説明

診断画像生成装置、診断システム、及び医療画像システム並びに診断画像生成方法及び記録媒体

【課題】診断画像のクオリティー(quality)を保証しつつも、演算量を低減させるための診断画像を生成する診断画像生成装置、診断システム、及び医療画像システム並びに診断画像生成方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る診断画像生成装置は、被写体から反射される信号を利用して、複数の低解像度イメージに対して共通して使われるビームフォーミング係数を算出するビームフォーミング係数算出部と、前記算出されたビームフォーミング係数を利用して、複数の低解像度イメージそれぞれを合成する低解像度イメージ合成部と、前記合成された複数の低解像度イメージを利用し、高解像度イメージを合成する高解像度イメージ合成部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断画像生成装置、診断システム、及び医療画像システム並びに診断画像生成方法及び記録媒体に関し、特に、診断画像のクオリティーを保証しつつも、演算量を低減させる診断画像生成装置、診断システム、及び医療画像システム並びに診断画像生成方法及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
開口合成法(synthetic aperture method)を使用する画像システムにおいては、固定型ビームフォーミング(fixed beamforming)技法、又は適応型ビームフォーミング(adaptive beamforming)技法を利用することができる。
固定型ビームフォーミング技法は、入力信号と関係なしに、ハミング・ウインドウ(Hamming window)またはハニング・ウインドウ(Hanning window)などを利用する方法であり、データ独立ビームフォーミング(data−independent beamforming)とも呼称する。
【0003】
固定型ビームフォーミング技法によって生成された診断画像は、コントラスト又は解像度(resolution)が良好ではないので、高画質画像を獲得するために、適応型ビームフォーミング方法を利用することができる。
しかしながら、適応型ビームフォーミング技法によって生成された診断画像は、高解像度の性能が保証されるが、演算量が急増し、具現性の困難さが存在するという問題がある。このような技術は、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005−0043622号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は上記従来の画像システムにおける問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、診断画像のクオリティー(quality)を保証しつつも、演算量を低減させるための診断画像を生成する診断画像生成装置、診断システム、及び医療画像システム並びに診断画像生成方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、診断画像生成方法をコンピュータで実行させるためのプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明による診断画像生成装置は、被写体から反射される信号を利用して、複数の低解像度イメージに対して共通して使われるビームフォーミング係数を算出するビームフォーミング係数算出部と、前記算出されたビームフォーミング係数を利用して、複数の低解像度イメージそれぞれを合成する低解像度イメージ合成部と、前記合成された複数の低解像度イメージを利用し、高解像度イメージを合成する高解像度イメージ合成部とを有することを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明による診断システムは、複数のトランスデューサを利用して、被写体との間で信号を送受信するプローブと、前記プローブで受信した信号を利用して、同じビームフォーミング係数が適用された複数の低解像度イメージそれぞれを合成し、合成された複数の低解像度イメージを利用して、高解像度イメージを合成し、合成された高解像度イメージを診断画像として出力する診断画像生成装置とを有することを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明による医療画像システムは、被写体から反射される信号を利用して、同じビームフォーミング係数が適用された複数の低解像度イメージそれぞれを合成し、合成された複数の低解像度イメージを利用して、高解像度イメージを合成し、合成された高解像度イメージを診断画像として出力する診断システムと、出力された診断画像を表示する表示部とを有することを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明による診断画像生成方法は、被写体から反射される信号を受信する段階と、前記受信された信号を利用して、複数の低解像度イメージに対して共通して使われるビームフォーミング係数を算出する段階と、前記算出されたビームフォーミング係数を利用して、複数の低解像度イメージそれぞれを合成する段階と、前記合成された複数の低解像度イメージを利用して、高解像度イメージを合成する段階とを有することを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するためになされた本発明によるコンピュータで読み取り可能な記録媒体は、診断画像生成方法をコンピュータで実行させるためのコンピュータプログラムを保存したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る診断画像生成装置、診断システム、及び医療画像システム並びに診断画像生成方法及び記録媒体よれば、生成される診断画像の性能を保証しつつも、演算量を低減させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態による診断システムの使用環境の一例を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態による診断画像生成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態による診断画像生成装置のビームフォーミング係数算出部で、複数の低解像度イメージの内のいずれか1つの低解像度イメージを選択する方法を説明するための図である。
【図4】本発明の一実施形態による診断画像生成装置のビームフォーミング係数算出部で算出されたビームフォーミング係数を利用して、低解像度イメージ及び高解像度イメージを合成する方法を説明するための図である。
【図5】本発明の一実施形態による診断システムの詳細な構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態による医療画像システムの構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態による診断画像生成方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る診断画像生成装置、診断システム、及び医療画像システム並びに診断画像生成方法を実施するための形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態による診断システム200の使用環境の一例を示す図である。
図1を参照すると、本実施形態による診断システム200は、プローブ50及び診断画像生成装置100から構成され、診断画像生成装置100は、プローブ50との間で信号を送受信し、被写体に関わる診断画像を生成する。
【0015】
さらに詳細に説明すれば、プローブ50は、複数のトランスデューサ(transducer)を利用して、被写体に信号を送信し、被写体から反射された信号を受信する。
【0016】
診断画像生成装置100は、開口合成法(synthetic aperture method)によって、プローブ50の複数のトランスデューサから受信した信号を利用して、被写体に関わる複数の低解像度イメージそれぞれを合成し、合成された複数の低解像度イメージを利用して、高解像度イメージを合成し、合成された高解像度イメージを利用して診断画像を生成する。
【0017】
このとき、開口合成法とは、複数の低解像度イメージを合成し、一つまたはそれ以上の高解像度イメージを合成することを意味し、高解像度イメージのピクセル値は、低解像度イメージそれぞれを形成する値の算術平均として構成されてもよい。
【0018】
本実施形態による低解像度イメージを形成する値は、被写体から反射された信号が示す被写体に関する情報である。
さらに詳細に説明すると、被写体から反射された信号の大きさに関する絶対値が、信号の明度を示すことができるので、本実施形態による被写体に関わる明度情報は、被写体から反射された信号の大きさでもって表現可能であるということは、本実施形態と関連した技術分野の当業者であるならば、分かるであろう。
そのために、低解像度イメージを形成する値は、被写体から反射された信号が示す被写体に関わる明度情報、または反射されたRF(radio frequency)信号自体になってもよい。
【0019】
さらに詳細に説明すると、低解像度イメージそれぞれの同じ位置に関する値は、被写体の同じ地点(point)に関わる明度情報を示す値である。
この場合、送信信号の位置が同一ではないので、値は、被写体の同じ地点についての明度情報を示し、低解像度イメージそれぞれの同じ位置に関する値は、同じではないこともある。
すなわち、被写体に関わるイメージの大きさや、受信したビームフォーミング値は、同一ではないこともある。
【0020】
このような差異(difference)は、トランスデューサから被写体に信号を送信することに従うオフセット(offset)による差異によって発生しうる。
すなわち、トランスデューサから被写体に信号を送信するとき、被写体に対して互いに異なる位置のトランスデューサから信号を送信することによるオフセットが発生し、これにより、低解像度イメージそれぞれの同じ位置に関する値の間、または受信RF信号値の間に差異が生じることになる。
従って、開口合成法は、被写体の同じ位置での受信信号差異を相互補完して高解像度イメージを合成する。
【0021】
上述したように、本実施形態による診断画像生成装置100は、複数の低解像度イメージそれぞれを同じビームフォーミング係数(beamforming coefficient)を利用して合成する。本実施形態によるビームフォーミング係数は、ビームフォーミング加重値(weight)になってもよいということは、本実施形態と関連した技術分野の当業者であるならば分かるであろう。
これにより、本実施形態による診断画像生成装置100は、演算量を低減させつつも、被写体に係わる高鮮明診断画像を生成することができる。
【0022】
図2は、本発明の一実施形態による診断画像生成装置100の構成を示すブロック図である。
図2を参照すると、本実施形態による診断画像生成装置100は、ビームフォーミング係数算出部110、低解像度イメージ合成部(low resolution image synthesis unit)120、及び高解像度イメージ合成部(high resolution image synthesis unit)130から構成される。
図2に示す診断画像生成装置100には、本実施形態と関連した構成要素のみを示している。従って、図2に示した構成要素以外に、他の汎用的な構成要素がさらに含まれてもよいということは、本実施形態と関連した技術分野の当業者であるならば、理解することができるであろう。
【0023】
また、図2に示す診断画像生成装置100のビームフォーミング係数算出部110、低解像度イメージ合成部120、及び高解像度イメージ合成部130は、一つまたは複数個のプロセッサに該当しうる。
プロセッサは、多数の論理ゲートのアレイで具現されることもあり、汎用的なマイクロプロセッサと、このマイクロプロセッサで実行可能であるプログラムが保存されたメモリとの組み合わせで具現されることもある。
また、他の形態のハードウェアで具現可能であるということも、本実施形態が属する技術分野の当業者であるならば、理解することができるであろう。
本実施形態による診断画像生成装置100は、被写体に関わる高解像度イメージを生成することができ、生成された高解像度イメージは、被写体に関わる診断画像になってもよい。
【0024】
ビームフォーミング係数算出部110は、被写体から反射される信号を利用し、複数の低解像度イメージについて共通して使われるビームフォーミング係数を算出する。
このとき、ビームフォーミング係数とは、ビームフォーマ(beamformer)の加重値とも呼ばれ、算出されたビームフォーミング係数は、低解像度イメージを形成する値を算出するために適用可能であるということは、本実施形態と関連した技術分野の当業者であるならば分かるであろう。
【0025】
これにより、ビームフォーミング係数算出部110で算出されたビームフォーミング係数は、複数の低解像度イメージを形成する値のうち、複数の低解像度イメージそれぞれの同じ位置に関わる受信信号値を算出するために共通して使われる。
第1〜第3の3個の低解像度イメージデータを使用する場合を例に挙げて説明すると、第1低解像度イメージを形成する受信信号値のうち、(a,b)位置を示す第1値、第2低解像度イメージを形成する値のうち、(a,b)位置を示す第2値、第3低解像度イメージを形成する値のうち、(a,b)位置を示す第3値に対して、低解像度イメージ合成部120は、第1受信信号値〜第3受信信号値を算出するために、同じビームフォーミング係数を使用する。
【0026】
本実施形態による診断画像生成装置100のビームフォーミング係数についてさらに詳細に説明すれば、ビームフォーミング係数は、低解像度イメージ合成部120で、診断画像を形成する値を算出するために使われる係数である。
このとき、本実施形態によるビームフォーミング係数は、低解像度イメージを形成する値を算出するにあたり、複数のトランスデューサに受信される信号中、指向方向で受信される信号の入出力利得(gain)が1になるようにしつつ、トランスデューサで受信される信号の出力を最小化させる。
【0027】
すなわち、複数のトランスデューサが被写体から反射される信号を受信する。
このとき、複数のトランスデューサに受信された信号の入射角による遅延時間によって、複数のトランスデューサそれぞれに受信された信号に関わる位相差が発生し、ビームフォーミング係数は、このような位相差を利用して算出され得る。
例えば、本実施形態によるビームフォーミング係数算出部110は、最小分散(MV:minimum variance)ビームフォーマで使われる方法によって、ビームフォーミング係数を算出することができる。
【0028】
本実施形態による診断画像生成装置100で、I個の低解像度イメージを利用する場合を例に挙げてさらに詳細に説明すると、ビームフォーミング係数算出部110は、I個の低解像度イメージに共通して使われる1つのビームフォーミング係数を最小分散法によって算出する。
最小分散法は、ビームフォーミングを遂行するにあたり、ターゲット(target)方向の歪曲なしに、ビームフォーミング結果の分散値が最小になるビームフォーミング係数を計算する方法を示す。
本実施形態と関連した技術分野の当業者であるならば、最小分散法について知っているので、詳細な説明は省略する。
【0029】
被写体とトランスデューサとの間で送受信される信号が、超音波信号である場合を例に挙げて説明すると、最小分散法は、診断画像生成装置100に受信される信号で、off−axis側に流れ込む値が大きい信号が存在しないならば、サイドローブ(sidelobe)のビームが増加しても、ビームフォーミング結果には大きい影響がないという物理的意味を有することができる。
そのために、複数の低解像度イメージそれぞれを形成する、同じ位置を示す値の間に、超音波の伝播(propagation)上の経路変化が大きくないと仮定すれば、低解像度イメージ間に使われるビームフォーミング係数を共有しても、それは、ビームフォーミングの結果に、ほとんど影響を及ぼさない。
【0030】
これにより、ビームフォーミング係数算出部110は、I個の低解像度イメージのうち、いずれか1つの低解像度イメージを構成するために、最小分散法を利用してビームフォーミング係数を算出する。
このとき、各空間位置に対応するビームフォーミング係数は、I個の低解像度イメージに共通して適用される。すなわち、ビームフォーミング係数算出部110は、いずれか1つの低解像度イメージを形成するあらゆる値に係わるビームフォーミング係数を算出し、算出されたビームフォーミング係数は、I個の低解像度イメージそれぞれを形成する値に共通して適用される。
【0031】
上記で、ビームフォーミング係数算出部110は、I個の低解像度イメージのうち、いずれか1つの低解像度イメージのビームフォーミング係数を算出するにあたり、いずれか1つの低解像度イメージは、多様な方法によって選択されてもよい。
例えば、トランスデューサアレイ(transducer array)のうち、一番最初に信号を送信するトランスデューサから送信された信号による低解像度イメージを選択したり、トランスデューサアレイのうち、一番最後に信号を送信するトランスデューサから送信された信号による低解像度イメージを選択したり、またはトランスデューサアレイの中央に位置したトランスデューサから送信された信号による低解像度イメージを選択することができるが、それらに限定されるものではない。
これについては、後で、図3を用いて詳細に説明する。
【0032】
ビームフォーミング係数算出部110で、ビームフォーミング係数を算出する方法について、例えば、本実施形態によるビームフォーミング係数算出部110は、複数の低解像度イメージのうち、いずれか1つの低解像度イメージを形成する値に対して共分散行列を生成して、生成された共分散行列の逆(inverse)行列を算出し、算出された逆共分散行列を利用して、複数の低解像度イメージに対して共通して使われるビームフォーミング係数を算出することができる。
【0033】
すなわち、ビームフォーミング係数算出部110は、トランスデューサから送信した信号が、被写体から反射された後、トランスデューサで受信する信号に対して、いずれか1つの低解像度イメージを形成する値に対して共分散行列を生成して、生成された共分散行列の逆共分散行列を算出して、算出された逆共分散行列と操向ベクトル(steering vector)とを使用して、複数の低解像度イメージに対して共通して使われるビームフォーミング係数を算出することができる。
例えば、共分散行列は、トランスデューサで受信した信号と、トランスデューサで受信した信号に関わるエルミート転置(Hermitian transpose)の期待値とから算出され得る。
【0034】
すなわち、ビームフォーミング係数算出部110は、ビームフォーミング係数wを算出するために、以下の数式1及び数式2のような演算を遂行する。
【数1】

数式1において、wは、いずれか1つの低解像度イメージに対するビームフォーミング係数、eは、操向ベクトル、eは、操向ベクトルに対するエルミート転置、

は、いずれか1つの低解像度イメージに対する共分散の逆を示す。
【0035】
さらに詳細に説明すると、操向ベクトルeは、プローブ(図示せず)から被写体に送信される信号の位相を制御するためのものであり、ビームフォーミングに関わる時間遅延(delay)値が、あらかじめ方向に従って適用されていたと仮定すれば、ビームフォーミング係数は、実数(real value)であるので、操向ベクトルは、1として構成されてもよい。
【0036】
また、本実施形態による共分散は、数式2によって表されてもよい。
【数2】

数式2において、

は、被写体から反射された信号の焦点ポイント、

は、

位置にある値に係わる共分散、

は、期待値、ym,i()は、i番目の低解像度イメージに関わるm番目のトランスデューサに受信される信号、Δm,iは、i番目の低解像度イメージに関わるm番目のトランスデューサに受信される信号に関わるサンプル時間、

は、i番目の低解像度イメージに係わるm番目のトランスデューサに受信される信号に対して、

位置の遅延値を適用した信号、

は、

に係わるエルミート転置を示す。
【0037】
上述の数式2を具体化するために、サンプル・バリアンス(sample variance)計算法、サブアレイ(sub−array)利用法、ダイアゴナル・ローディング(diagonal loading)技法などを利用することができるということは、本実施形態と関連した技術分野の当業者であるならば分かるであろう。
従って、ビームフォーミング係数算出部110は、上記のような演算を遂行し、いずれか1つの低解像度イメージに関わる数式2による共分散行列を生成して、生成された共分散行列の逆共分散行列を算出し、算出された逆共分散行列と操向ベクトルとを使用して、ビームフォーミング係数を算出することができる。
【0038】
また、ビームフォーミング係数算出部110は、共分散行列の逆共分散行列を算出するにあたり、安定性(stability)を保証するために、ダイアゴナル・ローディング技法を使用して、安定性が向上した共分散の逆行列

を算出することができる。
本実施形態と関連した技術分野の当業者であるならば、ダイアゴナル・ローディングについて理解しているので、詳細な説明は省略する。
【0039】
これにより、本実施形態によるビームフォーミング係数算出部110は、上記のような演算を遂行し、複数の低解像度イメージについて共通して使われるビームフォーミング係数を算出することができる。
すなわち、ビームフォーミング係数算出部110で算出されたビームフォーミング係数は、m×n形態の行列になり、(m,n)位置にある加重値は、低解像度イメージを構成する値のうち、(m,n)位置に関わる値に共通して使用する。
【0040】
また、上述の方法は、適応的ビームフォーマのビームフォーミング係数を算出する一実施形態に該当するのみであり、ビームフォーミング係数を算出する方法は、これに限定されるものではなく、多様な方法を利用することができるということは、本実施形態と関連した技術分野の当業者であるならば分かるであろう。
これにより、ビームフォーミング係数算出部110は、上述の多様な方法によって、複数の低解像度イメージについて共通して使われるビームフォーミング係数を算出する。
【0041】
低解像度イメージ合成部120は、ビームフォーミング係数算出部110で算出されたビームフォーミング係数を利用して、複数の低解像度イメージそれぞれを合成する。
本実施形態による低解像度イメージ合成部120で、低解像度イメージを合成するということは、低解像度イメージを実質的に形成する場合だけではなく、低解像度イメージを形成する値を生成することを示すということは、本実施形態と関連した技術分野の当業者であるならば分かるであろう。
【0042】
本実施形態による低解像度イメージ合成部120は、ビームフォーマ(図示せず)を含んでいるか、あるいはビームフォーマから出力された信号を利用して、複数の低解像度イメージそれぞれを合成することができるということは、本実施形態と関連した技術分野の当業者であるならば分かるであろう。このとき、本実施形態によるビームフォーマは、低解像度イメージを形成する値を出力するために、受信ビームを形成する適応型ビームフォーマ(adaptive beamformer)であってよいが、これに限定されるものではない。
【0043】
被写体から反射される信号を受信するトランスデューサがM個存在する場合を例に挙げれば、低解像度イメージ合成部120で出力される値は、以下の数式3で表される。
【数3】

数式3において、

は、被写体から反射された信号の焦点ポイント、

は、i番目の低解像度イメージを形成する値のうち、

位置から反射された受信信号値、

は、m番目のトランスデューサに受信される信号に基づくいずれか1つの低解像度イメージを形成する受信信号値のうち、

位置信号値に関わるビームフォーミング係数、上添字*は、複素共役(complex conjugate)、
m,i()は、i番目の低解像度イメージ信号値を構成するためのm番目のトランスデューサに受信される信号値、Δm,iは、i番目の低解像度イメージに関わるm番目のトランスデューサに受信される信号に関わるサンプル時間、

は、i番目の低解像度イメージに関わるm番目のトランスデューサに受信される信号に関して、位置

の遅延値を適用した信号値を示す。
【0044】
従って、低解像度イメージ合成部120は、数式3のような演算を行い、M個のトランスデューサそれぞれで受信された信号を利用して、複数の低解像度イメージそれぞれを合成する。
このとき、ビームフォーミング係数算出部110によって算出されるビームフォーミング係数

は、“i”をパラメータとして有していない。これは、本実施形態によるビームフォーミング係数が、複数の低解像度イメージについて共通して使われるので、“i”をパラメータとして有さない。
【0045】
上記のように、本実施形態によるビームフォーミング係数

は、“i”をパラメータとして有していないが、被写体から反射された信号が示す地点の位置を示す

、及び複数のトランスデューサのうち、信号が受信されるトランスデューサを示す“m”をパラメータとして有している。従って、ビームフォーミング係数は、低解像度イメージを形成する値のうち、ビームフォーミング係数が適用される値が示す地点の位置に従って変動され得る。
そのために、本実施形態によるビームフォーミング係数

は、空間的に同じ位置に適用されるので、生成された診断画像のコントラスト及び解像度(resolution)に係わる性能を維持しつつも、演算量を顕著に低減させることができる。
【0046】
ビームフォーミング係数算出部110で説明した通り、共分散行列を使用してビームフォーミング係数を算出する場合を例にとって説明すれば、ビームフォーミング係数を算出するために、共分散行列の逆行列を算出する演算が診断画像生成装置100の演算量の大部分を占める。
さらに詳細に説明すれば、適応型ビームフォーマは、ビームフォーミング係数を算出するために、超音波受信チャンネル数の3乗倍ほどの演算量が必要である。
【0047】
そのために、本実施形態によるビームフォーミング係数算出部110で算出された複数の低解像度イメージに関わって共通してビームフォーミング係数を使用する場合、診断画像生成装置100の演算量が顕著に低減することによって性能が向上しうる。
【0048】
高解像度イメージ合成部130は、合成された複数の低解像度イメージを利用して、高解像度イメージを合成する。
例えば、本実施形態による高解像度イメージ合成部130は、低解像度イメージ合成部120で合成された複数の低解像度イメージ信号値を平均化して、一つまたはそれ以上の高解像度イメージ信号値を生成する演算を行う。
【0049】
トランスデューサから被写体に、I回信号を送信する場合を例に挙げれば、高解像度イメージ合成部130で行われる演算は、以下の数式4で表される。
【数4】

数式4において、

は、高解像度イメージを構成する値のうち、

位置の明度を示す値、Iは、低解像度イメージの数であり、また、

は、数式3で算出されたi番目の低解像度イメージを形成する値のうち、

位置の値を示す。
【0050】
すなわち、高解像度イメージ合成部130は、数式4のような演算を行い、I個の低解像度イメージを合成し、高解像度イメージを出力することができる。
本実施形態による高解像度イメージ合成部130で合成された高解像度イメージは、診断画像として生成される。これにより、診断画像生成装置100は演算量を顕著に低減させつつも、高鮮明診断画像を生成することができる。
【0051】
図3は、本実施形態によるビームフォーミング係数算出部110で、複数の低解像度イメージの内のいずれか1つの低解像度イメージを選択する方法を説明するための図である。
図2及び図3を参照すると、図3は、1行のトランスデューサアレイ31を示す。
以下では、説明の便宜のために、トランスデューサアレイ31に含まれたトランスデューサ311〜317のうち、トランスデューサ311からトランスデューサ317まで、順次に被写体に信号を送信する場合を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではなく、トランスデューサアレイ31に含まれた二つ以上のトランスデューサがサブアレイを構成し、サブアレイがオーバーラップ(overlap)され、順次に被写体に信号を送信することもできるということは、本実施形態と関連した技術分野の当業者であるならば分かるであろう。
【0052】
いずれか1つの低解像度イメージを選択する方法について、例えば、ビームフォーミング係数算出部110は、トランスデューサアレイ31において、一番最初に信号を送信するトランスデューサ311から送信された信号による低解像度イメージを選択し、複数の低解像度イメージで共通して使われるビームフォーミング係数を算出することができる。
他の例として、ビームフォーミング係数算出部110は、トランスデューサアレイ31において、一番最後に信号を送信するトランスデューサ317から送信された信号による低解像度イメージを選択し、複数の低解像度イメージで共通して使われるビームフォーミング係数を算出することができる。
さらに他の例として、ビームフォーミング係数算出部110は、トランスデューサアレイ31の中央に位置したトランスデューサ314から送信された信号による低解像度イメージを選択し、複数の低解像度イメージで共通して使われるビームフォーミング係数を算出することができる。
【0053】
上述の方法は、本実施形態によるビームフォーミング係数算出部110で共通して使われるビームフォーミング係数を算出するために、いずれか1つの低解像度イメージを選択する例に該当するのみのものであるが、これに限定されるものではなく、ランダムに多様な方法によっていずれか1つの低解像度イメージを選択することができるということは、本実施形態と関連した技術分野の当業者であるならば分かるであろう。
これにより、ビームフォーミング係数算出部110は、複数の低解像度イメージの内のいずれか1つの低解像度イメージを選択し、複数の低解像度イメージで共通して使われるビームフォーミング係数を算出することができる。
【0054】
図4は、本実施形態によるビームフォーミング係数算出部110で算出されたビームフォーミング係数を利用して、低解像度イメージ及び高解像度イメージを合成する方法を説明するための図である。
以下では説明の便宜のために、診断画像生成装置100は、プローブ(図示せず)に含まれたM個のトランスデューサを利用し、被写体との間で信号をI回送受信する場合を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。
また、トランスデューサと被写体との間で信号をI回送受信することによって、I個の低解像度イメージが合成可能であるということは、本実施形態と関連した技術分野の当業者であるならば分かるであろう。
【0055】
図2及び図4を参照すると、ビームフォーミング係数算出部110で算出されたビームフォーミング係数は、Wmになってもよい。
このとき、mは、M個のトランスデューサのうち、m番目のトランスデューサであるということを示すので、Wmは、m番目のトランスデューサで受信される信号に対するビームフォーミング係数を示す。
【0056】
さらに詳細に説明すると、ビームフォーミング係数算出部110は、複数の低解像度イメージについて共通して使われるビームフォーミング係数を算出する。このとき、算出されたビームフォーミング係数は、複数の低解像度イメージの内のいずれか1つの低解像度イメージに対して最小分散法を利用して算出される。
以下では、説明の便宜のために、低解像度イメージ合成部120で、I個の低解像度イメージを、イメージ形態で示して説明するが、これに限定されるものではない。すなわち、以下では、低解像度イメージを構成する値が低解像度イメージに含まれたピクセルの明度値を示すと仮定して説明するが、これに限定されるものではない。
【0057】
ビームフォーミング係数算出部110で算出されたビームフォーミング係数は、

になり、これは、m番目のトランスデューサに受信される信号によるいずれか1つの低解像度イメージを形成するピクセルのうち、

位置にあるピクセルに係わるビームフォーミング係数を示す。
【0058】
低解像度イメージ合成部120は、ビームフォーミング係数算出部110で算出されたビームフォーミング係数Wmを利用して、複数の低解像度イメージそれぞれを合成する演算を行う。これにより、低解像度イメージ合成部120は、複数の低解像度イメージを示す

を出力する。
【0059】
I個の低解像度イメージを合成する場合を例に挙げれば、

は、第1低解像度イメージ(第1LRI)41を示し、

は、第2低解像度イメージ(第2LRI)42を示し、

は、第3低解像度イメージ(第3LRI)43を示し、

は、第I低解像度イメージ(第ILRI)44を示す。
これについてピクセル単位で説明すれば、低解像度イメージ合成部120で算出された低解像度イメージを示すピクセル値は、

である。
すなわち、

は、i番目の低解像度イメージを構成するピクセルのうち、

位置にあるピクセル値を示す。
【0060】
さらに詳細に説明すると、複数の低解像度イメージを形成するピクセルのうち、複数の低解像度イメージそれぞれの同じ位置にあるピクセル40に対して、同じビームフォーミング係数が使われる。
【0061】
高解像度イメージ合成部130は、低解像度イメージ合成部120で出力された複数の低解像度イメージである

を利用し、高解像度イメージを合成する演算を行う。これにより、高解像度イメージ合成部130は、高解像度イメージ(HRI)45を示す

を出力する。
これについてピクセル単位で説明すれば、高解像度イメージ合成部130で算出された高解像度イメージを示すピクセル値は、

になる。すなわち、

は、高解像度イメージを構成するピクセルのうち、

位置にあるピクセルに係わるピクセル値を示す。
【0062】
これにより、本実施形態による診断画像生成装置100は、1つのビームフォーミング係数を利用して、複数の低解像度イメージ及び高解像度イメージを合成するので、演算量を顕著に低減させつつも、高鮮明の診断画像を生成することができる。
【0063】
図5は、本発明の一実施形態による診断システム200の詳細な構成を示すブロック図である。
本実施形態による診断システム200は、プローブ50及び診断画像生成装置100から構成され、診断画像生成装置100は、TGC(time gain compensation)102、ADC(analog digital converter)104、保存部106、ビームフォーミング係数算出部110、ビームフォーマ108、低解像度イメージ合成部120、高解像度イメージ合成部130から構成される。
また、保存部106は、第1保存部〜第I保存部から構成され、ビームフォーマ108は、第1ビームフォーマ〜第Iビームフォーマから構成され、低解像度イメージ合成部120は、第1低解像度イメージ合成部〜第I低解像度イメージ合成部から構成される。
【0064】
また図5では、ビームフォーマ108が、低解像度イメージ合成部120と別個に存在するように示しているが、これに限定されるものではなく、ビームフォーマ108は、低解像度イメージ合成部120に含まれてもよいということは、本実施形態と関連した技術分野の当業者であるならば分かるであろう。
図5では、説明の便宜のために、プローブ50と被写体との間で信号をI回送受信し、これによって、I個の低解像度イメージを形成する値を生成する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではないということは本実施形態と関連した技術分野の当業者であるならば分かるであろう。
【0065】
図5に示した診断システム200は、本実施形態と関連した構成要素だけを示している。従って、図5に示した構成要素以外に、他の汎用的な構成要素がさらに含まれてもよいということは、本実施形態と関連した技術分野の当業者であるならば、理解することができるであろう。
また、図5に示した診断画像生成装置100は、図1、図2に示した診断画像生成装置100の一実施形態に該当する。これにより、本実施形態による診断画像生成装置100は、図5に示したユニットに限定されるものではない。また、図1〜図4と関連して記載した内容は、図5に示した診断画像生成装置100にも適用が可能であるので、重複する説明は省略する。
【0066】
本発明の一実施形態による診断システム200は、被写体とプローブ50との間で送受信される信号を利用して、診断画像生成装置100で、被写体に対する診断画像を生成する。このとき、被写体とプローブ50との間で送受信される信号は、超音波信号になり、被写体に対する診断画像は、超音波画像になってもよいが、これに限定されるものではない。
【0067】
プローブ50は、複数のトランスデューサを利用し、被写体との間で信号を送受信する。
このとき、複数のトランスデューサは、トランスデューサアレイであり得る。このとき、プローブ50で送受信される信号が超音波信号である場合を例に挙げて説明すると、プローブ50のトランスデューサは、電気信号を超音波信号に変換して被写体に送信し、被写体から反射された超音波信号を受信し、電気信号に変換する。
【0068】
診断画像生成装置100は、プローブ50から受信された信号を利用して、同じビームフォーミング係数が適用された複数の低解像度イメージそれぞれを合成し、合成された複数の低解像度イメージを利用して、高解像度イメージを合成し、合成された高解像度イメージを診断画像として出力する。
【0069】
TGC(time gain compensation)102は、プローブ50から受信された信号に対して、距離による信号減衰を補償する。
信号が超音波信号である場合を例に挙げてさらに詳細に説明すると、超音波ビームは、深度によって減衰しながら伝達する特性がある。このために、プローブ50の表面から遠くに位置した部位から反射された信号は、プローブ50の表面から近い位置した部位から反射された信号と比較して相対的に弱く、プローブ50の表面から遠くに位置した部位から反射された信号による画像は、暗く現れる。従って、TGC102は、深度による信号減衰を補償し、被写体のそれぞれ異なる位置から反射された信号を同じ明度で表示する。
【0070】
ADC(analog digital converter)104は、TGC102によって補償された信号をデジタル信号に変換する。
保存部106は、ADC104で変換されたデジタル信号を保存する。
このとき、本実施形態による保存部106は、第1〜第I保存部を含んでもよい。
【0071】
トランスデューサアレイに含まれたトランスデューサが順次に信号を送信する場合を例に挙げてさらに詳細に説明すると、まず最初に、複数のトランスデューサのうち最初のトランスデューサから被写体に信号を送信し、複数のトランスデューサは、被写体から反射された信号を受信する。
受信された信号は、TGC102及びADC104を通過し、保存部106の第1保存部に保存される。
【0072】
その次に、複数のトランスデューサのうち2番目のトランスデューサから被写体に信号を送信し、複数のトランスデューサは、被写体から反射された信号を受信する。受信された信号は、TGC102及びADC104を通過し、保存部106の第2保存部に保存される。
このような工程を順次行い、複数のトランスデューサのうちI番目のトランスデューサから被写体に信号を送信し、複数のトランスデューサは、被写体から反射された信号を受信する。受信された信号は、TGC102及びADC104を通過し、保存部106の第I保存部に保存される。
【0073】
本実施形態による保存部106は、一般的な記録媒体として、本実施形態と関連した技術分野の当業者であるならば、保存部106は、ハードディスクドライブ(HDD:hard disk drive)、ROM(read−only memory)、RAM(random−access memory)、フラッシュメモリ(flash memory)及びメモリカード(memory card)などをいずれも含む得るということが分かる。
【0074】
ビームフォーミング係数算出部110は、保存部106に保存された受信信号を示すデータを利用して、複数の低解像度イメージについて共通して使われるビームフォーミング係数を算出する。
このとき、ビームフォーミング係数算出部110は、保存部106の第1〜第I保存部の内のいずれか1つの保存部に保存されたデータを利用して、ビームフォーミング係数を算出する。
【0075】
図5には、説明の便宜のために、保存部106の第1保存部に保存されたデータを利用して、ビームフォーミング係数を算出することを示したが、これに限定されるものではなく、図3で説明したような多様な方法によって、保存部106に保存されたデータを利用して、ビームフォーミング係数を算出できるということは、本実施形態と関連した技術分野の当業者であるならば分かるであろう。
【0076】
ビームフォーマ108及び低解像度イメージ合成部120は、ビームフォーミング係数算出部110で算出されたビームフォーミング係数を利用して、複数の低解像度イメージそれぞれを合成する。このとき、本実施形態によるビームフォーマ108は、第1ビームフォーマ〜第Iビームフォーマを含み、低解像度イメージ合成部120は、第1低解像度イメージ合成部〜第I低解像度イメージ合成部を含んでもよい。
第1〜第Iビームフォーマ及び第1〜第I低解像度イメージ合成部は、それぞれ第1保存部〜第I保存部に保存されたデータを利用して、ビームフォーミング係数算出部110で算出されたビームフォーミング係数が適用された複数の低解像度イメージそれぞれを形成する値を出力する。
【0077】
高解像度イメージ合成部130は、低解像度イメージ合成部120で合成された複数の低解像度イメージを利用して、高解像度イメージを合成する。
上記において、保存部106、ビームフォーマ108及び低解像度イメージ合成部120は、それぞれ1つのハードウェアによって構成され、第1保存部〜第I保存部、第1ビームフォーマ〜第Iビームフォーマ、及び第1低解像度イメージ合成部〜第I低解像度イメージ合成部は、それぞれ1つのハードウェア内で、仮想空間に分離されて構成されてもよい。
【0078】
また、これに限定されるものではなく、保存部106、ビームフォーマ108及び低解像度イメージ合成部120は、第1保存部〜第I保存部、第1ビームフォーマ〜第Iビームフォーマ、及び第1低解像度イメージ合成部〜第I低解像度イメージ合成部それぞれに対応する複数のハードウェアから構成されてもよいということは、本実施形態と関連した技術分野の当業者であるならば分かるであろう。
【0079】
従って、本実施形態による診断画像生成装置100は、ビームフォーミング係数算出部110で算出された1つのビームフォーミング係数を共通して利用して、複数の低解像度イメージを合成するので、診断画像生成装置100の演算量を顕著に低減させつつも、生成される高解像度イメージのクオリティを保証することができる。
【0080】
図6は、本発明の一実施形態による医療画像システム300の構成を示すブロック図である。
図6を参照すると、医療画像システム300は、診断システム200、表示部210、保存部220、及び通信部230から構成され、診断システム200は、プローブ50及び診断画像生成装置100から構成される。
【0081】
図6に示す医療画像システム300は、本実施形態と関連した構成要素のみを示している。従って、図6に示した構成要素以外に、他の汎用的な構成要素がさらに含まれてもよいということは、本実施形態と関連した技術分野の当業者であるならば、理解することができるであろう。
【0082】
また、図6に示すプローブ50、診断画像生成装置100、及び診断システム200は、図1、図2及び図5に示したプローブ50、診断画像生成装置100及び診断システム200の一実施形態に該当する。そのため、図1〜図5と関連して記載した内容は、図6に示す医療画像システム300にも適用が可能であるので、重複する説明は省略する。
【0083】
診断システム200は、トランスデューサから受信される信号を利用して、同じビームフォーミング係数が適用された複数の低解像度イメージそれぞれを合成し、合成された複数の低解像度イメージを利用して、高解像度イメージを合成し、合成された高解像度イメージを診断画像として出力する。
従って、プローブ50は、複数のトランスデューサを利用して、被写体との間で信号を送受信し、診断画像生成装置100は、プローブ50から受信された信号を利用して、同じビームフォーミング係数が適用された複数の低解像度イメージそれぞれを合成し、合成された複数の低解像度イメージを利用して、高解像度イメージを合成し、合成された高解像度イメージを診断画像として出力する。
【0084】
表示部210は、診断システム200から出力された診断画像を表示する。
例えば、表示部210は、医療画像システム300に設けられたディスプレイパネル、タッチ画面、モニタなどの出力装置及びそれらを駆動するためのソフトウェア・モジュールをいずれも含む。
保存部220は、診断システム200から出力された診断画像を保存する。
例えば、保存部220は、一般的な記録媒体であって、て本実施形態と関連した技術分野の当業者であるならば、保存部220は、ハードディスクドライブ(HDD)、ROM、RAM、フラッシュメモリ、及びメモリカードなどをいずれも含み得るということが分かる。
【0085】
通信部230は、診断システム200から出力された診断画像を外部装置に送信し、外部装置から受信されるデータを受信する。
このとき、外部装置は、遠隔地に位置した他の医療画像システム、汎用コンピュータシステム、ファクシミリなどであってもよい。
本実施形態による通信部230は、有無線ネットワークを介して、外部装置とデータを送受信可能である。このとき、ネットワークは、インターネット、LAN(local area network)、ワイヤレスLAN(wireless local area network)、WAN(wide area network)、PAN(personal area network)などを含むが、それらに限定されるものではなく、情報を送受信することができる他種のネットワークになってもよいということが分かる。
【0086】
また、本実施形態による保存部220及び通信部230は、画像判読及び検索機能をさらに含んで、PACS(picture archiving communication system)のような形態で、一体化が可能であるということは、本実施形態と関連した技術分野の当業者であるならば分かるであろう。
従って、医療画像システム300は、診断画像生成装置200で生成されて出力された診断画像を表示し、保存し、伝送することができる。
【0087】
図7は、本発明の一実施形態による診断画像生成方法を説明するためのフローチャートである。
図7を参照すると、診断画像を生成する方法は、図1、図2、図5及び図6に示したプローブ50、診断画像生成装置100、及び医療画像システム300で、時系列的に処理される段階によって構成される。
従って、以下で省略された内容であっても、図1〜図6に示したプローブ50、診断画像生成装置100、及び医療画像システム300について、上述した内容は、図7の診断画像を生成する方法にも適用されるということが分かる。
【0088】
まず、ステップS701で、プローブ50は、被写体から反射される信号を受信する。
このとき、被写体から反射される信号は、プローブ50から送信された信号が被写体によって反射された信号を示す。
次に、ステップS702で、ビームフォーミング係数算出部110は、ステップS701で受信された信号を利用して、複数の低解像度イメージについて共通して使われるビームフォーミング係数を算出する。
【0089】
次に、ステップS703で、低解像度イメージ合成部120は、ステップS702で算出されたビームフォーミング係数を利用して、複数の低解像度イメージそれぞれを合成する。
次に、ステップS704で、高解像度イメージ合成部130は、ステップS703で合成された複数の低解像度イメージを利用し、高解像度イメージを合成する。
これにより、合成された高解像度イメージは、診断画像として生成されて出力される。
【0090】
従って、本実施形態による診断画像生成装置100は、複数の低解像度イメージに対して共通のビームフォーミング係数を使用するので、演算量を顕著に低減させつつも、高解像度イメージの性能を保証することができる。
例えば、64枚の低解像度イメージを利用して、開口合成方式で高解像度イメージを合成する場合、本実施形態による診断画像生成装置100を使用し、ビームフォーミング係数を共有すれば、高解像度イメージの性能を保証しつつも、演算量が64倍低減される。
【0091】
一方、上述の診断画像生成方法は、コンピュータで実行可能であるプログラムで作成可能であり、コンピュータで読み取り可能な記録媒体を利用して、プログラムを動作させる汎用デジタルコンピュータで具現される。
また、上述の診断画像生成方法で使われるデータの構造は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に、複数の手段を介して記録される。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、磁気記録媒体(例え、ROM、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光学記録媒体(例えば、CD−ROM、DVDなど)のような記録媒体を含む。
【0092】
尚、本発明は、上述の実施形態に限られるものではない。本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明による診断画像生成装置、診断システム、及び医療画像システム並びに診断画像生成方法及び記録媒体は、例えば、医療に関する診断画像関連の技術分野に好適に使用される。
【符号の説明】
【0094】
31 トランスデューサアレイ
311、312、313、314、315、316、317 トランスデューサ
41 第1低解像度イメージ(第1LRI)
42 第2低解像度イメージ(第2LRI)
43 第3低解像度イメージ(第3LRI)
44 第I低解像度イメージ(第ILRI)
45 高解像度イメージ(HRI)
50 プローブ
100 診断画像生成装置
102 TGC
104 ADC
106、220 保存部
108 ビームフォーマ
110 ビームフォーミング係数算出部
120 低解像度イメージ合成部
130 高解像度イメージ合成部
200 診断システム
210 表示部
230 通信部
300 医療画像システム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体から反射される信号を利用して、複数の低解像度イメージに対して共通して使われるビームフォーミング係数を算出するビームフォーミング係数算出部と、
前記算出されたビームフォーミング係数を利用して、複数の低解像度イメージそれぞれを合成する低解像度イメージ合成部と、
前記合成された複数の低解像度イメージを利用し、高解像度イメージを合成する高解像度イメージ合成部とを有することを特徴とする診断画像生成装置。
【請求項2】
前記ビームフォーミング係数は、前記複数の低解像度イメージを形成する値のうち、複数の低解像度イメージそれぞれの同じ位置に関わる値を算出するために共通して使われることを特徴とする請求項1に記載の診断画像生成装置。
【請求項3】
前記ビームフォーミング係数算出部は、前記複数の低解像度イメージの内のいずれか1つの低解像度イメージに対して、最小分散法を用いることによってビームフォーミング係数を算出することを特徴とする請求項1に記載の診断画像生成装置。
【請求項4】
前記いずれか1つの低解像度イメージは、前記複数の低解像度イメージの内の一番最初に信号を送信するトランスデューサから送信された信号による低解像度イメージ、一番最後に信号を送信するトランスデューサから送信された信号による低解像度イメージ、又は、トランスデューサアレイの中央に位置したトランスデューサから送信された信号による低解像度イメージであることを特徴とする請求項3に記載の診断画像生成装置。
【請求項5】
前記ビームフォーミング係数算出部は、前記いずれか1つの低解像度イメージを形成する値に対して共分散行列を生成し、生成した共分散行列の逆共分散行列を算出し、算出された逆共分散行列を利用して、前記複数の低解像度イメージに対して共通して使われるビームフォーミング係数を算出することを特徴とする請求項3に記載の診断画像生成装置。
【請求項6】
前記ビームフォーミング係数は、前記複数の低解像度イメージを形成する値のうち、前記ビームフォーミング係数が適用される値が示す地点の位置に依存して可変であることを特徴とする請求項1に記載の診断画像生成装置。
【請求項7】
前記複数の低解像度イメージを形成する値を出力するために用いられる、受信ビームを形成するビームフォーマをさらに有し、
前記ビームフォーマは、適応型ビームフォーマであることを特徴とする請求項1に記載の診断画像生成装置。
【請求項8】
複数のトランスデューサを利用して、被写体との間で信号を送受信するプローブと、
前記プローブで受信した信号を利用して、同じビームフォーミング係数が適用された複数の低解像度イメージそれぞれを合成し、合成された複数の低解像度イメージを利用して、高解像度イメージを合成し、合成された高解像度イメージを診断画像として出力する診断画像生成装置とを有することを特徴とする診断システム。
【請求項9】
前記ビームフォーミング係数は、前記複数の低解像度イメージを形成する値のうち、複数の低解像度イメージそれぞれの同じ位置に関わる値を算出するために共通して使われることを特徴とする請求項8に記載の診断システム。
【請求項10】
前記診断画像生成装置は、前記複数の低解像度イメージの内のいずれか1つの低解像度イメージに対して、最小分散法を用いることによってビームフォーミング係数を算出することを特徴とする請求項8に記載の診断システム。
【請求項11】
前記いずれか1つの低解像度イメージは、前記複数の低解像度イメージの内の一番最初に信号を送信するトランスデューサから送信された信号による低解像度イメージ、一番最後に信号を送信するトランスデューサから送信された信号による低解像度イメージ、又はトランスデューサアレイの中央に位置したトランスデューサから送信された信号による低解像度イメージであることを特徴とする請求項10に記載の診断システム。
【請求項12】
前記ビームフォーミング係数は、適応型ビームフォーマで使われる加重値であることを特徴とする請求項8に記載の診断システム。
【請求項13】
被写体から反射される信号を利用して、同じビームフォーミング係数が適用された複数の低解像度イメージそれぞれを合成し、合成された複数の低解像度イメージを利用して、高解像度イメージを合成し、合成された高解像度イメージを診断画像として出力する診断システムと、
出力された診断画像を表示する表示部とを有することを特徴とする医療画像システム。
【請求項14】
前記ビームフォーミング係数は、前記複数の低解像度イメージを形成する値のうち、複数の低解像度イメージそれぞれの同じ位置に係わる値を算出するために共通して使われることを特徴とする請求項13に記載の医療画像システム。
【請求項15】
被写体から反射される信号を受信する段階と、
前記受信された信号を利用して、複数の低解像度イメージに対して共通して使われるビームフォーミング係数を算出する段階と、
前記算出されたビームフォーミング係数を利用して、複数の低解像度イメージそれぞれを合成する段階と、
前記合成された複数の低解像度イメージを利用して、高解像度イメージを合成する段階とを有することを特徴とする診断画像生成方法。
【請求項16】
前記ビームフォーミング係数は、前記複数の低解像度イメージを形成する値のうち、複数の低解像度イメージそれぞれの同じ位置に係わる値を算出するために共通して使われることを特徴とする請求項15に記載の診断画像生成方法。
【請求項17】
前記ビームフォーミング係数を算出する段階は、前記複数の低解像度イメージの内のいずれか1つの低解像度イメージに対して、最小分散法を用いることによってビームフォーミング係数を算出することを特徴とする請求項15に記載の診断画像生成方法。
【請求項18】
前記いずれか1つの低解像度イメージは、前記複数の低解像度イメージの内の一番最初に信号を送信するトランスデューサから送信された信号による低解像度イメージ、一番最後に信号を送信するトランスデューサから送信された信号による低解像度イメージ、又はトランスデューサアレイの中央に位置したトランスデューサから送信された信号による低解像度イメージであることを特徴とする請求項17に記載の診断画像生成方法。
【請求項19】
前記ビームフォーミング係数を算出する段階は、前記いずれか1つの低解像度イメージを形成する値に対して、共分散行列を生成し、生成した共分散行列の逆共分散行列を算出し、算出された逆共分散行列を利用して、前記複数の低解像度イメージに対して共通して使われるビームフォーミング係数を算出することを特徴とする請求項17に記載の診断画像生成方法。
【請求項20】
請求項15乃至請求項19のいずれか1項に記載の診断画像生成方法をコンピュータで実行させるためのコンピュータプログラムを保存したことを特徴とするコンピュータで読み取り可能な記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−223584(P2012−223584A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−96863(P2012−96863)
【出願日】平成24年4月20日(2012.4.20)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】