説明

誤挿入防止構造

【課題】従来の技術では、コイン等の誤挿入防止構造を形成しようとすると、筐体の側壁外側に凹部が形成される。ここで、電子機器の使用の状況によっては、デザイン上の観点から使用者の目に晒される筐体の外側に凹部が形成されることが望ましくない場合がある。また、側壁を形成する部品が塗装された金属部品や、樹脂成型部品の場合は絞り加工の際に塗装が剥がれたり、部品が変色したりするおそれがある。
【解決手段】第一のカバーと、前記第一のカバーの外側に配置された電子部品と、前記第一のカバーの一部と、前記電子部品とを覆う第二のカバーと、を有し、前記第一のカバーは、前記第二のカバーに覆われている箇所で、かつ、前記電子部品より鉛直方向上方に位置する箇所に、前記第二のカバーに向かって突出する凸部5を有する、誤挿入防止構造とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は誤挿入防止構造に関する。より詳しくは、電子機器における誤挿入防止構造であり、危険部位にコイン等の導電性の異物の誤挿入を防止し、電子機器が誤動作を行わないように構成された構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の構成が複雑化している。例えば、省スペース設計の要請により、基板等の電子部品を配置する箇所が年々変化している。また、省コストの観点から強度に優れる金属部品と、加工が容易な樹脂成型部品とを、混在させて筐体を設計することが求められている。
【0003】
ここで、電子機器を設計する上での必要事項として、筐体の隙間にコイン等の導電性の異物の誤挿入を防止し、電子機器が誤動作を行わないような工夫(誤挿入防止構造)が求められる。つまり、コイン等の導電性の異物が電子機器内の電子部品上に落下し、設計上想定されていない箇所が短絡することを防止する構造の形成を行う必要がある。上述のように、電子部品を配置する箇所が多様化すると、今まででは誤挿入防止構造を行う必要の無かった箇所に誤挿入防止構造を行う必要が出てくる。また、上述のように、金属部品と樹脂成型部品とを混在させて設計された筐体では、金属部品と樹脂成型部品との間に隙間が生じるので、誤挿入防止構造を行う必要が出てくる。
【0004】
従来の誤挿入防止構造に関しては、例えば、側壁からシャーシ内方に向けて凸部を形成する技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−80980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら前記従来の技術のようにすると、筐体の側壁外側に凹部が形成される。電子機器の使用の状況によっては、デザイン上の観点から使用者の目に晒される筐体の外側に凹部が形成されることが望ましくない場合がある。また、側壁を形成する部品が塗装された金属部品や、樹脂成型部品の場合は絞り加工の際に塗装が剥がれたり、部品が変色したりするおそれがある。このような観点からも、筐体の外側に凹部を形成することは望ましくない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、筐体の外側に凹部を形成することなく、誤挿入防止構造を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決する為に、本発明の誤挿入防止構造は、第一のカバーと、前記第一のカバーの外側に配置された電子部品と、前記第一のカバーの一部と、前記電子部品とを覆う第二のカバーと、を有し、前記第一のカバーは、前記第二のカバーに覆われている箇所で、かつ、前記電子部品より鉛直方向上方に位置する箇所に、前記第二のカバーに向かって突出する凸部を有する、誤挿入防止構造とした。
【0009】
また、本発明の誤挿入防止構造は、第一のカバーと、前記第一のカバーの外側に配置された電子部品と、前記第一のカバーの一部と、前記電子部品とを覆う樹脂製の第二のカバーと、を有し、前記第二のカバーは、前記第二のカバーが覆う箇所で、かつ、前記電子部品より鉛直方向上方に位置する箇所に、前記第一のカバーに向かって突出するリブを有する、誤挿入防止構造ともした。
【発明の効果】
【0010】
本発明の誤挿入防止構造によれば、コイン等の導電性の異物の侵入を妨害する部位が、電子機器の筐体の内部からの凸部で形成されるか、筐体外部からの樹脂製のリブで形成されるので、筐体の外側に凹部を形成することなく、誤挿入防止構造を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1における、誤挿入防止構造を有する映像表示装置の後方からの斜視図
【図2】実施の形態1における、樹脂カバーを外した状態での、誤挿入防止構造を有する映像表示装置の後方からの斜視図
【図3】実施の形態1における、誤挿入防止構造の拡大図
【図4】実施の形態1における、誤挿入防止構造の作用を表すための模式図
【図5】実施の形態2における、誤挿入防止構造が形成される箇所を説明する図
【図6】図5(b)で表された拡大箇所の拡大図
【図7】樹脂カバーの正面斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
以下、図1から図3を参照しながら、実施の形態1について説明する。
【0013】
実施の形態1では、本発明の誤挿入防止構造を映像表示装置に適用した一実施例を説明する。本発明の誤挿入防止構造はコイン等の導電性の異物の誤挿入への対策であるので、映像表示装置のように隙間の多い大型の電子機器に好適である。
【0014】
<実施の形態1における機器の構成>
以下、機器の構成について説明する。
【0015】
図1は実施の形態1における、誤挿入防止構造を有する映像表示装置の後方からの斜視図である。以下図1を用いて機器の構成を説明する。
【0016】
映像表示装置1は、映像、画像等を前面に配置された電子部品である表示パネル(図示しない)に表示する電子機器である。
【0017】
金属カバー2は、表示パネルの背面を覆うカバーである。金属カバー2は、表示パネルの背面に異物等が挿入されることを防止している。また、金属カバー2は、表示パネルからの不要輻射を防止するために、表示パネル背面全面を覆うようにカバーしている。また、金属カバー2は、表示パネル背面からの放熱を効率よく行うために、黒く塗装されている。
【0018】
樹脂カバー3は、金属カバー2の一部を覆うカバーである。樹脂カバー3はポリスチレンを材料とするカバーであり、可撓性を有する。
【0019】
図2を用いて樹脂カバー3の機能について詳しく説明する。図2は実施の形態1における、樹脂カバーを外した状態での、誤挿入防止構造を有する映像表示装置の後方からの斜視図である。映像表示装置1から樹脂カバー3を外すと電子部品4が外部に露出する。つまり、樹脂カバー3は電子部品4を覆うカバーでもある。
【0020】
更に図2を用いて、電子部品4について説明する。電子部品4は表示パネルに対する信号を生成する電子部品である。電子部品4に含まれる具体的な部品は、例えば電源回路、演算回路、記録素子などである。
【0021】
更に図2を用いて、凸部5について説明する。凸部5は金属カバー2の側面を絞り加工することによって形成された、略半円の断面を持つ突起である。
【0022】
図3を用いて、凸部5について詳細に説明する。図3は実施の形態1における、誤挿入防止構造の拡大図である。図3(a)は断面方向及び拡大箇所を示す側面図。図3(b)は図3(a)のA―A断面および拡大箇所に対応する拡大図である。図3における映像表示装置1は、樹脂カバー3を装着している。図3(b)に明らかなように、凸部5は金属カバー2に向かって突出している。また、凸部5は電子部品4よりは鉛直方向上方に位置する。ここで鉛直方向上方とは通常の使用の状態を観念して決められるものである。
【0023】
<実施の形態1における誤挿入防止構造の作用>
以下、図3、図4を参照しながら本実施の形態における誤挿入防止構造の作用を説明する。
【0024】
まず、コイン等の異物が誤挿入され得る、金属カバー2と樹脂カバー3が有する隙間について説明する。図3(b)に示されるように、金属カバー2と樹脂カバー3との間にはわずかな隙間が生じている。この金属カバー2と樹脂カバー3が有する隙間からコイン等の異物が誤挿入されるおそれがある。この隙間は設計上の誤差として生じる場合がある。また、本実施の形態のように金属製で剛性の高い金属カバー2と、樹脂製で可撓性の高い樹脂カバー3とを重ね合わせるように覆わせて配置する場合は、金属カバー2と樹脂カバー3が有する隙間の発生する可能性がさらに高まる。また、金属カバー2と樹脂カバー3を重ね合わせるように覆わせて配置する場合は、異種材料間の材料特性に鑑み、設計上あえて隙間を形成する場合がある。
【0025】
次に、図4を参照しながら、隙間からコインが誤挿入されたと仮定して、誤挿入防止構造の作用を説明する。図4は、実施の形態1における、誤挿入防止構造の作用を表すための模式図である。コイン6は厚さ1mm、半径15mmの硬貨である。凸部5は、金属カバー2と樹脂カバー3が有する隙間から、電子部品4までの経路に、コイン6の侵入を阻害する箇所を形成するように配置される。このようにして、本実施の形態の誤挿入防止構造はコイン6の誤挿入により、電子部品4にコイン6が接触し、映像表示装置1の動作に不具合を及ぼすことを防止する。また、樹脂カバー3は凸部5の鉛直方向上方に金属カバー2に向かって突出するリブ7を有する。
【0026】
<実施の形態1における誤挿入防止構造の効果>
本実施の形態における誤挿入防止構造の効果を説明する。本実施の形態の誤挿入防止構造によれば、従来の誤挿入防止構造のように筐体の外側に凹部の形成を行うことなく、誤挿入防止構造を実現できる。
【0027】
本発明が適用可能な電子機器について説明する。本実施の形態では映像表示装置1は放送を受信し、映像音声を出力するものであるが、本発明は電子機器であれば広く適用可能である。ただし、上述したように、本発明の誤挿入防止構造はコイン等の導電性の異物の誤挿入への対策であるので、映像表示装置1のような隙間の多い大型の電子機器に好適である。
【0028】
本発明が適用可能なカバーの材質について説明する。本実施の形態では、金属製で剛性の高い金属カバー2と、樹脂製で可撓性の高い樹脂カバー3とを重ね合わせるように覆わせて配置したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば互いのカバーが金属製同士でも良いし、樹脂製同士でも良い。しかし、本実施の形態のように金属製で剛性の高い金属カバー2と、樹脂製で可撓性の高い樹脂カバー3とを重ね合わせるように覆わせて配置する場合は次のような更なる効果がある。
【0029】
本発明を、本実施の形態のように金属製で剛性の高い金属カバー2と、樹脂製で可撓性の高い樹脂カバー3とを重ね合わせるように覆わせて配置する場合に対して、適用した際に得られる効果を説明する。樹脂カバー3に対して従来技術のように突起を形成しようとすると、樹脂カバー3にクラックが生じるおそれがあるという課題がある。また、突起の形成の際に樹脂カバー3が変色してしまうおそれもある。本発明では凸部5を金属カバー2に形成するのでそのような課題を解決することができる。
【0030】
また、本発明を、上述のように金属カバー2と樹脂カバー3とで構成した場合、本実施の形態のように、リブ7が凸部5の鉛直方向上方に金属カバー2に向かって突出することによって得られる効果を説明する。前提として、樹脂カバー3は可撓性が高いので、映像表示装置1に組み付ける際のテンションのかかり具合によって、金属カバー2との相対的な位置が変化しやすいという課題が存在する。そのような課題が存在するので、樹脂カバー3と金属カバー2との間には隙間が生じやすい。また、上述のように金属カバー2と樹脂カバー3を重ね合わせるように覆わせて配置する場合は、異種材料間の材料特性に鑑み、設計上あえて隙間を形成する場合がある。ここで、従来のように絞り加工を用いて樹脂カバー3に対して突起を形成しようとしてもその隙間に所望の寸法を持たせることは困難である。事実、本実施の形態においては、本来樹脂カバー3と金属カバー2との隙間を無くす目的をも持ってリブ7が形成されているが完全には機能していない。しかし、このようにリブ7を形成したことによって、リブ7と凸部5とが互い違いに突起するように配置される。このようにすると、コイン6の誤挿入をより確実に防止することができる。
【0031】
また、本発明を、本実施の形態のように、金属カバー2が樹脂カバー3がカバーする電子部品4とは異なる電子部品の一部を覆うカバーである場合に適用することによって得られる効果を説明する。従来技術のように、電子部品を備えた基板をそのまま用いて誤挿入防止構造を実現しようとすると、異物によって基板がダメージを受け、電子部品の動作に悪影響を及ぼすおそれがある。その点、本実施の形態のようにすれば、異物の接触しうる箇所に電子部品を有する基板などの危険部位を避けることができる。また、部品の少数化の観点からも有用である。
【0032】
また、本発明を、本実施の形態のように、電子部品4を表示パネルに対する信号を生成するものとした場合に適用した際に得られる効果を説明する。表示パネルを有する電子機器は通常屋内の人目につきやすい箇所に配置されることが主である。従来技術における誤挿入防止構造は、車載用のCDプレーヤの側面のような、人目につき辛い箇所に適用するものである。つまり、従来技術の適用状況では筐体の外側に凹部形成を行っても美観を損ねることは無かった。しかし本発明は、筐体の外側に凹部形成を行うことなく、誤挿入防止構造を実現するので、人目につきやすい箇所に配置される電子機器に好適である。
【0033】
なお、本発明は使用の状況において、誤挿入が想定される異物に対して適宜変形して適用することが望まれる。
【0034】
<実施の形態1のまとめ>
実施の形態1のまとめを行う。本実施の形態は金属カバー2と、金属カバー2の外側に配置された電子部品4と、金属カバー2の一部と、電子部品4とを覆う樹脂カバー3と、を有し、金属カバー2は、樹脂カバー3に覆われている箇所で、かつ、電子部品4より鉛直方向上方に位置する箇所に、樹脂カバー3に向かって突出する凸部を有する、誤挿入防止構造を説明した。その効果として、従来の誤挿入防止構造で行っていた筐体の外側に凹部形成を行うことなく、誤挿入防止構造を実現できることを説明した。
(実施の形態2)
以下、図5から7を用いて実施の形態2を説明する。
【0035】
実施の形態2では、実施の形態1で説明に使用した映像表示装置1に、実施の形態1とは異なる形態で適用される誤挿入防止構造について説明する。
【0036】
実施の形態1と実施の形態2との違いについて説明する。実施の形態2で説明する誤挿入防止構造は、実施の形態1における金属カバー2と樹脂カバー3とが面一な箇所を有する場合に適用可能な誤挿入防止構造である点が実施の形態1で説明した誤挿入防止構造と異なる。具体的な適用箇所の違いを言えば、実施の形態1では誤挿入防止構造は映像表示装置1の側面に形成されたが、実施の形態2では誤挿入防止構造は映像表示装置1の背面に形成される。
【0037】
<実施の形態2における機器の構成>
以下、機器の構成について説明する。
【0038】
実施の形態2の誤挿入防止構造は実施の形態1で説明に使用した映像表示装置1に、実施の形態1とは異なる形態で適用される誤挿入防止構造である。よって、特に記載しない限り実施の形態1で説明した構成がそのまま実施の形態2でも使用される。
【0039】
図5は、実施の形態2における、誤挿入防止構造が形成される箇所を説明する図である。図5(a)は断面方向を示す背面図。図5(b)は(a)のB―B断面の断面図であり、さらに拡大箇所を表す図である。また、図5(c)は(a)における金属カバーのC―C断面図である。図6は図5(b)で表された拡大箇所の拡大図である。
【0040】
図6を用いて、実施の形態2特有の構成について説明する。金属カバー2と樹脂カバー3とは、映像表示装置1の背面において略面一な箇所に配置される。また、樹脂カバー3からは金属カバー2に向かって突出する誤挿入防止リブ8が形成されている。誤挿入防止リブ8は金属カバー2と樹脂カバー3とが面一に配置される箇所の鉛直方向下方で、かつ、電子部品4より鉛直方向上方に位置する箇所に配置されている。また、金属カバー2は背面を覆う樹脂カバー3に対して、誤挿入防止リブ8に対向する箇所が、手前方向、つまり凹な方向に弧を描く曲面を有している。
【0041】
また、図7は樹脂カバーの正面斜視図である。図7に示すように誤挿入防止リブ8は連続して線上に形成され、金属カバー2の背面からコイン等の異物が入ることを全面に渡って防止している。
【0042】
<実施の形態2における誤挿入防止構造の作用>
以下、図6を参照しながら本実施の形態における誤挿入防止構造の作用を説明する。
【0043】
実施例1と同様に、コイン等の異物が誤挿入され得る、金属カバー2と樹脂カバー3は隙間を有する。
【0044】
ここで誤挿入防止リブ8は、金属カバー2と樹脂カバー3が有する隙間から、電子部品4までの経路に、コイン6の侵入を阻害する箇所を形成するように配置される。このようにして、本実施の形態の誤挿入防止構造はコイン6の誤挿入により、電子部品4にコイン6が接触し、映像表示装置1の動作に不具合を及ぼすことを防止する。
【0045】
<実施の形態2における誤挿入防止構造の効果>
本実施の形態における誤挿入防止構造の効果を説明する。本実施の形態の誤挿入防止構造によれば、従来の誤挿入防止構造のように筐体の外側に凹部形成を行うことなく、誤挿入防止構造を実現できる。
【0046】
実施の形態1との効果の差異について述べる。実施の形態2では、樹脂カバー3に誤挿入防止リブ8を形成することにより、誤挿入防止構造を実現している。樹脂カバーにリブを形成するという概念では、実施の形態1では、樹脂カバー3にリブ7を形成した。実施の形態1ではリブ7は完全には異物の誤挿入を防止できないことについて述べた。それは、樹脂カバー3の位置決めが困難であることについても実施の形態1で述べた。実施の形態2では実施の形態1とは異なり、金属カバー2と樹脂カバ−3とが略面一な箇所を有する。よって、コイン6の挿入角度が垂直に近くなる。このような場合は、樹脂カバー3から金属カバー2に向けて誤挿入防止リブ8を形成することで十分に誤挿入防止構造を実現することができる。
【0047】
本実施の形態のように、金属カバー2の、誤挿入防止リブ8に対向する箇所が、樹脂カバー3に対して凹な曲面で形成されている場合に本発明を適用した場合の効果を説明する。金属カバー2の、誤挿入防止リブ8に対向する箇所が、樹脂カバー3に対して凹な曲面で形成されていると、金属カバー2と誤挿入防止リブ8との隙間が、電子部品4に向かう方向に向かって先細り状にテーパーする。このようにするとより確実にコイン6の誤挿入を防止することが可能になる。
【0048】
また、本実施の形態のように、金属カバー2が略すり鉢状態の形態を有している、つまり、金属カバー2の、誤挿入防止リブ8に対向する箇所が、樹脂カバー3に対して凹な曲面で形成され、かつ、図5(c)に示すように周囲が略円弧状の形状を有している場合は、金属カバー2から絞り加工で凸部を形成することが強度上困難である。本実施の形態のようにコイン6の誤挿入を防止する構造を樹脂カバー3側に形成することによって、金属カバー2に絞り加工を施す必要が無く、映像表示装置1の強度を高めることができるという効果がある。
【0049】
本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、本発明を、金属カバー2が樹脂カバー3がカバーする電子部品4とは異なる電子部品の一部を覆うカバーである場合に適用することによって特有の効果を得ることができる。すなわち、異物の接触しうる箇所に電子部品を有する基板などの危険部位を避けることができる。また、部品の少数化の観点からも有用である。
【0050】
本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、本発明を、電子部品4を表示パネルに対する信号を生成するものとした場合に適用することによって特有の効果を得ることができる。すなわち、筐体の外側に凹部形成を行うことなく、誤挿入防止構造を実現するので、人目につきやすい箇所に配置される電子機器に好適である。
【0051】
<実施の形態2のまとめ>
実施の形態2のまとめを行う。本実施の形態は金属カバー2と、金属カバー2の外側に配置された電子部品4と、金属カバー2の一部と、電子部品4とを覆う樹脂製の樹脂カバー3と、を有し、樹脂カバー3は、金属カバー2と樹脂カバー3が面一に配置される箇所の鉛直方向下方でかつ、電子部品4より鉛直方向上方に位置する箇所に、金属カバー2に向かって突出する凸部を有する、誤挿入防止構造を説明した。その効果として、従来の誤挿入防止構造で行っていた筐体の外側に凹部形成を行うことなく、誤挿入防止構造を実現できることを説明した。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の誤挿入防止構造は、コイン等の異物の誤挿入を防止することが必要な電子機器に形成誤挿入防止構造として有用である。
【符号の説明】
【0053】
1 映像表示装置
2 金属カバー
3 樹脂カバー
4 電子部品
5 凸部
6 コイン
7 リブ
8 誤挿入防止リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のカバーと、
前記第一のカバーの外側に配置された電子部品と、
前記第一のカバーの一部と、前記電子部品とを覆う第二のカバーと、
を有し、
前記第一のカバーは、前記第二のカバーに覆われている箇所で、かつ、前記電子部品より鉛直方向上方に位置する箇所に、前記第二のカバーに向かって突出する凸部を有する、
誤挿入防止構造。
【請求項2】
前記第一のカバーは金属性であり、
前記第二のカバーは樹脂製である、
請求項1記載の誤挿入防止構造。
【請求項3】
前記第二のカバーは前記凸部の鉛直方向上部に、前記第一のカバーに向かって突出するリブを有する、
請求項2記載の誤挿入防止構造。
【請求項4】
前記第一のカバーは、前記電子部品とは異なる、第二の電子部品の一部を覆うカバーである、
請求項1記載の誤挿入防止構造。
【請求項5】
前記第二の電子部品は映像を表示する表示パネルであり、
前記電子部品は、前記表示パネルに対する信号を生成する電子部品である、
請求項3記載の誤挿入防止構造。
【請求項6】
第一のカバーと、
前記第一のカバーの外側に配置された電子部品と、
前記第一のカバーの一部と、前記電子部品とを覆う樹脂製の第二のカバーと、
を有し、
前記第二のカバーは、前記第一のカバーと前記第二のカバーが面一に配置される箇所の鉛直方向下方で、かつ、前記電子部品より鉛直方向上方に位置する箇所に、前記第一のカバーに向かって突出するリブを有する、
誤挿入防止構造。
【請求項7】
前記第一のカバーは前記リブに対向する箇所が前記第二のカバーに対して凹な曲面で形成されている、
請求項6記載の誤挿入防止構造。
【請求項8】
お椀形の請求項7
【請求項9】
前記第一のカバーは、前記電子部品とは異なる、第二の電子部品の一部を覆うカバーである、
請求項6記載の誤挿入防止構造。
【請求項10】
前記第二の電子部品は映像を表示する表示パネルであり、
前記電子部品は、前記表示パネルに対する信号を生成する電子部品である、
請求項6記載の誤挿入防止構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−151379(P2012−151379A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10402(P2011−10402)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】