警報装置
【課題】 本発明の目的は、誤解を招くことがなく火災に対して十分な対処を促すことができる火災警報を出力することができる警報装置を提供する点にある。
【解決手段】 火災を検出する火災検出手段14と、火災を検出しているときに、初期火災状態とそれよりも火災が発生している可能性が高い本格火災状態とを判定する火災状態判定手段16と、初期火災状態であると判定したときに初期火災警報を出力し、本格火災状態であると判定したときに本格火災警報を出力する警報手段15とを備えた警報装置であって、火災状態判定手段16が、本格火災状態であると判定した以降は、少なくとも火災検出手段で火災が検出されなくなるまで、本格火災状態の判定を維持する。
【解決手段】 火災を検出する火災検出手段14と、火災を検出しているときに、初期火災状態とそれよりも火災が発生している可能性が高い本格火災状態とを判定する火災状態判定手段16と、初期火災状態であると判定したときに初期火災警報を出力し、本格火災状態であると判定したときに本格火災警報を出力する警報手段15とを備えた警報装置であって、火災状態判定手段16が、本格火災状態であると判定した以降は、少なくとも火災検出手段で火災が検出されなくなるまで、本格火災状態の判定を維持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災を検出する火災検出手段と、
前記火災検出手段で火災を検出しているときに、初期火災状態と前記初期火災状態よりも火災が発生している可能性が高い本格火災状態とを判定する火災状態判定手段と、
前記火災状態判定手段で初期火災状態であると判定したときに初期火災警報を出力し、前記火災状態判定手段で本格火災状態であると判定したときに本格火災警報を出力する警報手段とを備えた警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記警報装置としての火災警報装置は、煙を感知する煙センサを火災センサとして備えた煙感知式、熱を感知する熱センサを火災センサとして備えた熱感知式、炎が発する光を感知する炎センサを火災センサとして備えた炎感知式のものがあり、詳しくは、火災が発生することで変化する火災センサの出力が予め設定された検出閾値以上となる場合を火災として検出する火災検出手段と、その火災検出手段で火災を検出したときに火災警報を出力する警報手段とを備えて構成されている。
【0003】
また、このような火災警報装置は、調理時や喫煙時に発生する煙、熱又は炎を感知して火災を誤検出するという問題がある。
そこで、このような誤検出の問題を回避するための火災警報装置として、火災センサの出力が検出閾値以上となる場合を火災として検出する火災検出手段とは別に、室内において火災により生成される一酸化炭素等の濃度を検知するガスセンサを設け、ガスセンサで検出したガス濃度が判定閾値未満のときに火災検出手段で火災を検出した場合には、初期火災状態であると判定して、初期火災状態であることを報知するための初期火災警報を出力し、一方、ガスセンサの出力が判定閾値以上となり、且つ火災検出手段で火災を検出した場合には、本格火災状態であると判定して、初期火災警報に変えて、本格火災状態であることを報知するための本格火災警報を出力するように構成された火災警報装置が知られている(例えば、特許文献1を参照。)
【0004】
また、上記火災状態判定手段を、火災センサの出力に関する火災センサ出力関連値が比較的大きい判定閾値以上である場合には本格火災状態であると判定するが、火災センサ出力関連値が同判定閾値未満である場合には、上記のような調理時や喫煙時に発生する煙、熱又は炎の感知による火災の誤検出である可能性があるとして、初期火災状態であると判定するように構成することもできる。
【0005】
【特許文献1】特開2000−132761号公報(図3等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、実際の火災においては、常に一酸化炭素濃度等のガス濃度が高いとは限らず、火災による不完全燃焼が完全燃焼に移行する場合などのように、一時的に一酸化炭素濃度が低下する場合が考えられる。そして、特許文献1の火災警報装置では、その場合にも、本格火災警報に変えて初期火災警報が出力するので、例えば、消火活動を行う者が、本格火災警報が初期火災警報に変化したときに、火災が沈静化したと誤解させるという問題がある。
【0007】
また、火災状態判定手段により、火災センサ出力関連値に基づいて本格火災状態と初期火災状態とを判定する場合においても、実際に火災が発生して、火災センサ出力関連値が一旦大きくなって本格火災状態であると判定し本格火災警報を出力した後に、火災が沈静化していないにも拘わらず、何らかの原因で、火災センサ出力関連値が低下して初期火災状態であると誤判定して、本格火災警報に変えて初期火災警報が出力され、火災が沈静化したと誤解させるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、誤解を招くことがなく火災に対して十分な対処を促すことができる火災警報を出力することができる警報装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る警報装置は、火災を検出する火災検出手段と、
前記火災検出手段で火災を検出しているときに、初期火災状態と前記初期火災状態よりも火災が発生している可能性が高い本格火災状態とを判定する火災状態判定手段と、
前記火災状態判定手段で初期火災状態であると判定したときに初期火災警報を出力し、前記火災状態判定手段で本格火災状態であると判定したときに本格火災警報を出力する警報手段とを備えた警報装置であって、その第1特徴構成は、前記火災状態判定手段が、前記本格火災状態であると判定した以降は、少なくとも前記火災検出手段で火災が検出されなくなるまで、前記本格火災状態の判定を維持するように構成されている点にある。
【0010】
上記第1特徴構成によれば、火災状態判定手段が、火災が発生している可能性が高い本格火災状態であると判定した以降は、少なくとも火災検出手段で火災が検出されなくなるまでは、本格火災状態の判定を維持することで、警報手段が一旦本格火災警報を出力した以降には、その本格火災警報を継続して出力することになるので、例えば、消火活動を行う者に対して、火災が沈静化したと勘違いさせることなく、火災に対して十分な対処を促すことができる。
【0011】
本発明に係る警報装置の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、火災による煙、熱又は炎を感知する火災センサを備え、
前記火災状態判定手段が、前記火災センサの出力に関する火災センサ出力関連値が判定閾値未満である場合には前記初期火災状態であると判定し、前記火災センサ出力関連値が同判定閾値以上である場合には前記本格火災状態であると判定する点にある。
尚、上記火災センサ出力関連値は、上記火災センサの出力、その出力の増加率、又は、その出力が継続して設定出力以上となる継続時間等のように、火災センサの出力の状態に伴って増減する値として求めることができる。
【0012】
上記第2特徴構成によれば、火災状態判定手段が、火災センサ出力関連値が判定閾値以上となって、本格火災状態であると判定した以降は、火災の沈静化以外の何らかの原因で火災センサ出力関連値が同判定閾値未満に低下した場合でも、少なくとも火災検出手段で火災が検出されなくなるまでは、本格火災状態の判定を維持し、誤解を招くことがなく火災に対して十分な対処を促すことができる。
【0013】
本発明に係る警報装置の第3特徴構成は、上記第2特徴構成に加えて、火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備え、
前記ガスセンサで検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値に応じて前記火災状態判定手段の前記本格火災状態と前記初期火災状態とに対する判定感度を調整する判定感度調整手段を備えた点にある。
尚、上記火災生成ガス濃度関連値は、上記火災生成ガスの濃度、その濃度の増加率、又は、その濃度が継続して設定濃度以上となるときの継続時間等のように、火災生成ガスの濃度の状態に伴って増減する値として求めることができる。
【0014】
上記第3特徴構成によれば、ガスセンサで検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値を、火災状態判定手段による本格火災状態と初期火災状態との判定感度の調整に用いることができる。即ち、判定感度調整手段が、火災生成ガス濃度関連値が大きい場合には、本格火災状態である可能性が高いと判断して、火災状態判定手段の本格火災状態と初期火災状態とに対する判定感度を高い側に調整する、言換えれば、火災状態判定手段で火災センサ出力関連値に対して設定された本格火災状態や初期火災状態の判定閾値を小さい側に調整して、正確に火災状態を判定することができる。
【0015】
本発明に係る警報装置の第4特徴構成は、上記第1乃至第3特徴構成の何れかに加えて、火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備え、
前記火災状態判定手段が、前記ガスセンサで検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値が判定閾値未満である場合には前記初期火災状態であると判定し、前記火災生成ガス濃度関連値が判定閾値以上である場合には前記本格火災状態であると判定する点にある。
【0016】
上記第4特徴構成によれば、火災状態判定手段が、火災生成ガス濃度関連値が判定閾値以上となって、本格火災状態であると判定した以降は、火災による不完全燃焼が完全燃焼に移行する場合などのように、一時的に一酸化炭素等の火災生成ガスの濃度が判定閾値未満に低下する場合においても、少なくとも火災検出手段で火災が検出されなくなるまで、本格火災状態の判定を維持し、誤解を招くことがなく火災に対して十分な対処を促すことができる。
【0017】
本発明に係る警報装置の第5特徴構成は、上記第4特徴構成に加えて、前記火災検出手段の検出結果に応じて前記火災状態判定手段の前記本格火災状態と前記初期火災状態とに対する判定感度を調整する判定感度調整手段を備えた点にある。
【0018】
上記第5特徴構成によれば、火災検出手段による検出結果を、火災の検出以外に、火災状態判定手段による本格火災状態と初期火災状態との判定感度の調整に用いることができる。即ち、判定感度調整手段が、火災検出手段で比較的大きい火災を検出した場合には、本格火災状態である可能性が高いと判断して、火災状態判定手段の判定感度を高い側に調整する、言換えれば、火災状態判定手段で火災生成ガス濃度関連値に対して設定された判定閾値を小さい側に調整して、正確に火災状態を判定することができる。
【0019】
本発明に係る警報装置の第6特徴構成は、上記第1乃至第5特徴構成の何れかに加えて、火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備え、
前記ガスセンサで検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値に応じて前記火災検出手段の火災に対する検出感度を調整する検出感度調整手段を備えた点にある。
【0020】
上記第6特徴構成によれば、ガスセンサの検出結果である火災生成ガス濃度関連値を、検出感度調整手段による火災検出手段の検出感度の調整に用いることができる。即ち、検出感度調整手段が、ガスセンサで検出された火災生成ガス濃度関連値が大きいほど、火災検出手段の誤検出の可能性が低いと判断して、火災検出手段の検出感度を高い側に調整して、正確に火災を検出し火災警報を出力することができる。
【0021】
本発明に係る警報装置の第7特徴構成は、上記第3乃至第6特徴構成の何れかに加えて、前記ガスセンサが、前記火災生成ガスとしての一酸化炭素、水素、アルデヒド類、ケトン類、二酸化炭素、塩化水素及びシアン化水素の少なくとも1つの濃度を検出するセンサである点にある。
【0022】
上記第7特徴構成によれば、火災により生成される火災生成ガスとしては、一酸化炭素、水素、アルデヒド類、ケトン類、二酸化炭素、塩化水素又はシアン化水素があり、それらの火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値は、火災時に常に高いとは限らないが、その火災生成ガス濃度関連値が大きいほど、火災が発生している可能性が高いと判断することができる。
【0023】
本発明に係る警報装置の第8特徴構成は、上記第3乃至第7特徴構成の何れかに加えて、前記警報手段が、前記火災生成ガス濃度関連値に基づいて警報を出力するように構成されている構成されている点にある。
【0024】
上記第8特徴構成によれば、ガスセンサにより、火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出し、その火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値が、例えば予め設定された判定閾値以上となった場合に、警報手段は、火災生成ガス濃度が高くなったことを通知するための警報、又は、火災が発生した可能性が高いことを通知するための警報や火災が発生したことを通知するための初期火災警報等の警報を出力することができる。
【0025】
本発明に係る警報装置の第9特徴構成は、上記第1乃至第8特徴構成の何れかに加えて、火災による煙、熱又は炎を感知する火災センサを備え、
前記火災検出手段が、前記火災センサの出力に関する火災センサ出力関連値が検出閾値以上となる場合を火災として検出するように構成されている点にある。
【0026】
上記第9特徴構成によれば、火災検出手段が、煙センサ、熱センサ又は炎センサ等の火災が発生することで変化する火災センサの出力に関する火災センサ出力関連値が検出感度としての検出閾値以上となる場合を火災として検出するように構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明に係る警報装置の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
警報装置10は、図1に示すように、火災Fを感知して火災警報を出力するものであり、本実施形態では、家庭内のキッチンの側壁4に設置され、コンロ2上の調理物による火災Fを感知する形態の警報装置10について、説明する。
【0028】
警報装置10は、図2に示すように、基本的には、火災を検出する火災検出手段14と、その火災検出手段14で火災を検出したときに火災警報を出力する警報手段15とを備えて構成されている。
【0029】
警報装置10は、火災Fによる煙を感知して、その煙の濃度に関連する出力を発する煙センサ、火災Fによる熱を感知して、その熱量に関連する出力を発する熱センサ、火災Fによる炎が発する赤外線や紫外線等の光を感知して、その光の強度に関連する出力を発する炎センサ等の火災センサ14aを備え、火災検出手段14は、火災が発生することで変化する火災センサ14aの出力、その出力の単位時間当りの増加率、又は、その出力が継続して設定出力以上となる継続時間等の、火災センサ14aの出力に関する火災センサ出力関連値を得て、その火災センサ出力関連値がその火災センサ14aにおいて火災Fを検出するための基準として予め設定された検出閾値以上となる場合を火災として検出するように構成されている。
【0030】
また、火災検出手段14は、その検出閾値を変更することで、火災Fに対する検出感度を変更自在に構成されている。即ち、火災検出手段14において検出閾値を小さくすることで、火災センサ14aの出力変化に対して敏感に火災Fを検出する状態、言換えれば、火災Fに対する検出感度が高い状態となり、逆に、火災検出手段14において検出閾値を大きくすることで、火災センサ14aの出力変化に対して鈍感に火災Fを検出する状態、言換えれば、火災Fに対する検出感度が低い状態となる。
【0031】
また、警報手段15は、火災検出手段14で火災を検出したときに、火災警報を出力するのであるが、その火災警報を出力する形態としては、スピーカなどで警報音を発生する形態や、インターネット等の通信ネットワークを通じてガス供給会社や警備会社等のセンター装置に警報信号を送信する形態や、コンロ2へのガスの供給を遮断する遮断弁に対してガスの供給を遮断させるための遮断信号を発信する形態等や、その他の公知の火災警報の出力形態を採用することができる。
【0032】
更に、この警報装置10には、火災検出手段14の設置空間において火災Fにより生成される火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサ11が設けられている。
【0033】
このガスセンサ11は、火災生成ガスとしての一酸化炭素、水素、アルデヒド類、ケトン類、二酸化炭素、塩化水素及びシアン化水素の少なくとも1つの濃度を検出するセンサであり、例えば、一酸化炭素は火災Fにより不完全燃焼が発生することにより生成され、水素やアルデヒド類、ケトン類は、発火前に発生する成分や火災Fによる中間生成物として生成され、二酸化炭素、塩化水素及びシアン化水素は火災Fによる燃焼生成物として生成されるものであり、更に、通常の調理時や喫煙時においては、その生成量は少ない。
【0034】
よって、ガスセンサ11で検出される火災生成ガスの濃度、その濃度の単位時間当りの増加率、又は、その濃度が継続して設定濃度以上となる継続時間等の、火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値が高い場合には火災Fが発生している可能性が高いと判断でき、逆に、その火災生成ガス濃度関連値が低い場合には火災Fが発生している可能性が低いと判断できる。
【0035】
また、上記のようなガスセンサ11としては、公知の定電位電解型や起電力検出型、酸化還元混合電位検出型、電解質上設置電極反応電流を検出するタイプ等の電気化学式や金属酸化物半導体式や接触燃焼式等の公知のガスセンサを用いることができるので詳細については説明を割愛するが、例えば、一酸化炭素の濃度を検出するガスセンサとしては、金属酸化物半導体として酸化スズ半導体や酸化インジウム半導体等からなる感応部を用いた半導体式のガスセンサや、電解液や固体電解質等の電解質上に設けた電極上で一酸化炭素が反応することにより発生する電流を検出する電気化学式のガスセンサを用いることができ、水素の濃度を検出するガスセンサとしては、金属酸化物半導体として酸化スズ半導体などからなる感応部を用いた半導体式や接触燃焼式のガスセンサ等を用いることができる。
【0036】
更に、火災生成ガス濃度関連値と火災センサ出力関連値に対する火災検出及び火災状態判定の状態を示す図13及び図14も参照して、この警報装置10には、火災センサ14aの出力に関する火災センサ出力関連値が検出閾値以上となって火災検出手段14で火災を検出しているときに、比較的火災が発生している可能性が低い初期火災状態と、初期火災状態よりも火災が発生している可能性が高い本格火災状態とを判定する火災状態判定手段16が設けられている。
【0037】
そして、警報手段15は、火災状態判定手段16が初期火災状態であると判定したときには、例えば使用者に対して火災が検出されたので火元の確認を催促するような初期火災警報を出力し、火災状態判定手段16が本格火災状態であると判定したときには、例えば使用者に対して火災が発生したことを報知するような本格火災警報を出力するように構成されている。
【0038】
更に、火災状態判定手段16は、例えば、消火活動を行う者に対して、火災が沈静化したと勘違いさせることなく、火災に対して十分な対処を促すために、本格火災状態であると判定した以降は、少なくとも火災センサ14aの出力等の火災センサ出力関連値が検出閾値未満となって火災検出手段14で火災が検出されなくなるまで、本格火災状態の判定を維持するように構成されている。
よって、警報手段15は、一旦本格火災警報を出力した以降には、その本格火災警報を継続して出力することになる。
【0039】
更に、この警報装置10には、ガスセンサ11で検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値に応じて火災検出手段14の火災に対する検出感度を調整する検出感度調整手段13が設けられている。
詳しくは、この検出感度調整手段13は、ガスセンサ11で検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値が大きいほど、火災検出手段14の検出感度を高い側に調整する、言換えれば、火災検出手段14の検出閾値を小さい側に調整するように構成されている。
【0040】
即ち、ガスセンサ11で検出した火災生成ガスの濃度が高く、火災Fが発生している可能性が高いと判断できる場合には、検出感度調整手段13は、火災検出手段14の検出感度を高い側に調整することで、所望の検出精度を確保しながら火災を検出することができる。
【0041】
以下、これまで説明してきた警報装置10を実施するための第1実施形態及び第2実施形態について説明する。
【0042】
〔第1実施形態〕
第1実施形態の警報装置10は、火災状態判定手段16が、ガスセンサ11で検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値が、そのガスセンサ11の出力に対して予め設定された判定閾値未満である場合には初期火災状態であると判定し、火災生成ガス濃度関連値がその判定閾値以上である場合には本格火災状態であると判定するように構成されている。
【0043】
更に、この警報装置10には、火災検出手段14の検出結果に応じて火災状態判定手段16の本格火災状態と初期火災状態とに対する判定感度を調整する判定感度調整手段17が設けられている。
詳しくは、この判定感度調整手段17は、火災センサ14aの出力に関する火災センサ出力関連値が大きいほど、火災状態判定手段16の判定感度を高い側に調整する、言換えれば、火災状態判定手段16の判定閾値を小さい側に調整するように構成されている。
【0044】
即ち、火災センサ14aの出力が高く、本格火災状態である可能性が高いと判断できる場合には、判定感度調整手段17は、火災状態判定手段16の判定感度を高い側に調整することで、所望の判定精度を確保しながら本格火災状態を判定することができる。
【0045】
次に、これまで説明した第1実施形態の警報装置10により実施される火災警報処理のフローについて、図3及び図4に基づいて説明を加える。
警報装置10は、詳細については後述するが図4に示すような検出感度調整処理を実行し(ステップ#101)、次に、火災検出手段14により、火災センサ14aの出力aが上記のように調整された検出感度に対応する検出閾値A以上であるか否かを判定することにより、火災Fが発生しているか否かを検出する(ステップ#102)。
【0046】
そして、火災センサ14aの出力aが検出閾値A以上である場合には、詳細については後述するが図5に示すような判定感度調整処理を実行(ステップ#103)した後に、火災状態判定手段16により、ガスセンサ11で検出した火災生成ガスの濃度bが予め設定された判定閾値B以上であるか否かを判定することで、本格火災状態か初期火災状態かを判定する(ステップ#104)。
但し、このステップ#104において、火災状態判定手段16は、本格火災警報を出力していることを認識するための変数iが本格火災警報を出力している状態を示す1である場合には、常に本格火災状態であると判定する。
【0047】
尚、ステップ#102において、火災センサ14aの出力aが検出閾値A未満である場合には、変数iを本格火災警報を出力していない状態を示す0とする(ステップ#105)。
【0048】
ステップ#104において、火災状態判定手段16により、火災生成ガスの濃度bが予め設定された判定閾値B未満であり、且つ、i=1でないと判定した場合、言換えれば初期火災状態と判定した場合には、警報手段15により初期火災警報を出力し(ステップ#106)、火災生成ガスの濃度bが予め設定された判定閾値B以上である、又は、i=1であると判定した場合、言換えれば本格火災状態であると判定した場合には、警報手段15により本格火災警報を出力する(ステップ#107)。
【0049】
また、本格火災警報を出力した場合には、変数iを本格火災警報を出力している状態を示す1とする(ステップ#108)。
よって、ステップ#104において、火災状態判定手段16が本格火災状態であると判定しiを1とした以降は、少なくともステップ#102において火災センサ14aの出力aが検出閾値A未満と判定して火災検出手段14で火災が検出されなくなるまでは、本格火災状態の判定を維持することになる。
【0050】
次に、ステップ#102で実行する検出感度調整処理について、図4に基づいて説明する。
検出感度調整処理においては、先ず、検出感度調整手段13により、ガスセンサ11aで検出した火災生成ガスの濃度bが予め設定された判定閾値B’以上であるか否かを判定する(ステップ#201)。尚、この判定閾値B’は、前述したステップ#104における火災状態判定手段16による初期火災状態と本格火災状態との判定の基準となる判定閾値Bと同じ値又は別の値に設定することができる。
【0051】
そして、火災生成ガスの濃度bが予め設定された判定閾値B’以上である場合には、火災検出手段14の検出閾値Aを小さめの値A1に設定することで(ステップ#202)、火災検出手段14の検出感度を高めに調整し、逆に、火災生成ガスの濃度bが予め設定された判定閾値B’未満である場合には、火災検出手段14の検出閾値Aを大きめの値A2(即ち、A1<A2)に設定して(ステップ#203)、火災検出手段14の検出感度を低めに調整する。
【0052】
また、ステップ#201において、火災生成ガスの濃度bが、所定の判定閾値B’と同じ値又は別の値として設定された判定閾値以上であるか否かを判定し、その火災生成ガスの濃度bがその判定閾値以上であった場合に、警報手段15が、設置空間において火災生成ガスの濃度bが比較的高くなっていることを通知するための警報、又は、火災が発生したことを通知するための初期火災警報等の警報を出力するように構成しても構わない。
【0053】
次に、ステップ#103で実行する判定感度調整処理について、図5に基づいて説明する。
判定感度調整処理においては、先ず、判定感度調整手段17により、火災センサ14aの出力aが予め設定された設定閾値A’以上であるか否かを判定する(ステップ#301)。尚、この設定閾値A’は、前述したステップ#102における火災検出手段14による火災の検出の基準となる検出閾値Aよりも大きい値に設定される。
【0054】
そして、火災センサ14aの出力aが予め設定された設定閾値A’以上である場合には、火災状態判定手段16の判定閾値Bを小さめの値B1に設定することで(ステップ#302)、火災状態判定手段16の判定感度を高めに調整し、逆に、火災センサ14aの出力aが予め設定された設定閾値A’未満である場合には、火災状態判定手段16の判定閾値Bを大きめの値B2(即ち、B1<B2)に設定して(ステップ#303)、火災状態判定手段16の判定感度を低めに調整する。
【0055】
尚、ステップ#104やステップ#201の判定処理で用いた火災生成ガスの濃度bの代わりに、その濃度bの単位時間当りの増加率、又は、その濃度bが継続して設定濃度以上となる継続時間等の、他の火災生成ガス濃度関連値を利用しても構わない。
尚、ステップ#102やステップ#301の判定処理で用いた火災センサ11aの出力aの代わりに、その出力aの単位時間当りの増加率、又は、その出力aが継続して設定出力以上となる継続時間等の、他の火災センサ出力関連値を利用しても構わない。
【0056】
〔実施例〕
次に、実際の火災の発生を想定して、上述した第1実施形態の警報装置の火災警報の出力形態(実施例)と、従来の火災警報装置の火災警報の出力形態(比較例)とについて説明する。
ここで、比較例としての従来の火災警報装置としては、実施例としての上述した実施形態の警報装置と同様のガスセンサと火災センサを用いた火災検出手段とを設け、ガスセンサで検出したガス濃度が判定閾値未満のときに火災検出手段で火災を検出した場合には、初期火災警報を出力し、一方、ガスセンサの出力が判定閾値以上となり、且つ火災検出手段で火災を検出した場合には、本格火災警報を出力するように構成された火災警報装置を用いる。即ち、この比較例の火災警報装置は、実施例の警報装置とは異なり、本格火災警報を出力した以降でも、ガスセンサで検出したガス濃度が判定閾値未満となれば、本格火災警報を維持することなく、初期火災警報を出力するように構成されている。
また、ガスセンサとしては、一酸化炭素(CO)の濃度を検出する一酸化炭素センサを用いる。
【0057】
先ず、図6及び図7に示すように、火災が発生してから鎮火するまでにおいて、火災センサの出力が検出閾値以上となって火災検出手段で火災が検出されている間において、火災発生直後と鎮火直前において不完全燃焼等の理由でガスセンサで検出された一酸化炭素の濃度が一時的に判定閾値以上となる場合を想定する。
【0058】
この場合、実施例の警報装置では、図6に示すように、火災検出手段で火災が検出されてから、ガスセンサで検出される一酸化炭素濃度が判定閾値以上となるまでは、初期火災警報を出力しているが、ガスセンサで検出される一酸化炭素濃度が一旦判定閾値以上となれば、一酸化炭素濃度が一時的に判定閾値未満となっても、本格火災警報を継続して出力することになる。
【0059】
一方、比較例の火災警報装置では、図7に示すように、燃焼の進行に伴い不完全燃焼から完全燃焼に移行することにより一酸化炭素濃度が設定閾未満となっている間は、初期火災警報を出力することから、使用者は、本格火災警報が初期火災警報に変化することで、火災が収まったと誤解してしまう恐れがある。
【0060】
次に、図8及び図9に示すように、調理や喫煙などにより、火災センサの出力が上昇し、一方、ガスセンサで検出された一酸化炭素濃度が判定閾値以下に維持されている場合を想定する。
この場合、実施例の警報装置では、図8に示すように、ガスセンサで検出された一酸化炭素濃度が判定閾値未満であることから、火災検出手段の検出閾値が高く(検出感度が低く)調整されているので、火災センサの出力がその検出閾値以上となることが抑制されて、誤って初期火災警報が出力されることが抑制される。
一方、比較例の火災警報装置では、図9に示すように、火災検出手段の検出閾値が実施例よりも低く(検出感度が高く)設定されているので、火災センサの出力がその検出閾値以上となり、誤って初期火災警報が出力されてしまう場合がある。
【0061】
次に、図10及び図11に示すように、火災が発生したが火災センサの出力の上昇が比較的小規模であり、一方、ガスセンサで検出された一酸化炭素濃度が判定閾値以上となる場合を想定する。
この場合、実施例の警報装置では、図10に示すように、ガスセンサで検出された一酸化炭素濃度が判定閾値以上となった時点で初期火災警報が出力されると共に、火災検出手段の検出閾値が低く(検出感度が高く)調整されるので、火災センサの出力が比較的小規模でもその検出閾値以上となり、初期火災警報に続いて本格火災警報を出力することができる。
一方、比較例の火災警報装置では、図11に示すように、火災検出手段の検出閾値が実施例よりも高く(検出感度が低く)設定されているので、火災センサの出力が比較的小規模であることから、その出力が検出閾値未満となるので、本格火災警報はもちろんのこと、初期火災警報も出力することができない。
【0062】
以上の結果から、実施例の警報装置は、比較例の火災警報装置よりも、誤解を招くことがなく火災に対して十分な対処を促すことができる火災警報を出力することができるといえる。
【0063】
〔第2実施形態〕
第2実施形態の警報装置10は、上述した第1実施形態と同様の構成については説明を割愛するが、火災状態判定手段16が、火災センサ14aの出力に関する火災センサ出力関連値が、その火災センサ出力関連値に対して予め設定された判定閾値未満である場合には初期火災状態であると判定し、火災センサ出力関連値がその判定閾値以上である場合には本格火災状態であると判定するように構成されている。
【0064】
また、このように上記火災状態判定手段16が火災センサ出力関連値を用いて本格火災状態と初期火災状態とを判定する場合においては、火災検出手段14の検出結果ではなく、ガスセンサ11で検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値に応じて火災状態判定手段16の本格火災状態と初期火災状態とに対する判定感度を調整する判定感度調整手段17を設けることができる。
【0065】
詳しくは、この判定感度調整手段17は、上記火災生成ガス濃度関連値が大きいほど、火災状態判定手段16の判定感度を高い側に調整する、言換えれば、火災状態判定手段16の判定閾値を小さい側に調整するように構成される。
【0066】
即ち、火災生成ガス濃度が高く、本格火災状態である可能性が高いと判断できる場合には、判定感度調整手段17は、火災状態判定手段16の判定感度を高い側に調整することで、所望の判定精度を確保しながら本格火災状態を判定することができる。
【0067】
また、ガスセンサ11の検出結果に応じて火災検出手段14の火災に対する検出感度を調整する検出感度調整手段13は、図14にも示すように、火災生成ガス濃度関連値が所定の設定閾値未満である場合には、火災検出手段14の検出閾値を、上記火災状態判定手段16の本格火災状態に対する判定閾値と同じ値とし、火災生成ガス濃度関連値が所定の設定閾値以上である場合には、火災検出手段14の検出閾値を、上記火災状態判定手段16の本格火災状態に対する判定閾値よりも小さい値とするように構成することができる。
【0068】
即ち、火災生成ガス濃度関連値が設定閾値未満である場合において、火災センサ出力関連値が比較的高めの検出閾値及びそれと同値の判定閾値以上となった場合には、火災検出手段14により火災が検出され、同時に、火災状態判定手段16により自動的に本格火災状態であると判定されることになる。
【0069】
次に、これまで説明した第2実施形態の警報装置10により実施される火災警報処理のフローについて、図12に基づいて説明を加える。
警報装置10は、第1実施形態と同様の検出感度調整処理を適宜実行し(ステップ#201)、次に、火災検出手段14により、火災センサ14aの出力aが上記のように調整された検出感度に対応する検出閾値A以上であるか否かを判定することにより、火災Fが発生しているか否かを検出する(ステップ#202)。
【0070】
そして、火災センサ14aの出力aが検出閾値A以上である場合には、第1実施形態と同様の検出感度調整処理を適宜実行(ステップ#203)した後に、火災状態判定手段16により、火災センサ14aの出力aが上記検出閾値Aの最大値以上に設定された判定閾値A”以上であるか否かを判定することで、本格火災状態か初期火災状態かを判定する(ステップ#204)。
但し、このステップ#204において、火災状態判定手段16は、本格火災警報を出力していることを認識するための変数iが本格火災警報を出力している状態を示す1である場合には、常に本格火災状態であると判定する。
【0071】
尚、ステップ#202において、火災センサ14aの出力aが検出閾値A未満である場合には、変数iを本格火災警報を出力していない状態を示す0とする(ステップ#205)。
【0072】
ステップ#204において、火災状態判定手段16により、火災センサ14aの出力aが判定閾値A”未満であり、且つ、i=1でないと判定した場合、言換えれば初期火災状態と判定した場合には、警報手段15により初期火災警報を出力し(ステップ#206)、火災センサ14aの出力aが判定閾値A”以上である、又は、i=1であると判定した場合、言換えれば本格火災状態であると判定した場合には、警報手段15により本格火災警報を出力する(ステップ#207)。
【0073】
また、本格火災警報を出力した場合には、変数iを本格火災警報を出力している状態を示す1とする(ステップ#208)。
よって、ステップ#204において、火災状態判定手段16が本格火災状態であると判定しiを1とした以降は、少なくともステップ#102において火災センサaの出力が検出閾値A未満と判定して火災検出手段14で火災が検出されなくなるまでは、本格火災状態の判定を維持することになる。
【0074】
〔別実施形態〕
(1)上記実施の形態では、火災検出手段14を、例えば煙、熱又は炎を感知する火災センサ14aを用いて火災として検出するように構成したが、別の形態で火災を検出するように構成しても構わない。
例えば、火災検出手段14を、ガスセンサ11で検出される火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値が、火災状態判定手段16による火災状態の判定のための判定閾値とは別の検出閾値以上となったことを火災として検出するように構成することができる。また、ガスセンサ11の検出対象とは異なる火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備え、火災検出手段14を、そのガスセンサで検出される火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値がそのガスセンサの出力に対して予め設定された検出閾値以上となったことを火災として検出するように構成することもできる。
【0075】
(2)上記実施の形態では、検出感度調整処理を実行するための検出感度調整手段13や、判定感度調整処理を実行するための判定感度調整手段17を設けたが、これらを省略しても構わない。
【0076】
(3)上記実施の形態では、環境状態検出手段11や火災検出手段14の検出結果に応じて、火災検出手段14の検出感度や火災状態判定手段16の判定感度を二段階で調整する構成を示したが、これら検出感度や判定感度は、二段階以上の複数段階で調整したり、無段階で調整しても構わない。また、これら検出感度や判定感度を、環境状態検出手段11や火災検出手段14の検出結果を所定の関数やデータテーブルに基づいて連続的に変化させることで、より細かな調整を行うことができる。即ち、このような警報装置は、ガスセンサの検出結果と火災検出手段の検出感度とを関連付けた関数又はテーブルや、火災検出手段の検出結果と火災状態判定手段の判定感度とを関連付けた関数又はテーブルを予め有し、ガスセンサの検出結果から上記関数又はデータテーブルに基づいて火災検出手段の検出感度を決定したり、火災検出手段の検出結果から上記関数又はテーブルに基づいて火災状態判定手段の判定感度を決定するように構成される。
【0077】
以下、関数又はデータテーブルを用いて火災検出手段の検出感度や火災状態判定手段の判定感度を調整する警報装置の例について、説明を加える。
尚、ここで説明する警報装置は、上記実施形態及び図2で説明した警報装置10と同様に、火災を検出する火災検出手段14を、火災センサ14aの出力に関する火災センサ出力関連値が予め設定された検出閾値以上となる場合を火災として検出するように構成し、火災状態判定手段16を、火災検出手段14で火災が検出されているときに、火災センサ14aの火災センサ出力関連値やガスセンサ11の火災生成ガス濃度関連値により初期火災状態と本格火災状態とを判定すると共に、本格火災状態であると判定した以降は、少なくとも火災検出手段14で火災が検出されなくなるまで、本格火災状態の判定を維持するように構成した警報装置10とする。
【0078】
この警報装置は、図13又は図14に示すように、火災生成ガス濃度関連値が高くなるほど、火災検出手段の検出感度が連続的に高くなる、即ち、火災検出手段の火災センサ出力関連値に対する検出閾値が連続的又は段階的に低くなるように定義され、火災生成ガス濃度関連値と火災検出手段の検出感度としての検出閾値とを関連付けた関数又はデータテーブルを有する。
そして、このように構成した警報装置により、火災センサを用いて取得した火災センサ出力関連値と、ガスセンサを用いて取得した火災生成ガス濃度関連値とを、上記関数又はテータテーブルに当てはめて、火災を検出することができる。
【0079】
更に、この警報装置は、図13に示すように、火災センサ出力関連値が高くなるほど、火災状態判定手段の判定感度が連続的に高くなる、即ち、火災判定手段の火災生成ガス濃度に対する判定閾値が連続的に低くなるように定義され、火災センサ出力関連値と火災状態判定手段の判定感度としての判定閾値とを関連付けた関数又はデータテーブルを有する。
そして、このように構成した警報装置により、火災センサを用いて取得した火災センサ出力関連値と、ガスセンサを用いて取得した火災生成ガス濃度関連値とを、上記関数又はテータテーブルに当てはめて、初期火災状態と本格火災状態とを判定することができる。
【0080】
そして、このように構成された警報手段15においても、警報手段は、一旦本格火災警報を出力した以降には、少なくとも火災が検出されなくなるまで、初期火災警報を出力することを禁止して、その本格火災警報を継続して出力する。
また、警報手段15は、上記関数又はデータテーブルとは別に、火災生成ガス濃度関連値が設定閾値以上となった場合に、火災生成ガスの濃度が比較的高くなっていることを通知するための火災生成ガス警報を出力することができる。
【0081】
尚、上記図13及び図14に示すように、火災生成ガス濃度関連値と火災センサ出力関連値とに関連付けて、本格火災警報、初期火災警報、火災生成ガス警報、無警報等の領域を定義したデータマップを予め有しておき、火災センサを用いて取得した火災センサ出力関連値と、ガスセンサを用いて取得した火災生成ガス濃度関連値とが示す座標が、そのデータマップのどの領域にあるかにより、本格火災警報、初期火災警報、火災生成ガス警報、無警報等を判定しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】警報装置の設置状態を示す図
【図2】警報装置の概略構成図
【図3】第1実施形態の警報装置による火災警報処理フローを示す図
【図4】検出感度調整処理フローを示す図
【図5】判定感度調整処理フローを示す図
【図6】実施例の警報装置の火災警報の出力形態を示す図
【図7】比較例の火災警報装置の火災警報の出力形態を示す図
【図8】実施例の警報装置の火災警報の出力形態を示す図
【図9】比較例の火災警報装置の火災警報の出力形態を示す図
【図10】実施例の警報装置の火災警報の出力形態を示す図
【図11】比較例の火災警報装置の火災警報の出力形態を示す図
【図12】第2実施形態の警報装置による火災警報処理フローを示す図
【図13】火災生成ガス濃度関連値と火災センサ出力関連値に対する火災検出及び火災状態判定の状態を示す説明図
【図14】火災生成ガス濃度関連値と火災センサ出力関連値に対する火災検出及び火災状態判定の状態を示す説明図
【符号の説明】
【0083】
10:警報装置
11:ガスセンサ
11b:不在状態検出手段
13:検出感度調整手段
14:火災検出手段
14a:火災センサ
14b:水素センサ
15:警報手段
16:火災状態判定手段
17:判定感度調整手段
F:火災
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災を検出する火災検出手段と、
前記火災検出手段で火災を検出しているときに、初期火災状態と前記初期火災状態よりも火災が発生している可能性が高い本格火災状態とを判定する火災状態判定手段と、
前記火災状態判定手段で初期火災状態であると判定したときに初期火災警報を出力し、前記火災状態判定手段で本格火災状態であると判定したときに本格火災警報を出力する警報手段とを備えた警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記警報装置としての火災警報装置は、煙を感知する煙センサを火災センサとして備えた煙感知式、熱を感知する熱センサを火災センサとして備えた熱感知式、炎が発する光を感知する炎センサを火災センサとして備えた炎感知式のものがあり、詳しくは、火災が発生することで変化する火災センサの出力が予め設定された検出閾値以上となる場合を火災として検出する火災検出手段と、その火災検出手段で火災を検出したときに火災警報を出力する警報手段とを備えて構成されている。
【0003】
また、このような火災警報装置は、調理時や喫煙時に発生する煙、熱又は炎を感知して火災を誤検出するという問題がある。
そこで、このような誤検出の問題を回避するための火災警報装置として、火災センサの出力が検出閾値以上となる場合を火災として検出する火災検出手段とは別に、室内において火災により生成される一酸化炭素等の濃度を検知するガスセンサを設け、ガスセンサで検出したガス濃度が判定閾値未満のときに火災検出手段で火災を検出した場合には、初期火災状態であると判定して、初期火災状態であることを報知するための初期火災警報を出力し、一方、ガスセンサの出力が判定閾値以上となり、且つ火災検出手段で火災を検出した場合には、本格火災状態であると判定して、初期火災警報に変えて、本格火災状態であることを報知するための本格火災警報を出力するように構成された火災警報装置が知られている(例えば、特許文献1を参照。)
【0004】
また、上記火災状態判定手段を、火災センサの出力に関する火災センサ出力関連値が比較的大きい判定閾値以上である場合には本格火災状態であると判定するが、火災センサ出力関連値が同判定閾値未満である場合には、上記のような調理時や喫煙時に発生する煙、熱又は炎の感知による火災の誤検出である可能性があるとして、初期火災状態であると判定するように構成することもできる。
【0005】
【特許文献1】特開2000−132761号公報(図3等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、実際の火災においては、常に一酸化炭素濃度等のガス濃度が高いとは限らず、火災による不完全燃焼が完全燃焼に移行する場合などのように、一時的に一酸化炭素濃度が低下する場合が考えられる。そして、特許文献1の火災警報装置では、その場合にも、本格火災警報に変えて初期火災警報が出力するので、例えば、消火活動を行う者が、本格火災警報が初期火災警報に変化したときに、火災が沈静化したと誤解させるという問題がある。
【0007】
また、火災状態判定手段により、火災センサ出力関連値に基づいて本格火災状態と初期火災状態とを判定する場合においても、実際に火災が発生して、火災センサ出力関連値が一旦大きくなって本格火災状態であると判定し本格火災警報を出力した後に、火災が沈静化していないにも拘わらず、何らかの原因で、火災センサ出力関連値が低下して初期火災状態であると誤判定して、本格火災警報に変えて初期火災警報が出力され、火災が沈静化したと誤解させるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、誤解を招くことがなく火災に対して十分な対処を促すことができる火災警報を出力することができる警報装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る警報装置は、火災を検出する火災検出手段と、
前記火災検出手段で火災を検出しているときに、初期火災状態と前記初期火災状態よりも火災が発生している可能性が高い本格火災状態とを判定する火災状態判定手段と、
前記火災状態判定手段で初期火災状態であると判定したときに初期火災警報を出力し、前記火災状態判定手段で本格火災状態であると判定したときに本格火災警報を出力する警報手段とを備えた警報装置であって、その第1特徴構成は、前記火災状態判定手段が、前記本格火災状態であると判定した以降は、少なくとも前記火災検出手段で火災が検出されなくなるまで、前記本格火災状態の判定を維持するように構成されている点にある。
【0010】
上記第1特徴構成によれば、火災状態判定手段が、火災が発生している可能性が高い本格火災状態であると判定した以降は、少なくとも火災検出手段で火災が検出されなくなるまでは、本格火災状態の判定を維持することで、警報手段が一旦本格火災警報を出力した以降には、その本格火災警報を継続して出力することになるので、例えば、消火活動を行う者に対して、火災が沈静化したと勘違いさせることなく、火災に対して十分な対処を促すことができる。
【0011】
本発明に係る警報装置の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、火災による煙、熱又は炎を感知する火災センサを備え、
前記火災状態判定手段が、前記火災センサの出力に関する火災センサ出力関連値が判定閾値未満である場合には前記初期火災状態であると判定し、前記火災センサ出力関連値が同判定閾値以上である場合には前記本格火災状態であると判定する点にある。
尚、上記火災センサ出力関連値は、上記火災センサの出力、その出力の増加率、又は、その出力が継続して設定出力以上となる継続時間等のように、火災センサの出力の状態に伴って増減する値として求めることができる。
【0012】
上記第2特徴構成によれば、火災状態判定手段が、火災センサ出力関連値が判定閾値以上となって、本格火災状態であると判定した以降は、火災の沈静化以外の何らかの原因で火災センサ出力関連値が同判定閾値未満に低下した場合でも、少なくとも火災検出手段で火災が検出されなくなるまでは、本格火災状態の判定を維持し、誤解を招くことがなく火災に対して十分な対処を促すことができる。
【0013】
本発明に係る警報装置の第3特徴構成は、上記第2特徴構成に加えて、火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備え、
前記ガスセンサで検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値に応じて前記火災状態判定手段の前記本格火災状態と前記初期火災状態とに対する判定感度を調整する判定感度調整手段を備えた点にある。
尚、上記火災生成ガス濃度関連値は、上記火災生成ガスの濃度、その濃度の増加率、又は、その濃度が継続して設定濃度以上となるときの継続時間等のように、火災生成ガスの濃度の状態に伴って増減する値として求めることができる。
【0014】
上記第3特徴構成によれば、ガスセンサで検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値を、火災状態判定手段による本格火災状態と初期火災状態との判定感度の調整に用いることができる。即ち、判定感度調整手段が、火災生成ガス濃度関連値が大きい場合には、本格火災状態である可能性が高いと判断して、火災状態判定手段の本格火災状態と初期火災状態とに対する判定感度を高い側に調整する、言換えれば、火災状態判定手段で火災センサ出力関連値に対して設定された本格火災状態や初期火災状態の判定閾値を小さい側に調整して、正確に火災状態を判定することができる。
【0015】
本発明に係る警報装置の第4特徴構成は、上記第1乃至第3特徴構成の何れかに加えて、火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備え、
前記火災状態判定手段が、前記ガスセンサで検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値が判定閾値未満である場合には前記初期火災状態であると判定し、前記火災生成ガス濃度関連値が判定閾値以上である場合には前記本格火災状態であると判定する点にある。
【0016】
上記第4特徴構成によれば、火災状態判定手段が、火災生成ガス濃度関連値が判定閾値以上となって、本格火災状態であると判定した以降は、火災による不完全燃焼が完全燃焼に移行する場合などのように、一時的に一酸化炭素等の火災生成ガスの濃度が判定閾値未満に低下する場合においても、少なくとも火災検出手段で火災が検出されなくなるまで、本格火災状態の判定を維持し、誤解を招くことがなく火災に対して十分な対処を促すことができる。
【0017】
本発明に係る警報装置の第5特徴構成は、上記第4特徴構成に加えて、前記火災検出手段の検出結果に応じて前記火災状態判定手段の前記本格火災状態と前記初期火災状態とに対する判定感度を調整する判定感度調整手段を備えた点にある。
【0018】
上記第5特徴構成によれば、火災検出手段による検出結果を、火災の検出以外に、火災状態判定手段による本格火災状態と初期火災状態との判定感度の調整に用いることができる。即ち、判定感度調整手段が、火災検出手段で比較的大きい火災を検出した場合には、本格火災状態である可能性が高いと判断して、火災状態判定手段の判定感度を高い側に調整する、言換えれば、火災状態判定手段で火災生成ガス濃度関連値に対して設定された判定閾値を小さい側に調整して、正確に火災状態を判定することができる。
【0019】
本発明に係る警報装置の第6特徴構成は、上記第1乃至第5特徴構成の何れかに加えて、火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備え、
前記ガスセンサで検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値に応じて前記火災検出手段の火災に対する検出感度を調整する検出感度調整手段を備えた点にある。
【0020】
上記第6特徴構成によれば、ガスセンサの検出結果である火災生成ガス濃度関連値を、検出感度調整手段による火災検出手段の検出感度の調整に用いることができる。即ち、検出感度調整手段が、ガスセンサで検出された火災生成ガス濃度関連値が大きいほど、火災検出手段の誤検出の可能性が低いと判断して、火災検出手段の検出感度を高い側に調整して、正確に火災を検出し火災警報を出力することができる。
【0021】
本発明に係る警報装置の第7特徴構成は、上記第3乃至第6特徴構成の何れかに加えて、前記ガスセンサが、前記火災生成ガスとしての一酸化炭素、水素、アルデヒド類、ケトン類、二酸化炭素、塩化水素及びシアン化水素の少なくとも1つの濃度を検出するセンサである点にある。
【0022】
上記第7特徴構成によれば、火災により生成される火災生成ガスとしては、一酸化炭素、水素、アルデヒド類、ケトン類、二酸化炭素、塩化水素又はシアン化水素があり、それらの火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値は、火災時に常に高いとは限らないが、その火災生成ガス濃度関連値が大きいほど、火災が発生している可能性が高いと判断することができる。
【0023】
本発明に係る警報装置の第8特徴構成は、上記第3乃至第7特徴構成の何れかに加えて、前記警報手段が、前記火災生成ガス濃度関連値に基づいて警報を出力するように構成されている構成されている点にある。
【0024】
上記第8特徴構成によれば、ガスセンサにより、火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出し、その火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値が、例えば予め設定された判定閾値以上となった場合に、警報手段は、火災生成ガス濃度が高くなったことを通知するための警報、又は、火災が発生した可能性が高いことを通知するための警報や火災が発生したことを通知するための初期火災警報等の警報を出力することができる。
【0025】
本発明に係る警報装置の第9特徴構成は、上記第1乃至第8特徴構成の何れかに加えて、火災による煙、熱又は炎を感知する火災センサを備え、
前記火災検出手段が、前記火災センサの出力に関する火災センサ出力関連値が検出閾値以上となる場合を火災として検出するように構成されている点にある。
【0026】
上記第9特徴構成によれば、火災検出手段が、煙センサ、熱センサ又は炎センサ等の火災が発生することで変化する火災センサの出力に関する火災センサ出力関連値が検出感度としての検出閾値以上となる場合を火災として検出するように構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明に係る警報装置の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
警報装置10は、図1に示すように、火災Fを感知して火災警報を出力するものであり、本実施形態では、家庭内のキッチンの側壁4に設置され、コンロ2上の調理物による火災Fを感知する形態の警報装置10について、説明する。
【0028】
警報装置10は、図2に示すように、基本的には、火災を検出する火災検出手段14と、その火災検出手段14で火災を検出したときに火災警報を出力する警報手段15とを備えて構成されている。
【0029】
警報装置10は、火災Fによる煙を感知して、その煙の濃度に関連する出力を発する煙センサ、火災Fによる熱を感知して、その熱量に関連する出力を発する熱センサ、火災Fによる炎が発する赤外線や紫外線等の光を感知して、その光の強度に関連する出力を発する炎センサ等の火災センサ14aを備え、火災検出手段14は、火災が発生することで変化する火災センサ14aの出力、その出力の単位時間当りの増加率、又は、その出力が継続して設定出力以上となる継続時間等の、火災センサ14aの出力に関する火災センサ出力関連値を得て、その火災センサ出力関連値がその火災センサ14aにおいて火災Fを検出するための基準として予め設定された検出閾値以上となる場合を火災として検出するように構成されている。
【0030】
また、火災検出手段14は、その検出閾値を変更することで、火災Fに対する検出感度を変更自在に構成されている。即ち、火災検出手段14において検出閾値を小さくすることで、火災センサ14aの出力変化に対して敏感に火災Fを検出する状態、言換えれば、火災Fに対する検出感度が高い状態となり、逆に、火災検出手段14において検出閾値を大きくすることで、火災センサ14aの出力変化に対して鈍感に火災Fを検出する状態、言換えれば、火災Fに対する検出感度が低い状態となる。
【0031】
また、警報手段15は、火災検出手段14で火災を検出したときに、火災警報を出力するのであるが、その火災警報を出力する形態としては、スピーカなどで警報音を発生する形態や、インターネット等の通信ネットワークを通じてガス供給会社や警備会社等のセンター装置に警報信号を送信する形態や、コンロ2へのガスの供給を遮断する遮断弁に対してガスの供給を遮断させるための遮断信号を発信する形態等や、その他の公知の火災警報の出力形態を採用することができる。
【0032】
更に、この警報装置10には、火災検出手段14の設置空間において火災Fにより生成される火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサ11が設けられている。
【0033】
このガスセンサ11は、火災生成ガスとしての一酸化炭素、水素、アルデヒド類、ケトン類、二酸化炭素、塩化水素及びシアン化水素の少なくとも1つの濃度を検出するセンサであり、例えば、一酸化炭素は火災Fにより不完全燃焼が発生することにより生成され、水素やアルデヒド類、ケトン類は、発火前に発生する成分や火災Fによる中間生成物として生成され、二酸化炭素、塩化水素及びシアン化水素は火災Fによる燃焼生成物として生成されるものであり、更に、通常の調理時や喫煙時においては、その生成量は少ない。
【0034】
よって、ガスセンサ11で検出される火災生成ガスの濃度、その濃度の単位時間当りの増加率、又は、その濃度が継続して設定濃度以上となる継続時間等の、火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値が高い場合には火災Fが発生している可能性が高いと判断でき、逆に、その火災生成ガス濃度関連値が低い場合には火災Fが発生している可能性が低いと判断できる。
【0035】
また、上記のようなガスセンサ11としては、公知の定電位電解型や起電力検出型、酸化還元混合電位検出型、電解質上設置電極反応電流を検出するタイプ等の電気化学式や金属酸化物半導体式や接触燃焼式等の公知のガスセンサを用いることができるので詳細については説明を割愛するが、例えば、一酸化炭素の濃度を検出するガスセンサとしては、金属酸化物半導体として酸化スズ半導体や酸化インジウム半導体等からなる感応部を用いた半導体式のガスセンサや、電解液や固体電解質等の電解質上に設けた電極上で一酸化炭素が反応することにより発生する電流を検出する電気化学式のガスセンサを用いることができ、水素の濃度を検出するガスセンサとしては、金属酸化物半導体として酸化スズ半導体などからなる感応部を用いた半導体式や接触燃焼式のガスセンサ等を用いることができる。
【0036】
更に、火災生成ガス濃度関連値と火災センサ出力関連値に対する火災検出及び火災状態判定の状態を示す図13及び図14も参照して、この警報装置10には、火災センサ14aの出力に関する火災センサ出力関連値が検出閾値以上となって火災検出手段14で火災を検出しているときに、比較的火災が発生している可能性が低い初期火災状態と、初期火災状態よりも火災が発生している可能性が高い本格火災状態とを判定する火災状態判定手段16が設けられている。
【0037】
そして、警報手段15は、火災状態判定手段16が初期火災状態であると判定したときには、例えば使用者に対して火災が検出されたので火元の確認を催促するような初期火災警報を出力し、火災状態判定手段16が本格火災状態であると判定したときには、例えば使用者に対して火災が発生したことを報知するような本格火災警報を出力するように構成されている。
【0038】
更に、火災状態判定手段16は、例えば、消火活動を行う者に対して、火災が沈静化したと勘違いさせることなく、火災に対して十分な対処を促すために、本格火災状態であると判定した以降は、少なくとも火災センサ14aの出力等の火災センサ出力関連値が検出閾値未満となって火災検出手段14で火災が検出されなくなるまで、本格火災状態の判定を維持するように構成されている。
よって、警報手段15は、一旦本格火災警報を出力した以降には、その本格火災警報を継続して出力することになる。
【0039】
更に、この警報装置10には、ガスセンサ11で検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値に応じて火災検出手段14の火災に対する検出感度を調整する検出感度調整手段13が設けられている。
詳しくは、この検出感度調整手段13は、ガスセンサ11で検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値が大きいほど、火災検出手段14の検出感度を高い側に調整する、言換えれば、火災検出手段14の検出閾値を小さい側に調整するように構成されている。
【0040】
即ち、ガスセンサ11で検出した火災生成ガスの濃度が高く、火災Fが発生している可能性が高いと判断できる場合には、検出感度調整手段13は、火災検出手段14の検出感度を高い側に調整することで、所望の検出精度を確保しながら火災を検出することができる。
【0041】
以下、これまで説明してきた警報装置10を実施するための第1実施形態及び第2実施形態について説明する。
【0042】
〔第1実施形態〕
第1実施形態の警報装置10は、火災状態判定手段16が、ガスセンサ11で検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値が、そのガスセンサ11の出力に対して予め設定された判定閾値未満である場合には初期火災状態であると判定し、火災生成ガス濃度関連値がその判定閾値以上である場合には本格火災状態であると判定するように構成されている。
【0043】
更に、この警報装置10には、火災検出手段14の検出結果に応じて火災状態判定手段16の本格火災状態と初期火災状態とに対する判定感度を調整する判定感度調整手段17が設けられている。
詳しくは、この判定感度調整手段17は、火災センサ14aの出力に関する火災センサ出力関連値が大きいほど、火災状態判定手段16の判定感度を高い側に調整する、言換えれば、火災状態判定手段16の判定閾値を小さい側に調整するように構成されている。
【0044】
即ち、火災センサ14aの出力が高く、本格火災状態である可能性が高いと判断できる場合には、判定感度調整手段17は、火災状態判定手段16の判定感度を高い側に調整することで、所望の判定精度を確保しながら本格火災状態を判定することができる。
【0045】
次に、これまで説明した第1実施形態の警報装置10により実施される火災警報処理のフローについて、図3及び図4に基づいて説明を加える。
警報装置10は、詳細については後述するが図4に示すような検出感度調整処理を実行し(ステップ#101)、次に、火災検出手段14により、火災センサ14aの出力aが上記のように調整された検出感度に対応する検出閾値A以上であるか否かを判定することにより、火災Fが発生しているか否かを検出する(ステップ#102)。
【0046】
そして、火災センサ14aの出力aが検出閾値A以上である場合には、詳細については後述するが図5に示すような判定感度調整処理を実行(ステップ#103)した後に、火災状態判定手段16により、ガスセンサ11で検出した火災生成ガスの濃度bが予め設定された判定閾値B以上であるか否かを判定することで、本格火災状態か初期火災状態かを判定する(ステップ#104)。
但し、このステップ#104において、火災状態判定手段16は、本格火災警報を出力していることを認識するための変数iが本格火災警報を出力している状態を示す1である場合には、常に本格火災状態であると判定する。
【0047】
尚、ステップ#102において、火災センサ14aの出力aが検出閾値A未満である場合には、変数iを本格火災警報を出力していない状態を示す0とする(ステップ#105)。
【0048】
ステップ#104において、火災状態判定手段16により、火災生成ガスの濃度bが予め設定された判定閾値B未満であり、且つ、i=1でないと判定した場合、言換えれば初期火災状態と判定した場合には、警報手段15により初期火災警報を出力し(ステップ#106)、火災生成ガスの濃度bが予め設定された判定閾値B以上である、又は、i=1であると判定した場合、言換えれば本格火災状態であると判定した場合には、警報手段15により本格火災警報を出力する(ステップ#107)。
【0049】
また、本格火災警報を出力した場合には、変数iを本格火災警報を出力している状態を示す1とする(ステップ#108)。
よって、ステップ#104において、火災状態判定手段16が本格火災状態であると判定しiを1とした以降は、少なくともステップ#102において火災センサ14aの出力aが検出閾値A未満と判定して火災検出手段14で火災が検出されなくなるまでは、本格火災状態の判定を維持することになる。
【0050】
次に、ステップ#102で実行する検出感度調整処理について、図4に基づいて説明する。
検出感度調整処理においては、先ず、検出感度調整手段13により、ガスセンサ11aで検出した火災生成ガスの濃度bが予め設定された判定閾値B’以上であるか否かを判定する(ステップ#201)。尚、この判定閾値B’は、前述したステップ#104における火災状態判定手段16による初期火災状態と本格火災状態との判定の基準となる判定閾値Bと同じ値又は別の値に設定することができる。
【0051】
そして、火災生成ガスの濃度bが予め設定された判定閾値B’以上である場合には、火災検出手段14の検出閾値Aを小さめの値A1に設定することで(ステップ#202)、火災検出手段14の検出感度を高めに調整し、逆に、火災生成ガスの濃度bが予め設定された判定閾値B’未満である場合には、火災検出手段14の検出閾値Aを大きめの値A2(即ち、A1<A2)に設定して(ステップ#203)、火災検出手段14の検出感度を低めに調整する。
【0052】
また、ステップ#201において、火災生成ガスの濃度bが、所定の判定閾値B’と同じ値又は別の値として設定された判定閾値以上であるか否かを判定し、その火災生成ガスの濃度bがその判定閾値以上であった場合に、警報手段15が、設置空間において火災生成ガスの濃度bが比較的高くなっていることを通知するための警報、又は、火災が発生したことを通知するための初期火災警報等の警報を出力するように構成しても構わない。
【0053】
次に、ステップ#103で実行する判定感度調整処理について、図5に基づいて説明する。
判定感度調整処理においては、先ず、判定感度調整手段17により、火災センサ14aの出力aが予め設定された設定閾値A’以上であるか否かを判定する(ステップ#301)。尚、この設定閾値A’は、前述したステップ#102における火災検出手段14による火災の検出の基準となる検出閾値Aよりも大きい値に設定される。
【0054】
そして、火災センサ14aの出力aが予め設定された設定閾値A’以上である場合には、火災状態判定手段16の判定閾値Bを小さめの値B1に設定することで(ステップ#302)、火災状態判定手段16の判定感度を高めに調整し、逆に、火災センサ14aの出力aが予め設定された設定閾値A’未満である場合には、火災状態判定手段16の判定閾値Bを大きめの値B2(即ち、B1<B2)に設定して(ステップ#303)、火災状態判定手段16の判定感度を低めに調整する。
【0055】
尚、ステップ#104やステップ#201の判定処理で用いた火災生成ガスの濃度bの代わりに、その濃度bの単位時間当りの増加率、又は、その濃度bが継続して設定濃度以上となる継続時間等の、他の火災生成ガス濃度関連値を利用しても構わない。
尚、ステップ#102やステップ#301の判定処理で用いた火災センサ11aの出力aの代わりに、その出力aの単位時間当りの増加率、又は、その出力aが継続して設定出力以上となる継続時間等の、他の火災センサ出力関連値を利用しても構わない。
【0056】
〔実施例〕
次に、実際の火災の発生を想定して、上述した第1実施形態の警報装置の火災警報の出力形態(実施例)と、従来の火災警報装置の火災警報の出力形態(比較例)とについて説明する。
ここで、比較例としての従来の火災警報装置としては、実施例としての上述した実施形態の警報装置と同様のガスセンサと火災センサを用いた火災検出手段とを設け、ガスセンサで検出したガス濃度が判定閾値未満のときに火災検出手段で火災を検出した場合には、初期火災警報を出力し、一方、ガスセンサの出力が判定閾値以上となり、且つ火災検出手段で火災を検出した場合には、本格火災警報を出力するように構成された火災警報装置を用いる。即ち、この比較例の火災警報装置は、実施例の警報装置とは異なり、本格火災警報を出力した以降でも、ガスセンサで検出したガス濃度が判定閾値未満となれば、本格火災警報を維持することなく、初期火災警報を出力するように構成されている。
また、ガスセンサとしては、一酸化炭素(CO)の濃度を検出する一酸化炭素センサを用いる。
【0057】
先ず、図6及び図7に示すように、火災が発生してから鎮火するまでにおいて、火災センサの出力が検出閾値以上となって火災検出手段で火災が検出されている間において、火災発生直後と鎮火直前において不完全燃焼等の理由でガスセンサで検出された一酸化炭素の濃度が一時的に判定閾値以上となる場合を想定する。
【0058】
この場合、実施例の警報装置では、図6に示すように、火災検出手段で火災が検出されてから、ガスセンサで検出される一酸化炭素濃度が判定閾値以上となるまでは、初期火災警報を出力しているが、ガスセンサで検出される一酸化炭素濃度が一旦判定閾値以上となれば、一酸化炭素濃度が一時的に判定閾値未満となっても、本格火災警報を継続して出力することになる。
【0059】
一方、比較例の火災警報装置では、図7に示すように、燃焼の進行に伴い不完全燃焼から完全燃焼に移行することにより一酸化炭素濃度が設定閾未満となっている間は、初期火災警報を出力することから、使用者は、本格火災警報が初期火災警報に変化することで、火災が収まったと誤解してしまう恐れがある。
【0060】
次に、図8及び図9に示すように、調理や喫煙などにより、火災センサの出力が上昇し、一方、ガスセンサで検出された一酸化炭素濃度が判定閾値以下に維持されている場合を想定する。
この場合、実施例の警報装置では、図8に示すように、ガスセンサで検出された一酸化炭素濃度が判定閾値未満であることから、火災検出手段の検出閾値が高く(検出感度が低く)調整されているので、火災センサの出力がその検出閾値以上となることが抑制されて、誤って初期火災警報が出力されることが抑制される。
一方、比較例の火災警報装置では、図9に示すように、火災検出手段の検出閾値が実施例よりも低く(検出感度が高く)設定されているので、火災センサの出力がその検出閾値以上となり、誤って初期火災警報が出力されてしまう場合がある。
【0061】
次に、図10及び図11に示すように、火災が発生したが火災センサの出力の上昇が比較的小規模であり、一方、ガスセンサで検出された一酸化炭素濃度が判定閾値以上となる場合を想定する。
この場合、実施例の警報装置では、図10に示すように、ガスセンサで検出された一酸化炭素濃度が判定閾値以上となった時点で初期火災警報が出力されると共に、火災検出手段の検出閾値が低く(検出感度が高く)調整されるので、火災センサの出力が比較的小規模でもその検出閾値以上となり、初期火災警報に続いて本格火災警報を出力することができる。
一方、比較例の火災警報装置では、図11に示すように、火災検出手段の検出閾値が実施例よりも高く(検出感度が低く)設定されているので、火災センサの出力が比較的小規模であることから、その出力が検出閾値未満となるので、本格火災警報はもちろんのこと、初期火災警報も出力することができない。
【0062】
以上の結果から、実施例の警報装置は、比較例の火災警報装置よりも、誤解を招くことがなく火災に対して十分な対処を促すことができる火災警報を出力することができるといえる。
【0063】
〔第2実施形態〕
第2実施形態の警報装置10は、上述した第1実施形態と同様の構成については説明を割愛するが、火災状態判定手段16が、火災センサ14aの出力に関する火災センサ出力関連値が、その火災センサ出力関連値に対して予め設定された判定閾値未満である場合には初期火災状態であると判定し、火災センサ出力関連値がその判定閾値以上である場合には本格火災状態であると判定するように構成されている。
【0064】
また、このように上記火災状態判定手段16が火災センサ出力関連値を用いて本格火災状態と初期火災状態とを判定する場合においては、火災検出手段14の検出結果ではなく、ガスセンサ11で検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値に応じて火災状態判定手段16の本格火災状態と初期火災状態とに対する判定感度を調整する判定感度調整手段17を設けることができる。
【0065】
詳しくは、この判定感度調整手段17は、上記火災生成ガス濃度関連値が大きいほど、火災状態判定手段16の判定感度を高い側に調整する、言換えれば、火災状態判定手段16の判定閾値を小さい側に調整するように構成される。
【0066】
即ち、火災生成ガス濃度が高く、本格火災状態である可能性が高いと判断できる場合には、判定感度調整手段17は、火災状態判定手段16の判定感度を高い側に調整することで、所望の判定精度を確保しながら本格火災状態を判定することができる。
【0067】
また、ガスセンサ11の検出結果に応じて火災検出手段14の火災に対する検出感度を調整する検出感度調整手段13は、図14にも示すように、火災生成ガス濃度関連値が所定の設定閾値未満である場合には、火災検出手段14の検出閾値を、上記火災状態判定手段16の本格火災状態に対する判定閾値と同じ値とし、火災生成ガス濃度関連値が所定の設定閾値以上である場合には、火災検出手段14の検出閾値を、上記火災状態判定手段16の本格火災状態に対する判定閾値よりも小さい値とするように構成することができる。
【0068】
即ち、火災生成ガス濃度関連値が設定閾値未満である場合において、火災センサ出力関連値が比較的高めの検出閾値及びそれと同値の判定閾値以上となった場合には、火災検出手段14により火災が検出され、同時に、火災状態判定手段16により自動的に本格火災状態であると判定されることになる。
【0069】
次に、これまで説明した第2実施形態の警報装置10により実施される火災警報処理のフローについて、図12に基づいて説明を加える。
警報装置10は、第1実施形態と同様の検出感度調整処理を適宜実行し(ステップ#201)、次に、火災検出手段14により、火災センサ14aの出力aが上記のように調整された検出感度に対応する検出閾値A以上であるか否かを判定することにより、火災Fが発生しているか否かを検出する(ステップ#202)。
【0070】
そして、火災センサ14aの出力aが検出閾値A以上である場合には、第1実施形態と同様の検出感度調整処理を適宜実行(ステップ#203)した後に、火災状態判定手段16により、火災センサ14aの出力aが上記検出閾値Aの最大値以上に設定された判定閾値A”以上であるか否かを判定することで、本格火災状態か初期火災状態かを判定する(ステップ#204)。
但し、このステップ#204において、火災状態判定手段16は、本格火災警報を出力していることを認識するための変数iが本格火災警報を出力している状態を示す1である場合には、常に本格火災状態であると判定する。
【0071】
尚、ステップ#202において、火災センサ14aの出力aが検出閾値A未満である場合には、変数iを本格火災警報を出力していない状態を示す0とする(ステップ#205)。
【0072】
ステップ#204において、火災状態判定手段16により、火災センサ14aの出力aが判定閾値A”未満であり、且つ、i=1でないと判定した場合、言換えれば初期火災状態と判定した場合には、警報手段15により初期火災警報を出力し(ステップ#206)、火災センサ14aの出力aが判定閾値A”以上である、又は、i=1であると判定した場合、言換えれば本格火災状態であると判定した場合には、警報手段15により本格火災警報を出力する(ステップ#207)。
【0073】
また、本格火災警報を出力した場合には、変数iを本格火災警報を出力している状態を示す1とする(ステップ#208)。
よって、ステップ#204において、火災状態判定手段16が本格火災状態であると判定しiを1とした以降は、少なくともステップ#102において火災センサaの出力が検出閾値A未満と判定して火災検出手段14で火災が検出されなくなるまでは、本格火災状態の判定を維持することになる。
【0074】
〔別実施形態〕
(1)上記実施の形態では、火災検出手段14を、例えば煙、熱又は炎を感知する火災センサ14aを用いて火災として検出するように構成したが、別の形態で火災を検出するように構成しても構わない。
例えば、火災検出手段14を、ガスセンサ11で検出される火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値が、火災状態判定手段16による火災状態の判定のための判定閾値とは別の検出閾値以上となったことを火災として検出するように構成することができる。また、ガスセンサ11の検出対象とは異なる火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備え、火災検出手段14を、そのガスセンサで検出される火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値がそのガスセンサの出力に対して予め設定された検出閾値以上となったことを火災として検出するように構成することもできる。
【0075】
(2)上記実施の形態では、検出感度調整処理を実行するための検出感度調整手段13や、判定感度調整処理を実行するための判定感度調整手段17を設けたが、これらを省略しても構わない。
【0076】
(3)上記実施の形態では、環境状態検出手段11や火災検出手段14の検出結果に応じて、火災検出手段14の検出感度や火災状態判定手段16の判定感度を二段階で調整する構成を示したが、これら検出感度や判定感度は、二段階以上の複数段階で調整したり、無段階で調整しても構わない。また、これら検出感度や判定感度を、環境状態検出手段11や火災検出手段14の検出結果を所定の関数やデータテーブルに基づいて連続的に変化させることで、より細かな調整を行うことができる。即ち、このような警報装置は、ガスセンサの検出結果と火災検出手段の検出感度とを関連付けた関数又はテーブルや、火災検出手段の検出結果と火災状態判定手段の判定感度とを関連付けた関数又はテーブルを予め有し、ガスセンサの検出結果から上記関数又はデータテーブルに基づいて火災検出手段の検出感度を決定したり、火災検出手段の検出結果から上記関数又はテーブルに基づいて火災状態判定手段の判定感度を決定するように構成される。
【0077】
以下、関数又はデータテーブルを用いて火災検出手段の検出感度や火災状態判定手段の判定感度を調整する警報装置の例について、説明を加える。
尚、ここで説明する警報装置は、上記実施形態及び図2で説明した警報装置10と同様に、火災を検出する火災検出手段14を、火災センサ14aの出力に関する火災センサ出力関連値が予め設定された検出閾値以上となる場合を火災として検出するように構成し、火災状態判定手段16を、火災検出手段14で火災が検出されているときに、火災センサ14aの火災センサ出力関連値やガスセンサ11の火災生成ガス濃度関連値により初期火災状態と本格火災状態とを判定すると共に、本格火災状態であると判定した以降は、少なくとも火災検出手段14で火災が検出されなくなるまで、本格火災状態の判定を維持するように構成した警報装置10とする。
【0078】
この警報装置は、図13又は図14に示すように、火災生成ガス濃度関連値が高くなるほど、火災検出手段の検出感度が連続的に高くなる、即ち、火災検出手段の火災センサ出力関連値に対する検出閾値が連続的又は段階的に低くなるように定義され、火災生成ガス濃度関連値と火災検出手段の検出感度としての検出閾値とを関連付けた関数又はデータテーブルを有する。
そして、このように構成した警報装置により、火災センサを用いて取得した火災センサ出力関連値と、ガスセンサを用いて取得した火災生成ガス濃度関連値とを、上記関数又はテータテーブルに当てはめて、火災を検出することができる。
【0079】
更に、この警報装置は、図13に示すように、火災センサ出力関連値が高くなるほど、火災状態判定手段の判定感度が連続的に高くなる、即ち、火災判定手段の火災生成ガス濃度に対する判定閾値が連続的に低くなるように定義され、火災センサ出力関連値と火災状態判定手段の判定感度としての判定閾値とを関連付けた関数又はデータテーブルを有する。
そして、このように構成した警報装置により、火災センサを用いて取得した火災センサ出力関連値と、ガスセンサを用いて取得した火災生成ガス濃度関連値とを、上記関数又はテータテーブルに当てはめて、初期火災状態と本格火災状態とを判定することができる。
【0080】
そして、このように構成された警報手段15においても、警報手段は、一旦本格火災警報を出力した以降には、少なくとも火災が検出されなくなるまで、初期火災警報を出力することを禁止して、その本格火災警報を継続して出力する。
また、警報手段15は、上記関数又はデータテーブルとは別に、火災生成ガス濃度関連値が設定閾値以上となった場合に、火災生成ガスの濃度が比較的高くなっていることを通知するための火災生成ガス警報を出力することができる。
【0081】
尚、上記図13及び図14に示すように、火災生成ガス濃度関連値と火災センサ出力関連値とに関連付けて、本格火災警報、初期火災警報、火災生成ガス警報、無警報等の領域を定義したデータマップを予め有しておき、火災センサを用いて取得した火災センサ出力関連値と、ガスセンサを用いて取得した火災生成ガス濃度関連値とが示す座標が、そのデータマップのどの領域にあるかにより、本格火災警報、初期火災警報、火災生成ガス警報、無警報等を判定しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】警報装置の設置状態を示す図
【図2】警報装置の概略構成図
【図3】第1実施形態の警報装置による火災警報処理フローを示す図
【図4】検出感度調整処理フローを示す図
【図5】判定感度調整処理フローを示す図
【図6】実施例の警報装置の火災警報の出力形態を示す図
【図7】比較例の火災警報装置の火災警報の出力形態を示す図
【図8】実施例の警報装置の火災警報の出力形態を示す図
【図9】比較例の火災警報装置の火災警報の出力形態を示す図
【図10】実施例の警報装置の火災警報の出力形態を示す図
【図11】比較例の火災警報装置の火災警報の出力形態を示す図
【図12】第2実施形態の警報装置による火災警報処理フローを示す図
【図13】火災生成ガス濃度関連値と火災センサ出力関連値に対する火災検出及び火災状態判定の状態を示す説明図
【図14】火災生成ガス濃度関連値と火災センサ出力関連値に対する火災検出及び火災状態判定の状態を示す説明図
【符号の説明】
【0083】
10:警報装置
11:ガスセンサ
11b:不在状態検出手段
13:検出感度調整手段
14:火災検出手段
14a:火災センサ
14b:水素センサ
15:警報手段
16:火災状態判定手段
17:判定感度調整手段
F:火災
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災を検出する火災検出手段と、
前記火災検出手段で火災を検出しているときに、初期火災状態と前記初期火災状態よりも火災が発生している可能性が高い本格火災状態とを判定する火災状態判定手段と、
前記火災状態判定手段で初期火災状態であると判定したときに初期火災警報を出力し、前記火災状態判定手段で本格火災状態であると判定したときに本格火災警報を出力する警報手段とを備えた警報装置であって、
前記火災状態判定手段が、前記本格火災状態であると判定した以降は、少なくとも前記火災検出手段で火災が検出されなくなるまで、前記本格火災状態の判定を維持するように構成されている警報装置。
【請求項2】
火災による煙、熱又は炎を感知する火災センサを備え、
前記火災状態判定手段が、前記火災センサの出力に関する火災センサ出力関連値が判定閾値未満である場合には前記初期火災状態であると判定し、前記火災センサ出力関連値が同判定閾値以上である場合には前記本格火災状態であると判定する請求項1に記載の警報装置。
【請求項3】
火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備え、
前記ガスセンサで検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値に応じて前記火災状態判定手段の前記本格火災状態と前記初期火災状態とに対する判定感度を調整する判定感度調整手段を備えた請求項2に記載の警報装置。
【請求項4】
火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備え、
前記火災状態判定手段が、前記ガスセンサで検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値が判定閾値未満である場合には前記初期火災状態であると判定し、前記火災生成ガス濃度関連値が判定閾値以上である場合には前記本格火災状態であると判定する請求項1から3の何れか一項に記載の警報装置。
【請求項5】
前記火災検出手段の検出結果に応じて前記火災状態判定手段の前記本格火災状態と前記初期火災状態とに対する判定感度を調整する判定感度調整手段を備えた請求項4に記載の警報装置。
【請求項6】
火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備え、
前記ガスセンサで検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値に応じて前記火災検出手段の火災に対する検出感度を調整する検出感度調整手段を備えた請求項1から5の何れか一項に記載の警報装置。
【請求項7】
前記ガスセンサが、前記火災生成ガスとしての一酸化炭素、水素、アルデヒド類、ケトン類、二酸化炭素、塩化水素及びシアン化水素の少なくとも1つの濃度を検出するセンサである請求項3から6の何れか一項に記載の警報装置。
【請求項8】
前記警報手段が、前記火災生成ガス濃度関連値に基づいて警報を出力するように構成されている請求項3から7の何れか一項に記載の警報装置。
【請求項9】
火災による煙、熱又は炎を感知する火災センサを備え、
前記火災検出手段が、前記火災センサの出力に関する火災センサ出力関連値が検出閾値以上となる場合を火災として検出するように構成されている請求項1から8の何れか一項に記載の警報装置。
【請求項1】
火災を検出する火災検出手段と、
前記火災検出手段で火災を検出しているときに、初期火災状態と前記初期火災状態よりも火災が発生している可能性が高い本格火災状態とを判定する火災状態判定手段と、
前記火災状態判定手段で初期火災状態であると判定したときに初期火災警報を出力し、前記火災状態判定手段で本格火災状態であると判定したときに本格火災警報を出力する警報手段とを備えた警報装置であって、
前記火災状態判定手段が、前記本格火災状態であると判定した以降は、少なくとも前記火災検出手段で火災が検出されなくなるまで、前記本格火災状態の判定を維持するように構成されている警報装置。
【請求項2】
火災による煙、熱又は炎を感知する火災センサを備え、
前記火災状態判定手段が、前記火災センサの出力に関する火災センサ出力関連値が判定閾値未満である場合には前記初期火災状態であると判定し、前記火災センサ出力関連値が同判定閾値以上である場合には前記本格火災状態であると判定する請求項1に記載の警報装置。
【請求項3】
火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備え、
前記ガスセンサで検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値に応じて前記火災状態判定手段の前記本格火災状態と前記初期火災状態とに対する判定感度を調整する判定感度調整手段を備えた請求項2に記載の警報装置。
【請求項4】
火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備え、
前記火災状態判定手段が、前記ガスセンサで検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値が判定閾値未満である場合には前記初期火災状態であると判定し、前記火災生成ガス濃度関連値が判定閾値以上である場合には前記本格火災状態であると判定する請求項1から3の何れか一項に記載の警報装置。
【請求項5】
前記火災検出手段の検出結果に応じて前記火災状態判定手段の前記本格火災状態と前記初期火災状態とに対する判定感度を調整する判定感度調整手段を備えた請求項4に記載の警報装置。
【請求項6】
火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備え、
前記ガスセンサで検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値に応じて前記火災検出手段の火災に対する検出感度を調整する検出感度調整手段を備えた請求項1から5の何れか一項に記載の警報装置。
【請求項7】
前記ガスセンサが、前記火災生成ガスとしての一酸化炭素、水素、アルデヒド類、ケトン類、二酸化炭素、塩化水素及びシアン化水素の少なくとも1つの濃度を検出するセンサである請求項3から6の何れか一項に記載の警報装置。
【請求項8】
前記警報手段が、前記火災生成ガス濃度関連値に基づいて警報を出力するように構成されている請求項3から7の何れか一項に記載の警報装置。
【請求項9】
火災による煙、熱又は炎を感知する火災センサを備え、
前記火災検出手段が、前記火災センサの出力に関する火災センサ出力関連値が検出閾値以上となる場合を火災として検出するように構成されている請求項1から8の何れか一項に記載の警報装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−92508(P2006−92508A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−351876(P2004−351876)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]