説明

貨幣入出金システム、紙幣収納装置及び金銭登録機

【課題】導入コストを抑制しつつ厳正な現金管理を行うことができる貨幣入出金システム、紙幣収納装置及び金銭登録機を提供することを課題とする。
【解決手段】レジスタ10の下部に紙幣収納庫20を設け、この紙幣収納庫20の紙幣挿入口21に挿入された紙幣を集積部26に収納するとともに、該紙幣の金種を判定処理してレジスタ10に通知し、レジスタ10で紙幣データ17bとして管理する。また、操作部14から手入力された入力金額と紙幣収納庫20から受け付けた金種データが不一致である場合には、入金エラーを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導入コストを抑制しつつ厳正な現金管理を行うことができる貨幣入出金システム、紙幣収納装置及び金銭登録機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンビニエンスストア等の店舗には、商品の販売額を計算及び記録するキャッシュレジスタなどと呼ばれる金銭登録機が設けられることが多い。かかる店舗では、この金銭登録機を用いて貨幣の入出金が管理されることになる。例えば、特許文献1には、紙葉類又は硬貨を処理する釣銭機と、棒金を収納する棒金収納部と、紙葉類又は棒金以外の硬貨を収納する補助収納部とを設け、釣銭機が補充収納部内に収納されていた紙葉類の種類又は棒金以外の金種を識別するとともに計数する釣銭機システムが開示されている。
【0003】
また、かかる金銭登録機の近傍に紙幣を格納する紙幣格納装置を設ける技術も知られている。例えば、特許文献2には、重量物に組付けられる外箱と、該外箱に挿入可能な内箱と、両箱を相互に錠止めする施錠手段とからなり、外箱には内箱を挿脱する開口を設け、内箱には外箱への挿入時に開口から露出する紙幣投入口及び外箱により遮断される紙幣取出口を設け、紙幣投入口に紙幣を載置して内箱内に送り込むトレーが引出し自在に嵌挿されるよう構成した高額紙幣逐次投入金庫が開示されている。
【0004】
また、特許文献3には、紙幣投入口と、投入された紙幣を内部に搬送する搬送手段と、搬送終了位置にある紙幣を順次積み重ねて収納する収納手段とを有する紙幣格納装置を金銭登録機の近傍に配置し、硬貨及び低額紙幣を金銭登録機に付属する貨幣収納区画に格納し、高額紙幣を紙幣格納装置に格納するよう構成した貨幣保管方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−238150号公報
【特許文献2】特開平6−266959号公報
【特許文献3】特開平5−342449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のものは、紙葉類、硬貨、棒金等に対応できるいわゆるフル装備の装置であるため、機能的には十分である反面で、導入費用が嵩むと言うコスト上の問題がある。例えば、硬貨の使用量が多く紙幣の使用量が少ない店舗では、かかるフル装備の装置は過剰設備となり効率的ではない。
【0007】
また、上記特許文献2及び3のものは、金銭登録機の機能を低減して安価な構成にできるものの、紙幣格納装置にて紙幣の識別がなされるわけではないので、操作者によって金銭登録機に入力された金額と紙幣格納装置に格納された紙幣の金額とが不整合になる可能性があるため、現金管理の面で厳正さに欠けると言う問題がある。
【0008】
これらのことから、導入コストを抑制しつつ厳正な現金管理を行うことができるキャッシュレジスタシステムをいかに実現するかが重要な課題となっている。なお、かかる課題は、販売時点情報管理を行うPOS(Point Of Sales)システム等の各種貨幣入出金システムの場合も同様に生ずる課題である。
【0009】
本発明は、上述した従来技術による課題を解消するためになされたものであって、導入コストを抑制しつつ厳正な現金管理を行うことができる貨幣入出金システム、紙幣収納装置及び金銭登録機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、金額・金種等の入力情報に基づいて入出金を管理する金銭登録機と、該金銭登録機に組み付けられる紙幣収納装置とを有する貨幣入出金システムであって、前記紙幣収納装置は、紙幣挿入口から受け付けた紙幣を収納する紙幣収納部と、前記紙幣挿入口から受け付けた紙幣の金種を判定処理する金種判定処理部と、前記金種判定部により判定処理された金種を通知する金種通知部とを備え、前記金銭登録機は、前記紙幣収納部から通知された金種に基づいて該紙幣収納装置に収納された紙幣を管理する紙幣管理部を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、貨幣を収納するドロアをさらに備え、前記紙幣収納装置は、前記ドロアの下部に配置され、前記紙幣挿入口は、前記紙幣を水平状態で受け入れることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、釣銭としての硬貨を出金する硬貨釣銭機をさらに備え、前記紙幣収納装置は、前記硬貨釣銭機の側方に並列して配置され、前記紙幣挿入口は、前記紙幣を垂直状態で受け入れることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、棒金を管理する棒金管理装置をさらに備え、前記紙幣収納装置は、前記棒金管理装置の内部に配置されたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記金銭登録機は、入力された金種情報と前記紙幣収納装置から通知された金種とが一致するか否かを判定する判定部と、前記判定部により一致しないと判定された場合の入金エラーの報知、又は、一致すると判定された場合の正常に紙幣が収納された旨の報知、の少なくともいずれか一つを報知する報知部とをさらに備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記紙幣収納装置は、前記紙幣収納部に収納された紙幣の収納枚数を計数処理する計数処理部と、前記計数処理部により計数処理された収納枚数が所定の収納上限値に達したか否かを判定する上限判定部と、前記上限判定部により収納上限値に達したと判定された場合に、前記金銭登録機に対して収納上限値に達した旨を通知する上限通知部とをさらに備え、前記金銭登録機は、前記紙幣収納装置から収納上限値に達した旨の通知を受け付けた場合に、次回の紙幣を前記ドロアに収納するよう所定の表示部に表示制御する表示制御部をさらに備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、前記金銭登録機は、入力された金種情報と前記紙幣収納装置から通知された金種とが一致するか否かを判定する判定部と、前記判定部により一致すると判定された場合にのみ前記ドロアに対して開放指令を出すドロア制御部とをさらに備えたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、入力された金種情報に基づいて入出金を管理する金銭登録機に組み付けられる紙幣収納装置であって、紙幣挿入口から受け付けた紙幣を収納する紙幣収納部と、前記紙幣挿入口から受け付けた紙幣の金種を判定処理する金種判定処理部と、前記金種判定部により判定処理された金種を通知する金種通知部とを備えたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記発明において、前記紙幣収納部に収納された紙幣の収納枚数を計数処理する計数処理部と、前記計数処理部により計数処理された収納枚数が所定の収納上限値に達したか否かを判定する上限判定部と、前記上限判定部により収納上限値に達したと判定された場合に、前記金銭登録機に対して収納上限値に達した旨を通知する上限通知部とをさらに備えたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、入力された金額に基づいて入出金を管理する金銭登録機であって、装置に組み付けられた紙幣収納装置により金種判定された該紙幣収納装置に収納される紙幣の金種を受け付ける金種受付部と、前記金種受付部により受け付けた金種に基づいて該紙幣収納装置に収納された紙幣を管理する紙幣管理部とを備えたことを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、上記発明において、前記紙幣収納装置から収納上限値に発した旨の通知を受け付けた場合に、次回の紙幣を前記ドロアに収納するよう所定の表示部に表示制御する表示制御部をさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、紙幣収納装置は、紙幣挿入口から受け付けた紙幣を紙幣収納部に収納するとともに、紙幣挿入口から受け付けた紙幣の金種を判定処理し、判定処理した金種を通知し、金銭登録機は、紙幣収納部から通知された金種に基づいて該紙幣収納装置に収納された紙幣を管理するよう構成したので、導入コストを抑制しつつ厳正な現金管理を行うことができる。例えば、紙幣釣銭機を導入せずに硬貨釣銭機のみを導入した場合であっても、紙幣収納装置に紙幣を収納するとともに該紙幣収納装置に収納された紙幣の金種や枚数を金銭登録機で管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本実施例1に係るレジシステムの外観構成を示す図である。
【図2】図2は、図1に示した紙幣収納庫の構成を示す図である。
【図3】図3は、図1に示したレジスタ及び紙幣収納庫の内部構成を示す機能ブロック図である。
【図4】図4は、図1に示したレジスタ及び紙幣収納庫の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は、本実施例2に係るレジシステムの外観構成を示す図である。
【図6】図6は、本実施例3に係るレジシステムの外観構成を示す図である。
【図7】図7は、本実施例4に係るレジシステムの外観構成を示す図である。
【図8】図8は、図7に示した紙幣収納庫の構成を示す図である。
【図9】図9は、本実施例5に係るレジシステムの外観構成を示す図である。
【図10】図10は、棒金管理装置から収納部を引き出した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本願の開示する貨幣入出金システム、紙幣収納装置及び金銭登録機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に示す実施例では、商品の金額を操作部から手入力する場合を中心に説明するが、バーコードリーダを用いて商品のバーコードを読み取るPOSシステムの場合にも同様に適用できる。
【実施例1】
【0024】
まず、本実施例1に係るレジシステムの外観構成について説明する。図1は、本実施例1に係るレジシステムの外観構成を示す図である。本実施例1に係るレジシステムは、操作部から手入力された入出金金額を管理するレジスタ10と、釣銭の対象とならない一万円札等の高額紙幣を収納する紙幣収納庫20と、各種紙幣及び硬貨を収納するドロア30とからなる。なお、ここでは説明の便宜上図示省略したが、かかるレジスタ10を上位装置に接続することもできる。
【0025】
レジスタ10には、表示部11、顧客用表示部12、カードリーダ13、操作部14及びレシート発行部15が設けられている。表示部11及び顧客用表示部12は、LED等からなる表示デバイスであり、表示部11は操作者である店員向けの表示部であり、顧客用表示部12は顧客向けの表示部である。カードリーダ13は、操作者である店員が所持するIDカードに記憶された店員ID等を読み取る読取装置である。
【0026】
操作部14は、操作者である店員が商品の金額入力及び商品選択や、顧客から受け取った預り金の金額及び金種情報の入力を行う際に利用するテンキー及び専用キー等からなる入力デバイスである。金額情報を入力する具体的な例としては、例えば、万円キー、五千円キー、千円キー等が設けられており、預り金の金額入力に合わせてこのキーを押したり、あるいはこのキーのみを押すことによって金種情報の入力が行えるようになっている。レシート発行部15は、顧客に受け渡す商品レシート等を発行する小型プリンタである。なお、かかるレジスタ10は、手入力された入出金金額を管理するだけではなく、紙幣収納庫20に収納される紙幣の金種及び枚数を管理する。
【0027】
紙幣収納庫20は、レジスタ10の下部に固着され、水平状態の長手方向の紙幣を受け入れる紙幣挿入口21を有する。その詳細な説明は後述するが、この紙幣収納庫20は、紙幣挿入口21から挿入された紙幣を集積部26に収納するとともに、紙幣挿入口21から挿入された紙幣の金種を判定処理し、判定処理した金種をレジスタ10に通知する。
【0028】
ドロア30は、各種の紙幣及び硬貨の集積庫であり、店員が顧客から受け取った紙幣又は硬貨をドロア30内に収納するとともに、釣銭となる紙幣又は硬貨をドロア30から取り出して顧客に受け渡す際に利用される。ドロア30は、レジスタ10からの開放指令により、開放されるようになっている。
【0029】
操作者である店員は、その業務開始時にカードリーダ13にIDカードを読み取らせた後に業務を開始し、顧客の到来時には、商品の金額をレジスタ10の操作部14から手入力し、顧客から受け取った紙幣及び硬貨をドロア30に収納し、釣銭をドロア30から取り出して顧客に受け渡す作業を行う。ただし、操作者は、一万円札のような釣銭とならない高額紙幣については、紙幣収納庫20に収納することになる。
【0030】
次に、図1に示した紙幣収納庫20の構成について説明する。図2は、図1に示した紙幣収納庫20の構成を示す図である。同図に示すように、この紙幣収納庫20には、紙幣挿入口21、磁気ヘッド22、フォトセンサ23、ローラ24、集積機構25及び集積部26が設けられている。なお、その詳細な説明は後述するが、この紙幣収納庫20には、記憶部28及び制御部29も設けられている。
【0031】
紙幣挿入口21は、水平状態の紙幣を受け入れる挿入口であり、この紙幣挿入口21の挿入方向に沿った後方に紙幣通路が形成されている。この紙幣通路上には、搬送される紙幣の磁気を読み取る磁気ヘッド22と、搬送される紙幣を光学的に読み取るフォトセンサ23とが設けられている。かかる磁気ヘッド22で読み取った磁気データと、フォトセンサ23で読み取ったイメージデータとを用いて、紙幣の金種が判定される。
【0032】
ローラ24は、紙幣を紙幣通路上で搬送させるための搬送ローラであり、集積機構25は、紙幣通路を搬送された紙幣を集積部26に集積するための押し込み部である。この集積機構25は、パンタグラフ状の支持機構により支持された押込板によって紙幣を集積部26に押し込む。集積部26は、所定の収納上限値以下の枚数の紙幣を収納する集積部である。かかる紙幣収納庫20によれば、紙幣挿入口21に挿入された紙幣の金種を判定した後に、該紙幣を集積部26に収納することができる。
【0033】
次に、図1に示したレジスタ10及び紙幣収納庫20の内部構成についてさらに詳細に説明する。図3は、図1に示したレジスタ10及び紙幣収納庫20の内部構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、レジスタ10は、表示部11、顧客用表示部12、カードリーダ13、操作部14、レシート発行部15、インタフェース部16、記憶部17及び制御部18を有する。
【0034】
インタフェース部16は、紙幣収納庫20との間でデータ通信を行うためのインタフェース部である。なお、ここでは説明の便宜上その説明を省略するが、上位装置と通信を行う場合にも、このインタフェース部16を介して通信される。
【0035】
記憶部17は、不揮発性メモリ又はハードディスク装置等で構成される記憶デバイスであり、入出金データ17a及び紙幣データ17bを記憶する。入出金データ17aは、操作部14を介して手入力された入金金額及び出金金額を店員IDに対応付けて記憶したデータであり、紙幣データ17bは、紙幣収納庫20に記憶された紙幣の金種及び枚数を記憶するデータである。
【0036】
制御部18は、レジスタ10の全体制御を行う制御部であり、入出金管理部18a、紙幣管理部18b、判定処理部18c、表示制御部18d及びドロア制御部18eを有する。入出金管理部18aは、入出金データ17aを用いてレジスタ10の操作部14から手入力された入出金額を管理する管理部である。紙幣管理部18bは、紙幣データ17bを用いて紙幣収納庫20に収納された紙幣の金種及び枚数を管理する管理部である。
【0037】
判定処理部18cは、操作部14から手入力された金種情報と、紙幣収納庫20から通知される金種とが一致するか否かを判定処理する処理部である。表示制御部18dは、表示部11及び顧客用表示部12の表示内容を表示制御する制御部である。ここで、手入力された金種情報と紙幣収納庫20から通知される金種とが一致しないと判定処理部18cが判定した場合には、表示制御部18dは、入金エラーを表示部11に表示制御し、両者が一致すると判定処理部18cが判定した場合には、正常に紙幣が収納された旨を表示部11に表示制御する。そして、この表示は必ずしも両方を行う必要はなく、少なくともいずれか一方のみの表示を行うようになっていても良い。また、判定処理部18cが一致しないと判定した場合、紙幣収納庫20側へその旨を通知しLED等の点灯により不一致状態を示す報知を行っても良いし、上位機との通信を介して責任者に通知するようにしても良い。ドロア制御部18eは、ドロア30の開閉を制御する制御部であり、ドロア30を開放する必要が生じた場合にのみドロア30に対して開放指令を出すようになっており、例えば、操作部14で入力された金種情報と紙幣収納装置から通知された金種とが一致しないことを判定処理部18cが判定した場合には、ドロア30を開放しないことにより、操作者が顧客から預かった貨幣の金種を間違って入力したり、釣銭の渡し間違いをするといったミスを防止することができる。
【0038】
紙幣収納庫20は、磁気ヘッド22、フォトセンサ23、ローラ24、インタフェース部27、記憶部28及び制御部29を有する。インタフェース部27は、レジスタ10との間でデータ通信を行うためのインタフェース部である。
【0039】
記憶部28は、不揮発性メモリ又はハードディスク装置等で構成される記憶デバイスであり、上限値28a及び紙幣データ28bを記憶する。上限値28aは、集積部26に蓄積できる紙幣の枚数の上限値であり、紙幣データ28bは、紙幣収納庫20に記憶された紙幣の金種及び枚数を記憶するデータである。なお、かかる紙幣データ28bを記憶することにより、レジスタ10の問い合わせに応答して、いつでも紙幣データ28bをレジスタ10に送信することができる。
【0040】
制御部29は、紙幣収納庫20を全体制御する制御部であり、金種判定処理部29a、金種通知部29b、計数処理部29c、上限判定部29d及び上限通知部29eを有する。金種判定処理部29aは、磁気ヘッド22で検知した紙幣の磁気データ及びフォトセンサ23で検知したイメージデータを用いて紙幣の金種を判定処理する処理部である。金種通知部29bは、金種判定処理部29aで判定処理された金種をレジスタ10に対して通知する処理部である。
【0041】
計数処理部29cは、集積部26に収納された紙幣の枚数を計数するカウンタであり、集積部26に紙幣が収納される度にインクリメントされる。上限判定部29dは、計数処理部29cで計数した紙幣の枚数と記憶部28に記憶した上限値28aとを比較して、紙幣の収納枚数が上限値に達したか否かを判定する処理部である。上限通知部29eは、上限判定部29dにより収納枚数が上限値に達したと判定された場合に、その旨をレジスタ10に通知する処理部である。なお、かかる上限通知部29eによって上限値に達した旨が通知された場合には、レジスタ10の表示制御部18dは、「次回、ドロア30に紙幣を収納して下さい」と表示部11に表示制御することになる。また、上限値28aを満杯状態よりも少し少ないニアフル状態の値に設定して、満杯状態になる前に所定量以上の紙幣が収納されて満杯間近である旨を報知するようにしても良い。
【0042】
次に、図1に示したレジスタ10及び紙幣収納庫20の処理手順について説明する。図4は、図1に示したレジスタ10及び紙幣収納庫20の処理手順を示すフローチャートである。なお、ここではドロア収納フラグを用いて、紙幣を紙幣収納庫20に収納させるかドロア30に収納されるかを判定している。初期状態では、このドロア収納フラグが「オフ」、つまり紙幣収納庫20に収納させる状態となっている。なお、図3では図示省略したが、かかるドロア収納フラグは、記憶部17内に記憶されている。
【0043】
図4に示すように、レジスタ10が操作部14を介して手入力された入金金額(例えば一万円)を受け付けたならば(ステップS101)、ドロア収納フラグが「オン」であるか否かを確認する(ステップS102)。そして、ドロア収納フラグが「オン」である場合には、紙幣をドロアに収納すべき旨を表示部11に表示して(ステップS118)、処理を終了する。
【0044】
一方、ドロア収納フラグが「オフ」である場合には、レジスタ10の紙幣管理部18bは紙幣収納庫20に対して紙幣収納を指示する(ステップS103)。紙幣収納庫20が、この紙幣収納指示を受け付けたならば(ステップS104:Yes)、紙幣挿入口21から紙幣を受け付け(ステップS105)、この紙幣の金種を判定する(ステップS106)。具体的には、磁気ヘッド22で検知した磁気信号とフォトセンサ23で検知したイメージデータを各紙幣の参照データと比較して、最も近いものを選択することになる。
【0045】
その後、紙幣収納庫20は、金種データをレジスタ10に対して通知する(ステップS107)。レジスタ10が、この金種データを受信したならば(ステップS108:Yes)、この金種データを入金金額と比較して、入金金額の金種の紙幣を紙幣収納庫20が受け付けたのか否かを判定する(ステップS109)。
【0046】
その結果、入金金額と金種データが一致する場合には(ステップS109:Yes)、正常に紙幣が収納された旨を表示部11に表示し(ステップS110)、記憶部17内の紙幣データ17bを更新する(ステップS111)。一方、入金金額と金種データが一致しない場合には(ステップS109:No)、入金エラーを表示部11に表示制御する(ステップS112)。
【0047】
また、紙幣収納庫20は、紙幣を受け付ける度に、紙幣の収納枚数を示すカウンタをインクリメントし(ステップS113)、カウンタの値が上限値以上となったか否かを判定する(ステップS114)、そして、カウンタの値が上限値未満である場合には(ステップS114:No)、処理を終了し、カウンタの値が上限値以上となった場合には(ステップS114:Yes)、レジスタ10に対してドロア収納指示データを通知する(ステップS115)。
【0048】
レジスタ10が、紙幣収納庫20からドロア収納指示データを受信したならば(ステップS116:Yes)、ドロア収納フラグを「オン」にして(ステップS117)、次回は紙幣をドロアに収納すべき旨を表示部11に表示する(ステップS118)。
【0049】
上述してきたように、本実施例1では、レジスタ10の下部に紙幣収納庫20を設け、この紙幣収納庫20の紙幣挿入口21に挿入された紙幣を集積部26に収納するとともに、該紙幣の金種を判定処理してレジスタ10に通知し、レジスタ10で紙幣データ17bとして管理するよう構成したので、紙幣釣銭機等を設けなくても紙幣収納庫20に収納された紙幣を厳正に管理することができる。特に、操作部14から手入力された入力金額と紙幣収納庫20から受け付けた金種データが不一致である場合には、入金エラーを表示することとしたので、正確な現金管理を行うことができる。
【実施例2】
【0050】
ところで、上記実施例1では、レジスタ10とドロア30が別体である場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。そこで、本実施例2では、レジスタ10とドロア30が一体化されている場合について説明する。
【0051】
図5は、本実施例2に係るレジシステムの外観構成を示す図である。同図に示すように、このレジスタ40は、表示部11、顧客用表示部12、カードリーダ13、操作部14及びレシート発行部15とともに、ドロア41が一体化した態様で設けられている。なお、ドロア41については、図1に示したドロア30と同様に、引き出し式のものである。
【0052】
かかる場合には、実施例1のようにドロア41の上部に紙幣収納庫20を設けることはできないため、ドロア41の下部に紙幣収納庫20が固着されることになる。なお、紙幣収納庫20及びレジスタ40の構成及び処理については実施例1のものと同様になるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【実施例3】
【0053】
また、上記実施例1では、レジスタ10と、紙幣収納庫20と、ドロア30とでレジシステムを構成した場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。そこで、本実施例3では、硬貨釣銭機を設けた場合を示すこととする。
【0054】
図6は、本実施例3に係るレジシステムの外観構成を示す図である。同図に示すように、ここではレジスタ10の下部に硬貨釣銭機50が設けられている。この硬貨釣銭機50は、硬貨を投入して釣銭を払い出す装置であり、表示部51、操作部52、状態表示用LED53、硬貨投入口54及び硬貨出金口55が設けられている。
【0055】
表示部51は、液晶パネル等の表示デバイスであり、操作部52は、設定操作等を行うためのボタンからなる。状態表示用LED53は、装置の設定状態を表示するLEDであり、硬貨投入口54は入金される硬貨を投入するための投入口である。硬貨出金口55は、釣銭となる硬貨を出金するための出金口である。
【0056】
かかる硬貨釣銭機50を設ける場合には、スペースを有効利用するために、紙幣収納庫60を縦置きにして硬貨釣銭機50に併設し、垂直状態の長手方向の紙幣を紙幣挿入口61から受け付けるように構成することが望ましい。なお、紙幣収納庫60及びレジスタ10の構成及び処理については実施例1のものと同様になるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【実施例4】
【0057】
ところで、上記実施例3では、紙幣収納庫を縦置きにする場合を示したが、この紙幣収納庫に収納できる収納枚数を増やしたい場合がある。そこで、本実施例4では、硬貨釣銭機を設けるとともに、紙幣収納庫の収納枚数を増やす場合について説明する。
【0058】
図7は、本実施例4に係るレジシステムの外観構成を示す図である。同図に示すように、この場合についても、スペースを有効利用するために、紙幣収納庫70を硬貨釣銭機50に併設している。ただし、紙幣の収納枚数を増やすために、紙幣収納庫70の幅に厚みを持たせ、垂直状態の長手方向の紙幣を紙幣挿入口71から受け付けるようにしている。
【0059】
図8は、図7に示した紙幣収納庫70の構成を示す図である。同図に示すように、この紙幣収納庫70には、紙幣挿入口71、磁気ヘッド72、フォトセンサ73、ローラ74、集積機構75及び集積部76が設けられている。紙幣搬送をより確実にするために、ローラ74が二カ所に設けられている。なお、各部の構成については、図2に示したものと同様のものとなる。
【実施例5】
【0060】
ところで、上記実施例3及び4では、硬貨釣銭機をレジシステムに追加した場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、所定枚数の硬貨を包装した棒金を管理する棒金管理装置をレジシステムにさらに追加した場合に適用することもできる。
【0061】
図9は、本実施例5に係るレジシステムの外観構成を示す図であり、図10は、棒金管理装置90から収納部を引き出した状態を示す図である。但し、レジスタ10は図示を省略している。図9に示すように、このレジシステムは、レジスタ(図示省略)と、硬貨釣銭機50と、ドロア80と、棒金管理装置90とからなる。この棒金管理装置90の収納部には棒金93を整列して収納している。
【0062】
棒金管理装置90は、硬貨釣銭機50の予備硬貨を棒金状態で収納保管する装置であり、この棒金管理装置90を用いることで、金種別の収納本数を管理することができる。この棒金管理装置90は、金種別に棒金の収納場所が決められており、またサイズが大きなものについては収納できない。なお、収納部の開け閉めに連動して棒金93の直径を検出し、異金種を検出するように構成されている。
【0063】
ここで、本発明に係る紙幣収納庫92は、かかる棒金管理装置90の内部に設けることができ、棒金管理装置90の前面部分に紙幣挿入口91を設けることができる。この場合には、水平状態の紙幣を紙幣挿入口91に挿入するよう構成することが望ましい。このように、棒金管理装置90を設ける場合には、該棒金管理装置90の収納部の内部に紙幣収納庫92を設けることが、省スペース化の観点から見て有効である。
【0064】
なお、上記実施例1〜5では、レジスタに紙幣収納庫を設けて入金金額を手入力する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、バーコードリーダを有するPOSレジスタに紙幣収納庫を設ける場合に適用することもできる。
【0065】
また、上記実施例1では、紙幣収納庫20で上限値に達したか否かを判定する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、レジスタ10で紙幣の収納枚数が上限値に達したか否かを判定することもできる。かかる場合には、記憶部17に記憶した紙幣データ17bに含まれる紙幣枚数を上限値と比較すれば良い。
【0066】
さらに、上記実施例1〜5では、紙幣収納部に紙幣を収納する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、商品券等を紙幣収納庫に収納する場合に適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上のように、本願の開示する貨幣入出金システム、紙幣収納装置及び金銭登録機は、導入コストを抑制しつつ厳正な現金管理を行う場合に適している。
【符号の説明】
【0068】
10 レジスタ
11 表示部
12 顧客用表示部
13 カードリーダ
14 操作部
15 レシート発行部
16 インタフェース部
17 記憶部
17a 入出金データ
17b 紙幣データ
18 制御部
18a 入出金管理部
18b 紙幣管理部
18c 判定処理部
18d 表示制御部
20 紙幣収納庫
21 紙幣挿入口
22 磁気ヘッド
23 フォトセンサ
24 ローラ
25 集積機構
26 集積部
27 インタフェース部
28 記憶部
28a 上限値
28b 紙幣データ
29 制御部
29a 金種判定処理部
29b 金種通知部
29c 計数処理部
29d 上限判定部
29e 上限通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金額・金種等の入力情報に基づいて入出金を管理する金銭登録機と、該金銭登録機に組み付けられる紙幣収納装置とを有する貨幣入出金システムであって、
前記紙幣収納装置は、
紙幣挿入口から受け付けた紙幣を収納する紙幣収納部と、
前記紙幣挿入口から受け付けた紙幣の金種を判定処理する金種判定処理部と、
前記金種判定部により判定処理された金種を通知する金種通知部とを備え、
前記金銭登録機は、
前記紙幣収納部から通知された金種に基づいて該紙幣収納装置に収納された紙幣を管理する紙幣管理部を備えた
ことを特徴とする貨幣入出金システム。
【請求項2】
貨幣を収納するドロアをさらに備え、前記紙幣収納装置は、前記ドロアの下部に配置され、前記紙幣挿入口は、前記紙幣を水平状態で受け入れることを特徴とする請求項1に記載の貨幣入出金システム。
【請求項3】
釣銭としての硬貨を出金する硬貨釣銭機をさらに備え、前記紙幣収納装置は、前記硬貨釣銭機の側方に並列して配置され、前記紙幣挿入口は、前記紙幣を垂直状態で受け入れることを特徴とする請求項1に記載の貨幣入出金システム。
【請求項4】
棒金を管理する棒金管理装置をさらに備え、前記紙幣収納装置は、前記棒金管理装置の内部に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の貨幣入出金システム。
【請求項5】
前記金銭登録機は、入力された金種情報と前記紙幣収納装置から通知された金種とが一致するか否かを判定する判定部と、前記判定部により一致しないと判定された場合の入金エラーの報知、又は、一致すると判定された場合の正常に紙幣が収納された旨の報知、の少なくともいずれか一つを報知する報知部とをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の貨幣入出金システム。
【請求項6】
前記紙幣収納装置は、前記紙幣収納部に収納された紙幣の収納枚数を計数処理する計数処理部と、前記計数処理部により計数処理された収納枚数が所定の収納上限値に達したか否かを判定する上限判定部と、前記上限判定部により収納上限値に達したと判定された場合に、前記金銭登録機に対して収納上限値に達した旨を通知する上限通知部とをさらに備え、
前記金銭登録機は、前記紙幣収納装置から収納上限値に達した旨の通知を受け付けた場合に、次回の紙幣を前記ドロアに収納するよう所定の表示部に表示制御する表示制御部をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の貨幣入出金システム。
【請求項7】
前記金銭登録機は、入力された金種情報と前記紙幣収納装置から通知された金種とが一致するか否かを判定する判定部と、前記判定部により一致すると判定された場合にのみ前記ドロアに対して開放指令を出すドロア制御部とをさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の貨幣入出金システム。
【請求項8】
入力された金種情報に基づいて入出金を管理する金銭登録機に組み付けられる紙幣収納装置であって、
紙幣挿入口から受け付けた紙幣を収納する紙幣収納部と、
前記紙幣挿入口から受け付けた紙幣の金種を判定処理する金種判定処理部と、
前記金種判定部により判定処理された金種を通知する金種通知部と
を備えたことを特徴とする紙幣収納装置。
【請求項9】
前記紙幣収納部に収納された紙幣の収納枚数を計数処理する計数処理部と、前記計数処理部により計数処理された収納枚数が所定の収納上限値に達したか否かを判定する上限判定部と、前記上限判定部により収納上限値に達したと判定された場合に、前記金銭登録機に対して収納上限値に達した旨を通知する上限通知部とをさらに備えたことを特徴とする請求項8に記載の紙幣収納装置。
【請求項10】
入力された金額に基づいて入出金を管理する金銭登録機であって、
装置に組み付けられた紙幣収納装置により金種判定された該紙幣収納装置に収納される紙幣の金種を受け付ける金種受付部と、
前記金種受付部により受け付けた金種に基づいて該紙幣収納装置に収納された紙幣を管理する紙幣管理部と
を備えたことを特徴とする金銭登録機。
【請求項11】
前記紙幣収納装置から収納上限値に発した旨の通知を受け付けた場合に、次回の紙幣を前記ドロアに収納するよう所定の表示部に表示制御する表示制御部をさらに備えたことを特徴とする請求項10に記載の金銭登録機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−98961(P2012−98961A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246852(P2010−246852)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】