説明

設計環境透過型機能テストシステム

【課題】DUT検証テストパターンは、半導体試験装置上で検証する際、半導体試験装置用テストパターンに変換する必要がある。また、変換が必要ない半導体試験装置は存在するが非常に高価であるという問題があった。
【解決手段】CPUを含むシミュレータ上の検証に使用したHDL設計環境をFPGAに実装し、実回路の検証を行う透過型機能テストを実現し、CPUを内蔵する透過型機能テストによりコベリフィケーション環境を実現可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体試験装置に関し、特に、設計環境透過型機能テストシステム、コベリフィケーション環境テストシステムの構築に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、電子回路テスト用システムが記載され、設計環境を実回路に転用して検証を行うことが開示されている。
【0003】
図4は、従来例の電子回路テスト用システムを示している。図4において、ステップS1において、テストパターンを設計し、ステップS2において、サイクライズを行い、ステップS3において、半導体試験用プログラムを記述し、ステップS4において、テストパターンジェネレータによりテストパターンを発生し、ステップS5においてDUT(Device Under Test:テスト対象デバイス)にテストパターンを供給して機能テストを行う。
【0004】
従来は、設計者がHW(ハードウェア)シミュレータ上で機能検証したテストパターンを半導体試験装置用のテストプログラムに変換してテストを行う必要があり、また、半導体試験用プログラムは、テスト条件の設定、テスト実行条件など多岐に渡る設定が必要であった。
【特許文献1】特開平10−254915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
DUT検証テストパターンは、半導体試験装置上で検証する際、半導体試験装置用テストパターンに変換する必要がある。また、変換が必要ない半導体試験装置は存在するが非常に高価であるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の設計環境透過型機能テストシステムでは、シミュレータ上の検証に使用したHDL(Hardware Description Language:ハードウェア記述言語)設計環境を実装し、実回路の検証を行い、前記シミュレータ上に仮想CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)を実現し、CPUを内蔵する透過型機能テストにより、前記実回路の検証と前記シミュレータ上の検証の同時検証環境を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、実装したFPGA(Field Programmable Gate Array: フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)とテスト対象デバイス(以下、DUT)とを接続し実機上でテストを行うことで、設計テストパターンを変換することなくCPUを内蔵する透過型機能テストが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態について説明する。
【0009】
図1は、本発明の設計環境透過型機能テストシステムの概要図である。
【0010】
図1において、ステップS1において、テストパターンを設計し、ステップS2において、サイクライズを行い、ステップS3において、半導体試験用プログラムを記述し、ステップS4において、テストパターンを発生し、ステップS5において、テストパターンをDUTに供給して、DUTの機能検証を行う。
【0011】
本発明では、ステップS1〜ステップS5の経路に並行して、ステップS6の経路を準備し、ステップS6において、透過型検証装置には仮想CPUが実現されており、DUTモデルに対してCPUを内蔵する透過型機能テストを実行する。
【0012】
透過型検証装置において検証された透過型機能テストは、マッピングにより、ステップ3の半導体試験用プログラムの記述に反映され、透過型検証装置で確認された機能テストにより、ステップS1〜ステップS5における実DUTの機能の検証を行うことができる。
【0013】
設計者は、シミュレータ上で検証したテストパターンを変換することなく、DUTを検証することが可能である。
【0014】
本発明の設計環境透過型機能テスト方式は、
(1)LSI(Large Scale Integrated Circuit:大規模集積回路)の機能テスト方式の分野に於いて、設計環境の、LSIデバイス設計/検証時点で使用される設計環境を、実デバイスの機能テスト用パターン発生機能として使用する。設計者の意図したテストの実現、機能テストの効率化、テストカバー率の向上を目指したものである。
(2)ストローブマージンは、設計検証時点で最適値にチューニングする機能を有する。
(3)実デバイス評価時点では、ウエハのバラつきを見て、ストローブを最適値にチューニングする機能を有する。
(4)タイミング信号には、タイミングアジャスタ等で入力マージンテストを可能としている。
(5)CPUを内蔵するLSIの場合、設計検証時点で、内蔵したCPUに対するテストプログラムをROMコードにコンパイルし、これをLSIの検証に使用する(別名HW/SW(ハードウェア/ソフトウェア)同時検証環境と言う。)。
(6)実デバイスの機能テストでは、コンパイルコードをROM(Read Only Memory)又はFPGAへ実装し、これを実行する。ハードウェア化された設計環境とともに、機能テスト用パターン発生機能として使用される。
(7)CPU/IP(Intellectual Property:知的財産)/アナログIP等で構成された、LSIのコンカレントテスト(パラレルに動作させた状態でのテスト)が可能となる。
【実施例1】
【0015】
図2は、本発明の実施例1のCPU搭載DUTに対する設計環境透過型機能テストシステムを示す。
【0016】
図2において、1はシミュレータ、2は実テスタ、3はプログラム、4はコンパイル、11は検証環境、12はDUTモデル、13はROMモデル、14は仮想CPU、21は、機能パターン発生回路、22はDUT、23はROM、24はCPUを示す。
【0017】
図2において、CPUを搭載したDUTに対しては、シミュレータ1上ではテストプログラム3をROMモデル13にコンパイル4を行って、仮想CPU14に命令する。HDLで記述されたシミュレーションモデルである検証環境11は、DUTモデル12と接続されテストプログラム3の期待する動作を行うかどうかの検証を行う。設計者は、設計環境(テストプログラム、ROMモデル、CPU、DUT、検証環境)にてフェイル情報を取得し、DUTのファンクション検証を行う。
【0018】
実テスタ2へは、シミュレータ1上の検証環境11をそのままFPGAへ実装して機能パターン発生回路21を形成し、全く同じ設計検証環境を備えた透過型機能テストシステムを構築する。検証用にRTL(Register Transfer Level)記述された部分はそのまま合成する。また、ビヘイヴィア記述に関してはシーケンサに組み込みFPGAへ実装する。シミュレーション環境にあったシミュレーションモデルは、IPとして実機上に実装される。
【0019】
シミュレータ上であらかじめ確認を行い、そのデータを実機上でテストできるためハードウェアとソフトウェアのコデザイン(同一設計)が実現される。CPUに対してテストプログラムを実行し、DUTの機能検証を行うハードウェアとソフトウェア設計を統合した同一設計実証環境(コベリフィケーション)をシミュレーション上と実機上で可能とするコンカレント開発が可能となる。
【0020】
また、DUTモデル14内の仮想CPUは、JTAG(Joint Test Action Group)またはデバッグインタフェース機能を有し仮想ICE(インサーキットエミュレータ)機能を実現する。仮想ICE機能によりCPUそのものをエミュレートさせることでテストプログラムの動作確認を行うデバック機能を有する。
【実施例2】
【0021】
図3は、本発明の実施例2のCPUが搭載されていないDUTに対する設計環境透過型機能テストシステムを示す。
【0022】
図3において、1はシミュレータ、2は実テスタ、3はプログラム、4はコンパイル、11は検証環境、12はDUTモデル、13はROMモデル、14は仮想CPU、21は、機能パターン発生回路、22はDUT、23はROM、24はCPUを示す。
【0023】
図3において、CPUを搭載していないDUTモデル22に対しては、仮想CPU14をDUTの検証環境11へ搭載し、検証環境11からテストプログラム3によるDUTモデル12の検証を行う。ROMモデル13は検証環境11側へ搭載される。
【0024】
また、実テスタ2上へは、シミュレータ1上の検証環境11をそのままFPGAへ実装してCPU24を備えた機能パターン発生回路21を形成し、全く同じ設計検証環境を備えた透過型機能テストシステムを構築する。検証用にRTL記述された部分はそのまま合成する。また、ビヘイヴィア記述に関してはシーケンサに組み込みFPGAへ実装する。シミュレーション環境にあったシミュレーションモデルは、IPとして実機上に実装される。
【0025】
シミュレータ1上であらかじめ確認を行い、そのデータを実機上でテストできるためハードウェアとソフトウェアのコデザイン(同一設計)が実現される。CPUに対してテストプログラムを実行しDUTの機能検証を行うハードウェアとソフトウェア設計を統合した同一設計実証環境(コベリフィケーション)をシミュレーション上と実機上で可能とするコンカレント開発が可能となる。
【0026】
また、また、検証環境11内の仮想CPU14は、JTAGまたはデバッグインタフェース機能を有し仮想ICE(インサーキットエミュレータ)機能を実現する。仮想ICE機能によりCPUそのものをエミュレートさせることでテストプログラムの動作確認を行うデバック機能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の設計環境透過型機能テストシステムの概要図である。
【図2】図2は、本発明の実施例1のCPU搭載DUTに対する設計環境透過型機能テストシステムを示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施例2のCPUを搭載していないDUTに対する設計環境透過型機能テストシステムを示す図である。
【図4】図4は、従来例の電子回路テスト用システムを示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1 シミュレータ
2 実テスタ
3 プログラム
4 コンパイル
11 検証環境
12 DUTモデル
13 ROMモデル
14 仮想CPU
21 機能パターン発生回路
22 DUT
23 ROM
24 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シミュレータ上の検証に使用したHDL設計環境をFPGAに実装し、実回路の検証を行う設計環境透過型機能テストシステムにおいて、
前記シミュレータ上に仮想CPUを実現し、CPUを内蔵する透過型機能テストにより、前記実回路の検証と前記シミュレータ上の検証の同時検証環境を備えたことを特徴とする設計環境透過型機能テストシステム。
【請求項2】
HDLで記述された設計環境により仮想CPUを備えたDUTモデルの機能を検証するシミュレータと、
前記設計環境をFPGAにマッピングして形成した機能パターン発生機構によりCPUを備えたDUTの機能を検証する実テスタと、を備え、
前記シミュレータにおける仮想CPUを備えたDUTモデルの機能の検証と、前記実テスタにおけるCPUを備えたDUTの機能の検証との同時検証環境を備えたことを特徴とする設計環境透過型機能テストシステム。
【請求項3】
HDLで記述された仮想CPUを備えた設計環境によりDUTモデルの機能を検証するシミュレータと、
前記設計環境をFPGAにマッピングして形成したCPU機能を備えた機能パターン発生機構によりDUTの機能を検証する実テスタと、を備え、
前記シミュレータにおける仮想CPUを備えた設計環境によるDUTモデルの機能の検証と、前記実テスタにおけるCPU機能を備えた機能パターン発生機構によるDUTの機能の検証との同時検証環境を備えたことを特徴とする設計環境透過型機能テストシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−310613(P2008−310613A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158211(P2007−158211)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(501358507)株式会社シスウェーブ (17)
【Fターム(参考)】