診断方法を治療方法と統合することによる免疫療法の効力改善
本明細書中に記載された発明は、特に治療レジメンの一部を診断的に使用し、そして必要な場合、治療のコースを調整することにより、能動免疫療法プロトコールに基づいた治療及び臨床試験を企画し、実行するための戦略改善に関する。本発明の実施形態は、治療のコースを決定する方法及び患者を治療する方法を包含するが、この場合、どのようにそしていつ、治療を継続するか、治療の異なる段階に進むか、又は治療を中断するかを決定するために、多ステップ能動免疫療法プロトコールの非最終ステップに対する応答性が評価される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の背景]
[発明の分野]
本明細書中に記載された本発明は、特に治療レジメンの一部を診断的に使用し、そして必要な場合、治療のコースを調整することにより、能動免疫療法プロトコールに基づいた治療及び臨床試験を計画し、実践するための戦略改善に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、標題「診断方法を治療方法と統合することによる能動免疫療法の効力改善」の米国仮出願第60/580,964号(2004年6月17日出願)(この開示はその全体が参照により本明細書中に援用される)に対する優先権を米国特許法第119条(e)に基づき主張する。
【背景技術】
【0003】
[関連技術の説明]
臨床的実践及び臨床試験計画の両方における標準実践は、診断試験を実行し、治療プロトコールを特定し、そしてプロトコールの完了後の何らかの時点で振り返って治療の有効性を評価することである。特に十分に理解されていないか又は複雑な療法、例えば能動免疫療法に関しては、この型のプロトコールは、この患者に関して決して働かない薬剤で被験体が治療される期間の延長をもたらし得る。さらに、固定プロトコールに基づいた能動免疫療法は、患者によっては不適切であり得る。試験では、これは、信頼できる回答が得られ得る前の、経費増大、陽性結果の不明瞭化、より大きな試験集団の必要性、及び臨床試験の長さの関連する増大をもたらす。臨床的には、これは、高価な製品の無目的消費を、及び、幾人かの患者がその他の潜在的により良好に適した治療選択を追求する機会の喪失をもたらす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、全体的に有益な作用を最適化するように患者の応答プロフィールに、投与の継続、投薬量及び頻度等に関して治療のコースを調整するのを可能にすることが、本発明の一目的である。患者の免疫応答に応答して進化する能動免疫療法治療の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[発明の概要]
本明細書中に記載される本発明の実施の形態は、治療のコースを決定するための方法を包含するが、この場合、多ステップ能動免疫療法プロトコールの非最終ステップに対する応答性が評価され、どのようにそしていつ、治療を継続するか、治療の異なる段階に進むか、又は治療を中断するかを決定する。
【0006】
一実施の形態では、開示される方法は、多ステップ免疫療法プロトコールの非最終ステップの一部として免疫原性組成物を患者に投与するステップと、非最終ステップの後の患者における免疫応答を測定するステップと、当該測定に基づいたその後の治療行為を選択するステップとを包含する。
【0007】
本発明のいくつかの実施の形態では、免疫原性組成物は、標的適合免疫原を含む。他の実施の形態では、免疫原は、抗原又はその一部を含む。免疫原性組成物は、免疫増強剤を
さらに含み得る。さらに他の実施の形態では、免疫原は、抗原又はその一部をコードする核酸を含む。いくつかの実施の形態では、免疫原性組成物は多価である。
【0008】
本明細書中に開示される方法は、任意の多ステップ能動免疫療法プロトコール、例えば初回免疫−追加免疫、誘導及び増幅、又は同調(entrain)及び増幅プロトコールとともに用いられ得る。これらのプロトコールは、例示的プロトコールとして至るところで用いられる。本明細書中に記載される方法とともに用いるためのその他の同様のプロトコールは、当業者に明らかである。
【0009】
いくつかの実施の形態では、当該方法は、プロトコールが少なくとも1つの初回免疫用量を要する初回免疫−追加免疫プロトコールに適用される。いくつかの実施の形態では、プロトコールは、2又は3又は4又は5又は6又はそれより多い初回免疫用量を要する。いくつかの実施の形態では、少なくとも1つの追加免疫用量が、初回免疫用量(単数又は複数)の後に続く。いくつかの実施の形態では、プロトコールは、2又は3又は4又は5又は6又はそれより多い追加免疫用量を要する。いくつかの実施の形態では、プロトコールは、1回又は複数回繰り返されるべき初回免疫−追加免疫周期を要する。一実施の形態では、初回免疫用量(単数又は複数)は、免疫原性ポリペプチドをコードするプラスミドである。或いは初回免疫用量(単数又は複数)は、免疫原性ポリペプチド+免疫増強剤である。免疫増強剤は、例えばトール(toll)様受容体リガンド、細胞内パターン認識受容体(PRR)リガンド、キラヤサポニン、ツカレソール及びサイトカイン、又は生来の免疫を活性化する任意のその他の免疫増強剤であり得る。好ましくは用量は、リンパ系に直接送達される。特に好ましい実施の形態では、用量は、リンパ節又はリンパ管に直接送達される。送達は、注射又は注入によるものであり得る。
【0010】
一実施の形態では、当該方法は、プロトコールが少なくとも1つの誘導用量を要する誘導及び増幅プロトコールに適用される。いくつかの実施の形態では、プロトコールは、2又は3又は4又は5又は6又はそれより多い誘導用量を要する。いくつかの実施の形態では、少なくとも1つの増幅用量投与が、誘導用量(単数又は複数)の後に続く。いくつかの実施の形態では、プロトコールは、2又は3又は4又は5又は6又はそれより多い増幅用量を要する。いくつかの実施の形態では、プロトコールは、1又は複数回繰り返されるべき誘導及び増幅周期を要する。一実施の形態では、誘導用量(単数又は複数)は、免疫原性ポリペプチドをコードするプラスミドである。或いは誘導用量(単数又は複数)は、免疫原性ポリペプチド+免疫増強剤である。免疫増強剤は、例えばトール(toll)様受容体リガンド、細胞内パターン認識受容体(PRR)リガンド、キラヤサポニン、ツカレソール及びサイトカイン、又は生来の免疫を活性化する任意のその他の免疫増強剤であり得る。好ましくは用量は、リンパ系に直接送達される。特に好ましい実施の形態では、用量は、リンパ節又はリンパ管に直接送達される。送達は、注射又は注入によるものであり得る。
【0011】
別の実施の形態では、当該方法は、プロトコールが少なくとも1つの同調用量を要する同調及び増幅プロトコールに適用される。いくつかの実施の形態では、プロトコールは、2又は3又は4又は5又は6又はそれより多い同調用量を要する。いくつかの実施の形態では、少なくとも1つの増幅用量が、同調用量(単数又は複数)の後に続く。いくつかの実施の形態では、プロトコールは、2又は3又は4又は5又は6又はそれより多い増幅用量を要する。いくつかの実施の形態では、プロトコールは、1回又は複数回繰り返されるべき同調及び増幅周期を要する。一実施の形態では、同調用量(単数又は複数)は、免疫原性ポリペプチドをコードするプラスミドである。或いは同調用量(単数又は複数)は、免疫原性ポリペプチド+免疫増強剤である。免疫増強剤は、例えばトール様受容体リガンド、細胞内パターン認識受容体(PRR)リガンド、キラヤサポニン、ツカレソール及びサイトカイン、又は生来の免疫を活性化する任意のその他の免疫増強剤であり得る。好ま
しくは用量は、リンパ系に直接送達される。特に好ましい実施の形態では、用量は、リンパ節又はリンパ管に直接送達される。送達は、注射又は注入によるものであり得る。
【0012】
いくつかの実施の形態では、免疫応答は、免疫療法プロトコールにおける非最終ステップ後に、測定又は評価される。したがって、いくつかの実施の形態では、当該方法は誘導及び増幅プロトコールを用いて適用され、そして免疫応答は、第一、第二、第三又はそれ以上の、又は最終の誘導用量後に測定される。他の実施の形態では、当該方法は誘導及び増幅プロトコールを用いて適用され、そして免疫応答は非最終増幅用量後に測定される。他の実施の形態では、初回免疫−追加免疫プロトコールが用いられ、免疫応答は、第一、第二、第三又はそれ以上の、又は最終の初回免疫用量後に測定される。別の実施の形態では、初回免疫−追加免疫プロトコールが用いられ、免疫応答は非最終追加免疫用量後に測定される。さらに他の実施の形態では、当該方法は同調及び増幅プロトコールに適用され、免疫応答は、第一、第二、第三又はそれ以上の、又は最終の同調用量後に測定される。他の実施の形態では、同調及び増幅プロトコールが用いられ、免疫応答は、非最終増幅用量後に測定される。いくつかの実施の形態では、免疫応答は、プロトコールにおける単一時点で測定される。他の実施の形態では、免疫応答はプロトコールにおける多数の時点で測定される。いくつかの実施の形態では、当該方法は、治療経過中の異なる時点で実行される少なくとも2つの検定ステップを包含するが、この場合、比較情報が検定ステップから得られる。得られた情報を用いて、療法を実施、変更又は中止し得る。いくつかの実施の形態では、少なくとも2つの検定ステップのうちの第一のステップは、基線免疫(baseline immunity)を確立するために治療の開始前に実行される。免疫応答は、治療の経過中に1回又は2回又は3回又は4回又は5回又はそれ以上、測定され得る。さらに他の実施の形態では、免疫応答は、継続的に、例えば治療の経過中断続的に、又はプロトコールのすべての非最終ステップ後に、測定され得る。このように、プロトコールの非最終用量は、治療及び診断の二元的役割を果たす。
【0013】
いくつかの実施の形態では、免疫応答性の評価は、例えばエリスポット検定、好ましくは抗原特異的エリスポット分析、又はMHC−多量体によるフローサイトメトリー染色により評価され得る。他の実施の形態では、免疫応答性は、例えばDTH検定(好ましくは抗原特異的DTHのために)、抗体検定、又は1°若しくは2°細胞障害性検定により評価され得る。さらに他の実施の形態では、免疫応答性は、サイトカイン検定、細胞増殖検定、クロム放出検定、免疫蛍光検定、及び炎症反応検定を用いて測定され得る。付加的検定は、当業者に容易に明らかである。
【0014】
いくつかの実施の形態では、その後のコースの治療行為は、例えば、プロトコールに要されるその後の用量を投与すること、プロトコールを調整すること、又はプロトコールの完了前に治療を中断することを包含し得る。いくつかの実施の形態では、プロトコールを調整することは、例えば、プロトコールのその後の用量を投与すること、増大投薬量でその後の用量を投与すること、低減投薬量でその後の用量を投与すること、より高頻度でその後の用量を投与すること、低頻度でその後の用量を投与すること、先の用量の投与を繰り返すこと、組成物の個々の成分を選択的に投与すること、組成物の個々の成分の投与を選択的に一時停止すること、及びプロトコールの完了前に治療を中断することを包含するがこれらに限定されない。
【0015】
例えば、いくつかの実施の形態では、測定するステップは免疫応答を示さず、そして選択するステップは、免疫療法プロトコールの中断を包含する。他の実施の形態では、測定するステップはわずかな免疫応答を示し、そして選択するステップは、プロトコールの非最終用量を繰り返すことを包含する。一実施の形態では、限界又は抗原特異的免疫応答は非最終用量後に検出され、非最終用量が繰り返される。いくつかの実施の形態では、非最終用量の繰り返しはさらに、所望に応じて、免疫応答を増大し、維持するためのスケジュ
ール/頻度及び/又は投薬量調節を必要とし得る。別の実施の形態では、限界又は非抗原特異的免疫応答は非最終用量後に検出され、そしてプロトコールの完了前に治療が中断される。さらに別の実施の形態では、有意の抗原特異的免疫応答が検出され、プロトコールに従って治療が継続される。或いは治療は、変更されたプロトコールに従って継続される。例えばその後の用量のスケジュール/頻度及び/又は投薬量は増大若しくは低減され得るし、又はその後の用量又はステップは選択的に繰り返されるか又は省かれ得るし、又はその後の用量投与又はステップの組成物の個々の成分が選択的に投与されるか又は中止され得る。いくつかの実施の形態では、非最終用量投与と異なる剤形が投与される。例えば、異なる剤形としてのウイルス又はウイルスベクターの使用を含む追加抗原用量が投与され得る。或いは異なる剤形としてのリンパ内送達ペプチドの使用を含めた増幅用量投与が用いられ得る。一実施の形態では、ペプチドはアジュバントを有さない。
【0016】
その他の実施の形態では、測定するステップは実質的免疫応答を示し、そして選択するステップは第二の免疫原性組成物を投与することを包含する。免疫原性組成物は、DNA、mRNA、プラスミド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、ウイルスベクター、ウイルス様粒子及び細菌ベクターから成る群から選択される形態で提供され得る。いくつかの実施の形態では、第一及び第二の免疫原性組成物は、同一の形態で提供される。他の実施の形態では、第一及びその後の免疫原性組成物は、異なる形態で提供される。
【0017】
いくつかの実施の形態では、多価免疫原性組成物(単数又は複数)が用いられる。いくつかの実施の形態では、多価組成物は、少なくとも2つの標的抗原を含む。いくつかの実施の形態では、多価組成物は、少なくとも3、4、5、又はそれより多い標的抗原を含む。このような場合、免疫応答の測定は、多価組成物(単数又は複数)により標的化されるものに対応するか又はこれらを包含する抗原のパネルに対する多数の方法により実行され得る。いくつかの実施の形態では、有意の応答が第一の抗原等に対して測定されるが、非最終用量後に、応答が第二の抗原等に対して検出されない場合、その後の治療はそれに従って調整され得る。いくつかの実施の形態では、その後の治療は、例えば、応答が検出されなかった抗原を標的化する成分の投与を中断することにより応答が検出された抗原(単数又は複数)に集中され得る。
【0018】
さらに別の実施の形態では、プロトコールの非最終ステップ後に、免疫原性組成物のある成分に対する免疫応答は検出されるが、しかし有意ではないか又は最適以下のものである(例えば予め設定された閾値より低い)場合には、プロトコールは補正するように修正され、例えば、その後の治療行為は、より多量に又はより高頻度に準優性成分を提供することを包含し得る。
【0019】
さらに別の実施の形態では、1つ又は複数の成分に対して検出される免疫応答が免疫寛容を示す場合には、プロトコールは、例えばこのような成分を減じることにより修正される。
【0020】
さらに他の実施の形態は、患者を治療する方法であって、順次、以下の:多ステップ免疫感作プロトコールの非最終ステップの一部として免疫原性組成物を患者に投与するステップと、非最終ステップの後の組成物の成分に対する免疫応答性に関して患者試料を検定するステップと、免疫応答性に基づいて応答者、低応答者又は非応答者として患者を分類するステップと、当該分類に基づいてその後の治療行為を選択するステップとを包含する患者を治療する方法を提供する。
【0021】
例えば、いくつかの実施の形態では、分類するステップは非応答者として患者を分類することを包含し、選択するステップは治療を中断することを包含する。
【0022】
いくつかの実施の形態では、非最終用量は誘導及び増幅プロトコールの誘導用量である。いくつかの実施の形態では、分類するステップは低応答者として患者を分類することを包含し、選択するステップは付加的誘導用量を投与することを包含する。他の実施の形態では、分類するステップは応答者として患者を分類することを包含し、選択するステップは増幅用量を投与することを包含する。
【0023】
いくつかの実施の形態では、免疫原性組成物は抗原を標的化する組成物を含む。かかる実施の形態では、検定ステップは少なくとも2つの標的抗原に対する免疫応答性を決定することを包含し得る。分類するステップは、第一の標的抗原に関して応答者として、第二の標的抗原に関して低応答者として患者を分類することを包含し、選択するステップは第二の標的抗原に対応するが第一の標的抗原に対応しない成分を含む免疫原性組成物を投与することを包含する。
【0024】
さらに他の実施の形態は、患者を治療する方法であって、以下の:多ステップ免疫療法プロトコールの非最終ステップの一部として免疫原性組成物を患者に投与するステップであって、免疫原性組成物は1つ又は複数の抗原を標的化するステップと、非最終ステップ後の1つ又は複数の抗原の発現に関して患者からの腫瘍組織を検定するステップと、抗原発現プロフィールを確立するステップと、発現プロフィールと免疫原性組成物により標的化される1つ又は複数の抗原との間の適合性を最適化するステップとを包含する方法に関する。
【0025】
他の実施の形態は、能動免疫療法のための臨床試験プログラムの設計及び遂行に関する。いくつかの実施の形態では、予め存在する及び/又は治療誘導性免疫反応性は、臨床的見通しに基づいて患者集団を層化するために用いられ得る。一実施の形態では、免疫原性及び/又は免疫応答性は一患者集団において評価され、これは次に、亜集団に、例えば「非応答者」、「応答者」、「低応答者」、「高応答者」等に、又は検出される免疫応答性のレベルに対応する他の類似の分類又は部類に層化される。次に治療の有効性が、2つの(又はそれより多い)亜集団で別個に評価され得る。一実施の形態では、有効性は、応答者亜集団においてのみ評価される。一実施の形態では、有効性は非応答者亜集団においては評価されないが、しかし低応答者及び高応答者亜集団において別個に評価される。一実施の形態では、治療は、効力に関して評価されない亜集団に関しては中断される。
【0026】
いくつかの実施の形態は、物質Xによる免疫療法に対する患者の応答性を決定する方法であって、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の数を決定することによって、免疫応答性に関して物質Xで免疫感作された上記患者由来の血液試料を検定するステップと、CTLの数に基づいて「応答者」、「非応答者」又は「低応答者」として患者を分類するステップとを包含する方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
[好ましい実施形態の詳細な説明]
癌、炎症又は感染性疾患のための治療をモニタリングし、調整する方法が本明細書中に記載され、この場合、治療は能動免疫療法プロトコールに基づいており、そして当該方法は、治療の開始後、及びプロトコールの完了前に適用される。このような方法は、治療を最適化するやり方で、免疫療法プロトコールの調整、継続又は終結をさせる。この柔軟性及びカスタマイズ可能性は、免疫療法の成功率及び全体的結果を改善する。
【0028】
本明細書中に開示される方法は、(1)治療効果を開始するか又は維持するか又は増強するための、並びに(2)治療プロトコールの完了前に組成物の成分(単数又は複数)に対する患者の免疫応答の信頼できる評価を可能にするための二元性役割を有する強力な免疫原性組成物の使用により促進される。診断及び治療方法のこのような結合は、免疫応答
の大きさとエフェクター機能との間の相関を実証する調査ベースの証拠に一部基づいている(実施例1)。
【0029】
開示方法の利点としては、以下のものが挙げられる:(1)プロトコールの非最終ステップ前の各患者の免疫応答の信頼できる評価に基づいたプロトコールにおいて必要とされる治療のコースを調整することにより、能動免疫療法プロトコールの全体的効力を改善すること;(2)治療が開始された後、そしてプロトコールの非最終ステップの前に特定免疫療法プロトコールから利益を得る最高の可能性を有する患者を同定すること;(3)あまり正確でない登録又は除外判定基準の決定入力(例えば非関連抗原に対するDTH、血球数、或いは事前の/同時の処置、例えば免疫療法と適合性であり得る化学療法に基づいた決定入力)を回避するか又は最小限にすることにより、所定の免疫療法プロトコールから利益を得るであろう処置集団の規模を増大させること;(4)有益でないような治療を中止することにより、癌患者又は慢性感染患者の生活の質を改善すること;(5)代替的な、より適切な療法における非応答者を適時に登録することにより、特定治療プロトコールから利益を得ないような癌患者の寿命を増大させること;(6)概して高価なバイオ療法の非有効使用を最小限にすることによりヘルスケア/治療コストを低減すること;(7)各々の個々の患者に合わせて作成される治療コースを決定すること;並びに(8)能動免疫療法治療の質を増大させること。
【0030】
定義
本明細書中で用いる場合、「能動免疫療法」とは、疾患と闘うために身体自体の免疫系を刺激する試みを指す。いくつかの実施形態では、療法的効果は、細胞溶解性T細胞(CTL)応答により媒介される。他の実施形態では、他の型の免疫応答、例えば抗体、Tヘルパー及びT調節応答は、単独で又は任意の組合せで、療法的効果を媒介する。いくつかの場合では、例えばTヘルパー及び/又はT調節応答の非存在下でCTL又は抗体応答を生じるために、或る型の応答を、別の型の非存在下で生じるのが望ましい。
【0031】
本明細書中で用いる場合、「治療プロトコール」又は「プロトコール」とは、医療処置又は治療の理想的コースに関する計画を指す。本明細書中で記載される方法で用いるための治療プロトコールは、臨床的又は医療設定における使用のための療法レジメンである。
【0032】
本明細書中で用いる場合、「治療」とは、例えば患者への治療薬の投与又は適用により、患者を医学的に処置する行為を指す。
【0033】
本明細書中で用いる場合、「非最終ステップ」とは、治療のためのプロトコール又は確定前計画の非最終ステップを指す。これは、患者の治療の非最終ステップとは区別可能である。本発明のいくつかの実施形態では、プロトコールの非最終ステップは、治療の最終ステップであり得る。
【0034】
免疫応答の測定
本明細書中に開示される方法の実施形態では、免疫療法プロトコールに従って治療されている患者の治療のその後のコースは、プロトコールの非最終用量として投与される免疫原性組成物の一つの成分又は多くの成分に対する患者の免疫応答を迅速に且つ信頼可能的に評価するための方法を用いて決定される。
【0035】
いくつかの実施形態では、患者試料、例えば血液又はその他の体液、又は分泌物、或いはその一部分、例えばリンパ球又はサイトカインが、免疫応答に関して検定される。いくつかの実施形態では、免疫応答は、身体の視覚的観察、例えばDTHに関する皮膚試験を用いて測定される。
【0036】
いくつかの実施形態では、所望の応答(単数又は複数)のみが検定される。他の実施形態では、非所望の応答(単数又は複数)のみが検定される。さらに他の実施形態では、所望及び非所望の応答が検定される。非所望の応答に関して検定する場合、患者の分類及び/又はその後の治療行為は、下記のものの逆である。例えば組織試料が非所望の応答に関して検定されるいくつかの実施形態では、免疫応答が検出されない患者、例えば「非応答者」に関しては、治療はプロトコールに従って継続され、そして有意の免疫応答が検出される患者、例えば「応答者」に関しては、治療は中断される。
【0037】
検定技術
例示的評価方法としては、例えば四量体ベースのT細胞染色、エリスポット分析、MHC−多量体によるフローサイトメトリー染色、DTH検定(好ましくは抗原特異的DTHに関する)、抗体検定、1°又は2°細胞傷害性検定、サイトカイン検定、細胞増殖検定、クロム放出検定、免疫蛍光検定、或いは炎症反応検定(これらはすべて、当該技術分野で周知である)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの方法のうちのいくつかは、以下の実施例で利用される。付加的検定は、当業者に容易に明らかである。
【0038】
いくつかの実施形態では、腫瘍抗原発現を評価することが有益であり得る。このような検定を実行するための多数の方法が、当該技術分野で既知である。検定するための腫瘍組織又は断片(例えば腫瘍抗原を含む)は、手術により塊組織として、或いは血液、骨髄、細胞吸引物、腹腔洗浄液、複数吸引物、又は気管支洗浄液等由来の細胞形態で得られ得る。
【0039】
一般に、特定タンパク質又はmRNAを検出するための任意の信頼可能な方法が適合され得る。多数の試料を検定し、そして/又は結果を迅速に提供する能力のような特質に基づいた技法、或いは検定が実行するのに高価でない技法、或いはこれらのパラメーターの何らかの最適条件が好ましい。一般的に、特定タンパク質の検出は、抗体の使用を包含する。免疫組織化学(IHC)は広範に適用可能であるが、しかしウエスタンハイブリダイゼーション、ラジオイムノアッセイ(RIA)及びフローサイトメトリーも用いられ得る(集合的にはタンパク質分析)。特異的ペプチド−MHC複合体を認識するTRC−四量体及び抗体も用いられ得る。腫瘍組織は、広範囲の免疫学的検定(エリスポット、T細胞ハイブリドーマ反応性、微量細胞傷害性等)において、標的又は刺激剤として用いられ得る。このような検定は、標的エピトープに特異的であるが、親抗原には特異的でなく、したがってエピトープ分析と呼ばれ得る。特定mRNAの検出は、RT−PCR(逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)並びに類似の核酸増幅技術(例えば3SR)、ノーザンハイブリダイゼーション、mRNA又はcDNAを用いる遺伝子アレイの問い合わせ、並びにin situハイブリダイゼーション(集合的には転写体分析)のうちのいくつかの様式のいずれかを用いて成し遂げられ得る。標的抗原由来の特定T細胞エピトープの提示を検出する試薬もまた、用いられ得る。これらの例としては、T細胞系統及びハイブリドーマ、さらに好ましくはペプチド−MHC複合体及びTCR四量体に特異的な抗体が挙げられる(例えばLi et al. Nature Biotech. 23: 349-354, 2005(この記載内容はその全体が参照により本明細書中に援用される)参照)。
【0040】
PCR技法は感受性であり、そして一般に実行するのが容易であるが、それらは試料内の抗原発現のモザイク現象を検出できない。IHC(及びその他のin situ技法)は、潜在的により労働集約的であるが、しかし観察されるべき試料内の発現の空間的変動を可能にする。このように、同一試料内の、同一細胞内の抗原の同時発現対異なる細胞内での同時発現間の区別がなされ得る。両状況が望ましく、前者は、標的化のより大きな重複性及び抗原損失逸脱(antigen-loss escape)変異体が生じる見込みの低減を提供し、後者は、全体的腫瘍組織のうちのより高比率が直接的に標的化される方法を明示する。このような情報は、より複雑な発現パターンを有する抗原の使用にも関連する。例えば前立腺
細胞及び腫瘍新生血管系により発現され得るPSMAは、in situ検出方法又は発現を検出する前の顕微解剖のいずれかの使用により、その発現が新生物細胞と特異的に関連付けられ得る場合、前立腺系統マーカーとして用いられ得る。
【0041】
患者の層化
いくつかの実施形態では、患者は、プロトコールの非最終用量後に免疫応答が検出されるか否かによって分類される。例えばいくつかの実施形態では、各患者は、予定値に関して該患者の検出された免疫応答に基づいて、「非応答者」、「応答者」、「低応答者」又はその他の類似の分類として分類される。したがっていくつかの実施形態では、免疫応答が予定低値より低い患者は「非応答者」として部類分け又は分類され、一方、免疫応答が予定低値を上回るが、しかし予定最適値より低い患者は、「低応答者」として分類され、そして免疫応答が予定最適値を上回る患者は「応答者」として分類される。当業者に明らかなように、予定値は、免疫応答を測定するために用いられる技法、並びに追求されている応答に依存している。これらの値は、本明細書中に記載される方法に有用な付加的又は代替的分類/層化と同様に、特定の型の検定又は測定に関して当業者に明らかある。
【0042】
その後の治療行為
いくつかの実施形態では、治療行為のその後のコースは、例えばプロトコールに必要とされるようなその後の用量を投与すること、プロトコールを調整すること又はプロトコールの完了前に治療を中断することを包含する。いくつかの実施形態では、プロトコールの調整としては、例えば増大投薬量でその後の(単数又は複数の)用量を投与すること、低減投薬量でその後の(単数又は複数の)用量を投与すること、より高頻度でその後の用量を投与すること、低頻度でその後の用量を投与すること、非最終用量の投与を繰り返すこと、その後の用量を選択的に繰り返すか又は省くこと、免疫原性組成物の個々の成分を選択的に投与すること、及び/又は組成物の個々の成分の投与を選択的に中止することが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
いくつかの実施形態では、免疫療法プロトコールにおける非最終ステップ後に「応答者」として標識される患者はプロトコールに従って治療を継続し、一方、「非応答者」として標識される患者はプロトコールに従う治療を中断し、その後、代替的療法レジメンに登録され得る。いくつかの実施形態では、「低応答者」として同定される患者は、例えば付加的な、より高頻度の、又は増大された用量の治療薬を含み得る変更プロトコールに従って治療を継続する。
【0044】
したがって治療プロトコールは、誘導又は増幅相に対する応答性、並びに抗原発現の変動に基づいて調整され得る。例えば何らかの組数の同調用量後に増幅するというよりむしろ、検出可能応答が得られるまで繰り返し同調用量が投与され得るし、次に、増幅ペプチド(単数又は複数)用量が投与され得る。同様に、それらの有効性が衰え、抗原特異的調節T細胞数が上昇し、又は寛容化の何らかの他の証拠が観察された場合、ペプチドの予定増幅又は維持用量投与は中断され得るし、そしてさらなる同調化が投与された後、ペプチドによる増幅が再開され得る。
【0045】
継続モニタリング
開示された診断−療法組合せは、疾患進行が免疫療法に対する最初の好ましい応答後に検出されるシナリオにおいても有用である。腫瘍が免疫襲撃を逃れるための多数のメカニズム、例えばTuAA又はHLAの発現の損失が存在する。したがって、現存する腫瘍が増殖を再開するか、又は新規の転移が検出されると、組織試料が分析され得る(例えばTuAA及びHLAの発現、化学療法薬に対する感受性等)。分析の結果によって、新しい(又は変異化)腫瘍のための適切且つ有効な療法が開始され得る。例えば適用免疫原性組成物に対応するTuAAが新腫瘍によりもはや発現されないが、しかし他のTuAAが発
現される場合には、適切な抗原を含有する免疫原性組成物を用いて、新規発見又は変異化腫瘍を治療し得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、開示された診断−治療サイクルはプロトコール全体を通して繰り返されて、患者の進行状態をモニタリングし、免疫応答における任意の変化に応答する。診断−治療サイクルの継続使用は、有効な治療方法が全時点で適用されることを保証し、患者に関する生活の質を最大にし、一方、不適切な療法の投与を最小限にすることにより治療又は臨床試験を低減する。さらに、診断−治療サイクルの使用は、「非応答者」と標識された患者に代替的且つより適切な形態の療法を受ける機会を与える。
【0047】
能動免疫療法プロトコール
本明細書中に開示される方法の原理は、一般に能動免疫療法に関するプロトコールに適用可能である。それらは、免疫応答を確立する最初の剤形並びに臨床的有効レベルに対する応答を増強する第二の剤形を利用するプロトコールに良好に適合される。このようなアプローチの一例は、免疫原をコードする核酸組成物、もっとも典型的には、裸又は脂質複合体化DNAプラスミドによる(単数又は複数の)初期免疫感作用量、並びにウイルスベクターを用いる(単数又は複数の)追加免疫感作用量を包含する「初回免疫−追加免疫」プロトコールである(例えば米国特許第6,663,871号(表題「CD8 T細胞免疫応答を生じるワクチン接種のための方法及び試薬」)(この記載内容はその全体が参照により本明細書中に援用される)参照)。別の例示的アプローチは、同調及び増幅プロトコール、例えば米国特許出願第10/871,707号(2004年6月17日出願)(公開番号20050079152 A1)及び米国仮出願第60/640,402号(2004年12月29日出願)(ともに表題「予防又は治療目的のためのMHCクラスI制限エピトープに対する免疫応答を誘導し、増強し、そして持続するための方法」)(これらの記載内容は各々、その全体が参照により本明細書中に援用される)に開示されたものを利用する。別の例示的アプローチは、米国仮出願第60/640,821号(2004年12月29日出願)に開示されている。
【0048】
例えばいくつかの実施形態では、治療プロトコールは、好ましくは免疫学的不活性ビヒクル又は処方物(用量範囲1 ng/kg〜10 mg/kg、好ましくは0.005〜5 mg/kg)中での、組換えDNA(用量範囲0.001〜10 mg/kg、好ましくは0.005〜5 mg/kg)の多数(例えば1〜10又はそれ以上、2〜8、3〜6、好ましくは約4又は5)の投与で開始し、その後、ペプチドの1つ又は複数(好ましくは約2)の投与が続く、1つ又は複数のリンパ節への注射又は注入を必要とする。用量は必ずしも被験体の規模と一次比例しないため、ヒトに関する用量は、これらの範囲のより低いものとなる傾向があり、そしてマウスに関する用量はより高いものとなる傾向がある。いくつかの実施形態では、注射時のプラスミド及びペプチドの好ましい濃度は、一般に被験体の大きさ又は種にかかわらず、一般に約0.1μg/ml〜10mg/mlであり、最も好ましい濃度は約1mg/mlである。しかしながら特に強力なペプチドは、この範囲の低端に向かう最適濃度、例えば1〜100μg/mlを有し得る。ペプチドだけのプロトコールを用いて寛容を促進する場合、これらの範囲のより高い端に向かう用量が一般に好ましい(例えば0.5〜10mg/ml)。このシーケンスは、in vivoで強力な免疫応答を維持する必要がある限り、繰り返され得る。さらにDNAの最終同調用量及びペプチドの最初の増幅用量間の時間は、重要ではない。好ましくはそれは約7日又はそれ以上であり、そして数ヶ月を超え得る。DNA及び/又はペプチドの注入の多重度(multiplicity)は、数日間(好ましくは2〜7日間)続く注入と置き換えることにより低減され得る。注射として投与され得るものと類似の物質のボーラスで注入を開始し、その後徐々に注入する(24〜12000μl/日で、DNAに関しては約25〜2500μg/日を、ペプチドに関しては0.1〜10,000μg/日を送達)というのが有益であり得る。これは、手動で、或いはプログラム可能なポンプ、例えばインスリンポン
プの使用により成し遂げられ得る。このようなポンプは当該技術分野で既知であり、周期的スパイク及びその他の投薬プロフィールを可能にする(これはいくつかの実施形態において望ましい)。
【0049】
例示的エピトープ及びエピトープ類似体は、米国特許出願第10/117,937号(2002年4月4日出願)(公開番号20030220239 A1);第11/067,159号及び第11/067064号(各々、2005年2月25日出願);米国特許出願第10/657,022号(2003年9月5日出願)及びPCT出願PCT/US2003/027706(2004年6月17日出願)(公開番号WO04022709
A2)及びPCT/US02/11101(2002年4月4日出願)(公開番号WO02081646)(すべて表題「エピトープ配列」);並びに米国特許出願第10/292,413号(2002年11月7日出願)(公開番号20030228634 A1)(表題「標的関連抗原のエピトープをコードする発現ベクター及びそれらの設計方法」);米国特許仮出願第60/581,001号(2004年6月17日出願)及び米国特許出願第__/___号(本願と同日付で出願)(代理人整理番号:MANNK.038A)(表題「SSX−2ペプチド類似体」);米国特許仮出願第60/580,962号(2004年6月17日出願)及び米国特許出願第__/___号(本願と同日付で出願)(代理人整理番号:MANNK.039A)(本願と同日付で出願)(表題「NY−ESO−1ペプチド類似体」)及び米国特許出願第__/___号(本願と同日付で出願)(代理人整理番号:MANNK.051A)(本願と同日付で出願)及び米国特許仮出願第__/___号(本願と同日付で出願)(代理人整理番号:MANNK.052PR)(本願と同日付で出願)(ともに表題「エピトープ類似体」)に記載されている(これらの記載内容は各々、その全体が参照により本明細書中に援用される)。
【0050】
特定腫瘍に対して向けられる免疫療法のための腫瘍関連抗原の特に有用な組合せは、米国特許仮出願第60/479,554号(2003年6月17日出願)及び米国特許出願第10/871,708号(2004年6月17日出願)及び米国特許仮出願第60/640,598号(2004年12月29日出願)(すべて表題「種々の型の癌に関するワクチン中の腫瘍関連抗原の組合せ」)、並びに米国特許仮出願第60/580,969号(2004年6月17日出願)及び米国特許出願第__/___号(本願と同日付で出願)(代理人整理番号:MANNK.050A)(ともに表題「種々の型の癌に関する診断薬中の腫瘍関連抗原の組合せ」)、及び米国特許仮出願第__/___号(代理人整理番号: MANNK.054PR)(表題「癌に対する多価同調及び増幅免疫療法」)(本開示と同日付で出願)に開示されている(これらの記載内容は各々、その全体が参照により本明細書中に援用される)。本明細書中に記載される発明の実施形態で用いられ得るエピトープを発現するための核酸ベクター、並びにそれらの設計方法は、米国特許出願第09/561,572号(2000年4月28日出願)、第10/225,568号(2002年8月20日出願)(公開番号20030138808)及びPCT出願PCT/US2003/026231(2003年8月19日出願)(公開番号WO2004/018666)(すべて表題「標的関連抗原のエピトープをコードする発現ベクター」);米国特許出願第10/026,066号(2001年12月7日出願)(公開番号20030215425 A1)、第10/895,523号(2004年7月20日出願)、第10/896,325号(2004年7月20日出願)(すべて表題「抗原提示細胞中のエピトープ同期化」);及び米国特許出願第10/292,413号(2002年11月7日出願)(公開番号20030228634 A1)、第10/777,053号(2004年2月10日出願)(公開番号20040132088 A1)及び第10/837,217号(2004年4月30日出願)(すべて表題「標的関連抗原のエピトープをコードする発現ベクター及びそれらの設計方法」);米国特許出願第10/094,699号(2002年3月7日出願)(公開番号20030046714 A1)及び第11/073,347号(2005年3月4日出願)(ともに表題「癌のための抗新血管系調製
物」);米国特許第6,861,234号(表題「エピトープ発見方法」);米国特許出願第09/561,571号(2000年4月28日出願)(表題「エピトープクラスター」);米国特許出願第09/560,465号(2000年4月28日出願)、米国特許出願第10/026,066号(2001年12月7日出願)(公開番号20030215425 A1)、第10/895,523号(2004年7月20日出願)、第10/896,325号(2004年7月20日出願)(表題「抗原提示細胞中のエピトープ同期化」);並びに米国特許第6,709,844号及び米国特許出願第10/437,830号(2003年5月13日出願)(公開番号20030180949 A1)(ともに表題「プラスミド増殖における望ましくない複製中間体の回避」)、及び米国特許出願第__/___号(代理人整理番号:MANNK.053PR)(表題「癌細胞及び腫瘍間質で発現される優性及び準優性エピトープに対する多価免疫応答を誘発するための方法及び組成物」)(本開示と同日付で出願)に開示されている(これらの記載内容は各々、その全体が参照により本明細書中に援用される)。
【0051】
CTLの生成のためのリンパ節内投与及び応答を検出するための適切な検定は、米国特許出願第09/380,534号(1999年9月1日出願)及び第09/776,232号(2001年2月2日出願)(公開番号20020007173 A1)に、並びにPCT出願PCT/US98/14289(公開番号WO9902183A2)(各々表題「CTL応答の誘導方法」)、及び米国特許出願第60/640,727号(2004年12月29日出願)(表題「リンパ様器官への生物学的応答修飾剤の標的化投与により免疫応答を誘発し、維持し、操作するための方法」)に教示されている(これらの記載内容は各々、その全体が参照により本明細書中に援用される)。
【0052】
本明細書中で参照される出願は各々、その全体が参照により本明細書中に援用される。
【0053】
上述の段落は、本発明の一般概念が実行に際して如何に適用されるかを例証するものであり、考え得る変更の包括的又は限定的列挙と解釈されるべきでない。実際、特定免疫原性組成物の特性及び免疫感作プロトコールにより、多数のさらなる変更が示唆され、そして当業者に明らかになる。個々の実施形態は、任意のこのような代替物を特に含入又は排除し得る。
【0054】
(実施例)
以下の実施例は、細胞傷害性T細胞の生成に基づいた能動免疫療法に関する。しかしながら、当業者に明らかなように、例示される根元的原則は一般に、抗体、Tヘルパー及びT調節応答を含めて、他の型の免疫応答を生成するよう設計された免疫療法にも、単独で又は任意の組合せで、適用可能である。
【実施例1】
【0055】
プラスミドで誘導し、ペプチドで増幅することを包含する強力なレジメンで免疫感作されたMHCトランスジェニックマウスにおいて、四量体染色により、in vivoエフェクター機能及び免疫の大きさの間の相関を評価した
同調及び増幅プロトコールにより得られる免疫応答を評価するために、免疫感作動物の一群(n=7)を、in vivoでメラン−Aペプチド(ELAGIGILTV(配列番号1))負荷標的細胞でチャレンジした。脾臓細胞を同腹仔対照HHDマウスから単離し、20μg/mLのペプチドと共に2時間インキュベートした。次にこれらの細胞をCFSEhi蛍光で染色し(4.0μM、15分間)、等比率のCFSElo蛍光(0.4μM)で染色した対照脾臓細胞とともに、免疫感作マウス中に静脈内同時注射した。18時間後、標的細胞の特異的排除を、チャレンジした動物から脾臓、リンパ節、PBMC及び肺を取り出すとともにフローサイトメトリーによりCFSE蛍光を測定することにより測定した。
【0056】
マウスは、リンパ系並びに非リンパ系器官中の標的細胞の高レベルの特異的殺傷を実証し、そして四量体レベルとの特異的相関を実証した(図1A参照。試験した全組織に関してr2=0.81又はそれ以上)。したがって四量体染色は、この免疫感作プロトコールを用いた細胞溶解性T細胞の生成の信頼できる指標であった。
【0057】
上記のような初回免疫−追加免疫プロトコールを用いて免疫感作したマウス(1、4、15、19日目にプラスミド、そして28及び32日目にペプチド)に、付加的治療サイクル−本質的に、それぞれ46、49、60、64日目(プラスミド)、74及び78日目(ペプチド)に、初回免疫−追加免疫の繰り返しを受けた。この後、さらに別のペプチド追加免疫を続けて、125日目に免疫記憶を評価した。四量体染色により、この期間中に、免疫応答の大きさをモニタリングした。図1Bに示したように、第一治療サイクル後に免疫応答低減を備えた動物は、第二治療サイクル後に実質的免疫応答を発生する傾向が低かった(動物モデルは、MHCクラスIの可変レベルのヒトA2対立遺伝子を発現するHHDトランスジェニックマウスを含み、ヒトのような非近交系集団において遭遇する被験体間変異性を連想させる状況を生じる)。
【実施例2】
【0058】
四量体染色により測定されるような免疫応答の大きさとin vivoでのヒト腫瘍細胞のクリアランスとの間の相関
0及び3日目に、CpG又はdsRNAアジュバント(12.5μg、ペプチドと混合)を用いて又は用いずに、25μlのPBS中の25μg/リンパ節とともに鼠径リンパ節中に直接接種することにより、HHDトランスジェニックマウス(n=4/群)をメランAペプチドで免疫感作した。この後、28及び31日目に、さらに2回のペプチド追加免疫(同様の量、プロトコール及びアジュバント)を施した。PBMC及びHLA−A2−メランA試薬(Beckman Coulter)を用いて四量体染色により、免疫応答を測定した。
【0059】
CFSElo蛍光(0.4μM)で染色した等比率の624.28黒色腫対照細胞(A2-、メランA+)とともに免疫感作マウス中に同時注射されるCFSEhi蛍光で染色(4.0μM、15分間)された624.38黒色腫細胞(A2+、メランA+)を用いてマウスをチャレンジした。18時間後、標的細胞の特異的排除を、チャレンジした動物から肺を取り出すとともにフローサイトメトリーによりCFSE蛍光を測定することにより測定した。
【0060】
抗原特異的T細胞の頻度と所定の時間間隔にわたってヒト腫瘍細胞を掃去する免疫感作マウスの能力との間の直接相関を観察した。代表的結果を図2に示す。特異的T細胞の頻度(CD8+T細胞集団から2%上回る)が、その特定期間にわたる標的細胞集団の有意のクリアランスのために必要であった。
【実施例3】
【0061】
多価免疫応答(エリスポット分析により測定)は、一価応答と対比して、ヒト腫瘍細胞のin vivoクリアランスに関連する
1、4、15及び18日目に、鼠径リンパ節中に直接接種(25μlのPBS/リンパ節中25μg)することにより、チロシナーゼ369〜377、メランA 26〜35(A27L)、SSX−2 41〜49及びNY−ESO−1 157〜165エピトープを発現する2つのプラスミド(pSEM及びpBPL。以前は、米国特許出願第10/292,413号(表題「標的関連抗原のエピトープをコードする発現ベクター及びそれらの設計方法」)(この記載内容は、その全体が参照により本明細書中に援用される)において、それぞれpMA2M及びpBPLとして開示された)の混合物で、HHDトランスジェニックマウス(n=6)を免疫感作した。この後、それぞれ左及び右の鼠径リンパ節
に、28、32、49及び53日目に、SSX−2 41〜49及びチロシナーゼ369〜377ペプチド類似体の4つのペプチドの追加免疫用量を施した(25μlのPBS/リンパ節中25μg)。
【0062】
CFSEhi蛍光で染色(4.0μM、15分間)された624.38黒色腫細胞(A2+、メランA+)を用いてマウスをチャレンジし、CFSElo蛍光(0.4μM)で染色した等比率の624.28黒色腫対照細胞(A2-、メランA+)を用いて免疫感作マウス中に同時注射した。18時間後、標的細胞の特異的排除を、チャレンジした動物から肺を取り出すとともにフローサイトメトリーによりCFSE蛍光を測定することにより測定した。さらに、各抗原に対する免疫反応性を、エリスポット分析により決定した。要するに、種々の数の脾臓細胞を、抗IFN−γ抗体で被覆したエリスポットプレート中で別々に、10μg/mlのネイティブペプチドで刺激した。48時間のインキュベーション後、検定を展開して、サイトカイン産生T細胞の頻度を慣用的ビオチン−ストレプトアビジンHRP検定を用いて測定した。データを、スポット形成コロニーの数(三重繰り返し試験の平均±SD)として、ヒト腫瘍細胞のin vivoクリアランスとともに表わした。
【0063】
多価応答は、その特定間隔にわたってヒト腫瘍細胞の測定可能クリアランスと関連するが、一方、一価応答は、達成されるそしてその時間間隔にわたる応答のレベルで、図3における代表的結果により示されるように、検出可能なクリアランスと関連しなかった。これは、免疫応答の性質及び特異性の測定方法が生物学的作用に関して予示的であり、したがって免疫応答のモニタリングが治療プロトコールの有効な調整又はより根本的な修正を可能にする、ということを例証する。
【実施例4】
【0064】
免疫活性分子は予期せぬ逆用量効果関係(用量増大、免疫応答減少)を有し得る
PRAME425〜433発現プラスミド(米国仮出願第__/___号(代理人整理番号:MANNK.053PR)(表題「癌細胞及び腫瘍間質で発現される優性及び準優性エピトープに対する多価免疫応答を誘発するための方法及び組成物」)(本開示と同日付で出願)(この記載内容はその全体が参照により本明細書中に援用される)に記載)で、又はペプチドをdsRNA(異なる濃度のプラスミド又はペプチド)とともに用いて、0、3、14及び18日目に、鼠径リンパ節中にPBS中の25μlのプラスミド又はペプチド/リンパ節を直接接種することにより、HHDトランスジェニックマウス(n=4/群)を免疫感作した。免疫感作完了後10日目に脾臓を取り出し、脾臓細胞を、ネイティブペプチド(10μg/ml)とともに48時間インキュベートし、上清を採取して、IFN−ガンマ濃度をELISAにより測定した。
【0065】
この場合、プラスミドの用量が大きいほど、免疫応答の大きさは大きい、ということが観察された。これに反して、ペプチドの用量が大きいほど、免疫応答は低い(図4参照;結果をpg IFN−ガンマ/mlとして表わす)。したがって治療レジメン中の免疫応答のモニタリングは、免疫感作のプロトコールを調整するために、例えばここで観察されるような高帯域寛容現象を回避するために用いられ得る。
【実施例5】
【0066】
優性及び準優性抗原に対する多価初回免疫とその後の準優性抗原による追加免疫に関するプロトコール
1、4、15及び18日目に、鼠径リンパ節中に直接接種(25μlのPBS中25μg/リンパ節)することにより、チロシナーゼ369〜377、メランA 26〜35 A27L、SSX−2 41〜49及びNY−ESO−1 157〜165エピトープを発現する2つのプラスミド(pSEM及びpBPL)の混合物で、HHDトランスジェニックマウスを免疫感作した。この後、それぞれ左及び右のリンパ節に、28、32、49
及び53日目に、SSX−2 41〜49及びチロシナーゼ369〜377ペプチド類似体のペプチドの追加免疫用量(同量)を、免疫応答の暫定分析後(プラスミド免疫感作期後かつ選定ペプチドによる追加免疫前)に施した。さらに、以下の実施例6及び7は、未処理及びプラスミド追加免疫対照群を含む。
【実施例6】
【0067】
前臨床モデルにおける免疫応答の異質性
HHDトランスジェニックマウスを、実施例5に記載したように免疫感作した。
【0068】
各抗原に対する免疫反応性を、エリスポット分析により決定した。要するに、種々の数の脾臓細胞を、抗IFN−γ抗体で被覆したエリスポットプレート中で別々に、10μg/mlのネイティブペプチドで刺激した。48時間のインキュベーション後、検定を展開して、サイトカイン産生T細胞の頻度を慣用的ビオチン−ストレプトアビジンHRP検定を用いて測定した。データを、スポット形成コロニー/ウェルの数(三重繰り返し試験の平均±SD)として、図6A及び図6Bに表わした。
【0069】
結果は、免疫応答の大きさ及び抗原特異性の両方に関して、個体別に有意の異質性を示した。したがって治療効果を誘導する可能性がより高いと思われる平衡応答を得る目的でプロトコールを調整するために、免疫応答をモニタリングすることは有益であり得る。
【実施例7】
【0070】
精選準優性エピトープによる選択的追加免疫は平衡多価免疫応答を生じる
HHDトランスジェニックマウスを、実施例5に記載したように免疫感作した。ペプチド用量の投与前に、各エピトープに対する特異的応答の測定を、慣用的四量体染色(Beckman Coulter)を用いて行なった。全CD8+T細胞集団(血中)中の四量体反応性細胞%として表わされる図7Aにおける結果は、免疫応答がメランA及びNY−ESO−1に対するT細胞により支配され、そして他の2つの抗原SSX−2及びチロシナーゼに対するT細胞集団は比較的小さい、ということを示す。
【0071】
その結果として、この後、それぞれ左及び右のリンパ節に(25μlのPBS中25μg/リンパ節)、28、32、49及び53日目に、SSX−2 41〜49及びチロシナーゼ369〜377ペプチド類似体のペプチドの追加免疫用量(同量)を施した。四量体染色による免疫応答の測定は、選定エピトープで追加免疫されたマウスにおける全T細胞集団のより平衡された表示を示した(図7B)。したがって臨床的利益を付与する可能性がより高い平衡応答は、代わりのマーカー(例えば免疫応答)の暫定的測定に基づいて治療レジメンを調整することにより成し遂げられ得る。
【実施例8】
【0072】
腫瘍関連抗原に対する免疫反応性と臨床的見通しとの間の関係を分析することを目標とする臨床研究設計
IV期黒色腫患者における免疫応答を、メランA 26−35A27Lエピトープを発現するプラスミド(pSEM)とのリンパ節内融合により、免疫感作の前及び後に、四量体染色により測定した(図8)。さらに、免疫療法の開始後の時間対進行を、慣用的臨床手段により測定した。
【実施例9】
【0073】
メランAに対する免疫反応性と時間対疾患進行との間の有意の関係
pSEMプラスミドによる免疫感作(実施例8に従う)の前及び後の免疫反応性(0.1%を上回る末梢血中のメランA特異的、四量体+T細胞の頻度と定義される)の測定は、疾患の時間対進行との有意の相関(p<0.05)を示した。これは、基礎及び治療誘
導免疫反応性に基づいて患者集団を層化する(良好及び貧予後)場合の潜在値を例示する(図9)。治療前免疫反応性単独及び臨床的見通し間の相関は、統計学的に有意でなかった(p>0.05)。
【実施例10】
【0074】
臨床的適用
免疫感作(「誘導」)ステップを用いることにより「応答者」対「非応答者」を診断する方法の適用は、診断及び治療の二重の目的に役立つ。
【0075】
図10は、統合的診断及び治療的臨床実行のためのスキームを示す。疾患を有すると診断された被験体は、標的細胞での抗原及びMHC発現に関してさらに検査される。疾患の攻撃性に関するマーカーも評価される。これに基づいて、患者が能動免疫療法による治療のための候補者である場合、免疫感作が開始される。例えばトキソイドへの曝露による一般的免疫応答性は、必要ではない。治療の開始サイクル後、被験体は、投与免疫原に対する抗原特異的応答に関して試験される。治療は、非応答者に関しては中断される。
【0076】
二段階免疫感作プロトコールに関して、免疫代替実施形態は、第二の剤形の投与前の応答性の試験を可能にする(図10のリンパ内ペプチド)。第一段階投薬レジメン(図10のプラスミド)は、被験体を「非応答者」として分類する前に、繰り返される。治療の維持段階中、標的細胞の抗原発現が再評価され、投与頻度又は治療薬の組成が適合するよう調整される。
【実施例11】
【0077】
本明細書中に開示される方法は、二段階のプロトコールのために異なる形態の免疫原を含む免疫原性組成物を利用する誘導及び増幅免疫療法プロトコールに適用される。プロトコールは、標的抗原又はその一部分をコードする核酸を含む6回の誘導用量を4サイクルと、続いて、抗原の標的化エピトープを含む3回の増幅用量を要する。
【0078】
要するに、プロトコールの第三誘導用量の一部としてプラスミドを、12名の患者に各々投与する。プラスミド投与後、血液試料を各患者から採取し、検定して、免疫応答が起きるか否か、そしてそれがどのくらい強いかを決定する。
【0079】
7名の患者に関して、測定可能な免疫応答が観察される。患者は「応答者」として標識され、第四誘導用量がプロトコールに従って投与される。3名の患者に関しては、わずかな免疫応答が観察される。患者は、「低応答者」として標識される。3名の低応答者のうちの2名に関しては、一方はプロトコールで必要とされる投薬量で、他方はより高い投薬量で、第三誘導用量を繰り返した。三番目の患者に関しては、第四誘導用量がより高い投与量で投与される。残り2名の患者に関しては、免疫応答は観察されない。患者は、「非応答者」と標識される。2名の「非応答者」のうちの1名に関しては、治療が中断され、その患者は代替療法に差し向けられる。二番目の非応答者に関しては、第三誘導用量が、より高い投薬量で繰り返される。
【0080】
誘導及び増幅用量の第三完了サイクル後、血液試料を残りの患者の各々から採取し、検定して、免疫応答が起きたか否か、そしてその強さを決定する。
【0081】
患者のうちの2名に関しては、測定可能な免疫応答が観察される。患者は「高応答者」として標識され、そして応答を維持するために、患者にさらなる増幅用量が投与される。患者のうちの5名に関しては、わずかな免疫応答が観察される。患者は、「低応答者」として標識され、誘導及び増幅の付加的完了サイクルを投与される。患者のうちの2名に関しては、免疫応答は観察されない。患者は、「非応答者」と標識され、治療が中断される
。
【実施例12】
【0082】
能動免疫療法が多価である場合、応答者状態の評価は、各標的化抗原又はエピトープに関して実行され得る。種々の標的抗原に対してより平衡化された応答を得るために、免疫原性組成物の個々の成分の結合価及び免疫優性に依存して、より低い応答性を誘導する任意の成分の付加的誘導又は増幅用量が再投与され得る。同様に、種々の成分の相対投薬量が調整され得る。
【0083】
図11は、本明細書中に記載される一般原理がどのように特定プロトコールに適用され得るかの一例を提示する。
【0084】
要するに、プロトコールは、以下の通りである:
【0085】
誘導段階:1、4、15及び18日目の鼠径リンパ節中への繰り返しプラスミド投与による免疫の誘導(両側性、ボーラス注射、0.3ml/ボーラス、1.2mgのプラスミド/ボーラス、0.035mg/kgに対応)。用量範囲は、プラスミド0.0001〜0.04mg/kgであり得る。
【0086】
増幅段階:合計4回のペプチド注射/治療サイクルに関して、29及び32日目のペプチド注射による免疫の増幅(両側性、ボーラス注射、0.3ml/ボーラス、0.3mgのペプチド/ボーラス、0.09mg/kgに対応;用量範囲は、ペプチド0.0001〜0.1mg/kgであり得る)。4つまでの異なるペプチドが適応され得る(本質的には、投与ボーラス中で送達されるのはペプチド1つだけである)。
【0087】
当該プロトコールは、少なくとも2回繰り返されるべき誘導及び増幅段階を要する。
【0088】
本明細書中で具現される方法に従って、免疫感作抗原に対する免疫応答が、上記プロトコールの任意の非最終用量後に測定される。
【0089】
免疫応答が検出されない場合には、治療は終結され、患者は他の型の療法を参照する。
【0090】
抗原間の有意の不一致を伴わずにすべての抗原に対して免疫応答が測定可能である場合には、治療はプロトコールに従って継続される。
【0091】
第一の抗原に対して免疫応答がゼロであり、第二の抗原に対して測定可能である場合、プロトコールは修正され、例えば第一の抗原に対する免疫感作は中断され、治療組成物はそれに応じて修正される(第二の抗原に対する活性誘導免疫を保持するため)。
【0092】
両方の抗原に対する免疫が有意であり、測定可能であるが、しかし第一の抗原に対する免疫が第二の抗原に対する免疫より実質的に高い場合(不一致)には、治療組成物/レジメンは、例えば第二の抗原に対する活性増幅応答を有する付加的追加免疫を包含するよう修正され(ペプチドの形態では、例えば46及び49日目に投与される(両側性、ボーラス注射、0.3ml/ボーラス、0.3mgのペプチド/ボーラス、0.09mg/kgに対応);用量範囲は、ペプチド0.0001〜0.1mg/kgであり得る)、その後、治療が再開される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1A】図1Aは、二段階免疫感作プロトコール後の、抗原特異的T細胞受容体と前臨床モデルにおける細胞溶解活性に関する染色の正の相関を示す。
【図1B】図1Bは、二段階免疫感作プロトコール後の、抗原特異的T細胞受容体と前臨床モデルにおける細胞溶解活性に関する染色の正の相関を示す。
【図2】図2A−Cは、前臨床モデルにおける四量体染色で測定した場合の免疫応答の大きさとin vivoでのヒト腫瘍細胞のクリアランスとの間の相関を示す。
【図3】図3は、多価免疫応答(ELISPOT分析により測定)が、前臨床モデルにおける一価応答と対比して、ヒト腫瘍細胞のin vivoクリアランスと相関することを示す。
【図4】図4は、或る免疫活性分子が逆用量効果関係を有することを示す。
【図5】図5は、準優性抗原による追加免疫が、優性及び準優性抗原に対する多価初回免疫の後に続いて、平衡応答を誘導する、前臨床モデルにおける免疫感作プロトコールを示す。
【図6A】図6Aは、多価免疫感作プロトコールを用いた前臨床モデルにおける免疫応答の異質性を示す。
【図6B】図6Bは、多価免疫感作プロトコールを用いた前臨床モデルにおける免疫応答の異質性を示す。
【図7A】図7Aは、準優性エピトープによる選択的追加免疫により、平衡多価免疫応答が前臨床モデルにおいて達成され得ることを示す。
【図7B】図7Bは、準優性エピトープによる選択的追加免疫により、平衡多価免疫応答が前臨床モデルにおいて達成され得ることを示す。
【図8】図8は、腫瘍関連抗原に対する免疫反応性と臨床見込みとの間の関係を分析することを目的とする臨床研究を示す。
【図9】図9は、メラン−A(処置前又は後)に対して免疫反応性である患者が疾患進行までの有意に増大した時間を有することを示す。
【図10】図10は、統合的治療及び診断実行のためのスキームを示す。
【図11】図11は、本明細書中に記載される一般原理が特定プロトコールに適用され得る方法を示す例示的な決定ツリーである。
【技術分野】
【0001】
[発明の背景]
[発明の分野]
本明細書中に記載された本発明は、特に治療レジメンの一部を診断的に使用し、そして必要な場合、治療のコースを調整することにより、能動免疫療法プロトコールに基づいた治療及び臨床試験を計画し、実践するための戦略改善に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、標題「診断方法を治療方法と統合することによる能動免疫療法の効力改善」の米国仮出願第60/580,964号(2004年6月17日出願)(この開示はその全体が参照により本明細書中に援用される)に対する優先権を米国特許法第119条(e)に基づき主張する。
【背景技術】
【0003】
[関連技術の説明]
臨床的実践及び臨床試験計画の両方における標準実践は、診断試験を実行し、治療プロトコールを特定し、そしてプロトコールの完了後の何らかの時点で振り返って治療の有効性を評価することである。特に十分に理解されていないか又は複雑な療法、例えば能動免疫療法に関しては、この型のプロトコールは、この患者に関して決して働かない薬剤で被験体が治療される期間の延長をもたらし得る。さらに、固定プロトコールに基づいた能動免疫療法は、患者によっては不適切であり得る。試験では、これは、信頼できる回答が得られ得る前の、経費増大、陽性結果の不明瞭化、より大きな試験集団の必要性、及び臨床試験の長さの関連する増大をもたらす。臨床的には、これは、高価な製品の無目的消費を、及び、幾人かの患者がその他の潜在的により良好に適した治療選択を追求する機会の喪失をもたらす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、全体的に有益な作用を最適化するように患者の応答プロフィールに、投与の継続、投薬量及び頻度等に関して治療のコースを調整するのを可能にすることが、本発明の一目的である。患者の免疫応答に応答して進化する能動免疫療法治療の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[発明の概要]
本明細書中に記載される本発明の実施の形態は、治療のコースを決定するための方法を包含するが、この場合、多ステップ能動免疫療法プロトコールの非最終ステップに対する応答性が評価され、どのようにそしていつ、治療を継続するか、治療の異なる段階に進むか、又は治療を中断するかを決定する。
【0006】
一実施の形態では、開示される方法は、多ステップ免疫療法プロトコールの非最終ステップの一部として免疫原性組成物を患者に投与するステップと、非最終ステップの後の患者における免疫応答を測定するステップと、当該測定に基づいたその後の治療行為を選択するステップとを包含する。
【0007】
本発明のいくつかの実施の形態では、免疫原性組成物は、標的適合免疫原を含む。他の実施の形態では、免疫原は、抗原又はその一部を含む。免疫原性組成物は、免疫増強剤を
さらに含み得る。さらに他の実施の形態では、免疫原は、抗原又はその一部をコードする核酸を含む。いくつかの実施の形態では、免疫原性組成物は多価である。
【0008】
本明細書中に開示される方法は、任意の多ステップ能動免疫療法プロトコール、例えば初回免疫−追加免疫、誘導及び増幅、又は同調(entrain)及び増幅プロトコールとともに用いられ得る。これらのプロトコールは、例示的プロトコールとして至るところで用いられる。本明細書中に記載される方法とともに用いるためのその他の同様のプロトコールは、当業者に明らかである。
【0009】
いくつかの実施の形態では、当該方法は、プロトコールが少なくとも1つの初回免疫用量を要する初回免疫−追加免疫プロトコールに適用される。いくつかの実施の形態では、プロトコールは、2又は3又は4又は5又は6又はそれより多い初回免疫用量を要する。いくつかの実施の形態では、少なくとも1つの追加免疫用量が、初回免疫用量(単数又は複数)の後に続く。いくつかの実施の形態では、プロトコールは、2又は3又は4又は5又は6又はそれより多い追加免疫用量を要する。いくつかの実施の形態では、プロトコールは、1回又は複数回繰り返されるべき初回免疫−追加免疫周期を要する。一実施の形態では、初回免疫用量(単数又は複数)は、免疫原性ポリペプチドをコードするプラスミドである。或いは初回免疫用量(単数又は複数)は、免疫原性ポリペプチド+免疫増強剤である。免疫増強剤は、例えばトール(toll)様受容体リガンド、細胞内パターン認識受容体(PRR)リガンド、キラヤサポニン、ツカレソール及びサイトカイン、又は生来の免疫を活性化する任意のその他の免疫増強剤であり得る。好ましくは用量は、リンパ系に直接送達される。特に好ましい実施の形態では、用量は、リンパ節又はリンパ管に直接送達される。送達は、注射又は注入によるものであり得る。
【0010】
一実施の形態では、当該方法は、プロトコールが少なくとも1つの誘導用量を要する誘導及び増幅プロトコールに適用される。いくつかの実施の形態では、プロトコールは、2又は3又は4又は5又は6又はそれより多い誘導用量を要する。いくつかの実施の形態では、少なくとも1つの増幅用量投与が、誘導用量(単数又は複数)の後に続く。いくつかの実施の形態では、プロトコールは、2又は3又は4又は5又は6又はそれより多い増幅用量を要する。いくつかの実施の形態では、プロトコールは、1又は複数回繰り返されるべき誘導及び増幅周期を要する。一実施の形態では、誘導用量(単数又は複数)は、免疫原性ポリペプチドをコードするプラスミドである。或いは誘導用量(単数又は複数)は、免疫原性ポリペプチド+免疫増強剤である。免疫増強剤は、例えばトール(toll)様受容体リガンド、細胞内パターン認識受容体(PRR)リガンド、キラヤサポニン、ツカレソール及びサイトカイン、又は生来の免疫を活性化する任意のその他の免疫増強剤であり得る。好ましくは用量は、リンパ系に直接送達される。特に好ましい実施の形態では、用量は、リンパ節又はリンパ管に直接送達される。送達は、注射又は注入によるものであり得る。
【0011】
別の実施の形態では、当該方法は、プロトコールが少なくとも1つの同調用量を要する同調及び増幅プロトコールに適用される。いくつかの実施の形態では、プロトコールは、2又は3又は4又は5又は6又はそれより多い同調用量を要する。いくつかの実施の形態では、少なくとも1つの増幅用量が、同調用量(単数又は複数)の後に続く。いくつかの実施の形態では、プロトコールは、2又は3又は4又は5又は6又はそれより多い増幅用量を要する。いくつかの実施の形態では、プロトコールは、1回又は複数回繰り返されるべき同調及び増幅周期を要する。一実施の形態では、同調用量(単数又は複数)は、免疫原性ポリペプチドをコードするプラスミドである。或いは同調用量(単数又は複数)は、免疫原性ポリペプチド+免疫増強剤である。免疫増強剤は、例えばトール様受容体リガンド、細胞内パターン認識受容体(PRR)リガンド、キラヤサポニン、ツカレソール及びサイトカイン、又は生来の免疫を活性化する任意のその他の免疫増強剤であり得る。好ま
しくは用量は、リンパ系に直接送達される。特に好ましい実施の形態では、用量は、リンパ節又はリンパ管に直接送達される。送達は、注射又は注入によるものであり得る。
【0012】
いくつかの実施の形態では、免疫応答は、免疫療法プロトコールにおける非最終ステップ後に、測定又は評価される。したがって、いくつかの実施の形態では、当該方法は誘導及び増幅プロトコールを用いて適用され、そして免疫応答は、第一、第二、第三又はそれ以上の、又は最終の誘導用量後に測定される。他の実施の形態では、当該方法は誘導及び増幅プロトコールを用いて適用され、そして免疫応答は非最終増幅用量後に測定される。他の実施の形態では、初回免疫−追加免疫プロトコールが用いられ、免疫応答は、第一、第二、第三又はそれ以上の、又は最終の初回免疫用量後に測定される。別の実施の形態では、初回免疫−追加免疫プロトコールが用いられ、免疫応答は非最終追加免疫用量後に測定される。さらに他の実施の形態では、当該方法は同調及び増幅プロトコールに適用され、免疫応答は、第一、第二、第三又はそれ以上の、又は最終の同調用量後に測定される。他の実施の形態では、同調及び増幅プロトコールが用いられ、免疫応答は、非最終増幅用量後に測定される。いくつかの実施の形態では、免疫応答は、プロトコールにおける単一時点で測定される。他の実施の形態では、免疫応答はプロトコールにおける多数の時点で測定される。いくつかの実施の形態では、当該方法は、治療経過中の異なる時点で実行される少なくとも2つの検定ステップを包含するが、この場合、比較情報が検定ステップから得られる。得られた情報を用いて、療法を実施、変更又は中止し得る。いくつかの実施の形態では、少なくとも2つの検定ステップのうちの第一のステップは、基線免疫(baseline immunity)を確立するために治療の開始前に実行される。免疫応答は、治療の経過中に1回又は2回又は3回又は4回又は5回又はそれ以上、測定され得る。さらに他の実施の形態では、免疫応答は、継続的に、例えば治療の経過中断続的に、又はプロトコールのすべての非最終ステップ後に、測定され得る。このように、プロトコールの非最終用量は、治療及び診断の二元的役割を果たす。
【0013】
いくつかの実施の形態では、免疫応答性の評価は、例えばエリスポット検定、好ましくは抗原特異的エリスポット分析、又はMHC−多量体によるフローサイトメトリー染色により評価され得る。他の実施の形態では、免疫応答性は、例えばDTH検定(好ましくは抗原特異的DTHのために)、抗体検定、又は1°若しくは2°細胞障害性検定により評価され得る。さらに他の実施の形態では、免疫応答性は、サイトカイン検定、細胞増殖検定、クロム放出検定、免疫蛍光検定、及び炎症反応検定を用いて測定され得る。付加的検定は、当業者に容易に明らかである。
【0014】
いくつかの実施の形態では、その後のコースの治療行為は、例えば、プロトコールに要されるその後の用量を投与すること、プロトコールを調整すること、又はプロトコールの完了前に治療を中断することを包含し得る。いくつかの実施の形態では、プロトコールを調整することは、例えば、プロトコールのその後の用量を投与すること、増大投薬量でその後の用量を投与すること、低減投薬量でその後の用量を投与すること、より高頻度でその後の用量を投与すること、低頻度でその後の用量を投与すること、先の用量の投与を繰り返すこと、組成物の個々の成分を選択的に投与すること、組成物の個々の成分の投与を選択的に一時停止すること、及びプロトコールの完了前に治療を中断することを包含するがこれらに限定されない。
【0015】
例えば、いくつかの実施の形態では、測定するステップは免疫応答を示さず、そして選択するステップは、免疫療法プロトコールの中断を包含する。他の実施の形態では、測定するステップはわずかな免疫応答を示し、そして選択するステップは、プロトコールの非最終用量を繰り返すことを包含する。一実施の形態では、限界又は抗原特異的免疫応答は非最終用量後に検出され、非最終用量が繰り返される。いくつかの実施の形態では、非最終用量の繰り返しはさらに、所望に応じて、免疫応答を増大し、維持するためのスケジュ
ール/頻度及び/又は投薬量調節を必要とし得る。別の実施の形態では、限界又は非抗原特異的免疫応答は非最終用量後に検出され、そしてプロトコールの完了前に治療が中断される。さらに別の実施の形態では、有意の抗原特異的免疫応答が検出され、プロトコールに従って治療が継続される。或いは治療は、変更されたプロトコールに従って継続される。例えばその後の用量のスケジュール/頻度及び/又は投薬量は増大若しくは低減され得るし、又はその後の用量又はステップは選択的に繰り返されるか又は省かれ得るし、又はその後の用量投与又はステップの組成物の個々の成分が選択的に投与されるか又は中止され得る。いくつかの実施の形態では、非最終用量投与と異なる剤形が投与される。例えば、異なる剤形としてのウイルス又はウイルスベクターの使用を含む追加抗原用量が投与され得る。或いは異なる剤形としてのリンパ内送達ペプチドの使用を含めた増幅用量投与が用いられ得る。一実施の形態では、ペプチドはアジュバントを有さない。
【0016】
その他の実施の形態では、測定するステップは実質的免疫応答を示し、そして選択するステップは第二の免疫原性組成物を投与することを包含する。免疫原性組成物は、DNA、mRNA、プラスミド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、ウイルスベクター、ウイルス様粒子及び細菌ベクターから成る群から選択される形態で提供され得る。いくつかの実施の形態では、第一及び第二の免疫原性組成物は、同一の形態で提供される。他の実施の形態では、第一及びその後の免疫原性組成物は、異なる形態で提供される。
【0017】
いくつかの実施の形態では、多価免疫原性組成物(単数又は複数)が用いられる。いくつかの実施の形態では、多価組成物は、少なくとも2つの標的抗原を含む。いくつかの実施の形態では、多価組成物は、少なくとも3、4、5、又はそれより多い標的抗原を含む。このような場合、免疫応答の測定は、多価組成物(単数又は複数)により標的化されるものに対応するか又はこれらを包含する抗原のパネルに対する多数の方法により実行され得る。いくつかの実施の形態では、有意の応答が第一の抗原等に対して測定されるが、非最終用量後に、応答が第二の抗原等に対して検出されない場合、その後の治療はそれに従って調整され得る。いくつかの実施の形態では、その後の治療は、例えば、応答が検出されなかった抗原を標的化する成分の投与を中断することにより応答が検出された抗原(単数又は複数)に集中され得る。
【0018】
さらに別の実施の形態では、プロトコールの非最終ステップ後に、免疫原性組成物のある成分に対する免疫応答は検出されるが、しかし有意ではないか又は最適以下のものである(例えば予め設定された閾値より低い)場合には、プロトコールは補正するように修正され、例えば、その後の治療行為は、より多量に又はより高頻度に準優性成分を提供することを包含し得る。
【0019】
さらに別の実施の形態では、1つ又は複数の成分に対して検出される免疫応答が免疫寛容を示す場合には、プロトコールは、例えばこのような成分を減じることにより修正される。
【0020】
さらに他の実施の形態は、患者を治療する方法であって、順次、以下の:多ステップ免疫感作プロトコールの非最終ステップの一部として免疫原性組成物を患者に投与するステップと、非最終ステップの後の組成物の成分に対する免疫応答性に関して患者試料を検定するステップと、免疫応答性に基づいて応答者、低応答者又は非応答者として患者を分類するステップと、当該分類に基づいてその後の治療行為を選択するステップとを包含する患者を治療する方法を提供する。
【0021】
例えば、いくつかの実施の形態では、分類するステップは非応答者として患者を分類することを包含し、選択するステップは治療を中断することを包含する。
【0022】
いくつかの実施の形態では、非最終用量は誘導及び増幅プロトコールの誘導用量である。いくつかの実施の形態では、分類するステップは低応答者として患者を分類することを包含し、選択するステップは付加的誘導用量を投与することを包含する。他の実施の形態では、分類するステップは応答者として患者を分類することを包含し、選択するステップは増幅用量を投与することを包含する。
【0023】
いくつかの実施の形態では、免疫原性組成物は抗原を標的化する組成物を含む。かかる実施の形態では、検定ステップは少なくとも2つの標的抗原に対する免疫応答性を決定することを包含し得る。分類するステップは、第一の標的抗原に関して応答者として、第二の標的抗原に関して低応答者として患者を分類することを包含し、選択するステップは第二の標的抗原に対応するが第一の標的抗原に対応しない成分を含む免疫原性組成物を投与することを包含する。
【0024】
さらに他の実施の形態は、患者を治療する方法であって、以下の:多ステップ免疫療法プロトコールの非最終ステップの一部として免疫原性組成物を患者に投与するステップであって、免疫原性組成物は1つ又は複数の抗原を標的化するステップと、非最終ステップ後の1つ又は複数の抗原の発現に関して患者からの腫瘍組織を検定するステップと、抗原発現プロフィールを確立するステップと、発現プロフィールと免疫原性組成物により標的化される1つ又は複数の抗原との間の適合性を最適化するステップとを包含する方法に関する。
【0025】
他の実施の形態は、能動免疫療法のための臨床試験プログラムの設計及び遂行に関する。いくつかの実施の形態では、予め存在する及び/又は治療誘導性免疫反応性は、臨床的見通しに基づいて患者集団を層化するために用いられ得る。一実施の形態では、免疫原性及び/又は免疫応答性は一患者集団において評価され、これは次に、亜集団に、例えば「非応答者」、「応答者」、「低応答者」、「高応答者」等に、又は検出される免疫応答性のレベルに対応する他の類似の分類又は部類に層化される。次に治療の有効性が、2つの(又はそれより多い)亜集団で別個に評価され得る。一実施の形態では、有効性は、応答者亜集団においてのみ評価される。一実施の形態では、有効性は非応答者亜集団においては評価されないが、しかし低応答者及び高応答者亜集団において別個に評価される。一実施の形態では、治療は、効力に関して評価されない亜集団に関しては中断される。
【0026】
いくつかの実施の形態は、物質Xによる免疫療法に対する患者の応答性を決定する方法であって、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の数を決定することによって、免疫応答性に関して物質Xで免疫感作された上記患者由来の血液試料を検定するステップと、CTLの数に基づいて「応答者」、「非応答者」又は「低応答者」として患者を分類するステップとを包含する方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
[好ましい実施形態の詳細な説明]
癌、炎症又は感染性疾患のための治療をモニタリングし、調整する方法が本明細書中に記載され、この場合、治療は能動免疫療法プロトコールに基づいており、そして当該方法は、治療の開始後、及びプロトコールの完了前に適用される。このような方法は、治療を最適化するやり方で、免疫療法プロトコールの調整、継続又は終結をさせる。この柔軟性及びカスタマイズ可能性は、免疫療法の成功率及び全体的結果を改善する。
【0028】
本明細書中に開示される方法は、(1)治療効果を開始するか又は維持するか又は増強するための、並びに(2)治療プロトコールの完了前に組成物の成分(単数又は複数)に対する患者の免疫応答の信頼できる評価を可能にするための二元性役割を有する強力な免疫原性組成物の使用により促進される。診断及び治療方法のこのような結合は、免疫応答
の大きさとエフェクター機能との間の相関を実証する調査ベースの証拠に一部基づいている(実施例1)。
【0029】
開示方法の利点としては、以下のものが挙げられる:(1)プロトコールの非最終ステップ前の各患者の免疫応答の信頼できる評価に基づいたプロトコールにおいて必要とされる治療のコースを調整することにより、能動免疫療法プロトコールの全体的効力を改善すること;(2)治療が開始された後、そしてプロトコールの非最終ステップの前に特定免疫療法プロトコールから利益を得る最高の可能性を有する患者を同定すること;(3)あまり正確でない登録又は除外判定基準の決定入力(例えば非関連抗原に対するDTH、血球数、或いは事前の/同時の処置、例えば免疫療法と適合性であり得る化学療法に基づいた決定入力)を回避するか又は最小限にすることにより、所定の免疫療法プロトコールから利益を得るであろう処置集団の規模を増大させること;(4)有益でないような治療を中止することにより、癌患者又は慢性感染患者の生活の質を改善すること;(5)代替的な、より適切な療法における非応答者を適時に登録することにより、特定治療プロトコールから利益を得ないような癌患者の寿命を増大させること;(6)概して高価なバイオ療法の非有効使用を最小限にすることによりヘルスケア/治療コストを低減すること;(7)各々の個々の患者に合わせて作成される治療コースを決定すること;並びに(8)能動免疫療法治療の質を増大させること。
【0030】
定義
本明細書中で用いる場合、「能動免疫療法」とは、疾患と闘うために身体自体の免疫系を刺激する試みを指す。いくつかの実施形態では、療法的効果は、細胞溶解性T細胞(CTL)応答により媒介される。他の実施形態では、他の型の免疫応答、例えば抗体、Tヘルパー及びT調節応答は、単独で又は任意の組合せで、療法的効果を媒介する。いくつかの場合では、例えばTヘルパー及び/又はT調節応答の非存在下でCTL又は抗体応答を生じるために、或る型の応答を、別の型の非存在下で生じるのが望ましい。
【0031】
本明細書中で用いる場合、「治療プロトコール」又は「プロトコール」とは、医療処置又は治療の理想的コースに関する計画を指す。本明細書中で記載される方法で用いるための治療プロトコールは、臨床的又は医療設定における使用のための療法レジメンである。
【0032】
本明細書中で用いる場合、「治療」とは、例えば患者への治療薬の投与又は適用により、患者を医学的に処置する行為を指す。
【0033】
本明細書中で用いる場合、「非最終ステップ」とは、治療のためのプロトコール又は確定前計画の非最終ステップを指す。これは、患者の治療の非最終ステップとは区別可能である。本発明のいくつかの実施形態では、プロトコールの非最終ステップは、治療の最終ステップであり得る。
【0034】
免疫応答の測定
本明細書中に開示される方法の実施形態では、免疫療法プロトコールに従って治療されている患者の治療のその後のコースは、プロトコールの非最終用量として投与される免疫原性組成物の一つの成分又は多くの成分に対する患者の免疫応答を迅速に且つ信頼可能的に評価するための方法を用いて決定される。
【0035】
いくつかの実施形態では、患者試料、例えば血液又はその他の体液、又は分泌物、或いはその一部分、例えばリンパ球又はサイトカインが、免疫応答に関して検定される。いくつかの実施形態では、免疫応答は、身体の視覚的観察、例えばDTHに関する皮膚試験を用いて測定される。
【0036】
いくつかの実施形態では、所望の応答(単数又は複数)のみが検定される。他の実施形態では、非所望の応答(単数又は複数)のみが検定される。さらに他の実施形態では、所望及び非所望の応答が検定される。非所望の応答に関して検定する場合、患者の分類及び/又はその後の治療行為は、下記のものの逆である。例えば組織試料が非所望の応答に関して検定されるいくつかの実施形態では、免疫応答が検出されない患者、例えば「非応答者」に関しては、治療はプロトコールに従って継続され、そして有意の免疫応答が検出される患者、例えば「応答者」に関しては、治療は中断される。
【0037】
検定技術
例示的評価方法としては、例えば四量体ベースのT細胞染色、エリスポット分析、MHC−多量体によるフローサイトメトリー染色、DTH検定(好ましくは抗原特異的DTHに関する)、抗体検定、1°又は2°細胞傷害性検定、サイトカイン検定、細胞増殖検定、クロム放出検定、免疫蛍光検定、或いは炎症反応検定(これらはすべて、当該技術分野で周知である)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの方法のうちのいくつかは、以下の実施例で利用される。付加的検定は、当業者に容易に明らかである。
【0038】
いくつかの実施形態では、腫瘍抗原発現を評価することが有益であり得る。このような検定を実行するための多数の方法が、当該技術分野で既知である。検定するための腫瘍組織又は断片(例えば腫瘍抗原を含む)は、手術により塊組織として、或いは血液、骨髄、細胞吸引物、腹腔洗浄液、複数吸引物、又は気管支洗浄液等由来の細胞形態で得られ得る。
【0039】
一般に、特定タンパク質又はmRNAを検出するための任意の信頼可能な方法が適合され得る。多数の試料を検定し、そして/又は結果を迅速に提供する能力のような特質に基づいた技法、或いは検定が実行するのに高価でない技法、或いはこれらのパラメーターの何らかの最適条件が好ましい。一般的に、特定タンパク質の検出は、抗体の使用を包含する。免疫組織化学(IHC)は広範に適用可能であるが、しかしウエスタンハイブリダイゼーション、ラジオイムノアッセイ(RIA)及びフローサイトメトリーも用いられ得る(集合的にはタンパク質分析)。特異的ペプチド−MHC複合体を認識するTRC−四量体及び抗体も用いられ得る。腫瘍組織は、広範囲の免疫学的検定(エリスポット、T細胞ハイブリドーマ反応性、微量細胞傷害性等)において、標的又は刺激剤として用いられ得る。このような検定は、標的エピトープに特異的であるが、親抗原には特異的でなく、したがってエピトープ分析と呼ばれ得る。特定mRNAの検出は、RT−PCR(逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)並びに類似の核酸増幅技術(例えば3SR)、ノーザンハイブリダイゼーション、mRNA又はcDNAを用いる遺伝子アレイの問い合わせ、並びにin situハイブリダイゼーション(集合的には転写体分析)のうちのいくつかの様式のいずれかを用いて成し遂げられ得る。標的抗原由来の特定T細胞エピトープの提示を検出する試薬もまた、用いられ得る。これらの例としては、T細胞系統及びハイブリドーマ、さらに好ましくはペプチド−MHC複合体及びTCR四量体に特異的な抗体が挙げられる(例えばLi et al. Nature Biotech. 23: 349-354, 2005(この記載内容はその全体が参照により本明細書中に援用される)参照)。
【0040】
PCR技法は感受性であり、そして一般に実行するのが容易であるが、それらは試料内の抗原発現のモザイク現象を検出できない。IHC(及びその他のin situ技法)は、潜在的により労働集約的であるが、しかし観察されるべき試料内の発現の空間的変動を可能にする。このように、同一試料内の、同一細胞内の抗原の同時発現対異なる細胞内での同時発現間の区別がなされ得る。両状況が望ましく、前者は、標的化のより大きな重複性及び抗原損失逸脱(antigen-loss escape)変異体が生じる見込みの低減を提供し、後者は、全体的腫瘍組織のうちのより高比率が直接的に標的化される方法を明示する。このような情報は、より複雑な発現パターンを有する抗原の使用にも関連する。例えば前立腺
細胞及び腫瘍新生血管系により発現され得るPSMAは、in situ検出方法又は発現を検出する前の顕微解剖のいずれかの使用により、その発現が新生物細胞と特異的に関連付けられ得る場合、前立腺系統マーカーとして用いられ得る。
【0041】
患者の層化
いくつかの実施形態では、患者は、プロトコールの非最終用量後に免疫応答が検出されるか否かによって分類される。例えばいくつかの実施形態では、各患者は、予定値に関して該患者の検出された免疫応答に基づいて、「非応答者」、「応答者」、「低応答者」又はその他の類似の分類として分類される。したがっていくつかの実施形態では、免疫応答が予定低値より低い患者は「非応答者」として部類分け又は分類され、一方、免疫応答が予定低値を上回るが、しかし予定最適値より低い患者は、「低応答者」として分類され、そして免疫応答が予定最適値を上回る患者は「応答者」として分類される。当業者に明らかなように、予定値は、免疫応答を測定するために用いられる技法、並びに追求されている応答に依存している。これらの値は、本明細書中に記載される方法に有用な付加的又は代替的分類/層化と同様に、特定の型の検定又は測定に関して当業者に明らかある。
【0042】
その後の治療行為
いくつかの実施形態では、治療行為のその後のコースは、例えばプロトコールに必要とされるようなその後の用量を投与すること、プロトコールを調整すること又はプロトコールの完了前に治療を中断することを包含する。いくつかの実施形態では、プロトコールの調整としては、例えば増大投薬量でその後の(単数又は複数の)用量を投与すること、低減投薬量でその後の(単数又は複数の)用量を投与すること、より高頻度でその後の用量を投与すること、低頻度でその後の用量を投与すること、非最終用量の投与を繰り返すこと、その後の用量を選択的に繰り返すか又は省くこと、免疫原性組成物の個々の成分を選択的に投与すること、及び/又は組成物の個々の成分の投与を選択的に中止することが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
いくつかの実施形態では、免疫療法プロトコールにおける非最終ステップ後に「応答者」として標識される患者はプロトコールに従って治療を継続し、一方、「非応答者」として標識される患者はプロトコールに従う治療を中断し、その後、代替的療法レジメンに登録され得る。いくつかの実施形態では、「低応答者」として同定される患者は、例えば付加的な、より高頻度の、又は増大された用量の治療薬を含み得る変更プロトコールに従って治療を継続する。
【0044】
したがって治療プロトコールは、誘導又は増幅相に対する応答性、並びに抗原発現の変動に基づいて調整され得る。例えば何らかの組数の同調用量後に増幅するというよりむしろ、検出可能応答が得られるまで繰り返し同調用量が投与され得るし、次に、増幅ペプチド(単数又は複数)用量が投与され得る。同様に、それらの有効性が衰え、抗原特異的調節T細胞数が上昇し、又は寛容化の何らかの他の証拠が観察された場合、ペプチドの予定増幅又は維持用量投与は中断され得るし、そしてさらなる同調化が投与された後、ペプチドによる増幅が再開され得る。
【0045】
継続モニタリング
開示された診断−療法組合せは、疾患進行が免疫療法に対する最初の好ましい応答後に検出されるシナリオにおいても有用である。腫瘍が免疫襲撃を逃れるための多数のメカニズム、例えばTuAA又はHLAの発現の損失が存在する。したがって、現存する腫瘍が増殖を再開するか、又は新規の転移が検出されると、組織試料が分析され得る(例えばTuAA及びHLAの発現、化学療法薬に対する感受性等)。分析の結果によって、新しい(又は変異化)腫瘍のための適切且つ有効な療法が開始され得る。例えば適用免疫原性組成物に対応するTuAAが新腫瘍によりもはや発現されないが、しかし他のTuAAが発
現される場合には、適切な抗原を含有する免疫原性組成物を用いて、新規発見又は変異化腫瘍を治療し得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、開示された診断−治療サイクルはプロトコール全体を通して繰り返されて、患者の進行状態をモニタリングし、免疫応答における任意の変化に応答する。診断−治療サイクルの継続使用は、有効な治療方法が全時点で適用されることを保証し、患者に関する生活の質を最大にし、一方、不適切な療法の投与を最小限にすることにより治療又は臨床試験を低減する。さらに、診断−治療サイクルの使用は、「非応答者」と標識された患者に代替的且つより適切な形態の療法を受ける機会を与える。
【0047】
能動免疫療法プロトコール
本明細書中に開示される方法の原理は、一般に能動免疫療法に関するプロトコールに適用可能である。それらは、免疫応答を確立する最初の剤形並びに臨床的有効レベルに対する応答を増強する第二の剤形を利用するプロトコールに良好に適合される。このようなアプローチの一例は、免疫原をコードする核酸組成物、もっとも典型的には、裸又は脂質複合体化DNAプラスミドによる(単数又は複数の)初期免疫感作用量、並びにウイルスベクターを用いる(単数又は複数の)追加免疫感作用量を包含する「初回免疫−追加免疫」プロトコールである(例えば米国特許第6,663,871号(表題「CD8 T細胞免疫応答を生じるワクチン接種のための方法及び試薬」)(この記載内容はその全体が参照により本明細書中に援用される)参照)。別の例示的アプローチは、同調及び増幅プロトコール、例えば米国特許出願第10/871,707号(2004年6月17日出願)(公開番号20050079152 A1)及び米国仮出願第60/640,402号(2004年12月29日出願)(ともに表題「予防又は治療目的のためのMHCクラスI制限エピトープに対する免疫応答を誘導し、増強し、そして持続するための方法」)(これらの記載内容は各々、その全体が参照により本明細書中に援用される)に開示されたものを利用する。別の例示的アプローチは、米国仮出願第60/640,821号(2004年12月29日出願)に開示されている。
【0048】
例えばいくつかの実施形態では、治療プロトコールは、好ましくは免疫学的不活性ビヒクル又は処方物(用量範囲1 ng/kg〜10 mg/kg、好ましくは0.005〜5 mg/kg)中での、組換えDNA(用量範囲0.001〜10 mg/kg、好ましくは0.005〜5 mg/kg)の多数(例えば1〜10又はそれ以上、2〜8、3〜6、好ましくは約4又は5)の投与で開始し、その後、ペプチドの1つ又は複数(好ましくは約2)の投与が続く、1つ又は複数のリンパ節への注射又は注入を必要とする。用量は必ずしも被験体の規模と一次比例しないため、ヒトに関する用量は、これらの範囲のより低いものとなる傾向があり、そしてマウスに関する用量はより高いものとなる傾向がある。いくつかの実施形態では、注射時のプラスミド及びペプチドの好ましい濃度は、一般に被験体の大きさ又は種にかかわらず、一般に約0.1μg/ml〜10mg/mlであり、最も好ましい濃度は約1mg/mlである。しかしながら特に強力なペプチドは、この範囲の低端に向かう最適濃度、例えば1〜100μg/mlを有し得る。ペプチドだけのプロトコールを用いて寛容を促進する場合、これらの範囲のより高い端に向かう用量が一般に好ましい(例えば0.5〜10mg/ml)。このシーケンスは、in vivoで強力な免疫応答を維持する必要がある限り、繰り返され得る。さらにDNAの最終同調用量及びペプチドの最初の増幅用量間の時間は、重要ではない。好ましくはそれは約7日又はそれ以上であり、そして数ヶ月を超え得る。DNA及び/又はペプチドの注入の多重度(multiplicity)は、数日間(好ましくは2〜7日間)続く注入と置き換えることにより低減され得る。注射として投与され得るものと類似の物質のボーラスで注入を開始し、その後徐々に注入する(24〜12000μl/日で、DNAに関しては約25〜2500μg/日を、ペプチドに関しては0.1〜10,000μg/日を送達)というのが有益であり得る。これは、手動で、或いはプログラム可能なポンプ、例えばインスリンポン
プの使用により成し遂げられ得る。このようなポンプは当該技術分野で既知であり、周期的スパイク及びその他の投薬プロフィールを可能にする(これはいくつかの実施形態において望ましい)。
【0049】
例示的エピトープ及びエピトープ類似体は、米国特許出願第10/117,937号(2002年4月4日出願)(公開番号20030220239 A1);第11/067,159号及び第11/067064号(各々、2005年2月25日出願);米国特許出願第10/657,022号(2003年9月5日出願)及びPCT出願PCT/US2003/027706(2004年6月17日出願)(公開番号WO04022709
A2)及びPCT/US02/11101(2002年4月4日出願)(公開番号WO02081646)(すべて表題「エピトープ配列」);並びに米国特許出願第10/292,413号(2002年11月7日出願)(公開番号20030228634 A1)(表題「標的関連抗原のエピトープをコードする発現ベクター及びそれらの設計方法」);米国特許仮出願第60/581,001号(2004年6月17日出願)及び米国特許出願第__/___号(本願と同日付で出願)(代理人整理番号:MANNK.038A)(表題「SSX−2ペプチド類似体」);米国特許仮出願第60/580,962号(2004年6月17日出願)及び米国特許出願第__/___号(本願と同日付で出願)(代理人整理番号:MANNK.039A)(本願と同日付で出願)(表題「NY−ESO−1ペプチド類似体」)及び米国特許出願第__/___号(本願と同日付で出願)(代理人整理番号:MANNK.051A)(本願と同日付で出願)及び米国特許仮出願第__/___号(本願と同日付で出願)(代理人整理番号:MANNK.052PR)(本願と同日付で出願)(ともに表題「エピトープ類似体」)に記載されている(これらの記載内容は各々、その全体が参照により本明細書中に援用される)。
【0050】
特定腫瘍に対して向けられる免疫療法のための腫瘍関連抗原の特に有用な組合せは、米国特許仮出願第60/479,554号(2003年6月17日出願)及び米国特許出願第10/871,708号(2004年6月17日出願)及び米国特許仮出願第60/640,598号(2004年12月29日出願)(すべて表題「種々の型の癌に関するワクチン中の腫瘍関連抗原の組合せ」)、並びに米国特許仮出願第60/580,969号(2004年6月17日出願)及び米国特許出願第__/___号(本願と同日付で出願)(代理人整理番号:MANNK.050A)(ともに表題「種々の型の癌に関する診断薬中の腫瘍関連抗原の組合せ」)、及び米国特許仮出願第__/___号(代理人整理番号: MANNK.054PR)(表題「癌に対する多価同調及び増幅免疫療法」)(本開示と同日付で出願)に開示されている(これらの記載内容は各々、その全体が参照により本明細書中に援用される)。本明細書中に記載される発明の実施形態で用いられ得るエピトープを発現するための核酸ベクター、並びにそれらの設計方法は、米国特許出願第09/561,572号(2000年4月28日出願)、第10/225,568号(2002年8月20日出願)(公開番号20030138808)及びPCT出願PCT/US2003/026231(2003年8月19日出願)(公開番号WO2004/018666)(すべて表題「標的関連抗原のエピトープをコードする発現ベクター」);米国特許出願第10/026,066号(2001年12月7日出願)(公開番号20030215425 A1)、第10/895,523号(2004年7月20日出願)、第10/896,325号(2004年7月20日出願)(すべて表題「抗原提示細胞中のエピトープ同期化」);及び米国特許出願第10/292,413号(2002年11月7日出願)(公開番号20030228634 A1)、第10/777,053号(2004年2月10日出願)(公開番号20040132088 A1)及び第10/837,217号(2004年4月30日出願)(すべて表題「標的関連抗原のエピトープをコードする発現ベクター及びそれらの設計方法」);米国特許出願第10/094,699号(2002年3月7日出願)(公開番号20030046714 A1)及び第11/073,347号(2005年3月4日出願)(ともに表題「癌のための抗新血管系調製
物」);米国特許第6,861,234号(表題「エピトープ発見方法」);米国特許出願第09/561,571号(2000年4月28日出願)(表題「エピトープクラスター」);米国特許出願第09/560,465号(2000年4月28日出願)、米国特許出願第10/026,066号(2001年12月7日出願)(公開番号20030215425 A1)、第10/895,523号(2004年7月20日出願)、第10/896,325号(2004年7月20日出願)(表題「抗原提示細胞中のエピトープ同期化」);並びに米国特許第6,709,844号及び米国特許出願第10/437,830号(2003年5月13日出願)(公開番号20030180949 A1)(ともに表題「プラスミド増殖における望ましくない複製中間体の回避」)、及び米国特許出願第__/___号(代理人整理番号:MANNK.053PR)(表題「癌細胞及び腫瘍間質で発現される優性及び準優性エピトープに対する多価免疫応答を誘発するための方法及び組成物」)(本開示と同日付で出願)に開示されている(これらの記載内容は各々、その全体が参照により本明細書中に援用される)。
【0051】
CTLの生成のためのリンパ節内投与及び応答を検出するための適切な検定は、米国特許出願第09/380,534号(1999年9月1日出願)及び第09/776,232号(2001年2月2日出願)(公開番号20020007173 A1)に、並びにPCT出願PCT/US98/14289(公開番号WO9902183A2)(各々表題「CTL応答の誘導方法」)、及び米国特許出願第60/640,727号(2004年12月29日出願)(表題「リンパ様器官への生物学的応答修飾剤の標的化投与により免疫応答を誘発し、維持し、操作するための方法」)に教示されている(これらの記載内容は各々、その全体が参照により本明細書中に援用される)。
【0052】
本明細書中で参照される出願は各々、その全体が参照により本明細書中に援用される。
【0053】
上述の段落は、本発明の一般概念が実行に際して如何に適用されるかを例証するものであり、考え得る変更の包括的又は限定的列挙と解釈されるべきでない。実際、特定免疫原性組成物の特性及び免疫感作プロトコールにより、多数のさらなる変更が示唆され、そして当業者に明らかになる。個々の実施形態は、任意のこのような代替物を特に含入又は排除し得る。
【0054】
(実施例)
以下の実施例は、細胞傷害性T細胞の生成に基づいた能動免疫療法に関する。しかしながら、当業者に明らかなように、例示される根元的原則は一般に、抗体、Tヘルパー及びT調節応答を含めて、他の型の免疫応答を生成するよう設計された免疫療法にも、単独で又は任意の組合せで、適用可能である。
【実施例1】
【0055】
プラスミドで誘導し、ペプチドで増幅することを包含する強力なレジメンで免疫感作されたMHCトランスジェニックマウスにおいて、四量体染色により、in vivoエフェクター機能及び免疫の大きさの間の相関を評価した
同調及び増幅プロトコールにより得られる免疫応答を評価するために、免疫感作動物の一群(n=7)を、in vivoでメラン−Aペプチド(ELAGIGILTV(配列番号1))負荷標的細胞でチャレンジした。脾臓細胞を同腹仔対照HHDマウスから単離し、20μg/mLのペプチドと共に2時間インキュベートした。次にこれらの細胞をCFSEhi蛍光で染色し(4.0μM、15分間)、等比率のCFSElo蛍光(0.4μM)で染色した対照脾臓細胞とともに、免疫感作マウス中に静脈内同時注射した。18時間後、標的細胞の特異的排除を、チャレンジした動物から脾臓、リンパ節、PBMC及び肺を取り出すとともにフローサイトメトリーによりCFSE蛍光を測定することにより測定した。
【0056】
マウスは、リンパ系並びに非リンパ系器官中の標的細胞の高レベルの特異的殺傷を実証し、そして四量体レベルとの特異的相関を実証した(図1A参照。試験した全組織に関してr2=0.81又はそれ以上)。したがって四量体染色は、この免疫感作プロトコールを用いた細胞溶解性T細胞の生成の信頼できる指標であった。
【0057】
上記のような初回免疫−追加免疫プロトコールを用いて免疫感作したマウス(1、4、15、19日目にプラスミド、そして28及び32日目にペプチド)に、付加的治療サイクル−本質的に、それぞれ46、49、60、64日目(プラスミド)、74及び78日目(ペプチド)に、初回免疫−追加免疫の繰り返しを受けた。この後、さらに別のペプチド追加免疫を続けて、125日目に免疫記憶を評価した。四量体染色により、この期間中に、免疫応答の大きさをモニタリングした。図1Bに示したように、第一治療サイクル後に免疫応答低減を備えた動物は、第二治療サイクル後に実質的免疫応答を発生する傾向が低かった(動物モデルは、MHCクラスIの可変レベルのヒトA2対立遺伝子を発現するHHDトランスジェニックマウスを含み、ヒトのような非近交系集団において遭遇する被験体間変異性を連想させる状況を生じる)。
【実施例2】
【0058】
四量体染色により測定されるような免疫応答の大きさとin vivoでのヒト腫瘍細胞のクリアランスとの間の相関
0及び3日目に、CpG又はdsRNAアジュバント(12.5μg、ペプチドと混合)を用いて又は用いずに、25μlのPBS中の25μg/リンパ節とともに鼠径リンパ節中に直接接種することにより、HHDトランスジェニックマウス(n=4/群)をメランAペプチドで免疫感作した。この後、28及び31日目に、さらに2回のペプチド追加免疫(同様の量、プロトコール及びアジュバント)を施した。PBMC及びHLA−A2−メランA試薬(Beckman Coulter)を用いて四量体染色により、免疫応答を測定した。
【0059】
CFSElo蛍光(0.4μM)で染色した等比率の624.28黒色腫対照細胞(A2-、メランA+)とともに免疫感作マウス中に同時注射されるCFSEhi蛍光で染色(4.0μM、15分間)された624.38黒色腫細胞(A2+、メランA+)を用いてマウスをチャレンジした。18時間後、標的細胞の特異的排除を、チャレンジした動物から肺を取り出すとともにフローサイトメトリーによりCFSE蛍光を測定することにより測定した。
【0060】
抗原特異的T細胞の頻度と所定の時間間隔にわたってヒト腫瘍細胞を掃去する免疫感作マウスの能力との間の直接相関を観察した。代表的結果を図2に示す。特異的T細胞の頻度(CD8+T細胞集団から2%上回る)が、その特定期間にわたる標的細胞集団の有意のクリアランスのために必要であった。
【実施例3】
【0061】
多価免疫応答(エリスポット分析により測定)は、一価応答と対比して、ヒト腫瘍細胞のin vivoクリアランスに関連する
1、4、15及び18日目に、鼠径リンパ節中に直接接種(25μlのPBS/リンパ節中25μg)することにより、チロシナーゼ369〜377、メランA 26〜35(A27L)、SSX−2 41〜49及びNY−ESO−1 157〜165エピトープを発現する2つのプラスミド(pSEM及びpBPL。以前は、米国特許出願第10/292,413号(表題「標的関連抗原のエピトープをコードする発現ベクター及びそれらの設計方法」)(この記載内容は、その全体が参照により本明細書中に援用される)において、それぞれpMA2M及びpBPLとして開示された)の混合物で、HHDトランスジェニックマウス(n=6)を免疫感作した。この後、それぞれ左及び右の鼠径リンパ節
に、28、32、49及び53日目に、SSX−2 41〜49及びチロシナーゼ369〜377ペプチド類似体の4つのペプチドの追加免疫用量を施した(25μlのPBS/リンパ節中25μg)。
【0062】
CFSEhi蛍光で染色(4.0μM、15分間)された624.38黒色腫細胞(A2+、メランA+)を用いてマウスをチャレンジし、CFSElo蛍光(0.4μM)で染色した等比率の624.28黒色腫対照細胞(A2-、メランA+)を用いて免疫感作マウス中に同時注射した。18時間後、標的細胞の特異的排除を、チャレンジした動物から肺を取り出すとともにフローサイトメトリーによりCFSE蛍光を測定することにより測定した。さらに、各抗原に対する免疫反応性を、エリスポット分析により決定した。要するに、種々の数の脾臓細胞を、抗IFN−γ抗体で被覆したエリスポットプレート中で別々に、10μg/mlのネイティブペプチドで刺激した。48時間のインキュベーション後、検定を展開して、サイトカイン産生T細胞の頻度を慣用的ビオチン−ストレプトアビジンHRP検定を用いて測定した。データを、スポット形成コロニーの数(三重繰り返し試験の平均±SD)として、ヒト腫瘍細胞のin vivoクリアランスとともに表わした。
【0063】
多価応答は、その特定間隔にわたってヒト腫瘍細胞の測定可能クリアランスと関連するが、一方、一価応答は、達成されるそしてその時間間隔にわたる応答のレベルで、図3における代表的結果により示されるように、検出可能なクリアランスと関連しなかった。これは、免疫応答の性質及び特異性の測定方法が生物学的作用に関して予示的であり、したがって免疫応答のモニタリングが治療プロトコールの有効な調整又はより根本的な修正を可能にする、ということを例証する。
【実施例4】
【0064】
免疫活性分子は予期せぬ逆用量効果関係(用量増大、免疫応答減少)を有し得る
PRAME425〜433発現プラスミド(米国仮出願第__/___号(代理人整理番号:MANNK.053PR)(表題「癌細胞及び腫瘍間質で発現される優性及び準優性エピトープに対する多価免疫応答を誘発するための方法及び組成物」)(本開示と同日付で出願)(この記載内容はその全体が参照により本明細書中に援用される)に記載)で、又はペプチドをdsRNA(異なる濃度のプラスミド又はペプチド)とともに用いて、0、3、14及び18日目に、鼠径リンパ節中にPBS中の25μlのプラスミド又はペプチド/リンパ節を直接接種することにより、HHDトランスジェニックマウス(n=4/群)を免疫感作した。免疫感作完了後10日目に脾臓を取り出し、脾臓細胞を、ネイティブペプチド(10μg/ml)とともに48時間インキュベートし、上清を採取して、IFN−ガンマ濃度をELISAにより測定した。
【0065】
この場合、プラスミドの用量が大きいほど、免疫応答の大きさは大きい、ということが観察された。これに反して、ペプチドの用量が大きいほど、免疫応答は低い(図4参照;結果をpg IFN−ガンマ/mlとして表わす)。したがって治療レジメン中の免疫応答のモニタリングは、免疫感作のプロトコールを調整するために、例えばここで観察されるような高帯域寛容現象を回避するために用いられ得る。
【実施例5】
【0066】
優性及び準優性抗原に対する多価初回免疫とその後の準優性抗原による追加免疫に関するプロトコール
1、4、15及び18日目に、鼠径リンパ節中に直接接種(25μlのPBS中25μg/リンパ節)することにより、チロシナーゼ369〜377、メランA 26〜35 A27L、SSX−2 41〜49及びNY−ESO−1 157〜165エピトープを発現する2つのプラスミド(pSEM及びpBPL)の混合物で、HHDトランスジェニックマウスを免疫感作した。この後、それぞれ左及び右のリンパ節に、28、32、49
及び53日目に、SSX−2 41〜49及びチロシナーゼ369〜377ペプチド類似体のペプチドの追加免疫用量(同量)を、免疫応答の暫定分析後(プラスミド免疫感作期後かつ選定ペプチドによる追加免疫前)に施した。さらに、以下の実施例6及び7は、未処理及びプラスミド追加免疫対照群を含む。
【実施例6】
【0067】
前臨床モデルにおける免疫応答の異質性
HHDトランスジェニックマウスを、実施例5に記載したように免疫感作した。
【0068】
各抗原に対する免疫反応性を、エリスポット分析により決定した。要するに、種々の数の脾臓細胞を、抗IFN−γ抗体で被覆したエリスポットプレート中で別々に、10μg/mlのネイティブペプチドで刺激した。48時間のインキュベーション後、検定を展開して、サイトカイン産生T細胞の頻度を慣用的ビオチン−ストレプトアビジンHRP検定を用いて測定した。データを、スポット形成コロニー/ウェルの数(三重繰り返し試験の平均±SD)として、図6A及び図6Bに表わした。
【0069】
結果は、免疫応答の大きさ及び抗原特異性の両方に関して、個体別に有意の異質性を示した。したがって治療効果を誘導する可能性がより高いと思われる平衡応答を得る目的でプロトコールを調整するために、免疫応答をモニタリングすることは有益であり得る。
【実施例7】
【0070】
精選準優性エピトープによる選択的追加免疫は平衡多価免疫応答を生じる
HHDトランスジェニックマウスを、実施例5に記載したように免疫感作した。ペプチド用量の投与前に、各エピトープに対する特異的応答の測定を、慣用的四量体染色(Beckman Coulter)を用いて行なった。全CD8+T細胞集団(血中)中の四量体反応性細胞%として表わされる図7Aにおける結果は、免疫応答がメランA及びNY−ESO−1に対するT細胞により支配され、そして他の2つの抗原SSX−2及びチロシナーゼに対するT細胞集団は比較的小さい、ということを示す。
【0071】
その結果として、この後、それぞれ左及び右のリンパ節に(25μlのPBS中25μg/リンパ節)、28、32、49及び53日目に、SSX−2 41〜49及びチロシナーゼ369〜377ペプチド類似体のペプチドの追加免疫用量(同量)を施した。四量体染色による免疫応答の測定は、選定エピトープで追加免疫されたマウスにおける全T細胞集団のより平衡された表示を示した(図7B)。したがって臨床的利益を付与する可能性がより高い平衡応答は、代わりのマーカー(例えば免疫応答)の暫定的測定に基づいて治療レジメンを調整することにより成し遂げられ得る。
【実施例8】
【0072】
腫瘍関連抗原に対する免疫反応性と臨床的見通しとの間の関係を分析することを目標とする臨床研究設計
IV期黒色腫患者における免疫応答を、メランA 26−35A27Lエピトープを発現するプラスミド(pSEM)とのリンパ節内融合により、免疫感作の前及び後に、四量体染色により測定した(図8)。さらに、免疫療法の開始後の時間対進行を、慣用的臨床手段により測定した。
【実施例9】
【0073】
メランAに対する免疫反応性と時間対疾患進行との間の有意の関係
pSEMプラスミドによる免疫感作(実施例8に従う)の前及び後の免疫反応性(0.1%を上回る末梢血中のメランA特異的、四量体+T細胞の頻度と定義される)の測定は、疾患の時間対進行との有意の相関(p<0.05)を示した。これは、基礎及び治療誘
導免疫反応性に基づいて患者集団を層化する(良好及び貧予後)場合の潜在値を例示する(図9)。治療前免疫反応性単独及び臨床的見通し間の相関は、統計学的に有意でなかった(p>0.05)。
【実施例10】
【0074】
臨床的適用
免疫感作(「誘導」)ステップを用いることにより「応答者」対「非応答者」を診断する方法の適用は、診断及び治療の二重の目的に役立つ。
【0075】
図10は、統合的診断及び治療的臨床実行のためのスキームを示す。疾患を有すると診断された被験体は、標的細胞での抗原及びMHC発現に関してさらに検査される。疾患の攻撃性に関するマーカーも評価される。これに基づいて、患者が能動免疫療法による治療のための候補者である場合、免疫感作が開始される。例えばトキソイドへの曝露による一般的免疫応答性は、必要ではない。治療の開始サイクル後、被験体は、投与免疫原に対する抗原特異的応答に関して試験される。治療は、非応答者に関しては中断される。
【0076】
二段階免疫感作プロトコールに関して、免疫代替実施形態は、第二の剤形の投与前の応答性の試験を可能にする(図10のリンパ内ペプチド)。第一段階投薬レジメン(図10のプラスミド)は、被験体を「非応答者」として分類する前に、繰り返される。治療の維持段階中、標的細胞の抗原発現が再評価され、投与頻度又は治療薬の組成が適合するよう調整される。
【実施例11】
【0077】
本明細書中に開示される方法は、二段階のプロトコールのために異なる形態の免疫原を含む免疫原性組成物を利用する誘導及び増幅免疫療法プロトコールに適用される。プロトコールは、標的抗原又はその一部分をコードする核酸を含む6回の誘導用量を4サイクルと、続いて、抗原の標的化エピトープを含む3回の増幅用量を要する。
【0078】
要するに、プロトコールの第三誘導用量の一部としてプラスミドを、12名の患者に各々投与する。プラスミド投与後、血液試料を各患者から採取し、検定して、免疫応答が起きるか否か、そしてそれがどのくらい強いかを決定する。
【0079】
7名の患者に関して、測定可能な免疫応答が観察される。患者は「応答者」として標識され、第四誘導用量がプロトコールに従って投与される。3名の患者に関しては、わずかな免疫応答が観察される。患者は、「低応答者」として標識される。3名の低応答者のうちの2名に関しては、一方はプロトコールで必要とされる投薬量で、他方はより高い投薬量で、第三誘導用量を繰り返した。三番目の患者に関しては、第四誘導用量がより高い投与量で投与される。残り2名の患者に関しては、免疫応答は観察されない。患者は、「非応答者」と標識される。2名の「非応答者」のうちの1名に関しては、治療が中断され、その患者は代替療法に差し向けられる。二番目の非応答者に関しては、第三誘導用量が、より高い投薬量で繰り返される。
【0080】
誘導及び増幅用量の第三完了サイクル後、血液試料を残りの患者の各々から採取し、検定して、免疫応答が起きたか否か、そしてその強さを決定する。
【0081】
患者のうちの2名に関しては、測定可能な免疫応答が観察される。患者は「高応答者」として標識され、そして応答を維持するために、患者にさらなる増幅用量が投与される。患者のうちの5名に関しては、わずかな免疫応答が観察される。患者は、「低応答者」として標識され、誘導及び増幅の付加的完了サイクルを投与される。患者のうちの2名に関しては、免疫応答は観察されない。患者は、「非応答者」と標識され、治療が中断される
。
【実施例12】
【0082】
能動免疫療法が多価である場合、応答者状態の評価は、各標的化抗原又はエピトープに関して実行され得る。種々の標的抗原に対してより平衡化された応答を得るために、免疫原性組成物の個々の成分の結合価及び免疫優性に依存して、より低い応答性を誘導する任意の成分の付加的誘導又は増幅用量が再投与され得る。同様に、種々の成分の相対投薬量が調整され得る。
【0083】
図11は、本明細書中に記載される一般原理がどのように特定プロトコールに適用され得るかの一例を提示する。
【0084】
要するに、プロトコールは、以下の通りである:
【0085】
誘導段階:1、4、15及び18日目の鼠径リンパ節中への繰り返しプラスミド投与による免疫の誘導(両側性、ボーラス注射、0.3ml/ボーラス、1.2mgのプラスミド/ボーラス、0.035mg/kgに対応)。用量範囲は、プラスミド0.0001〜0.04mg/kgであり得る。
【0086】
増幅段階:合計4回のペプチド注射/治療サイクルに関して、29及び32日目のペプチド注射による免疫の増幅(両側性、ボーラス注射、0.3ml/ボーラス、0.3mgのペプチド/ボーラス、0.09mg/kgに対応;用量範囲は、ペプチド0.0001〜0.1mg/kgであり得る)。4つまでの異なるペプチドが適応され得る(本質的には、投与ボーラス中で送達されるのはペプチド1つだけである)。
【0087】
当該プロトコールは、少なくとも2回繰り返されるべき誘導及び増幅段階を要する。
【0088】
本明細書中で具現される方法に従って、免疫感作抗原に対する免疫応答が、上記プロトコールの任意の非最終用量後に測定される。
【0089】
免疫応答が検出されない場合には、治療は終結され、患者は他の型の療法を参照する。
【0090】
抗原間の有意の不一致を伴わずにすべての抗原に対して免疫応答が測定可能である場合には、治療はプロトコールに従って継続される。
【0091】
第一の抗原に対して免疫応答がゼロであり、第二の抗原に対して測定可能である場合、プロトコールは修正され、例えば第一の抗原に対する免疫感作は中断され、治療組成物はそれに応じて修正される(第二の抗原に対する活性誘導免疫を保持するため)。
【0092】
両方の抗原に対する免疫が有意であり、測定可能であるが、しかし第一の抗原に対する免疫が第二の抗原に対する免疫より実質的に高い場合(不一致)には、治療組成物/レジメンは、例えば第二の抗原に対する活性増幅応答を有する付加的追加免疫を包含するよう修正され(ペプチドの形態では、例えば46及び49日目に投与される(両側性、ボーラス注射、0.3ml/ボーラス、0.3mgのペプチド/ボーラス、0.09mg/kgに対応);用量範囲は、ペプチド0.0001〜0.1mg/kgであり得る)、その後、治療が再開される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1A】図1Aは、二段階免疫感作プロトコール後の、抗原特異的T細胞受容体と前臨床モデルにおける細胞溶解活性に関する染色の正の相関を示す。
【図1B】図1Bは、二段階免疫感作プロトコール後の、抗原特異的T細胞受容体と前臨床モデルにおける細胞溶解活性に関する染色の正の相関を示す。
【図2】図2A−Cは、前臨床モデルにおける四量体染色で測定した場合の免疫応答の大きさとin vivoでのヒト腫瘍細胞のクリアランスとの間の相関を示す。
【図3】図3は、多価免疫応答(ELISPOT分析により測定)が、前臨床モデルにおける一価応答と対比して、ヒト腫瘍細胞のin vivoクリアランスと相関することを示す。
【図4】図4は、或る免疫活性分子が逆用量効果関係を有することを示す。
【図5】図5は、準優性抗原による追加免疫が、優性及び準優性抗原に対する多価初回免疫の後に続いて、平衡応答を誘導する、前臨床モデルにおける免疫感作プロトコールを示す。
【図6A】図6Aは、多価免疫感作プロトコールを用いた前臨床モデルにおける免疫応答の異質性を示す。
【図6B】図6Bは、多価免疫感作プロトコールを用いた前臨床モデルにおける免疫応答の異質性を示す。
【図7A】図7Aは、準優性エピトープによる選択的追加免疫により、平衡多価免疫応答が前臨床モデルにおいて達成され得ることを示す。
【図7B】図7Bは、準優性エピトープによる選択的追加免疫により、平衡多価免疫応答が前臨床モデルにおいて達成され得ることを示す。
【図8】図8は、腫瘍関連抗原に対する免疫反応性と臨床見込みとの間の関係を分析することを目的とする臨床研究を示す。
【図9】図9は、メラン−A(処置前又は後)に対して免疫反応性である患者が疾患進行までの有意に増大した時間を有することを示す。
【図10】図10は、統合的治療及び診断実行のためのスキームを示す。
【図11】図11は、本明細書中に記載される一般原理が特定プロトコールに適用され得る方法を示す例示的な決定ツリーである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のステップを有する免疫療法プロトコールに基づく治療のコースを決定する方法であって、順次、以下の:
プロトコールの非最終ステップの一部として免疫原性組成物を患者に投与するステップと、
該非最終ステップの後の患者における免疫応答を測定するステップと、
該測定に基づいたその後の治療行為を選択するステップと
を包含する方法。
【請求項2】
前記測定するステップが免疫応答を示さず、前記選択するステップが免疫療法プロトコールの中断を包含する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記測定するステップがわずかな免疫応答を示し、前記選択するステップが非最終用量のプロトコールを繰り返すことを包含する請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記測定するステップが実質的免疫応答を示し、前記選択するステップが第二の免疫原性組成物を投与することを包含する請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記免疫原性組成物がDNA、mRNA、プラスミド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、ウイルスベクター、ウイルス様粒子及び細菌ベクターから成る群から選択される形態で提供される請求項4記載の方法。
【請求項6】
第一及び第二の免疫原性組成物が同一の形態で提供される請求項4記載の方法。
【請求項7】
第一及びその後の免疫原性組成物が異なる形態で提供される請求項4記載の方法。
【請求項8】
前記免疫原性組成物が標的適合性免疫原を含む請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記免疫原が抗原又はその一部を含む請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記免疫原性組成物が免疫増強剤をさらに含む請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記免疫原が抗原又はその一部をコードする核酸を含む請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記免疫原性組成物が多価である請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記測定するステップがサイトカイン検定、細胞増殖検定、エリスポット検定、細胞傷害性検定、クロム放出検定、免疫蛍光検定、MHC−多量体検定、フローサイトメトリー検定、抗体検定、DTH検定及び炎症反応検定から成る群から選択される検定を含む請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記その後の治療行為が、前記プロトコールの所定のその後の用量を投与すること、増大投薬量でその後の用量を投与すること、低減投薬量でその後の用量を投与すること、より高頻度でその後の用量を投与すること、より低頻度でその後の用量を投与すること、先の用量の投与を繰り返すこと、前記組成物の個々の成分を選択的に投与すること、前記組成物の個々の成分の投与を選択的に一時停止すること、及び、前記プロトコールの完了前に治療を中断することから成る群から選択される行為を包含する請求項1記載の方法。
【請求項15】
患者を治療する方法であって、順次、以下の:
多ステップ免疫感作プロトコールの非最終ステップの一部として免疫原性組成物を患者に投与するステップと、
該非最終ステップの後の組成物の成分に対する免疫応答性に関して患者試料を検定するステップと、
該免疫応答性に基づいて応答者、低応答者又は非応答者として患者を分類するステップと、
該分類に基づいてその後の治療行為を選択するステップと
を包含する方法。
【請求項16】
前記分類するステップが非応答者として患者を分類することを包含し、前記選択するステップが治療を中断することを包含する請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記非最終用量が誘導及び増幅プロトコールの誘導用量である請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記分類するステップが低応答者として患者を分類することを包含し、前記選択するステップが付加的誘導用量を投与することを包含する請求項15記載の方法。
【請求項19】
前記分類するステップが応答者として患者を分類することを包含し、前記選択するステップが増幅用量を投与することを包含する請求項15記載の方法。
【請求項20】
前記免疫原性組成物が少なくとも2つの標的抗原を標的化する組成物を含む請求項15記載の方法。
【請求項21】
前記検定ステップが少なくとも2つの標的抗原に対する免疫応答性を決定することを包含する請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記分類するステップが第一の標的抗原に関して応答者として、第二の標的抗原に関して低応答者として患者を分類することを包含し、前記選択するステップが前記第二の標的抗原に対応するが前記第一の標的抗原に対応しない成分を含む免疫原性組成物を投与することを包含する請求項21記載の方法。
【請求項23】
患者を治療する方法であって、以下の:
多ステップ免疫療法プロトコールの非最終ステップの一部として免疫原性組成物を患者に投与するステップであって、該免疫原性組成物は1つ又は複数の抗原を標的化するステップと、
該非最終ステップ後の1つ又は複数の抗原の発現に関して患者由来の腫瘍組織を検定するステップと、
抗原発現プロフィールを確立するステップと、
該発現プロフィールと該免疫原性組成物により標的化される1つ又は複数の抗原との間の適合性を最適化するステップと
を包含する方法。
【請求項1】
多数のステップを有する免疫療法プロトコールに基づく治療のコースを決定する方法であって、順次、以下の:
プロトコールの非最終ステップの一部として免疫原性組成物を患者に投与するステップと、
該非最終ステップの後の患者における免疫応答を測定するステップと、
該測定に基づいたその後の治療行為を選択するステップと
を包含する方法。
【請求項2】
前記測定するステップが免疫応答を示さず、前記選択するステップが免疫療法プロトコールの中断を包含する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記測定するステップがわずかな免疫応答を示し、前記選択するステップが非最終用量のプロトコールを繰り返すことを包含する請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記測定するステップが実質的免疫応答を示し、前記選択するステップが第二の免疫原性組成物を投与することを包含する請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記免疫原性組成物がDNA、mRNA、プラスミド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、ウイルスベクター、ウイルス様粒子及び細菌ベクターから成る群から選択される形態で提供される請求項4記載の方法。
【請求項6】
第一及び第二の免疫原性組成物が同一の形態で提供される請求項4記載の方法。
【請求項7】
第一及びその後の免疫原性組成物が異なる形態で提供される請求項4記載の方法。
【請求項8】
前記免疫原性組成物が標的適合性免疫原を含む請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記免疫原が抗原又はその一部を含む請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記免疫原性組成物が免疫増強剤をさらに含む請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記免疫原が抗原又はその一部をコードする核酸を含む請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記免疫原性組成物が多価である請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記測定するステップがサイトカイン検定、細胞増殖検定、エリスポット検定、細胞傷害性検定、クロム放出検定、免疫蛍光検定、MHC−多量体検定、フローサイトメトリー検定、抗体検定、DTH検定及び炎症反応検定から成る群から選択される検定を含む請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記その後の治療行為が、前記プロトコールの所定のその後の用量を投与すること、増大投薬量でその後の用量を投与すること、低減投薬量でその後の用量を投与すること、より高頻度でその後の用量を投与すること、より低頻度でその後の用量を投与すること、先の用量の投与を繰り返すこと、前記組成物の個々の成分を選択的に投与すること、前記組成物の個々の成分の投与を選択的に一時停止すること、及び、前記プロトコールの完了前に治療を中断することから成る群から選択される行為を包含する請求項1記載の方法。
【請求項15】
患者を治療する方法であって、順次、以下の:
多ステップ免疫感作プロトコールの非最終ステップの一部として免疫原性組成物を患者に投与するステップと、
該非最終ステップの後の組成物の成分に対する免疫応答性に関して患者試料を検定するステップと、
該免疫応答性に基づいて応答者、低応答者又は非応答者として患者を分類するステップと、
該分類に基づいてその後の治療行為を選択するステップと
を包含する方法。
【請求項16】
前記分類するステップが非応答者として患者を分類することを包含し、前記選択するステップが治療を中断することを包含する請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記非最終用量が誘導及び増幅プロトコールの誘導用量である請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記分類するステップが低応答者として患者を分類することを包含し、前記選択するステップが付加的誘導用量を投与することを包含する請求項15記載の方法。
【請求項19】
前記分類するステップが応答者として患者を分類することを包含し、前記選択するステップが増幅用量を投与することを包含する請求項15記載の方法。
【請求項20】
前記免疫原性組成物が少なくとも2つの標的抗原を標的化する組成物を含む請求項15記載の方法。
【請求項21】
前記検定ステップが少なくとも2つの標的抗原に対する免疫応答性を決定することを包含する請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記分類するステップが第一の標的抗原に関して応答者として、第二の標的抗原に関して低応答者として患者を分類することを包含し、前記選択するステップが前記第二の標的抗原に対応するが前記第一の標的抗原に対応しない成分を含む免疫原性組成物を投与することを包含する請求項21記載の方法。
【請求項23】
患者を治療する方法であって、以下の:
多ステップ免疫療法プロトコールの非最終ステップの一部として免疫原性組成物を患者に投与するステップであって、該免疫原性組成物は1つ又は複数の抗原を標的化するステップと、
該非最終ステップ後の1つ又は複数の抗原の発現に関して患者由来の腫瘍組織を検定するステップと、
抗原発現プロフィールを確立するステップと、
該発現プロフィールと該免疫原性組成物により標的化される1つ又は複数の抗原との間の適合性を最適化するステップと
を包含する方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2008−503494(P2008−503494A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516809(P2007−516809)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/021608
【国際公開番号】WO2006/009919
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(503208552)マンカインド コーポレイション (50)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/021608
【国際公開番号】WO2006/009919
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(503208552)マンカインド コーポレイション (50)
【Fターム(参考)】
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