説明

試験用コンセントアダプタ

【課題】据え置き型の電力機器を検査する試験回路に試験電源を供給するに際し、配線作業の負担を軽減するとともに短絡を防止する。
【解決手段】
この発明では。電力機器の性能試験を行う試験回路2と試験回路に供給される試験電源を生成する電源装置3との間に介在するコンセントアダプタ4を用いる。このコンセントアダプタ4は、試験電源を出力するコンセント3bに装着されるプラグ部21と、試験回路へ給電するための電源線に接続される接続部22とを備えている。そして、接続部は、電源線17が備える極性毎の導体と個別に接続される複数の接続端子27と、隣り合う接続端子同士の間に設けられた電気絶縁性の仕切り部28とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力機器に対する性能試験を行う試験回路とこの試験回路に試験電源を供給する電源との間に介在される試験用コンセントアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
発電所や変電所には大型の電力機器が備えられている。この電力機器は、定期的にまた必要に応じて性能試験が行われる。例えば、電力機器の一種であるGPT(接地形計器用変圧器)では、内部インピーダンスの測定が行われている。内部インピーダンスの測定では、歪みやノイズが少なく規定電流量(60mA,40mA)に精度良く定められた試験用の交流電源(以下試験電源という)を、試験回路に対して供給する必要がある。このため、100Vや200Vの商用電源から試験電源を発生する電源装置(交流発生装置)が用いられている。
【0003】
電源装置には試験電源を供給するためのコンセントが設けられているので、試験電源を試験回路に供給する場合、例えば電源線の一端を試験回路の端子台に接続する一方で、電源線の他端にプラグを取り付けている。そして、プラグを電源装置のコンセントに接続している。なお、電源線の一端については、試験回路が有する配線用遮断器(NFB)に接続することもある。また、配線用遮断器を、試験回路と電源装置との間に別途配設することもある。
【0004】
このような電源線の配線は手間が掛かる作業であり、試験作業における大きな負担となっている。そして、地絡、短絡、感電が生じないように細心の注意を払う必要があるので、作業負担の軽減が強く求められている。
【0005】
また、商用電源を試験電源として用いる場合もある。ここで、試験対象の電力機器は大型の据え置き型であり、試験回路は電力機器のすぐ近くに配置されることから、試験対象の電力機器から遠い場所のコンセント等から商用電源(試験電源)の供給を受ける場合には、電源線を長い距離に亘って敷設しなければならず、作業負担が大きくなっている。
【0006】
ここで、下記の特許文献1には、プラグ電極の形状が国毎に異なっている事情に鑑み、プラグ部分を交換可能に構成した電気機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−211969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述したように、電力機器の性能試験では、電力供給用の電線に対する配線作業、特にプラグの取付作業が作業負担を大きくする一因となっている。プラグ取付作業の負担を軽減するために、特許文献1に記載された技術を利用して交換式のプラグを用いることも考えられるが、電力機器の性能試験では、電力機器毎に配線を行うことから、交換式のプラグを用いることによる利点は少ない。
【0009】
また、電力供給用の電線に対する配線作業において短絡や地絡が生じてしまうと、試験回路等の故障の原因となる。このため、短絡等については極力避ける必要がある。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は電力機器の性能試験における配線作業の負担を軽減するとともに短絡等を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明は、電力機器の性能試験を行う試験回路と前記試験回路に供給される試験電源を生成する電源との間に介在される試験用コンセントアダプタであって、前記試験電源を出力する試験電源用コンセントに装着されるプラグ部と、前記試験回路へ給電するための電源線に接続される接続部とを備え、前記接続部は、前記電源線が備える極性毎の導体と個別に接続される複数の接続端子と、隣り合う接続端子同士の間に設けられた電気絶縁性の仕切り部とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明の試験用コンセントアダプタによれば、接続端子が複数設けられているので、電源線の接続作業が容易になり、配線作業に掛かる負担を軽減できる。そして、隣り合う接続端子同士が電気絶縁性を有する仕切り部によって仕切られているので、配線作業時に用いられる導電性部材(例えば針金やドライバ)等によって接続端子同士が短絡される不具合を防止できる。
【0013】
前述の試験用コンセントアダプタにおいて、前記接続端子を、ケース側部から側方へ突出させた状態で横並びに設け、前記仕切り部を、接続端子同士の並び方向とは交差する縦方向に延びた板状とし、上端縁を前記接続端子の上端よりも上方に位置させた場合には、針金やドライバ等の導電性部材が上方から落下してきても、接続端子同士が短絡される不具合を防止できる。
【0014】
前述の試験用コンセントアダプタにおいて、前記接続端子を、内側空部にプラグが挿入可能であって外周面に雄ねじが形成された第1端子部、及び、前記雄ねじに噛み合う雌ねじが内周面に形成された第2端子部を有するターミナル端子とした場合には、電源線の接続態様を適宜に選択できる。例えば、各導体に接続された圧着端子を第1端子部に位置付けて第2端子部を締め付けることにより、特別な工具を必要とせずに電源線と接続部との電気的な接続が行える。また、先端にプラグが取り付けられた電源線を用いた場合、プラグを第1端子部内に挿入することで電源線と接続部との電気的な接続が行える。
【0015】
前述の試験用コンセントアダプタにおいて、前記プラグ部と前記接続部との間にスイッチを介在させた場合には、試験電源の供給または遮断をアダプタ側で制御できるので、使い勝手が向上する。
【0016】
前述の試験用コンセントアダプタにおいて、前記プラグ部が、ケースから引き出されたコードと、前記コードの先端に設けられたプラグとを有する場合には、コードの長さ分だけ取り回しに自由度が増し、使い勝手が向上する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電力機器の性能試験における配線作業の負担を軽減するとともに短絡を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】試験システムの概略構成を説明するブロック図である。
【図2】試験システムの電気的構成を説明する図である。
【図3】第1実施形態のコンセントアダプタについて、内部を透視して示した図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は接続端子側から見た側面図である。
【図4】(a)は電源装置の正面図、(b)はコンセントアダプタを取り付けた電源装置の部分拡大図である。
【図5】電源線の取り付け作業を説明する図であり、(a)は電源線の先端に装着した圧着端子を、接続端子の雄ねじ部に位置付けた状態を説明する図、(b)は接続端子の雌ねじ部を締め込んで、圧着端子を固定した状態を説明する図である。
【図6】電源線の取り付け作業を説明する図であり、(a)は先端部のバナナプラグを接続端子の雄ねじ部に向けて移動させる様子を説明する図、(b)はバナナプラグを接続端子の雄ねじ部に嵌め込んだ状態を説明する図である。
【図7】導電性を有する針金が落下した状態を説明する図であり、(a)はコンセントアダプタを上から見た図、(b)は接続部側から見た図である。
【図8】第2実施形態のコンセントアダプタについて、内部を透視して示した図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は接続端子側から見た側面図である。
【図9】第3実施形態のコンセントアダプタについて、内部を透視して示した図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は接続端子側から見た側面図である。
【図10】(a)〜(c)は、第3実施形態のコンセントアダプタに用いられる延長ケーブルを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
【0020】
まず、図1及び図2を参照して試験システム1の概略構成について説明する。例示した試験システム1は、試験回路2と、電源装置3と、コンセントアダプタ4とを有する。
【0021】
試験回路2は、測定対象機器5の性能試験を行うための電気回路である。ここで、測定対象機器5とは、発電所や変電所に設置されている大型(据え置き型)の電力機器である。例えば、変圧器、遮断器、断路器といった電力機器が該当する。そして、図2に例示した接地変圧器(GPT)5Aに対しては、試験回路2によって内部インピーダンスの測定が行われる。
【0022】
接地変圧器5Aに用いられる試験回路2Aは、電圧計11、電流計12、及び、位相計13を有している。電圧計11は、接地変圧器5Aが備える第一相入力端子Uと第四相入力端子Oとの間の電圧を測定する。電流計12は、第一相入力端子Uを流れる電流を測定する。位相計13は、電圧を基準にするとともに電流を入力とし、電圧位相を基準とする電流の位相角を測定する。そして、この試験回路2Aで得られた電圧、電流、電流位相に基づいて接地変圧器5Aの内部インピーダンスが算出される。
【0023】
電源装置3は、試験回路2Aに供給される試験電源を商用電源6から生成し、コンセント3bから出力する装置である。試験電源は、電圧、電流、周波数などが高い精度で管理された電源を意味する。この電源装置3としては、例えば株式会社計測技術研究所製の交流電源(6900シリーズ)を用いることができる。この電源装置3は定電流源として機能し、電流が一定に調整された交流の試験電源を生成する。この試験電源は単相2線式であり、電源線における一方の極が電圧線であり、他方の極が接地線になっている。そして、この試験電源は、試験回路2を通じて接地変圧器5Aの一次側に供給される。
【0024】
図2の例において電源装置3は、プラグ14と、電源回路15と、コンセント3bとを備えている。プラグ14は、建物の壁等に設けられたコンセント6a(商用電源6を供給するためのコンセント)に装着される部分であり、このプラグ14を介して商用電源6の供給を受ける。電源回路15は、供給された商用電源6から試験電源を生成する部分である。なお、電源回路15は、設定部(図示せず)に対する設定操作で定められた電圧、電流、周波数とされた試験電源を生成する。コンセント3bは、電源回路15で生成された試験電源を出力する部分であり、試験電源用コンセントに相当する。このコンセント3bもまた単相2線式であり、一方の極から電源電圧が出力され、他方の極が接地されている。そして、このコンセント3bには、コンセントアダプタ4のプラグ部21が装着される(後述する)。
【0025】
コンセントアダプタ4は、試験回路2Aと電源装置3との間に介在し、電源装置3からの試験電源を、電源線17を介して試験回路2Aへ供給するものである。図2に概略を示すように、コンセントアダプタ4は、プラグ部21と接続部22とスイッチ23とを備えている。プラグ部21は、電源装置3が備えるコンセント3bに装着される部分である。接続部22は、試験回路2Aへ給電するための電源線17が接続される部分である。スイッチ23は、プラグ部21と接続部22との間に介在し、プラグ部21からの試験電源を接続部22へ供給したり遮断したりする。
【0026】
以下、コンセントアダプタ4について詳細に説明する。
【0027】
図3(a)〜(c)は、コンセントアダプタ4の構造を説明する図である。なお、理解を容易にするため、これらの図においてコンセントアダプタ4の内部は透視した状態で記載している。
【0028】
これらの図に示すように、コンセントアダプタ4は箱状のケース24を有しており、前述したプラグ部21、接続部22、及び、スイッチ23がこのケース24に取り付けられている。例示したケース24は平面視で略正方形状の薄型な箱状であり、電気絶縁性を有する合成樹脂によって作製されている。便宜上、以下の説明では、スイッチ23が設けられている正方形状の板状部分を天板24aといい、天板24aとは反対側に位置する正方形状の板状部分を底板24bという。また、天板24aの各辺と底板24bの各辺との間にある長方形状の板状部分を側板24cという。
【0029】
4つある側板24cのうち、1つの側板24cからは一対のブレード25が突設されている。これらのブレード25は、電源装置3に設けられたコンセント3bの刃受に挿入される長細い金属板であり、電極として機能する。そして、一方のブレード25が試験電源における一方の極に、他方のブレード25が試験電源における他方の極に対応する。これらのブレード25は、長手方向の片半部分が側板24cから突出する状態に設けられ、残りの部分がケース24内に収容されている。また、長手方向の中間部分が側板24cの裏面に配置された電気絶縁性のブッシング26によって支持されており、ケース24内に収容された部分がスイッチ23に接続されている。
【0030】
そして、本実施形態におけるプラグ部21は、一対のブレード25と、これらのブレード25が設けられる側板24cと、これらのブレード25を支持するブッシング26とによって構成されている。
【0031】
ブレード25とは反対側に位置する側板24cからは、一対の接続端子27が横並びの状態で側方に向けて突設されている。これらの接続端子27は、電源線17が備える極性毎の導体と個別に接続される部分である。本実施形態の接続端子27にはバナナジャックが用いられている。このバナナジャックは、ターミナル端子の一種であり、内側空部にプラグ(例えば後述するバナナプラグ17b)が挿入可能であって外周面に雄ねじが形成された金属製の筒状端子部27a(第1端子部)と筒状端子部27aの雄ねじに噛み合う雌ねじが内周面に形成された円筒状の可動ねじ部27b(第2端子部)とを備えている。筒状端子部27aは、側板24cの表面と裏面とに配置された一対の金属製ナット27cによって側板24cに取り付けられている。また、筒状端子部27aのそれぞれは、ケース24の内部において、導体板27dを介してスイッチ23と電気的に接続されている。一方、可動ねじ部27bは、筒状端子部27aと噛み合う軸心部分が金属製とされ、この軸心部の周囲には合成樹脂製の筒状把持部が設けられている。
【0032】
隣り合う接続端子27同士の間には、電気絶縁性の仕切り部28が設けられている。この仕切り部28は、接続端子27同士の並び方向とは交差する縦方向に延びた矩形板状であって、天板24aから底板24bに亘って一連に設けられている。また、この仕切り部28は、ケース24と同じく合成樹脂によって作製されている。
【0033】
この仕切り部28は、後述するように接続端子27同士の短絡を防止するために設けられている。このため、仕切り部28は、接続端子27同士の並び方向から見た際に、接続端子27の根元部分(具体的には可動ねじ部27bよりも側板24c側で露出している金属部分)が隠れる程度の大きさに設けられている。そして、仕切り部28におけるスイッチ23側の端部(使用時の上端縁)は、接続端子27よりも天板24a側(使用時の上側)に位置している。
【0034】
本実施形態における接続部22は、一対の接続端子27と、これらの接続端子27が設けられる側板24cと、側板24cから立設された仕切り部28とによって構成されている。
【0035】
この接続端子27では、電源線17の圧着端子17aを筒状端子部27aに位置付けた状態で可動ねじ部27bを締め込むことで、側板24cの表面側に位置するナットと可動ねじ部27bとで圧着端子17aを固定でき、電源線17が有する各導体との接続が行える。また、電源線17の先端に取り付けられたバナナプラグ17bを筒状端子部27aの内側空部に挿入することによっても、電源線17が有する各導体との接続が行える。
【0036】
スイッチ23は、前述したように、一対のブレード25及び一対の筒状端子部27aのそれぞれと電気的に接続されている。すなわち、これらのブレード25と筒状端子部27aの間に介在している。そして、スイッチ23は、一方のブレード25と一方の筒状端子部27a、及び、他方のブレード25と他方の筒状端子部27aを電気的に接続したり、遮断したりする。このため、プラグ部21が電源装置3のコンセント3b(図4を参照)に装着された状態で、スイッチ23がオン操作されるとブレード25を通じて筒状端子部27aに試験電源が供給される。一方、スイッチ23がオフ操作されると、試験電源は筒状端子部27aに供給されない。
【0037】
次に、上記のように構成されたコンセントアダプタ4の使用方法について説明する。
【0038】
図4(a)に例示した電源装置3では、前面左端部に電源スイッチ3aが設けられ、前面右端部に試験電源を出力するコンセント3bが設けられている。そして、電源スイッチ3aとコンセント3bとの間に、表示装置3c及び操作ボタン3dが設けられている。そして、図4(b)に示すように、コンセントアダプタ4は、プラグ部21の各ブレード25をコンセント3bに差し込むことで電源装置3に取り付けられ、この取り付け状態で使用される。
【0039】
例えば、電源線17の先端部分をコンセントアダプタ4(各接続端子27)に接続する場合、図5(a)に示すように、電源線17の先端部分に圧着端子17aを装着し、電源線17が有する各極の導体と圧着端子17aとを接続する。その後、この圧着端子17aを、対応する筒状端子部27aに位置付け、図5(b)に示すように、可動ねじ部27bを締め込むことで圧着端子17aを固定する。このように、コンセントアダプタ4が備える接続端子27は、外周面に雄ねじが形成された筒状端子部27aと、筒状端子部27aの雄ねじに噛み合う雌ねじが内周面に形成された可動ねじ部27bとを有しているので、可動ねじ部27bを緩めたり締め込んだりすることで電源線17の圧着端子17aを容易に固定できる。すなわち、電源線17の配線作業について作業負担を軽減できる。
【0040】
なお、スイッチ23に関し、コンセントアダプタ4を電源装置3に取り付ける際にはオフにしておく。そして、図5(b)に符号Aの矢印で示すように、各圧着端子17aを固定した後にオンにする。このような操作を行うことで、接続端子27への電源線17の接続時において、短絡や地絡等の不具合を防止できる。
【0041】
また、図6(a)に示すバナナプラグ17bを用いて接続を行う場合には、まず電源線17の先端部分にバナナプラグ17bを取り付ける。バナナプラグ17bへの電源線17の取り付けは、バナナプラグ17bの種類によって様々であるが、例えば次の手順で行える。まず、電源線17の先端部分を二股に割いた後、被覆を除去して各極の導体を露出させる。次に、バナナプラグ17bを円筒状のカバー部と金属製の本体部とに分離し、カバー部を二股に割いた一方に挿入する。そして、導体を本体部に接触させた状態で、カバー部を本体部に固定する。二股の他方についても同様の手順で取り付ける。
【0042】
バナナプラグ17bを取り付けたならば、図6(a)に符号Bの矢印で示すように、バナナプラグ17bを筒状端子部27aの内側空部に向けて移動させ、この内側空部に挿入する。バナナプラグ17bの挿入によって電源線17と接続端子27とが電気的に接続される。ここで、電源線17へのバナナプラグ17bの取り付けは、前述した通り容易な作業である。そして、電源線17を接続端子27に接続する作業も、バナナプラグ17bを筒状端子部27aに挿入するだけの容易な作業である。このため、電源線17の配線作業について作業負担を軽減できる。
【0043】
加えて、一対の接続端子27同士の間には、接続端子27の並び方向と交差する方向(具体的には直交方向)に沿って、電気絶縁性を有する板状の仕切り部28が設けられている。この仕切り部28が設けられていることで、針金やドライバのような金属部材が落下した場合であっても、接続端子27同士の短絡を防ぐことができる。例えば、図7(a),(b)に示すように、針金Xが落下したとしても、この針金Xは一方の接続端子27と仕切り部28とに当接するが他方の接続端子27には当接しないので、接続端子27同士の短絡を防ぐことができる。
【0044】
次に、コンセントアダプタの第2実施形態について説明する。
【0045】
図8(a)〜(c)は、第2実施形態のコンセントアダプタ4Aを説明する図であり、先に説明した図3に相当する図である。この図に示すように、第2実施形態のコンセントアダプタ4Aの基本的な構成は、第1実施形態のコンセントアダプタ4と同じである。このため、第1実施形態のコンセントアダプタ4と同じ構成を採る部分には同じ符号を付して説明を省略する。そして、第1実施形態との相違点を中心に、第2実施形態のコンセントアダプタ4Aを説明する。
【0046】
第2実施形態のコンセントアダプタ4Aと第1実施形態のコンセントアダプタ4との違いは、大きく次の3点である。(1)プラグ部31に関し、プラグ32とコード33とを含んでいる。(2)仕切り部28Aに関し、倒E字形状に構成されている。(3)ケース24Aの厚みが大きく定められ、接続端子27が天板24aに近い側に設けられている。(4)ケース24Aの底面四隅に脚部34が設けられている。
【0047】
まず、プラグ部31について説明する。本実施形態におけるプラグ部31は、プラグ32とコード33と側板24cと、ブッシング26Aとを有している。プラグ32は、電源装置3のコンセント3b(試験電源用コンセント)に差し込まれる部分であり、本体部35とブレード36とを有している。ブレード36は第1実施形態のブレード25と同様に、コンセント3bの受刃に差し込まれる部分である。本体部35は、ブレード36とコード33の端部同士が収容される部分であり、本体部35の内部でブレード36とコード33とが電気的に接続される。コード33は、プラグ32とケース24Aとの間に設けられる部分であり、試験電源を供給する。プラグ32とは反対側のコード33の他端部分は、ケース24Aに収容されてスイッチ23に接続されている。このため、スイッチ23のオンオフによって試験電源を接続端子27へ供給したり、遮断したりすることができる。ブッシング26Aは、側板24cの裏面に配置されてコード33を支持する部材である。
【0048】
次に、仕切り部28Aについて説明する。本実施形態の仕切り部28Aは、上部開放のコ字状部材を2つ横並びに連結した倒E字形状に構成されている。この仕切り部28Aによって各接続端子27の左右と下とが区画されている。この仕切り部28Aも、接続端子27が設けられた側板24cの表面から側方に突設されている。そして、側方への突出長さは第1実施形態と同様に、接続端子27の根元部分が隠れる程度に定められている。
【0049】
次に、ケース24Aと脚部34について説明する。ケース24Aの厚みは、第1実施形態のケース24Aのほぼ2倍に定められている。そして、接続端子27は側板24cにおける天板寄りの位置に取り付けられている。また、底板24bにおける四隅には脚部34が設けられている。これらの脚部34は、コンセントアダプタ4Aが床面に置かれることを想定して設けられており、電気絶縁性を有する円柱状部材によって構成されている。また、脚部34の先端には円盤状の磁石34aが設けられている。この磁石34aによって鉄板製の壁面に対する固定が容易に行える。
【0050】
このように構成されたコンセントアダプタ4Aでは、プラグ部31がプラグ32とコード33とを備えているので、コード33の長さ分だけコンセントアダプタ4Aの設置場所について自由度が高くなる。これにより、使い勝手の向上が図れる。また、各接続端子27の左右と下の3方が電気絶縁性の仕切り部28Aに囲まれており、接続端子27が天板側に寄せられており、かつ、底板24bには脚部34が設けられているので、ケース24A等を床面に置いた場合において、床面と各接続端子27との間に十分なクリアランスが確保でき、接続端子27が地絡してしまう不具合を抑制できる。
【0051】
次に、コンセントアダプタの第3実施形態について説明する。
【0052】
図9(a)〜(c)は、第3実施形態のコンセントアダプタ4Bを説明する図であり、先に説明した図3や図8に相当する図である。この図に示すように、第3実施形態のコンセントアダプタ4Bの基本的な構成は、第2実施形態のコンセントアダプタ4Aと同じである。そこで、第2実施形態との相違点を中心に、第3実施形態のコンセントアダプタ4Bを説明することとする。なお、図9において、第2実施形態のコンセントアダプタ4Aに対応する部分については、符号の末尾にBを付して示し、説明を省略する。
【0053】
第3実施形態のコンセントアダプタ4Bと第2実施形態のコンセントアダプタ4Aとの違いは、第3実施形態のコンセントアダプタ4Bが三相3線式に対応している点であり、電源回路3が200V仕様の場合に用いられる。このため、プラグ部31Bのプラグ32B及びコード33Bと、スイッチ23Bと、各接続端子27Bは、3つの極のそれぞれ(すなわち各相)に対応させたものが用いられている。この第3実施形態のコンセントアダプタ4Bでも第2実施形態のコンセントアダプタ4Bと同様の作用効果を奏する。
【0054】
なお、第3実施形態のコンセントアダプタ4Bに関し、図10(a)〜(c)に示す延長ケーブル41〜61を用いることにより、使い勝手を一層向上させることができる。
【0055】
図10(a)に示す延長ケーブル41は、3穴用のブレード42が設けられたプラグ部43と、このブレード42用のコンセント部44と、これらのプラグ部43とコンセント部44とを接続するコード45とを備えている。また、図10(b)に示す延長ケーブル51は、4穴用のブレード52が設けられたプラグ部53と、3穴のコンセント部54と、これらのプラグ部53とコンセント部54とを接続するコード55とを備えている。同様に、図10(c)に示す延長ケーブル61もまた、4穴用のブレード62が設けられたプラグ部63と、3穴のコンセント部64と、これらのプラグ部63とコンセント部64とを接続するコード65とを備えている。なお、延長ケーブル51,61は変換ケーブルとしても機能する。
【0056】
そして、図10(a)に示す延長ケーブル41を用いてプラグ部31Bのコード33B(図9を参照)を延長することで、コンセントアダプタ4Bの設置場所に自由度が増す。また、図10(b),(c)に示す延長ケーブル51,61を介在させることで、コンセントアダプタ4Bの設置場所に自由度が増すと共に、電源装置3のコンセント3bがコンセントアダプタ4Bのプラグ32Bに適合しない形状であっても、コンセントアダプタ4Bを使用することができる。
【0057】
ところで、以上の各実施形態に関する説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨、目的を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。例えば、次のように構成してもよい。
【0058】
仕切り部28,28A,28Bに関し、隣り合う接続端子27,27B同士の間を仕切ることができれば、板状に限られない。例えば、一方の接続端子27,27Bの左右と下方を区画するU字樋状であってもよいし、円筒を軸方向に二分割した半円筒状であってもよい。
【0059】
接続端子27,27Bに関し、バナナジャックを例示したが、電源線17の導体と容易に接続できる端子であれば、接続端子27,27Bとして好適に用いることができる。例えば陸軍端子やジョンソン端子を用いてもよい。
【0060】
スイッチ23に関し、LED等の発光部を内蔵し、この発光部をオン状態(通電状態)で点灯させるように構成してもよい。このように構成すると、オン状態において接続作業をしてしまう不具合を確実に防止でき、使い勝手のさらなる向上が図れる。
【0061】
試験電源に関し、前述の実施形態では電源装置3から出力される場合について説明した。このため、コンセントアダプタ4Bは、電源装置3のコンセント3bに接続されていた。ここで、試験電源として商用電源6を用いることができれば、コンセントアダプタ4Bを、建物の壁部等に設けられている商用電源6を出力するコンセント6aに取り付けてもよい。この場合、このコンセント6aが試験電源用コンセントに相当する。
【0062】
なお、本発明に係る試験用コンセントアダプタは、変圧器や遮断器や断路器の他の試験回路に対しても当然適用できる。
【符号の説明】
【0063】
1…試験システム,2…試験回路,2A…接地変圧器用の試験回路,3…電源装置,3a…電源スイッチ,3b…コンセント,3c…表示装置,3d…操作ボタン,4…第1実施形態のコンセントアダプタ,4A…第2実施形態のコンセントアダプタ,4B…第3実施形態のコンセントアダプタ,5…測定対象機器,5A…接地変圧器,6…商用電源,6a…商用電源用のコンセント,11…電圧計,12…電流計,13…位相計,14…プラグ,15…電源回路,17…電源線,17a…圧着端子,17b…バナナプラグ,21…プラグ部,22…接続部,23…スイッチ,24…ケース,24A…ケース,24B…ケース,24a…天板,24b…底板,24c…側板,25…ブレード,26…ブッシング,26A…ブッシング,26B…ブッシング,27…接続端子,27B…接続端子,27a…筒状端子部,27b…可動ねじ部,27c…金属製ナット,27d…導体板,28…仕切り部,28A…仕切り部,28B…仕切り部,31…プラグ部,32…プラグ,33…コード,34…脚部,34a…磁石,35…本体部,36…ブレード,41…延長ケーブル,42…ブレード,43…プラグ部,44…コンセント部,45…コード,51…延長ケーブル,52…ブレード,53…プラグ部,54…コンセント部,55…コード,61…延長ケーブル,62…ブレード,63…プラグ部,64…コンセント部,65…コード,U…第一相入力端子,V…第二相入力端子,W…第三相入力端子,O…第四相入力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力機器の性能試験を行う試験回路と前記試験回路に供給される試験電源を生成する電源との間に介在される試験用コンセントアダプタであって、
前記試験電源を出力する試験電源用コンセントに装着されるプラグ部と、
前記試験回路へ給電するための電源線に接続される接続部とを備え、
前記接続部は、
前記電源線が備える極性毎の導体と個別に接続される複数の接続端子と、
隣り合う接続端子同士の間に設けられた電気絶縁性の仕切り部とを有することを特徴とする試験用コンセントアダプタ。
【請求項2】
前記接続端子は、
ケース側部から側方へ突出させた状態で横並びに設けられ、
前記仕切り部は、
接続端子同士の並び方向とは交差する縦方向に延びた板状であって、上端縁が前記接続端子の上端よりも上方に位置していることを特徴とする請求項1に記載の試験用コンセントアダプタ。
【請求項3】
前記接続端子は、
内側空部にプラグが挿入可能であって外周面に雄ねじが形成された第1端子部、及び、前記雄ねじに噛み合う雌ねじが内周面に形成された第2端子部を有するターミナル端子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の試験用コンセントアダプタ。
【請求項4】
前記プラグ部と前記接続部との間にスイッチを介在させたことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の試験用コンセントアダプタ。
【請求項5】
前記プラグ部は、
ケースから引き出されたコードと、
前記コードの先端に設けられたプラグとを有することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の試験用コンセントアダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−2923(P2013−2923A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133563(P2011−133563)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(596133119)中電プラント株式会社 (101)
【Fターム(参考)】