調律器
【課題】 多種類の楽器や調律モードに対応し、広いスケールで目的の音までの距離を把握できる調律器を提供する。
【解決手段】 本発明の調律器は、楽器の音を入力する楽音信号入力部と、調律する楽器を選択する楽器選択部と、前記楽器選択部で選択される楽器別の調律データを記憶している調律データ記憶部と、前記楽器選択部で選択された情報に基づき、前記楽音信号入力部から入力された楽器の音のピッチを抽出し、音名、セント偏差を算出する制御部と、前記制御部で算出された音名、セント偏差を出力する表示部と、を有し、前記表示部は、音程の高低順に配置され、調律範囲全域の音名を一覧表示する広域音名表示部と、セント偏差を表示するセント偏差表示部から構成され、前記楽器選択部の設定により、前記広域音名表示部を選択された楽器で調律可能な表示内容に切り替えることができる。
【解決手段】 本発明の調律器は、楽器の音を入力する楽音信号入力部と、調律する楽器を選択する楽器選択部と、前記楽器選択部で選択される楽器別の調律データを記憶している調律データ記憶部と、前記楽器選択部で選択された情報に基づき、前記楽音信号入力部から入力された楽器の音のピッチを抽出し、音名、セント偏差を算出する制御部と、前記制御部で算出された音名、セント偏差を出力する表示部と、を有し、前記表示部は、音程の高低順に配置され、調律範囲全域の音名を一覧表示する広域音名表示部と、セント偏差を表示するセント偏差表示部から構成され、前記楽器選択部の設定により、前記広域音名表示部を選択された楽器で調律可能な表示内容に切り替えることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽器の音を調律する調律器の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の弦を持つ、弦楽器を調律する調律器として、現在の被調律音が音階の何処にあり、その音階からどれだけずれているかを表示するために、複数弦の音名を弦の音程順に配置した弦音表示部と、セント偏差を示す表示部を配置した調律器がある。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2006−184449号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の従来技術では弦音表示部がギターにのみ対応しているので、ギター以外の楽器を調律する場合、調律する音名と弦音表示部の音名が合わないので調律することができない。また、ギターでもオープンチューニングやフラットチューニングなど様々な調律方法があり、同じ弦でも調律方法を変えると弦の音名が変化するので調律できなくなる。そこで、本発明では特定の楽器や調律方法によらず様々な調律シーンで調律できるような表示装置を持つ調律器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するため、本発明は、楽器の音を入力する楽音信号入力部と、調律する楽器を選択する楽器選択部と、前記楽器選択部で選択される楽器別の調律データを記憶している調律データ記憶部と、前記楽器選択部で選択された情報に基づき、前記楽音信号入力部から入力された楽器の音のピッチを抽出し、音名、セント偏差を算出する制御部と、前記制御部で算出された音名、セント偏差を出力する表示部と、を有し、前記表示部は、音程の高低順に配置され、調律範囲全域の音名を一覧表示する広域音名表示部と、セント偏差を表示するセント偏差表示部から構成され、前記楽器選択部の設定により、前記広域音名表示部が選択された楽器で調律可能な表示内容に切り替わることを特徴とする。
【0005】
また本発明は、前記楽器選択部で選択された楽器が弦楽器の場合、前記調律データ記憶部に記憶された調律データは調律モードの情報を含み、前記楽器選択部で楽器の選択に続いて調律モードを選択可能なことを特徴とする。
【0006】
また本発明は、前記広域音名表示部は、前記調律モード選択部で選択した楽器と調律モードに対応した音名を弦番号に割り振り表示することを特徴とする。
【0007】
また本発明は、前記調律データ記憶部は楽器に対応した音域情報を含み、前記広域音名表示部は前記楽器選択部で選択された楽器に対応する音域範囲の表示形態を変えて表示することを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記広域音名表示部が低解像度の場合、前記楽器選択部で選択された楽器に対応する音域を前記広域音名表示部の中心のオクターブとすることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記広域音名表示部で表示されているオクターブ範囲を超えた場合は上または下にオクターブを自動でシフト表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上に説明したように、本発明の調律器では、調律する楽器や調律モードを選択できるようにすることで、色々な種類の楽器や様々な演奏シーンに対応する調律をする事ができる。また平均律音階に基づく複数オクターブの音名を一列に配置することで、従来よりも広いスケールで目的の音までの距離を把握でき、初心者が様々な調律をする場合にも容易に調律する事が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図13に基づいて説明する。
【0012】
図1は本発明の調律器のブロック図である。被調律信号を入力する楽音信号入力部1と調律する楽器や調律モードを選択する楽器選択部2から制御部3に信号が入力される。制御部3では入力された楽器選択情報と調律モード情報を基に楽器別に記憶されている調律データを調律データ記憶部4から読み出し、楽音信号入力部1から入力された信号のピッチを抽出し前記記憶部から読み出したデータを基に前記抽出したピッチの音名・弦名とセント偏差を計算処理する。制御部3で処理された音名・弦名とセント偏差と選択された楽器と調律モードを表示部5に出力し表示する。表示部5は、音名・弦名データを表示する音名表示部51とセント偏差を表示するセント偏差表示部52がある。
【0013】
図2は、クロマティック表示の表示例である。調律範囲全域の音名を一覧表示する鍵盤式の広域音名表示部6と、音名とオクターブを文字で表示する音名・オクターブ表示部7とセント偏差表示部8がある。図2は、オクターブ3のD音、0セントを調律している時の表示例で、音名とオクターブを音名・オクターブ表示部7で「D3」と表示し、鍵盤式の広域音名表示部6でD3の位置を表示している。セント偏差はセント偏差表示部8で「0セント」に対応する表示をしている。
【0014】
図3は、クロマティック表示のもう一つの表示例である。調律範囲全域の音名を表示するブロック式の広域音名表示部9と、音名とオクターブを文字で表示する、音名・オクターブ表示部7とセント偏差表示部8がある。ブロック式の広域音名表示9はオクターブの境界や#♭の音名がわかりやすいように大きさを変え、上部にオクターブを表示している。図3は、オクターブ3のD音、0セントを調律している時の表示例で、音名とオクターブを音名・オクターブ表示部7で「D3」と表示し、ブロック式の広域音名表示部9でD3の位置を表示している。セント偏差はセント偏差表示部8で「0セント」に対応する表示をしている。
【0015】
図2、図3共に調律範囲全域の音名を一覧表示しているため被調律音の位置を認識しやすい表示となっている。
【0016】
図4は、ギターでレギュラー・チューニングを選択した場合の表示例である。選択された楽器の種類を表示する楽器表示部10と、選択された調律モードを表示する調律モード表示部12と、入力された楽音信号の弦名・音名を表示する文字形式の弦名表示部11と1弦から6弦まで音の高さがわかるように配置された弦名表示部13と、セント偏差が表示されるセント偏差表示部8がある。弦名表示部13は6弦の弦番号と音名・オクターブが解るように表示してあり、入力されている被調律音が弦と弦の間にある時も表示される。図4はギターのレギュラーチューニングで5弦A音、−15セントの被調律音が入力された時の表示例である。楽器表示部10は「GUITAR」を表示し、調律モード部12は「REGULAR」を表示し、文字形式の音名表示部11は弦番号・音名「5A」を表示し、弦名表示部13は「5/A2」の位置を表示、セント偏差表示セグメント8は−15セントの位置に対応する表示をしている。
【0017】
図5はギターのオープンDチューニングを選択した場合の表示例である。弦名表示部13の弦番号はギター・レギュラー・チューニングと同じだが、弦の音名がオープンDチューニングに合わせて変更される。図5はギターのオープンDチューニングで3弦F#音、0セントの被調律音が入力された時の表示例である。楽器表示部10は「GUITAR」を表示し、調律モード部12「OPEN D」を表示、文字形式の音名表示部11は弦番号・音名「3F#」を表示し、弦名表示部13は「3/F#3」の位置を表示、セント偏差表示部8は0セントの位置に対応する表示をしている。
【0018】
図6はベースのレギュラーチューニングを選択した場合の表示例である。弦名表示部13の弦番号と音名は6弦ベース・レギュラー・チューニングに合わせて変更される。図6はベースのレギュラーチューニングで1弦G音、+5セントの被調律音が入力された時の表示例である。楽器表示部10は「BASS」を表示し、調律モード表示部12は「REGULAR」を表示し、文字形式の音名表示部11は弦番号・音名「1G」を表示し、弦名表示部13は「1/G2」の位置を表示、セント偏差表示部8は+5セントの位置に対応する表示をしている。
【0019】
図7は楽器と音域の対応表である。調律データ記憶部4に保存され、選択された楽器と調律モード情報を基に読み出される。調律モード選択の出来る楽器は前記対応表の調律モード欄にチェックが入っているので、楽器選択後さらに調律モード選択が出来るようになる。
【0020】
図8は調律モード選択できる楽器の各調律モードと各弦の音名の対応表の例である。
【0021】
図4,図5、図6の弦名表示部13は図8の対応表を基に弦の番号/音名を表示している。
【0022】
図9は本発明の調律器で調律する時のフローチャートである。まず、これから調律する楽器を選択する(S901)。次に、調律モード選択が出来る楽器は調律モードを選択する(S902)。そして、楽器を弾き楽音信号を入力する(S903)。前記入力された楽音信号のピッチを抽出する(S904)。前記求めたピッチより音名とセント偏差を計算する(S905)。前記選択された楽器より楽器別調律データを取得し(S906)、前記選択された調律モードと前記取得した楽器別調律データと前記求めた音名より弦番号や音域等を取得する(S907)。求めたセント偏差と前記取得した弦番号・音名を表示する(S908)。
【0023】
図10は、クロマティック音名表示で、マニュアル・ギター調律を選択した時の表示例である。楽器の種類を表示する楽器表示部10と、選択された弦番号・音名を表示する弦番号・音名表示部11と、調律範囲全域の音名を表示し、選択された弦の音域範囲を付加したブロック式の広域音名表示14と、セント偏差表示8がある。ギターで「5弦(5A)」を選択した時にG2の音を入力した場合の表示例で、「5弦(5A)」の音名・オクターブ(A2)と、調律範囲外の音名ブロックの表示形態を変えて表示する。
【0024】
音名範囲を付加したブロック式の広域音名表示14は図12に示すデータを読み出し、調律音名範囲外の音名ブロックと調律範囲内の音名ブロックの表示形態を変えることで、調律音名範囲外に調律されないように手助けする。そして、調律する目的の音名も表示形態を変えて表示する事で、現在調律している音名と目的の音名の位置関係が理解出来る。この事により、弦楽器を調律する場合、弦の巻きすぎによって弦が切れる事を防止する事が出来る。
【0025】
図11は、フルートを選択した場合の表示例である。楽器の種類を表示する楽器表示部10と音名表示部11と鍵盤式の広域音名表示部15とセント偏差表示部15がある。図11は、フルートで音名C、オクターブ4、+8セントが入力された時の表示例で、楽器表示部10に「FLUTE」と表示し、音名表示部11に入力された被調律音の音名・オクターブ「C4」が表示され、鍵盤式の広域音名表示部15に「C4」の位置が表示され、セント偏差表示部8に+8セントの位置に対応する表示をしている。鍵盤式の広域音名表示部15は図7の音域対応表を基に、フルートの音域範囲外の表示形態を変えて表示する。
【0026】
図12は、楽器、または調律する弦と調律する音域の範囲を示した対応表の例である。ギター各開放弦の音名と各開放弦のプラス・マイナスのリミットになる音名が調律データ記憶部4に記憶されている。図12はギターの場合の例だが多数の楽器のデータを記憶する事が出来る。
【0027】
図13は、調律範囲全域を一覧表示出来ない低解像度表示の場合のクロマティック表示例である。選択した楽器を表示する楽器表示部10と、3オクターブ分の音名表示をする音名表示部16と、音名表示部16のオクターブを表示するオクターブガイド17がある。音名表示部16はセンターのオクターブと上下のオクターブが見分けやすいように形を変えている。図13はトランペットを選択し、音名B♭、オクターブ4、−4セントが入力された時の表示例である。楽器表示部10は「TRUMPET」と表示し、音名表示部16は「B♭」の位置が表示され、オクターブガイド17は「3」、「4」、「5」が表示され、セント表示部8は−4セントに対応した表示をしている。オクターブガイド17は、選択された楽器の音域範囲に対応してセンターのオクターブを決定する。その状態で被調律音の音階を上げてセンターの+1オクターブより高い楽音が入力され表示範囲を超えた場合は、全体のオクターブガイド表示を+1シフトする。逆に被調律音の音階を下げてセンターの−1オクターブより低い楽音が入力され表示範囲を超えた場合は、オクターブガイド表示を−1シフトする。センターと上下1オクターブ分の音名を一覧表示することにより、目的の音階までの距離が把握でき調律が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の1実施例の調律器を示すブロック図である。
【図2】本発明の1実施例のクロマティックの表示例である。
【図3】本発明の1実施例のクロマティックの表示例である。
【図4】本発明の1実施例のギター・レギュラーチューニングの表示例である。
【図5】本発明の1実施例のギター・オープンDチューニングの表示例である。
【図6】本発明の1実施例のベース・レギュラーチューニングの表示例である。
【図7】本発明の1実施例の楽器と音域の対応を示す図である。
【図8】本発明の1実施例の弦番号と調律モード・調律楽器に対応する音名を示す図である。
【図9】本発明の1実施例のフローチャートである。
【図10】本発明の1実施例のマニュアル・ギター調律時の表示例である。
【図11】本発明の1実施例のフルート調律時の表示例である。
【図12】本発明の1実施例のギターの弦と音名範囲を示す図である。
【図13】本発明の1実施例のクロマティック音名表示の表示例である。
【符号の説明】
【0029】
1 楽音信号入力部
2 楽器選択部
3 制御部
4 調律データ記憶部
5 表示部
51 音名表示部
52 セント編纂表示部
6 鍵盤形式の広域音名表示部
7 文字表示の音名表示部
8 セント偏差表示部
9 ブロック形式の広域音名表示部
10 楽器表示部
11 文字形式の弦番号・音名表示部
12 調律モード表示部
13 ギター弦名表示部
14 音域を付加したブロック形式の音名表示部
15 音域を付加した鍵盤形式の音名表示部
16 3オクターブの音名表示部
17 表示音名のオクターブガイド
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽器の音を調律する調律器の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の弦を持つ、弦楽器を調律する調律器として、現在の被調律音が音階の何処にあり、その音階からどれだけずれているかを表示するために、複数弦の音名を弦の音程順に配置した弦音表示部と、セント偏差を示す表示部を配置した調律器がある。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2006−184449号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の従来技術では弦音表示部がギターにのみ対応しているので、ギター以外の楽器を調律する場合、調律する音名と弦音表示部の音名が合わないので調律することができない。また、ギターでもオープンチューニングやフラットチューニングなど様々な調律方法があり、同じ弦でも調律方法を変えると弦の音名が変化するので調律できなくなる。そこで、本発明では特定の楽器や調律方法によらず様々な調律シーンで調律できるような表示装置を持つ調律器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するため、本発明は、楽器の音を入力する楽音信号入力部と、調律する楽器を選択する楽器選択部と、前記楽器選択部で選択される楽器別の調律データを記憶している調律データ記憶部と、前記楽器選択部で選択された情報に基づき、前記楽音信号入力部から入力された楽器の音のピッチを抽出し、音名、セント偏差を算出する制御部と、前記制御部で算出された音名、セント偏差を出力する表示部と、を有し、前記表示部は、音程の高低順に配置され、調律範囲全域の音名を一覧表示する広域音名表示部と、セント偏差を表示するセント偏差表示部から構成され、前記楽器選択部の設定により、前記広域音名表示部が選択された楽器で調律可能な表示内容に切り替わることを特徴とする。
【0005】
また本発明は、前記楽器選択部で選択された楽器が弦楽器の場合、前記調律データ記憶部に記憶された調律データは調律モードの情報を含み、前記楽器選択部で楽器の選択に続いて調律モードを選択可能なことを特徴とする。
【0006】
また本発明は、前記広域音名表示部は、前記調律モード選択部で選択した楽器と調律モードに対応した音名を弦番号に割り振り表示することを特徴とする。
【0007】
また本発明は、前記調律データ記憶部は楽器に対応した音域情報を含み、前記広域音名表示部は前記楽器選択部で選択された楽器に対応する音域範囲の表示形態を変えて表示することを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記広域音名表示部が低解像度の場合、前記楽器選択部で選択された楽器に対応する音域を前記広域音名表示部の中心のオクターブとすることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記広域音名表示部で表示されているオクターブ範囲を超えた場合は上または下にオクターブを自動でシフト表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上に説明したように、本発明の調律器では、調律する楽器や調律モードを選択できるようにすることで、色々な種類の楽器や様々な演奏シーンに対応する調律をする事ができる。また平均律音階に基づく複数オクターブの音名を一列に配置することで、従来よりも広いスケールで目的の音までの距離を把握でき、初心者が様々な調律をする場合にも容易に調律する事が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図13に基づいて説明する。
【0012】
図1は本発明の調律器のブロック図である。被調律信号を入力する楽音信号入力部1と調律する楽器や調律モードを選択する楽器選択部2から制御部3に信号が入力される。制御部3では入力された楽器選択情報と調律モード情報を基に楽器別に記憶されている調律データを調律データ記憶部4から読み出し、楽音信号入力部1から入力された信号のピッチを抽出し前記記憶部から読み出したデータを基に前記抽出したピッチの音名・弦名とセント偏差を計算処理する。制御部3で処理された音名・弦名とセント偏差と選択された楽器と調律モードを表示部5に出力し表示する。表示部5は、音名・弦名データを表示する音名表示部51とセント偏差を表示するセント偏差表示部52がある。
【0013】
図2は、クロマティック表示の表示例である。調律範囲全域の音名を一覧表示する鍵盤式の広域音名表示部6と、音名とオクターブを文字で表示する音名・オクターブ表示部7とセント偏差表示部8がある。図2は、オクターブ3のD音、0セントを調律している時の表示例で、音名とオクターブを音名・オクターブ表示部7で「D3」と表示し、鍵盤式の広域音名表示部6でD3の位置を表示している。セント偏差はセント偏差表示部8で「0セント」に対応する表示をしている。
【0014】
図3は、クロマティック表示のもう一つの表示例である。調律範囲全域の音名を表示するブロック式の広域音名表示部9と、音名とオクターブを文字で表示する、音名・オクターブ表示部7とセント偏差表示部8がある。ブロック式の広域音名表示9はオクターブの境界や#♭の音名がわかりやすいように大きさを変え、上部にオクターブを表示している。図3は、オクターブ3のD音、0セントを調律している時の表示例で、音名とオクターブを音名・オクターブ表示部7で「D3」と表示し、ブロック式の広域音名表示部9でD3の位置を表示している。セント偏差はセント偏差表示部8で「0セント」に対応する表示をしている。
【0015】
図2、図3共に調律範囲全域の音名を一覧表示しているため被調律音の位置を認識しやすい表示となっている。
【0016】
図4は、ギターでレギュラー・チューニングを選択した場合の表示例である。選択された楽器の種類を表示する楽器表示部10と、選択された調律モードを表示する調律モード表示部12と、入力された楽音信号の弦名・音名を表示する文字形式の弦名表示部11と1弦から6弦まで音の高さがわかるように配置された弦名表示部13と、セント偏差が表示されるセント偏差表示部8がある。弦名表示部13は6弦の弦番号と音名・オクターブが解るように表示してあり、入力されている被調律音が弦と弦の間にある時も表示される。図4はギターのレギュラーチューニングで5弦A音、−15セントの被調律音が入力された時の表示例である。楽器表示部10は「GUITAR」を表示し、調律モード部12は「REGULAR」を表示し、文字形式の音名表示部11は弦番号・音名「5A」を表示し、弦名表示部13は「5/A2」の位置を表示、セント偏差表示セグメント8は−15セントの位置に対応する表示をしている。
【0017】
図5はギターのオープンDチューニングを選択した場合の表示例である。弦名表示部13の弦番号はギター・レギュラー・チューニングと同じだが、弦の音名がオープンDチューニングに合わせて変更される。図5はギターのオープンDチューニングで3弦F#音、0セントの被調律音が入力された時の表示例である。楽器表示部10は「GUITAR」を表示し、調律モード部12「OPEN D」を表示、文字形式の音名表示部11は弦番号・音名「3F#」を表示し、弦名表示部13は「3/F#3」の位置を表示、セント偏差表示部8は0セントの位置に対応する表示をしている。
【0018】
図6はベースのレギュラーチューニングを選択した場合の表示例である。弦名表示部13の弦番号と音名は6弦ベース・レギュラー・チューニングに合わせて変更される。図6はベースのレギュラーチューニングで1弦G音、+5セントの被調律音が入力された時の表示例である。楽器表示部10は「BASS」を表示し、調律モード表示部12は「REGULAR」を表示し、文字形式の音名表示部11は弦番号・音名「1G」を表示し、弦名表示部13は「1/G2」の位置を表示、セント偏差表示部8は+5セントの位置に対応する表示をしている。
【0019】
図7は楽器と音域の対応表である。調律データ記憶部4に保存され、選択された楽器と調律モード情報を基に読み出される。調律モード選択の出来る楽器は前記対応表の調律モード欄にチェックが入っているので、楽器選択後さらに調律モード選択が出来るようになる。
【0020】
図8は調律モード選択できる楽器の各調律モードと各弦の音名の対応表の例である。
【0021】
図4,図5、図6の弦名表示部13は図8の対応表を基に弦の番号/音名を表示している。
【0022】
図9は本発明の調律器で調律する時のフローチャートである。まず、これから調律する楽器を選択する(S901)。次に、調律モード選択が出来る楽器は調律モードを選択する(S902)。そして、楽器を弾き楽音信号を入力する(S903)。前記入力された楽音信号のピッチを抽出する(S904)。前記求めたピッチより音名とセント偏差を計算する(S905)。前記選択された楽器より楽器別調律データを取得し(S906)、前記選択された調律モードと前記取得した楽器別調律データと前記求めた音名より弦番号や音域等を取得する(S907)。求めたセント偏差と前記取得した弦番号・音名を表示する(S908)。
【0023】
図10は、クロマティック音名表示で、マニュアル・ギター調律を選択した時の表示例である。楽器の種類を表示する楽器表示部10と、選択された弦番号・音名を表示する弦番号・音名表示部11と、調律範囲全域の音名を表示し、選択された弦の音域範囲を付加したブロック式の広域音名表示14と、セント偏差表示8がある。ギターで「5弦(5A)」を選択した時にG2の音を入力した場合の表示例で、「5弦(5A)」の音名・オクターブ(A2)と、調律範囲外の音名ブロックの表示形態を変えて表示する。
【0024】
音名範囲を付加したブロック式の広域音名表示14は図12に示すデータを読み出し、調律音名範囲外の音名ブロックと調律範囲内の音名ブロックの表示形態を変えることで、調律音名範囲外に調律されないように手助けする。そして、調律する目的の音名も表示形態を変えて表示する事で、現在調律している音名と目的の音名の位置関係が理解出来る。この事により、弦楽器を調律する場合、弦の巻きすぎによって弦が切れる事を防止する事が出来る。
【0025】
図11は、フルートを選択した場合の表示例である。楽器の種類を表示する楽器表示部10と音名表示部11と鍵盤式の広域音名表示部15とセント偏差表示部15がある。図11は、フルートで音名C、オクターブ4、+8セントが入力された時の表示例で、楽器表示部10に「FLUTE」と表示し、音名表示部11に入力された被調律音の音名・オクターブ「C4」が表示され、鍵盤式の広域音名表示部15に「C4」の位置が表示され、セント偏差表示部8に+8セントの位置に対応する表示をしている。鍵盤式の広域音名表示部15は図7の音域対応表を基に、フルートの音域範囲外の表示形態を変えて表示する。
【0026】
図12は、楽器、または調律する弦と調律する音域の範囲を示した対応表の例である。ギター各開放弦の音名と各開放弦のプラス・マイナスのリミットになる音名が調律データ記憶部4に記憶されている。図12はギターの場合の例だが多数の楽器のデータを記憶する事が出来る。
【0027】
図13は、調律範囲全域を一覧表示出来ない低解像度表示の場合のクロマティック表示例である。選択した楽器を表示する楽器表示部10と、3オクターブ分の音名表示をする音名表示部16と、音名表示部16のオクターブを表示するオクターブガイド17がある。音名表示部16はセンターのオクターブと上下のオクターブが見分けやすいように形を変えている。図13はトランペットを選択し、音名B♭、オクターブ4、−4セントが入力された時の表示例である。楽器表示部10は「TRUMPET」と表示し、音名表示部16は「B♭」の位置が表示され、オクターブガイド17は「3」、「4」、「5」が表示され、セント表示部8は−4セントに対応した表示をしている。オクターブガイド17は、選択された楽器の音域範囲に対応してセンターのオクターブを決定する。その状態で被調律音の音階を上げてセンターの+1オクターブより高い楽音が入力され表示範囲を超えた場合は、全体のオクターブガイド表示を+1シフトする。逆に被調律音の音階を下げてセンターの−1オクターブより低い楽音が入力され表示範囲を超えた場合は、オクターブガイド表示を−1シフトする。センターと上下1オクターブ分の音名を一覧表示することにより、目的の音階までの距離が把握でき調律が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の1実施例の調律器を示すブロック図である。
【図2】本発明の1実施例のクロマティックの表示例である。
【図3】本発明の1実施例のクロマティックの表示例である。
【図4】本発明の1実施例のギター・レギュラーチューニングの表示例である。
【図5】本発明の1実施例のギター・オープンDチューニングの表示例である。
【図6】本発明の1実施例のベース・レギュラーチューニングの表示例である。
【図7】本発明の1実施例の楽器と音域の対応を示す図である。
【図8】本発明の1実施例の弦番号と調律モード・調律楽器に対応する音名を示す図である。
【図9】本発明の1実施例のフローチャートである。
【図10】本発明の1実施例のマニュアル・ギター調律時の表示例である。
【図11】本発明の1実施例のフルート調律時の表示例である。
【図12】本発明の1実施例のギターの弦と音名範囲を示す図である。
【図13】本発明の1実施例のクロマティック音名表示の表示例である。
【符号の説明】
【0029】
1 楽音信号入力部
2 楽器選択部
3 制御部
4 調律データ記憶部
5 表示部
51 音名表示部
52 セント編纂表示部
6 鍵盤形式の広域音名表示部
7 文字表示の音名表示部
8 セント偏差表示部
9 ブロック形式の広域音名表示部
10 楽器表示部
11 文字形式の弦番号・音名表示部
12 調律モード表示部
13 ギター弦名表示部
14 音域を付加したブロック形式の音名表示部
15 音域を付加した鍵盤形式の音名表示部
16 3オクターブの音名表示部
17 表示音名のオクターブガイド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽器の音を入力する楽音信号入力部と、
調律する楽器を選択する楽器選択部と、
前記楽器選択部で選択される楽器別の調律データを記憶している調律データ記憶部と、
前記楽器選択部で選択された情報に基づき、前記楽音信号入力部から入力された楽器の音のピッチを抽出し、音名、セント偏差を算出する制御部と、
前記制御部で算出された音名、セント偏差を出力する表示部と、
を有し、
前記表示部は、音程の高低順に配置され、調律範囲全域の音名を一覧表示する広域音名表示部と、セント偏差を表示するセント偏差表示部から構成され、前記楽器選択部の設定により、前記広域音名表示部が選択された楽器で調律可能な表示内容に切り替わることを特徴とする調律器。
【請求項2】
前記楽器選択部で選択された楽器が弦楽器の場合、前記調律データ記憶部に記憶された調律データは調律モードの情報を含み、前記楽器選択部で楽器の選択に続いて調律モードを選択可能なことを特徴とする請求項1記載の調律器。
【請求項3】
前記広域音名表示部は、前記調律モード選択部で選択した楽器と調律モードに対応した音名を弦番号に割り振り表示することを特徴とする請求項2記載の調律器。
【請求項4】
前記調律データ記憶部は楽器に対応した音域情報を含み、前記広域音名表示部は前記楽器選択部で選択された楽器に対応する音域範囲の表示形態を変えて表示することを特徴とする請求項1記載の調律器。
【請求項5】
前記広域音名表示部が低解像度の場合、前記楽器選択部で選択された楽器に対応する音域を前記広域音名表示部の中心のオクターブとすることを特徴とする請求項1記載の調律器。
【請求項6】
前記広域音名表示部で表示されているオクターブ範囲を超えた場合は上または下にオクターブを自動でシフト表示することを特徴とする請求項5記載の調律器。
【請求項1】
楽器の音を入力する楽音信号入力部と、
調律する楽器を選択する楽器選択部と、
前記楽器選択部で選択される楽器別の調律データを記憶している調律データ記憶部と、
前記楽器選択部で選択された情報に基づき、前記楽音信号入力部から入力された楽器の音のピッチを抽出し、音名、セント偏差を算出する制御部と、
前記制御部で算出された音名、セント偏差を出力する表示部と、
を有し、
前記表示部は、音程の高低順に配置され、調律範囲全域の音名を一覧表示する広域音名表示部と、セント偏差を表示するセント偏差表示部から構成され、前記楽器選択部の設定により、前記広域音名表示部が選択された楽器で調律可能な表示内容に切り替わることを特徴とする調律器。
【請求項2】
前記楽器選択部で選択された楽器が弦楽器の場合、前記調律データ記憶部に記憶された調律データは調律モードの情報を含み、前記楽器選択部で楽器の選択に続いて調律モードを選択可能なことを特徴とする請求項1記載の調律器。
【請求項3】
前記広域音名表示部は、前記調律モード選択部で選択した楽器と調律モードに対応した音名を弦番号に割り振り表示することを特徴とする請求項2記載の調律器。
【請求項4】
前記調律データ記憶部は楽器に対応した音域情報を含み、前記広域音名表示部は前記楽器選択部で選択された楽器に対応する音域範囲の表示形態を変えて表示することを特徴とする請求項1記載の調律器。
【請求項5】
前記広域音名表示部が低解像度の場合、前記楽器選択部で選択された楽器に対応する音域を前記広域音名表示部の中心のオクターブとすることを特徴とする請求項1記載の調律器。
【請求項6】
前記広域音名表示部で表示されているオクターブ範囲を超えた場合は上または下にオクターブを自動でシフト表示することを特徴とする請求項5記載の調律器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−58952(P2009−58952A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−201661(P2008−201661)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]