説明

詰め替え用嵩高ピロー包装袋

【課題】 開口部の開口面積を大きくしてウェットティッシュやシート状化粧料等の厚物の湿潤シートのための取出しのための開口部を大きくした詰替え用包装袋を提供すること。
【解決手段】 袋1の横面5,6の接合端部部にまで引裂いて、湿潤シート取出しのための開口を大きくすることを可能とした一軸引裂性シートで形成された湿潤シート詰替え用嵩高ピロー包装袋1を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維素材(例えば不織布、ガーゼ、コットン等)に、清浄液や化粧水を含浸した厚手のウェットシートを嵩高く積層された包装袋よりの取出しに便利な開口を有する詰め替え用の嵩高包装袋に関する。
更に詳しくは、厚手のウェットシートを40mm〜100mmの厚さに積層された嵩高の包装袋において、貼着したラベルの下部に設けた取出し用のハーフカット部を極力小さくして安全性を高めて、実際の取出し口を天面から横面に及ぶ大きな開口となして、取出しに便利とした詰め替え用嵩高ピロー包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アルコールや保湿剤、界面活性剤等を含む清浄液を繊維素材に含浸したウェットティッシュや化粧用シート等の湿潤シートが皮膚等の汚れを拭き取るのに、携帯用にピロー包装袋に収納した柔軟なシートを利用することが一般である(特許文献1;実開昭59−60167号公報、特許文献2;特開平8−11950号公報、特許文献3;特開平10−324377号公報、特許文献4;特開2000−229681号公報、特許文献5;特開2001−275876号公報)。また、ウェットティッシュや化粧用シート等の湿潤シートを硬質のプラスチック容器に入れて家庭用として用いることも公知である。(特許文献6;特開平11−342091号公報、特許文献7;特開2002−302170号公報、特許文献8;特許3108640号)。
【0003】
また、ブロー成形した家庭用ウェットティッシュや化粧用シート等の湿潤シートの収納容器に上記詰替えの湿潤シート詰替えピロー包装袋を入れ替えることによって経済性を高めることができ、例えば、硬質容器に包装袋を詰替え用として硬質の容器中に入れて詰替え方式(特許文献9;特開平2001−240162号公報)も経済性の面で活用されている。
一般に、携帯用ウェットティッシュや化粧用シート等の湿潤シート詰替え用ピロー包装袋は通常10枚程度のウェットティッシュや化粧用シート等の湿潤シートを収納した偏平な包装袋であるが、詰替え袋を詰める容器は、シート取出し用の開閉蓋を備えた硬質プラスチック材から形成されている。詰替え用ピロー包装袋の詰替え時の収納は、該容器の大蓋を開けて詰替え袋の開口部を開口して収納し、大蓋を閉じて、湿潤シートの取出しは容器の開閉蓋を開閉して行うが、詰替え袋の開口部は、該容器の開閉蓋の開口部より面積的に大きい方が格段とシートの取出しが容易である。
しかし、詰替え袋の開口部の面積を大きくするために、図1及び図2に示すようにハーフカット域を開口部を袋の横面の一部に延長して設けて、このハーフカット域を破断して開口するものも公知である(特許文献10;特表2001−525300号公報)。しかし、横面にかけてハーフカット域を設けた場合、ハーフカット域は強度的に弱いので、詰替え袋の移送時の積重ねによる荷重あるいは微振動により、ハーフカット域の一部が破断する場合がある。このときには、湿潤シートの含浸液が漏れ出たり、湿潤溶液の破断口からの逸散により、用を足せなくなる。
従来、開口部が広くてシート状物の取出しが容易で、なおかつ移送時あるいは保管時にハーフカット域の破断のない詰替え袋は存在していなかた。
【0004】
【特許文献1】実開昭59−60167号公報
【特許文献2】特開平8−11950号公報
【特許文献3】特開平10−324377号公報
【特許文献4】特開2000−229681号公報
【特許文献5】特開2001−275876号公報
【特許文献6】特開平11−342091号公報
【特許文献7】特開2002−302170号公報
【特許文献8】特許3108640号
【特許文献9】特開2001−240162号公報
【特許文献10】特表2001−525300号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述するように、従来の詰替え袋は、袋を形成する基材がプラスチック製の柔軟なシートであるため、収納するウェットティッシュや化粧用シート等の湿潤シートの嵩が高く、袋の厚みが厚い場合、取出し口を設けた面(上面)から反対側の面(底面)までの距離があり、深いので、ピロー包装袋の横面にかかってハーフカットを施し開口部を大きくとる必要があった。しかし、横面にかかってハーフカットを設けると、たとえ、粘着性ラベルで保護しても、嵩高のピロー包装袋を積重ねて保管したり、運搬するときに、包装袋の積重ねによる荷重やあるいは運送時の振動により横面の強度の弱いハーフカットが破断されることがある。ハーフカットが破断状態になると、包装袋内に収納されているウェットティッシュや化粧用シート等の湿潤シートの含浸液が破断部から漏れだしたり、蒸発したりして、周辺を汚し、しかも内容物の湿潤シートが乾燥するという問題が生じていた。
従来、ハーフカットをピロー包装袋の接合部にまで延長して設けることは考えもしなかった。これは、包装袋の形成素材を強度の強い、しかも含浸液を用いるから気体透過性の低いプラスチック素材を用いる必要があり、その場合にはハーフカットの強度が強くなりすぎるので、それを勘案して袋の開口部も天面から若干、横面にかかる程度の開口部を設けるのが精一杯であった。
本発明では、全く逆の発想で、袋の形成素材を一軸引裂性シートとすることによって、開口部を大きくするとともに、開口部の形状をシートを取出し易い形状に規制することを可能としたのである。
【0006】
本発明は、前述したような従来のウェットティッシュや化粧用シート等の湿潤シート詰替え用嵩高ピロー包装袋における問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、包装袋に収納するウェットティッシュや化粧用シート等の湿潤シートのサイズが大きくなっても、厚物の湿潤シートの枚数が多くなっても、ウェットティッシュや化粧用シート等の湿潤シートの取出しがスムーズに行え、取扱性、保存性、輸送性に優れ、且つ硬質プラスチック容器の開閉蓋の開閉も確実に、簡単に行えるような詰替え嵩高ピロー包装袋を提供しようとするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の詰替え用嵩高ピロー包装袋は、包装袋素材の一軸引裂き性を利用できるので、天面部のみのハーフカットであっても横面のピロー包装袋の接合部にまで開口が容易であり、厚物の湿潤シートの取出しが極めて容易となる。包装袋を形成するフィルムの厚みの半分程度の厚みで、強度の弱いハーフカット域の破断が平坦な天面に限られ、仮に保管時や移動時に多数の嵩高包装袋の荷重や移送時に微震動がかかっても、内容物シートによる緩衝作用により、ハーフカットの破断を著しく抑止できる。仮に、ハーフカット域が破断したとしても、破断域は天面部に限られるから、従来の製品のように横面にかかってハーフカット域の設けられたもののように横面の破断可能性がなく、含浸液の漏れだしもない利点がある。
また、本発明の詰替え嵩高ピロー包装袋は、天面部のみにハーフカットがあるので、従来の製袋加工に比して、簡単工程で製造でき、生産効率よく、経済的に生産できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、詰替え用嵩高ピロー包装袋は取出しを形成するための切離し用ハーフカットを面積的には大きくハーフカットを覆うラベルが貼着されており、このラベルは、感圧接着剤により繰返し開口可能な可撓性であり、このラベルを包装袋本体のハーフカット域をくっつけて破断して開口部を形成し、硬質の取換用プラスチック容器に収納し、使用時には硬質容器の開閉蓋を開閉して詰替え用嵩高包装袋に収納されている湿潤シートを取り出す。
【0009】
本発明の基本的構成要件は、以下の通りである。
[1]厚手のウェットシートを、40mm〜100mmの厚さに積み重ねて包装された嵩高の包装袋において、包装袋の天面に感圧接着剤を塗布したラベル(面積B)が貼着されており、該ラベルの下部の天面に、該ラベルよりも小面積(面積A)の、開ループのハーフカットが設けられてなり、該ラベルを天面から引剥がすと同時に、ハーフカット域が破断され、開ループの一端から包装袋の横面の端部接合部にまで一気に引裂かれて破断し、本体の一部が切り離されることによって包装袋にウェットティッシュ等の湿潤シートの取出し取出しのための大きな開口部(面積C)が形成されることを特徴とする詰め替え用嵩高包装袋。
[2]ラベル(面積B)は、上記開ループのハーフカット域(面積A)より面積的に大きい糊代を有することを特徴とする[1]記載の詰替え用嵩高ピロー包装袋。
[3]上記シート取出し開口部(面積C)は、シートの取出しを容易にするためにハーフカット域(面積A)より面積的に大である[1]又は[2]に記載の詰替え嵩高ピロー包装袋。
[4]上記(面積C)―(面積A)の域の引裂きは、詰替えピロー包装袋を形成するシートの一軸引裂き性を利用することによって容易に達成されることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の詰替え用嵩高ピロー包装袋。
【0010】
すなわち、本発明の詰替え用嵩高ピロー包装袋は、一軸引裂性シートによって形成された、天面にシートの厚さに達しない深さのハーフカットが切込まれており、しかも、該ハーフカット域(面積A)は、裏面に感圧接着剤が塗布されたラベル(面積B)で覆われている構造であって、使用(詰替え)に際しては、該ラベルを上方向に包装袋の天面から引き剥がすと、包装袋が一軸引裂性シートから形成されているので、長手方向への引裂き性は容易であるので、包装袋のハーフカット域が破断してラベルとともに持ち上がり、ハーフカット域を通り過ぎて連続的に包装袋の横面接合部まで連続的に引裂くことができ、湿潤シートの取出し開口部を大きく形成することができる。
【0011】
本発明においては、硬質プラスチック容器の開閉蓋を開閉すると、本発明の包装袋の開口部が大きく開口しているので、詰替え用嵩高ピロー包装袋の内部に収納されたウェットティッシュや化粧用シート等の湿潤シートの取出しが容易である。
本発明では、特に詰替え用ピロー包装袋に湿潤シートを多量に収納して詰替えピロー包装袋の厚みが厚いものでも、包装袋の開口部が大きいので、湿潤シートの使い初めから消費し尽くすまで、プラスチック容器の開閉蓋の開閉だけで、容易に湿潤シートを摘み上げることができる。
【0012】
図面により本発明の詰替え嵩高ピロー包装袋を説明する。
図1は、一般的な詰替え用嵩高包装袋の収納状態の斜視図、図2は、従来の代表的な詰替え用詰替え嵩高包装袋の横断面、図3は、本発明の詰替え用嵩高包装袋斜視図、図4は、図3の本発明の詰替え用嵩高包装袋の横断面、図5は、本発明の詰替え用嵩高包装袋の詰替え用嵩高包装袋の開口初期段階、図6及び図7は、開口途中段階、図8は、本発明の詰替え用嵩高包装袋の開口最終段階を示す。
【0013】
図1は、硬質プラスチック容器本体120に詰替え用嵩高包装袋100を収納し、蓋体130をかぶせて使用に供する。140は蓋体、150は容器開口部を示す。
図2は、図1の従来の詰替え用嵩高包装袋101の横断面を示すもので、133は包装袋天面に粘着剤等で接着されているラベルである。ラベル133は、天面のハーフカット102よりは、面積的に大きく、その面積差には粘着剤が塗布されている。すなわち、閉ループのハーフカット102の域を覆うようにラベル133が袋本体に接着されており、ラベル133を摘み上げるのに連動してハーフカットの部分が破断し、切離されてラベル133とともに協働する。
本発明の嵩高包装袋1は、上記詰替え用嵩高包装袋100に代えて同様に使用することができるが、後述するように開口の面積が大きいので、厚物シートの詰替え使用に特に有用である。
【0014】
本発明の詰替え用嵩高包装袋1は、開ループのハーフカット2が包装袋の天面に形成され、これを覆うようにラベル33が粘着剤(感圧接着剤)で接着されており、図3の斜視図に示すように、ラベル33(面積B)が開ループのハーフカット2(面積A)を覆っている。
なお、鎖線で示される部分のみがハーフカットである。
図4は、その横断面図であり、ハーフカット2は、開ループであるから、一方側(摘み部側)にしか設けられていない。ラベル33を摘み上げると同時にハーフカット域は破断して切離され、ラベル33と協働する。図5は、ラベル33を摘み上げた状態で、摘み上げに協働して一軸引裂性シートの引裂き性を利用して切離される(なお、切離し部21は、ハーフカットでなく、引裂き性で破断された状態を示す)。
図6〜図7は、順次引裂きによって開口されたときの途中の斜視図で、図8は引裂きの最終段階の開口状態を示す。
【0015】
使用(開口)前の本発明の包装袋1の上面の開口部に開ループのハーフカット域2が形成されている。開口の終端は、11,12であり、これを結ぶ線がハーフカットのない引裂き始点13となって連続して引裂きが継続する。ハーフカットの一部が不連続となっているが、これは嵩高包装袋が一軸引裂性シートから形成されているので、ラベルを摘み上げた開口当初は、強度の弱いハーフカット域が引裂きに役立つ。しかし、途中以降(終端部11,12以降)は一軸引裂性シートの引裂き性を利用できるので、むしろハーフカット域のない方が好都合となる。引裂き始点13以降は、一軸延伸フィルムの引裂き性を利用できる(引離し部21)ので、容易に包装袋の接合端部にまで容易に引裂くことができる。
【0016】
なお、2は上述のハーフカット域、3は接着剤塗布域(ラベル体33の総面積に相当)、4はラベル体、5、6は包装袋横面、7はラベル摘み折曲げ部、8はラベル摘み部、9はラベル端部、99はラベル跡線を示す。
図5は、ラベルの開口開始前で、図6〜図7に示すように、ラベルを摘み上げて開口する開始時で、ラベル摘み部8を摘んで引張ると、ラベル端部のラベル跡線99に沿ってラベルが引き上げられ、同時に包装袋本体のハーフカット22‘で囲まれた域が強度の弱いハーフカットの破断線22“が破断して、44の域がラベルにくっついてラベルと協働する。
なお、11‘、12’は、各ハーフカットの終端部11,12に対応することを示している。図10は、引裂き開口の最終段階を示す。
引裂き開口の終点は、適宜、決めればよいが、摘み部8を包装袋の底部にまで折り返してラベル33の糊代域に接着剤が設けられていることを利用して、硬質容器の底面側に接着させると、プラスチックの硬質容器内で詰替え用の嵩高包装袋が移動することなく、固定できるので便利である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一般的な詰替え用嵩高包装袋の収納状態
【図2】従来の詰替え用詰替え嵩高包装袋の横断面
【図3】本発明の詰替え用嵩高包装袋斜視図
【図4】本発明の詰替え用嵩高包装袋の横断面
【図5】本発明の詰替え用嵩高包装袋の開口初期段階
【図6】本発明の詰替え用嵩高包装袋の開口途中段階
【図7】本発明の詰替え用嵩高包装袋の開口途中段階
【図8】本発明の詰替え用嵩高包装袋の開口最終段階斜視図
【符号の説明】
【0018】
1 本発明の嵩高包装袋
2 ハーフカット
3 糊代域
4 袋本体破断部(ハーフカットで囲われた域)
5 包装袋横面
6 包装袋横面
7 摘み折曲げ線
8 摘み部
9 ラベル端部
10 開口部
11 ハーフカット終端部
12 ハーフカット終端部
11‘ 11ラベル側対応点
12‘ 12ラベル側対応点
13 引裂き始点
133 ラベル(従来)
21 切離し部
22‘ ハーフカット
22“ 破断線
33 ラベル(本発明)
44 袋本体破断部
99 ラベル跡線
101 従来の詰替え包装袋
102 ハーフカット(従来)
109 ラベル端部(従来)
110 開口部(従来)
120 硬質容器
122 開口部
130 蓋
140 開閉蓋
144 袋本体破断部
150 取出し開口部
199 ラベル跡線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚手のウェットシートを40mm〜100mmの厚さに積み重ねて包装してなる嵩高の包装袋において、包装袋の天面に感圧接着剤を塗布したラベルが貼着されており、該ラベルの下部の天面に、該ラベルよりも小面積の、開ループのハーフカットが設けられてなり、該ラベルを天面から剥離することにより、開ループの一端から包装袋の横面の端部接合部にまで一気に引裂かれて包装袋に大きな取出し口が形成されることを特徴とする詰め替え用嵩高ピロー包装袋。
【請求項2】
ラベルの全域は、上記ハーフカットで囲まれた袋の切離し域より面積的に大きい糊代を有することを特徴とする請求項1記載の詰替え用嵩高ピロー包装袋。
【請求項3】
上記袋のシート取出し開口部の面積は、シートの取出しを容易にするためにハーフカットで囲まれた域より面積的に大であることを特徴とする請求項1又は2に記載の詰替え用嵩高ピロー包装袋。
【請求項4】
ハーフカットで囲まれていない包装袋の切離し域の引裂きは、詰替えピロー包装袋を形成するシートの一軸引裂き性を利用することによって達成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の詰替え用嵩高ピロー包装袋。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−91294(P2007−91294A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−284986(P2005−284986)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(591254958)株式会社タイキ (35)
【Fターム(参考)】