説明

調整可能なアポダイズドレンズ開口

【解決手段】フォトクロミック材料を使用して構成した調節可能アポデジドレンズ開口を開示する。励起エネルギが増加するに従って開口が縮小し、開口を通過する光の量が減少する。励起エネルギが減少するに従って開口が拡張し、開口を通過する光の量が増加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学システムに関し、殊に、カメラレンズ用の調整可能な開口に関する。
【背景技術】
【0002】
写真術に於いてはその初期より、適正露出の画像が得られるように、カメラの製造業者は、写真家たちに重要な調整を可能としていた。この調整とは写真家によって、いわゆる「シャッタ速度」(フィルムの調整可能な露出)、「フィルム速度」(フィルム感度の選択)、及び「レンズ開口」(レンズの調整可能な絞り)などと呼ばれている。フィルムの露出に影響を与えることに加えて、これらの調整には他の利点が存在する。例えば、シャッタ速度を調整することにより、写真家は高速で移動する画像を時間的に停止させることが出来る。フィルム速度によって写真家は画像に望む粒度を得ることが出来る。また、レンズ開口の調整によって写真家は望みの視野の深さを得ることが出来る。
【0003】
デジタルカメラに於いては、電子シャッタ制御(画像センサの調整可能な積分時間)が徐々に機械的シャッタにとって代わっているが、これはレンズ開口の調整を不必要にするものではない。電子シャッタの調節のみで正しい露出は可能であっても、視野の深さはそれによって影響されるものではない。従って、画像センサに入射する光量の制御のみならず、望まれる視野の深さを得るためにも、レンズの開口調整は不可欠な用具である。レンズ開口調整の最も一般的な形態は機械的な虹彩絞り或は機械的な虹彩である。機械的絞りは互いに移動可能な複数のブレードから成り、それにより準円形の多角形な開口を形成するものであり、ブレードの数を増すことによって、それだけ円形に近い多角形にすることが出来る。ブレードは多くの場合内部輪と外部輪とに接触し、その内部輪を静止させたまま外部輪を回転させることによって機械的絞りは開閉される。場合によって、これはシャッタ機構と組み合わされることもある。手動の絞り付きのレンズには、レンズの焦点距離との割合としての絞りの直径に対応する記号がそれぞれ付けられる。これは一般的にf数とかfストップ、例えばf/5.6とされる。図1はブレードが8枚の機械的絞りの例を開口度がf/1.4からf/22の範囲の場合で示している。
【0004】
フィルム用カメラの大部分及び多くのレジタルカメラは機械的絞りとかその他の或る形態のレンズ開口調整(例えば基本的な開口輪)を組み込んでいる。しかし、それには注目に値する例外がないわけではなく、使い捨てフィルム用のカメラとか、非常に廉価のデジタルカメラなどがそれである。レンズ開口調整を使用しない主な理由は費用である。即ち、機械的の絞りは1.50ドル程の安さでもあり得るのであるから、300ドルほどのデジタルカメラの設計に於いては容易に賄える程度であるものの、コンピュータ用或は携帯電話への応用の4.50ドル程度のカメラモジュールの場合には無理な程の高価なものになる。事実、携帯電話用カメラ(当業者の間ではセル電話カメラモジュールと呼ばれる)の殆ど全部がレンズ開口調整を入れて居ない。携帯電話カメラモジュールは元々普通のカメラの代用としてではなく、むしろ付属品として設計されたものであり、薄暗い場所(例えばカラオケバーの中)でもフラッシュなしで何とか画像が得られるためのものである。それ故、大きい不変の絞り(視野の深さを犠牲にして感度を最大にするため、例えばf/2.8)を持ったレンズを備え、露出のレベルは電子シャッタに任せている。その結果として、これらでは良質の画像も得られず(好ましからざるノイズ及び読み出しノイズ)、高光度も得られない(レンズ収差による貧困な視野の深さ及び鮮明度)。
【0005】
携帯電話カメラモジュールは非常にポピュラーとなって居り(既にフィルム型及びデジタルカメラ以上の売れ行きである)、今や従来のカメラの位置を占めるに至っているが、従来のカメラの何分の一かの費用で従来のカメラでの画像に匹敵するものが得られる必要がある。非現実的に思えるかも知れないことであるが、使用者は4.50ドルの携帯電話カメラモジュールからも、300ドルのデジタルカメラからの画像に匹敵する良質の画像を期待しているのである。不幸にして現行の携帯電話カメラモジュールは最悪の撮像状態(低光度撮像)に合わせて居り、屋外のような採光条件の良い場合でも、鮮明度や視野の深さの点で十分な画像を得ることは出来ない。
【0006】
この問題は価格から来る圧力とより大きな画素数に対する市場の要求によって更に深刻化する。半導体技術の進歩と共に、画像センサは鮮明化し(2000年には0.25メガピクセル、2006年には2メガピクセル)、画素はより小さくなり(2000年には5mm、2006年には2mm)、従って、感度を同様に保つためには開口度の大きいレンズが要求される。この要求は鮮明度の高いレンズとか深い視野に対する要求と矛盾するものである(大きい開口は大きなレンズ収差と、より浅い視野となる)。現行の基本的問題(即ち調整可能なレンズ開口の必要性)を解決するより、モジュールの製造者(及び新企業の業者)たちはこれを回避するのに数百万ドルを費やして来た。例えば「ClearerVision
」と言う題の2006年10月2日付のRedHerringの記事(その全体を本出願に組み込むものとする)を参照されたい。
【0007】
最も広く広告された姑息的な解決法は液体レンズを使用した光学的自動焦点と画像処理アルゴリズムを使用したフェイズマスク法とである。液体レンズを使用した光学的自動焦点の場合、視野の深さは増加しない。むしろ、焦点は単に特別の距離に調整されるものである。フェイズマスク法の場合、レンズの焦点は事実悪化する。フェイズマスク(レンズ要素の一つの上に置かれる)は相対的に一定量の焦点ズレを広げられた視野の深さ一帯に亘って導入する。鮮明度はそれで画像処理アルゴリズムを使用するデジタル手段により一部回復される。残念ながら、この鮮明度を回復するアルゴリズムはかなりのノイズを画像に導入する。
【0008】
これらの解決法が調整可能なレンズ開口の必要性を除去するものでないことは明白であるが、この必要性を満たす適当な技術的実施法も存在しない。現行の機械的絞りは、携帯電話カメラモジュールの市場を満足させるためにはあまりに高価であり、嵩張り過ぎ、脆弱に過ぎ、エネルギを浪費し過ぎる。機械的絞りはその他にも欠点を有する。すなわち、円形の開口を通しての回折は小開口の設定、例えばf数がf/5.6のように高い場合に於いて画像の鮮明度を著しく悪化する。
【発明の開示】
【0009】
本発明は、励起エネルギに露出されると可視光を通過させるアポデジト開口を形成するように構成されたフォトクロミック材料を含む光学素子を提供するものである。励起エネルギの変化によって、対応したアポデジト開口の調整が起こる。そのような光学素子がレンズシステムに実施されていたり、カメラ及びカメラを含む可動器具のようなレンズシステムを導入した電子器具のような本発明の実施例が考慮されている。
【0010】
実施例の一部によるアポデジト開口は半径方向の透過がガウス曲線的であることを特徴とする。
【0011】
第一の実施例によれば、フォトクロミック材料は事実上均一的にフォトクロミック染料を含み。フォトクロミック染料の厚さはアポデジト開口の半径方向に沿って増加するものである。
【0012】
別の類の実施例によれば、フォトクロミック材料はフォトクロミック染料をその濃度がアポデジト開口の半径方向に沿って増加するように一体的に含んだものである。
【0013】
更に別の類の実施例によれば、紫外線阻止素子は紫外線エネルギがフォトクロミック材料の可視光を通してアポデジト開口に至るようにする前面の少なくとも一部に入射することを阻止するように構成されている。これらの実施例の部分集合によれば、この紫外線阻止素子はアポデジト開口の半径方向に沿って増加する透過特性を持つものである。これらの実施例の別の部分集合によれば、この紫外線阻止素子はフォトクロミック材料の前面に投影する紫外線の事実上すべてを阻止するものである。
【0014】
実施例の後者の部分集合の一部によれば、フォトクロミック材料はフォトクロミック材料の内部一帯に事実上均一的に分布されたフォトクロミック染料を含み、フォトクロミック材料は紫外線エネルギ吸収材をから成り、光学素子は更に少なくとも一種の紫外線エネルギがフォトクロミック材料の縁部を通過することを容易にするように構成された励起部品から成り、紫外線エネルギ吸収材はアポデジト開口を定義するように紫外線エネルギと反応するように作用するものである。これらの実施例の一部によれば、紫外線エネルギ吸収材はフォトクロミック染料と区別される別の材料、或はフォトクロミック染料そのものから成ってもよい。
【0015】
本発明のその他の特徴や利点は、明細書や図面によって更に理解されるものであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明を実施するために発明者が最適と思考する形態を含め、本発明の実施例を詳細に参照する。これら実施の例はここに同伴する図に示されている。本発明はこれらの特別の実施例によって記述されるものの、これが記述された実施例によって限定されるとの意図でないことは理解されよう。それに反し、ここに付記される請求項で定義される発明の精神や範囲に含まれるこれらの代替、変更、均等例などは網羅されることが意図されている。以下の記述に於いて、本発明が完全に理解されるべく、特別な実施例が開示される。本発明を実施するに当たって、これらの総てが必要とは限らない。本発明の内容を不必要な程度までに曖昧にしないために、周知の事項については記述が省かれてある。
【0017】
本発明の種々の実施例によれば、調節可能アポデジドレンズ開口はフォトクロミック材料を用いて構成される。本願に於いて、「フォトクロミック材料」とは吸収スペクトルが光エネルギの吸収、光エネルギによる刺激、或は励起などに応じて可逆的変化を行うものを意味し、また「アポデジト」(平滑化)及びそれに関連した述語は、半径に沿って透過光の強度がフル(中央に於いて)からゼロ(縁部に於いて)まで徐々に遷移する開口に関するものである。完全なアポデジト開口とは透過度Tがその半径xに沿ってガウス曲線、即ちT=exp(−ax2)となるもののこととする。
【0018】
平滑化の利点は、長期間に亘って周知のことであった(例えばGuy Lansraux, Revued' Optique, v.26, Jan-Feb. 1947, p.24-45)に拘らず、固定(即ち調整不可能)開口の場合でさえ実施困難の理由により、平滑化された開口のレンズが少ないものであったことは明記されるべきことである。実施の例として、部分的に反射的コーティングを施したもの(即ち反射的開口、mirroredaperture)があり、これは不要な光を吸収するかわりに反射させて徐々な光透過変化にしようと言うものである。しかし、反射光の一部はレンズ内に反射して検出器の内部に入り込み、好ましからぬ効果をもたらすかも知れない。その他の実施例としては、液体結晶セルに基づくものがあり、これは光を妨げる偏光子/分析器が必要となり、そのため開口の透過率を50%以下に削減することとなり、これは大部分のカメラレンズにとって許容不可能な非能率度である。殆ど100%の透過率を供給可能な調節可能アポデジトレンズ開口に関するチャレンジはいやが上にも拡大され、こえが本願実施例に関するものである。
【0019】
特別な実施例は、自動的拡張と収縮の面で人間の目を模倣するものである。励起エネルギの増加につれて、レンズを通る光量を減少させる為に、開口は収縮される。本発明で可能となる収縮された開口により、レンズシステムの実際的f数が変更され、従って視野の深さが増加する。励起エネルギが減少した場合には同様に開口は拡張し、レンズを透過する光量が増加する。材料が完全に透明になると、フルの開口は(その他のシステム要素が限定の要因でないと仮定すれば)レンズの機械的ストップのみで限定されることになる。
【0020】
本発明の種々の実施例のフォトクロミック材料は液体、ゲル、或は固体であり、フォトクロミック染料をホスト材料の中に溶解して得られる。ここで言うフォトクロミック染料とは(非可逆的でない)可逆的染料のことである。日光、或は紫外線が照射されると、染料は励起され、その分子構造が変化して色や濃度が現れる。ここで「濃度」(即ち光学的濃度)と言うのは光学的材料の「暗さ」のことであり、透過度の対数で定義される。例として、光学的濃度3のフィルタ或は露出された写真フィルムとはフィルムが0.1%の透過度であることを意味する。光学的濃度は濃度計と呼ばれている機器により測定することが出来る。刺激(日光/紫外線)が除かれると、染料は休息状態即ち無色の状態に戻る。本願では光を吸収するフォトクロミック染料が(拡散するものより)望ましい。
【0021】
好適な或る実施例によるフォトクロミック染料は中性濃度染料(即ち灰色染料)であるが、中性濃度染料は着色染料を組み合わせて達成することも出来る。その他の実施例によれば、着色染料を使用して波長に依存する調整可能な開口を達成することが出来る。好適な灰色のフォトクロミック染料はColor Change Corporation of Streamwood, Illinoisにより"gray5"或は"gray2"の名称で、またPPG Industries, Inc. of Monroeville, Pennsylvaniaにより"Photosol"の名称で製造されている。多くのホスト材料が使用可能であり、例えばフォトクロミック染料はPVC、PVB、PP、CAB,EVA,ウレタン、アクリリクなど多くのプラスティク内で使用可能である。また、フォトクロミック染料は殆どの有機溶媒で溶解可能である。
【0022】
フォトクロミックガラス(例えば Schott Glass of Duryea, Pennsylvania製の Photosolar(商標))を使用する実施例も考慮されることを明記しておく。
【0023】
フォトクロミック材料の中には紫外線に影響されるものもあるので、日光のかわりに紫外線源(例えばUV LED)を励起源として使用する電気的に制御される開口も、本発明の実施例として考慮されるものである。
【0024】
本発明の種々の実施例によれば、レンズ開口内の平滑化さえた透過光分布を容易にするために各種の機構や構成が使用され得る。
【0025】
第一の実施例によれば、調節可能アポデジトレンズ開口(調節可能平滑化フィルタとも呼ばれる)は、フォトクロミック材料の厚さを変化させることで達成される。一例では、互いに接触する事実上平坦な表面と、事実上凸面との間の空間をフォトクロミック材料でつめて達成する。フォトクロミック材料の厚さが増加する(即ち接触点から離れる)に従い、励起状態にあってはその透光度が増加する。従って、フォトクロミック材料を励起する光(例えば周囲の紫外線)の量がフォトクロミック材料がその一部分を成す光学システムの有効開口を決定することになる。フォトクロミック材料中の好適なフォトクロミック染料の量と適宜な励起光の量によって殆ど完全なアポデジト開口を製作することが出来る。
【0026】
図2aの実施例に於いて、フォトクロミック材料202の厚さは素子204の平坦面と素子206の凸面の間の距離で定義される。この凸面が球面だと、この距離はd=x2 の式で近似される。aを吸収係数、dをフォトクロミック材料の厚さとして、フォトクロミック材料の透過度TがT=exp(−ad)で与えられると仮定すると、透過度は T=exp(−ad2 )と現される。
【0027】
ガウス分布の幅はフォトクロミック材料の吸収度の変化と共に変化する。フォトクロミック材料が励起して居ないときに、材料はクリアであり、図3に示すように拡張した状態から収縮した状態に変化する。
【0028】
図2aに示すように、調節可能アポデジトレンズ開口は特別な実施例に従って両平面素子204をフォトクロミック材料と共に平凸素子206に搭載して、両平面素子200として構成することが出来る。両平面素子200は光線208を方向変化させることなく通過させる調節可能アポデジトレンズ開口を供給することになる。一実施例では、素子202、204、206はすべて同じ屈折率を有する。別の実施例では、これら三素子の屈折率は異なって居り、それによって光学パワーを持つ調節可能アポデジトレンズ開口が作成される。或る実施例に於いては、平凸素子206は望みの光学的性質を持つ他の形状の要素で代行されてもよい。例えば、事実上球形の素子も使用可能である。その他の例は当業者にとって自明であろう。
【0029】
図4に示されるように、一実施例に従って構成された両平面素子402をレンズ404の光路に、好ましくはその入口側瞳孔(pupil)406の近くに設置されてもよい。多くの携帯電話カメラレンズシステムに於いて、入口側瞳孔はレンズシステム内の第一素子に極めて近く設置されている。これによって本発明に従って実施された調節可能アポデジトレンズ開口を好便に位置付けることが出来る。
【0030】
調節可能アポデジトレンズ開口をレンズの前に配置することは有意義な利点がある。例えば、開口に達している周囲の光からの紫外線はレンズ素子で邪魔されない。しかも開口はレンズの入口側瞳孔に近接しているので、ぼかし(vignetting)が導入されることがない。また、開口は保護的窓口として作用することが出来、携帯電話カメラモジュールの前に設置される従来例のカバーグラスの代行をする。
【0031】
多くのレンズシステムに於いて入口側瞳孔が第一素子の極めて近くに設置される理由は、CMOS画像センサ7との互換性に関係がある。CCD画像センサと異なり、CMOS画像センサは画像領域の上に多くの金属層を有し、従って画像上に入射する光線は垂直入射に近いものであることが要求される。典型的には、レンズの主光線の角度が20度を超えないように、入口側瞳孔は対物焦点面になるべく近いように設計されなくてはならない。理想的には、もし入口側瞳孔が対物焦点面にあるならば、出口側瞳孔は無限大の距離にあることになるであろう。従って、レンズは画像面に於いて、完全にテレセントリクとなる筈である。
【0032】
実施例の中の或るものを特徴づける利点とは、レンズシステムを設計し直さず、即ちその入口側瞳孔を前方に移動せず、或はレンズ製造プロセスを変更せずに、即ち調整可能開口を瞳孔面の内部に組み込まずに実施出来ると言うことである。即ち、殆どの携帯電話カメラレンズは既に入口側瞳孔が前方(即ち内部ではない)にあるので、発明の或る実施例によって設計された調節可能アポデジド開口ならば携帯電話の最終的組み立て工程に於いて容易に既存のレンズシステムの前方に設置することが出来、或は販売後の付属品(即ち補充用保護用カバーガラス)として売ることも出来る。
【0033】
図2bに示される別の実施例では、図2aでの実施例に於ける両平面素子と平凸素子とが存在しない。即ち調節可能アポデジトレンズ開口は例えば平凹素子220とか両凹面素子(図示せず)のようなフォトクロミック材料の唯一個の素子で構成出来る。こうした実施例では基板を必要とせずに変更可能なフォトクロミック材料の厚さを達成する。
【0034】
更に別の実施例によれば、平凸素子の形状を変えることによりガウス放射状透過曲線以外の平滑化特性を持った調節可能開口を達成することが出来る。図2cはその一例であり、両平面素子254をフォトクロミック材料252と共に剪断型平凸素子256に搭載して構成した両平面素子250を示している。他の実施例の場合のように、両平面素子250は光線258を曲げずに通す調節可能アポデジトレンズ開口を供給している。実施例によっては、平凸素子を剪断することが開口調整の上限に余裕を持たせることになる。これは例えば励起強度に拘らず有効f数を最大化したい場合などに有用である。例えば回折の理由などによりf数の範囲の上限をf/16に抑えたい場合がある。開口が既に純粋にガウス曲線でなくても開口の遷移が徐々であることの利点は存在する。図2aの実施例の場合のように、素子252、254、256はすべて同じ屈折率を有してもよく、また光学的パワーを有するように別の屈折率でもよい。
【0035】
第二の実施例では、調節可能アポデジトレンズ開口は開口が構成される材料の中のフォトクロミック染料の濃度と有効度の変化によって達成する。これは、フォトクロミック材料の厚さを変化させるかわり、ホスト材料中のフォトクロミック染料の活性濃度或は有効度を数々の異なる様相で変化させるのである。一実施例によれば、フォトクロミック染料を均一的にホスト材料に溶解し、少量の化学的抑制剤を開口の中央部に投下する。化学的抑制剤の半径方向への拡散が染料分子の地域的非活性化を起し、その結果、ホスト材料中に残される活性フォトクロミック染料の濃度は逆ガウス分布のような平滑化された特性となる。
【0036】
別のアプローチでは、フォトクロミック染料の分子が地域的に”漂白”される。即ち、フォトクロミック染料の分子は励起サイクルの回数によって劣化しないけれども、その寿命は紫外線への露出のトータル、使用された安定化剤、選択されたホスト材料などによって影響される。高度の紫外線への露出により、フォトクロミック染料の分子は”疲労”して暗くならなくなる。従って、特別な実施例の場合、フォトクロミック染料の分子は非常に強力な紫外線への早期露出で疲労させられることにより、地域的に非活性化される。図5に示される一実施例のフォトクロミック染料は、ホスト材料(502)の中で均一的に分解し、開口の中央が製造中に非常に強力なガウス式の紫外線(例えば紫外線レーザ504)に露出される。この紫外線はフォトクロミック染料の分子を逆ガウス分布(506)に沿って破壊する。紫外光で励起されると、残りのフォトクロミック染料の分子はガウス分布(508)のアポデジト開口を形成する。
【0037】
第三の実施例では、調節可能アポデジトレンズ開口は開口を構成する材料内でのフォトクロミック染料の励起の変化によって達成する。これは前記のようにフォトクロミック材料の厚さやフォトクロミック染料の活性濃度とか有効度を変化させる代わりのものである。図6aに示す一実施例では、フォトクロミック染料がホスト材料(602)に均一に溶解される。一実施例では、紫外光を逆ガウス分布的に抑制する紫外線ブロッカー604によって紫外線励起がフォトクロミック材料602の表面に入射することが局所的に抑制される。これにより、対応するガウス分布の開口透過特性の結果となる。
【0038】
図6bに示す別の実施例では、フォトクロミック染料が適当な強力紫外線吸収材(652)と共にホスト材料内に均一的に溶解される。紫外線励起の開口652の表面への投射は紫外線阻止材654によって阻止され、到達出来るのはその縁、即ち周辺部のみである。紫外リング光とも呼ばれる環状紫外投光(656)は、例えば周囲の光、一個以上のUV LED、或はその両方を使用しても可能となる。開口652でのフォトクロミック材料は均一的な厚さで均一的な染料濃度であるが、その紫外線励起は紫外線吸収材で阻止されるので、開口652の中央に向けて指数的に減少する。
【0039】
種々の実施例に於いて、紫外線吸収材は(紫外線吸収性が十分に強いならば)フォトクロミック材料自身であってもよく、フォトクロミック材料に適当な濃度で付加した別のものであってもよい。励起のプロセスに於いて、紫外線は事実フォトクロミック材料に吸収されてしまう。この吸収が十分であるならば、紫外線励起を開口の中央に向かって減少させて十分であり得る。フォトクロミック材料の外周(表皮部分、即ちスキン)のみ励起され、紫外線励起はすべてスキンによって阻止されて、フォトクロミック材料の深層部は励起されないから、この減少は「スキン(表皮)効果」と呼ばれている。
【0040】
スキン効果はこの類の実施例の実施に有用である一方、第一の実施例では開口の外縁部分の光学濃度を制限して、事実いささか阻止の効果があるものである。半径方向の開口の透過が純粋にガウス曲線であることは重要でなく、開口の縁に底部より先に到達しても(図3参照)悪影響はない。スキン効果はフォトクロミック材料がゲル、或は液体として使用される場合には(ブラウン運動により)弱められることとなり、フォトクロミック材料が固体として使用される場合には拡大される。本発明による環状照明の種々の例を以下記述する。
【0041】
フォトクロミック材料を使用して形成された開口の環状照射の励起源として周囲の光線(例えば日光)を使用する実施例を図7aと図7bに示す。図7aに示す実施例では、フレネル的な溝702が、周囲の紫外放射線を集め、紫外線阻止材(例えば反射或は吸収による紫外線阻止フィルタ)で遮蔽されたフォトクロミック材料から形成された中央の円盤状開口706の方向へそれを再び方向づけるための紫外線に透明な環状基板704の裏面の上に成形されている。この溝は周囲の紫外光を内部反射(例えば光線708)によって開口の周辺へと反射するように設計されている。開示された実施例では開口の直径は数ミリメートル(即ち2-3mmで典型的なレンズの全開口と合うもの)である。紫外光の「コレクタ」として作用する基板704の直径は略8mm(即ち典型的なカメラモジュール足跡に合うもの)である
【0042】
図7bに示される代行的実施例では、拡散用の溝752が周囲の紫外放射線を集め、紫外線阻止材で遮蔽されたフォトクロミック材料から形成された中央の円板状開口756の方向へ再び方向づける目的の紫外線に透明な環状基板754の前面の上の形成されている。この溝は周囲の紫外光を例えばTorrance,CaliforniaのPhysicalOpticsCorporationで使用されているもののような光線形成用散乱材と同様な様相で開口周辺に向けて散乱するように設計されている。光線形成用散乱材はホログラフ的に記録されたものであり、ランダムにリリーフされた表面構成により、上質な均一光と共に高度の透過効率と制御された角分布が得られる。精密な表面のリリーフ構成により、負レンズを模倣する制御された角発散が得られる。高透過率の光線形成材と異なり、提案下の散乱用基板は紫外光を内部に捉える目的なので、透過度は低い。角発散は紫外光が直接或は基板の裏面での内部反射により開口に向けて散乱して行くようなものである。
【0043】
前記のように実施例ではフォトクロミック材料を使用して形成された開口の環状照明用の励起源として一個以上のUV LEDが使用される意図のものである。理解されるように、これは開口の周囲に複数のUV LEDを環状に設置することで実現可能である。実施例によっては、唯一個のUV LEDでこのような励起を実現することが出来る。図8aと図8bはそのような実施例であり、開口周囲に於いて均一な励起が起こるように唯一個のUV LEDが設置されたものである。
【0044】
図8aに示される実施例では、唯一個のUV LED802が漏れのあるトロイド状の導波管804の入口に設置されている。漏れの通路806によりトロイド状導波管804内に捉えられた紫外光の一部がフォトクロミック材料で作られた紫外線阻止材で遮蔽された円板型の中央の開口808に到達する。漏れの通路806近くの基板内の小穴810で空洞状の円筒形レンズを形成し、漏れた紫外光(即ち光線812)を開口808の方向に再度導く。この光学的構成により、簡単な構成で低価(唯一個のLED)で望みの均一性を達成することが出来る。
【0045】
図8bに示される実施例では、唯一個のUV LED852が積分用円筒として作用する紫外線に透明な基板854の入口に設置されている。バッフル856によってUV LEDの光が直接開口858に到達するのを防いでいる。基板854の円筒の周囲の面でUV光を発散する。特殊な実施例によれば、回折用の溝860が格子のようにUV光を基板への回折しかえすものであり、これは硫化バリウムのような等方性発散材を使用する他の実施例に対向するものである。溝860は一方向性の発散材として作用するものであり、即ち溝の面に沿って発散しないので、基板854内に捕捉されるUV光の量が最大化される。
【0046】
前記の実施例により、廉価で消エネルギの調節可能レンズ開口が可能となり、携帯電話カメラモジュールの市場の要求に応じることが出来る。平滑化により、この調節可能レンズ開口は機械的絞りに比較しては回折効果について感度が低い。回折による分解度のロスは機械的絞りや殊に開口の小さい(即ちf/5.6以上のような高f数)場合や、画像センサの画像のサイズが受光の波長に近づく(例えば2mmの画素に対して波長が0.55mm)場合、重大な問題となる。
【0047】
回折による分解能のロスの好例は回折によるmodulation transfer function(MTF)であり、これは収差のない理想的なレンズを描くものであり、実際のレンズのコントラストの上限を現すものである。図9はf/2.8とf/5.6の従来例の円形開口を持つレンズの回折限定MTFを示す。興味の対象となる空間周波数は画像サイズ2mmの画像センサのナイキスト周波数の半分に対応する故に125サイクル/mmである。ナイキスト周波数は画像センサで正確に再現され得る最大の空間周波数である、バイヤパタン(即ち50%緑、25%赤、25%青)の一般の色画像センサの場合、ナイキスト周波数の半分(N/2)は緑チャネルの最大空間周波数を現す。
【0048】
現在の携帯電話カメラモジュール市場に於いて、70%がN/2のレンズの視野の中心での許容値である。図9で示されるように、理論的上限が75%なので、レンズがf/2.8の開口を有するなら、この値が達成可能である。しかし、レンズの開口がf/5.6であると、理論的上限がたった52%となるので、この値は達成不可能である。
【0049】
図10は従来型の円形開口(f/2.8とf/5.6)を持つレンズの回折限定MTFと、f/5.6と同等の平滑化ガウス分布の開口、即ち従来例のf/5.6の円形開口と同量の光をレンズに通す本発明の実施例によって設計された平滑化されたガウス分布の開口を持つ回折限定MTFを示すものである。f/5.6のガウス分布の開口がレンズのMTFが従来例のf/5.6のレンズよりずっと高く、事実、空間周波数N/2以下に於いて従来例のf/2.8のレンズよりさえ高いことは、図10から明らかである。これにより、本発明の実施例によれば、鮮明度を犠牲にすることなく視野の深さを増加するようにレンズ開口を減少することが確認される。
【0050】
発明の特別な実施例で使用される平滑化技術は、空間の低周波数領域で画像のコントラストを増加し、高周波数領域で減少することにより、モアレ効果を減少する効果があるとの意味で、従来例の開口より有利である。この利点は図10に明示されて居り、空間周波数がN/2以下の場合、f/5.6のガウス分布開口のレンズのMTFは従来例のf/2.8のレンズより高いけれど、空間周波数がN/2以上の場合かなり低い。ナイキスト周波数がNの場合、MTFは夫々31%と52%である。偽信号発生源(例えばモアレ効果)を減少するとの意味で、これは殊に有用な特性である。
【0051】
従来例のレンズシステムに於いては、MTFと偽信号発生(エイリアシング)との間には、難しいトレイドオフの問題が生じている。即ち、従来例のシステムに於いてMTFは画像コントラストを増加するためにナイキスト周波数の半分に於いて最大となる。しかし、これはナイキスト周波数に於いてもそれ以上に於いても最大化されるので、好ましからぬ偽信号発生源が作成される。このような発生源を減少させるためには、高価でしかも面倒な光学部品(例えば二重屈折光学的ロウパスフィルタ)を追加しなくてはならない。これと対象的に、図10に示されるように、平滑化されたレンズは空間の低周波域では高MTFに於いて、高周波域では比較的低MTFに於いて最適化される。
【0052】
平滑化された開口の別の利点は、回折効果に起因する輪光や後光のような好もしからぬ誤差を減少させることである。輪光や後光は着色誤差を形成するので、殊に邪魔であり、殊に明るい点の周囲に現れる。従来例の円形開口を持つ回折限定レンズを通過した明るい点の画像に輪光や後光が現れる。これらは開口を通過する光の回折に起因するものである。図11に示されるように、従来例の円形開口(例えば1102や1104)は、中央の円形の点と明るさが減少して行く複数の輪を以て特徴づけられるエアリイ円板(Airydisk)と呼ばれる回折パタンを生じる。これと対象的に、ガウス分布の開口1106に起因する回折パタンはガウス的の点、即ち邪魔な輪光や後光を伴わない鐘形の点である。数学的にこれを説明すると、ガウス関数をフーリエ転換するとやはりガウス関数になると言うことである。
【0053】
平滑化の利点に加え、本発明には更に開口を調整出来ると言う利点がある。現行の携帯電話カメラモジュールに於いては、固定開口度(典型的にはf/2.8)のレンズのf数を決定するに当たり、難しい妥協が必要である。f/2.8の場合、レンズは十分な視野の深さを持つ画像を得るには「速き」に過ぎ(自動焦点が必要)、低光度の条件の下でよい画像を得るためには「遅き」に過ぎるものである。適当な深さを得るためにはf/5.6の開口が(回折効果が導入されない限り)望ましい。低光度の条件の下で良好な画像を得るためには、f/1.4の開口が望ましい。
【0054】
前記のように、従来例のレンズの前に本発明の実施例で調整可能とされる開口を設置することにより、調整可能なレンズシステムを容易にしかも廉価で実現することが出来る。この調整可能な開口は(例えば必要に応じてレンズの開口をf/5.6以上に閉じて)視野の深さを増加したり(レンズを例えばf/1.4以下の全開にして)カメラの感度を増加する用をなす。f/1.4の場合にレンズのMTFや視野の深さはf/2.8の場合程良好ではないが、カメラモジュールの感度は4倍増加する。このことは、低光量条件下で小画素の画像センサのカメラモジュールにとって殊に重要である。このような「光子欠乏」の状態に於いて、画像信号とノイズの比は、光子ノイズは画像センサノイズ(「塩胡椒ノイズとも呼ばれる」が比較的高いので、取るにたらぬものである。信号対ノイズの比が貧弱であると、MTFの高いレンズでも、画像がぼんやりすることになる(即ち、鮮明度が落ちる)。これが、レンズ速度(従って信号対ノイズの比)を増加することが画像の質にレンズのMTFより遥かに高い影響を与える所以である。
【0055】
現行のカメラレンズモジュールは回折と共に収差によって画像の質が制限されている。レンズの製造技術が進歩するに伴い、レンズの収差は益々減少し、将来に於いて回折限定の性能がf/1.4まで行くかも知れない。そのような進歩があった場合、本発明の実施例は殊に望ましいものになる。広く開かれた状態に於いて、最適な低光量画像が本発明の実施例によって設計された調節可能アポデジドレンズ開口によって可能になる。図12に示されるように、フォトクロミック材料が暗くなってf/2.8に相当する平滑化されたガウス分布の開口になると、MTFはN/2で95%に近づく。これは、円形開口を持つ従来例のf/2.8のレンズ用のN/2に於いて75%のMTFより実質的に優れている。フォトクロミック材料が更に暗くなってf/5.6に相当する平滑化されたガウス分布の開口になると、MTFは高い値に留まる一方、視野の深さが著しく増加する。自動焦点は不要であり、画像の質の面で妥協はされて居ない。即ち、従来例のレンズと異なり、低光量の場合のカメラの機能を高光量の場合の機能を犠牲にして達成するのではない。
【0056】
前記のように、種々の実施例に於いて、フォトクロミック材料の励起で達成される開口の調整は周囲の光(例えば人間の目の瞳孔)とか紫外線源(例えば一個以上のUV LED)を使用して電気的に制御することが出来る。周囲の光で開口を制御する実施例の場合、図形とかイコン像を開口の周縁に付けて使用者に実際の周囲の光のレベルを示すことが出来る。例えば開口の外部領域を赤色のイコン像の前方にフォトクロミック材料で拵えることが出来る。光のレベルが最適な画像に不十分な場合、フォトクロミック材料はクリア(即ち透明)な状態となり、赤色のイコン像を露出することになる。別例として、着色のフォトクロミック材料(例えば緑色のフォトクロミック染料)を開口の近くに設置し、周囲のレベルが最適質の画像用に十分であることを示してもよい。
【0057】
電気的に開口を制御する実施例の場合、紫外光は(例えば図8aや図8bに示すように)専用のUV LEDからのものでもよく、またフラッシュ或は投光器ユニットに使用される紫外線源を転用してもよい。それは、現在多くのデジタルカメラや携帯電話が高輝度の白色LEDを使用したフラッシュ或は投光器ユニトを使用しているからである。事実、白色LEDと言うのはUV LEDを白色のリン光体コーティングで覆ったもののことである。或る実施例に於いては、少量の紫外光がこのLEDから例えばプラスティクの光ファイバで転換され、開口を励起するようにすることも出来る。
【0058】
本発明はその特定の実施例によって開示されて来たものであるが、当業者にとって本発明の精神と範囲の中に於いてその他種々な形態や詳細の変更が可能であることは理解されよう。例えば、前記の記述に於いては本発明の携帯電話カメラモジュールへ応用されているが、本発明に従って設計された調節可能アポデジドレンズ開口は広範囲の応用面でレンズシステムに使用出来る。即ち、携帯電話カメラモジュールの改良を可能とするのみならず、本発明は種々の使用面に於いて廉価のレンズシステムやカメラを与えるものである。即ち、コンピュータ用カメラ(ウエブカムとも呼ばれる)、保安用カメラ、自動車内に設置されるカメラ(これらはすべて広範囲の照明条件下での使用を必要とする)などである。
【0059】
更に或る実施例に於いては、開口の透過スペクトルが可視光のスペクトルの範囲にあって出来る限り均一であるようにフォトクロミック材料を選択することが望ましい。しかし、実施例は透過スペクトルが光の異なる波長に応じて変化するよう、即ち可視光スペクトルの異なる部分には実際有効な開口が異なるように考慮されている。
【0060】
更に本発明の様々な異なる利点、観点、目的が様々の異なる実施例を以て開示されて来たものであるが、本発明の範囲はこれらの利点、観点、目的などによって限定されるものでないことと理解されよう。それに反して、本発明の範囲は付記される請求項によって定められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】従来例の機械的絞りの機能を示すものである。
【図2a】本発明の特定の実施例に従って設計された調整可能アポデジト開口の例を縁側から見た図である。
【図2b】本発明の特定の実施例に従って設計された調整可能アポデジト開口の他の例を縁側から見た図である。
【図2c】本発明の特定の実施例に従って設計された調整可能アポデジト開口の他の例を縁側から見た図である。
【図3】本発明の特定の実施例に従って設計された調整可能アポデジト開口の機能を示す説明図である。
【図4】本発明の特定の実施例に従って設計されたレンズシステムを示す説明図である。
【図5】本発明の特定の実施例に従ったフォトクロミック染料の「漂白」を示す説明図である。
【図6a】本発明の特定の実施例に従って設計された調整可能アポデジト開口の例を縁側から見た説明図である。
【図6b】本発明の特定の実施例に従って設計された調整可能アポデジト開口の例を縁側から見た説明図である。
【図7a】本発明の特定の実施例に従って設計された調整可能アポデジト開口の例を縁側から見た説明図である。
【図7b】本発明の特定の実施例に従って設計された調整可能アポデジト開口の例を縁側から見た説明図である。
【図8a】本発明の特定の実施例に従って設計された調整可能アポデジト開口の例を縁側から見た説明図である。
【図8b】本発明の特定の実施例に従って設計された調整可能アポデジト開
【図9】従来例の開口と、本発明の特定の実施例に従って設計された開口の回折限定変調移転機能を示すグラフである。
【図10】従来例の開口と、本発明の特定の実施例に従って設計された開口の回折限定変調移転機能を示すグラフである。
【図11】従来例開口と本発明の実施例によって設計された開口の回折パタンを示す説明図である。
【図12】従来例の開口と、本発明の特定の実施例に従って設計された開口の回折限定変調移転機能を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトクロミック材料から成る光学素子であって、
前記フォトクロミック材料は、励起エネルギに当てられた時には、可視光が前記光学素子を透過する機能を備えたアポデジド開口が形成されるように構成されており、
励起エネルギの違いに対応した調整を、前記アポデジド開口に生じさせる
光学素子。
【請求項2】
前記アポデジド開口が、径方向にガウス分布の透過曲線を有することを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
前記フォトクロミック材料が、該フォトクロミック材料の中に実質的に均一に分布されたフォトクロミック染料を含み、前記フォトクロミック材料の厚さが前記アポデジド開口の半径に沿って増加する請求項1に記載の光学素子。
【請求項4】
請求項3記載の光学素子であって、
更に両平面素子と平凸素子とを備え、
前記平凸素子の凸面は前記両平面素子の一方の平坦面と点接触する接触点を有し、
前記フォトクロミック材料は、その厚さが前記凸面と共に変化するように 両平面素子と平凸素子の間で前記接触点の周囲に配置された
光学素子。
【請求項5】
請求項3記載の光学素子であって、
更に両平面素子と平凸素子とを備え、
前記平凸素子の剪断された凸面は、前記両平面素子の一方の平坦面と接触する領域を有し、
前記フォトクロミック材料は、その厚さが前記凸面と共に変化するように、前記両平面素子と前記平凸素子の間で、前記接触した領域の周囲に配置された
光学素子。
【請求項6】
前記フォトクロミック材料が、平凹素子と両凹面素子とのいずれか一方として形成された請求項3に記載の光学素子。
【請求項7】
前記フォトクロミック材料が、フォトクロミック材料中に分布されるフォトクロミック染料をその活性濃度が前記アポデジド開口の半径に沿って増加するように含む請求項1に記載の光学素子。
【請求項8】
前記フォトクロミック染料の活性濃度が、化学的反応抑制剤により非活性化された染料分子に対応するフォトクロミック染料の非活性濃度に相関された請求項7に記載の光学素子。
【請求項9】
前記フォトクロミック染料の濃度が紫外光の暴露によって疲労した染料分子に対応するフォトクロミック染料の非活性濃度に相関する請求項7に記載の光学素子。
【請求項10】
請求項1記載の光学素子であって、
更に、紫外線阻止素子を備え、
該紫外線阻止素子は、前記可視光が前記アポデジド開口に到達するよう透過するフォトクロミック材料の前面の少なくとも一部分に紫外線エネルギが入射するのを抑制するように構成された
光学素子。
【請求項11】
前記紫外線阻止素子は、紫外線エネルギ透過特性がアポデジド開口の半径に沿って増加する請求項10に記載の光学素子。
【請求項12】
前記紫外線阻止素子は、フォトクロミック材料の前方に入射する全紫外線エネルギを実質的に阻止する請求項10に記載の光学素子。
【請求項13】
請求項12記載の光学素子であって、
前記フォトクロミック材料は、該フォトクロミック材料中に実質的に均一に分布されたフォトクロミック染料を含み、
前記フォトクロミック材料は紫外線エネルギ吸収材から成り、
更に、紫外線エネルギがフォトクロミック材料の縁を通って透過するのを容易にするように構成された少なくとも一個の励起部品を備え、
前記紫外線エネルギ吸収材は前記アポデジド開口を定義するように紫外線エネルギと反応する機能を有する
光学素子。
【請求項14】
前記少なくとも一個の励起部品は、少なくとも一個の紫外線エネルギの活性源を備えた請求項13に記載の光学素子。
【請求項15】
前記少なくとも一個の紫外線エネルギの活性源は、前記フォトクロミック材料の縁の周囲に環状に構成された複数の紫外線発光ダイオードを備える請求項14に記載の光学素子。
【請求項16】
請求項14記載の光学素子であって、
前記少なくとも一個の紫外線エネルギの活性源が一個の紫外線発光ダイオードを備え、
前記少なくとも一個の励起部品は、更に紫外線エネルギをフォトクロミック材料の縁の周囲に分散させる積分円筒を備える
光学素子。
【請求項17】
請求項14記載の光学素子であって、
前記少なくとも一個の紫外線エネルギの活性源は、一個の紫外線発光ダイオードを備え、
前記少なくとも一個の励起部品は、更に紫外線エネルギをフォトクロミック材料の縁の周囲に分散させるトロイド状導波管を備えた
光学素子。
【請求項18】
前記少なくとも一個の励起部品が周囲の光線をフォトクロミック材料の縁に透過させるように構成された請求項13に記載の光学素子。
【請求項19】
前記少なくとも一個の励起部品が紫外線エネルギをフォトクロミック材料の縁の周囲に分散するように、表面に溝を有するフォトクロミック材料を取り巻く基板を備えた請求項18に記載の光学素子。
【請求項20】
前記紫外線エネルギ吸収材がフォトクロミック染料とは別の追加的材料を備えた請求項13に記載の光学素子。
【請求項21】
前記紫外線エネルギ吸収材がフォトクロミック染料を有する請求項13に記載の光学素子。
【請求項22】
前記フォトクロミック材料が、ガラス、プラスティク、液体、ゲル及び固体のうちの一つを備える請求項1に記載の光学素子。
【請求項23】
複数の光学素子から成るレンズシステムであって、
少なくとも一個の光学素子がフォトクロミック材料から成り、
前記フォトクロミック材料が励起エネルギに当てられた時には可視光が前記光学素子を透過する機能のアポデジド開口が形成されるように構成され、
励起エネルギの違いに対応した調整を、前記アポデジド開口に生じさせるよう構成された
レンズシステム。
【請求項24】
請求項23に記載のレンズシステムを備えたカメラ。
【請求項25】
請求項24に記載のカメラを備えた携帯電話。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−521722(P2009−521722A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547513(P2008−547513)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/048668
【国際公開番号】WO2007/075826
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(501246248)
【氏名又は名称原語表記】Michel Sayag
【Fターム(参考)】