説明

誘電性ゴム積層体及びその製造方法

【課題】発電効率や通電効率に優れる高性能の誘電性ゴム積層体を提供する。
【解決手段】厚さ10〜200μmの誘電性ゴム層の表裏面に電極層を形成して積層体とし、前記積層体を絶縁フィルムで挟み込んだ状態で直流電圧を印加し、前記誘電性ゴムシート中の誘電性フィラーの自発分極の向きを揃えるエレクトレット処理を行うことで誘電性ゴム積層体を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電性ゴム層の表裏面に電極層を設けてなる誘電性ゴム積層体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギーと機械エネルギーに変換するトランスデューサ(変換器)として、誘電性ゴム積層体が用いられている。この誘電性ゴム積層体は、変形することで発電する機能、あるいは通電することで変形する機能を有する。その構造は、シリコンゴムやアクリルゴムを伸張させたゴム層の表裏面に電極となる素材を配設したものであり、誘電率を向上させるためにゴム層にチタン酸バリウム等の高誘電率微粒子を含有させることもある(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
【特許文献1】特表2003−506858号公報
【特許文献2】特表2003−505865号公報
【特許文献3】特表2003−526213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の誘電性ゴム積層体には、それぞれに以下のような問題点があった。
(1)電極素材を設けるために伸張処理(プレストレイン)を行っており、特定の治具を用いて処理を行う必要がある。
(2)誘電率を向上させるためにゴム層に高誘電率微粒子を含有させることも行われているが、含有させることでどのレベルの比誘電率が適切なのか、また使用温度ごとに高誘電率微粒子をどのように使い分けていくのか等についての具体的に示されていない。
(3)誘電性ゴム積層体の製造方法において、高誘電率微粒子の自発分極の向きを揃えることは行っていないため、発電機能等が十分発揮されないことが想定される。
【0005】
そこで本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、発電効率や通電効率に優れる高性能の誘電性ゴム積層体を、簡易な方法により提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、本発明の請求項1に関する発明は、厚さ10〜200μmの誘電性ゴム層の表裏面に電極層を設けてなることを特徴とする誘電性ゴム積層体である。
請求項2に関する発明は、請求項1記載の誘電性ゴム積層体において、前記誘電性ゴム層が、比誘電率200以上の誘電性フィラーを含有し、かつ、該誘電性ゴム層自体の比誘電率が5〜30であることを特徴とする。
請求項3に関する発明は、請求項2記載の誘電性ゴム積層体において、前記高誘電性フィラーが、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ランタンドープチタン酸ジルコン酸鉛(PLZT)、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、チタン酸ビスマス、チタン酸ビスマスバリウムから選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする。
請求項4に関する発明は、請求項1記載の誘電性ゴム積層体において、前記電極層が、金またはプラチナの蒸着膜、導電性フィラーを含有する導電性接着剤から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする。
請求項5に関する発明は、厚さ10〜200μmの誘電性ゴム層の表裏面に電極層を形成して積層体とし、前記積層体を絶縁フィルムで挟み込んだ状態で直流電圧を印加し、前記誘電性ゴムシート中の誘電性フィラーの自発分極の向きを揃えるエレクトレット処理を行うことを特徴とする誘電性ゴム積層体の製造方法である。
請求項6に関する発明は、厚さ10〜200μmの誘電性ゴム層を絶縁フィルムで挟み込んだ状態で直流電圧を印加し、前記誘電性ゴム層中の誘電性フィラーの自発分極の向きを揃えるエレクトレット処理を行った後、誘電性ゴム層の表裏面に電極層を形成することを特徴とする誘電性ゴム積層体の製造方法である。
請求項7に関する発明は、請求項5または6記載の誘電性ゴム積層体の製造方法において、前記エレクトレット処理を、前記誘電性フィラーのキューリー温度未満の温度で行うことを特徴とする。
請求項8に関する発明は、請求項5または6記載の誘電性ゴム積層体の製造方法において、前記エレクトレット処理を、前記誘電性ゴム層を形成するゴムが未硬化の状態で行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の誘電性ゴム積層体は、エレクトレット処理を行うことで、伸張処理(プレストレイン)等を実施しなくても、従来よりも低電圧で作動が可能なアクチュエータとして機能する。また、十分な出力を有する発電機能も期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に関して図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
図1に断面図にて示すように、本発明の誘電性ゴム積層体は、誘電性ゴム層を挟み込むように電極層が設けられた3層構造となっている。誘電性ゴム層は、ベースゴムに誘電性フィラーを配合してなるゴム組成物をシート状に成形したものであり、その厚さは10〜200μmである。誘電性ゴム層の厚さが10μm未満では強度が不十分となり、200μmを超えると応答性が低下するおそれがある。
【0010】
誘電性フィラーは、比誘電率が200以上のものが好ましく、具体的にはチタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ランタンドープチタン酸ジルコン酸鉛(PLZT)、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛等が挙げられる。下記表1にそれぞれの比誘電率、並びにキューリー温度を示す。また、これら誘電性フィラーは、それぞれ単独でも、2種以上を混合して使用してもよい。
【0011】
【表1】

【0012】
上記の他に、近年開発されたチタン酸ビスマス(BiTi12;キューリー点675℃等)、チタン酸ビスマスバリウム(BaBiTi27;キューリー点540℃等)はキューリー温度がより高く、更に有害な鉛を含有しないことから、量産化されるようになれば好適な誘電性フィラーとなり得る。
【0013】
さらに、チタン酸バリウムをベースとして、キューリー温度を上昇させるために、PbTiO、PbZrO、BiTi12等を拡散させたもの、または比誘電率を向上させるために、PbO、Bi等を拡散させたものであってもよい。
【0014】
尚、一定の比誘電率とキューリー温度を有するものであれば、上記以外の誘電性フィラーも使用できる。
【0015】
誘電性フィラーは、加工温度、使用温度及び目標とする比誘電率を考慮して適宜選択するが、上記の中ではチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が200℃以上のキューリー温度と、高い比誘電率とを併せ持つので、最も好適である。
【0016】
誘電性フィラーの含有率は、目的とする誘電率及び誘電性フィラーの種類によって適宜選定される。本発明では、誘電性ゴム層としての比誘電率が5〜30、より好ましくは10〜20となるように誘電性フィラーの含有率を調整することが好ましい。誘電性ゴム層の比誘電率が5未満の場合は、誘電率が低すぎて目的とする発電機能等が十分に発揮しないことが考えられる。それに対して誘電性ゴム層の比誘電率が30を越える場合は、誘電率が高すぎて逆に応答性が低下することが予想され、好ましくない。一方で、誘電性ゴム層は適度に変形しやすいことが好ましく、誘電性フィラーの含有率が高くなると変形能力が低下するようになる。このような点を考慮すると、例えば、上記に挙げた誘電性フィラーでは、誘電性ゴム層中に10〜60重量%、より好ましくは20〜50重量%の割合とするのが適当である。
【0017】
誘電性フィラーを分散させるベースゴムとしては特に限定されないが、比誘電率が高いものが好ましく、例えばイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム等が挙げら、それぞれ単独で、2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これらの中では、比誘電率が3.0以上であるクロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴム、アクリルゴムがより好ましい。尚、表2にこれらゴムの比誘電率を示す。
【0018】
【表2】

【0019】
また、上記のゴムの他に、誘電性フィラーのエレクトレット処理による配向性、フィルム状態への加工性を考慮すると、未硬化状態では液体状態で、必要に応じて架橋剤等を添加して、硬化(加硫)状態に変化する液状ゴムが更に好ましい。液状ゴムとしては、両末端にヒドロキシル基(水酸基)あるいはカルボキシル基を有する変性液状ポリブタジエン、カルボキシル基を有する変性液状ポリイソプレンゴム、液状ニトリルゴム、カルボキシル基を有する変性液状ニトリルゴム、常温あるいは加熱硬化型(RTV)シリコーンゴム、イソシアネート基を有する変性液状アクリルゴム等を用いることができる。
【0020】
尚、誘電性ゴム層は、上記した比誘電率の他に、硬さ(デュロメータAスケール)が20〜60であることが好ましく、より好ましくは30〜50である。硬さが、20未満の場合は変形能は大きくなるものの、機械的強度が不足する傾向が強くなり、実用性が低下し、好ましくない。それに対して硬さが60を越える場合は、絶対的な変形能が不足するため、実用性が低い。
【0021】
誘電性ゴム層の表裏面に形成される電極層は、特に制限されるものではないが、低抵抗であることが好ましく、具体的には体積固有抵抗が10Ω・cm以下であることが好ましく、より好ましくは1×10−3Ω・cm以下である。体積固有抵抗が10Ω・cmを越える場合は、導電性が低いために、応答性が悪くなることが想定され、好ましくない。
【0022】
このような要求を満たす電極層として、金またはプラチナからなる蒸着層、銀や黒鉛等の導電性フィラーを含有する導電性接着剤、上記した硬化が可能な液状ゴムに導電性フィラーを含有させた導電性ゴム層等が挙げられる。液状ゴムに含有させる導電性フィラーとしては、導電性カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノファイバー等が好適である。導電性接着剤のバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等を使用できるが、中でもアクリル樹脂及びシリコーン樹脂は柔軟性が高く、変形能に優れるため好適である。これらの中でも、変形能が大きい液状ゴムの硬化体である導電性ゴム層、シリコーン樹脂をバインダーとする導電性接着剤が特に好適である。
【0023】
電極層の厚さとしては、5〜100μmの範囲、より好ましくは10〜50μmの範囲である。電極層の厚さが5μm未満の場合は、膜厚が薄すぎて、均一に成膜するのが困難であるとともに、変形時に穴等が発生するおそれが高くなり、好ましくない。それに対して、電極層の厚さが100μmを越える場合は、膜厚が厚すぎて、誘電性ゴム層の変形に追随するのが難しくなるとともに、応答性の低下も想定され好ましくない。
【0024】
また、本発明の誘電性ゴム積層体は、誘電性ゴム層に分散している誘電性フィラーの自発分極の向きを揃えるために、直流高電圧を印加するエレクトレット処理が施されている。
図2に模式的に示すように、エレクトレット処理を行うことで、誘電性ゴム層内の誘電性フィラーの自発分極の向きが電圧の印加方向(図中上下方向)に沿って一様に揃い、誘電性ゴム積層体が変形する時に発生する電圧の値が上昇し、発電機能の向上が図られる。
【0025】
図3はエレクトレット処理を施すための装置の構成を模式的に示す図であるが、誘電性ゴム積層体の上面に絶縁フィルムを介して銅シートを載置し、下面には銅シートを直接接触させ、更に両銅シートを絶縁フィルムで挟みこみ、その状態で直流電圧を印加する。印加する直流高電圧は、1〜10kV/mmが適当である。印加電圧が1kV/mm未満の場合は、電圧量が不足し、自発分極の向きを揃えるには不十分である。それに対して印加電圧が10kV/mmを越える場合は、自発分極の向きの配列度合があまり変化しないと共に、場合によっては、電圧が高すぎるために短絡が発生してしまうおそれがあり、好ましくない。また、エレクトレット処理は、誘電性ゴム層を形成するベースゴムの粘度を低下させて誘電性フィラーが動き易くするように、ホットプレートにて加熱しながら行うと好適である。そのときの加熱温度は、含有する誘電性フィラーのキューリー温度未満とし、10℃以上低い温度とすることが好ましい。
【0026】
また、エレクトレット処理は、誘電性ゴム層を形成するベースゴムが、完全に硬化(架橋)反応が終了する半硬化状態で行うと、誘電性フィラーが容易に動けるので、配向度合が更に向上して最も好適となる。更に、エレクトレット処理を行っている過程で硬化反応が進み、終了と同時に硬化反応が終結するようにすると製造効率上、より好適となる。
【0027】
上記では、誘電性ゴム層と電極層との3層積層体を形成し、この積層体にエレクトレット処理を施しているが、誘電性ゴム層に上記と同様にしてエレクトレット処理を施した後、電極層を形成してもよい。
【実施例】
【0028】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
【0029】
(実施例1)
RTVシリコーンゴム80質量%とPZT20質量%とからなるゴム組成物をKコントロールコーター(松尾製作所製)の加熱ヘッド上で100℃にて30分加熱し、半硬化状態のシート状の誘電性ゴム層を作製後、加熱ヘッドから剥がした。次いで、この半硬化状態のシート状誘電性ゴム層を図3に示すエレクトレット処理装置に移し、表3に示す条件にてエレクトリット処置を行うと同時に完全に硬化させた。処理終了後、誘電性ゴム層をもう一度Kコントロールコーターに移し、シリコーン樹脂と銀とからなる導電性接着剤を塗布し、膜厚を調整してから180℃に加熱して導電性接着剤を完全硬化させた。この作業を誘電性ゴムシートの表裏面について実施し、誘電性ゴム積層体を得た。
【0030】
(実施例2)
RTVシリコーンゴム75質量%とBaTiO25質量%とからなるゴム組成物をKコントロールコーターの加熱ヘッド上で100℃にて30分加熱し、半硬化状態のシート状の誘電性ゴム層を作製後、加熱ヘッドから剥がした。また、RTVシリコーンゴム70質量%とカーボンナノファイバー30質量%とからなるゴム組成物をKコントロールコーターの加熱ヘッド上で100℃にて30分加熱し、半硬化状態のシート状の導電性ゴム層を作製後、加熱ヘッドから剥がした。同じ作業をもう一度繰り返して半硬化状態のシート状の導電性ゴム層を作製後、加熱ヘッドから剥がした。次いで、半硬化状態の誘電性ゴム層を2枚の半硬化状態のシート状導電性ゴム層で挟み込んだ状態で重ね合わせてから、表3に示す条件にてエレクトレット処理を施し、完全に硬化を進行させて各層の接合を同時に行い、誘電性ゴム積層体を得た。
【0031】
(実施例3)
反応性液状アクリルゴム80質量%とPZT20質量%とからなるゴム組成物をKコントロールコーターの加熱ヘッド上で100℃にて30分加熱し、半硬化状態のシート状の誘電性ゴム層を作製後、加熱ヘッドから剥がした。また、反応性液状アクリルゴム70質量%とカーボンナノファイバー30質量とからなる導電性ゴム液をKコントロールコーターの加熱ヘッド上で100℃にて30分加熱し、半硬化状態のシート状の導電性ゴム層を作製後、加熱ヘッドから剥がした。同じ作業をもう一度繰り返して半硬化状態のシート状の導電性ゴム層を作製後、加熱ヘッドから剥がした。次いで、半硬化状態の誘電性ゴム層を2枚の半硬化状態のシート状導電性ゴム層で挟み込んだ状態で重ね合わせてから、表3に示す条件にてエレクトレット処理を施し、完全に硬化を進行させて各層の接合を同時に行い、誘電性ゴム積層体を得た。
【0032】
(実施例4)
反応性液状アクリルゴム80質量%とPZT20質量%とからなるゴム組成物をKコントロールコーターの加熱ヘッド上で100℃にて30分加熱し、半硬化状態のシート状の誘電性ゴム層を作製後、加熱ヘッドから剥がした。次いで、誘電性ゴム層の表裏面に金を蒸着して電極層を形成した。そして、表3に示す条件にてエレクトレット処理を施して誘電性ゴム積層体を得た。
【0033】
(比較例1)
シリコーンゴムフィルム(導電性フィラー含有せず)の表裏面に金を蒸着し、エレクトレット処理を施すことなく、誘電性ゴム積層体を得た。
【0034】
上記で作製した各誘電性ゴム積層体について、下記の作動確認テストを行った。
(作動確認テスト)
図4に示すように、上下の電極層の一部に薄片状の銅電極を導電性接着剤(常温乾燥タイプ;藤倉化成製ドータイトD−362)を用いて接着し、それを高電圧発生装置に接続した。その後、電圧を0→1kV→2kV→3kVに徐々に上げていき、誘電性ゴム積層体の変形を観察した。
【0035】
表3に、実施例及び比較例で作製した各誘電体ゴム積層体の構成及び作動確認テストの結果を示す。実施例1〜4の誘電性ゴム積層体が1kVで変形が見られたのに対し、比較例1の誘電性ゴム積層体は3kVまで電圧を上昇させたときに僅かに変形しただけであった。また、電極層を、柔軟性を有する材料とした実施例1〜3の誘電性ゴム積層体は、柔軟性を有しない電極層を有する実施例4の誘電体ゴム積層体に比べて、変形能が大きいこともわかる。
【0036】
【表3】

【0037】
尚、表中の各材料の詳細は以下の通りである。
・RTVシリコーンゴム:信越シリコーン製「KE−1820」(1液付加反応型加熱硬化タイプのRTVシリコーンゴム
・PZT:富士チタン工業製「PE−600」(比誘電率:33℃で2688)
・BaTiO:富士チタン工業製「HPBT−1」(比誘電率:33℃で3500)
・導電性接着剤:藤倉化成製「ドータイトXA−819A」
・CNF:カーボンナノファイバー、昭和電工製「VGCF」
・反応性液状アクリルゴム:株式会社トウペ製「トアアクロンSA−110S」
・架橋剤:トリアリルイソシアヌレート、日本化成製「タイク」
・シリコーンゴムフィルム:三菱樹脂製シリコーンゴムフィルム「珪樹(一般用)」(比誘電率:3、厚さ:100μm、硬さ:30)
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の誘電性ゴム積層体を模式的に示す断面図である。
【図2】エレクトレット処理の概念図である。
【図3】エレクトレット処理装置の構成を示す模式図である。
【図4】実施例において作動確認テストに用いた装置の構成を示す模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ10〜200μmの誘電性ゴム層の表裏面に電極層を設けてなることを特徴とする誘電性ゴム積層体。
【請求項2】
請求項1記載の誘電性ゴム積層体において、前記誘電性ゴム層が、比誘電率200以上の誘電性フィラーを含有し、かつ、該誘電性ゴム層自体の比誘電率が5〜30であることを特徴とする誘電性ゴム積層体。
【請求項3】
請求項2記載の誘電性ゴム積層体において、前記高誘電性フィラーが、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ランタンドープチタン酸ジルコン酸鉛(PLZT)、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、チタン酸ビスマス、チタン酸ビスマスバリウムから選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする誘電性ゴム積層体。
【請求項4】
請求項1記載の誘電性ゴム積層体において、前記電極層が、金またはプラチナの蒸着膜、導電性フィラーを含有する導電性接着剤から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする誘電性ゴム積層体。
【請求項5】
厚さ10〜200μmの誘電性ゴム層の表裏面に電極層を形成して積層体とし、前記積層体を絶縁フィルムで挟み込んだ状態で直流電圧を印加し、前記誘電性ゴム層中の誘電性フィラーの自発分極の向きを揃えるエレクトレット処理を行うことを特徴とする誘電性ゴム積層体の製造方法。
【請求項6】
厚さ10〜200μmの誘電性ゴム層を絶縁フィルムで挟み込んだ状態で直流電圧を印加し、前記誘電性ゴム層中の誘電性フィラーの自発分極の向きを揃えるエレクトレット処理を行った後、誘電性ゴム層の表裏面に電極層を形成することを特徴とする誘電性ゴム積層体の製造方法。
【請求項7】
請求項5または6記載の誘電性ゴム積層体の製造方法において、前記エレクトレット処理を、前記誘電性フィラーのキューリー温度未満の温度で行うことを特徴とする誘電性ゴム積層体の製造方法。
【請求項8】
請求項5または6記載の誘電性ゴム積層体の製造方法において、前記エレクトレット処理を、前記誘電性ゴム層を形成するゴムが未硬化の状態で行うことを特徴とする誘電性ゴム積層体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−53527(P2008−53527A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−229126(P2006−229126)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】