説明

詰替え容器

【課題】口栓等の別部材を使用することなく、大面積の注出口が形成できる詰替え容器であって、注出口の開封操作が容易かつ確実にできる詰替え容器。
【解決手段】基材とシーラント層を少なくとも有する1枚の積層体を、シーラント層を内側にして折り曲げて、折り曲げ部と本体表面積層体2と本体裏面積層体3を形成し、周縁をシールしてなる詰替え容器1であって、折り曲げ部は、表裏面積層体および注出ノズルシール部24と共に、内容物を注ぎ出すための注出ノズル32を形成しており、注出ノズルシール部24に設けられた開封用切目線35によって分離形成された開封つまみ34を持って開封予定線に沿って切り離すことにより注出口を形成するものであり、開封予定線36は、折曲部に対して傾斜しており、開封予定線上には、複数の傷線からなる易カット加工33が施され、開封用切目線35aの先端部は、開封予定線36と平行な方向に向かって折れ曲がっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗剤、柔軟剤などのトイレタリー用品や、食用油、インスタントコーヒーなどの食品等を収納する詰め替え容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体洗剤や柔軟仕上げ剤などのトイレタリー用品や、食用油、インスタントコーヒーなどの食品は、それぞれ使いやすいような形状の専用容器に収納されている。専用容器は、構造もしっかりしており、従って高価であることから、内容物が無くなった段階で、繰り返し使用することができるように、内容物のみを詰替える詰替え容器入りの製品が別途販売されていることが多い。
【0003】
例えば液体洗剤の容器は、洗剤を使用する時にその都度適切な量を計量して取り出す必要があるため、軽量カップに注ぎやすいように、注出口にノズルを備えた剛性のあるプラスチック容器が、繰り返し使用容器として用いられている。この容器に対して、内容物を補充するための詰め替え用の容器としては、軟包装フィルムからなる柔軟な容器に、注出口を形成した容器や、口栓を取付けた容器が一般的に使用されている。
【0004】
繰り返し使用する剛性の容器は、もっぱら注出し易いように設計されているため、繰り返し使用する容器に対して、詰替え容器から内容物を補充する詰替え操作の利便性を考慮したものでは、必ずしもなかった。
【0005】
また一方、詰替え容器も、もっぱら安価に製造することに重点を置くあまり、必ずしも詰替え操作の利便性を考慮したものではなかった。
【0006】
繰り返し使用する容器に設けられたノズルを利用して、詰替え容器の開封を行うことができ、さらに詰替え中に、詰替え容器が自立するために、手で保持しなくてもよい詰替え容器が提案されている。この手放し詰め替え容器は、繰り返し使用する容器の開口部に着脱可能かつ脱落不能に連結される結合部材と、詰め替え容器本体を密封する容器密封部材とを備えた詰め替え容器である(特許文献1参照)。
【0007】
特許文献1に記載された詰め替え容器は、繰り返し使用する容器と詰め替え容器を結合するために、口栓部に、結合部材と容器密封部材という2つの部材を用いているため、容器のコストが高いものとならざるを得ない。また詰め替え容器を、繰り返し使用する容器の開口部にねじ込んで使用する構造であるため、両者の結合は確実であるが、反面、操作が面倒であるばかりでなく、口栓のコスト面においても不利であるという欠点があった。
【0008】
コストの面からは、図5に示したような表裏2枚の包装フィルムの周縁をシールしてなる包装袋が有利である。この詰替え用包装袋は、容器の口径に見合った任意の巾の注出口を設けることができるが、表裏2枚のフィルムの端縁部をシールして注出口部を形成した場合、内容物を注出する際、開口部がシールされた両端に引張られ、表裏のフィルムが疑似密着状態となり、注出口が閉塞してしまうという問題や、注出口が折れ曲がり易く、詰替え操作中に注出口が繰り返し使用する容器から外れてしまうといった問題がある。
【0009】
この注出口が閉塞したり、折れ曲がったりする問題を解決するために、注出口部にフィルムとは別部材のパーツを挿入したり(特許文献2参照)、注出口部付近のフィルムを膨らませて立体形状とすることで、開口面積を確保したりするものが多く提案されている(特許文献3参照)。
【0010】
しかしこれらの包装袋は、別部材を取り付ける工程や、フィルムに深いエンボス加工を施す工程などが増加するという問題の他、充填時に包装袋の供給部において包装袋を整然と積み上げて揃えることができないという問題や、表裏2枚のフィルムをシールしてなる注出口は、両端にシール部が存在するため、その分だけ開口巾が狭くなり、十分な開口面積を確保することができないという基本的な問題があった。十分な開口面積が確保できないと、詰替え時の注出に要する時間は長くなってしまう。
【0011】
この問題を解決するために、包装袋を構成するフィルムを折り曲げて、注出口の片側を形成し、注出口のシール部を片側だけとする包装袋が提案されている(特許文献4、5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004-99082号公報
【特許文献2】特開平5-132069号公報
【特許文献3】特許第4110940号
【特許文献4】特開平11-236053号公報
【特許文献5】特開2008-18991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献4、5に示されたような、注出口の片側が折り曲げられたフィルムで構成されている包装袋の場合、注出口が閉塞する問題や、注出口部の開口面積が不足するという問題は解消されるが、特許文献5に示された軟質包装袋の注出口に見られるように、注出時の操作のし易さを考慮して注出口を斜めに設定した場合、開封操作性が不安定になるという問題が生じることが判明した。
【0014】
図6(1)は、特許文献5に開示された軟質包装袋を示した図であり、図6(2)は、注出口部分の拡大図である。弊社の出願になるこの軟質包装袋は、注出口部分に、切れ目線aとV字状の切欠きbと切れ目線aを覆うように設けられた網点状の傷加工cを備えているにも拘わらず、V字状の切欠きbの位置が多少ずれたような場合には、包装袋の裂け目が切れ目線aから外れてしまい、本来の切れ目線aの位置で開封できないという問題が生じる可能性があることが分かった。
【0015】
本発明の解決しようとする課題は、口栓等の別部材を使用することなく、大面積の注出口が形成できる詰替え容器であって、注出口の開封操作が容易かつ確実にできる詰替え容器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、基材とシーラント層を少なくとも有する1枚の積層体を、シーラント層を内側にして折り曲げて、折り曲げ部と本体表面積層体と本体裏面積層体を形成し、周縁をシールしてなる詰替え容器であって、前記折り曲げ部は、前記表面積層体および裏面積層体および注出ノズルシール部と共に、内容物を注ぎ出すための注出ノズルを形成しており、該注出ノズルの先端は注出ノズル先端シール部によってシールされており、前記注出ノズルシール部に設けられた開封用切目線によって分離形成された開封つまみを持って開封予定線に沿って切り離すことにより注出口を形成するものであり、前記開封予定線は、前記折曲部に対して傾斜しており、開封予定線上には、開封予定線に平行な複数の傷線からなる易カット加工が施されており、前記開封用切目線の先端部は、前記開封予定線と平行な方向に向かって折れ曲がっていることを特徴とする詰替え容器である。
【0017】
また、請求項2に記載の発明は、基材とシーラント層を少なくとも有する1枚の積層体を、シーラント層を外側にして折り曲げて底テープとし、前記本体表面積層体と本体裏面積層体の間に挿入して周縁をシールしてなるスタンディングパウチ形状としたことを特徴とする請求項1に記載の詰替え容器である。
【0018】
また、請求項3に記載の発明は、前記折り曲げ部の一部を切り開き、内容物充填用開口部としたことを特徴とする請求項1または2に記載の詰替え容器である。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る詰替え容器は、基材とシーラント層を少なくとも有する1枚の積層体を、シーラント層を内側にして折り曲げて、折り曲げ部と本体表面積層体と本体裏面積層体を形成し、周縁をシールしてなる詰替え容器であるから、プラスチックボトルや、プラスチック製の口栓を使用した容器などと異なり、軟包装用積層体のみから製造することができるため、安価に製造することができる。
【0020】
また、本発明に係る詰替え容器は、1枚の積層体を、シーラント層を内側にして折り曲げて、折り曲げ部を形成し、該折り曲げ部は、前記表面積層体および裏面積層体および注出ノズルシール部と共に、内容物を注ぎ出すための注出ノズルを形成したので、大面積の注出口を安定して確保することが可能となり、その結果円滑かつ迅速な詰め替え操作が可能となった。また、注出口の形成も容易かつ確実にできる。
【0021】
また、本発明に係る詰替え容器は、注出口を形成する開封予定線が、前記折曲部に対して傾斜しているため、容器を傾けて内容液を注出する際の操作性が良い。
【0022】
また、開封予定線上には、開封予定線に平行な複数の傷線からなる易カット加工が施されており、開封用切目線の先端部が、開封予定線と平行な方向に向かって折れ曲がっているため、開封つまみを引き上げると、積層体の裂け目が自然に開封予定線に沿って進み、所定の位置に注出口を形成することが容易に可能である。
【0023】
また、基材とシーラント層を少なくとも有する1枚の積層体を、シーラント層を外側にして折り曲げて底テープとし、本体表面積層体と本体裏面積層体の間に挿入して周縁をシールしてなるスタンディングパウチ形状とした場合には、自立性を有する大容量の詰替え容器とすることが可能となり、本発明の特徴を十分に生かせるものとなる。
【0024】
また、前記折り曲げ部の一部を切り開き、内容物充填用開口部とした場合には、他のシール部分を充填用開口部とすることができないような形状の容器であっても、安定した充填操作が可能となる。
【0025】
本発明に係る詰替え容器は、ノズルキャップを有する繰り返し使用する容器のノズルを前記注出ノズルに挿入可能とした場合、水平に保持した注出ノズルに前記繰り返し使用する容器のノズルを挿入した後に、注出ノズルが垂直になるように容器を傾けることにより、迅速な詰め替えを可能とした詰替え容器となり、本発明の効果が最大限に発揮される。すなわち、本発明に係る詰替え容器は、1枚の積層体を折り曲げた折り曲げ部の存在によって、注出口が自然に開くので、目的とする容器のノズルを挿入し易く、またノズルに合わせて注出口の寸法を設計することにより、ノズルにぴったり合った注出口とすることができる。このため、水平に保持した注出ノズルに繰り返し使用する容器のノズルを挿入した後に、注出ノズルが垂直になるように傾けることにより、迅速な詰替え操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明に係る詰替え容器の一実施態様を示した模式図である。
【図2】図2は、図1のX−X’断面を示した断面模式図であり、詰替え容器を構成する積層体の層構成を示す。
【図3】図3は、図1の注出ノズル部分の詳細を示した拡大図である。
【図4】図4は、本発明に係る詰替え容器の他の実施態様を示した模式図である。
【図5】図5は、従来の詰替え容器の一例を示した模式図である。
【図6】図6は、特許文献5に記載された軟質包装袋とその注出口を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下本発明に係る詰替え容器について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る詰替え容器の一実施態様を示した模式図である。また図2は、図1のX−X’断面を示した断面模式図であり、詰替え容器を構成する積層体の層構成を示したものである。また図3は、図1の注出ノズル部分の詳細を示した拡大図である。
【0028】
本発明に係る詰替え容器1は、図2に示したように、基材11とシーラント層12を少なくとも有する積層体からなる詰替え容器であって、図1に示したように、1枚の積層体を、シーラント層12を内側にして折り曲げて、折り曲げ部6と本体表面積層体2と本体裏面積層体3を形成し、周縁をシールしてなる詰替え容器である。
【0029】
折り曲げ部6は、表面積層体2および裏面積層体3および注出ノズルシール部24と共に、内容物を注ぎ出すための注出ノズル32を形成しており、注出ノズル32の先端は注出ノズル先端シール部25によってシールされており、開封予定線36に沿って切り離すことにより注出口31を形成する。
【0030】
注出ノズル先端シール部25の下部には、注出ノズルシール部24に設けられた開封用切目線35によって分離形成された開封つまみ34が形成されている。この開封つまみ34を持って開封予定線36に沿って切り離すことにより注出口31が形成される。
【0031】
開封予定線36は、折曲部6に対して傾斜しており、開封予定線上には、開封予定線36に平行な複数の傷線からなる易カット加工33が施されている。開封用切目線35の先端部35aは、開封予定線36と平行な方向に向かって折れ曲がっていることを特徴とする。
【0032】
本発明に係る詰替え容器における第一の特徴は、折り曲げ部6を有することである。折り曲げ部6は、1枚の積層体をシーラント層12を内側にして天部で折り曲げて形成したものであり、折り曲げ部6は、折り曲げ部6の下部に設けた注出ノズルシール部24および本体表面積層体2、本体裏面積層体3と共に、注出口31に至る内容物の流出路を形成している。折り曲げ部6における積層体の戻ろうとする弾性の働きにより、流出路の断面は、常に上部が膨らんだ状態となる。このため、注出口31の断面積を広く確保することが可能となり、一度に大量の内容物を排出することが可能となる。
【0033】
また本発明に係る詰替え容器における第二の特徴は、注出ノズルシール部24に設けら
れた開封用切目線35によって分離形成された開封つまみ34を持って開封予定線36に沿って切り離すことにより注出口31を形成するものであり、前記開封予定線36は、前記折曲部6に対して傾斜しており、開封予定線上には、開封予定線36に平行な複数の傷線からなる易カット加工33が施されており、前記開封用切目線35の先端部は、前記開封予定線36と平行な方向に向かって折れ曲がっていることである。
【0034】
開封つまみ34が、V字型等の切込によって形成されていると、注出口シール部と完全に分離しているので、ぶらぶらして不必要に引っ掛かったりする場合があるが、本発明のように切目線によって形成されている場合には、ぶらぶらしたりしないという利点がある。
【0035】
開封予定線36上には、開封予定線36に平行な複数の傷線からなる易カット加工33が施されているので、この範囲に到達した開封時の裂け目は、開封予定線36に沿って進行する確率が高い。しかし開封用切目線35の先端が単に直線で終わっていると、開封時の裂け目が開封予定線から外れてそのまま上方に進行する場合がまれにある。
【0036】
本発明に係る詰替え容器の開封用切目線35は、その先端部分35aが開封予定線36と平行な方向に向かって折れ曲がっているために、開封時の裂け目は確実に開封予定線36の方向に進行する。
【0037】
図1に示した実施態様においては、本体表面積層体2と本体裏面積層体3は、サイドシール部22とボトムシール部23においてシールされて袋状となっている。実際の容器では、内容物を充填するための充填用開口部が必要であるが図1では省略されている。図1に示された実施態様においては、ボトムシール部23ないしはサイドシール部22に充填用開口部を設けることができる。また折り曲げ部6の一部を切り開いて、充填用開口部とすることもできる。
【0038】
図1に示した実施態様においては、折り曲げ部6が詰替え容器1の上部に水平に配置されているが、詰替え容器1の側面に垂直に配置されていてもよい。
【0039】
なお開封予定線36は、開封位置を示す仮想的な線であるが、開封位置を明らかにするために、実際に印刷表示等を行っても良い。また、易カット加工33は、本体表面積層体2および本体裏面積層体3の外側面に連続して設けたハーフカット線であることが好ましい。このようにすることにより、開封予定線36の部分を手で引き裂いて注出口31を容易に形成することが可能となる。ハーフカット線は、刃物によって形成する方法と、レーザー加工によって形成する方法が一般に用いられているが、レーザー加工による方法の方が均一で安定した切れ目を形成できるので好ましい。レーザーの種類としては、炭酸ガスレーザーがより好ましい。開封予定線36は、折り曲げ部の稜線に対して垂直ではなく、図1のように斜めにすることにより、注出時の操作性が向上する。
【0040】
本発明に係る詰替え容器に使用する積層体としては、通常軟包装袋に使用される積層体を用いることができる。基材11としては、1層ないしは数層からなる紙や金属箔や合成樹脂フィルムを使用する。一例を挙げれば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリオレフィン系エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)等のポリエステル系樹脂、セロハン、三酢酸セルロース(TAC)等のセルロース系樹脂、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂(EVA)、アイオノマー樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂(PS)、ポリ塩化ビニル系樹脂(PVC)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC)、ポリカーボネート樹脂(PC)、フッ素系樹脂、ウレタン系樹脂等の合成樹脂フィルムおよび紙、金属箔等が単体または、複合して使用される。基材11には、必要に応じて印刷層や接着剤層が含まれる。
【0041】
紙としては、上質紙、片アート紙、コート紙、キャストコート紙、模造紙などを用いることができる。積層体に紙を用いた場合には、深いエンボス加工により紙に割れが生じることがあるので、本発明に係る詰替え容器に用いる場合は、凸エンボスおよび凹エンボスとして、筋状のエンボスを採用することにより、紙を用いた積層体を安定して使用することができる。環境配慮の点からも、紙を用いることは有効である。
【0042】
シーラント層12としては、ポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・αオレフィン共重合体などのエチレン系樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂などが使用される。またこれらの樹脂を複合した多層フィルムが使用されることもある。
【0043】
積層体の具体的な構成例としては、PET/印刷層/接着剤層/延伸ポリアミド樹脂フィルム(以下ONYと略す)/接着剤層/LLDPEからなる構成のフィルムや、ONY/接着剤層/LLDPE、ONY/接着剤層/ONY/接着剤層/LLDPE、紙/LDPE/アルミニウム箔/LDPE、紙/LDPEなどが挙げられる。
【0044】
図4は、本発明に係る詰替え容器の他の実施態様を示した模式図である。
この実施態様は、基材とシーラント層を少なくとも有する1枚の積層体を、シーラント層を外側にして折り曲げて底テープ4とし、本体表面積層体2と本体裏面積層体3の間に挿入して周縁をシールしてなるスタンディングパウチ形状としたものである。このような形状の場合、内容物を充填する充填用開口部をサイドシール部に設けることができないため、折り曲げ部6の一部を切り開いて、充填用開口部41としてある。このように、容器の天部に充填用の開口部が存在すると、内容物の充填操作がやり易くなる利点がある。
【0045】
スタンディングパウチ形状の容器は、底テープ4が広がるため、大容量の容器とすることが容易に可能である。従って、本発明に係る詰替え容器における注出時間が短くて済むという特徴を十分に生かすことができる。
【0046】
折り曲げ部6は、1枚の積層体をシーラント層を内側にして天部で折り曲げて、形成されており、折り曲げ部6は表面積層体2および裏面積層体3および注出ノズルシール部24と共に、注出口に至る内容物の流出路を形成している。このようにすることにより、特に内容物が液体の場合には、内容物を注出する際、内容物が直線状の流出路を円滑に流れるために、迅速な注出を可能とする。この特徴は、この実施態様においては、容器が大容量であるためにより一層効果的なものとなっている。
【0047】
図4に示した実施態様においては、開封予定線36上にレーザーによる易カット加工33が施されている。この場合の易カット加工33は、平行に設けた複数のハーフカット線である。一方注出ノズルシール部24に設けられた開封用切目線35によって開封つまみ34が切り出されている。開封用切目線35は、易カット加工33に達するように形成されており、先端部分35aが開封予定線36と平行な方向に向かって折れ曲がっている。このため開封つまみ34を手で持って上方に引き上げることにより、易カット加工33に沿って容易に開封が行われる。
【0048】
図3に示した詰替え容器を製造するには、容器の高さに相当する巾のほぼ2倍の巾にスリットした積層体をシーラント層面を内側にして天部で折り曲げて対向させ、本体表面積層体2と本体裏面積層体3とし、これを連続的に供給し、この間にシーラント層面が外側になるように二つ折りにした底テープ4を連続的に供給し、必要なシールを行った後に、打ち抜いて容器とする。
【0049】
このように、本発明に係る詰替え容器は、特別のプラスチック製の口栓等を使用せずに、大面積の注出口を確保することが可能であり、またこの注出口の大きさは、目的とする繰り返し使用容器の口栓の形状に合わせて自由に設計することができるので、迅速な詰替え操作が可能な専用詰替え容器として極めて価値の高いものである。
以下実施例に基づいて、本発明に係る詰替え容器についてさらに具体的に説明する。
【実施例1】
【0050】
本体表面積層体および本体裏面積層体として以下の構成からなる積層体を使用した。
<積層体の構成>
PET(東レ社製P60、12μm)/印刷層/接着剤層(東洋モートン社製TM272、3g/m(dry))/ONY(ユニチカ社製ONMB、15μm)/接着剤層(同上)/LLDPE(東セロ社製TUX−FCS、150μm)
底テープとして以下の構成からなる積層体を使用した。
<積層体の構成>
ONY(ユニチカ社製ONM、25μm)/LLDPE(同上、120μm)
【0051】
上記の積層体を用いて、図4に示した形状のスタンディングパウチを作製した。パウチサイズは、巾130mm、高さ260mm、底折込35mmとした。開口部の巾は、約18mmである。
充填用開口部としては、折り曲げ部の一部をカットし、充填用開口部とした。また注出ノズル先端部の注出口となるべき開封予定線上に、レーザー加工による複数のハーフカット線からなる易カット加工を施した。また注出ノズルシール部に開封用切込線を設け、その先端は、開封予定線に平行になるように折り曲げた。
こうして得られた詰替え容器の、開封性を調べたところ、100%の確率で開封予定線に沿って開封が行われ、注出口が形成されることが分かった。
【符号の説明】
【0052】
1・・・詰替え容器
2・・・本体表面積層体
3・・・本体裏面積層体
4・・・底テープ
6・・・折り曲げ部
10・・・積層体
11・・・基材
12・・・シーラント層
21・・・トップシール部
22・・・サイドシール部
23・・・ボトムシール部
24・・・注出ノズルシール部
25・・・注出ノズル先端シール部
31・・・注出口
32・・・注出ノズル
33・・・易カット加工
34・・・開封つまみ
35・・・開封用切目線
35a・・・開封用切目線先端部
36・・・開封予定線
a・・・切れ目線
b・・・V字切欠き
c・・・網点状の傷加工
41・・・内容物充填用開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材とシーラント層を少なくとも有する1枚の積層体を、シーラント層を内側にして折り曲げて、折り曲げ部と本体表面積層体と本体裏面積層体を形成し、周縁をシールしてなる詰替え容器であって、
前記折り曲げ部は、前記表面積層体および裏面積層体および注出ノズルシール部と共に、内容物を注ぎ出すための注出ノズルを形成しており、
該注出ノズルの先端は注出ノズル先端シール部によってシールされており、前記注出ノズルシール部に設けられた開封用切目線によって分離形成された開封つまみを持って開封予定線に沿って切り離すことにより注出口を形成するものであり、
前記開封予定線は、前記折曲部に対して傾斜しており、開封予定線上には、開封予定線に平行な複数の傷線からなる易カット加工が施されており、
前記開封用切目線の先端部は、前記開封予定線と平行な方向に向かって折れ曲がっていることを特徴とする詰替え容器。
【請求項2】
基材とシーラント層を少なくとも有する1枚の積層体を、シーラント層を外側にして折り曲げて底テープとし、前記本体表面積層体と本体裏面積層体の間に挿入して周縁をシールしてなるスタンディングパウチ形状としたことを特徴とする請求項1に記載の詰替え容器。
【請求項3】
前記折り曲げ部の一部を切り開き、内容物充填用開口部としたことを特徴とする請求項1または2に記載の詰替え容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−255947(P2011−255947A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133859(P2010−133859)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】