説明

試験紙および多孔質膜

本発明の目的は、検体の展開に要する時間(展開時間)を短縮することができ、かつ測定精度が高い試験紙およびそれに用いる多孔質膜を提供することである。 本発明の試験紙は検体中の濾別物を濾別する機能を有し、該検体中の特定成分と反応して呈色する試薬を担持する多孔質膜からなる試験紙であって、前記多孔質膜が、検体が供給される表面を有する第1の層と、該検体がしみ出し測定される表面を有する第2の層とを有し、前記第1の層が大孔部からなり、該第1の層の表面が開孔部を有する平滑な表面であり、前記第2の層が小孔部からなり、該第2の層の表面が開孔部を有する表面であって、該第1の層と該第2の層との境界が、該第1の層の表面から前記多孔質膜の膜厚の1/5乃至1/2までの範囲にあり、さらに、前記多孔質膜の膜厚が50〜200μm、空孔率が60〜95%であり、前記第1の層の表面の平均孔径が0.5〜10μmであり、前記第2の層の表面の平均孔径が0.1〜3.0μmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、例えば血糖値の測定のような、検体中の特定成分の量を測定する試験紙およびそれに用いる多孔質膜に関するものである。
【背景技術】
血糖値の測定を行う血糖測定装置(血中成分測定装置)が知られている。この血糖測定装置は、血中のグルコース(ブドウ糖)量に応じて呈色する試験紙の呈色の度合いを光学的に測定(測色)して血糖値を定量化するものであり、試験紙の測色は、発光素子および受光素子を備える測光部において、試験紙に光を照射しその反射光の強度を測定することにより行われている。
また、このような血糖測定装置では、試験紙に血液(検体)を供給、展開する操作を行った後、血糖値の測定を開始するが、試験紙への血液の供給から測色までの時間が一定でなく、それによる測定誤差が生じるという問題がある。そのため、試験紙への供給・展開から測定までの一連の操作を連続的、自動的に行うことが出来る血糖自動測定装置の開発が望まれている。
一方、上記試験紙としては、検体を吸収可能な多孔質材料で構成された1枚のシート基材に試薬を担持させた構成の多孔質膜が知られている。この試験紙は、シート基材の細孔の孔径が0.5μm程度と小さいため、通水性、すなわち展延性が低く、そのため検体の展開に時間がかかるという問題がある。このように検体の展開に要する時間が長いということは、特に、上記血糖自動測定装置にとって不利である。
また、上記試験紙として、膜の表から裏まで孔径が均一な等方性の多孔質膜を用いた場合も、検体中の濾別物を膜表面で除去することになるため、検体の展開に時間がかかるという問題があり、検体の展開が遅いと少量の検体では測定面までしみ出さないため、供給する検体の量が増えるという問題がある。
さらに、等方性の多孔質膜は、完全に等方性でない限り、裏表で検体の展開速度が異なり、裏表のあるものとして取り扱う必要がある。しかしながら、通常、膜の裏表は肉眼で区別することができないため、等方性の多孔質膜を製造する際に、該膜にわずかな異方性を発生させてしまうと、測定精度に影響を与えてしまうという問題がある。
このような問題点を解決する手段として、(1)検体中の特定成分と反応して呈色する試薬を担持する多孔質の第1の層と、検体中の濾別物を濾別する機能を有する多孔質の第2の層とを積層してなり、上記第1の層側から検体を供給して使用することを特徴とする試験紙、(2)上記第1の層および上記第2の層がそれぞれ親水性を有している上記(1)に記載の試験紙、(3)上記第1の層における細孔の孔径が8〜50μmである上記(1)または(2)に記載の試験紙、(4)上記第2の層における細孔の孔径が5μm以下である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の試験紙、及び(5)上記検体は血液であり、上記濾別物は主に赤血球を含む血球である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の試験紙が、本出願人により提案されており(特開平11−183474号参照)、また、平均孔径が0.1〜2μm、膜厚が50〜200μm及び空孔率が50〜95%の多孔質膜であり、一方の表面の平均孔径と他方の表面の平均孔径の比が1.5以上である異方性の多孔質膜を有する試験紙が、本出願人により提案されている(特開2001−164030号参照)。
しかしながら、特開平11−183474号に記載の試験紙を用いた場合には、第1の層と第2の層とを積層させる工程が必要であり、製造工程が複雑となる。また、特開2001−164030号に記載の試験紙を用いた場合にも、血球を濾別しつつ試薬と反応した血漿成分を迅速に測定面へ展開させ得ることが要求されるため、以下に示すような課題があった。すなわち、血球を濾別・除去するためには孔径を小さくする程効果があるが、孔径を小さくし過ぎると血漿成分の展開が遅くなり、また、検体の入り口側の孔径を大きくし、出口側の孔径を小さくすることで展開速度を維持しつつ血球を除去する際にも、血球除去が測定面直前で行われたのでは、血球成分の血色素が多孔質構造を通して透けて見えてしまうため、測定精度に影響を与えてしまい、さらに、孔径が大きい部分が多いと、表面積が小さくなり、測定に必要な試薬を十分に担持させることができなかった。
【発明の開示】
本発明は、上述した種々の課題を解決し、検体の展開に要する時間を短縮することができ、かつ測定精度が高い試験紙およびそれに用いる多孔質膜を提供することを目的とする。
本発明者は、検体中の濾別物を濾別する機能を有し、該検体中の特定成分と反応して呈色する試薬を担持し、特定の層を有する多孔質膜および試験紙が、上述した種々の課題を解決し、検体の展開に要する時間を短縮することができ、かつ測定精度が高くなることを見出し本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(5)に記載の試験紙およびそれに用いる(6)〜(9)に記載の多孔質膜を提供する。
(1)検体中の濾別物を濾別する機能を有し、該検体中の特定成分と反応して呈色する試薬を担持する多孔質膜からなる試験紙であって、
上記多孔質膜が、検体が供給される表面を有する第1の層と、該検体がしみ出し測定される表面を有する第2の層とを有し、
上記第1の層が大孔部からなり、該第1の層の表面が開孔部を有する平滑な表面であり、上記第2の層が小孔部からなり、該第2の層の表面が開孔部を有する表面であって、該第1の層と該第2の層との境界が、該第1の層の表面から上記多孔質膜の膜厚の1/5乃至1/2までの範囲にあり、
さらに、上記多孔質膜の膜厚が50〜200μm、空孔率が60〜95%であり、上記第1の層の表面の平均孔径が0.5〜10μmであり、上記第2の層の表面の平均孔径が0.1〜3.0μmである試験紙。
(2)上記第2の層の表面の光沢度が、11以下である上記(1)に記載の試験紙。
(3)上記第2の層の表面が、凸凹を有することにより光沢および艶がない表面である上記(1)または(2)に記載の試験紙。
(4)上記多孔質膜の材質が、ポリエーテルスルホンである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の試験紙。
(5)上記検体が血液であり、上記濾過物が赤血球を含む上記(1)〜(4)のいずれかに記載の試験紙。
(6)表面を有する第1の層と、他の表面を有する第2の層とを有する多孔質膜であって、
上記第1の層が大孔部からなり、該第1の層の表面が開孔部を有する平滑な表面であり、上記第2の層が小孔部からなり、該第2の層の表面が開孔部を有する表面であって、該第1の層と該第2の層との境界が、該第1の層の表面から上記多孔質膜の膜厚の1/5乃至1/2までの範囲にあり、
さらに、膜厚が50〜200μm、空孔率が60〜95%であり、上記第1の層の表面の平均孔径が0.5〜10μmであり、上記第2の層の表面の平均孔径が0.1〜3.0μmである多孔質膜。
(7)上記第2の層の表面の平均孔径に対する上記第1の層の表面の平均孔径の比が、1〜6である上記(6)に記載の多孔質膜。
(8)上記第2の層の表面の光沢度が、11以下である上記(6)または(7)に記載の多孔質膜。
(9)上記第2の層の表面が、凸凹を有することにより光沢および艶がない表面である上記(6)〜(8)のいずれかに記載の多孔質膜。
【図面の簡単な説明】
図1は、実施例3で得られた多孔質膜の第2の層の表面の電子顕微鏡写真である。
図2は、実施例3で得られた多孔質膜の凍結割断面を示す電子顕微鏡写真である。
図3は、比較例3で得られた多孔質膜の凍結割断面を示す電子顕微鏡写真である。
図4は、比較例7の多孔質膜の凍結割断面を示す電子顕微鏡写真である。
図5は、実施例8〜11の多孔質膜を用いて実施した反射吸光度測定から得られた検量線を示したグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の試験紙は、検体中の濾別物を濾別する機能を有し、該検体中の特定成分と反応して呈色する試薬を担持する多孔質膜からなる試験紙であって、
上記多孔質膜が、検体が供給される表面を有する第1の層と、該検体がしみ出し測定される表面を有する第2の層とを有し、
上記第1の層が大孔部からなり、該第1の層の表面が開孔部を有する平滑な表面であり、上記第2の層が小孔部からなり、該第2の層の表面が開孔部を有する表面であって、該第1の層と該第2の層との境界が、該第1の層の表面から上記多孔質膜の膜厚の1/5乃至1/2までの範囲にあり、
さらに、上記多孔質膜の膜厚が50〜200μm、空孔率が60〜95%であり、上記第1の層の表面の平均孔径が0.5〜10μmであり、上記第2の層の表面の平均孔径が0.1〜3.0μmである試験紙である。
以下に、本発明の試験紙を形成する多孔質膜について詳細に説明する。
上記多孔質膜は、上述したように、検体中の濾別物を濾別する機能を有し、該検体中の特定成分と反応して呈色する試薬を担持する多孔質膜である。
ここで、上記検体としては、具体的には、例えば、血液、尿、汗、リンパ液、胆汁、唾液等が挙げられる。
また、上記検体中の特定成分としては、検体によっても異なるが、グルコース、コレステロール、ヘモグロビン、乳酸、ヘモグロビンATC、ケトン体等が挙げられる。
上記濾別物としては、上記検体が血液である場合、赤血球等の血球成分を含むものが挙げられる。
上記試薬としては、本発明の試験紙を血糖値測定用に用いる場合、具体的には、グルコースオキシターゼ(GOD)、ペルオキシターゼ(POD)、アスコルビン酸オキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ等の酵素;4−アミノアンチピリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン等の発色剤;リン酸緩衝液等の緩衝剤等が好適に例示される。
上記多孔質膜に担持させる上記試薬の担持量(μg/cm)は、上記特定成分との反応率に関与し、80〜2400μg/cm、好ましくは168〜1260μg/cmであることが低い血糖値から高い血糖値まで直線的に発色が変化する理由から好ましい。
また、本発明の試験紙を形成する多孔質膜は、上述したように、上記検体が供給される表面を有する第1の層と、該検体がしみ出し測定される表面を有する第2の層とを有しており、該第1の層は大孔部からなり、該第1の層の表面は開孔部を有する平滑な表面であって、該第2の層は小孔部からなり、該第2の層の表面は開孔部を有する表面である。
ここで、大孔部とは、上記多孔質膜を厚さ方向に所望の数分割(例えば、10分割)した各分割部分のうち、断面密度が40%以下の膜部分のことであり、小孔部とは、該断面密度が40%超の膜部分のことである。また、断面密度の測定は、上記多孔質膜の断面の1500倍電子顕微鏡写真の膜部分を、300dpi、8ビットグレースケールでスキャナーで取り込んで行い、取り込まれた画像を、黒色側から5%、白色側から5%の黒色要素を含むスケール値の平均値を境として2値化し、黒色要素の割合を断面密度とする。
上記開孔部とは、上記多孔質膜の表面に開いた孔部のことであり、また、上記第2の層の表面は、光沢度が11以下であることが好ましく、より好ましくは3〜10であり、さらに好ましくは3〜8である。第2の層の表面の光沢度が上記の範囲であると、該第2の層の表面が凸凹を有し光沢および艶がない状態である。後述するように、反射吸光度の測定において、表面反射した直接光はノイズとなるので、第2の層の表面は、凸凹を有し光沢および艶がない状態であることが好ましい。
このことを以下に詳しく述べる。
試験紙を比色測定する測定器は、試験紙に測定用の光を当て、反射して戻ってくる光の量を検出している。当てた光と反射して戻ってくる光の量の比が反射率となる。このような測定器では、一定波長(具体的には、例えば605〜610nm)の光を当てた場合における、検体が添加される前の試験紙の反射率(白反射率)と検体が添加され試薬により発色した試験紙の反射率(色反射率)の比と、検体濃度との間に成立する検量線(下記式で表される関係)を利用して、検体濃度を測定している。
反射比率 = 白反射率/色反射率 ∝ 検体濃度
ここで検体濃度が高くなるほど色反射率が低下するので、反射比率は大きくなる。このとき多孔質膜の測定表面に光沢または艶があると、試験紙に当たった光は試験紙の色の濃さにかかわらず一定の光を反射する。このため、下記式に示すように、白反射率も色反射率もこの光沢の分だけ反射率が高くなってしまう。
反射比率 = (白反射率+膜光沢度)/(色反射率+膜光沢度)
但し、膜光沢度=一定
すなわち、膜光沢による反射があった場合、膜光沢による反射がなかった場合と比べて、検体による試験紙の発色、すなわち色反射率の変化が同一であったとしても、膜光沢による反射によって上式の分子、分母のいずれもがかさ上げされ、反射比率の変化が小さくなってしまう。この結果、測定値の測定感度および測定精度が低下する。ゆえに、第2の層の表面は、光沢および艶がない状態であることが好ましい。
上記第1の層と上記第2の層との境界は、該第1の層の表面から、上記多孔質膜の膜厚の1/5乃至1/2までの範囲にあり、また、上述した大孔部と小孔部の関係から、上記多孔質膜の断面における、上記第1の層の平均孔径は、上記第2の層の平均孔径よりも大きい。
上記第1の層と上記第2の層との境界がこの範囲にあり、上記第1の層の平均孔径が上記第2の層の平均孔径よりも大きければ、上記検体中の濾別物を第2の層の表面(測定面)から離れた位置で濾別することができ、上記試薬を十分に担持させることができるため好ましい。
また、上記多孔質膜の膜厚は50〜200μm、好ましくは90〜180μm、より好ましくは110〜150μmである。上記多孔質膜の膜厚がこの範囲であれば、十分な膜強度が得られ、上記濾別物による影響も少なくなり、また上記検体のしみ出し時間(展開時間)が短縮され、必要な検体量も少なくて済む理由から好ましい。
さらに、上記多孔質膜の空孔率は60〜95%、好ましくは70〜80%である。上記多孔質膜の空孔率がこの範囲であれば、上記検体および試薬を十分に担持させることができ、また十分な膜強度が得られる理由から好ましい。
ここで、空孔率(%)は、下記式を用いて重量法により求められる。
空孔率(%)={1−(乾燥膜重量/膜成分の比重)/膜体積}×100
式中、膜とは多孔質膜のことであり、膜成分の比重とは多孔質膜を構成するポリマーの比重である。
上述したように、上記多孔質膜の断面における、上記第1の層の平均孔径は、上記第2の層の平均孔径よりも大きく、さらに、上記第1の層の表面における開口部の平均孔径(第1の層の表面の平均孔径)は0.5〜10μm、好ましくは1.0〜5.0μmであり、上記第2の層の表面における開口部の平均孔径(第2の層の表面の平均孔径)は0.1〜3.0μm、好ましくは0.5〜3.0μmである。
上記第1の層の表面の平均孔径がこの範囲であれば、検体のしみ込みが速く、濾別物による目詰まりがない理由から好ましく、上記第2の層の表面の平均孔径がこの範囲であれば、検体の展開が速く、上記試薬を十分に担持させることができる理由から好ましい。
上記多孔質膜の膜材質となるポリマーとしては、具体的には、例えば、ニトロセルロース、ポリビニルジフロライド、セルロースアセテート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン等が挙げられる。これらのうち、ポリエーテルスルホンであることが、血糖値測定に使用する試薬を担持する場合に試薬活性の経時的劣化が最も少ないという理由から好ましい。
また、上記多孔質膜は、親水化剤を担持させる、親水性を有する膜材質から構成する、もしくは親水化処理を行うことが、検体の供給、展開させる時間を短縮することができるという理由から好ましい。
上記親水化剤としては、具体的には、例えば、トライトンX−100(Rohm&Haas社製)等の界面活性剤、水溶性シリコン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。親水化処理としては、具体的には、プラズマ処理、グロー放電、コロナ放電、紫外線照射等の処理方法が好適に例示される。
さらに、上記多孔質膜は、上述した試薬および親水化剤以外に、所望により電解質(例えば、リン酸塩、フタル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩)、有機物(例えば、グリシン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン)を担持していてもよい。
このような多孔質膜からなる本発明の試験紙は、上述したように、検体の展開時間を短縮することができ、かつ、検体中の濾別物を第2の層の表面(測定面)から離れた位置で濾別することから測定精度が高くなるため、成分測定用チップの試験紙に好適に用いることができるため有用である。
また、本発明の試験紙の形状は、特に限定されず、円形、楕円形、正方形、長方形、菱形等の四角形、三角形、六角形、八角形等、必要に応じ選択して用いることができる。
次に、本発明の多孔質膜について詳細に説明する。
本発明の多孔質膜は、上述した本発明の試験紙を形成する多孔質膜に用いることができる多孔質膜であり、具体的には、表面を有する第1の層と、他の表面を有する第2の層とを有する多孔質膜であって、
上記第1の層が大孔部からなり、該第1の層の表面が開孔部を有する平滑な表面であり、上記第2の層が小孔部からなり、該第2の層の表面が開孔部を有する表面であって、該第1の層と該第2の層との境界が、該第1の層の表面から上記多孔質膜の膜厚の1/5乃至1/2までの範囲にあり、
さらに、膜厚が50〜200μm、空孔率が60〜95%であり、上記第1の層の表面の平均孔径が0.5〜10μmであり、上記第2の層の表面の平均孔径が0.1〜3.0μmである多孔質膜である。
すなわち、本発明の多孔質膜は、上述した本発明の試験紙を形成する多孔質膜のうち、上記試薬を担持していない膜であれば特に限定されない。
また、本発明の多孔質膜は、上記第2の層の表面の平均孔径に対する上記第1の層の表面の平均孔径の比が1〜6であることが、試験紙として利用した際に検体の展開が速くなる理由から好ましく、1〜4であることがより好ましい。
さらに、上述した本発明の試験紙を形成する多孔質膜と同様、本発明の多孔質膜は、上記第2の層の表面は、光沢度が11以下であることが好ましく、より好ましくは3〜10であり、さらに好ましくは3〜8である。第2の層の表面の光沢度が上記の範囲であれば、該第2の層の表面が、凸凹を有し光沢および艶がない状態である。比色式の試験紙として利用した際の反射吸光度測定において、表面反射した直接光がノイズとなるので、第2の層の表面は、凸凹を有し光沢および艶がない状態であることが好ましい。
次に、上記多孔質膜(本発明の試験紙を形成する多孔質膜および本発明の多孔質膜)の製造方法について詳細に説明する。
上記多孔質膜の製造方法としては、湿式製膜が好適に例示される。湿式製膜の他には、溶融製膜、乾式製膜等が知られているが、一方の表面の孔径が反対側の表面の孔径と異なる異方性膜を製造する場合、湿式製膜により製造することが好ましい。
上記湿式製膜は、製膜原液を基材上に膜状に広げる製膜原液供給工程と、該製膜原液供給工程後の基材を凝固浴に浸漬させる凝固浴浸漬工程と、該凝固浴浸漬工程後の基材を水浴中で溶剤成分および/または水溶性添加剤成分を除去する洗浄工程と、該洗浄工程後の基材を乾燥させる乾燥工程とを具備する。
上記製膜原液供給工程は、製膜原液を基材上に膜状に塗布する工程であり、具体的には、製膜原液を、基材の表面に、キャスト厚調整可能なアプリケータを用いて押し広げる、もしくは塗り広げる、もしくはT−ダイから吐出する工程である。
上記製膜原液としては、膜成分となる非水溶性第1成分ポリマーと被抽出成分である水溶性第2成分とを含み、第1成分ポリマーの濃度が12〜15wt%のものが好ましい。非水溶性第1成分ポリマーと水溶性第2成分とを含んでいれば、ポリマーの凝集を抑制し、これらの成分を抽出除去したあとの空間に孔が形成され空孔率を向上させることができるため好ましい。
上記非水溶性第1成分ポリマーとしては、具体的には、例えば、ニトロセルロース、ポリフッ化ビニリデン、セルロースアセテート、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリエーテルスルホン等が挙げられる。これらのうち、ポリエーテルスルホンがであることが、上述したように、血糖値測定に使用する試薬を担持する場合に試薬活性の経時的劣化が最も少ない理由から好ましい。
上記水溶性第2成分としては、具体的には、例えば、後述する溶媒には溶解し、後述する凝固浴浸漬工程後に容易に抽出除去できるポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等が挙げられる。これらのうち、ポリビニルピロリドンは、ニトロセルロース、ポリビニルジフロライド、セルロースアセテート、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリエーテルスルホンなどとは溶解せず、これらのポリマーを溶かす極性溶媒に溶解し、凝固後には水により抽出除去できるといった特性を有するため好ましい。
第1成分ポリマーと水溶性第2成分との溶解を目的とする製膜原液の溶媒としては、具体的には、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド等の有機極性溶媒が挙げられ、N−メチル−2−ピロリドンであることが好ましい。
製膜原液において、上記第1成分ポリマーと上記水溶性第2成分との仕込み比は、1:1〜1:3であることが好ましい。仕込み比がこの範囲であると、小孔部からなる第2の層が、多孔質膜において膜厚の半分以上の部分を占め、空孔率を保ち、さらに検体のしみ出しを妨げない理由から好ましい。
なお、上記製膜原液が基材上に塗布される時に調整されるキャスト厚は、70〜260nmであることが、得られる多孔質膜の膜厚が上述した好適範囲に収まる理由から好ましい。
上記基材は、従来公知のものを用いることができ、上記製膜原液を塗布する面に凸凹の表面を有する基材であることが好ましい。このような基材としては、具体的には、光沢度が12以下である板ガラス、光沢度12以下のマットフィルム、ポリエチレンテレフタレート製の光沢度が12以下である艶消しフィルム(例えば、光沢度12以下のマットフィルム)をコートした板ガラス等が、得られる多孔質膜の第2の層の表面に該基材の凸凹が転写されることになるため好適に例示される。ここで光沢度は、JIS Z8741に準拠する。
上記凝固浴浸漬工程は、上記製膜原液供給工程後の基材を水を含有する凝固浴に浸漬させる工程であり、具体的には、上記製膜原液が塗布された基材を凝固浴に浸漬させて、上記第1成分ポリマーを該基材上に析出させる工程である。
凝固浴としては、60〜85w/w%、好ましくは70〜80w/w%の上記製膜原液の溶媒を含有する水系凝固浴が好適に例示され、具体的には、N−メチル−2−ピロリドンを60〜85w/w%含有する水溶液であることが好ましい。溶媒の含有率がこの範囲であれば、上記第1成分ポリマーの緩慢な凝固が実現し、多孔質構造の膜が形成される。
また、凝固浴中の製膜原液の溶媒の濃度が60w/w%を下回ると、上述した製膜原液の溶媒の添加効果が得られず、85w/w%を越えると膜が凝固しない。
また、上記凝固浴への基材の浸漬は、該凝固浴の温度が10〜50℃、好ましくは20〜40℃で、3〜20分間、好ましくは5〜10分間浸漬させることが好ましい。凝固浴の温度がこの範囲であれば、第1成分ポリマーの析出速度が適当となり多孔質構造の膜が形成される。また、浸漬させる時間が3分より短いと第1成分ポリマーが全て析出しないため膜が形成されず、時間が20分より長いと膜構造は変化せず生産効率が低下してしまう。
上記洗浄工程は、上記凝固浴浸漬工程後の基材を水浴中で溶剤成分および/または水溶性添加剤成分を除去する工程であり、具体的には、第1成分ポリマーが析出されて形成される膜(以下、単に「第1成分ポリマーからなる膜」という)を、水浴中に10〜1000分間、好ましくは15〜60分間浸漬させることで、上記溶剤成分および/または上記水溶性添加剤成分(例えば、上記溶媒、上記水溶性第2成分)等を抽出除去する工程である。
上記乾燥工程は、上記洗浄工程後の第1成分ポリマーからなる膜を乾燥させる工程であり、具体的には、自然乾燥や電気オーブン等を用いて、30〜100℃、好ましくは40〜80℃で、1分〜24時間、好ましくは1分〜2時間乾燥させる方法が例示される。
このような製造方法により製造される多孔質膜は、異方性の多孔質膜として、検体が供給される表面を有する第1の層と、該検体がしみ出し測定される表面を有する第2の層とを有し、該第1の層と該第2の層との境界が、該第1の層の表面から上記多孔質膜の膜厚の1/5乃至1/2までの範囲にあるため有用である。
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜7、比較例1〜7)
実施例1〜7および比較例1〜6の多孔質膜を、以下に示す条件で製膜した。
まず、下記表1に示す製膜原液を、基材上にシリンジで線状に供給し、キャスト厚調節可能なアプリケータにより、下記表2に示すキャスト厚となるように塗り広げた。
製膜原液が塗り広げられた各基材を、下記表2に示す凝固浴溶媒濃度、凝固浴温度で調製されたN−メチル−2−ピロリドン水溶液(NMP水溶液)からなる凝固浴中に浸漬させ、第1成分ポリマーであるポリエーテルスルホンを析出させた。その後、ポリエーテルスルホンからなる膜を水浴中に浸漬させ、溶媒成分であるNMPおよび水溶性第2成分であるポリビニルピロリドンを抽出除去した後、60℃オーブン中で乾燥させて、各多孔質膜を得た。
ここで、上記基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の光沢度が12以下(JIS Z8741)である艶消しフィルム(マットフィルム)をコートした板ガラスを用いた。また、上述したように、第1成分ポリマーとしてポリエーテルスルホン(スミカエクセル5200P、住友化学社製)を用い、水溶性第2成分としてポリビニルピロリドン(プラスドンK29/32、ISP社製)を用い、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(BASF社製)を用いた。
また、比較例7の試験紙を形成する多孔質膜として、市販の等方性構造の膜(Supor−450WE4、米国ポール社)を用いた。


各多孔質膜の、第1の層の表面および第2の層の表面の平均孔径、第2の層の表面の平均孔径に対する前記第1の層の表面の平均孔径の比、第1の層と第2の層との境界の位置、膜厚、および、空孔率を以下に示す方法で求めた。結果を下記表3に示す。
表面の平均孔径は、各多孔質膜の表面を走査型電子顕微鏡(JSM−840日本電子製)で撮影し、得られた画像を画像解析装置(IP−1000PC旭化成製)により解析して、視野内の孔の孔径を面積換算で円相当径として算出し、相加平均を表面の平均孔径とした。また、得られた平均孔径から、第2の層の表面の平均孔径に対する前記第1の層の表面の平均孔径の比を、平均孔径比率として求めた。
図1に、実施例3で得られた多孔質膜の第2の層の表面の電子顕微鏡写真を示す。これにより、第2の層の表面に凸凹な表面が形成されていることが分かる。
境界の位置は、各多孔質膜の凍結割断面を走査型電子顕微鏡(JSM−840日本電子製)で撮影し、得られた画像の断面密度から上述した大孔部および小孔部の部分を観測することで、第1の層と第2の層との境界の位置を求めた。
ここで、断面密度の測定は、各多孔質膜を厚さ方向に10分割した各分割部分について行った。また、断面密度は、上述したように、各多孔質膜の断面の1500倍電子顕微鏡写真の膜部分を、300dpi、8ビットグレースケールでスキャナーで取り込んで行い、取り込まれた画像を、黒色側から5%、白色側から5%の黒色要素を含むスケール値の平均値を境として2値化し、黒色要素の割合から求めた。
図2に実施例3で得られた多孔質膜の凍結割断面を示す電子顕微鏡写真を示し、図3に比較例3で得られた多孔質膜の凍結割断面を示す電子顕微鏡写真を示し、図4に比較例7の多孔質膜の凍結割断面を示す電子顕微鏡写真を示す。
膜厚は、各多孔質膜をマイクロメーター(ミツトヨ社製)で測定した。
また、空孔率(%)は、上述したように、下記式
空孔率(%)={1−(乾燥膜重量/膜成分の比重)/膜体積}×100
を用いて重量法により測定した。式中、膜とは得られた各多孔質膜のことであり、膜成分の比重とは、得られた各多孔質膜を構成するポリマーの比重であって、本実施例においては、ポリエーテルスルホンの比重1.37を用いた。

(試験例1)
実施例1〜7および比較例1〜7の多孔質膜を用い、試薬および親水化剤を担持させずに次の実験を行った。
試薬および親水化剤を担持しない各多孔質膜を、反射吸光度が測定できるように分光光度計(UV−2400(PC)S 島津製作所社製)のサンプルホルダーに固定し、ヒト血液を第1の層の表面へマイクロピペット(エッペンドルフ社製)で5μl添加し、第2の層の表面の反射吸光度の時間変化を測定した。1秒間の反射率の変化割合が、最終変化率の1%を超えた時から、1秒間の反射率の変化割合が1%を下回ったときまでの時間を展開時間Δtとした。結果を下記表4に示す。
ここで、最終変化率とは、測定時間(260秒)経過後の反射率と、測定スタート(0秒)時の反射率との変化率(変化率100%)のことである。
なお、測定条件は、測光値:反射率、波長:610nm、スリット幅:2.0nm、タイミングモード:オート、測定時間:260秒、サンプリングピッチ:0.1sec、セル数:1、データ数:901であった。
(試験例2)
実施例1〜7および比較例1〜7の多孔質膜を用い、次の実験を行った。各多孔質膜に、以下に示す試薬および親水化剤を担持させた。
試薬および親水化剤を担持させた各多孔質膜を、反射吸光度が測定できるように分光光度計(UV−2400(PC)S 島津製作所社製)のサンプルホルダーに固定し、ヒト血液を第1の層の表面へマイクロピペット(エッペンドルフ社製)で5μl添加し、第2の層の表面の反射吸光度の反射吸光スペクトルを測定した。各多孔質膜単体のスペクトルと比較し血色素の影響の有無を判定した。結果を下記表4に示す。
なお、測定条件は、測光値:反射率、波長範囲(nm):700nm〜500nm、スキャン速度:中速、スリット幅:2.0nm、サンプリングピッチ:1.0nmであった。
上記試薬としては、グルコースオキシターゼ(GOD)、ペルオキシターゼ(POD)および4−アミノアンチピリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン(TOOS)を用い、上記親水化剤としてはトライトンX−100を用いた。
また、これらの試薬および親水化剤の担持方法は、通常行われる条件等を選択することができ、本実施例においては、上記試薬および親水化剤を溶解させたリン酸緩衝液に、得られた各多孔質膜を浸漬させ、該試薬および親水化剤がコートされた後に乾燥することにより担持させた。
試薬および親水化剤の合計の担持量(mg/cm)は、試薬および親水化剤を担持させる前の各多孔質膜の重量と、担持させた後の重量とを精秤し、それらの重量の差から求めた。

【実施例8〜11】
基材として、サンドブラスト処理をすることで表面に凹凸をつけて光沢度をそれぞれ2.9、5.5、11.3としたPETフィルムと、通常の光沢のあるPETフィルム(光沢度50)を、サンドブラスト処理したものは、該処理面を上にして、未処理のPETフィルムはそのままで、ガラス板にはりつけて、表2の実施例4と同じ条件で成膜を行い、基材側表面の光沢度がそれぞれ3(実施例8)、6(実施例9)、10(実施例10)(以上、サンドブラスト処理のPETフィルムを使用)、43(実施例11)(未処理のPETフィルムを使用)の多孔質膜を作製した。これら多孔質膜に、以下の試薬をコートして、実験に供した。
コートした試薬:GOD、PODおよび4−アミノアンチピリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン(TOOS)トライトンX−100(親水化剤)
コート処理後の多孔質膜を用いて、次の実験を行った。
評価する多孔質膜を反射吸光度が測定できるように分光光度計(UV−2400(PC)S 島津製作所社製)のサンプルホルダーに固定し、血糖値を100μg/dlおよび400μg/dlに調整したヒト血液を第1の層の表面へマイクロピペット(エッペンドルフ社製)で5μl添加し、第2の層の表面の反射吸光度の反射吸光スペクトルを測定した。得られた結果に基づいて、血糖値と反射比率との関係から検量線を作成して、その傾きを求めた。図5は、検量線を示したグラフである。また、各血糖値における反射比率と、検量線の傾きを表5に示した。

これらの結果から、光沢度が43である実施例11の多孔質膜では、血糖値400μg/dlのヒト血液を測定した場合、光沢度が3〜10である実施例8〜10の多孔質膜に比べて反射比率の低下が認められ、検量線の傾きも小さくなっていた。血糖値の測定が必要となるのは、主として糖尿病患者のように血糖値が高くなっている、具体的にはたとえば血糖値が400μg/dl程度に上昇している患者であるため、光沢度11以下の多孔質膜を用いた場合、このような高血糖値領域における測定精度をより向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
本発明の多孔質膜は、血液測定装置の成分測定用チップの試験紙として使用することができる。本発明の試験紙は、検体の展開速度が速く、展開時間を短くすることができるとともに、測色に際し、検体中の濾別物を濾別・除去し、十分な試薬担持量を確保することができ、より高精度の測定を行うことができるため有用である。
特に、反射吸光度の測定の際に、光が当たる第2の層の表面の光沢度が11以下である試験紙は、血糖値が高い領域、具体的には例えば、400μg/dl程度、における測定精度が特に優れている。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体中の濾別物を濾別する機能を有し、該検体中の特定成分と反応して呈色する試薬を担持する多孔質膜からなる試験紙であって、
前記多孔質膜が、検体が供給される表面を有する第1の層と、該検体がしみ出し測定される表面を有する第2の層とを有し、
前記第1の層が大孔部からなり、該第1の層の表面が開孔部を有する平滑な表面であり、前記第2の層が小孔部からなり、該第2の層の表面が開孔部を有する表面であって、該第1の層と該第2の層との境界が、該第1の層の表面から前記多孔質膜の膜厚の1/5乃至1/2までの範囲にあり、
さらに、前記多孔質膜の膜厚が50〜200μm、空孔率が60〜95%であり、前記第1の層の表面の平均孔径が0.5〜10μmであり、前記第2の層の表面の平均孔径が0.1〜3.0μmである試験紙。
【請求項2】
前記第2の層の表面の光沢度が、11以下である請求の範囲1に記載の試験紙。
【請求項3】
前記第2の層の表面が、凸凹を有することにより光沢および艶がない表面である請求の範囲1に記載の試験紙。
【請求項4】
前記多孔質膜の材質が、ポリエーテルスルホンである請求の範囲1に記載の試験紙。
【請求項5】
前記検体が血液であり、前記濾過物が赤血球を含む請求の範囲1に記載の試験紙。
【請求項6】
表面を有する第1の層と、他の表面を有する第2の層とを有する多孔質膜であって、
前記第1の層が大孔部からなり、該第1の層の表面が開孔部を有する平滑な表面であり、前記第2の層が小孔部からなり、該第2の層の表面が開孔部を有する表面であって、該第1の層と該第2の層との境界が、該第1の層の表面から前記多孔質膜の膜厚の1/5乃至1/2までの範囲にあり、
さらに、膜厚が50〜200μm、空孔率が60〜95%であり、前記第1の層の表面の平均孔径が0.5〜10μmであり、前記第2の層の表面の平均孔径が0.1〜3.0μmである多孔質膜。
【請求項7】
前記第2の層の表面の平均孔径に対する前記第1の層の表面の平均孔径の比が、1〜6である請求の範囲6に記載の多孔質膜。
【請求項8】
前記第2の層の表面の光沢度が、11以下である請求の範囲6に記載の多孔質膜。
【請求項9】
前記第2の層の表面が、凸凹を有することにより光沢および艶がない表面である請求の範囲6に記載の多孔質膜。

【国際公開番号】WO2004/086037
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【発行日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504076(P2005−504076)
【国際出願番号】PCT/JP2004/004024
【国際出願日】平成16年3月24日(2004.3.24)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】