説明

豆腐のパック詰め装置

【課題】多数個の豆腐群を損傷させずに高加速度でパック詰めする豆腐のパック詰め装置を提供する。
【解決手段】コンベヤベルト30上の豆腐群B1,B2を包装パック搬送装置20上の所定位置に移動させて包装パックP…内に自由落下させるパック詰め動作において、コンベヤベルト30上の豆腐群B1,B2を同期的に駆動する把持駆動機構(1対の把持プレート1B,1Dからなる)によって挟み込み、挟み込んだ豆腐群B1,B2を把持プレート1B,1Dを介して包装パック搬送装置20によって供給された包装パックP…上の所定位置に水平移動させて位置決めする。1対の把持プレート1B,1Dによって豆腐群B1,B2の変形及び崩壊を防止できるので、1対の把持プレート1B,1Dを多数個の豆腐群を一斉に把持して、包装パック群P1,P2に一斉に落下収納することによって豆腐のパック詰め工程の所要時間を短縮できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豆腐の自動製造ラインにおいて、所定のサイズに切断された豆腐群を販売形態の包装パックにパック詰めする工程を分担する豆腐のパック詰め装置に関し、特に豆腐のパック詰めを陸上で実施する豆腐のパック詰め装置に関する。
する。
【背景技術】
【0002】
大豆を素材とする豆腐の自動製造ラインは、素材からパック包装された販売形態の豆腐製品に至るまでの多様な工程を分担処理する多種類の装置を、搬送ラインを介して機能的に連結してなる巨大プロセス装置である。豆腐の自動製造ラインに対する基本的要求は、高品質の製品を高能率で大量生産することである。したがって、豆腐の自動製造ライン各部における個々的な改良の積み重ねは、全てこの方向に向けられている。
【0003】
従来、豆腐の自動製造ラインを高能率化する手段として装置の大型化が進展する傾向にあった。しかし、装置の大型化は、大型化によるスケールメリットのみではなく、設備資本、設置工場敷地や建屋の巨大化、ランニングコストの巨大化、多品種小量需要への対応困難等のデメリットをも伴うことから、今日では、装置の質的改善、効率の改善の方向に焦点が移行してきている。
【0004】
豆腐の自動製造ラインにおいては、処理内容が異なる多種類の工程を分担する装置が直列的に連結されている。また、連結された個々の装置が担当する処理内容は多岐に及び、処理難度が異なる工程が混在している。処理難度の低い工程は、高速化が容易であるとともに製品欠陥の発生率も低い。他方、処理難度の高い工程は、容易には高速化することが困難であって、製品欠陥の発生率も大きい。この結果、豆腐の自動製造ラインの運転速度は、自動製造ラインを構成する多種類の装置のうちの難度の高い作業を分担する装置によって事実上の運転速度や歩留まりが決定されている。そこで、豆腐の自動製造ラインを安定的に高速化するには、難度の高い作業を分担している装置に着目して集中的に改善策を講ずることが求められる。
【0005】
豆腐の自動製造ラインにおいて、処理難度の高い作業のひとつに、豆腐のパック詰め作業がある。
豆腐群をパック詰めする方法としては、従来、陸上空間で実施する方法(「陸詰め」)と、水中で実施する方法とがある。パック詰め作業を空間で実施する、いわゆる「陸詰め」(丘詰めとも呼ばれる。)の方法は、豆腐群を搬送する搬送コンベヤと包装パック群を供給するパックコンベヤを直交方向に組み合せ、豆腐群を搬送コンベヤの終端から各社独自の装置(例えば送りブレード板)によってシャッタ板へ移動させて、ストッパーブレードに押し当ててパックコンベヤ上の包装パック群上に位置決めした後、シャッタ板を退避させて位置決めした豆腐群を包装パックに落下させる(特許文献1参照)。また豆腐群を傾斜したシュート板上で送りブレードで送り、そのまま斜めに落下させて、同調動作する包装パック群に収納する(特許文献3参照)。
【0006】
一方、豆腐群を水中でパック詰めする方法は、伝統的な手作業に準じた丁寧な方法であり、豆腐を傷めないように、また精度良く切断し正確に包装パックに収納する方法である。また豆腐群に浮力を作用させて取扱い上の豆腐群の重量を減殺しながら扱うことができるという利点に着目して採用される方法であり、パックコンベヤを水槽内に導入し、水中で切断した豆腐群を供給されるパックの搬送間隔相当に分配し、分配した個々の豆腐群を独自の工夫を凝らした位置決め装置によって一旦位置決めしたのち豆腐群を開放し、この豆腐群を包装パック群によってすくい取るようにしてパックに収納して水槽外部に送り出す(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3343134号公報
【特許文献2】特公平7-95927号公報
【特許文献3】特開2007−006759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、豆腐類の量産が可能な自動連続製造ラインにおいて、豆腐の自動製造ラインの律速工程であるパック詰め工程では陸詰め法が効率がよいことは特許文献1や特許文献3の通りである。しかし、所定のサイズに切断された豆腐群を販売形態の包装パック群に陸上でパック詰めする工程において、豆腐を損傷させずに、ロスを無くして、処理能力を高めることが重要である。特に出来立ての軟らかい豆腐を搬送ラインから包装パック搬送ラインに受け渡す際に多少の段差や隙間がある場合でも、豆腐群を損傷させないで移動させて、包装パック群に正確に収納する必要がある。
また、豆腐群を包装パック群に落とし込んで収納するに際には、収納前に先ず一時的に包装パック群の上方に正確に位置決めする必要がある。
【0009】
また、豆腐群及び豆腐群を扱う全ての部材の作動が水中である水中パック方式では、水の抵抗や生じる乱流の影響を受けることになるため、また満水の包装パックに豆腐を自重で底まで沈ませて収納するか、豆腐を壊さないように押し込んで収納する場合でも、水の抵抗によって収納に時間がかかるため、パック詰め工程の処理能力に限界があり、豆腐の自動製造ラインを高速化することは難しい。水の抵抗という課題解決の対策を講じているところであるが(特許文献2参照)、豆腐の自動製造ラインを高速化するという課題に対して根本的解決は困難である。
一方、豆腐群を「陸詰め」する方法については(特許文献1参照)、水の抵抗を受けることがないので、高速化を図ることができる。その更なる改善策としては、豆腐群搬送ライン上の豆腐群を包装パック搬送ライン上の包装パック群に収納するまでの所要時間とパッキング精度が非常に重要である。すなわち、豆腐の自動製造ライン全体のライン速度を制限している豆腐群のパック詰め工程の所要時間を短縮すると同時に、陸上で豆腐群を壊さないで包装パック群に正確に位置決めして収納するための機械開発や技術向上が求められている。
【0010】
「陸詰め」方式を採用する従来のパック詰め装置においては(特許文献1参照)、具体的に、包装パック群を供給するパックコンベヤの上方に、豆腐群を搬送する搬送ラインコンベヤのコンベヤベルトを延長する態様でスライドテーブルが設置されており、スライドテーブルの上には、豆腐群を位置決めするストッパが配置されている。また、搬送ラインコンベヤ上には、供給コンベヤのコンベヤベルト面に沿って水平動する送りブレードが設置されている。コンベヤベルト上の豆腐群は、1行単位で送りブレードによって上流側から下流側に向けて押しやられ、その1行分の豆腐群はコンベヤベルト上を滑走してスライドテーブル上に至り、ストッパに衝突して停止する。豆腐群はこの時点で送りブレードとストッパによって前後方向から一時的に挟み込まれた状態となる。この後、豆腐群を下方から支持している状態のスライドテーブルが下流方向に引き抜かれるように退避動作をし、豆腐群はスライドテーブル下方に予め位置決めされた包装パック群内に落下する。なお、パックコンベヤ全体は、昇降機構によって上下動自在の構成とされ、豆腐群が落下する時点において上昇動作をすることにより、豆腐群の落下距離を短縮するように工夫されている。
【0011】
上記従来のパック詰め装置は、スライドテーブルの退避動作タイミングをとることが非常に難しい上に、また送りブレードで押し送りする際に既に微妙に位置ズレを起こしやすく正確な位置決めができないため、包装パックへの収納が安定しなかった。また、送りブレードのみで柔らかい豆腐を早く送り出そうとすると、豆腐を損傷させてしまうので、ゆっくりした送り出ししかすることはできなかった。そのため、豆腐群の1行単位での収納処理にしか適用できず、生産能力は精々時間あたり2000〜3000丁が限界であった。なお上記のように豆腐群が送りブレードとストッパによって前後方向から挟み込まれた状態となり、豆腐群の位置決めを行う旨の記載(段落0026)があるが、その挟み込みは一時的であり、送りブレードはスライドテーブルの退避を待たずに、直ちに上流側に戻り、次の送り動作を行うものである。また、ストッパは固定で、豆腐を送るのは送りブレードのみであり、豆腐群を1行単位で処理する形態しか記載がなく、処理能力を最大に高めるものとは言えなかった。
また、特許文献3のように時間あたり3,000〜4,000丁の処理能力に高める形態でも、同様に送り板1枚のみで押し送りする際に既に微妙に位置ズレを起こしやすく正確な位置決めができず、包装パックへの収納の精度が十分ではなかった。
ところで、豆腐の自動製造ラインを高速化するという課題に対して次のような阻害要因を有する。即ち、パック詰め工程を高速化するためには、供給コンベヤ上の豆腐群をスライドテーブルの所定位置に位置決めするまでの所要時間を短縮しなければならない。豆腐群の種類(木綿豆腐、絹ごし豆腐や、柔らかなプリン状豆腐等)によっては、この要求に応じて送りブレードを高速化した場合、豆腐群が崩壊してしまうという問題を発生する。送りブレードに押された豆腐群は、コンベヤベルトに擦れている豆腐群の底面には前方から後方に力がかかり、逆に、豆腐群の上側は押された格好で前方に力がかかり、歪んで変形する。つまり、側面視において当初長方形を呈していた豆腐群が送りブレードの送り動作によって、略菱形に変形する。このような変形によって緊張を内包した状態の豆腐群は、コンベヤベルトの僅かな凹凸部分や、スライドテーブルへ乗り継ぐ箇所で僅かな段差や間隙を通過する際に、進行側の下端角部が脱落して豆腐群の裏面が削られるように損傷する結果となる。豆腐群は、含水物であり、コンベヤベルトの表面には常時適度な水膜が存在し、この水膜は、通常豆腐群に対して潤滑剤として機能するが、この水膜は、外力が加わることによって豆腐群の裏面の面圧分布が一定以上に偏頗することとなった場合、潤滑機能を失い、逆に表面張力による吸着力に変わる。
【0012】
従来装置のパックコンベヤ上には、供給コンベヤのコンベヤベルトを延長するような位置関係でパックコンベヤ上を覆うスライドテーブルが準備されており、押しやられた豆腐群はスライドテーブルの上部に配設する態様のストッパによって一旦位置決めした後、スライドテーブルを引き抜くことによって包装パックに落下させるようになっている。しかしながら、原料大豆の変動等によって豆腐の弾力やキメ細かさが微妙に変化する場合、スライドテーブルを引き抜く機構のみに頼る方法では、引き抜き速度やタイミングよっては、スライド板との摩擦力による変形が異なるため、微妙に位置ズレしたり、斜めに落下して、包装パックへの収納が安定しにくい傾向がある。
【0013】
この動作においては、自由落下する豆腐群を包装パック内に正確に収納させる必要上、水平方向の位置決めは重要である。しかし、上下方向の位置決めについては、いずれ豆腐群は包装パックに落下するから厳格に位置決めする必要性に乏しい。したがって、このようなスライドテーブルが必ずしも必要であるのか、あるいは、スライドテーブルが必須でないのであれば、スライドテーブルが必要とされない条件はどのような条件であるのかということが検討されなければならない。このスライドテーブルを排除することができれば、少なくともスライドテーブルの作動所要時間相当は豆腐のパック詰め工程を高速化することができ、上述したスライドテーブルの退避動作タイミングの問題も解消できる。
【0014】
また、上記特許文献1のパック詰め装置では、豆腐群を包装パックに落下させる際において、パックコンベヤ全体を一時的に上昇させることによって、豆腐群の落下距離を短縮するようにしている。豆腐群を損傷させないことを狙いとするが、重量物であるパックコンベヤ全体を安全に上下動するために、相当の時間ロスを伴うことが避けられず、このことは高速動作にも影響する。また、送りブレードとストッパによって挟むために、挟み込み力が小さいがゆえに、パックコンベヤ全体を一時的に上昇させるが、仮に挟み込んだままの状態が少しでも長く維持されれば、パックコンベヤ全体を一時的に上昇させる必要はない。
また上記特許文献3では、スライドテーブルやシャッタ板は用いない陸詰め形態で、短時間での収納が可能である。しかし傾斜したシュート板上で豆腐群を送りブレードで送る際に、シュート板上での豆腐品質(弾力や肌)が少し変動して滑り具合が均等でない場合に、包装パックへの落下収納のタイミングが不均等になり、微妙な位置ズレを起こしやすかった。また包装パック供給ではコンベヤ上で同調動作させて、包装パックが多少遊動する形態であったので、落下収納時の衝撃を吸収しやすいが、包装パック群を高速で、かつ正確に安定して位置決めすることが難しかった。そのため、ある程度、処理能力を下げて、包装パック詰め工程時間を長めにする必要があった。
【0015】
そこで本発明の目的は、従来のスライドテーブルや滑りシュートを使用しないか、使用したとしても一層正確に包装パックに収納することで、搬送コンベヤにより搬送される多数個の豆腐群を損傷させずにパック詰めする陸上での豆腐のパック詰め装置を提供することにある。また、本発明の目的は、搬送コンベヤ上の幅方向に整列された複数行の豆腐群をできるだけ多く一斉に把持して、包装パック群に一斉に収納することでパック詰めの処理能力を飛躍的に高めることができる豆腐のパック詰め装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の発明の豆腐のパック詰め装置は、 陸上でのパック詰めであって、多数個の豆腐群を販売形態の個々のパックにパック詰めをする豆腐のパック詰め装置において、所定のサイズに切断され所定間隔で整列された多数個の豆腐群を搬送する搬送コンベヤと、該搬送コンベヤの下流端位置に包装パック群を搬送する包装パック搬送装置と、開閉駆動する1対の把持プレートを備える把持駆動機構とを備え、前記1対の把持プレートを備える把持駆動機構によって該搬送コンベヤ上の該豆腐群を把持して前記包装パック搬送装置によって所定位置に搬送された該包装パック群上の所定位置に移動させて、前記1対の把持プレートの把持を開放することによって該豆腐群を該包装パック群に落下収納させるか、又は、該1対の把持プレートによる把持状態を少なくとも維持しながら該豆腐群を該包装パック群に落下収納させることを特徴とする。
陸上でのパック詰め、いわゆる陸詰めと呼ばれ、多数個の豆腐群を販売形態の個々のパックにパック詰めをする豆腐のパック詰め装置において、所定のサイズに切断され所定間隔で整列された多数個の豆腐群を搬送する搬送コンベヤと、該搬送コンベヤの下流端位置に包装パック群を搬送する包装パック搬送装置と、該搬送コンベヤと該包装パック搬送装置の搬送面の上方にあって開閉駆動する少なくとも1組の1対の把持プレートを備える把持駆動機構とを備え、
前記1対の把持プレートを備える把持駆動機構によって該搬送コンベヤ上の該豆腐群を把持して前記包装パック搬送装置によって所定位置に搬送された該包装パック群上の所定位置に移動させて、前記1対の把持プレートの把持を開放することによって該豆腐群を該包装パック群に落下収納させるか、又は、該1対の把持プレートによる把持状態を少なくとも維持しながら該豆腐群を該包装パック群に落下収納させることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の第2の発明は、陸上でのパック詰めであって、多数個の豆腐群を販売形態の個々のパックにパック詰めをする豆腐のパック詰め装置において、所定のサイズに切断され所定間隔で整列された多数個の豆腐群を搬送する搬送コンベヤと、該搬送コンベヤの下流端位置に包装パック群を搬送する包装パック搬送装置と、開閉駆動する1対の把持プレートを備える把持駆動機構と、該搬送コンベヤの下流端に搬送面を延長するように近接した位置にあって該搬送面より下方にある該包装パック群を出現させたり遮蔽するシャッタ板とを備え、前記1対の把持プレートを備える把持駆動機構によって該搬送コンベヤ上の該豆腐群を把持して、該豆腐群を該搬送コンベヤから前記シャッタ板上に搬送して、該シャッタ板を介して該包装パック搬送装置によって所定位置に搬送された該包装パック群上に位置決めして、該シャッタ板の包装パック上からの開放動作に同期又は連動して、該1対の把持プレートの把持を開放することによって該豆腐群を該包装パック群に落下収納させるか、又は、該1対の把持プレートによる把持状態を少なくとも維持しながら該豆腐群を該包装パック群に落下収納させることを特徴とする。
ここで、本発明では、豆腐群を把持する1対の把持プレートと言うように、豆腐群を狭持する態様を「把持」という用語を使用して説明するが、これは1対の把持プレートで均等な力で豆腐群を把持する意味で使用している。また、把持プレートと豆腐側面との接触面積は、該豆腐の側面積の全面が好ましく、少なくとも該側面積の3分の1以上の広さがあって、単位面積あたりに加わる把持力を均等かつ小さくすることが好ましい。
本発明としては、陸上搬送される豆腐群の陸詰め装置に係るものである。その前工程は豆腐生地の連続成型機やバッチ式成型機であり、その切断装置や乗り継ぎ部で水槽に一旦漬かり陸上に載せ替えるか、散水手段で散水して、その豆腐群の表面には水が付着していてもよい。
本発明の第1発明は、通常の豆腐群のパック詰めに際しては、基本的にシャッタ板を必要としない。なぜなら、駆動部材や部品が増す以外に、その動作工程によって僅かでも所要時間がかかり、処理能力に影響するからである。しかし、より正確な位置決めが求められる場合や高速動作に適さない極軟質の豆腐群にも対応する必要がある場合、シャッタ板を併用することが好ましい。さらに、本発明においては、複数列の豆腐群を同時に把持するという従来に見られない極めて難度が高い高速ないしは高加速度の動作も想定していることから、装置としての動作上の安全度を加味しておく必要もある。また、シャッタ板を使用するか否かは、豆腐群の種類(木綿豆腐、絹ごし豆腐や、柔らかなプリン状豆腐等)によって決定することもできる。さらに、シャッタ板を採用することによって、1対の把持プレートとシャッタ板とによって豆腐群を位置決めし、正確に落下のタイミングを図り、一斉に落下させることができる。つまり豆腐群の種類に対する適合性及び複数列の豆腐群を同時に把持する場合の確実性と安全性の双方を高めることができる。
前記包装パックへの豆腐群の収納の際は、包装パック群上の位置において把持プレートの把持解除によって豆腐群を落下させてもよいが、1対の把持プレートと共に豆腐群を包装パック内に挿入してから把持プレートの把持解除によって落下させても、又、1対の把持プレートと共に包装パック底まで挿入してから把持解除によって豆腐群を収納させるようにしても良い。落下衝撃による豆腐群の損傷を軽減できるためである。1対の把持プレートと共に豆腐群を包装パック内に挿入する場合、包装パック内寸より幅の狭い部位を有する把持プレート(後記のスペーサプレートも含む)を用いる。例えば、1枚板の下端が凹凸状に切り欠き加工されたプレート部材であってもよい。
また本発明では、1対の把持プレートの把持を完全に開放することが好ましいが、把持を解除しない状態を保持しながら包装パックに落下収納する形態であってもよい。即ち、好ましくは少し把持力を弱くするか、又は少し把持プレート間の距離を開くことによって、把持された豆腐群が1対の把持プレート間を滑り落とすようにする。その場合、1対の把持プレートは包装パック群に対して豆腐群を落下収納する際の案内ガイドとしても機能し、また豆腐群の落下速度を抑えるブレーキとしても機能するので、より正確に豆腐群を包装パック群に落下収納(ないしは滑落収納)することが可能になる。
【0018】
本発明において豆腐群を搬送コンベヤ上から包装パック搬送装置上に移行させる手段としての1対の把持プレートを備える把持駆動機構は、例えば、搬送コンベヤの幅方向に配列した1行〜複数行の豆腐群を前後から(豆腐群の上流側と下流側の2面を二方から)把持した状態で豆腐群を搬送する。または搬送コンベヤの幅方向に配列した1行〜複数行の豆腐群を各豆腐の左右から(豆腐群の進行方向の左右側面2面を二方から)把持した状態で、豆腐群を搬送する。1対の把持プレートによって把持された状態の豆腐群は、従来の単に一方から押す場合に比べて変形や位置ズレの余地が少なく、また、一方からの押し送り時に起きる押し膨らみが起きにくいので、豆腐群の変形が抑制されしたがって、その状態で、1対の把持プレートを高速度で駆動することができる。豆腐裏面とコンベヤのベルト面の間に面圧の偏在状態が発生しにくいので、コンベヤベルト表面に通常存在する水膜を潤滑剤として利用でき、高速搬送でも損傷を与えずに豆腐群をコンベヤベルト上や、乗り移り板上やシャッタ板上で、所定距離を移動して所定位置に正確に位置決めすることができる。なお、前記水膜は、水槽から取り出す際に付着する水や散水手段によって散水される水か、豆腐群から自然に滲出するホエーによって供給される。
また前記水膜は、前記1対の把持プレートによって豆腐群を把持する際に、挟み込み時や挟み込み解除時を豆腐群との接離の衝撃を吸収し、豆腐群の損傷を防ぎ、接離を滑らかに補助する働きをする。さらに豆腐群の表面と前記1対の把持プレート面との間に水膜を介して密着すると、水の表面張力が作用して互いに吸着力が発生して、把持プレートによる挟持力を補助するため、豆腐群の落下を防ぐ効果がある。この吸着力はきめ細かく弾力のある高品質の豆腐において顕著である。
【0019】
本発明によれば、1対の把持プレートによって把持された状態の豆腐群は、従来の単に一方から押す場合に比べて、移載する方向に段差があったとしても、この段差を乗り越えることができるとともに、包装パックに落下収納するときも、できるだけ長く豆腐群を把持したまま保持できるので、包装パックに正確に落下収納(垂下)することとなる。すなわち、斜めに落下せずに垂下して収納されるようになる。
【0020】
また、前記シャッタ板を使用する場合でも、シャッタ板を退避させるまで前記1対の把持プレートによる把持状態を維持して豆腐群をその自重により把持プレート間を滑り落ちるように包装パックに落下収納又は滑落収納させるか、又は、シャッタ板を退避させた後前記1対の把持プレートの把持を解放することによって落下収納させるので、従来のように豆腐が折れ曲がったり、傾く傾向があった落下収納であったが、本発明ではその屈曲や傾きをできるだけ少なくしてほぼ水平姿勢で落下するようになり、垂下状態の落下にすることとなる。なお、豆腐が包装パックに斜め姿勢で落下するより、水平姿勢で落下(垂下)することは、豆腐の下方の角部の損傷等を防止できるので好ましく重要である。また、本願発明によれば、包装パックには、適量の水が注入されていることが好ましい。垂下するように収納されることから、適量の水であって良く、満たされるような水の量は必要がない。
【0021】
本発明は、前記豆腐のパック陸詰め装置であって、前記包装パック群は前記搬送コンベヤに対して搬送方向が直交する前記包装パック搬送装置によって複数行N及び/又は複数列Mの配列で所定位置に搬送されて、前記豆腐群は前記把持プレートによって該包装パック群の配列に合わせるように該搬送コンベヤの幅方向及び搬送方向に複数行M及び/又は複数列Nの配列で把持され、該包装パック群の上方の所定位置まで搬送されることを特徴とする。
本発明は前記包装パック搬送装置と搬送コンベヤの搬送方向が直交する形態が好ましいが、前記包装パック搬送装置の搬送方向と同じ方向の搬送方向になる包装パック搬送装置であってもよい。本発明ではM、Nは正の整数であって、M≧1及び/又はN≧1である。
【0022】
本発明では、前記豆腐のパック陸詰め装置であって、前記1対の把持プレートは、該1対の把持プレートの間に少なくとも1枚のスペーサプレートを備え、該スペーサプレートを有する該1対の把持プレートによって複数行M単位及び/又は複数列N単位で前記豆腐群を把持することを特徴とする。また、前記1対の把持プレートを複数組備え、該複数組の1対の把持プレートによって複数行M単位及び/又は複数列N単位で前記豆腐群を把持することを特徴とする
本発明では前記1対の把持プレートが複数組備えた形態であってもよく、その場合、同数の把持駆動機構が必要になり、装置コストが割高になる。しかし、本発明のように、1対(対向する2枚)の把持プレートの間に少なくとも1枚のスペーサプレートを備えることによって、把持駆動機構はその組数だけで足り、装置コストが軽減される。そして該スペーサプレートを有する該1対の把持プレートによって複数行単位及び/又は複数列単位で前記豆腐群を一斉に把持することを可能とする。該スペーサプレートは包装パック搬送装置から所定の位置に搬送された豆腐パック群の列間距離に応じた幅を有する部材(角パイプや断面コの字・H型の部材等)が好ましい。また、包装パック搬送装置は、搬送コンベヤの幅方向ないしは進行方向にパックコンベヤの搬送方向を合わせて、前記1対の把持プレートによって把持された豆腐群の行数M列数Nと同数の行数N列数M(ないしは、パック搬送方向が前記搬送コンベヤの進行方向と同じ場合は、行数M列数N)を有する。そして、前記所定の位置に搬送された豆腐パック群の列方向(パックコンベヤの進行方向)での包装パックの間隔に合わせるように、豆腐群は前記1対の把持プレートによって把持される前に、前記切断整列装置によって、行方向(前記搬送コンベヤの幅方向)で所定の間隔に広げられていることが好ましい。言い換えれば、搬送コンベヤ上にて、豆腐群の行間距離に応じた包装パックの列間隔を有する複数列並び(多連式ともいう)の包装パック搬送装置であることが好ましい。また、スペーサプレートの幅は、1対の把持プレートによって把持される複数行の豆腐群の行間隔を決定し、複数列の包装パック群の列間隔と一致させるようにすることが好ましい。前記1対の把持プレートの各プレートとスペーサプレートは、垂下するプレートであり、直方体形状の豆腐の外周側面とできるだけ広く面接触することが好ましい。なお、包装パック搬送装置の手前のパックコンベヤ上には積み重ねられた包装パックを1個ずつパックコンベヤの搬送枠内に自動的に高速で落とし込むパック供給装置を備える。なお本発明ではM、Nは正の整数であって、パック搬送方向が前記搬送コンベヤの幅方向と同じ場合はM≧2かつN≧1、または、パック搬送方向が前記搬送コンベヤの進行方向と同じ場合はM≧1かつN≧2であることが好ましい。
本発明によれば、1対の把持プレート間にスペーサプレートを介して複数行(N行)の豆腐群を複数列(N列)の包装パックに一斉に落下させて収納するので、1行ないしは1列分毎に処理する場合に比べて、その行数Mないしは列数Nの分、すなわちM倍ないしはN倍の処理能力を有する、高い処理能力のパック詰め工程を実現することができる。なお、特許文献2のスライドテーブルの上部に固定で配設するストッパでは、複数備えることが難しく、本発明のような複数行(M行)の豆腐群を複数列(M列)の包装パックに一度に落下させて収納すること自体、その構造上の問題があり、不可能である。
ここで、前記把持駆動機構に配設された前記1対の把持プレートの形態は、各プレート部材の長手方向が搬送コンベヤの幅方向に沿った形態だけでなく、搬送コンベヤの進行方向に沿って前記1対の把持プレートが配された形態であってもよく、すなわち豆腐群を前後二方から行単位で把持するものや、左右二方からから列単位で把持するものである。さらに前記1対の把持プレートが2組以上で、幅方向(行単位)や進行方向(列単位)に並列ないしは直列に並べた複数組からなる把持プレートの形態であってもよい。また、位置決め精度を出すために豆腐群の豆腐1丁毎に対応したプレート部材であってもよい。すなわち1対の把持プレートを豆腐1丁単位で、二方から把持する形態もよく、前後左右の四方から把持する形態であってもよい。
【0023】
本発明としては、1対の把持プレートを互いに接近させる向きに略等距離、同期又は同調駆動して搬送コンベヤ上の豆腐群を把持することが好ましい。
豆腐のパック詰め工程を高速化するためには、1対の把持プレートによって豆腐群を把持する動作についてもより高速化をすることが求められる。本発明によれば、1対の把持プレートの駆動方法としては、一方の把持プレートのみで豆腐群を他方の把持プレート側に片寄せするようにして豆腐群を把持することもできるが、1対の把持プレートによって豆腐群を左右から同時に挟みこむように把持動作をさせることにより、把持に要する所要時間を確実に短縮することができる。
本発明では、このような1対の把持プレートを複数組備えてもよい。例えば複数行(M行)、複数列(N列)に配列した豆腐群を、スペーサプレートを用いず2組の1対把持プレートで一斉に把持する形態であってもよい。
複数行(M行)ないしは複数列(N列)とした場合、スペーサプレートの数は最大で、M−1行ないしはN−1列である。
各プレートの長手方向の向きは、搬送コンベヤの幅方向または搬送方向であり、M行N列の行列で把持し、N行M列の包装パックに収納する形態であって、M、Nは1でもよいが、どちらかが2以上の正の整数が特に好ましい。なお、パック搬送方向が前記搬送コンベヤの進行方向と同じ場合は、M行N列の行列で把持し、M行N列の包装パックに収納する形態であってもよい。
好ましくは1対の把持プレートとスペーサプレート1枚で構成された把持プレートを1単位として、2行ないしは2列単位で把持、収納すること形態が好ましい。また一斉に把持して、一斉に落下収納することが好ましい。豆腐製造ラインの高速化を図るためである。ただ、製品条件や位置決め精度向上や安定性等を優先する場合、順次把持と順次落下収納の組み合わせや一斉把持と順次落下収納や順次把持と一斉落下収納という組み合わせの動作パターンであってもよい。なお、本発明のように一斉に把持して一斉に収納する豆腐の個数が多いほど、各駆動動作の速度や加速度を小さくして、その分各動作の許容時間が増し、パック詰めに重要な動作に時間を集中するよう制御・調整すれば、パック詰め精度を向上できる点で、好ましい。
【0024】
本発明としては、前記豆腐のパック陸詰め装置であって、前記包装パック群の底面を露出させて該包装パック群のフランジ部分を支持するパックコンベヤと、該パックコンベヤの下方に配置する突上げ機構とを備え、前記突上げ機構は、前記パックコンベヤによって所定位置に供給された該包装パック群の底面又は前記パックコンベヤを下方から突き上げることによって該包装パック群を浮上させて、前記1対の把持プレートで把持する豆腐群に近接させるか、又は、前記シャッタ板を介して前記1対の把持プレートで把持する豆腐群に近接させることが好ましい。
本発明としては、落下距離を短縮するための手段として包装パック群を下方から上昇させる方向に突上げる突上げ機構を採用している。突上げ機構は、包装パック搬送装置によって搬送されてきた包装パック群のみを突上げるため、所要動作を高速で反復実行することができる。突上げ機構は、パックコンベヤとは無関係に包装パック群のみを突上げる動作を実現するため、包装パック搬送装置には、包装パックの底面を露出させた状態で包装パックのエッジ部分(フランジ部分)を支持する構造のものが採用される。なお、包装パックを突き上げた際に、包装パックの姿勢が不安定な場合は、突き上げ機構に配設する突き上げ板に該包装パックを支えて底面形状に合わせたガイド部材を付設するか、凹状の窪みや切り欠き穴等を加工した形態が好ましい。また包装パック群が搬送枠に収まったパックコンベヤ自体を突き上げる形態であっても精度重視の観点からは好ましい形態である。またはパックコンベヤ上の搬送枠がチェーンに固定されず、上下方向に遊動なしは可動状態に構成して、その搬送枠だけを上下動作させる形態であれば、位置決め精度向上と共にチェーン等の包装パック搬送装置への負荷が軽減できるので、好ましい形態である。
前記突上げ機構は、包装パック搬送装置によって所定位置に供給された包装パックの底面を搬送コンベヤによって包装パック群の上方に位置決めされた豆腐群が落下収納される以前に、又は、シャッタ板が退避動作をする以前に下方から突き上げて、包装パックを包装パック搬送装置から浮上させて待機しておき、前記1対の把持プレートによる把持状態の開放又は弛緩の開始や、シャッタ板の開放開始に前後するか同時に、突き上げ板を下降して、落下する豆腐群を受領する。豆腐群を受領した後に包装パック群は包装パック搬送装置の原位置に復帰する。
【0025】
本発明としては、前記包装パック搬送装置のパックコンベヤの搬送枠に包装パック群のフランジ部分がかかる形で正確に位置決めされ収納されて、前記豆腐群に対応する下方の所定位置に搬送された状態において、前記豆腐群の底面ないしは前記豆腐群の底面を支持する前記シャッタ板と、該包装パックの開口面との垂直距離を近接する程に縮めて、落下による衝撃で豆腐の損傷を軽減することができる。
また把持プレート解除又は弛緩動作ないしは豆腐群の落下ないしはシャッタ板の開放動作と、該突き上げ機構の下降動作とを同期的又は同調的に連動した動作や各動作の加減速度やタイミングを調整することによって、包装パック群を下降させながら豆腐群を受け取る動きをさせることによって、落下の衝撃を吸収して、豆腐の破損を抑制することができ、好ましい。例えばサッカーでボールをトラップする動作と似ている。すなわち前記突き上げ機構によって包装パックの底面を押し上げる形態はパックコンベヤを突き上げる形態よりも、パックコンベヤのチェーン部材にかかる負担がなく、大きな駆動源も必要ではなく、好ましい形態である。なお、前記突き上げ機構とともに、豆腐群の落下衝撃を吸収する補助するバネ材、ゴム材、エアダンパーなどの衝撃吸収部材を併用することも好ましい。
【0026】
本発明では前記突き上げ機構によって包装パック群を上昇させる以外に、前記把持駆動機構によって前記1対の把持プレートが下降動作する上下駆動装置を備えて、包装パックは固定位置で、前記1対の把持プレートを包装パック群の上部(開口部)に近接するか、又は包装パック内に内接するように下降させてもよい。
【0027】
本発明は、前記豆腐のパック陸詰め装置であって、前記搬送コンベヤを一旦停止させて前記1対の把持プレートで前記多数個の豆腐群を把持して、該搬送コンベヤを駆動させるとともに、該搬送コンベヤの駆動に同調して、前記1対の把持プレートを動作させて該豆腐群を所定位置に搬送された前記包装パック群上に移動させるか、又は、前記シャッタ板上に移動させることを特徴とする。
本発明によれば、把持された豆腐群を、停止した搬送コンベヤ上を擦りながら移動させるようなことがないため(搬送コンベヤ上を浮かせるように、又は、搬送コンベヤ上を滑走させるようにするため)、豆腐群の下面の損傷を最小限に抑えることができる。すなわち包装パックの上方に至る移動において、把持された豆腐群が搬送コンベヤ下流端を離れた直後に、コンベヤベルトとの間の僅かな抵抗により僅かな歪みが生じていた場合、急な復元力が働き、把持された状態とは言え、豆腐や把持プレートに若干の揺らぎや振動を発生させ、豆腐群の包装パックへの収納が不確実になる恐れがある。本発明によれば、軟らかい豆腐の把持状態(空中)から包装パックへの収納直前に、そのような余計な外力が加わらないようになり、豆腐群の包装パックへの収納がより確実になり安定する。
【0028】
上記いずれの場合も、1対の把持プレートの面と豆腐下面の間には水が潤滑剤として存在するようにすることで、包装パックへの収納直前にシャッタ板退避する際に、豆腐や把持プレートに及ぶ外力が軽減され、より確実で安定した収納が可能になる。前記シャッタ板1Aは1枚のプレートが前後ないしは左右に往復する形態や、2枚のプレートが互いに前後ないしは左右に開閉する形態や、カメラのシャッタのように複数枚で構成した形態であってもよい。また1枚ないしは2枚ないしは4枚で一辺を支軸として、水平位置で閉じ、約30〜90°開いた位置で、下方にある包装パックの内側に内接するか、又は包装パックPの開口部へ指向するように、落下する豆腐を案内するガイドやシュートとしても機能する形態であってもよい。これによって包装パックと豆腐の隙間が少ないパック詰めが可能で、豆腐寸法が包装パック内寸に極めて近くても「靴べら」のように収納できることから、包装パックと豆腐の隙間にあるパック水を少なくでき味抜けを抑えることができ、丁寧に手詰めしたイメージがある高級感のある製品とすることも可能である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、1対の把持プレートによってコンベヤベルト上の豆腐群を挟み込むように把持し、搬送コンベヤのコンベヤベルト上に整列している豆腐群をパックコンベヤによって供給された包装パック群上に移動させて位置決めし、その位置で豆腐群を包装パック群に落下させて収納させることによって、パック詰め能力を大幅に向上することができる。また、1対の把持プレート間にスペーサプレートを介して、複数行、複数列に配列した豆腐群を一度に把持して、搬送コンベヤ上を浮かせるか、又は、搬送コンベヤ上を滑走させて、包装パック群に一度に収納させるので、従来のように一列ごとのパック詰め工程(2,000〜3,000丁/h)と比較して、2倍(5,000〜8,000丁/h)ないしは数倍の能力(10,000〜36,000丁/hないしはそれ以上)でもパック詰めすることが可能になる。さらに、1対の把持プレートによってコンベヤベルト上の豆腐群を挟み込むように、均等かつ最小限の力で把持し、把持プレートによって豆腐群の落下を抑制・制御しながら、豆腐群を損傷することなく、時間あたりの処理能力が高い、正確なパック詰めが可能になる。これによって、豆腐群のパック詰め工程が律速工程であったために実現できなかった豆腐連続製造ライン全体の高速化が達成できる。そして、退避可能なシャッタ板やパックコンベヤの突き上げ機構を併用することによって更に正確かつ高速のパック詰めが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施の形態の豆腐のパック詰め装置の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】上記豆腐のパック詰め装置の動作説明図である。
【図3】上記豆腐のパック詰め装置を構成する包装パック搬送装置の斜視図である。
【図4】上記包装パック搬送装置の動作説明図である。
【図5】上記包装パック搬送装置の動作説明図である。
【図6】上記豆腐のパック詰め装置の動作説明図である。
【図7】上記豆腐のパック詰め装置の動作説明図である。
【図8】上記豆腐のパック詰め装置の動作説明図である。
【図9】本発明の豆腐群の他の実施の形態を示す斜視図である。
【図10】上記豆腐のパック詰め装置の動作説明図である。
【図11】図11(a)〜(e)は、本発明の1対の把持プレートの配置構成とその使用例を示す図である。
【図12】図12(a)〜(e)は、本発明の1対の把持プレートの配置構成とその使用例を示す図である。
【図13】図13(a)〜(f)は、本発明の1対の把持プレートの配置構成とその使用例を示す図である。
【図14】図14(a)〜(e)は、本発明の1対の把持プレートの配置構成とその使用例を示す図である。
【図15】図15(a)〜(e)は、本発明の1対の把持プレートの配置構成とその使用例を示す図である。
【図16】本発明の1対の把持プレートによるパック詰めの一例を示す図である。
【図17】図17(a)〜(e)は、本発明の1対の把持プレートの配置構成とその使用例を示す図である。
【図18】図18(a)〜(e)は、本発明の1対の把持プレートの配置構成とその使用例を示す図である。
【図19】図19(a)〜(e)は、本発明の1対の把持プレートの配置構成とその使用例を示す図である。
【図20】本発明の各プレートが包装パック上方から下降して包装パック開口内に内挿する形態の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を引用しながら本発明の豆腐のパック詰め装置の実施の形態を説明する。
【0032】
(第1の実施の形態)
図1と図2は、いずれも2行分の豆腐群Bをパック詰めする同一のパック詰め装置1を示し、図2は、図1に示すパック詰め装置1が後述する特定の動作を実行した後の状態を示している。豆腐のパック詰め装置1は、所定寸法に切断された豆腐群Bを搬送する搬送コンベヤ10と、豆腐群Bを操作するための1対の把持プレート1B,1Dやスペーサプレート1Cを駆動制御する把持駆動機構40と、所定寸法に切断された豆腐群Bを収容するための包装パック群Pをパック詰め位置に供給する包装パック搬送装置20とからなる。
下記実施形態では、図1や図2に示すように、前記豆腐群Bは約70mm×70mm×30mmの木綿豆腐であり、包装パック群Pと共に、搬送コンベヤ10の幅方向に2行、進行方向に13列の配列を1単位として一括してパック詰めする場合を例に説明する。本発明は豆腐群Bおよび包装パック群Pが搬送コンベヤ10の幅方向にM行配列、進行方向にN列と任意であり、1≦M≦10、1≦N≦100(N,Mは整数)が好ましいが、実際には製品寸法、製品品質(硬さ)、搬送コンベヤの機械寸法、設置面積、所望の処理能力など諸条件を考慮して2≦N≦5、2≦M≦60(N,Mは整数)が実施しやすい形態であり好ましい。豆腐寸法は1辺が20〜150mm、高さが10〜100mmの立方体(正六面体)ないしは直方体が対象であり、好ましくは一辺が50〜120mm、高さが20〜80mmの立方体(正六面体)ないしは直方体であることが好ましい。また豆腐の破断力は0.2〜20N/m(約20〜2000gf/cm)であり、狭持性や食感等の条件上、好ましくは、0.4〜10N/m(約40〜1000gf/cm)である。本実施の形態のパック詰め対象の豆腐は、一般的な木綿豆腐、絹ごし豆腐や、柔らかなプリン状豆腐も対象としている。
【0033】
豆腐群Bは、コンベヤベルト30の上流側F1に設置された切断整列装置を経て所定のパック詰めサイズに切断され、縦横に整然と整列した状態でコンベヤベルト30上に分配され、コンベヤベルト30の間欠駆動または連続駆動にしたがって下流側F2に搬送される。搬送コンベヤ10は、コンベヤベルト30の終端部近傍に設置され、包装パック搬送装置20は、コンベヤベルト30の終端部近くでやや下方位置にあってコンベヤベルト30の幅方向F3,F4、つまりコンベヤベルト30に直交する向きに設置されている。図示しないが、豆腐群Bがコンベヤベルト30上において搬送される前工程は、水槽から豆腐群Bがコンベヤベルト30上に取り出されて搬送されて来るので、豆腐群Bには十分な水滴が付着している。なお、豆腐群Bに十分な水滴が付着させるためには、コンベヤベルト30に散水手段を配置させるものでも良い。
【0034】
把持駆動機構40は、コンベヤベルト30の上方に直立姿勢では配設されており、いずれも長手方向をコンベヤベルト30の幅方向にF3,F4に向けて、又は水平姿勢で配置されるシャッタ板1Aや、把持駆動機構40を構成する1対の把持プレート1B,1D、スペーサプレート1Cを、水平方向(即ち、シャッタ板1Aは前記コンベヤベルト30の上流方向F1又は下流方向F2に往復動作して豆腐群Bの底側を支持し、退避する)に、又は、上下方向と水平方向(即ち、1対の把持プレート1B,1D、スペーサプレート1Cも、同様に進行方向F1ないしはF2の動作および上下動作により豆腐群Bの把持と開放と、把持位置と開放位置への移動を繰り返す)に往復駆動する機構である。これらのプレート部材1B,1D,1Dは、いずれもエアシリンダである水平動シリンダC1,C2、上下動シリンダC3,C5、小ストロークの副水平動シリンダC4,C6を駆動源として駆動される。
本発明における各シリンダのような駆動源は、例えばエアシリンダや電動シリンダのようなリニアアクチュエータ等であり、直線往復駆動させ、位置決め可能な駆動源であれば特に限定しない。またリニアアクチュエータを用いたクランク式や、ロータリーエンコーダ等の角度制御機能や各種減速機やインバータ制御付きのモータやサーボモータ等の直結式や、ベルトやチェーンを用いたモータ動力伝達方式、ロータリーアクチュエータ等を利用した直線駆動機構等が挙げられ、これらに限定されるものではない。
【0035】
水平動シリンダC1は、コンベヤベルト30上に架設される図示しない固定部材に取り付けられ、固定部材を足場として作動する。コンベヤベルト30上には、コンベヤベルト30に平行して左右1対の軌道レール11,11が配置され、軌道レール11,11には、左右1対のサイドパネルに、それぞれ軌道レール11,11を上下から挟み込む2組の転動輪R…を備えるトロリー走行車12が組み付けられている。水平動シリンダC1は、コンベヤベルト30の進行方向に向けて配置され、そのロッドエンドは、トロリー走行車12に連結されている。すなわち、トロリー走行車12は、水平動シリンダC1のストロークの範囲内でコンベヤベルト30の上流方向F1又は下流方向F2に往復移動する。
【0036】
シャッタ板1Aは、1対の吊下げアーム12A,12Aを介してトロリー走行車12に連結されている。シャッタ板1Aは、コンベヤベルト30と略同一水平位置ないしは少し下方に位置決めされている。シャッタ板1Aは、吊下げアーム12A,12Aを介してトロリー走行車12と挙動を共にして、往復移動(退避・復帰動作)、即ち、把持駆動機構40の下流側に供給される包装パックPを覆い搬送コンベヤ10の下流側に接触するように移動すると共に、所定のタイミングで包装パックPが現れるように退避動作をする。なお、シャッタ板1Aを退避駆動させる機構としては、上記水平動シリンダC1をシャッタ板1Aに連結させて、上記往復運動させるものでも良い(図6(c)の符号C12を参照)。
【0037】
トロリー走行車12の下方には、1対の軌道レール13,13を介してトロリー走行車12と同様の構成による別のトロリー走行車14が並設され、このトロリー走行車14は、把持駆動機構40の駆動部を構成しており、水平動シリンダC1によって駆動するトロリー走行車12に並走するように、水平動シリンダC2によって駆動するように配置される。把持駆動機構40としては1対の把持プレート1B,1D及びスペーサプレート1Cを有して、いずれも下側のトロリー走行車14に連結され、これら3枚のプレート群1B,1C,1Dの水平動作は、水平動シリンダC2によって付与される。
【0038】
把持駆動機構40における上記3枚のプレート群1B,1C,1Dは、直接トロリー走行車14に連結されるのではなく、1対の把持プレート1B,1Dのうち下流方向F2に位置する把持プレート1Bは、上下動シリンダC3と小ストロークの副水平動シリンダC4を介してトロリー走行車14から吊下げられる態様で取り付けられる。トロリー走行車14と把持プレート1Bとの間には、トロリー走行車14側にガイドスリーブを固定してなる上下動シリンダC3用の複数本のガイドロッド14L…が立設されている。副水平動シリンダC4は、作動ロッドを上流方向F1に向けた取付け姿勢である。
【0039】
一方、他方の把持プレート1Dは、同じく把持駆動機構40を構成する上下動シリンダC5と副水平動シリンダC6とを介してトロリー走行車14から吊下げられる態様で取り付けられる。また、スペーサプレート1Cは、上下動シリンダC3に直接取り付けられ、1対の把持プレート1B,1Dの間に下垂する態様である。これら3枚のプレート群1B,1C,1Dの配置関係は、直立姿勢で互いに平行の位置関係にあり、この関係は、いずれの水平動シリンダC1,C2や上下動シリンダC3,C5が作動した場合においても維持される。副水平動シリンダC6は、作動ロッドを上流方向F1に向けた取付け姿勢である。
【0040】
包装パック搬送装置20は、パックコンベヤ21と、突上げ機構23とからなる(図3)。
パックコンベヤ21は、一定間隔を保って循環駆動される2本のチェーンCH,CH間にワークである豆腐群用の包装パックP…を保持するための多数枚のトッププレート22…を取り付けてなる一種のトッププレート型チェーンコンベヤである。パックコンベヤ21におけるトッププレート22…は、チェーンCH,CHの屈曲性を確保するために、独立した多数枚の金属板をキャタピラ上に配列した構成とされ、各トッププレート22には、チェーンCH,CHのリンクプレートにピン部材等を利用して連結することができる左右1対のフランジが曲げ加工されている。各トッププレート22には、包装パックPを落とし込んで位置決めする1対の位置決め孔2H,2Hがパックコンベヤ21の幅方向に並べて形成され、トッププレート22…に設けられた位置決め孔2H…は、全体としてパックコンベヤ21の進行方向に2列と幅方向に13行の所定の配置をなす。
【0041】
包装パックPは、周囲に蓋シールを溶着するための糊代であるエッジ(フランジ部)を有する一般的な角型デザインの豆腐用樹脂製容器であり、包装パックPと各トッププレート22の位置決め孔2Hとの寸法関係は、底面側から包装パックPを位置決め孔2Hに落とし込んだ際に、トッププレート22上に包装パックPのエッジ部分が残ることとなる寸法関係に設定されている。パックコンベヤ21に搭載された多数の包装パックP…は、縦2列、横13行の包装パック群P1,P2をなす。
【0042】
突上げ機構23は、パックコンベヤ21のフレーム内に設置されている。突上げ機構23は、裏面に補強チャンネル2Fを取り付けることによって曲げ強度を確保するようにした昇降板2Pと、昇降板2Pの裏面側に作動ロッドを上向きにして設置する1基又は複数基のプッシャシリンダC7,C7とからなる(図3)。昇降板2Pの幅は、各トッププレート22に落とし込まれた2個の包装パックP,Pの底面を同時に覆うことができ、トッププレート22の左右のフランジと干渉することなく上下動できる幅であり、昇降板2Pの長さは、コンベヤベルト30の幅相当(即ち把持される豆腐群Bの行方向、また昇降板2Pの幅はその豆腐群Bの列方向)に設定される。なお前記昇降板2Pは前記突上げ機構23の一形態であり、包装パックPの底をほぼ水平にしながら突き上げる形態であれば特に限定しない。なお昇降板2Pには包装パックPの底面形状に合わせた凹部やガイド等の位置決め手段を配設することも好ましく、包装パックを突き上げる際の位置ズレを防止できる。
【0043】
突上げ機構23は、パックコンベヤ21内において、プッシャシリンダC7,C7によって昇降板を突上げることによって、トッププレート22…を持ち上げることなくパックコンベヤ21に搭載されている2列13行(N列M行)の包装パック群P1,P2を昇降板の長さの範囲内において上昇させることができる(図4,図5)。トッププレート22…の厚みを無視すれば、この動作によって、各包装パックPは、容器高さ程度上昇することができる。突上げ機構23に加わる荷重は、包装パックP…の重さのみであるから無視することができる。また、包装パックP内にある程度の水が注入されていても大差にはならない。本願ではトッププレート22…を持ち上げる形態であってもよいが、特に包装パックのみを突き上げる方がチェーンCHやパックコンベヤ21や包装パック搬送装置20への負荷が少なく好ましい。
【0044】
上記搬送コンベヤ10と、包装パック搬送装置20と、把持駆動機構40とから構成される豆腐群Bのパック詰め装置の運転に際しての制御方法、例えば、各機能部材の動作順序や動作タイミングの設定は多様であるが、基本的には以下のように動作制御する。
1対の把持プレート1B,1D及びスペーサプレート1Cの水平動作に関しては、軌道レール11や水平動シリンダC1(直動ガイド等)を介してプレート全体が同一位相で平行移動するように作動するものとする。また、本装置においては、各機能部材の動力源として多数のエアシリンダが使用されているが、以下の動作説明においては、全てのシリンダについて、作動ロッドがシリンダ内に収納される向きの動作を「−動作」と簡略表示し、シリンダ内に収納されていた作動ロッドが押し出される向きの動作を「+動作」と簡略表示する。
【0045】
コンベヤベルト30上において所定サイズに切断された豆腐群B…は、コンベヤベルト30の幅方向F3,F4(及び進行方向F1,F2)に所定個数並んだ状態の包装パック群P1,P2…に合わせるように一定の行列間隔を保った配列状態の豆腐群B1,B2…として順次に搬送されてくる(図1,図6(A))。把持駆動機構40は、最初の豆腐群B1がコンベヤベルト30の終端部に到達するまで待機動作をする。
【0046】
把持駆動機構40の待機状態は、次の状態である。
水平動シリンダC1が−動作し、水平動シリンダC1に連結されたトロリー走行車12が軌道レール11に案内されながら上流方向F1に走行する。この結果、トロリー走行車12に吊下げ支持されているシャッタ板1Aが上流方向F1に移動し、コンベヤベルト30の終端部に横付けされている(図6(A))。パックコンベヤ21は、この位置におけるシャッタ板1Aの直下に位置し、包装パック群P1,P2を準備している。包装パック群P1,P2は突上げ機構23の垂直動シリンダC7の+動作によってシャッタ板1Aの間近まで上昇して待機している(図7(A))。各包装パックP内には、適量の水を注水されているが、各包装パックPを満水にするような状態でも良い。
【0047】
この時点では、水平動シリンダC2も−動作によって下段のトロリー走行車14を動作上の最も上流方向F1に移動させ、2本の上下動シリンダC3,C5を介してトロリー走行車14に取り付けられたプレート群1B,1C,1Dも最も上流側かつ最も上方に移動している。この水平位置において1対の把持プレート1B,1Dのうち下流方向F2の把持プレート1Bは、必要に応じて、上下動シリンダC3の+動作によってシャッタ板1Aの直近手前位置、つまりコンベヤベルト30の終端部に下降動作をしていることが好ましい(図6(A))。この際、上下動シリンダC3と把持プレート1Bとの間に介在している副水平動シリンダC4は、−動作を維持している。また、スペーサプレート1Cと他方の把持プレート1Dを支持している上下動シリンダC5は、−動作によってこれらを引き上げた状態に支持している(図6(A))。この際、上下動シリンダC5と把持プレート1Dとの間に介在する副水平動シリンダC6は、+動作によって把持プレート1Dを上流方向F1に押し出した状態である。すなわち、いずれも作動ロッドを上流方向F1に向けて設置されている2基の副水平動シリンダC4,C6は、1対の把持プレート1B,1Dが互いに反対向きに作動した状態で待機している。以上が把持駆動機構40の待機状態である。
ここで、前記のように、下流方向F2の把持プレート1Bが下降して待機しているのは、コンベヤベルト30によって搬送される豆腐群Bの先端の行を下流側から支えて、豆腐群Bの先端の1行B1が万一にオーバーランすることを防止する目的である。もし搬送コンベヤの速度も小さく、オーバーランの心配がなければ該把持プレート1Bの事前の下降は不要であり、他の把持プレート1Dやスペーサプレート1Cと同期した動作をするものであってもよい。なお、特にコンベヤベルト30上の豆腐Bに僅かな前後・僅かな回転等の位置ズレがある場合、豆腐群Bの行列の多少の乱れを揃える意味もあるので、把持プレート1B、スペーサプレート1C、把持プレート1Dの順に、コンベヤベルト30によって搬送されてくる豆腐群B1、B2に合わせて、順次下降するようにしてもよい。その豆腐群Bの行間が把持プレート1B,1Dないしはスペーサプレート1Cによって把持前に形成される把持間隔よりも比較的広い場合にも有効である。ただ、この把持プレート1Bが事前に下降する動作や各プレートが順次下降する動作は必須ではなく、他の把持プレート1Dやスペーサプレート1Cと同期する動作であってもよい。
【0048】
コンベヤベルト30の運転に伴い、最も下流方向F2に位置する豆腐群B1,B2が下降して待機している把持プレート1Bに到達したことが図示しないセンサ系によって検出された時点で、コンベヤベルト30は、一時停止をする。次いで、上下動シリンダC5が+動作し、スペーサプレート1Cと上流側の把持プレート1Dとが同時に下降動作をする(図6(B))。このとき、スペーサプレート1Cは、最初の1行目の豆腐群B1と2行目の豆腐群B2との間に設定された行間隔内に下降し、把持プレート1Dは、2行目の豆腐群B2の上流側F1に下降する。前記センサ系は、反射型変位センサや透過型光電センサ・ファイバーセンサなどワークの存在を認識できるセンサや計測手段であれば、特に限定しない。
【0049】
スペーサプレート1Cと把持プレート1Dとが上記位置に完全に下降した後(図6(C))、副水平動シリンダC4が+動作するとともに、同時に副水平動シリンダC6が−動作をする。副水平動シリンダC4の+動作によって下流側の把持プレート1Bは、1列目の豆腐群B1をスペーサプレート1C側に押し戻すように水平移動させ、他方、副水平動シリンダC6の−動作によって上流側の把持プレート1Dは、2列目の豆腐群B2をスペーサプレート1C側に押し送りする。すなわち、水平動シリンダC2から独立して動作することができる2基の副水平動シリンダC4,C6によって1対の把持プレート1B,1Dを互いに接近する向きに同期的に連動駆動することによって、ごく短時間で2列13行の豆腐群B1,B2を同時に一斉に把持する。
ここで、豆腐群B1,B2の各々は正方形ないしは直方体形状であり、その搬送方向の前後の面を上記プレート群1B,1C,1Dが豆腐側面の面積の3分の1以上の接触面積で面接触して、さらに水膜を介して接触することが好ましく、その水膜は、豆腐群から滲み出る水(ホエー)でも、散布された水でもよいが、本実施の形態では、豆腐群B1,B2は水槽から取り出されて、多少の水が付着した状態で搬送コンベヤ10により搬送されてくる。
【0050】
2行13列の豆腐群の把持動作完了後、水平動シリンダC2が+動作し、トロリー走行車14を下流方向F2に走行させる。1対の把持プレート1B,1D及びスペーサプレート1Cは、トロリー走行車14の水平動に伴って2行の豆腐群の把持状態を維持しながら下流方向F2に水平移動し、水平動シリンダC2のストロークに規制されてシャッタ板1A上に位置決めされる(図7(A))。なお、水平動シリンダC2の+動作の前後のタイミングで、上下動シリンダC5を−動作させ、豆腐群Bを搬送コンベヤ10搬送面から浮かし、包装パック上方の位置(水平動シリンダC2の略終端位置)に停止したタイミングで上下動シリンダC5を+動作させて豆腐群Bをシャッタ板1Aに着地させる工程があってもよい。またシャッタ板1Aの開放後、上下動シリンダC5をさらに+動作させて包装パックに近接させるか、内側に挿入させる形態も、パック詰め精度を向上させる意味で好ましい。この把持駆動機構40の動作を豆腐群B1,B2についてみれば、豆腐群B1,B2は、1対の把持プレート1B,1Dとスペーサプレート1Cによって前後方向から挟み込まれることによって、いわば、変形を抑制された状態でコンベヤベルト30上からシャッタ板1Aに至る距離を滑走又は空中移動することになる。この結果、搬送中、特にコンベヤベルト30上からシャッタ板1Aの乗り移り時における豆腐群B1,B2の変形に起因する崩れ・損傷、位置ズレ等を大幅に低減することができるので、高出力・高性能の水平動シリンダC2を用いた高速・高加速度動作を実現することができる。
【0051】
この間、包装パック搬送装置20の突上げ機構23は、プッシャシリンダC7を+動作させてシャッタ板1A下に位置する2列13行の包装パック群P1,P2を、シャッタ板1Aの直下まで上昇させて待機している(図5,図7(A))。
【0052】
次いで、水平動シリンダC1が+動作をし、2行13列の豆腐群B1,B2を載せていたシャッタ板1Aが下流方向F2に引き抜かれる(図7(B))。シャッタ板1Aが退避動作すると略同時のタイミングで2基の副水平動シリンダC4,C6が、それぞれ−動作及び+動作をし、1対の把持プレート1B,1Dは各々下流方向F2、上流方向F1に開き、把持していた豆腐群B1,B2を開放する(図2,図7(C))。2行13列の豆腐群B1,B2は、シャッタ板1A下に準備されていた対応する13行2列の包装パック群P1,P2内に同時にほぼ水平状態で落下する。ここで、「収納する」とは、シャッタ板1Aが退避した後に1対の把持プレート1B,1Dが挟持した状態から開く方向に拡開する状態で豆腐群B1,B2を包装パック群内に落下させることを指すとともに、シャッタ板1Aが退避する前に挟持した状態を解除又は少し緩めた後にシャッタ板1Aが退避して豆腐群Bを包装パック群P内に落下収納させることをも指す。また「収納する」とは、シャッタ板1Aが存在しない形態においても、包装パック群P1,P2の上方に位置するまで豆腐群B1,B2を挟持した状態を保ち、その後は、挟持した状態を解除するか、又は、挟持した状態を少し緩めることによって自重で落下する場合も含むものとする。
【0053】
豆腐群B1,B2を包装パック群内に受け取る直前ないしは同時ないしは直後に、突上げ機構23は、プッシャシリンダC7を−動作させ、浮上させていた包装パック群P1,P2をパックコンベヤ21の元の位置に復帰させる(図8(A))。また、豆腐群B1,B2の収納動作を完了した1対の把持プレート1B,1D及びスペーサプレート1Cは、2基の上下動シリンダC3,C4の−動作によって同時に上昇し、再び前記の待機状態に復帰するための準備動作にはいる(図6(A))。突上げ機構23の下降動作としては、シャッタ板1Aが退避開始と同時か、その直後ないしは直前から同期的に動作して、包装パック群Pが下降中に落下する豆腐群Bを包装パック群に受け取り、またその下降動作も加減速を適正に調節して、サッカーでのボールのトラップの如く、豆腐群Bが落下して包装パック群P内に収納される際の衝撃を和らげるようにしてもよく、豆腐破損をより確実に防止できるので、好ましい。
【0054】
具体的な復帰動作として、下流方向F2に退避動作していたシャッタ板1Aは、水平動シリンダC1の−動作によってコンベヤベルト30の終端部に横付け姿勢をとり、1対の把持プレート1B,1D及びスペーサプレート1Cは、水平動シリンダC2の−動作によって上流方向F1に引き返す(図8(B))。この間、コンベヤベルト30は、3行目、4行目の豆腐群B3,B4を下流方向F2に移動させ、包装パック搬送装置20のパックコンベヤ21は、豆腐群B1,B2が収納された包装パック群P1,P2を搬出し、順送り的に空の包装パック群P1,P2をコンベヤベルト30の前方に供給する。
【0055】
次いで、把持駆動機構40は、上下動シリンダC3の+動作によって下流側の把持プレート1Bをシャッタ板1Aの直前位置に下降させて3行目の豆腐群B3の到来を待つ(図8(C))。これによって待機状態への復帰動作が完了する(図6(A)参照)。
【0056】
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、プレート群1B,1C,1Dの駆動条件によりシャッタ板1Aを用いることなく、高速で豆腐群の収納動作を実行する装置である(図9,図10)。
【0057】
シャッタ板1Aを備えない場合の把持駆動機構40は、シャッタ板1Aを有する把持駆動機構40(図1)と比較して、シャッタ板1Aのほか、シャッタ板1Aを駆動するための水平動シリンダC1をはじめとする水平動シリンダC1によって駆動される全ての部材を省略した簡略な構成とすることができる。なお、シャッタ板1Aを用いる場合でも、図6(c)の符号C12に示す水平動シリンダC1によってシャッタ板1Aを駆動することとすれば、前述の構成よりも簡易な装置になる。
【0058】
本実施の形態は、シャッタ板1Aを備えない実施の形態であり、豆腐群B1,B2を緩く把持した状態の1対の把持プレート1B、1Dとスペーサプレート1Cとを高加速度や高減速度で水平方向に駆動し、豆腐群B1,B2に落下する時間的余裕を与えることなく対応する包装パック群P1,P2上の所定位置に位置決めする。ここでは、把持駆動機構40の1対の把持プレート1B及び1Dとスペーサプレート1Cが停止した時点で豆腐群B1,B2は、把持状態の開放によって包装パック群P1,P2内に落下させる。または把持状態のまま自重によって包装パック群P1,P2内に滑落させるが、この際、把持状態を緩めるように、1対の把持プレート1B、1Dとスペーサプレート1Cが停止すると同時に1対の副水平動シリンダC4,C6を介して把持プレート1B、1Dを開く向きに作動させてもよい(図9)。
把持駆動機構40においては、豆腐群B1,B2を強く把持した状態で、その1対の把持プレート1B、1Dとスペーサプレート1Cとを高加速度や高減速度の駆動以外に、定速度駆動(加速度ゼロ)を含む速度パターンで水平方向に移動させて、豆腐群B1,B2を対応する包装パック群P1,P2上の所定位置に位置決めする形態であってもよい。
【0059】
シャッタ板1Aを用いない上記のような動作が可能であることは、豆腐の種類や把持状態(把持力や把持距離)にもよるが、適度な硬さの木綿豆腐では十分に可能である。実験でも、通常の木綿豆腐や絹ごし豆腐(破断力0.5〜0.9N/m≒約50〜90gf/cm)で可能であった。すなわち、1対の把持プレート1B,1Dとスペーサプレート1Cとが、豆腐Bの弾力で歪む状態に把持して、豆腐Bが破断しない範囲で一定の力を保った状態で全て同期的にないしは同調的に連動駆動されていることが前提となる。この豆腐Bの把持力を加減したり、四方からの把持形態にすることにより、シャッタ板1Aが無くても、柔らかめの豆腐であっても落下させずに空中で把持することができる。または、把持力を弱めることによって把持状態のまま、把持プレート1B,1Dを豆腐Bが滑り落ちる、即ち自重で滑落させる場合に落下速度を抑えるブレーキ機能とともに、包装パック内に案内するガイド機能も備えている。把持駆動機構40は、1対の把持プレート1B、1Dとスペーサプレート1Cとが、同期的ないしは同調的に連動駆動されないと、豆腐群Bを落下させたり損傷させたり、また他のプレートの付加質量になったり、豆腐群B1,B2に対する付加質量となるので重要である。また必要に応じて、把持駆動機構40には把持間隔を正確に可変調整できる機構や把持力を正確に可変制御できる機構を配設して、常に豆腐Bにかかる把持力を一定レベル以上(かつ豆腐の破断強度以下の力)に保つことも好ましい。このようにシャッタ板1Aが無くとも、把持プレート群1B,1C,1Dにより豆腐群B1,B2の把持状態を強めるか、把持駆動機構40を高加速度で駆動する等して、豆腐群B1,B2を落下させず、また無理をかけずに、包装パック群P1,P2に収納できる。
【0060】
本実施の形態によれば、把持駆動機構40を構成する1対の把持プレート1B、1Dとスペーサプレート1Cにより把持されながら滑走搬送される豆腐群Bが搬送コンベヤの下流端を通過する際には、特許文献1のスライドテーブルやシャッタ等は必ずしも必要としない。把持駆動機構40において1対の把持プレート1B、1Dとスペーサプレート1Cによる把持状態を強めることによって豆腐群Bを落下させないようにできるが、また、少し緩めの把持状態であっても高加速度で駆動させて搬送コンベヤ10のコンベヤベルト30上および空中を水平方向に移動させることにより、豆腐群Bを途中落下させることなく包装パック搬送装置20上の所定位置に瞬時に位置決めすることができる。すなわち、豆腐群にかかる把持力を適度に抑えて、表面張力や加減速搬送される豆腐群Bに作用する慣性力を加えた合計の保持力によって、常時作用する重力に耐えて豆腐群Bを落下させず把持した状態に保持されながら移動させるが、停止するときに慣性力が弱まるか無くなると、作用する重力に耐えることができず、豆腐群Bを下方から支持するスライドテーブル等が存在しない限りは、豆腐群Bは把持プレートを滑るように落下しようとする。しかし、豆腐群Bに落下を阻止する向きのより大きな力が把持プレートから豆腐群Bに加わっているとすれば、豆腐群Bは落下しない。しかも、豆腐群Bは、1対の把持プレート1B、1Dとスペーサプレート1Cにより均等の力で挟まれた状態の状態であり、さらに水の表面張力によって1対の把持プレートに吸着された状態にもなっている。さらに、豆腐群Bには、1対の把持プレート1B、1Dとスペーサプレート1Cの水平方向の高加速度(高減速度)移動によって、大きな静止慣性が作用している。つまり、1対の把持プレート1B、1Dとスペーサプレート1Cを把持駆動機構40によって共に駆動(高速ないしは高加速度滑走)させる場合には、豆腐群Bと1対の把持プレート1B、1Dとスペーサプレート1Cと豆腐群Bとの間に働く諸力の合算値が豆腐群Bを落下させる向きに働く力(主に重力)を上回ることで、豆腐群Bを落下させずに、包装パックPの位置まで搬送される。所定位置に停止した豆腐群Bは把持力に加担した慣性力が弱まるか、消失したときに、落下するような適度な弱めの把持力にすることが好ましく、強い把持による豆腐へのダメージを極力抑制することが好ましい。なお硬い豆腐であれば、強い把持状態で搬送、把持状態の開放による落下収納は容易である。
【0061】
また、豆腐群Bが下方から支持するスライドテーブル等がない場合で、落下に対して何らの阻止力を受けることなく直ちに自由落下するものと仮定しても、豆腐群Bが1対の把持プレート間から脱出する以前に包装パックP上に位置決めが完了しているならば、豆腐群Bは包装パックP内に落下させることができる。つまり、1対の把持プレートを高加速度で水平移動させるというのは、豆腐群Bに落下する時間的余裕を与えることなく包装パックPの位置まで搬送させてしまう意味である。このような動作は、1対の把持プレート1B、1Dをいずれも加速・減速的な駆動機構で構成することによって実現できる。また、前記搬送コンベヤ10のコンベヤベルト30を停止させて前記1対の把持プレートで豆腐群Bを把持して、コンベヤベルト30を駆動させるとともに前記1対の把持プレートを移動(高加速度)させることによっても、コンベヤベルト30と把持された豆腐底面との間の摩擦抵抗や変形・欠けを軽減できるので好ましい。
前記搬送コンベヤ10は、水槽から取り出した豆腐群Bが搬送するか、又は、前記搬送コンベヤ10の豆腐群Bに水を散布する散布機能を有することで、把持駆動機構40の1対の把持プレート1B,1Dによって水の付着した豆腐群Bを把持して、所定距離を容易に移動することが可能になる。水が前記1対の把持プレート1B,1Dによる挟み込みや挟み込み解除を滑らかに補助する水膜としての働きをする。なお、豆腐群Bの表面と把持プレート間の摩擦力を低く抑え、豆腐群Bの損傷を防ぐため、前記1対の把持プレート群1B,1Dと豆腐群Bとは、互いの面が水膜を介して挟み込まれることも好ましい。
【0062】
把持駆動機構40おいて、豆腐群Bを把持している1対の把持プレート群1B,1Dが所定の加速度(および減速度)で動作すると、搬送開始から所定位置に停止するまでは、豆腐群Bには水平方向の大きな静止又は運動慣性力が作用する。豆腐群Bの落下を阻止している水平方向の加速ないしは減速移動による慣性力が弱まるか無くなった直後、豆腐群Bは重力によって1対の把持プレート群1B,1D間から下方に準備された包装パックP内に滑落ないしは落下する。ここで、把持状態は維持しながらも、積極的に1対の把持プレート群1B,1Dを僅かに開くように動作をさせてもよい。滑落させた場合は把持力の弱め加減によって落下速度も抑制できるので、落下による豆腐の損傷等を抑えられて、自然落下に委ねた場合に発生することのある個々の豆腐群Bの落下タイミングの個別誤差を解消することができ、パック詰めの精度を高めることができる。
【0063】
上記前提の下に、図10を用いて説明すると、プレート群1B,1C,1Dが加速度Aで下流方向F2に駆動されると、豆腐群B1,B2をなす質量Mの各豆腐群B,Bに対して、上流方向F1向きに−AMの静止慣性力が作用する。また、各豆腐群Bには、下向きの重力GMが常時作用している。したがって、下流方向F2に搬送される際に豆腐群B,Bに加わる力は、静止慣性力−AMと重力GMとの合力−Fによって代表される。また、この合力−Fは、重力GMに対して静止慣性力−AMが大きいほど、つまり、プレート群1B,1C,1Dの下流向きの加速度Aが大きいほど上流方向F1向きの水平姿勢に近づく向きになる。重力GMが変化することはないからである。
【0064】
上流方向F1向きの成分を有する合力−Fによって豆腐群B,Bに対して上流側に位置することとなる把持プレート1Dと豆腐群B間、及びスペーサプレート1Cと豆腐群B間の面圧が高まる一方、豆腐群B,Bに対して下流側に位置することとなる把持プレート1Bと豆腐群B間、及びスペーサプレート1Cと豆腐群B間の面圧は低下又は無圧となる。ここで、豆腐群Bと特定のプレート間の面圧がたとえ無圧に転じたとしても、その特定の把持プレート面が豆腐群Bの下流側面に対する把持力(狭持力)が失われないということが重要である。豆腐群Bと各プレート間には、豆腐群Bから滲出する水分(ホエー)の表面張力による吸着力(このような作用も豆腐を調理する際の包丁に対する豆腐の吸着現象等によって経験則的に知られる作用である)もある。すなわち、プレート群1B,1C,1Dの駆動加速度(減速度も含む)Aが常にある移動であれば、シャッタ板1Aが存在しなくても豆腐群B,Bは落下しない(“ダイススタッキング”のような動作)。
【0065】
上記と同様の現象は、プレート群1B,1C,1Dが停止する際にも生じる。プレート群1B,1C,1Dが停止すると豆腐群B,Bには、下流方向F2向きに運動慣性力AMが一旦作用し、各豆腐群Bには、重力GMと動慣性力AMとの合力Fが働く。このため豆腐群B,Bに対して下流側に位置する把持プレート1B,スペーサプレート1Cと豆腐群B,B間の面圧が上昇するとともに、豆腐群B,Bに対して上流側に位置する把持プレート1D,スペーサプレート1Cと豆腐群B,B間の面圧は、減少又は無圧に転ずる。しかし、豆腐群B,Bは、上記と同様に理由によって落下しない(図10)。
【0066】
把持駆動機構40によって前記プレート群1B,1C,1Dを所定位置に位置決め静止完了した直後、動慣性力AMが消失する。この結果、重力GMだけが残り、豆腐群B1,B2は、包装パック群P1,P2内に滑落落下する。又は把持プレートの把持状態を緩めるか、又は開放することによって落下収納する。このような豆腐群B1,B2の収納動作においては、シャッタ板1Aの作動時間や待ち時間が不要であるとともに、豆腐群B1,B2に対する水平搬送所要時間も短縮されるので、豆腐群Bのパック詰め工程を大幅に短縮でき、さらに生産ラインの処理能力を向上することができる。
【0067】
ここで、上記いずれの実施の形態においても、2行の豆腐群B1,B2を同時に処理する形態を示しているが、把持駆動機構40おけるスペーサプレート1Cを省略して豆腐群Bを1行単位で処理する構成とすることもできる。また、上記スペーサプレート1Cを1対の把持プレート間に有する場合でも、そのうちの一方のプレートとスペーサプレート1C間でのみ豆腐群を把持する使用例も考えられる。そして、更にスペーサプレート1Cを増設したり、1対の把持プレート1B,1Dを複数行(3行以上)又は複数列(3列以上)を把持するように、複数組配することも可能である。
【0068】
(第3の実施の形態)
本実施の形態は、複数組の前記1対の把持プレート1B,1Dを備えて、前記スペーサプレート1Cを有する第1や第2の実施の形態と同じように複数の包装パック群P1,P2にパック詰めする例である。
【0069】
図11(a)〜(e)は、前記1対の把持プレート1B,1Dが2組31A,31Bで構成され、幅方向(行単位方向F3−F4)や進行方向(列単位方向F1−F2)に並列ないしは直列に並べた実施の形態の工程順を示す図である。搬送コンベヤ10の下流端にはナイフの刃のように尖った形状のナイフエッジ型の小型コンベヤベルト35Aが配されている。ナイフエッジ型の小型コンベヤベルト35Aにより搬送コンベヤ10との段差をなくすとともに、パックP1,P2上に滑走させるように移動させると、前記コンベヤベルト35Aから豆腐群B1,B2を浮かせるようにして包装パックP1,P2上に搬送し(図11(b)の符号39は浮上したときの隙間を示す。)、1対の把持プレート1B,1D間に把持された豆腐群B1,B2を移動させ、落下収納する。なお、前記搬送コンベヤ10の下流端には、前記コンベヤベルト35Aに代えて、水平ないしは上下傾斜があるシュート板が配されるものや、自動回転ローラ、遊動回転ローラ等の滑走手段が介在しても良い。このように、豆腐群B1,B2を把持した把持駆動機構40(31A,31B)において上方に少し上昇して豆腐群B1,B2を搬送コンベヤ10のベルト面から離れて浮かすようにして動作させると、前記搬送コンベヤ10や前記コンベヤベルト35Aとの摩擦や乗り継ぎ部の障害を軽減できる。
【0070】
図12(a)〜(e)は、前記1対の把持プレート1B,1Dが2組31A,31Bで、上記ナイフエッジ型の小型コンベヤベルト35Aを配置するとともに、このコンベヤベルト35Aに接触させるように移動すると共に退避する前記シャッタ板1Aを使用する場合の工程順を示す。ナイフエッジ型の小型コンベヤベルト35Aによりシャッタ板1Aとの段差をなくすとともに、パックP1,P2上に滑走させるようにして1対の把持プレート1B,1D間に把持された豆腐群B1,B2をシャッタ板1A上に移動させる。そして、シャッタ板1Aを退避動作させることで、2組の1対の把持プレート31A,31B間に把持された豆腐群B1,B2を各パックP1,P2Pに落下収納する。
【0071】
図13(a)〜(f)は、パック詰めの際にガイドGaを介してパック詰めする場合の工程順を示す図である。ガイドGaは、各包装パックP1,P2ごとに設けられ、その上端が前記コンベヤベルト35Aの搬送面と同じか、やや下方に位置するか、シャッタ板1Aの裏面に位置して、基台に固定されていてもよい。前記突き上げ機構23によって包装パックP1,P2が上昇する際に、該ガイドGaが包装パック開口部に近接するか、又はP1,P2に内挿する関係になる形態であってもよい。またシャッタ板1Aの開閉駆動と共に動作するか、または別駆動装置によって、適宜、包装パックP1,P2上に位置するようにしてもよい。または、図11(d)(e)のように把持プレート1B,1D自体がガイド機能を兼ね備えて包装パック開口部に下降して近接するか、又は内挿する関係になる形態であってもよい。そして、1対の把持プレート1B,1D間に把持された豆腐群B1,B2は、各パックP上において落下させると、ガイドGaに沿ってパック詰めされる。前記コンベヤベルト35Aから豆腐Bを浮かせるようにして包装パックP1,P2上に搬送し(図13(b)の符号39は浮上したときの隙間を示す。)、これによりガイドGaとの段差を解消してパック詰めする。
【0072】
図14(a)〜(e)は、固定式の上記ナイフエッジ型の小型コンベヤベルト36Aの他に、駆動式のシャッタ板36Bにより2列の各パックP1,P2ごとにパック詰めする場合の工程順を示す図である。2組のシャッタ板36A,36Bは、搬送方向の2組の豆腐群B1,B2を載せた後に開放されて、豆腐を落下収納する。すなわち、駆動式のシャッタ板36Bは、前記シャッタ板1Aと同じ機能を果たし、搬送コンベヤ10側の小型コンベヤベルト35Aに接近するとともに、搬送コンベヤ10と反対方向に退避駆動することが可能ではあるが、2組のシャッタ板36A,36Bは、前記固定の型コンベヤベルト36Aに接触したり離れたりする。この駆動式のシャッタ板36Aは一般的な直線的な往復動作をするような機構であり、豆腐群B1,B2の下方にある包装パックP1,P2の上方の開口部を出現させたり、閉塞したりする。
また、シャッタ板は、複数の板からなる開閉式のシャッタ板であってもよく、例えば図15(a)〜(e)に示すような回転駆動型の開閉式のシャッタ板37A(1包装パックに対して、2枚ないしは4枚)であってもよい。特に図15(c)に示すように、開放したシャッタ板37Aがガイドやシュート機能を兼ね備える特徴もある。開閉式のシャッタ板37A、37Bは、前記1対の把持プレート1B,1Dの把持解放と同期させて豆腐群B1,B2を包装パックP1,P2に収納する。
【0073】
上記いずれの場合も、前記包装パックP1,P2への豆腐群B1,B2の収納の際は、包装パック群P1,P2上の位置において一対の把持プレート1B,1Dの把持解除によって豆腐群B1,B2を落下させるか、又は、1対の把持プレート1B,1Dと共に豆腐群B1,B2を包装パックP内に挿入してから把持プレート1B,1Dの把持解除によって落下させる。また、1対の把持プレート1B,1Dと共に下降して包装パックP1,P2の開口部に近接するか、包装パックの内側に(ないしは底まで)挿入してから把持解除によって豆腐群B1,B2を収納させるようにしても良い(図11(e)、図16)。落下衝撃による豆腐群B1,B2の損傷を軽減できるためである。この場合、包装パックPの内寸より幅の狭い部位を有する把持プレート1B,1Dを用いる。前記スペーサプレート1Cも同様である。また、1枚板の下端が凹凸状に切り欠き加工されたプレート部材であってもよい。横長の把持プレート1B,1Dやスペーサプレート1Cが、各プレートを横から見て下方が凹凸形状で、包装パック上方から下降して、その凸部が包装パック開口内に少しでも内挿して包装パックに確実に落下収納できる形態であっても好ましい(図20)。この場合、把持プレート1B,1Dやスペーサプレート1Cが前記ガイドGaのようなガイド機能を兼ね備えていると言える。
次に、パック詰めの仕方について説明する。
前記1対の把持プレート1B,1Dの形態は、各プレート部材1B,1Dの長手方向が搬送コンベヤ10の幅方向(F3−F4方向)に沿って前記1対の把持プレート1B,1Dが配された形態であり、図17(d)(e)は、搬送コンベヤ10の進行方向(F1−F2方向)に沿って配される前記1対の把持プレートのみの形態である。いずれの場合も、千鳥配列の豆腐群B1,B2でもその配列のまま把持してパック詰めすることができる。なお、前記1対の把持プレート1B,1D間にスペーサプレート1Cを有する場合である。
【0074】
ここで、搬送コンベヤ10の進行方向(F1−F2方向)に沿って多数配置されている他方の1組の1対の把持プレート42A,42Bの構成は、上記第1と第2の実施の形態で説明した装置1と同じ構成であり、その向きが90°異なる。なお、移動方向は前記上方側で操作するトロリー走行車12が組み付けられることで、その移動を確保する。
【0075】
図18(a)〜(e)は、1対の把持プレート1B,1D間にスペーサプレート1Cがない場合であるが、千鳥配列の豆腐群B1,B2でもその配列のまま把持してパック詰めすることができる。
【0076】
図19(a)〜(e)は、個々の豆腐Bを販売形態の個々の包装パックPにパック詰めする場合に、2組の1対の把持プレート41A,41Bで個々の豆腐Bを4方向から把持する形態を示す図である。一方の1組の1対の把持プレート41A,41Aは、各プレート部材1B,1Dが搬送コンベヤ10の幅方向(F3−F4方向)に沿って多数配置されている。他方の1組の1対の把持プレート42A,42Bは、搬送コンベヤ10の進行方向(F1−F2方向)に沿って多数配置されている。このため、個々の豆腐Bを4周囲から囲むように把持する。なお、1対の把持プレート1B,1D間にスペーサプレート1Cがない場合でもある場合でも適用可能である。なお特許公報2は水中詰めタイプにおいて水中動作で豆腐を掴む旨の記載があるが、本願発明は陸詰めするタイプでありながらも豆腐を損傷させずにパック詰めするものである。
【符号の説明】
【0077】
B 豆腐群、 B1 豆腐群、 B2 豆腐群、
P 包装パック、 P1 包装パック群、 P2 包装パック群、
P1,P2 包装パック群、
F1 上流方向、 F2 下流方向、
F3 コンベヤベルトの幅方向、
1 豆腐のパック詰め装置、
1A,35A,36A,36B,37A,37B シャッタ板、
1B 把持プレート、
1C スペーサプレート、
1D 把持プレート、
1B,1D 1対の把持プレート(把持駆動機構)
1B,1C,1D プレート群、
31A,41A,41B 一方の一組の1対の把持プレート(把持駆動機構)、
31B,42A,42B 他方の一組の1対の把持プレート(把持駆動機構)、
10 搬送コンベヤ、
20 包装パック搬送装置、
21 パックコンベヤ、
23 突上げ機構、
30,33,34 コンベヤベルト(ナイフエッジ型コンベヤベルト)、
40 把持駆動機構


【特許請求の範囲】
【請求項1】
陸上でのパック詰めであって、多数個の豆腐群を販売形態の個々のパックにパック詰めをする豆腐のパック詰め装置において、
所定のサイズに切断され所定間隔で整列された多数個の豆腐群を搬送する搬送コンベヤと、該搬送コンベヤの下流端位置に包装パック群を搬送する包装パック搬送装置と、開閉駆動する1対の把持プレートを備える把持駆動機構とを備え、
前記1対の把持プレートを備える把持駆動機構によって該搬送コンベヤ上の該豆腐群を把持して前記包装パック搬送装置によって所定位置に搬送された該包装パック群上の所定位置に移動させて、前記1対の把持プレートの把持を開放することによって該豆腐群を該包装パック群に落下収納させるか、又は、該1対の把持プレートによる把持状態を少なくとも維持しながら該豆腐群を該包装パック群に落下収納させることを特徴とする豆腐のパック詰め装置。
【請求項2】
陸上でのパック詰めであって、多数個の豆腐群を販売形態の個々のパックにパック詰めをする豆腐のパック詰め装置において、
所定のサイズに切断され所定間隔で整列された多数個の豆腐群を搬送する搬送コンベヤと、該搬送コンベヤの下流端位置に包装パック群を搬送する包装パック搬送装置と、開閉駆動する1対の把持プレートを備える把持駆動機構と、該搬送コンベヤの下流端に搬送面を延長するように近接した位置にあって該搬送面より下方にある該包装パック群を出現させたり遮蔽するシャッタ板とを備え、
前記1対の把持プレートを備える把持駆動機構によって該搬送コンベヤ上の該豆腐群を把持して、該豆腐群を該搬送コンベヤから前記シャッタ板上に搬送して、該シャッタ板を介して該包装パック搬送装置によって所定位置に搬送された該包装パック群上に位置決めして、該シャッタ板の包装パック上からの開放動作に連動して、該1対の把持プレートの把持を開放することによって該豆腐群を該包装パック群に落下収納させるか、又は、該1対の把持プレートによる把持状態を少なくとも維持しながら該豆腐群を該包装パック群に落下収納させることを特徴とする豆腐のパック詰め装置。
【請求項3】
前記包装パック群は前記搬送コンベヤに対して搬送方向が直交する前記包装パック搬送装置によって複数行N及び/又は複数列Mの配列で所定位置に搬送されて、
前記豆腐群は前記把持プレートによって該包装パック群の配列に合わせるように該搬送コンベヤの幅方向及び搬送方向に複数行M及び/又は複数列Nの配列で把持され、該包装パック群の上方の所定位置まで搬送されることを特徴とする請求項1又は2記載の豆腐のパック詰め装置。
【請求項4】
前記1対の把持プレートは、前記1対の把持プレートの間に少なくとも1枚のスペーサプレートを備え、該スペーサプレートを有する該1対の把持プレートによって複数行M単位及び/又は複数列N単位で前記豆腐群を把持することを特徴とする請求項1ないし3に記載の豆腐のパック詰め装
【請求項5】
前記1対の把持プレートを複数組備え、該複数組の1対の把持プレートによって複数行M単位及び/又は複数列N単位で前記豆腐群を把持することを特徴とする請求項1ないし3に記載の豆腐のパック詰め装置。
【請求項6】
前記包装パック搬送装置は、前記包装パック群の底面を露出させて該包装パック群のフランジ部分を支持するパックコンベヤと、該パックコンベヤの下方に配置する突上げ機構とを備え、
前記突上げ機構は、前記パックコンベヤによって所定位置に供給された該包装パック群の底面又は前記パックコンベヤを下方から突き上げることによって該包装パック群を浮上させて、前記1対の把持プレートで把持する豆腐群に近接させるか、又は、前記シャッタ板を介して前記1対の把持プレートで把持する豆腐群に近接させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の豆腐のパック詰め装置。
【請求項7】
前記搬送コンベヤを一旦停止させて前記1対の把持プレートで前記多数個の豆腐群を把持して、該搬送コンベヤを駆動させるとともに、該搬送コンベヤの駆動に同期又は連動して、前記1対の把持プレートを動作させて該豆腐群を所定位置に搬送された前記包装パック群上に移動させるか、又は、前記シャッタ板上に移動させることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の豆腐のパック詰め装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−140158(P2012−140158A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293956(P2010−293956)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(591162631)株式会社高井製作所 (32)
【Fターム(参考)】