説明

設計の段階におけるオブジェクトの位置決め支援の方法と装置

複数の専門家集団に関係する複合環境において、幾何学及び/又は数学的条件に基づいて、3Dオブジェクトに関する位置付けを支援する方法と装置。本発明によると、パラメータモデルが各オブジェクトに対して選択される(1000)。同様に、条件のモデル化を含むパラメータモデルが選択される(1025)。複数オブジェクトの内の1つが表示され(1010)、別のオブジェクト位置づけが可能になり(1015)、これが表示される(1020)。条件のモデル化を含む各パラメータモデルに対して、複数オブジェクトの内の1つの位置づけに関係するデータがアクセスされ、対応する条件の評価が可能になる(1035)。1つのオブジェクトが追加される又は移動されるときに、複数オブジェクトに関係する位置及び複数条件は再評価される(1065)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の要素からなる3次元(3D)オブジェクトの設計(conception)に関する。特に、設計の段階における幾何学的、数学的条件(contrainte)により第2オブジェクトに対する第1オブジェクトの相対的位置決めを行うための支援方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機のような複合体の設計は、複数要素に対する位置決めを必要とする。第2要素に対する第1要素の位置決めは、種々の専門家集団(corps de metier)に関係する。例えば、航空機の翼にエンジンを配置する場合、エンジンの専門家、機械技術者、空気力学専門家、音響技術者、その他の専門家を必要とする。
【0003】
従来、位置決めに関するスタディは、連続的部分的解析の形で行われていた。前記集団の複数専門家は、検討を開始し、第1の位置案を提案する任務を担い、所定の基準に基づいて、配置を選択し重要な結論を出す。前記スタディは別の専門家集団の専門家に渡され、それが完成される。このフローが繰り返される。全専門家集団がその検討に参加するときに、通常、書類が各人に送付され、結果が確定される。仮に、検討中に配置が修正され、所定数の基準が特定の専門家集団にとって満足できないものであるならば、その配置は変えられ、部分改正が継続され、新規な配置が決められなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
参加する複数の専門家集団が多数のために、一般的にはダイナミックにプロセスを管理することは不可能である。従って、重要な遅延が発生し、プロセス全体を見ることができなくなる。このために、各専門家集団は別の専門家集団の問題を簡単なやり方で知ることができない。
【0005】
全ての条件を含み、異なる専門家集団が関与する、複雑な環境界において、第2オブジェクトに対する第1オブジェクトの配置位置を最適にする必要性がある。
【0006】
本発明により上記した少なくとも一つの課題を解決することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
よって、本発明は、第2オブジェクトに対する第1オブジェクトの位置決めを、第1及び第2オブジェクトに関する位置に関係する少なくとも一つの条件に基づいて支援する方法を対象とする。本発明の方法は次のステップを含むことを特徴とする。
−第1及び第2オブジェクトの各々に関係するパラメータモデルを選択するステップ(1000);
−前記第2オブジェクトに関係する前記パラメータモデルに基づいて前記第2オブジェクトの数値モデルを表示するステップ(1010);
−第1及び第2オブジェクトに関係するパラメータモデルのパラメータに基づいて、前記第2オブジェクトに対して第1オブジェクトの位置を決めるステップ(1015);
−前記第1オブジェクトに関係するパラメータモデルに基づいて及び前記位置決めに基づいて、前記第1オブジェクトの数値モデル(500)を表示するステップ(1020)
−前記少なくとも一つの条件のモデル化を含む少なくとも1つのパラメータモデルを選択するステップ(1025);
−少なくとも一つの条件のモデル化を含む、少なくとも一つのパラメータモデルに対して、
・第1と第2オブジェクトのうちの少なくとも1つの位置に関係する少なくとも1つのデータを取得するステップ;
・少なくとも一つの前記データに基づいて少なくとも一つの前記条件を評価するステップ;
本発明による方法により、簡単なインターフェースを使って、パラメータ及び条件の数が多い位置決めのスタディを行うことができる。更に本発明の方法は将来の条件に(スタディに容易に追加することができる)開かれている。
【0008】
本発明は、第1及び第2オブジェクトに関係するパラメータモデルの内の少なくとも一のパラメータモデルの少なくとも一つのパラメータの一つの変更ステップを更に含み、前記ステップは次のものあることが好ましい。
・第1及び第2オブジェクトの内の少なくとも1つの位置に関係する少なくとも1つのデータを取得するステップ;及び
・前記少なくとも一つのデータに基づいて、少なくとも一つの前記条件を評価するステップ;
が、少なくとも一つのパラメータの前記変更の後で、少なくとも一つの前記条件のモデル化を含む、少なくとも一つの前記パラメータモデルに対して、再実行される。オブジェクト及び条件のダイナミックな結合(associative)管理により、ユーザは、重要な条件に基づいて、諸条件に対する変更の影響を迅速に解析することにより、オブジェクトの位置決めを最適化することができる。
【0009】
特定の実施例において、本方法は、更に、少なくとも一つの前記条件の前記評価結果の表示ステップを含む。好ましくは、前記表示ステップは、少なくとも一つの前記条件をに関係するグラフィックを表示するステップを含み、第1及び第2オブジェクトに関係する数値モデルのうちの少なくとも一つに関係する前記グラフィック表示の位置の視覚的表示により、少なくとも一つの前記条件に基づいて前記第1オブジェクトの位置を確認することができる。別の又は補完的な方法によれば、上記表示は、少なくとも一つの前記条件に基づいて第1オブジェクトの位置を確認することができる。
【0010】
特定の実施例によれば、少なくとも一つの前記条件のモデル化を含む前記パラメータモデルは、前記第1及び2オブジェクトに関係するパラメータモデルの内の1のパラメータモデルに含まれる。又は、少なくとも一つの前記条件のモデル化を含む、少なくとも一つの前記パラメータモデルの少なくとも一つの前記データは、第1及び第2オブジェクトに関係するパラメータモデルの内の1つのパラメータモデルからインポートされる。位置決めをすべき(複数)オブジェクトのパラメータモデルにおける条件のモデル化、又は、第1及び第2オブジェクトに関係するパラメータモデルの特定データの使用により、パラメータモデルの機能組織を可能にし、又、必要なものからパラメータモデルのパラメータ数を削減することを可能にする。
【0011】
特定の実施例によれば、第2オブジェクトは少なくとも一つの航空機の一部分を含む。
特定の実施例によれば、少なくとも一つの前記条件は、少なくとも次の複数位置の一つの位置に関係する:(複数)ドアの位置、(複数)脱出シュートの位置、地面の位置、横風による着陸時の地面に関係する位置、着陸装置を引き込む前の着陸時の地面に関係する位置。
特定の実施例によれば、前記第1オブジェクトは、航空機の推進部全体の少なくとも一つの部分を含む。
【0012】
特定の実施例によれば、少なくとも一つの条件は、前記第1オブジェクトの少なくとも一部分の空気力学的特性、前記第1オブジェクトの少なくとも一部分の可動部品、前記第1オブジェクトの少なくとも一部分の爆発のリスク、又は前記第1オブジェクトの少なくとも一部分から出る騒音又は熱に、関係している。
【0013】
本発明は、上記の方法の各ステップを実行するように構成された手段を含む装置に対する方法を対象とする。
【0014】
本発明は、上記の方法の各ステップを実行するように構成された命令を含むコンピュータプログラムを対象とする。
【0015】
図面を参照しながら、本発明のその他の有利な点、目的及び特徴について、以下の詳細な説明で説明するが、これらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を実施する航空機の例を示す。
【図2】本発明による、航空機に推進部全体(ensemble propulsif)を配置するための検討例及びこの検討と関係専門家との間の関係を示す概略図である。
【図3】具体化モデルから一般パラメータモデルの具体化メカニズムの例を示す。
【図4】航空機、幾何学的基準線、着陸装置を引き込む前の着陸による地面及びドアの開口に関係する限界を表す。
【図5】航空機の横側で、エンジンナセルが配置される翼、及び脱出シュートの限界及びドアの限界を示す図である。
【図6】航空機の翼の下のエンジンナセルの位置を示す図である。これにより、過圧力(surpression)の空気力学的特性の限界に対するこの位置の視覚的解析を可能になる。
【図7】図7a、7bを含む。メンテナンスのために、推力反転に関係する条件、及び、エンジンカウル(capot)の開口に関する条件に基づいて、エンジンナセルの位置を確定させることを示す図である。
【図8】航空機の翼に推進部全体を結合するワイアフレームマスト(mat)を表す図である。
【図9】タービンの羽根の爆発コーンの図である。
【図10】本発明の実施例の各ステップを概略を示すフローチャートである。
【0017】
本発明の方法は、特に、従来の航空機(又はその他の航空機)にエンジンを設置するスタディのための3D有効化手段(outil de validation)である。具体的実施によれば、本発明の方法は、デザインソフトウェア 3D Catia を用いてそれらの間の幾何学的モデルの結合能力(l'associativite)を確実にし、幾何学モデルのパラメータの値を変更するためにパラメータのエディターを使用する。
【0018】
Catiaはフランスの企業Dassault Systemesにより開発され、IBMにより販売されているもので、コンピュータを使ったデザインソフトウェア(CAO)である。これは3Dを志向しており、その製品開発ステップを管理することができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明を実施する装置100の例を示している。例えば、マイクロプロセッサコンピュータ又はワークステーションである。
【0020】
装置100は通信バス102を有していることが好ましい。この通信バスは次のものに接続している。
・マイクロプロセッサコンピュータのような中央処理装置103;
・固定メモリ104、即ち、ROM(1又は複数のプログラム"Prog", "Prog1"、"Prog2"を含む)
・書き換え可能メモリ106、即ちRAM(前記プログラムを実行するときに生成され、修正される変数、パラメータを記憶するように構成されたレジスタを含む);
・通信網120(例えば、インターネット)に接続する通信インターフェース118(インターフェースはデータを送受信するように構成されている);
【0021】
装置100は、次の装置の1つ、又は、複数の、又は、全部を選択的に使うことができる。
・データを視覚化でき、及び/又は、ユーザとのグラフィックインターフェースとして使用できるディスプレイ108(キー110、ポインター装置のような他の手段、例えば、マウス111又は光学ペン、タッチパネルスクリーン又はリモコンを使って);
・プログラム及び/又はデータを格納するハードディスクHD112(特に、本発明により処理されるデータ又は処理すべきデータ)
・ディスケット読取装置114(ディスケット116を受け入れ、本発明により処理されるデータ又は処理すべきデータを読み取り、書き込みするように構成される);
・メモリカード読み取り装置(本発明により処理されるデータ又は処理すべきデータを読み取り、書き込みするように構成される)。
【0022】
通信バスは通信を可能にし、装置100に含まれる又は接続されている種々の構成要素の間のインターオペラビリティを可能にする。バスの表示は制限的なものではない。特にCPUは、命令を、装置100の全部の構成要素に、直接的に又は装置100の別の構成要素を介して、伝達することができる。
【0023】
装置100が本発明によるプロセスを実行することを可能にするための、実行可能なコード又はプログラムを、例えば、ハードディスク112又は固定メモリ104に格納する。
【0024】
本発明の変形によれば、ディスケット116は、データ並びに‘前記プログラム実行可能なコード’を格納することができる。一旦、前記プログラムが装置100により読み出されると、ハードディスク112に格納される。
【0025】
又は、プログラム実行可能なコードについては、インターフェース118を通じて通信網120を介して受け取り、前記と同一の方法で格納することができる。
【0026】
ディスケットは、例えばコンパクトディスク(CD)又はメモリカードのような情報記録媒体で置換することができる。一般的に、情報格納手段は、装置と一体化している(又は一体化していない)コンピュータ又はマイクロプロセッサにより読み取り可能であり、取り外し可能であり、1つ又は複数のプログラムを記憶するように構成されている。該プログラムの実行により本発明による方法が実行される。
【0027】
一般的に、1つ又は複数のプログラムは、実行の前に装置100の格納手段にロードされる。
【0028】
本発明により、CPU103は複数の命令又はプログラムのコードの複数部分の実行を制御する。前記命令はハードディスク、固定メモリ104、又は前記記憶要素に格納されている。電圧が加えられると、不揮発性メモリ(例えば、ハードディスク112又は固定メモリ104)に格納された1の又は複数のプログラムが、RAM106並びに本発明を実行するのに必要な変数及びパラメータを記憶するレジスタに転送される。RAMは本発明によるプログラムの実行可能なコードを記憶するものである。
【0029】
本発明による装置は、同様に、プログラムされた装置であることに留意すべきである。本発明を実行する複数命令又は複数プログラムは、例えば、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)において実行される。
【0030】
デザインソフトウェアにおいて、テンプレート又は‘部品又は部品全体の3D幾何学に関係するパラメータモデル’により、コンピュータによるデザインソフトウェアの専門家ではないユーザでも、自分が所望する結果だけを知っていればパラメータを容易に見出し、修正することができる。従って、パラメータモデルを使用することにより、単純なインターフェースを取得し、ソースコードを修正せずに、パラメータを修正することができる。この単純化されたインターフェースは、例えば、対話ウィンドウの形になっている。これにより所定の分野におけるパラメータの視覚化、修正を可能にする。パラメータモデルを利用することにより、数学的関係の形で複数条件をプログラムすることが可能である。又、該パラメータモデルにより、予め決められた数学的関係及びユーザが決定した幾何学的データに基づく結果を示すことが可能である。つまり、パラメータモデルの結合環境は情報交換を可能にする。これにより、例えば、別の部品に対する3D部品のそれぞれの位置決め、並びに、使われる情報へアクセスが可能であり、パラメータモデルに関係する3D部品の特性の計算が可能になる。
【0031】
パラメータモデルを3D幾何学的要素に関係付けてもよい。このようにして、パラメータモデルから数値モデル(前記パラメータモデルに関係する要素又は要素の一部分の視覚化を可能にする)を抽出することができる。これら要素の位置は、同一パラメータモデルの別の要素又は異なるパラメータモデルの要素に応じて決定される。要素が修正されたり、移動されたりするとき、コンピュータを使ったデザインソフトウェアは、それらが関係するパラメータモデルがどのようなものであっても、最終的に、関係要素全部に関係する位置を修正する。
【0032】
位置決め支援モジュールは、結合全体を形成するカタログ(catalogue)に記憶されているパラメータモデルの利用に基づいている。各パラメータモデルは特定の使用(usage)を有している。いくつかは航空機の部分に関係している。例えば、エンジンナセル(nacelle)、エンジン、機能エンティティを表す他のもの(例えば、地面及びエンジンの爆発時のエンジン破片の軌跡)である。スタディのタイプ毎に、同一3Dオブジェクトの異なる(複数)パラメータモデルを使うことができる。
【0033】
航空機におけるエンジンの位置決めは、次の複数のパラメータの間における折衷により決められる。
−エンジンと翼との間、マスト(翼と推進部全体(エンジンナセルとエンジン)との間の接合)とエンジンとの間、及び、胴体、スタビライザ、エンジンとの間、の空気力学的相互作用;
−マスト総量(masse)並びに翼又は胴体の大きさ及び強化構造;
−着陸ギア装置(trains d'atterrissage)の重量(masse);
−垂直スタビライザの大きさ;
−翼のリフト損失(la perte de portance);
−可動部の設計(シャッター、bords d'attaque(翼の先端側)、補助翼);
−エンジンの騒音レベル; 及び
−航空機及び重要システムの構造に対する羽根(pale)の破片のインパクト。
【0034】
本発明のシステムにより、全航空機タイプに対し、1つ又は複数のエンジンの位置決めについての条件を考慮することができる。本システムの実施例によれば、ユーザが決めるエンジンの位置は、自動的に、特に、次のデータに関係して有効とされる。
−エンジンナセルと次のものとの間の距離;
・地面(静的な地面、横断風があるときの着陸時の地面、全部着陸装置が引っ込められたときの着陸時の地面);
・前部キャビンのドア;
・前部キャビンのドアの脱出シュート(toboggan);
−エンジンナセルの実現可能性、大きさと形状;
−エンジンの実現可能性、大きさと形状;
−第1次マスト(エンジンナセルの固定とエンジンの固定)の構成の実現可能性、大きさと形状;
−前後の第2次マストの構成の実現可能性、大きさと形状;
−マスト(主マストと第2マスト)の総重量;
−翼の下のエンジン設置による抗力(trainee)のような空気力学係数;
−航空機の構造とシステムに対するエンジン爆発の影響;
−エンジンナセル、エンジン及び翼に対するマストの位置;
−メンテナンス及び推力の逆転のためエンジンナセルを開くこと;
−航空機及び地面におけるエンジン騒音に関するエンジン位置の影響;
−航空機の所定部分の耐熱温度に関するエンジンの位置の影響;
−エンジン位置に関する着陸装置の水噴射の影響。
【0035】
図2は、本発明に基づく航空機上の推進部全体の位置についてのスタディの状況の例、並びに、本スタディと関係者の間の関係の概要を示す。各四角枠は特定タイプの解析を表す。矢印は、原因と効果の主要な関係を表している。破線の矢印は、モジュール間、テキスト形式でのデータの伝送に対応している。破線は解析時に決定されたデータの例を示す。これは、例えば、テキストファイルの形で、アプリケーションからエクスポートされる。破線の四角枠はスタディに使われる複数外部モジュール(modules externes)である。
【0036】
各タイプの解析は、特定のパラメータモデルに関係していることが望ましく、所定パラメータモデルの所定データは共通している。例えば、エンジンナセルに関係するデータは、エンジンナセルの空気力学的スタディ(215)及びエンジンナセル及びエンジンから構成される推進部のスタディに使われる。図3に関連して後記するように、パラメータモデルのデータは、別のパラメータモデルに伝送されるが、その際には、予め選択されたパラメータ全体に基づいて、例えばデータのインポート、エクスポートの機能を使って、テキストモードで伝送される。
【0037】
上記したように、航空機の上のエンジンの最適位置は複数幾何学的条件(contraintes geometriques)、複数数学的条件に関係している。複数幾何学的条件については、 視覚的に解析されることのできる複数条件を参照し、それら条件が充足されているか否かを決定している。複数数学的条件については、 専門家により決められた限界と算出された値とを比較することにより解析される。
【0038】
幾何学的条件の間に、航空機と地面との間の関係(着陸と離陸のフェーズに関係する)が表れている。これら条件は専門家集団により解析され、パラメータモデル210において再グループ化されることができる。このモデルは、特に、航空機のモデルとエンジンナセルのモデルと相互に作用し、航空機の特性に関係するバーチャル地面がユーザに示され、ユーザは、決められた位置に基づいて、地面とエンジンナセルとの間の間隔(jeux)を決定することができる。同様に、複数ドアと複数脱出シュートの位置に関係する限界は、複数平面(この平面により、これら平面とエンジンナセルとの間に存在する間隔に基づいて、ユーザがエンジンナセルの位置の有効性を決定することができる)により表示される。
【0039】
別の幾何学的条件は空気力学的問題(例えば、翼の下のエンジン位置により生成される抗力)に関係している。これら条件は別の専門家集団により解析され、パラメータモデル215において再グループ化されることができる。このパラメータモデルは、又、別の条件(特に、エンジンナセルを開くようなメンテナンスに関係する条件)を含むことができる。
【0040】
解析結果は、バーチャルな地面の表示のように視覚的なものであってよい。また、解析結果は、空気力学的係数の表示又は規模(cotation;demensioning)及びsectionの表示として分析的(analytique)であることができる。等圧面の表示、並びに、開かれたエンジンナセルの表示、アクティブになった推力の逆転装置により、ユーザはこれら条件に基づいてエンジンナセルの位置を視覚的にコントロールすることができる。解析結果は、例えばテキストの形でエクスポートされ、図2に示されるように、コンピュータ又は別のアプリケーションによるデザインソフトウェアの別のモジュールにより利用されることができる。解析結果を解析することにより、視覚的な解析より更に精度の高い解析が可能になる。
【0041】
推進部全体の位置決め解析の別の部分は、この全体の実施可能性に関係する。この解析は、特別なパラメータモデル(220)を使用することにより実施される。エンジンナセルに関係する前記パラメータモデルのデータは、エンジンナセル215のパラメータモデルから得られることが好ましい。ユーザはこの推進部全体の実施可能性を視覚的に管理することができる。又、ユーザは、総重量と総面積等の数値結果を得ることができる。これら結果は、例えば、テキストの形でエクスポートされる。
【0042】
又、推進部全体の位置決めの解析は、航空機の推進部全体と翼との間の関係、つまりマストを対象としている。この解析は2つの特異な(distinct)フェーズで実施されることが好ましい。第1フェーズは実施可能性に関係している。このフェーズは、マストのワイアフレーム表示(representation filaire)を使い、より容易に操作することができ、錐もみ飛行が、表面的な表示(これは、マストが物理的に実現可能ではないときに、コンピュータを使うデザインソフトウェアに関し問題を生じる(バグ))より容易に認識できることが好ましい。ワイアフレーム表示による視覚的な解析に基づいてユーザが決定する有効性は、パラメータモデルに記憶され、エクスポートされ、別のパラメータモデル又は、別のアプリケーションで使用される。ユーザが前記マストが実現可能であることを検証したときに、第2フェーズにおいて面積又は体積のスタディが行われ、別のタイプのデータ(面積、重量のような)が解析される。別のパラメータモデルがこれら2つのフェーズ(225、230)の各々のために使われることが好ましい。マストのワイアフレーム表示に関係するパラメータモデルの複数データは、マストの体積表示に関係するパラメータモデルにエクスポートされることが好ましい。マストの面積、又は体積が表示される。重量、面積のような数値結果がパラメータモデルにおいて自動的に計算されることが好ましい。これら結果はエクスポートされることができる。
【0043】
(複数)二次的構造の解析(特に、少なくとも部分的にマスト及びマストにおける別の(複数)外部要素(推進部全体及び翼の間に使用される)をカバーする(複数)空気力学的要素に関係する)の後、マストの解析を続けることができる。二次的構造により覆われた(複数)外部要素は、特に、(複数)電気的関係及び(複数)流体(空気、燃料等)輸送システムを含む。パラメータモデルはこの解析に使われることが好ましい。この解析を基にして、ユーザは、例えば、二次的構造の実現可能性、その重量及び面積を決定する。二次的構造、または二次的構造の一部分が表示されることができる。特に実現可能性、重量、面積に関係する数値結果は、パラメータモデルにおいて自動的に計算されることが好ましい。上記のように、これら結果はエクスポートされる。
【0044】
また、航空機の構造に関係した条件に基づいて、及び、エンジンの羽根の破損のリスクを考慮して、エンジン位置を管理する必要がある。パラメータモデル240はこの解析に使われることが好ましい。このパラメータモデルは、航空機の重要部分の構造モデル(205)に関係している。このモデルはパラメータモデルであってもよいし、無くてもよい。これにより、ユーザは羽根の破片の軌跡と航空機の重要部品の間の間隔を容易に決定することができる。羽根の破片の軌跡のモデル化が表示されることが好ましい。そうすることにより、場合によっては、ユーザは航空機に羽根の破片が衝突した点及び貫通の程度を決めることができる。衝突点、貫通レベルに関する情報は自動的に決められると有利であり、テキスト形式でエクスポートされることができる。
【0045】
離陸時及び着陸時に、航空機の乗客、地上の人は騒音を感じるが、インジン位置がその騒音に及ぼす影響を検討することも重要なことである。パラメータモデル245は(例えば音響コーンの形式で、音響発生をモデル化することを含む)、この目的のために使うことができる。このような音響コーンは、表示されることが好ましい。場合によっては、ユーザはこの状態にある航空機の一部の位置を見つけることができる。この条件下の航空機の一部に関係する情報が自動的に決められ、テキスト形式でエクスポートされることができると有利である。
【0046】
同様に、エンジン位置が航空機の所定部分の耐熱温度に及ぼす影響に関係するパラメータモデル250が使われる。同様なやり方で、別のパラメータモデル255、即ち、エンジン位置が着陸装置の水の噴射に及ぼす影響に関するパラメータモデル250が使われる。音響に関する条件と同様に、温度に関する条件、水力学的条件はコーン(cones)によって視覚的に表現される。温度に関する条件、水力学的条件は表示されることが好ましい。場合によっては、ユーザはこの状態にある航空機の一部の位置を見つけることができる。この条件下の航空機の一部に関する情報は、自動的に決められ、テキスト形式でエクスポートされることができると有利である。
【0047】
勿論、新規パラメータモデルを生成して、又は、パラメータ及び/又は‘既存のパラメータモデルに数学的関係’を追加して、他の(複数)条件を、エンジンの位置決め支援方法に追加することができる。同様に、(複数)パラメータモデルによる(複数)条件のグループ化は異なってよい。例えば、同一パラメータモデルにおける騒音及び爆発リスクに関係する条件をグループ化してもよい。同様に、2つの特異なパラメータモデルのドア及び脱出シュートの限界に関するパラメータモデルを分割することも可能である。
【0048】
推進部の位置決めの解析は部分的に階層的である。解析のある部分は整理されているが、他の部分は整理されていない。例えば、二次的構造の解析はマスト解析を終えて初めて実現されるが、音響コーン、熱的、水力学的の解析はどのような順序で行ってもよいし、並行的に行ってもよい。
【0049】
全ての条件のスタディは、従来は、関係技術分野の専門家が行っていた。また、必要に応じて、幾何学、方法学または計算の専門家の援助を得て行っていた。しかしながら、本発明の方法に基づくパラメータモデルを使って、ユーザは、専門家が行った一般モデル化(modelisation generique)を基にして、全部の条件について、最初の解析を行うことができる。
【0050】
航空機の翼にエンジンを位置づけする目的で、本発明による方法を使う具体的実施例では、30程度のパラメータモデル(約1000から2000のパラメータを表す)使われる。簡単明瞭にするためには、当然、各パラメータモデルは詳細に解析されることは無い。同様に、パラメータモデルの全部のパラメータは次から次へと検討されることは無い。
本発明の方法の一般原則を説明するのに、パラメータモデル及びパラメータモデルのパラメータの例を示す。
【0051】
エンジンナセルのパラメータモデルにより、例えば、次の定義をすることができる。
−エンジンナセルの外形;
−パイプの形状;
−パイプの中央部;
−エンジンカウル(les capots de moteur:エンジンの覆い)及びその回転軸;
−推力反転装置及びその回転軸。
【0052】
これらデータは、例えば、(複数)点及び(複数)プロフィールの形で記憶されることができる。複数プロフィールは、点及び点における接線全体(曲線により連結することができる)で決定されることが好ましい。各プロフィールは、モデルに関係する(1つの)オブジェクトの要素を表す曲線と所定平面との交差に対応する。
【0053】
各パラメータモデルは、更に、第2オブジェクトに対する一つのオブジェクトの位置決めを可能にするレファレンスを含むことが好ましい。例えば、エンジンナセルのレファレンスは、その原点(origine)が、エンジンナセルの最前側の点から所定距離だけ離れたエンジンナセル軸上にある基準(repere)であることができる。X軸はエンジンナセル軸であってよく、Y軸は、水平面において、X軸に垂直な軸であってよく、Z軸は垂直平面において、X軸の垂直な軸であってよい。
【0054】
従って、エンジンナセルのプロフィールはX−Y平面及びX−Z平面に基づいて決められる。好ましいモードにおいて、2つのプロフィール(低いプロフィールと高いプロフィール)はX−Z平面において決められる。航空機のエンジンは一般的にはX−Y平面に対称ではない。
【0055】
上記のとおり、同一3Dオブジェクトの複数のパラメータモデルを生成することができる。例えば、パラメータモデルはエンジンナセルの重要な情報全てを使って生成される。他方、別のパラメータモデルはエンジンナセルの重要な情報、更に、重量計算及び位置決めに関連するリスクの(複数)公式を含む情報全てを使って生成される。
【0056】
以下の説明において、一般モデル(modele generique)はパラメータモデルである。その数値は、デフォールト値で初期化されていたり、いなかったりしている。一般モデルのパラメータ値はどのような値でもよい、又は、具体化モデル(modeles generiques)に可能な限りなく近いやり方で予め決めてもよい。具体化モデルは、少なくとも所定の数値が初期化された一般的モデルである。具体化モデルは、所定のタスク又は所定の計算を自動化することのできる《ダイナミック》モデルである(そのパラメータは変更される)。具体化モデルは、例えば、計算を自動化し、数値(特に規模(cotation)の値)をアップデートするために、別の具体化モデルにダイナミックに関係する。一般モデルは具体化モデルのスケルトンとして考えることができる。
【0057】
具体化モデルはコンピュータ支援のデザインソフトにおけるものとして使用されることができる。同様に、具体化モデルの数値を使って、別の具体化モデルを生成することができる。例えば、エンジンナセルの具体化モデルの数値が使われて、推進部全体の一般モデル(エンジンに関係するその数値は同じ方法により具体化できた、又はできる)を具体化することができる。
【0058】
具体化モデルを使って一般モデルを具体化するための方法は、具体化モデルのデータをテキストの形でエクスポートすることである。図3に、このメカニズムが示されている。具体化モデル(300)のデータはテキストの形(例えば、テキストファイルで(310))でエクスポートされる(ステップ305)。エクスポートされるデータ(310)は、次に一般モデル(データベース(320)において選択され、少なくとも一つの一般モデルを持ち、新しい具体化モデルを生成するために)にインポートされる(ステップ315)。ユーザはエクスポート及びインポートするパラメータ、又は、プロフィールを選択することが好ましい。
【0059】
1つのオブジェクトの(複数)具体化モデルは、1つ又は複数の具体化モデルから生成されることができる。例えば、エンジンナセルの空気力学的振る舞いのモデル化を含むエンジンナセルの具体化モデルは、単純なナセルの具体化モデルから生成されることができる。同様に、エンジンナセルの空気力学的振る舞いのモデル化を含むエンジンナセルの具体化モデルを使って、エンジンナセルとエンジンを含む推進部全体の具体化モデルを生成することができる。
【0060】
パラメータモデル(例えばエンジンナセルおよびエンジンの)の標準(repere)及びこれらモデルに含まれるパラメータの使用により、対応する一般モデルが具体化されるときに(即ち、この位置決めを可能にするパラメータに数値が与えられたときに)、これらモデルにより表されるオブジェクトを位置決めすることができる。更に、複数の具体化モデルの間にある関係はダイナミックであるから、もし一つのオブジェクトの位置決めのパラメータが変更されると、他の(複数)モデルはダイナミックに適合される。
【0061】
本手法を使うと、スタディが全体として有効となるように、中間データを関係付けながら、推進部全体の位置決めのスタディを分割することが可能になる。
【0062】
コンピュータ支援のデザインソフトが販売された後、ユーザが第1オブジェクトの具体化モデルを選択し、第1オブジェクトに応じて第2オブジェクトの位置決めを行わなくてはならない。この実施例では、第1オブジェクトは、翼を持つ航空機の構造、又は、所定の標準(repere)を有する(これにより構成要素を正確な位置に追加することができる)翼を持つ航空機の構造の一部分である。一般的に使われる標準には、原点として航空機の機首、X軸として胴体軸、Y軸として翼の平面におけるX軸に垂直な軸、Z軸としてX軸、Y軸により形成される平面の法線が採用される。この第1オブジェクトの数値モデル又はこのオブジェクトの一部分が表示される。
【0063】
もしユーザがドアと脱出シュートに基づいてエンジンナセルの初期位置を決定しようとする場合、開口と地面に関係するパラメータモデルの具体例は航空機又は航空機の一部分の具体化モデルのデータに基づいて生成される。開口と地面に関係するこのモデルは、地面、前部キャビンのドア及び脱出シュートに対する限定された表面限界を決定し、表示することができる。このモデルに関係する構成要素の位置決めは、該モデルに記憶されている基準(references)に基づいて(例えば、胴体の平面X−Y、Y−Z、Z−X及び航空機の構造に関する基準に応じる胴体の先端における接線に基づいて)具体化の間に自動的に実行される。各表面は異なる色で視覚化されていることが好ましい。例えば、明るい緑は不動の地面を、ブルーは横風による着陸時の地面を、黄色は着陸装置を引き込む前の着陸時の地面を、濃い緑は脱出シュートの境界を、赤は前部キャビンのドアの境界を表すというように。パラメータモデルのパラメータのエディタを使うことにより、ユーザはこれら構成要素の実際の大きさ及び関係する境界を定義することができる。例えば、地面(不動の、横風による着陸時の、着陸装置を引き込む前の着陸時の)を表す各平面に対して、ユーザは、前部着陸点(le point d'atterrissage avant)と平面X−Y、Y−Z、Z−Xとの間の距離、主着陸点と平面X−Y、Y−Z、Z−Xとの間の距離、航空機の横揺れ角、縦ゆれ角を入力することができる。
【0064】
これら数値を入力、変更した後で、複数変数が計算され、ユーザをサポートする。特に、平面X−Yと不動の地面との間の角度、複数着陸点との間の距離、及び、X軸に基づく複数着陸点との間の距離。同様に、ドア及び脱出シュートに関しては、ユーザは平面Y−Zとドア中央との間の距離、ドア中央とエンジンの前端部面との間の最小距離、脱出シュートの回転軸に基づく脱出シュートと平面Y−Zとの間の相対角、脱出シュートの広さ及びY軸に基づく脱出シュートの回転軸と平面Z−Xとの間の距離を入力、変更することができる。ドア、脱出シュートの境界及び地面を表す面を常に表示又は隠すことができ、ユーザはその解析を絞ることができる。
【0065】
図4は、航空機400、幾何学的基準線、着陸装置を引き込む前の着陸による地面405及びドアの開口410に関係する境界を表している。図4により、ユーザは、表示された条件に基づいて、アプリオリにエンジンナセル又は推進部全体の位置決め可能なゾーンを決めることができる。記憶されたパラメータと基準(references)に基づいて、航空機及びエンジンナセルの具体化モデルに、エンジンナセル又は推進部全体を航空機の翼に位置付けする時に、図4のそれと同等な表示、又は、平面X−Zに基づく切断のような、より正確な図により、平面又は直線、及び、エンジンナセル又は推進部全体の端部により示される外部条件の間の遊びを決めることができる。
【0066】
第1オブジェクトを表示し、場合によって、第1の条件前部を表示した後、ユーザは第2オブジェクト(つまりこの実施例のエンジンナセル)の具体化モデルを選択することができる。このオブジェクトの初期位置は、第1オブジェクトのデータ、場合によっては、予め検討した条件に基づいて自動的に決められることが好ましい。この初期位置の決定は、第1オブジェクトの特性及び第2オブジェクトの概略の位置に基づいて実行され、予め検討された仮の条件(eventuelles contraintes)に基づいて変更される得る。上記実施例において、エンジンナセルの初期位置は航空機の構造、特に翼に基づいて及び特に地面、ドア、例えばその座標(相対的、絶対的)に関係する条件に基づいて、自動的に決められる。エンジンナセルの初期位置が決められた後で、この数値モデル又はこの一部分の数値モデルが表示される。
【0067】
図5は航空機の横側で、エンジンナセルが配置される翼に関する図を示す。この図が示すように、エンジンナセル500の前部端は、脱出シュートのリミット410及びドアのリミット515の(複数)平面から所定距離だけ離れて配置されている。エンジンナセルの位置は、これら2つの条件に対して有効であると考えることができる。ライン405、505及び510で表されている地面についても同様である。これらは着陸装置を引き込む前の地面、不動の地面及び横風による着陸時の地面を表している。
【0068】
エンジンナセルの具体化モデル及び空気力学的条件のモデル化を含む航空機又は翼(voilure)の具体化モデルを使って、ユーザは、翼に対するエンジンナセルの位置に関係する空気力学的構成(aerodynamisme)をコントロールすることができる。この解析は、翼の等圧面の位置をエンジンナセルのそれと比較して実行することができる。図6は翼600に関する空気力学的過圧力(surpression)の境界の理論上の面(surface)605を示す。視覚的な解析によると、過圧力の境界はエンジンナセル500と接触することを示す。等圧面の性質と解析の精度によれば、エンジンナセルの位置は有効かどうか検討することができる。
仮にエンジンナセルの位置が有効であると考えられるならば、エンジンナセルの等圧曲線の侵入の程度に関するペナルティを計算することが必要であるかもしれない。この計算はエンジンナセルの具体化モデルに組み入れることが好ましい。又、この計算は、航空機又は翼の具体化モデルのようなパラメータモデルに組み入れることが好ましい。
仮にエンジンナセルの位置が有効であると考えられない場合は、エンジンナセルの位置は変更される。この位置の変更は、前記したようにエンジンナセルの座標を使って実行される。解析された条件は再評価され、その表示はアップデートされる。
【0069】
同様に、航空機及びエンジンナセルの具体化モデルが使われて、推力反転に関係する条件に基づいて及びエンジンカウルの開口に関する条件に基づいて、エンジンナセルの位置を確定することができる。これは図7a、7bで説明するメンテナンスのためである。
【0070】
幾何学的条件に基づく前記の解析は、エンジンナセルのみに基づくことに留意すべきである。しかし、スタディはエンジンナセル全体とエンジンと共に行われる。
【0071】
航空機の翼に対するエンジンナセルの初期位置を決定し、確定した後で、マスト(即ち、推進部全体と翼との間の結合)の特性を解析することができる。この解析のために、特異な(distinct)パラメータモデルが使用されることが好ましい。マストのモデル化を含む推進部全体の一般モデルは、先行のスタディで使われたエンジンナセルのパラメータ並びにユーザが選択したエンジンのパラメータを以って具体化される。これらのパラメータ、特にエンジンナセル自身並びに翼に関するその位置に関係するパラメータを含んでいる。この推進部全体のモデルが具体化される時に、マストの(複数)特性は、推進部全体及び翼の位置に基づいて自動的に決められる。ワイアフレームマスト800は、図8に示されるように、表示されることが好ましい。これにより、ユーザは、マストが実現可能か否かを判断することができる。
【0072】
マストが実現可能ではない場合、換言すれば、エンジンナセルの位置ではマストが実現できない場合、仮にエンジンナセルの位置が他の条件に対して有効であってあったとしても、エンジンナセルの位置は変更されることが好ましい。更に、以前、解析した全ての条件は再評価され、その表示はアップデートされる。
【0073】
マストが実現可能である場合、マストの表面モデルが、特に該マストの重量と面積の解析を行いながら、スタディを続けるために使われる。この補充的スタディは、推進部全体の具体化モデルに基づいて、又は、マストのワイアフレームスタディに使われた具体化モデルのデータを以って具体化される一般モデルに基づいて、行うことができる。
【0074】
同様に、推進部全体の具体化モデルは、マストのワイアフレーム又は表面のモデル化を含んでおり、第2構造を解析するために使われる。しかしながら、特異なモデルを使用することが好ましい。マストの表面のモデル化を含む推進部全体の具体化モデルのデータは、前述した方法で、第2構造のモデル化を含む推進部全体の一般モデルを具体化するために使用することができる。
【0075】
このスタディの後、同時に又は前に、エンジン爆発のリスクに関係する条件を解析することができる。これらの条件に基づいて、特に、羽根の破片が航空機の重要な構成要素に損害を与えないことを証明しなければならない。そのために、(複数)羽根の破片の軌跡のモデル化を含むエンジンの具体化モデルを使うことができる。これらの軌跡は、例えば、コーン(cones)の形で表示されることができる。前記のとおり、一般モデルは前のスタディで使用されたデータを基にして具体化される。図9には、タービンの羽根の爆発のコーン900が示されており、翼600と航空機(図示しない)の構造に基づいて、羽根の破片が航空機の重要部分に到達するかについて判断することができる。
【0076】
同様にして、エンジン位置が、航空機内における及び地上におけるエンジン騒音、航空機の一部分の耐熱温度、着陸装置の水の噴射に及ぼす影響を解析することが可能である。この解析は異なる(複数)パラメータモデルを使って行うことが好ましい。各モデルは検討された条件の幾何学的モデル化を含んでいる;例えば、エンジンの圧縮チャンバー入り口の前の複数の音響コーン、エンジンの圧縮チャンバー入り口の後の複数の音響コーン、及びガス排出の後ろの音響コーン。各音響コーンは、パラメータとして形状、大きさ及び位置を持つ、対応するパラメータモデルにおいて決定してもよい。このモデル化を含むエンジンの音響コーンの位置決めは自動的に行われる。
【0077】
前記のとおり、本発明によるシステムは、関係する(複数)パラメータモデル全体(これにより各タイプの解析の間の関係を確立することができる)を使うことを基礎にしている。従って、推進部全体のY位置のようなパラメータが変更される時に、パラメータモデルにおいてこの変更が考慮され、ユーザは、表示される限度及び得られる結果(特に、重量及び面積に関係するもの)に対するこの変更の影響を視覚化することにより、迅速にこの変更を確認することができる。例えば、推進部全体が約数十センチメール前進する場合、ユーザは、全ての条件に対し、脱出シュート及び地面のリミットの平面に対する遊びが尊重されているか、マストが実行可能か、それが極めて重くないか等々をすぐに視覚化することができる。このダイナミックな管理(gestion)により、各条件がより詳細な解析により確証されねばならないとしても、全条件を満たす位置を迅速に決めることができる。
【0078】
ユーザは、或る画面又は、平面、曲線、コーン又は他の全ての表示により示される条件を表示したり、隠したりできると有利である。同様にして、重量及び面積のような解析結果を表示したり、マスクしたりすることができる。
【0079】
予め行ったスタディ全体を使いながら、この新しい条件に関係する新規のパラメータモデルを使って、新しい条件をスタディに加えることができる。又、複数のっ類似のモデルを具体化しながら、推進部全体の複数位置を異なるデータと比較することが可能である。
【0080】
航空機の翼の上における推進部全体の位置決めのスタディは繰り返しプロセス(このプロセスに基づいて、(複数)条件が、順次または同時に、条件の性質によって検討される、又、このプロセスに基づいて、自動的に位置決めのパラメータの変更が条件の評価及びその表示をアップデートする)である。
【0081】
位置決めすべきオブジェクト及び解析条件の性質及び複雑性に基づいて、条件のモデル化を、オブジェクト(ここでは、翼、エンジンナセル又はエンジン)のパラメータモデル又は独立のパラメータモデルに組み込むことができる。所定の条件のモデル化が1つ又は複数の独立のパラメータモデルに組み込まれる場合、これら独立パラメータモデルは(複数)オブジェクトの具体化モデルのデータの一部分を含むことができる。
【0082】
図10は本発明の、コンピュータ支援デザインソフトウェアを使った実施例及び図1を参照して説明した装置の複数のステップを概略的に示す。図10に示した方法により、第2オブジェクトに応じて第1オブジェクトを位置決めすることができる。例えば、特に前に述べた条件に基づいて、航空機の翼に対する推進部全体を位置決めすることができる。
【0083】
例えば図書館で(1005)、第1及び2オブジェクトが具体化されたパラメータモデルを選択した後(ステップ1000)、第2オブジェクトの数値が表示される(ステップ1010)。第1オブジェクトの初期位置が決定される(ステップ1015)。第2オブジェクトに対する第1オブジェクトの初期位置はユーザが決めてもよい。又は第2オブジェクトの具体化パラメータモデルの所定データに基づいて自動的に決定されることが好ましい。第1オブジェクトの数値が表示される(ステップ1020)。
【0084】
例えば図書館1030において、第2オブジェクトに対する第1オブジェクトの位置に関係した(1つの)条件のモデル化を含むパラメータモデルが選択される(ステップ1025)。図書館1005とステップ1025とを結ぶ破線で示されているように、第1及び第2オブジェクトの1つ又は複数のパラメータモデルのデータの一部は、選択されたパラメータモデル(条件のモデル化を含む)にコピーされることができる。同様に、1又は複数のパラメータモデルのデータの一部(予め検討された条件のモデル化を含んでいる)は条件のモデル化を含む選択されたパラメータモデルにコピーされる。代わりとして、上記した条件のモデル化は第1及び第2オブジェクトのパラメータモデルの1つに属することができる。この最後の場合には別のパラメータモデル(上記条件のモデル化を含む)を選択する必要はない。
【0085】
上記の条件は、そのモデル化及び第1及び/又は第2オブジェクトの位置を使って評価することができる(ステップ1035)。又は、上記条件はそのモデル化及び第1及び第2オブジェクトに関する位置を使って評価することができる。評価の結果は、数値又は数の形であることが好ましい、即ち、点、曲線、面積及び/又は体積から構成される全体。
上記条件の評価結果が数値である場合、それはパラメータモデル(上記条件のモデル化を含む)に記憶されることが好ましい。これら数値は表示されて、及び/又は、エクスポートされて(破線の矢で示されている)、別のアプリケーションに使うことができる。
条件結果が数の形、又は数の形全体である場合には、これら形は表示されることが好ましい(ステップ1040)。形を表示することにより、ユーザは評価済み条件に基づいて、視覚的に第2オブジェクトに対する第1オブジェクトの位置を確認することができる。
【0086】
次にテストが行われ、ユーザが第2オブジェクトに対する第1オブジェクトの位置を、別の条件に基づいて確かめることを望むかを決める。ユーザが第2オブジェクトに対する第1オブジェクトの位置を、別の条件に基づいて確かめたい場合、先行する3つのステップ(1025−1040)が繰り返される。そうではない場合は、第2テストが行われ、ユーザが第2オブジェクトに対する第1オブジェクトの位置を変更することを望むかを決定する(ステップ1050)。ユーザが第2オブジェクトに対する第1オブジェクトの位置を変更したい場合は、第1オブジェクトの新しい位置を決める(ステップ1055)。前記のとおり、第2オブジェクトに対する第1オブジェクトの位置はその座標により決定されることができる、又は、例えばマウスをつかって、第2オブジェクトの1又は複数の点を選択して決めることができる。次に、第1オブジェクトの表示はその新しい位置によって変更される(ステップ1060)。
【0087】
第1オブジェクトの位置が変更されるとき、各条件は、条件のモデル化及び第オブジェクトの新しい位置に基づいて、再評価される(ステップ1065)。各条件の評価結果の表示は、再評価結果に基づいて変更される。
【0088】
ユーザは再度、新しい条件を評価する(ステップ1045)、又は、第1オブジェク
トの位置を変更することができる(ステップ1050)。
【0089】
当然、特定の必要性を満たすために、当業者は前記の説明において、変更を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2オブジェクトに対する第1オブジェクトの位置決めを、第1及び第2オブジェクトに関する位置に関係する少なくとも一つの条件に基づいて支援する方法であって、次のステップを含むことを特徴とする方法。
−第1及び第2オブジェクトの各々に関係するパラメータモデルを選択するステップ(1000);
−前記第2オブジェクトに関係する前記パラメータモデルに基づいて前記第2オブジェクトの数値モデルを表示するステップ(1010);
−第1及び第2オブジェクトに関係するパラメータモデルのパラメータに基づいて、前記第2オブジェクトに対して第1オブジェクトの位置を決めるステップ(1015);
−前記第1オブジェクトに関係するパラメータモデルに基づいて及び前記位置決めに基づいて、前記第1オブジェクトの数値モデル(500)を表示するステップ(1020)
−前記少なくとも一つの条件のモデル化を含む少なくとも1つのパラメータモデルを選択するステップ(1025);
−少なくとも一つの条件のモデル化を含む、少なくとも一つのパラメータモデルに対して、
・第1と第2オブジェクトのうちの少なくとも一つの位置に関係する少なくとも一つのデータを取得するステップ;
・少なくとも一つの前記データに基づいて少なくとも一つの前記条件を評価するステップ;
【請求項2】
第1及び第2オブジェクトに関係するパラメータモデルの内の少なくとも一のパラメータモデルの少なくとも一つのパラメータの一つの変更ステップを更に含み、前記ステップは次であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
・第1及び第2オブジェクトの内の少なくとも1つの位置に関係する少なくとも1つのデータを取得するステップ;及び
・前記少なくとも一つのデータに基づいて、少なくとも一つの前記条件を評価するステップ;
が、少なくとも一つのパラメータの前記変更の後で、少なくとも一つの前記条件のモデル化を含む、少なくとも一つの前記パラメータモデルに対して、再実行される。
【請求項3】
更に、少なくとも一つの前記条件の前記評価結果の表示ステップを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記表示ステップは、少なくとも一つの前記条件に関係するグラフィックを表示するステップを含み、第1及び第2オブジェクトに関係する数値モデルのうちの少なくとも一つに関係する前記グラフィック表示の位置の視覚的表示により、少なくとも一つの前記条件に基づいて前記第1オブジェクトの位置を確認することができることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも一つの前記条件の前記評価結果の表示ステップは、少なくとも1つの数値の表示ステップを含み、前記数値は少なくとも一つの前記条件に基づいて前記第1オブジェクトの位置を確認することができることを特徴とする請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも一つの前記条件のモデル化を含む少なくとも一つの前記パラメータモデルは、前記第1及び2オブジェクトに関係するパラメータモデルのうちの1つの含まれることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも一つの前記条件のモデル化を含む、少なくとも一つの前記パラメータモデルの少なくとも一つの前記データは、第1及び第2オブジェクトに関係するパラメータモデルの内の1つからインポートされることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2オブジェクトは少なくとも一つの航空機の部分を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも一つの前記条件は、少なくとも次の位置の一つに関係する:(複数)ドアの位置、(複数)滑走装置の位置、地表の位置、横風による着陸時の地表に関係する位置、着陸装置を引き込む前の着陸時の地表に関係する位置。
【請求項10】
前記第1オブジェクトは、航空機の推進部全体の少なくとも一つの部分を含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも一つの条件は、前記第1オブジェクトの少なくとも一部分の空力学的特性、前記第1オブジェクトの少なくとも一部分の可動部品、前記第1オブジェクトの少なくとも一部分の爆発のリスク、又は前記第1オブジェクトの少なくとも一部分から出る騒音又は熱に関係していることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法の各ステップを実行するように構成された手段を含む装置。
【請求項13】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法の各ステップを実行するように構成された命令を含むコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−507850(P2010−507850A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533899(P2009−533899)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【国際出願番号】PCT/FR2007/001756
【国際公開番号】WO2008/056055
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(506355257)エアバス フランス (117)
【Fターム(参考)】