説明

調光用点灯装置および照明装置

【課題】
調光回路の入力端子への誤配線に対して、基板を大形化することなく、基板および電子部品の損傷を抑制できる調光用点灯装置および照明装置を提供する。
【解決手段】
調光用点灯装置1は、整流回路7と一方の入力端子6aとの間に直列的に接続された第1および第2の抵抗素子8a,8bからなり、第1の抵抗素子8aの抵抗値が第2の抵抗素子8bの抵抗値よりも小さく設定され、かつ第1の抵抗素子8aが第2の抵抗素子8bよりも入力端子6a側に接続されている電流調整用素子9と、第1および第2の抵抗素子8a,8bの中点a1と他方の入力端子6bとの間に接続された過電圧保護素子10とを有する調光回路2と、交流電源Vsからの入力電力を調光回路2から出力された直流電圧に応じた電力に変換して出力する主回路3と、主回路3から出力された電力に応じて点灯する光源4とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源が調光信号に応じて調光点灯する調光用点灯装置および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放電灯点灯装置の入力端子と出力端子とを誤って、出力端子に商用電源を接続し、そのまま電源を投入するというヒューマンエラーに対して、故障の発生を抑制することができる放電灯点灯装置が提案されている(特許文献1参照。)。この従来技術の放電灯点灯装置は、インバータ回路により生成された周期電圧を外部の放電灯に供給するための端子台に電源電圧が印加された場合に、当該電源電圧が制御電源部へ供給されることを阻止するダイオードを備えたものである。これにより、商用電源による短絡電流が流れることが抑制され、極性反転回路における短絡電流によるスイッチング素子や他のダイオードの損傷あるいは破壊が抑制される結果、入出力誤結線時における故障の発生を抑制することができるというものである。
【0003】
ところで、放電灯点灯装置には、PWM調光信号に応じて放電ランプとしての蛍光ランプが調光点灯されるものがある(例えば特許文献2参照。)。すなわち、調光回路の入力端子に調光装置から出力されたPWM調光信号が入力されている。そして、施工時、特許文献1の放電灯点灯装置の場合と同様に、調光回路の入力端子に商用交流電源に接続されている電源線を誤って接続することがあった。例えば、放電灯点灯装置は、照明器具の内部に配設されることが多く、この場合、調光回路の入力端子に接続した伝送線および商用交流電源に接続されるリード線を照明器具からそれぞれ引き出している。そして、前記伝送線が商用交流電源に配線されている電源線に誤って接続されることがあり、今後も、その誤接続が懸念されている。
【0004】
調光回路の入力端子に商用交流電源が入力すると、PWM調光信号を整流する整流装置や電流調整用の抵抗素子などが発熱し、基板やその他の電子部品に損傷などを与える。このため、特許文献1の放電灯点灯装置と同様に、前記誤配線(誤接続)の発生に対する対策が求められている。
【0005】
そして、当該対策として、例えば、特許文献3の電源回路に示す構成を用いることができる。すなわち、当該電源回路は、正極端子および負極端子間にヒューズを介して過電圧保護素子を接続したものであり、誤接続により正極端子および負極端子間に高電圧が印加されると、過電圧保護素子が導通し、過電流によってヒューズが溶断するものである。これにより、電子機器(負荷)が保護されるものである。
【0006】
また、前記対策として、特許文献4の過電圧・逆接続保護回路に示す構成を用いることができる。すなわち、当該過電圧・逆接続保護回路は、定電圧ダイオードとリレーの直列回路をリレーの常閉接点を介して負荷に並列接続するとともに、前記直列回路に直流電源を接続し、前記直列回路の作動電圧が負荷の許容範囲の上限電圧として設定されているものである。直流電源の充電電圧が上昇して過電圧状態になると、リレーがオンして、常閉接点が開路し、負荷が過電圧から保護されるというものである。
【特許文献1】特開2006−134732号公報(第9頁、第2図)
【特許文献2】特開2006−107784号公報(第4、7頁、第1図)
【特許文献3】特開2000−188826号公報(第2頁、第1図)
【特許文献4】実開平2−136439号明細書(第6−8頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3の電源回路のように、調光回路にヒューズを用いると、電子部品を実装する基板でのヒューズの占有面積は大きいので、基板が大きくなるという欠点を有する。また、特許文献4の電圧・逆接続保護回路のように、リレーを用いると、基板が大形化するとともに、部品点数が多くなって放電灯点灯装置のコストが上昇するという欠点を有する。
【0008】
本発明は、調光回路の入力端子への誤配線に対して、基板を大形化することなく、基板および電子部品の損傷を抑制できる調光用点灯装置および照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の調光用点灯装置の発明は、入力端子に調光信号が入力され、この調光信号に応じた直流電圧を出力する直流電圧変換部と、この直流電圧変換部に流れる電流を調整する第1および第2の抵抗素子からなる電流調整用素子を有し、第1の抵抗素子は、前記入力端子に過電流が入力したときに当該過電流により溶断するように、その抵抗値が第2の抵抗素子の抵抗値よりも小さく設定された調光回路と;交流電源にリード線を介して接続される一対の電源入力端子を有し、この電源入力端子に入力された交流電源からの電力を前記調光回路から出力された直流電圧に応じた電力に変換して出力する主回路と;主回路から出力された電力に応じて点灯する光源と;を具備していることを特徴とする。
【0010】
本発明および以下の各発明において、特に言及しない限り、各構成は以下による。
【0011】
入力端子および電源入力端子は、ねじ端子、ねじ無し端子やピン端子など、その構造は、特に問わない。
【0012】
第1および第2の抵抗素子のそれぞれの抵抗値は、入力端子に調光信号が入力されるときの設定値であり、直流電圧変換部に設定電流が流れるように、その合成抵抗値が設定されている。
【0013】
そして、第1の抵抗素子の抵抗値を第2の抵抗素子の抵抗値よりも小さく設定するのは、第1の抵抗素子(入力端子)に過電流が流れたときに、第1の抵抗素子を瞬時に(直ちに)溶断させるためである。
【0014】
本発明によれば、調光信号が入力される調光回路の入力端子に過電流が入力すると、第1の抵抗素子は、その抵抗値が第2の抵抗素子の抵抗値よりも小さいので、比較的小さい抵抗値であり、当該過電流により瞬時に溶断する。これにより、他の電子部品や電子部品を実装している基板への熱損傷が抑制される。
【0015】
請求項2に記載の調光用点灯装置の発明は、請求項1記載の調光用点灯装置において、調光回路は、調光信号が入力される一対の入力端子と、この入力端子に入力側が接続され、調光信号を整流する整流回路と、この整流回路と一方の前記入力端子との間に直列的に接続された第1および第2の抵抗素子からなり、前記整流回路の出力側に所定の電流が流れるように第1および第2の抵抗素子の合成抵抗値が設定され、かつ第1の抵抗素子の抵抗値が第2の抵抗素子の抵抗値よりも小さく設定されているとともに、第1の抵抗素子が第2の抵抗素子よりも一方の前記入力端子側に接続されている電流調整用素子と、前記第1および第2の抵抗素子の中点と他方の前記入力端子との間に接続され、調光信号の印加では非導通の過電圧保護素子とを有し、前記調光信号に応じた直流電圧を出力するように構成されていることを特徴とする。
【0016】
第1および第2の抵抗素子のそれぞれの抵抗値は、入力端子に調光信号が入力されるときの設定値であり、整流回路の出力側に所定の電流が流れるように、その合成抵抗値が設定されている。
【0017】
「第1および第2の抵抗素子の中点」とは、第1の抵抗素子と第2の抵抗素子との接続点に限らず、直列接続されている第1および第2の抵抗素子の間の位置を示す。
【0018】
過電圧保護素子は、商用交流電源の交流電圧では導通するものであり、例えばバリスタである。
【0019】
本発明によれば、調光回路の一対の入力端子に、誤って主回路の一対の電源入力端子に入力する交流電源が接続されると、過電圧保護素子が導通し、一方の入力端子、第1の抵抗素子、過電圧保護素子および他方の入力端子の閉回路内で過電流が流れる。第1の抵抗素子は、その抵抗値が第2の抵抗素子の抵抗値よりも小さいので、比較的小さい抵抗値となり、前記過電流が流れることにより瞬時に溶断する。これにより、他の電子部品や電子部品を実装している基板への熱損傷が抑制される。
【0020】
請求項3に記載の調光用点灯装置の発明は、請求項1記載の調光用点灯装置において、調光回路は、調光信号が入力される一対の入力端子と、この入力端子に入力側が接続され、調光信号を整流する整流回路と、この整流回路と一方の前記入力端子との間に接続された第1の抵抗素子および前記整流回路の出力間に接続された第2の抵抗素子からなり、前記整流回路の出力側に所定の電流が流れるように第1および第2の抵抗素子の合成抵抗値が設定され、かつ第1の抵抗素子の抵抗値が第2の抵抗素子の抵抗値よりも小さく設定されている電流調整用素子とを有し、前記調光信号に応じた直流電圧を出力するように構成されていることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、調光回路の一対の入力端子に、誤って主回路の一対の電源入力端子に入力する交流電源が接続されると、一方の入力端子、第1の抵抗素子、整流回路および他方の入力端子の閉回路内で過電流が流れる。第1の抵抗素子は、その抵抗値が第2の抵抗素子の抵抗値よりも小さいので、比較的小さい抵抗値となり、前記過電流が流れることにより瞬時に溶断し、発熱しなくなる。あるいは、前記過電流により整流回路が破壊して前記閉回路内に電流が流れなくなり、第1の抵抗素子が発熱しなくなる。これにより、他の電子部品や電子部品を実装している基板への熱損傷が抑制される。
【0022】
請求項4に記載の照明装置の発明は、請求項1ないし3いずれか一記載の調光用点灯装置と;この調光用点灯装置の調光回路の入力端子に伝送線を介して接続され、当該入力端子に調光信号を出力する調光装置と;光源を配設している照明器具と;を具備していることを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、調光用点灯装置の調光回路の入力端子に、調光装置に接続されている伝送線ではなく、誤って交流電源に配線されている電源線が接続されると、調光回路の第1の抵抗素子を瞬時に溶断することのできる調光用点灯装置を具備する照明装置が提供される。
【発明の効果】
【0024】
請求項1の発明によれば、調光回路の入力端子に過電流が流れると、第1の抵抗素子が瞬時に溶断して他の電子部品や電子部品を実装している基板への熱損傷を抑制することができるので、ヒューズやリレーなどの電流保護素子よりも基板での占有面積が小さい第1および第2の抵抗素子からなる電流調整用素子を用いることにより、基板の大形化を抑制することができて、調光用点灯装置の大形化やコスト上昇を抑制することができる。
【0025】
請求項2の発明によれば、調光回路の一対の入力端子に、誤って主回路の一対の電源入力端子に入力する交流電源が接続されると、第1の抵抗素子が瞬時に溶断して他の電子部品や電子部品を実装している基板への熱損傷を抑制することができるので、ヒューズやリレーなどの電流保護素子よりも基板での占有面積が小さい第1および第2の抵抗素子を用いることにより、基板の大形化を抑制することができて、調光用点灯装置の大形化やコスト上昇を抑制することができる。
【0026】
請求項3の発明によれば、調光回路の一対の入力端子に、誤って主回路の一対の電源入力端子に入力する交流電源が接続されると、第1の抵抗素子が瞬時に溶断し、または整流回路が破壊して、他の電子部品や基板への熱損傷を抑制することができるので、ヒューズやリレーなどの電流保護素子よりも基板での占有面積が小さい第1および第2の抵抗素子を用いることにより、基板の大形化を抑制することができて、調光用点灯装置の大形化やコスト上昇を抑制することができる。
【0027】
請求項4の発明によれば、調光用点灯装置の調光回路の入力端子に誤って交流電源が接続されると、調光回路の第1の抵抗素子が瞬時に溶断して調光用点灯装置への熱損傷が抑制される照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0029】
図1は、本発明の第1の実施形態を示す調光用点灯装置の概略回路図である。
【0030】
調光用点灯装置1は、調光回路2、主回路3、光源4および制御回路5を有して構成され、図示しない調光装置から送信された調光信号により光源4が調光点灯されるものである。すなわち、調光信号は、調光回路2に入力される。調光回路2は、調光信号を直流電圧に変換して制御回路5に出力する。制御回路5は、その直流電圧に応じて主回路2を制御し、主回路2から当該直流電圧に応じた電力を出力させる。光源4は、主回路2から出力された電力に付勢して調光点灯するものである。
【0031】
調光回路2は、一対の入力端子6a,6b、整流回路としての整流器7、第1の抵抗素子8aおよび第2の抵抗素子8bからなる電流調整用素子9および過電圧保護素子10を有して構成されている。そして、一対の入力端子6a,6bには、それぞれリード線11,11が接続されている。このリード線11,11は、図示しない調光装置に接続されている図示しない伝送線に例えば圧着端子により接続されるものである。一対の入力端子6a,6bには、調光装置から出力された調光信号としてのPWM調光信号が入力される。そして、入力端子6aにPWM信号の正極側が入力され、入力端子6bにPWM信号の負極側が入力される。
【0032】
整流器7は、その入力側が第1および第2の抵抗素子8a,8bを介して入力端子6a,6bに接続されている。また、その出力間には、フォトカプラPC1のフォトダイオードPD1を接続している。整流器7は、入力端子6a,6bに入力したPWM調光信号を整流し、この整流した電流によりフォトダイオードPD1を発光させる。
【0033】
電流調整用素子9は、整流器7の出力側に流れる電流を調整するものであり、第1の抵抗素子8aおよび第2の抵抗素子8bからなっている。そして、第1の抵抗素子8aおよび第2の抵抗素子8bは、整流器7の一方の入力側と、一方の入力端子6aとの間に直列的に接続されている。第1および第2の抵抗素子8a,8bは、整流器7の出力間に接続されているフォトカプラPC1のフォトダイオードPD1に所定の電流(例えば1〜2mA)が流れるように、その合成抵抗値が設定されている。
【0034】
そして、第1の抵抗素子8aは、その抵抗値が第2の抵抗素子8bの抵抗値よりも小さく設定されているとともに、第2の抵抗素子8bよりも一方の入力端子6a側に接続されているものである。一対の入力端子6a,6bに入力されるPWM調光信号の電圧値は、例えばDC12Vであり、第1および第2の抵抗素子8a,8bの合成抵抗値は、10kΩ程度となっている。すなわち、第1および第2の抵抗素子8a,8bのそれぞれの抵抗値は、調光用点灯装置1の他の抵抗素子の抵抗値に対して、比較的小さい値となっている。そして、その抵抗値が比較的小さいことにより、第1および第2の抵抗素子8a,8bの外形も比較的小さくなり、実装されている基板での第1および第2の抵抗素子8a,8bの占有面積も小さいものとなっている。
【0035】
過電圧保護素子10は、例えばバリスタであり、第1および第2の抵抗素子8a,8bの中点a1と他方の入力端子6bとの間に接続されている。そして、過電圧保護素子10は、PWM調光信号の電圧値(DC12V)が印加されても導通しないものが選択されている。しかし、交流電源Vsの電圧値(AC100V)が印加されると、導通するものである。
【0036】
そして、フォトカプラPC1のフォトダイオードPTr1は、そのカソードおよびエミッタが調光主回路部12に接続されている。調光主回路部12は、制御回路5に接続されている。
【0037】
フォトダイオードPD1は、PWM調光信号のオンデューティーの期間、整流器7により整流された所定の電流(例えば1〜2mA)が流れて発光する。フォトトランジスタPTr1は、フォトダイオードPD1が発光しているときに導通する。そして、調光主回路部12は、フォトトランジスタPTr1が導通している期間に応じた一定の直流電圧を出力するように形成されている。
【0038】
フォトカプラPC1および調光主回路部12は、PWM調光信号に応じた直流電圧を生成して出力する直流電圧変換部を形成している。そして、第1および第2の抵抗素子8a,8bからなる電流調整用素子9は、その直流電圧変換部のフォトダイオードPD1に流れる電流を調整している。こうして、調光回路2は、一対の入力端子6a,6bに入力されたPWM調光信号に応じた一定の直流電圧を制御回路5に出力するように構成されている。
【0039】
制御回路5は、調光回路2から出力された直流電圧に応じて主回路3を制御するように形成されている。
【0040】
主回路3は、電源入力端子13a,13bを有している。電源入力端子13a,13bには、リード線14,14が接続されている。このリード線14,14は、商用交流電源Vsに配線されている電源線WD1,WD2に接続される。主回路3は、リード線14,14および電源線WD1,WD2を介して商用交流電源Vsから交流電力が供給される。そして、主回路3は、電源入力端子13a,13bに入力された商用交流電源Vsからの交流電力を、制御回路5の制御により、調光回路2から出力された直流電圧に応じた電力に変換して出力するように形成されている。すなわち、主回路3は、調光回路2の入力端子6a,6bに入力されるPWM調光信号に応じた電力を出力するように形成されているものである。
【0041】
例えば、光源4が蛍光ランプの場合、主回路2は、商用交流電源Vsの交流電圧を直流電圧に変換する直流電源回路、その直流電圧を交流高周波電圧に変換するインバータ回路や蛍光ランプに共振電圧を印加させる共振回路などを有して形成される。また、光源4が発光ダイオードの場合、前記直流電源回路に加え、発光ダイオードにPWM調光信号に応じた電流を供給する定電流回路などを有して形成される。
【0042】
光源4は、主回路3の出力間に接続され、主回路3から出力された電力に応じて調光点灯する。光源4としては、蛍光ランプなどの放電ランプ、発光ダイオード(LED)、エレクトロルミネッセント(EL)素子や電球など、照明光を放射し、その照明光を利用可能なものであればよい。
【0043】
次に、本発明の第1の実施形態の作用について述べる。
【0044】
商用交流電源Vsに配線されている電源線WD1,WD2を、主回路3の電源入力端子13a,13bに接続しているリード線14,14に接続せずに、誤って調光回路2の入力端子6a,6bに接続されているリード線11,11に接続すると、調光回路2は、リード線11,11および電源線WD1,WD2を介して商用交流電源Vsに接続される。そして、商用交流電源Vsが投入されると、交流電圧(例えばAC100V)が過電圧保護素子10に印加され、過電圧保護素子10が導通して、商用交流電源Vs、一方の入力端子6a、第1の抵抗素子8a、過電圧保護素子10および他方の入力端子6bの閉回路内で過電流が流れる。
【0045】
第1の抵抗素子8aは、その抵抗値が比較的小さいので、過電流が流れると、瞬時に溶断する。すなわち、第1の抵抗素子8aは、第1および第2の抵抗素子8a,8bの合成抵抗値における抵抗比率を低くして、第2の抵抗素子9の抵抗値よりも小さい抵抗値としているので、比較的小さい抵抗値となり、過電流により瞬時に溶断させることができる。
【0046】
第1の抵抗素子8aが溶断すると、前記閉回路内に電流が流れなくなり、第1の抵抗素子8aは、発熱しなくなる。これにより、整流器7などの他の電子部品や調光用点灯装置1の電子部品を実装している基板への熱損傷が抑制される。そして、上記誤配線(誤接続)の調光用点灯装置1に対して、第1の抵抗素子8aを交換することにより、当該調光用点灯装置1を再使用することができる。
【0047】
そして、第1および第2の抵抗素子8a,8bは、その外形が小さく、ヒューズやリレーなどの電流保護素子よりも基板での占有面積や占有空間が小さいので、基板の大形化を抑制することができる。この結果、調光用点灯装置1の大形化やコスト上昇を抑制することができる。
【0048】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0049】
図2は、本発明の第2の実施形態を示す調光用点灯装置の概略回路図である。なお、図1と同一部分には、同一符号を付して説明は省略する。
【0050】
図2に示す調光用点灯装置15は、図1に示す調光用点灯装置1において、過電圧保護素子10が除去され、整流器7の一方の入力側および一方の入力端子6aの間に第1の抵抗素子8aが接続され、整流器7の出力間にフォトカプラPC1のフォトダイオードPD1と直列的に第2の抵抗素子8bが接続されて調光回路2Aが形成されたものである。
【0051】
商用交流電源Vsに配線されている電源線WD1,WD2を、誤って調光回路2の入力端子6a,6bに接続されているリード線11,11に接続し、この状態で、商用交流電源Vsが投入されると、商用交流電源Vs、一方の入力端子6a、整流器7および他方の入力端子6bの閉回路内で過電流が流れる。
【0052】
第1の抵抗素子8aは、その抵抗値が第2の抵抗素子8bの抵抗値よりも小さく設定されているので、比較的小さい抵抗値であり、過電流により瞬時に溶断する。または、整流器7に過電流が流れることにより、整流器7が瞬時に破壊することがある。これにより、前記閉回路内に電流が流れなくなり、第1の抵抗素子8aは、発熱しなくなる。この結果、フォトカプラPC1などの他の電子部品や基板への熱損傷が抑制される。そして、上記誤配線(誤接続)の調光用点灯装置15に対して、第1の抵抗素子8aおよび整流器7を交換することにより、当該調光用点灯装置15を再使用することができる。
【0053】
そして、第1および第2の抵抗素子8a,8bは、その外形が小さく、ヒューズやリレーなどの電流保護素子よりも基板での占有面積や占有空間が小さいことに加え、過電圧保護素子10を用いないので、さらに基板の大形化を抑制することができる。この結果、調光用点灯装置15の大形化やコスト上昇を抑制することができる。
【0054】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0055】
本発明の第3の実施形態を示す照明装置の概略構成図である。なお、図1と同一部分には、同一符号を付して説明は省略する。
【0056】
図3に示す照明装置16は、照明器具17、放電ランプ用点灯装置18および調光装置19を有して構成されている。
【0057】
照明器具17は、天井面20に直付けされる直付形照明器具であり、略枠状の器具本体21の両端に一対のランプソケット22,22が設けられている。そして、ランプソケット22,22に光源としての直管形蛍光ランプ23を装着している。また、器具本体21は、蛍光ランプ23と対向して断面略皿状の反射板24を取り付けている。反射板24の表面は、反射面24aに形成されている。
【0058】
また、器具本体21は、反射板24の内側で、放電ランプ用点灯装置18を図示しないねじにより固定している。放電ランプ用点灯装置18は、図1に示す調光用点灯装置1において、光源4が除去されて構成されている。
【0059】
放電ランプ用点灯装置18は、主回路3の電源入力端子13a,13bに接続されたリード線14,14を導出している。このリード線14,14は、照明器具17を介して天井裏に引き出されて商用交流電源Vsに配線されている電源線WD1,WD2に接続されている。また、放電ランプ用点灯装置18は、調光回路2の入力端子6a,6bに接続されたリード線11,11を導出している。このリード線11,11は、照明器具17を介して天井裏に引き出され、調光装置19に接続されている伝送線25,25に圧着端子(リングスリーブ)26,26により接続されている。
【0060】
調光装置19は、手動操作部27を有し、この手動操作部27を移動操作させることにより、調光信号としてのPWM調光信号を出力するように構成されている。PWM調光信号は、伝送線25,25およびリード線11,11を介して放電ランプ用点灯装置18の調光回路2の入力端子6a,6bに入力される。調光装置19は、例えば壁面(図示しない。)に設置されている。
【0061】
照明装置16は、調光装置19の手動操作部27を移動操作することにより、調光装置19から当該手動操作に応じたPWM調光信号が出力される。そして、放電ランプ用点灯装置18がPWM調光信号に応じた制御動作をすることにより、蛍光ランプ23が調光点灯されるものである。
【0062】
そして、商用交流電源Vsに配線されている電源線WD1,WD2と、放電ランプ用点灯装置18の調光回路2の入力端子6a,6bに接続しているリード線11,11を誤配線(誤接続)し、入力端子6a,6bに商用交流電源Vsが接続(投入)されると、調光回路2の第1の抵抗素子8aが瞬時に溶断することにより、放電ランプ用点灯装置18への熱損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す調光用点灯装置の概略回路図。
【図2】本発明の第2の実施形態を示す調光用点灯装置の概略回路図。
【図3】本発明の第3の実施形態を示す照明装置の概略構成図。
【符号の説明】
【0064】
1,15…調光用点灯装置
2,2A…調光回路
3…主回路
4…光源
6a,6b…入力端子
7…整流回路としての整流器
8a…第1の抵抗素子
8b…第2の抵抗素子
9…電流調整用素子
10…過電圧保護素子
13a,13b…電源入力端子
16…照明装置
17…照明器具
19…調光装置
23…光源としての直管形蛍光ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子に調光信号が入力され、この調光信号に応じた直流電圧を出力する直流電圧変換部と、この直流電圧変換部に流れる電流を調整する第1および第2の抵抗素子からなる電流調整用素子を有し、第1の抵抗素子は、前記入力端子に過電流が入力したときに当該過電流により溶断するように、その抵抗値が第2の抵抗素子の抵抗値よりも小さく設定された調光回路と;
交流電源にリード線を介して接続される一対の電源入力端子を有し、この電源入力端子に入力された交流電源からの電力を前記調光回路から出力された直流電圧に応じた電力に変換して出力する主回路と;
主回路から出力された電力に応じて点灯する光源と;
を具備していることを特徴とする調光用点灯装置。
【請求項2】
調光回路は、調光信号が入力される一対の入力端子と、この入力端子に入力側が接続され、調光信号を整流する整流回路と、この整流回路と一方の前記入力端子との間に直列的に接続された第1および第2の抵抗素子からなり、前記整流回路の出力側に所定の電流が流れるように第1および第2の抵抗素子の合成抵抗値が設定され、かつ第1の抵抗素子の抵抗値が第2の抵抗素子の抵抗値よりも小さく設定されているとともに、第1の抵抗素子が第2の抵抗素子よりも一方の前記入力端子側に接続されている電流調整用素子と、前記第1および第2の抵抗素子の中点と他方の前記入力端子との間に接続され、調光信号の印加では非導通の過電圧保護素子とを有し、前記調光信号に応じた直流電圧を出力するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の調光用点灯装置。
【請求項3】
調光回路は、調光信号が入力される一対の入力端子と、この入力端子に入力側が接続され、調光信号を整流する整流回路と、この整流回路と一方の前記入力端子との間に接続された第1の抵抗素子および前記整流回路の出力間に接続された第2の抵抗素子からなり、前記整流回路の出力側に所定の電流が流れるように第1および第2の抵抗素子の合成抵抗値が設定され、かつ第1の抵抗素子の抵抗値が第2の抵抗素子の抵抗値よりも小さく設定されている電流調整用素子とを有し、前記調光信号に応じた直流電圧を出力するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の調光用点灯装置。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか一記載の調光用点灯装置と;
この調光用点灯装置の調光回路の入力端子に伝送線を介して接続され、当該入力端子に調光信号を出力する調光装置と;
光源を配設している照明器具と;
を具備していることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−40182(P2010−40182A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197991(P2008−197991)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】