説明

誘導放出増幅光波溶着用樹脂組成物

【課題】加熱溶融加工性と分散性が良好な誘導放出光増幅光接合用樹脂組成物を提供する。更に、本発明は充分な接合強度を得ることができる誘導放出光増幅光波接合用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】モリブデンおよび銅を含む複合金属酸化物と、熱可塑性樹脂と、アルカリ金属、アルカリ土類金属および遷移金属から選ばれた金属の水酸基含有脂肪酸金属塩を含有する誘導放出光増幅光波溶着用樹脂組成物及び上記樹脂組成物を用いて得られる成形物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導放出増幅光波溶着用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、誘導放出光増幅光波を吸収する物質を配合した樹脂成形物を製造し、これに誘導放出光増幅光波を照射する事により付加価値をつける技術は様々な方法で利用されていた。近年、軽量化および低コスト化等の観点から、自動車部品等の材質を金属から樹脂に変更する事が行われている。この際、樹脂成形物の生産性向上を目的に、予め複数に分割して成形した樹脂成形物(樹脂部材)を互いに接合してひとつの部品とする等の手段が用いられる事が多いが、樹脂部材同士の接合に誘導放出光増幅光波照射による溶着方法が利用されている。たとえば、特開昭60−214931 号公報には誘導放出光増幅光波に対して透過性のある(非吸収性の)透過性樹脂部材(非吸収性樹脂部材)と、この誘導放出光増幅光波に対して吸収性のある吸収性樹脂部材とを重ね合わせた後、誘導放出光増幅光波を照射する事で透過性樹脂部材と吸収性樹脂部材との当接面同士を加熱溶融させて、両者を一体的に接合する方法が開示されている。この溶着方法では、透過性樹脂部材内を透過した誘導放出光増幅光波が吸収性樹脂部材の当接面に到達して吸収され、エネルギーとして蓄積される。その結果、吸収性樹脂部材の当接面が加熱溶融され、当接面からの熱伝達により透過性樹脂部材の当接面も加熱溶融される。この状態で加熱性樹脂部材と吸収性樹脂部材の当接面同士を圧着させれば、両者を一体的に接合する事ができる。前記の溶着方法においては、透過性樹脂部材や吸収性樹脂部材を構成する樹脂材や誘導放出光増幅光波の種類等により、接合強度に違いが生じた。具体的には、透過性樹脂部材の誘導放出光増幅光波透過率、吸収性樹脂部材の誘導放出光増幅光波の吸収発熱性、または、加熱源として用いる誘導放出光増幅光波の波長の違い等により、誘導放出光増幅光波の到達、吸収・発熱および樹脂部材同士の接合強度が異なっていた。
【0003】
更に前記の溶着方法では、誘導放出光増幅光波の吸収性樹脂部材と非吸収性樹脂部材とで色相の差があり、樹脂部材の使用用途には制限があった。具体的には、非吸収性樹脂部材は白色あるいは透明の誘導放出光増幅光波透過色であり、吸収性樹脂部材はカーボンブラック、ニグロシン等の黒色系の誘導放出光増幅光波吸収色であるため、このような異なる色の樹脂部材を接合すると異なる色相の為、色相に違和感があり、また接合力が弱く感じられるとともに、接合部が目立つという問題を有していた。
【0004】
特許文献1および特許文献2には、誘導放出光増幅光波を吸収するカーボンブラックなどの顔料を含有する吸収部材と、誘導放出光増幅光波を透過する(非吸収性の)染料または顔料を含有する透過部材により部材同士を溶着することが開示されている。しかし、これらは主に黒色系の成形物に対応したものであり、有彩色に着色した成形物を得るには不適当であった。又、イモニウム系、ナフクロシアニン系色素などの、有彩色で、特定領域波長の近赤外線を吸収するような有機色素も知られているが、樹脂に対する親和性や耐久性および耐熱性が低いため、エンジニアリングプラスチックス等の熱可塑性樹脂の混練成形加工温度では分解し、樹脂成形物に配合する発色材料としては実用上問題があった。
一方、これらの有機色素を塗料等に加工し、接合しようとする2つの非吸収性樹脂部材の接合面に塗り、誘導放出光増幅光波を照射する技術も知られているが充分な接合強度が得られず又、使用できる誘導放出光増幅光波が特定波長に限定されてしまうという欠点があった。
【0005】
又、特許文献3には、比較的広い範囲で近赤外線吸収能を有するモリブデンと銅を含む複合金属酸化物を使用した誘導放出光増幅光波接合用樹脂組成物が開示されているが、樹脂組成物中に含まれるモリブデンと銅を含む複合金属酸化物を増加させていくに伴い、樹脂組成物の加工性悪化と分散性が低下した。このため溶融混練して成形物を得る際に成形樹脂と共に混合希釈して使用する、いわゆるマスターバッチとした場合、加工性と分散性に優れ複合金属酸化物を高濃度に含有する樹脂組成物を得る事が困難であった。

【0006】
【特許文献1】特開2000−309694号公報
【特許文献2】特開2001−71384号公報
【特許文献3】WO−A1−2005000969号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、加熱溶融加工性と分散性が良好な誘導放出光増幅光接合用樹脂組成物を提供する。更に、本発明は充分な接合強度を得ることができる誘導放出光増幅光波接合用樹脂組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、モリブデンおよび銅を含む複合金属酸化物と、熱可塑性樹脂と、水酸基含有脂肪酸金属塩を含有する誘導放出光増幅光波溶着用樹脂組成物に関する。
【0009】
更に本発明は、モリブデンおよび銅を含む複合金属酸化物を5重量%よりも多く含有する上記樹脂組成物に関する。
更に本発明は、水酸基含有脂肪酸金属塩の金属が、アルカリ金属、アルカリ土類金属および遷移金属からなる群から選ばれた少なくとも一種である上記樹脂組成物に関する。
更に本発明は、水酸基含有脂肪酸金属塩が塩基性水酸基含有脂肪酸金属塩である上記樹脂組成物に関する。
更に本発明は、上記樹脂組成物を用いて得られる成形物に関する。


【発明の効果】
【0010】

モリブデンと銅を含む複合金属酸化物(以下、単に「複合金属酸化物」あるいは「Mo/Cu複合金属酸化物」と記載する場合もある。)は、可視光から赤外光の広い範囲で光吸収を示し、特に800−1200nmの広い範囲の近赤外線を強く吸収する事ができ、光の吸収により発熱する。そして、この複合金属酸化物は、へテロポリ酸としての高い酸化力を有する構造であり樹脂に含ませる事で、近赤外線照射部分において樹脂の炭化を促進するとともに、複合金属酸化物自身が淡色から黒色に変化すると同時に、発熱した複合金属酸化物が樹脂を溶融させる。
【0011】
本発明の誘導放出光増幅光波溶着用樹脂組成物は、誘導放出光増幅光波を照射する事により樹脂が溶融するので、誘導放出光増幅光波溶着用樹脂組成物から得られた成型品同士や他の樹脂部材(熱可塑性樹脂成形物)とを重ね合わせて、あるいは誘導放出光増幅光波溶着用樹脂組成物を介して2つの樹脂部材を重ね合わせて誘導放出光増幅光波を照射する事により、樹脂部材の種類を選ばずに両者を溶着・接合させる事ができる。本発明の誘導放出光増幅光波溶着用樹脂組成物を使用して溶着・接合された溶着複合成形物(以下、単に「複合成形物」という場合もある。)の溶着性は良好であり、成形物同士(本発明の成形物と他の樹脂部材、または、他の樹脂部材同士)の当接面における接合強度が高い。また、溶着・接合させた成形物同士の色相差が小さいので、接合部が目立たなくなり見た目の違和感が少ない。更に、溶着させる成形物の双方に誘導放出光増幅光波を吸収しない染顔料を含有させれば、複合成形物を同色に、または任意の色相に着色する事が可能であり、見た目の違和感が無くなり所望する色相を得る事が可能である。
【0012】
更に、誘導放出光増幅光波の照射条件により溶着のみならず描画を行う事も可能である。更に描画と溶着を同時に行う事もできる。これにより、例えば誘導放出光増幅光波の照射条件により溶着筒所を黒色に発色させて視認させる事ができので、溶着済みである事を容易に確認できる。描画と溶着は、順次、任意の順序で行う事も可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
<樹脂>
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、JIS K7210 に準拠して測定されたメルトインデックス(MI)の値が0.01−100の範囲のものを用いる事が好ましく、更に0.02−80の範囲のものを用いる事が好ましい。具体例としは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ボリビニルアセテート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル等のビニル重合体類、ポリカーボネート、ボリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポジブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸−CO−3−ヒドロキシ吉草酸)(3−ヒドロキシ酪酸と3−ヒドロキシ吉草酸との共重合体、( (3HB−3HV))、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸−CO−4−ヒドロキシ酪酸)(P(3HB−4HB)) 、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸−CO−3−ヒドロキシプロピオネート)(P(3HB−3HP))、全芳香族ポリエステル等のポリエステル類、ポリウレタンエラストマー、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキサイド等、および、これらの共重合体やこれらの混合物が挙げられる。なかでも、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリロニトリルーブタジエンースチレン 共重合体(ABS)、ポリエチレンテレフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート等の非結晶性コポリエステル、ポリカーボネート、非結晶性コポリエステルとポリカーボネートの混合物等が好ましい。
【0014】
<モリブデンと銅を含む複合金属酸化物>
本発明に用いられるモリブデン(Mo)および銅(Cu)を含有するMo/Cu複合酸化物は、誘導放出光増幅光波が照射されるとこれを吸収して発熱し、照射条件により自身が黒色変化するとともに近接する樹脂を炭化させて黒色発色させたり、樹脂の溶融を誘発して接着性を出したりする。複合金属酸化物の体債平均粒径は、下限はサブミクロンオーダーが好ましい。より低い照射エネルギーで高い効果を得るためには上限は4μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましい。体積平均粒径が小さい事により複合金属酸化物の比表面積が大きくなり、誘導放出光増幅光波を吸収し発熱する能力が高くなる。複合金属酸化物の体積平均粒径は、更に好ましくは2μm以下、特に好ましくは1.5μm以下である。ここで、本発明でいう体積平均粒径とは、マイクロトラック粒度分布測定装置UPA 250(目機装(株))で測定した積算値50%の粒度の事である。たとえば、体積平均粒径0.2μmは、d50=0.2μmで示される。
【0015】
この複合金属酸化物は、たとえば、MoとCuを含む金属酸化物材料を均質乾燥混合物にし、600℃以上の高温で数時間焼成して得る事ができる。複合金属酸化物における金属種がMoとCuのみである時(MoとCuのみからなり)、それぞれが同量の場合は、モリブデン酸第二銅(CuMoO)が形成される。焼成後、湿式または乾式粉砕により粒経を整え、更に比校的低温で仕上げ加熱処理して複合金属酸化物粒子を得る事が好ましい。
【0016】
複合金属酸化物におけるMoおよびCuの含有量は、近赤外領域の波長の光を吸収し発熱する能力が高く、黒発色または溶着が良好である観点から、それぞれが全金属含有量の20重量%以上である事が望ましく、それぞれが30重量%以上である事がより好ましい。市販品としては、(株)高純度化学研究所製のモリブデン酸銅(CuMoO)等が挙げられる。
この複合金属酸化物は、淡いレモン色である。
複合金属酸化物には分散性を改良する日的で、あるいは表面活性をコントロールする目的で、公知の各種無機・有機化合物による表面処理や粒度の調整を行ってもよい。また、不純物として金属元素が含有されていても、本発明の効果を損なわない範囲であれば構わない。
また複合金属酸化物中に色相調節、誘導放出光増幅光波吸収能の調節を目的として、MoとCu以外の金属元素を含有させてもよい。この金属元素としては、たとえば、Si、Al、Zn、Co、Fe、Cr 、Mn、W、Ti、Zr、Y、Hf、V、Nb、Ta、Sb、Snが挙げられるが、この場合は、MoとCu以外の金属を含んだMo/Cu複合金属酸化物が形成される。
【0017】
<誘導放出光増幅光波溶着用樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、複合金属酸化物と必要に応じて添加されるその他の成分(後述)とを前記熱可塑性樹脂に加え、バンバリミキサー、加熱ロール、単軸または多軸押出し機などの混練機を用いて均一に混合する事により得る事ができる。ペレット状やマーブル状等の所望の形状に成形してもよい。前記複合金属酸化物は分散性が非常に良好であるが、後述する水酸基含有脂肪酸金属塩を添加する事により複合金属酸化物濃度が高く分散性に非常に優れるマスターバッチを得る事が出来る。また、複合金属酸化物の濃度が成形物と同じ組成であるコンバウンドでも分散性は良好である 。マスターバッチの場合は、成形物製造の際に成形樹脂を添加してマスターバッチと成形樹脂を溶融混練して成形物を得る。この場合の成形樹脂としては、マスターバッチで用いた樹脂と同じ樹脂またはそれと相溶性のある樹脂を用いる事ができる。コンパウンドの場合は、希釈をせずにそのままの組成で、つまり熱可塑性樹脂組成物をそのまま溶融混練し成形物を製造できる。前記複合金属酸化物の含有量はマスターバッチの場合30重量%以下からコンパウンドの場合の0.01重量%以上が好ましい。前述の通りマスターバッチを用いて成形品を得る場合、成形樹脂に対して希釈添加するが、複合金属酸化物の含有量が高い場合、希釈添加量が相対的に少なくなるため成形時に混練が弱いと複合金属酸化物が成形品中で偏在する可能性がある。よって、前記複合金属酸化物の含有量は希釈添加量と所望する成形品の接合強度により設定する事が好ましく良好な溶着性を得る為の成形品中の複合金属酸化物含有量はとしては0.01重量%以上の範囲が好ましく、0.05重量%以上であることがより好ましく、0.1重量%以上である事が更に好ましく、0.3重量%以上であることが一層好ましい。
【0018】
<水酸基含有脂肪酸金属塩>
本発明で用いられる水酸基含有脂肪酸金属塩としては、水酸基含有脂肪酸と金属からなる化合物であり、脂肪酸あるいはその誘導体と金属あるいは金属化合物との反応や脂肪酸のアルカリせっけんと水溶性金属塩の反応等で得る事ができる。前記水酸基含有脂肪酸としては、一般にひまし油を水素添加した後、加水分解する事で得られる12−ヒドロキシステアリン酸(ひまし硬化脂肪酸)がコストや生産面から一般的である。前記水酸基含有脂肪酸金属塩の金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属、亜鉛、鉛、錫、銅、ビスマスなどの遷移金属が含まれる。水酸基含有脂肪酸金属塩の融点は樹脂の融点以下である事が好ましい。また、水酸基含有脂肪酸金属塩中に過剰に金属を含有する事で化学等量的に塩基性に調整した水酸基含有脂肪酸金属塩を使用する事がより好ましい。市販品としては、勝田加工株式会社製のEM−600、EMS−6、CS−6、ZS−6、Li−OH−St等が挙げられる。
【0019】
本発明における塩基性水酸基含有脂肪酸金属塩とは、水酸基含有脂肪酸を中和する金属が中和に要する化学量論的量より過剰にアルカリ金属、アルカリ土類金属が配合されたものである。
【0020】
水酸基含有脂肪酸金属塩の添加量は、前述のモリブデンと銅を含む複合金属酸化物の総量100重量%に対して0.1重量%以上が好ましく、上限は100重量%以下が好ましい。ただし、色相調整の為に含有する着色剤、誘導放出光増幅光波に対する感度を向上させる働きを有する化合物、充填剤(フィラー類)、難燃剤、難燃助剤等を同時に含有する場合は、これらの総量とモリブデンと銅を含む複合金属酸化物の総量を合わせた総量100重量%に対して水酸基含有脂肪酸金属塩の添加量上限は100重量%以下が好ましく、且つ、樹脂組成物中で30重量%以下が好ましい。本発明の水酸基含有脂肪酸金属塩を用いる事により、モリブデンと銅を含む複合金属酸化物を高濃度に含有すると共に加工性や分散性にも優れる樹脂組成物を得る事が可能である。特にモリブデンと銅を含む複合金属酸化物の含有量が5重量%を越える場合でも他の分散剤、例えばステアリン酸亜鉛等と比較して加工性や分散性は損なわれず良好である。
【0021】
<成形物>
本発明の成形物としては特に限定はない。具体例としては、容器、キャップ、パイプ、部品等の三次元成形物、フィルム、シート、テープ等の二次元成形物が挙げられ、成形物は多層構成を有するものでも良いし、複合成形物を構成する部品の一部でもよい。成形物はこれらの目的に応じて、射出成形、押出成形、中空成形、回転成形、粉末成形、真空成形等の公知の方法により任意の熱可塑性樹脂三次元成形物を得る事ができる。具体例としては、食品、洗剤、医薬品、化粧品、飲料製品等の容器およびそのキャップ類、自動車部品、電子部品、電気部品、電機部品、機械部品等の各種部品、建設資材等が挙げられる。二次元成形物の場合は、インフレーション加工、多層インフレーション加工、Tダイフィルム加工、フラットフィルム法による縦横同時二軸延伸法、または縦横逐次二軸延伸法、チューブフィルム法等の公知の方法で成形される。得られた2次元成形物は、食品包装、繊維包装、雑貨包装、薬品類の包装、テープ、絶縁材料、農業用フィルム、各種シート、各種シール、ラベル、カード等、通常の熱可塑性樹脂フィルムが用いられる分野と同様の分野で用いられる。また得られたフィルムは、各種基材、すなわちクラフト紙や上質紙などの紙類、プラスチックフィルム類、アルミニウム等の金属箔等と密着させて、積層品(ラミネート)とする事ができる。得られたラミネートには、牛乳、酒類等の食品容器、医薬品の包装材料、食品の包装材料、各種シート、各種シール、ラべル、カード等の用途がある。特に透明性が要求される分野においては、本発明の樹脂組成物は好適に用いられる。
【0022】
<その他の成分>
本発明の樹脂組成物や成形品は、誘導放出光増幅光波に対する感度を向上させる働きを有する化合物として、複合金属酸化物以外の金属酸化物、無機塩、金属単体、水酸化物等の公知の化合物を更に含有する事ができる。金属酸化物として具体的には、シリカ、酸化チタン、アルミナ、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化コバルト、酸化鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化バラジウム、酸化ランタン、合成ゼオライト、天然ゼオライト等が挙げられる。層状構造を有するマイカ、モンモリロナイト、スメクタイト、タルク、クレー等を用いる事もできる。
無機塩として具体的には、炭酸カルシウム、炭酸銅、炭酸ニッケル、炭酸マンガン、炭酸コバルト、炭酸ランタン、硝酸マグネシウム、硝酸マンガン、硝酸鉄、硝酸カドミクム、硝酸亜鉛、硝酸コバルト、硝酸鉛、硝酸ニッケル、硝酸銅、硝酸パラジウム、硝酸ランタン、酢酸マグネシクム、酢酸マンガン、酢酸カドミクム、酢酸亜鉛、酢酸コバルト、酢酸鉛、酢酸ニッケル、酢酸銅、酢酸パラジウム等が挙げられる。金属単体として具体的には、鉄、亜鉛、スズ、ニッケル、銅、銀、金等が挙げられる。水酸化物として具体的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化アンチモン、水酸化コバルト、水酸化ニッケル、水酸化鉄、水酸化ランタン等が挙げられる。本発明の樹脂組成物または成形物には、必要に応じて他の公知の添加剤を加える事ができる。そのような添加剤としてはたとえば、他の着色剤、充填剤(フィラー類)、滑剤、可塑剤、耐熱剤、耐候剤、離型剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤等が挙げられる。
【0023】
使用できる着色剤には特に制限はないが、たとえばカーボンブラック、フタロシアニン、モノアゾ化合物、ジスアゾ化合物、縮合アゾ化合物、アゾメチン、またはメチンキナリドン、アントラキノン、フラバントロン、ペリレン、ペリノン、ジオキサジン、複素環系等の各種有機染顔料、二酸化チタン、酸化亜鉛、べンガラ、酸化クロム、鉄黒、コバルトブルー、黄色酸化鉄、硫化亜鉛、ホワイトカーボン、含水ケイ酸アルミニウム、カオリン、クレー、ゼオライト、フェロケイ酸マグネシウム、タルク、群青、アルミナホワイト、硫酸亜鉛、沈降性硫酸バリウム、炭酸カルシウム、フェロシアン化顔料、リン酸塩顔料、複合酸化物系顔料、パール系顔料等の無機染顔料が挙げられる。これらの有機および無機染顔料等の着色剤は、用途に応じて適宜組み合わせて用いられる。
【0024】
本発明で使用きれる複合金属酸化物は淡色であり且つ少量の添加で効果があるため、前記のような着色剤を添加する事により、着色剤の作用が妨げられる事がなく成形物を所望の色相に着色する事ができる。ただし、使用する誘導放出光増幅光波に対して十分な透過性を示す着色剤を選択する事が好ましい。そして、誘導放出光増幅光波に対する透過性樹脂成形物と吸収性樹脂成形物(本発明の成形物)とを同色になるよう調色する事により、これらを溶着させた場合、接合部に違和感のない複合成形物を得る事ができる。
【0025】
充填剤の例としては炭酸力ルシウム、アルミナ、ガラス繊維等、通常樹脂に用いられる充填剤が挙げられる。これらは発色した描画の鮮明性に影響を与えない範囲、たとえば成形物において0.001〜3重量%の範囲で添加される。
【0026】
滑剤としては、高級アルコール、脂肪酸アミド、高級脂肪酸およびそのエステル、カルナウバワックス、ポリエチレンワックス、グリセリンワックス、モンタン酸エステル等のワックス類および各種界面活性剤が用いられる。これらは成形物に対して0.001〜5重量%の割合で添加される。
【0027】
可塑剤としては、たとえばフタル酸、トリメリット酸、アジピン酸、リン酸、セバシン酸等のエステル系、ポリエステル系、エポキン系等が挙げられる。
その他、フェノール系、リン系等の酸化防止剤、ヒンダードアミン系等の光安定剤、熱安定剤、リン系、臭素系、塩素系、無機系、シリコン化合物等の難燃剤、低分子型、高分子型帯電防止剤等、通常プラスチック加工の際に常用されている添加剤を添加してもよい。これらの添加剤は、本発明の樹脂組成物を製造する際に添加してもよいし、樹脂組成物の成形の際に添加してもよい。
【0028】
更に、本発明の樹脂組成物をそのまま、または樹脂組成物を用いてインキや塗料を調製してそれを基材に塗布または印刷して基材に描画する事や基材同士を溶着・接合させる事も可能である。換言すると、本発明の樹脂組成物は、水、トルエン、イソプロピルアルコール、酢酸エチル等の溶剤中に複合金属化合物と樹脂成分、各種添加剤を溶解・分散させて得たインキや塗料であってもよい。
【0029】

<誘導放出光増幅光波の照射方法>
誘導放出光増幅光波としては、たとえば誘導放出光増幅光波の活性媒質として炭酸ガスを用いた誘導放出光増幅光波(波長10600nm)等の遠赤外線、コアにエルビウムイオンなどの希土類イオンをドーブしたファイバを用いた誘導放出光増幅光波(たとえば波長1100nm)等の近赤外線、バナジウム酸イットリウムやイットリウム−ガリウム−アルミニウム等の結晶を用いた誘導放出光増幅光波(波長1064nm)等の近赤外線、およびその第二次高調波(波長約532nm)等の可視光、更に、ガリウム−ヒ素−アルミニウム等の半導体素子を用いた誘導放出光増幅光波(たとえば波長840nm)等の近赤外線が挙げられる。
【0030】
<成形物の溶着方法および複合成形物>
溶着方法の一例を図1に示す。誘導放出光増幅光波に対する光透過性樹脂成形物(第一樹脂部材)1と、誘導放出光増幅光波に対する光吸収性樹脂成形物(第二樹脂部材;本発明の成形物)2との溶着したい箇所を重ね合わせた後、誘導放出光増幅光波3を照射する(図1では5本のライン状に照射)。すると、照射箇所において、光吸収性樹脂成形物2に含まれる複合金属酸化物が誘導放出光増幅光波を吸収し発熱して、光吸収性樹脂成形物2と光透過性樹脂成形物1との当接面同士を加熱溶融させる。その結果、溶着箇所5にて両者が一体的に溶着する事により、複合成形物6が得られる。なお、図1では、光透過性樹脂成形物1側から誘導放出光増幅光波3を照射しているが、成形物2の厚みが非常に薄い場合など、誘導放出光増幅光波3が成形物1と成形物2の当接面に有効に到達する限りにおいて、光吸収性樹脂成形物2側から誘導放出光増幅光波3を照射する事もできる。光透過性樹脂成形物あるいは光透過性樹脂部材とは、誘導放出光増幅光波をほとんど吸収せずに実質的に透過させる性質を有する熱可塑性樹脂を用いて得られたものであり、本発明で用いられる複合金属酸化物やその他の光吸収剤を含まないものである。光透過性樹脂成形物において用いられる樹脂の種類になんら限定はなく、複合成形物の用途等を考慮して、適宜選択されるが、光透過性樹脂成形物と光吸収性樹脂成形物とを溶着させるためには、両者に用いられる熱可塑性樹脂の溶融温度が近接している事が好ましいので、本発明の光吸収性樹脂成形物に用いられたと同じ熱可塑性樹脂を光透過性樹成形物にも用いる事がより好ましく、異なる樹脂を用いる場合は、溶融温度が近接した熱可塑性樹脂を選択する事が好ましい。必要に応じて、前記した光吸収剤以外のその他の成分を樹脂に添加する事もできる。本発明で用いられる複合金属酸化物は、近赤外域の光吸収性が高いため、より高い接着性を得るためには、近赤外域の誘導放出光増幅光波を用いる事が好ましい。一方、多くの樹脂は近赤外域の光に対し透過性を有する事から、本発明の複合成形物は、溶着用途、すなわち誘導放出光増幅光波透過性樹脂成形物用途に有効である。
【0031】
但し、照射する誘導放出光増幅光波による単位面積・単位時間当たりの照射エネルギーが過剰な場合、樹脂の溶融温度を超え、ヤケ、炭化、発抱に至り、溶着が困難となるため、樹脂の種類等に応じて最適の照射条件を適宜設定する必要がある。
【0032】
本発明の複合成形物の例としては、前記記載の本発明の成形物における例示と同じであり、容器、キャップ、パイプ、部品等の三次元成形物、フィルム、シート、テープ等の二次元成形物等が挙げられる。
【0033】
三次元成形物は、その成形物に応じて射出成形、押し出し成形、中空成形、回転成形、粉末成形、真空成形等公知の方法で成形される。その具体例としては、自動車、電機、電子部品、建設資材等が挙げられる。
【0034】
二次元成形物は、熱可塑性樹脂のフィルム化に用いられるインフレーション加工、多層インフレーション加工、Tダイフィルム加工、フラットフィルム法による縦横同時で軸延伸法、または縦横逐次二軸延伸法、チューブフィルム法等の公知の方法で成形される。このようにして得られた二次元成形物は食品包装、繊維包装、雑貨包装、薬品類の包装、テープ、絶縁材料、農業用フィルム、各種シート、各種シール、ラベル、カード等、通常の熱可塑性樹脂フィルムが用いられる分野と同様の分野で用いられる。
【0035】
<実施例>
次に、本発明を具体的に実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の記載において、部は重量部を、%は重量%をそれぞれ表す。
本実施例において成分(イ)として用いた樹脂および(ウ)として用いた水酸基含有脂肪酸金属塩種類の製造元と商品名を以下に示す。
PET;イーストマンケミカル社製「イースター PETG6763」
PLA;三井化学社製「レイシアH-100」
PC;三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロンS3000」
12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム;勝田加工社製 EM−600
塩基性12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム:勝田加工社製 EMS−6
12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛:勝田加工社製 ZS−6
12−ヒドロキシステアリン酸リチウム:勝田加工社製 Li−OH−St
12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム:勝田加工社製 CS−6
【0036】
<誘導放出光増幅光波溶着用樹脂組成物>
1.誘導放出光増幅光波溶着用樹脂組成物の製造
【0037】
(実施例1−9)
表1に示した成分(ア):モリブデン/銅−複合金属酸化物(株式会社高純度化学研究所製 粒度調整品、淡黄色、ジェットミルにて体積平均粒子径約3μmに調整)、成分(イ):樹脂、成分(ウ):水酸基含有脂肪酸金属塩、総量100重量%として均一混合し、二軸押出機(池貝鉄鋼製PCM30;スクリュ径約30mm、L/D約42)を用い、スクリュ回転数250rpmにて溶融混練して、誘導放出光増幅光波吸収性樹脂組成物を得た。溶融混練の際の設定温度は、成分(イ)がポリカーボネート(PC)の場合は280℃、ポリエチレンテレフタレート(PET)の場合は240℃、ポリ乳酸(PLA)の場合は200℃で行った。
【0038】
(実施例10)
キナクリドン0.2重量%を加える他は、実施例1−8と同様にして、表1に示した各成分を総量100重量%として均一に混合し、赤色に着色された誘導放出光増幅光波吸収性樹脂組成物を得た。
【0039】
(比較例1−6)
表2に示した成分を用いて、誘導放出光増幅光波吸収性樹脂組成物と同様にして樹脂組成物を得た。
【0040】
2. 評価
<評価方法および評価基準>
誘導放出光増幅光波用樹脂組成物製造時、「樹脂組成物加工性」と得られた組成物の「分散性」を評価し表3および表4に纏めた。
【0041】
(1)樹脂組成物加工性評価
二軸押出機(株式会社池貝製PCM30;スクリュ径約30mm、L/D約42)から吐出される樹脂組成物の(糸状物質で一般的にストランドと呼ぶ)の状態を評価した。
A:冷却水槽に継続して安定的にストランドを浸け、ペレットを得る事ができる
B:ストランドが細くなるが冷却水槽に継続して安定的に浸け、ペレットを得る事ができ

C:組成物が激しく劣化してストランドを容易に冷却水槽に浸け、継続してペレットを得
る事ができない
【0042】
(2)分散性評価
目開き約40μmの金網を装填した小型押出し機(東洋精機社製ラボプラストミル スクリュ径20mm スクリュ形状 フルフライト シリンダ設定温度 PC、PETは300℃、PLAは250℃)に定常状態を得る為、ポリエチレン(種類、特性は特に規定しない)を通過させ、その時の樹脂圧を読み取る。その後顔料換算量で30gの着色樹脂組成物を通過させる。その後先に使用したポリオレフィンを0.3MPa程度の振幅内に安定する通過させ、先の樹脂圧との差圧を測定する事で評価した。
1:差圧が5MPa以下で、分散性が極めて良好
2:差圧が5〜10MPaの範囲で実用上問題ない分散性
3:金網部で試料による目詰まりが発生し規定量の試料を通過させる事が出来ないか、差圧が10MPa以上の分散性
なお、本組成物を用いて溶着複合成形物を製造し、その接合強度を確認した。
【0043】
<接合強度と複合成形物における接合部色相評価>
1.光透過性樹脂材第一樹脂部材および光吸収性樹脂組成物である第二樹脂部材の製造
(接合強度と複合成形物における接合部色相評価例 評価例A−G)
表5に示した通り「1.誘導放出光増幅光波用樹脂組成物の製造」で用いた樹脂組成物の成分(イ):樹脂のみを、射出成形機を用いて幅W:20mm、長さL:180mm、厚みD:2mmの板状に形成し、誘導放出光増幅光波透過性樹脂部材である第一樹脂部材を各々得た。更に「1.誘導放出光増幅光波用樹脂組成物の製造」で得られた誘導放出光増幅光波に対する光吸収性樹脂組成物を用いて第二樹脂部材を得た。このときの設定温度は、前記成分(イ)がPCの場合は280℃;PETの揚合は240℃で;PLAの場合は200℃で行った。
【0044】
(接合強度と複合成形物における接合部色相評価例 評価例H)
PET99.8重量%、キナクリドンレッド0.2重量%を均一混合し、直径30mmの二軸押出機を用い、スクリュ回転数250rpm、設定温度160℃にて溶融混練して、赤着色した樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、射出成形機を用い、幅W:20mm、長さL1:80mm、厚みD:2mmの板状に形成し、誘導放出光増幅光波に対する光吸収性樹脂組成物である第一樹脂部材を得た。更に「1.誘導放出光増幅光波用樹脂組成物の製造」で得られた誘導放出光増幅光波に対する光吸収性樹脂組成物を用いて第二樹脂部材を得た。
【0045】
2.溶着複合成形物の製造
前記得られた各第一樹脂部材と第二樹脂部材とを、図3に示すように、第一樹脂部材1を上面、第二樹脂部材2を下面として‘長さL2が40mmとなるように重ね合わせ、機械的クランプ装置により圧接した状態で保持した。続いて、上面側から誘導放出光増幅光波4をライン状に照射して、第一樹脂部材と第二樹脂部材とを溶着させた。評価例A−F、Hではガリウム−ヒ素−アルミニウム半導体誘導放出光増幅光波の波長840nm、評価例Gではイットリウム−ガリウム−アルミニウム結品誘導放出光増幅光波の波長1064nmの近赤外線を用いた。誘導放出光増幅光波溶着条件は、出力40W、走査速度40mm/sec、スポット径0.6mm固定であった。照射は、板状成形物の幅方向に溶着距離20mm、スポット径0.6mm、照射間隔6mmで行って、隣接する5本の直線を描き、5本の溶着箇所5を得た。
【0046】
3.評価結果
得られた溶着複合成形物を下記手順で評価した結果、良好な接着強度と色相を得られる事を確認した。
(1)接合強度評価
接合強度測定には引張試験器TENSILON/UTM−III−500を用い、各試験片の両端を固定し、接合部位に引張せん断応力が発生するように引張試験を行った。なお、強度測定時の引張試験速度は1mm/分で実施した。また、接合強度は接合部位が破断する時の状態で判断した所、何れの成形物でも接合強度が400N以上で強く接合できた。
【0047】
(2)複合成形物における接合部位の色相評価
複合成形物における成形物の一体感を第一成形部材と第二成形部材との接合部における色相差を目視観察する事で評価した所、何れの成形物でも第一部材と第二部材に色相差が無く接合部に違和感が無かった。
【0048】
<産業上の利用可能性>
本発明の誘導放出光増幅光波用樹脂組成物ならびにその成形物は、加熱溶融加工性が良好で含有する複合金属酸化物が良好な分散性を有しており、他の樹脂部材との色相差が小さいので所望の色相に調整可能であり、更に誘導放出光増幅光波の照射条件により樹脂を炭化させずに溶融状態に至らしめる事ができ、特定の波長に限定する事無く様々な波長の誘導放出光増幅光波の照射により他の樹脂部材(誘導放出光増幅光波透過性樹脂部材)と溶着して、あるいは他の樹脂部材同士(誘導放出光増幅光波透過性樹脂部材同士)を溶着させて充分な接合強度を得る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1 は、誘導放出光増幅光波を用いた溶着方法の一例を表す概略図である。
【図2】図2 (a)は、実施例および比較例で用いた接合強度測定用試験片の立面図であり、同(b)は、その側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モリブデンおよび銅を含む複合金属酸化物と、熱可塑性樹脂と、水酸基含有脂肪酸金属塩を含有する誘導放出光増幅光波溶着用樹脂組成物。
【請求項2】
モリブデンおよび銅を含む複合金属酸化物を5重量%よりも多く含有する請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
水酸基含有脂肪酸金属塩の金属が、アルカリ金属、アルカリ土類金属および遷移金属からなる群から選ばれた少なくとも一種である請求項1又は2いずれか記載の樹脂組成物。
【請求項4】
水酸基含有脂肪酸金属塩が塩基性水酸基含有脂肪酸金属塩である請求項1〜3のいずれか1項記載の樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の樹脂組成物を用いて得られる成形物。








【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−191607(P2007−191607A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−12080(P2006−12080)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】