説明

調整可能な抵抗膜を有するマイクロチャネルプレートデバイス

中性子を検出するためのマイクロチャネルプレートは、基板の頂面から基板の底面まで延在する複数のチャネルを画定する、水素に富むポリマー基板を含み、中性子は、複数のチャネルと相互作用して、少なくとも1つの二次電子を生成する。頂部電極は、基板の頂面上に位置付けられ、底部電極は、基板の底面上に位置付けられる。抵抗層は、実質的に一定の抵抗率でオーミック伝導を提供する、複数のチャネルの外面上に形成される。放出層は、抵抗層上に形成される。中性子相互作用生成物は、基板により画定される複数のチャネルおよび放出膜と相互作用し、複数のチャネル内でカスケード増幅して中性子の検出に関連した増幅信号を提供する二次電子を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において用いられるセクションの見出しは、編集のみを目的とし、本願において説明される主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本願は、2008年6月20日に出願された同時係属中の米国特許出願番号第12/143,732号の一部継続出願である。米国特許出願番号第12/143,732号の全内容は、本明細書において参照により援用される。
【0003】
(連邦政府の研究の声明)
本発明は、国防高等研究計画局(DARPA)によって付与された助成金番号HR0011−05−9−0001の下で政府支援によりなされた。政府は本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0004】
(発明の背景)
マイクロチャネルプレート(MCP)は、イオン、電子、光子、中性原子、および中性子を含む、非常に低い流束の検出(単一事象の計数に至るまで)に使用される。例えば、マイクロチャネルプレートは、画像増倍デバイスにおける電子増倍管として一般的に使用される。マイクロチャネルプレートは、細孔またはマイクロチャネルとして知られ、厚板を通して延在する複数の微小な管またはスロットを有する高抵抗材料の厚板である。マイクロチャネルは、互いに平行であり、表面に対し微小角度で位置付けられ得る。マイクロチャネルは、通常、高密度で実装される。連続したダイノードとして機能するように、複数のチャネルのそれぞれの内部表面上に高抵抗層および高い二次電子放出効率を有する層が形成される。マイクロチャネルプレートを備える厚板の頂面および底面上には導電性コーティングが堆積される。
【0005】
動作中、マイクロチャネルプレートの頂面および底面上の導電性コーティングの間に加速電圧が印加される。加速電圧は、複数のチャネルのそれぞれの反対端部間の電位勾配を確立する。複数のチャネルを移動するイオンおよび/または電子が加速される。これらのイオンおよび電子は、高い二次電子放出効率を有する細孔の高抵抗外層と衝突し、それにより二次電子を生成する。二次電子は加速され、放出層と複数の衝突を繰り返す。したがって、電子は複数のチャネルの各々内部で増幅される。電子は、最終的に、複数のチャネルのそれぞれの放射端でチャネルから離れる。電子は検出され得るか、または、蛍光スクリーン等の電子感受性スクリーン上、もしくは種々のアナログ/デジタル計測器上で画像を形成するために使用され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、好ましく例示的な実施形態に従い、そのさらなる利点とともに、添付の図面と併せて以下の詳細な説明においてより具体的に説明される。図面は必ずしも正確な縮尺とは限らず、概して本発明の原理を示すことが強調される。
【0007】
本明細書において、「一実施形態」または「実施形態」という言及は、実施形態と関連して説明される特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。本明細書における種々の場所で「一実施形態において」という語句が出現した場合、すべて同じ実施形態を指しているわけではない。
【0008】
本発明の方法の個々のステップは、本発明が実行可能である限り、任意の順番および/または同時に行われてもよいことを理解されたい。さらに、本発明の装置および方法は、本発明が実行可能である限り、記載された実施形態の任意の数または全てを含み得ることを理解されたい。
【0009】
本教示は、添付の図面に示されるようなその例示的実施形態を参照してより詳細に説明される。本発明は、多様な実施形態および実施例に関連して説明されるが、本発明が当該実施形態に限定されることを意図するものではない。そうではなく、本発明は、当業者によって理解されるように、多様な代替、変形および相当物に及ぶ。本明細書の本発明を入手する権利を有する当業者は、本明細書に説明される本開示の範囲内である、追加の実装、変形および実施形態、ならびに他の使用分野を認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】図1Aは、従来技術によるマイクロチャネルプレートの断面の斜視図である。
【図1B】図1Bは、従来技術によるマイクロチャネルプレートの単一チャネルの斜視図である。
【図1C】図1Cは、従来技術によるマイクロチャネルプレートの単一チャネルの断面図である。
【図2】図2は、本発明によるマイクロチャネルプレートの単一チャネルの断面図である。
【図3A】図3Aは、本発明に従い堆積された膜、および従来のマイクロチャネルプレートのチャネル抵抗に対する、ALDサイクルによるCZOのパーセントの関数としてのチャネル当たりの抵抗の実験データである。
【図3B】図3Bは、本発明に従い製造された膜に対する、銅のパーセントの関数としての抵抗のデータである。
【図3C】図3Cは、市販マイクロチャネルプレートデバイス、真性シリコンマイクロチャネルプレートデバイス、および本発明に従い堆積されたナノラミネート抵抗層を有するマイクロチャネルプレートデバイスに対する、電圧の関数としての正規化マイクロチャネルプレート電流のデータである。
【図3D】図3Dは、本発明に従い製造された抵抗層を有するマイクロチャネルプレートに対する、バイアス電圧の関数としてのマイクロチャネルプレートゲインおよび抵抗のデータである。
【図3E】図3Eは、市販マイクロチャネルプレートおよび本発明に従い製造された抵抗層を有するマイクロチャネルプレートに対する、C/cm単位の線量の関数としての相対ゲインのデータである。
【図3F】図3Fは、最新の市販の低鉛ケイ酸塩ガラス(RLSG)マイクロチャネルプレートデバイス、真性ポリシリコン、および本発明に従い製造されたマイクロチャネルプレートデバイスの抵抗膜において観察される、温度の関数としての正規化抵抗のデータである。
【図4A】図4Aは、本発明による高速中性子の検出に好適な基板を備えるプラスチックマイクロチャネルプレートの概略図である。
【図4B】図4Bは、マイクロチャネルプレート内での中性子−陽子相互作用および二次電子生成を示す、図4Aに示されるプラスチックマイクロチャネルプレートの単一マイクロチャネルの断面の概略図である。
【図4C】図4Cは、本発明によるプラスチックマイクロチャネルプレートの単一プラスチックマイクロチャネルにおける、電子雪崩プロセスの概略図である。
【図5】図5は、4つの異なるプラスチック基板厚に対する、MeV単位の中性子エネルギーの関数としての中性子相互作用確率のグラフである。
【図6】図6は、ホウ素でドーピングされたプラスチックマイクロチャネルプレートの断面図、ならびにLiイオンおよびアルファ粒子を生成する入射熱中性子と10B原子核との相互作用の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1Aは、従来技術によるマイクロチャネルプレート100の断面の斜視図を示す。マイクロチャネルプレート100は、基板102の頂面106から基板102の底面108まで延在する複数の細孔またはマイクロチャネル104を規定する、基板102を含む。頂面106は、電極材料110でコーティングされている。底面は、電極材料112でコーティングされている。電極材料110、112は、電子のカスケード増幅を可能にする電場を生成するための電子伝達媒体を提供する導電性コーティングである。マイクロチャネル104は、約10/cm以上のチャネル密度を有する、円筒状であってもよい中空のチャネルである。
【0012】
動作中、マイクロチャネル104は、約1×10−5トル以下の圧力まで排気され、外部電源114によりバイアスがかけられる。マイクロチャネルは、好適な入力信号に応じて大規模な電子雪崩を支援する。電子倍増プロセスは、チャネルの絶対径(D)または長さ(L)のいずれにも大きく依存しないが、時にαと呼ばれるL/Dの比に依存する。この幾何学的比率は、概して、雪崩を形成する電子の細孔壁との衝突(およびその分布)の平均数(n)を決定する。しかしながら、より小さいチャネル径を有するMCPは、より大きいチャネル径および同じL/D比を有するMCPよりも、若干小さいゲインを有する傾向がある。αの典型的な値は、約2〜12.5μmのチャネル径Dを有する従来のMCPの場合、30から80の範囲である。
【0013】
図1Bは、従来技術によるマイクロチャネルプレート(MCP)150の信号チャネルの斜視図を示す。チャネル152は、電子倍増を行うダイノード160を含む。MCP150の動作は、離散型ダイノードを使用した光電子放出検出器(例えば通常の光電子増倍管)の動作と同様である。動作中、ダイノード160は、過剰の電流を引き出すことなく、バイアス電場(ε)=10〜10V/cmを支援するのに十分な抵抗を有さなければならない。ダイノード160はまた、抵抗層(またはストリップ)電流が、電子雪崩の間ダイノード160から放出される電子を補充するために利用可能であるように、十分導電性でなければならない。例えば、荷電粒子(例えば電子もしくはイオン)、中性原子/分子または十分にエネルギーを有する放射線(例えばX線もしくはUV光子)等の単一事象162が、マイナスのバイアスがかけられた入射端部156の近くのダイノード160に衝突した場合、二次電子164が表面160から射出される可能性が高い。これらの二次電子164は、電源154で表されるバイアス電位(V)により生成される印加電場εによって、ダイノード160により規定されるチャネルを通して加速される。印加電場ε=V/L(式中、Vはボルト単位である)は、従来の直線チャネルMCPの場合、約20〜25αである。
【0014】
放出された二次電子164のダイノード160との衝突は、追加の二次電子164の放出をもたらす。これらの二次電子は、続いてダイノード160と衝突し、これにより別の組の二次電子を生成する。入射一次電子毎に平均して2つ以上の二次電子が放出される、例えば二次電子収率(δ)>1であり、この一次衝突−二次放出のn回の反復が放射端158の方向に繰り返される場合、大きさδnの放射電子雪崩166が達成される。
【0015】
図1Cは、従来技術によるマイクロチャネルプレートの単一チャネル180の断面図を示す。抵抗層182は、ガラスチャネル材料184の外面上に形成される。ガラスチャネル材料184は、MCP内の微視的なチャネルのアレイの形状におけるチャネル180の機械的支持を提供する。抵抗層182は、放出層の放電と、カスケード増幅に必要な電場の支持との両方のための電気伝導経路として機能する。界面層186は、抵抗層182から放出層188への遷移を例示するために示されている。約2〜20nmの厚さを有する、表面のシリカおよびアルカリに富む(ただし鉛分が低い)誘電放出層188(またはダイノード表面)は、抵抗層182の上に形成される。放出層188は、有用な電子倍増を達成するために適正な二次放出を生成する。
【0016】
計算によれば、抵抗層182が厚さt=100nmを有すると仮定すると、適切な動作を得るためには、チャネル180を含む低鉛ケイ酸塩ガラス(RLSG)ダイノードは、10〜10Ωcmの範囲のバルク電気抵抗率を有さなければならないことが示されている。MCPと構造および動作が類似した単一チャネル電子増倍管(CEM)は、単一の電子増倍チャネルのみを使用する。これにより、CEMの抵抗要件は6桁低減される結果となる。
【0017】
マイクロチャネルプレート100は、典型的には、ガラスマルチファイバ引き出し(GMD)プロセスを用いて製造される。GMDプロセスにおいて、エッチング可能なコアガラスおよびアルカリケイ酸鉛クラッドガラスからなる個々の複合繊維が、ロッドインチューブプレフォームの引き出しにより形成される。次いでロッドインチューブプレフォームは、六角形または矩形アレイに封入される。次いでこのアレイは、再び六角形/矩形マルチファイババンドル状に引き出され、これが互いに積層されてガラス外皮内で融合され、中実ビレットを形成する。次いで中実ビレットは、典型的には、繊維軸に対する法線から約4°〜15°の小さい角度でスライスされる。
【0018】
個々のスライスは、次いで薄いプレート状に研磨される。可溶性のコアガラスは、化学エッチャントにより除去され、10〜10/cmのチャネル密度を有する微視的チャネルのアレイが得られる。さらなる化学処理、続いて水素還元プロセスにより、微視的チャネル内での電子増倍に必要な抵抗および放出表面特性が形成される。その後、金属電極110および112がウエハ面上に堆積され、マイクロチャネルプレートの製造が完了する。代替の製造技術では、コアガラスのないクラッドガラスのみに引き出しプロセスが行われる。この技術は、最終段階におけるコアガラスのエッチングの必要性を排除する。
【0019】
水素還元ステップは、従来技術のMCPデバイスの動作に重要であり、連続ダイノードの抵抗および放出特性の両方を決定する。連続ガラスダイノードの表面近傍領域における鉛陽イオンは、水素雰囲気中、350〜650℃の温度で、Pbの状態からより低い酸化状態へ、HOを反応副生成物として伴って化学的に還元される。このプロセスにより、RLSGダイノードの表面までサブミクロンの距離内で、著しい電気伝導性が発達する。導電性に関与する物理学的機構は十分には理解されていないが、バンドギャップにおける局在電子状態からの電子ホッピング機構、またはRLSG膜内の金属鉛の不連続アイランド間のトンネル機構に起因すると考えられる。
【0020】
観察される電気伝導性は事実上オーミックであり、観察される材料特性に起因する金属の導電性に類似する。「オーミック」という用語は、電気伝導性が、抵抗が印加電圧の関数として実質的に一定であるオームの法則に従うことを意味する。例えば、抵抗の温度係数(TCR)は、典型的には、℃当たり1%未満である。また、一般的金属において観察される、印加外部電場に対する抵抗の非感受性および印可バイアスに対する抵抗の安定性が存在する。オーミック伝導の存在は、安定なMCPデバイス動作に不可欠である。得られるRLSGダイノードは、1014Ω/sqの公称シート抵抗を有する電気伝導表面を示す。当技術分野において、RLSGダイノードの電気特性は、その製造の詳細により決定されるような、ガラス表面の化学的および熱的履歴の複雑な関数となることが知られている。
【0021】
水素還元の間、ケイ酸鉛ガラス内の移動性化学種(例えばアルカリ、アルカリ土類、および鉛原子)の拡散および蒸発等の他の高温プロセスは、RLSGダイノードの化学および構造を改質するように作用する。MCPのマイクロチャネル表面の表面近傍領域の材料分析では、図1Cと関連して説明されるように、RLSGダイノードが抵抗層および放出層を含む2層構造を有することが示されている。
【0022】
RLSG製造技術は十分確立されており、比較的安価で高性能のデバイスの製造をもたらしている。しかしながら、RLSG製造技術は、ある望ましくない制限を有する。例えば、RLSGダイノードの電気特性および電子放出特性は両方とも、ダイノードを備えるガラス表面の化学的および熱的履歴に極めて感受性である。したがって、RLSG MCPの再現性のある性能特性は、複雑で時間を要する労働集約的な製造操作に対する厳格な制御に決定的に依存する。さらに、RLSG MCPの特性を向上または調整する能力は、現行の製造技術に適合する材料の限られた選択肢により制限される。性能は、従来のMCPの製造に使用されるケイ酸鉛ガラスの材料上の制限により悪影響を受ける。これらの制限には、ゲイン振幅および安定性、計数率能力、最大処理温度、最大動作温度、暗騒音、再現性、サイズ、形状、ならびに高電流デバイスにおける熱放散が含まれる。
【0023】
GMDプロセスに従うマイクロチャネルプレートの製造は、利用可能な材料の選択において制限されている。マルチファイバ引き出し技術では、コアおよびクラッド出発材料の両方が、慎重に選択された温度−粘度および熱膨張特性を有するガラスであることが必要とされる。融合ビレットは、ウエハ製造および仕上げに好適な特性を有さなければならない。コア材料は、非常に高い選択性をもって、クラッドより優先的にエッチングされなければならない。さらに、クラッド材料は、最終的に、電子増倍のための連続ダイノードとして機能するために、十分な表面導電性および二次電子放出特性を示さなければならない。この1組の制限は、現行技術によるMCPの製造に好適な材料の範囲を大幅に制限する。
【0024】
最も知られたマイクロチャネルプレートは、本明細書において図1A〜1Cと関連して説明されるように、ガラス繊維から製造される。ガラス繊維からのマイクロチャネルプレートの製造の詳細な説明に関しては、「Microchannel Plate Detectors」、Joseph Wiza、Nuclear Instruments and Methods、Vol.162、1979、587−601頁も参照されたい。数多くの種類の基板材料をマイクロチャネルプレート100に使用することができる。
【0025】
最近、マイクロチャネルプレート用の基板として、シリコンが使用されてきている。例えば、本出願人に譲渡された、Lockwoodへの米国特許第6,522,061 B1号を参照する。シリコン製マイクロチャネルプレートは、ガラス製マイクロチャネルプレートに比較していくつかの利点を有する。シリコンマイクロチャネルプレートは、ガラスマイクロチャネルプレートのようにチャネルが手作業で積層されるのではなく、リソグラフィーにより規定され得るため、より正確に製造することができる。シリコンプロセス技術は、非常に高度に開発されており、このようなマイクロチャネルプレートを加工するために適用され得る。また、シリコン製基板は、他の材料との適応性がはるかに高く、高温プロセスに耐えることができる。
【0026】
一方、ガラスマイクロチャネルプレートは、シリコンマイクロチャネルプレートよりも低い温度で溶融する。さらに、シリコンマイクロチャネルプレートは、他のデバイスと容易に統合され得る。例えば、シリコンマイクロチャネルプレートは、光検出器、MEMS、および様々な種類の電気および光学集積回路等、様々な種類の他の電子および工学デバイスと容易に統合され得る。当業者には、基板材料が、数々の他の種類の絶縁基板材料のいずれか1つであり得ることが理解される。
【0027】
本発明の一実施形態において、マイクロチャネルプレートを形成するためにプラスチック材料が使用される。例えば、マイクロチャネルプレートは、ポリカーボネート、Kapton、Radel R、およびUdel材料で形成され得る。当業者には、マイクロチャネルプレートが、数々の他のポリマーおよびプラスチック材料で形成され得ることが理解される。実際、マイクロチャネルプレート基板の必要とされる形状を形成するために、広範なプラスチックおよびポリマー材料が利用可能である。例えば、水素に富むプラスチックマイクロチャネルデバイスを使用して、動作寿命の長い高ゲイン検出器を製造することができる。
【0028】
プラスチック成形プロセスは、当技術分野において周知である。マイクロチャネルプレートの形成に好適な射出成形プロセス等、多くのプラスチック製造プロセスがある。また、プラスチックマイクロチャネルプレートを形成するために使用され得る、数多くの光ファイバマルチドロー製造プロセスがある。放出および導電材料は、本発明の低温堆積技術により、プラスチックマイクロチャネルプレート上に形成され得る。プラスチックマイクロチャネルプレートプロセスは、実装するのに比較的安価となり得る。プラスチックMCPはまた、現行のガラスマイクロチャネルプレートよりもはるかに大きな寸法で製造され得る。
【0029】
種々の実施形態において、プラスチックマイクロチャネルプレートは、熱中性子を検出するために使用することができる。「熱中性子」という用語は、本明細書において、その周囲とほぼ熱平衡にあり、約0.025eVの平均エネルギーを示す中性子として定義される。熱中性子とプラスチック材料内に含有される特定の材料との間の相互作用は核反応であり、典型的には、アルファ粒子等の高エネルギーの重荷電粒子を生成する。
【0030】
いくつかの実施形態において、プラスチックマイクロチャネルプレートは、熱中性子に対し感受性となるように、ホウ素、リチウムまたはガドリニウムでドーピングされる。これらのプラスチックマイクロチャネルプレートにおいて、アルファ粒子、ベータ粒子、ガンマ量子、およびいくつかの場合にはLi粒子等の反応副生成物が、細孔壁との相互作用により二次電子を生成する。これらの二次電子は、プラスチックマイクロチャネルプレートの細孔をコーティングする放出膜と衝突しながらMCP細孔内でカスケード増幅し、それにより事象検出および信号増幅を提供する。
【0031】
例えば、熱中性子は、約19.8%の天然存在度および約3840バーンの熱中性子反応断面積を有するホウ素−10同位体と相互作用する。この相互作用の結果、ともにMeV範囲のエネルギーを有する、アルファ粒子およびLi粒子が生成する。さらに、熱中性子は、約7.4%の天然存在度および940バーンの熱中性子反応断面積を有するリチウム−6同位体と相互作用する。この相互作用の結果、約2.73MeVのエネルギーを有する高エネルギー三重陽子および約2.05MeVのエネルギーを有するアルファ粒子が生成する。さらに、熱中性子は、約15.7%の天然存在度および225,000バーンの中性子反応断面積を有するガドリニウム−157同位体と効率的に相互作用し得る。この相互作用の結果、ガンマ線および転換電子が生成する。
【0032】
プラスチックマイクロチャネルプレートはまた、高速中性子を検出するために使用することができる。「高速中性子」という用語は、本明細書において、0.5MeVを超えるエネルギーを有する中性子として定義される。高速中性子の検出は、入射高速中性子を、水素に富むポリマーマイクロチャネル構造内での中性子−陽子(n−p)反跳相互作用により生成される電子のパルスに転換することにより達成される。高速中性子は、散乱により原子核と相互作用し、1回の衝突で相当量のエネルギーを伝達し得る。反跳核は、中性子衝突から得られる測定可能な量のエネルギーを有する。これらの反跳核は、MCPを含むバルク材料からの離脱時、および本発明の方法に従い細孔壁上に堆積された膜との相互作用時に、二次電子を生成する。核散乱部位において、中性子はエネルギーを失い、より低いエネルギーまで減速される。中性子は、水素原子核(陽子)との1回の衝突で、最大でそのエネルギーの全てを失うことができるため、最も効率的な減速材は水素である。
【0033】
高速中性子を検出するためのプラスチックマイクロチャネルプレートデバイスは、水素を含むプラスチック材料から製造することができ、また本明細書に記載のような薄膜放出および導電材料を堆積させることができる。そのようなプラスチックマイクロチャネルプレート高速中性子検出器は、高速中性子に対し、10ns未満の時間分解能で、比較的低い暗騒音、および比較的高い効率を有する。さらに、そのようなプラスチックマイクロチャネルプレート高速中性子検出器は、製造するのに比較的安価となり得る。
【0034】
本発明による高速中性子を検出するためのプラスチックマイクロチャネルプレートデバイスは、中性子−陽子(n−p)反跳反応から、マイクロチャネル構造の壁と相互作用した時に二次電子を励起する陽子を生成する。続いて二次電子は、感受性膜要素にわたるバイアスにより支援される増幅プロセスを用いて、細孔内で増幅される。そのようなデバイスにより生成される、得られる信号は、抵抗アノード、クロスディレイラインアノード、クロスストリップアノード、および読み出し特定用途向け集積回路(ASIC)等の種々の利用可能な機器の技術により容易に検出することができる。後者のデバイスの1つは、当技術分野においてMedipix IIとして知られている。
【0035】
本発明による高速中性子を検出するためのプラスチックマイクロチャネルプレートデバイスは、マイクロチャネルプレート検出器に特徴的な非常に低い暗計数率(<0.01カウント/cm2/s)での高速中性子の直接検出の可能性を与える。これらのマイクロチャネルプレートデバイスはまた、ガンマ除去率を大幅に増加させ、また中性子方向感受性を提供して比較的大きなガンマバックグラウンドの存在下での局在化および高速中性子計数を可能とするために、同時技術と併せて使用することができる。
【0036】
また、Taskerへの米国特許第5,378,960号、名称「Thin Film Continuous Dynodes For Electron Multiplication」は、従来技術MCPのRLSGダイノードの通電層が、SiもしくはGe半導体層、ドーピング半導体(PドーピングSi)、酸化ケイ素(SiO)または窒化ケイ素(Si)等の半導体通電層で置き換えることができることを教示している。米国特許第5,378,960号はまた、MCP通電層が、公称100nm膜に対して、1011〜1014Ω/sqのシート抵抗に対応する10〜10Ω−cmの範囲内の抵抗率を有さなければならないと説明している。シート抵抗のこの値は、40:1のL/Dに対し、デバイスが過剰のワット損なしに十分な速度で充電され得るように、最適化された電流引き込みで、MCPバイアス電圧を維持するために必要であり、これは約1,000Vでなければならない。実際、荷電粒子検出器および画像増倍管において使用されているもの等の市販のMCPデバイスは、多くの用途において1014Ω/sqを超えるシート抵抗を必要とする。
【0037】
純粋な半導体材料に対する可能最大抵抗値が、真性キャリア濃度(例えば未ドーピング)で得られる値と仮定すると、純粋なSiの抵抗率は、約2.3×10Ω−cmである。同様に、純粋な半導体材料に対する可能最大抵抗値が、真性キャリア濃度(例えば未ドーピング)で得られる値と仮定すると、純粋なGeの抵抗率は、約47Ω−cmである。したがって、MCPデバイスの最大シート抵抗(実現可能な最小膜厚が100nmと仮定して)は、Siの場合5.8×1010Ω/sq、Geの場合2×10Ω/sqであるが、これらはどちらも、安定なMCP動作に必要なシート抵抗を数桁下回っている。安定な動作とは、MCPが、マイナスの抵抗の温度係数に起因する熱散逸をもたらす過剰のジュール熱を生成しない動作モードを意味する。結果的に、これらのSiおよびGe膜は、CEMクラスの電子増倍管にのみ適合する。
【0038】
CEMおよびMCP用の通電層としての半導体薄膜の使用に対する別の基本的制限は、これらの薄膜が電場の影響を受けやすいことである。電流伝導の方向に対し直角に電場を印加すると、電界効果トランジスタ(FET)の特性に類似した特性が得られる。CEMおよびMCPにおける電界効果は、外部印可場に起因する半導体層の導電性の変調をもたらす。より具体的には、MCPチャネルの動作中、増幅カスケードプロセス中の二次電子の離脱に起因して、放出膜表面上に正電荷が蓄積する。この正電荷は、放出薄膜にわたり比較的強い電場を形成し、これは、抵抗層と放出層との間の界面(図1Cにおいて界面186として示される)でのキャリア(電子)の濃度を増加させることにより、その下の真性通電層の抵抗を減少させるように機能する。この効果は、印加入力の関数としてのデバイスを流れる電流の変化を観測することにより、半導体材料で形成された抵抗層を含むMCPデバイスにおいて、容易に測定することができる。半導体における電界効果は、安定ではないデバイス抵抗をもたらす。このデバイス抵抗の不安定性は、ドーピングレベルとは無関係である。
【0039】
増加したキャリア濃度は、通電層内での数桁の抵抗減少をもたらし得る。半導体膜はまた、温度または抵抗の温度係数(TCR)により大きな抵抗値変化を示す。真性Siの場合、TCRは、従来技術のガラスMCPデバイスに見られるRLSG膜の℃当たり1%未満と比較して、℃当たり8%と高い。従来技術のガラスMCPを4桁下回り得る半導体膜の低い最大抵抗、ならびに、MCP動作において層抵抗のさらなる低下および電流引き込みの増加をもたらす、電界効果と組み合わせた場合に得られる高い電流引き込みは、安定した抵抗で機能しないMCPデバイスをもたらす。そのようなMCPは、TCRの高いマイナス値により局在化領域においてプラスに強化された比較的高いジュール熱に起因して、熱散逸を経験し得る。したがって、これらの理由により、半導体膜はMCPデバイスに好適ではない。
【0040】
また、米国特許第5,378,960号は、半導体の酸化物および窒化物の導電層としての使用を記載している。SiOおよびSi等の半導体の酸化物および窒化物内の伝導は、Fowler−Nordhiemトンネル効果、Poole−Frenkel伝導、空間電荷制限伝導、および弾道輸送の4つの機構のうちの1つを介して達成される。空間電荷制限伝導および弾道輸送は、非常に高い電流(空間電荷約V)または非常に高い電場(弾道約V1.5)を必要とするため、MCPデバイスにおいては生じ得ない。
【0041】
電子は、直接トンネル効果またはFowler−Nordheim(F−N)トンネル効果により、SiO薄膜を移動し得る。直接トンネル効果は、台形の電位障壁の存在を示し、一方F−Nトンネル効果は、電子が電位障壁を透過した場合に生じる。直接トンネル効果は、SiOの場合、印加電場の方向において約4nm以下の極めて薄い誘電層を必要とする。MCPにおいて、印加電場の方向の導電層の有効厚は、典型的には数百ミクロンである。F−Nトンネル効果は、矩形の電位障壁を三角形の電位障壁に変換するために、典型的には大きな電場を必要とする。したがって、Fowler−Nordheimトンネル効果は、通常、比較的高い電場において支配的であり、一方直接トンネル効果は、低い電場における薄膜の主要な導電機構である。
【0042】
SiOにおける電荷輸送を担うのは主にトンネル効果であると考えられているものの、SiOにおいてはFrenkel−Poole効果もまた観察されている。Frenkel−Poole効果は、荷電トラップからの電荷キャリアの電場増強熱放出に関連する。Siトラップが荷電され得ることが知られている。したがって、印加電場によりSiトラップが酸化ケイ素内の効率的に電荷キャリアを放出し得るということが可能である。
【0043】
窒化ケイ素における電流伝導機構は周知である。典型的には、窒化ケイ素における電流伝導は、幾何学的に近接した欠陥の間の電子ジャンピングが支配的な、欠陥支援型電流伝導機構である。この機構は、Frenkel−Pooleの式により説明される。
【0044】
SiO通電層およびSi通電層の両方において、チャネル放出層充電を支援するために適切な漏洩(ストリップ)電流を供給するのに必要な電場は、既知のMCPバイアス電源が提供可能なもの(1,000V対100,000V)よりも少なくとも2桁高い(10対10V/cm)。100,000Vのバイアス電圧は、典型的なMCP用途には実用的ではない。また、これらの高電圧は、チャネル内での電子の平均自由行程を大幅に増加させる。さらに、これらの高電圧は、衝突数を著しく低減し、またデバイスの得られるゲインを著しく低減する。これらの理由により、酸化ケイ素および窒化ケイ素系膜は、MCP用途の抵抗膜として機能しない。
【0045】
Rainaへの米国特許第7,097,526号、名称「Method of Forming Nitrogen and Phosphorus Doped Amorphous Silicon as Resistor for Field Emission Display Device Baseplate」は、薄膜抵抗を増加させるためのシリコンの窒素または酸素ドーピングの使用を記載している。この特許は、窒素ドーピングを変動させることにより、バルクアモルファスシリコンの伝導率を500〜10Ω−cmの範囲にわたり変化させることができることを教示している。同様に、Brandesらへの米国特許第6,268,229号、名称「Integrated Circuit Devices and Methods Employing Amorphous Silicon Carbide Resistor Materials」は、アモルファスシリコン−カーバイドが、カーバイドに対するシリコンの比、および種々のドーパントの濃度を選択することにより、1Ω−cmから1011Ω−cmの範囲内の抵抗率を示し得ることを記載している。これらの膜は、MCP動作に必要な抵抗率を達成することができることが実証されたが、膜は依然として半導体であり、すべての半導体膜について観察される以前に特定された問題と同じ問題に晒される。さらに、それらの膜の高い抵抗率範囲は、任意の不純物、ドーパント、および結晶粒の寸法に対するその極めて高い感受性に起因して、異なる実験間で再現するのが非常に困難であることが判明した。
【0046】
本発明は、製造中に幅広く調整可能な導電性を有する連続したダイノードを備えるマイクロチャネルプレートデバイスに関する。一実施形態において、層の抵抗は、約10〜1016Ω/sqの範囲にわたり調整することができる。膜層はまた、金属のオーミック電気伝導性に本質的に類似した電気伝導性を有する。膜はまた、印加外部横電場に影響されない導電性、比較的小さいTCR値、および印加バイアスの関数として安定である抵抗値を有する。
【0047】
本発明の種々の実施形態において、抵抗層は、原子層成長法等の種々の堆積技術により、単独で、または少なくとも1つの放出層と併せて、マイクロチャネルプレートの複数のチャネルのそれぞれに形成される。本発明の方法は、従来のガラスマイクロチャネルプレート、半導体マイクロチャネルプレート、セラミックマイクロチャネルプレートおよびプラスチックマイクロチャネルプレートを含む任意の種類のマイクロチャネルプレート構造とともに使用することができることが、当業者には理解される。
【0048】
本発明によるマイクロチャネルプレートにおける複数のチャネルのそれぞれは、少なくとも、抵抗層および放出層または組み合わされた放出/抵抗層を含む。本発明によるマイクロチャネルプレートは、チャネル上に形成された任意の数の放出層と組み合わされた抵抗層を含み得る。種々の実施形態において、複数のチャネルの外面上、放出層の間、および/または外側放出層の外面上に他の抵抗層が形成され得る。また、種々の実施形態において、複数のチャネルの外面上、放出層の間、および/または外側放出層の外面上に薄膜抵抗層が形成され得る。種々の可能な抵抗および放出層を、図2と関連してより詳細に説明する。
【0049】
図2は、本発明によるマイクロチャネルプレートの単一チャネル280の断面図を示す。抵抗層282は、チャネル280の外面上に形成される。抵抗層282の抵抗は、製造中に所定レベルの導電性を達成するように調整することができる。いくつかの実施形態において、抵抗層282は、亜鉛ドーピング酸化銅ナノ合金(CZO)導電膜が積層された酸化アルミニウム(Al)絶縁層で構成される交互薄膜を含有する、ナノラミネート構造である。導電層および絶縁層を備える材料は、例えば候補となる材料のバンドギャップに基づき選択することができる。候補となる材料は、バンドギャップに基づき、バンドギャップなし(金属)、中程度のバンドギャップ(半導体/半絶縁体)、および広いバンドギャップ(絶縁体)の主要な3つの群に分類することができる。例えば、バンドギャップなしの材料は、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、およびAuを含み得る。中程度のバンドギャップ材料は、Zn、V、Mn、Ti、Sn、Ru、In、Cu、Ni、およびCdの酸化物を含み得る。広いバンドギャップの材料は、Al、Si、Mg、Sn、Ba、Ca、Sr、Sc、Y、La、Zr、Hf、Ta、Ti、V、Cs、B、Nb、Be、およびCrの酸化物および窒化物を含み得る。
【0050】
種々の他の実施形態において、ナノラミネート抵抗層282の導電層は、Zn、V、Mn、Ti、Sn、Ru、In、Cu、Ni、およびCdの酸化物等の中間バンドギャップ材料を使用して形成される。導電層は、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、およびAu等の金属(バンドギャップなしの材料)種がドーピングされた任意の絶縁酸化物または窒化物(広いバンドギャップの材料)を含み得る。種々の実施形態において、ナノラミネート抵抗層282において使用される絶縁膜は、Al、Si、Mg、Sn、Ba、Ca、Sr、Sc、Y、La、Zr、Hf、Ta、Ti、V、Cs、B、Nb、Be、およびCr、ならびにこれらの任意の混合物等の非常に広いバンドギャップの材料を使用して形成することができる。ナノラミネート構造はまた、金属酸化物単体であってもナノ合金であってもよい抵抗膜を含み得る。抵抗膜はまた、ドーピングされた半絶縁酸化物または純粋な半絶縁酸化物であってもよい。
【0051】
「ナノラミネート」という用語は、本明細書において、層状スタックにおける2つ以上の材料の超薄層の複合膜として定義され、層は、複合膜の材料の交互の層である。交互超薄層に対して、たびたび「ナノ合金」と言う用語が使用される。しかしながら、「ナノラミネート」という用語と「ナノ合金」という用語の間の区別は、当技術分野において明確ではない。「ナノ合金」という用語は、本明細書において使用される場合、数枚の単分子層の厚さ以下の極めて薄いナノラミネートから形成される膜を表す。典型的には、ナノラミネート内の各層は、数オングストロームから数ナノメートルの範囲の厚さを有する。ナノラミネートの個々の材料層はそれぞれ、材料の単分子層ほどの薄い厚さを有し得る。
【0052】
例えば、亜鉛ドーピング酸化銅ナノ合金(CZO)および酸化アルミニウムのナノラミネートは、少なくとも1つのCZO薄層、および1つの酸化アルミニウム薄層を含む。そのような層は、CZO/酸化アルミニウムのナノラミネートと言うことができる。CZO/酸化アルミニウムナノラミネートは、酸化アルミニウム層の後に交互する1つのCZO層に限定されず、複数の酸化アルミニウム薄層と交互する複数のCZO薄層を含み得る。さらに、CZO薄層の数および酸化アルミニウム薄層の数は、ナノラミネート構造内で独立して変動し得る。
【0053】
したがって、CZO/酸化アルミニウムナノラミネートは、異なる導電酸化物および絶縁酸化物の層を含むことができ、各層はその絶縁特性または導電特性に従い選択される。導電酸化物および絶縁酸化物の交互の層を含有する誘電層は、ナノラミネートの層の組合せに関連した実効導電率を有する。実効導電率は、導電酸化物層および絶縁酸化物層の相対的な厚さに依存する。したがって、導電酸化物/絶縁酸化物ナノラミネートを含有するそのような膜は、製造中、広範囲にわたり変動し得る所定の抵抗を提供するように効果的に加工することができる。
【0054】
ダイノード膜の導電率はまた、導電膜をドーピングすることにより変調され得る。亜鉛ドーピング酸化銅ナノ合金がそのような膜の一例であり、亜鉛ドーピング酸化銅ナノ合金の亜鉛含量を用いて、亜鉛ドーピング酸化銅ナノ合金の導電率を決定することができる。したがって、選択された膜抵抗を操作するために、ドーピングを単独で、またはナノラミネートと併せて使用することができる。
【0055】
いくつかの実施形態において、第1の抵抗層282が形成される前に、チャネル280の外面上に障壁薄層284が形成される。障壁薄層284はまた、二次電子放出、ゲイン、均一性、寿命、および/または歩留まり等、MCPデバイス機能を改善または最適化するために使用することができる。障壁薄層284はまた、マイクロチャネルプレートの所定の電流出力を達成するために使用することができる。障壁薄層284はまた、MCPの電荷トラップ特性を制御するために使用することができる。さらに、障壁薄層284は、チャネル280の表面からイオンが移動するのを防止するため、チャネル280の外面を不動態化するために使用することができる。
【0056】
チャネル280を通して電子を移動させる、マイクロチャネルプレート内に維持される静電場はまた、チャネル280を通して移動する任意の陽イオンを、光電陰極またはマイクロチャネルプレートと使用される他の上流側デバイスもしくは機器に向けて移動させる。これらの陽イオンは、水素、酸素および窒素等、相当なサイズとなり得るガス原子の核を含む。これらのガス原子は、電子よりもはるかに巨大である。そのような陽イオンは、チャネル入口に向かって加速され、さらにはMCPと併せて使用され得るその他のコンポーネントに影響し得る。そのようなデバイスの一例は、MCPにより増幅される電子を生成して高感度画像化を提供するために光電陰極(典型的にはGaAs)を使用する、暗視デバイスの画像増倍管コンポーネントである。光電陰極に対するイオン衝撃は、物理的および/もしくは化学的損傷をもたらすか、または効率的光変換に重要な表面の電子親和力を改変し得る。チャネル280内に存在する、または光電陰極に近接する同じイオンまたは他の原子は、高効率に必要な光電陰極のマイナスの電子親和力を破壊し得るか、および/または、光電陰極と化学的に結合し腐食するのに効果的となり得る。
【0057】
さらに、チャネル280は、抵抗層282上または障壁層286上に形成される放出層288を含む。種々の実施形態において、放出層288は、Al、Si、Mg、Sn、Ba、Ca、Sr、Sc、Y、La、Zr、Hf、Ta、Ti、V、Cs、B、Nb、Be、Cr、およびこれらの任意の混合物から成る群より選択される、少なくとも1つの元素の酸化物および窒化物を含む。いくつかの実施形態において、放出層288の厚さおよび材料特性は、一般に、鉛ガラス、マルチドロープロセスで製造される従来のマルチチャネルプレートと比較して、マイクロチャネルプレートの二次電子放出効率を増加させるように選択される。いくつかの実施形態において、放出層288の厚さおよび材料特性は、一般に、イオン移動に対する障壁を提供するように選択される。イオンに対するそのような障壁は、電荷トラップ特性を制御するために使用することができる。
【0058】
図2は、抵抗層および放出層282、288を有するマイクロチャネルプレートを示す。しかしながら、マイクロチャネルプレートは、任意の数および任意の組み合わせの抵抗および放出層を用いて本発明に従い製造することができることが、当業者には理解される。そのような実施形態において、異なる放出層および抵抗層の組成および厚さの多くの可能な組み合わせがある。さらに、複数の抵抗および放出層を、障壁層とともに、または障壁層なしで積層することができる。
【0059】
実験では、原子層成長法(ALD)による抵抗膜の堆積が、マイクロチャネルプレートの性能を著しく向上させることが示されている。原子層成長法は、数オングストロームほども薄い、極めて均一でピンホールのない膜の生成に効果的であることが示されている。ALDにより堆積された膜は、特にMCP細孔の大きなアスペクト比を考慮すると、物理気相成長法(PVD)、熱蒸発、化学気相成長法(CVD)等の他の堆積法に比べ、比較的高い品質および高い膜完全性を有する。
【0060】
原子層成長法は、極めて薄いコーティングを形成するために使用される化学プロセスである。原子層成長法は、自己制御反応を使用するCVDの変形型である。「自己制御反応」という用語は、本明細書において、何らかの様式で反応自体を制限する反応を意味する。例えば、自己制御反応は、反応物質が反応により完全に消費された後に、または、一度堆積表面上の反応部位が占有されたら終了することによって、反応自体を制限し得る。
【0061】
ALD堆積シーケンスのサイクルには、前駆体材料のパルス化、不活性パージガスの支援を用いたチャンバの完全排気、反応物質前駆体のパルス化、続く不活性パージガスを使用した反応物質前駆体のチャンバからの完全排出が含まれる。ALD堆積シーケンスの結果、表面に吸着し、次いで表面を飽和させる第1の前駆体の量に依存する、非常に一貫した堆積厚が得られる。このサイクルは、単一材料層において所望の厚さが達成されるまで繰り返すことができる。このサイクルはまた、第3の前駆体材料のパルス化、不活性パージガスを使用した、第3の前駆体に対応する反応物質前駆体のチャンバからの完全排出、第4の反応物質前駆体のパルス化、続く不活性パージガスを使用した反応物質前駆体のチャンバからの完全排出と交互させることができる。本発明のいくつかの実施形態において、前駆体材料が基板と直接相互作用する場合、反応物質ガスが存在する必要はない。例えば、本発明の一実施形態において、ALD堆積シーケンスには、導電酸化物層上へのドーパント金属前駆体材料のパルス化が含まれる。
【0062】
ナノ層およびナノラミネート材料は、層状スタック内に2種以上の異なる材料の超薄層を含む複合材料であり、層は、約1ナノメートル以下の厚さを有する異なる材料の交互の層である。ナノ層およびナノラミネート材料は、単一の単分子層の厚さである連続膜であってもよい。ナノ層およびナノラミネート材料は、第1の一連のサイクルの厚さが僅か数枚の分子層の厚さである層をもたらし、第2の一連のサイクルの厚さが僅か数枚の分子層の厚さである異なる層をもたらす場合に形成される。
【0063】
ナノ層およびナノラミネート材料は、各材料の交互の単一の層に限定されない。代わりに、ナノ層およびナノラミネート材料は、2つ以上の材料の所望の比率を形成する、他の材料の単一の層と交互する1つの材料のいくつかの層を含み得る。そのような配置は、広範囲にわたり変動する導電率を有する膜を達成し得る。ナノ層およびナノラミネート材料はまた、MOCVD反応等の別の種類の反応により形成された異なる材料の単一の層の上または下にALD反応により形成される、1つの材料のいくつかの層を含み得る。異なる材料の層は、堆積後別個であってもよく、または互いに反応して合金層を形成してもよい。合金層は、ドーピング層であってもよい。層のドーピングは、層の特性を変化させるために使用することができる。
【0064】
ナノラミネート亜鉛ドーピング酸化銅(CZO)膜は、例えばジエチル亜鉛(DEZ)等のアルキル型前駆体化学物質、銅(II)ヘキサフルオロアセチルアセトネート水和物またはCu(hfac)等のアセトネート型前駆体、および脱イオン(DI)水等の酸化前駆体を使用して、ALDにより形成することができる。そのような膜は、250℃以下となり得る比較的低い温度で形成することができる。そのような膜は、非晶質または多結晶質であってもよく、また平滑表面を有し得る。そのような膜は、より反復可能な電気性能をもたらすその比較的平滑な表面および低減された損傷に起因して、スパッタリング等の物理的堆積法、または典型的な化学的層堆積により形成された膜と比較して、向上した電気特性を提供し得る。
【0065】
一実施形態において、原子層成長法(ALD)を用いてCZO/Alナノラミネート抵抗層が形成される。そのような膜は、他の処理技術に比べ比較的平滑な表面を有する。原子層成長法を用いたそのような膜の形成中、遷移が制御され得る。したがって、堆積されたCZO/Alナノラミネート層は、必要とされる電気的または物理的特性を提供するように加工することができる。さらに、ALD堆積CZO/Alナノラミネート層は、それらが堆積される表面上にコンフォーマルな被覆を提供する。
【0066】
本発明のマイクロチャネルプレートの別の態様は、抵抗層282および基板280上に掲載された任意の他の抵抗および放出層が、基板280を保護および不動態化するということである。すなわち、抵抗層282および基板層280上に形成された任意の他の抵抗および放出層は、脱ガス特性を制御するために使用され得るイオン移動に対する障壁を提供することができる。従来の抵抗および放出層は、容易に損傷され得る。
【0067】
ガラスマイクロチャネルプレートにおいて、Pb−ガラス組成に含有されるアルカリ金属は、バルク材料中比較的安定である。しかしながら、放出層を形成するマイクロチャネルの外面上の低鉛ケイ酸塩ガラス(RLSG)中に含有されるアルカリ金属は、酸素を除去し材料構造内の結合を破壊する高温水素環境への暴露により、膜構造内に緩く保持されているだけである。電子倍増中に生じる電子衝撃は、膜からこれらの元素を浸食する。この浸食は、マイクロチャネルプレートのゲインを経時的に劣化させる。シリコンマイクロチャネルプレートにおいて、放出層は、典型的には、通常のデバイス動作中に生じる電子衝撃の間も浸食される、非常に薄いコーティングである。本発明の一態様は、抵抗および放出層を電子衝撃の作用により耐えるように加工することができ、したがってデバイスの安定性および寿命を増加させることができることである。
【0068】
したがって、種々の実施形態において、抵抗層の厚さおよび組成のうちの少なくとも1つは、初期動作(H、CO、CO、およびHO等のイオン種の脱ガス)、ならびにNa、K、およびRb等の吸着アルカリ金属の基板からのより長期の除去の間に放出されるイオンの数が低減されるように、マイクロチャネルプレートを不動態化するよう選択することができる。基板から放出されるイオンの数の低減は、マイクロチャネルプレートの寿命、ならびに光電陰極と組み合わせてMCPを利用するデバイスの寿命を改善する。光電陰極は、MCPからの脱ガスまたは脱着イオンによるイオン腐食を特に受けやすい。マイクロチャネルプレート基板を不動態化するように抵抗層の厚さおよび組成を選択することは、歩留まりも改善する。
【0069】
本発明のマイクロチャネルプレートの別の態様は、抵抗層および放出層282、288が、互いに独立して最適化され得るということである。抵抗層および放出層282、288はまた、種々の性能、寿命、および収率の目標を達成するために、他のマイクロチャネルプレートパラメータから独立して最適化することができる。例えば、抵抗層282は、特定の出力電流動作範囲を可能とするように最適化することができる。二次電子放出層288は、高いもしくは最大の二次電子放出効率、または高いもしくは最大の寿命を達成するように、ならびに/あるいは高い計数率能力を有するように、別個に最適化することができる。そのようなマイクロチャネルプレートは、従来技術のマイクロチャネルプレートデバイスと比較して、大幅に改善されたマイクロチャネルプレートゲイン、計数率、および寿命性能を有することができる。
【0070】
種々の抵抗および放出層を独立して最適化する能力は、マイクロチャネルプレートの性能が、チャネル内の連続ダイノードを形成するこれらの組み合わされた層の特性により決定されるため、重要である。連続ダイノードは、少なくとも3つの異なる機能を提供する放出および抵抗表面特性を有さなければならない。第1に、連続ダイノードは、効率的な電子倍増に望ましい放出表面特性を有さなければならない。第2に、連続ダイノードは、放出層が、放出された電子を置換するために適切な電流を支援するのを可能にする導電特性を有さなければならない。第3に、連続ダイノードは、放出された電子のための加速電場の確立を可能とする抵抗特性を有さなければならない。
【0071】
結果的に、これらの3つの機能の性能である、二次電子の放出、放出された電子の置換、および放出された電子のための加速電場の確立は、典型的には、単一の組み合わされたRLSG抵抗および放出層を利用する現在の最先端MCP技術内では、同時に最大化することができない。このように、従来技術の単一放出層マイクロチャネルプレートデバイスにおいては、放出層の二次電子放出特性は、二次電子放出を最大化するために最適化することができず、したがって、マイクロチャネルプレートの感度性能を最大化するように最適化することができない。実際、ほとんどの既知のマイクロチャネルプレートは、二次電子放出を最適化するのではなく、ガラスの微視的材料組成により決定される非常に狭い範囲にわたりデバイスの抵抗を最適化するように製造される。本発明の方法は、種々の抵抗および放出層が、1つ以上の性能、寿命、または収率の目標のために独立して最適化されることを可能にする。
【0072】
図3Aは、本発明に従い堆積された膜、および従来のマイクロチャネルプレートのチャネル抵抗に対する、ALDサイクルによるCZOのパーセントの関数としてのチャネル当たりの抵抗の実験データ300を示す。単一の組み合わされた抵抗および放出層を有する従来の最先端マイクロチャネルプレートの、チャネル当たりの抵抗のデータ302が示されている。データ302は、チャネル当たりの抵抗が約1014であることを示している。これらのデータは、一般的に使用されている最先端暗視デバイスである製造後のマイクロチャネルプレートデバイスについて取られた。
【0073】
図3Aはまた、本発明に従い堆積された抵抗膜の(CZO/Al)×N層の交互の組合せに対する、ALDサイクルによるCZOパーセントの関数としてのチャネル当たりの抵抗のデータ304を示す。さらに、本発明に従い堆積されたCZO×2層/Al×N層抵抗膜の交互の組合せに対する、ALDサイクルによるCZOパーセントの関数としてのチャネル当たりの抵抗のデータ306が示されている。
【0074】
公正な比較を示すために、データ304、306は、図3Aに示されたチャネル当たりの抵抗のデータ302を有する同じ従来型マイクロチャネルプレートデバイスに対して得られたが、抵抗および放出層の同時形成が得られる水素還元ステップの直前に処理が停止された。続いて抵抗および放出層が本発明に従い形成された。データ300は、従来技術のマイクロチャネルプレート製造方法と比較して、本発明の方法を使用して達成され得るチャネル導電率の広い可能な範囲を示している。
【0075】
図3Bは、本発明に従い製造された膜に対する、銅のパーセントの関数としての抵抗のデータ320である。亜鉛ドーピング酸化銅(CZO)膜に対するデータ322が示されている。データ322は、本発明に従い亜鉛ドーピング酸化銅ナノ合金膜に含有される亜鉛のパーセントを調節することにより、ほぼ2桁にわたって抵抗を変化させることが可能であることを示している。また、本発明に従い製造されたCZO/Alナノラミネート膜に対するデータ324が示されている。データ324は、CZO膜内の亜鉛のパーセンテージを固定することにより、および本発明に従いCZO/Alナノラミネート比を変化させることにより、はるかに広い抵抗率幅を達成することができることを示している。この実験における範囲は、試験構造設計により、図3Aに示される上限値よりはるかに小さい上限値に制限されている。
【0076】
図3Cは、市販RLSGマイクロチャネルプレートデバイス、真性シリコンマイクロチャネルプレートデバイス、および本発明に従い堆積されたナノラミネート抵抗層を有するマイクロチャネルプレートデバイスに対する、電圧の関数としての正規化マイクロチャネルプレート電流のデータ330を示す。市販RLSGマイクロチャネルプレートデバイスに対する正規化電流−電圧データ332が示されている。本発明に従い堆積されたナノラミネート抵抗層を有するマイクロチャネルプレートデバイスに対する正規化電流−電圧データ334が示されている。
【0077】
市販RLSGマイクロチャネルプレートに対する正規化電流−電圧データ332、および本発明に従い堆積されたナノラミネート抵抗層を有するマイクロチャネルプレートデバイスに対する正規化電流−電圧データ334は、ほぼ同一の線形正規化電流−電圧特性を示している。ほぼ線形のデータ特性は、市販のデバイスおよび本発明によるナノラミネート抵抗層を有するデバイスの両方が、印加電圧の関数としてほぼ同一および実質的に一定の抵抗を有することでオーミック挙動を示すことを示唆している。本発明に従い堆積されたナノラミネート抵抗層の抵抗の固有安定性は、本明細書に記載の組み合わされたナノラミネート/ナノ合金微細構造を使用して抵抗層の導電性を調整する能力に起因する。
【0078】
真性シリコンマイクロチャネルプレートデバイスに対する正規化電流−電圧データ336が示されている。データ336により示される非オーミック挙動は、真性シリコンマイクロチャネルプレートが、印加電圧の関数として実質的に一定ではない抵抗を示すことを示唆しており、これは、半導体真性シリコンダイノードの導電率を改変する熱的効果および電界効果に起因し得る。
【0079】
図3Dは、本発明に従い製造された抵抗層を有するマイクロチャネルプレートに対する、バイアス電圧の関数としてのマイクロチャネルプレートゲインおよび抵抗のデータ350を示す。マイクロチャネルプレートデバイスは、約5ミクロンの直径および約50:1に等しいL/D比を有するチャネルを含む。データは、入力電流を一定としてバイアス電圧を500Vから1,000Vまで変化させることにより収集した。
【0080】
本発明に従い製造された抵抗層を有するマイクロチャネルプレートに対する、バイアス電圧の関数としてのマイクロチャネルプレート抵抗のデータ352が示されている。本発明に従い製造された抵抗層を有するマイクロチャネルプレートに対する、バイアス電圧の関数としてのマイクロチャネルプレートゲインのデータ354が示されている。データ352、354は、本発明によるマイクロチャネルプレートデバイスが、動作電圧にわたり安定した抵抗、および、従来技術のマイクロチャネルプレートデバイスと比較して、同等のバイアスおよび入力条件に対しより高いゲインを達成することを示している。
【0081】
図3Eは、市販RLSGマイクロチャネルプレートおよび本発明に従い製造された抵抗層を有するマイクロチャネルプレートに対する、C/cm単位の線量の関数としての相対ゲインのデータ370を示す。市販RLSGマイクロチャネルプレートに対する、クーロン/cm単位の合計抽出電荷密度の関数としての相対ゲインデータとして、データ372が示されている。本発明に従い製造された抵抗層を有するマイクロチャネルプレートに対する、クーロン/cm単位の合計抽出電荷密度の関数としての相対ゲインデータとして、データ374が示されている。
【0082】
データ372、374は、本発明に従い製造された、組み合わされた抵抗および放出膜に関して観察される、現在の最先端マイクロチャネルプレート技術を使用して収集された寿命データと比較して向上した寿命を実証している。相対ゲイン低下データは、本発明に従い製造された抵抗および放出層を有するマイクロチャネルプレートの場合、合計抽出電荷の関数として、ゲイン低下が大幅により小さいことを示している。したがって、ゲイン低下データは、本発明に従い抵抗および放出層を製造することは、マイクロチャネルプレートデバイスの寿命を大幅に改善し得ることを示している。
【0083】
図3Fは、最先端の市販の低鉛ケイ酸塩ガラス(RLSG)マイクロチャネルプレートデバイス、真性ポリシリコン、および本発明に従い製造されたマイクロチャネルプレートデバイスの抵抗膜において観察される、温度の関数としての正規化抵抗のデータ390を示す。最先端の市販RLSGマイクロチャネルプレートデバイスの抵抗膜のデータ392が示されている。真性ポリシリコンのデータ394が示されている。本発明に従い製造されたマイクロチャネルプレートデバイスのデータ396が示されている。
【0084】
データ392および396は、本発明に従い製造されたマイクロチャネルプレートデバイスの抵抗の温度計数が、市販のRLSGマイクロチャネルプレートデバイスの抵抗の温度計数に匹敵することを示している。本発明およびRLSGデバイスの抵抗の温度計数は、ともに℃当たり1%未満であり、これは℃当たり8%を超える真性ポリシリコンの抵抗の温度計数の性能を大幅に超える、オーミックまたは「金属的」導電性を示している。
【0085】
本発明の別の態様において、中性子感受性であるプラスチックマイクロチャネルプレート検出器が、本発明の抵抗および放出膜で製造される。これらのマイクロチャネルプレート検出器は、中性子を間接的に検出する。中性子はMCP内で核反応により相互作用するか、または、陽子およびアルファ粒子等の短距離荷電粒子にそのエネルギーを伝達する。これらの二次粒子は、測定可能な電気信号を生成するために使用される。
【0086】
図4Aは、本発明による高速中性子404の検出に好適な基板402を備えるプラスチックマイクロチャネルプレート400の概略図を示す。プラスチック基板402は、図1Aと関連して説明されるような基板402を通して延在する複数の細孔またはマイクロチャネルを規定する。高濃度の水素を含有するプラスチックマイクロチャネルプレート基板は、中性子−陽子反跳反応の比較的高い効率を提供する。抵抗および放出層は、本明細書に記載の複数のマイクロチャネルの壁上に堆積される。抵抗および放出層の組成および厚さは、最適な細孔抵抗および二次電子放出を提供するように最適化することができる。
【0087】
図4Bは、マイクロチャネルプレート内での中性子−陽子相互作用および二次電子生成を示す、図4Aに示されるプラスチックマイクロチャネルプレート400の単一マイクロチャネル450の断面の概略図を示す。マイクロチャネル450の断面図は、マイクロチャネル450の表面上に堆積された抵抗膜454を示す。さらに、断面図450は、抵抗膜454上に堆積された放出膜452を示す。プラスチックマイクロチャネルプレート400は、0.1MeVを超えるエネルギーを有する高速中性子を検出するように設計されている。
【0088】
マイクロチャネル450の断面図は、高速中性子404が、反跳陽子456を生成する中性子−陽子(n−p)反跳反応により、プラスチック基板402と相互作用することを示している。バルクプラスチック基板材料内で生成された反跳陽子456は、マイクロチャネル450の表面に到達し、放出および/または抵抗膜と相互作用し、それにより二次電子458を放出することができる。二次電子458は、図4Cに示されるように、マイクロチャネルプレート400内で電子雪崩プロセスを開始する。
【0089】
図4Cは、本発明によるプラスチックマイクロチャネルプレートの単一プラスチックマイクロチャネル480における、電子雪崩プロセスの概略図を示す。マイクロチャネル480は、図4Bと関連して説明された放出膜452および抵抗膜454を示す。二次電子458がマイクロチャネル内で生成されると、増幅および検出のプロセスは、低流束用途に実装されるようなマイクロチャネルプレートデバイスの標準的動作と同一である。
【0090】
本発明に従い製造されたプラスチックマイクロチャネルプレートは、0.01カウント/cm2/秒未満のレベルのバックグラウンド計数率を有する高速中性子検出器を形成し得る。そのようなバックグラウンド計数率は、現在の最先端ガラスマイクロチャネルプレートのバックグラウンド計数率より大幅に低い。改善された性能は、少なくとも部分的に、プラスチック基板内の重金属および放射性トレース、例えばRbおよびK等の不在に起因する。本発明に従い製造されたプラスチックマイクロチャネルプレート高速中性子検出器の時間分解能は、中性子吸収の深さおよび中性子伝播速度にのみ制限される。時間分解能は、これらのデバイスにおいて10nsより良好となり得る。
【0091】
本発明によるプラスチックマイクロチャネルプレートの検出効率は、プラスチック基板の水素濃度等の組成、ならびに形状(厚さ、細孔直径、および壁の厚さ)の関数である。いくつかの実施形態において、水素濃度を最大限化するのが望ましい。しかしながら、水素濃度が増加するほど、プラスチックのガラス転移温度は低下する。したがって、水素の最大濃度は、抵抗層、放出層、頂部電極および底部電極を堆積させるために必要な処理温度により制限される。第1の中性子検出効率は、特定用途に合わせて調整することができ、いくつかの設計においては、10%以上もの高いレベルに到達し得る。
【0092】
図5は、4つの異なるプラスチック基板厚に対する、MeV単位の中性子エネルギーの関数としての中性子相互作用確率のグラフ500を示す。グラフ500は、より厚いプラスチック基板厚さが、より高い中性子相互作用確率を有することを示している。例えば、グラフ500は、5mm厚のプラスチック基板が、高速中性子に対し、低エネルギーにおける約50%から、5MeVを超えるエネルギーにおける約10%までの範囲の中性子相互作用確率を有することを示している。しかしながら、低エネルギー範囲の高速中性子に対する検出効率は、プラスチック中の反跳陽子の範囲により低減される。したがって、最適性能を達成するためには、MCP形状および水素濃度の最適化が必要とされる。
【0093】
このように、本発明によるプラスチックマイクロチャネルプレートは、低いガンマ感受性で高速中性子を直接検出することができる。そのような能力は、従来の熱中性子に基づく(He−3、10Bドーピング)マイクロチャネルプレートデバイスでは不可能である。熱中性子検出器は、この用途において使用される場合、高速中性子の緩和を必要とし、これは事象計数率を大幅に低減し、元の高速中性子に関する任意の空間的情報を効果的に破壊する。また、プラスチックMCP基板中に重元素が存在しないことにより、この基板は、従来のガラス系MCPと比較して、ガンマ線バックグラウンド放射に対し極めて非感受性となる。
【0094】
本発明によるプラスチックマイクロチャネルプレートデバイスの多くの可能な設計が存在する。例えば、一実施形態において、本発明によるプラスチックマイクロチャネルプレートで極めて指向性の高速中性子検出器が製造される。極めて指向性のプラスチックマイクロチャネルプレート検出器は、バイアス角を有するマイクロチャネルを形成し、次いで角度範囲にわたりマイクロチャネルを回転させることにより達成することができる。マイクロチャネルの壁に衝突する中性子のみが検出される。したがって、入射放射線に対する感度は、マイクロチャネルバイアス角により規定される非常に狭い円錐角で到達する中性子に対し非常に低減される。そのような指向性プラスチックマイクロチャネルプレート検出器は、それでも広範囲の角度で到達する高速中性子を検出することができる。数々の他の手法を用いて、指向性高速中性子検出器を形成することができる。例えば、マイクロチャネルプレートは、中性子源に対する種々の角度に沿って走査され得る。いくつかの実施形態において、マイクロチャネルプレートは、指向性を増加させるために連続して位置付けられる。そのような指向性マイクロチャネルプレートデバイスは、国家防衛用途を含む種々の用途の中性子源を特定するために使用することができる。
【0095】
図6は、ホウ素でドーピングされたプラスチックマイクロチャネルプレート600の断面図、ならびにLiイオンおよびアルファ粒子を生成する入射熱中性子と10B原子核との相互作用の概略図である。この実施形態において、プラスチックマイクロチャネルプレートは、ホウ素、リチウム、またはガドリニウム等の熱中性子および冷中性子感受性元素でドーピングされ、これらの元素は、検出器を、約0.025eVの平均エネルギーを有する熱中性子および約5meVのエネルギーを有する冷中性子に対し感受性とする。マイクロチャネルプレート600は、複数のマイクロチャネル604を備えるホウ素ドーピングプラスチック基板602を含む。感受性膜は、マイクロチャネル604のそれぞれの表面上に堆積される。放出膜は、図4Aと関連して説明されたように、抵抗膜上に堆積される。
【0096】
図6は、入射熱中性子606が、プラスチック基板中の10B原子核614と相互作用し、Liイオン608およびアルファ粒子610を生成することを示している。10B原子核614は、比較的大きい捕獲断面を有する。高エネルギーアルファ粒子610は、約1.47MeVのエネルギーを有するが、抵抗および放出膜層と相互作用し、典型的には20を超える電子である多数の二次電子およびイオン(これは一方で二次電子を生成する)612を生成する。これらの二次電子は、通常の様式においてマイクロチャネルプレート600内で加速され、信号増幅カスケードをもたらす。マイクロチャネルプレート600内でアルファ粒子610により生成される多数の二次電子612は、高速中性子の中性子−陽子反跳反応により生成される二次電子の数よりも10桁超多い。
【0097】
したがって、プラスチックマイクロチャネル検出器により生成された信号を処理することによって、熱中性子により生成された信号と、高速中性子により生成された信号を区別することが可能である。例えば、検出された信号がそれにより後のゲイン段階で増幅される、ユニティゲインモードでのプラスチック中性子検出器の動作により、信号は、熱中性子信号と高速中性子信号を区別するために使用され得るパルス振幅を決定するために処理され得るようになる。熱中性子信号と高速中性子信号を区別するために、他の多くの信号処理方法を使用することもできる。
【0098】
(均等物)
本教示は種々の実施形態および実施例と関連して説明されているが、本教示がそのような実施形態に限定されることは意図されない。逆に、本教示は、当業者に理解されるように、種々の代替例、修正例および均等物を含み、これらは本発明の精神および範囲から逸脱することなしに成され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中性子を検出するためのマイクロチャネルプレートであって、該マイクロチャネルプレートは、
a.水素に富むポリマー基板であって、該ポリマー基板は、該基板の頂面から該基板の底面まで延在する複数のチャネルを規定し、該複数のチャネルと相互作用する中性子は、中性子−陽子相互作用生成物と二次電子とを生成する、ポリマー基板と、
b.該基板の該頂面上に位置付けられる頂部電極と、
c.該基板の該底面上に位置付けられる底部電極と、
d.該複数のチャネルの外面上に形成される抵抗層であって、該抵抗層は、実質的に一定の抵抗率でオーミック伝導を提供する、抵抗層と、
e.該抵抗層上に形成される放出層であって、該中性子−陽子相互作用生成物は、該複数のチャネルおよび該放出層と相互作用し、該複数のチャネル内でカスケード増幅して中性子の検出に関連した増幅信号を提供する二次電子を生成する、放出層と
を備える、マイクロチャネルプレート。
【請求項2】
前記水素に富むポリマー基板は、2重量パーセント〜6重量パーセントの水素を含む、請求項1に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項3】
前記水素に富むポリマー基板は、少なくともいくつかのプラスチック材料を含む、請求項1に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項4】
前記水素に富むポリマー基板は、ポリカーボネート、Kapton、Radel R、およびUdel材料のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項5】
前記水素に富むポリマー基板は、ホウ素、リチウムおよびガドリニウムのうちの少なくとも1つでドーピングされている、請求項1に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項6】
前記複数のチャネルは、特定の狭い円錐角で到達する中性子のために、入射放射線に対する感度が大きく低減されるように配向されている、請求項1に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項7】
前記抵抗層は、ナノラミネート構造を備え、該抵抗層の抵抗率は、該ナノラミネート構造の組成により決定される、請求項1に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項8】
前記ナノラミネート構造は、金属酸化物導電層および絶縁層の組み合わせを備える、請求項7に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項9】
前記金属酸化物導電層は、Zn、V、Mn、Ti、Sn、Ru、In、Cu、Ni、およびCdから成る群より選択される少なくとも1つの元素の酸化物を含む、請求項8に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項10】
前記絶縁層は、Al、Si、Mg、Sn、Ba、Ca、Sr、Sc、Y、La、Zr、Hf、Ta、Ti、V、Cs、B、Nb、Be、およびCrから成る群より選択される少なくとも1つの元素の少なくとも1つの酸化物を含む、請求項8に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項11】
前記絶縁層は、Al、Si、Mg、Sn、Ba、Ca、Sr、Sc、Y、La、Zr、Hf、Ta、Ti、V、Cs、B、Nb、Be、およびCrから成る群より選択される少なくとも1つの元素の少なくとも1つの窒化物を含む、請求項8に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項12】
前記抵抗層は、金属酸化物層を備え、該金属酸化物層のドーピングは、前記抵抗率を決定する、請求項1に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項13】
前記金属酸化物層は、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、およびAuから成る群からの少なくとも1つの元素でドーピングされた絶縁酸化物の合金を含む、請求項12に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項14】
前記抵抗率および該抵抗率のプロファイルのうちの少なくとも1つは、前記マイクロチャネルプレートの所望の電流出力を達成するように選択される、請求項1に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項15】
前記放出層は、Al、Si、Mg、Sn、Ba、Ca、Sr、Sc、Y、La、Zr、Hf、Ta、Ti、V、Cs、B、Nb、Be、およびCrから成る群より選択される少なくとも1つの元素の酸化物を含む、請求項1に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項16】
前記放出層は、Al、Si、Mg、Sn、Ba、Ca、Sr、Sc、Y、La、Zr、Hf、Ta、Ti、V、Cs、B、Nb、Be、およびCrから成る群より選択される少なくとも1つの元素の窒化物を含む、請求項1に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項17】
前記抵抗層および前記放出層は、単一の層を備える、請求項1に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項18】
前記抵抗層の厚さおよび組成のうちの少なくとも1つは、前記複数のチャネルから放出されるイオンの数が低減されるように、該複数のチャネルを不動態化するよう選択される、請求項1に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項19】
熱中性子および高速中性子の両方を検出するためのマイクロチャネルプレートであって、
a.水素に富むポリマー基板であって、該基板の頂面から該基板の底面まで延在する複数のチャネルを規定する、ホウ素、リチウム、およびガドリニウムのうちの少なくとも1つでドーピングされ、該基板と反応する中性子は、アルファ粒子、Li−6原子核、三重陽子、ガンマ線、反跳陽子、およびベータ粒子のうちの少なくとも1つを生成するポリマー基板と、
b.該基板の該頂面上に位置付けられる頂部電極と、
c.該基板の該底面上に位置付けられる底部電極と、
d.該複数のチャネルの外面上に形成される抵抗層であって、実質的に一定の抵抗率でオーミック伝導を提供する抵抗層と、
e.該抵抗層上に形成される放出層であって、該中性子および該ポリマー基板の相互作用により生成されたアルファ粒子、Li−6原子核、三重陽子、ガンマ線、反跳陽子、ベータ粒子のうちの少なくとも1つは、放出膜と衝突して、該複数のチャネル内でカスケード増幅して熱中性子および高速中性子の両方の検出に関連した増幅信号を提供する二次電子を生成する、放出層と
を備える、マイクロチャネルプレート。
【請求項20】
前記マイクロチャネルプレートのバイアス入力に電気接続される出力を有する、バイアス電圧電力供給をさらに備え、該バイアス電圧電力供給は、該マイクロチャネルプレートにおけるユニティゲインを達成するように選択される、バイアス電圧を生成する、請求項19に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項21】
前記マイクロチャネルプレートの出力と結合される入力を有する、電子増幅器をさらに備え、前記電子増幅器は、熱中性子および高速中性子の両方の検出に関連した前記増幅信号をさらに増幅する、請求項19に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項22】
前記増幅信号を受信する入力を有する、信号処理部をさらに備え、前記信号処理部は、熱中性子により生成された信号成分と、高速中性子により生成された信号成分を区別するように、前記増幅信号を処理する、請求項19に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項23】
前記信号処理部は、種々の信号成分の振幅を測定することにより、熱中性子と高速中性子を区別するように、前記増幅信号を処理する、請求項22に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項24】
前記水素に富むポリマー基板は、少なくとも何らかのプラスチック材料を含む、請求項19に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項25】
前記水素に富むポリマー基板は、ポリカーボネート、Kapton、Radel R、およびUdel材料のうちの少なくとも1つを含む、請求項19に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項26】
前記水素に富むポリマー基板は、ホウ素−10同位体でドーピングされている、請求項21に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項27】
前記水素に富むポリマー基板は、リチウム−6同位体でドーピングされている、請求項19に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項28】
前記水素に富むポリマー基板は、ガドリニウム−157同位体でドーピングされている、請求項19に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項29】
前記複数のチャネルは、ある特定の狭い円錐角で到達する中性子のために、入射放射線に対する感度が大きく低減されるように配向している、請求項19に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項30】
前記抵抗層は、ナノラミネート構造を備え、所定の抵抗率は、該ナノラミネート構造の組成により決定される、請求項19に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項31】
前記ナノラミネート構造は、金属酸化物導電層および絶縁層の組み合わせを備える、請求項30に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項32】
前記抵抗層は、金属酸化物層を備え、該金属酸化物層のドーピングは、前記抵抗率を決定する、請求項19に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項33】
前記抵抗層および前記放出層は、単一の層を備える、請求項19に記載のマイクロチャネルプレート。
【請求項34】
前記抵抗層の厚さおよび組成のうちの少なくとも1つは、前記複数のチャネルから放出されるイオンの数が低減されるように、該複数のチャネルを不動態化するよう選択される、請求項19に記載のマイクロチャネルプレート。

【図2】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図6】
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【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−525246(P2011−525246A)
【公表日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514848(P2011−514848)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/047977
【国際公開番号】WO2010/039300
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(510333922)アーレディエンス, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】