説明

豆腐製造装置及び保持装置

【課題】 空気中であっても、切断、移送等を製品歩留まりを下げることなく、容易に取り扱うことができる豆腐製造装置を提供する。
【解決手段】 豆腐11が内包された筒状容器10と、作業台12と、豆腐を保持する上下に貫通し、作業台12上を第1の位置から第2の位置に移動する保持フレーム13と、第1の開口部12aより筒状容器10内の豆腐を押し上げ、保持フレーム13内に保持させる昇降部15と、保持フレーム13に保持された豆腐を切断する第1のカッタ16と、保持フレーム13ごと第1の位置から第2の位置に移動する移動アーム14と、保持フレーム13に保持された豆腐を、作業台12に対して垂直方向に切断して個別豆腐11bにする第2のカッタ17と、個別豆腐11bを収納するケース18を搬送するコンベア19と、作業台12の第2の開口部12cを開放し、個別豆腐11bを落下させてケース18に収納させる開閉蓋20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型出し後の大判の豆腐を所望とするサイズのブロック状に切断するための豆腐製造装置及び保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、豆腐は、大きいサイズの型にて形成され、その型から出された大判のものを所望とするサイズのブロック状に切断し、この切断されたブロックをそれぞれ容器に収容され密封包装されていた。そして、従来、この型出しから切断、包装までの工程は、豆腐が柔らかいことから水槽の水中で行われていた。また、所望とするサイズのブロック状である、いわゆる一丁分に切断された豆腐は、例えば樹脂製の容器に入れられ、水を充填し、フィルム等により、空気を抜いた状態で熱溶着され密封包装されていた。この密封包装の際に水を充填するのは、豆腐自体が非常に柔らかいものであり、型崩れが起きないようにするためであり、今日では一般的である。
【0003】
ところで、豆腐は、上述のように、切断、移送等の製造過程においても、水槽の水中で行われることが一般的であり、十分な水切りを行った上で、容器に収容するようにしないと、最終的な密封包装される容器内に水槽の水が混入されることとなり、衛生的ではなかった。
【0004】
そこで、豆腐の製造過程に、豆腐を水切りする水切り工程を付加することが考えられる。しかしながら、この水切り工程を付加すると、その分、工程が増えることにより、時間ロスやスペース拡大の問題が発生する。
【0005】
また、切断工程が行われる位置と包装工程が行われる位置との間で豆腐を移送させる移送工程を水槽の水から揚げた空気中で行い、その間に水切りを行うようにすることも考えられる。しかしながら、このように、豆腐を空気中にある状態で移送させる場合には、豆腐が非常に柔らかいことから、移送途中で欠損される場合もあり、製品歩留まりも低下する。さらに、水揚げ後に、豆腐の切断を行う場合には、豆腐自体の自重により扁平が生じ、正確な大きさの切断が行えないこととなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−252889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、型崩れがしやすい豆腐を空気中であっても、切断、移送等を製品歩留まりを下げることなく、容易に取り扱うことができる豆腐製造装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明の他の目的は、豆腐製造装置では必要不可欠な移送工程を空気中であっても、型崩れせずに行うことができ、豆腐の取り扱いを容易にする豆腐製造装置に用いられる保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る豆腐製造装置は、上面が開放され底面が可動自在の、大判の豆腐が内包された筒状容器と、上記筒状容器の上側に位置し、上記筒状容器の上面が臨まされる第1の位置に第1の開口部が形成され、第2の位置に第2の開口部が形成された作業台と、上記大判の豆腐を保持する上下に貫通し、上記作業台上を上記第1の位置から第2の位置に移動する保持フレームと、上記作業台の第1の位置に形成された第1の開口部より上記筒状容器内の豆腐を押し上げ、上記第1の位置にある保持フレーム内に保持させる昇降部と、上記第1の位置にある保持フレームに保持された豆腐を、上記作業台に沿って移動して切断する第1のカッタと、上記第1のカッタによって切断された豆腐を、上記保持フレームごと上記第1の位置から上記第2の位置に移動する移動アームと、上記第2の位置に移動した上記保持フレーム内において、上記保持フレームに保持された豆腐を、上記作業台に対して垂直方向に切断して個別豆腐にする第2のカッタと、上記作業台の上記第2の開口部の下側を通り、上記個別豆腐を収納するケースを搬送するコンベアと、上記作業台の第2の開口部を開閉し、上記第2のカッタで上記保持フレームに保持された豆腐が個別豆腐に切断された後、上記第2の開口部を開放し、上記個別豆腐を落下させて上記コンベアにより搬送され上記第2の開口部の下側にあるケースに収納させる開閉蓋とを備える。
【0010】
また、本発明に係る保持装置は、豆腐製造工程において、作業台上を、該作業台と摺接しながら移動する豆腐の形態を保持する保持装置であって、厚さ方向に貫通した豆腐保持開口部を有する保持フレームを備え、豆腐保持開口部は、大きさが、挿入される豆腐の大きさと略一致し、該保持フレームの内周面と挿入される豆腐の外周面とが略密着するように形成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、豆腐自体の自重により扁平してしまい、良好な切断、移送等の取り扱いが困難となる空気中であっても豆腐の取り扱いを可能とするものである。本発明では、切断や移送を空気中で行うことができるので、型で成型された豆腐を水槽内で型出しする必要がなく、水槽中の水の混入を防止することができ、衛生的となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態として示す豆腐製造装置の概略図である。
【図2】保持フレームに大判の豆腐が充填される状態を説明するための要部斜視図である。
【図3】保持フレームに充填された大判の豆腐を角棒状に切断した状態を説明するための要部斜視図である。
【図4】保持フレームを第1の位置から第2の位置まで移送する状態を説明するための要部斜視図である。
【図5】保持フレームが第2の位置まで移送され、一丁分のサイズに切断される状態を説明するための要部斜視図である。
【図6】第2のカッタが保持フレーム内の角棒状の豆腐を一丁分のサイズの豆腐に切断した状態を示す断面図である。
【図7】第2の開口部を開放、閉塞する開閉蓋を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した豆腐製造装置について、図面を参照して説明をする。なお、豆腐製造装置1については、以下の項目順に説明をする。
【0014】
1.全体構成
1−1 筒状容器
1−2 作業台
1−3 保持フレーム
1−4 移動アーム
1−5 昇降部
1−6 カッタ
1−7 開閉蓋
2.動作説明
【0015】
1.全体構成
図1及び図2に示すように、本発明の豆腐製造装置1は、大判の豆腐11が内包された筒状容器10と、筒状容器10の上側に配設される作業台12とを備える。豆腐製造装置1は、内部に角棒状の豆腐11aを保持し、作業台12上を移動する保持フレーム13と、保持フレーム13を作業台12上を移動させる移動アーム14とを備える。また、豆腐製造装置1は、筒状容器10内の大判の豆腐11が保持フレーム13に挿入されるように押し上げる昇降部15と、大判の豆腐11を角棒状の豆腐11aに切断する第1のカッタ16と、保持フレーム13に保持された角棒状の豆腐11aを、作業台12に対して垂直方向に切断して個別豆腐11bに切断する第2のカッタ17とを備える。さらに、豆腐製造装置1は、第2のカッタ17により切断された個別豆腐11bを収納するケース18を搬送するコンベア19と、第2のカッタ17により切断された位置の垂下に形成された開口部を開閉して個別豆腐11bをケース18に落とし込む開閉蓋20とを備える。
【0016】
豆腐製造装置1は、大判の豆腐11を個別豆腐11bに切断するとともに、ケース18に収納することができるものである。また、豆腐製造装置1は、大判の豆腐11の切断や他の作業工程への移送を空気中である作業台12上で行うことができ、水槽内にて豆腐を切断等行う必要がなく、水槽内の水がケース18に混入することがない。
【0017】
なお、以下の説明では、昇降部15の駆動方向を上下方向またはz方向とし、移動アーム14による保持フレーム13が移動される方向を移送方向またはx方向とし、移送方向及び上下方向と直交する方向をy方向として説明をする。
【0018】
1−1 筒状容器
豆腐製造装置1の下部に設けられる筒状容器10は、図1に示すように、断面略矩形であり、上下が貫通された筒状の型枠21と、この型枠21の下面である底部を閉塞する底板22とからなる。底板22は、型枠21の底部を閉塞するとともに、後述する昇降部15により上面方向にスライド可能である。筒状容器10は、型枠21と底板22とで囲まれる内部に豆乳と凝固剤とが投入され、豆腐11が成型される。筒状容器10は、上面が開放されており、底板22が型枠21内をスライド可能であることから、容器内部にある豆腐が上面から押し出される。筒状容器10は、開放された上面が作業台12に設けられる第1の開口部12aから臨まされるように配置される。
【0019】
豆腐製造装置1では、筒状容器10を第1の開口部12aに配設し、底板22をスライドさせることで、筒状容器10内部にある大判の豆腐11を作業台12上に臨ませることができる。また、豆腐製造装置1では、この筒状容器10を複数個用意され、順次、第1の開口部12aに配設されることで、昇降部15により、作業台12上に臨まされる。
【0020】
なお、筒状容器10は、上述のように、豆乳と凝固剤とが投入されることで、大判の豆腐11が成形されることに限らず、例えば、別途成形された大判の豆腐11を収容するようにしてもよい。また、筒状容器10に収容される豆腐11は、大判であることに限らず、例えば、一丁分の大きさを有する個別豆腐11bの大きさであってもよい。
【0021】
1−2 作業台
筒状容器10の上側に設けられる作業台12は、図1および図2に示すように、x方向に長く伸びた板状部材からなり、保持フレーム13に保持された豆腐11aが摺動できる平面12bを有する。また、作業台12は、保持フレーム13が第1の開口部12aを覆う位置である第1の位置にあるときの、保持フレーム13の位置決めを行う位置決め片23がy方向両端近傍に一対形成されている。この位置決め片23は、平面12b上に立設され、作業台12のy方向両端の近傍に設けられることで、後述する第1のカッタ16の移動方向の妨げとならない。また、位置決め片23は、先端に向かうに従って、第1のカッタ16が設けられる側に湾曲している。これにより、位置決め片23は、保持フレーム13が搬送された際に、当該保持フレーム13を第1の位置にガイドする。
【0022】
作業台12には、y方向両端に保持フレーム13の移送方向をガイドするガイド壁24が形成されている。また、作業台12は、図4に示すように、保持フレーム13が載置される位置で、y方向両端近傍に第1のカッタ16が保持フレーム13と作業台12との間に挿入されるための間隙を形成する突片25が設けられている。
【0023】
また、作業台12には、保持フレーム13により保持された豆腐が最終的にケース18に収納される位置である第2の位置に第2の開口部12cが形成されている。この第2の位置は、その位置決めをする位置決め片12dがx方向前端側に設けられている。
【0024】
作業台12の第1の位置は、第1の開口部12aが設けられた位置であり、この第1の位置に保持フレーム13が載置され、第1の開口部12aを介して筒状容器10内の大判の豆腐11が押し上がり、保持フレーム13に充填される。また、作業台12の第1の位置においては、保持フレーム13内に豆腐11が充填されると、第1のカッタ16による第1の切断が行われる。この第1のカッタ16による第1の切断は、大判の豆腐11の一部を切断し保持フレーム13に収容される角棒状の豆腐11aを形成する。
【0025】
1−3 保持フレーム
豆腐製造装置1の保持フレーム13は、本発明の保持装置であり、図1乃至図5に示すように、上下方向に貫通口13aが形成された略直方体からなる。保持フレーム13は、作業台12上を第1の位置から第2の位置に移動する。保持フレーム13の貫通口13aは、第1の位置において筒状容器10内の大判の豆腐11の挿入領域となり、その高さが所望とする個別豆腐11bの高さよりやや大きめに形成されている。また、保持フレーム13の貫通口13aは、最終形態である個別豆腐11bよりも大きく、例えば4丁分の体積を有する。
【0026】
保持フレーム13は、その上面側周縁に支持部13bが形成され、この支持部13bを移動アーム14が押圧することで移動する。保持フレーム13の支持部13bは、移送方向の前端側の長辺を含む側面が、移動アーム14による位置合わせのための押圧面26となり、移送方向の後端側の長辺を含む側面が、移動アーム14により押圧され移送される押圧面27となる。
【0027】
さらに、保持フレーム13は、その下面側周縁にも支持部13cが形成される。保持フレーム13の支持部13cは、移送方向の後端側の長辺を含む側面が、後述する第1のカッタ16に形成された突片28により支持される支持面29となる。
【0028】
また、保持フレーム13は、その貫通口13aの大きさが、筒状容器10からの豆腐11の大きさと略一致する。そして、保持フレーム13は、貫通口13aにおいて挿入される大判の豆腐11の外周面と略密着する大きさに形成されている。これにより、保持フレーム13に挿入される大判の豆腐11は、空気中であっても、保持フレーム13によりしっかりと保持され、型崩れすることなく、移動することができる。
【0029】
このように、保持フレーム13は、上下方向に貫通口13aが形成され、この貫通口13a内に筒状容器10からの大判の豆腐11の一部が挿入される。そして、保持フレーム13には、貫通口13aと略同一の大きさの豆腐11が挿入されることから、当該豆腐11は、その外周面と保持フレーム13の貫通口13aとが略密着することとなり、型崩れが起こりにくい。
【0030】
なお、保持フレーム13は、上述のように、その貫通口13aが、4丁分の豆腐に相当する大きさであることに限らず、挿入される豆腐の大きさと略一致していればよく、後段の第2のカッタ17により切断できるものであればいかなる大きさであってもよい。
【0031】
1−4 移動アーム
保持フレーム13を移動させる移動アーム14は、保持フレーム13を押圧する押圧プレート31と、駆動部32と、押圧プレート31とこの駆動部32とを連結する連結部材33とからなる。
【0032】
移動アーム14の押圧プレート31は、保持フレーム13のy方向の長さと略同一の大きさを有する板状部材からなる。押圧プレート31は、その両主面がそれぞれ保持フレーム13の押圧面26、27と当接される。
【0033】
駆動部32は、押圧プレート31を様々な方向に駆動させる駆動源であり、具体的には、押圧プレート31を移送方向に移動させるx方向駆動用モータ32aと、上下方向へ移動させるz方向駆動用シリンダ32bとからなる。駆動部32のx方向駆動用モータ32aは、その駆動軸が、作業台12の上方に配設され、移送方向に延伸された無端ベルト34と噛合される歯車と連結されている。そして、x方向駆動用モータ32aは、モータの駆動力が連結部材33を介して、押圧プレート31に伝達され、押圧プレート31をx方向に移動させる。また、駆動部32のz方向駆動用シリンダ32bは、いわゆる空気シリンダであり、シリンダロッドと連結部材33とが接続され、連結部材33をz方向に移動できる。
【0034】
このような移動アーム14は、保持フレーム13の第1の位置での位置決めを行うとともに、第1のカッタ16による豆腐の切断時に、保持フレーム13が位置ずれを起こさないように保持フレーム13を支持する。さらに、移動アーム14は、押圧プレート31が保持フレーム13の押圧面27を押圧することとで、保持フレーム13を第1の位置から第2の位置まで移動させる。
【0035】
なお、移動アーム14は、上述のような駆動部32に限らず、周知の駆動手段を用いるようにしてもよい。また、移動アーム14の押圧プレート31についても、上述のように、その幅が保持フレーム13のy方向長さと略同一であることに限らず、保持フレーム13を押圧し、移動等することができるものであれば、いかなる形状であってもよい。
【0036】
1−5 昇降部
豆腐製造装置1の昇降部15は、図1に示すように、作業台12の下側に設けられ、作業台12の下側に位置する筒状容器10の底板22を上方向に押し上げて、筒状容器10内の大判の豆腐11を第1の開口部12aを介して保持フレーム13内に充填する。具体的には、昇降部15は、空気シリンダ35と、この空気シリンダ35のロッド35aの先端に設けられる押し上げ部36とから構成されている。
【0037】
昇降部15の空気シリンダ35は、作業台12の下側で第1の開口部12aの下側で筒状容器10を介した位置に配設される。そして、昇降部15は、空気シリンダ35を駆動することで、押し上げ部36が筒状容器10の底板22を押し上げる。昇降部15は、筒状容器10の底板22を上方向に押し上げることで、大判の豆腐11を作業台12の第1の位置にある保持フレーム13内に挿入する。
【0038】
1−6 カッタ
豆腐製造装置1には、大判の豆腐11を角棒状の豆腐11aに切断する第1のカッタ16と、角棒状の豆腐11aをさらに個別豆腐11bに切断する第2のカッタ17とを備える。
【0039】
第1のカッタ16は、図1乃至図4に示すように、作業台12の平面12b上を摺動する摺動板38と、摺動板38上の所定の位置に設けられ、保持フレーム13を押圧する2つの突片28、28とを備える。また、第1のカッタ16は、摺動板38をx方向を往復移動させる作業台12上方に設けられる駆動モータ39と、駆動モータ39と摺動板38とを連結する連結棒40とを備える。第1のカッタ16は、昇降部15により押し上げられ保持フレーム13内に挿入される大判の豆腐11を切断する。第1のカッタ16は、摺動板38が、作業台12と保持フレーム13との間を通過することで、大判の豆腐11を切断する。このとき、保持フレーム13内に保持される豆腐は、貫通口13aの大きさに応じて角棒状となっている。
【0040】
第1のカッタ16の摺動板38は、x方向前端側がxy平面視略山型に形成されるとともに、その前端側に向かうにしたがって厚さが小さくなるテーパ面38aが形成されている。このテーパ面38aにより刃が構成され、大判の豆腐11を切断する。また、摺動板38は、前端側の端部から保持フレーム13のx方向長さと略同一の距離離間した位置に突片28が設けられている。この突片28は、摺動板38が大判の豆腐11を切断後、保持フレーム13を第1の位置における第1の開口部12aから離間した位置に移動させるために、保持フレーム13の支持部13cを支持する。
【0041】
第1のカッタ16は、このように、保持フレーム13と作業台12との間を通過することで、保持フレーム13内に挿入される豆腐を角棒状の豆腐11aに切断する。保持フレーム13は、上述のように、第1の位置に載置されているときには、突片25により、作業台12からその底面が離間しており、その離間した隙間に摺動板38が通過することとなり、スムーズな切断を行うことができる。
【0042】
第2のカッタ17は、作業台12のx方向前端側の第2の位置に形成される第2の開口部12cの上部に設けられ、角棒状の豆腐11aを個別豆腐11bに切断をする。
【0043】
第2の位置とは、作業台12上で第2の開口部12cが形成される位置である。この第2の位置においては、第2のカッタ17による豆腐11aの切断と、ケース18への収納が行われる。移動アーム14により移動される保持フレーム13は、支持部13cが作業台12上の位置決め片12dに突き当たることにより、第2の位置における位置決めがなされる。
【0044】
第2のカッタ17は、図1、図5及び図6に示すように、3枚の切断板41と、3枚の切断板41を連結する連結板42と、連結板42に接続される空気シリンダ43とから構成されている。切断板41は、xz平面と平行に配設される薄板であり、x方向長さが保持フレーム13の貫通口13aのx方向長さと略同一である。切断板41は、保持フレーム13の貫通口13aと対向する位置、すなわち下方向の端部が山型に形成されている。さらに、切断板41は、下方向端部が、端部に向かうにしたがって厚さが小さくなるようなテーパが形成されている。このテーパにより刃が構成され、角棒状の豆腐11aを個別豆腐11bに切断する。連結板42は、3枚の切断板41に横架され、それぞれ切断板41が等間隔となるように保持する。また、連結板42は、空気シリンダ43のロッドが接続され、切断板41をz方向に駆動させる。
【0045】
このような第2のカッタ17は、空気シリンダ43を駆動することで、切断板41を上下方向に駆動し、保持フレーム13の貫通口13aに保持された角棒状の豆腐11aを個別豆腐11bに切断することができる。また、第2のカッタ17は、図6に示すように、切断板41の先端が開閉蓋20に設けられるスリット45に挿入される位置まで下方向に駆動する。これにより、第2のカッタ17は、角棒状の豆腐11aを確実に切断することができる。
【0046】
なお、第2のカッタ17は、切断板41を3枚有することについて述べたが、これに限らず、角棒状の豆腐11aを切断したいと所望する大きさとなるように適宜枚数を設定するようにしてもよい。
【0047】
1−7 コンベア
豆腐製造装置1のコンベア19は、周知のベルトコンベアであり、作業台12の第2の位置の第2の開口部12cの直下にケース18を搬送する。コンベア19は、保持フレーム13の移動方向と直交するy方向に延伸されている。
【0048】
コンベア19に載置され搬送されるケース18は、第2のカッタ17により切断された個別豆腐11bよりやや大きいサイズを有する。コンベア19は、ケース18を第2の開口部12cの直下に位置するように搬送し、個別豆腐11bをケース18に収納する位置に導く。このとき、コンベア19上にある隣接するケース18、18のピッチは、第2のカッタ17により切断された個別豆腐11bの第1番目と第3番目、または第2番目と第4番目のピッチと等しくなるように載置されている。すなわち、隣接するケース18、18のそれぞれの搬送方向前端における距離Lは、保持フレーム13内のy方向の第1番目と第3番目の個別豆腐11bとの距離と一致する。これにより、一度に2個の個別豆腐11b、11bを同時に、ケース18、18に収納することができる。
【0049】
1−8 開閉蓋
第2の位置の第2の開口部12cには、図7に示すように、この第2の開口部12cを開閉する開閉蓋20が設けられている。この開閉蓋20は、第2の開口部12cを開放することで、個別豆腐11bを落下させて、コンベア19により搬送され第2の開口部12cの下側にあるケース18に収納させる。開閉蓋20は、第2のカッタ17により切断される個別豆腐11bの数に対応して、それぞれ独立して開閉可能な複数の開閉蓋が設けられる。豆腐製造装置1の開閉蓋20は、y方向から順に第1の開閉蓋20a、第2の開閉蓋20b、第3の開閉蓋20c、第4の開閉蓋20dの4つの開閉蓋からなる。それぞれの開閉蓋20a〜20dは、略中央で2分されており、x方向を離間するようにスライドすることで、第2の開口部12cを開放する。
【0050】
また、隣接する開閉蓋同士の間、例えば第1の開閉蓋20aと第2の開閉蓋20bとの間には、スリット45が形成されている。このスリット45には、第2のカッタ17の切断板41が挿入されることで、角棒状の豆腐11aを確実に切断する。開閉蓋20a〜20dは、それぞれ独立してその開閉が行われることで、ケース18に収納したい位置の個別豆腐11bを落下させることができる。
【0051】
このような開閉蓋20は、保持フレーム13内に形成される個別豆腐11bの数に対応して複数の開閉蓋が設けられており、コンベア19に搬送されるケース18の位置を合わせることで、効率的に収納を実現することができる。
【0052】
以上のような構成を備える豆腐製造装置1は、従来のように水槽を設け、この水槽内で切断、移送等を行う必要がなくなる。すなわち、豆腐製造装置1は、保持フレーム13に挿入された状態で切断、移動が行われるので、空気中であっても、豆腐自体の自重による扁平を防止し、良好な切断、移送等の取り扱いが可能となる。そのため、豆腐製造装置1では、従来のように、型で成型された豆腐を水槽内で型出しする必要がなく、水槽中の水の混入を防止することができ、衛生的となる。
【0053】
2.動作説明
次に、豆腐製造装置1の動作について説明をする。豆腐製造装置1は、保持フレーム13の第1の位置における位置合わせ工程を経て、豆腐を保持フレーム13内に挿入し、挿入された豆腐を切断する第1の切断を行う。そして、豆腐製造装置1は、第1の切断が行われた保持フレーム13ごとを第2の位置まで移動し、第2の切断を行い、ケース18への収納を行う。以下、具体的に説明をする。
【0054】
まず、豆腐製造装置1は、図2に示すように、第1の開口部12aが設けられる作業台12上の第1の位置に保持フレーム13を載置する。このとき、保持フレーム13は、位置決め片23にガイドされて、x方向後端側の位置合わせがされる。また、保持フレーム13は、その底面に作業台12上に設けられる突片25が当接されて、作業台12の平面12bから僅かに離間して載置される。そして、移動アーム14が保持フレーム13の支持部13bの押圧面26を押圧することで、保持フレーム13の第1の位置における位置合わせが行われる。このとき、作業台12の下側で、第1の開口部12aと対向する位置に、大判の豆腐11が内包された筒状容器10がセットされる。
【0055】
次に、豆腐製造装置1は、昇降部15の空気シリンダ35を制御して、筒状容器10の底板22を上方向に押し上げ、筒状容器10内の大判の豆腐11を保持フレーム13内に挿入する。
【0056】
次に、豆腐製造装置1は、図3に示すように、第1のカッタ16の駆動モータ39を制御して、摺動板38をx方向に移動させ、保持フレーム13と作業台12との間を通過させる。このとき、摺動板38は、大判の豆腐11を切断する。さらに、摺動板38をx方向に移動させると、摺動板38上の突片28と保持フレーム13の支持部13cの支持面29とが当接し、摺動板38の移動に伴って、保持フレーム13も移動される。続いて、摺動板38上の保持フレーム13が第1の位置上にない位置まで移動されると、駆動モータ39は、その駆動方向を急反転させる。すなわち、摺動板38は、第2の位置に向かって移動をしていたところ、急にその移動方向が反転される。これにより、摺動板38上に載置されていた保持フレーム13は、摺動板38から外れ、作業台12上に載置される。このとき、保持フレーム13の位置合わせを行っていた移動アーム14は、z方向駆動用シリンダ32bにより、z方向に退避しており、保持フレーム13の規制は解除されている。
【0057】
次に、豆腐製造装置1は、図4に示すように、それまで退避していた移動アーム14が支持部13bの押圧面27を押圧する位置に移動する。そして、移動アーム14は、保持フレーム13を押圧し、第2の位置まで移動させる。このとき、第1のカッタ16の摺動板38は、第1の開口部12a上を閉塞しない初期位置まで退避している。また、移動アーム14が保持フレーム13を押圧することで移動されたとき、保持フレーム13内の角棒状の豆腐11aは、型崩れ等が起きない。これは、保持フレーム13内に挿入される豆腐は、その外周面が、保持フレーム13の内周面と略密着するようになっているためである。このように豆腐製造装置1では、保持フレーム13ごと移動し、内部に挿入される豆腐も略同一の形状を有し内周面と密着することで型崩れが起きない。移動アーム14による移動は、保持フレーム13が第2の開口部12c上に位置する第2の位置までなされる。このとき、作業台12上には、位置決め片12dが設けられているので、移動アーム14は、保持フレーム13が位置決め片12dに突き当たるまで移動させることで、位置合わせが行われる。
【0058】
次に、豆腐製造装置1では、図5に示すように、第2のカッタ17が下降し、保持フレーム13内の角棒状の豆腐11aを個別豆腐11bに切断する。このとき、第2のカッタ17の切断板41の先端部は、開閉蓋20に形成されるスリット45に至るまで下降するので、角棒状の豆腐11aを確実に切断する。
【0059】
次に、豆腐製造装置1は、開閉蓋20を制御して、各開閉蓋20a〜20dの開閉を行う。豆腐製造装置1は、切断された個別豆腐11bのうち、第1番目と第3番目に位置する開閉蓋、すなわち第1の開閉蓋20aと第3の開閉蓋20cを開放する。このとき、第1及び第3の開閉蓋20a、20cの下側には、コンベア19により搬送されるケース18、18が待機しており、開閉蓋20a、20cの開放により、個別豆腐11bが落下し、ケース18内に収納される。続いて、豆腐製造装置1は、コンベア19を制御して、所定ピッチ移動させることで、豆腐が収納されていないケース18、18がそれぞれ第2の開閉蓋20b、第4の開閉蓋20dの下側に位置するように移動させる。そして、第2及び第4の開閉蓋20b、20dを開放させることで、個別豆腐11bを落下させ、それぞれケース18に収納させる。
【0060】
このようにして個別豆腐11bが収納されたケース18は、コンベア19に搬送され、別途、ケース18内に水を充填する工程、ケース18の開口部をフィルム等で密閉する密閉工程等を経て、最終的なパック詰め豆腐が完成する。
【0061】
以上のように、豆腐製造装置1は、大判の豆腐11を2回の切断工程を経て、ケース18に収納される。また、豆腐製造装置1は、従来のような水槽を用いておらず、全て空気中での自動作業を行うことできる。そのため、水槽内の水分がケース18内に混入することがなく、衛生的である。また、豆腐製造装置1は、水槽を設けないで済むことから、装置全体の小型化が図られる。
【0062】
また、豆腐製造装置1に用いられる保持フレーム13は、その内周面と挿入される豆腐の外周面とが密着するサイズに形成されていることから、保持フレーム13がない状態での豆腐が自重により扁平してしまう事態が生じない。そのため、空気中であっても、移動や切断の取り扱いが容易となり、型崩れが起きにくく、製品歩留まりの低下も生じない。
【0063】
なお、豆腐製造装置1は、上述のように、2回の切断を行うことについて述べたが、これに限らず、筒状容器10から保持フレーム13に挿入される豆腐のサイズが個別豆腐11bに相当するサイズである場合には、切断工程を省略することができるのは、勿論である。
【符号の説明】
【0064】
1 豆腐製造装置、10 筒状容器、11 大判の豆腐、12 作業台、12a 第1の開口部、12b 平面、12c 第2の開口部、12d 位置合わせ片、13 保持フレーム、13a 貫通口、13b、13c 支持部、14 移動アーム、15 昇降部、16 第1のカッタ、17 第2のカッタ、18 ケース、19 コンベア、20 開閉蓋、21 型枠、22 底板、23 位置合わせ片、24 ガイド壁、25 突片、26、27 押圧面、28 突片、29 支持面、31 押圧プレート、32 駆動部、32a x方向駆動用モータ、32b z方向駆動用シリンダ、33 連結部材、34 無端ベルト、35 空気シリンダ、38 摺動板、38a テーパ面、39 駆動モータ、40 連結棒、41 切断板、42 連結板、43 空気シリンダ、45 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開放され底面が可動自在の、大判の豆腐が内包された筒状容器と、
上記筒状容器の上側に位置し、上記筒状容器の上面が臨まされる第1の位置に第1の開口部が形成され、第2の位置に第2の開口部が形成された作業台と、
上記大判の豆腐を保持する上下に貫通し、上記作業台上を上記第1の位置から第2の位置に移動する保持フレームと、
上記作業台の第1の位置に形成された第1の開口部より上記筒状容器内の豆腐を押し上げ、上記第1の位置にある保持フレーム内に保持させる昇降部と、
上記第1の位置にある保持フレームに保持された豆腐を、上記作業台に沿って移動して切断する第1のカッタと、
上記第1のカッタによって切断された豆腐を、上記保持フレームごと上記第1の位置から上記第2の位置に移動する移動アームと、
上記第2の位置に移動した上記保持フレーム内において、上記保持フレームに保持された豆腐を、上記作業台に対して垂直方向に切断して個別豆腐にする第2のカッタと、
上記作業台の上記第2の開口部の下側を通り、上記個別豆腐を収納するケースを搬送するコンベアと、
上記作業台の第2の開口部を開閉し、上記第2のカッタで上記保持フレームに保持された豆腐が個別豆腐に切断された後、上記第2の開口部を開放し、上記個別豆腐を落下させて上記コンベアにより搬送され上記第2の開口部の下側にあるケースに収納させる開閉蓋とを備える豆腐製造装置。
【請求項2】
上記保持フレームは、上記豆腐が挿入される開口の大きさが、上記挿入される豆腐の大きさと略一致し、該保持フレームの内周面と挿入される大判の豆腐の外周面とが略密着するように形成されている請求項1記載の豆腐製造装置。
【請求項3】
上記移動アームは、上記第1のカッタで、上記第1の位置にある保持フレームに保持された豆腐を切断するとき、上記第1のカッタの移動方向の反対側から上記保持フレームを支持し、
上記第1のカッタによる切断が終了すると、上記第1の位置にある保持フレームに保持された豆腐を上記保持フレームごと上記第2の位置まで移動する請求項1又は請求項2記載の豆腐製造装置。
【請求項4】
豆腐製造工程において、作業台上を、該作業台と摺接しながら移動する豆腐の形態を保持する保持装置であって、
厚さ方向に貫通した豆腐保持開口部を有する保持フレームを備え、
上記豆腐保持開口部は、大きさが、挿入される豆腐の大きさと略一致し、該保持フレームの内周面と挿入される豆腐の外周面とが略密着するように形成されている保持装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate