説明

詰め合わせ食品

【課題】人と犬の双方の食事として供することができ、人も犬も安心して食せるようにした詰め合わせ食品を提供する。
【解決手段】惣菜を含む複数種の人・犬兼用食品3が容器に詰め合わせられている詰め合わせ食品1であって、人・犬兼用食品全体としての塩分含有量が、食塩相当量で0.1〜0.7質量%、人・犬兼用食品全体としての蛋白質と炭水化物の含有量が、蛋白質100質量部に対して炭水化物20〜200質量部である。この詰め合わせ食品1は、詰め合わされている人・犬兼用食品の内容物表示として、少なくとも次の(a)〜(e)を有する。
(a)人と犬のいずれもが食せること
(b)食品目録
(c)各食品の原材料
(d)各食品のカロリー
(e)犬の体重ごとの推奨カロリー

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人・犬兼用食品の詰め合わせ食品に関する。
【背景技術】
【0002】
人の食品用の原材料を用いて製造され、犬にとって有毒なチョコレート、タマネギ、長ネギ等が含有されておらず、かつ薄味に調味されたビスケットなどの食品は、結果的に、人のための食品となるだけでなく、ドッグフードとしても使用できるものとなる。
【0003】
このような食品を、人用の食品として販売するか、ペットフードとして販売するかの原材料表示に関するコストを低減するため、人用の食品としての原材料表示とペットフードとしての原材料表示の双方を行うことが提案されている(特許文献1)。
【0004】
一方、ペットへの給餌は、特にペットが犬の場合には、飼い主とペットとのコミュニケーションの手段となる。そこで、犬が喜んで食べ、飼い主がそれを見て楽しめるように、種々の犬用のおやつが開発されている(特許文献2)。
【0005】
また、一般に、飼い主がおやつを食する場合に、それが人用のおやつとも犬用のおやつともなり得るビスケットなどの食品であるときは、同じものを犬に分け与えることがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−27716号公報
【特許文献2】特開2007−129990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
飼い主と犬とのコミュニケーションをより深めるためには、おやつに留まらず、食事についても、飼い主と犬が一緒に摂れるようにすることが望まれる。
【0008】
しかしながら、惣菜を含む複数種の食品が詰め合わされた弁当のように、食事として摂ることができ、かつ手軽に入手できる詰め合わせ食品において、人と犬の双方が安心して食せるようにしたものはなかった。即ち、飼い主が、単に人用の弁当を、犬に分け与えながら一緒に食べようとしても、チョコレート、ココア、タマネギ、長ネギ、ニラ、わけぎ等のように、犬にとって有毒なものがある。一方、チョコレートやココアは、人用のデザート材料として、また、タマネギなどは種々の惣菜の食材として汎用されており、それらの使用が外見ではわからない場合もあるため、人用の弁当を犬に気軽に与えることはできない。また、人に好適な塩分濃度と犬に好適な塩分濃度も異なる。さらに、犬は犬種によって体重が大きく異なり、体重によって一日に必要な摂取カロリーが異なるから、人用の弁当を、犬が喜ぶだけ犬に分け与えると犬の摂取カロリーが過剰になり、犬に肥満をもたらすことになる。
【0009】
これに対し、本発明は、人と犬の双方の食事として供することができ、人も犬も安心して食することのできる人・犬兼用食品を詰め合わせた詰め合わせ食品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明は、惣菜を含む複数種の人・犬兼用食品が容器に詰め合わせられている詰め合わせ食品であって、人・犬兼用食品全体としての塩分含有量が、100kcal当たり食塩相当量で0.5g以下、人・犬兼用食品全体としての蛋白質と炭水化物の含有量が、蛋白質100質量部に対して炭水化物50〜200質量部であり、
該詰め合わされている人・犬兼用食品の内容物表示として、少なくとも次の(a)〜(e)が表示されている詰め合わせ食品を提供する。
(a)人と犬のいずれもが食せること
(b)食品目録
(c)各食品の原材料
(d)各食品のカロリー
(e)犬の体重ごとの推奨カロリー
【発明の効果】
【0011】
本発明の詰め合わせ食品によれば、惣菜を含む人・犬兼用食品が容器に詰め合わせられており、かつ人と犬のいずれも食せることが表示されており、食品目録や各食品の原材料も表示されているので、飼い主は安心してこの詰め合わせ食品を犬に分け与えながら食することができ、犬とのコミュニケーションを深めることができる。
【0012】
また、この詰め合わせ食品によれば、各食品のカロリーと、犬の体重ごとの推奨カロリーも表示されているので、飼い主が犬に過剰に分け与えることを防止できる。
【0013】
さらに、本発明の詰め合わせ食品によれば、人・犬兼用食品全体としての塩分の含有量が100kcal当たり食塩相当量で0.5g以下、蛋白質と炭水化物の含有量が、蛋白質100質量部に対して炭水化物50〜200質量部であり、塩分の含有量や、蛋白質と炭水化物の含有量の比率が、犬に適したものとなっているので、犬の健康維持に必要な栄養成分を、大凡この詰め合わせ食品によってまかなうことができ、犬の塩分摂取が過剰になることも防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例の詰め合わせ食品の模式図である。
【図2】内容物表示の一例である。
【図3】内容物表示の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明において、特にことわりのない限り、%は質量%を意味し、部は質量部を意味する。
【0016】
図1は、本発明の一実施例の詰め合わせ食品1であって、容器の蓋を開けた状態の模式図である。この詰め合わせ食品1は、容器2に複数の人・犬兼用食品3が詰め合わされたもので、より具体的には、人・犬兼用食品3として、主食となるパン、甘くないパウンドケーキ等のパン類3a、ローストビーフスライス、合鴨スモーク等の肉系惣菜3b、ボイルエビ等の魚介類系惣菜3c、プルーン酢漬け等の野菜・果物系惣菜3d、厚焼き卵などの卵加工品3e、フルーツゼリー等のデザート類3fが入っている。なお、本発明の詰め合わせ食品1を構成する人・犬兼用食品の種類は、これらに限定されるものではないが、少なくとも1種の惣菜、好ましくは惣菜を含む3種以上の食品を含み、詰め合わせ食品1を、おやつではなく、食事として供せるものとする。
【0017】
また、本発明において、人・犬兼用食品とは、食品衛生上人用の弁当に使用できる食材を用いて製造され、かつ犬にとって有毒となるテオブロミンを含んだチョコレート、ココア等の食材、アリルプロピルジサルファイドを含んだタマネギ、長ネギ、ニラ、わけぎ、あさつき、らっきょう等の食材、リンを多く含んだナッツ等の食材、カフェインを多く含むコーヒー、紅茶、茶等の食材を含まない食品をいう。人・犬兼用食品には、食品を人用の味付けにするための人専用のソース、ドレッシング、香辛料等の調味料は含まない。したがって、図1の各食品3d〜3fは食品衛生上人用の弁当に使用できる食材を用いて製造され、かつ犬にとって有毒となる上述の食材を使用せずに製造されたものである。
【0018】
なお、本発明の詰め合わせ食品では、そこに含まれる全ての食品が人・犬兼用食品であることが好ましいが、ソース、ドレッシング、香辛料等の個包装されている調味料については、人専用のものが含まれていても良い。
【0019】
また、一般的な人用の弁当の場合、全体としての塩分含有量は100kcal当たり0.6g〜1.0gであるのに対し、この詰め合わせ食品1では、犬の塩分摂取が過剰になることを防止するため、人・犬兼用食品全体としての塩分含有量が食塩相当量で100kcal当たり0.5g以下、好ましくは0.1〜0.4gに調整されている。
【0020】
また、人・犬兼用食品全体としての蛋白質Pと炭水化物Cの割合は、一般的な人用の弁当の場合、蛋白質100部に対して炭水化物300〜400部であるが、一般的なドッグフードでは50〜200部のため、実施例の詰め合わせ食品1では、蛋白質100部に対して炭水化物50〜200部とする。飼い主は、詰め合わせ食品1を一回の食事として利用した場合にも、随時、他に食することができるが、成犬の食事回数は、通常、1日に1〜2回とされるので、犬がこの詰め合わせ食品1を飼い主から分け与えられる場合には、犬は、一日に必要な栄養分を専らこの詰め合わせ食品1から摂ることになる。1回の食事の栄養バランスは犬にとって重要となるところ、上述のようにこの詰め合わせ食品1の蛋白質と脂質のバランスや塩分含量は犬に適したものになっているので、この詰め合わせ食品1は、飼い主と犬が共にする食事として好ましいものとなる。
【0021】
また、この詰め合わせ食品1には、惣菜を人用の味付けにするためのソース4が添付されている。上述のように、詰め合わせ食品1では、人・犬兼用食品の塩分含有量を犬に合わせているため、人にとって味付けが物足りなく感じられる場合があるが、ソース4が添付されていることにより、人も美味しく食することが可能となる。なお、人用の味付けのためのソース4は、上述のように人・犬兼用食品には含まれないため、ソース4に含まれる塩分含有量は、上述の人・犬兼用食品全体としての塩分含有量には含まれず、また、ソース4の原材料には、犬用の餌には使用しないタマネギ等の食材も使用することができる。一方、ソース4をかけた惣菜が犬に与えられた場合でも、犬の安全を確保する点からは、ソース4として、タマネギ等の犬用の餌には使用しない食材を含まないものが好ましい。
【0022】
詰め合わせ食品1の容器2としては、本実施例では、着脱自在な蓋2aを備えた箱形容器2bとなっている。このように、容器2に着脱自在な蓋2aが備えられていると、飼い主は、蓋2aを犬に対する給餌皿として使用できるので好ましい。
【0023】
また、本発明の詰め合わせ食品においては、それを構成する個々の食品を、人と犬が結果的に安全に食せるというだけでなく、人と犬のいずれもが食せることを、飼い主が容易に認識し、その認識のもとで安心して楽しく犬と食事をすることができるように、詰め合わされている人・犬兼用食品の内容物表示として、少なくとも次の(a)〜(e)が表示されている。
(a)人と犬のいずれもが食せること
(b)食品目録
(c)各食品の原材料
(d)各食品のカロリー
(e)犬の体重ごとの推奨カロリー
【0024】
(a)の表示により、飼い主は、詰め合わせ食品1を、人用の食品として自ら安心して食することができ、また、犬にも安心して与えることができる。また、(b)の表示により惣菜などの種類を知り、(c)の表示により、原材料の確認をすることができるので、一層安心して犬と食事を共にすることができる。さらに、(d)、(e)の表示により、犬に分け与える食品のカロリーが、当該犬にとって過剰にならないように、飼い主は容易に配慮することができる。したがって、これらの表示により、飼い主は、犬とのコミュニケーションを深め、犬を飼う生活をより楽しむことができる。例えば、飼い主は、まず、犬が美味しく食べると考えた食品を(b)を見ながら選び、(d)、(e)表示を見ながら、与える量を考えて犬に与えることができる。そして、犬が示す反応により犬の好みや体調を知り、犬が喜ぶ様子を見ることが可能となる。
【0025】
内容物表示の表示態様としては、詰め合わせ食品の外装材に付しても、容器2の外面にシールを貼着することにより付しても、内容物表示を付した紙片を容器2に添付してもよいが、少なくとも、(a)人と犬のいずれもが食せることは、詰め合わせ食品1の外装上から容易に認識できるように表示することが好ましい。
【実施例】
【0026】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0027】
実施例1
表1の人・犬兼用食品が、樹脂製の成形容器(大きさ20cm×20cm×5cm、容器本体(プラスチック)、蓋材(プラスチック))に詰め合わされている詰め合わせ食品を製造した。
【0028】
この詰め合わせ食品における各食品のカロリー、塩分、蛋白質、炭水化物の各含有量を表1に示す。なお、これらの含有量は、栄養表示基準(平成15年4月24日厚生省告示第176号)に準拠する方法により算出したものである。
【0029】
この詰め合わせ食品の内容物表示として、図2に示した表示Aを印刷したシールを蓋材に貼付すると共に、表示Bを印刷した紙片を容器に添付した。
【0030】
【表1】

【0031】
実施例2
表2の人・犬兼用食品が、樹脂製の成形容器(大きさ20cm×20cm×5cm、容器(プラスチック)、蓋材(プラスチック))に詰め合わされている詰め合わせ食品を製造した。
【0032】
この詰め合わせ食品における各食品のカロリー、塩分、蛋白質、炭水化物の各含有量を表2に示す。この詰め合わせ食品の内容物表示として、図3に示した表示Aを印刷したシールを蓋材に貼付すると共に、表示Bを印刷した紙片を容器に添付した。
【0033】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、人と犬が一緒に食することのできる食品詰め合わせとして有用である。
【符号の説明】
【0035】
1 詰め合わせ食品
2 容器
3 食品
4 ソース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
惣菜を含む複数種の人・犬兼用食品が容器に詰め合わせられている詰め合わせ食品であって、人・犬兼用食品全体としての塩分含有量が、100kcal当たり食塩相当量で0.5g以下、人・犬兼用食品全体としての蛋白質と炭水化物の含有量が、蛋白質100質量部に対して炭水化物50〜200質量部であり、
詰め合わされている人・犬兼用食品の内容物表示として、少なくとも次の(a)〜(e)が表示されている詰め合わせ食品。
(a)人と犬のいずれもが食せること
(b)食品目録
(c)各食品の原材料
(d)各食品のカロリー
(e)犬の体重ごとの推奨カロリー
【請求項2】
各食品が、チョコレート、ココア、タマネギ、長ネギ、ニラ、わけぎ、あさつき、らっきょう、ナッツ、コーヒー、紅茶及び茶を、食材として使用していない請求項1記載の詰め合わせ食品。
【請求項3】
内容物表示として、さらに人・犬兼用食品全体としての塩分の含有量が表示されている請求項1又は2記載の詰め合わせ食品。
【請求項4】
少なくとも、内容物表示(a)が、容器又は容器の外装材に表示されている請求項1〜3のいずれかに記載の詰め合わせ食品。
【請求項5】
人用の味付けのための、原材料にチョコレート、ココア、タマネギ、長ネギ、ニラ、わけぎ、あさつき、らっきょう、ナッツ、コーヒー、紅茶及び茶を使用しないソースが添付されている請求項1〜4のいずれかに記載の詰め合わせ食品。
【請求項6】
人用の味付けのための、原材料にチョコレート、ココア、タマネギ、長ネギ、ニラ、わけぎ、あさつき、らっきょう、ナッツ、コーヒー、紅茶及び茶から選ばれる少なくとも一種類以上を使用したソースが添付されている請求項1〜4のいずれかに記載の詰め合わせ食品。
【請求項7】
容器の蓋が、着脱自在である請求項1〜6のいずれかに記載の詰め合わせ食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−135834(P2011−135834A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298602(P2009−298602)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【Fターム(参考)】