説明

調整可能な色調を有するポリマーシートおよび複数層ガラスパネル

本発明は、調整可能な色調を有するポリマーシートおよび複数層ガラスパネルの分野に関し、更に具体的には、本発明は、電界に掛けられた場合に、光透過性における変化を引き起こす作用剤を含むポリマーシートおよび複数層ガラスパネルの分野に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調整可能な色調を有するポリマーシートおよび複数層ガラスパネルの分野に関し、更に具体的には、本発明は、電界に掛けられた場合に、光透過性における変化を引き起こす作用剤を含むポリマーシートおよび複数層ガラスパネルの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
製品の最終ユーザーにより調整することができる光反射性および透過性を有する窓およびガラス製品を開発することが望まれてきている。例えば、窓における調整可能な色調調整は、ユーザーが、意のままに、光の吸収、散乱、または反射を増加させることができ、それによって、窓を通って透過する光の量を減少させることを可能にする。そのような製品は、ユーザーは、例えばプライバシーの要求または全ての光の要求に適応させるために、色調を調整することができよう。
【0003】
しかし、調整可能な色調の窓を製造する際の従来の試みは、理想の性質には及ばない製品をもたらしている。例えば、エレクトロクロメート酸化還元系、またはポリマー分散液晶および懸濁粒子装置を使用する窓は、電圧の適用後に、色調調整前の状態から色調調整後の状態へ転換するのが非常に遅いことがある。この遅延時間は、一般に望ましいものではない。更に、幾つかの従来製品は、許容できない高水準の曇りを有する。更に、従来の調整可能な色調製品は、色調調整された状態を維持するために、電位の一定の適用を必要とすることがあり、どちらも使用の複雑性およびコストの増加をもたらし、製品への適用範囲を制限している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、更に改善された組成物および方法が、ポリマーシートおよび複数層ガラス製品、具体的にはポリ(ビニルブチラール)層およびポリエチレンテレフタレート層を含むラミネートガラスパネル、に対して調整可能な色調調整能力を付与し、完成したガラスパネルにおいて所望の調整可能な光透過性を付与するために必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、調整可能な色調を有するポリマーシートおよび複数層ガラスパネルの分野に関し、更に具体的には、本発明は、電界に掛けられた場合に、光透過性における変化を引き起こす作用剤を含むポリマーシートおよび複数層ガラスパネルの分野に関する。
【0006】
本発明は、ポリマー層および前記ポリマー層の全体にわたって分布した複数のドメイン(前記ドメインは、ポリマーシートへの電界の適用に対する応答において、前記ポリマーシートを通して透過することのできる可視光線の量における変化を引き起こす作用剤を含む。)を含むポリマーシートを含む。
【0007】
本発明は、ポリマー層および前記ポリマー層の全体にわたって分布した複数のドメイン(前記ドメインは、第1層への電界の適用に対する応答において、前記第1層を通して透過することのできる可視光線の量における変化を引き起こす作用剤を含む。)を含む第1層;前記第1層と接触して配置されている、導電性ポリマーシートを含む第2層;および前記第2層の反対側に、前記第1層と接触して配置されている、導電性ポリマーシートを含む第3層を含む複数層ガラスパネルを含む。
【0008】
本発明は、導電性ポリマーシートを含む第1層および導電性ポリマーシートを含む第2層を含み、前記第1層および前記第2層は、バインダーの全体にわたって分布した複数のドメイン(前記ドメインは、前記バインダーへの電界の適用に対する応答において、ガラスパネルを通して透過することのできる可視光線の量における変化を引き起こす作用剤を含む。) を含むバインダーで一緒に結合されている
複数層ガラスパネルを含む。
【0009】
本発明は、開口部において複数層ガラスパネルを用意する工程[前記複数層ガラスパネルは、ポリマー層および前記ポリマー層の全体にわたって分布した複数のドメイン(前記ドメインは、前記第1層への電界の適用に対する応答において、前記第1層を通して透過することのできる可視光線の量における減少を引き起こす作用剤を含む。)を含む第1層;前記第1層と接触して配置された導電性ポリマーシートを含む第2層;および前記第2層の反対側に前記第1層と接触して配置された導電性ポリマーシートを含む第3層を含む。];および前記第2層および前記第3層に電源を接続して、前記第1層を横切って電界を発生させる工程を含む、開口部を通過する光透過を減少させる方法を含む。
【0010】
本発明は、開口部において複数層ガラスパネルを用意する工程[前記複数層ガラスパネルは、ポリマー層および前記ポリマー層の全体にわたって分布した複数のドメイン(前記ドメインは、第1層への電界の適用に対する応答において、前記第1層を通して透過することのできる可視光線の量における変化を引き起こす作用剤を含む。)を含む第1層;前記第1層と接触して配置された導電性ポリマーシートを含む第2層;および前記第2層の反対側に前記第1層と接触して配置された導電性ポリマーシートを含む第3層を含む。];前記第2層および前記第3層に電源を接続して、前記第1層を横切って電界を発生させる工程;および前記第2層および前記第3層に対して前記電源の極性を逆転させて、前記電界を逆転させる工程を含む、開口部を通過する光透過を可逆的に減少させる方法を含む。
【0011】
本発明は、導電性コーティングを有する第1ガラス層;導電性コーティングを有する第2ガラス層;前記第1ガラス層および前記第2ガラス層の間に配置されたポリマー層;および前記ポリマー層の全体にわたって分布した複数のドメイン(前記ドメインは、前記ポリマー層への電界の適用に対する応答において、前記ポリマー層を通して透過することのできる可視光線の量における変化を引き起こす作用剤を含む。)を含む複数層ガラスパネルを含む。
【0012】
本発明は、導電性コーティングを有する第1ガラス層;および導電性コーティングを有する第2ガラス層[前記第1ガラス層および前記第2ガラス層は、バインダー全体にわたって分布した複数のドメイン(前記ドメインは、前記バインダーへの電界の適用に対する応答において、前記ガラスパネルを通して透過することのできる可視光線の量における変化を引き起こす作用剤を含む。)を含む前記バインダーで一緒に結合されている複数層ガラスパネルを含む。
【0013】
(図面の簡単な説明)
図1は電極に電圧を適用する前の、2つの電極間に配置されたドメインの断面の概略説明を示す。
図2は2つの電極間に電源を適用した後の、図1に示される概略説明を示す図である。
図3は本発明の作用剤を含むドメインを有するポリマー層の概略断面を示す図である。
図4は2つの導電性ポリマー層の間に配置された、図3に示されるポリマー層の概略断面を示す図である。
図5はポリマー層が付加される、本発明の様々な実施形態の概略断面を示す図である。
図6はポリマー材料の複数層が、ガラスパネルにおいて2つのガラス層間に配置される、本発明の実施形態を示す図である。
図7はバインダーを使用する、本発明の様々な実施形態の概略断面を示す図である。
図8は3つの例の分散体に対する検出器電圧出力対時間のグラフを示す図である。
図9aはインジウム錫酸化物電極上に堆積されたシリカゾルの走査電子顕微鏡写真である。
図9bはインジウム錫酸化物電極上に堆積されたシリカゾルの走査電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、電界に掛けられた場合に、材料の光透過特性を変えることのできる様々な作用剤の使用を含む。特に、電荷を有し、電界に掛けられた場合に媒体において移動することのできる作用剤は、複数層ガラスパネル、ポリマー層および電圧の適用により色調調整を行うことのできる製品を創り出すためのその他の用途において、本発明において使用される。本発明の様々な実施形態において、色調調整を行うことのできる製品は、電界の極性を逆転させることにより可逆的に色調調整を行うことができる。本発明の範囲内の製品は、複数層、ラミネートガラスパネル、ガラスディスプレイパネル、視力補正眼鏡およびサングラス、不可逆的色調調整が望まれる用途およびガラス製品の調整可能な色調調整が望まれる用途を含む。
【0015】
本発明のガラス製品の色調調整は、特定の作用剤を含む材料の様々な層の1つまたは複数を電界に掛け、作用剤の光吸収、反射、または散乱特性において変化を引き起こすことにより達成される。例えば、電界の適用前に、本発明の作用剤は、層内の画定されたドメイン内に分布されるか、または材料の全体の層にわたって分布されるかして、材料の1つの層全体にわたって配置することができる。作用剤の平均的分離が最も大きいこの状態において、例えば、層を通る光透過の最大水準が見られる。この水準は、特定の用途にとって望ましい、殆ど100%の光透過であるか、または、それよりも少ない任意の値であることができる。例えば、観察可能な色調が全ての時間において望ましい幾つかの用途は、作用剤が、最大平均分離にある場合に、光の100%未満を透過することができる。この例の作用剤に対する電界の適用は、作用剤に、電界の直前の適用状態においてよりも更に光を吸収、散乱、または反射させる。この効果は、例えば、ポリマー分子により一緒に結合されている作用剤(繋留剤)の平均的分離における変化により引き起こされることもあれば、または、幾つかのコロイド剤で見られるような、作用剤の凝集もしくは平均分離距離における変化、もしくは、とりわけ非等軸粒子で見られるような作用剤の配列の結果として光透過における変化を引き起こすことのできる、作用剤の電気泳動的移動における変化により引き起こすことができる。
【0016】
本明細書全体を通して使用される、相違が特に定義されている特定の実施形態おける場合を除いて、光の透過、光の反射、光の吸収、または光の散乱と言う場合の光は、可視スペクトルにおける光を意味する。本発明の様々な実施形態は、可視範囲外、具体的には近赤外範囲の光透過に影響を及ぼす作用剤を含み、そのような実施形態は、本発明の範囲内にある。
【0017】
本発明の様々な実施形態において、光透過における減少は、本発明の作用剤にそれらの元の状態を取り戻させるために、適用される電界の極性を逆転することにより逆転することができる。本発明のその他の実施形態において、光透過における減少は、単独の不可逆工程として起る。これらの実施形態は、可逆的変化が望ましくない製品にとって有用である。例えば、透明から不透明なガラス製品への不可逆的変化は、盗難に遭った後に製品を役に立たなくするのにもし使用されれば、有用であることができる。その他の実施形態において、色調調整は、ただ部分的に可逆的であるだけで、この場合も盗難防止装置として有用である。
【0018】
上述の通り、本発明の作用剤は、層、バインダー、またはその他の適切な媒体内に作用剤が配置されている、画定されたドメイン内に配置することができる。または、作用剤は、画定されたドメインを使用することなしに、層、バインダーまたはその他の適当な媒体全体を通して分散させることができる。
【0019】
本明細書において使用される「ドメイン」は、作用剤がその領域外に自由に移動するのを特に制限する任意の領域であることができる。本発明の様々な実施形態において、ドメインは、マイクロカプセルまたは不連続相が連続ポリマー相内に含まれる複数相系である。不連続相は、作用剤分散を含む。
【0020】
図1は、全般に10で示される、球状マイクロカプセルドメインの断面の概略図を示す。図1に示される通り、コーティング12は、作用剤16が分布している懸濁材料14を取り囲んでいる。本発明の様々な実施形態において、コーティング12は、ポリマーコーティングである。本発明の様々な実施形態において、懸濁材料14は誘電材料である。本発明の様々な実施形態において、懸濁材料14は液体である。その他の実施形態において、懸濁材料14はゲルまたは固体であることができる。
【0021】
マイクロカプセル10は、第一電極18および第二電極20の間に配置されて示される。示されている電荷は名目的なものであり、電源の極性を逆転することにより逆転させることができる。図1における作用剤16の分布は、作用剤16の最大平均分離の状態を示す。この例に示される通り、電界は発生しておらず、それゆえ作用剤16は、全く電気泳動的に誘発された移動を受けていない。この状態において、マイクロカプセル10を通る最大光透過が観察される。
【0022】
図2は、第一電極18および第二電極20に電圧を掛けて電界を発生させた後の、図1に示されるマイクロカプセル10の概略説明図を示す。この例においては、正帯電作用剤16は、負の第二電極20に向けて移動し、コーティング12に対して凝集している。分散状態におけるこの凝集状態において、それによって、マイクロカプセル10を通過することのできる光の量における正味の減少を引き起こす。以下において更に詳細に記載されるように、作用剤が、ポリマー分子に結合または一緒に繋留されたナノ粒子を逆に帯電している本発明の他の実施形態においては、作用剤16の移動は生じなく、マイクロカプセル10を通る光透過における変化を起こさせない。
【0023】
図3は、作用剤22を含むドメインが分配されているポリマー層24の概略断面図を示す。他の図と同様に、図3は、ドメイン22およびポリマー層24との間の実際のサイズ関係を示していない。本発明の様々な実施形態においては、ポリマー層24は、透明であるが、上で示した通り、他の実施形態は、それらが最高の光透過の状態にある場合に、完全に透明ではない層およびドメインの利用を伴う。以下において更に詳細に記載されるが、これらの実施形態のポリマー層24は、ラミネートガラス製品において有用である可塑化ポリ(ビニルブチラール)または類似の材料等のポリマーを含むことができる。
【0024】
図3に示される通り、本発明は、ポリマー層;および前記ポリマー層全体にわたって分布したドメイン(前記ドメインは、第1層への電界の適用に対する応答において、第1層を通して透過することのできる可視光線の量における変化を引き起こす作用剤を含む。)を含む第1層;前記第1層と接触して配置されている、導電性ポリマーシートを含む第2層;および前記第2層の反対側に、前記第1層と接触して配置されている、導電性ポリマーシートを含む第3層を含む複数層ガラスパネルを含む。
【0025】
このポリマーシートは、色調調整可能な、透明なまたは部分的に透明なポリマー層が望まれる任意の用途において使用することができる。
【0026】
更なる実施形態においては、図4に示される通り、ポリマー層24およびドメイン22を含む第1層に加えて、導電性ポリマーシートを含む第2層26が、第1層に接触して配置され、また導電性ポリマーシートを含む第3層28が、第2層26の反対側に、第1層に接触して配置される。既に述べたように、電荷は、電源に接続されると電極として作用する各導電性ポリマーシートに対して名目的に割当てられている。
【0027】
図4に示される3つの層の配置から明らかなように、第2層26および第3層28を、ACまたはDCのいずれかの電源につなげると、第2層26および第3層28の間に電界が発生する。電界の発生により、ドメイン22内に配置された作用剤は、移動するか別の状態を取り、3つの層を通る光透過が変化する。本発明の様々な実施形態においては、ポリマー層24、第2層26、および第3層28は、電界の適用前に透明である複数層製品となる、透明な材料で構成することができる。
【0028】
以下において更に詳細に検討されるように、第2層26および第3層28は、層導電性を付与するために被覆されまたは処理された、ポリエチレンテレフタレート等のポリマー材料を含むことができる。本発明の様々な実施形態において、ポリマー層24は、ポリ(ビニルブチラール)を含み、第2層26および第3層28は、共に、導電性材料、例えば、金属コーティング、インジウム錫酸化物コーティング、またはアンチモン錫酸化物コーティングで処理されたポリエチレンテレフタレートを含む。図4に示される基本の3層構造は、適切なものとして、いずれかの適切な用途において使用することができ、ポリ(ビニルブチラール)等のポリマーおよびガラスの様々な他の層が、完成したガラス製品を製造するために、示された構造上に積層することができる。図4に示される3層構造を利用する複数層構造の例としては、図5および6に示されるものが挙げられる。図5において、ポリ(ビニルブチラール)タイプ材料の第4層30および第5層が、それぞれに、第2層26および第3層28に接触して配置されて示される。図6においては、2つのガラス層34、36が、それぞれに、第4層30および第5層32に接触して配置されて示される。図6は、第2層26および第3層28に電圧を掛けて色調調整することができる、複数層ガラスパネルの概略断面図を示す。様々な実施形態において、全ての層は、透明である材料を含むことができ、このことは、電源が、ポリマー層24および作用剤22を伴うドメインを含む第1層が透明さを失い、複数層ガラスパネルの色調調整をもたらす点において適用されるまで透明であるガラスパネルをもたらす。
【0029】
図3〜図6に示される実施形態は、勿論、例示的であり、材料および層の様々な置換は、本発明の精神または範囲を逸脱することなく使用することができる。例えば、図6に示されている複数層ガラスパネルの多数の順列は、例えば、顔料、染料、難燃剤、IR吸収剤等であってこれらに限定されない1つまたは複数の添加剤が、場合により導入されている、ポリ(ビニルブチラール)タイプの材料の1つまたは複数の層を加えることにより達成できる。更に、材料における任意の変形もしくはその他の変更または当該技術分野において知られていて、色調調整可能な成分と相溶性である添加剤は、本発明の実施形態において含まれる。
【0030】
図7は、本発明の他の実施形態の概略断面図を示す。この実施形態において、導電性ポリマーシートを含む第1層40および導電性ポリマーシートを含む第2層42は、以下で詳細に記載されるような多数の組成物のいずれかであることができるバインダー38により一緒に結合される。バインダー38は、上述の通り、作用剤を含むドメインを含むことができ、また、個々のドメインに配置されるよりもむしろ全体にわたって分布される作用剤を有することもできる。第1層40および第2層42は、層26および28に対して上で示したような任意の材料を含むことができ、これらの層に対して上で与えられたものと同じ機能を果たす。層/バインダー/層のこの配列は、図4に示される構造を含む、上記で与えられた任意の順列について置換することができる。
【0031】
図7に示される構造の様々な実施形態において、第1層40および第2層42を、ポリスチレンのラテックス、シリカまたは自由に分布している作用剤が電界の適用によって凝集できる他の粒子タイプにより、バインダー38と接触している表面上に被覆することができる。
【0032】
本発明のその他の実施形態において、本発明の作用剤を有する、本明細書において記載された任意のポリマー層またはバインダーを、導電性コーティングを有する2つのガラス層間に導入して、導電性コーティングを伴うガラス層/作用剤を伴うポリマー層またはバインダー/導電性コーティングを伴うガラス層の配置を有する3層構造を形成することができる。ガラス層は、異なる厚さおよび異なる電気的コーティングを有することができる。これらの実施形態において、導電性ポリエチレンテレフタレート層は必要ない。このコーティングは、各ガラス層のいずれかの側面に適用することができ、様々な実施形態において、コーティングは、バインダーまたはポリマー層に面したガラスの表面に配置される。導電性コーティングは、インジウム錫酸化物、アンチモン錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物またはその他の金属コーティングを含むがこれらに限定されないいずれかの適切なコーティングであることができる。
【0033】
特定の実施形態において、本発明は、導電性コーティングを有する第1ガラス層;導電性コーティングを有する第2ガラス層;前記第1ガラス層および前記第2ガラス層の間に配置されたポリマー層;および前記ポリマー層の全体にわたって分布した複数のドメイン(前記ドメインは、前記ポリマー層への電界の適用に対する応答において、前記ポリマー層を通して透過することのできる可視光線の量における変化を引き起こす作用剤を含む。)を含む複数層ガラスパネルを含む。
【0034】
他の実施形態において、本発明は、導電性コーティングを有する第1ガラス層;導電性コーティングを有する第2ガラス層を含み、前記第1ガラス層および前記第2ガラス層は、バインダーの全体にわたって分布した複数のドメイン(前記ドメインは、前記バインダーへの電界の適用に対する応答において、ガラスパネルを通して透過することのできる可視光線の量における変化を引き起こす作用剤を含む。)を含む前記バインダーによって一緒に結合された複数層ガラスパネルを含む。
【0035】
他の実施形態において、本発明の、ポリ(ビニルブチラール)等のポリマー層またはバインダーは、導電性ガラス層と、およびポリエチレンテレフタレート等の導電性ポリマーシートとの間に配置されて、ラミネートガラス構造の電界発生部分を形成することができる。この構造を使用する1つの配列は、ガラス層/ポリ(ビニルブチラール)層/導電性ポリエチレンテレフタレート層/作用剤を伴うポリ(ビニルブチラール)層/導電性コーティングを伴うガラス層である。
【0036】
上述の本発明の様々な実施形態に加えて、本発明の選択的実施形態は、凝集状態にある場合に、上述のとは逆に作用する作用剤を使用する。即ち、これらの選択的作用剤は、分散すると、それらが凝集状態にある場合よりも少ない光の透過を可能にする。これらの作用剤は、本明細書のどこかで記載された本発明の任意の実施形態において使用することができる。
【0037】
ここまでは、一般に、本発明の例示的実施形態を記載してきたが、様々な成分が、これ以降に詳細に記述される。
【0038】
(電気泳動剤およびその他の作用剤)
本発明の作用剤としては、本発明のその他の成分と相溶性であり、電界の適用前に光の所望の透過を可能にし、電界に掛けられた場合に、光透過において変化(増加または減少)を引き起こすことのできる、当該技術分野において知られている任意の材料を挙げることができる。本発明の様々な実施形態において、作用剤および作用剤の濃度は、電界の適用前に、本発明の層またはバインダーにおいて配置された場合に、次の透過率水準を可能とするように選択される:少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、および少なくとも99%。本発明の様々な実施形態において、適切な電界の適用に当って、作用剤および作用剤の濃度は、本発明の層またはバインダーにおいて配置される場合は、電界の適用前の透過に関わる光の透過において、次の全体の減少を達成するように選択される:少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、および少なくとも99%。本明細書において使用される光の「透過」%は、本発明の作用剤を含む層またはバインダーの一側面に衝突して、層またはバインダーの反対側から現れる光の量の画分を100倍して測定される。
【0039】
選択的作用剤が使用される(光透過における効果が、凝集および分散状態において逆転する)実施形態においては、電界の適用前に透過されない光の量は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、および少なくとも99%であることができ、電界の適用および選択的作用剤の凝集後に透過することのできる光の合計量は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、および少なくとも99%であることができる。
【0040】
様々な範囲が、所与の実施形態が生成する色調調整の量に対して上で与られたが、当業者は、本発明の様々な作用剤の濃度を、多くの用途に適応させるために変えることができることがわかる。
【0041】
本発明の作用剤としては、例えば、チタニア(アナターゼまたはルチル)、硫酸バリウム、シリカ、珪酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性粒子、インジウム錫酸化物、アンチモン錫酸化物、カーボンブラック、酸化亜鉛、六臭化ランタン等の半導体粒子、ならびに金、銀、銅、白金、パラジウムおよび合金等の導電性粒子が挙げられるがこれらに限定されない。
【0042】
本発明の作用剤としては、例えば、二酸化チタン、シリカ、酸化亜鉛、粘土、珪酸マグネシウム、金、銀、インジウム錫酸化物、アンチモン錫酸化物、および六臭化ランタンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0043】
一般に、作用剤は、正味の電荷を有し、電界に掛けられた場合に移動する物質、および正味の電荷を有さずまたは不十分な正味電荷を有し、電界に掛けられた場合に移動しない物質を含むことができる。
【0044】
正味の電荷を有し、この項の初めで、上記で与えられた基準を充たすいずれかの作用剤が、本発明で使用できる。本発明の様々な実施形態において、使用される作用剤は、帯電したナノ粒子である。本発明で使用することのできるナノ粒子の例としては、金および銀等の貴金属、二酸化チタンおよびシリカ等の絶縁性金属酸化物、インジウム錫酸化物、アンチモン錫酸化物、および六臭化ランタン等の半導体、ならびに当該技術分野において知られているその他の帯電ナノ粒子が挙げられる。直径が<5nmの非常に小さい金または銀ナノ粒子の使用は、分散状態において、これらは、強力な共鳴吸収帯を有さず、したがって、高い光透過率を有するので、特に有用である(例えば、Templeton、J.Phys.Chem.104:565(2002)、およびKreibig and Genzel、Sur.Sci.、156:681(1985)を参照されたい)。しかし、表面で凝集すると、約530nmの波長における共鳴吸収帯の出現のために透過の減少が起る。本発明の別の実施形態において、大きな金のナノ粒子(直径15nm)のフィルム配列は、粒子間隔の関数として波長が変動する吸収ピークを有する。分散した非相互作用ナノ粒子については、吸収ピークは、530nm近辺に現れ、接近した間隔の粒子(0.5nmの分離)については、吸収ピークが690nm波長へ赤方偏移する。ピーク吸収におけるこの偏移は、色変化および可視透過率における変化をもたらす(例えば、Liz−Marzan and Mulvaney、J.Phys.Chem.B.107:7312−26(2003);Mulvaney、Mater.Chem.10:1265−1266(2003);Kim、Mat.Res.Soc.Symp.Proc.676:Y6.1.1(2001)を参照されたい)。更に、金ナノ粒子は、電界が掛けられた後に凝集を形成することが報告されていて、これらの凝集は、不可逆ではないことが報告されている(例えば、Giersig and Mulvaney、Langmuir 9:3408−13(1993)を参照されたい)。分散状態から凝集状態へ向う多くの異なる金属ナノ粒子の透過における変化は、Uwe Kreibig and Michael Vollmerにより(Optical Properties of Metal Clusters、Appendix 2(Springer、Berlin、1995)においてまとめられている。
【0045】
本発明の様々な実施形態において、ナノ粒子剤は、サイズにおいて、200nm未満、175、150、125、100、75、50、25、20、15、10、9、8、7、6、または5nmである。様々な実施形態においては、作用剤粒子は、直径100nm未満、直径50nm未満、および幾つかの実施形態に対しては、直径5nm未満である。
【0046】
本発明の様々な実施形態においては、作用剤は、アナターゼチタニア、ルチルチタニア、硫酸バリウム、シリカ、珪酸マグネシウム、炭酸カルシウム、インジウム錫酸化物、アンチモン錫酸化物、カーボンブラック、酸化亜鉛、六臭化ランタン、金、銀、銅、白金、パラジウム、およびその合金からなる群から選択される。様々な実施形態において、作用剤は、チタニア、シリカ、カーボンブラック、金、および銀からなる群から選択される。
【0047】
作用剤は、立体安定剤として役立つために、および凝集状態において粒子間隔を調節するために、ポリマーまたはシリカで被覆されてもよい。非水性分散体における立体安定剤の使用は、コロイド化学において良く知られている。
【0048】
凝集状態から分散状態へ転換した場合に、光の増加をもたらす作用剤としては、直径が約5nmである金および銀のナノ粒子が挙げられるがこれらに限定されない(例えば、Liz−Marzan and Mulvaney、J.Phys.Chem.B107:7319(2003) and Kreibig and Genzel、Surface Science、156:694(1985)を参照されたい)。このタイプの作用剤は、約100nm程に大きいものであることができ、または、作用剤によっては、粒子サイズならびに粒子および粒子が分散される媒体の屈折率における差の両方に依存する過剰な曇りを生じる粒径サイズであることができる。
【0049】
本発明で使用することのできる他の帯電した作用剤としては、非等軸作用剤が挙げられる。これらの作用剤は、移動することができ、分散状態における粒子または分子により引き起こされるものと比較して、より大きな光散乱、吸収、または反射を引き起こす形での粒子または分子が移動に対向する境界(マイクロカプセルコーティングの内壁または隣接層等)に向けて配向する傾向がある凝集を形成することができる。形式電荷は、例えば、懸濁材料において帯電調節剤を添加することによりこれらの分子に付与することができる。これらの粒子は、不可逆的凝集が望ましくない実施形態において、十分な立体および静電気安定性を有することができる。使用することのできる非等軸作用剤としては、ポリヨウ化物結晶、コレステリック液晶、金または銀粒子、およびシリカ小板が挙げられるがこれらに限定されない。
【0050】
架橋剤または繋留剤は、それらが所望の特徴を有するのであれば使用することもできる。これらの剤は、全体の電荷または、移動を引き起こすのに十分な全体の電荷を有しないが、これらは、電界に掛けられた場合に構造変化を受けるので、使用することができる。構造変化は、大量の光吸収、散乱、または反射をもたらす。架橋剤としては、ポリチオフェンが挙げられるがこれに限定されない(例えば、米国特許出願第2003/0096113A1号を参照されたい)。
【0051】
本発明の様々な実施形態においては、1つより多い作用剤は、所望の結果を達成するために任意の特定の用途において使用することができる。
【0052】
(帯電調節剤および粒子安定剤)
当該技術分野において知られているように、帯電調節剤は、使用される作用剤の易動性に影響を及ぼすために使用することができる。このような剤の例としては、国際出願WO99/10767および米国特許第6120839号において与えられるものが挙げられる。
【0053】
帯電調節剤は、本発明の上述の電気泳動剤に対して、良好な電気泳動易動性を与えるために使用することができる。安定剤は、電気泳動剤の凝集を防ぎ、加えて、電気泳動剤がカプセル壁上に不可逆的に堆積するのを防ぐために使用することができる。
【0054】
どちらの成分も、広範囲の分子量(低分子量、オリゴマー、またはポリマー)にわたる材料から作ることができ、純粋であっても混合物であってもよい。特に、適切な帯電調節剤は、液体トナー分野から調達することができる。粒子表面帯電を変性および/または安定化するために使用される帯電調節剤は、一般に知られているように、液体トナー、電気泳動ディスプレイ、非水性ペイント分散体、およびエンジン−オイル添加剤に適用される。これら全てに対して、帯電調節剤は、電気泳動易動性を増加するためまたは静電安定性を増加するために、非水性媒体に添加し得る。材料は、同ように、立体安定性を改善することができる。帯電に関する個々の理論は、選択的イオン吸着、プロトン移動、および接触帯電を含めて、公理とみなされる。任意の帯電指向剤が使用され得る。
【0055】
帯電補助剤が、また、添加され得る。これらの材料は、帯電調節剤または帯電指向剤の有効性を増加させる。帯電補助剤は、ポリヒドロキシ化合物またはアミノアルコール化合物であってよく、好ましくは、懸濁材料に少なくとも2重量%の量で可溶性であることができる。少なくとも2つの水酸基を含むポリヒドロキシ化合物の例としては、エチレングリコール、2,4,7,9−テトラメチル−デシン−4,7−ジオール、ポリ(プロピレングリコール)、ペンタエチレングリコール、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセロール、ペンタエリスリトール、グリセロール−トリス−12ヒドロキシステアレート、プロピレングリセロールモノヒドロキシステアレート、およびエチレングリコールモノヒドロキシステアレートが挙げられるがこれらに限定されない。同じ分子において少なくとも1つのアルコール官能および1つのアミン官能を含むアミノアルコール化合物の例としては、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、エタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、o−アミノフェノール、5−アミノ−1−ペンタノール、およびテトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレン−ジアミンが挙げられるがこれらに限定されない。帯電補助剤は、好ましくは、約1〜約100mg/粒子質量1g、更に好ましくは、約50〜約200mg/gの量で懸濁材料に存在する。
【0056】
粒子の表面は、例えば、分散を助けるために、表面帯電を改善するために、および分散の安定性を改善するために化学的に変性し得る。表面変性剤としては、有機シロキサン、有機ハロゲンシランおよびその他の官能性シランカップリング剤(Dow Corning.RTM.Z−6070、Z−6124 and 3 additive、Midland、Mich.);有機チタネートおよびジルコネート(Tyzor.RTM.TOT、TBT、and TE Series、E.I.du Pont de Nemours and Company、Wilminton、Del.);疎水化剤、例えば、長鎖(C12〜C50)アルキルおよびアルキルベンゼンスルホン酸、脂肪族アミンまたはジアミンおよびそれらの塩または第4級誘導体等;および粒子表面に共有結合することのできる両親媒性ポリマーが挙げられる。
【0057】
一般に、帯電は、連続相に存在する幾つかの部分および粒子表面との間の酸−塩基反応の結果と考えられる。したがって、有用な材料は、このような反応、または当該技術分野において知られている任意の他の帯電反応に参画することのできるものである。
【0058】
有用である帯電調節剤の異なる非限定的クラスとしては、有機スルフェートまたはスルホネート、金属石鹸、ブロックまたは櫛型コポリマー、有機アミド、有機両性イオン、ならびに有機ホスフェートおよびホスホネートが挙げられる。有用な有機スルフェートおよびスルホネートとしては、ナトリウムビス(2−エチルヘキシル)スルホスクシネート、カルシウムドデシルベンゼンスルホネート、カルシウムペトロリウムスルホネート、中性または塩基性バリウムジノニルナフタレンスルホネート、中性または塩基性カルシウムジノニルナフタレンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、およびアンモニウムラウリルスルフェートが挙げられるがこれらに限定されない。有用な金属石鹸としては、塩基性または中性バリウムペトロネート、カルシウムペトロネート、ナフテン酸のCo−、Ca−、Cu−、Mn−、Ni−、Zn−、およびFe−塩、ステアリン酸のBa−、Al−、Zn−、Cu−、Pb−、およびFe−塩、2価および3価金属カルボキシレート、例えば、アルミニウムトリステアレート、アルミニウムオクタノエート、リチウムヘプタノエート、鉄ステアレート、鉄ジステアレート、バリウムステアレート、クロムステアレート、マグネシウムオクタノエート、カルシウムステアレート、鉄ナフテネート、および亜鉛ナフテネート、Mn−およびZn−ヘプタノエート、ならびにBa−、Al−、Co−、Mn−、およびZn−オクタノエートが挙げられるがこれらに限定されない。有用なブロックまたは櫛型コポリマーとしては、(A)メチル−p−トルエンスルホネートで4級化された2−(N,N)−ジメチルアミノエチルメタクリレートのポリマーおよび(B)ポリ−2−エチルヘキシルメタクリレートのABジブロックコポリマー、ならびにポリ(12−ヒドロキシステアリン酸)の油溶性尾部を持ち、ポリ(メチルメタクリレート−メタクリル酸)の油溶性アンカー基に、約1800の分子量のペンダントを有する櫛型グラフトコポリマーが挙げられるがこれらに限定されない。有用な有機アミドとしては、ポリイソブチレンスクシンイミド、例えば、OLOA 1200、およびN−ビニルピロリドンポリマーが挙げられるがこれらに限定されない。有用な有機両性イオンとしては、レシチンが挙げられるがこれに限定されない。有用な有機ホスフェートおよびホスホネートとしては、飽和および不飽和酸置換基を伴うリン酸塩化モノ−およびジ−グリセリドのナトリウム塩が挙げられるがこれに限定されない。
【0059】
粒子分散安定剤が、粒子凝集またはカプセル壁への結合を防ぐために添加されてよい。電気泳動ディスプレイにおいて懸濁液体として使用される一般的な高抵抗性液体に対してナノ水性界面活性剤が使用されてよい。これらは、グリコールエーテル、アセチレングリコール、アルカノールアミド、ソルビトール誘導体、アルキルアミン、第4級アミン、イミダゾリン、ジアルキルオキシド、およびスルホスクシネートを含むがこれらに限定されない。
【0060】
(懸濁材料)
本発明の懸濁材料(図1における項目14)は、本発明の作用剤およびマイクロカプセルコーティングと相溶性である、当該技術分野において知られた任意の材料であることができ、例えば、誘電液体であることができる。作用剤の移動が色調調整にとって必須ではない実施形態においては、液体ではない懸濁材料を含むことができる。
【0061】
様々な実施形態において、懸濁材料は、高い電気的抵抗性、低い誘電定数の液体であることができ、ハロゲン化炭化水素、例えば、テトラクロロエチレン等、もしくは低分子量ポリマー、例えば、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等、またはペルフルオロ化ポリエーテルであることができる。懸濁液体は、炭化水素もしくはアクリルモノカルボン酸エステル、例えば、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)またはトリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)およびトリエチレングリコール(2−エチルヘキサノエート)との混合物であってもよい。
【0062】
様々な実施形態において、懸濁材料は、低分子量ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ペルフルオロ化ポリエーテル、脂肪族炭化水素、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)、またはトリエチレングリコール(2−エチルヘキサノエート)およびトリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)との混合物であることができる。
【0063】
懸濁材料が液体である実施形態において、懸濁液体は、密度、屈折率、および溶解度等の性質に基づいて選択することができる。好ましい懸濁液体は、低誘電定数(例えば、約2)、高容量抵抗(例えば、約1015ohm−cm)、低粘度(例えば、5cst未満)、低毒性および環境影響、低水溶性(例えば、10ppm未満)、高比重(例えば、1.5より上)、高沸点(例えば、90℃より上)、ならびに低屈折率(例えば、1.2未満)を有する。
【0064】
懸濁液体の選択は、化学的不活性、使用される作用剤と一致する密度、または作用剤およびマイクロカプセルコーティングの両方との化学的相溶性の関係をベースとしてよい。液体の粘度は、一般に、作用剤の移動を促進するために低くあるべきである。懸濁液体の屈折率は、作用剤のそれと実質的に一致してよい。本明細書において使用される懸濁液体の屈折率は、これらのそれぞれの屈折率間の差が0〜0.3の間であれば、作用剤の屈折率に「実質的に一致する」。様々な実施形態においては、この差は、0.05〜0.2の間である。
【0065】
有機溶媒、例えば、ハロゲン化有機溶媒、飽和線状または分岐炭化水素、シリコーン油、および低分子量ハロゲン含有ポリマー等は、幾つかの有用な懸濁液体である。懸濁液体は、単一液体を含み得る。しかし、液体は、その化学的および物理的性質を合わせるために、1つより多い液体のブレンドであることができる。更に、液体は、電気泳動剤またはマイクロカプセルコーティングの表面エネルギーまたは電荷を変性するための表面変性剤を含み得る。マイクロカプセル化方法において使用される反応体または溶媒(例えば、油溶性モノマー)は、また、懸濁液体に含まれることができる。帯電調節剤も、懸濁液体に添加することができる。
【0066】
有用な有機溶媒としては、エポキシド、例えば、デカンエポキシドおよびドデカンエポキシド等;ビニルエーテル、例えば、シクロヘキシルビニルエーテルおよびDecave(商標)(International Flavors&Fragrances、Inc.、New York、N.Y.)、ならびに芳香族炭化水素、例えば、トルエンおよびナフタレン等が挙げられるがこれらに限定されない。有用なハロゲン化有機溶媒としては、テトラフルオロジブロモエチレン、テトラクロロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、1,2,4−トリクロロベンゼン、および四塩化炭素が挙げられるがこれらに限定されない。
【0067】
有用な炭化水素としては、ドデカン、テトラデカン、Isopar(商標)系における脂肪族炭化水素(Exxon、Houston、Tex.)、Norpar(商標)(一連の直鎖パラフィン液体)、Shell−Solo(商標)(Shell、Houston、Tex.)、およびSol−Trol(商標)(Shell)、ナフサ、ならびにその他の石油溶媒が挙げられるがこれらに限定されない。
【0068】
シリコーン油の有用な例としては、オクタメチルシクロシロキサンおよび高分子量環状シロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)、ヘキサメチルジシロキサン、およびポリジメチルシロキサンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0069】
有用な低分子量ハロゲン含有ポリマーとしては、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)ポリマー(Halogenated hydrocarbon Inc.、River Edge、N.J.)、Galdene(商標)(Ausimont、Morristown、N.J.社のペルフルオロ化エーテル)、またはE.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,Del.)社のKrytox(商標)が挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態において、懸濁液体は、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)ポリマーである。様々な実施形態において、このポリマーは、2〜10の重合度を有する。上述の材料の多くは、粘度、密度、および沸点の範囲において利用可能である。
【0070】
カプセルが形成される前に、液体を、小さな液滴に形成することができることが望ましい。小さな液滴を形成する方法としては、当該技術分野において良く知られている、流動ジェット、膜、ノズル、またはオリフィス、および剪断をベースとした乳化の仕組みが挙げられる。小さな液滴の形成は、電場または音波場により手助けされてもよい。界面活性剤およびポリマーは、エマルションタイプのカプセル化の場合において、液滴の安定化およびエマルション化における手助けのために使用することができる。本発明のディスプレイにおける使用のための界面活性剤は、ナトリウムドデシルスルフェートである。
【0071】
(マイクロカプセルコーティングおよび形成技術)
本発明のマイクロカプセルは、当該技術分野において知られている任意の方法により形成することができ、用途に適した任意のコーティング(図1における項目12)を含むことができる(例えば、米国特許第6120588号および第6045955号;WO00/20921;WO99/10767;およびComiskey et al.Nature 394:253−55(1998)を参照されたい)。本発明の様々な実施形態においては、マイクロカプセルコーティングは、ポリ(ビニルブチラール)、ゼラチン、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、アシアシア(aciacia)、カラゲナン、ヒドロキシル化スチレン無水物コポリマー、メチルビニルエーテルコ−マレイン酸無水物、ポリビニルピリジン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、アルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、メラミン縮合物の水溶性オリゴマー、尿素の水溶性オリゴマー、ホルムアルデヒドの水溶性オリゴマー、ならびにビニルモノマー、例えば、スチレン、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、ジアシルクロライド、酢酸ビニル、アクリル酸、ブチルアクリレート、およびt−ブチルアクリレート等を伴うポリヒドロキシアミドからなる群から選択されるメンバーを含む、ポリマーコーティングである(例えば、PCT/US98/17734を参照されたい)。
【0072】
1つまたは複数の分散した作用剤を伴う懸濁材料、特に懸濁液体、のカプセル化は、多数の異なる方法において遂行されてよい。マイクロカプセル化の多数の適切な方法は、Microencapsulation、Processes and Applications、(I.E.Vandegaer、ed.)、Plenum Press、New York、N.Y.(1974)およびGutcho、Microcapusules and Microencapsulation Techniques、Nuyes Dala Corp.、Park Ridge、N.J.(1976)に詳述されている。この方法は、幾つかの一般的な範疇に分けられ、その全てが、本発明に適用できる:界面重合、現場重合、押出し、二軸スクリューを使用する配合等の物理的方法および相分離方法、液状での硬化、ならびに単一/複合コアセルベーション。
【0073】
多数の材料および方法が、本発明の調整可能な色調調整パネルにおいて有用なポリマーシートの形成において有用である。単一コアセルベーション方法にとって有用な材料としては、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、および、例えば、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体が挙げられるがこれらに限定されない。複合コアセルベーション方法にとって有用な材料としては、ゼラチン、アシアシア(aciacia)、カラゲナン、カルボキシメチルセルロース、加水分解されたスチレン無水物コポリマー、寒天、アルギネート、カゼイン、アルブミン、メチルビニルエーテルコ−マレイン酸無水物、およびセルロースフタレートが挙げられるがこれらに限定されない。相分離方法にとって有用な材料としては、ポリスチレン、PMMA、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、エチルセルロース、ポリビニルピリジン、およびポリアクリロニトリルが挙げられるがこれらに限定されない。現場重合方法にとって有用な材料としては、アルデヒド、メラミン、または尿素およびホルムアルデヒド;メラミン縮合物の水溶性オリゴマー、または尿素およびホルムアルデヒド;ならびにビニルモノマー、例えば、スチレン、MMAおよびアクリロニトリル等を伴うポリヒドロキシアミドが挙げられるがこれに限定されない。最後に、界面重合方法にとって有用な材料としては、ジアシルクロライド、例えば、セバコイル、アジポイル、およびジ−またはポリ−アミンまたはアルコール、ならびにイソシアネートが挙げられるがこれらに限定されない。有用なエマルション重合材料としては、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸、ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、およびブチルメタクリレートが挙げられてもよいがこれらに限定されない。
【0074】
本発明の文脈においては、当業者は、所望のマイクロカプセルの性質に基づいて、カプセル化方法およびコーティング材料を選択する。これらの性質としては、マイクロカプセル半径の分布;電気的、機械的分散、およびカプセル壁の光学的性質;および懸濁材料との化学的相溶性が挙げられる。
【0075】
マイクロカプセルコーティング材料は、一般的に高電気抵抗を有する(例えば、米国特許第4605284号を参照されたい)。コーティングは、機械的に強くなければならない(完成したマイクロカプセル粉末が、コーティングのための硬化性ポリマーバインダーにおいて分散されるものである場合は、機械的強度は重要ではないが)。
【0076】
マイクロカプセルコーティングは、ある用途においては多孔性であることができ、これらは、後処理工程(即ち、第二カプセル化)において上塗りすることができる。更に、マイクロカプセルが、硬化性バインダーに分散される場合は、バインダーは、孔を塞ぐのに役立つことができる。マイクロカプセルコーティングは、様々な実施形態において、場合により透明であることができる。しかし、コーティング材料は、懸濁材料または、マイクロカプセルが分散されるものであるポリマー層のバインダーの屈折率に一致させるために選択され得る。ある用途(例えば、2つの固定電極間の中間挿入)にとっては、単分散マイクロカプセル半径が望ましい。
【0077】
本発明で使用することのできるカプセル化方法は、米国特許第4087376号に示されている。この方法は、負帯電の、カルボキシル−置換した線状炭化水素高分子電解質材料の存在において、油/水型エマルションの水性相における尿素およびホルムアルデヒド間の重合を含む。得られるマイクロカプセルコーティングは、尿素/ホルムアルデヒドコポリマーである。マイクロカプセルは透明で、機械的に強く、良好な抵抗性を有している。
【0078】
現場重合の関連方法は、懸濁材料および作用剤を水性環境に分散することにより形成される、油/水型エマルションを利用する。モノマーは、水性相よりも内部相に高い親和性を持つポリマーを形成するように重合させ、乳化した油状液滴の周りに縮合する。1つの現場重合方法においては、尿素およびホルムアルデヒドが、ポリ(アクリル酸)の存在下で縮合させられる(例えば、米国特許第4001140号を参照されたい)。米国特許第4273672号に記載されているその他の有用な方法においては、水溶液において生み出される任意の様々な架橋剤が、微細な油滴の周りに堆積する。このような架橋剤としては、アルデヒド、特にホルムアルデヒド、グリオキサール、またはグルタルアルデヒド;明礬;ジルコニウム塩;およびポリイソシアネートが挙げられる。
【0079】
コアセルベーション方法も、油/水型エマルションを利用する。1つまたは複数のコロイドは、水性相の外にコアセルベートされ(即ち、凝集される)、温度、pHおよび/または相対的濃度の調節により油状液滴の周りに殻として堆積し、マイクロカプセルを創り出す。コアセルベーションに適した材料としては、ゼラチンおよびアラビアゴムが挙げられる。例えば、米国特許第2800457号を参照されたい。
【0080】
界面重合方法は、再度、水性相においてエマルションとして存在する、電気泳動組成物における油溶性モノマーの存在を使用する。微細な疎水性液滴におけるモノマーは、水性相に導入されたモノマーと反応して、液滴および取り囲んでいる水性媒体との間の界面で重合し、液滴の周りに殻を形成する。
【0081】
当該技術分野に知られているその他の方法および材料も使用することができる。
【0082】
(バインダー)
図7に示される構造を利用する実施形態において、バインダー38は、任意の適当な材料を含むことができる。様々な実施形態において、バインダーは、マイクロカプセルまたは作用剤を、直接に支持または保護し、加えて、電極層をマイクロカプセル分散体に結合する非導電性、接着性媒体として使用される。バインダーは、多くの形態および化学的タイプにおいて利用可能である。これらの中には、水溶性ポリマー、水性ポリマー、油溶性ポリマー、熱硬化性および熱可塑性ポリマー、および放射線硬化ポリマーがある。
【0083】
水溶性ポリマーの中には、様々な多糖類、ポリビニルアルコール、N−メチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、様々なCarbowax.RTM種(Union Carbide、Danbury、Conn.)、およびポリ−2−ヒドロキシエチルアクリレートがある。
【0084】
水分散または水性系は、一般に、Neore(商標)およびNeocryl(商標)樹脂(Zeneca Resins、Wilmington、Mass.)、Acrysol(商標)(Rohm and Haas、Philadelphia、Pa.)、Bayhydrol(商標)(Bayer、Pittsburgh、Pa.)、およびCytec Industries(West Paterson、N.J.)HP系列によりタイプ分けされるラテックス組成物である。これらは、一般に、ガラス転移温度、「粘着」の程度、柔軟性、透明性、可撓性、水浸透性および溶媒抵抗性、伸び弾性および引張り強度、熱可塑性フロー、ならびに固形分水準により定義される特定の性質の設定により最終硬化樹脂を適合させるような、アクリル、ポリエステル、ポリカーボネートまたはシリコーンの1つまたは複数と、場合により配合されるポリウレタンのラテックスである。ある水性系は、反応性モノマーと混合することができ、更に複雑な樹脂を形成するために触媒することができる。あるもの例えば、カルボキシル基と反応するアジリジン等の架橋剤の使用により、更に架橋することができる。
【0085】
水性樹脂および水性マイクロカプセルの例は、次の通りである:
或る容積のマイクロカプセルが、過剰の水を分離するために低速度で遠心分離に掛けられる。例えば、60倍の重力で10分の一定の遠心分離処理後に、マイクロカプセルは、遠心分離管の底部に見出され、一方、水部分は頂部にある。水部分は、注意深く除去される(デカントまたはピッペトで)。残ったマイクロカプセルの質量が測定され、バインダーの樹脂の質量は、樹脂の質量が、マイクロカプセルの質量の1/8〜1/10であるように添加される。この混合物は、約30分間、振動混合機で穏やかに混合される。約30分後に、混合物は、適当な基体、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に被覆するために準備される。勿論、上述の任意のバインダーは、本発明のマイクロカプセルとの任意の組合せにおいて使用することができる。
【0086】
使用することのできるバインダーの他の例は、エポキシである。これらの二成分系は、粘度を大きく変えることができ、この対の反応性は、混合物の「可使時間」を決定する。可使時間が、コーティング操作を可能にするのに十分長ければ、マイクロカプセルは、樹脂の硬化および固化前に、コーティング工程において順序通りの配列において被覆され得る。
【0087】
多くの場合ポリエステルである熱可塑性ポリマーは、高温で溶融される。このタイプの製品の一般的用途は、ホットメルト接着剤である。耐熱性マイクロカプセルの分散体は、そのような媒体において被覆することができる。固化工程は、冷却中に始まり、最終硬度、透明性および可撓性は、ポリマーの分岐度および分子量により影響を受ける。
【0088】
放射線硬化樹脂は一般に、溶媒ベース系の中に見出される。マイクロカプセルは、そのような媒体に分散されていてもよく、被覆されていてもよく、樹脂は、次いで、長短いずれかの波長の紫外線の閾値水準まで時限暴露することにより硬化されてもよい。硬化ポリマー樹脂の全ての場合におけるように、最終の性質は、モノマー、オリゴマーおよび架橋剤の分岐度および分子量により決定される。
【0089】
多数の「減水」モノマーおよびオリゴマーが利用できる。水は、これらの場合において、粘度を減少させるために使用される(最初、数千センチポイズのものを数十万センチポイズに)。例えば、タンパク質または多糖類で作られたもの等の水ベースマイクロカプセルは、そのような媒体に分散され、被覆される。そのような系における硬化は、一般に紫外線による。
【0090】
様々な実施形態においては、バインダーは、水溶性ポリマー、水性ポリマー、油溶性ポリマー、熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマー、および放射線硬化ポリマーからなる群から選択される。
【0091】
(ポリマー層)
図3に示されるポリマー層24は、この項で記載され、一般に、安全ガラス用途において中間層として有用である。ポリマー層は、任意の適切なポリマーを含むことができ、特に好ましい実施形態においては、上で例示されたように、ポリマー層は、ポリ(ビニルブチラール)を含む。本明細書において与えられる本発明の任意の実施形態において、ポリマー層のポリマー成分としてポリ(ビニルブチラール)を含み、他の実施形態は、ポリマー成分が、ポリ(ビニルブチラール)からなるか、または本質的にポリ(ビニルブチラール)からなるものを含む。これらの実施形態において、本明細書において開示された添加剤における任意の変体が、ポリ(ビニルブチラール)からなるか、または本質的にポリ(ビニルブチラール)からなるポリマーを有するポリマー層と一緒に使用することができる。
【0092】
本明細書において使用される「樹脂」とは、酸触媒反応およびそれに続くポリマー前駆体の中和から得られる混合物から取り出されるポリマー(例えば、ポリ(ビニルブチラール))成分を意味する。樹脂は、一般に、ポリマー、例えば、ポリ(ビニルブチラール)に加えて、アセテート、塩、およびアルコール等のその他の成分を有する。本明細書において使用される「溶融体」とは、樹脂と可塑剤、場合によりその他の添加剤との混合物を意味する。
【0093】
一実施形態において、ポリマー層は、部分的にアセタール化されたポリ(ビニルアルコール)をベースとしたポリマーを含む。他の実施形態において、ポリマー層は、ポリ(ビニルブチラール)、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ(エチレンビニルアセテート)、これらの組合せ等からなる群から選択されるポリマーを含む。一実施形態において、ポリマー層は、ポリ(ビニルブチラール)を含む。他の実施形態において、ポリマー層は、可塑化ポリ(ビニルブチラール)を含む。更なる実施形態において、ポリマー層は、ポリ(ビニルブチラール)および1つまたは複数のその他のポリマーを含む。適当なガラス転移温度を有するその他のポリマーも使用できる。本明細書の任意の項において、好ましいとされる範囲、値、および/または方法は、特に、ポリ(ビニルブチラール)について(および、例えば、可塑剤、成分割合、厚さ、および特性向上添加剤であってこれらに限定されないものに対して)与えられているが、これらの範囲は、また、適切な場合には、ポリマー層における成分として有効なものとして本明細書において開示されている他のポリマーまたはポリマーブレンドにも適用される。
【0094】
ポリ(ビニルブチラール)を含む実施形態では、ポリ(ビニルブチラール)は、ポリ(ビニルアルコール)とブチルアルデヒドとが、酸触媒の存在下で反応し、次いで、触媒の中和、樹脂の分離、安定化、および乾燥を含む、知られているアセタール化方法により製造できる。
【0095】
様々な実施形態において、ポリ(ビニルブチラール)を含むポリマー層は、PVOHとして計算して10〜35重量%(wt.%)の水酸基、PVOHとして計算して13〜30重量%(wt.%)の水酸基、またはPVOHとして計算して15〜22重量%(wt.%)の水酸基を含む。また、ポリマー層は、ポリ酢酸ビニルとして計算して15重量%未満の残留エステル基、13重量%、11重量%、9重量%、7重量%、5重量%、または3重量%未満の残留エステル基を含み、残部はアセタール、好ましくは、ブチルアルデヒドアセタールであるが、場合により、少量のその他のアセタール基、例えば、2−エチルヘキサナール基を含む(例えば、米国特許第5137954号を参照されたい)。
【0096】
様々な実施形態において、ポリマー層は、30,000、40,000、50,000、55,000、60,000、65,000、70,000、120,000、250,000、または350,000グラム/モル(g/モルまたはダルトン)を超える分子量を有するポリ(ビニルブチラール)を含む。少量のジアルデヒドまたはトリアルデヒドは、分子量を、350ダルトンを超えるまで増加させるために、アセタール化工程中に添加することもできる(例えば、米国特許第4874814号、第4814529号、および第4654179号を参照されたい)。本明細書において使用される「分子量」と言う用語は、重量平均分子量を意味する。任意の適当な方法が、本発明のポリマー層を製造するために使用することができる。ポリ(ビニルブチラール)を作るための適当な方法の詳細については、当業者の良く知るところである(例えば、米国特許第2282057号および第2282026号を参照されたい)。一実施形態においては、Encyclopedia of Polymer Science&Technology、3rd edition、Volume 8、pages 381−399、by B.E.Wade(2003)のVinyl Acetal Polymerにおいて記載されている溶媒方法が使用できる。別の実施形態においては、そこに記載されている水性方法が使用できる。ポリ(ビニルブチラール)は、例えば、Solutia Inc.、St.Louis、Missouriから様々な形態で、Butvar(商標)樹脂として市販されている。
【0097】
本発明のポリマー層の様々な実施形態において、ポリマー層は、樹脂(phr)100部当り、20〜60、25〜60、20〜80、または10〜70部の可塑剤を含むことができる。勿論、特定の用途にとって適切であれば、他の量が使用できる。幾つかの実施形態においては、可塑剤は、20未満、15未満、12未満、または10未満の炭素原子の炭化水素セグメントを有する。
【0098】
可塑剤の量は、ポリ(ビニルブチラール)層のガラス転移温度(T)に影響を及ぼすように調整することができる。一般に、多量の可塑剤は、Tを減少させるために添加される。本発明のポリ(ビニルブチラール)ポリマー層は、40℃以下、35℃以下、30℃以下、25℃以下、20℃以下、および15℃以下のTを有することができる。
【0099】
任意の適切な可塑剤が、ポリマー層を形成するために、本発明のポリマー樹脂に添加することができる。本発明のポリマー層において使用される可塑剤としては、とりわけ多塩基酸または多価アルコール等のエステルを挙げることができる。適切な可塑剤としては、例えば、トリエチレングリコールジ−(2−エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ−(2−エチルヘキサノエート)、トリエチレングリコールジヘプタノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、ジヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、ヘキシルシクロヘキシルアジペート、ヘプチルおよびノニルアジペートの混合物、ジイソノニルアジペート、ヘプチルノニルアジペート、ジブチルセバケート、油変性セバシン酸アルキド等のポリマー可塑剤、およびホスフェートと米国特許第3841890号において開示されているようなアジペートと米国特許第4144217号において開示されているようなアジペートとの混合物、ならびにそれらの混合物および組合せが挙げられる。使用することのできるその他の可塑剤は、米国特許第5013779号において開示されているような、C〜CアルキルアルコールおよびシクロC〜C10アルコールで作られる混合アジペート、ならびにヘキシルアジペート等のC〜Cアジペートエステルである。
【0100】
接着調節剤を、また、所望の接着性を付与するために本発明のポリマー層において含むことができる。例えば、米国特許第5728472号において開示されているACA社の任意の接着剤が使用できる。更に、残留酢酸ナトリウムおよび/または酢酸カリウムは、酸中和において使用される結合水酸化物の量を変えることにより調整することができる。様々な実施形態においては、本発明のポリマー層は、酢酸ナトリウムに加えて、マグネシウムビス(2−エチルブチレート)(ケミカルアブストラクト番号79992−76−0)を含む。マグネシウム塩を、ポリマー層のガラスへの接着を調節するのに効果的な量で含むことができる。
【0101】
添加剤が、最終製品におけるその機能を高めるために、ポリマー層に導入されてもよい。そのような添加剤としては、当該技術分野において知られているような、可塑剤、染料、顔料、安定剤(例えば、紫外線安定剤)、耐酸化剤、難燃剤、IR吸収剤、これらの添加剤の組合せ等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0102】
可視または近赤外スペクトルにおける光を選択的に吸収する作用剤は、いずれかの適切なポリマー層に添加することができる。使用できる作用剤としては、染料、顔料、インジウム錫酸化物、アンチモン錫酸化物または六臭化ランタンが挙げられる。
【0103】
ポリ(ビニルブチラール)ポリマーおよび可塑剤添加剤は熱処理することができ、当業者に知られている方法により、シート形態に構成することができる。ポリ(ビニルブチラール)層を形成するための1つの例示的方法は、樹脂、可塑剤、および添加剤を含む溶融ポリ(ビニルブチラール)(以後、「溶融体」)を、シートダイ(例えば、垂直寸法におけるよりも一次元寸法において実質的に大きい開口部を有するダイ)を介して溶融体に力を掛けて押出すことを含む。ポリ(ビニルブチラール)層を形成するためのその他の例示的方法は、溶融体をダイからローラー上にキャスティングし、樹脂を固化させ、その後、固化した樹脂をシートとして取り出すことを含む。いずれの実施形態においても、層のいずれかの側面または両側面における表面組織は、ダイ開口部の表面を調整することにより、またはローラー表面に組織を用意することにより調節されてよい。層組織を調節するためのその他の方法としては、材料のパラメーター(例えば、樹脂および/または可塑剤の水分含有量、溶融温度、ポリ(ビニルブチラール)の分子量分布、またはこれらのパラメーターの組合せ)を変えることが挙げられる。更に、層は、ラミネーション工程中の層の空気抜きを促進するために、一時的な表面不規則性を特徴づける、間隔をあけた突起であり、ラミネーション工程の後に、ラミネート工程の高温および高圧が、突起を層中に溶かし込み、それによって滑らかな仕上がりをもたらすような突起を含むように構成することができる。様々な実施形態においては、ポリマー層は、0.1〜2.5ミリメートル、0.2〜2.0ミリメートル、0.25〜1.75ミリメートル、および0.3〜1.5ミリメートル(mm)の厚さを有することができる。
【0104】
上述のポリマー層についてのパラメーターは、同様に、図5における第4層30および第5層32に適用され、同様に、ポリ(ビニルブチラール)タイプ層である本発明の複数層構造における任意の層に対して適用される。
【0105】
本発明のマイクロカプセルは、マイクロカプセルを可塑剤に混合し、次いで、層生成物の形成前に樹脂と溶融ブレンドすることにより、ポリマー層に簡単に添加することができる。同様に、本発明の作用剤は、作用剤を可塑剤に添加し、次いで、層形成前に樹脂と一緒に溶融ブレンドすることにより、マイクロカプセルなしでポリマー層において分散することができる。作用剤は、また、ポリマー相と相溶性ではない媒体においても分散することができる。この場合においては、分散体がポリマー相と組み合わされる場合は、それは、ポリマー相全体にわたって均一に分布した個々の球状ドメインに分離する。これは、ポリマー相それ自体である壁を持つマイクロカプセルを形成する(例えば、Meijer and Janssen、“Mixing of Immiscible Liquids,”in Mixing and Compounding of Polymers、Hanser Publishers、Munich and New York(1994)を参照されたい)。
【0106】
以下の項は、ポリマー層の性質を改善および/または測定するために使用することのできる様々な方法を記述する。
【0107】
ポリマー層、特にポリ(ビニルブチラール)層の透明性は、層を通って透過しない光の定量化である曇り度値を測定することにより決定することができる。曇り度%は、以下の方法により測定することができる。曇り度の量を測定するための装置、即ち、透過率計、Hunter Associates(Reston、VA)から入手できるModel D25を、2度の観察者角度で光源Cを使用する、ASTM D1003−61(1977年に再認定された)−手順Aに従って使用することができる。本発明の様々な実施形態において、曇り度%は、5%未満、3%未満、および1%未満である。
【0108】
可視透過率は、国際標準ISO 9050:1990年において記載されている方法により、Perkin Elmer Corp.製のLambda等のUV−Vis−NIR分光光度計を使用して定量化することができる。
【0109】
叩き接着は、以下の方法により測定することができ、「叩き」とは、本明細書では、ポリマー層のガラスへの接着を定量化することを指し、以下の方法が、叩きを決定するために使用される。2層ガラスラミネートサンプルを、標準オートクレーブラミネーション条件で調製する。ラミネートを、約−17℃(0°F)に冷却し、ガラスを破壊するために、ハンマーにより、手で叩きつける。次いで、ポリ(ビニルブチラール)層に接着していない全ての破壊されたガラスを除去し、ポリ(ビニルブチラール)層に接着して残ったガラスの量を、基準設定と目で比較する。基準設定は、ポリ(ビニルブチラール)層に接着して残るガラスの程度を変える目盛に相当する。具体的には、叩き基準が0では、ポリ(ビニルブチラール)層に接着して残るガラスはない。叩き基準が10では、ガラスの100%が、ポリ(ビニルブチラール)層に接着して残る。本発明のポリ(ビニルブチラール)層は、例えば、3〜10の叩き値を有することができる。
【0110】
(導電性ポリマーシート)
図4を参照すると、第2層26および第3層28、および図7に示される第1層40および第2層42を含むこのタイプの任意の追加層は、他の層であり、追加層上にまたは追加層中に導電性材料が分散できる他の層と相溶性であるいずれかの適切な材料を含むことができる。様々な実施形態においては、層は、ポリエチレンテレフタレートを包含するか、それからなるか、または本質的にそれからなる。様々な実施形態において、層は、ポリエチレンナフタレートを包含するか、それからなるか、または本質的にそれからなる。
【0111】
ポリエチレンテレフタレートの製造および得られる特性は、当該技術分野において良く知られており、例えば、3M(St.Poul、MN)またはCPFilms(Martinsville、VA)で造られたフィルム製品として購入することができる。ポリエチレンテレフタレート層は、銅グリッド、NIR吸収層、または当該技術分野において知られていて、ポリエチレンテレフタレートまたは同等の材料に印刷され、分散され、さもなければそれと一緒に使用される任意のその他の材料もしくは作用剤を場合により含むことができる。
【0112】
本発明の様々な実施形態においては、導電性材料は、知られている方法を使用してポリエチレン層(ポリマーシート)上に堆積される。本明細書において記載される本発明の任意の実施形態においては、導電性コーティングは、ポリマー層またはバインダーに向けてまたはそれから離れて適用することができる。マイクロカプセルが使用されず、作用剤がポリマー層またはバインダー全体にわたって分布されている実施形態においては、導電性コーティングは、一般に、作用剤を含むポリマー層またはバインダーと接触していないポリマーシートの側面に存在する。
【0113】
様々な実施形態においては、導電性コーティングは、インジウム錫酸化物、アンチモン錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、およびポリアニリン等の導電性ポリマーからなる群から選択される。他の金属コーティングが、同様に使用することができる。
【0114】
導電性ポリマーシートへの電気的接続は、電界の発生を可能とするために、当該技術分野において知られている任意の方法において形成することができる。
【0115】
(機能)
本発明の様々な実施形態は、詳細に上で記述されたが、本発明の複数層構造の機能が、ここで記述される。
【0116】
様々な構造が、一般に、層を通して光の最大透過をもたらす、分散された(最大平均分離)状態において配置される作用剤を伴って形成される。2つの導電性ポリマーシートに電圧を適用することにより、電界が、ポリマー層またはバインダー全体に発生する。
【0117】
この電界は、殆どの場合において、マイクロカプセルが使用される実施形態においては、懸濁液体の縁部、または作用剤が配置されているポリマー層またはバインダーの縁部への作用剤の電気泳動的移動をもたらす。使用される作用剤および他の材料によっては、作用剤は凝集し、凝集した作用剤は、一般に、電源の除去、その結果として生じる電界の消去後も凝集状態で残る。本発明の様々な実施形態においては、作用剤の凝集は、安定状態である。他の実施形態においては、凝集は安定ではなく、分散状態へのゆっくりした戻りが起る。当業者により理解されるように、作用剤、コーティング材料、懸濁液体、バインダー、およびポリマー層の選択は、全て、凝集状態の安定性に影響を及ぼすことがある。
【0118】
再度、選択される正確な材料によっては、凝集状態は、可逆的、部分的に可逆的、または不可逆的であることができる。本発明の様々な実施形態において、本発明の作用剤は、対向極性の電界間で単純に変更を繰り返すことにより、永久に凝集および分散を可逆的に行うことができる。最初の移動および凝集後に、電界の逆転極性は、作用剤が凝集状態から離れて移動するようにする。電界の期間を制限することにより、作用剤は、作用剤がマイクロカプセル、層、またはバインダーの反対側に到達する前に移動を停止することができ、それによって、非凝集状態への戻りを可能にする。更に、それぞれの電界の期間を変更することにより、それによって、作用剤の粒子の平均分離を変更することにより、最大および最小間の光透過の程度の変動が獲得できる。最後に、可逆系における両方の状態は、安定であることができ(即ち、状態を維持するための電界を必要としない)、双安定系をもたらす。
【0119】
本発明の方法は、開口部を通して光透過を可逆的に減少させる方法であり、前記開口部において複数層ガラスパネルを用意する工程[前記複数層ガラスパネルは、ポリマー層および前記ポリマー層の全体にわたって分布した複数のドメイン(前記ドメインは、前記第1層への電界の適用に対する応答において、前記第1層を通して透過することのできる可視光線の量における変化を引き起こす作用剤を含む。)を含む第1層;前記第1層と接触して配置された導電性ポリマーシートを含む第2層;および前記第2層の反対側に、前記第1層と接触して配置された導電性ポリマーシートを含む第3層を含む。];電源を前記第2層および前記第3層に接続して、それにより、前記第1層を横切る電界を発生させる工程;および前記第2層および前記第3層に対する前記電源の極性を逆転して、それにより前記電界を逆転する工程を含む方法を含む。
【0120】
本発明の方法は、また、前記開口部において複数層ガラスパネルを用意する工程[前記複数層ガラスパネルは、ポリマー層および前記ポリマー層の全体にわたって分布した複数のドメイン(前記ドメインは、前記第1層に対する電界の適用に対する応答において、前記第1層を通して透過することのできる可視光線の量における減少を引き起こす作用剤を含む。)を含む第1層;前記第1層と接触して配置された導電性ポリマーシートを含む第2層;および前記第2層の反対側に、前記第1層と接触して配置された導電性ポリマーシートを含む第3層を含む。];および電源を前記第2層および前記第3層に接続して、それにより、前記第1層を横切る電界を発生させる工程を含む、開口部を通して光透過を減少させる方法を含む。
【0121】
本発明の様々な実施形態において、分散状態から更に高度に凝集した状態への間の転移における光学状態の変化は、高い可視透過透明状態から広く散乱した高い可視透過状態、高い可視透過状態から低い可視透過(高度に吸収している)状態、低い可視透過吸収状態から高い可視透過状態または整列したコロイド状結晶の凝集状態をベースとした波長選択的反射状態であることができる(Liz−Marzan and Mulvaney、J.Phys.Chem.B、107:7321−7324(2003)を参照されたい)。
【0122】
本発明の他の実施形態において、上で与えられたいずれの作用剤も、適切な場合には、高度に吸収するナノ粒子(金、銀、カーボンブラック、インジウム錫酸化物、または六臭化ランタン等)の分散が、電界の適用によって、層の面の線に沿って横向きに引張られる構造において使用することができる。この実施形態においては、分散した高度に吸収する粒子は、シートまたはシートに導入するラミネート艶出し加工全体の領域を実質的にカバーする。電界の適用は、吸収粒子に横向きの移動を引き起こし、それによって、シートまたは艶出し加工の殆どの領域が透明になるようにする(例えば、WO99/10767を参照されたい)。
【0123】
更に、本発明は、本明細書において開示されたいずれかの複数層構造を含むラミネート安全ガラスパネルを含む。ポリマーの層は、一般に二酸化珪素を含むガラスの2つの層間に配置することができる。更に、本明細書において記載されたいずれかの複数ポリマー層構造を伴うガラスのシートを含むラミネート安全ガラスを含む。
【0124】
本発明は、また、窓遮蔽、窓、ディスプレイパネル、サングラス、安全装置、および本発明のガラスパネルを含むその他の完成ガラス製品を含む。
【実施例1】
【0125】
ゴムスペーサーを使用して0.2cm離した、ポリエチレンテレフタレートの2つの透明な導電性片を含む電気泳動テストセルを構成する。導電性PET電極が、二片のガラスで支持されている。電極を直流電源に接続する。エチレングリコールに分散した負帯電シリカナノ粒子のサンプルを、電極間に置き、電圧を掛ける。DP 5820、DP 5480、およびDP 5540と標識された3つの分散体を使用する(Nyacol Nanotechnologies (Ashland MA)から入手可能)。エチレングリコールにおける3つの異なるサイズのシリカ粒子についての結果は、光透過率対時間のプロットである図8に示される。図8に示される通り、電極間に50ボルト/cmの電界を生成する、電極を横切る10ボルトの適用により、可視電気泳動移動および正電極上でのシリカの堆積が存在し、光透過率における減少をもたらす。電圧の極性を切り替えると、光透過における増加により示されるように、シリカナノ粒子が再分散を起こし、光透過率における減少により示されるように、対極上に堆積する。
【0126】
図9aおよび9bは、約20nmの名目粒径および低光透過状態に相当する、幾つかの大きな凝集を持つ、ITO電極上に堆積したDP5820からのシリカ粒子の走査電子顕微鏡写真である。適用電圧の増加は、高い光透過状態および低い光透過状態間の切り替え時間を減少させる。
【0127】
凝集状態における光透過の減少は、光散乱の増加が原因であると考える。増加した光散乱の原因は、良く分散した個々のナノ粒子に関連する大きな粒子凝集の散乱効率における増加と相まって、エチレングリコール(1.430)およびシリカ(1.456)間の屈折率の不一致にあると考える。
【実施例2】
【0128】
トリエチレングリコールに分散した負帯電シリカナノ粒子のサンプルを、実施例1に記載された電気泳動テストセルの電極間に置く。電極を横切る電圧の適用で、電圧の適用を延ばしても、光透過の変化は観察されない。光透過の変化がない理由は、トリエチレングリコール(1.457の屈折率)およびシリカ(1.456の屈折率)の屈折率のほぼ完全な一致にあると考える。実施例1の系においては、シリカの屈折率およびエチレングリコールの屈折率(1.430)との間には著しい相違が存在し、そのため、凝集状態における光散乱の増加によって光透過の変化が観察される。
【実施例3】
【0129】
トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)に分散したインジウム錫酸化物ナノ粒子のサンプルを、実施例1において記載された電気泳動テストセルの電極間に置く。電気泳動テストセルの電極を横切る電圧の適用で、光透過の変化は観察されない。トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)の低極性のため、インジウム錫酸化物ナノ粒子が電気泳動移動を起こすのに不十分な電荷が存在するものと考える。
【0130】
本発明の効力により、今や、改善されたプライバシーおよび天候調節のための光透過の調整を可能にする、調整可能な色調調整を有する、複数層ガラスパネル、またはラミネートパネルを提供することが可能である。
【0131】
本発明は、例示的実施形態で記載されたが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われてもよく、均等物は、その要素に対して置換されてもよいことは、当業者に理解される。更に、多くの変更は、本発明の範囲から逸脱することなく、特定の状態または材料に本発明の教示を適合させるために行われてもよい。したがって、本発明は、本発明を実施するに当って熟慮された最上の形式として開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲内に入る全ての実施形態を含むことが意図される。
【0132】
更に、本発明の任意の単独成分に対して与えられた、任意の範囲、値、または特性は、本明細書の全体にわたって与えられた、成分のそれぞれに対して定義された値を有する実施形態を形成するために、互換性があれば、本発明の任意のその他の成分に対して与えられた任意の範囲、値、または特性と交替で使用することができる。例えば、ポリマー層は、可塑剤に対して与えられた任意の範囲に加えて、与えられた任意の範囲におけるアセテートを含めて形成することができ、本発明の範囲内にある多くの置換を形成する。
【0133】
要約および特許請求の範囲内で与えられる、任意の図参照番号は、例示目的だけのもので、いずれかの図に示される任意の1つの特定の実施形態に特許請求された本発明を限定するためのもと解釈されるべきではない。
【0134】
本明細書において参照される雑誌論文、特許、特許出願、および書籍を含むそれぞれの参照は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】電極に電圧を適用する前の、2つの電極間に配置されたドメインの断面の概略説明を示す図である。
【図2】2つの電極間に電源を適用した後の、図1に示される概略説明を示す図である。
【図3】本発明の作用剤を含むドメインを有するポリマー層の概略断面を示す図である。
【図4】2つの導電性ポリマー層の間に配置された、図3に示されるポリマー層の概略断面を示す図である。
【図5】ポリマー層が付加される、本発明の様々な実施形態の概略断面を示す図である。
【図6】ポリマー材料の複数層が、ガラスパネルにおいて2つのガラス層間に配置される、本発明の実施形態を示す図である。
【図7】バインダーを使用する、本発明の様々な実施形態の概略断面を示す図である。
【図8】3つの例の分散体に対する検出器電圧出力対時間のグラフを示す図である。
【図9a】インジウム錫酸化物電極上に堆積されたシリカゾルの走査電子顕微鏡写真である。
【図9b】インジウム錫酸化物電極上に堆積されたシリカゾルの走査電子顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー層;および
前記ポリマー層の全体にわたって分布した複数のドメイン(前記ドメインは、ポリマーシートへの電界の適用に対する応答において、前記ポリマーシートを通して透過することのできる可視光線の量における変化を引き起こす作用剤を含む。)
を含むポリマーシート。
【請求項2】
前記ドメインが、マイクロカプセルの形態である、請求項1に記載のポリマーシート。
【請求項3】
前記マイクロカプセルが、ポリマーコーティング中にカプセル化された誘電材料を含み、前記作用剤が、前記誘電材料中に配置されている、請求項2に記載のポリマーシート。
【請求項4】
前記ポリマーコーティングが、ポリ(ビニルブチラール)、ゼラチン、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、アシアシア(aciacia)、カラゲナン、ヒドロキシル化スチレン無水物コポリマー、メチルビニルエーテルコ−マレイン酸無水物、ポリビニルピリジン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、[アルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、メラミン縮合物の水溶性オリゴマー、尿素の水溶性オリゴマー、ホルムアルデヒドの水溶性オリゴマー、スチレン、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、ジアシルクロライド、酢酸ビニル、アクリル酸、ブチルアクリレート、およびt−ブチルアクリレートを伴う]ポリヒドロキシアミドからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項3に記載のポリマーシート。
【請求項5】
前記誘電材料が、低分子量ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ペルフルオロ化ポリエーテル、脂肪族炭化水素、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)、ならびにトリエチレングリコール(2−エチルヘキサノエート)およびトリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)との混合物からなる群から選択される、請求項3に記載のポリマーシート。
【請求項6】
前記作用剤が、アナターゼチタニア、ルチルチタニア、硫酸バリウム、シリカ、珪酸マグネシウム、炭酸カルシウム、インジウム錫酸化物、アンチモン錫酸化物、カーボンブラック、酸化亜鉛、六臭化ランタン、金、銀、銅、白金、パラジウム、およびこれらの合金からなる群から選択される、請求項1に記載のポリマーシート。
【請求項7】
前記作用剤が、チタニア、シリカ、カーボンブラック、金、および銀からなる群から選択される、請求項1に記載のポリマーシート。
【請求項8】
前記電界の適用が、前記作用剤に凝集を引き起こす、請求項1に記載のポリマーシート。
【請求項9】
前記ポリマー層が、ポリ(ビニルブチラール)を含む、請求項1に記載のポリマーシート。
【請求項10】
前記ポリマー層が、可塑剤を更に含む、請求項9に記載のポリマーシート。
【請求項11】
ポリマー層、および前記ポリマー層の全体にわたって分布した複数のドメイン(前記ドメインは、第1層への電界の適用に対する応答において、前記第1層を通して透過することのできる可視光線の量における変化を引き起こす作用剤を含む。)を含む第1層;
前記第1層と接触して配置されている、導電性ポリマーシートを含む第2層;および
前記第2層の反対側に、前記第1層と接触して配置されている、導電性ポリマーシートを含む第3層
を含む複数層ガラスパネル。
【請求項12】
前記ドメインが、マイクロカプセルの形態である、請求項11に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項13】
前記マイクロカプセルが、ポリマーコーティング中にカプセル化された誘電材料を含み、前記作用剤が、前記誘電材料中に配置されている、請求項12に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項14】
前記ポリマーコーティングが、ポリ(ビニルブチラール)、ゼラチン、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、アシアシア(aciacia)、カラゲナン、ヒドロキシル化スチレン無水物コポリマー、メチルビニルエーテルコ−マレイン酸無水物、ポリビニルピリジン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、[アルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、メラミン縮合物の水溶性オリゴマー、尿素の水溶性オリゴマー、ホルムアルデヒドの水溶性オリゴマー、スチレン、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、ジアシルクロライド、酢酸ビニル、アクリル酸、ブチルアクリレート、およびt−ブチルアクリレートを伴う]ポリヒドロキシアミドからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項13に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項15】
前記誘電材料が、低分子量ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ペルフルオロ化ポリエーテル、脂肪族炭化水素、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)、ならびにトリエチレングリコール(2−エチルヘキサノエート)およびトリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)との混合物からなる群から選択される、請求項13に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項16】
前記作用剤が、アナターゼチタニア、ルチルチタニア、硫酸バリウム、シリカ、珪酸マグネシウム、炭酸カルシウム、インジウム錫酸化物、アンチモン錫酸化物、カーボンブラック、酸化亜鉛、六臭化ランタン、金、銀、銅、白金、パラジウム、およびこれらの合金からなる群から選択される、請求項11に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項17】
前記作用剤が、チタニア、シリカ、カーボンブラック、金、および銀からなる群から選択される、請求項11に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項18】
前記電界の適用が、前記作用剤に凝集を引き起こす、請求項11に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項19】
前記ポリマー層が、ポリ(ビニルブチラール)を含む、請求項11に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項20】
前記ポリマー層が、可塑剤を更に含む、請求項19に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項21】
前記第2層の前記ポリマーシートが、ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項11に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項22】
前記ポリエチレンテレフタレートが、インジウム錫酸化物、アンチモン錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、金属コーティング、ポリアニリン、および導電性ポリマーからなる群から選択される導電性材料で被覆されている、請求項21に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項23】
前記第3層の前記ポリマーシートが、ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項11に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項24】
前記ポリエチレンテレフタレートが、インジウム錫酸化物、アンチモン錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、金属コーティング、ポリアニリン、および導電性ポリマーからなる群から選択される導電性材料で被覆されている、請求項23に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項25】
前記第2層に接触して配置されたポリ(ビニルブチラール)を含む第4層を更に含む、請求項11に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項26】
前記第3層に接触して配置されたポリ(ビニルブチラール)を含む第5層を更に含む、請求項25に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項27】
前記第4層に接触して配置されたガラスの第6層および前記第5層に接触して配置されたガラスの第7層を更に含む、請求項26に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項28】
導電性ポリマーシートを含む第1層および導電性ポリマーシートを含む第2層を含み、
前記第1層および第2層は、バインダー全体にわたって分布した複数のドメイン(前記ドメインは、前記バインダーへの電界の適用に対する応答において、ガラスパネルを通して透過することのできる可視光線の量における変化を引き起こす作用剤を含む。)を含む前記バインダーで一緒に結合されている
複数層ガラスパネル。
【請求項29】
前記ドメインが、マイクロカプセルの形態である、請求項28に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項30】
前記マイクロカプセルが、ポリマーコーティング中にカプセル化された誘電材料を含み、前記作用剤が、前記誘電材料中に配置されている、請求項29に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項31】
前記ポリマーコーティングが、ポリ(ビニルブチラール)、ゼラチン、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、アシアシア(aciacia)、カラゲナン、ヒドロキシル化スチレン無水物コポリマー、メチルビニルエーテルコ−マレイン酸無水物、ポリビニルピリジン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、[アルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、メラミン縮合物の水溶性オリゴマー、尿素の水溶性オリゴマー、ホルムアルデヒドの水溶性オリゴマー、スチレン、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、ジアシルクロライド、酢酸ビニル、アクリル酸、ブチルアクリレート、およびt−ブチルアクリレートを伴う]ポリヒドロキシアミドからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項30に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項32】
前記誘電材料が、低分子量ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ペルフルオロ化ポリエーテル、脂肪族炭化水素、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)、ならびにトリエチレングリコール(2−エチルヘキサノエート)およびトリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)との混合物からなる群から選択される、請求項30に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項33】
前記作用剤が、アナターゼチタニア、ルチルチタニア、硫酸バリウム、シリカ、珪酸マグネシウム、炭酸カルシウム、インジウム錫酸化物、アンチモン錫酸化物、カーボンブラック、酸化亜鉛、六臭化タンタン、金、銀、銅、白金、パラジウム、およびこれらの合金からなる群から選択される、請求項28に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項34】
前記作用剤が、チタニア、シリカ、カーボンブラック、金、および銀からなる群から選択される、請求項28に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項35】
前記電界の適用が、前記作用剤に凝集を引き起こす、請求項28に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項36】
前記第1層の前記ポリマーシートが、ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項28に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項37】
前記ポリエチレンテレフタレートが、インジウム錫酸化物、アンチモン錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、金属コーティング、ポリアニリン、および導電性ポリマーからなる群から選択される導電性材料で被覆されている、請求項36に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項38】
前記第2層の前記ポリマーシートが、ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項28に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項39】
前記ポリエチレンテレフタレートが、インジウム錫酸化物、アンチモン錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、金属コーティング、ポリアニリン、および導電性ポリマーからなる群から選択される導電性材料で被覆されている、請求項38に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項40】
前記バインダーが、水溶性ポリマー、水性ポリマー、油溶性ポリマー、熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマー、および放射線硬化ポリマーからなる群から選択される材料を含む、請求項28に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項41】
前記第1層に接触して配置されたポリ(ビニルブチラール)を含む第3層を更に含む、請求項28に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項42】
前記第2層に接触して配置されたポリ(ビニルブチラール)を含む第4層を更に含む、請求項41に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項43】
前記第3層と接触して配置された、ガラスの第5層および前記第4層と接触して配置された、ガラスの第6層を更に含む、請求項42に記載の複数層ガラスパネル。
【請求項44】
開口部において複数層ガラスパネルを用意する工程、
前記複数層ガラスパネルは、
ポリマー層、および前記ポリマー層の全体にわたって分布した複数のドメイン(前記ドメインは、前記第1層への電界の適用に対する応答において、前記第1層を通して透過することのできる可視光線の量における減少を引き起こす作用剤を含む。)を含む第1層;
前記第1層と接触して配置された導電性ポリマーシートを含む第2層;および
前記第2層の反対側に、前記第1層と接触して配置された導電性ポリマーシートを含む第3層
を含み;ならびに
前記第2層および前記第3層に電源を接続して、前記第1層を横切って電界を発生させる工程
を含む、開口部を通過する光透過を減少させる方法。
【請求項45】
前記光透過が減少される程度が、前記電源の適用の期間に一部依存する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
開口部において複数層ガラスパネルを用意する工程、
前記複数層ガラスパネルは、
ポリマー層、および前記ポリマー層の全体にわたって分布した複数のドメイン(前記ドメインは、前記第1層への電界の適用に対する応答において、前記第1層を通して透過することのできる可視光線の量における変化を引き起こす作用剤を含む。);
前記第1層と接触して配置された導電性ポリマーシートを含む第2層;および
前記第2層の反対側に、前記第1層と接触して配置された導電性ポリマーシートを含む第3層
を含み;
前記第2層および前記第3層に電源を接続して、前記第1層を横切って電界を発生させる工程;ならびに
前記第2層および前記第3層に対して前記電源の極性を逆転させて、前記電界を逆転させる工程
を含む、開口部を通過する光透過を可逆的に減少させる方法。
【請求項47】
導電性コーティングを有する第1ガラス層;
導電性コーティングを有する第2ガラス層;
前記第1ガラス層および前記第2ガラス層の間に配置されたポリマー層;および
前記ポリマー層の全体にわたって分布した複数のドメイン(前記ドメインは、前記ポリマー層への電界の適用に対する応答において、前記ポリマー層を通して透過することのできる可視光線の量における変化を引き起こす作用剤を含む。)
を含む複数層ガラスパネル。
【請求項48】
導電性コーティングを有する第1ガラス層、および導電性コーティングを有する第2ガラス層を含み、
前記第1ガラス層および前記第2ガラス層は、バインダー全体にわたって分布した複数のドメイン(前記ドメインは、前記バインダーに対する電界の適用に対する応答において、ガラスパネルを通して透過することのできる可視光線の量における変化を引き起こす作用剤を含む。)を含む前記バインダーで一緒に結合されている
複数層ガラスパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【公表番号】特表2007−520592(P2007−520592A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545806(P2006−545806)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/041850
【国際公開番号】WO2005/059638
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(500276390)ソリユテイア・インコーポレイテツド (43)
【Fターム(参考)】