説明

調律装置、調律方法および記録媒体

【課題】 楽器の調律において、入力した楽音信号に対し、ピッチを補正して、チューニングが狂ってきた場合でも安定したピッチの楽音を出力できる調律装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、入力部1から入力した信号のピッチを検出するピッチ検出部2があり、検出したピッチを監視しているピッチ監視部3があり、ピッチ検出部2で検出されたピッチとピッチ監視部3との基準ピッチとの補正分を制御する制御部4があり、制御部4で制御されたピッチの補正分に応じてピッチを補正する楽音補正部5があり、出力部11で楽音補正部5によりピッチを補正した楽音信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は楽器の音を調律する場合に用いる調律装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な調律装置は、図3に示すように楽音を入力する入力部があり、入力した楽音を出力する出力部があり、入力した楽音からピッチを検出するピッチ検出部があり、前記ピッチ検出部の信号を受け、調律情報を算出する制御部があり、制御部の信号を受け、調律情報を表示する表示部があり、外部より調律情報を設定する設定部がある。
【0003】
入力部は、アコースティックギターの楽音を入力するマイクやエレキギターを入力するジャックなどから構成される。前記ピッチ検出部と制御部の構成要素は、一般的にマイクロコンピュータが掲げられる。ピッチ検出部は入力された楽音信号を波形整形して、矩形波間のエッジを計数することでピッチを算出する。マイクロコンピュータなどで構成される制御部は、検出されたピッチの周期から楽音のピッチを求める計測手段と、求まったピッチの音名・オクターブを判別する音名・オクターブ判別手段と、判別された音名・オクターブの基準ピッチに対し求まったピッチの誤差を算出するピッチ誤差算出手段と、表示部より音名とオクターブ及びピッチ誤差値を表示することが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、弦楽器を調律する調律装置としては、弾いた弦の入力信号のピッチを検出し、検出したピッチに対応させて弦の番号を表示する調律装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平5−66765公報
【特許文献2】特開2001−209375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の調律装置は、入力された楽音信号を矩形波に変換して矩形波の周期を計数することでピッチを算出し、求まったピッチから楽音の音程を検索して調律に関する情報(音名やオクターブとセント誤差)を表示することのみであった。また、入力された楽音信号をそのまま外部へバイパスする出力部を備えるのみであった。弦楽器などのアナログ楽器は、演奏や練習前に調律装置を使用して調律(またはチューニング)を行うが、演奏や練習中にチューニングが狂ってくることがしばしば発生する。演奏中にチューニングをし直すことは、至難であり、多少チューニングが狂い始めてきたとしても、そのまま演奏を続けるしか無かった。その為、演奏終了後に、調律をし直すことが煩雑であるという問題があった。
【0006】
また、エレキギターの中では、トレモロアームと呼ばれるギターのブリッジを動かして音程を変える装置を備えるタイプのものがある。このようなエレキギターの場合、トレモロアームを使用する度にチューニングが狂ってしまうことが頻繁に発生すると共に、演奏終了後の、調律をし直す回数が顕著に増加するという問題があった。
【0007】
本発明は、入力した楽音信号に対し、ピッチを補正して出力できるようにすることで、チューニングが狂ってきた場合でも安定したピッチの楽音の出力を実現させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を達成するため、請求項1に記載の調律装置は、楽音信号を入力する入力部と、前記入力部から入力された楽音信号のピッチを検出するピッチ検出部と、前記ピッチ検出部で検出されたピッチを監視するピッチ監視部と、前記ピッチ検出部で検出されたピッチと基準ピッチとの補正分を算出する制御部と、前記制御部で算出されたピッチの補正分に応じて、前記入力部から入力された楽音信号のピッチを補正する楽音補正部と、前記楽音補正部により補正された楽音信号を出力する出力部と、具備することを特徴とする。
【0009】
また請求項2に記載の調律装置は、楽音信号を入力する複数の入力部と、前記入力部から入力された楽音信号のピッチを検出する複数のピッチ検出部と、前記ピッチ検出部で検出されたピッチを監視する複数のピッチ監視部と、前記ピッチ検出部で検出されたピッチと基準ピッチとの補正分を算出する制御部と、前記制御部で算出されたピッチの補正分に応じて、前記入力部から入力された複数の楽音信号のピッチを補正する楽音補正部と、前記楽音補正部から出力される複数の楽音信号をミキシングするミキサー部と、前記ミキサー部によりミキシングされた楽音信号を出力する出力部と、を具備することを特徴とする。
【0010】
また請求項3に記載の調律装置は、前記ピッチ監視部は、前記入力部から入力された楽音信号が調律中か演奏中かを判断する機能を有することを特徴とする。
【0011】
また請求項4に記載の調律装置は、前記ピッチ監視部は、チューニング方法を検索し、該当するチューニング方法を構成する基本周波数を基準ピッチとして監視することを特徴とする。
【0012】
また請求項5に記載の調律装置は、前記調律装置は、各種調律の設定が可能な設定部を具備することを特徴とする。
【0013】
また請求項6に記載の調律装置は、前記設定部は、チューニング方法を選択可能なことを特徴とする。
【0014】
また請求項7に記載の調律装置は、前記設定部は、前記ピッチ監視部の基準ピッチを変更可能なことを特徴とする。
【0015】
また請求項8に記載の調律方法は、調律装置を起動したときの初期化を行うステップと、入力された楽器の音や楽音信号のピッチを抽出するステップと、抽出したピッチから調律の結果を算出するステップと、抽出したピッチからチューニング方法を検索するステップと、上記チューニング方法の検索から該当するチューニング方法を取得し、上記チューニング方法を構成するピッチを基本周波数として監視するためのピッチ情報を取得するステップと、上記楽器の音や楽音信号を受け、抽出したピッチと、上記監視するためのピッチ情報との変動を算出するステップと、上記算出したピッチに変動がある場合は、楽音の補正を処理するステップと、上記調律の結果を視覚的に認識可能な出力とする出力ステップと、を含むことを特徴とする。
【0016】
また請求項9に記載の調律方法は、調律装置を起動したときの初期化を行うステップと、設定部からチューニング設定を取得するステップと、入力された楽器の音や楽音信号のピッチを抽出するステップと、抽出したピッチから調律の結果を算出するステップと、抽出したピッチからチューニング方法を検索するステップと、上記チューニング方法の検索から該当するチューニング方法を取得し、上記チューニング方法を構成するピッチを基本周波数として監視するためのピッチ情報を取得するステップと、上記楽器の音や楽音信号を受け、抽出したピッチと、上記監視するためのピッチ情報との変動を算出するステップと、上記算出したピッチに変動がある場合は、楽音の補正を処理するステップと、上記調律の結果を視覚的に認識可能な出力とする出力ステップと、を含むことを特徴とする。
【0017】
また請求項10に記載の記録媒体は、入力された楽器の音や楽音信号のピッチを抽出するピッチ抽出処理と、抽出したピッチから調律の結果を算出する調律結果算出処理と、抽出したピッチからチューニング方法を検索するチューニング方法検索処理と、上記チューニング方法の検索から該当するチューニング方法を取得し、上記チューニング方法を構成するピッチを基本周波数として監視するためのピッチ情報を取得すると、上記楽器の音や楽音信号を受け、抽出したピッチと、上記監視するためのピッチ情報との変動を算出する変動算出処理と、上記算出したピッチに変動がある場合は、楽音の補正を処理する楽音補正処理と、上記調律の結果を視覚的に認識可能な出力とする調律結果出力処理と、備えた調律処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶している。
【0018】
また請求項11に記載の記憶媒体は、設定部からチューニング設定を取得するチューニング設定取得処理と、入力された楽器の音や楽音信号のピッチを抽出するピッチ抽出処理と、抽出したピッチから調律の結果を算出する調律結果算出処理と、抽出したピッチからチューニング方法を検索するチューニング方法検索処理と、上記チューニング方法の検索から該当するチューニング方法を取得し、上記チューニング方法を構成するピッチを基本周波数として監視するためのピッチ情報を取得すると、上記楽器の音や楽音信号を受け、抽出したピッチと、上記監視するためのピッチ情報との変動を算出する変動算出処理と、上記算出したピッチに変動がある場合は、楽音の補正を処理する楽音補正処理と、上記調律の結果を視覚的に認識可能な出力とする調律結果出力処理と、を備えた調律処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶している。
【発明の効果】
【0019】
本発明の調律装置では、入力した楽音信号に対し、ピッチを補正して出力できる。これにより、チューニングが狂ってきた場合でも安定したピッチの楽音を出力させることができるという効果がある。また、複数の入力部を備え、マルチチャンネルのピッチを補正して複数の楽音信号を出力できるようにし、和音の補正も行なえるという効果も有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の情報表示装置における好適な実施の形態について、図1から図11を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明を適用した調律装置の構成を示すブロック図であり、弦楽器に適用した場合の実施例を説明する。ピッチ検出部2と、ピッチ監視部3と、制御部4は、マイクロコンピュータなどから構成され、この調律装置の全体の動作を司る。マイクロコンピュータには、調律装置全体の動作制御のプログラムなどが格納されたリード・オンリー・メモリや、プログラムを実行する際に必要なワーキング・エリアとしてのランダム・アクセス・メモリと、およびクロック発振器や時間計測のタイマ機能などから構成される。
【0021】
楽音補正部5は、入力部1で入力された楽音信号をアナログ・デジタル変換するA/D変換部6と、補正されたピッチシフト量で楽音信号をピッチシフトする楽音演算部7と、ピッチシフトされた楽音信号をデジタル・アナログ変換するD/A変換部8を備えている。楽音演算部7はDSP(デジタルシグナルプロセッサ)などで構成される。
【0022】
入力部1は、楽器の音を電気信号に変換するマイクロフォンや、ジャックを介して得られた電気信号を増幅する低周波増幅器などで構成され、増幅された楽音信号をピッチ検出部2と楽音補正部5へ出力する。
【0023】
ピッチ検出部2は、図5に示すように入力部1の電気信号S1を受け、波形整形された電気信号S2(矩形波)の、矩形波の立ち上がり或いは立ち下り毎にマイクロコンピュータの割り込み処理により、時間間隔を計測して電気信号S2、即ち、電気信号S1のピッチ(周期)を抽出する。
【0024】
マイクロコンピュータ内部のメモリ或いは図示しない外部メモリ内には図6に示すようなピッチデ−タテーブル(セントテーブル)が記憶されている。ここで、図6の楽音の検索可能な範囲は、オクターブ0の音名C及びセント値0の即ち、周波数が16.35Hzからオクターブ8の音名Bおよびセント値0の即ち、周波数が7902.13Hzの範囲の楽音を検出可能であることを示す。
【0025】
ピッチ検出部2は、図6のピッチデータテーブルを参照して、オクターブ(完全8度の音程)及び音名(オクターブ内に含まれる12個の異なる音に付けられた名称)の基準ピッチと、抽出したピッチのデータとを比較し、クロマチック(完全8度の音程即ち、1オクタ−ブを12個の半音階に分けた名称)の音名を算出する。また、求まった音名からクロマチックの各半音の1セント(セントは、クロマチックの半音の、100分の1程度の音程)に相当する基準ピッチデ−タを検索し、該当する半音の1セントの基準ピッチと抽出したピッチの信号を基にクロマチックの半音に対するセント値を求める。算出された音名およびセント値などからなる検出ピッチデータをピッチ監視部3と、制御部4へ出力する。
【0026】
ここで、図7は、弦楽器のチューニング方法と各弦のチューニングのパターンを示し、上段のチューニングを標準または通常のチューニングと呼び、下段のオープンGと、オープンDと、ドローンGなどを変則チューニングと呼ぶ。
【0027】
ピッチ監視部3は、入力される楽音信号のピッチデータが、どのチューニング方法のパターンに該当するか、図7のチューニングパターンと比較し、該当したチューニング方法の各弦のチューニングパターンからなる音名及びセントの基準ピッチの監視ピッチデータを制御部4へ出力する。
【0028】
制御部4は、前記ピッチ検出部2から出力された検出ピッチデータと前記ピッチ監視部3から出力されるチューニングの監視ピッチデータを基に、検出ピッチデータと監視ピッチデータの間に差分が生じている場合は、ピッチ補正データを楽音補正部5へ出力する。また、制御部4の調律情報を、表示部9を介して表示する。
【0029】
表示部9は、制御部4の出力信号を受け、音名やオクターブ及びセント偏差などの調律結果を、針式メータや液晶表示素子、LED素子などで構成された部材により表示させることができる。
【0030】
楽音補正部5は、入力部1で入力された楽音信号を、楽音補正部5の構成要素であるA/D変換部6により所定のサンプリング周波数に基づいてデジタル信号に変換し、楽音演算部7に供給される。更に楽音補正部5の構成要素である楽音演算部7は、前記制御部4からのピッチ補正データを受け、入力された楽音信号から所望のピッチシフトに補正し、D/A変換部8へ出力する。D/A変換部8では、楽音演算部7から出力されるデジタル信号を基にアナログの楽音信号に変換され、出力部10に音響信号を増幅するアンプなどを接続することで、楽音が発音される。
【0031】
このような構成とした調律装置では、入力部1からチューニング外れた楽音信号が入力されても、正しい基準ピッチに補正された楽音信号が出力される。ここで、出力部10からは、入力部1の楽音信号をダイレクトに出力されるようにしても良いし、ダイレクト音では無く、正しい基準ピッチに補正された楽音信号のみを出力するようにしても良いし、ダイレクト音と基準ピッチに補正された楽音信号をミキシングして出力するようにしても構わない。
【0032】
以上の構成における調律装置の一連の動作を、図8のフローチャートを参照しながらステップ毎に説明する。
【0033】
図8は、本発明の調律装置のメインルーチンである。
【0034】
ステップS000は、調律装置の起動したときに実行され、各種のバッファ、レジスタ、パラメータなどを初期化するルーチンであり、制御部4を含む、即ち、調律装置全体の制御を司るマイクロコンピュータが初期化される。ステップS000を終了すると、ステップS001へ進む。
【0035】
ステップS001は、図5に示す波形整形の出力信号(電気信号S2)を取り込み、ステップS002へ進む。
【0036】
ステップS002は、ピッチ検出を行なうルーチンであり、電気信号S2に示す、矩形波の立ち上がり或いは立ち下り毎に時間間隔を計数して電気信号S2、即ち、電気信号S1のピッチ(周期)を抽出し、ステップS003へ進む。
【0037】
ステップS003は、メモリ内に記憶されているオクターブ(完全8度の音程)や音名(オクターブ内に含まれる12個の異なる音に付けられた名称)の基準周期デ−タと抽出したピッチの信号とを比較し、抽出したピッチに近い基準ピッチデ−タからクロマチック(完全8度の音程即ち、1オクタ−ブを12個の半音階に分けた名称)の音名とオクターブを算出し、ステップS004へ進む。
【0038】
ステップS004は、音名とオクターブが検索可能な範囲かどうかを比較する。例えば、図6の示す音名とオクターブの範囲内、即ち、オクターブ0の音名Cからオクターブ8の音名Bの場合は、ステップS005へ進む。範囲外の場合は、処理終了後、メインルーチンをリターンする。
【0039】
ステップS005は、検索されたクロマチックの半音の信号を受け、メモリ内に記憶されているクロマチックの各半音の1セント(セントは、クロマチックの半音の、100分の1程度の音程)に相当する基準ピッチデ−タの中から、該当する半音の1セントの基準デ−タを読込む。また、該当する半音の1セントの基準ピッチデ−タと抽出したピッチの信号を基にクロマチックの半音に対するセント値を算出し、ステップS006へ進む。
【0040】
ステップS006は、後述するピッチ監視検索ルーチンであり、前記ピッチ監視部3に於いて、図7の示すチューニング方法を検索し、該当するチューニング方法の構成する基準ピッチデータと、入力した楽音信号とのピッチの変動を算出する。ピッチの変動結果を基にステップS007へ進む。
【0041】
ステップS007は、入力した楽音信号と前記ピッチ監視部3から得られたピッチの変動を前記制御部4で比較し、変動がある場合はステップS008へ、変動が無い場合はステップS009へ進む。
【0042】
ステップS008は、前記楽音補正部5にて図6のピッチデータテーブル(セントテーブル)の項の基準ピッチならば“0セント”の値に補正処理を行い、ステップS009へ進む。
【0043】
ステップS009は、前記制御部4から調律情報の信号を表示部9に出力して、表示を行う。処理終了後、メインルーチンをリターンする。
【0044】
図10は、前記ステップS006を詳述したピッチ監視検索ルーチンである。
【0045】
図10のステップS200は、入力した楽音のピッチ情報を取り込むルーチンであり、音名やセントの情報を取得し、ステップS201へ進む。
【0046】
ステップS201は、ピッチ情報を記憶するバッファであり、入力した楽音のピッチ情報を順次バッファに記憶後、ステップS202へ進む。
【0047】
ステップS202は、バッファに記憶されているピッチ情報を確認することで、同じピッチ情報が続き、基準ピッチをターゲットとしたピッチに調整が行われているかどうかなどを確認することで、調律が完了したかどうかを判断し、調律が完了した場合は、ステップS203へ進む。ピッチ情報が大幅に不安定の場合は、調律の途中か演奏中かなどの判断としてピッチ監視検索ルーチンを抜ける。
【0048】
ステップS203は、ピッチ情報を基に図7に示すチューニング方法のどのタイプに該当するかを検索し、ステップS204へ進む。
【0049】
ステップS204は、該当するチューニング方法を構成するピッチを基本周波数と認識し、ピッチを監視するための検索ルーチンを抜ける。リターン後、メインルーチンの次のステップS007に進み、入力した楽音信号と前記ピッチ監視部26から得られたピッチの変動を前記制御部27で比較し、変動がある場合はピッチの補正処理を実施する作用を行う。
【0050】
ここで、図11は、前記ステップS203のチューニング方法のどのタイプに該当するかを6弦から順に各弦のチューニング情報を検索するルーチンの例であり、6弦から1弦まで各弦独立に検索するルーチンとし、即ち、並列処理でチューニング方法を認識するルーチンとしても構わない。
【0051】
図11のステップS300は、前記ステップS202により、調律が完了した楽音の音名を取込むルーチンであり、ステップS301へ進む。
【0052】
ステップS301は、取り込んだ音名情報を記憶するバッファであり、故に調律が完了した音名情報を順次バッファに記憶後、ステップS302へ進む。
【0053】
ステップS302は、取り込んだ音名情報と6弦のチューニング情報を比較するルーチンであり、例えば図7に示す6弦のチューニングテーブルのような情報と比較し、該当する6弦のチューニング情報がある場合は、ステップS303へ進む。該当するチューニング情報がない場合は、ステップS304へ進む。
【0054】
ステップS303は、該当する6弦のチューニング情報をバッファへ記憶し、ステップS314へ進む。
【0055】
ステップS304は、取り込んだ音名情報と5弦のチューニング情報を比較するルーチンであり、例えば図7に示す5弦のチューニングテーブルのような情報と比較し、該当する5弦のチューニング情報がある場合は、ステップS305へ進む。該当するチューニング情報がない場合は、ステップS306へ進む。
【0056】
ステップS305は、該当する5弦のチューニング情報をバッファへ記憶し、ステップS314へ進む。
【0057】
ステップS306は、取り込んだ音名情報と4弦のチューニング情報を比較するルーチンであり、例えば図7に示す4弦のチューニングテーブルのような情報と比較し、該当する4弦のチューニング情報がある場合は、ステップS307へ進む。該当するチューニング情報がない場合は、ステップS308へ進む。
【0058】
ステップS307は、該当する4弦のチューニング情報をバッファへ記憶し、ステップS314へ進む。
【0059】
ステップS308は、取り込んだ音名情報と3弦のチューニング情報を比較するルーチンであり、例えば図7に示す3弦のチューニングテーブルのような情報と比較し、該当する3弦のチューニング情報がある場合は、ステップS309へ進む。該当するチューニング情報がない場合は、ステップS310へ進む。
【0060】
ステップS309は、該当する3弦のチューニング情報をバッファへ記憶し、ステップS314へ進む。
【0061】
ステップS310は、取り込んだ音名情報と2弦のチューニング情報を比較するルーチンであり、例えば図7に示す2弦のチューニングテーブルのような情報と比較し、該当する2弦のチューニング情報がある場合は、ステップS311へ進む。該当するチューニング情報がない場合は、ステップS312へ進む。
【0062】
ステップS311は、該当する2弦のチューニング情報をバッファへ記憶し、ステップS314へ進む。
【0063】
ステップS312は、取り込んだ音名情報と1弦のチューニング情報を比較するルーチンであり、例えば図7に示す1弦のチューニングテーブルのような情報と比較し、該当する1弦のチューニング情報がある場合は、ステップS313へ進む。該当するチューニング情報がない場合は、チューニング方法を検索するルーチンを抜ける。
【0064】
ステップS313は、該当する1弦のチューニング情報をバッファへ記憶し、ステップS314へ進む。
【0065】
ステップS314は、前記ステップS303で記憶した6弦のチューニング情報と、前記ステップS305で記憶した5弦のチューニング情報と、前記ステップS307で記憶した4弦のチューニング情報と、前記ステップS309で記憶した3弦のチューニング情報と、前記ステップS311で記録した2弦のチューニング情報と、前記ステップS313で記録した1弦のチューニング情報により、図7に示すチューニング方法のどのタイプに該当するかを検索し、該当するチューニング方法がある場合は、ステップS315へ進む。該当するチューニング情報がない場合は、チューニング方法を検索するルーチンを抜ける。
【0066】
ステップS315は、該当するチューニング方法をバッファへ記憶し、このルーチンを抜ける。
(第2の実施形態)
図2は、本発明を適用した調律装置の第2の実施形態の構成を示すブロック図であり、各種調律の設定可能な設定部を具備することを特徴とした実施例である。以下説明する。ピッチ検出部25と、ピッチ監視部26と、制御部27は、マイクロコンピュータなどから構成され、この調律装置の全体の動作を司る。マイクロコンピュータには、調律装置全体の動作制御のプログラムなどが格納されたリード・オンリー・メモリや、プログラムを実行する際に必要なワーキング・エリアとしてのランダム・アクセス・メモリと、およびクロック発振器や時間計測のタイマ機能などから構成される。
【0067】
設定部32は、スイッチ部材の開閉によりスイッチ信号を発生する回路などで構成され、例えば図7に示すチューニング方法を選択できることを特徴とする。
【0068】
また、設定部32は、前記ピッチ監視部26の基準ピッチを変更可能なことを特徴とする。ここで、調律する楽器や弦楽器の弦、或いはクロマチックの音名などを外部から選択するための作用を付加しても構わない。設定部32の信号は、制御部27へ出力される。
【0069】
楽音補正部28は、入力部24で入力された楽音信号をアナログ・デジタル変換するA/D変換部29と、補正されたピッチシフト量で楽音信号をピッチシフトする楽音演算部30と、ピッチシフトされた楽音信号をデジタル・アナログ変換するD/A変換部31を備えている。楽音演算部30はDSP(デジタルシグナルプロセッサ)などで構成される。
【0070】
入力部24は、楽器の音を電気信号に変換するマイクロフォンや、ジャックを介して得られた電気信号を増幅する低周波増幅器などで構成され、増幅された楽音信号をピッチ検出部25と楽音補正部28へ出力する。
【0071】
ピッチ検出部25は、図5に示すように入力部24の電気信号S1を受け、波形整形された電気信号S2(矩形波)の、矩形波の立ち上がり或いは立ち下り毎にマイクロコンピュータの割り込み処理により、時間間隔を計測して電気信号S2、即ち、電気信号S1のピッチ(周期)を抽出する。
【0072】
マイクロコンピュータ内部のメモリ或いは図示しない外部メモリ内には図6に示すようなピッチデ−タテーブル(セントテーブル)が記憶されている。ここで、図6の楽音の検索可能な範囲は、オクターブ0の音名C及びセント値0の即ち、周波数が16.35Hzからオクターブ8の音名Bおよびセント値0の即ち、周波数が7902.13Hzの範囲の楽音を検出可能であることを示す。
【0073】
ピッチ検出部25は、図6のピッチデータテーブルを参照して、オクターブ(完全8度の音程)及び音名(オクターブ内に含まれる12個の異なる音に付けられた名称)の基準ピッチと、抽出したピッチのデータとを比較し、クロマチック(完全8度の音程即ち、1オクタ−ブを12個の半音階に分けた名称)の音名を算出する。また、求まった音名からクロマチックの各半音の1セント(セントは、クロマチックの半音の、100分の1程度の音程)に相当する基準ピッチデ−タを検索し、該当する半音の1セントの基準ピッチと抽出したピッチの信号を基にクロマチックの半音に対するセント値を求める。算出された音名およびセント値などからなる検出ピッチデータをピッチ監視部26と、制御部27へ出力する。
【0074】
ピッチ監視部26は、入力される楽音信号のピッチデータが、どのチューニング方法のパターンに該当するか、図7のチューニングパターンと比較し、該当したチューニング方法の各弦のチューニングパターンからなる音名及びセントの基準ピッチの監視ピッチデータを制御部27へ出力する。
【0075】
制御部27は、前記ピッチ検出部25から出力された検出ピッチデータと前記ピッチ監視部26から出力されるチューニングの監視ピッチデータを基に、検出ピッチデータと監視ピッチデータの間に差分が生じている場合は、ピッチ補正データを楽音補正部28へ出力する。また、制御部27の調律情報を、表示部33を介して表示する。
【0076】
表示部33は、制御部27の出力信号を受け、音名やオクターブ及びセント偏差などの調律結果を、針式メータや液晶表示素子、LED素子などで構成された部材により表示させることができる。
【0077】
楽音補正部28は、入力部24で入力された楽音信号を、楽音補正部28の構成要素であるA/D変換部29により所定のサンプリング周波数に基づいてデジタル信号に変換し、楽音演算部30に供給される。更に楽音補正部28の構成要素である楽音演算部30は、前記制御部27からのピッチ補正のデータを受け、入力された楽音信号から所望のピッチシフトに補正し、D/A変換部31へ出力する。D/A変換部31では、楽音演算部30から出力されるデジタル信号を基にアナログの楽音信号に変換され、出力部34に音響信号を増幅するアンプなどを接続することで、楽音が発音される。
【0078】
このような構成とした調律装置では、入力部24からチューニング外れた楽音信号が入力されても、正しい基準ピッチに補正された楽音信号が出力される。ここで、出力部34からは、入力部24の楽音信号をダイレクトに出力されるようにしても良いし、ダイレクト音では無く、正しい基準ピッチに補正された楽音信号のみを出力するようにしても良いし、ダイレクト音と基準ピッチに補正された楽音信号をミキシングして出力するようにしても構わない。
【0079】
以上の構成における本発明の第二の実施例の調律装置を、図9に示すフローチャートを参照しながらステップ毎に説明する。
【0080】
図9は、本発明の第二の実施例を示すメインルーチンである。
【0081】
ステップS100は、調律装置の起動したときに実行されるルーチンであり、各種のバッファ、レジスタ、パラメータなどを初期化するルーチンであり、制御部27を含む、即ち、調律装置全体の制御を司るマイクロコンピュータが初期化される。ステップS100を終了すると、ステップS101へ進む。
【0082】
ステップS101は、設定部32のスイッチ部材の開閉によりスイッチ信号を取り込むルーチンである。ここで、調律装置の仕様により、調律者が目的とする調律のモードを外部から設定し、その状態を取込むルーチン、調律する楽器や弦楽器の弦、或いはクロマチックの音名などを外部から選択するためのルーチンとしても構わない。ルーチン終了後、ステップS102へ進む。
【0083】
ステップS102は、図5に示す波形整形の出力信号(電気信号S2)を取り込み、ステップS103へ進む。
【0084】
ステップS103は、ピッチ検出を行なうルーチンであり、電気信号S2に示す、矩形波の立ち上がり或いは立ち下り毎に時間間隔を計数して電気信号S2、即ち、楽音信号S1のピッチ(周期)を抽出し、ステップS104へ進む。
【0085】
ステップS104は、メモリ内に記憶されているオクターブ(完全8度の音程)や音名(オクターブ内に含まれる12個の異なる音に付けられた名称)の基準周期デ−タと抽出したピッチの信号とを比較し、抽出したピッチに近い基準ピッチデ−タからクロマチック(完全8度の音程即ち、1オクタ−ブを12個の半音階に分けた名称)の音名とオクターブを算出し、ステップS105へ進む。
【0086】
ステップS105は、検索されたクロマチックの半音の信号を受け、メモリ内に記憶されているクロマチックの各半音の1セント(セントは、クロマチックの半音の、100分の1程度の音程)に相当する基準デ−タの中から、該当する半音の1セントの基準デ−タを読込む。また、該当する半音の1セントの基準デ−タと抽出したピッチの信号を基にクロマチックの半音に対するセント値を算出し、ステップS106へ進む。
【0087】
ステップS106は、第1の実施形態と同様のピッチ監視検索ルーチンであり、前記ピッチ監視部26に於いて、図7の示すチューニング方法を検索し、該当するチューニング方法の構成する基準ピッチデータと、入力した楽音信号とのピッチの変動を算出する。ピッチの変動結果を基にステップS107へ進む。
【0088】
ステップS107は、入力した楽音信号と前記ピッチ監視部26から得られたピッチの変動を前記制御部27で比較し、変動がある場合はステップS108へ、変動が無い場合はステップS109へ進む。
【0089】
ステップS108は、前記楽音補正部28にて図6中ピッチデータテーブルの項の基準ピッチならば“0セント”の値に補正処理を行い、ステップS109へ進む。
【0090】
ステップS109は、前記制御部27から調律情報の信号を表示部32に出力して、表示を行う。処理終了後、メインルーチンをリターンする。
(第3の実施形態)
図4は、本発明を適用した調律装置の第3の実施形態の構成を示すブロック図である。複数の入力部12と、複数のピッチ検出部13と、複数のピッチ監視部14と、制御部15と、複数の楽音補正部16と、複数のA/D変換部17と、楽音演算部18と、複数のD/A変換部19と、設定部20と、表示部21と、ミキサー部22と、出力部23からなる。複数の入力部12は、例えばギターなどの6本の弦に、弦毎に設けたピックアップ入力部1、入力部2、入力部n−1、入力部nからなる。これらのピックアップは、各々の弦の振動のみをピックアップすることができ、他の弦の振動の影響を受けずにピックアップすることが可能である。
【0091】
設定部20は、スイッチ部材の開閉によりスイッチ信号を発生する回路などで構成され、調律する楽器や弦楽器の弦、或いはクロマチックの音名などを外部から選択するための作用を行なう。設定部20の信号は、制御部15へ出力される。
【0092】
複数の入力部12の各々のピックアップからそれぞれ検出された楽音は、複数のピッチ検出部13と複数のA/D変換部17へ出力される。複数のピッチ検出部13は、各々の楽音のピッチを複数の入力部12から各々独立の電気信号として受け、波形整形された電気信号(矩形波)の、矩形波の立ち上がり或いは立ち下り毎に各々の割り込み処理により、時間間隔を計測して電気信号、即ち、楽音信号のピッチ(周期)を抽出する。
【0093】
複数のピッチ検出部13は、各々の入力した楽音の抽出された各ピッチの信号個別に、図6のピッチデータテーブルを参照して、オクターブ(完全8度の音程)及び音名(オクターブ内に含まれる12個の異なる音に付けられた名称)の基準ピッチと、抽出したピッチのデータとを比較し、クロマチック(完全8度の音程即ち、1オクタ−ブを12個の半音階に分けた名称)の音名を各々個別に算出する。また、求まった音名から各々個別のクロマチックの各半音の1セント(セントは、クロマチックの半音の、100分の1程度の音程)に相当する基準ピッチデ−タを検索し、該当する半音の1セントの基準デ−タと抽出した各々個別のピッチの信号を基にクロマチックの半音に対する各々の楽音のセント値を求める。各々個別に算出された音名およびセント値などからなる検出ピッチデータを、各々個別に複数のピッチ監視部14と、制御部15へ出力する。
【0094】
複数のピッチ監視部14は、入力される楽音信号のピッチデータを記憶し、図7に示すようなチューニングのパターンを6弦から1弦まで各弦独立に処理が可能であり、即ち、並列に参照して該当するチューニング方法を認識することができる。該当したチューニングの音名及びセントの基準ピッチとなる情報を制御部15へ出力する。
【0095】
制御部15は、前記複数のピッチ検出部13から出力された各々個別の検出ピッチデータと前記複数のピッチ監視部14から出力されるチューニングの基準ピッチデータを基に、検出ピッチデータと監視ピッチデータの間に差分が生じている場合は、各々個別のピッチ補正データを複数の楽音補正部16へ出力する。また、制御部15の調律情報を、表示部21を介して表示する。
【0096】
表示部21は、制御部15の出力信号を受け、音名やオクターブ及びセント偏差などの調律結果を、針式メータや液晶表示素子、LED素子などで構成された部材により表示させることができる。また、和音毎の表示するような構成としても構わない。
【0097】
複数の楽音補正部16は、図6中ピッチデータ(セントテーブル)の項の基準ピッチならば“0セント”の値に補正処理を行い複数の入力部12で個別に入力された楽音信号を、複数のA/D変換部17により所定のサンプリング周波数に基づいてデジタル信号に変換し、楽音演算部18に供給される。更に複数の楽音補正部16の構成要素である楽音演算部18は、前記制御部15から各々個別のピッチ補正のデータを受け、図6中ピッチデータ(セントテーブル)の項の基準ピッチならば“0セント”の値に補正処理を行い、複数のD/A変換部19へ出力する。複数のD/A変換部19は、楽音演算部18から出力されるデジタル信号を基に各々個別のアナログの楽音信号に変換されてミキサー部22へ出力される。前記ミキサー部22は、各々個別の楽音信号を混合することで和音とさせることができる。ミキサー部22は、出力部23に接続され、出力部23にアンプを経由することで、外部に楽音を発音させることができる。
【0098】
このような構成とした調律装置では、複数の入力部12の各々のピックアップからそれぞれ検出された楽音で構成される和音のピッチの抽出及び、和音のピッチ補正処理が可能となる。複数の入力部12から出力される和音の各々の単音に対し、チューニング外れた各々単音の楽音信号が入力されたとしても、単音毎に正しい基準ピッチに補正された楽音信号が出力される。ここで、出力部23からは、複数の入力部12の楽音信号をダイレクトに出力されるようにしても良いし、ダイレクト音では無く、正しい基準ピッチに補正された和音のみを出力するようにしても良いし、ダイレクト音と基準ピッチに補正された和音をミキシングして出力するようにしても構わない。
【0099】
このように本発明の調律装置及び調律方法では、入力した楽音信号に対し、ピッチを補正して出力できるようにした。これにより、チューニングが狂ってきた場合でも安定したピッチの楽音を出力させることができるという効果がある。
【0100】
また、複数の入力部を備え、マルチチャンネルのピッチを補正して複数の楽音信号を出力できるようにし、和音の補正も行なえるようにしたという効果を有している。
【0101】
また、上記実施形態において説明した制御を行うプログラム等をインストールしたパーソナルコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ等によって実施してもよい。上記プログラム等のデータの配布方法としては、ROMなどの不揮発性メモリに予め格納しておいてもよいし、通信回線を通じて配布してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明を適用した調律装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した調律装置の構成を示す第二のブロック図である。
【図3】従来の調律装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明を適用した調律装置の構成を示す第三のブロック図である。
【図5】入力した楽音の波形整形を示す図である。
【図6】オクターブと音名及びピッチデータを示すピッチデータテーブルである。
【図7】チューニング方法のパターンを示すチューニング方法テーブルである。
【図8】メインルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】メインルーチンの処理の流れを示すフローチャートの第二の例である。
【図10】ピッチ監視検索ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】チューニング方法検索ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0103】
1 入力部
2 ピッチ検出部
3 ピッチ監視部
4 制御部
5 楽音補正部
6 A/D変換部
7 楽音演算部
8 D/A変換部
9 表示部
10 出力部
12 複数の入力部
13 複数のピッチ検出部
14 複数のピッチ監視部
15 制御部
16 複数の楽音補正部
17 複数のA/D変換部
18 楽音演算部
19 複数のD/A変換部
20 設定部
21 表示部
22 ミキサー部
23 出力部
24 入力部
25 ピッチ検出部
26 ピッチ監視部
27 制御部
28 楽音補正部
29 A/D変換部
30 楽音演算部
31 D/A変換部
32 設定部
33 表示部
34 出力部
35 入力部
36 ピッチ検出部
37 制御部
38 表示部
39 設定部
40 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽音信号を入力する入力部と、
前記入力部から入力された楽音信号のピッチを検出するピッチ検出部と、
前記ピッチ検出部で検出されたピッチを監視するピッチ監視部と、
前記ピッチ検出部で検出されたピッチと基準ピッチとの補正分を算出する制御部と、
前記制御部で算出されたピッチの補正分に応じて、前記入力部から入力された楽音信号のピッチを補正する楽音補正部と、
前記楽音補正部により補正された楽音信号を出力する出力部と、
を具備することを特徴とする調律装置。
【請求項2】
楽音信号を入力する複数の入力部と、
前記入力部から入力された楽音信号のピッチを検出する複数のピッチ検出部と、
前記ピッチ検出部で検出されたピッチを監視する複数のピッチ監視部と、
前記ピッチ検出部で検出されたピッチと基準ピッチとの補正分を算出する制御部と、
前記制御部で算出されたピッチの補正分に応じて、前記入力部から入力された複数の楽音信号のピッチを補正する楽音補正部と、
前記楽音補正部から出力される複数の楽音信号をミキシングするミキサー部と、
前記ミキサー部によりミキシングされた楽音信号を出力する出力部と、
を具備することを特徴とする調律装置。
【請求項3】
前記ピッチ監視部は、前記入力部から入力された楽音信号が調律中か演奏中かを判断する機能を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の調律装置。
【請求項4】
前記ピッチ監視部は、チューニング方法を検索し、該当するチューニング方法を構成する基本周波数を監視することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の調律装置。
【請求項5】
前記調律装置は、各種調律の設定が可能な設定部を具備することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の調律装置。
【請求項6】
前記設定部は、チューニング方法を選択可能なことを特徴とする請求項5に記載の調律装置。
【請求項7】
前記設定部は、前記ピッチ監視部の基準ピッチを変更可能なことを特徴とする請求項5に記載の調律装置。
【請求項8】
調律装置を起動したときの初期化を行うステップと、
入力された楽器の音や楽音信号のピッチを抽出するステップと、
抽出したピッチから調律の結果を算出するステップと、
抽出したピッチからチューニング方法を検索するステップと、
上記チューニング方法の検索から該当するチューニング方法を取得し、上記チューニング方法を構成するピッチを基本周波数として監視するためのピッチ情報を取得するステップと、
上記楽器の音や楽音信号を受け、抽出したピッチと、上記監視するためのピッチ情報との変動を算出するステップと、
上記算出したピッチに変動がある場合は、楽音の補正を処理するステップと、
上記調律の結果を視覚的に認識可能な出力とする出力ステップと、
を含むことを特徴とする調律方法。
【請求項9】
調律装置を起動したときの初期化を行うステップと、
設定部からチューニング設定を取得するステップと、
入力された楽器の音や楽音信号のピッチを抽出するステップと、
抽出したピッチから調律の結果を算出するステップと、
抽出したピッチからチューニング方法を検索するステップと、
上記チューニング方法の検索から該当するチューニング方法を取得し、上記チューニング方法を構成するピッチを基本周波数として監視するためのピッチ情報を取得するステップと、
上記楽器の音や楽音信号を受け、抽出したピッチと、上記監視するためのピッチ情報との変動を算出するステップと、
上記算出したピッチに変動がある場合は、楽音の補正を処理するステップと、
上記調律の結果を視覚的に認識可能な出力とする出力ステップと、
を含むことを特徴とする調律方法。
【請求項10】
入力された楽器の音や楽音信号のピッチを抽出するピッチ抽出処理と、
抽出したピッチから調律の結果を算出する調律結果算出処理と、
抽出したピッチからチューニング方法を検索するチューニング方法検索処理と、
上記チューニング方法の検索から該当するチューニング方法を取得し、上記チューニング方法を構成するピッチを基本周波数として監視するためのピッチ情報を取得すると、
上記楽器の音や楽音信号を受け、抽出したピッチと、上記監視するためのピッチ情報との変動を算出する変動算出処理と、
上記算出したピッチに変動がある場合は、楽音の補正を処理する楽音補正処理と、
上記調律の結果を視覚的に認識可能な出力とする調律結果出力処理と、
を備えた調律処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶した記録媒体。
【請求項11】
設定部からチューニング設定を取得するチューニング設定取得処理と、
入力された楽器の音や楽音信号のピッチを抽出するピッチ抽出処理と、
抽出したピッチから調律の結果を算出する調律結果算出処理と、
抽出したピッチからチューニング方法を検索するチューニング方法検索処理と、
上記チューニング方法の検索から該当するチューニング方法を取得し、上記チューニング方法を構成するピッチを基本周波数として監視するためのピッチ情報を取得すると、
上記楽器の音や楽音信号を受け、抽出したピッチと、上記監視するためのピッチ情報との変動を算出する変動算出処理と、
上記算出したピッチに変動がある場合は、楽音の補正を処理する楽音補正処理と、
上記調律の結果を視覚的に認識可能な出力とする調律結果出力処理と、
を備えた調律処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−268310(P2008−268310A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−107669(P2007−107669)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】