説明

読取装置および読取方法

【課題】読取対象物について、より正確な情報を取得できるようにする。
【解決手段】光源から読取対象物に光を照射し、読取対象物からの反射光を撮像素子で受光することにより読取対象物を読み取り可能な読取装置であって、上記撮像素子は、読取対象物の読み取り面に対する角度が異なる複数の位置へ移動可能であり、当該複数の位置において読み取りを実行する。また、上記複数の位置における撮像素子による読取値を比較することにより、読取対象物に表された画像の属性を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取装置および読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像を読み取るためのスキャナーにおいては、原稿と撮像素子との相対位置を変化させながら、光源から原稿に光を照射し原稿からの反射光を撮像素子で受光することにより、原稿に表された画像を読み取る。一般的には、撮像素子は、ある固定された角度(光源から原稿への光の入射路に対して45度)で反射光を受光するように設置されている。
【0003】
スキャナーによる読取対象となる原稿としては、光沢の無い原稿や、光沢の有る原稿や、さらにはメタリック感の有る原稿など、様々な原稿が存在する。光沢の有る原稿としては、例えば、写真紙に印刷された写真や、用紙に光沢層を形成するためのクリアインクを用いて印刷された原稿などが該当する。また、メタリック感の有る原稿としては、金属顔料を含むメタリックインクを用いて印刷された原稿などが該当する。メタリックインクは、印刷結果において金属的な質感を生じさせるインクである(特許文献1参照。)。このようなメタリックインクの作用による質感(メタリック感)も、一種の光沢(特殊光沢)であると言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010‐52247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、光沢の有る原稿やメタリック感の有る原稿を読み取る場合には、撮像素子の設置角度が問題となる(読取結果に影響を与える)ことがある。これは、光沢の有る原稿やメタリック感の有る原稿においては、原稿から光が反射するときの光量が全反射角において万遍ではなく、反射角によって異なるからである。よって、従来のように一つの角度で固定された撮像素子で原稿を読み取った場合、原稿の特徴を正しく読み取れないことがあり、結果、読み取りに応じて生成される画像データは必ずしも原稿に表現されている画像を正しく再現可能なデータであるとは限らなかった。また、このように生成された画像データに基づく印刷を行なった場合(原稿をコピーした場合)、コピー結果において原稿の特徴を忠実に再現できない、すなわち、原稿は光沢感やメタリック感のあるものであったがコピー結果では光沢感やメタリック感が再現されていない、ということがあった。
【0006】
本発明は上記課題の少なくとも一つを解決するためになされたものであり、読取対象物を複数の角度で読み取り可能な技術を提供する。また、読取対象物を読み取る際、その特殊性を含めた正確な情報を取得するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様の一つは、光源から読取対象物に光を照射し、読取対象物からの反射光を撮像素子で受光することにより読取対象物を読み取り可能な読取装置であって、上記撮像素子は、読取対象物の読み取り面に対する角度が異なる複数の位置へ移動可能であり、当該複数の位置において読み取りを実行する構成としてある。
本発明によれば、撮像素子は、読取対象物の読み取り面に対する角度が異なる複数の位置へ移動可能であるため、それぞれの角度で読取対象物を読み取ることができる。また、かかる構成とすれば、原稿から様々な角度へ反射される光をそれぞれ受光できるため、読取対象物を正確に読み取る上で必要な情報を的確に得ることができる。
【0008】
本発明の態様の一つとして、読取装置は、上記撮像素子による複数の位置における読取値を比較することにより、読取対象物に表された画像の属性を判定する判定部を備えるとしてもよい。
当該構成によれば、読取対象物に表された画像がどのような特徴(属性)を持ったものであるかを判定できる。
【0009】
本発明の態様の一つとして、上記判定部は、上記画像の属性を画像の領域毎に判定するとしてもよい。
当該構成によれば、読取対象物の画像全体についての属性を判定するだけでなく、画像の個々の領域毎に、その属性を判定できる。ここで言う画像の「領域」とは、画像の一部範囲という意味であり、複数画素からなる領域であってもよいし、一画素単位であってもよい。
【0010】
本発明の態様の一つとして、上記判定部は、上記撮像素子の読取対象物の読み取りにより生成された画像データに、上記判定の結果を示す情報を付加するとしてもよい。
当該構成によれば、判定された画像(或いは画像の領域毎)の属性を示す情報が読取対象物の読み取りにより生成された画像データに付加されるため、後に当該画像データに基づく出力(印刷など)を行なう際に、この付加された情報が参照されることで、読取対象物としての画像が忠実に再現される。
【0011】
本発明の態様の一つとして、上記判定部は、撮像素子による、上記複数の位置のうち特定の角度に対応する特定位置における読取値が特定位置以外の位置における読取値よりも突出して高く、かつ、特定位置以外の位置における読取値の差が所定範囲に収まる場合には、光沢性を有する画像と判定する。
当該構成によれば、読取対象物としての画像(或いは画像の各領域)が光沢性を有する画像であるか否かを判定できる。また、光沢性が有ると判定された場合には、その判定結果が画像データに付加されるため、後に当該画像データに基づく出力(印刷など)を行なう際に、この付加された情報が参照されることで、光沢性の有る画像を忠実に再現できる。
【0012】
本発明の態様の一つとして、上記判定部は、撮像素子による、上記複数の位置のうち特定の角度に対応する特定位置における読取値が特定位置以外の位置における読取値よりも突出して高く、かつ、上記複数の位置における読取値が所定の変化態様にて変化している場合には、メタリック感を発現する画像と判定する。
当該構成によれば、読取対象物としての画像(或いは画像の各領域)がメタリック感を発現する画像であるか否かを判定できる。また、メタリック感が有ると判定された場合には、その判定結果が画像データに付加されるため、後に当該画像データに基づく出力(印刷など)を行なう際に、この付加された情報が参照されることで、メタリック感の有る画像を忠実に再現できる。
【0013】
本発明の態様の一つとして、読取装置は、読取対象物へのプレスキャンおよび本スキャンを実行可能であり、プレスキャン時には、撮像素子により上記複数の位置のうち一部の位置において読取対象物を読み取り、当該一部の位置における読取結果に基づいて上記複数の位置の全てにおいて読取対象物を読み取るか否か判定し、上記複数の位置の全てにおいて読み取ると判定した場合には本スキャン時に撮像素子により上記複数の位置の全てにおいて読取対象物を読み取り、上記複数の位置の全てにおいて読み取ると判定しなかった場合には本スキャン時に撮像素子により上記複数の位置のうち一つの位置において読取対象物を読み取る構成としてもよい。
当該構成によれば、プレスキャン時に撮像素子により上記複数の位置のうち一部の位置において読取対象物を読み取った結果に基づいて、上記複数の位置の全てにおいて読取対象物を読み取る必要があるか否かを判定し、必要があると判定した場合にのみ、本スキャン時に、撮像素子により上記複数の位置の全てにおいて読取対象物を読み取る。そのため、撮像素子を様々な角度へ移動させることによる時間の増大や読取角度が増えることによる処理量の増加を抑えることができる。
本発明の態様の一つとして、読取装置は、上記比較の結果、読取値に所定以上のばらつきがある場合に、所定の警告処理を実行する警告処理部を備えるとしてもよい。
当該構成によれば、正確に読み取りができない虞のある読取対象物については、ユーザーに対して警告を発することで、ユーザーに注意を促すことができる。
【0014】
本発明にかかる技術的思想は、読取装置というカテゴリー以外にも、種々の形式で実現される。例えば、光源から読取対象物に光を照射し、読取対象物からの反射光を撮像素子で受光することにより読取対象物を読み取り可能な読取装置が実行する読取方法であって、上記撮像素子は、読取対象物の読み取り面に対する角度が異なる複数の位置へ移動し、当該複数の位置において読み取りを実行する読取方法が把握できる。また、このような読取装置に、撮像素子を角度が異なる複数の位置に移動させつつ読み取りを実行させるプログラムの発明も把握できる。また、読取装置は、スキャナー単体としての装置であってもよいし、プリンターやコピー機やファクシミリ機など種々の装置としての機能(の一部あるいは全部)を併せ持った複合機であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】読取装置の構成の一部を概略的に示す図である。
【図2】読取装置の全体構成を概略的に示す図である。
【図3】読取制御処理を示すフローチャートである。
【図4】反射面の特徴と光の反射態様との関係性を例示する図である。
【図5】読取画像データの一部を模式的に例示する図である。
【図6】変形例3にかかる処理を示すフローチャートである。
【図7】本スキャン時の原稿読取の様子を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
1.装置構成
図1は、本実施形態にかかる読取装置10の構成の一部を概略的に示している。読取装置10においては、ガラス等で形成された原稿台Gに、読取対象物としての原稿Sが置かれる。原稿Sの上側は、図示しない蓋で覆われる。読取装置10の筐体内では、原稿台G下方に撮像素子ユニット20が配設されている。撮像素子ユニット20は、光源21と、撮像素子23とを有する。光源21は、例えばLEDであり、原稿Sに光を照射する。撮像素子23は、撮像素子ユニット20内における複数の位置へ移動可能であり、複数の位置それぞれで原稿Sからの反射光を受光することにより原稿Sを読み取る。撮像素子23と原稿台Gとの間にはレンズ22が設けられており、レンズ22も撮像素子23の移動に伴って撮像素子ユニット20内を移動する。以下では、特に説明しなくても、レンズ22は撮像素子23とともに移動することとする。撮像素子23は、レンズ22で集約された光を受光する。
【0017】
撮像素子23は、例えば、原稿台Gの範囲に略対応した読み取り可能範囲の幅方向(主走査方向。図1の紙面に垂直な方向。)に複数の画素(受光素子)を並べたリニアセンサーであり、受光素子で受光した光に対する光電変換および電気信号のA/D変換を経て、画素毎のデジタル値(RGB値)を出力する。図に示すように、撮像素子23は、撮像素子ユニット20内における複数の位置P1,P2,P3,P4,P5へ移動可能であり、位置P1,P2,P3,P4,P5へ移動したときに撮像素子23が向く方向と、原稿Sの読み取り面(或いは原稿台Gの面)とがなす角度は、位置毎に異なる。図1では、撮像素子23が位置P1に在る状態を実線で示し、撮像素子23が位置P2,P3,P4,P5へ移動した状態を鎖線で示している。位置P1は、撮像素子23の初期位置とも言う。以下では、撮像素子23の移動とは、特に断らない限り、撮像素子ユニット20内における撮像素子23の位置を上記複数の位置の中で変更することを意味する。
【0018】
撮像素子ユニット20は、原稿台Gの主走査方向に垂直な方向(副走査方向)へ、駆動機構30(図2)により原稿台Gと平行に移動可能である。また、駆動機構30は、撮像素子ユニット20内において、例えば、位置P1,P2,P3,P4,P5に対応した曲線状のレール(不図示)に沿って撮像素子23を移動させることができる。駆動機構30は、例えば、撮像素子23を撮像素子ユニット20内で一つの位置に維持した状態で撮像素子ユニット20を上記読み取り可能範囲の副走査方向へ移動させる処理を、撮像素子23の位置を変更して繰り返す。あるいは、駆動機構30は、副走査方向における撮像素子ユニット20の位置(副走査方向の読取解像度に応じた移動ピッチ毎の位置)毎に撮像素子ユニット20を停止させ、停止させた状態で撮像素子23を各位置に移動させる処理を、撮像素子ユニット20の位置を変更して繰り返す。この結果、原稿S全体を撮像素子23により複数の角度で読み取ることができる。
【0019】
図1の例では、光源21に最も近い撮像素子23の位置P1(初期位置)は、光源21から原稿Sへの光の入射路(原稿Sへの入射角45度であり、光源21から原稿Sへの、想定される代表的な光路。)と撮像素子23が向く方向とがなす角度が45度となるように設定されている。また、他の位置P2,P3,P4,P5は、順に光源21から遠い位置となっており、上記入射路と各位置P2,P3,P4,P5へ移動した撮像素子23が向く方向とがなす角度は、光源21から遠い位置ほど大きい。また、複数の位置P1,P2,P3,P4,P5のうち、特定の位置(特定位置。図1の例では、位置P3。)は、光源21との関係において撮像素子23が正反射角で反射光を受光できる角度に設定されている。つまり、上記入射路と原稿Sとがなす角度=特定位置の撮像素子が向く方向と原稿Sとがなす角度、となっている。
【0020】
図2は、読取装置10の全体構成を概略的に示している。ここでは、読取装置10は、複合機の一種として例示されている。読取装置10は、読取装置10の各部を制御する制御部40を備える。制御部40は、CPU41、ROM42、RAM43等を有し、CPU41が、ROM42等に記憶されたプログラムデータに従った演算を、RAM43をワークエリアとして使用して実行することにより、例えば、読取制御部40a、判定部40b、印刷制御部40c、警告処理部40d等の各機能を実現する。また、読取装置10は、外部機器との通信のためのインターフェース(I/F)50を備える。図2の例では、読取装置10は、I/F50を介してコンピューター90と接続している。
【0021】
読取装置10はさらに、ハードディスクドライブ(HDD)等で構成された記憶装置(記憶部60)、プリンターエンジン70、操作パネル80等を備えるとしてもよい。プリンターエンジン70は、印刷制御部40c等によって生成された印刷データに基づき印刷媒体へ印刷を行う印刷機構である。操作パネル80は、例えば、液晶ディスプレー等で構成された表示部81や、表示部81上のタッチパネル、その他各種キーやボタンを備える。操作パネル80は、タッチパネル、その他各種キーやボタンを介してユーザーからの指示を受け付け、また、必要な表示を表示部81において適宜行う。読取装置10の各構成要素は、バスを介して互いに接続されている。
【0022】
読取制御部40aは、撮像素子ユニット20および駆動機構30を制御することにより、駆動機構30に撮像素子23、撮像素子ユニット20をそれぞれ移動させ、かつ、撮像素子23により原稿Sの読み取りを実行させることにより、原稿Sの読取結果としての読取画像データ(画素毎にRGB値を有するデータ)を取得する。駆動機構30は、撮像素子23、撮像素子ユニット20をそれぞれ移動させるためのモーターやキャリッジを備える。印刷制御部40cは、読取制御部40aから出力(後述の図3のステップS230。)された読取画像データに基づいて印刷データを生成し、印刷データに基づいてプリンターエンジン70に印刷を実行させる。この場合、印刷制御部40cは、読取画像データに対する、RGB表色系からインク表色系への色変換処理、色変換処理後のデータ(インク量データ)に対するハーフトーン処理、ハーフトーン処理後のデータ(ハーフトーンデータ)に対するラスタライズ処理等を実行することにより、原稿Sに表された画像に対応した印刷データを生成する。
【0023】
読取制御部40aは、読取画像データを、記憶部60に保存したり、I/F50を介してコンピューター90へ送信したりしてもよい。また、読取装置10は、コンピューター90によって駆動が制御されるとしてもよい。つまり、コンピューター90にインストールされたスキャナー制御用のプログラム(ドライバー)によりコンピューター90から送信されたコマンドに応じて、原稿Sの読み取りを実行し、読み取りにより読取制御部40aが出力した読取画像データに基づく印刷(コピー)を実行したり、読取画像データをコンピューター90へ送信したりしてもよい。
【0024】
なお上記では、原稿Sの位置を固定し、撮像素子ユニット20を移動させることにより原稿Sの全体をスキャンする構成を示したが、読取装置10は、撮像素子ユニット20の位置を固定し、原稿Sを副走査方向へ搬送することで原稿Sがスキャンされる構成としてもよい。
また、読取装置10は、撮像素子ユニット20を主走査方向において小型化し、撮像素子ユニット20を主走査方向へキャリッジにより移動させる構成を採用してもよい。かかる構成とする場合、原稿の1ライン分の画像を、撮像素子ユニット20を主走査方向に複数回移動させる過程で撮像素子23を各位置に移動させて読み取り、かつ、1ライン分の読み取り後に副走査方向の読取解像度に応じた上記ピッチで原稿S(又は撮像素子ユニット20)を副走査方向に移動させることを繰り返すことで、原稿Sの全体をスキャンすることができる。
また、撮像素子23が撮像素子ユニット20内で移動可能な位置は、図1に示した態様(5ヶ所)に限られず、角度が異なる2ヶ所以上であれば様々な態様を採用できる。
【0025】
2.読取制御処理
図3は、制御部40が実行する読取制御処理をフローチャートにより示している。ステップS200では、読取制御部40aは、撮像素子ユニット20および駆動機構30を制御することにより、駆動機構30に撮像素子23、撮像素子ユニット20をそれぞれ移動させ、かつ、撮像素子23に複数の位置P1,P2,P3,P4,P5において原稿Sを読み取らせる。この結果、位置P1,P2,P3,P4,P5がそれぞれ対応する角度で読み取られた各読取画像データが判定部40bに出力される。
【0026】
ステップS210では、判定部40bが、上記複数の角度による読取画像データを比較することにより、原稿Sに表された画像の属性を判定する。この場合、判定部40bは、撮像素子23の上記複数の角度による読取画像データを、画素が共通する値同士で比較する。比較に用いる値(読取値)は、RGBのうち特定の値であってもよいし、RGBを所定の比率で重み付け加算して得られる値(輝度)等であってもよい。つまり、図1に示したように撮像素子23が移動可能な位置が5ヶ所(上記複数の角度が5種類)ある場合、一つの画素についてステップS210で比較に用いられる読取値も5個である。
【0027】
図4は、原稿Sの反射面の特徴と、反射面における光の反射態様との関係性を例示している。図4A,4B,4Cではいずれも、入射光(入射角45度)の光路を実線で例示し、反射光の一部の光路を鎖線で例示している。図4Aに示すように、原稿Sの反射面が光沢(特殊光沢含む。)を有していない面(マットな質感の面)である場合、そのような面で反射する光は、全ての反射角方向にほぼ同じ光量となる。一方、図4Bに示すように、原稿Sの反射面が光沢(特殊光沢除く。)を有する面である場合、そのような面で反射する光は、正反射角の方向において突出した光量となり、それ以外の反射角方向ではほぼ同じ光量となる。また、図4Cに示すように、原稿Sの反射面がメタリックインクで印刷されているためにメタリック感(特殊光沢)を発現する場合、そのような面における反射光の光量は、正反射角の方向において突出し、それ以外の反射角方向では正反射角の方向の光量をピークとして滑らかに変化している。
【0028】
そこで当該ステップS210では、判定部40bは、判定対象とした画素についての上記複数の角度による読取値を比較したとき、読取値の差(各角度による読取値のうちの最大値と最小値との差)が予め規定された数値範囲に収まる場合には、判定対象とした画素は光沢(特殊光沢含む。)を有さない画像(属性=非光沢)であると判定する。
【0029】
一方、判定部40bは、判定対象とした画素についての上記複数の角度による読取値を比較したとき、特定位置(正反射角)による読取値が特定位置以外の角度による読取値よりも突出して高く、かつ、特定位置以外の角度による読取値の差(特定位置以外の角度による読取値のうちの最大値と最小値との差)が上記予め規定された数値範囲に収まる場合には、判定対象とした画素は光沢(特殊光沢除く。)を有する画像(属性=光沢)であると判定する。なお、特定位置(正反射角)による読取値が特定位置以外の角度による読取値よりも突出して高いか否かは、例えば、特定位置(正反射角)による読取値と、特定位置以外の角度による読取値のうちの最大値との差が、予め規定された差分値よりも大きいか否かにより判定できる。
【0030】
また、判定部40bは、判定対象とした画素についての上記複数の角度による読取値を比較したとき、特定位置(正反射角)による読取値が特定位置以外の角度による読取値よりも突出して高く、かつ、各位置の角度による読取値が所定の変化態様にて変化している場合には、判定対象とした画素はメタリック感(特殊光沢)を有する画像(属性=特殊光沢)であると判定する。判定部40bは、例えば、特定位置以外の角度による読取値の差が上記予め規定された数値範囲に収まらず、かつ、特定位置以外の位置については、その角度による読取値が、特定位置とは逆側の隣に位置する別の位置(位置P2にとっては位置P1、位置P4にとっては位置P5)の角度による読取値よりも大きい場合に、各位置の角度による読取値が所定の変化態様であると判定する。
判定部40bは、このような属性の判定を、読取画像データを構成する画素毎に実行する。
【0031】
ステップS220では、判定部40bは、読取画像データに対して、ステップS210で画素毎に判定した画像の属性を示す情報(属性情報)を付加する。属性情報の付加の対象となる読取画像データは、撮像素子ユニット20による読取結果として当該読取制御処理の後に、種々の処理に提供されるデータであり、基本的には、複数の位置のうちある一つの位置(角度)による読取画像データが採用される。本実施形態では、初期位置の角度による読取画像データに対して属性情報を付加するものとする。例えば、判定部40bは、読取画像データのアルファチャンネルに属性情報を記録する。読取画像データは画素毎に、RGBチャンネルの情報(例えば各チャンネルは8ビット(256階調)の情報。)を有し、さらに一つのチャンネル(アルファチャンネル)を有し、判定部40bは、当該アルファチャンネルに、その画素についての属性情報を記録する。言い換えると、判定部40bは、属性情報の付加対象とする読取画像データを、アルファチャンネルを有する所定形式の画像ファイルに変換した上で、画素毎のアルファチャンネルに属性情報を記録する。なお本実施形態では、少なくとも属性が「光沢」または「特殊光沢」である画素について、それら属性を一義的に特定する属性情報を記録する。
【0032】
ただし、属性情報の付加対象とする読取画像データは、全ての画素のRGBチャンネルが上記一つの位置(初期位置)の角度による読取画像データであるとは限らない。これは、特にメタリック感の有る原稿については、反射光を受光する撮像素子の角度によっては、読取結果として殆ど色味が無い白や黒としての画像データしか得られない場合があるからである。そこで、判定部40bは、属性が「特殊光沢」である画素については、各位置P1,P2,P3,P4,P5の角度による読取結果としてのRGB値のうち、彩度が最も高いRGB値(原稿Sにおける色味を保持できているRGB値)を、そのRGBチャンネルの情報として採用する。彩度の評価方法は特に限られず、例えば、RGB値を所定の表色系変換式により機器非依存表色系のL***値に変換して彩度を評価してもよいし、単純にRGB値の各要素の中での最大値と最小値との差分を彩度と見なして評価してもよい。
【0033】
図5は、ステップS220の結果得られる読取画像データの一部を模式的に例示している。図5では、矩形で表された複数の画素のうちハッチングを記した画素は「特殊光沢」を示す属性情報が記録された画素であるとする。つまり、読取対象となった原稿Sの一部領域がメタリックインクを用いて印刷されていたために、当該一部領域に相当する各画素については、各位置P1,P2,P3,P4,P5の角度による読取値を比較した結果、「特殊光沢」を示す属性情報が(アルファチャンネルに)記録された。また、図5の例では、当該一部領域に相当する画素以外の画素では、RGBチャンネルの情報として初期位置において読み取られたRGB値(R1,G1,B1)がそのまま採用されているが、当該一部領域に相当する画素では、RGBチャンネルの情報として、各位置P1,P2,P3,P4,P5の角度によるRGB値のうち彩度が最も高かったRGB値(例えば、位置P2の角度によるR2,G2,B2)が採用されている。なお図5では、アルファチャンネルについては記載を省略している。
【0034】
ステップS230では、読取制御部40aは、ステップS220までの処理により得られた属性情報付きの読取画像データ(画像ファイル)を出力する。ここで言う出力とは、印刷制御部40cへの出力や、記憶部60への出力や、I/F50を介してのコンピューター90への出力である。つまり、操作パネル80を介しての指示やコンピューター90からの指示(原稿Sのコピー指示や、スキャン結果の読取装置10内への保存指示や、スキャン結果のコンピューター90内への保存指示)によって、属性情報付きの読取画像データの出力先が決められている。
【0035】
このように本実施形態によれば、読取装置10は、光源21と、撮像素子23であって原稿Sの読み取り面に対してそれぞれ異なる角度の位置P1,P2,P3,P4,P5へ移動可能な撮像素子23、を有する撮像素子ユニット20を備える。そして、撮像素子ユニット20と原稿Sとの相対位置を変化させながら撮像素子23を駆動させることにより、撮像素子23により複数の角度で原稿Sを読み取ることができる。つまり、原稿Sから様々な角度へ反射される反射光を撮像素子23の複数の向き(角度)で受光できるため、原稿Sを正確に読み取る上で必要な情報を的確に得ることができる。
【0036】
特に、従来の一つの角度で設置された撮像素子による読取方法では、原稿Sに光沢やメタリック感を有する領域があるか否か(原稿Sのどの領域が光沢やメタリック感を有するか)を判定することが困難であった。しかし本実施形態によれば、原稿Sに対して異なる角度に規定された複数の位置P1,P2,P3,P4,P5それぞれにおいて撮像素子23で原稿Sを読み取り、それぞれの読取結果を比較することで、上記判定が可能となった。また、上記判定が可能となったことで、ステップS230で読取制御部40aが出力する読取画像データには、光沢やメタリック感に関する情報(属性情報)が付加される。そのため、このような属性情報を有する読取画像データに基づく印刷を後に実行する場合、「光沢」の属性情報を有する領域については、例えばクリアインクを用いた印刷を実行したり、「特殊光沢」の属性情報を有する領域については、例えばメタリックインクを用いた印刷を実行したりすることで、読取対象とした原稿Sと同等の質感をコピー結果において的確に表現することができる。また、このような属性情報を有する読取画像データに基づく画像を所定のディスプレーに表示する場合、「光沢」や「特殊光沢」の属性情報を有する領域については、その属性情報に応じて適切な画像処理(データ加工)を行なうことで、ディスプレー上でも読取対象とした原稿Sと同等の質感を表現することができる。
【0037】
3.変形例
本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば以下のような各変形例も可能である。上述の実施形態や各変形例を組み合わせた内容も、本発明の開示範囲である。
【0038】
変形例1:
上記読取制御処理においては、複数の位置(角度)による読取値を比較し、読取値に所定以上のばらつきがある場合に、所定の警告処理を実行するとしてもよい。例えば、判定部40bは、ステップS210(図3)において、撮像素子23の複数の角度による読取画像データを画素単位で比較し、対象とした画素についての各角度に対応する読取値を比較したとき、読取値の差(各角度による読取値のうちの最大値と最小値との差)が予め規定された数値範囲に収まらない場合には、通常の画像ではないと判定する。ここでいう通常の画像とは非光沢な画像であり、撮像素子23の角度によらずその色味を正確に読み取り可能な画像である。光沢やメタリック感を有する画素は、通常の画像とは判定されない。判定部40bは、通常の画像ではないと判定した場合には、警告処理部40dに警告処理を実行させる。警告処理部40dは、操作パネル80の表示部81(あるいはコンピューター90のディスプレー)に所定の警告文を表示させる。例えば、読取対象となっている原稿Sは正常に読み取りができない(可能性のある)原稿である旨をメッセージにより表示する。
【0039】
このような変形例1によれば、ユーザーは、上記警告が表示された場合に、読取対象とした原稿Sのスキャンを中止するか否かを判断することができる。例えば、ユーザーは、上記警告とともに表示部81(あるいはコンピューター90のディスプレー)に表示された「続行」または「中止」のいずれかのボタンを操作することで、スキャンの続行か中止かを選択できる。「続行」が選択された場合には、上記ステップS210以降の処理が続行され、「中止」が選択された場合には、その時点で図3の処理が中止される。
【0040】
変形例2:
上記ステップS210で判定した画像の属性を保存する領域は、上述したアルファチャンネルに限られない。例えば、判定部40bは、属性情報の付加対象とする読取画像データをJPEG形式の画像ファイルに変換するとともに、このファイルにおけるメーカーノートと呼ばれる情報領域に、画素毎の属性情報を記録するとしてもよい。
【0041】
変形例3:
これまでは、原稿Sの領域全体を対象として、撮像素子23による複数の位置P1,P2,P3,P4,P5での読み取りを実行する場合を説明した。しかしながら、撮像素子23を複数の位置P1,P2,P3,P4,P5に移動させ、それぞれの位置で原稿Sを読み取ることは、多くの時間と演算処理を必要とする。そこで読取装置10は、原稿Sへのプレスキャンおよび本スキャンを実行するとし、プレスキャン時には、撮像素子23により複数の位置P1,P2,P3,P4,P5のうち一部の位置において原稿Sを読み取り、当該一部の位置における読取結果に基づいて複数の位置P1,P2,P3,P4,P5の全てにおいて原稿Sを読み取る必要があるか否か判定し、必要があると判定した場合にのみ、本スキャン時に撮像素子23により複数の位置P1,P2,P3,P4,P5の全てで原稿Sを読み取り、必要があると判定しなかった場合には、本スキャン時に撮像素子23により複数の位置P1,P2,P3,P4,P5のうち一つの位置で原稿Sを読み取る。
【0042】
図6は、当該変形例3にかかるフローチャートを示している。ステップS100では、読取制御部40aは、撮像素子ユニット20および駆動機構30を制御することにより、駆動機構30に撮像素子23、撮像素子ユニット20をそれぞれ移動させ、かつ、撮像素子23に特定位置(正反射角)において原稿Sを読み取らせるプレスキャンを実行する。つまり、撮像素子23が移動可能な複数の位置P1,P2,P3,P4,P5のうち、撮像素子23の位置を特定位置に限定して原稿台Gをスキャンさせる。このプレスキャンにより、原稿台Gにおける原稿Sの位置やサイズ(本スキャンで読み取りを行なうべき範囲)が取得できるとともに、原稿Sについての読取画像データ(プレスキャンデータと呼ぶ。)が得られる。
【0043】
ステップS110では、判定部40bが、プレスキャンデータに基づき、原稿Sに表された画像の属性を予測する。この場合、判定部40bは、プレスキャンデータを構成する各画素の読取値の中に、所定のしきい値以上に大きな読取値が存在している場合に、光沢あるいは特殊光沢を有する領域が画像内に存在すると予測する。上述したように、画像の属性は、撮像素子23の上記複数の位置による読取画像データを比較することで正確に判定するものである。そのため、当該ステップS110における予測は、正確な判別を目的としているのではなく、光沢あるいは特殊光沢を有する領域が画像内に存在する可能性が少しでもある場合にそのような領域が存在すると判定できるように、しきい値も低めに設定されている。ただし、ステップS110における予測の正確性をある程度上げるために、ステップS100のプレスキャンでは、撮像素子23に特定位置および初期位置(位置P1)において原稿Sを読み取らせるとしてもよい。
【0044】
そして、ステップS110では、このような特定位置における読み取りによるプレスキャンデータと初期位置における読み取りによるプレスキャンデータとを比較すれば、特定位置における読み取りによるプレスキャンデータのみに基づいて上記予測を行なうよりも予測の正確性を上げることができる。この場合、判定部40bは、これら2種類のプレスキャンデータの読取値を画素が共通する値同士で比較し、特定位置による読取値が初期位置による読取値よりも所定以上に大きい画素が存在している場合に、光沢あるいは特殊光沢を有する領域が画像内に存在すると予測する。
【0045】
ステップS120では、判定部40bは、ステップS110における予測結果に応じて処理を分岐する。つまり判別部40bは、ステップS110において光沢あるいは特殊光沢を有する領域が画像内に存在すると予測した場合にはステップS300へ進み、光沢あるいは特殊光沢を有する領域が画像内に存在しないと予測した場合にはステップS130へ進む。ステップS300では、読取制御部40aは、撮像素子ユニット20および駆動機構30を制御することにより、駆動機構30に撮像素子23、撮像素子ユニット20をそれぞれ移動させ、かつ、撮像素子23に複数の位置P1,P2,P3,P4,P5において原稿Sを読み取らせる本スキャンを実行する。ただしこの場合でも、原稿Sの全領域について撮像素子23により複数の位置(角度)で読み取りを行なうのではなく、ステップS110で光沢あるいは特殊光沢を有すると予測された領域に限定して、撮像素子23により複数の位置(角度)で読み取りを行なう。
【0046】
図7は、本スキャン時の原稿Sの読み取りの様子を説明するための図である。図7では、原稿Sのうち鎖線で囲った一部の領域を、ステップS110において光沢あるいは特殊光沢を有すると予測された領域(予測領域PA)としている。また図7では、主走査方向に長い読取範囲SAをグレー色にて例示している。読取範囲SAは、リニアセンサーとしての撮像素子23が一度に読み取りを行なう範囲(あるいは、小型化された撮像素子ユニット20が主走査方向へ移動可能な構成であれば、一度の主走査で撮像素子23が読み取りを行なう範囲)であり、上記「1ライン」に相当する。読取範囲SAと原稿Sとの副走査方向における相対位置は、撮像素子ユニット20あるいは原稿Sが副走査方向へ移動することで変化する。
【0047】
当該ステップS300では、読取制御部40aは、予測領域PAに該当する副走査方向の範囲を特定し、当該特定した範囲(図7においては範囲MA。)についてのみ、撮像素子23に複数の位置P1,P2,P3,P4,P5において原稿Sを読み取らせる。一方、当該特定した範囲(範囲MA)以外の原稿S上の範囲については、読取制御部40aは、撮像素子23に初期位置だけで読み取りを実行させる。ステップS310,S320は、ステップS210,S220(図3)とほぼ同じ処理である。ただし判定部40bは、範囲MAに対応する画素であって且つ予測領域PAに対応する各画素について、ステップS300で読み取られた上記複数の角度(複数の位置P1,P2,P3,P4,P5)別の読取値の比較に基づいて属性の判定を行う(ステップS310)。そして、判定部40bは、属性情報の付加対象となる読取画像データの各画素のうち、予測領域PAに対応する各画素について、ステップS310で判定された属性情報を記録する(ステップS320)。ただし、予測領域PA内の画素であってもステップS310において属性が「光沢」、「特殊光沢」のいずれにも判定されない画素も有り得るため、予測領域PA内の全ての画素について属性情報が記録される訳ではない。
【0048】
ステップS320の結果得られる属性情報付きの読取画像データにおいても、属性が「特殊光沢」である画素以外の画素については、上記初期位置における読み取りで得られたRGB値がRGBチャンネルの情報として採用され、属性が「特殊光沢」である画素については、各位置P1,P2,P3,P4,P5における読み取りで得られたRGB値のうち彩度が最も高いRGB値がRGBチャンネルの情報として採用される。ステップS130では、原稿Sに予測領域PAは存在しないため、読取制御部40aは、原稿Sに対する通常のスキャン(撮像素子23による初期位置だけでの読み取り)を実行させる。ステップS330では、読取制御部40aは、ステップS320あるいはステップS130の処理により得られた(属性情報付きの)読取画像データを、ステップS230(図3)と同様に出力する。このような変形例3によれば、撮像素子23の一種類(特定位置)あるいは二種類(特定位置および初期位置)程度の少ない角度によるプレスキャンにより、原稿Sに、より多くの角度による読み取りに基づいて属性を判定すべき領域があるか否かを予測し、当該より多くの角度による読み取りに基づいて属性を判定すべきと予測された領域についてのみ、当該より多くの角度(複数の位置P1,P2,P3,P4,P5)による読み取りを行なう。そのため、撮像素子23を複数の位置へ移動させて読み取りを実行させることによる時間の増大や処理量の増加を必要最小限に抑えることができる。
【0049】
変形例4:
撮像素子ユニット20内に複数の撮像素子23が設けられ、駆動機構30が複数の撮像素子23をそれぞれ移動させる構成を採用してもよい。例えば、複数の位置P1,P2,P3,P4,P5のうち一定範囲(例えば、位置P1〜P3)において移動可能な撮像素子23と、複数の位置P1,P2,P3,P4,P5のうち他の範囲(例えば、位置P4〜P5)へ移動可能な撮像素子23とを備える構成としてもよい。
【0050】
変形例5:
本明細書において「インク」とは、液状のインクに限らず、レーザープリンターに用いられるトナーも含む広い意味で使用されている。このような「インク」の広い意味を有する他の用語としては「色材」や「着色材」、「着色剤」等を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0051】
10…読取装置、20…撮像素子ユニット、21…光源、23…撮像素子、40…制御部、40a…読取制御部、40b…判定部、40c…印刷制御部、40d…警告処理部、41…CPU、42…ROM、43…RAM、81…表示部、90…コンピューター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から読取対象物に光を照射し、読取対象物からの反射光を撮像素子で受光することにより読取対象物を読み取り可能な読取装置であって、
上記撮像素子は、読取対象物の読み取り面に対する角度が異なる複数の位置へ移動可能であり、当該複数の位置において読み取りを実行することを特徴とする読取装置。
【請求項2】
上記撮像素子による複数の位置における読取値を比較することにより、読取対象物に表された画像の属性を判定する判定部を備えることを特徴とする請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
上記判定部は、上記画像の属性を画像の領域毎に判定することを特徴とする請求項2に記載の読取装置。
【請求項4】
上記判定部は、上記撮像素子の読取対象物の読み取りにより生成された画像データに、上記判定の結果を示す情報を付加することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の読取装置。
【請求項5】
上記判定部は、撮像素子による、上記複数の位置のうち特定の角度に対応する特定位置における読取値が特定位置以外の位置における読取値よりも突出して高く、かつ、特定位置以外の位置における読取値の差が所定範囲に収まる場合には、光沢性を有する画像と判定することを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載の読取装置。
【請求項6】
上記判定部は、撮像素子による、上記複数の位置のうち特定の角度に対応する特定位置における読取値が特定位置以外の位置における読取値よりも突出して高く、かつ、上記複数の位置における読取値が所定の変化態様にて変化している場合には、メタリック感を発現する画像と判定することを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれかに記載の読取装置。
【請求項7】
読取対象物へのプレスキャンおよび本スキャンを実行可能であり、
プレスキャン時には、撮像素子により上記複数の位置のうち一部の位置において読取対象物を読み取り、当該一部の位置における読取結果に基づいて上記複数の位置の全てにおいて読取対象物を読み取るか否か判定し、上記複数の位置の全てにおいて読み取ると判定した場合には本スキャン時に撮像素子により上記複数の位置の全てにおいて読取対象物を読み取り、上記複数の位置の全てにおいて読み取ると判定しなかった場合には本スキャン時に撮像素子により上記複数の位置のうち一つの位置において読取対象物を読み取ることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の読取装置。
【請求項8】
光源から読取対象物に光を照射し、読取対象物からの反射光を撮像素子で受光することにより読取対象物を読み取り可能な読取装置が実行する読取方法であって、
上記撮像素子は、読取対象物の読み取り面に対する角度が異なる複数の位置へ移動し、当該複数の位置において読み取りを実行することを特徴とする読取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−199792(P2012−199792A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62773(P2011−62773)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】