説明

試験管理サーバ、試験管理システム、及び試験管理方法

【課題】試験結果に応じて試験項目の再分配を行うことで、試験を効率よく実行することができる試験管理サーバ等を提供する。
【解決手段】試験に関する試験情報を格納する試験情報部31と、試験情報部31に記憶された試験情報に基づいて、複数の試験項目を試験用端末11に分配する試験分配部33と、試験用端末11が行った試験結果に関する試験結果情報を受信する結果登録部35とを備え、試験分配部33は、結果登録部35が一又は複数の試験項目ごとの試験結果情報を受信したタイミングで、未実行の試験項目の再分配を行うものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験項目を管理する試験管理サーバ等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、製造業におけるシミュレーション試験等において、膨大な数の試験項目を複数のシミュレーション装置に分配して、試験を並行実行することで試験時間の短縮化が行われている。
【0003】
試験を実行する前に、試験の環境(例えば、アプリケーションソフトウェア、周辺装置等)をチェックすることで、試験の失敗率を低くし、試験時間を短縮する技術が開示されている(例えば、特許文献1、2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−295860号公報
【特許文献2】特開2005−242421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常複数の試験項目を複数の実行端末(試験用端末とする)で実行する場合には、試験用端末の処理能力に応じて、処理時間が均等になるように試験項目を分配してスケジューリングが行われる。
【0006】
しかしながら、分配された試験項目や試験の実行結果により、試験用端末の処理効率や処理時間がスケジュールと大幅にずれを生じる場合がある。その場合、ある一の試験用端末は全ての処理を終了しているにも関わらず、他の試験用端末は処理が輻輳しており、結果的に試験時間が予定より大幅に長くなってしまう。
【0007】
開示された技術では、試験の実行結果に応じたスケジューリングが行われていないため、試験時間を効率化する技術としては不十分である。
そこで、本発明は、試験結果に応じて試験項目の再分配を行うことで、試験を効率よく実行することができる試験管理サーバ等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の試験用端末により実行される試験に関する情報を管理する試験管理サーバであって、試験に関する試験情報を格納する試験情報記憶手段と、当該試験情報記憶手段に記憶された前記試験情報に基づいて、複数の試験項目を前記試験用端末に分配する試験分配手段と、前記試験用端末が実効した試験結果に関する試験結果情報を受信する結果情報受信手段と、を備え、前記結果情報受信手段が任意の一の前記試験用端末から一又は複数の試験項目ごとの試験結果情報を受信したタイミングで、前記試験分配手段が、前記試験情報に基づいて未実行の試験項目の再分配を行うものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の試験用端末の処理を均一に保つことができ、結果的に試験の効率化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係る試験管理システムのシステム構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る試験管理システムにおける管理サーバ、及び試験用端末のハードウェア構成図である。
【図3】第1の実施形態に係る試験管理システムにおける管理サーバ、及び試験用端末の機能ブロック図である。
【図4】第1の実施形態に係る試験管理システムにおける、試験項目間の依存関係に関する情報、及び試験項目と試験用端末との相性に関する情報を示す図である。
【図5】第1の実施形態に係る試験管理システムにおける、試験項目、及び履歴に関する情報を示す図である。
【図6】第1の実施形態に係る試験管理システムの動作を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施形態に係る試験管理システムにおける、分配処理を示すフローチャートである。
【図8】第1の実施形態に係る試験管理システムにおいて、分配処理を行った結果のスケジュールの一例を示す図である。
【図9】第1の実施形態に係る試験管理システムにおいて、再分配処理を行った結果のスケジュールの一例を示す図である。
【図10】第2の実施形態に係る試験管理システムにおける、スケジュールの補正を行う場合の処理を示す図である。
【図11】第3の実施形態に係る試験管理システムにおける試験結果情報を、ビジュアル化した場合の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明は多くの異なる形態で実施可能である。従って、本実施形態の記載内容のみで本発明を解釈すべきではない。また、本実施形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付けている。
【0012】
以下の実施の形態では、主にシステムについて説明するが、所謂当業者であれば明らかな通り、本発明は方法、及び、コンピュータを動作させるためのプログラムとしても実施できる。また、本発明はハードウェア、ソフトウェア、または、ハードウェア及びソフトウェアの実施形態で実施可能である。プログラムは、ハードディスク、CD−ROM、DVD−ROM、光記憶装置、または、磁気記憶装置等の任意のコンピュータ可読媒体に記録できる。さらに、プログラムはネットワークを介した他のコンピュータに記録することができる。
【0013】
(第1の実施形態)
本実施形態に係る試験管理システムについて、図1ないし図9を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る試験管理システムのシステム構成図である。試験管理システム1は、管理サーバ10と複数の試験用端末11a〜11zを備える。管理サーバ10と試験用端末11a〜11zは、相互に通信が可能な状態で接続されており、試験の実行指示情報や試験の結果情報等がやり取りされる。
【0014】
管理サーバ10では、管理している試験情報に基づいて、各試験用端末11a〜11zに試験項目を分配する。試験項目を分配された試験用端末11a〜11zは、分配された試験項目の試験情報を取得するための要求を管理サーバ10に送信する。管理サーバ10は、要求があった試験項目の試験実行指示を試験用端末11a〜11zに返信する。試験用端末11a〜11zは、試験実行指示に基づいて試験を実行し、試験の結果を管理サーバ10に返す。試験結果を受信した管理サーバ10は、試験結果を受信したタイミングで、未実行の試験項目の再分配を行う。
【0015】
図2は、本実施形態に係る試験管理システムにおける管理サーバ、及び試験用端末のハードウェア構成図である。管理サーバ10、及び試験用端末11におけるコンピュータ20は、CPU21、RAM22、ROM23、ハードディスク(HDとする)24、通信I/F25、及び入出力I/F26を備える。ROM23やHD24には、オペレーティングシステムや各種プログラム(例えば、試験管理プログラム、試験実行プログラム等)が格納されており、必要に応じてRAM22に読み出され、CPU21により各プログラムが実行される。通信I/F25は、装置間(管理サーバ10、試験用端末11等)の通信を行うためのインタフェースである。入出力I/F26は、キーボードやマウス等の入力機器からの入力を受け付けたり、プリンタやディスプレイ等にデータを出力するためのインタフェースである。この入出力I/F26として、例えばUSBやRS232C等が用いられる。また、必要に応じて、光磁気ディスク、フロッピーディスク(登録商標)、CD−R、DVD−R等のリムーバブルディスクに対応したドライブを接続することができる。
【0016】
なお、図2のハードウェア構成はあくまで一例であり、環境に応じて適宜異なる構成とすることが可能である。特に、試験用端末11については、試験の種類に応じて様々なハードウェア構成となり得る。
【0017】
図3は、本実施形態に係る試験管理システムにおける管理サーバ、及び試験用端末の機能ブロック図である。管理サーバ10は、試験情報部31と機能部32とを備え、機能部32は、試験分配部33と項目取得部34と結果登録部35とを備える。また、試験用端末11は、試験実行プロセス36と試験結果部37とを備える。
【0018】
試験情報部31は、試験情報記憶手段の一例であり、試験に関する試験情報を格納する。試験に関する情報には、例えば試験項目間の依存関係を示す情報、試験項目と試験用端末11の相性に関する情報、試験項目に関する情報、過去の履歴に関する情報等が含まれる。
【0019】
ここで、試験情報部31が格納する試験情報について、図4、及び図5を用いて説明する。図4は、本実施形態に係る試験管理システムにおける、試験項目間の依存関係に関する情報、及び試験項目と試験用端末との相性に関する情報を示す図であり、図5は、本実施形態に係る試験管理システムにおける、試験項目、及び履歴に関する情報を示す図である。
【0020】
図4(A)は、試験項目間の依存関係に関するテーブルであり、依存している試験項目が階層構造を形成して保存されている。つまり、図4(A)においては、TEST1が実行された後でなければ、TEST2、及びTEST3を実行することができず、TEST3が実行された後でなければTEST4を実行することができないことを示す。従って、試験項目を複数の試験用端末11に分配する際には、このような試験項目間の依存(制約)関係を考慮して分配することで、試験用端末11の空き時間を減らし、効率的な試験を実施することが可能となる。
【0021】
図4(B)は、試験項目と試験用端末との相性に関するテーブルであり、試験項目ごとに、試験用端末11の実行可否が示されている。つまり、図4(B)においては、TEST1については、試験用端末A、Cで実行可能であり、TEST2については、試験用端末Aで実行可能である。同様にTESTnについては、試験用端末A、Bで実行可能であることを示す。従って、試験項目を試験用端末11に分配する際に、このような試験項目ごとに、試験用端末11ごとの実行可否を考慮して分配することで、無駄な試験をなくして効率的な試験を実施することが可能となる。
【0022】
図5は、試験項目、及び履歴に関するテーブルであり、試験項目ごとに、試験の分類、今回の予測と実績、過去の履歴の項目を有する。今回の予測と実績には、分配する端末、実行する順序、予測所要時間、予測開始時間、試験状況、結果情報の項目を有し、過去の履歴には、1回前からN回前までの履歴情報(結果ステータス、実行端末、所要時間、エラー番号等)を項目として有する。
【0023】
図3に戻って、試験分配部33は、試験分配手段の一例であり、試験情報部31に記憶されている複数の試験項目を、試験情報に基づいて複数の試験用端末11に分配し、その分配情報を図5で示したテーブルに登録する。また、試験用端末11から送信された試験結果情報を管理サーバ10が受信したタイミングで、試験情報部31に記憶されている試験情報に基づいて試験項目の再分配を行い、その分配情報を図5で示したテーブルに登録する。
【0024】
なお、分配、及び再分配する際には、図4で示した試験項目間の依存関係、試験項目ごとの実行可否、及び/又は図5で示した過去の履歴情報等を考慮した分配を行うのが望ましい。その場合の具体的な分配処理の説明は後述する。
【0025】
また、再分配処理は、例えば1分、10分等の固定の時間間隔で行ってもよいし、一又は複数の試験項目ごとの試験結果を受信したタイミングで行ってもよい。特に、一の試験結果を受信したタイミングで再分配処理を行うのが望ましい。
【0026】
項目取得部34は、試験用端末11からの試験項目の取得要求に基づいて、該当する試験情報を取得し、試験用端末11に試験の実行指示を行う。結果登録部35は、結果情報受信手段の一例であり、試験用端末11が実行した試験結果情報を受信し、試験情報部31に登録する。
【0027】
試験実行プロセス36は、項目取得部34からの試験の実行指示に基づいて、分配された試験を実行すると共に、試験結果情報を試験結果部37に記憶する。また、試験が完了したら、試験結果部37に記憶した試験結果情報を抽出して結果登録部35に送信する。試験結果部37は、試験結果に関する試験結果情報を格納するデータ部である。
【0028】
次に、本実施形態に係る試験管理システムの動作について説明する。図6は、本実施形態に係る試験管理システムの動作を示すフローチャートである。まず、管理者が管理サーバ10の試験情報部31に試験項目を初期登録する(S61)。試験分配部33が、登録された試験項目を試験用端末11に分配する(S62)。
【0029】
ここで、分配処理について詳細に説明する。図7は、本実施形態に係る試験管理システムにおける、分配処理を示すフローチャートである。なお、ここでは、図4で示した試験項目間の依存関係、及び試験項目ごとの実行可否を考慮した分配処理について説明する。
【0030】
まず、試験分配部33が、図4(A)に示す試験項目間の依存関係に関するテーブルを参照し、制約ツリーの最上位にある試験項目を抽出する(S701)。抽出した試験項目について図5の履歴情報から、
(1)エラー率が高い順、及び/又は
(2)試験が成功して終了するまでの時間と失敗して終了するまでの時間差が大きい順
の優先順序((1)、及び(2)の双方の場合の優先順序は任意に設定可能とする)で試験項目を抽出し、試験用端末11に割り振りを開始する(S702)。
【0031】
試験用端末11への割り振り時に、図4(B)に示す試験項目ごとの実行可否を示すテーブルを参照し、実行可能な試験項目であれば割り振りを完了する(S703)。割り振り後に、図5の履歴情報から、過去に同一の試験用端末11と試験項目との組み合わせがあれば、試験時間を予測時間として抽出する(S704)。制約ツリーにおける階層ごとにS701からS704の処理を再帰的に繰り返して行う(S705)。このとき、複数の試験項目と依存関係がある場合には、全ての依存関係を満たすように割り振りが行われる。
【0032】
図4(A)の制約ツリーにない試験項目を抽出する(S706)。抽出した試験項目について、S701からS704の処理を行う(S707)。このとき、既に割り振られた試験項目の空き時間を埋めるように処理が行われる。つまり、処理予測時間が空き時間以下である場合には、その空き時間に試験項目を埋める。
【0033】
上記処理により試験項目が分配された具体例について説明する。図8は、本実施形態に係る試験管理システムにおいて、分配処理を行った結果のスケジュールの一例を示す図である。
【0034】
図8において、まず、図7のフローに従って、図4(A)の制約ツリーの最上位であるTEST1とTEST5が抽出される。ここでは、仮に上記(1)の条件に従って優先順位を決めるとし、TEST番号が小さい試験項目ほどエラー率が高いものとする。
【0035】
最初は、TEST1が試験用端末Aに優先的に割り振られ、図4(B)のテーブルから、試験用端末AはTEST1を実行可能であることから、TEST1の試験用端末Aの振り分けを完了する。次のTEST5については、試験用端末Bに割り振ろうとしても、図4(B)のテーブルから試験用端末BはTEST5を実行不可能であるため、実行可能である試験用端末Cに割り振られる。このとき、図5の履歴情報から、同一の試験項目と試験用端末11の組み合わせを検索し、その所要時間を処理予測時間としてスケジューリングを行う。
【0036】
次に、制約ツリーの2番目の階層の試験項目(TEST2、3、6:エラー率はTEST2>TEST3>TEST6)について割り振りが行われる。TEST2、3は、TEST1の完了後でなければ実行できないため、TEST1の終了予定時刻後であって、上記(1)の条件に基づいて、エラー率が低い他の試験項目(ここでは、TEST6)より早い時間帯に優先して割り振られる。この時点でTEST3は、TEST2と同じ開始時刻(TEST1の終了予定時刻直後)に試験用端末Bに割り振られる。TEST6は、TEST5の完了後でなければ実行できないため、TEST5の終了予定時刻後に割り振られている。
【0037】
次に、制約ツリーの3番目の階層の試験項目(TEST4、3:エラー率はTEST3>TEST4)について割り振りが行われる。TEST4は、TEST3の完了後でなければ実行できないため、TEST3の終了予定時刻後に割り振られる。TEST4とTEST3との間には、図4(A)に示すように依存関係があるため、上記(1)のエラー率に関する条件は考慮されない。そのため、TEST4は、TEST3の終了予定時刻後に試験用端末A、B、又はCのいずれかに割り振られる。
【0038】
なお、この場合、TEST4を試験用端末A、B、又はCのいずれに割り振ってもよいが、図5の履歴情報を参照し、各試験用端末がTEST4を実行した場合の処理平均時間を算出し、その処理平均時間が最も短い試験用端末にTEST4を割り振ってもよい。ここでは、履歴情報から、TEST4を試験用端末Aで実行した場合の処理平均時間が、最短であったとし、TEST4は試験用端末Aに割り振られる。
【0039】
次のTEST3は、制約ツリーの2番目の階層の処理により、既にTEST1の終了予定時刻直後に試験用端末Bに割り振られているが、TEST6の完了後でなければ、TEST3を実行できないため、TEST6の終了予定時刻後に開始時刻がシフトする。併せてTEST3と依存関係を有するTEST4もシフトする。
【0040】
最後に、制約ツリーの4番目の階層の試験項目(TEST4)について割り振りが行われる。ここでは、既に依存関係(TEST3の完了語にTEST4を行う)を考慮した割り振りが行われているため、特に処理は行わない。
以上で、試験項目間の依存関係を考慮した分配が完了する。
【0041】
次に、制約ツリーにない試験項目(TEST7〜11)が抽出され、既に割り振られた試験項目の空き時間を埋めながら、上記TEST1〜TEST6と同じ条件(ただし、依存関係の条件を除く)で割り振りが行われる。
【0042】
図6に戻って、試験項目が分配されると、各試験用端末11は、分配された試験項目を取得するため、項目取得部34に試験項目の取得要求情報を送信する(S63)。項目取得部34は、取得要求情報に基づいて試験情報部31の試験情報を取得し、試験用端末11に試験の実行指示情報を送信する(S64)。試験用端末11の試験実行プロセス36は、受信した実行指示情報に基づいて試験を実行し、試験結果を試験結果部37に格納する(S65)。試験が完了する(成功、失敗のいずれかの結果が出る)と、試験実行プロセス36が、試験結果部37の試験結果情報を結果登録部35に送信し、結果登録部35が、受信した試験結果情報を試験情報部31に登録する(S66)。試験分配部33は、試験結果が登録されたタイミングで、試験情報に基づいて試験項目の再分配を行う(S67)。
【0043】
ここで、試験項目の再分配処理について説明する。再分配処理は、図7で示した分配処理と基本的には同じ処理であるが、一部の試験については完了しているため、予測値ではなく実績値に基づいた処理が行われる。また、未実行の試験項目に対して行われる。図9は、本実施形態に係る試験管理システムにおいて、再分配処理を行った結果のスケジュールの一例を示す図である。
【0044】
例えば、図8のスケジュールにおいて、試験用端末Bの処理能力が非常に高く、TEST7が予想よりも短い時間で完了したとする。管理サーバ10は、TEST7の試験結果情報を受信すると、その結果情報に基づいて再分配処理を行う。再分配処理は図7のフローと同じ処理が実行される。
【0045】
図9において、TEST7の試験結果情報を受信した際には、既にTEST1、及びTEST5は試験実行中であるため、再分配の対象からはずれる。再分配処理を行った結果、図9に示すように、TEST9がTEST3の前に前倒しされ、元々試験用端末Cに割り振られていたTEST11が試験用端末Bに割り振られる。
【0046】
なお、所定時間以上(例えば、予測時間の2倍以上)レスポンスがない場合には、試験用端末が故障したものと見なし、故障したと見なした試験用端末を除く試験用端末で再分配を行うようにしてもよい。
このように、試験結果情報に基づいて試験項目を再分配することで、複数の試験用端末の処理を均一に保つことができ、結果的に試験の効率化を図ることができる。
【0047】
また、試験の実行結果に応じて、試験中であってもリアルタイムに再分配を行ってリスケジュールを行うことでより効率よく試験を実施することが可能となる。
さらに、試験項目間の依存関係、及び/又は試験用端末ごとの各試験項目の実行可否を考慮した試験項目の分配を行うことで、処理を効率化することができる。
【0048】
さらにまた、エラー率が高い順、及び/又は試験が成功して終了するまでの時間と失敗して終了するまでの時間差が大きい順の優先順位で試験項目を分配することで、試験開始後の早い時間帯にエラーを検出することができ、早い段階で試験項目の再分配し、試験項目の分配を平準化することができる。
【0049】
さらにまた、試験用端末と試験項目との組み合わせで処理時間が短い組み合わせになるように優先的に試験項目を分配することで、試験時間を短縮し、効率的な試験を行うことができる。
【0050】
(第2の実施形態)
本実施形態に係る試験管理システムについて、図10を用いて説明する。本実施形態に係る試験管理システムは、第1の実施形態に係る試験管理システムの機能を拡張したものであり、試験情報に試験項目間のハードウェアの依存関係に関する情報を含み、過去の履歴情報において、失敗率が低い試験用端末に当該試験項目を分配するように、スケジュールを補正するものである。
【0051】
図10は、本実施形態に係る試験管理システムにおける、スケジュールの補正を行う場合の処理を示す図である。図10(A)が補正前の試験スケジュール、図10(B)が補正後の試験スケジュール、図10(C)が履歴情報である。図10(A)において、TEST3−>TEST4の試験項目間にハードウェアの依存関係があるものとする。
【0052】
ハードウェアの依存関係とは、例えばプリンタ、ディスプレイ等の表示装置、スピーカ等の音声出力装置、メディアドライブ、ハードディスク、メモリスティック等に情報を出力する関係である。また、例えばメディアドライブ、ハードディスク、メモリスティック等から情報を入力する関係である。
【0053】
TEST3−>TEST4の試験項目間の関係を履歴情報から抽出すると、試験用端末Aでの失敗率(2/2)が試験用端末Cでの失敗率(1/2)より高くなっていることがわかる。従って、試験用端末Aより試験用端末Cのほうが、ハードウェアの相性が良いと判断して、TEST3−>TEST4を試験用端末Cに分配し、TEST11を試験用端末Aに分配する補正が行われる。
【0054】
なお、このとき、前記第1の実施形態で示したように、試験項目間の依存関係、及び/又は試験用端末ごとの各試験項目の実行可否を考慮した補正を行ってもよい。
このように、ハードウェアの相性を考慮した試験項目の分配を行うことで、無駄な試験をなくしつつ、試験項目間の連続した入出力関係の試験についても効率よく行うことができる。
【0055】
(第3の実施形態)
本実施形態に係る試験管理システムについて、図11を用いて説明する。図11は、本実施形態に係る試験管理システムにおける試験結果情報を、ビジュアル化した場合の一例を示す図である。
【0056】
図11(A)は、最新の試験情報におけるエラー種別ごとのNG率を示すグラフである。図11(B)は、過去の行った全試験項目のOK、NGの比率を示すグラフである。図11(C)は、試験用端末ごとのエラー種別の傾向を示すグラフである。図11(D)は、試験項目を分類し、分類ごとの消化率、NG率を示すレーダチャートである。ここでは、仮に自動車関連の試験を行ったとすると、「安全」、「環境」、「走行性」、「制動」、「操舵性」、「例外」といった分類ごとに消化率とNG率を表示している。
このように、試験結果情報をビジュアル化して表示することで、管理者が試験の分析等を行いやすく、試験の改善や効率化を図りやすくすることができる。
【0057】
以上の前記各実施形態により本願に開示する試験管理システムを説明したが、本願の技術的範囲は実施形態に記載の範囲には限定されず、これら各実施形態に多様な変更又は改良を加えることが可能である。そして、かような変更又は改良を加えた実施の形態も本願に開示する試験管理システムの技術的範囲に含まれる。このことは、特許請求の範囲及び課題を解決する手段からも明らかなことである。
【符号の説明】
【0058】
10 管理サーバ
11 試験用端末
20 コンピュータ
21 CPU
22 RAM
23 ROM
24 HD
25 通信I/F
26 入出力I/F
31 試験情報部
32 機能部
33 試験分配部
34 項目取得部
35 結果登録部
36 試験実行プロセス
37 試験結果部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の試験用端末により実行される試験に関する情報を管理する試験管理サーバであって、
試験に関する試験情報を格納する試験情報記憶手段と、
当該試験情報記憶手段に記憶された前記試験情報に基づいて、複数の試験項目を前記試験用端末に分配する試験分配手段と、
前記試験用端末が実行した試験結果に関する試験結果情報を受信する結果情報受信手段と、を備え、
前記結果情報受信手段が任意の一の前記試験用端末から一又は複数の試験項目ごとの試験結果情報を受信したタイミングで、前記試験分配手段が、前記試験情報に基づいて未実行の試験項目の再分配を行う試験管理サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載の試験管理サーバにおいて、
前記試験情報記憶手段が記憶する試験情報に、前記試験項目間の依存関係に関する情報を含み、前記試験分配手段が、前記依存関係に基づいて前記試験用端末に試験項目を分配する試験管理サーバ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の試験管理サーバにおいて、
前記試験情報記憶手段が記憶する試験情報に、前記試験用端末ごとに各試験項目の実行可否に関する情報を含み、前記試験分配手段が、前記試験用端末に当該試験用端末が実行可能な試験項目を分配する試験管理サーバ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の試験管理サーバにおいて、
前記試験情報記憶手段が記憶する試験情報に、試験項目ごとに過去に実行された試験結果情報に関する履歴情報を含み、前記試験分配手段が、前記履歴情報において失敗率が高い試験項目を試験開始後の早い時間帯に優先的に分配する試験管理サーバ。
【請求項5】
請求項4に記載の試験管理サーバにおいて、
前記試験分配手段が、前記履歴情報において試験が失敗して終了するまでの時間と試験が成功して終了するまでの時間との時間差が大きい試験項目を試験開始後の早い時間帯に優先的に分配する試験管理サーバ。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の試験管理サーバにおいて、
前記試験分配手段が、前記履歴情報において任意の一の試験項目の試験実行時間が短い試験用端末に、当該任意の一の試験項目を優先的に分配する試験管理サーバ。
【請求項7】
請求項4ないし6のいずれかに記載の試験管理サーバにおいて、
前記試験情報記憶手段が記憶する試験情報に、試験項目間のハードウェアの依存関係に関する情報を含み、
前記試験分配手段が、前記履歴情報における前記ハードウェアの依存関係を有する試験項目において、試験の失敗率が低い試験用端末を抽出し、抽出した試験用端末に前記依存関係を有する試験項目を分配する試験管理サーバ。
【請求項8】
複数の試験用端末により実行される試験に関する情報を試験管理サーバにて管理する試験管理方法であって、
試験に関する試験情報を格納する試験情報記憶手段に記憶された試験情報に基づいて、前記試験管理サーバが複数の試験項目を前記試験用端末に分配する試験分配ステップと、
前記試験用端末が実行した試験結果に関する試験結果情報を前記試験管理サーバが受信する結果情報受信ステップと、
前記結果情報受信ステップが任意の一の前記試験用端末から一又は複数の試験項目ごとの試験結果情報を受信したタイミングで、前記試験情報に基づいて未実行の試験項目の再分配を前記試験管理サーバが行う試験再分配ステップと、
を含む試験管理方法。
【請求項9】
試験に関する情報を管理する試験管理サーバと前記試験を実行する複数の試験用端末とを備える試験管理システムであって、
前記試験管理サーバが、
試験に関する試験情報を格納する試験情報記憶手段と、
当該試験情報記憶手段に記憶された前記試験情報に基づいて、複数の試験項目を前記試験用端末に分配する試験分配手段と、
前記試験用端末が実効した試験結果に関する試験結果情報を受信する結果情報受信手段と、を備え、
前記結果情報受信手段が任意の一の前記試験用端末から一又は複数の試験項目ごとの試験結果情報を受信したタイミングで、前記試験分配手段が、前記試験情報に基づいて未実行の試験項目の再分配を行う試験管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−18173(P2011−18173A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161857(P2009−161857)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】