説明

講義支援システム、講義支援方法及び講義支援用コンピュータプログラム。

【課題】 受講者の受講状態をモニタした結果として受講者の受講状態が好ましいものでなかったとき、効果的にその復習や補習を行うことのできる講義支援システムを提供する。
【解決手段】 この発明の講義支援システムは講義で表示した画像データを講義の経過時間と関連付けて保存する画像保存手段と、任意の前記画像データにフラッグをつける手段と、受講生の受講状態を講義の経過時間に関連付けて保存する受講状態保存手段と、フラッグの付いた画像データに対応する講義の経過時間において受講生の受講状態が所定のレベルにあるとき、当該フラッグの付いた画像データを再生する手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は講義支援システム、講義支援方法及び講義支援用コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
受講者の受講状態を把握することにより講義を支援するシステムとして特許文献1に開示のものが知られている。
この講義支援システムでは複数の受講者の受講状態を、受講者の生体情報に基づき判断する。判断の結果として例えば、講義に集中している受講者と集中していない受講者の割合を出力して講師にその受講者の状況を把握させるものである。
その他、本発明に関連する技術を開示した特許文献2〜4を参照されたい。
【特許文献1】特開2004−199506号公報
【特許文献2】特開2004−229948号公報
【特許文献3】特開2004−129703号公報
【特許文献4】特開平10−78743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の講義支援システムによれば受講者の状態が講師に提示されるので、講師は受講者の状況に応じて講義の内容にアクセントをつけたり、また講義の内容を繰返したり、変更することができる。アクセントとしては例えば講義が一方向的になっている場合は、受講者に質問をして注意を喚起したり、長時間講義の場合は小休憩を入れたりすることが考えられる。
しかしながら、受講者の受講状況が好ましいものであることが把握されたとしても、その復習や補習をすることにつきシステムとして何ら関与することができない。
【0004】
そこでこの発明は、受講者の受講状態をモニタした結果として受講者の受講状態が好ましいものでなかったとき、効果的にその復習や補習を行うことのできる講義支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の第1の局面は上記目的を達成すべくなされたものである。即ち、講義で表示した画像データを講義の経過時間と関連付けて保存する画像保存手段と、
任意の前記画像データにフラッグをつける手段と、
受講生の受講状態を前記講義の経過時間に関連付けて保存する受講状態保存手段と、
前記フラッグの付いた画像データに対応する講義の経過時間において前記受講生の受講状態が所定のレベルにあるとき、当該フラッグの付いた画像データを再生する手段と、
を備える講義支援システム。
【0006】
このように構成された講義支援システムによれば、例えば重要度が高いとするフラッグの付された画像データが表示されている講義の経過時間帯において受講生の受講状態が好ましくないものであるとき、当該画像データに関する講義内容が受講生に充分に理解されていない可能性が高い。したがって、当該画像データを再生することにより、その講義内容を復習することができる。このシステムによれば、講義の重要な部分であって受講生の集中力が不十分な部分が自動的に抽出され、かつ当該部分の画像データが再生されることにより、短時間でかつ効率的に復習乃至補習を行うことができる。
【0007】
この発明の第2の局面は次のように規定される。即ち、
講義の音声データを前記講義の経過時間と関連付けて保存する音声保存手段と、
前記フラッグの付いた画像データを再生する際に、該画像データに対応する講義の経過時間に対応する音声データを前記音声保存手段から読み出して、高速再生する手段と、
を供えてなる、ことを特徴とする講義支援システム。
【0008】
このように構成された第2の局面の講義支援システムによれば、第1の局面で規定したシステムにより抽出された要復習の画像データを再生する際、それに関連する講義の録音データが高速再生される。これにより、復習乃至補習をより短時間で行うことができる。
【0009】
この発明の第3の局面は次のように規定される。即ち、前記画像データに対応する復習用補助データを保存する補助データ保存手段が更に備えられ、
前記画像データを再生する際に、前記補助データ保存手段から前記補助データを読み出して出力する。
【0010】
このように構成された第3の局面の講義支援システムによれば、画像データを再生して講義の復習をするときに、小テストや参考資料などの補助データが出力されるので、学習効果がより高まることとなる。
【0011】
この発明の第4の局面の講義支援システムは次のように規定される。即ち、前記画像データにおいて表示されたポインタの位置と前記経過時間との関係を保存するポインタ位置保存手段と、
再生された前記画像データにおいて表示されたポインタの位置を前記ポインタ位置保存手段に保存されている関係に照らして前記経過時間を特定し、該特定された経過時間から前記音声データを再生する手段と、を更に備える。
【0012】
このように構成された第4の局面の講義支援システムによれば、再生された画像データの所望の位置にポインタを置くと、講義においてその位置にポインタをおいた経過時間が特定され、その経過時間から講義の音声データが再生される。これにより、復習対象が詳細に指定可能となり、無駄な復習を避けることにより復習の学習効率が向上する。
【0013】
次にこの発明の各要素について詳細に説明する。
画像データは、文字、記号、グラフ、図などを含んだ講義に使用するいわゆるスライドである。このスライドとしてパワーポイント(MS社、商標名)などの電子化されたスライドを用いることが好ましい。勿論、ハードコピーされたスライドを用いることもできる。
電子化されたスライドには講義の経過時間を電子データとして付加することができる。ハードコピーされたスライドは、これをCCD等の撮像装置で一旦撮影して電子化して画像データを形成し、これに経過時間を電子データとして付加することとなる。
【0014】
画像データにはフラッグを付すことができる。例えば、講義において重要な内容を表示する画像データには重要度(高)のフラッグを付す。この実施例では(高)、(低)の2つのフラッグを付すようにしているが、フラッグの種類や数は任意に設定可能である。
講義室において使用された、即ち講義室で画像データが表示されたタイミングが講義の経過時間に関連付けて保存される。
【0015】
更にこの発明の他の局面では、画像データにおいてポインタで任意の位置を指示すると、その指示した位置が講義の経過時間に関連付けて保存される。
更にまた、他の局面で規定されるように、画像データにはこれに対応させて復習用補助データを形成することがこのましい。
この補助データは画像データの内容を復習乃至補習するために有効な、小テスト、参考資料などからなる。全ての画像データに対応してこの補助データを設ける必要はなく、例えば重要度(高)のフラッグが付される補助データのみに当該補助データを準備しておくこともできる。また、複数の補助データを画像データに対して準備しておくこともできる。この場合、当該画像データが使用されているときの受講者の受講状態レベルに応じて補助データが選択されるようにすることができる。例えば、受講者の受講状態レベルは比較的良好な場合(レベルI若しくはレベルII)のときは、補助データを小テスト形式とし、その他の場合は補助データとして参考資料を表示させる。
補助データはその内容に応じて出力形式を任意に選択することができる。例えば、小テストの場合は、画面表示若しくは用紙にプリントアウトすることができる。参考資料では、画像データの表示画面にサブ画面を形成してこれに当該参考資料を表示させることができる。
【0016】
受講者の受講状態は周知の方法で受講者の生体情報を検出することにより得ることができる。受講者に接触するセンサを用いて、脳波、心拍、心電図、皮膚電位、体温などを検出することができる。また。頭や背中の位置などを位置センサで検出することもできる。位置センサからの出力を微分する加速度センサを用いることもできる。更には、受講者の姿勢を撮像してこれを画像処理することにより、受講者の生体情報を検出することができる。
受講者の受講状態をより正確に特定するには、上記2つ以上の生体情報の検出結果を利用することが好ましい。
【0017】
受講者の受講状態は例えば、(1)講義に対する集中力が充実している状態(受講状態レベルI)、(2)講義に対する集中力が不十分な状態(受講状態レベルII)、(3)講義以外に集中力が向かっている状態(受講状態レベルIII)、(4)眠っている状態(受講状態レベルIV)(5)上記以外の何らかの原因による異常な状態(受講レベルV)に分類することができる。
予め標準的な受講者について上記各受講状態レベル(I)〜(V)における上記各生体情報の検出結果を標準生体情報として保存しておく。そして、本発明のシステムを実行させたときに受講者について得られる実際の生体情報の検出結果を当該保存した標準生体情報に照らして、受講者の受講状態レベルを分類する。このとき、複数種類の検出結果を処理して受講状態レベルを特定することが好ましい。
【0018】
このようにして各受講者の受講状態を受講状態レベル毎に分類することのより、特定の時刻における検出対象となった全受講者の受講状態レベルの一覧が形成される。即ち、特定の時刻における各受講者の受講状態レベルの分布が得られる。換言すれば、複数の受講者(集団)の受講状態レベルのまとまりを処理対象となる情報単位としてとらえることができる。
【0019】
かかる受講者個々の受講状態レベル及び/又は集団としての受講者の受講状態レベルは、所定のタイミングで特定され、講義の経過時間に関連付けて保存される。
【0020】
講義の音声データも講義の経過時間と関連付けで保存される。
この音声データは、任意の経過時間から再生することができる。
再生を高速に行うには、例えば、"高品質リアルタイム話速変換システムの開発",電子情報通信学会論文誌, Vol. J84-D-II Num. 6 pp.918-926 (2001.06) に記載の技術を利用することが好ましい。
【0021】
画像保存手段、受講状態保存手段、音声保存手段、ポインタ位置保存手段には汎用的なメモリ(RAM)やハードディスクを用いることができる。これら保存装置は講義支援システムのシステム内に備えられていても、また外部保存装置として使用してもよい。
【実施例】
【0022】
以下、この発明の実施例について説明をする。
図1はこの発明の実施例の講義支援システム1の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、実施例の講義支援システム1は講師側の端末装置2と受講者側のセンサ装置20から大略構成される。
講師側端末装置2はコンピュータ装置からなり、中央演算装置3に接続されるバスラインに各種の入出力装置、データ保存装置、インターフェース装置が接続されている。
【0023】
入力装置4はデータをコンピュータ装置内に取り込むものであり、キーボード、マウス、スキャナ、記録媒体の読取り装置などを含む。
画像データはこの入力装置4を介して画像保存装置11の画像データ保存部111に保存される。この実施例では、画像データの重要度も合わせて入力装置4から入力して画像保存装置11の重要度保存部112に画像データに関連付けて保存する。
また、小テストや参照資料からなる補助データもこの入力装置4を介して画像保存装置11の補助データ保存部114に、画像データに関連付けて保存される。
講師は入力装置4を用いて講義支援システム1を動作させるために必要な各種のパラメータを入力することができる。例えば、受講状態レベルを決めるための生体情報に関するパラメータや閾値を決めたり、受講状態の検出対象者を特定したりする。
【0024】
画像データ出力装置5は、講義で用いるスライド等の画像データを受講者が視認できるようにするものであり、プロジェクタ、テレビなどを用いることができる。画像データには動画を含むことができる。
ポインタ6は、画像データにおいて所望の部分を指定する。例えば、電子ペンにより画像データに文字、図形、記号などを記入した場合には、画像データにおける当該電子ペンの位置が特定される。
講師用モニタ7はPDAなどの小型装置を含む液晶若しくはCRTからなるディスプレイであって、講義支援システムの出力結果を表示する。講師用モニタ7の代わりに若しくはこれと併用してプリンタや音声出力装置を使用することができる。
【0025】
主保存装置8には制御用のプログラムが保存されており、中央演算装置3は当該制御用プログラムを主保存装置8から読み出して、システム全体の制御を行う。
クロック9はコンピュータ装置が標準的に備える装置であって、このクロック9の時間を基準にして講義の経過時間が定められる。
【0026】
画像データ取得装置10は講義に用いられるスライド等の画像データが表示された時間をクロック9の生成する講義経過時間に照らして特定する。当該画像データは画像保存部11の画像データ保存部111に保存され、画像データと講義経過時間との関係は時間保存部113に保存される。
【0027】
音声データ取得装置12は講義の音声データ(講師の肉声、使用した効果音等)をクロック9の生成する講義経過時間に照らして録音する。当該音声データは音声保存部13の音声データ保存部131に保存され、音声データと講義経過時間との関係は時間保存部132に保存される。
【0028】
位置データ取得装置14は画像データ内におけるポインタ6の位置をクロック9の生成する講義経過時間に照らして特定する。特定された位置はポインタ位置保存装置15の位置データ保存部151に保存され、ポインタ位置と講義経過時間との関係は時間保存部152に保存される。
【0029】
受講状態特定装置16は受講者側センサ装置20の各種センサからの出力を処理し、受講者の受講状態を特定する。
受講者側センサ装置20はスマートチェア21を備えている。このスマートチェア21はチェア本体に、各種のセンサ、ヘッドセット及びネットワーク用のインターフェースを備えている。センサとして体温計22、CCDカメラ23、電極24が備えられている。体温計22と電極24はそれぞれ受講者に接触させ、体温及び発汗量を検出対象とする。なお、発汗量が変化すると体全体として抵抗が変化するので、電極24により体全体の抵抗を測定することにより発汗量を特定可能である。ヘッドセットに備えられたCCDカメラにより受講者の顔、特に目の周囲を撮像し、それを周知の方法で画像処理することにより瞬きの状態を特定することができる。脳波計25により受講者の脳派を測定し、ポジションセンサ26により受講者のチェア上での移動を検出する。個人認証装置27で誰がそのスマートチェアに座ったかを認証する。この個人認証装置としてヘッドセットのCCDカメラを用い、撮影された顔や網膜のデータから受講者の認証をすることができる。脈派センサ28で受講者の心拍数を測定し、血液センサ29で血中飽和酸素濃度(SpO)を測定して受講者の疲労度合いを測定する。
講義室において受講者の座る全ての座席をスマートチェアとしてこれらセンサ22〜29を付設しても良いし、また特定の座席のみをスマートチェアとすることもできる。
【0030】
この実施例では、下記表1に示すように、体温、瞬き及び発汗量を標準生体情報としてこれと検出対象として受講者の受講状態を特定する。
【表1】

体温については検出された温度がT1(温度幅があるものとする、T2〜T4についても同じ)のとき受講状態レベルはレベル1にあるもと標準化されている。
他方、瞬きの回数(単位時間当たり)がN1(幅があるものとする、N2〜N4についても同じ)のとき受講状態レベルはレベル1にあるものと標準化されている。
発汗量は受講者の体全体の電気抵抗(インピーダンス)がR1(幅があるものとする、R2〜R4についても同じ)のとき受講状態レベルはレベル1にあるものとする。
なお、実際の測定にあたっては検出対象の優先順位を付すことが好ましい。例えば、体温がT1であるにもかかわらず、瞬きの回数がN2となることがあるからである。優先順位を付した場合には、優先順位の高い生体情報の検出結果に基づき受講状態レベルが特定されることとなる。
この実施例では1つの生体情報の検出値と受講状態レベルとを関連付けているが、複数の生体情報の検出値の組合わせに受講状態レベルを関連付けることもできる。
【0031】
表1の関係は受講状態保存装置17の所定の領域173に保存されている。
受講状態特定装置16は受講者の生体情報を検出してその情報を表1の関係に照らし、当該受講者の受講状態レベルを特定する。検出時の受講経過時間をクロック9の生成する時間から特定する。このようにして特定された受講状態レベルは受講状態データ保存部171に保存され、受講状態レベルと講義経過時間との関係は時間保存部172に保存される。
【0032】
モニタ31は画像データ(スライド)を受講者に対して表示するとともに、小テストや参考資料などの補助データも表示する。
このモニタ31及びスマートチェア21は有線又は無線のネットワークを介してネットワークインターフェース18に接続される。
【0033】
図2は参考的な講義内容の履歴を示す。講義の経過時間に沿って表示されたスライド41−45には夫々重要度が付されており、重要度が高いものは図中(H)、低いものには(L)が付されている。各スライドの開始時間はt11、t21、t31、t41、t51であり、その終了時間はt12、t22、t32、t42、t52で表される。スライドは画像保存装置11の画像データ保存部111に保存され、重要度は同じく重要度保存部112に保存され、開始時間及び終了時間は時間保存部113に保存されている。
重要度(H)のスライドには補助データ51−53が準備されており、この補助データ51−55は画像保存装置11の補助データ保存部114に保存されている。
【0034】
スライド中に座標表示されるのはポインタの位置である。各位置の経過時間はそれぞれ、t13、t23、t33、t43、t53で表される。
図2の例では各スライド中に1つの位置のみが座標表示されているが、複数のポインタ位置を経過時間に関連付けて保存することができる。
【0035】
図2の例では一人の受講者の受講状態レベルを経過時間に沿って記録している。この例では受講状態レベルI及びIIと受講状態レベルIII及びIVとをそれぞれまとめて判定対象として設定しているが、受講状態レベルの判定対象は任意に設定可能である。受講状態レベルがVのときは、異常事態として処理対象から外すこととしている。
かかる受講状態レベルの状態変化を各受講者について保存することができる。
また、各受講者若しくは特定の受講者について得られた受講状態レベルから受講者全体の受講状態レベルを推定し、受講者全体に対する復習講義の支援をすることも可能である。
音声データも経過時間にそって保存されている。
【0036】
次に、実施例の講義支援システムの動作について説明する。
まず、図3に示すように、ステップ1では入力装置4を介して画像データとしてスライドを画像保存装置11の画像データ保存部111に保存する。また、同様に各スライドの重要度が重要度保存部112に保存される。ステップ3では同じく入力装置4を介して補助データを補助データ保存部114に保存する。
【0037】
ステップ5において講義履歴を記録する。詳細を図4に示す。
講義において講師はコンピュータ装置を操作して画像データ保存部111に保存されているスライドを読出し、画像データ出力装置5を用いて講義室内のスクリーンに表示しまた受講者側のモニタ31に表示する。
表示されたスライドについては画像データ取得装置10により表示開始時間と表示終了時間(tx1,tx2)が取得され、時間保存部113に保存される(ステップ51)。
なお、この実施例では画像データとして予め準備しておいた画像データ保存部に保存されているものを用いたが、講義中に撮影型プロジェクタ等を用いて資料を画像データに変換して使用した場合には、かかる画像データが画像データ取得装置10に取得されて画像データ保存部111に保存されるとともに、その表示開始時間と表示終了時間(tx1,tx2)が時間保存部113に保存される。当該画像データに付すべき重要度は講師が入力装置4を介して指定することができる。また、「講義再現システムにおけるスライド重要度抽出」、人工知能学会論文誌、17巻4号SP−E(2002)に記載の方法を用いて自動的に重要度を抽出しこれを重要度保存部112に保存させてもよい。
【0038】
ステップ53では、音声データ保存装置12により講義の音声データを取得して音声保存装置13の音声データ保存部131に保存するとともに、音声データと講義経過時間との関係が時間保存部132に保存される。
【0039】
ステップ55では、講義中にスライド上で講師がポインタを用いた場合、当該ポインタで指定された位置をポインタ位置保存装置15の位置データ保存部151に保存するとともに、位置データと講義経過時間との関係を時間保存部152に保存する。
【0040】
ステップ57では、受講状態特定装置16を用いて、受講者側センサ装置20により取得された受講者の生体情報を表1の関係に照らしその受講状態レベルを特定し、特定された受講者の受講状態レベルを受講状態データ保存部171に保存するとともに、受講状態レベルと講義経過時間の関係を時間保存部172に保存する。
【0041】
図3に戻り、ステップ7では、ステップ5において記録された講義履歴に基づき、所定のルールに従い復習のために再生すべき画像データ(スライド)を抽出する。
所定のルールとして、例えば、画像データの重要度がHであり、かつ当該画像データが表示されている講義経過時間における過半数の時間帯において受講状態レベルがIII若しくはIVにあるとき、その画像データを抽出する。図2の例では画像データ43と画像データ45が抽出されることとなる。
【0042】
その後、抽出された画像データを出力する(ステップ9)。画像データの出力に伴い、当該画像データに対応する音声データが再生される。図2の例では、画像データ43の出力にともない講義経過時間がt31からt32の時間帯の音声データが再生され、画像データ45の出力に伴い講義経過時間がt51からt52の時間帯の音声データが再生される。
【0043】
図5は受講者が選択できるメニューを示す。
即ち、受講者はステップ7で抽出された画像データから任意の画像データを選択することができる。この選択は、及び以降の選択も、モニタ31に付設されたタッチパネルなどの入力装置を用いることにより行われる。
選択した画像データの音声データを再生するに当たり、当該再生を高速(例えば倍速)で行うか否かの選択をすることができる(ステップ13)。音声データの高速再生は"高品質リアルタイム話速変換システムの開発",電子情報通信学会論文誌, Vol. J84-D-II Num. 6 pp.918-926 (2001.06) に記載の技術を利用することができる。
【0044】
ステップ17では、ポインタ位置再生モードの選択を行うことができる。ポインタ位置再生モードが選択されると(ステップ18)、画像データの所望の座標を特定することにより、当該座標に関連する音声データが再生されることとなる。図2の例では、画像データ43における座標(x31,y31)が指定されたとき、経過時間t33からの音声データが再生される。
【0045】
ステップ21では、補助データアシストモードの選択を行うことができる。補助データアシストモードが選択されると(ステップ22)、画像データに対応する補助データが補助データ保存部114から読み出されて受講者側のモニタ31に表示される。補助データには小テストや参考資料などが含まれ、画像データの内容の学習効果を向上させる。
【0046】
この発明は上記発明の実施の態様及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1はこの発明の実施例の講義支援システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は実施例の講義支援システムの動作を示すタイムチャートである。
【図3】図3は実施例の講義支援システムの動作を示すフローチャートである。
【図4】図4は実施例の講義支援システムの動作を示すフローチャートである。
【図5】図5は実施例の講義支援システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
1 講義支援システム
2 講師側端末装置
3 中央演算装置
11 画像保存装置
13 音声保存装置
15 ポインタ位置保存装置
17 受講状態保存装置
20 受講者側センサ装置
21 イス
22 体温計
23 CCD
24 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
講義で表示した画像データを講義の経過時間と関連付けて保存する画像保存手段と、
任意の前記画像データにフラッグをつける手段と、
受講生の受講状態を前記講義の経過時間に関連付けて保存する受講状態保存手段と、
前記フラッグの付いた画像データに対応する講義の経過時間において前記受講生の受講状態が所定のレベルにあるとき、当該フラッグの付いた画像データを再生する手段と、
を備える講義支援システム。
【請求項2】
講義の音声データを前記講義の経過時間と関連付けて保存する音声保存手段と、
前記フラッグの付いた画像データを再生する際に、該画像データに対応する講義の経過時間に対応する音声データを前記音声保存手段から読み出して、高速再生する手段と、
を供えてなる、ことを特徴とする講義支援システム。
【請求項3】
前記画像データに対応する復習用補助データを保存する補助データ保存手段が更に備えられ、
前記画像データを再生する際に、前記補助データ保存手段から前記補助データを読み出して出力する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の講義支援システム。
【請求項4】
前記画像データにおいて表示されたポインタの位置と前記経過時間との関係を保存するポインタ位置保存手段と、
再生された前記画像データにおいて表示されたポインタの位置を前記ポインタ位置保存手段に保存されている関係に照らして前記経過時間を特定し、該特定された経過時間から前記音声データを再生する手段と、
を更に備える、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の講義支援システム。
【請求項5】
講義で表示した画像データを講義の経過時間と関連付けて保存する画像保存手段と、
任意の前記画像データにフラッグをつける手段と、
講義の音声データを前記講義の経過時間と関連付けて保存する音声保存手段と、
前記フラッグの付いた画像データを再生する際に、該画像データに対応する講義の経過時間に対応する音声データを前記音声保存手段から読み出して、高速再生する手段と、
を供えてなる、ことを特徴とする講義支援システム。
【請求項6】
講義で表示した画像データを講義の経過時間と関連付けて保存する画像保存手段と、
前記画像データにおいて表示されたポインタの位置と前記経過時間との関係を保存するポインタ位置保存手段と、
講義の音声データを前記講義の経過時間と関連付けて保存する音声保存手段と、
再生された前記画像データにおいて表示されたポインタの位置を前記ポインタ位置保存手段に保存されている関係に照らして前記講義の経過時間を特定し、該特定された経過時間から前記音声データを再生する手段と、
を備えてなる講義支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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