説明

調整可能機能を備えた義足

足部と、足首部と、シャンク部と、義足の力負荷中にエネルギーを蓄積し、力負荷解除中に該蓄積されたエネルギーを戻すことにより歩行時の義足による推進力に対して発生した動力を増加するための義足上の後部カーフ装置(169)とを備えた下肢義足のための装置。いくつかの実施形態における装置は、シャンク部の上部および義足の下部のあいだに延びた可撓性のストラップなどの少なくとも1つの細長部材(171)と、該細長部材に連結された自由端を有する少なくとも1つのコイルばね(170)を含む。前記コイルばねは、エネルギーを蓄積するためにシャンク部上端の前方移動を受けて細長部材によって拡張される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、応用力学に関連し、動作反応機能を向上させた高性能な義足に関する。
【背景技術】
【0002】
マーチンら(Martin et al)の米国特許第5,897,594号明細書には、脚義足用の無関節型人工足が開示されている。人工足が、足首の機能を擬態するために関節を設けた硬質構造を備える初期の解決方法とは異なり、マーチンらの無関節型人工足は、足鋳型内で製造した弾性の足インサートを採用している。このインサートは、縦長断面がほぼC字型のデザインで、後部に開口部を備え、その上方C字型肢によって義足負荷を受け、その下方C字型肢によってこれに接続している板ばねにその負荷を伝播させる。下側から見た板ばねは凸型のデザインのものであり、足底範囲とほぼ平行に、また、足インサートを超えて前方の爪先範囲内にまで延びている。マーチンらの発明は、無関節型人工足を、踵の衝撃の減衰、弾性、踵−爪先歩行、側部の安定性に関連して向上させることで、装用者が自然な状態で歩行できるようにする目的に基づいており、この意図は装用者の通常の歩行と、身体的な運動およびスポーツの実施との両方を可能にするものである。しかしながら、この従来の人工足の動作反応特徴は制限される。身体欠損者によるたとえば歩行、走行、跳躍、短距離走、開始、停止、切断等の動作能力を向上させる応用力学設計特徴を改善した、より高性能な義足が必要である。
【0003】
これ以外にも、バン エル フィリップス(Van L. Phillips)によって、構造的な限度と、従来技術の義足に関連した性能のために以前は不可能であった幅広い活動を行うための機敏性と移動性を身体欠損者に提供するとされる義足が提案されている。走行、跳躍、およびこれ以外の活動がこれら従来の足によって経験され、これらは、装用者の通常の足と同様の利用が可能であると報告されている。たとえば、米国特許第6,071,313号、第5,993,488号、第5,899,944号、第5,800,569号、第5,800,568号、第5,728,177号、第5,728,176号、第5,824,112号、第5,593,457号、第5,514,185号、第5,181,932号、第4,822,363号明細書を参照のこと。
【発明の開示】
【0004】
身体欠損者がより高レベルのパフォーマンスを遂行できるようにするためには、向上した応用力学を備え、人間の足を凌ぎ、従来技術の義足よりも優れた性能を有する高機能の義足が必要である。身体欠損競技者は、向上した応用力学、高い低動作反応を備え、さらに、事実上の作業特化が可能な、活動の水平および垂直成分を精密に調整できる調整機能を備えた高性能の義足に関心を持っている。
【0005】
本発明による義足は、これらの必要性を考慮している。ここで開示している或る例証的な実施形態によれば、本発明の義足は、一端に前足部と、他端に後足部と、さらに、前足部と後足部のあいだに延び、上向きアーチ型をした比較的長い中間部分とを備えた縦方向に延びた足キールを装備している。さらに、下方凸型に湾曲した下端を具備したカーフシャンクも設けられている。調整可能な固定装置は、カーフシャンクの湾曲した下端を足キールの上向きアーチ型の中間足部に取り付けて、義足の足首関節範囲を形成する。
【0006】
調整可能な固定装置により、カーフシャンクと足キールの、足キールの縦方向において相互に関連したアライメント(alignment)を調整して、義足の性能を調整することが可能になる。対向している足キールの上向きアーチ型中間部分とカーフシャンクの下方凸型の下端のアライメントを調整することにより、義足の動作反応特徴と動作結果が、必要で/要望される水平および垂直直線速度に関連して作業特化したものに変化する。歩行、スポーツおよび/またはレクリエーション活動を実施している身体欠損者の機能結果を向上させる、高低動作反応機能、さらにバイプラナー動作特徴を備えたマルチ使用の義足を開示している。特に短距離競技用の義足も開示している。
【0007】
いくつかの実施形態では、カーフシャンクは螺旋形状の反対に湾曲した下端を備えており、この螺旋部分から、カーフシャンクがその直立上端へと上方および前方向に延びている。これにより、カーフシャンクを足キールに固定した際に、その下端に統合された足首を備え、本発明によるパラボラ形状に類似した可変半径の応答面(response outcome)を呈するカーフシャンクが出来上がる。螺旋型の下端を備えたカーフシャンクは、連結要素によって足キールに固定される。いくつかの開示された実施形態では、連結要素が、歩行中にカーフシャンクの背屈を制限するための停止部を備えている。いくつかの実施形態の特徴によると、連結要素は足キールの前足部と一体的に形成されている。ある実施形態によると、連結要素は、足キールの中間足部および後足部の一部の上に片持ち梁として後方に延びており、足キールは、カーフシャンクの下端が収容される前方に面した凹部を形成するように反対に上方に湾曲している。カーフシャンクの反対に湾曲した下端は連結要素からその下端において支持されている。得られた義足は改善した効率を有する。1つまたは複数のばねを使用する後部カーフ装置が本発明の付加的な特徴による義足に装備される。後部カーフ装置はカーフシャンクとは別に形成して連結することが可能であり、あるいはカーフ装置およびカーフシャンクを一体的に形成することが可能である。装置およびシャンクは力負荷中にエネルギーを蓄積し、力負荷解除中に蓄積されたエネルギーを戻すことにより、歩行中の義足による推進力に対して発生した動力を増大する。
【0008】
本発明のこれらおよびこれ以外の目的、特徴、利点は、以降に示す本発明の開示された例証的実施形態の詳細な記述と添付の図面を考慮することでさらに明白になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に図面を参照すると、図3〜図5の例証的な実施形態において、義足1は、一端に前足部3を、他端に後足部4および前足部と後足部のあいだに延びた、上方に湾曲した中間足部5を備えた、縦方向に延びた足キール2を具備して示されている。例証的な実施形態では、中間足部5は、前足部と後足部のあいだのその縦範囲全体にかけて上方に向かって凸状に湾曲している。
【0010】
足1の直立カーフシャンク6が、その下方に凸状に湾曲した下端7の一部分にて、近接した、キール中間足部5の後面に、解除可能な固定具8と連結要素11によって取り付けられている。この例証的な実施形態では、固定具8はナット付のシングルボルトとワッシャであるが、しかし、解除可能なクランプ、あるいは、固定具をしっかりと締めた際に、カーフシャンクを足キール上にしっかりと位置決め、保持することができるこれ以外の固定具であってもよい。
【0011】
近接した、キール中間足部5の後面には、縦方向に延びた開口部9が形成されている。図8を参照。さらに、たとえば図15中に示すようなカーフシャンク6の湾曲した下端7にも、縦方向に延びた開口部10が形成されている。解除可能な固定具8は開口部9,10を貫通しているので、義足の機能を特化するためにその動作能力を調整するべく固定具8を緩和または解除した際に、カーフシャンクと足キールの、図5中に示す縦方向A−Aにおける相互に対するアライメントを調整することが可能である。そのため、固定具8、連結要素11、縦方向に延びた開口部9,10は、義足の足首関節範囲を形成するための、カーフシャンクを足キールに取り付ける調整可能な固定配置を構成している。
【0012】
カーフシャンク6と足キール2のアライメントの調整の効果は、図1,図2に見ることができるが、この場合、並列した2つの半径R1,R2は、足キール中間部分5とカーフシャンク6との隣接し、対向し、ドーム型または凸状に湾曲した面を表している。このような半径を次々に考慮した場合、動作能力が、図1中では接線Aに対して、図2中ではA1に対して垂直に、2つの半径のあいだに描かれて存在している。これら2つの半径間の相互関係により、動作結果の方向が決定される。したがって、足1に付加される動作反応力はこの関係に依存するということになる。凹部の半径が大きいほど、より高い動作反応を得ることができる。しかし、半径が小さいほど、素早い反応が得られる。
【0013】
本発明の義足のカーフシャンクと足キールのアライメント機能によって、半径を移動させることで、運動競技アクティビティにおける、足による水平または垂直直線速度に影響を及ぼせることができるようになる。たとえば、義足1の水平直線速度機能を向上させるためには、アライメント変更を行い、カーフシャンクと足キール半径の関係に影響を与える。つまり、水平直線速度特徴を向上させるためには、図1と比較して図2に示すように、足キールの底部半径R2をその開始位置よりもさらに末端側に移動させる。これにより、動作反応特徴を変化させ、義足1の動作結果をより水平方向に向かわせることになり、その結果、付加する力を変えることなく、より大きな水平直線速度を達成することができるようになる。
【0014】
身体欠損者は、訓練を通じて、自分の要求を満たすそれぞれの活動に対応した設定を、その要求が水平および垂直直線速度に関連している限り見つけることができる。たとえば、ジャンプ競技およびバスケットボールの選手は、短距離走者と比べてより垂直な移動を必要とする。連結要素11は、取り付けた足キール2とカーフシャンク6のあいだに挟持されたプラスチックまたは金属合金製のアライメント結合装置(図3,図4、および図23を参照)である。解除可能な固定具8が、連結要素に設けた穴12を貫通している。この連結要素は、カーフシャンクと、これに最も近い、キール中間足部5の後面との取り付け部分に沿って延びている。
【0015】
カーフシャンク6の湾曲した下端7はパラボラ形状であり、その湾曲部の最小半径は下端に位置し、上方に向かって延び、またパラボラ形状の最前面に位置している。これと対向する後方の凹部は、図3に示すように、カーフシャンクの湾曲部分によって形成されている。パラボラ形状は、その比較的大きな半径基端部に関連した向上した水平直線速度を達成すると同時に、その下端に湾曲部のより小さな半径によってより早い反応特徴を得る上で、より向上した動作反応特徴を備えることができるという利点を有する。バラボラ形状の上方端における湾曲のより大きな半径により、図1,図2を参照して説明した接線Aを、アライメントを変更した状態でより水平方向に向けることが可能になり、これにより、水平直線速度が向上する。
【0016】
パラボラ形状のカーフシャンクは、人間がこれを圧縮または蛇行する際に、人間の歩行時の初期接地力に反応する。これによりパラボラ湾曲の半径が小さくなり、その結果、圧縮への抵抗が減少する。これとは逆に、パラボラ形のカーフシャンクが、人間の歩行における踵離地反応力(GRF)に反応して拡張することによって、パラボラ湾曲の半径がより大きくなり、その結果、抵抗が前述の圧縮抵抗よりも遥かに大きくなる。これらの抵抗は、人間の歩行における人間の前方および後方ふくらはぎの筋肉機能に関連している。人間の歩行の足底接地との初期接触時に、小型の前方ふくらはぎ筋肉群が、足を地面に下げるべく偏心的に収縮することにより、GRFに反応し、背屈モーメントが生じる。足底接地から足趾離地まで、大型の後方ふくらはぎ筋肉群が、やはり偏心的に収縮することでGRFに反応し、より大きな足底屈曲モーメントが生じる。このモーメントの大きさは、ふくらはぎ前方および後方筋肉群の大きさの差に関連する。その結果、人間の歩行における、背屈モーメントと足底屈曲モーメントに対する義足のカーフシャンクの抵抗が擬態され、通常の歩行が得られる。パラボラ湾曲可変抵抗能力は、人間の歩行、走行、跳躍活動における人間のふくらはぎ筋肉機能を擬態し、その結果、効率的な義足が得られる。
【0017】
パラボラ形状のカーフシャンクの角速度は前述の圧縮または拡張動作モードに影響される。パラボラ形状のカーフシャンクが、後期中間立脚力に拡張するにつれて、シャンク曲線を構成する半径が増大する。半径の増加は、角速度の増加と直接的関係を有する。義足の足首関節の矢状面の動力KPに対する数式は、KP=モーメント×角速度である。したがって、数式中の角速度が増加すれば動力が増加する。たとえば、図19〜22のカーフシャンクは、それぞれ前方に向き凸状に湾曲した下部の上にある反対に湾曲した部分、つまり後方部が凸状の湾曲部に対向する部分を有する。これらのシャンクの機械的形状が同一の幅および厚さの同一の材料から作成された場合、反対の湾曲した上部はシャンクの下部が拡張する際に圧縮するため角速度の増加に対するポテンシャルを相殺し、その結果、角速度は反対に作用して、歩行中に生じた足首関節の矢状面の動力の大きさに反対に作用する。
【0018】
人間は、地上を移動するためにエネルギー保存システムを利用する。ポテンシャルエネルギー、すなわち位置エネルギー、は歩行の中間立脚段階において生じる。この単一支持の歩行の中間立脚段階において、身体の重心は最高の垂直偏位に上昇する。ここから高い重心点が前方および下方に移動する。したがって、位置エネルギーは運動エネルギーに変換される。この運動エネルギーは、弾性エネルギーを機械的形状、つまり人間の軟組織および弾性義足部品に負荷を加える。これらの機械的形状は、地上ベースの移動作業を行う運動エネルギーを生成するための蓄積エネルギーを効率的に利用するために必要である。
【0019】
軟組織支持体を有する人間の足、足首および脚は、地面歩行において2つの主要な生化学的機能を有する機械である。1つは垂直方向の地面反力を前方向のモーメントに変化させることであり、もう1つは身体の重心を上昇させて落下を制限することである。本発明の人工筋肉装置とも称される後部カーフ装置を有する義足、人工足首および人工下肢もまた、これらの2つの生化学機能を達成しなければならない。図25の55,図28〜30の72,図32〜34の106および図35〜53の122のコイルばねのカーフシャンクは、図3〜5のカーフシャンク6と比較して増加した弾性エネルギー蓄積容量を有する。シャンク122のコイルばねの下部は、より正確に機能的足首関節を示す。また本発明の義足の弾性的な後部カーフ装置は、義足装置に弾性エネルギー蓄積容量を付加する。この弾性エネルギーの蓄積容量の増加は、歩行中に生成された動力の大きさを通常の(人間の足の)値のきわめて近くにまで増加する。図30の74に示された人工足首関節および図32〜52の実施形態のコイルばねの下部を有する人工足首関節の生化学的機能動作が考察される。上述のように、人間の足、足首および脚で構成された「装置」の第1の生化学的機能は、垂直方向の地面反力を前方向のモーメントに変化させることである。これは踵ロッカー効果によって足首関節において得られる。歩行の初期接触および中間立脚段階のあいだで最大の前方向のモーメントを生成するためには、足首のモーメントを生成しなければならない。たとえばフィリップス(フィリップスデザイン)の米国特許第6,071,313号明細書にあるような硬質の足首クッション踵および/または後方に向き凸状に湾曲した設計を使用する先行技術の義足は、このモーメントを生成しない足首関節を有する。この結果、これらは垂直方向の初期負荷設置反応力を有する。モーメントはベクトル法則によって決定されるため、大きな垂直の変位と比較して小さな水平の変位のみが生じる。これに対して、本発明では図28〜図30,図32〜図34および図35〜図52のカーフシャンク105および122のコイルばねの足首は、それぞれたとえば45°の初期負荷変位角度を生成して等しい垂直および水平の変位を生成する。この45°の変位角度は、前方向のモーメントおよび慣性を保存し、義足、人工足首および人工下肢装置の効率を向上させる。この歩行の初期負荷段階において、身体の重心は最下点にあり、したがって身体の重心の低下の増進は装置全体の効率を低下させる。
【0020】
ここで人間および人工の足、足首および脚の中間立脚から踵離地の生化学的機能および動作を考察する。この歩行段階において上述の装置には2つの主要な生化学的機能がある。1つは足首関節の矢状面動力を生成して追従を推進し、次の一歩のために遊脚する肢を前方へ推進し、もう1つは身体の重心の低下を減少させる。硬質の仮義足下肢を使用する先行技術の義足は、相当の大きさの動力を生成するための充分な弾性エネルギーを蓄積できない。科学文献は、これらの足は異なる機械設計を有しておりすべて同様に機能するが、通常の人間の足首関節の矢状面動力の25%しか生成しないことを示唆している。フィリップスデザインの義足および多くの他の先行技術の足、足首および脚の代替品は、通常の35〜40%の範囲の改善した矢状面の動力値を有する。これは、動力機能において70%の増加を示している。しかしながら、これは著しい妥協である。これに対して、たとえば図25〜27のカーフシャンク55を含む本発明の義足は、歩行時の通常の足首関節の矢状面動力の86%を生成する。これは、硬質の仮義足を使用する先行技術の義足に対して244%の動力の増加を示し、フィリップス型の義足に対しては143%の増加を示す。本発明は、身体の重心を過度に低下させず、前方向のモーメントに寄与する点において先行技術に対する改善を示す。明らかに、フィリップスデザインの義足では、開運動連鎖移動パターンにおいて歩行サイクルの踵離地力負荷のあいだ爪先領域が垂直上方および後方に動くが、歩行サイクル中に生じる閉運動連鎖移動パターンにおいては、先行技術の義足の脚の近接端部は前方および下方に動く。この下方の移動が身体の重心を低下させ、非効率的な歩行パターンを形成する。これに対して、開運動連鎖移動パターンにおいては本発明の義肢装置の爪先領域は、同様の踵上昇力負荷のあいだ垂直上方および前方に動く。したがって、閉運動連鎖移動パターンにおいて、本発明の義足装置の上方の脚の端部は後方および上方に動き、これによって有効長を増加して身体の重心の低下を減少する。これによりさらに効率的な歩行パターンを形成する。
【0021】
人間は毎時約3マイルの速度で歩行する。1マイルを4分間で走る走者が毎時12マイルの速度で走り、100メートルを10秒間で走る短距離走者が毎時21マイルの速度で全力疾走する。これは1対4対7の割合である。各作業の水平成分は、活動速度が増加するにしたがって大きくなる。したがって、義足のカーフシャンク半径の大きさを事前に決定することが可能である。歩行者は、走者および短距離走者よりも、半径がより小さい放物面状に湾曲したカーフシャンクが必要である。短距離走者は、大きさが7倍の放物面状に湾曲したカーフシャンクが必要である。この関係は、どのように歩行者、走者、短距離走者用の放物面の曲率半径を決定するかを示す。これは、短距離走者にはより広い動作範囲が必要であり、また、この活動に関連して増加した負荷を受けるべく、カーフシャンクをより頑丈にしなければならないため重要である。幅広または長い放物面状のカーフシャンクの湾曲部は比較的平坦になるが、これは、動作範囲の増加に伴うより大きな構造強度に匹敵する。
【0022】
弾性的な脚の基部全長は可能な限り長くすべきである。長さが増加すれば、弾性エネルギーの蓄積量を増加させ、より大きな動力を生成する。カーフシャンクの近接端部は下腿切断された身体欠損者によって装着される義肢ソケットの脛骨結節の高さに取り付け可能である。また、人工膝ケーシングの近接前方面に取り付けることも可能である。
【0023】
義足アダプタ13が、カーフシャンク6の上端に固定具14により接続される。次に、アダプタ13が義足15の下端に、固定具16によって固定される。義足15は、脚切断基部に取り付けた支持構造(図示せず)によって、身体欠損者の脚の基部に固定される。
【0024】
この例証的な実施形態では、足キール2の前足部、中間足部、後足部は、単一部品の弾性材料で構成されている。たとえば、材料、事実上弾性的な、接地反応力による屈曲時に形状記憶特徴を有する固体部品を採用することができる。より詳細には、足キール、さらにカーフシャンクを、合金またはポリマーマトリックス材料を積層した強化ファイバを備えた積層合成材料で製造できる。特に、エポキシ熱硬化樹脂を積層した高強度グラファイト、ケブラーあるいはグラスファイバー、またはDelranの登録商標で利用されている押し出し成形したプラスチック、あるいは脱気ポリウレタン共重合体を用いて足キール、さらにカーフシャンクを形成することが可能である。これらの材料に関連した機能品質によって、軽量かつ最小のクリープで、優れた強度を得ることが可能になる。義足産業基準を用いて、熱硬化エポキシ樹脂を真空下で積層させる。雌型内にポリウレタン共重合体を注入し、押し出したプラスチックを機械工作処理することができる。使用する各々の材料には利点と欠点が伴う。足キールおよびカーフシャンクに用いる積層した合成材料は、産業基準にしたがって製造された熱形成(プリプレグ)した積層合成材料であってよく、また、これに強化ファイバおよび熱可塑性重合体マトリックス材料を付加して、優れた機械拡張品質を追加することもできる。このタイプの市販の合成材料としては、メリーランド州、ハーヴァー ド グレイス(Havre de Grace)にあるサイテック ファイヴァライト(Cytec Fiberite)社製のCYLON(登録商標)が適している。
【0025】
硬性、可撓性、および強度に関連した弾性材料の物理的性質は、全て材料の厚さによって決定される。密度が同じであっても、薄型の材料は厚い材料よりも容易に屈曲する。使用する材料、および物理性質は、義足の足キールとカーフシャンクの硬性から可撓性までの特徴に関連する。図3〜図5の例証的実施形態では、足キールとカーフシャンクの厚さは均等または対称的であるが、しかし、これら構成要素の長さに沿った厚さは、後足範囲と前足範囲を薄くして、中間足範囲の屈曲への反応を高める等の以下で考察する方法により変更することができる。開示された本発明のいくつかの実施形態の各々における足キールおよびシャンクは、前面の慣性モーメントと比較して矢状面の慣性モーメントは比較的低い。これは、これらの部材が矢状面の厚さよりも前面に幅広いこれらの部材の機械的形状によるものである。
【0026】
義足1に高低動作反応機能を設ける上での補助として、縦アーチによって中間部分5を形成することで、中間アスペクトが、縦アーチの側部アスペクトよりもかなり高い動作反応機能を有することが可能である。この例証的実施形態では、この目的のために、半径において、縦アーチ凹部の中間アスペクトはその側部アスペクトよりも大きい。
【0027】
中間足部5の縦アーチ凹部の中間半径寸法から側部半径寸法のあいだの相互関係は、さらに、足キール2の前後方の足底面耐重量面領域としても定義される。図8中の前方部分5上の線T1−T2は、前方足底面耐重量領域を示している。線P1−P2は、5の後方足底耐重量面を示す。足の側部における足底耐重量面は、T1−P1間の距離で表される。足2の中間側部における足底耐重量面は、P2−T2間の距離で表される。T1−P1とP2−T2で表される距離によって半径寸法が決定され、これにより、高低動作反応相互関係が決定され、また、これら2本の線T1−T2,P1−P2を収束および分岐させることで、この相互関係に影響を及ぼすことができる。その結果、構造設計における高低動作反応の決定が可能になる。
【0028】
後足部4の後方端部17は、上方に湾曲したアーチ型をしており、踵衝突中に、衝撃を吸収するべく圧縮することで接地反応力に反応する。後足部4によって形成された踵は、歩行の初期接触段階のあいだに後足の裏返りを促進するために、中間角19よりも後方および側方に位置した後方側部角18で形成されている。前足部3の前方端20は、歩行の後期立脚期の踵上昇足趾離地状態において背屈している人間の爪先を擬態するために、上方に湾曲したアーチ型をしている。下方前足および後足の上に、ゴムまたはフォームパッド53,54がクッションとして配置されている。
【0029】
義足の向上したバイプラナー動作機能は、その背面および足底面のあいだの前足部3を通って延びた中間および側方拡張継手穴21,22によって作り出される。これらの穴の各々から前足部の後方縁へ拡張継手23,24が延びており、これにより、足キールの前足部の向上したバイプラナー動作機能を作り出す、中間、中間および側方拡大膨張部25〜27が形成される。拡大継手穴21,22は、図5中の線B−Bに沿って、足キールの縦軸A−Aに対して35°の角度αで延びている横断平面上に、中間拡張継手穴21が側方拡大継手穴22よりも前方に位置した状態で配置されている。
【0030】
図5中の縦軸A−Aに対する線B−Bの角度αは最小で15°にまで変更しても、高低動作反応を引き出すことが可能である。この角度αの変化にしたがって、図8に示す線T1−T2の角度Zも変化するはずである。矢状面上に突出した状態の拡大継手穴21,22は、穴の背面アスペクトが足底アスペクトよりも前方に位置した状態で、横断面に対して45°の角度で傾斜している。この配置では、解除可能な固定具8から側方拡大継手穴22までの距離は、解除可能な固定具から中間拡大継手穴21までの距離よりも短いため、義足1の側方部分は、中間足の高低動作反応を可能にするために、中間よりも短い爪先レバーを備えている。さらに、線T1で表した解除可能な固定具8から側方足底耐重量面までの距離は、線T2で表した解除可能な固定具から中間足底面耐重量面までの距離よりも短いため、義足1の側方部分には中間よりも短い爪先レバーが設けられ、中間足の高低動作反応が得られるようになっている。
【0031】
足キール2の後足部4の前部は、さらに、背面と足底面のあいだで後足部4を貫通した拡大継手穴28を備えている。拡大継手29は、穴28から後足部の後方縁にまで延び、拡大突出片30,31を形成している。これらの部分により、足の後足部の向上したバイプラナー動作機能が得られる。
【0032】
中間足部5と足キール2の前足部3の背面アスペクトは、図3中に示す上方に向いた凹部32を形成するため、人間の足の動作の第5筋軸の機能を擬態することができる。つまり、凹部32は、足キールの縦軸A−Aに対して15°〜35°の角度βにて方位付けされた縦軸C−Cを備えており、また、歩行時における人間の足の第2〜第5中足骨の傾斜低ギア回転軸と同様の第5筋動作を促進するべく、中央部が側方よりも前方に位置している。
【0033】
バイプラナー動作機能の重要性は、身体欠損者が平坦でない場所を歩く場合、または競技者が足を中間からまたは横方向に切断した場合に理解される。接地力ベクトルの方向は、矢状向きから前面成分を有する方向に変わる。地面が、側方に押圧する足とは反対方向に向かって中央に押圧する。その結果、カーフシャンクが中央に向かって傾き、体重が脚キールの中央構造にかかる。これらの圧力に反応して、足キール2の中央拡大継手突出片25,31が背屈(上方に反る)および反転し、側方拡大継手突出片27,30が足底屈曲(下方に反る)および裏返る。この動作は、足底接地の足底面を地面に付けようとする(足底歩行)。
【0034】
本発明による別の足キール33は、特に短距離走用のものであり、本発明の義足に使用することができる。図6,図7を参照。短距離走では、身体の重心は、ほぼ独占的に矢状面に向くようになる。義足に低動作反応特徴を設ける必要はない。その結果、足キール2に設けられている、前足、中間足の凹部の縦軸の15°〜35°の外方回転方向が不要になる。むしろ、この凹部の縦軸D−Dの向きは、図6,図7に示すように、前面と平行するようになるはずである。これにより、短距離走の足が矢状方向のみに反応するようになる。さらに、前足および中間足部における拡大継手穴34,35の、線E−Eに沿った向きは前面と平行であり、つまり、側方穴35が前方に向かって、中間穴34と並び、前面と平行して移動する。さらに、足キール33の前方末端部36も前面と平行にされる。足キールの後方末端踵領域37も前面と平行にされる。これらの変更は、義足の多目的使用機能において否定的な方法である。しかし、その性能特徴は作業に特化したものとなる。短距離走用足キール33の別の応用形は、爪先、つまり、足キール2の15°の角度の背屈が足キール33の25〜40°の角度の背屈へと増加する、前足部の筋範囲におけるものである。本実施形態および他の実施形態の足キールは、ここに開示された拡大継手、拡大継手穴および拡大継手支柱なしに作成することも可能である。これにより、平坦でない面で足キールの地面追従性を減少させる。しかしながら、このような場合、地面追従性は、共通に所有されている米国特許出願第10/473,465号明細書および関連国際公開公報第02/078567パンフレットに開示されている義足の距骨下関節を装備することにより達成される。
【0035】
図9,図10は、本発明による、義足用の追加の足キール38を示しており、これは、足をサイム切断した身体欠損者による短距離走に特に便利である。この目的のために、足キール38の中間足部には後方および上方に向いた凹部39が設けられており、この凹部の内部で、カーフシャンクの湾曲した下端が、解除可能な固定具により足キールに取り付けられている。全ての下肢切断者がこの足キールを使用することができる。この足キール38は、サイム・レベルの身体欠損者の、より長い脚の残余基部を収容する。その性能特徴は、動作反応機能が群を抜いて迅速である。その使用はこのレベルの切断に限ったものではない。全ての下腿切断および大腿切断に使用することができる。図11,図12の例証的実施形態における脚キール40には、サイム切断者のための凹部41がさらに設けられており、足キールが、高低動作反応特徴と、図3〜図5,図8の例証的実施形態のものと同様のバイプラナー動作機能とを義足に与える。
【0036】
いくつかの義足1用足キールの機能特徴は、これらが凹部、凸部、半径サイズ、拡大、圧縮、および材料の物理性質に関連しているため―これらの特性は全て、歩行、走行、跳躍活動の接地力に関連し、これらに反応する、形状および設計特徴に関係している。
【0037】
図13中の足キール42は、足キールの厚さが中間足部から後足の後方へと先細りしている点を除いて、図3〜図5,図8の例証的実施形態のものと類似している。図14中の足キール43は、その厚さが、前端部と後端部の両方において徐々に減少または先細りしている。これと類似した厚さの応用形を、義足1に使用できる、図15のカーフシャンク44と、図16のカーフシャンク45で示している。足キールおよびカーフシャンクの各々の設計により、異なる機能結果が、これらの機能結果が様々な競技関連の作業における性能の向上に特化した水平および垂直直線速度に関連するために得られる。複数のカーフシャンク構造の機能、および足キールとカーフシャンクのあいだの設定の調整によって、身体欠損者および/または義足装用者が、幅広く多様性に富んだスポーツおよびレクリエーション活動の中から選択した1つについて最大の性能を得るべく、義足を調整することを可能にする義足・カーフシャンク関係が作られる。
【0038】
別の義足1用カーフシャンクを図17〜22に示しているが、これらは、C字型のカーフシャンク46,47,S字型のカーフシャンク48,49,変形J字型のカーフシャンク50,51を備えている。さらに、カーフシャンクの上端は、この基端部に取り付けたピラミッド型の取り付け板を具備する直線垂直端部を備えることができる。雄ピラミッドを、このカーフシャンクの垂直端部にボルト留めし、さらにこの垂直端部を貫通させてもよい。基端部雄ピラミッドを受容するためのプラスチックまたはアルミニウム製の充填材を設け、さらに、細長い開口部内の、カーフシャンクの基端部および末端部に末端足キールを設けることも可能である。本発明の義足は、好ましくは基準化されたユニットと、または使用時の柔軟性と多様性を考慮した寸法とによって構成されたモジュール・システムである。
【0039】
競争用トラックに関連した全ての走行活動は左回り方向に実施される。本発明のこれ以外の任意的特徴は、このような湾曲した走路に沿って前進する足に作用する力を考慮したものである。向心加速は、物体がカーブした走路に沿って移動する回転の中心に向かって作用する。エネルギー作用にはニュートンの第3法則が適用される。同等に対抗する反応が存在する。そのため、全ての「中心を探す」力には、「中心から逃げる」力が存在する。向心力は回転の中心に向かって作用し、遠心力、反応力は回転の中心から離れる方向に向かって作用する。競技者がトラックのカーブ周囲を走行している場合には、走者は向心力によってカーブの中心に向かって引き付けられる一方で、遠心力によってカーブの中心から引き離される。走者を外方に傾かせようとする遠心力を相殺するために、走者は内方に傾く。トラック上で走者が常に左回り方向に回転する場合には、左側がトラックの内側になる。そのため、本発明の特徴により、左右の義足カーフシャンクの左側を右側よりも薄くすることで、身体欠損走者のカーブ機能を向上させることができる。
【0040】
いくつかの実施形態における足キール2,33,38,42,43の長さは、図3,図4,図5、および異なるカーフシャンクと足キールのいくつかの図面に正確な縮尺率で示す靴1との関係において29cmである。しかし、当業者が容易に理解するように、義足の特定の寸法は、義足を装用する身体欠損者のサイズ、体重、他の特徴にしたがって変更することが可能である。
【0041】
次に、歩行および走行立脚期の歩行サイクルにおける義足1の動作について考察する。慣性、加速、作用−反作用の法則に関連したニュートンの動作の第3法則は、義足2の応用運動学の基本である。ニュートンの第3法則、作用−反作用の法則より、足が地面を圧迫する方向と同等に対向する方向において地面が足を圧迫することが知られている。これらは、地面反力として周知である。人間の歩行、走行および跳躍活動に関する多くの科学研究が成されてきた。フォースプレートの研究は、歩行においてニュートンの第3法則が発生することを示す。これらの研究から、地面が足を圧迫する方向がわかる。
【0042】
歩行/走行活動の立脚期を、さらに減速期と加速期に分割することができる。義足が地面と接触すると、足が先ず地面を押し、次にこれに反応して地面が足を同等に対向する方向に押し返すが、これはつまり、地面が義足を後方に押すということである。この力により義足が動作する。歩行および走行活動の立脚期分析は、図5,図8に示す、接点が、足の中央側部よりも後方および側方に逸脱した、後方側角18にある状態から開始する。初期接触時のこの逸脱により、足が反転し、カーフシャンクの足首領域が底屈する。カーフシャンクは、その下肢部を介して体重を移動する位置を常に探しており、たとえば、長い垂直部材を、地力に対抗する位置に置く傾向がある。足を後方に押す地面反力に対抗するべく底屈を後方に移動させるのはこのためである。
【0043】
地力により、カーフシャンク44,45,46,47,50,51が、後方で動いている基端部と共に圧縮される。カーフシャンク48,49、カーフシャンクの半分の末端部分が、末端凹部の向きにしたがって圧縮される。末端凹部がGRFに反応して圧縮した場合、基端凹部が拡大し、カーフシャンクユニット全体が後方に移動する。地力により、カーフシャンクが、後方で動いている基端部と共に圧縮される。カーフシャンクの下方の小さい半径が圧縮し、人間の足首関節底屈を擬態し、圧縮によって前足が地面へと下降する。これと同時に、符号17を付した、後足4で示すキールの後方アスペクトが、この圧縮を介して上方に圧縮する。これらの圧縮力は両方とも衝撃吸収体として作用する。カーフシャンクが底屈への動作を停止し、地面が足を後方に押すと、この衝撃吸収が、足を反転させ、やはり衝撃吸収体として機能する、逸脱した後側方踵18によって拡大される。
【0044】
次に、圧縮した足キールとカーフシャンクの部材が、負荷除去を開始し、つまり、初期形状を求めて、蓄積されたエネルギーを解放し、これにより、カーフシャンクの基端部が、加速した方法で前方に移動する。カーフシャンクがその垂直開始位置に近づくにしたがい、地力が足を押圧する方向が後方押圧から、垂直上方押圧に変更する。義足は前後方の足底面耐重量範囲を備えており、これらの範囲どうしは、非耐重量型の長いアーチ形状をした中間部分によって接続されているため、義足から垂直に向かう力が、長いアーチ形状の中間部分が拡大によって圧迫される。後方および前方の耐重量面が分岐する。これらの垂直に向いた力は、地力が事実上垂直から前方方向に移動しているため、長いアーチ形状の足の中間部分に蓄積されている。カーフシャンクは、足首背屈を擬態しながら拡大する。これにより、義足が前方足底耐重量面から外れて旋回する。重量負荷解除が生じると、中間足部5の長いアーチ形状が、拡大状態から変化して元の形状を求めることで、擬態された底屈筋肉群が破裂を起す。これにより、蓄積されていた垂直に圧縮された力エネルギーが、拡張した機能に解放される。
【0045】
足キールの長いアーチとカーフシャンクが、それぞれ対応する構造の拡大に抵抗する。その結果、カーフシャンクの前方前進が抑えられ、足が前方足底面耐重量範囲から外れて旋回を開始する。図3〜図5,図8,図11,図12,図13,図14の例証的実施形態における足キールの場合、足キールの中間部分の拡大は高低反応機能を備えている。これらの足キールの中間足・前足遷移範囲は、足の長軸から外方に15°〜35°の角度で逸脱し、中間の長いアーチが側方の長いアーチよりも長くなる。これは、通常の足では、加速または減速の最中に足の中間アスペクトを使用するため重要である。
【0046】
義足の長い方の中間アーチは、側方アーチよりも高い動作反応特徴を有する。低速での歩行または走行には、側方の短い方の爪先レバーが使用される。身体の重心が、正弦曲線を描きながら空間内を移動する。この重心は、中央、側方、基端、末端へと移動する。低速での歩行または走行時には、身体の重心は、高速での歩行または走行よりも中央および側方へ移動する。また、勢いまたは慣性は小さく、より高い動作反応機能を克服する能力も低い。本発明による義足は、適用する機構にこれらの原理を追加するようになっている。
【0047】
また、中間スタンスでの人間の歩行サイクルにおいて、身体の重心は先に行くにしたがって遥か側方に向かう。中間スタンスから足趾離地にかけて、身体の重心(BCG)が側方から中央へ移動する。その結果、身体の重心が、足キール2の側方側へ進む。最初に(低ギア)、またGCGが前進すると、足キール2上で中央に向かって移動する(高ギア)。その結果、義足キール2は自動伝達効果を備えるようになる。つまり、低ギアから開始して、身体欠損者が歩を進める度に高ギアへ移動する。
【0048】
地面を後方に押している義足を地面が前方に向かって押し、踵が上昇を開始すると、中間部分の長いアーチの前部が、これらの後方に向いた力をその足底面に対して垂直に付加するべく等高を示す。これは、この力を付加するための最も効果的かつ効率的な方法である。義足の後方後足部についても同様である。さらに、初期接触時に後方に向いた地力が、付加された力の方向に対して垂直に位置した足キールの足底面と対向できるようにする形状をしている。
【0049】
踵上昇の後期段階の、足趾離地歩行および走行活動では、前足部の筋範囲が15°〜35°の角度で背屈する。この上方へ拡大するアークによって、前方に向いた地力は足のこの範囲を圧迫することができる。この圧縮への抵抗は拡大への抵抗よりも小さく、義足による歩行および走行の遊脚段階へと滑らかに遷移する。歩行の立脚期の後期段階では、拡大したカーフシャンクと拡大した中間足の長いアーチが蓄積されたエネルギーを解放し、これにより、身体欠損者の遊脚する下肢の推進が加速する。
【0050】
人間の歩行における主要な推進機構の1つは活発な推進期と呼ばれる。踵が上昇したため、体重が支持肢から前進し、重心が低下している。体重が図5中の線C−Cで示す前足ロッカー部上に落ちると下方加速が生じ、これにより、身体に最高の垂直力がかかる。踵上昇に関連して、足首より前の脚が加速することで、後方が地面から離れる。圧力の中心が中足骨頭部回転軸へと前方に移動することにより、背屈トルクが永続的に増加する。この増加によって、歩行に用いられる主要推進力を生成する完全な前方降下状況が形成される。活発な推進の最中における効率的な足首機能は、踵上昇、最小の関節動作、ほぼ中立な足首位置として表れる。通常の踵上昇を追及する上で、中間足の安定が必要である。
【0051】
先述したいくつかの実施形態では、後足の後方アスペクトと足キールの前足範囲に、拡大継手穴と拡大継手膨張部を設けている。拡大継手穴の向きが留め継ぎ蝶番として機能し、また、平坦でない範囲を歩行する際に足底面の総接触特徴を向上させるために、バイプラナー動作機能を改善している。
【0052】
図9〜図12中のサイム足キールは、動作反応能力が歩行、走行、跳躍活動に関連しているため、動作反応能力の点で明白に異なる。これらの足キールは、異なる4つの特徴を備えている。これらの特徴には、サイム切断による残余末梢肢の形状を平坦面よりも上手く収容するための、中間足部の隣接した後方に設けた凹部の存在が含まれる。さらに、この凹部により足キールの高さが低下するため、サイム・レベルの身体欠損者のより長い残余末梢肢を収容することが可能になる。アライメント凹部は、対応する、アーチ型足キール中間部分の前方および後方半径がより侵略的かつ小寸法でなければならない。その結果、全ての中間足の長いアーチ型半径と後足半径の引張度が増し、圧縮する。これが、動作反応特徴に著しい影響を及ぼす。より小さな半径によって、動作反応への潜在力が低下する。しかし、この義足は、先述した歩行、走行、跳躍地力の全てにより迅速に反応する。その結果、歩行がより速くなり、動作反応が低下する。
【0053】
本発明の義足を使用してアライメントを変更することで、これらアライメントの変更が各作業の垂直および水平成分に影響するため、改善された作業特化型の競技用性能を達成できる。人間の足は多機能な構成部位であり、歩行、走行、跳躍を行う。その一方で、人間の脛骨腓骨カーフシャンク構造は多機能な構成部位ではない。これは、歩行、走行、跳躍活動にその力を付加するための、その近位末端方位と平行している単純なレバーである。これは、非圧縮性構造を有しており、かつ、エネルギーを蓄積する潜在力はない。一方、本発明の義足は動作反応機能を備えているが、これらの動作反応機能は、競技歩行、走行、跳躍活動の水平および垂直直線速度成分に関連し、また、人間の脛骨および腓骨よりも優れた性能を有する。その結果、身体欠損者の競技機能を向上させる可能性が生じる。この目的のために、本発明によれば、固定具8が緩和され、また、カーフシャンクと足キールの相互に関連したアライメントが、足キールの縦方向において調整される。このような変更を図1,図2に関連して示している。次に、カーフシャンクが足キールに、固定具8によって、調整された位置で固定される。この調整の最中に、固定具8のボルトが、対向する、足キールおよびカーフシャンクの各々に設けた比較的長い縦長の開口部9,10の一方または両方に関連して滑動する。
【0054】
たとえば中間足ストライクランナーの場合のように足底接地で最初に地面と接触する走者の性能特徴を向上させるアライメントの変更は、足キールをカーフシャンクに対して前方に滑らせ、足底をカーフシャンク上で屈曲させるというものである。この新しい関係により、走行の水平成分が向上する。つまり、カーフシャンクが足に底屈し、足が、初期の踵接触と反対に底屈位置において地面と接触している状態で、地面を先に押している足を、次に地面が直ちに押し返す。これにより、カーフシャンクが(拡大によって)迅速に前方および下方に移動する。拡大によって、カーフシャンクの初期移動方向に抵抗する動作反応力が生成される。その結果、足が、中足骨足底面耐重量範囲上で旋回する。これにより、キールの中間足範囲が拡大するが、この拡大は圧縮よりも阻止される。カーフシャンクの拡大および中間足の拡大の正味効率は、カーフシャンクのさらなる前進が阻止されることで、使用者身体の膝エクステンダと腰エクステンダが身体の重心を前方および近位に、より効率的な方法で(つまり、改善された水平速度で)移動させる。この場合は、足底接地走者よりも背屈(垂直)した状態でスタートする、カーフシャンクの前進がカーフシャンクによって阻止される程度が小さい踵爪先走者の場合よりも、上方ではなくむしろ前方に移動する。
【0055】
機能状態にある短距離走時の足を分析するために、カーフシャンクと足キールのアライメントを変更した。全ての凹部を設け、縦軸の向きを前面と平行させた足キールによって利点が得られた。カーフシャンクは底屈し、足キール上で後方へ滑動した。これにより、末端のサークルが、たとえば図3〜図5,図8中のマルチ使用の足キールを付けた足底接地走者よりも遠くに低下する。その結果、水平動作の可能性がさらに高くなり、動作反応がこの向上した水平機能に向けられる。
【0056】
短距離走者は動作、力、勢い(原動力である慣性)の範囲が広がる。立脚期減速期は加速期よりも短いため、水平直線速度が増加する。これは、爪先が地面と接触した際の開始(ないしは初期)接触において、地面が足を後方に押し、足が地面を前方に押すことを意味する。力と勢いを増強したカーフシャンクが、初期接触足底接地走者の場合よりも、強制的にさらに大きく屈曲し、さらに下方に移動する。これらの力が働いた結果、足の長いアーチの凹部に拡大による負荷がかかり、カーフシャンクに拡大による負荷がかかる。これらの拡大力は、これ以外の先述した走行に関連する全ての力よりも強く阻止される。その結果、足の動作反応機能は付加された力に比例する。人間の脛骨腓骨カーフシャンクの反応は、エネルギー力の可能性のみに関連しており−これは直線構造であり、エネルギーを蓄積することはできない。短距離走時に本発明の義足に生じるこれらの拡大力は、これ以外の先述した歩行および走行に関連する全ての力よりも大きい。その結果、足の動作反応機能が付加された力と比例し、身体欠損者の競技機能が人間の身体機能と比較して増加する。
【0057】
図25に示す義足53は図3のものと類似しているが、カーフシャンクと、足キールとのあいだの調整可能な固定具配置と、仮義足の下端に接続するためのカーフシャンクの上端の構造とを設けている点が異なる。この例証的実施形態では、足キール54は、プラスチックまたは金属合金連結要素56によって、カーフシャンク55に調整可能に接続している。この連結要素は、連結要素内で足キールの縦方向に沿った方向において相互に対して離間している解除可能な固定具57,58の各々によって、足キールとカーフシャンクに取り付けられている。連結要素をカーフシャンクに結合する固定具58は、足キールと連結要素を結合する固定具57よりも後方に配置されている。カーフシャンクの有効長さをこの方法で増加することにより、カーフシャンク自体の動作反応機能が増加する。他の例証的実施形態と同様の、カーフシャンクと足キールに設けた縦方向に延びた開口部と協働して、アライメント(alignment)の変更が行われる。
【0058】
カーフシャンク55の上端は、仮義足15を受容するための細長い開口部59を設けている。仮義足が開口部内に受容されたら、ボルト60,61を緊締して、開口部に沿ったカーフシャンクの自由側縁62と63をボルト留めすることで、仮義足をカーフシャンクにしっかりとクランプ留めすることができる。この仮義足接続は、ボルトを緩和し、仮義足をカーフシャンクに関連して所望の位置にはめ込み、仮義足を調整した位置でボルトの緊締により再度クランプ留めすることで容易に調整することができる。このシャンク構造55は下肢身体欠損者にとって有利である。受容体59に管状義足を使用することにより、義肢の全長は増加した長さの調節を容易に適応可能である。
【0059】
図28〜図31Bに、本発明のさらなる実施形態による義足70を示す。義足70は、足キール71,カーフシャンク72,連結要素73を備えている。義足70は、図25〜図27の実施形態の義足53と類似しているが、さらに、カーフシャンク72が、下方および前方に向き、凸状に湾曲した螺旋75形状の下端74を備えている。図28に示すように、カーフシャンクは、この螺旋部分から直立上端へと上方前方に延びている。カーフシャンクは、チタンのような金属で有利に形成することができるが、これ以外の弾性材料で、半硬性、弾性のカーフシャンクを形成することも可能である。
【0060】
カーフシャンクの下端における螺旋形状は、カーフシャンクがその半径方向内方に向いた端部76から外方に向かって螺旋状に移動するにしたがい、また、カーフシャンクがその下方螺旋状端部から、湾曲または直線形状であってよいその上端へと上方に延びるにしたがい段階的に拡大する湾曲の半径を有する。この構造により、足首とカーフシャンクが統合され、また、本発明による放物面に類似した可変半径応答面を有する一方で、同時に、連結要素73とカーフシャンク72を足キール71上のより後方に配置することが可能な義足が出来ることがわかっている。その結果、カーフシャンクと連結要素を、化粧用カバー77の足首と脚の内部により集中して収納することが可能になる。図28を参照。
【0061】
連結要素73は、プラスチックまたは金属合金で形成されており、図30に示すように、その前方端部において、足キール71の後方部分に、ねじ切りした固定具78で調整可能に固定されている。足キールは、その上方アーチ型部分に設けた縦方向に延びる開口部79を備えており、この開口部79は、カーフシャンクと足キールの相互に関連した、たとえば図29中の線30−30に沿った縦方向のアライメントの調整を、他の実施形態に関連して上述した方法によって可能にするべく固定具78を受容する。
【0062】
連結要素の後方端部は交差部材80を備えており、この交差部材80の各端部は、連結要素の2枚の縦長板81,82のあいだで、金属ねじ83,84によって固定されている。図30に示すように、螺旋部分75の半径方向内方に向いた端部76は、ねじ切りした固定具85によって、連結要素の交差部材80に固定されている。カーフシャンクは、交差部材への接続点から、足キールの踵部分よりも上の位置の、半径方向内方に向いた端部76の周囲で螺旋を描き、また、螺旋部分から開口部85を通り、交差部材80の前部の、板81,82のあいだの連結要素を通って、上方前方に向かって延びている。図28,図30に見られるように、連結要素73の前方端部に設けられた交差部材86は、その両端において、固定具87,88で、板81,82のあいだに固定されている。固定具78は、交差部材86に設けたねじ切りした開口部内に受容される。
【0063】
交差部材86の後方面上には、符号90にて交差部材に接着結合された、たとえばプラスチックまたはゴム製の楔89が支持されている。この楔は、歩行時に上方に延びるカーフシャンクの背屈を制限する停止部として機能する。楔の大きさは、所望量の背屈の調整を可能にするために、図31Aの符号89’で示す幅広いもの、または図31Bの符号89”で示す幅が狭いものの内から選択することができる。相互に重ねて接着し、連結要素とした複数の楔を同時に使用して、許容される背屈を低減できる。また、連結要素73を一体的に形成することも可能である。
【0064】
身体欠損者の下方脚切断基部に取り付けた義足ソケット(図示せず)を、図28に示すように、カーフシャンクの上端に固定具93,94によって固定したアダプタ92を介して、カーフシャンク72の上端に接続することができる。このアダプタは反転ピラミッド型の取り付け器具91を備えており、この器具91は、アダプタの上方面に取り付けた取り付け板に接続している。義足と義足ソケットを結合するために、このピラミッド型器具は、依存型義足ソケット上の相補的形状をしたソケットタイプ器具に受容される。
【0065】
図32〜図34の実施形態に示された義足100は、一端に前足部102を、他端に後足部103および前足部と後足部のあいだに延び中間足部104を有する縦方向に延びた足キール101を具備して示されている。直立のカーフシャンク105は、その下端において足キールに固定されて義足の足首関節を形成し、カーフシャンク106の前方に向き凸状に湾曲した部分106を経由して足キールから上方に延びている。カーフシャンクは、足キールの前足部102と一体的に形成される連結要素107によって足キールに固定される。連結要素は、中間足部104および後足部103の一部を超えて片持ち梁のように前足部から後方に延びている。足キールの後足部および中間足部は一体的に形成され、固定具108および109によって一体的に形成された前足部および連結要素に連結される。
【0066】
カーフシャンク105の下端は螺旋110形状で反対に湾曲する。螺旋部110の半径方向の内部端は、カーフシャンクおよび連結要素の面開口部を通って延びたねじ付きボルトとナットの形状のコネクタ111によって連結要素に固定される。連結要素の後部112は反対に湾曲してカーフシャンクの螺旋状の下端を収容し、該カーフシャンクはコネクタ111によって湾曲部112の上端において支持される。
【0067】
固定具114および115によって足キールの連結要素に連結された停止部113はカーフシャンクの背屈を制限する。人間の足および下肢の形状をしたカーフシャンク前方の化粧カバーが、任意的に足キール101および少なくともカーフシャンク105の下端に配置され、カーフシャンクは図28の実施形態に関連して説明および記載されたように下肢カバー内の足キールから上方に延びている。
【0068】
図32〜図34の実施形態の義足100は足キールの増加したばね効率を有する。一体的に形成された前足部および連結要素の使用による、爪先領域から連結部、そしてカーフシャンクの下端までの弾性的な足キールの長さの増加は、著しいばね率の増幅となる。足キールの爪先領域が歩行の後期中間立脚段階において負荷される片持ち状の連結要素の下向きに面する凹部が拡張して、反対に湾曲し、連結要素の後端において前方に面する凹部が圧縮され、足キールの連結要素の弾性的な湾曲部の各々が、負荷解除のあいだ、歩行時に肢の前方推進を支援する方向に後に解放されるエネルギーを蓄積する。義足のカーフシャンクの下端によって形成された足首は、人間の足首機能を複製したものであって、義足は前方のモーメントおよび慣性を保存することに役立つ。実施形態においての足キールの構造は示されたものに限られず、たとえば高低ギアまたはトップギアのみ、1または複数の拡張継手または複数の縦断面を有する足キールを含む先行技術の構造の足キールも含む。同様に、実施形態のカーフシャンクも、たとえば足首より上部にあって、足キールから上方に延びた前方に面した凸状の湾曲部など、その上端がたとえばここに開示された他のすべての実施形態の構造とは異なる構造を有し得る。カーフシャンクの上端は、使用にあたりたとえば図3,図27または図28または他の既知のアダプタなど、アダプタを使用して人間の下肢のソケットに連結することが可能である。
【0069】
図32〜図34の義足100は、歩行時のカーフシャンクの上端の前方移動に付随するさらなるエネルギーを蓄積するための後部カーフ装置114をさらに含む。つまり、歩行の活動推進期において、弾性的な義足の力負荷は、カーフシャンクの前方に向いた凸状の湾曲部106によって形成されたカーフシャンク105の矢状面の凹部を拡張し、これがカーフシャンクの下端および足キールに対するカーフシャンクの上端の前方移動となる。上述のように、装置114の好ましくはストラップ形状の可撓性の細長部材116は、固定具119によってカーフシャンクの上部と、コネクタ111によって義足の下部、すなわち連結要素107およびカーフシャンクの下端110とに連結されている。弾性および/または非弾性であり得る可撓性ストラップの長さは、歩行時に張力をかけられ、ストラップの重なり合う長さのあいだのスライド調節部117を使用して調節可能である。
【0070】
曲がりばね118は、固定具119によってカーフシャンクの上端、たとえばカーフシャンクとカーフシャンクに固定された図示しないアダプタとのあいだでその基部において調節可能に支持されている。該ばねの下方の自由端は可撓性のストラップと協働するように位置決めされる。ストラップが張力をかけられる際、ばねはストラップの縦範囲の方向を変化させる。歩行時のカーフシャンクの上端の前方移動は、ストラップに張力をかけ/さらに張力をかけ(ストラップが最初に張力を予負荷された場合)、また歩行時の義足の力負荷においてばねに負荷をかけて/さらに負荷をかけてエネルギーを蓄積させる。この蓄積されたエネルギーは、義足の力負荷解除のあいだにおいてばねによって戻され、歩行時の義足による推進力に対して発生する動力を増加する。
【0071】
スライド調節部117の使用によりストラップ116を短くすることで、義足の使用前の最初に予負荷をかけてストラップに張力をもたせる場合、ストラップの張力は弾性的なカーフシャンクの上端の後方移動を補助し、義足使用時のカーフシャンクの前方移動を制御する機能を果たす。後方移動の補助は、歩行の初期立脚段階の踵衝突において義足の迅速な足底の反応を得ることにおいて有益であり、これは歩行時の踵衝突において足の足底湾曲が発生する人間の足および足首で生じるものと類似している。
【0072】
後部カーフ装置114を使用して義足の使用中に弾性的カーフシャンク上端の後方移動の補助および前方移動の制御は、義足使用中の力負荷および負荷解除を受けたカーフシャンクの上端の縦移動に対する矢状面の湾曲特性の変化に影響を与えることによって、歩行時の義足の足首のトルク比を変更するためにそれぞれ有効である。歩行時の人間の足の自然生理学的な足首トルク比は、歩行の終末立脚段階に生じたピーク背屈足首トルクを、歩行時の踵衝突後の初期足底負荷反応において生じた足底湾曲足首トルクで割った商と定義され、これは11.33対1であると報告されている。後部カーフ装置の使用によりカーフシャンクの上端の縦方向の移動に対する矢状面湾曲特性を変化させる目的は、義足の足首トルク比を増加して歩行時の人間の足において生じることを擬態することである。このことは、義足を用いて適切な歩行を行なうために重要であり、また一方が自然の足で他方が義足の場合に対称的な歩行を達成するために重要である。好ましくは、後部カーフ装置114の使用により前方移動を制御し、可能ならば後方移動を補助することによって、義足の足首のトルク比が増加して、義足において生じるピーク背屈足首トルクがその足底湾曲足首トルクより大幅に増加する。より好ましくは、足首トルク比は、報告されている自然足首トルク比の11.33対1と比べて約11対1に増加する。
【0073】
後部カーフ装置のさらなる目的は、歩行時の義足による推進力に対して発生した動力を増加するため、義足の力負荷のあいに装置のばね118にさらなる弾性エネルギーを蓄積することによって歩行時の義足の効率を向上させること、および負荷解除のあいだに蓄積された弾性エネルギーを戻すことである。歩行時の人間の足、足首およびふくらはぎに対する人間のふくらはぎ筋の役割のように、義足において該装置114は、足の力負荷中に体内で位置エネルギーを発達させること、および足の力負荷解除中に推進力のために位置エネルギーを運動エネルギーに変換することを利用して、歩行時に人間の体に対する推進力を効率的に発生する役割を果たす。本発明の後部カーフ装置を有する義足において、人間の足効率に接近することまたはこれを超えることは、たとえば身体欠損者の「通常の機能」を回復する上で重要である。後部カーフ装置114によってカーフシャンク105の上端の前方移動を制御することは、カーフシャンクの上端の前方移動の範囲を制限するために効率的である。また上述のように、連結要素107の弾性的な縦アーチの拡張および連結要素の反対に湾曲した部分112の圧縮によって、義足100の足キールは、歩行時の力負荷中のエネルギーの蓄積に寄与する。この位置エネルギーは、歩行時の負荷解除時に推進力を発生させる動力として戻される。
【0074】
図35の義足120は、足キール121,カーフシャンク122および後部カーフ装置123を含む。アダプタ124は、使用者の下肢上のソケットに義足を固定するために、図示しない適当な固定具によってカーフシャンクの上端に連結される。図32〜図34の実施形態のように、義足の連結要素125は足キールの前足部126と一体的に形成される。足キールの後足部127は、連結要素とカーフシャンクとの連結前に、図39に取り外された状態で示された固定装置128によって連結要素の反対に湾曲した部分の上端に連結される。固定装置は、カーフシャンク下端の反対に湾曲した螺旋部の半径方向の内端に対する半径方向の内側部品129と、後足部127の上端に対する半径方向の外側部品130とを含む。ボルトおよびナットなどの図示しない機械固定部は、部品129および130の整列した開口部を通り、固定装置によってあいだに挟持されて互いに連結された後足部の補完的な湾曲部、連結要素およびカーフシャンクの下端を通る。
【0075】
義足120の後部カーフ装置123は、カーフシャンクとともに移動するためにカーフシャンクの上端にその一端が支持されたコイルばね131を含む。コイルばねの第2の自由端は、金属クリップ133によって自由端に固定された可撓性の細長部材のストラップ132の一端を有する。図35に示されるように、クリップは一端においてストラップの第一端に連結され、他端はコイルばねの自由端にクランプ係合されて引掛けられている。ストラップ132の中間部は、足キールおよびカーフシャンクの下端にまで下方に延びており、該ばねは固定装置128の部品130に取り付けられた円筒ピン135の形状の返り部134にまで延びている。ピンに対するストラップのスライド抵抗を最小限にするために、ピン134は部品130に回転可能に取り付け可能である。ストラップの第二端は、カーフシャンクの後方面と、カーフシャンクの長さ方向の下方に部分的に延びた補完型のばね保持部材135とのあいだでカーフシャンクの上端にクランプ保持されている。
【0076】
部材135の上端はコイルばねの上端とカーフシャンクの上端とのあいだに、図示しない適切な固定具によって固定される。弾性的および/非弾性的であり得る可撓性ストラップの長さは歩行時に張力をかけられ、図示しないスライド調節部を使用して、たとえば金属クリップ133との連結部に隣接したストラップの重なり合う長さのあいだで調節可能である。
【0077】
足キールおよびカーフシャンクの下端に対する歩行時のカーフシャンクの上端の前方移動は、歩行の後期中間立脚期において義足の力負荷中にエネルギーを蓄積するコイルばね131の拡張および保持部材135の下端の後方湾曲により阻止され、蓄積エネルギーは力負荷解除のあいだに解放されるために義足の足首での力の発生と効率の向上に寄与する。実施形態においてコイルばね131はばね鋼で形成されているが、他の合金またはプラスチックなどの非金属を使用することもできる。また、実施形態においてばね部材135はエポキシ樹脂に封止された炭素繊維から形成されているが、合金を含む他の材料を使用することもできる。図32〜図34のストラップ116に類似した可撓性ストラップ132は、幅が8分の5インチ、厚さが16分の1インチのKevlar(デュポン社)織材で形成されているが、当業者に明らかなように他の材料および他の寸法を使用することが可能である。ストラップ132の第一端は金属クリップ133端の開口部を通って延びており、ストラップがスライド調節部または他の固定具によって調節可能に保持されたストラップ上に折り返されている。ストラップは固定された調節不可能な長さであってもよい。
【0078】
図36の実施形態中の義足140は、図35の義足120で使用されたカーフシャンク122および後部カーフ装置123を使用する。義足140の足キール141は、カーフシャンクの螺旋状の下端を収容および支持するための固定装置128によってカーフシャンクの下端に連結された反対に湾曲した連結要素142を含む。本発明のこの形態において、連結要素は足キールの前足部143および後足部144の両方と一体的に形成されている。
【0079】
図37の実施形態の義足150は、連結要素151が、足キールの前足部155,中間足部156および後足部157を形成する、足キールにその後端が固定具153によって固定される別の要素として形成される点を除いて図35および36のものと類似している。固定具153の連結領域は、歩行の後期中間立脚期において足キールの有効長とそのばね比とを増加するために、カーフシャンクの連結部および連結要素よりも後方にある。この効果は、義足161の連結要素160が足キール163の後端にまで延びており、固定具164によって足キールに接続される図38の実施形態においてさらに増大する。前記固定具はボルトおよびナットなどの機械固定具またはラップされた炭素繊維とエポキシ樹脂との合成物またはデュポン社のKevlarなどのラップされた芳香族ポリアミド繊維とエポキシ樹脂の合成物を含む他の固定具であってよい。連結要素の下方の前端165は、背屈においてカーフシャンクの前方移動に対する停止部となるように延びている。代替的に、図32〜34の実施形態において113で設けられた別個の停止部を設けることも可能である。図35および図36の実施形態においてはどちらの種類の停止部も使用可能である。
【0080】
図40の後部カーフ装置169は、図35〜図39のものと類似しており、コイルばね170および可撓性ストラップ171を有する。本発明のこの形態において、図35の135で示されたばね保持部材は省略され、コイルばね170は可撓性ストラップの上端およびカーフシャンクのあいだに図示しない固定具によってカーフシャンクの上端に直接固定される。可撓性ストラップの他端は、該ストラップが返り部134を通ってコイルばねの後方全体に延びるようにして、コイルばねの自由端に連結される。図41は、図40の後部カーフ装置の変形例を示し、可撓性ストラップ181に連結されたコイルばね180の自由端が半径方向内側に巻かれている。図42に示された本発明の他の形態において、第1コイルばね190および第2コイルばね191が後部カーフ装置で使用されている。コイルばねの自由端は連結ストラップ193によってリンクされ、コイルばね190の自由端は、返り部134まで下方におよびそのまわりに延び、そしてストラップが連結されているカーフシャンク122の上端まで延びた可撓性ストラップ192の一端に連結され、可撓性ストラップは、ばね190および191の上端とともにカーフシャンクおよびアダプタ124に連結されている。図43および図44において、曲がりばね200,201および210は、可撓性ストラップ202および211の中間とカーフシャンク122とによって支持されている。ばねの自由端は、エネルギーを蓄積するために歩行時に可撓性ストラップに張力をかけることにより弾性的に付勢される。
【0081】
図45〜図52は後部カーフ装置の他の実施形態を示す。図45および図46において、後部ばね(310および320)は細長く延び、義足のカーフシャンク領域のコイル状下端に接触する。図45において、曲がりばね310の末端はコイル状の足首領域内で浮動している。図46では、曲がりばね320の末端は穴を有しており、図示しない固定具が装置を共にボルト留めする。また、ばね320はカーフシャンクの上部に固定することも可能である(図52参照)。後部ばねのさらに別の実施形態が図47に330で示されている。本実施形態においてカーフシャンクおよびばねは一体的に形成されている。後部ばね310,320および330の近接端はともにカーフシャンクに固定および/またはカーフシャンクに固定される図示しない回転要素に取り付け可能である。
【0082】
図48,図49,図51および図52は二重ばね構成を示している。図48において、ばね410および411は、カーフシャンク122の上部と、たとえば図35〜図44の固定装置128の部品130のような義足下部とのあいだに連結された可撓性の細長部材412のあいだに配置されている。図49において、後部ばね415は「S」字型に湾曲しており、第2の「J」字型のばね416が近接して配置されている。初期の接地力踵負荷のあいだ「S」字型ばねは圧縮するが、踵‐爪先負荷のあいだは「S」字型ばねは伸びて「J」字型ばねと係合して義足装置の剛性を増加する。したがって、2つのばね415および416の使用は踵‐爪先負荷中の向上したばね率をもたらす。非対称ばねおよび複数の板ばねなど他の形状のばねを使用して、向上したばね率またはより高い負荷力のばね定数を得ることが可能である。図50は、カーフシャンクの近接縁および連結要素の上縁に取り付けられた単一の「J」字型ばね(360)を示す。このばねは、長さの異なる複数の曲がりばねなど、複数のばね要素から作成することができる。
【0083】
これで例証的実施形態の記述を終了する。多数の実例的な実施形態を参照して本発明を説明したが、当業者によって考案されるこれ以外の様々な変更および実施形態も、本発明の原理の精神および範囲内に含まれることが理解されるべきである。たとえば、本発明による義足のカーフシャンクの下端の形状は、放物面状あるいは螺旋形状に限られるものではなく、双曲型または下方凸型の、曲線的に構成された形状を採用して、足の足首関節領域を形成するべく足キールに接続した際に、足の所望の動作結果を得るようにすることも可能である。さらに、構成材を含む様々な実施形態の特徴を組み合わせて使用することもできる。たとえば、図32〜図44の実施形態での後部カーフ装置は、図1〜図31の実施形態で開示されたものを含む本発明の他の義足に使用することが可能である。また、開示された実施形態中の足キールおよびカーフシャンクを複数の矢状方向の圧縮材に作製することもできる。該構造により義足の横断面および前面の動作的特徴を改善することができる。また、後部カーフ装置の細長部材はストラップ、S字型またはJ字型のばね以外の形態でもよい。たとえば、コイルばねを義足の上部および下部のあいだの可撓性の細長部材として使用することも可能である。より詳細には、本発明の精神から逸脱しない限り、先述の開示、図面、添付の請求項の範囲内で、課題の組み合わせ配置の構成部品および/または装置の妥当な応用形および変形が可能である。当業者には、構成部品および/または装置の応用形および変形に加えて、別の用途も明白となるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明による義足の足キールとカーフシャンクの、互いに対向し合う、2つの隣接した湾曲部R1,R2の半径を表す略図であり、これらの半径は、2つの半径を接続する接線Aに対して垂直な矢印Bの方向に歩行中の足の動作反応機能と動作結果を作り出す。
【図2】図1と類似した図であるが、接線A1に対して垂直な矢印B1が図1に示した場合よりもより水平に向くようにするべく、歩行中の足の動作反応機能および動作結果の水平成分を増加し、垂直成分を減少するために、本発明の義足内で変更された2つの半径のアライメントを示す。
【図3】義足を身体欠損者の下脚に固定するために、仮義足アダプタと、これに接続した仮義足とを備えている本発明の或る実施形態による義足の側面図である。
【図4】図3の仮義足アダプタと仮義足を具備した義足の正面図である。
【図5】図3,図4の実施形態の平面図である。
【図6】特に短距離走用の、本発明の義足に使用できる、本発明の別の足キールの側面図である。
【図7】図6の足キールの平面図である。
【図8】図3の義足における足キールの底面図であり、高低動作反応特徴と動作機能を提供する。
【図9】足をサイム切断手術した身体欠損者による短距離走に特に適した、本発明によるさらに別の義足用足キールの側面図である。
【図10】図9の足キールの平面図である。
【図11】サイム切断身体欠損者のための本発明による義足用足キールのさらなる応用形であり、この足キールは、高低動作反応特徴とバイプラナー動作機能を義足に与える。
【図12】図11の足キールの平面図である。
【図13】本発明の足キールの側面図であり、この場合、キールの厚さが、キールの中間足部から後足分部にかけて、段階的に減少しながら先細りしている。
【図14】別形態の足キールの側面図であり、この場合、キールの中間足から前足と後足の両方に向かって厚さが先細りしている。
【図15】本発明による義足の放物面状のカーフシャンクの若干上から前部までの側面図であり、カーフシャンクの厚さがその上端に向かって先細りしている。
【図16】図15と類似した側面図であるが、中間からその上端および下端の両方に向かって先細りしている別のカーフシャンクを示している。
【図17】義足用C字型カーフシャンクの側面図であり、カーフシャンクの厚さが、中央から上端と下端の両方に向かって先細りしている。
【図18】義足用C字型カーフシャンクの別例の側面図であり、カーフシャンクの厚さが、その中央部分から上端へと段階的に減少している。
【図19】義足用のS字型カーフシャンクであり、両端部の厚さが中央から段階的に減少している。
【図20】厚さが上端においてのみ先細りしている、S字型カーフシャンクのさらなる例である。
【図21】各端部にて先細りしている、本発明の義足用J字型カーフシャンクの側面図である。
【図22】図21の図面と類似しているが、厚さがその上端のみに向かって段階的に減少するJ字型のカーフシャンクを示している。
【図23】図3に示したように、カーフシャンクを足キールに結合するための、本発明の調整可能な固定装置に使用される金属合金またはプラスチック製の連結要素を若干上から見た側面図である。
【図24】義足を身体欠損者の脚に取り付けるべく仮義足に接続するために、図3〜図5の義足において使用され、さらに、図28,図29の義足にも使用できる仮義足アダプタを側部および若干正面から見た図である。
【図25】図3のものと類似した本発明による別の義足の側面図であるが、要素をカーフシャンクと足キールの各々に接続する、縦方向に離間した2つの解除可能な固定具を備える連結要素の使用を示している。
【図26】図25中の連結要素の拡大側面図である。
【図27】図25の義足のカーフシャンクの拡大側面図である。
【図28】別に実施形態による、カーフシャンクを義足用の化粧用カバー内に収容する義足の側面図である。
【図29】図28中の義足の平面図である。
【図30】図28,図29の義足の、図29の線30−30に沿った断面図である。
【図31A】図30に示したような連結要素の背屈停止に使用される、厚さの異なるくさびの断面図である。
【図31B】図30に示したような連結要素の背屈停止に使用される、厚さの異なるくさびの断面図である。
【図32】さらなる実施形態の義足の側面図であり、カーフシャンクの下端が螺旋状に反対に湾曲し、足キールの前足部と一体的に形成された連結要素に収容かつ支持されている。
【図33】図32の義足の正面図である。
【図34】図32の義足の背面図である。
【図35】別の実施形態の義足の側面図であり、足キールの後方部品が足キールの前足部と一体的に形成された連結部材の反対に湾曲した上端に連結されている。
【図36】本発明の別の形態の側面図であり、連結要素が足キールと一体的に形成されている。
【図37】本発明の義足のさらに別の変形例の側面図であり、連結要素がその後端において固定具により足キールに連結されている。
【図38】別の実施形態の義足の側面図であり、連結要素が足キールの後端において足キールに連結されていることを示す。
【図39】図35〜図38の実施形態のカーフシャンクおよび後部カーフ装置の側面図であり、足キールとその連結要素が取り外されていることを示す。
【図40】図32〜図38の実施形態の義足の足キールに有用なカーフシャンクおよびアダプタの側面図であり、本発明のカーフシャンクの後部カーフ装置がコイルばねおよび可撓性のストラップを使用している。
【図41】本発明の後部カーフ装置の他の変形例の側面図であり、カーフシャンクのコイルばねがアダプタと固定装置を有する。
【図42】本発明のさらなる後部カーフ装置の側面図であり、下肢義足を形成するための図32〜図38の実施形態で使用される足キールにおいて使用される2つのコイルばねがアダプタおよび固定装置を有するカーフシャンクとの関係で示されている。
【図43】図32〜図38の実施形態の足キールにおいて使用される螺旋形状の反対に湾曲した下端を有するカーフシャンクの側面図であり、2つの曲がりばねを使用した本発明の後部カーフ装置のさらなる形態とともに示されている。
【図44】アダプタを有するカーフシャンク、固定装置および本発明の後部カーフ装置のさらなる変形例の側面図であり、単一の曲がりばねが使用されている。
【図45】本発明のカーフシャンクおよび後部カーフ装置の側面図であり、装置の単一の曲がりばねがカーフシャンクの反対に湾曲した末端内に適合されている。
【図46】本発明のカーフシャンクおよび後部カーフ装置の側面図であり、装置の単一の曲がりばねがカーフシャンクの反対に湾曲した末端内に適合され、ばねがシャンクに固定されている。
【図47】本発明のカーフシャンクおよび後部カーフ装置の側面図であり、カーフシャンクおよび装置が一体的に形成されている。
【図48】本発明の義足の別の実施形態の側面図であり、後部カーフ装置がコネクタによってカーフシャンクの上部と義足の下部、つまり連結要素とシャンクの下端とに連結された可撓性の細長部材によって弾性的に付勢された2つのばねを含む。
【図49】義足の他の実施形態の側面図であり、後部カーフ装置がカーフシャンクの上部と連結要素のあいだに連結された「S」字型の後ばねを有しており、連結要素はカーフシャンクの下端を足キールに連結しており、第2のばねは「J」字型を有しており、S字型ばねとカーフシャンクの上部とのあいだに配置されている。
【図50】別の実施形態の側面図であり、後部カーフ装置はカーフシャンクの上部とカーフシャンクと義足の足キールに連結している連結要素の近接縁とのあいだに連結された「J」字型ばねを有している。
【図51】義足装置のさらなる実施形態の側面図であり、後部カーフ装置が複数の板ばねを含んでいる。
【図52】本発明の義足のさらなる実施形態の側面図であり、後部板ばねが複数の後部板ばねで構成された後部カーフ装置に加えて設けられている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
足部と、
足首部と、
シャンク部と、
義足の力負荷中にエネルギーを蓄積し、力負荷解除中に該蓄積されたエネルギーを戻すことにより歩行時の義足による推進力に対して発生した動力を増加するための義足上の後部カーフ装置とを備えた下肢義足用装置であって、
前記足首部およびシャンク部が弾性部材から形成され、該弾性部材が部材の前方に面する凸状の湾曲部を経由して足部から上方に延びており、前記部材の下端が螺旋形状に反対に湾曲した義足。
【請求項2】
前記装置が、シャンク部の上部および義足の下部のあいだに延びた少なくとも1つの細長部材と、エネルギーを蓄積するためにシャンク部上端の前方移動を受けて前記少なくとも1つの細長部材によって弾性的に付勢される少なくとも1つのばねとを含む請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのばねが、細長部材に連結された自由端を有するコイルばねを含み、該コイルばねがシャンク部上端の前方移動を受けて弾性的に拡張する請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記コイルばねがシャンク部の上部において支持されている請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記細長部材が、前記コイルばねの自由端から義足の下部に延びた可撓性部材であって、該義足の下部において、返り部の周りを通りシャンク部の上部まで上方に延びている請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記装置が複数のコイルばねを含み、その各々の自由端が前記細長部材に連結され、各々のコイルばねがシャンク部上端の前方移動を受けて弾性的に拡張する請求項2記載の装置。
【請求項7】
前記細長部材が、シャンク部の上部および弾性部材下端の螺旋部の半径方向の内部端のあいだに延びている請求項2記載の装置。
【請求項8】
前記細長部材が、弾性部材を義足に連結する固定装置によって前記螺旋部の半径方向の内部端に保持される請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記固定装置が、前記細長部材がその周りを通りシャンク部の上部まで上方に延びた返り部を含む請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記装置が複数のばねを含み、エネルギーを蓄積するために、各々のばねがシャンク部上端の前方移動を受けて弾性的に付勢される請求項2記載の装置。
【請求項11】
前記細長部材が曲線ばねである請求項2記載の装置。
【請求項12】
前記細長部材の末端が、弾性部材を足部に連結する連結要素に連結された請求項11記載の装置。
【請求項13】
歩行の踵離地の後期中間立脚期において、シャンク部に係合およびシャンク部を硬化させるためのシャンク部の前方側に配置されたばねをさらに備えた請求項1記載の装置。
【請求項14】
前記装置が、シャンク部の上部および義足の下部のあいだに延びた曲がりばねを含む請求項1記載の装置。
【請求項15】
前記曲がりばねの末端が、弾性部材の反対に湾曲した下端内に配置された請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記曲がりばねの末端が、弾性部材の反対に湾曲した下端に連結された請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記装置の曲がりばねが、弾性部材と一体的に形成される請求項14記載の装置。
【請求項18】
前記曲がりばねの末端が、弾性部材と足部とを連結する連結要素に係合する請求項14記載の装置。
【請求項19】
部材の前方に面する凸状の湾曲部を通り足部から上方に延びた部材を有する縦方向に延びた足部と連結し、人間の脚基部の支持構造と連結するための足首部およびシャンク部を形成する螺旋形状の反対に湾曲した一端を有する細長い弾性部材と、
歩行時の義足による推進力に対して発生した動力を増加するために、義足の部材の力負荷中にエネルギーを蓄積し、力負荷解除中に蓄積されたエネルギーを戻す弾性部材上の後部カーフ装置とを備える下肢義足のための足首部およびシャンク部。
【請求項20】
前記装置が、義足の弾性部材の上部および下部のあいだに延びた少なくとも1つの細長部材と、該部材に連結され、エネルギーを蓄積するために歩行時に部材の上端の前方移動を受けて義足の前記少なくとも1つの細長部材によって弾性的に付勢された少なくとも1つのばねとを含む請求項19記載の足首部およびシャンク部。
【請求項21】
前記少なくとも1つのばねが、前記細長部材に連結された自由端を有するコイルばねを含み、該コイルばねが義足のシャンク部上端の前方移動を受けて弾性的に拡張する請求項20記載の足首部およびシャンク部。
【請求項22】
前記コイルばねが部材の上部において支持される請求項21記載の足首部およびシャンク部。
【請求項23】
前記義足を形成するために前記弾性部材の一端を足部に連結する固定装置をさらに備え、前記細長部材がコイルばねの自由端から義足の固定装置に延びており、前記細長部材が返り部の周りを通り弾性部材の上部まで上方に延びている請求項22記載の足首部およびシャンク部。
【請求項24】
前記少なくとも1つのばねが、前記細長部材に連結された自由端を各々有する複数のコイルばねを含み、その各々の自由端が前記細長部材に連結され、各々のコイルばねが義足のシャンク部上端の前方移動を受けて弾性的に拡張する請求項21記載の足首部およびシャンク部。
【請求項25】
前記細長部材が、弾性部材の上部および弾性部材の螺旋状下端の半径方向内部端のあいだに延びている請求項20記載の足首部およびシャンク部。
【請求項26】
前記弾性部材を義足の足部に連結する螺旋部の半径方向内部端に固定装置をさらに備える請求項25記載の足首部およびシャンク部。
【請求項27】
前記固定装置が、前記細長部材がその周りを通り義足の弾性部材の上部まで上方に延びた返り部を含む請求項26記載の足首部およびシャンク部。
【請求項28】
前記装置が、義足のシャンク部上端の前方移動を受けて各々が弾性的に付勢される複数のばねを含む請求項20記載の足首部およびシャンク部。
【請求項29】
前記細長部材が曲がりばねである請求項20記載の足首部およびシャンク部。
【請求項30】
前記細長部材の末端が、弾性部材を義足の足部に連結するための連結要素に連結された請求項29記載の足首部およびシャンク部。
【請求項31】
歩行の踵離地の後期中間立脚期においてシャンク部に係合およびシャンク部を硬化させるための弾性部材の前方側に配置された少なくとも1つのばねをさらに備えた請求項19記載の足首部およびシャンク部。
【請求項32】
前記装置が、シャンク部の上部および下部のあいだに延びた曲がりばねを含む請求項19記載の足首部およびシャンク部。
【請求項33】
前記曲がりばねの末端が、弾性部材の反対に湾曲した下端内に配置された請求項32記載の足首部およびシャンク部。
【請求項34】
前記曲がりばねの末端が、弾性部材の反対に湾曲した下端に連結された請求項32記載の足首部およびシャンク部。
【請求項35】
前記装置の曲がりばねが、弾性部材と一体的に形成される請求項32記載の足首部およびシャンク部。
【請求項36】
前記曲がりばねの末端が、弾性部材および下肢義足の足部を連結するための連結要素と係合する請求項32記載の足首部およびシャンク部。
【請求項37】
足部と、
足首部と、
シャンク部と、
義足の力負荷中にエネルギーを蓄積し、力負荷解除中に該蓄積されたエネルギーを戻すことにより歩行時の義足による推進力に対して発生した動力を増加するための義足の後部カーフ装置とを備えた下肢義足用装置であって、
前記装置が、シャンク部の上部および義足の下部のあいだに延びた少なくとも1つの細長部材と、該細長部材に連結された自由端を有する少なくとも1つのコイルばねとを含み、エネルギーを蓄積するために、該コイルばねがシャンク部の上端の前方移動を受けて弾性的に拡張する装置。
【請求項38】
前記コイルばねが前記シャンク部の上部において支持される請求項37記載の装置。
【請求項39】
前記細長部材が、前記コイルばねの自由端から義足の下部に延びた可撓性部材であって、該義足の下部において、返り部の周りを通りシャンク部の上部まで後方に延びている請求項38記載の装置。
【請求項40】
前記細長部材が、シャンク部の上部および足首部のあいだに延びた可撓性のストラップである請求項37記載の装置。
【請求項41】
前記足首部およびシャンク部が、部材の前方に面する凸状の湾曲部を通り足部から上方に延びた弾性部材によって形成される請求項37記載の装置。
【請求項42】
前記弾性部材の下端を前記足部に連結する固定部材をさらに備え、前記細長部材がシャンク部の上部から固定装置まで延びている請求項41記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31A】
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【図31B】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【公表番号】特表2007−530236(P2007−530236A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506340(P2007−506340)
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/011291
【国際公開番号】WO2005/097009
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(503224611)
【出願人】(503224622)
【Fターム(参考)】