説明

誘電体バリア放電灯装置

【課題】誘電体バリア放電灯を配光不良を生じさせることなく、広い調光範囲で調光可能にする。
【解決手段】 山が大きい突部131a,132a相互間の間隔は狭く、山が小さい突部131b,132b相互間の距離は大きい。これにより、突部131b,132b相互間では突部131a,132a相互間よりも放電しにくい。ランプ電圧を低くすると、突部131a,132a相互間のみにおいて放電することになり、調光が可能である。この場合でも、突部131a,132aは、ガラスバルブ11aの長軸方向の全域に分散配置されており、配光不良が生じることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容量性を有する放電灯を点灯させる誘電体バリア放電灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、スキャナー等の読み取り用光源として、外面電極蛍光ランプを採用することがある。外面電極蛍光ランプは、環境負荷が高い水銀を使用していない点、周囲温度による光量変化が少ない点、発熱が少ない点、蛍光体を選択することにより発光色を変えることができる点等の特徴を有する。
【0003】
外面電極蛍光ランプの点灯電圧は、高周波を発生するインバータ回路によって得られる。この場合において、インバータ回路を構成するプッシュプル回路の周波数を変化させることで、外面電極蛍光ランプの調光が可能である。
【0004】
更に、本件出願人は先に出願した特許文献1において、プッシュプル回路のスイッチングを負帰還制御する第1の制御手段、スイッチングの制御による高周波出力を変化させて調光する第2の制御手段及び外面電極蛍光ランプに印加される電圧ピーク値を制御する第3の制御手段を備えることにより、調光範囲を広げることを可能にした提案を行っている。
【特許文献1】特開2002−203699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、外面電極蛍光ランプは、バルブ外面に電極を有しており、電極とバルブとによって容量負荷を構成する。なお、バルブの内外面に電極を構成した内外面電極放電灯においても容量負荷となる。これらのランプは誘電体バリア放電によって点灯しており、誘電体バリア放電灯と呼ばれる。
【0006】
誘電体バリア放電灯においては、ランプの点灯電圧及び電流に変化が無い場合でも、ランプの温度特性によって、点灯開始から所定時間経過すると光量に変化が生じてしまう。しかも、このような時間経過に伴う光量の変化は、調光率毎に異なる特性となる。
【0007】
例えば、光量を増大させるために、点灯電圧を上げると、ランプの損失も大きくなり、バルブ内に封入された希ガスの温度上昇が促進されて効率が低下してしまう。これにより、光量の低下が大きくなってしまう。逆に、光量を低下させるために、点灯電圧を下げると、ランプの損失も小さくなり、希ガスの温度上昇が抑制されて効率が高くなる。即ち、この場合には、光量が増大する傾向となる。
【0008】
このため、誘電体バリア放電灯をスキャナー等の読み取り用光源として用いる場合には、特性の変化が比較的小さい調光範囲での使用に限られる。
【0009】
また、スキャナー等の読み取り用光源として用いられる誘電体バリア放電灯は、細長い筒状のバルブを採用している。ところが、調光を行うために、例えばランプ点灯電圧を低下させると、長軸方向の両端側で光量が低下し、配光不良が生じることがある。
【0010】
これらの理由から、十分広い調光範囲での使用が困難であるという問題点があった。例えば、誘電体バリア放電灯をスキャナー等の読み取り用光源として用いる場合には、調光率として100〜80%程度の範囲でしか使用することができなかった。
【0011】
本発明は、広い調光範囲での使用を可能にすることができる誘電体バリア放電灯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る誘電体バリア放電灯装置は、希ガスを封入した円筒形状の放電バルブと、前記放電バルブの外周面に対向配置して相互に第1及び第2の間隔で設ける一対の電極であって、前記第1の間隔を得るための第1の形状と前記第1の間隔よりも広い第2の間隔を得るための第2の形状とを有し、前記放電バルブの長軸方向には複数の前記第1及び第2の形状部分を交互に配置した外部電極とを具備した誘電体バリア放電灯を有することを特徴とする。
【0013】
本発明においては、第2の形状の位置では、一対の電極相互間の間隔が第1の形状部分よりも広い。従って、第1の形状部分の方が第2の形状部分よりも放電しやすい。例えば、比較的低いランプ電圧が供給されると第1の形状部分のみにおいて放電が行われる。第1の形状及び第2の形状は、放電バルブの長軸方向には交互に分散して配置している。従って、第1の形状の部分のみにおいて放電が行われる場合でも、放電バルブの長軸方向の全域において放電が行われることになる。こうして、配光不良を生じることなく、2種類の調光率での点灯を行う。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、広い調光範囲での使用を可能にすることができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る誘電体バリア放電灯装置に採用される誘電体バリア放電灯である外面電極放電灯の周面を示す側面図であり、図2はその縦断面図である。なお、図1(a),(b)は夫々図2の矢印C方向又はD方向から見た側面を示し、図2(a),(b)は夫々図1のA−A’線又はB−B’線にて切断した断面形状を示している。また、図3は透光性樹脂シート15の展開図である。図4は図1の誘電体バリア放電灯の等価回路図である。
【0016】
本実施の形態においては、放電灯として誘電バリア放電灯である外面電極放電灯を採用する。本実施の形態は十分に大きな調光範囲での点灯制御を可能にするものであり、例えば、100%調光と50%調光との2種類の調光率での点灯を可能にする。
【0017】
先ず、図1乃至図4を参照して、このような2種類の調光率での点灯が可能な外面電極放電灯の構造について説明する。
【0018】
放電灯は、透光性バルブであるガラスバルブ11aの外面に、放電を生起させるための1対の電極131,132(図2の塗り潰し部)を有している。誘電体バリア放電灯では、電極131,132の少なくとも1つをガラスバルブ11aの外面に設けている。ガラスバルブ11aの内面には発光層を設け、ガラスバルブ11aの内部に希ガスを封入する。
【0019】
即ち、図2の断面図に示すように、放電灯は、放電容器11、蛍光体層12、1対の外部電極131,132、アパーチャ14、透光性樹脂シート15及び透光性絶縁チューブ16を有している。
【0020】
放電容器11は、細長く、両端が気密に封止された例えば直径10mm、実効長さ370mmのガラスバルブ11aからなり、一端に排気チップオフ部11bを有する。放電容器11の内部には、放電媒体としてキセノンを封入している。蛍光体層12は、放電容器11の内面に長手方向に沿ったスリット状の部分(アパーチャ14)以外の部分に形成する。
【0021】
本実施の形態においては、蛍光体層12は、図2の紙面下方側において厚さが薄い薄膜部12aと、紙面左右側において厚さが厚い厚膜部12bとを有している。
【0022】
1対の外部電極131,132は、夫々アルミ箔からなり、図1に示すように、離間対向させて放電容器11の外面に貼着する。外部電極131,132は、予め後述する透光性樹脂シート15の一面に粘着し、透光性樹脂シート15を放電容器11の外周に巻き付けることによって放電容器11の外面の所定位置に配設するようになっている。外部電極131,132は、図4に示すように、電極主部13a、端子接続部13b及び端子13cを有する。
【0023】
本実施の形態においては、電極主部13aは、ガラスバルブ11aの長軸方向に、鋸歯状の凹凸形状を有する。即ち、図1に示すように、外部電極131は高い山と低い山との2種類の突部131a,131bが交互に配置された鋸歯形状を有する。また、同様に、外部電極132は高い山と低い山との2種類の突部132a,132bが交互に配置された鋸歯形状を有する。
【0024】
図2のC方向から見た図1(a)の側面図に示すように、突部131aは、ガラスバルブ11aの周面上端から下端の大部分の領域に形成され、突部131bは、ガラスバルブ11aの周面上端側のみに形成される。なお、図2(a)は突部131b部分における断面構造を示し、図2(b)は突部131a部分における断面構造を示している。なお、突部132a,132bは、突部131a,131bと同様の形状で、ガラスバルブ11aの周面の対向する位置に、形成されている。
【0025】
図1(b)は図2のD方向から見たガラスバルブ11の側面図であり、高い山の突部131a,132a同士及び低い山の突部131b,132b同士が対向配置されている様子を示している。
【0026】
図3に示すように、鋸歯状に形成された外部電極131,132は、放電容器11の長手方向の大部分にわたり延在するように構成している。端子接続部13bは、電極主部13aの一端に接続して配設し、端子13cとの接触面積が大きくなるように方形状に形成している。端子13cは、端子接続部13bに導電性接着剤により接着する。端子13cは、透光性樹脂シート15及び透光性熱収縮チューブである透光性絶縁チューブ16から外部に突出している。
【0027】
アパーチャ14は、放電容器11の長手方向に沿って、蛍光体層12を形成していないスリット状部分である。従って、放電容器11のアパーチャ14の部分は、ガラスバルブ11aを介して放電容器11の内部が素通しになって見える。
【0028】
透光性樹脂シート15は、透明なPETからなり、放電容器11の実質的全長にわたる長さで、かつ放電容器11の周囲方向に対してアパーチャ14の上から被覆するような幅を有している。上述したように、一面に1対の外部電極131,132を所定間隔で貼着している。更に、その上にアクリル系粘着材を塗布して、放電容器11の外面に貼着している。これにより1対の外部電極131,132は、アパーチャ14を挟んでその両側の位置に配設され、アパーチャ14の上に透光性樹脂シート15が貼着される。
【0029】
透光性絶縁チューブ16は、透明フッ素系樹脂からなり、外部電極131,132及びアパーチャ14の上から放電容器11の全周を被覆している。
【0030】
放電灯の等価回路は、図4に示すように、コンデンサCin1と負荷抵抗RL及びコンデンサCin2の直列回路と、コンデンサCout1とコンデンサCout2の並列回路を有する。コンデンサCin1,Cin2は、外部電極131,132と放電容器11の内面との間に形成される静電容量である。従って、コンデンサCin1,in2の静電容量は、外部電極131,132の面積、放電容器11の構成材料であるガラスの比誘電率及び厚さにより決定する。このように、放電灯は、容量性を有する。
【0031】
図1に示すように、高い山の突部131a,132aの先端近傍位置におけるガラスバルブ11aの内周面には、蛍光体層12の薄膜部12aを形成している。また、低い山の突部131b,132bの先端近傍位置におけるガラスバルブ11aの内周面には、蛍光体層12の厚膜部12bを形成している。
【0032】
図1乃至図3に示す放電灯は、一対の電極131,132の印加電圧によって発生する電界に応じて放電する。外部電極131,132は鋸歯状の形状を有しており、電界は鋸歯形状の山の先端、即ち、突部131a,132a,131b,132bの先端に集中し、隣り合った突部131a,132a同士又は突部131b,132b同士の間で放電路が形成される。この場合には、対向する電極同士の距離が短い方が放電しやすい。つまり、突部131a,132a同士の方が突部131b,132b同士よりも、低いランプ電圧で放電を開始する。
【0033】
また、蛍光体層12は、放電時の抵抗要素となっている。厚い蛍光体ほど、放電を妨げる。本実施の形態においては、突部131a,132aの先端近傍には、薄い膜厚の薄膜部12aを形成しており、この部分において比較的放電しやすい。一方、突部131b,132bの先端近傍には、厚い膜厚の厚膜部12bを形成しており、この部分においては比較的放電しにくくなっている。
【0034】
このような構成の放電灯においては、十分に高いランプ電圧を印加すると、外部電極131,132の全域において、突部131a,132a同士及び突部131b,132b同士の間で放電路が形成される。こうして、この場合には、ガラスバルブ11aの全域において、十分な光量での点灯が行われる。
【0035】
一方、ランプ電圧が所定値よりも小さい場合には、外部電極131,132のうち、先端相互間の距離が比較的大きい突部131b,132b相互間においては放電が発生せず、先端相互間の距離が比較的小さい突部131a,132a相互間においてのみ放電が生じる。外部電極131,132は、高い山の突部131a,132aが、間に突部131b,132bを介在させながら、ガラスバルブ11aの長軸方向の全域に略均等に配置されており、突部131a,132a相互間のみの放電によっても、ガラスバルブ11aの長軸方向の全域において、略均一な発光が生じる。また、この場合には、突部131a,132a相互間及び突部131b,132b相互間の全てで放電が行われる場合を100%調光とすると、例えば50%調光での点灯が行われる。
【0036】
なお、蛍光体層12が突部131a,132aの先端近傍において薄膜部12aを有し、突部131b,132bの先端近傍において厚肉部12bを有しているので、突部131a,132a相互間においては一層放電しやすく、突部131b,132b相互間においては一層放電しにくくなっており、ランプ電圧の変化に応じた放電制御を一層確実なものとすることができ、100%調光と50%調光とを確実に制御することができる。
【0037】
このように、本実施の形態において採用する誘電体バリア放電灯は、放電しやすい外部電極の突部を長軸方向に略均等に分散配置しており、ランプ電圧を変更することで、配光不良を生じることなく例えば50%調光での点灯が可能である。
【0038】
図5は図1乃至図3に示す誘電体バリア放電灯を点灯させるための放電灯点灯装置を示す回路図である。
【0039】
図1乃至図3に示す誘電体バリア放電灯は、2種類のランプ電圧を供給する必要がある。図5の放電灯点灯装置は、このような2種類のランプ電圧を安定的に供給可能にするものである。
【0040】
図5において、放電灯点灯装置21は、電圧制御回路を構成するチョッパ回路28と、インバータ回路を構成するプッシュプル回路23とを有している。チョッパ回路28には、直流電源DP11及び点灯制御スイッチSW11を接続している。直流電源DP11は例えば電圧24Vであるが、この電圧は±数%程度変動することもあるので、チョッパ回路28により電圧の安定化を図っている。即ち、直流電源DP11の出力はチョッパ回路28に供給する。チョッパ回路28は、入力電圧を昇圧又は降圧して、点灯制御スイッチSW11のオンオフに応じた直流の出力電圧を発生する。
【0041】
本実施の形態においては、チョッパ回路28は、点灯制御スイッチSW11がオンの場合とオフの場合とで、夫々異なる電圧値の2種類の出力電圧を発生する。
【0042】
プッシュプル回路23は、例えば並列に2個の電界効果トランジスタ(図示せず)を有して構成される。各トランジスタの2つの出力端は、トランス24の1次コイルの両端に接続する。
【0043】
昇圧トランス24の2次コイルには、放電灯6及び抵抗R13の直列回路を接続する。放電灯6としては、図1乃至図3に示した外面電極放電灯を採用する。チョッパ回路28の正極性出力端は昇圧トランス24の1次コイルの中点に接続し、負極性出力端は昇圧トランス2の2次コイルの一端に接続する。
【0044】
放電灯6と昇圧トランス24の2次コイルの一端に接続された抵抗R13との接続点には、ダイオードD11のアノードを接続する。ダイオードD11カソードは、時定数回路26を介して基準電位点に接続する。時定数回路26は、抵抗R16とコンデンサC11を直列接続して構成する。
【0045】
また、時定数回路26には並列に抵抗R17を接続する。抵抗R16,R17の接続点は、チョッパ回路28の制御端子に接続する。抵抗R16,R17の接続点にはランプ電流に応じた電流が流れ、この電流(制御電流)をチョッパ回路28の制御端子にフィードバックさせることで、チョッパ回路28は安定したランプ電圧を発生するようになっている。
【0046】
次に、このように構成された点灯装置21の動作を図6の波形図を参照して説明する。図6(a)乃至(f)は夫々図5中の(a)乃至(f)点における電圧,電流波形を示している。
【0047】
チョッパ回路28は、点灯制御スイッチSW11のオフ時に、放電灯6を100%調光させるのに必要な電圧を発生し、点灯制御スイッチSW11のオン時に、放電灯6を50%調光させるのに必要な電圧を発生するものとする。
【0048】
いま、点灯開始時において、点灯制御スイッチがオフであるものとする。時点t1で電源が投入されると、図6(b)に示すように、チョッパ回路28の出力である(b)点の電位Vbが、時点t1から少し遅れた時点t2から点灯開始時の所定電圧Vb1となる。この電圧は昇圧トランス24の1次側中点に印加する。
【0049】
一方、プッシュプル回路23は、トランス24の1次側コイルの両端に、図6(d),(e)に示すように、互いに逆極性の駆動パルスを加えている。これにより、図6(c)に示すように、昇圧トランス24にて昇圧された電圧が所定の電圧に達して、その時点t3で、放電灯6が点灯する。
【0050】
放電灯6が点灯すると抵抗R13に電流が流れ、ダイオードD11を介して時定数回路26に電流が流れる。そして、この電流は、抵抗R16,R17の接続点からチョッパ回路28の制御端子にフィードバックされる。
【0051】
放電灯6は、始動時には定常状態よりも若干高い電圧を印加する必要があり、チョッパ回路28は、若干高い電圧Vb1を出力して放電灯が点灯すると、時点t4において出力電圧を定常時の電圧Vb2まで低下させる。
【0052】
チョッパ回路28は、制御端子にフィードバックされる制御電流が大きくなると、出力電圧Vbを下降させ、制御電流が小さくなると、出力電圧Vbを増加させる。こうして、チョッパ回路28は、100%調光に必要な電圧Vb2に定電圧制御される。
【0053】
このように、点灯開始から所定時間(t1〜t4)までは、放電灯6には比較的高い電圧を印加し、時点t4以降ではこの電圧よりも低い電圧を放電灯6に印加する始動制御を行う。
【0054】
この100%調光時には、放電灯6は、図1乃至図3に示す外部電極131,132の突部131a,132a相互間及び131b,132b相互間の全てで放電状態となり、十分な明るさで点灯する。
【0055】
ここで、50%調光を行うために、点灯制御スイッチSW11がオンになるものとする。なお、点灯制御スイッチSW11は、例えば、放電灯点灯装置が複写機に用いられる場合には、複写機のモードに応じた制御信号によってオン,オフ制御される。例えば、複写機がカラーモードの場合には点灯制御スイッチSW11はオフであり、モノクロモードの場合には点灯制御スイッチSW11はオンである。また、例えば、異なる速度の複写機に用いる場合には、その速度に応じてオン,オフを固定する。例えば、高速の複写機に用いる場合には点灯制御スイッチSW11は常にオフであり、低速の複写機に用いる場合には点灯制御スイッチSW11は常にオンである。
【0056】
点灯制御スイッチSW11がオンになると、チョッパ回路28は出力電圧を50%調光に必要な電圧Vb3まで低下させる。チョッパ回路28の出力電圧が低下することによって、ランプ電圧及びランプ電流は低下する。ランプ電圧が低下することによって、上述したように、図1乃至図3に示す構造を有する放電灯6は、先端が相互に隣接した突部131a,132a相互間のみで放電する。即ち、放電灯6は50%調光で点灯する。なお、上述したように、この場合でも、放電灯6は、長軸方向の全域において均一に点灯し、良好な配光特性を有する。
【0057】
この場合には、図6(c)に示すように、(c)点におけるランプ電流は100%調光時の約1/2まで低下する。(c)点のランプ電流はチョッパ回路28の制御端子にフィードバックされる。これにより、以後、チョッパ回路28は、ランプ電流に応じて、50%調光に適した出力電圧Vb3を維持する。
【0058】
なお、100%調光時のランプ電圧と50%調光時のランプ電圧の変化率は、光量の変化に比べて小さい。一方、100%調光時のランプ電流と50%調光時のランプ電流の変化率は、光量の変化に略等しい。従って、チョッパ回路28がランプ電流に応じて出力制御を行うことにより、高精度の出力制御が容易となり、調光率に応じた安定した出力電圧を発生することができる。
【0059】
このように本実施の形態においては、外面電極放電灯等の誘電体バリア放電灯を、配光不良を生じさせることなく、十分に広い調光範囲で点灯させることができる。
【0060】
なお、上記実施の形態においては、放電灯の外部電極として2種類の高さの突部を有するものを採用し、放電灯点灯装置で2種類のランプ電圧を供給することで、2種類の調光を可能にする例を説明したが、3種類以上の高さの突部を有する外部電極を採用し、放電灯点灯装置で3種類以上のランプ電圧を供給することで、3種類以上の調光を可能にすることができる。
【0061】
また、対向配置される外部電極同士の間隔を異ならせるものであれば、外部電極の形状は鋸歯状でなくてもよいことは明らかである。また、高い山の突部同士又は低い山の突部同士は必ずしも対向配置されている必要はない。また、対向する2つの電極は形状が相互に異なるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る誘電体バリア放電灯装置に採用される誘電体バリア放電灯である外面電極放電灯の周面を示す側面図。
【図2】図1の縦断面図。
【図3】透光性樹脂シート15の展開図。
【図4】図1の誘電体バリア放電灯の等価回路図。
【図5】図1乃至図3に示す誘電体バリア放電灯を点灯させるための放電灯点灯装置を示す回路図。
【図6】点灯装置の動作を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
【0063】
11a…ガラスバルブ、131,132…外部電極、131a,132a,131b,132b…突部、12…蛍光体層、12a…薄膜部、12b…厚膜部、21…放電灯点灯装置、23…プッシュプル回路、24…昇圧トランス、26…時定数回路、28…チョッパ回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
希ガスを封入した円筒形状の放電バルブと、
前記放電バルブの外周面に対向配置して相互に第1及び第2の間隔で設ける一対の電極であって、前記第1の間隔を得るための第1の形状と前記第1の間隔よりも広い第2の間隔を得るための第2の形状とを有し、前記放電バルブの長軸方向には複数の前記第1及び第2の形状部分を交互に配置した外部電極とを具備した誘電体バリア放電灯を有することを特徴とする誘電体バリア放電灯装置。
【請求項2】
前記放電バルブの内周面に、前記第2の形状に対応した位置の膜厚が前記第1の形状に対応した位置の膜厚よりも厚い膜厚で形成する蛍光体膜を更に具備したことを特徴とする請求項1に記載の誘電体バリア放電灯装置。
【請求項3】
請求項1に記載の誘電体バリア放電灯と、
前記第1及び第2の形状の位置において放電を可能にするためのランプ電圧を発生すると共に、前記第1の形状の位置においてのみ放電を可能にするためのランプ電圧を発生する電圧制御回路と、
前記電圧制御回路に前記誘電体バリア放電灯のランプ電流をフィードバックしてランプ電圧を制御するための電流検出手段とを具備したことを特徴とする誘電体バリア放電灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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