説明

試験用端子台

【課題】基板に固定される一対の端子を、容易にかつ確実に、電気的に接続できることに加えて、薄型化に対応できるようにする。
【解決手段】一端部2a,2aが臨出するように、基板Pに固定される一対の導電性を有する端子部2,2と、各端子部2,2間を電気的に接続できる長さを有する接続板10と、各端子部2,2の一端部2a,2aを跨ぐように、各端子部2,2の一端部のそれぞれに配置される、接続板10を挿通するための挿通部15,15と、該各挿通部15,15に挿通された接続板10を、該接続板10の直交方向に押圧すべく、各挿通部15,15に螺合する締結部材20,20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば母線の各相に配置される保護継電器を備えた保護継電器盤に取り付けられる試験用端子台に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、送配電用の電気系統における事故検出を目的とする保護継電装置Cを備えた保護継電器盤Bが配電盤室に設置されている。この保護継電器盤Bは、例えば、図9に示すように、前面扉41の上部に複数の保護継電器(または計器)42,…が並列され、その下方に故障表示器43が配置され、該故障表示器43の下方に、各保護継電器(または計器)42,…を操作する操作スイッチ44,…が配置され、前面扉41の下部に試験用端子台T1が並列されている。
【0003】
保護継電装置Cは、例えば、図10(a)に示すように、母線50a〜50cと変圧器51との間に遮断器52が設けられるとともに、母線50a〜50cの各相に変流器53,…が設けられている。そして、変流器53,…の各一端側が中性点Nに接続されるとともに、各他端側がそれぞれ上述した保護継電器42,…としての過電流継電器に接続されている。さらに、各保護継電器(過電流継電器)42,…と中性点Nとの間に地絡過電流継電器54が接続されている。そして、保護継電装置Cは、例えば、保護継電器42,…の信号に基づいて遮断器52を遮断制御するように構成されている。
【0004】
また、保護継電装置Cには、図10(b)に示すように、遮断器52の引外しコイル520を作動させることを目的とした遮断器遮断制御回路C1が設けられている。この遮断器遮断制御回路C1は、保護継電器42,…の補助接点421a,…と、遮断器52の引外しコイル520を動作させる補助継電器(図示せず)のコイル450とが直列接続されて、制御電源の直流ラインP,N線間に接続されている。また、遮断器52の引外しコイル520を動作させる前記補助継電器の補助接点451aと、上述した試験用端子台(所謂トリップロック端子)T1と、遮断器52とが直列接続されて、制御電源の直流ラインP,N線間に接続されている。そして、試験用端子台T1に、短絡用プラグが接続された場合は、図10(b)に示すように、遮断器遮断制御回路C1が構成される。一方、試験装置Hが接続された場合は、図10(c)に示すように、遮断器52が投入状態のまま、遮断器遮断制御回路C1の動作試験が行われる。
【0005】
つぎに遮断器遮断制御回路C1の動作について、図10(b)を参照して説明する。保護継電器42に対する外部からの動作指令(例えば、図9に示す保護継電器盤Bの操作スイッチ44,…)によって、保護継電器42の常開接点421aがオンして、遮断器52の引外しコイル520を動作させる補助継電器のコイル450が励磁され、常開接点451aがオンするとともに、遮断器52のトリップコイル520が励磁されて、遮断器52を遮断する操作機構(図示せず)が動作し、遮断器52が遮断されるように構成されている。そして、トリップコイル520には、トリップコイル520の焼損を防止する補助スイッチ521が直列接続されている。
【0006】
つぎに試験用端子台T1について、図11(a),(b)を参照して説明する。該試験用端子台T1は、前記保護継電器盤Bに取り付けられる基板Pに固定される一対の端子610,620と、この端子610,620に接続される短絡用プラグ630とを備えている。端子610,620は、雄ネジを形成した導電性の端子部611,621と、端子部611,621の基端側に設けられ、基板Pを表裏から挟む取付台612,622と、端子部611,621の先端部に螺合する締付ネジ613,623とを備えている。
【0007】
短絡用プラグ630は、導電性の本体部631の両端に前記各端子610,620の端子部611,621を挟むC字形状の結合部631a,631aを設け、また、本体部631の中間部に絶縁部632を設けられたものとされている。
【0008】
また、基板Pには、図11(b)に示すように、端子610,620の端子部611,621の基端側が貫通する端子孔(採番せず)が形成されている。基板Pの裏面側で突出している各端子610,620の基端部が、上述した遮断器遮断制御回路C1に接続される。
【0009】
このような試験用端子台T1は、締付ネジ613,623の締付状態を目視できないことから、短絡用プラグ630が締付ネジ613,623によって確実に接続されていないこと確認できず、通電不良などの事故が発生することがある。
【0010】
このような不具合を解消するため、各端子間の電気的な接続、非接続の操作を迅速かつ簡単に、しかも、誤操作することなく確実に行うことができるようにした試験用端子台が特許文献1に開示されている。この試験用端子台T2には、図12(a),(b)に示すように、前記試験用端子台T1と同様、基板Pに固定された第1の端子台710と第2の端子台720が備えられている。
【0011】
第1の端子台710は、基板Pの裏面側に配置される第1接続部711と、導電性シャフト712と、この導電性シャフト712を収納する筒状の収納部713とを備えている。導電性シャフト712は、収納部713内にほぼ全体が収納される状態と、基板Pの表面側で収納部713から突出する状態とをとることができるようにされている。
【0012】
また、第2の端子台720は、基板Pの裏面側に配置される第2接続部721と、この第2配線接続部721と電気的に接続され、かつ、基板Pの表面側で第1の端子台710の導電性シャフト712の先端部と係合するシャフト受部722とを備えている。
【0013】
この試験用端子台T2は、第1接続部711と第2接続部721とを電気的に接続して保護回路Cを構成する場合、第1の端子台710の収納部713から導電性シャフト712を基端部のみ残して引き出し、図12(b)に示すように、導電性シャフト712の先端部を第2の端子台720のシャフト受部722と係合させる。したがって、この試験用端子台T2は、第1接続部711と第2接続部721との電気的な接続、非接続の操作を迅速かつ簡単に、しかも誤操作することなく、確実に行うことができるようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2008−71647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
特許文献1に開示された試験用端子台T2は、導電性シャフト712を筒状の収納部713内に収納するため、収納部713は、導電性シャフト712とほぼ同じ長さとされ、基板Pの裏面側に大きく突出している。したがって、この試験用端子台T2は、基板Pの裏面側に余分なスペースがある場合にのみ実施することができ、薄型化に対応できないものとなっている。
【0016】
そこで、本発明は、基板に固定される一対の端子を、容易にかつ確実に、電気的に接続できることに加えて、薄型化に対応できる試験用端子台を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る試験用端子台は、一端部2a,2aが臨出するように、基板Pに固定される一対の導電性を有する端子部2,2と、各端子部2,2間を電気的に接続できる長さを有する接続板10と、各端子部2,2の一端部2a,2aを跨ぐように、各端子部2,2の一端部2a,2aのそれぞれに配置される、接続板10を挿通するための挿通部15,15と、該各挿通部15,15に挿通された接続板10を、該接続板10の直交方向に押圧すべく、各挿通部15,15に螺合する締結部材20,20とを備えたことを特徴とする。
【0018】
かかる構成によれば、各端子部2,2の一端部2a,2aを跨いで形成される挿通部15,15に、各端子部2,2間の距離よりも少し大きい長さを有する接続板10を挿通すると、各端子部2,2の一端部2a,2aと締結部材20の先端部との間に接続板10が位置するようになる。この状態で、挿通部15,15に挿通された接続板10に対して直交するように、挿通部15,15に螺合する締結部材20,20を締め付けると、締結部材20,20の先端部と端子部2,2の一端部2a,2aとで、接続板10が挟持され、接続板10によって各端子部2,2が電気的に接続されるようになる。
【0019】
また、本発明によれば、前記締結部材20は、ねじ部20aよりも大径の頭部20bに、締結部材20の締め付け状態を表示する表示体23が貫設され、該表示体23は、頭部20bに対して軸方向に進退できるように、頭部20bに内設される弾性部材25によって後退方向に常時弾性付勢されるとともに、前記挿通部15側に向かって延出される突片233,233が、頭部20bから突出するように形成されるような構成を採用することもできる。
【0020】
かかる構成によれば、締結部材20が締め付けられるにしたがって、締結部材20の頭部20bが挿通部15側に後退する一方、締結部材20の頭部20bから挿通部15側に向かって延出される突片233,233が挿通部15に当接することになり、さらなる締結部材の締め付けによって、締結部材20の頭部20bがさらに後退し、表示体23が締結部材20の頭部20bから外部に突出するようになる。この表示体23の突出程度によって、締結部材20の締め付け状態を確認できる。また、表示体23が締結部材20の頭部20bから突出する際に、締結部材20の頭部20bに内設される弾性部材25が圧縮されるので、この圧縮作用によって締結部材20の緩みを防止できる。
【0021】
また、本発明によれば、前記接続板10は、いずれか一方の端部10aに、前記挿通部15に当接する当接部102が突設されるような構成を採用することもできる。
【0022】
かかる構成によれば、接続板10のいずれか一方の端部10aに突設された当接部102が、挿通部15に当接するので、各挿通部15,15から接続板10が抜けることがない。すなわち、挿通部15に接続板10の当接部102が当接すれば、各挿通部15,15に対する接続板10の挿通状態が正常であると判断できる。
【0023】
また、本発明によれば、前記基板Pは、各挿通部15,15に挿通された状態の接続板10の長手方向の中心線の延長線上における、挿通部15に当接している前記当接部102よりも外側の位置に、接続板10の挿通状態を確認するための目印35が配置されるような構成を採用することもできる。
【0024】
かかる構成によれば、各挿通部15,15に当接した接続板10の当接部102よりも外側の位置に、接続板10の挿通状態を確認するための目印35が基板Pに配置されているので、いずれか一方の目印35が接続板10に邪魔されて視認できない場合は、接続板10が挿通部15に対して正常に挿通されていないと判断される。すなわち、各挿通部15,15に挿通された接続板10の挿通状態、すなわち接続板10と各端子部2,2間とが電気的に確実に接続できているか否かを、目印によって視認することで判断できる。
【0025】
また、本発明によれば、前記接続板10は、他方の端部10bが挿通部15から突出するように、該各端子部2,2間の距離よりも少し大きい長さを有するような構成を採用することもできる。
【0026】
かかる構成によれば、接続板10の長さを、各端子部2,2間の距離よりも少し大きい長さにして、挿通部15から接続板10の他方の端部10bを突出するようにすれば、基板Pに目印35を付けなくても、挿通部15から突出する接続板10の他方の端部10bを視認することで、接続板10の挿通状態が正常であるか否かを判断できる。
【0027】
また、本発明によれば、前記締結部材20は、頭部20bの両側部200b,200bに係脱自在に係止する一対の係止片32,32を有する緩み防止用のカバー30が取り付けられるような構成を採用することもできる。
【0028】
かかる構成によれば、締結部材20の頭部20bの両側部200b,200bにカバー30の各係止片32,32が係止するので、締結部材20,20の回動による緩みを防止できる。すなわち、カバー30が取り付けられることで、遮断器遮断制御回路を維持できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、外部に臨出する各端子部の一端部を跨ぐように、各端子部の一端部のそれぞれに挿通部を配置し、各挿通部に接続板を挿通するとともに、各挿通部に挿通された接続板に対して直交するように、各挿通部に締結部材を螺合するようにしたので、挿通部に螺合する締結部材の先端部が接続板に対して直交方向に当接して、接続板と各端子部の一端部とが確実に面接触して電気的に接続されるようになる。すなわち、一対の端子を効率的に接続することができて、接続作業の迅速化を図ることができる。また、従来のように、基板の裏面側に余分なスペースを確保することがないので、薄型化にも対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る試験用端子台の分解斜視図。
【図2】(a)は、接続板を各挿通部に挿通すべく、締結部材を少し緩めて間隔を形成する状態を示す正面図、(b)は、一部を断面で示した図2(a)の側面図。
【図3】図2(a)の平面図。
【図4】締結部材、表示体、弾性部材を分解した状態を示す分解斜視図。
【図5】(a)は、接続板の正面図、(b)は、図5(a)の側面図。
【図6】(a)は、カバーの正面図、(b)は、図6(a)の側面図。
【図7】(a)〜(c)は、本発明の一実施形態に係る試験用端子台の使用態様を示す斜視図であり、(a)は、各挿通部に接続板を挿通した状態を示す図、(b)は、締結部材を締め付ける状態を示す図、(c)は、カバーを取り付ける状態を示す図。
【図8】図7(b)の側面図。
【図9】保護継電器盤を示す斜視図。
【図10】(a)は、配電盤室に設置される保護継電装置を示す図、(b)は、図10(a)の保護継電装置に設けられた遮断器遮断制御回路を示す図、(c)は、遮断器遮断制御回路の試験用端子台に試験装置を接続した状態を示す図。
【図11】(a),(b)は、従来の試験用端子台を示す図であり、(a)は、短絡用プラグを接続する状態を示す斜視図、(b)は、短絡用プラグを試験用端子台に接続した状態を示す断面図。
【図12】(a),(b)は、他の従来の試験用端子台を示す図であり、(a)は、短絡用プラグとしての導電性シャフトを端子の内部に収納した状態を示す断面図、(b)は、導電性シャフトを試験用端子台に接続した状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の一実施形態に係る試験用端子台について図1〜図10(a)〜(c)を参照しながら説明する。本実施形態に係る試験用端子台は、図9に示す保護継電器盤Bなどの配電盤に配列されるものを例にとって説明する。この試験用端子台Tに、短絡用プラグが接続される場合、図10(b)に示す遮断器遮断制御回路C1が構成される。一方、図10(c)に示すように、試験用端子台Tに試験装置Hが接続される場合、遮断器52が投入状態のまま、遮断器遮断制御回路C1の動作試験が行われる。
【0032】
試験用端子台Tは、図1に示すように、前記保護継電器盤Bに取り付けられる基板Pに固定される一対の端子1,1と、各端子1,1間を接続する短絡用プラグとしての接続板10と、各端子1,1にそれぞれ配置される、接続板10を挿通するための挿通部15と、該挿通部15に螺合する締結部材(螺棒)20と、該各締結部材20の頭部20bに取り付けられる、各締結部材20の緩み止めをするためのカバー30とを備えている。一対の端子1,1、接続板10、締結部材20によって、図10(b)に示す遮断器遮断制御回路C1が構成される。
【0033】
各端子1,1は、図2(a),(b)および図3に示すように、導電性を有する筒体3,3に挿通された状態で、一端部2a,2aが外部に臨出するように、基板に固定される一対の導電性を有する端子部2,2と、臨出した一端部2a,2aに固着された、接続板10と面接触するための座板4とを有している。そして、座板4は、同図に示すように、後述する挿通部15の取付部15bと対向(平行)している。そして、一方の端子部2の他端部2bは、上述した保護継電器側の回路に接続され、他方の端子部2の他端部2bは、母線や遮断器を有する電源側の回路に接続されている。なお、図2(a),(b)および図3の状態は、締結部材20を少し緩めて、座板4と押え板21との間に、接続板10挿通するための間隔が形成されており、後述する表示体23の突片233,233が挿通部15の取付部15bから離間して、締結部材20の頭部20bの内部に位置している。
【0034】
接続板10は、図5に示すように、正面視T字形状を呈しており、各端子部2,2間の距離よりもやや大きい長さを有する平板状の接続部101と、該接続部101の一方の端部(上端部)10aに、挿通部15の幅方向の内寸よりも大きく、挿通部15の幅方向の外寸よりも大きく形成された当接部102とを有している。したがって、接続板10の接続部101が各挿通部15,15に挿通された際、図2(b)に示すように、当接部102の両端部および下端部が、上側の挿通部15に当接するとともに、接続板10の他方の端部(下端部)10bが下側の挿通部15から突出するようになる。また、接続板10の当接部102の両端部および下端部が、上側の挿通部15に当接することで、接続板10が各挿通部15,15から抜け落ちることがない。また、接続板10を各挿通部15,15に挿通した状態で、締結部材20を締め付けた際、図8に示すように、接続板10の接続部101の裏面が端子部2,2の一端部の端面(座板4,4)に確実に面接触するように、接続部101の裏面と当接部102の裏面とが面一になっている。
【0035】
挿通部15は、図3に示すように、平面視コ字形状を呈しており、それぞれの一端部の間隔が、接続板10の幅寸法よりもやや大きくなるように、端子部2の両側に一端部が固着される一対の支持部15a,15aと、端子部2の一端部の端面(座板4)と平行するように、各支持部15a,15aの他端部に架設される締結部材20の取付部15bとを有している。そして、支持部15a,15aは、接続板10の厚さ寸法と、締結部材20のねじ部が接続板10を十分に挟持できる距離とを確保できる長さを有している。取付部15bは、正面視四角形状で、中央部に締結部材20のねじ部が螺合するねじ孔16が形成されている。
【0036】
締結部材20は、図4に示すように、雄ねじからなるねじ部20aと、該ねじ部20aの基端部に固着されて一体化された、ねじ部20aよりも大径の頭部20bとを備えている。そして、ねじ部20aは、図1および図2(b)に示すように、その先端部に回転自在に四角形状の押さえ板21が支持されている。頭部20bは、六角形状の外形を呈しており、頭部20bの周縁部に形成された、ねじ部20aよりも大径の円環状の貫通孔22と、該貫通孔22から進退できるように、貫通孔22の内側から内挿された表示体23と、締結部材20の頭部20bに内設され、表示体23を頭部20bに対して軸方向に進退させる弾性部材25とを有している。また、頭部20bの平行する一対の側面200b,200bに、後述するカバー30の一対の係止片32,32が係止し、締結部材20,20の緩み止めがなされるようになっている。
【0037】
表示体23は、図4に示すように、端子部よりも大径で、かつ、頭部よりも小径の環状の表示部231と、該表示部231の後側の周縁部に径外方向に形成される環状のバネ受け部232と、該バネ受け部232から挿通部15側に向かって延出されるとともに、外部に導出される一対の突片233,233とを備えている。そして、表示部231の外周面および外周面の端面に蛍光塗料が塗布されている。したがって、締結部材20が締め付けられて、表示部231の前側の周縁部および該周縁部の端面が貫通孔22から突出することによって、締結部材20の締め付け状態を確認できるようになる。さらに、これらの部位に、蛍光塗料を塗布することで、これらの部位が多方向から視認しやすくなっている。
【0038】
弾性部材25は、表示部231に外挿されるとともに、バネ受け部232に当接する弾性部材としてのコイルバネを有している。そして、表示体23は、コイルバネ25によって後退方向に常時弾性付勢され、挿通部15側に向かって延出される突片233,233が締結部材20の頭部20bから外部へ突出している。
【0039】
カバー30は、図6(a),(b)に示すように、正面視矩形状の取付板31と、該取付板31の一面の両側部に、長手方向に沿って取り付けられた断面L字形状の一対の係止片32,32とを有している。そして、取付板31は、基板と略同一の幅寸法を有しており、各締結部材20,20および各挿通部15,15を覆う面積を有している。係止片32,32は、取付板31に取り付けられる取付部32aと、該取付部32aの端部から直角に折り曲げられた係止部32bとを有している。そして、各係止部32b,32bの間隔は、締結部材20の頭部20bの平行する側面の距離よりも少し短い長さに設定されており、締結部材20の頭部20bの平行する側面に係止して各締結部材20,20の緩み止めがなされる。
【0040】
基板Pは、正面視矩形状を呈し、例えば、図9に示す保護継電器盤Bの前面扉の下部に取り付けられている。そして、基板Pの長手方向の中心線の延長線上における、上側の挿通部15に当接した接続板10の当接部102よりも外側の位置に、左右方向に線引きされた直線状の目印35が配置されている。さらに、この目印35には、蛍光塗料が塗布されており、目印35が視認しやすくなっている。そして、作業者が目印35を外部から視認できる場合は、接続板10の接続状態が正常であり、接続板10に邪魔されて目印35が外部から視認できない場合は、接続板10が正常に接続できていないと判断できる。なお、表示体23および目印35は蛍光塗料でなくても、着色されることで、作業者が外部から視認しやすくなる。表示体23が着色されることで、締結部材20の締め付け状態をより一層確認しやすくなる。また、目印35が着色されることで、接続板10の挿通状態が正常であるか否かをより一層確認しやすくなる。
【0041】
つぎに使用態様について図1、図2(b)、図7(a)〜(c)および図8を参照して説明する。まず、図1および図2(b)に示すように、予め上下の締結部材20,20を緩めておき、各締結部材20,20の押え板21,21と端子部2,2の一端部の端面(座板4,4)との間に、接続板10を十分に挿通できる間隔を確保しておく。この際、表示体23のバネ受け部232にコイルバネ25が圧接して、表示体23が後退方向に弾性付勢されて、表示体23と締結部材20の頭部20bの端面とが面一の状態になっている一方、表示体23の突片233,233は、挿通部15,15から離間した状態になっている。
【0042】
この状態で、図7(a)に示すように、各締結部材20,20の押え板21,21と各端子部2,2の一端部の端面(座板4,4)との間に、接続板10の接続部101を上側から挿通する。そして、図7(b)および図8に示すように、各締結部材20,20の押え板21,21と各端子部2,2の一端部の端面(座板4,4)との間に接続板10が位置した状態で、上側の締結部材20を締め付けた後、下側の締結部材20を締め付けると、各締結部材20,20の押え板21,21が接続板10の接続部101に直交方向に当接して、各締結部材20,20の押え板21,21と端子部2,2の一端部の端面(座板4,4)とで接続板10の接続部101が挟持されて、接続板10の接続部101の裏面と各端子部2,2の一端部の端面(座板4,4)とが面接触して、各端子部2,2が接続板10によって電気的に接続される。
【0043】
この際、図8に示すように、締結部材20を締め付けるにしたがって、締結部材20の頭部20bが挿通部15側に移動する一方、表示体23の突片233が挿通部15に当接し。さらなる締結部材20の締め付けによって、締結部材20の頭部20bが挿通部15側にさらに移動するのとは反対に、表示体23がコイルバネ25の弾性に抗して締結部材20の頭部20bから進出するようになる。この表示体23の進出状態によって、締結部材20の締め付け状態を視認することができる。また、締結部材20の締め付けによって表示体23が締結部材20の頭部20bから突出することで、コイルバネ25が圧縮されるようになり、締結部材20の緩み止めがなされる。
【0044】
最後に、図7(c)に示すように、カバー30の各係止片32,32を、各締結部材20,20の頭部20b,20bの平行する一対の側面200b,200bに係止させて、各締結部材20,20の緩み止めが確実になされる。すなわち、カバー30が各締結部材20,20の頭部20b,20bに取り付けられることで、図10(b)に示す遮断器遮断制御回路C1が維持されるようになる。
【0045】
このように、本実施形態によれば、各端子1,1を跨ぐように、各端子1,1に配置される挿通部15,15に、上側から接続板10を挿通し、挿通された接続板10に対して、直交するように挿通部15,15に螺合する締結部材20,20によって、各端子部2,2の一端部の端面(座板4,4)と接続板10とを、簡単かつ確実に電気的に接続されることに加えて、基板の裏側に余分なスペースを確保する必要がないので、薄型化にも対応できる。
【0046】
また、本発明に係る試験用端子台は、前記実施形態に限定することなく種々変更することができる。
【0047】
例えば、前記実施形態の場合、上下方向に配置された一対の端子部2,2に対して、接続板10を各挿通部15,15の上側から挿通するようにしたが、水平方向に配置された各端子部2,2に対して、接続板10を前側から挿通するようにしてもよい。
【0048】
また、前記実施形態の場合、表示体23の表示部231を円環状としたが、円板であってもよく、非円形であってもよい。要は、表示部231を外部から視認できる形状であればよい。
【0049】
また、前記実施形態の場合、保護継電器盤Bに配置される一対の端子1,1を電気的に接続する場合を例にとって説明したが、制御盤に配置される端子台の一対の端子を接続する場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0050】
1…端子、2…端子部、2a…一端部、10…接続板、10a…接続板の一方の端部、10b…接続板の他方の端部、102…接続板の当接部、15…挿通部、20…締結部材、20a…締結部材のねじ部、20b…締結部材の頭部、23…表示体、233…突片、25…弾性部材、P…基板、35…目印、32…係止片、30…カバー、C…保護継電装置、C1…遮断器遮断制御回路、T…試験用端子台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部(2a、2a)が臨出するように、基板(P)に固定される一対の導電性を有する端子部(2,2)と、
各端子部(2,2)間を電気的に接続できる長さを有する接続板(10)と、
各端子部(2,2)の一端部(2a,2a)を跨ぐように、各端子部(2,2)の一端部(2a,2a)のそれぞれに配置される、接続板(10)を挿通するための挿通部(15,15)と、
該各挿通部(15,15)に挿通された接続板(10)を、該接続板(10)に直交方向に押圧すべく、各挿通部(15,15)に螺合する締結部材(20,20)とを備えたことを特徴とする試験用端子台。
【請求項2】
前記締結部材(20)は、ねじ部(20a)よりも大径の頭部(20b)に、締結部材(20)の締め付け状態を表示する表示体(23)が貫設され、該表示体(23)は、頭部(20b)に対して軸方向に進退できるように、頭部(20b)に内設される弾性部材(25)によって後退方向に常時弾性付勢されるとともに、前記挿通部(15)側に向かって延出される突片(233,233)が、頭部(20b)から突出するように形成されることを特徴とする請求項1に記載の試験用端子台。
【請求項3】
前記接続板(10)は、いずれか一方の端部(10a)に、前記挿通部(15)に当接する当接部(102)が突設されることを特徴とする請求項1または2に記載の試験用端子台。
【請求項4】
前記基板(P)は、各挿通部(15,15)に挿通された状態の接続板(10)の長手方向の中心線の延長線上における、挿通部(15)に当接している前記当接部(102)よりも外側の位置に、接続板(10)の挿通状態を確認するための目印(35)が配置されることを特徴とする請求項3に記載の試験用端子台。
【請求項5】
前記接続板(10)は、他方の端部(10b)が挿通部(15)から突出するように、該各端子部(2,2)間の距離よりも少し大きい長さを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の試験用端子台。
【請求項6】
前記締結部材(20)は、頭部(20b)の両側部(200b,200b)に係脱自在に係止する一対の係止片(32,32)を有する緩み防止用のカバー(30)が取り付けられることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の試験用端子台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−45703(P2013−45703A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183855(P2011−183855)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】