30は、RAM(Random Access Memory)32、ハードディスク33、操作部34、表示部35、補助記憶装置36及び通信部37と、これらの各部の動作の制御及び各種の演算等を行うCPU(Central Processing Unit)31とを備えている。RAM32は、CPU31の演算及び制御等の処理に伴って発生する一時的なデータを記憶するものであり、DRAM又はSRAM等のメモリ素子により構成してある。ハードディスク33は、数百GB又はそれ以上の容量を有する磁気記憶装置であり、PC30を動作させるためのOS(Operation System)33a、ワードプロセッサ又は表計算等のアプリケーション33b、及び印刷装置10の制御を行うプリンタドライバ33c等がインストールされて記憶してある。補助記憶装置36は、CD−ROMドライブ、DVD−ROMドライブ又はメモリスロット等であり、外部の記憶媒体に記憶されたデータ又はプログラム等をハードディスク33にインストールする場合に用いることができる。CPU31は、ハードディスク33に記憶された各種のプログラムをRAM32に読み出して実行することにより、各種の演算及び各部の制御を行う。
【0024】
操作部34は、キーボード及びマウス等の入力装置により構成されるものであり、ユーザの操作を受け付けてCPU31に操作内容を通知する。これにより、CPU31はユーザの操作に応じた処理を行うことができる。表示部35は、液晶ディスプレイ又はCRTディスプレイ等の表示装置により構成されるものであり、ユーザへ種々の画像を表示することができる。通信部37は、USBケーブル、パラレルケーブル又はLANケーブル等の通信ケーブルを接続するための接続ポートを有しており、接続されて通信ケーブルを介して印刷装置10との間でデータの送受信を行う。
【0025】
また、印刷装置10は、ROM(Read Only Memory)12、印刷部13、通信部14、RAM15、操作部16及び表示部17等と、これらの各部の動作の制御及び各種の演算等を行う制御部11とを備えている。ROM12は、マスクROM又はEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の不揮発性のメモリ素子で構成してあり、制御部11の動作に必要な制御プログラム及び各種のデータ等が予め記憶してある。RAM15は、DRAM又はSRAM等のメモリ素子により構成してあり、PC30から与えられた印刷用の画像データ並びに制御部11の演算及び制御等の処理に伴って発生するデータ等の一時的な記憶を行うものである。制御部11は、CPU又はMPU(Micro Processing Unit)等により構成されるものであり、ROM12に記憶された制御プログラムを読み出して実行することによって制御処理及び各種の演算処理を行う。
【0026】
印刷部13は、半導体レーザ又はLED等の光源、トナーを付着させる感光体、及びトナーを熱又は圧力で印刷媒体へ転写して定着させる定着部等を有し、PC30から与えられる画像データに応じて、印刷用紙に画像の印刷を行うものである。通信部14は、USBケーブル、パラレルケーブル又はLANケーブル等の通信ケーブルを接続するための接続ポートを有しており、接続された通信ケーブルを介してPC30との間でデータの送受信を行う。
【0027】
操作部16は、電源ボタン、排紙ボタン及び設定ボタン等の複数のボタンを有し、ユーザからの操作を受け付けて制御部11へ操作内容を通知する。表示部17は、液晶パネルなどにより構成してあり、印刷装置10の動作状態、ユーザへの操作入力を促すメッセージ又はユーザへの警告メッセージ等を液晶パネルに表示する。なお、操作部16及び表示部17を一体化したタッチパネルを用いる構成であってもよい。
【0028】
ユーザは、PC30にてワードプロセッサ又は表計算等のアプリケーション33bを使用して原稿を作成する。原稿作成後、ユーザは、アプリケーション33bからプリンタドライバ33cを起動して又は直接的に作成した原稿をプリンタドライバ33cに与えることにより、印刷装置10にて原稿の印刷を行うことができる。このときに、印刷装置10の印刷に係る各種の設定、例えばA4、A3若しくはB5等の印刷する用紙のサイズ設定、両面印刷を行うか否かの設定、又は集約印刷を行うか否かの設定等は、ユーザがプリンタドライバ33cに印刷設定ダイアログボックスを表示させることにより行うことができる。
【0029】
図2及び図3は、本発明に係るプリンタドライバ33cにより表示される印刷設定ダイアログの一構成例を示す模式図である。ユーザは、PC30のアプリケーション33bなどを用いて原稿を作成し、作成した原稿を印刷する場合には、PC30の操作部34のマウス又はキーボード等を操作してOS33a又はアプリケーション33bに指示を与える。これにより、プリンタドライバ33cを起動し、図示の印刷設定ダイアログボックス100をPC30の表示部35に表示させて印刷に係る各種の設定を行うことができる。
【0030】
印刷設定ダイアログボックス100では、原稿を印刷する印刷用紙に係る設定、集約印刷又は両面印刷等のレイアウトに係る設定、印刷解像度又は印刷濃度等の印刷品質に係る設定、及び、ソート又はステープル止め等の出力方法に係る設定等を行うことができる。これらの各設定を行うための設定項目を集めた複数のタブページが印刷設定ダイアログボックス100に設けてある。ユーザは、”用紙”タブ101、”レイアウト”タブ102、”印刷品質”タブ103及び”出力”タブ104のいずれかを操作部34のマウスなどを用いて選択することによって所望のタブページを表示することができる。図2には、”用紙”タブ101を選択して用紙タブページを表示した状態の印刷設定ダイアログボックス100を図示してある。図3には、”出力”タブ104を選択して出力タブページを表示した状態の印刷設定ダイアログボックス100を図示してある。
【0031】
また、印刷設定ダイアログボックス100の下部には、OKボタン105、キャンセルボタン106及び適用ボタン107が左右に並べて設けてある。プリンタドライバ33cは、OKボタン105が操作された場合、印刷設定ダイアログボックス100にて設定された設定内容を記憶して反映させると共に、印刷設定ダイアログボックス100を閉じる(表示をオフにする)。キャンセルボタン106が操作された場合には設定内容を反映させることなく印刷設定ダイアログボックス100を閉じる。また、適用ボタン107が操作された場合には印刷設定ダイアログボックス100を閉じることなく設定を記憶して反映させる。
【0032】
印刷設定ダイアログボックス100の用紙タブページでは(図2参照)、印刷する部数の設定、原稿のサイズに係る設定、拡大/縮小の設定、給紙カセットの選択に係る設定、及び印刷用紙の種類に係る設定等を行うことができる。これらの設定を行うための設定項目はグループボックス110〜150によりグループ化されてまとめられ、用紙タブページの右側に適宜に並べて表示してある。また、用紙タブページの左側には、印刷設定の現在の設定状態を表示する設定状態表示領域50が設けてある。
【0033】
印刷部数の設定に係る設定項目はグループボックス110にてグループ化されており、数値入力ボックス111が設けてある。数値入力ボックス111には1〜999の数値を入力することができ、これにより印刷部数を指定することができる。
【0034】
原稿サイズに係る設定はグループボックス120にてグループ化されており、コンボボックス121、プッシュボタン122及びラジオボタン123により構成してある。コンボボックス121では、A4、A3又はB5等の用紙サイズの一覧から一の原稿のサイズを選択することができる。プッシュボタン122は、”不定形設定…”の文字列がラベルとして付してあり、ユーザにより操作された場合には原稿のサイズを任意のサイズに設定するための設定項目を有する別のダイアログボックスを表示する。ラジオボタン123は、印刷の向きを設定するためのものであり、たて又はよこのいずれかを選択することができる。
【0035】
拡大/縮小の設定はグループボックス130にてグループ化されており、ラジオボタン131、コンボボックス132、チェックボックス133及び数値入力ボックス134により構成してある。ラジオボタン131は3つのボタンで構成してあり、拡大/縮小を行うか否か及び拡大/縮小の指定方法を選択することができる。具体的には、”指定しない”、”出力用紙サイズを指定する”又は”倍率を指定する”の何れか1つを選択することができる。”指定しない”を選択した場合には拡大/縮小を行わない設定となる。また、”出力用紙サイズを指定する”を選択した場合には、更にコンボボックス132により印刷用紙のサイズを指定することができ、チェックボックス133をチェックすることによって指定した印刷用紙のサイズに合わせた拡大/縮小を行うことができる。また、”倍率を指定する”を選択した場合には、数値入力ボックス134により25%〜400%までの拡大/縮小の倍率を直接的に数値で指定することができる。
【0036】
印刷装置10の給紙カセットの選択に係る設定はグループボックス140にてグループ化されており、コンボボックス141が設けてある。コンボボックス141では自動選択又は印刷装置10が有する複数の給紙カセットのいずれかを選択することができる。自動選択が指定された場合には、上述の原稿サイズの設定にて指定された原稿サイズの印刷用紙が収容された給紙カセットが自動的に選択される。個別の給紙カセットが指定された場合には、原稿サイズの設定に関わらず、指定された給紙カセットに収容された印刷用紙に原稿が印刷される。また、用紙の種類に係る設定はグループボックス150にてグループ化されており、コンボボックス151が設けてある。コンボボックス151では普通紙、特殊紙又は再生紙等のいずれかを選択することができる。
【0037】
設定状態表示領域50は上下に長い矩形領域として用紙タブページの左側に設けてある。設定状態表示領域50は、用紙タブページのみではなくレイアウトタブページ、印刷品質タブページ及び出力タブページにも同じ内容のものが設けてある共通の領域である。これにより、いずれのタブページが表示されている場合であっても、ユーザが設定状態を確認することができる。
【0038】
設定状態表示領域50の上部には、印刷設定ダイアログボックス100にて設定された項目の現在の設定状態を一覧表示する一覧表示部51が設けてある。印刷設定ダイアログボックス100には、複数のページに亘って10〜30程度の数の設定項目が設けてあるが、一覧表示部51にはこれらの設定項目からいくつかの設定項目が選択されて、設定状態を表示する。図示の例では設定状態表示領域50の一覧表示部51に原稿のサイズ、拡大/縮小、集約印刷、両面印刷、印刷の解像度、ソート及びシフトに係る設定の7つの状態が表示してある。一覧表示部51に設定状態を表示する設定項目は、予め定められた7つに固定する構成であってもよいが、例えばユーザが各設定項目を使用した頻度に応じて変更する構成とすることもできる。また、例えばユーザが一覧表示部51に表示する設定項目を任意に選択可能な構成とすることもできる。
【0039】
また、設定状態表示領域50の中央部には、”レイアウト”タブ102を選択することで表示されるレイアウトタブページ(図示は省略する)にて設定することができる集約印刷又は両面印刷等の設定内容を模式的にアイコン52として表示する。図2の例では、レイアウトに係る設定として、原稿の2ページを1枚の印刷用紙に集約する集約印刷と両面印刷とが設定された状態がアイコン52にて図示してある。また、設定状態表示領域50の下部には、印刷装置10を表象するアイコン53を表示する。アイコン53は印刷装置10の側面視を模式的に描いた画像である。アイコン53に描かれた印刷装置10の給紙カセットに相当する部分には、内部に収容された印刷用紙のサイズが表示してある。
【0040】
図2に示す状態にて、ユーザがPC30の操作部34のマウスなどを操作して”出力”タブ104を選択した場合、図3に示すように、プリンタドライバ33cは印刷設定ダイアログボックス100には出力タブページを表示する。印刷設定ダイアログボックス100の出力タブページでは、ソート出力を行うか否かの設定、シフト出力を行うか否かの設定、排出トレイの選択に係る設定、出力した原稿のステープル止めに係る設定、及び出力した原稿のパンチ穴開けに係る設定等を行うことができる。これらの設定を行うための設定項目は、グループボックス220〜260によりグループ化されてまとめられ、出力タブページの右側に上下に並べて表示してある。各グループボックス220〜260内にはラジオボタン、コンボボックス及びプッシュボタン等の種々の設定手段が設けてある。また、出力タブページの左側には、用紙タブページのものと同じ設定状態表示領域50が設けてある。
【0041】
ソート出力の設定に係る設定項目はグループボックス220にてグループ化されており、ラジオボタン221が設けてある。ラジオボタン221により、ソート出力を”する”又は”しない”のいずれかをユーザが選択することができる。同様に、シフト出力の設定に係る設定項目はグループボックス230にてグループ化されており、シフト出力を”する”又は”しない”のいずれかを選択することができるラジオボタン231が設けてある。
【0042】
排出トレイの選択に係る設定はグループボックス240にてグループ化されており、コンボボックス241が設けてある。コンボボックス241により印刷装置10に備えられた複数の排出トレイが一覧表示され、ユーザが一覧表示された排出トレイから一の排出トレイを選択することができる。
【0043】
ステープル止めに係る設定はグループボックス250にてグループ化されており、チェックボックス251、コンボボックス252及びプッシュボタン253により構成してある。チェックボックス251によりステープル止めを行うか否かを設定することができる。また、ステープル止めを行う設定とした場合には、コンボボックス252にてステープル止めを行う原稿の位置についての設定を行うことができ、更に”詳細設定”のラベルが付されたプッシュボタン253を操作することにより詳細な設定を行うためのダイアログボックスを表示することができる。
【0044】
同様に、パンチ穴開けに係る設定はグループボックス260にてグループ化されており、チェックボックス261、コンボボックス262及びプッシュボタン263により構成してある。チェックボックス261によりパンチ穴開けを行うか否かを設定することができる。また、パンチ穴開けを行う設定とした場合には、コンボボックス262にて穴開けを行う原稿の位置についての設定を行うことができ、更に”詳細設定”のラベルが付されたプッシュボタン263を操作することにより詳細な設定を行うためのダイアログボックスを表示することができる。
【0045】
ここで、ユーザがプリンタドライバ33cを起動し、図2に示す状態の印刷設定ダイアログボックス100がPC30の表示部35に表示されたとする。ユーザがソート出力に係る設定の変更を行う場合には、印刷設定ダイアログボックス100の”出力”タブ104を選択して出力タブページを表示し、グループボックス220にてグループ化されたソート出力に係る設定項目のラジオボタン221の選択を変更することによって、ユーザは設定を変更することができる。ラジオボタン221の選択が変更された場合、プリンタドライバ33cは設定状態表示領域50の表示を更新して、ソート出力の設定に係る設定状態の表示を変更する。
【0046】
また、本発明に係るプリンタドライバ33cでは、上述のようなタブページを切り替えて設定の変更を行う方法とは別に、設定状態表示領域50を利用して設定の変更を行うことができる。図4及び図5は、本発明に係るプリンタドライバ33cでの設定変更の方法を説明するための模式図であり、印刷設定ダイアログボックス100の設定状態表示領域50のみを抜き出して図示してある。設定状態表示領域50の一覧表示部51に表示された複数の設定状態は、PC30の操作部34のマウスなどを用いてユーザが選択操作(例えば、クリック操作など)をすることにより、いずれか1つの設定状態を選択することができる(図においては、選択された設定状態にハッチングを付してある)。
【0047】
例えば、図4はソート出力に係る設定の変更を行う場合である。ソート出力に係る設定は、上述のようにソート出力を”する”又は”しない”のいずれかを選択するのみである。このような設定項目では、設定状態表示領域50の一覧表示部51に表示された設定状態が選択操作された場合に、設定状態の表示が”する”又は”しない”のいずれかに交互に切り替えられ、これにより設定の変更を行うことができる。即ち、ソート印刷を”する”設定(図4(a)参照)と、ソート印刷を”しない”設定(図4(b)参照)とを、ユーザは設定状態表示領域50に表示された設定状態への選択操作のみでトグル的に行うことができる。
【0048】
設定状態表示領域50は、印刷設定ダイアログボックス100のすべてのタブページに共通して設けられるものである。このため、いずれのタブページが表示されている場合であっても、ソート出力に係る設定の変更を行うことができる。なお、用紙タブページ、レイアウトタブページ及び印刷品質タブページ等の出力タブページ以外のタブページにて設定状態表示領域50に表示されたソート出力に係る設定状態が選択操作された場合に、プリンタドライバ33cは印刷設定ダイアログボックス100に表示するタブページの切り替えを行って出力タブページを表示する必要はないが、切り替えを行う構成としてもよい。
【0049】
また、例えば、図5は拡大/縮小に係る設定の変更を行う場合である。上述のように、拡大/縮小に係る設定は”指定しない”、”出力用紙サイズを指定する”又は”倍率を指定する”の3つから選択することができる。更に、”出力用紙サイズを指定する”を選択した場合には、印刷用紙のサイズの選択と、このサイズにあわせるか否かの選択との従属的な設定(従属設定項目)を行うことができる。”倍率を指定する”を選択した場合には、従属設定項目として拡大/縮小の倍率を数値で入力することができる。
【0050】
このような設定項目では、設定状態表示領域50に表示された設定状態が選択操作される都度、”指定しない”、”出力用紙サイズを指定する”又は”倍率を指定する”の3つの設定が順に繰り返して切り替えられる。これと共に、従属設定項目を設定するためのサブメニュー55又は58を表示して、プリンタドライバ33cがユーザの選択を受け付ける。図5(a)に示す状態は拡大/縮小の設定を”指定しない”場合であり、設定状態として”100%”が表示されている。図5(a)の状態にて拡大/縮小の設定状態をユーザが選択操作した場合には、プリンタドライバ33cは拡大/縮小の設定を”出力用紙サイズを指定する”に変更すると共に、サブメニュー55を表示する(図5(b)参照)。サブメニュー55には、用紙サイズの一覧を表示して一の選択を受け付けるプルダウンメニューと、選択した用紙サイズにあわせて拡大/縮小を行うか否かを選択するチェックボックスとが設けてある。
【0051】
また、図5(b)に示す状態にて設定状態表示領域50の拡大/縮小の設定状態をユーザが選択操作した場合には、プリンタドライバ33cは拡大/縮小の設定を”倍率を指定する”に変更すると共に、サブメニュー58を表示する(図5(c)参照)。サブメニュー58には、倍率を数値として入力することができる数値入力ボックスが設けてあり、25〜400の数値の入力をプリンタドライバ33cが受け付けることができる。図5(c)に示す状態にて拡大/縮小の設定状態をユーザが選択操作した場合には、プリンタドライバ33cは拡大/縮小の設定を”指定しない”に変更する(図5(a)参照)。
【0052】
以上の構成の印刷システム及びプリンタドライバ33cにおいては、印刷設定ダイアログボックス100に全てのタブページに共通の設定状態表示領域50を設けて印刷装置10の設定状態を表示する構成とすることにより、ユーザが設定状態の確認を容易に行うことができる。また、設定状態表示領域50に一覧表示された設定状態をユーザが選択操作することによってトグル的に設定の変更を行うことができる構成とすることにより、ユーザは印刷設定ダイアログボックス100に表示するタブページの切り替えを行うことなく設定の変更を行うことができる。また、設定状態表示領域50に表示された設定状態に係る設定項目が従属設定項目を有する場合には、サブメニューを表示して従属設定項目の設定を受け付ける構成とすることにより、複雑な設定項目であっても設定状態表示領域50を利用してタブページを切り替え表示することなく設定の変更を行うことができる。
【0053】
なお、本実施の形態においては、設定状態表示領域50の一覧表示部51に7つの設定状態を表示する構成としたが、一例であってこれに限るものではなく、6つ以下又は8つ以上の設定状態を表示する構成としてもよく、表示する設定状態も図示のものに限らない。また、一覧表示部51に設定状態を文字で表示しているが、これに限るものではなく、アイコンなどで表示する構成としてもよい。また、図2及び図3に示した印刷設定ダイアログボックス100の設定項目の配置及びデザイン等は、一例であってこれに限るものではない。また、従属設定項目をサブメニューを用いて設定する構成としたが、これに限るものではなく、従属設定項目を有する設定項目の設定状態が選択操作された場合に、この従属設定項目が設けられたタブページを自動的に切り替えて表示し、ユーザに従属設定項目の入力を促す構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る設定受付方法を適用した印刷システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係るプリンタドライバにより表示される印刷設定ダイアログの一構成例を示す模式図である。
【図3】本発明に係るプリンタドライバにより表示される印刷設定ダイアログの一構成例を示す模式図である。
【図4】本発明に係るプリンタドライバでの設定変更の方法を説明するための模式図である。
【図5】本発明に係るプリンタドライバでの設定変更の方法を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0055】
10 印刷装置
30 PC
31 CPU
33 ハードディスク
33c プリンタドライバ
34 操作部
35 表示部
50 設定状態表示領域(共通表示領域)
51 一覧表示部
52、53 アイコン
55、58 サブメニュー(受付手段)
100 印刷設定ダイアログボックス(ダイアログボックス)
101 ”用紙”タブ(切替手段)
102 ”レイアウト”タブ(切替手段)
103 ”印刷品質”タブ(切替手段)
104 ”出力”タブ(切替手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置に係る一又は複数の設定項目がそれぞれ設けられた複数のページ及び該複数のページの表示を切り替える切替手段を有するダイアログボックスを表示し、該ダイアログボックスの設定項目に対する設定を受け付ける設定受付方法において、
前記複数のページに共通して設けられた共通表示領域を有する前記ダイアログボックスを表示し、
前記共通表示領域に一又は複数の設定項目の設定状態を表示し、
前記共通表示領域に表示された設定状態への選択を受け付け、
選択の受け付けに伴って前記設定状態を変更すること
を特徴とする設定受付方法。
【請求項2】
コンピュータに、
印刷装置に係る一又は複数の設定項目がそれぞれ設けられた複数のページ及び該複数のページの表示を切り替える切替手段を有するダイアログボックスを表示させ、該ダイアログボックスの設定項目に対する設定を受け付けさせ、受け付けた設定に応じて前記印刷装置に印刷を行わせるコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、
前記複数のページに共通して設けられた共通表示領域を有する前記ダイアログボックスを表示させ、
前記共通表示領域に一又は複数の設定項目の設定状態を表示させ、
前記共通表示領域に表示された設定状態への選択を受け付けさせ、
選択の受け付けに伴って前記設定状態を変更させること
を特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項3】
選択を受け付けた設定状態に係る設定項目が、複数の項目から一の項目を択一的に選択して設定するものである場合に、
コンピュータに、
前記選択状態への選択を受け付ける都度、前記選択状態を順に前記複数の項目に変更させること
を特徴とする請求項2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
設定を受け付けた設定状態に係る設定項目が、従属して設定する必要のある従属設定項目を有する場合に、
コンピュータに、
前記従属設定項目の設定を受け付ける受付手段を表示させ、
前記従属設定項目の設定を受け付けさせること
を特徴とする請求項3に記載のコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−234001(P2008−234001A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−68839(P2007−68839)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】