説明

警報センサー付きの箱における不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造

本発明は、包装を機械的に破壊することによってしか開封できない、不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造を設けた箱であって、当該箱が破壊された後に警報を発することができる箱を提供することを目的とする。当該箱(300)には、少なくとも一つのサイドフラップ(108,108',106,106')を有する外れ止め(107,104)と、開口(111,113)と、が設けてあり、当該開口の幅は、前記外れ止めと、広げることのできる前記少なくとも一つのサイドフラップと、の幅よりも小さく、前記少なくとも一つのサイドフラップは、前記開口への挿入前に折り込むことが可能であり、前記外れ止め及び前記少なくとも一つのサイドフラップには少なくとも一つの導電材料の層が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警報センサー付きの箱における不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造に関し、少なくとも一つのサイドフラップを有する外れ止めと、開口と、を設けたものである。
【背景技術】
【0002】
先行技術においては、不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造を備える箱の折り方が知られており、その箱の折り方においては、箱を折る過程の最終段階において閉包が糊付けされなければならなかった。あるいは、粘着ラベルや熱可塑性の接着糊により封印する箱の折り方が知られている。しかし、顧客の要求に応じて箱を個別に包装する場合、閉包を糊付けする追加の最終過程が必要なために、最終組立の過程が長引き、輸送により多くの費用がかかっていた。それ故に、接着剤を用いなくても不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造を設けた箱が望まれていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、包装を機械的に破壊することによってしか開封できない、不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造を設けた箱であって、当該箱が破壊された後に警報を発することができる箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この目的は、次の構成を備える警報センサー付きの箱における不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造によって達成される。すなわち、当該箱には、少なくとも一つのサイドフラップを有する外れ止めと、開口と、が設けてあり、
当該開口の幅は、前記外れ止めと、広げることのできる前記少なくとも一つのサイドフラップと、の幅よりも小さく、
前記少なくとも一つのサイドフラップは、前記開口への挿入前に折り込むことが可能であり、
前記外れ止め及び前記少なくとも一つのサイドフラップには少なくとも一つの導電材料の層が設けられているのである。
【0005】
本発明の実施の形態は、警報センサー付きの箱であって、少なくとも一つの不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造が設けられている。すなわち、当該箱は、第一の外れ止めと第二の外れ止めを有し、少なくとも一つの開口を有している。当該箱の閉包は、接着剤を要することなく機械的に閉じることができ、当該閉包は、不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造を破壊することによってのみ、開放することができる。当該箱には、
少なくとも一つのサイドフラップを有する第一の外れ止めと、
当該第一の外れ止めを挿入するための前記箱の第一の開口と、が備えられ、
前記第一の外れ止めの前記少なくとも一つのサイドフラップは折り込み可能であり、そして、
前記サイドフラップを前記第一の開口に挿入した後、前記箱の中で、材料の固有の弾性により、前記少なくとも一つのサイドフラップを広げることが可能であり、そして、
前記第一の外れ止め及び前記少なくとも一つのサイドフラップには少なくとも一つの導電材料の層が設けられているのである。
【0006】
これに代えて、前記外れ止め又は少なくとも一つのサイドフラップには少なくとも一つの導電材料の層が設けられているものとすることができる。
【0007】
本発明の着想は、不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造を備えた箱を提供することにある。閉包の機構は、折り畳み式の箱の中に一旦外れ止めが挿入されて閉じ込められ、その中でサイドフラップが広がると、元に戻ることが出来ないようになっている。不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造の不可逆性により、包装材料を明らかに破壊したような場合を除き、箱を再び開けることはできない。さらに、複数の外れ止めを組み合わせることにより、閉包時における板紙材料の剛性を高めることができる。このように、外れ止めを開けるためには、道具、すなわちナイフやハサミが必要となる。結果として、例えば輸送時や保管時等において箱を不正に開封することが困難となり、また、不正開封があった場合、直ちにそれがわかるようになる。第一の及び/又は第二の外れ止めの破断線や導電材料の層を成すそれぞれの面が破壊されたり、引きちぎられたりしたとき、電気的特性の変化が感知され、警報が発せられる。それにも関わらず、折り畳み式の箱に設けられた開口に外れ止めを挿入するときに、手動で当該外れ止めのサイドフラップを折り込むだけで、この不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造を閉包することができる。このように、例えば顧客に特別な質やサービスを提供したい場合に、箱が明らかに破壊されていないということを証明することにより、輸送対象及び包装対象のオリジナリティーを保証することができる。
【0008】
有利な実施形態においては、前記外れ止めは、ゴム、金属、又はプラスチック材料から成る固有の弾性を有する材料で構成されている。他の実施形態においては、固有の弾性を有する材料とは板紙である。有利なことに、この材料の弾性により、外れ止めのサイドフラップが箱の中において広がることが可能となる。複数の弾性を有する材料を組み合わせてもよいし、あるいは、弾性を有しない材料と弾性を有する材料とを組み合わせて構成してもよい。不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造の不可逆性を達成するために適合するように、拡張性の特性に合わせて、弾性材料が選択され、当該弾性の特有の性質を支持するサイドフラップの形状が選択される。
【0009】
有利な実施形態においては、導電材料の層は、塗料(色)、インク、及び/又は薄膜である。より有利には、当該層は、前記外れ止め及び少なくとも一つのサイドフラップの部分のみに塗布される塗料及び/又はインクである。板紙等の材料に導電材料の層を塗布しあるいは印刷するためのいくつかの方法が公知となっている。具体的な例としては、塗布される層は、銀あるいは銅の層とすることができ、その表面は被膜で覆われているものとすることができる。あるいは、塗布あるいは印刷される層として、黒鉛の層を適用することもできる。薄膜は、導電性の薄膜で構成することもできる。
【0010】
有利な実施形態においては、前記層はアクチュエータに接続可能である。より有利には、当該アクチュエータはセンサー装置のような電気回路であり、導電層の電気的特性の変化を感知することができる。また、警報報知装置、あるいは、センサー装置と警報報知装置とを結合した装置のような、さらなる装置を、アクチュエータとして適用することができる。
【0011】
有利な実施形態においては、前記層及び/又はアクチュエータは、RFIDトランスポンダ及び/又は警報報知装置である。より有利には、アクチュエータは導電材料の層の電気的特性の変化を感知し、変化を記録し、あるいは警報報知装置を動作させるための警報をセンサー装置に発生させる電気回路である。警報は、例えば、警笛、ラウドスピーカー、閃光、あるいはトランスポンダ又はトランスミッタ、すなわちRFIDトランスポンダやその他のあらゆる警告を発するための装置へのシグナル等である。
【0012】
有利な実施形態においては、第一の外れ止めの少なくとも一つのサイドフラップには、折り目に沿って破断線が設けられている。これにより、初めて箱が開封されたとき、サイドフラップは箱の側壁と接触し合い、そしてサイドフラップが引き裂き稜線を越えて動かされたとき、所定の破断線に沿ってサイドフラップが引きちぎられる。より有利には、一旦箱が開封されると、サイドフラップが引きちぎられるように構成してもよい。不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造についてのいくつかの出願においては、一旦閉包が開封されたという事実は極めて重要であるが、開封は容易にできるものでなければならない。破断線は外れ止めを引くことにより開封を支持し、同時に、閉包のオリジナリティーについての情報を提供する。
【0013】
有利な実施形態においては、前記少なくとも一つのサイドフラップは折り目の領域において丸みを帯びた角を有し、外れ止めは折り目の領域において丸みを帯びた縁を有する。これにより、サイドフラップが所定の第一の又は第二の外れ止めの中央に対して隣り合うように折り畳まれたときに、スムーズに挿入されるようにしている。
【0014】
有利な実施形態においては、サイドフラップの少なくとも一部と、所定の外れ止めと、は、破断線を横断する導電材料により構成される。これは、不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造が壊されて、所定の外れ止めから少なくとも一つのサイドフラップが引きちぎられたときに、警報を作動させることを可能とするためである。有利には、警報装置が閉包構造に接続され、閉包構造が壊されたときに警報を作動させることを可能としている。
【0015】
有利な実施形態においては、前記開口は、外れ止め及び折り畳み可能なサイドフラップの材料厚よりも少なくとも大きい寸法を有する。
【0016】
有利な実施形態においては、前記開口の幅は、少なくとも外れ止めの本体の幅よりも広く、また、外れ止めの本体に少なくとも一つのサイドフラップを含めた外れ止めの全体的な幅よりも狭い。
【0017】
有利な実施形態においては、前記開口は、外れ止め及び折り畳み可能なサイドフラップの材料厚より少なくとも大きい寸法を有する。
【0018】
有利な実施形態においては、箱には、
少なくとも一つのサイドフラップを有する第二の外れ止めと、
第一の外れ止めに設けられた、前記第二の外れ止めを挿入するための第二の開口と、が備えられ、
前記第一の外れ止めの前記少なくとも一つのサイドフラップは折り込み可能であり、
前記フラップを前記第一の開口に挿入した後、前記箱の中で、材料の固有の弾性により、前記少なくとも一つのサイドフラップを広げることが可能であり、そして、
前記第二の外れ止め及び前記少なくとも一つのサイドフラップには少なくとも一つの導電材料の層が設けられているのである。
【0019】
これに代えて、前記第二の外れ止め又は少なくとも一つのサイドフラップには少なくとも一つの導電材料の層が設けられているものとすることができる。
【0020】
有利な実施形態においては、箱を折るための用紙が一枚の材料として設計されており、その一枚の材料には全てのフラップ及び外れ止めが備えられている。
【0021】
有利な実施形態においては、前記第二の外れ止めの前記少なくとも一つのサイドフラップは、相互結合により、不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造における前記第一の外れ止めをしっかりと固定している。より有利には、この相互結合により、箱の権限なしでの開封に対し、さらなるセキュリティーを確保することができる。また、係る構造により、箱の閉包構造の機械的剛性が更に向上する。
【0022】
有利な実施形態においては、第二の外れ止めの寸法は少なくとも第一の外れ止めの寸法よりも小さい。
【0023】
本発明の更なる利点、特別な特徴、及び実際上の改良点は、下位の請求項、及び、図面を参照しての下記の好適な実施形態の提示から、探り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下で説明する実施形態により明らかにされ、明瞭にされる。
【図1】一枚の板紙の概略図である。
【図2】サイドフラップを有する第一の及び第二の外れ止めの概略図である。
【図3】板紙を折って形成した箱において第一の外れ止めを折り返した状態の斜視図である。
【図4】板紙を折って形成した箱において第二の外れ止めのサイドフラップを折り込んで第一の外れ止めに挿入する状態を示す斜視図である。
【図5】板紙を折って形成した箱の内部を示す斜視図であり、広がったサイドフラップによって第一の及び第二の外れ止めが相互結合した状態を示す図である。
【図6】板紙を折って形成した箱の内部を示す斜視図であり、第一の外れ止めにRFIDトランスポンダを備えたものを示す図である。
【図7】板紙を折って形成した箱の内部を示す斜視図であり、第一の外れ止めに導電材料の層、材料、及びセンサー装置を備え、当該センサー装置はワイヤーで導電材料の層と接続しているものを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る箱300は、不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造により閉包したパッケージを有し、とりわけ高価なものや高品質のもの等の物理的郵便物を輸送するためのものである。
【0026】
図1は、本発明に係る一枚の板紙100の状態の箱300を示している。
【0027】
箱300は、挿入タブ、外れ止め、及びフラップを備え、一目瞭然のとおり折って組立て形成される。こうして、例えば物理的郵便物やその他の物理的対象物の輸送等に用いられる多目的輸送用箱が容易に形成される。
【0028】
本発明のこの実施形態においては、第一の外れ止め107と第二の外れ止め104が備えられ、それぞれ、第一の外れ止め107の場合にはサイドフラップ108,108'が、第二の外れ止め104の場合にはサイドフラップ106,106'が設けられている。外れ止め107,104及びサイドフラップ108,108',106,106'には、導電材料の層が設けられている。材料は塗料(色)であってもよく、インクであってもよく、材料に塗布され、あるいは印刷されている。また、当該層は導電材料のフィルムであってもよく、薄片であってもよい。
【0029】
第一の外れ止め107は一枚の板紙により構成され、一枚の板紙100の一つの破片として切り取られて成る。第一の外れ止め107には、当該第一の外れ止め107の折り目と隣り合うように開口が設けられる。当該開口は、具体的には、折り目117の領域において外れ止めの厚みの3分の1を占める。しかし、第二の開口113は少なくとも第二の外れ止め104の厚みよりも大きい。これは、第一の開口111を通過させた後、箱の中においてサイドフラップ106,106'付きの第二の外れ止め104を受け止めるためである。
【0030】
第二の外れ止め104は一枚の板紙により構成され、少なくとも一枚の板紙100の一部の破片として切り取られる。第二の外れ止め104には、外れ止めの両側に、折り目127と隣り合うように2つの開口が設けられている。箱300が組立てられたとき、切り取られた第二の外れ止め104は隣り合う部分である第一の開口111とともに第一の開口111を形成する。具体的には、当該第一の開口111の幅は少なくとも第一の外れ止め107の幅よりも広い。これは、箱を折った状態において、第一の開口111に挿入した後、箱300の中でサイドフラップ108,108'付きの第一の外れ止め107を受け止めるためである。
【0031】
第一の及び第二の外れ止め107,104は、ともに、内側の面と外側の面とを有する。当該外側の面は、折って組立てた紙箱300の外側の面に等しく、そして当該外側の面の反対側が内側の面と定義される。
【0032】
図3は、ヒンジ蓋305を有する箱300を部分的に折って組立てた状態を示す図であり、箱300の前面において第一の開口111に第一の外れ止め107を挿入することによりまさに閉じようとしている状態を示す図である。板紙材料の第一の外れ止め107の最初の挿入時においては、当該第一の外れ止め107の中途部において、折り目117のところで直角に曲げられていなければならない。折り目117は第二の開口113と隣り合い、当該第二の開口113には、第二の外れ止め104を望ましくは丸い頭の形で挿入され、及び外れ止めの本体となる。外れ止めの本体とは、追加のサイドフラップを除いた外れ止めの本体を指す。第一の外れ止め107には2つのサイドフラップ108,108'が設けられ、これらは曲線矢印301,301'に示すように、第一の外れ止め107の内側の面の中心に向かって折り込まれて、破線で示した折り込み位置となるように折り込まれる。そして、箱300は、ヒンジ蓋305を折り込むとともにステップ303において第一の外れ止め107を第一の開口111に挿入することにより、閉包される。
【0033】
第一の外れ止め107のサイドフラップ108,108'は、一旦第一の開口111に挿入されると、箱300の中で広がる。これは、板紙材料の固有の弾性力に起因する。広がりを可能とするために、箱300の中には空洞あるいは多少の空間が設けられて、第一の外れ止め107のサイドフラップ108,108'の広がりを可能としている。
【0034】
図4は、第二の外れ止め104のサイドフラップ106,106'を第二の外れ止め104の内側の面に向かって折る折り方を示したものである。さらに、第二の外れ止め104は、望ましくは当該第二の外れ止め104の中途部において折り目127のところで折られる。そして、第二の外れ止め104は第二の開口113に挿入される。このとき、当該第二の開口113は、箱300の第一の開口111及びヒンジ蓋305の折り目127と隣り合う。挿入された後は、第二の外れ止め104は箱300の滑らかで平らな表面を構成する。サイドフラップ106,106'は、一旦箱300の中に挿入された後は、材料の固有の弾性に起因して広がる。箱300の中において、第一の及び第二の外れ止め107,104のサイドフラップの周囲には、サイドフラップ106,106',108,108'が広がるために必要な空間が確保されていなければならない。
【0035】
一旦サイドフラップ108,108'付きの第一の外れ止め107が箱300の中に挿入されると、サイドフラップ108,108'が広がることにより、第一の外れ止め107が第一の開口111の周囲の箱300の材料と組み合わされて相互に結合される。一旦第一の外れ止め107が挿入されると、サイドフラップ108,108'の広がりは元に戻せない。これは、ユーザーには、箱300の内部において、サイドフラップ108,108'の広がりを元に戻すような行動を取ることはできないためである。それ故に、第一の外れ止め107はその位置から引き抜かれることがない。このように、ただ単に第一の外れ止め107を第一の開口111を介して引き抜くことによっては箱300を再度開封することはできない。第一の外れ止め107を引き抜こうとすると、サイドフラップ108,108'により、箱300の側壁に機械的せん断力が加わる。もし、ユーザーがただ単に第一の外れ止め107を引き抜くことによって箱300を再度開封しようとしたら、結果として、第一の外れ止め107のサイドフラップ108,108'が引きちぎられるか、あるいは、折り箱300の側壁が破損されることになるだろう。また、ハサミやナイフ等の道具を用いたとしても、第一の外れ止め107のサイドフラップ108,108'の広がりを元に戻すことはできない。箱300を再度開封するための唯一の方法は、箱300の側壁を破壊するか、あるいは外れ止めを破壊するかである。こうした場合、サイドフラップ108,108'がちぎり取られることにより、あるいは、第一の外れ止め107を破壊することにより、あるいは、第一の開口111が広げられることにより、第一の外れ止め107のサイドフラップ108,108'が当該開口を通り抜けられるようになる。上述したいずれの場合においても、不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造が破壊され、あるいは箱300の外側において多少の破損が生じる。これは、遠くからでも認識可能であり、容易に視認できる。
【0036】
図5には、第一の外れ止め107の広がったサイドフラップ108,108'が示してあり、また、箱300の内部において広がった第二の外れ止め104のサイドフラップ106,106'が示してある。また、第一の外れ止め107と第二の外れ止め104との相互結合が概略的に示してある。第一の外れ止め107について先に述べたように、サイドフラップ106,106'付きの第二の外れ止め104は第一の外れ止め107と組み合わされて相互に結合されている。上にも述べたように、ユーザーがただ単に第二の外れ止め104を引き抜くことによって箱300を再度開封しようとしたら、結果として、第二の外れ止め104のサイドフラップ106,106'が引きちぎられるか、あるいは、第一の外れ止め107及び箱300の側壁が破損されることになるだろう。
【0037】
第二の外れ止め104に対して直角な第一の外れ止め107と、第二の外れ止め104と、が相互結合していることにより、箱300を開けようとしていずれか一つの外れ止めを引っぱるときに要する機械的な力はとても大きいものとなる。さらに、外れ止めを成す材料が、閉包構造の領域の板紙材料を補強する。それ故に、箱を再度開封するときに必要となる力はとても大きいものとなる。
【0038】
このように、ただ単に2つの外れ止めのうちのいずれかを引っ張ることによっては箱300を再度開封することができない。箱300の側壁を破壊したり、外れ止めを切り取ったりするための、ナイフやハサミ等の道具の使用が必要となる。遠くからでも、箱300の破損を視認して明らかに認識することができる。
【0039】
一つの実施形態においては、いずれの外れ止め107,104も、また、サイドフラップ108,108',106,106'も、丸みを帯びた頂点を有するように構成されている。これにより、第一の外れ止め107及び第二の外れ止め104のそれぞれが、より容易に、箱300に設けられたそれぞれの開口に挿入される。
【0040】
固有の弾性を有する材料は板紙及び段ボールに限定するものではない。最適な弾性の広がりをするサイドフラップを備える外れ止めを設計するために用いられる、固有の弾性を有する材料が、当業者の頭に思い浮かべられ、選択される。これらの材料は、あらゆる種類のプラスチック材料、金属、ゴム等から選択される。
【0041】
図6には、本発明の一実施形態であって、RFIDトランスポンダ610が第一の外れ止め107とサイドフラップ108,108'とを横断するように設けられているものが示してある。この実施形態においては、RFIDトランスポンダ610は第一の外れ止め107とサイドフラップ108,108'との間の折り目を横断するように配置されている。第一の外れ止め108が第一の開口111の引き裂き稜線を横断し、第一の外れ止め107が箱300の中から引き抜かれたとき、サイドフラップ108,108'は破断線125,125'のところで機械的に引きちぎられる。この実施形態においては、RFIDトランスポンダ610が破損する。これにより、RFIDトランスポンダ610の電気的特性が変化する。特にこの場合においては、RFIDトランスポンダ610の破損は共振周波数の変化を招く。それ故に、RFIDトランスポンダ610からの特定のデューティ周波数が外で受け取られなくなる。箱300の外に配置されたトランスポンダシステムは、第一の外れ止め107及びサイドフラップ108,108'の破損に起因する特定の共振周波数におけるRFIDトランスポンダ610からの応答の欠如を認識することができる。そして、このようにして、ディスパッチャー、移動通信装置、警報報知装置、あるいは他のあらゆる警報センターに警報を送信する。
【0042】
さらに、一つの実施形態においては、サイドフラップは、引きちぎられることを可能とするために破断線が設けられているだけではなく、導電材料の層を有する例えば板紙のようなキャリア材料により構成される。これにより、外れ止めとサイドフラップとが電気的に接続される。サイドフラップを破断線のところで引きちぎるために外れ止めを引っ張って機械的応力を付与すると、電導体が破壊される。これは、それ自体が箱の中のセキュリティーシステムにおいて自動リモートあるいはローカルアラームを成している電気回路を途切れさせることにつながる。
【0043】
図7に示してある外れ止め107及び2つのサイドフラップ108,108'の実施形態においては、サイドフラップ108,108'及び第一の外れ止め107の内側の面に導電材料の層が設けられている。当該導電材料の層は破断線125,125'を横断している。この実施形態においては、導電材料の層は2つの有形のワイヤーによって接触されている。2つの有形のワイヤーもまた、一枚の板紙100の上に、プリントされたワイヤーとして、あるいは、導電材料の層として、配置されている。ワイヤーは、センサー装置710に接続され、当該センサー装置710は、サイドフラップ108,108'及び第一の外れ止め107に設けられた導電材料の層の電気的特性を検出する。例えば、第二の外れ止め107がその位置から引っぱられて、引き裂き稜線を越えて動かされると、サイドフラップ108,108'が第二の外れ止め107から引きちぎられて、ワイヤー720,720'と導電材料の層との間の電気回路が途切れる。これにより、センサー装置710は電気回路の途切れを検知し、警報装置を作動させる。その後、警報装置は、視認可能な態様で、あるいは可聴音として、あるいはRFシグナルとして、警報を発する。当該警報は、箱300の外から検知することが可能である。
【0044】
それ故に、センサー装置710は、視認可能な態様で、あるいは可聴音として、その他あらゆる態様の警報を発するあらゆる種類の警報装置に接続可能である。また、警報は、高周波電磁界ごとに送信される警報であってもよい。また、アンシエーターは、警報を能動的に送信するHFトランスミッタであってもよく、また、RFIDトランスポンダ610であってもよい。
【0045】
さらに、導電材料の層は、外れ止め107,104及びサイドフラップ108,108',106,106'に導電材料の層として設けられるRFIDトランスポンダ610であってもよい。当該RFIDトランスポンダ610は、外れ止め及び/又はサイドフラップ108,108',106,106'が切り取られまたは破損されて外れ止めが除去されたときに破損される。電気伝導体の変化特性は、RFIDトランスポンダ610の無線周波数特性に影響している。異なる電気的あるいは作動的特性を有するRFIDトランスポンダ610を容易に決定することができる。
【0046】
また、例示のもの以外でも、同等の柔軟性のない材料と高い柔軟性のある材料との組み合わせであって、この技術の分野における当業者が容易に想到できるものでもよい。
【0047】
さらに、サイドフラップ108,108',106,106'は、非常に簡単に引きちぎられる破断線115,115',125,125'を有するように構成してもよい。それぞれの外れ止めを箱300のそれぞれの開口111,113から引き抜いたとき、当該破断線115,115',125,125'のところでサイドフラップが容易に引きちぎられる。それぞれの外れ止め107,104から引きちぎられたサイドフラップ108,108',106,106'は、箱300の中に取り残されることとなる。破断線115,115',125,125'は、材料に設けられた溝あるいはミシン目として認識され、材料はそれぞれの外れ止め107,104に隣り合う折り目に沿って切り取られる。さらに、サイドフラップ108,108',106,106'を成す材料は、例えば所定の切り目や切り取り線を有する特別な形状を有するものであってもよい。こうすることにより、過剰の機械的応力がかかったときに、サイドフラップ108,108',106,106'が取れて落ちることとなる。
【0048】
図中及び先の説明の中で、本発明について詳細に解説し説明しているものの、これらの解説及び説明は、具体例であり、一例であり、本発明はこれに限定解釈されるべきものではない。すなわち、本発明は開示した実施形態に限定されるものではない。開示した実施形態の他のバリエーションについては、当業者が請求項に係る発明を実施することにより、あるいは図、明細書、及び従属請求項の調査、研究により、当業者により理解され、達成される。特許請求の範囲において、「により構成される」という語は、他の要素やステップを包含するものを排除しない。そして、不定冠詞「当該」等は、そのものが複数個含まれている場合を排除しない。表面上、ある手段が相互に異なる従属項に記載されていることは、これらの手段の組合せが有利に使用できないというものではない。特許請求の範囲に記載の参照符号は、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0049】
100 折って組立て形成可能な板紙
104 第二の外れ止め
106,106' 第二の外れ止めのサイドフラップ
107 第一の外れ止め
108,108' 第一の外れ止めのサイドフラップ
111 第一の開口
113 第二の開口
115,115' 第一の外れ止めの破断線
117 折り目
125,125' 第二の外れ止めの破断線
127 折り目
210 第一の外れ止め及び第一の開口
220 第二の外れ止め及び第二の開口
300 箱
301,301' 外れ止めを折っている状態
303 第一の外れ止めの挿入
305 ヒンジ蓋
500 折り箱の内側を示す図
610 RFIDトランスポンダ
710 センサー装置
720,720' 印刷した又は有形のワイヤー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
警報センサー付きの箱(300)における不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造において、少なくとも一つのサイドフラップ(108,108',106,106')を有する外れ止め(107,104)と、開口(111,113)と、が設けてあり、
当該開口(111,113)の幅は、前記外れ止め(107,104)と、広げることのできる前記少なくとも一つのサイドフラップ(108,108',106,106')と、の幅よりも小さく、
前記少なくとも一つのサイドフラップ(108,108',106,106')は、前記開口(111,113)への挿入前に折り込むことが可能であり、
前記開口(111,113)に挿入した後に、前記少なくとも一つのサイドフラップ(108,108',106,106')を広げることが可能であり、そして、
前記外れ止め(107,104)及び前記少なくとも一つのサイドフラップ(108,108',106,106')には少なくとも一つの導電材料の層が設けられている、不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造。
【請求項2】
請求項1に記載の不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造において、前記外れ止め(107,104)は、ゴム、金属、又はプラスチック材料から成る固有の弾性を有する材料で構成されている、不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造。
【請求項3】
請求項1に記載の不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造において、導電材料の層は、塗料、インク、及び/又は薄膜として適用される、不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造において、前記層はアクチュエータに接続可能である、不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造において、前記層及び/又はアクチュエータは、RFIDトランスポンダ(610)及び/又は警報報知装置である、不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造において、第一の外れ止め(107)の少なくとも一つのサイドフラップ(108,108',106,106')には、折り目に沿って破断線(115,115')が設けられており、初めて箱(300)が開封されたとき、サイドフラップ(108,108',106,106')は箱(300)の側壁と接触し合い、そしてサイドフラップ(108,108',106,106')が引き裂き稜線を越えて動かされたとき、所定の破断線(115,115')に沿ってサイドフラップ(108,108',106,106')が引きちぎられる、不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造において、前記少なくとも一つのサイドフラップは折り目の領域において丸みを帯びた角を有し、外れ止め(107,104)は折り目の領域において丸みを帯びた縁を有し、サイドフラップ(108,108',106,106')が所定の第一の又は第二の外れ止め(107,104)の中央に対して隣り合うように折り畳まれたときに、スムーズに挿入されるようにしている、不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造において、サイドフラップ(108,108',106,106')の少なくとも一部と、所定の外れ止め(107,104)と、は、破断線を横断する導電材料により構成され、不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造が壊されて、所定の外れ止め(107,104)から少なくとも一つのサイドフラップ(108,108',106,106')が引きちぎられたときに、警報が作動される、不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造において、前記開口は、前記外れ止め(107,104)及び折り畳み可能なサイドフラップ(108,108',106,106')の材料の厚みよりも少なくとも大きい寸法を有する、不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造。
【請求項10】
警報センサー付きの少なくとも一つの不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造が設けられている箱(300)であって、第一の外れ止め(107)と、第二の外れ止め(104)と、請求項1に記載の少なくとも一つの開口と、を有し、当該箱(300)の閉包は、接着剤を要することなく機械的に閉じることができ、当該閉包は、不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造を破壊することによってのみ、開放することができる箱において、当該箱(300)には、
少なくとも一つのサイドフラップ(108,108')を有する第一の外れ止め(107)と、
当該第一の外れ止め(107)を挿入するための前記箱(300)の第一の開口(111)と、が備えられ、
前記第一の外れ止め(107)の前記少なくとも一つのサイドフラップ(108,108')は折り込み可能であり、
前記サイドフラップ(108,108')を前記第一の開口(111)に挿入した後、前記箱(300)の中で、材料の固有の弾性により、前記少なくとも一つのサイドフラップ(108,108')を広げることが可能であり、そして、
前記第一の外れ止め(107,104)及び少なくとも一つのサイドフラップ(108,108',106,106')には少なくとも一つの導電材料の層が設けられている、箱(300)。
【請求項11】
請求項10に記載の箱(300)において、当該箱(300)には、
少なくとも一つのサイドフラップ(106,106')を有する第二の外れ止め(104)と、
第二の外れ止め(104)を挿入するための前記第一の外れ止め(107)に設けられた第二の開口(113)と、が備えられ、
前記第一の外れ止め(107)の前記少なくとも一つのサイドフラップ(108,108')は折り込み可能であり、そして、
前記フラップを前記第一の開口(111)に挿入した後、前記箱(300)の中で、材料の固有の弾性により、前記少なくとも一つのサイドフラップ(106,106')を広げることが可能であり、そして、
前記第二の外れ止め(107,104)及び少なくとも一つのサイドフラップ(108,108',106,106')には少なくとも一つの導電材料の層が設けられている、箱(300)。
【請求項12】
請求項11に記載の箱(300)において、箱(300)を折るための用紙(100)が一枚の材料として設計されており、その一枚の材料には全てのフラップ及び外れ止めが備えられている、箱(300)。
【請求項13】
請求項11から請求項12までのいずれか一項に記載の箱(300)において、前記第二の外れ止め(104)の前記少なくとも一つのサイドフラップは、相互結合により、不正開封の跡がすぐに分かる閉包構造における前記第一の外れ止め(107)をしっかりと固定している、箱(300)。
【請求項14】
請求項11から請求項13までのいずれか一項に記載の箱(300)において、前記第二の外れ止め(104)の寸法は少なくとも前記第一の外れ止め(107)の寸法よりも小さい、箱(300)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−508228(P2013−508228A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534617(P2012−534617)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064925
【国際公開番号】WO2011/047961
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(503276470)ドイチェ ポスト アーゲー (50)
【Fターム(参考)】