説明

調節可能なトレイを備えたフラクションコレクター

【課題】著しいコストや脆さを追加せずに、ディスペンス・ヘッド及び収集容器を確実かつ精密に整列できる、フラクションコレクターを提供する。
【解決手段】可動トレイを備えた、フラクションコレクターが提供される。可動トレイは、様々なやり方によって、フラクションコレクターの支持装置に取り付けられ、フラクションコレクターの支持装置の部品を調節せずに、トレイを調節する方法が提供される。可動トレイは、固定された又は取り外し可能なペグによって、または、チャネルによって、フラクションコレクターの支持装置に安定させて取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収集装置、及び収集装置の使用方法に関する。本発明は、液体取扱い装置に関し、より詳しくは、フラクションコレクターに関する。本発明による装置は、クロマトグラフの分離、試料の精製、及び、特に、化学ライブラリからの試料を高いスループットにて精製するために用いられる。
【背景技術】
【0002】
フラクションコレクターは、周知の装置であって、変化する液体組成をもった、流れの遅い源に由来する液体試料を収集することを意図した装置である。フラクションコレクターは、代表的に、クロマトグラフの分離、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)や、ガスクロマトグラフィー(GC)、超臨界液体クロマトグラフィー(SFC)、カラム展開クロマトグラフィー、及び液体−液体の分離において、および、様々な蒸留工程における蒸留物の収集において使用される。フラクションコレクターによって小出しにされる、それぞれの個別の試料ないしフラクションのサイズは、タイマーや、液滴カウンタ、レベル検出装置などの従来の測定機器によって、または、様々な分光測定方法によって、決定される。フラクションコレクターは代表的に、逐次、ディスペンス・ヘッドを整列させ、試料送出導管ないし管を収集容器の配列における個々の収集容器部分へと運び、試料を収集容器に送り届ける。
【0003】
フラクションコレクターは、おおまかに、2つのグループに分類される。第1のグループに含まれるフラクションコレクターにおいては、複数の収集容器が、略円形のターンテーブル上に搭載される。これらのフラクションコレクターは、一般的に「ターンテーブルコレクタ」と称される。ターンテーブルコレクタは、いずれも一般的に、回転可能に取り付けられたターンテーブルと、ディスペンス・ヘッドを支持した、回転可能に取り付けられたアームとの組合せによって、複数の収集容器を満たすように動作する。ディスペンス・ヘッドは、代表的に、単一の収集容器の上に整列され、液体は収集容器の中に小出しにされ、次に、ターンテーブルが回転して、別の収集容器を整列させる。ターンテーブルコレクタにおいては、複数の収集容器が、代表的には、同心円状又は螺旋状のパターンに配置される。同心円状のパターンにおける異なる円にある、または、伸び縮みする螺旋状のパターンにある、収集容器の上に、ディスペンス・ヘッドを操るために、回転可能に取り付けられたアームは、ディスペンス・ヘッドを動かして、それぞれの個々の収集容器に整列させる。
【0004】
第2のグループのフラクションコレクターは、静止したステージ上にて収集容器が格子パターンに配列されてなるコレクターと、個々の収集容器に選択的に液体を小出しにすべく、二次元平面において、又はすべての三次元において操られるディスペンス・ヘッドとを具備している。第2のグループのフラクションコレクターは、一般に「X−Yコレクタ」と称される。
【0005】
2つのグループのフラクションコレクターには、それぞれ異なった利点がある。例えば、多数の液体収集容器を取り扱う場合には、矩形の格子パターンをもったフラクションコレクターは、作業空間をより効果的に使用する。また、X−Yコレクタは、回転可能に取り付けられたターンテーブルに比べて、大規模な収集容器を取り扱うのに、より良く適している。さらに、X−Yコレクタは、マイクロタイタープレート、または、他の標準的又はあつらえの装置など、ポピュラーな標準化されたレセプタクルプレートに適合している。これとは対照的に、ターンテーブルタイプのフラクションコレクターは、高解像度液体クロマトグラフィーに使用される場合に、より有利であって、というのは、それらは、流れの遅い源とディスペンス・ヘッドとの間に、より短い取付配管を必要とし、従って、液体流れの内部における分離された組成物の拡散による再混合を制限し、結果的により良い分離になるためである。
【0006】
X−Y及びターンテーブルの両方のフラクションコレクターは、一般に様々なサイズである、試料の収集に使用される収集容器に合致するように、調節しなければならない。一般的に、フラクションコレクターの垂直な調節は、代表的に、脚部の手動調節によって、または、ディスペンス・ヘッドの垂直調節(Z軸線)を組み込むことによって、行われていた。第1の方法は、いくつかのX−Yコレクタにおいて利用され、ディスペンス・ヘッドの高さを手動調節するために、フラクションコレクターのベースの脚部を取り外し、必要に応じて長い又は短い脚部を装着する。しかしながら、この方法は効果的ではあるけれども、ベースの脚部を手動調節するならば、調節中には、脚部は個別的にしか調節出来ないので、収集容器を収容したラックを取り外す必要がある。その上、調節中に、収集ベッドのバランスを取るのは困難であり、こぼれを起こす機会が生じる。さらに、手動調節は、収集容器及び収集ベッドに対してディスペンス・ヘッドを再整列させることを必要とし、フラクションコレクター装置を破損させ得るような、追加的な段階を導入する。フラクションコレクターがより進歩するのに従って、公差は厳密になり、このため、ディスペンス・ヘッド組立体の手動調節は、壊れ易い電気部品のいくつかを破損させる脅威となる。
【0007】
加えて、手動でディスペンス・ヘッドを垂直に調節することは、ディスペンス・ヘッドを水平な整列から追い出して、液体フラクションが、試料収集容器に届き損なうことを引き起こす。これは、液体を掃除するための時間損失をもたらし、機器を損傷させ、または、液体の内容物によっては、オペレータに対して有害な環境をもたらす。その上、ディスペンス組立体が整列から追い出されると、組立体を再整列させるのに必要な、精密な整列手順には、非常に長い時間を要する。
【0008】
ディスペンス・ヘッドに垂直な調節軸線(Z軸線)を組み込むことは、当業者に知られている。しかしながら、Z軸線を備えたフラクションコレクターは、ディスペンス・ヘッドを確実かつ精密にすべての3方向に移動させるために、複雑な機構と、ときにはソフトウェアを必要とする。これらの複雑な機構は、しばしばサイズとコストとの両方を追加する。その上、単一のフラクション収集運転に使用される収集容器は、一般的に均一なサイズであるので、ディスペンス・ヘッドが垂直方向に動くことは、しばしば不要である。
【0009】
フラクションコレクターが、X−Yコレクタであるか、ターンテーブルコレクタであるかにかかわらず、デザインにおいて主に重要なことは、ディスペンス・ヘッド及び収集容器を整列させるための機構が、可能な限り、簡単かつ丈夫である一方、ディスペンス・ヘッドを、連続的な収集容器の上に、確実かつ精密に位置決め可能なことである。当業者に知られている多くのフラクションコレクターは、確実かつ精密に、ディスペンス・ヘッドを連続的な収集容器の上に配置できるけれども、多くのものは、かなり複雑であって、そのため、高価なだけでなく、調節及び維持が困難である。特に、公知のフラクションコレクターの構造は、極めて複雑かつ繊細な、ディスペンス・ヘッド調節機構を具備している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、著しいコストや脆さを追加せずに、ディスペンス・ヘッド及び収集容器を確実かつ精密に整列できる、フラクションコレクターを求めるニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、フラクションコレクターにおいて、ディスペンス・ヘッドと収集容器との間の距離を調節するための新規な装置に関する。より詳しくは、本発明は、フラクションコレクターの脚部を調節せずに調節できる、フラクションコレクターのベッドに関する。フラクションコレクターにおけるベッドが調節可能なことから、ディスペンス・ヘッドにはZ軸線の必要がない。
【0012】
ひとつの実施形態においては、本発明によって提供されるフラクションコレクターは、支持装置と、支持装置によって可動に支持されたキャリッジと、キャリッジに取り付けられた延長アームと、延長アームに可動に取り付けられたディスペンス・ヘッドと、を備え、ディスペンス・ヘッド及びキャリッジは、第1の平面において、支持装置に沿って動くことができ、支持装置に可動に結合された収集ベッドを備え、収集ベッドは、第1の平面に対して垂直である第2の平面において、支持装置を調節することなく、可動になっている、ことを特徴とする。
【0013】
ある種の実施形態において、本発明によるフラクションコレクターを使用するための方法は、ディスペンス・ヘッドから、収集ベッドの適切な変位を決定する段階と、支持装置を用いて、適切な変位に収集ベッドを整列させる段階と、支持装置に収集ベッドを安定させて取り付ける段階と、を備えている。
【0014】
本発明のひとつの実施形態においては、フラクションコレクターは、支持装置と、ディスペンス・ヘッドを支持装置に結合させた、延長アームを具備してなるキャリッジと、を備え、ディスペンス・ヘッド及びキャリッジは一緒に、単一平面内にて移動し、収集ベッドは支持装置に結合され、収集ベッドは単一平面に対して垂直な方向に調節可能になっている。この実施形態においては、フラクションコレクターのための支持装置は、脚部ベースを備えた左右の脚部と、前部及び上部のブレースとを備えている。一般的に、支持装置はキャリッジと収集ベッドの両方を支持する。いくつかの実施形態においては、単一平面は、ベンチ又はテーブルなどの支持面と同一高さで、支持面と平行なX−Y平面であって、単一平面に対して垂直な方向はZ方向になっている。代表的に、収集ベッドは、ラックの装置の有無にかかわらず、様々なサイズ及び形状の収集容器を保持することができる。
【0015】
本発明の別の観点においては、フラクションコレクターの収集ベッドは、2つの側縁部と前後の縁部とを有してなるトレイから作られる。収集ベッドには、収集ベッドアームが取り付けられ、収集ベッドアームは、収集ベッドを支持装置に取り付けるように延びている。本発明のひとつの実施形態においては、支持装置は左右の脚部に一連のペグを有し、収集ベッドアームは、支持装置の脚部に設けたペグに対して相補的なやり方で間隔を隔てた固定箇所を有している。収集ベッドは、収集ベッドを上昇又は下降させて垂直に調節され、収集ベッドは、ペグと収集ベッドアームに設けた固定箇所とによって、支持装置上の所定位置にロックされる。変形例の実施形態においては、収集ベッドに設けられる固定箇所は、スロット又は孔であり、脚部におけるペグは、固定され又は着脱可能になっている。
【0016】
別の実施形態においては、収集ベッドは、収集ベッドを上昇又は下降させて垂直に調節され、左右の脚部に設けた一連のペグ孔と、収集ベッドアームに設けた固定孔とを用い、着脱可能なペグを固定孔とペグ孔とに挿通させて、収集ベッドを所定位置に固定することで、収集ベッドは支持装置上の所定位置にロックされる。
【0017】
さらに別の実施形態においては、収集ベッドアームは、収集ベッドのトレイから斜めに配設され、トレイを後傾させたとき、収集ベッドの全体が垂直に調節可能になる。この実施形態及び他の関連する実施形態において、支持装置における左右の脚部は、収集ベッドの垂直な調節を保持するために、溝部又は切欠を有している。その上、ある種の実施形態においては、収集ベッドトレイの後部縁部は、溝部ないし切欠に嵌合するように形成され、または、収集ベッドトレイの後部縁部は、溝部ないし切欠に対して相補的な形状を取り付けられ、相補的な形状が溝部ないし切欠に精密に嵌合する。
【0018】
本発明のさらに別の観点によれば、フラクションコレクターにおける支持装置の左右の脚部は、外側チャネル又は内部チャネルを有し、収集ベッドアームをそれらに挿入したとき、収集ベッドを水平に保持することができる。
本発明の他の実施形態に含まれるフラクションコレクターは、収集ベッド上に支持された収集容器の中に、ディスペンス・ヘッドから液体を小出しにするためのものであって、フラクションコレクターは、支持装置と、ディスペンス・ヘッドを支持装置に結合させ、延長アームを具備したキャリッジとを備え、ディスペンス・ヘッドとキャリッジとは一緒に単一平面内にて移動し、支持装置に結合された収集ベッドは、収集ベッドが昇降機の動きによって調節可能になっている。
【0019】
本発明の他に想定される実施形態においては、収集ベッドは、装置に取り付けられるのではなく、これに代えて、ステージ上に載置され又はステージに完全に一体化され、ステージは、液圧方法又はモータ駆動ネジ機構を介して、手動で上昇又は下降される。そうした実施形態においては、収集ベッドは、装置上のディスペンス・ヘッドに対して確実かつ精密に整列され、そのために、フラクションコレクター及び収集ベッドに設けた目印、装置に設けた位置決めレーザ、及び/又は、実験台などのように、フラクションコレクターと、フラクションコレクターが載置される支持体との両方に設けた目印が使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1の実施形態に示すように、フラクションコレクター装置100は、ディスペンス・ヘッド150の下方の所定位置において、垂直に調節可能な収集ベッド101を備えている。当業者は理解するだろうが、この所定の位置は、様々な位置のうち、任意の位置である。非限定的な例としては、所定の位置は、既知のサイズの収集容器を収容したラックのために適している。他の実施形態においては、所定の位置は、あつらえた収集容器を使用できるように、連続体に沿って調節可能になっている。ディスペンス・ヘッド150は、延長アーム160に可動に取り付けられ、延長アームは、キャリッジ170に可動に取り付けられている。図1に示した実施形態においては、ディスペンス・ヘッド150は、延長アーム160に沿ってY方向に動くことができ、延長アーム160はX方向に動くことができる。当業者は理解するだろうが、X及びYの方向は、任意に割り当てられたもので、限定する意味はない。ディスペンス・ヘッド150がX方向に動き、延長アーム160がY方向に動くような実施形態も想定される。
【0021】
図1に示すように、フラクションコレクター100は、左側脚部180と、左側脚部ベース200と、右側脚部190と、右側脚部ベース210とによって支持されている。当業者は理解するだろうが、脚部のベースは、脚部を安定化させるのに適した、任意の形状で良い。図面にはある種の形状のベースを例示しているけれども、ベースはそれに限定される意図ではない。2つの脚部は、上部ブレース220と前部ブレース230とによって結合される。図1の実施形態においては、上部ブレース220と前部ブレース230とが、2つの脚部に永久的に結合されているけれども、更なる実施形態においては、上部ブレース220と前部ブレース230とを、例えば、ネジを用いて、2つの脚部に着脱可能に結合させても良い。追加的な実施形態においては、前部ブレースを支持面へ延ばすことが想定される。いくつかの実施形態においては、脚部、脚部ベース、及びブレースは、フラクションコレクターのための支持装置を形成する。さらに別の実施形態においては、支持装置は、前部ブレースを含まないことが想定される。
【0022】
キャリッジ170は、当業者に知られている多数の方法のうちのひとつによって、前部ブレース230の後方に取り付けられる。収集ベッド101はトレイ領域102を有し、トレイ領域には、図示の如く、ラック240が配置され、または、トレイ領域には、ラック装置以外の装置を用いて、個別の収集容器が配置される。収集ベッド101はさらに、2つの収集ベッドアーム110を有し、収集ベッドアームは、収集ベッド101のトレイ領域から延びており、収集ベッドを左側脚部180及び右側脚部190に取り付ける。収集ベッドアーム110によれば、収集ベッド101の垂直な高さを調節できる。
【0023】
図1、図2、及び図3には、収集ベッドを取り付けるために想定される、多数の特定の装置を示している。図1において、左側脚部180と右側脚部190との両方は、一連の前部ペグ140と後部ペグ145とを有している。図示の通り、すべてのペグは固定された位置に設けられているが、当業者が認識するように、ペグは可動にしても良い。図1に示すように、収集ベッドアームは、前部固定箇所120と、後部固定箇所130とを有している。収集ベッド101は、前部固定箇所120を前部ペグ140に係合させ、後部固定箇所130を後部ペグ145に係合させて、左側脚部180と右側脚部190とに取り付けられる。前部ペグ140と後部ペグ145とは、左側脚部180と右側脚部190とに配置され、すべての固定箇所が対応するペグに係合したとき、収集ベッド101は水平になる。
【0024】
図1に示した実施形態において、収集ベッド101を垂直に調節するには、固定箇所120,130を手作業で係脱させた後、所望の位置に応じて、収集ベッドを上昇又は下降させて、次に、固定箇所120,130を新たな位置にあるペグ140,145に再係合させる。
図2の実施形態は、収集ベッド101をフラクションコレクター100の脚部180,190に取り付けるための別のやり方を示している。図2に示した収集ベッドアーム110は、前部固定孔125と後部固定孔135とを有し、左側脚部180と右側脚部190とは、前部ペグ孔142と後部ペグ孔148とを有している。ペグ孔と固定孔とは、収集ベッド101が水平になるとき、前部固定孔125が前部ペグ孔142に整列され、後部固定孔135が後部ペグ孔148に整列されるように、位置決めされている。固定孔とペグ孔とが整列されたとき、可動なペグ141を挿入すれば、収集ベッド101は脚部に固定される。図示した実施形態においては、ペグ孔とペグとは円筒形の形状になっていたけれども、ペグは、正方形、長方形、及び半円形などを含む、任意の形状で良いことを当業者は理解するだろう。変形例の実施形態においては、収集ベッド101を脚部に固定するために、固定孔及びペグ孔に通してピンが配置される。
【0025】
図3は、本発明のさらに別の実施形態を示している。図3において、フラクションコレクターの左側脚部180と右側脚部190とは、外側チャネル250を取り付けられて有している。ある種の実施形態においては、外側チャネル250は取り付けられるものではなく、脚部と一体的な部品になっている。図3の実施形態においては、収集ベッドアーム110を外側チャネル250に挿入することで、収集ベッドを固定された位置に保持する。外側チャネル250は、様々な高さにて、脚部に位置決めされており、収集ベッド101は、フラクションコレクター100に取り付けられたとき、水平になる。当業者によれば、収集ベッド101の高さ調節の範囲を大きく又は小さくするために、数多くのチャネルのサイズ及び間隔が構想される。例えば、外側チャネル250は、現在存在することが当業者に知られている収集容器に従って、構成される。図示した位置のスケール又は位置の数に限定することは、本発明の目的ではない。
【0026】
図4の実施形態は、図3の実施形態と類似した構成になっている。図4に示すように、内部チャネル260は、フラクションコレクター100の左側脚部180と右側脚部190とに凹設されている。この事例においては、収集ベッドアーム110は、内部チャネル260に挿入される。内部チャネル260は、様々な高さにて、脚部に位置決めされており、収集ベッド101は、フラクションコレクター100に取り付けられたとき、水平になる。再言するが、内部チャネルの配置は、限定的な意味ではない。さらに、当業者は理解するだろうが、図3に示した外側チャネル及び図4に示した内部チャネルは、脚部における垂直な側部に示しているけれども、収集ベッドアームが適合する限り、チャネルは、脚部における任意の側部に設けることができる。いくつかの実施形態においては、内部チャネルは脚部を延通している。他の実施形態においては、内部チャネルは、脚部における平行な側部に設けられる。内部チャネルが脚部における平行な側部に設けられるならば、収集ベッドアームは、結合のための少なくともひとつの突起部を含むことが必要である。
【0027】
図1乃至図3においては、収集ベッドアーム110を脚部の外側に取り付けていたけれども、上述した任意の取付装置を用いての取付位置は、脚部における内側に向いた部分であっても良いことが想定される。さらに、当業者は理解するだろうが、脚部180,190に代えて、異なるスタイルの脚部を使用しても良い。ある種の実施形態においては、脚部は、他のスタイルを有する脚部と同様に、溝部を備えた脚部を取り巻く。いくつかの実施形態においては、脚部の両方の縁部は、カットアウト又はその他のタイプの切欠を有する。他の実施形態においては、脚部の片側だけが、溝部又は切欠を有する。当業者は理解するだろうが、取付装置の数、サイズ、及び側部は、図示した位置のスケール又は位置の数に限定する意図ではない。
【0028】
図5は、代替的なスタイルの実施形態による収集ベッド組立体300を示している。図5に示した実施形態においては、支持装置における脚部は、ロッド330を受け入れ可能な、溝部ないし切欠280を具備している。収集ベッド300の後部縁部290は、脚部180,190に対して支えられ、あるいは、溝部又は切欠にて、収集ベッド101をさらに支持する。図5に示すように、収集ベッドアーム320は、収集ベッドの平面に対して斜めに配置される。アーム320は、図5に示すように、ロッド330によって取り付けられるか、または、ロッドは、片方の脚部から他方の脚部へ部分的にだけ延びる。当業者は理解するだろうが、変形例の実施形態においては、ロッドの延長は変化する。ロッドは、短くても、長くても、依然として本発明の精神の範囲内に含まれる。
【0029】
図5の実施形態において、代替的なスタイルの収集ベッド300を垂直に調節するには、ベッド300の前部部分を充分に持ち上げて、後方縁部290を脚部180,190から遊離させ、ロッド330を溝部280から解放し、次に、収集ベッドを所望の位置へと脚部の上下に摺動させる。図5に示した溝部280に加えて、他の実施形態も想定される。例えば、一連の切欠が、収集ベッドトレイにおける後部縁部に相補的に形成された部分を受け入れるようなものが想定される。さらに、切欠は、相補的な形状のキーを受け入れて、ロックされるようにデザインしても良い。
【0030】
本発明においては、機械化された実施形態も想定される。例えば、フラクションコレクターは、液圧昇降機を備えた収集ベッドを具備する。図6に示すように、フラクションコレクター500は、ネジ駆動昇降機520を備えた収集ベッド510を備えても良い。ネジ駆動昇降機520は、ネジ530と、拡張可能な格子540とを具備している。図6に示した実施形態においては、2つのネジ駆動昇降機を示しているけれども、当業者が理解するように、フラクションコレクターと共に機能できる限り、任意の数の昇降機を使用することができる。液圧昇降機又はネジ駆動昇降機を備えた実施形態は、自動駆動装置又は手動駆動装置のいずれかを用いて、動力化しても良い。機械化された実施形態においては、収集ベッドは、フラクションコレクターに取り付けられない。代わりに、収集ベッドは、ステージ上に載置されるか、ステージと完全に一体化されて、ステージは、液圧的方法を介して、または、動力化されたネジ機構を用いて、手動で上昇され又は下降される。そうした実施形態においては、収集ベッドは、装置のディスペンス・ヘッドに対して、確実かつ精密に整列される必要がある。精密な整列を実行するには、装置及び収集ベッドに設けた目印、装置に設けた位置決めレーザ、及び/又は、実験台などのように、装置と支持体との両方に設けた目印が使用される。機械化されたバージョンは、垂直に調節可能な収集ベッドに複雑な層を追加するので、また、ある種の状況においては非実用的であり、また、機械化されたバージョンは、当業者に良く理解できる機構を利用するので、それらの実施形態については、これ以上は説明しない。
【0031】
上述した本発明の実施形態は、いくらか詳細に、明白な理解が得られるように例示的に開示されたけれども、かかる実施形態に対しては、当業者によって、ある種の変更及び改変を施すことができ、それらは、特許請求の範囲に定められた広い観点の本発明から逸脱するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、フラクションコレクターの斜視図であって、フラクションコレクターの脚部に設けたペグの使用を示している。
【図2】図2は、フラクションコレクターの斜視図であって、フラクションコレクターの脚部に設けたペグ孔の使用を示している。
【図3】図3は、フラクションコレクターの斜視図であって、フラクションコレクターの脚部に設けた外側チャネルの使用を示している。
【図4】図4は、フラクションコレクターの斜視図であって、フラクションコレクターの脚部に設けた内部チャネルの使用を示している。
【図5】図5は、代替的なスタイルの収集ベッドを示した斜視図である。
【図6】図6は、機械化されたスタイルの収集ベッドを示した斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラクションコレクターであって、このフラクションコレクターが、
支持装置と、
支持装置によって可動に支持されたキャリッジと、
キャリッジに結合された延長アームと、
延長アームに可動に結合されたディスペンス・ヘッドと、を備え、
ディスペンス・ヘッド及びキャリッジは、第1の平面において、支持装置に対して動くことができ、
支持装置に可動に結合された収集ベッドを備え、収集ベッドは、第1の平面に対して垂直である第2の平面において、支持装置を動かすことなく、可動になっている、
ことを特徴とするフラクションコレクター。
【請求項2】
支持装置が、
左側脚部と、
右側脚部と、
上部ブレースと、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載のフラクションコレクター。
【請求項3】
支持装置はさらに、前部ブレースを備えていることを特徴とする請求項2に記載のフラクションコレクター。
【請求項4】
収集ベッドが、
収集容器を保持するためのトレイ領域と、
収集ベッドアームとを備え、収集ベッドアームは、トレイ領域から延びて、支持装置に取り付けられる、
ことを特徴とする請求項2に記載のフラクションコレクター。
【請求項5】
トレイ領域は、少なくともひとつのラックを支持するようにデザインされており、少なくともひとつのラックは、少なくともひとつの収集容器を保持するようにデザインされていることを特徴とする請求項4に記載のフラクションコレクター。
【請求項6】
左側脚部は第1のペグを備え、右側脚部は第2のペグを備え、収集ベッドアームはそれぞれ、第1のペグ又は第2のペグを受けるようにデザインされた固定箇所を備えていることを特徴とする請求項4に記載のフラクションコレクター。
【請求項7】
固定箇所はスロットになっていることを特徴とする請求項6に記載のフラクションコレクター。
【請求項8】
固定箇所は孔になっていることを特徴とする請求項6に記載のフラクションコレクター。
【請求項9】
第1のペグ及び第2のペグは固定されていることを特徴とする請求項6に記載のフラクションコレクター。
【請求項10】
左側脚部は第1の孔を備え、右側脚部は第2の孔を備え、収集ベッドアームはそれぞれ固定箇所を備え、第1の孔と第2の孔と固定箇所とは、ペグを受け入れるようにデザインされていることを特徴とする請求項4に記載のフラクションコレクター。
【請求項11】
右側脚部と左側脚部とは、外側チャネルを具備し、収集ベッドアームは、外側チャネルに挿入可能になっていることを特徴とする請求項4に記載のフラクションコレクター。
【請求項12】
右側脚部と左側脚部とは、内部チャネルを具備し、収集ベッドアームは、内部チャネルに挿入可能になっていることを特徴とする請求項4に記載のフラクションコレクター。
【請求項13】
ロッドをさらに備え、収集ベッドアームは、ロッドの端部を受け入れ可能な孔を具備し、第1の脚部及び右側脚部は、収集ベッドとは反対側の縁部に沿って、ロッドを支持可能な溝部を具備していることを特徴とする請求項4に記載のフラクションコレクター。
【請求項14】
収集ベッドアームは、トレイ領域に対して斜めに配置されていることを特徴とする請求項13に記載のフラクションコレクター。
【請求項15】
右側脚部及び左側脚部は、収集ベッドを支持するための溝部をさらに備えていることを特徴とする請求項13に記載のフラクションコレクター。
【請求項16】
収集ベッドは後部縁部を備え、後部縁部は、溝部に合致する相補的な形状を備えていることを特徴とする請求項15に記載のフラクションコレクター。
【請求項17】
収集ベッドは、機械化された昇降機によって可動になっていることを特徴とする請求項13に記載のフラクションコレクター。
【請求項18】
機械化された昇降機は、液圧式昇降機、または、ネジ駆動式昇降機であることを特徴とする請求項18に記載のフラクションコレクター。
【請求項19】
請求項1に記載のフラクションコレクターを使用するための方法であって、この方法が、
a. ディスペンス・ヘッドから、収集ベッドの適切な変位を決定する段階と、
b. 支持装置を用いて、適切な変位に収集ベッドを整列させる段階と、
c. 支持装置に収集ベッドを安定させて取り付ける段階と、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項20】
収集ベッドを安定させて取り付ける段階は、収集ベッドアームを支持装置に結合させる段階を備え、収集ベッドアームは、収集ベッドにおけるトレイ領域から延びていることを特徴とする請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−512681(P2008−512681A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531370(P2007−531370)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/032178
【国際公開番号】WO2006/029330
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(502292101)ギルソン インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】