説明

試験システムのためのユーザー・インターフェース

液体試料中の検体を試験するための試験システム(10)は、健康データの測定に関する情報を表示するための表示装置(22)を含むユーザー・インターフェース(20)及び健康データに関する情報をユーザーから受け取るための入力機器(24)を含む。試験システムはさらに、コントロール液の試験が、液体試料の試験から識別可能な、コントロール液の試験結果を識別することに適合した自動マーキング機能を含む。コントロール液の試験結果は、ユーザー・インターフェース経由でユーザーに表示される健康データの測定に関する情報の中には含まれない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康データを試験しかつ監視するためのシステム及び方法に一般的に関するものである。さらに具体的には、本発明の該システム及び方法は、さらに有益でかつ正確なやり方で健康データを試験しかつ監視することに関する情報を表示するためのインターフェースを備えている。
【背景技術】
【0002】
体液中の検体を定量的に測定することは、特定の生理学的状態の診断及び維持管理を行ううえで非常に重要である。例えば、乳酸値、コレステロール値及びビリルビン値は、特定の個人において監視されなければならない。特に、食事におけるグルコース摂取量を制限するために、糖尿病をもつ個人は頻繁に体液中のグルコース濃度を検査することが重要である。そのような試験の結果は、インシュリン又は、もしあれば、他のどんな薬物を投与する必要があるかを決定するために使われうる。
【0003】
血糖値測定システムのような診断システムは、電流又は色のような測定出力及び試験を実施するために使用される試薬検出素子の既知の反応性に基づいてグルコース値を算出するために用いられる計測器又は器具を含む。血糖値測定システムは、一般的にユーザーに計測器内に設置されている試験センサー上に血液試料を収集させる。その計測器は、試料中の血糖値濃度を決定するために、試験センサーにより、血液試料中のグルコースと試薬の間の反応を測定する。これらのシステムは試験結果を計測器内に記憶し、かつ試験結果をユーザーに表示することができる。ユーザーが試験結果にアクセスできるように、キーパッド又は他の対話式の構成要素も計測器上に設置することができる。
【0004】
より正確な測定値を得るために、グルコースの既知の量を含むコントロール液が、機器が正確に作動していることを検証するために使用される。コントロール液は、検体監視機器又は計測器の機能性を検査するために使用される。コントロール液は、識別され、かつ本物の全血試料の測定値から分離されている必要がある。具体的には、いくつかの理由により、計測器によってコントロール液を自動的に検出する必要がある。第1に、コントロール液及び全血の温度係数が異なっている可能性がある。従って、別個の温度係数でグルコースの測定値への温度効果を補償することが望ましい。第2に、コントロール液を自動的に検出すること、及びその測定値を本物の血糖測定値のメモリに記録しないことは、血糖測定値のより正確な平均値を与えることに役立つ。コントロール液の測定値を除外しないと、コントロール液はグルコースの測定履歴に含まれてしまう。誤った測定履歴があることは患者の糖尿病の状況についての誤った解釈を引き起こす可能性がある。さらには、もし全血試料がコントロール液で置換されてしまうと、治療方法の変更の必要を示すものと医師が誤った判断をくだす可能性がある。第3に、コントロール液を自動的に検出すること、及びその測定値を血糖測定値のメモリに記録しないことで、コントロール液の測定値を血糖値と読み違える可能性を最小限にすることができる。
【0005】
従って、コントロール液の測定値を自動的に検知するための機能、又はコントロール液の測定値にマーキングするための機能を有すること、及びコントロール液の測定値を本物の全血試料の試験データから分離することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
ひとつの実施形態によると、液体試料中の検体を試験するための試験システムは、健康データの測定に関する情報を表示するための表示装置及び、健康データに関する情報をユーザーから受け取るための入力機器を含むユーザー・インターフェースを含む。試験システムはさらにコントロール液の試験結果を識別することに適合した自動マーキング機能を含み、コントロール液の試験は液体試料の試験から識別可能で、かつ、コントロール液の試験結果はユーザーに表示される健康データの測定に関する情報には含まれない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】健康データを表示するためのインターフェースを有する試験システムを示す。
【図1B】ひとつの実施形態によったコントロール液の試験値を表示するユーザー・インターフェースを示す、図1Aに示された試験システムを示す。
【図1C】他の実施形態によったコントロール液の試験値を有するログブック機能を表示するユーザー・インターフェースを示す、図1Aに示された試験システムを示す。
【図1D】追加的な実施形態によったコントロール液の試験値を表示するユーザー・インターフェースを示す、図1Aに示された試験システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、様々な修正および代替形態が可能であるが、その特定の実施形態を一例として図面に示し、本明細書において詳細に説明されている。しかしながら、本発明は、開示された特定の形態に限定されるものではないことを意図することが理解されるべきである。それとは反対に、本発明は、本発明の精神および範囲に含まれるすべての修正、均等物、ならびに代替物を対象とするものである。
【0009】
本発明は健康データに関する情報を与える試験システムを対象にする。この健康データはユーザーによって採集され、測定され、又は入力することができる。このような健康データの一例は、血液試料中のグルコースのような、体液試料中の検体濃度である。他の種類の健康データは、心拍数測定値、血圧測定値、体温測定値、慢性閉塞性肺疾患(COPD)分析のための呼吸測定値、ラシックス使用分析のための体重測定値などを含む。検体試験を必要としない測定の場合には、試験装置10はそれらの種類の健康データを監視しかつ分析することができ、かつユーザーに、ユーザーの医学的状態についての関連情報を提供することができる。以下の記載は主として液体試料中の検体を試験することに言及するが、当然のことながら本発明の態様に関連して他の種類の健康データを使うことができる。
【0010】
いくつかの実施形態においては、本明細書に記載の試験装置は、試験装置を他の外部情報処理装置、健康管理機器、及び/又は他の機器/システムに接続する、より大きな健康データ管理システム中で用いられることができる。試験装置はこれらの機器の処理機能及びユーザー・インターフェース機能をうまく利用することができる。例えば、もし試験装置上のユーザー・インターフェースの寸法が小型すぎるときには、いくつかの機能は外部情報処理装置上でよりよく見ることができる。その一方で、健康管理機器は、試験装置の処理機能及びユーザー・インターフェース機能をうまく利用することができる。試験装置と外部情報処理装置の間のインターフェースとして、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)規格のような有線通信プロトコル又は、ブルートゥース(登録商標)技術のような無線通信プロトコルを用いることができる。
【0011】
例えば、試験装置は、従来型パーソナルコンピューター(PC)のような情報処理装置にインターフェースされた血糖値計測器でありうる。血糖値計測器は本明細書に記載の進んだデータ処理及び表示機能を含みうるが、血糖値計測器のユーザーは、血糖値計測器をデータ管理ソフトウェアを実行する情報処理装置につなぐことにより、より精巧な血糖値試験データの分析及び表示にアクセスすることができる。例えば、このソフトウェアはバイエルヘルスケア社(ニューヨーク州・タリータウン)より入手できるウィングルコファクツ(登録商標)糖尿病管理ソフトウェアに類似した製品であるソフトウェアでありうる。他の例として、試験装置は、血糖値計測器自体で収集されるデータと組み合わすことができる健康データを送信する、心拍数監視装置のような健康管理機器とインターフェースされた血糖値計測器でありうる。
【0012】
図1Aを参照すると、試験装置10及び試験センサー12のひとつの実施形態が示されている。試験センサー12は、試験装置10を用いて分析される液体試料を受入れるように構成されている。分析することができる検体は、グルコース、脂質プロフィール(例えばコレステロール、トリグリセリド、LDL及びHDL)、微量アルブミン、ヘモグロビンA1c、フルクトース、乳酸、又はビリルビンを含む。検体は、例えば全血試料、血清試料、血漿試料、ISF(間質液)のような他の体液及び尿及び非体液の中に存在しうる。
【0013】
試験センサー12は液体受入エリア(示されていない)を含むことができる。液体受入エリアは、液体試料中の検体濃度を示すために、液体試料と反応する試薬を含む。例えば、液体受入エリアは血液試料のような液体試料を受け入れることができる。液体受入エリアは液体のコントロール液も受け入れることができる。液体のコントロール液はコントロールマーカー(内部参照とも称される)を含む。コントロールマーカーは、検出アルゴリズムを用いて特徴的な電流プロフィールを発生するように構成される。特徴的な電流プロフィールを有することによって、試験装置10は自動的にコントロール試験を検体−液体試験(例えばグルコース血液試料)から識別することができる。
【0014】
コントロールマーカーは、検体濃度のような検体に関する情報の決定に役立たせることに適合した電気化学的試験センサー中で用いることができる。電気化学的試験センサーは、一般的に複数の電極及び酵素を含有する液体受入エリアを含む。液体受入エリアは、液体試料(例えば血液)中の関係する検体(例えばグルコース)を、電極パターンの構成要素によって、発生される電流を電気化学的に測定可能な化学種に変換するための試薬を含む。試薬は一般的に、検体及びフェリシアン化物塩のような電子受容体と反応して、電極で検出されうる電気化学的に測定可能な種を生成する、例えばブドウ糖酸化酵素のような酵素を含む。グルコース脱水素酵素のようなグルコースと反応する他の酵素も使うことができると考えられる。一般的に酵素は、試験しようとする目的の検体又は検体群と反応し、液体試料中の検体濃度を測定することに役立つように選択される。もし他の検体の濃度を測定するのであれば、その検体と反応するような適切な酵素が選択される。
【0015】
試薬は一般的に、検体と電極との間で電子を移動させるのに役立つ伝達物質をも含む。試薬は、酵素及び伝達物質を共に保持する結合剤、他の不活性成分、緩衝剤、又はその組み合わせを含むことができる。
【0016】
試験装置10は試験センサー12によって収集された試料について検体濃度を測定するための反応検出システムを含む。上記に記載のように、反応検出システムは、電気化学的試験センサーのための電気化学的反応を検出するために、電極のための接点を含むことができる。代替えの方法として、反応検出システムは、光学的試験センサーが呈色反応を検出するために、光検出器を含むことができる。反応検出システムによって測定される電気化学的反応又は呈色反応から実際の検体濃度を算出するために、かつ試料を試験するための手順を全体的に制御するために、試験装置10は、測定アルゴリズムに従ってプログラム化した命令を一般的に実行する、少なくとも1個の情報処理装置(示されていない)を用いる。情報処理装置によって処理されたデータはメモリ素子に記憶される。
【0017】
図1Aに示す試験装置10は、表示装置22及びユーザー入力機器24を含むユーザー・インターフェース20を含む。表示装置22は、ユーザーによって入力される文字列及び画像を含む信号に応えて、試験結果に関する情報、試験手順及び/又は試験情報を一般的に表示する。表示装置22は、グラフィック液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)、セグメントLCDなどでありうる。ユーザー入力機器24はユーザーが試験装置10と情報をやりとりできるようになっており、かつ、押しボタン、ソフトキー、スクロール・ホイール、タッチスクリーン素子又はそれらの任意の組み合わせを含みうる。
【0018】
ユーザー・インターフェース20は、静止しかつ動くことが両方可能な文字列及び画像をユーザーに表示することができる、高解像度で色の鮮やかな表示装置22を備えることができると考えられる。しかしながら、例えばより低い解像度で単色のLCD表示装置を含む他の種類の表示装置を用いることができる。一般的には、低価格の簡単な表示装置からフル機能の表示装置までのさまざまな表示装置の種類を用いることができる。表示装置22は任意の適切な寸法のものでありうる。場合によっては、表示装置22が試験装置10のひとつの面全体を覆うことがありうる。さらには、表示装置22はタッチスクリーンを含みうる。さらに、ユーザー・インターフェース20は、試験装置10上で直接使用可能な、又は試験装置10との通信インターフェースを経由して使用可能な、先端的なユーザー用画像表示及びオーディオ機能を備えることができる。
【0019】
上記に記載したごとく、試験装置10は、プログラム化した命令を一般的に実行する少なくとも1個の情報処理装置のほかに、ユーザーに情報を示す表示装置22を含むユーザー・インターフェース20、及び押しボタン、ソフトキー、スクロール・ホイール、タッチスクリーン要素又はそれらの任意の組み合わせのような、ユーザーとの対話を可能にする入力機器24を用いる。そのような構成要素を用いて、試験装置10は、試料を試験し、かつ試験結果を算出するための手順、及び複数のユーザー機能を与えるための手順を全体的に制御する。試験装置10のいくつかのユーザー機能は階層メニューを経由してユーザーが使用可能である。ユーザーは、より詳細が以下に記載される試験装置10の何らかの機能にアクセスするために、階層メニューを通り抜けることができるようになっている。いくつかの実施形態においては、機器の機能に迅速にかつ使い勝手良くアクセスすることを可能にするために、階層メニューは4階層を越えない。例えば、ユーザーは階層メニュー内の項目に対応する1式のソフトキーを操作することができる。ひとつの実施形態においては、試験装置10は特定の機能のためには設けられていない3個のソフトキーを備えている。もっと正確に言えば、表示装置22は3つのメニュー項目1式を表示し、ソフトキーのそれぞれにはそのメニュー項目のうちのひとつが割り当てられている。ソフトキーを操作することにより、対応するメニュー項目が選択され、ユーザーを階層メニュー内の他の階層に誘導するか、又は特定の機能を実行する。メニュー項目がソフトキーにダイナミックに割り当てられているために、ユーザー・インターフェース20は各々の可能な機能のために別個のキーを必要としないし、小型のユーザー・インターフェース20内においてさえも非常に多数の異なる機能が使用可能である。そのようなソフトキーについての追加的な例は、その詳細が本明細書の以下に記載される。
【0020】
いくつかの実施形態においては、情報を入力するためのより容易で直感的な手順を与えるために、ユーザー・インターフェース20はユーザーに1つ以上の機能に関する情報又は命令を試験装置10に入力するように要求することができる。より具体的には、試験装置10の操作中に、ユーザーが簡単な入力要求に応答するように、又はユーザーを導くためのメニュー選択を行うように求めることができる。例えば、ユーザーに自動ログ機能に関する情報を入力するよう要求することができる。自動ログ機能は、試験装置10がユーザーへの情報出力を強化させるために情報を受け取ることができるようになっている。
【0021】
上記に記載したごとく、本発明のひとつの実施形態によると、コントロール液が正確な検体測定値を提供すること及び生体試料から識別可能であることは非常に望ましい。本発明は、検体(例えばグルコース)測定に使用される電位より高い電位でのみ被酸化性である、被酸化性化学種(すなわち、コントロールマーカー)を用いる。このことは、検体に関係する伝達物質は完全に酸化するがコントロールマーカーは酸化しない充分に低い電位においては、検体のみが測定されることを意味する。コントロールマーカーという用語は内部参照とも称される。電位が、添加されたコントロールマーカーを酸化するのに充分高い場合は、検体及びコントロールマーカーの両方が酸化される。検体(例えばグルコース)は、より高い電位で酸化されるが、より低い電位で行われる測定はすでに拡散が限定されており、かつ酵素で酸化される検体の総量には依存しない。従って、このようなコントロールマーカーをコントロール液に添加すること、及び生体試料としてではなくコントロールとして溶液を識別してコントロール液を使用することは可能である。
【0022】
使用されるべきコントロールマーカーは、ヨウ化ナトリウム、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリブタノールアミン、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、キシレノール・オレンジ、ヒドロキノンスルホン酸、又はクレゾール・レッド(C2117NaOS)を含む。ひとつの方法においては、ヨウ化ナトリウムを、例えば3−(2’,5’−ジスルホフェニールイミノ)−3H−フェノチアジン伝達物質のようなフェノチアジン伝達物質又はフェノキサジン伝達物質と併用することができる。2,5−ジヒドロキシ安息香酸、キシレノール・オレンジ、ヒドロキノンスルホン酸、及びクレゾール・レッドのコントロールマーカーも、例えば3−(2’,5’−ジスルホフェニールイミノ)−3H−フェノチアジンのようなフェノチアジン伝達物質又はフェノキサジン伝達物質と併用することができると考えることもできる。ひとつの方法においては、トリエタノールアミンは、フェリシアン化カリウムのようなフェリシアン化物に基づく伝達物質と併用することができる。トリプロパノールアミン及びトリブタノールアミンのコントロールマーカーも、フェリシアン化カリウムのようなフェリシアン化物に基づく伝達物質と併用することができると考えることもできる。上記で特定されたコントロールマーカーは他の伝達物質と併用することができると考えられる。
【0023】
コントロール液の内部参照特性の存在を示すために、高電位及び低電位で測定された電流値の差を比較することができる。ひとつの限定されない方法においては、検体(例えばグルコース)及びコントロールマーカーに関する電流要素から得られるディフェレンシャルインデックス(DI)を用いることができる。
DI=ihigh volt/ilow volt=(iint ref+iglucose)/iglucose=1+iint ref/iglucose
上式で、ihigh voltはより高い電位で測定された電流値であり、
low voltはより低い電位で測定された電流値である。
【0024】
もし(血液試料中のように)コントロールマーカーが存在しないときには、iint refは零であり、かつihigh voltは実質的にilow voltと同じ値をとるという結果になる。従って、コントロールマーカーが存在しないときにはDI値は一般的に1にほぼ等しい。しかしながら、実際には、特に低い電位からより高い電位に変化している間により低いグルコース濃度が測定されているときには、コントロールマーカーが存在しないときにDI値が1を越える値をとることができる。そのような状況においては、コントロールマーカーは1より高いDI値をとることができる。
【0025】
コントロールマーカーが存在するときには、検体量に対するコントロールマーカー量に応じてDI値は1より大きい値をとる。もし、コントロール液に添加されるある量のコントロールマーカーが、検体に関係する伝達物質を酸化することによる電流値と類似の電流値を発生させるとすると、DI値は一般的に、検体に関係するする伝達物質を酸化することによるDI値の約2倍の値をとりうる。高検体濃度に対応するコントロール液に適した量のコントロールマーカーが含まれうる。
【0026】
グルコース計測器を試験するために、低検体濃度、標準的検体濃度、及び高検体濃度に対応したいくつかのコントロール液を使用することは一般的に行われている。もし、例えばコントロール液中の最も高い検体濃度のために、DI値が1.75以上になるようにコントロールマーカーの量が選ばれるとすると、コントロールマーカーによる電流値は、最も低い検体濃度のコントロール液中の検体による電流値に比べて比較的大きい。次に、同量のコントロールマーカーを低検体濃度を有するコントロール液と併用すると、DI値はさらに高くなる。DI値がこのように高いことにより、生体試料(例えば全血)ではなくコントロール液が存在するということをより高い確信をもって判断することができる。コントロール液中にコントロールマーカーが存在することを判定するのに、本発明による他の方法を用いることができると考えられる。
【0027】
ユーザー・インターフェース20に再び言及すると、液体試料を試験センサー12に適用すると、ユーザーは試験装置10に液体試料に関する情報を入力するように要求をうけることになる。要求された情報を入力するために、ユーザー・インターフェース20上に表示される1個以上のユーザーが選択可能な選択肢からユーザーが選択を行うことができる。ユーザーが選択可能な選択肢は、1個以上のソフトキーのような、ユーザー入力を受け取るための入力機器24に隣接して表示されうる。他の例において、入力機器24は試験結果のような情報を読み出すためにも、かつ表示装置22上に情報を表示するためにも使われる。
【0028】
コントロール液である液体試料の場合については、上記に記載のごとく試験装置10がコントロールマーカーの存在を検出することができるために、ユーザーは液体試料がコントロール液であることを識別する情報を入力する必要がない。コントロール液の試験結果を表示するユーザー・インターフェースの1例が図1Bに示される。この画面から、ユーザーはコントロール試験の濃度30を見ることができ、かつ「コントロール試験」とラベル表示されていることに気付く。さらに、コントロール液の試験の日付及び時刻が表示されうる。これらの結果はその後試験装置10のメモリに保存することができる。
【0029】
試験装置10のいくつかの試験機能のもとで、ユーザー・インターフェース20はユーザーに、試験されるべき液体試料に対応する、ユーザーが選択可能な1式の選択肢30から選択するために、入力機器24を押すように要求する。入力機器24上のソフトキーのうちのひとつを1回「クリック」して入力することによりそのような情報を与えることができる。特定のユーザーが選択可能な選択肢は、いつ液体試料が採取されたかを、いつ食事が取られたか又は食事が取られなかったかに関して示す、食事マーカーのような標識を含むことができる。例えば、1式の食事マーカーは、「食前」マーカー、「食後」マーカー、及び「省略」又は「無し」マーカーを含むことができる。コントロールマーカーの検出は自動的に行われるが、試験試料に関する情報を得るように要求されるときには、ユーザーは「コントロール」標識を選択することもできるとも考えられる。
【0030】
図1Cに示される実施形態においては、ユーザー・インターフェース20はログブック機能を表示する。以前のコントロール液試験の濃度測定値34を見るために、ユーザーはスクロールキー32を使ってコントロール液の試験結果を含む試験結果内をスクロールすることができる。ユーザー・インターフェース20はコントロール液の試験の日付及び時刻36も表示することができる。従って、ユーザーは前回のコントロール液の試験の状況をもう一度見ることができる。文字列を使って値がコントロール液の測定値であることを示すかわりに、図1Cに示されるように、「チェック」マーク又は他のそのようなマークのようなアイコン40を使うことができる。このアイコンは、例えばその値が血液試料ではなくコントロール液の試験結果に基づくものであることをユーザーに示す。ログブック機能で、ユーザーが日付、時刻及び血液試料中の以前の濃度測定値をもう一度見ることができるようにもなっている。そのような機能は、糖尿病を有するほとんどの個人が紙のログブックを保管する作業を実質的に自動化し、かつ食事が血糖値にどういう影響を及ぼすかについてヘルスケア提供者が患者の注意を喚起することの助けにもなる。
【0031】
いくつかの実施形態においては、ユーザーが提供する情報を、データの評価がユーザーにとってより有益な分析を生み出すように分類することができる。健康データを分類することにより、どの測定値が平均化され、かつどの測定値でデータがすぐに実施可能になるかに関するよりよい理解をユーザーが得ることができるようになる。いくつかの実施形態においては、情報の分類を子供又は高齢者のような異なるユーザー集団のためにカスタマイズすることができる。例えば、より詳細な指標なしにある平均値として試験結果の平均をとることで、病気の治療に有益でありうる情報を隠しうることになり、このような分類は有益でありうる。
【0032】
上記に記載のごとく、平均の情報を表示するときには、そのような平均値がコントロール液の試験の試験結果を含まないことが特に重要である。コントロール液の試験結果を除外することにより、試験結果の平均値は患者の糖尿病状態に関する誤った解釈を引き起こしうるコントロール液の測定値を含むことがなくなる。例えば、「7日間」平均、「14日間」、「30日間」といった選択可能な平均値のリストから、ユーザーがある平均値を選択することができる。コントロール液の試験結果を自動的に識別することにより、全血試料がコントロール液の試験結果で置換されてしまうことがなくなり、従って治療方法の変更の必要を示すものと医師が誤った判断をくだすことがなくなる。
【0033】
さらに、ユーザー・インターフェース20は、例えば食前の目標範囲及び食後の目標範囲のような、ある測定値の分類区分のための目標範囲に関する情報を与えることもできる。これらの実施形態は、平均値が目標範囲より上にあるのか、目標範囲より下にあるのか、又は目標範囲の中にあるのかといった、平均値の構成要素についての重要な情報を明らかにすることができる。この有益な情報は、目標範囲の中に収まる測定値の数、目標範囲の上に分類される測定値の数、及び目標範囲の下に分類される測定値の数も示すことができる。各々の個別の平均値について、その平均値を与えるために用いられた測定値の総数も表示することができる。そのような、目標範囲の中にある測定値の数及び目標範囲の外にある測定値の数を表示する機能は、測定値の傾向をより明らかにするために、かつユーザーが対処したいと望みうる潜在的に問題となる測定値を見分けるために、ユーザーのほかに医師又は看護師にも有益な情報を提供する。従って、仮に多数の測定値及び平均値がコントロール液の試験結果に起因する誤った試験データを含んでいたとすれば、それは問題となる。
【0034】
いくつかの実施形態においては、ユーザー・インターフェース20で、ユーザーが平均値を更に調査すること、及びログブック機能に含まれる平均値を構成するより詳細の測定値に関してメモリを見ることができるようになっている。この方法で、ユーザーに表示される平均値の中にコントロール液の試験結果が含まれないことをユーザーが確認することができる。総括的には、本明細書に記載の実施形態は、平均値、目標範囲の上、下、又は中にある濃度測定値の数などには好ましくないデータが含まれないことをユーザー及び健康管理の専門家に保証することに役立つ。
【0035】
健康データに関するさらなる注釈を追加するために、ユーザーは他の種類の情報を入力することができる。例えば、健康データの測定に影響しうる要素をさらに識別するために、ユーザーは「ジムに通った日」、「調子が悪い」、「ストレス」、「活気」「しっくりしない」「旅行中」などといった注釈を入力することができる。そういったラベル付けを行うことは、ユーザーにとってのデータの価値を向上させる生活様式の要素についての重要な情報を与える。所定の注釈を便宜上備えておくことができ、又はユーザーがユーザー・インターフェース20を通して注釈をカスタマイズすることができる。他の実施形態においては、ユーザーが別個のソフトウェア・システムを通して注釈を作り出すことができ、かつ通信インターフェースを通してその注釈を試験装置10にアップロードすることができる。
【0036】
総括的には、本明細書に記載の実施形態は、コントロール液の測定値を自動的に検知する又はマーキングするための機能、及びコントロール液の測定値を全血試料の試験データから分離するための機能を備えている。従って、ユーザー・インターフェース経由で表示される健康データは各人の状況の正確な測定結果となっていることがユーザーに保証される。コントロール液の測定値の説明をするためにユーザーが追加情報の入力を要求されることがなく、従ってユーザーがコントロール液の試験結果の説明に失敗する可能性は低減するか又はなくなるので、このことは、特別に有利である。しかしながら、もし望むならば、ユーザーはログブック及び自動ログ機能を通して入手可能なコントロール液の試験に関する情報に今までどおりアクセスすることができる。
【0037】
本発明は、様々な修正および代替形態が可能であるが、その特定の実施形態および方法を一例として図面に示し、本明細書において詳細に説明してきた。しかしながら、本発明は、開示された特定の形状または方法に限定されるものではなく、また、それとは反対に、本発明の精神および範囲に含まれるすべての修正、均等物、ならびに代替物を対象とすることを意図することが理解されるべきである。
【0038】
プロセスA
健康データの測定に関する情報を表示する表示装置、及び健康データに関する情報をユーザーから受け取る入力機器を含むユーザー・インターフェース、及び
コントロール液の試験が、液体試料の試験から識別可能で、かつコントロール液の試験結果が、ユーザー・インターフェース経由でユーザーに表示される健康データの測定に関する情報の中に含まれない、コントロール液の試験結果を識別する目的に適合した自動マーキング機能
を含む液体試料中の検体を試験するための試験システム。
【0039】
プロセスB
自動マーキング機能が、コントロール液中におけるコントロールマーカーの存在に起因するコントロール液の試験結果を識別する、プロセスAの代替の試験システム。
【0040】
プロセスC
コントロールマーカーが検体測定に用いられる電位より高い電位にてのみ被酸化性である被酸化性の化学種である、プロセスAの代替の試験システム。
【0041】
プロセスD
ユーザー・インターフェースがコントロール液の試験結果を表示する、プロセスAの代替の試験システム。
【0042】
プロセスE
ユーザー・インターフェースがコントロール液の試験結果を示すためのアイコンを含む、プロセスDの代替の試験システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
健康データの測定に関する情報を表示する表示装置、及び健康データに関する情報をユーザーから受け取る入力機器を含むユーザー・インターフェース、及び
コントロール液の試験が、液体試料の試験から識別可能で、かつコントロール液の試験結果が、ユーザー・インターフェース経由でユーザーに表示される健康データの測定に関する情報の中に含まれない、コントロール液の試験結果を識別する目的に適合した自動マーキング機能
を含む液体試料中の検体を試験するための試験システム。
【請求項2】
自動マーキング機能が、コントロール液中におけるコントロールマーカーの存在に起因するコントロール液の試験結果を識別する、請求項1に記載の試験システム。
【請求項3】
コントロールマーカーが検体測定に用いられる電位より高い電位にてのみ被酸化性である被酸化性の化学種である、請求項1に記載の試験システム。
【請求項4】
ユーザー・インターフェースがコントロール液の試験結果を表示する、請求項1に記載の試験システム。
【請求項5】
ユーザー・インターフェースがコントロール液の試験結果を示すためのアイコンを含む、請求項4に記載の試験システム。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【公表番号】特表2011−523058(P2011−523058A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512618(P2011−512618)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/046144
【国際公開番号】WO2009/149193
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(507021757)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (33)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare LLC
【Fターム(参考)】