説明

警備システム

【課題】類似する警備対象施設が隣接する場合であっても、ワイヤレス遠隔操作装置の操作による隣接警備対象施設への悪影響を防止しつつ、所定の警備対象施設の警戒・解除動作等を確実に行うことが可能な警備システムを提供する。
【解決手段】ワイヤレス遠隔操作装置により警戒・解除操作可能なコントローラ及び出入り口等に配置されて人体を検知可能なセンサを有する警備対象施設が、警備会社と通信回線で接続された警備システムにおいて、前記コントローラは、前記ワイヤレス遠隔操作装置より現着操作がされ前記センサが異常の場合で、予め設定した所定時間が経過する前にコントローラにより現着操作の確認がされた場合に前記警備会社に現着通報を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警備対象施設と警備会社との間が通信回線で接続された警備システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、警備対象施設に設置されたコントローラと警備会社のセンターとの間を通信回線で接続した警備システムにおいては、警備対象施設の出入り口等の所定位置に侵入者(人体)等を検知するセンサが設けられ、このセンサが当該施設内に設置されたコントローラに接続されている。そして、センサの検知信号等がセンターに送信されると共に、警戒対象施設の警戒設定操作や警戒解除操作が、コントローラに設けた操作部やコントローラに有線や無線で接続されたリモコンの操作によって行われ、例えば巡回時に警備員によって警戒解除操作が行われて警備対象施設の警戒が解除されると、警戒解除信号がセンターに送信されるようになっている。なお、この種の警備システムに関する公報としては、例えば特許文献1がある。
【特許文献1】特開2002−236986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような警備システムにあっては、類似するコントローラを備えた警備対象施設が複数隣接している場合等に、警備員の巡回時に警備員が携帯する無線式のリモコンを操作をして警備対象施設(巡回警備対象施設という)の警戒解除操作をすると、リモコンの無線信号により巡回警備対象施設に隣接する警備対象施設(隣接警備対象施設という)のコントローラも警戒解除動作をし、すなわち隣接警備対象施設のコントローラが誤動作して、例えばセンターに無用な解除信号を送信してしまう場合があり、警戒が必要な隣接警備対象施設の警備状態に悪影響を与える虞がある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、類似する警備対象施設が隣接する場合であっても、ワイヤレス遠隔操作装置の操作による隣接警備対象施設への悪影響を防止しつつ、所定の警備対象施設の警戒・解除動作等を確実に行うことが可能な警備システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、ワイヤレス遠隔操作装置により警戒・解除操作可能なコントローラ及び出入り口等に配置されて人体を検知可能なセンサを有する警備対象施設が、警備会社と通信回線で接続された警備システムにおいて、前記コントローラは、前記ワイヤレス遠隔操作装置より現着操作がされ前記センサが異常の場合で、予め設定した所定時間が経過する前にコントローラにより現着操作の確認がされた場合に前記警備会社に現着通報を行うことを特徴とする。
【0006】
そして、前記コントローラは、請求項2に記載の発明のように、前記ワイヤレス遠隔操作装置で現着操作がされた場合で前記センサが異常でない場合、及び前記所定時間前に現着確認の操作がされない場合に、前記警備会社に現着通報をしないことが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、警備会社と通信回線で接続されたコントローラが、ワイヤレス遠隔操作装置より現着操作がされセンサが異常の場合で、予め設定した所定時間が経過する前に現着操作の確認がされた場合に、警備会社に現着通報を行うため、所定時間が経過する前に現着操作が確認されない限り現着通報がされず、類似する警備対象施設が隣接する場合であっても、隣接警備対象施設のコントローラの誤動作を防止できて当該施設への悪影響を防止しつつ、所定の警備対象施設の警戒・解除動作等を確実に行うことが可能となる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、コントローラが、ワイヤレス遠隔操作装置で現着操作がされた場合でセンサが異常でない場合、及び所定時間が経過する前に現着操作の確認がされない場合に、警備会社に現着通報をしないため、所定時間が経過する前に現着操作の確認がされた場合にのみ現着通報を確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図4は、本発明に係わる警備システムの一実施形態を示し、図1がその概略構成図、図2が警備対象施設のコントローラのブロック図、図3がリモコンの平面図及び側面図、図4が動作の一例を示すフローチャートである。
【0010】
図1に示すように、警備システム1は、工場等の事務所、各種販売店等の店、あるいは一般家庭等の警備対象施設2と、この警備対象施設2と電話回線網やインターネット網、無線等の通信回線4で接続された警備会社3のセンター等で構成されている。前記警備対象施設2は、該警備対象施設2への出入り口等に配置された熱線センサ等のセンサ5と、これらのセンサ5が接続されたコントローラ6等を備えている。また、前記警備会社3(センター)も、コントローラ6と略同様の制御装置7及び図示しない監視卓等を備え、警備対象施設2のコントローラ6から送信される各種信号が常時監視できるようになっている。
【0011】
前記コントローラ6は、図2に示すように、CPU9a及びタイマ9bを有する制御部9を備え、この制御部9の入力側には、電源入力部10と操作パネル等の操作部11及び前記センサ5等の各種センサが接続されたセンサ入力部12等が接続され、制御部9の出力側には、表示部13と音声出力部14及びリレー出力部15等が接続されている。また、制御部9には、前記電話回線網が接続されるモデム等の電話回線部16と前記インターネット網が接続されるIP部17及び前記警備会社3のセンターに無線で接続される無線入出力部18が接続されている。
【0012】
さらに、制御部9の無線入出力部18には、後述するワイヤレス遠隔操作装置としてのワイヤレスリモコン8(図1参照)が接続され、また、制御部9には、後述するプログラムや各種センサの状態等を記憶する記憶部20が接続されている。なお、前記無線入力部18に接続されるワイヤレスリモコン8は、例えば図3に示すものが使用される。すなわち、ワイヤレスリモコン8は、下部に取付部8gが設けられた本体ケース8aの表面側に警戒釦8bと解除釦8c及び表示灯8dが配置されると共に、本体ケース8aの側面に在宅警戒スイッチ8eと電源スイッチ8fが配置されている。そして、警戒釦8bや解除釦8cを押圧操作することにより、本体ケース8a内に設けられた図示しない送信部から警戒信号や解除信号等がコントローラ6の無線入出力部18に無線で送信されるようになっている。
【0013】
次に、このように構成された警備システム1の動作の一例を図4のフローチャートに基づいて説明する。なお、図4に示すフローチャートは、前記コントローラ6の記憶部20に予め記憶されたプログラムにしたがいコントローラ6により自動的に実行される。先ず、コントローラ6に電源が投入されるとプログラムがスタート(S100)し、現着操作が有りか否かが判断(S101)される。このときの現着操作とは、ワイヤレスリモコン8の所有者(例えば警備員)により、該ワイヤレスリモコン8の解除釦8cが押圧操作されることを言う。そして、この判断S101で「YES」の場合、すなわち警備員が警備対象施設2を巡回する目的で当該対象施設2の出入り口の近傍でワイヤレスリモコン8の解除釦8cを押して現着操作すると、警報入力が有りか否か(つまりセンサ5が異常か否か)が判断(S102)される。
【0014】
この判断S102で「YES」の場合、すなわち現着操作がされた後に警備員が出入り口のドアを開けて警備対象施設2内に入り、この警備員がセンサ5で検知されてセンサ異常の場合は、制御部9内のタイマ9bがスタート(S103)し、次に、タイマ9bがカウントアップか否かが判断(S104)される。そして、この判断S104で「NO」の場合、すなわちタイマ9bがカウンアップされていない場合は、カウントダウンが開始(S105)され、現着操作が確認されたか否かが判断(S106)される。この現着操作の確認とは、警備員が警備対象施設2内に入りコントローラ6の操作部11で解除操作が行われることを言う。
【0015】
次に、判断S106で「YES」の場合、すなわち、タイマ9bがカウントダウンを開始して現着操作が確認された場合は、コントローラ6から警備会社3に通信回線4を介して現着通報(S107)がなされて、一連のプログラムがエンド(S109)となる。この現着通報により、警備会社3の監視員が警備対象施設2が巡回中であることを認識できることになる。一方、判断S106で「NO」の場合、すなわち、タイマ9bがカウントダウンを開始しても現着操作が確認されない場合は、ステップS103に戻り、該ステップS103以降を繰り返す。
【0016】
また、判断S104で「YES」の場合、すなわちタイマ9bがスタートし、タイマ9bがカウントアップして所定時間が経過した場合は、コントローラ6が現着通報が不要と判断して現着通報なし(S108)とし、警備会社3への現着通報の送信が禁止され、その後エンド(S109)となる。さらに、判断S101で「NO」の場合、すなわち現着操作がされない場合、及び判断S102で「NO」の場合、すなわちセンサ5が警備員等を検知せず警報入力がない場合は、いずれも前記ステップS108に移行しその後エンド(S109)となる。
【0017】
つまり、このフローチャートによれば、ワイヤレスリモコン8で現着操作がされた場合で警報入力が有りの場合に、タイマ9bがスタートし、このタイマ9bが予め設定した所定時間経過しない前に、警備員によって現着操作が確認された場合に現着通報が行われ、タイマ9bがスタートしてから所定時間の間に現着操作の確認がされない場合は、現着通報がされないことになる。なお、以上のフローチャートは一例であって、例えばステップS103でタイマ9bがスタートしたら、タイマ9bが所定時間経過か否かを判断し、この判断で「NO」の場合にのみ現着操作確認を行うようにしても良く、同等の動作が得られる他の適宜のフローチャートを採用することができる。
【0018】
このように、上記実施形態の警備システム1にあっては、警備会社3と通信回線4で接続された警備対象施設2のコントローラ6が、ワイヤレスリモコン8で現着操作がされセンサ5が警備員を検知した場合で、タイマ9bに予め設定した所定時間が経過する前にコントローラ6の操作により現着操作が確認されると、警備会社3に現着通報がなされるため、所定時間が経過する前に現着操作が確認されない限り現着通報がされることがなくなる。また、コントローラ6が、ワイヤレスリモコン8で現着操作がされた場合でセンサ5により警備員が検知されない場合や、タイマ9bがスタートした後で所定時間が経過する前に現着操作が確認されない場合は、警備会社3に現着通報をしないため、タイマ9bの所定時間中に現着操作が確認された場合にのみ、現着通報を行うことが可能となる。
【0019】
これにより、図1に示すように、前記警備対象施設2に類似する隣接警備対象施設2aが存在する場合であって、図1の矢印イの如くワイヤレスリモコン8による無線信号が隣接警備対象施設2aのコントローラ6aで受信されたとしても、現着操作の確認が不可能な隣接警備対象施設2aのコントローラ6aが勝手に警戒解除動作を行うことがなく該コントローラ6aの誤動作を防止できる。その結果、警備対象施設2への現着操作により、隣接警備対象施設2aが警戒・解除状態に設定されてその信号が警備会社3に通報(誤報)されること等がなくなり、隣接警備対象施設2aへの悪影響を防止しつつ、警備対象施設2の警戒・解除動作等を確実に行うことができ、例えば集合住宅や分譲住宅のように隣接する一般家庭や工場が密集する各工場の事務所等のような警戒対象施設2の警備システム1として、信頼性の高いシステムを構築することが可能となる。
【0020】
図5及び図6は、本発明に係わる他の実施形態を示す概略構成図である。なお、上記実施形態と同一部位には同一符号を付して説明する。この実施形態の警備システム1の特徴は、ワイヤレスリモコン8として、警備対象施設2の出入り口に設置されたカード式や鍵式あるいはテンキー式のリモコン8を使用した点にある。すなわち、図5に示すように、警備対象施設2の出入り口の外壁には、ワイヤレスリモコン8が例えば固定的に設置されており、このワイレスリモコン8が警備対象施設2内のコントローラ6に無線で接続されている。
【0021】
そして、ワイヤレスリモコン8としては、図6に示す3つの形態のものが使用される。すなわち、図6(a)に示すワイヤレスリモコン8は、カード式ワイヤレスリモコン21で、ケース21aに、カード挿入部21bと送信部21c及び警戒状態に設定する警戒釦21dと警戒状態を解除する解除釦21eが設けられている。そして、警戒釦21dや解除釦21eを押圧操作することにより、送信部21cから警戒信号や解除信号等がコントローラ6の無線入出力部18に無線で送信されるようになっている。
【0022】
また、図6(b)に示すワイヤレスリモコン8は、鍵式ワイヤレスリモコン22で、ケース22aに、警戒位置22dと解除位置22eとに切り換え可能な鍵22bと送信部22cが設けられ、図示しないキーを鍵穴に挿入して回転させることにより、送信部22cから警戒信号や解除信号等がコントローラ6に無線で送信されるようになっている。さらに、図6(c)に示すワイヤレスリモコン8は、テンキー式リモコン23で、ケース23aに、テンキー23bと送信部23c及び警戒釦23dと解除釦23eが設けられ、警戒釦23dや解除釦23eを押圧操作することにより、送信部23cから警戒信号や解除信号等がコントローラ6に無線で送信されるようになっている。
【0023】
この実施形態の警備システム1においても、各種ワイヤレスリモコン21〜23で現着操作がされた場合に、上記実施形態と同様にコントローラ6が図4に示すように動作して、警備対象施設2への現着操作により、図5に示す隣接警備対象施設2aが警戒・解除状態に設定されてその信号が警備会社3に通報(誤報)されること等がなくなる等、上記実施形態の警備システム1と同様の作用効果を得ることができる。また、この実施形態の場合は、警備対象施設2に設置されるワイヤレスリモコン8として、カード式ワイヤレスリモコン21や鍵式ワイヤレスリモコン22、あるいはテンキー式ワイヤレスリモコン23のいずれかを使用できて、操作性に優れコスト的に有利な警備システム1を得ることが可能となる。
【0024】
なお、上記各実施形態における、コントローラ6の具体的な構成、ワイヤレスリモコンの構成等は一例であって、例えばワイヤレスリモコンとして、図3に示すリモコンや、カード式、鍵式、テンキー式リモコンの少なくとも2つを組み合わせたものを使用したり、他の適宜の認証方式のワイヤレスリモコンを使用する等、本発明に係わる各発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、ワイヤレスリモコンを使用して警備状態の解除や設定が可能な全ての警備システムに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係わる警備システムの一実施形態を示す概略構成図
【図2】同そのコントローラのブロック図
【図3】同リモコンの平面図及び側面図
【図4】同動作の一例を示すフローチャート
【図5】本発明に係わる警備システムの他の実施形態を示す概略構成図
【図6】同そのリモコンの概略構成図
【符号の説明】
【0027】
1・・・警備システム、2・・・警備対象施設、2a・・・隣接警備対象施設、3・・・警備会社、4・・・通信回線、5・・・センサ、6、6a・・・コントローラ、7・・・制御装置、8・・・ワイヤレスリモコン、8a・・・本体ケース、8b・・・警戒釦、8c・・・解除釦、9・・・制御部、9a・・・CPU、9b・・・タイマ、10・・・電源入力部、11・・・操作部、12・・・センサ入力部、13・・・表示部、14・・・音声出力部、15・・・リレー出力部、16・・・電話回線部、17・・・IP部、18・・・無線入出力部、20・・・記憶部、21・・・カード式ワイヤレスリモコン、21b・・・カード挿入部、21c・・・送信部、21d・・・警戒釦、21d・・・解除釦、22・・・鍵式ワイヤレスリモコン、22b・・・鍵、22c・・・送信部、22d・・・警戒位置、22e・・・解除位置、23・・・テンキー式ワイヤレスリモコン、23b・・・テンキー、23c・・・送信部、23d・・・警戒釦、23e・・・解除釦。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス遠隔操作装置により警戒・解除操作可能なコントローラ及び出入り口等に配置されて人体を検知可能なセンサを有する警備対象施設が、警備会社と通信回線で接続された警備システムにおいて、
前記コントローラは、前記ワイヤレス遠隔操作装置より現着操作がされ前記センサが異常の場合で、予め設定した所定時間が経過する前に現着操作の確認がされた場合に前記警備会社に現着通報を行うことを特徴とする警備システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記ワイヤレス遠隔操作装置で現着操作がされた場合で前記センサが異常でない場合、及び前記所定時間が経過する前に現着操作の確認がされない場合に、前記警備会社に現着通報をしないことを特徴とする請求項1に記載の警備システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−187381(P2009−187381A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−27864(P2008−27864)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(000101400)アツミ電氣株式会社 (69)
【Fターム(参考)】