説明

誤り検出器、誤り検出器を有する半導体装置、誤り検出器を有する半導体装置を用いた情報処理装置及び誤り検出方法

【課題】メモリーなどの記憶装置に記憶したデータの誤り検出の負荷を低減すること。
【解決手段】第1のラッチと、第2のラッチと、データ比較回路と、を有し、ホストインターフェイスを介してホスト部より送信された制御コマンドを受信し、前記制御コマンドが第1のコマンドである場合は、前記第1のコマンドに付随するデータを順次前記第1のラッチに保持すると共に、データ記憶部に記憶されているデータを読み出し順次前記第2のラッチに保持し、前記データ比較回路により前記第1のラッチに保持されたデータと前記第2のラッチに保持されたデータとの比較を行うことを特徴とする誤り検出器を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、データ記憶装置に記憶したデータのデータ化け(誤り)を検出するための、誤り検出器、誤り検出器を有する半導体装置、誤り検出器を有する半導体装置を用いた情報処理装置及び誤り検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリーなどのデータを記憶する装置は、様々な影響により記憶されたデータに誤りが発生する場合がある。データに誤りがあると該データを用いる装置において何らかの誤動作が発生する可能性があると考えられる。このため、記憶されたデータの誤りを検出し、誤りの無いデータに修正しておくことはデータを用いる装置の誤動作を防ぐために重要なことになる。たとえば、特許文献1には、表示ディスプレイ及び表示データを記憶する表示RAMを有する表示ユニットと該表示データの元データを記憶する記憶部を有する制御ユニットとを含み、制御ユニットが表示ユニットから表示データを所定のタイミングで読み出し、該表示データと記憶部に記憶されている元データとを比較して誤りを検出し、不一致となった表示データを更新することで、表示ユニットをノイズの多い環境で使用できるようにすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−44032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、制御ユニット内の制御部が、表示データを読み出す処理、読み出した表示データと元データとの比較結果を判断する処理及び比較結果が不一致の場合は不一致となった表示データを更新する処理を行うが、表示RAMからの表示データの読み出しを連続的に行うものではない。すなわち、表示データを読み出し、表示データと元データとを比較し、不一致ならば表示データを更新し、その後に次の表示データを読み出すことで表示RAMに記憶した表示データの誤り検出を行っている。このため、表示データサイズに略比例して誤り検出に要する時間が大きくなり、表示データサイズの大きさによっては制御部が行える他の処理を制限しなければならない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]
本適用例に係るひとつの誤り検出器は、第1のラッチと、第2のラッチと、データ比較回路と、を含み、ホストインターフェイスを介して制御コマンドを受信し、前記制御コマンドが第1のコマンドである場合は、前記第1のコマンドに付随するデータを順次前記第1のラッチに保持すると共に、データ記憶部に記憶されているデータを読み出し順次前記第2のラッチに保持し、前記データ比較回路により前記第1のラッチに保持されたデータと前記第2のラッチに保持されたデータとの比較を行うことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、第1のコマンドと第1のコマンドに付随するデータとして比較データを受信することで、データ記憶部に記憶してあるデータの誤り検出を行うことができる。本適用例に係る誤り検出器は第1のコマンドを認識すると付随するデータを比較データとして認識する。比較データは、所定のサイズで区切られ第1のラッチに順次保持される。これに合わせて、データ記憶部から該当するデータが所定のサイズで読み出され第2のラッチに順次保持される。第1のラッチに保持された値と第2のラッチに保持された値とがデータ比較回路により比較されることで誤り検出が行われる。ここで、所定のサイズとは、第1のラッチ及び第2のラッチに保持できるデータのサイズである。
【0008】
たとえば、ホスト機能を有する装置(以降、ホスト部と呼ぶ)がホストインターフェイスに接続され、本適用例に係る誤り検出器に接続されたデータ記憶部に所定のデータを記憶させ、記憶させた所定のデータの誤り検出を行うことを考える。データ記憶部に記憶されたデータの誤り検出を行うためにホスト部が行うことは、制御コマンド及び付随するデータを本適用例に係る誤り検出器に送信することである。このため、たとえばホスト部にDMA(Direct Memory Access)の機能を持たせることで、第1のコマンド及び付随するデータの送信をDMAで行うことができる。すなわち、ホスト部は第1のコマンドと比較データとを用意して、DMAを起動させればよいので、ホスト部がデータ記憶部及びホスト部内の記憶部に記憶してあるデータをそれぞれ読み出して比較するのに比べて効率よくデータ記憶部に記憶してあるデータの誤り検出を行うことができる。これにより、データ記憶部に記憶されるデータのサイズによりホスト部が行える他の処理を制限しなくてはならない状況が発生する可能性を少なくすることができる。
【0009】
[適用例2]
上記の適用例に係る誤り検出器において、前記制御コマンドはパラメーターを有し、前記第2のラッチに保持されるデータは前記パラメーターにより選択され前記データ記憶部から読み出されたデータであることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、ホスト部はデータ記憶部に記憶してあるデータの中から、誤り検出を行いたいデータを選択することができる。これにより、たとえば所定の期間の間更新が行われていないデータの誤り検出を選択的に行うことができる。
【0011】
[適用例3]
上記の適用例に係る誤り検出器において、前記データ記憶部は複数の領域に分割されており、前記パラメーターは前記複数の領域の中のいずれの領域かを識別するためのものであることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、データ記憶部の分割された領域をパラメーターにより識別することができ、ホスト部はデータ記憶部の分割された領域のそれぞれ毎に誤り検出を行うことができる。
【0013】
[適用例4]
上記の適用例に係る誤り検出器において、更に、CRC演算回路を含み、前記制御コマンドが第2のコマンドである場合は、前記第2のコマンドに付随するデータを保存データとして前記データ記憶部に記憶すると共に前記付随するデータを入力とする前記CRC演算回路による演算結果が前記第1のラッチに保持され、前記制御コマンドが第3のコマンドである場合は、前記データ記憶部に記憶された前記保存データを入力とする前記CRC演算回路による演算結果が前記第2のラッチに保持され、前記第1のラッチに保持されたデータと前記第2のラッチに保持されたデータとの比較を、前記データ比較回路により行うことが好ましい。
【0014】
この構成によれば、第2のコマンドでデータ記憶部に保存データを記憶するときのCRC演算回路の演算結果を第1のラッチに保持し、第3のコマンドでデータ記憶部に記憶された保存データのCRC演算回路の演算結果を第2のラッチに保持し、第1のラッチに保持された値と第2のラッチに保持された値とを比較することで保存データの誤り検出を行うことができる。この場合、ホスト部が誤り検出のために誤り検出器に送信するのは第3のコマンドのみで付随するデータとして比較データを送信する必要がない。このため、ホスト部がデータ記憶部及びホスト部内の記憶部に記憶してあるデータをそれぞれ読み出して比較するのに比べて効率よくデータ記憶部に記憶してあるデータの誤り検出を行うことができる。これにより、データ記憶部に記憶されるデータのサイズによりホスト部が行える他の処理を制限しなくてはならない状況が発生する可能性を少なくすることができる。
【0015】
[適用例5]
上記の適用例に係る誤り検出器において、前記データ比較回路おける比較の結果が不一致の場合、前記不一致を示す信号を、前記ホストインターフェイスを介して出力することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、たとえば、不一致を示す信号を、ホストインターフェイスを介して本適用例に係る誤り検出器に対してホスト機能を有する装置に出力することで、不一致を解消する処理が必要であることを、ホスト機能を有する装置に通知することができる。
【0017】
[適用例6]
上記の適用例に係る誤り検出器を有する半導体装置が好ましい。
【0018】
この構成によれば、半導体装置が上記の適用例に係る誤り検出器を有することで、ホスト部の誤り検出の処理を軽減することが可能な半導体装置を形成することができる。
【0019】
[適用例7]
上記の適用例に係る誤り検出器を有する半導体装置を用いた情報処理装置が好ましい。
【0020】
この構成によれば、情報処理装置内部の制御部などが行うデータ記憶部の誤り検出の処理を軽減することが可能となる。
【0021】
[適用例8]
本発明に係るひとつの誤り検出方法は、第1のラッチと、第2のラッチと、データ比較回路と、を用い、ホストインターフェイスを介して制御コマンドを受信し、前記制御コマンドが第1のコマンドである場合は、前記第1のコマンドに付随するデータを比較データとして順次前記第1のラッチに保持すると共に、データ記憶部に記憶されているデータを読み出し順次前記第2のラッチに保持し、前記データ比較回路により前記第1のラッチに保持されたデータと前記第2のラッチに保持されたデータとの比較を行う処理を含むことを特徴とする。
【0022】
この方法によれば、ホスト部は、第1のコマンドと第1のコマンドに付随するデータとして比較データを送信することで、該比較データに対してのデータ記憶部に記憶してあるデータの誤り検出を行うことができる。誤り検出を行うには、ホスト部は第1のコマンド及び付随するデータを本適用例に係る誤り検出器に送信すればよい。このため、たとえばホスト部にDMAの機能を持たせることで、第1のコマンド及び付随するデータの送信をDMAで行うことができる。ホスト部は第1のコマンドと比較データとを用意して、DMAを起動させればよいので、ホスト部がデータ記憶部及びホスト部内の記憶部に記憶してあるデータをそれぞれ読み出して比較するのに比べて効率よくデータ記憶部に記憶してあるデータの誤り検出を行うことができる。これにより、表示保存データのサイズが大きくなってもホスト部が行える他の処理の制限に対しての影響を少なくすることができる。
【0023】
[適用例9]
上記の適用例に係る誤り検出方法において、前記制御コマンドはパラメーターを有し、前記第2のラッチに保持されるデータは前記パラメーターにより選択され前記データ記憶部から読み出されたデータであることが好ましい。
【0024】
この方法によれば、ホスト部はデータ記憶部に記憶してあるデータの中から、誤り検出を行いたいデータを選択することができる。これにより、たとえば所定の期間の間更新が行われていないデータの誤り検出を選択的に行うことができる。
【0025】
[適用例10]
上記の適用例に係る誤り検出方法において、前記データ記憶部は複数の領域に分割されており、前記パラメーターは前記複数の領域の中のいずれの領域かを識別するためのものであることが好ましい。
【0026】
この方法によれば、データ記憶部の分割された領域をパラメーターにより識別することができ、ホスト部はデータ記憶部の分割された領域のそれぞれ毎に誤り検出を行うことができる。
【0027】
[適用例11]
上記の適用例に係る誤り検出方法において、更に、CRC演算回路を用い、前記制御コマンドが第2のコマンドである場合は、前記付随するデータを保存データとして前記データ記憶部に記憶すると共に前記付随するデータを入力とする前記CRC演算回路による演算結果を前記第1のラッチに保持する処理と、前記制御コマンドが第3のコマンドである場合は、前記データ記憶部に記憶された前記保存データを入力とする前記CRC演算回路による演算結果を前記第2のラッチに保持し、前記第1のラッチに保持されたデータと前記第2のラッチに保持されたデータとの比較を前記データ比較回路により行う処理とを含むことが好ましい。
【0028】
この方法によれば、第2のコマンドで付随するデータをデータ記憶部に保存データとして記憶するときのCRC演算回路の演算結果を第1のラッチに保持し、第3のコマンドでデータ記憶部に記憶された保存データのCRC演算回路の演算結果を第2のラッチに保持し、第1のラッチに保持された値と第2のラッチに保持された値とを比較することで保存データの誤り検出を行うことができる。この場合、ホスト部が誤り検出のために誤り検出器に送信するのは第3のコマンドのみで付随するデータとして比較データを送信する必要がない。このため、ホスト部がデータ記憶部及びホスト部内の記憶部に記憶してあるデータをそれぞれ読み出して比較するのに比べて効率よくデータ記憶部に記憶してあるデータの誤り検出を行うことができる。これにより、データ記憶部に記憶されるデータのサイズによりホスト部が行える他の処理を制限しなくてはならない状況が発生する可能性を少なくすることができる。
【0029】
[適用例12]
上記の適用例に係る誤り検出方法において、前記データ比較回路おける比較の結果が不一致の場合、前記不一致を示す信号を、前記ホストインターフェイスを介して出力することが好ましい。
【0030】
この方法によれば、たとえば、不一致を示す信号を、ホストインターフェイスを介して本適用例に係る誤り検出方法を適用した機器に対してのホスト機能を有する装置に出力することで、不一致を解消する処理が必要であることをホスト機能を有する装置に通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1実施形態における記憶装置のブロック図。
【図2】第2実施形態における記憶装置のブロック図。
【図3】表示システムのブロック図。
【図4】制御コマンドを示す図。
【図5】表示装置の表示部を示す図。
【図6】表示部の一部における表示例を示す図。
【図7】制御コマンドの実行状態を示すタイムチャートを示す図。
【図8】制御コマンドの実行状態を示すタイムチャートを示す図。
【図9】制御コマンドの実行状態を示すタイムチャートを示す図。
【図10】制御コマンドの実行状態を示すタイムチャートを示す図。
【図11】第3実施形態におけるフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、上記の適用例を含む実施形態について図面を用いて説明する。また、図7〜10にフローチャートを示しているが、図示の如何に係わらず、動作の基準となるクロック信号に対しての各信号のセットアップ時間及びホールド時間は適切に保持されているものとする。
【0033】
(第1実施形態)
本実施形態における記憶装置100を図1に示す。記憶装置100は、誤り検出器101、ホストインターフェイス110及びデータ記憶部130を有し、更に誤り検出器101は、制御部120、第1のラッチ140、第2のラッチ160及びデータ比較回路を有する比較器150を有する。
【0034】
ホストインターフェイス110には図1に図示しないホスト装置が接続されており、ホストインターフェイス110がホスト装置から送信される信号を記憶装置100の内部信号に変換する。ホストインターフェイス110が出力する内部信号の中には、書込みデータ信号111及びコマンド識別信号113がある。コマンド識別信号113は、書込みデータ信号111として出力されているデータが制御コマンドであることを示す信号である。また、ホスト装置からは、制御コマンドの後に制御コマンドに付随するデータが送信されてくる場合があることから、コマンド識別信号113はホスト装置からのアクセスが始まったことを示す信号としても用いられる。また、記憶装置100からホスト装置に送信される信号の元となる入力信号として、誤りを検出したことを示すエラー信号126及び内部ステータス信号128を示している。内部ステータス信号128は、誤りを検出したときの情報や制御コマンドの実行結果の報告、または誤り検出器101の内部レジスターの読み出しなどに用いられる。
【0035】
制御部120は、書込みデータ信号111及びコマンド識別信号113によりホスト装置から送られた制御コマンドを受信し制御コマンドにより指示された内容を実行するために記憶装置100内部の制御を行う部分である。制御部120から出力される制御信号として図1に示したのは、ラッチ制御信号121、ラッチ制御信号122、記憶部アドレス信号123、記憶部書込みタイミング信号124及び記憶部読出しタイミング信号125である。ラッチ制御信号121は、第1のラッチのデータの保持/非保持を制御する信号である。ラッチ制御信号122は、第2のラッチのデータの保持/非保持を制御する信号である。記憶部アドレス信号123はデータ記憶部130内のデータアドレスを指示する信号である。記憶部書込みタイミング信号124は、データ記憶部130が書込みデータ信号111の値を記憶するときのタイミングを制御する信号である。これに対し、記憶部読出しタイミング信号125は、データ記憶部130に記憶されたデータを第1読出しデータ信号131として読み出すときのタイミングを制御する信号である。データ記憶部130の読出しデータは、第1読出しデータ信号131と第2読出しデータ信号132の2種類がある。このうち制御部120が読出し制御を行うのは第1読出しデータ信号131である。第2読出しデータ信号132は、データ記憶部に記憶されたデータを使用する装置に出力されるものであり、本実施形態においては第2読出しデータ信号132の出力のタイミングは特に言及しない。
【0036】
本実施形態及び後述の第2実施形態の説明に用いる制御コマンドを図4に示す。制御コマンドは8ビットで定義した。制御コマンドは7ビットの命令コードと1ビットのコマンドタイプ識別子(以降IDと記載する)を有するタイプAと4ビットの命令コードと4ビットのパラメーターを有するタイプBがある。図4−(a)にタイプAの制御コマンドのビット位置における定義を示す。ビット7がIDであり、ビット0〜6が命令コードである。タイプAとタイプBの識別はIDの値により行われ、IDの値が0のときがタイプAの制御コードである。図4−(b)にタイプBの制御コマンドのビット位置における定義を示す。ビット4〜7が命令コードであり、ビット0〜3がパラメーターを示す。タイプBの場合、ビット7がIDの機能を有し、命令コードのビット7が1になるように定義されている。図4−(c)にAコマンドからDコマンドを示す制御コマンドのコードを示した。各制御コマンドで指示される実行内容については後述する。
【0037】
図3は、本実施形態及び後述の第2実施形態における説明に用いる表示システムを示したものである。この表示システムは、ホスト装置300及び表示装置400を有し、表示装置400は上述の記憶装置100または後述の記憶装置200と、表示部410とを有する。ホスト装置300と表示装置400とは接続信号301により接続されている。また、ホスト装置300と表示装置400とは別々のクロック信号により動作しているが、便宜上、同じ周波数であり、同じタイミングで変化しているものとする。このため、ホスト装置300と表示装置400との同期回路は省略している。また、ホスト装置300からの指示は、制御コマンド、次に制御コマンド付随するデータの順番で送られてくる。このため、制御部120はコマンド識別信号113によりホスト装置300からの送信の開始を知ることができる。また、書込みデータ信号111及び第1読出しデータ信号131のデータ幅は8ビットとする。
【0038】
表示部410の表示面を図5に示す。表示部410は、自動車の計器盤である。速度計420、回転計430、水温計・燃料計440及び複数の警告灯450などが表示されている。表示部410は、これら計器類が並んでいる計器パネルの表面全体に表示データによる表示が可能なものである。これら計器類は機械式の計器類が存在しているのではなく、たとえば、速度計420の表示は、速度計420を表示している表示領域の表示データを記憶するデータ記憶部130の記憶領域に、速度計420のデータが記憶されているだけである。従って、データ記憶部130の表示データを変えることにより、たとえば速度計420と回転計430との表示位置を交換したり、各々の大きさを変えたりすることができる。また、図6に示したのは、水温計・燃料計440の表示を変えた例であるが、走行中にエンジンの異常を検出したときの例で、水温及び燃料の掲示位置を変えてエンジンの異常を示す警告灯を運転者の見やすい位置に表示したものである。このようなことが、データ記憶部130の記憶する表示データを変更することで可能となる。また、計器類を表示していない領域にアニメのキャラクターなどを表示しておくことも可能である。
【0039】
データ記憶部130に記録される表示データのサイズは表示部410の表示領域の面積の広さに相関をもつ。このことは、制御コマンドによって制御コマンドに付随するデータのサイズを制御部120が認識可能であることを意味する。このため、ホスト装置300が制御コマンドに付随するデータのサイズを表示装置400に通知する必要がない。
【実施例1】
【0040】
本実施例は、記憶装置100を有する表示システムにおいて、タイプAのAコマンド及びBコマンドを実行した場合の例である。Aコマンドは、Aコマンドに付随するデータをデータ記憶部130に記憶するための制御コマンドである。付随するデータは表示データであり、タイプAのAコマンドはすべての表示データをひとつのコマンドで記憶させるための制御コマンドである。表示部410の表示に必要な表示データには、計器類だけでなく計器類を表示していない領域の表示データも含まれる。タイプAのBコマンドは、データ記憶部130に記憶されているすべての表示データの誤り検出を実行するための制御コマンドである。Bコマンドに付随するデータは比較データであり、データ記憶部130から読み出された表示データと比較される。
【0041】
Aコマンドの実行におけるタイムチャートを図7に示す。図7の上側に接続信号301に含まれる信号の変化の状態を示す。接続信号301に含まれる信号として図7に示したのは、ホストクロック信号(以降、301ホストクロック信号と記載する)、コマンド/データ信号(以降、301コマンド/データ信号と記載する)、セレクト信号(以降、301セレクト信号と記載する)及びデータ信号(以降、301データ信号と記載する)である。これらの信号はホスト装置300により出力される。301セレクト信号は、ホスト装置300からのアクセスにおいて、接続信号301に出力されている他の信号の値が有効である期間を示す信号であり、Lowレベルが有効であることを示す。301コマンド/データ信号は、301データ信号のデータが、制御コマンドであるか制御コマンドに付随するデータであるかを識別するための信号であり、Lowレベルが制御コマンドであることを示す。301データ信号は制御コマンド及び制御コマンドに付随するデータを送信するための信号である。これらの信号は301ホストクロック信号の立ち上がりに同期をして変化する。また、301データ信号のデータ幅は8ビットとする。
【0042】
図7の下側に表示装置400の内部の信号の変化の状態を示す。図7に示しているコントロールクロック信号は、図1及び図3のブロック図には図示していないが、表示装置400における主な動作の同期を取るためのクロック信号である。上述したが、301ホストクロック信号と同じ周波数であり、同じタイミングで変化している。また、上述したコマンド識別信号113、書込みデータ信号111及び記憶部アドレス信号123は、コントロールクロック信号の立ち上がりに同期して変化する。記憶部書込みタイミング信号124は、コントロールクロック信号の立ち上がりから次の立ち上がりまでのクロック1周期の中の略後半のタイミングでhighレベルとなり、highレベルであるときの書込みデータ信号111の値がデータ記憶部130に書込まれる。
【0043】
図7を用いてAコマンド実行における一連の動作について説明する。ホスト装置300は、301セレクト信号をLowレベルにし表示装置400に対してのアクセスを開始し、各信号に必要な値を出力する。301セレクト信号がLowレベルになると共に、301コマンド/データ信号がLowレベルに出力され、301データ信号に制御コマンド(図7におけるcmd)が出力される。301セレクト信号がLowレベルのときに、301セレクト信号以外の接続信号301における値が301ホストクロック信号の立ち上がりのタイミングでホストインターフェイス110に取込まれる(図7、(1)のタイミング)。そして、ホストインターフェイス110に取込まれた信号の中の、301データ信号は書込みデータ信号111として出力され、301コマンド/データ信号はコマンド識別信号113として出力される。
【0044】
制御部120において書込みデータ信号111の値のデコードは常に行われており、制御部120はコマンド識別信号113がLowレベルのときのコントロールクロック信号の立ち上がりのタイミングで制御コマンドがAコマンドであると認識する(図7、(2)のタイミング)。図7に示すように、Aコマンドに付随するデータ(d1、d2、・・・・、dn)がホスト装置300から連続して送信され、最終データ(dn)の送信終了のタイミングで301セレクト信号がホスト装置300によりhighレベルに駆動される(図7、(3)のタイミング)。
【0045】
制御部120は、ホスト装置300から送られた制御コマンドがAコマンドであることを認識する(図7、(2)のタイミング)と、Aコマンドに付随するデータをデータ記憶部130に書込むための制御を開始する。書込みデータ信号111はデータ記憶部130にも送られているので、制御部120が行う制御は、データ記憶部130に対してのアドレスの指定と書込みタイミングの指定である。アドレスの指定は、記憶部アドレス信号123により、最初に書込むデータに対してのみ行われる(図7、(4))。記憶部書込みタイミング信号124が、Highレベルのときがデータ記憶部130にデータを書込むタイミングである。図7に示すように、301データ信号の値は、コントロールクロック信号において1クロック遅れて書込みデータ信号111に伝えられる。また、制御部120は、予め表示部410の表示に必要な表示データのサイズを認識していることから、データ記憶部130に書込みデータ信号111の値が最終データであることを認識させるために、最終データに合わせて記憶部アドレス信号123のすべてのビットがHighレベルとなるように制御する。これによりデータ記憶部130は書込みデータ信号111のデータが最終データであるタイミングを認識することができる。
【0046】
上述したように、制御部120は、データ記憶部130への書込みデータ信号111の書込み動作の制御を、最初のデータのアドレスの指定、書込みタイミングの指示及び最終データの指定により行っている。これは、データ記憶部130が書込みタイミングの指示に合わせて次に書込むデータの為に記憶部アドレスを自動的に更新する機能を有していることによる。また、データ記憶部130は、制御部120から伝えられる最終データのタイミングを、記憶部アドレスをリセットするなどの用途として使用することができる。また、タイムチャートに図示はしていないが、ホスト装置300は表示データの転送中に301セレクト信号をHighレベルにすることで、書込み動作を中断する(所謂ウエイト動作)ことが可能である。この場合、301セレクト信号の値をコントロールクロック信号において1クロック遅れて制御部120に伝達することで、記憶部書込みタイミング信号124がHighレベルに駆動することを行わないことが可能となる。
【0047】
次にBコマンドの実行について、図8のタイムチャートを用いて説明する。Bコマンドは、データ記憶部130に記憶されたすべての表示データの誤り検出を行うための制御コマンドである。図7と同じように、図8の上側に接続信号301のタイムチャートを示す。図8おける接続信号301の変化は、タイミング的には図7と同じになる。図7の場合と異なる点は、301データ信号で送信される制御コマンドがBコマンドになり、Bコマンドに付随するデータが比較データになることである。
【0048】
図8の下側に表示装置400の内部の信号の変化の状態を示す。コマンド識別信号113、書込みデータ信号111及び記憶部アドレス信号123のタイミングは図7と同じである。しかしながら、データ記憶部130にBコマンドに付随するデータ(比較データ)を記憶することはないので、図示はしていないが、記憶部書込みタイミング信号124はLowレベルのままとなる。書込みデータ信号111に順次出力されてくる比較データの値は第1のラッチ140に順次保持される。第2のラッチ160には、比較データに対応してデータ記憶部130から順次読み出される第1読出しデータ信号131の値が順次保持される。データ記憶部130から第1読出しデータ信号131への値の読出しは、制御部120が最初に読み出す表示データのアドレス値を記憶部アドレス信号123に出力すると共に記憶部読出しタイミング信号125を所定の期間Highレベルにすることで行われる。このときに記憶部アドレス信号123で指定されたアドレスの表示データは、次の記憶部読出しタイミング信号125が所定の期間Highレベルになるまでは第1読出しデータ信号131に出力され続ける。所定の期間であるが、記憶部読出しタイミング信号125は、コントロールクロック信号の立ち上がりから次の立ち上がりまでのクロック1周期の略前半の期間にhighレベルになるように制御部120により制御される。
【0049】
第1のラッチ140は、制御部120により出力されるラッチ制御信号121がHighレベルの期間に書込みデータ信号111の値を保持する。第2のラッチ160は、制御部120により出力されるラッチ制御信号122がHighレベルの期間に第1読出しデータ信号111の値を保持する。ラッチ制御信号121及びラッチ制御信号122は、共にコントロールクロック信号の立ち下がりのタイミングでHighレベルに変化し、コントロールクロック信号の立ち上がりのタイミングでLowレベルに変化するように制御部120により制御される。
【0050】
比較器150は、第1のラッチ140が出力する値と第2のラッチ160が出力する値とを比較し、お互いの値が一致しない場合に比較結果信号151をLowレベルとする。比較器150は第1のラッチ140及び第2のラッチ160に比較を行うデータが保持されていなくても比較結果信号151を常に出力し続けている。しかしながら、ラッチ制御信号121及びラッチ制御信号122を制御しているのは制御部120であることから、制御部120は比較結果信号151の出力を使用できるタイミングを認識することができる。具体的には、制御部120は、ラッチ制御信号121及びラッチ制御信号122をHighレベルに駆動しているときのコントロールクロック信号の立ち上がりのタイミングで比較結果信号151の値を取込み、誤り検出結果として使用する。誤り検出結果が不一致であった場合は、表示データに誤りが発生していると考えられる。制御部120は、不一致であった結果をエラー信号126としてホストインターフェイス110に伝え、同時に、内部ステータス信号128を介してエラーの発生したアドレスの情報をホストインターフェイス110に出力する。ホストインターフェイス110は、接続信号301を介して制御部120から伝えられたエラー信号126の情報とエラーの発生したアドレスの情報とをホスト装置300に出力する。
【0051】
ホスト装置300がエラーの情報を受け取った場合、表示データの更新はBコマンドの実行を中断して行ってもよいし、Bコマンドの実行が終了してから行ってもよい。この判断は、たとえばエラーの発生したアドレス情報を基にして行うことができる。エラーの発生したアドレスが警告灯の表示データを記憶するアドレスであった場合はBコマンドの実行を中断して表示データの更新を行うことが好ましいと考えられる。これに対して、エラーの発生したデータ記憶部のアドレスが計器類の表示領域以外のパネルの模様などの表示データを記憶するアドレスであった場合は、Bコマンドの実行終了後に表示データの更新を行うことでよいと考えられる。BコマンドとBコマンドに付随するデータとをDMA機能を用いて行っている場合、表示装置400においてBコマンドが実行されているときに、ホスト装置300は上記のようなエラーの対応に必要な処理の判断をすることができる。
【0052】
Bコマンド実行における一連の動作は次のようになる。制御部120は図8の(1)のタイミングでホスト装置300から送られた制御コマンドがBコマンドであることを認識し、制御コマンドに付随するデータとデータ記憶部130に記憶された表示データとの比較の処理を行うための制御を開始する。記憶部アドレス信号123にスタートアドレスが出力され、記憶部読出しタイミング信号125に読出しのためのパルス信号が上述したタイミングで出力される。これにより、書込みデータ信号111に出力される比較データに対応した表示データが、第1読出しデータ信号131に出力される。続いてラッチ制御信号121及びラッチ制御信号122にラッチのためのパルス信号が上述したタイミングで出力されることで、第1のラッチ140に比較データの値が保持され、第2のラッチ160に表示データの値が保持される。第1のラッチ140に正しく値が保持されていることが保障されるのはラッチ制御信号121がHighレベルのときであり、第2のラッチ160に正しく値が保持されているのはラッチ制御信号122がHighレベルのときである。制御部120は、ラッチ制御信号121及びラッチ制御信号122が共にHighレベルのときのコントロールクロック信号の立ち上がりのタイミングで比較結果信号151の値を取込む。
【0053】
図8に、データ記憶部130から2番目に読み出された表示データmd2と2番目の比較データd2とが不一致となった状態を示した。制御部120は、図8の(2)のタイミングで取込んだ比較結果信号151の値によりエラー信号126をLowレベルに駆動し、ホストインターフェイス110に誤りが発生したことを伝える。エラー信号126は、次の比較結果信号151の取込みタイミングの図8の(3)において、比較結果信号151がエラーを示す値でないことから、エラー信号126はHighレベルに駆動される。また、最後の表示データmdnと最後の比較データdnとの比較で誤りが検出された場合は、制御部120は、コントロールクロック信号のクロック1周期の期間の間エラー信号126をLowレベルに駆動した後、エラー信号126をHighレベルに駆動する。
【実施例2】
【0054】
本実施例は、記憶装置100を有する表示システムにおいて、タイプBのAコマンド及びBコマンドを実行した場合の例である。タイプBなので、制御コマンドはパラメーターを有する。本実施例においては、パラメーターは表示部410の表示領域を指定するものとする。表示部410の表示領域を指定することは、実質的にはデータ記憶部130の記憶領域を指定することとなる。しかしながら、表示部410の表示領域が連続した領域であったとしても、データ記憶部130の連続した記憶領域に表示データが記憶されるとは限らない。制御部120は、予めパラメーターで指定されるデータ記憶部130の記憶領域のアドレス分布を認識しており、このアドレス分布に従って記憶部アドレス信号123にアドレスを出力する。Aコマンドの場合、パラメーターで指定された領域にAコマンドに付随するデータ(表示データ)の書込みを行い、Bコマンドの場合、パラメーターで指定された領域に記憶された表示データの誤り検出を行う。
【0055】
タイプBのAコマンドの実行におけるタイムチャートは基本的に図7と同じである。タイプBがタイプAの場合と異なるのは、Bコマンドに付随するデータの数が異なることと、パラメーターで示される表示領域の表示データを記憶するアドレス分布に従い、途中で記憶部アドレス信号123にアドレスを指定する値が出力されることである。
【0056】
タイプBのBコマンドの実行におけるタイムチャートは基本的に図8と同じである。タイプAの場合と異なるのは、Bコマンドに付随するデータの数が異なることと、パラメーターで示される表示領域の表示データを記憶するアドレス分布に従い、途中で記憶部アドレス信号123にアドレスを指定する値が出力されることである。
【0057】
パラメーターは表示領域を指定するものであるから、ホスト装置300と制御部120とで表示領域に対してのデータ記憶部130のアドレス分布の認識を同じにしておく必要がある。このため、図4に示していないが、制御部120が有するアドレス分布情報を更新するための制御コマンドが存在する。
【0058】
(第2実施形態)
本実施形態における記憶装置200を図2に示す。記憶装置200は、誤り検出器201、ホストインターフェイス210及びデータ記憶部230を有し、更に誤り検出器201は、制御部220、第1のラッチ240、第2のラッチ260、比較器250、CRC演算回路270、CRC演算回路270の入力信号を選択する第1セレクター290、第1のラッチ240の入力信号を選択する第2セレクター280及び第2のラッチ260の入力信号を選択する第3セレクター285を有する。本実施形態におけるCRC演算回路270は、CRC8で8入力による演算を行い、8ビットのCRC値を算出するものである。
【0059】
図2における誤り検出器201、ホストインターフェイス210及びデータ記憶部230は、図1における誤り検出器101、ホストインターフェイス110及びデータ記憶部130に各々対応する。更に、誤り検出器201における制御部220、第1のラッチ240、第2のラッチ260及び比較器250は、誤り検出器101における制御部120、第1のラッチ140、第2のラッチ160及び比較器150に各々対応する。
【0060】
図2に示した複数の信号は、図1に示した複数の信号と次ぎのように対応する。書込みデータ信号211は書込みデータ信号111に対応する。コマンド識別信号213は、コマンド識別信号113に対応する。ラッチ制御信号221は、ラッチ制御信号121に対応する。ラッチ制御信号222は、ラッチ制御信号122に対応する。記憶部アドレス信号223は、記憶部アドレス信号123に対応する。記憶部書込みタイミング信号224は、記憶部書込みタイミング信号124に対応する。記憶部読出しタイミング信号225は、記憶部読出しタイミング信号125に対応する。第1読出しデータ信号231は、第1読出しデータ信号131に対応する。第2読出しデータ信号232は、第2読出しデータ信号132に対応する。比較結果信号251は、比較結果信号151に対応する。エラー信号226は、エラー信号126に対応する。内部ステータス信号228は、内部ステータス信号128に対応する。
【0061】
また、CRC演算回路270の演算結果は、CRC計算結果信号271として出力される。エラー信号227は、CRC計算結果信号271の値を基にして検出した表示データの誤りを通知する信号である。また、表示装置400の内部の動作の同期を取るための、図2及び図3に図示していないクロック信号であるが、本実施形態においても第1実施形態と同じようにコントロールクロック信号と呼ぶことにする。ホストクロック信号とコントロールクロック信号の関係は第1実施形態と同様である。また、301データ信号、書込みデータ信号211及び第1読出しデータ信号231のデータ幅は8ビットとする。
【0062】
上記したように、記憶装置200は、第1実施形態における記憶装置100にCRC演算回路270を追加し、これに合わせてCRC演算回路270の入力信号の選択を行うための第1セレクター290、第1のラッチの入力信号の選択を行うための第2セレクター280及び第2のラッチの入力信号の選択を行うための第3セレクター285を追加したものである。従って、記憶装置200におけるこれら追加した構成要素以外の部分の機能及び構成は、制御部220を除いて記憶装置100と同じである。このため、第1実施形態で説明した構成要素に関しての説明は本実施形態の説明では行わない。尚、制御部220は、CRC演算回路270を使用するための制御を行う機能が必要となるが、CRC演算回路270を使用しない場合において、記憶装置200は記憶装置100と同じ機能を果す装置となる。上述したが、本実施形態における表示システムを図3に示す。また、上述したが、本実施形態の説明に用いる制御コマンドを図4に示す。
【0063】
ホスト装置300から送られる制御コマンドが、Aコマンド及びBコマンドの場合は制御部220により、第2セレクターは書込みデータ信号211を選択するように制御され、第3セレクターは第1読出しデータ信号231を選択するように制御される。これにより、記憶装置200におけるAコマンド及びBコマンドの実行は、第1実施形態で説明した記憶装置100における実行と同じになる。
【0064】
Cコマンドは、付随するデータをデータ記憶部230に記憶すると共に、付随するデータのCRC値を第1のラッチ240に保持するための制御コマンドである。Cコマンドに付随するデータは表示データである。Dコマンドは、データ記憶部に記憶された表示データのCRC値を第2のラッチ260に保持し、第1のラッチ240に保持したCRC値と第2のラッチに保持したCRC値との比較結果から表示データの誤り検出を行うための制御コマンドである。図4に示すように、Cコマンド及びDコマンドともにタイプAとタイプBが存在する。Aコマンド及びBコマンドと同じように、タイプAとタイプBの違いは表示部410の表示領域を指定して処理を行うかどうかの違いである。よって、タイプAとタイプBの違いによる動作の説明は第1実施形態における説明に準じるものとして、本実施形態においては説明を省略する。
【実施例3】
【0065】
まず、Cコマンドの実行について説明する。Cコマンドの実行におけるタイムチャートを図9に示す。接続信号301、コントロールクロック信号、書込みデータ信号211、記憶部アドレス信号223及び記憶部書込みタイミング信号224の説明は第1実施形態の内容に準じたものとなるので、本実施例の説明においては省略する。
【0066】
図9の(1)のタイミングで制御部220はCコマンドが送信されたことを認識し、Cコマンドの実行に必要な制御を開始する。制御部220により、第1セレクター290は書込みデータ信号211を選択するように制御され、第2セレクター280はCRC計算結果信号271を選択するように制御される。Cコマンドに付随するデータは、制御部220が制御する記憶部アドレス信号223及び記憶部書込みタイミング信号224によりデータ記憶部230に記憶される。
【0067】
第1セレクター290により書込みデータ信号211がCRC演算回路270の入力に選択されている。第1セレクター290通過により伝達時間に若干の遅延が生じるものの、書込みデータ信号211に出力されたデータに対してCRC演算回路270により計算されたCRC値は、次のコントロールクロック信号の立ち上がりのタイミングでCRC計算結果信号271に出力される(たとえばCコマンドに付随するデータd1に対しては図9の(2)のタイミング)。Cコマンドに付随するデータの最後のデータ(dn)に対してのCRC値は、Cコマンドに付随するデータ全体のCRC値となるため、制御部220によりラッチ制御信号221がコントロールクロック信号の立ち下がりでHighレベルに駆動されて第1のラッチ240に保持される(図9の(3)のタイミング)。ラッチ制御信号221は、次のDコマンドの実行終了までHighレベルのまま維持される。
【0068】
次にDコマンドの実行について説明する。Dコマンドの実行におけるタイムチャートを図10に示す。Dコマンドは付随するデータを有しない。従って、301セレクト信号は、制御コマンド送信後にHighレベルに駆動される。すなわち、誤り検出実行のためにホスト装置300がすることはDコマンドを送信するだけでよい。制御部220は、送られた制御コマンドがDコマンドであることを認識すると、Dコマンド実行のための制御を開始する(図10、(1)のタイミング)。
【0069】
制御部220により、第1セレクター290は第1読出しデータ信号231を選択するように制御され、第2セレクター280はCRC計算結果信号271を選択するように制御される。また、制御部220は、データ記憶部230に対して表示データを読み出すために記憶部アドレス信号223及び記憶部読出しタイミング信号225の駆動を開始する。
【0070】
第1セレクター290により第1読出しデータ信号231がCRC演算回路270の入力に選択されている。第1セレクター290通過により伝達時間に若干の遅延が生じるものの、第1読出しデータ信号231に出力されたデータに対してCRC演算回路270により計算されたCRC値は、次のコントロールクロック信号の立ち上がりのタイミングでCRC計算結果信号271に出力される(たとえば第1読出しデータ(md1)に対しては図10の(2)のタイミング)。第1読出しデータ信号231に読み出される最後のデータ(mdn)に対してのCRC値は、第1読出しデータ信号231に出力された表示データ全体のCRC値となるため、制御部220によりラッチ制御信号222がコントロールクロック信号の立ち上がりでHighレベルに駆動されて第2のラッチ260に保持される(図10の(3)のタイミング)。第1のラッチ240には、既にCコマンドの実行結果のひとつとしてCコマンドに付随するデータのCRC値が保持されている。このため、Dコマンドの実行により、ラッチ制御信号221及びラッチ制御信号222の双方が共にHighレベルに駆動されたことになる。制御部220は、ラッチ制御信号221及びラッチ制御信号222が共にHighレベルであるときのコントロールクロック信号の立ち上がりのタイミングで比較結果信号251の値を取込む(図10、(3)のタイミング)。
【0071】
図10は、データ記憶部230に記憶されていた表示データの誤りが検出された状態を示している。第1のラッチ240に保持された値と第2のラッチ260に保持された値とが不一致となるため、比較器250は比較結果信号251をLowレベルに駆動する。比較結果信号251により表示データの誤りがあったことを認識した制御部220は、エラー信号227をLowレベルに駆動し、ホストインターフェイス210に誤りが検出されたことを通知する。
【0072】
Dコマンドによる誤り検出の場合、誤りのあった表示データのデータ記憶部におけるアドレスはわからない。また、Cコマンド及びDコマンドがタイプBの場合、パラメーターで指定される表示領域が同一でなければならない。制御コマンドのタイプの管理及びタイプBのときのパラメーターの設定管理はホスト装置300が行うことになる。従って、データ記憶部230に記憶された表示データの誤りが検出されれば、ホスト装置300側で適した対応の仕方を決定することが可能である。
【0073】
(第3実施形態)
本実施形態は、第1のラッチ、第2のラッチ、データ比較回路及びCRC演算回路を用いて誤り検出を行う方法を説明するものである。誤り検出の対象となるデータはデータ記憶部に記憶されており、データ記憶部に記憶するデータはホスト装置により管理されている。また、第1のラッチ、第2のラッチ、データ比較回路、CRC演算回路及びデータ記憶部は、ホスト装置の発行する制御コマンドにより制御される。本実施形態の説明に用いるフローチャートを図11に示す。また、本実施形態で用いるハードウェアのブロック図は特に図示しないが、ホスト装置の発行する制御コマンドは第1実施形態または第2実施形態で説明したAコマンド、Bコマンド、Cコマンド及びDコマンドである。
【0074】
第1の処理(図11、S02)は、Aコマンドを実行する処理であり、ホスト装置がデータ記憶部にデータを記憶するための処理である。第2の処理(図11、S03)及び第3の処理(図11、S04)は、Bコマンドを実行するための処理である。第2の処理はBコマンドに付随するデータを第1のラッチに保持すると共にデータ記憶部の表示データを第2のラッチに保持する処理であり、第3の処理は第1のラッチに保持された値と第2のラッチに保持された値とを比較し、不一致が出た場合はホスト装置にエラーとして通知する処理である。第4の処理(図11、S06)は、Cコマンドを実行するための処理であり、Cコマンドに付随するデータをデータ記憶部に記憶すると共にCRC検出回路を用いて付随するデータのCRC値を算出し第1のラッチに保持する処理である。第5の処理(図11、S07)及び第6の処理(図11、S08)は、Dコマンドを実行するための処理である。第5の処理は、CRC演算回路を用いてデータ記憶部に記憶されたデータのCRC値を算出し第2のラッチに保持する処理であり、第6の処理は第1のラッチに保持された値と第2のラッチに保持された値とを比較し、不一致が出た場合はホスト装置にエラーとして通知する処理である。
【0075】
図11のフローチャートについて説明する。まず、ホスト装置が発行する制御コマンドを発行されたかどうかを監視する(S01)。制御コマンドが発行されると、発行された制御コマンドがいずれのコマンドであるかを判別する。発行された制御コマンドがAコマンドである場合は、第1の処理(S02)を実行した後、ホスト装置が発行する制御コマンドの監視(S01)に戻る。発行された制御コマンドがBコマンドである場合は、第2の処理(S03)を実行した後、第3の処理(S04)を行うと共に平行して直前の第2の処理で行った処理が最終データであったかどうかを判定(S05)する。S05において最終データでないと判定した場合は第2の処理(S03)に戻る。S05において最終データと判断した場合はホスト装置が発行する制御コマンドの監視(S01)に戻る。発行された制御コマンドがCコマンドであった場合には第4の処理(S06)を実行した後、ホスト装置が発行する制御コマンドの監視(S01)に戻る。発行された制御コマンドがDコマンドの場合は、第5の処理(S07)を実行した後第6の処理(S08)を実行し、その後ホスト装置が発行する制御コマンドの監視(S01)に戻る。データ記憶部に記憶されたデータの誤りを検出した場合は、第3の処理(S04)又は第6の処理(S08)においてホスト装置に伝えられ、ホスト装置が誤り解消の為に適切な処理を行うことが可能となる。
【0076】
以上、本発明の実施形態について説明を行ったが、本発明は上述した実施形態に限られるものではない。たとえば、データ送信に用いられる信号のデータサイズ、CRC演算回路の構成の違い、制御コマンドのコードの設定の違い又は比較回路の扱いなどを上述の実施形態とは異なるものとしても本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0077】
100…記憶装置、101…誤り検出器、110…ホストインターフェイス、111…書込みデータ信号、113…コマンド識別信号、120…制御部、121…ラッチ制御信号、122…ラッチ制御信号、123…記憶部アドレス信号、124…記憶部書込みタイミング信号、125…記憶部読出しタイミング信号、126…エラー信号、128…内部ステータス信号、130…データ記憶部、131…第1読出しデータ信号、132…第2読出しデータ信号、140…第1のラッチ、150…比較器、151…比較結果信号、160…第2のラッチ、200…記憶装置、201…誤り検出器、210…ホストインターフェイス、211…書込みデータ信号、213…コマンド識別信号、220…制御部、221…ラッチ制御信号、222…ラッチ制御信号、223…記憶部アドレス信号、224…記憶部書込みタイミング信号、225…記憶部読出しタイミング信号、226…エラー信号、227…エラー信号、228…内部ステータス信号、230…データ記憶部、231…第1読出しデータ信号、232…第2読出しデータ信号、240…第1のラッチ、250…比較器、251…比較結果信号、260…第2のラッチ、270…CRC演算回路、271…CRC計算結果信号、280…第2セレクター、285…第3セレクター、290…第1セレクター、300…ホスト装置、301…接続信号、400…表示装置、410…表示部、420…速度計、430…回転計、440…水温計・燃料計、450…複数の警告灯。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のラッチと、
第2のラッチと、
データ比較回路と、
を含み、
ホストインターフェイスを介して制御コマンドを受信し、
前記制御コマンドが第1のコマンドである場合は、
前記第1のコマンドに付随するデータを順次前記第1のラッチに保持すると共に、データ記憶部に記憶されているデータを読み出し順次前記第2のラッチに保持し、
前記データ比較回路により前記第1のラッチに保持されたデータと前記第2のラッチに保持されたデータとの比較を行うことを特徴とする誤り検出器。
【請求項2】
前記制御コマンドはパラメーターを有し、前記第2のラッチに保持されるデータは前記パラメーターにより選択され前記データ記憶部から読み出されたデータであることを特徴とする請求項1に記載の誤り検出器。
【請求項3】
前記データ記憶部は複数の領域に分割されており、前記パラメーターは前記複数の領域の中のいずれの領域かを識別するためのものであることを特徴とする請求項2に記載の誤り検出器。
【請求項4】
更に、CRC演算回路を含み、
前記制御コマンドが第2のコマンドである場合は、
前記第2のコマンドに付随するデータを保存データとして前記データ記憶部に記憶すると共に前記付随するデータを入力とする前記CRC演算回路による演算結果が前記第1のラッチに保持され、
前記制御コマンドが第3のコマンドである場合は、
前記データ記憶部に記憶された前記保存データを入力とする前記CRC演算回路による演算結果が前記第2のラッチに保持され、
前記第1のラッチに保持されたデータと前記第2のラッチに保持されたデータとの比較を、前記データ比較回路により行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の誤り検出器。
【請求項5】
前記データ比較回路おける比較の結果が不一致の場合、前記不一致を示す信号を、前記ホストインターフェイスを介して出力することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の誤り検出器。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の誤り検出器を有する半導体装置。
【請求項7】
請求項6に記載の誤り検出器を有する半導体装置を用いた情報処理装置。
【請求項8】
第1のラッチと、
第2のラッチと、
データ比較回路と、
を用い、
ホストインターフェイスを介して制御コマンドを受信し、
前記制御コマンドが第1のコマンドである場合は、
前記第1のコマンドに付随するデータを比較データとして順次前記第1のラッチに保持すると共に、データ記憶部に記憶されているデータを読み出し順次前記第2のラッチに保持し、前記データ比較回路により前記第1のラッチに保持されたデータと前記第2のラッチに保持されたデータとの比較を行う処理を含むことを特徴とする誤り検出方法。
【請求項9】
前記制御コマンドはパラメーターを有し、前記第2のラッチに保持されるデータは前記パラメーターにより選択され前記データ記憶部から読み出されたデータであることを特徴とする請求項8に記載の誤り検出方法。
【請求項10】
前記データ記憶部は複数の領域に分割されており、前記パラメーターは前記複数の領域の中のいずれの領域かを識別するためのものであることを特徴とする請求項9に記載の誤り検出方法。
【請求項11】
更に、CRC演算回路を用い、
前記制御コマンドが第2のコマンドである場合は、
前記付随するデータを保存データとして前記データ記憶部に記憶すると共に前記付随するデータを入力とする前記CRC演算回路による演算結果を前記第1のラッチに保持する処理と、
前記制御コマンドが第3のコマンドである場合は、
前記データ記憶部に記憶された前記保存データを入力とする前記CRC演算回路による演算結果を前記第2のラッチに保持し、前記第1のラッチに保持されたデータと前記第2のラッチに保持されたデータとの比較を前記データ比較回路により行う処理とを含むことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか一項に記載の誤り検出方法。
【請求項12】
前記データ比較回路おける比較の結果が不一致の場合、前記不一致を示す信号を、前記ホストインターフェイスを介して出力することを特徴とする請求項8乃至11のいずれか一項に記載の誤り検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−141790(P2011−141790A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2689(P2010−2689)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】