説明

設計支援プログラム及び設計支援装置

【課題】従来よりも簡単に3次元形状から2次元形状を作成することができる設計支援プログラム及び設計支援装置を提供することを目的とする。
【解決手段】設計支援プログラムが、設計支援プログラムに係る第1の解決手段として、複数の部品からなる構造物の3次元形状からなる3次元設計データに基づいて構造物の3次元形状を表示部に表示させる3次元形状表示処理と、表示部に表示された3次元形状の投影方向が操作部から入力されると、投影方向に対応する2次元形状を3次元設計データに基づいて作成する2次元形状作成処理とをコンピュータに実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計支援プログラム及び設計支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、プラント設計者は、3次元CAD(Computer Aided Design)プログラムであるPDMS(Plant Design Management System)プログラムを活用して、プラントの設計を行っている。このPDMSプログラムには、標準機能として、プラントの3次元形状データ及びその属性情報からなる3次元設計データを作成する為の設計ツールが搭載されている。PDMSプログラムでは、部品の上記属性情報として、例えば、配管であれば、材質、メーカ名及び継手等を出力することが可能である。そして、PDMSプログラムが出力した形状データに基づいて、3次元形状表示プログラムが、閲覧用のプラント全体の3次元形状を作成し、当該3次元形状の表示を行う。その際、3次元形状表示プログラムは、3次元形状のプラント及びプラント構成する各部品を3次元ポリゴンによって表現する。また、同時に3次元形状表示プログラムは、3次元形状の各部品毎の属性情報を表示する。そして、プラント設計者は、プラント全体の3次元形状あるいはプラントの各部品の属性を閲覧することによって、設計レビューを行ったり、また適切なプラント設計を行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来技術では、PDMSプログラムが、設計されたプラントの各部品における形状データおよび属性情報を出力し、3次元形状表示プログラムが、形状データおよび属性情報に基づいてプラントの3次元形状を作成し、当該3次元形状を表示することによって、プラント設計者が、3次元形状を閲覧しながら、効率的にプラント設計を進めていくことができる。
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、3次元形状表示プログラムによって3次元形状を表示することができるが、その表示している3次元形状から建設現場に持ち入れる2次元の図面を作成したり、またその3次元形状上に複数の寸法線を描いたりすることができなかった。その為、プラント設計者は、建設現場に持ち入れる2次元の図面が必要な場合に、3次元形状表示プログラムを使用して3次元形状を閲覧した後に、わざわざPDMSプログラムを起動し、このPDMSプログラムによって2次元図面を作成するしかなかった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、従来よりも3次元形状の閲覧後に簡略な操作で2次元形状を作成することができる設計支援プログラム及び設計支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、設計支援プログラムに係る第1の解決手段として、複数の部品からなる構造物の3次元形状からなる3次元設計データに基づいて前記構造物の3次元形状を表示部に表示させる3次元形状表示処理と、前記表示部に表示された3次元形状の投影方向が操作部から入力されると、前記投影方向に対応する2次元形状を前記3次元設計データに基づいて作成する2次元形状作成処理とをコンピュータに実行させるという手段を採用する。
【0007】
本発明では、設計支援プログラムに係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記2次元形状作成処理が作成した2次元形状を前記表示部に表示させる2次元形状表示処理を前記コンピュータに実行させるという手段を採用する。
【0008】
本発明では、設計支援プログラムに係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記2次元形状作成処理は、前記3次元形状の前記投影方向とともに、2次元形状にする部品の指定(部品指定情報)及び指定された部品の作画範囲情報が操作部から入力されると、前記投影方向、前記部品指定情報及び前記作画範囲情報と、前記3次元設計データとに基づいて、前記投影方向、前記部品指定情報及び前記作画範囲情報に対応する2次元形状を作成するという手段を採用する。
【0009】
本発明では、設計支援プログラムに係る第4の解決手段として、上記第3の解決手段において、前記2次元形状作成処理は、部品の指定とともに距離の指定が前記操作部に入力されると、当該部品を中心として前後左右上下方向の前記距離の範囲内の部品を切り出すクリッピング機能を有し、クリッピング機能を実行した場合に、前記投影方向、前記部品指定情報、前記作画範囲情報及び切り出した範囲の上下左右前後の6方向の切り出し面の座標情報(切り出し面座標情報)と、前記3次元設計データとに基づいて、切り出した範囲内の部品の2次元形状を作成するという手段を採用する。
【0010】
また、本発明では、設計支援装置に係る第1の解決手段として、操作部と、表示部と、複数の部品からなる構造物の3次元形状からなる3次元設計データに基づいて前記構造物の3次元形状を表示部に表示させ、前記表示部に表示された3次元形状の投影方向が操作部から入力されると、前記投影方向に対応する2次元形状を前記3次元設計データに基づいて作成する情報処理手段とを具備するという手段を採用する。
【0011】
本発明では、設計支援装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記情報処理手段は、前記2次元形状を前記表示部に表示させるという手段を採用する。
【0012】
本発明では、設計支援装置に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記情報処理手段は、前記3次元形状の前記投影方向とともに、2次元形状にする部品の指定(部品指定情報)及び指定された部品の作画範囲情報が操作部から入力されると、前記投影方向、前記部品指定情報及び前記作画範囲情報と、前記3次元設計データとに基づいて、前記投影方向、前記部品指定情報及び前記作画範囲情報に対応する2次元形状を作成するという手段を採用する。
【0013】
本発明では、設計支援装置に係る第4の解決手段として、上記第3の解決手段において、前記情報処理手段は、部品の指定とともに距離の指定が前記操作部に入力されると、当該部品を中心として前後左右上下方向の前記距離の範囲内の部品を切り出すクリッピング機能を有し、クリッピング機能を実行した場合に、前記投影方向、前記部品指定情報及び前記作画範囲情報及び切り出した範囲の上下左右前後の6方向の切り出し面の座標情報(切り出し面座標情報)と、前記3次元設計データとに基づいて、切り出した範囲内の部品の2次元形状を作成するという手段を採用する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の部品からなる構造物の3次元形状からなる3次元設計データに基づいて構造物の3次元形状を表示部に表示させる3次元形状表示処理と、表示部に表示された3次元形状の投影方向が操作部から入力されると、投影方向に対応する2次元形状を3次元設計データに基づいて作成する2次元形状作成処理とをコンピュータに実行させる。
このように、設計者は、3次元形状表示処理によって表示部に表示された3次元形状の投影方向を入力するだけで2次元形状を作成することができる、すなわち3次元形状の閲覧後に簡略な操作で2次元形状を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る設計支援装置Aによって構成される設計支援システムSのシステム構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る設計支援装置Aの機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る設計支援装置Aの動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る設計支援装置Aの3次元形状表示プログラム4aが作成した3次元形状と、当該3次元形状を基に作成した2次元形状とを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る設計支援装置Aの動作の変形例としてクリッピング機能を実行した場合の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る設計支援装置Aのクリッピング機能の実行前の3次元形状と、クリッピング機能の実行後の3次元形状とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態は、プラントの設計業務を支援する設計支援装置に関する。
図1は、本実施形態に係る設計支援装置Aによって構成される設計支援システムSのシステム構成図であり、図2は、本実施形態に係る設計支援装置Aの機能ブロック図である。
まず、設計支援システムSのシステム構成について、図1を参照して、説明する。設計支援システムSは、設計支援装置A、データ記憶サーバB及び通信ネットワークCから構成されている。
【0017】
設計支援装置Aは、プラント設計用の3次元CAD(Computer Aided Design)プログラムであるPDMS(Plant Design Management System)プログラム(2次元形状作成処理)と、PDMSプラグラムによって作成されたプラントの3次元形状データ及びその属性情報からなる3次元設計データに基づいて3次元形状を表示させる3次元形状表示プログラム(3次元形状表示処理)と、汎用的なCADプログラムであるAutoCAD(登録商標)(2次元形状表示処理)とを実行することができるデスクトップ型またはノート型のパーソナルコンピュータである。
【0018】
そして、3次元形状表示プログラムには、カスタマイズ機能として、PDMSプログラムを使用して3次元形状から2次元形状ファイル(DXF形式)を作成する機能が新たに搭載されている。また、PDMSプログラムは、カスタマイズ機能として、2次元形状ファイルを作成すると、当該2次元形状ファイルをAutoCADに表示させる機能が新たに搭載されている。なお、この制御処理の詳細については、設計支援装置Aの動作として後述する。
【0019】
データ記憶サーバBは、PDMSプログラムb1及び3次元設計データb2を記憶することを目的として設けられサーバであり、通信ネットワークCを介して設計支援装置Aに接続する。PDMSプログラムb1は、通信ネットワークCを介してデータ記憶サーバBから設計支援装置Aに読み取られ、設計支援装置Aによって実行される。3次元設計データb2は、設計支援装置AによってPDMSプログラムb1上で作成され、データ記憶サーバBに記憶される。
【0020】
通信ネットワークCは、ローカルエリアネットワーク及び/または公衆インターネットから構成され、設計支援装置Aとデータ記憶サーバBとを接続する。この通信ネットワークCは、設計支援装置Aとデータ記憶サーバBの間の通信における伝送路である。
【0021】
上記構成の設計支援システムSの設計支援装置Aの機能構成について、図2を参照して、説明する。設計支援装置Aは、図2に示すように、表示部1、操作部2、通信I/F部3、外部記憶部4、主記憶部5及びCPU6を備えている。なお、主記憶部5及びCPU6が、本実施形態における情報処理手段を構成する。
【0022】
表示部1は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイまたは液晶ディスプレイであり、CPU6の制御の下、各種画面を表示する。
操作部2は、マウス等のポインティングデバイス及びキーボードから構成され、ユーザから受け付けた操作指示をCPU6に出力する。
【0023】
通信I/F部3は、CPU6の制御の下、通信ネットワークCを介してデータ記憶サーバBに接続し、データ記憶サーバBとの間で各種信号の送受信を行う。
外部記憶部4は、例えばフラッシュメモリまたはハードディスク等の外部記憶装置であり、CPU6によって実行される3次元形状表示プログラム4a及びAutoCAD4b等の制御プログラムを記憶する。
【0024】
主記憶部5は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)から構成されている主記憶装置であり、外部記憶部4に記憶されている制御プログラムをCPU6が実行する為に、CPU6の制御の下、外部記憶部4の制御プログラムを記憶する。また、主記憶部5は、データ記憶サーバBによって記憶されているPDMSプログラムb1をCPU6が実行する為に、CPU6の制御の下、通信I/F部3を介してデータ記憶サーバBのPDMSプログラムb1を記憶する。
【0025】
CPU6は、主記憶部5に記憶されている制御プログラム、操作部2から入力される操作指示に基づいて設計支援装置Aの全体動作を制御する。そして、CPU6は、PDMSプログラムb1、3次元形状表示プログラム4a及びAutoCAD4bを切り替えながら処理を実行する。なお、このCPU6の制御処理の詳細については、以下に設計支援装置Aの動作として説明する。
【0026】
次に、設計支援装置Aの動作について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る設計支援装置Aの動作を示すフローチャートであり、図4は、本実施形態に係る設計支援装置Aの3次元形状表示プログラム4aが作成した3次元形状と、当該3次元形状を基に作成した2次元形状を示す図である。なお、図4の(a)が、2次元形状の基になる3次元形状を示し、図4の(b)が、設計支援装置Aが図4の(a)の3次元形状を基に作成した2次元形状を示している。
【0027】
まず、プラント設計者は、設計支援装置AにPDMSプログラムb1を起動させ、PDMSプログラムb1が提供する設計ツールを利用することで、プラントの3次元形状からなる3次元設計データb2を作成し、データ記憶サーバBに記憶させる。
【0028】
その後、プラント設計者は、設計したプラントの3次元形状を確認する為に、3次元形状表示プログラム4aを設計支援装置Aに起動させ、3次元形状表示プログラム4aに3次元設計データb2から3次元形状を作成させるとともに当該3次元形状を表示部1に表示させる。さらに、プラント設計者は、表示部1が表示する3次元形状から2次元図面を作成する為に、操作部2のポインティングデバイスまたはキーボードを操作することによって、3次元形状表示プログラム4aに2次元形状の作成を実行させる。
【0029】
CPU6は、3次元形状表示プログラム4aの起動中に、操作部2の操作によって、2次元形状作成指示として3次元形状の投影方向、2次元形状にする部品の指定(部品指定情報)及び指定された部品の作画範囲情報を受け付けると、3次元形状表示プログラム4aに従って、データ記憶サーバBのPDMSプログラムb1を主記憶部5に記憶させ、主記憶部5のPDMSプログラムb1を起動する(ステップS1)。
【0030】
なお、プラント設計者は、設計支援装置Aにおいて、操作部2のポインティングデバイスの操作によって、3次元形状の姿勢を変更することで投影方向を指定し、また操作部2のポインティングデバイスの操作によって2次元形状にする部品を指定し、さらに操作部2の操作によって表示対象の移動及びズーミングすることで表示範囲を変更し、当該表示範囲を部品の作画範囲として指定する。これにより、図4の(a)に示すような、2次元形状の基になる3次元形状を指定することができる。
【0031】
CPU6は、ステップS1の後に、3次元形状表示プログラム4aに従って、ステップS1において指定された投影方向、部品指定情報及び作画範囲情報をPDMSプログラムb1へ出力する(ステップS2)。CPU6は、ステップS2の後に、PDMSプログラムb1に従って、投影方向、部品指定情報及び作画範囲情報と、データ記憶サーバBに記憶された3次元設計データb2とに基づいて、投影方向、部品指定情報及び作画範囲情報に対応する2次元形状を作成する(ステップS3)。なお、PDMSプログラムb1は、部品指定情報として部品名称を受け取る。また、PDMSプログラムb1は、作画範囲情報として、3次元形状が存在する3次元空間の原点から四角形の作画範囲までの最も近い距離(最小距離)及び最も遠い距離(最大距離)を受け取る。
【0032】
CPU6は、ステップS3において2次元形状の作成が完了すると、PDMSプログラムb1に従って、外部記憶部4のAutoCAD4bを主記憶部5に記憶させ、主記憶部5のAutoCAD4bを起動し(ステップS4)、起動したAutoCAD4bに従って、2次元形状を表示部1に表示させる(ステップS5)。このようにすることで、図4の(a)に示す3次元形状の2次元形状として、図4の(b)に示すような2次元形状を作成するとともに2次元形状を表示部1に表示させることができる。
そして、プラント設計者は、AutoCAD4bの機能を利用することで、表示部1が表示する2次元形状に、複数の寸法線を書き込むことができる。
【0033】
次に、上記図3の動作の変形例としてクリッピング機能を実行した場合の動作について、図5及び図6を参照して説明する。なお、クリッピング機能とは、部品の指定とともに切り出し範囲の距離の指定が前記操作部に入力されると当該部品を中心として前後左右上下方向の前記距離の範囲(立方空間)内の部品を切り出す機能である。
【0034】
図5は、本実施形態に係る設計支援装置Aの動作の変形例としてクリッピング機能を実行した場合の動作を示すフローチャートであり、図6は、本実施形態に係る設計支援装置Aのクリッピング機能の実行前の3次元形状と、クリッピング機能の実行後の3次元形状を示す図である。なお、図6の(a)は、設計支援装置Aのクリッピング機能の実行前の画面を示し、図6の(b)は、設計支援装置Aのクリッピング機能の実行後の画面を示している。
【0035】
CPU6は、3次元形状表示プログラム4aの起動中に、操作部2のポインティングデバイス等の操作によって、3次元形状の投影方向、2次元形状にする部品の指定(部品指定情報)及び指定された部品の作画範囲情報とともにクリッピング機能実行指示として指定された部品の中心からの切り出し範囲の距離の指定を受け付けると、3次元形状表示プログラム4aに従って、データ記憶サーバBのPDMSプログラムb1を主記憶部5に記憶させ、主記憶部5のPDMSプログラムb1を起動する(ステップS11)。
【0036】
なお、プラント設計者は、操作部2のキーボードの操作によって部品の中心からの距離を数字で入力することで、切り出し範囲の距離の指定を行う。
これにより、図6の(a)に示す3次元形状から、図6の(b)に示す3次元形状の指定された部品を中心とした前後左右上下方向の指定された距離の範囲内の部品を切り出すことができる。
【0037】
CPU6は、ステップS11の後に、3次元形状表示プログラム4aに従って、部品の中心座標と、ステップS11において指定された距離から切り出した範囲である立方空間の上下左右前後の6方向の面(切り出し面)の座標を算出し(ステップS12)、ステップS11において指定された投影方向、部品指定情報、作画範囲情報及びステップS12において算出した6方向の切り出し面の座標情報(切り出し面座標情報)をPDMSプログラムb1へ出力する(ステップS13)。CPU6は、ステップS13の後に、PDMSプログラムb1に従って、投影方向、部品指定情報、作画範囲情報及び切り出し面座標情報と、データ記憶サーバBに記憶された3次元設計データb2とに基づいて、切り出した範囲内の部品の2次元形状を作成する(ステップS14)。
【0038】
そして、CPU6は、2次元形状の作成が完了すると、PDMSプログラムb1に従って、外部記憶部4のAutoCAD4bを主記憶部5に記憶させ、主記憶部5のAutoCAD4bを起動し(ステップS15)、起動したAutoCAD4bに従って、2次元形状を表示部1に表示させる(ステップS16)。
【0039】
以上のように、本実施形態に係る設計支援装置Aでは、CPU6が、3次元形状表示プログラム4aに従って、2次元形状作成指示としての3次元形状の投影方向の指定、2次元形状にする部品の指定及び指定された部品の作画範囲情報を受け付けると、投影方向、部品指定情報及び作画範囲情報と、データ記憶サーバBに記憶された3次元設計データb2とに基づいて、PDMSプログラムb1に投影方向、部品指定情報及び作画範囲情報に対応する2次元形状を作成させる。このように、プラント設計者は、設計支援装置Aの3次元形状表示プログラム4aによって表示部1に表示された3次元形状の投影方向、部品の指定及び作画範囲情報を入力するだけで2次元形状を作成することができる、すなわち3次元形状の閲覧後に簡略な操作で2次元形状を作成することができる。
【0040】
さらに、設計支援装置Aでは、AutoCAD4bに従って、PDMSプログラムb1が作成した2次元形状を表示する。そして、プラント設計者は、この2次元形状に複数の寸法線を追加することによって、建設現場に持ち込む為の図面を作成することができる。
【0041】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、例えば以下のような変形が考えられる。
(1)上記実施形態に係る設計支援装置Aは、設計対象であるプラントの設計を支援するものであるが、本発明はこれに限定されない。
設計対象としてプラント以外の、各種機器または構造物の設計を支援する設計支援装置に、本発明を適用するようにしてもよい。
【0042】
(2)上記実施形態に係る設計支援装置Aが、PDMSプログラムb1及びAutoCAD4bを実行することで、2次元形状を作成したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、設計支援装置Aが、操作指示に従って、OpenGL(登録商標)によって、3次元形状表示プログラム4a上の3次元形状をコピーし、コピーした3次元形状をPDF(Portable Document Format)作成プログラムに貼り付ける。これにより、PDF作成プログラム上に3次元形状が再現され、この3次元形状の姿勢を所望の投影方向に変更し、寸法線を記入することで、上記実施形態と同様の図面を作成することができる。
【0043】
(3)上記実施形態に係る設計支援装置Aが、DXFファイル形式で2次元形状ファイルを作成したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、DWGファイルを表示することができるプログラム(DWG表示プログラム)が存在すれば、PDMSプログラムb1が、DWGファイル形式の2次元形状ファイルを作成し、上記DWG表示プログラムが、DWGファイル形式で2次元形状ファイルを表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
S…設計支援システム、A…設計支援装置、B…データ記憶サーバ、C…通信ネットワーク、b1…PDMSプログラム(2次元形状作成処理)、b2…3次元設計データ、1…表示部、2…操作部、3…通信I/F部、4…外部記憶部、4a…3次元形状表示プログラム(3次元形状表示処理)、4b…AutoCAD(2次元形状表示処理)、5…主記憶部、6…CPU、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品からなる構造物の3次元形状からなる3次元設計データに基づいて前記構造物の3次元形状を表示部に表示させる3次元形状表示処理と、
前記表示部に表示された3次元形状の投影方向が操作部から入力されると、前記投影方向に対応する2次元形状を前記3次元設計データに基づいて作成する2次元形状作成処理とを
コンピュータに実行させることを特徴とする設計支援プログラム。
【請求項2】
前記2次元形状作成処理が作成した2次元形状を前記表示部に表示させる2次元形状表示処理を
前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項1に設計支援プログラム。
【請求項3】
前記2次元形状作成処理は、前記3次元形状の前記投影方向とともに、2次元形状にする部品の指定(部品指定情報)及び指定された部品の作画範囲情報が操作部から入力されると、前記投影方向、前記部品指定情報及び前記作画範囲情報と、前記3次元設計データとに基づいて、前記投影方向、前記部品指定情報及び前記作画範囲情報に対応する2次元形状を作成することを特徴とする請求項1または2に記載の設計支援プログラム。
【請求項4】
前記2次元形状作成処理は、部品の指定とともに距離の指定が前記操作部に入力されると、当該部品を中心として前後左右上下方向の前記距離の範囲内の部品を切り出すクリッピング機能を有し、
クリッピング機能を実行した場合に、前記投影方向、前記部品指定情報、前記作画範囲情報及び切り出した範囲の上下左右前後の6方向の切り出し面の座標情報(切り出し面座標情報)と、前記3次元設計データとに基づいて、切り出した範囲内の部品の2次元形状を作成することを特徴とする請求項3に記載の設計支援プログラム。
【請求項5】
操作部と、
表示部と、
複数の部品からなる構造物の3次元形状からなる3次元設計データに基づいて前記構造物の3次元形状を表示部に表示させ、前記表示部に表示された3次元形状の投影方向が操作部から入力されると、前記投影方向に対応する2次元形状を前記3次元設計データに基づいて作成する情報処理手段とを具備することを特徴とする設計支援装置。
【請求項6】
前記情報処理手段は、前記2次元形状を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項5に記載の設計支援装置。
【請求項7】
前記情報処理手段は、前記3次元形状の前記投影方向とともに、2次元形状にする部品の指定(部品指定情報)及び指定された部品の作画範囲情報が操作部から入力されると、前記投影方向、前記部品指定情報及び前記作画範囲情報と、前記3次元設計データとに基づいて、前記投影方向、前記部品指定情報及び前記作画範囲情報に対応する2次元形状を作成することを特徴とする請求項5または6に記載の設計支援装置。
【請求項8】
前記情報処理手段は、部品の指定とともに距離の指定が前記操作部に入力されると、当該部品を中心として前後左右上下方向の前記距離の範囲内の部品を切り出すクリッピング機能を有し、
クリッピング機能を実行した場合に、前記投影方向、前記部品指定情報及び前記作画範囲情報及び切り出した範囲の上下左右前後の6方向の切り出し面の座標情報(切り出し面座標情報)と、前記3次元設計データとに基づいて、切り出した範囲内の部品の2次元形状を作成することを特徴とする請求項7に記載の設計支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−107889(P2011−107889A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260969(P2009−260969)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【出願人】(503223223)株式会社IHIエスキューブ (27)
【Fターム(参考)】