説明

貨幣処理システム

【課題】収納部材のステータスおよび収納部材内の貨幣の在高を管理することが可能な貨幣処理システムを提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る貨幣処理システム1は、顧客と店員との間で貨幣をやりとりする店舗10と、店舗10内の貨幣を回収するための金庫22が設置された出納室20と、店舗10と出納室20との間で収納部材40を搬送するエアシュータ30とを備え、エアシュータ30にセットされる収納部材40から、この収納部材40を識別するための収納部材識別子を読み取る読取り機15と、読取り機15によって読み取られた収納部材識別子を受信し、かつ、この収納部材識別子を含む収納部材情報、および店舗10を識別するための店舗識別子を送信する制御装置11と、制御装置11から店舗識別子および収納部材情報を受信し、かつ、収納部材情報を店舗識別子と関連付けた店舗別収納部材情報を記憶する店舗内在高管理端末21と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣処理システムに関し、より詳しくは、エアシュータにより店舗と出納室の間で収納部材を搬送する貨幣処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット等において店舗と出納室間で貨幣(紙幣、硬貨)を搬送する手段の一つとして、貨幣を収納した収納部材(カプセル)を搬送するエアシュータ(気送管システム)が知られている。例えば、特許文献1には、スーパーマーケットのキャッシュデスクで処理された現金を出納室に搬送するためのエアチューブシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第0034940号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のエアチューブを用いた貨幣処理システムでは、収納部材を管理しておらず、エアシュータにより回収される貨幣がどの店舗において貨幣処理システムに投入されたものなのか等を確認することができない。このため、貨幣処理システム内の貨幣を厳正に管理できず、セキュリティ上望ましくなかった。
【0005】
そこで、本発明は、収納部材のステータスおよび収納部材内の貨幣の在高を管理することが可能な貨幣処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による貨幣処理システムは、顧客と店員との間で貨幣をやりとりする店舗と、前記店舗内の貨幣を回収するための金庫が設置された出納室と、前記店舗と前記出納室との間で収納部材を搬送するエアシュータと、を備える貨幣処理システムであって、前記エアシュータにセットされる前記収納部材から、前記収納部材を識別するための収納部材識別子を読み取る、第1の読取り機と、前記第1の読取り機によって読み取られた前記収納部材識別子を用いて前記収納部材識別子を含む収納部材情報を作成し、前記収納部材情報および前記店舗を識別するための店舗識別子を送信する、制御装置と、前記制御装置から前記店舗識別子および前記収納部材情報を受信し、かつ、前記収納部材情報を前記店舗識別子と関連付けた店舗別収納部材情報を記憶する、店舗内在高管理端末と、を備える。このような貨幣処理システムによれば、収納部材を店舗と関連付けて管理することができ、収納部材内の貨幣がどの店舗で投入されたものかを把握することが可能となる。
【0007】
また、本発明の一態様による貨幣処理システムにおいて、前記エアシュータにセットされた前記収納部材に貨幣を収納する、収納部と、投入された貨幣の識別を行う識別部を有し、前記識別部により識別された貨幣を前記収納部に投出する識別機と、をさらに備え、前記制御装置は、ある取引において前記識別機に貨幣が投入されると、前記収納部により前記収納部材に収納された貨幣の金種別在高を用いて、前記収納部材情報を更新し、前記店舗内在高管理端末は、前記制御装置から受信した前記更新された収納部材情報を用いて、前記店舗別収納部材情報を更新するようにしてもよい。これにより、収納部材の貨幣の在高を管理することができる。
【0008】
また、本発明の一態様による貨幣処理システムにおいて、前記店舗別収納部材情報は、前記収納部材が前記エアシュータにセットされた時刻もしくは前記店舗において前記収納部材の前記収納部材識別子が読み取られた時刻、前記収納部材に貨幣が収納された時刻、前記収納部材が前記金庫に搬送された時刻、および前記出納室において前記収納部材の前記収納部材識別子が読み取られた時刻のうち少なくともいずれかを含むようにしてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様による貨幣処理システムにおいて、前記店舗別収納部材情報は、前記収納部材のステータスとして、前記収納部材が前記エアシュータにセットされる前の状態である第1の状態、前記収納部材が前記エアシュータにセットされた状態である第2の状態、および前記収納部材が前記エアシュータにより前記金庫に搬送された状態である第3の状態のうちいずれかを含み、前記制御装置は、前記収納部材のステータスが変わると、前記収納部材情報を更新し、前記店舗内在高管理端末は、前記制御装置から受信した前記更新された収納部材情報を用いて前記店舗別収納部材情報を更新するようにしてもよい。これにより、店舗内在高管理端末により収納部材のステータスを管理することができる。
【0010】
また、本発明の一態様による貨幣処理システムにおいて、前記制御装置は、前記エアシュータのステータスを通知するステータス通知部から、前記収納部材が前記エアシュータにセットされたことを通知されると、前記収納部材情報のステータスを前記第1の状態から前記第2の状態に変更し、前記ステータス通知部から、前記エアシュータにセットされた前記収納部材が前記エアシュータにより前記金庫に搬送されたことを通知されると、前記収納部材情報のステータスを前記第2の状態から前記第3の状態に変更するようにしてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様による貨幣処理システムにおいて、前記店舗別収納部材情報は、前記収納部材のステータスとして、前記収納部材が前記エアシュータにセットされる前の状態である第1の状態、前記収納部材が前記エアシュータにセットされた状態である第2の状態、前記収納部材が前記エアシュータにより前記金庫に搬送された状態である第3の状態、前記収納部材が警送会社に搬送中の状態である第4の状態、および前記収納部材が前記警送会社に搬送された状態である第5の状態のうちいずれかを含み、前記制御装置は、前記収納部材のステータスが変わると、前記収納部材情報を更新し、前記店舗内在高管理端末は、前記制御装置から受信した前記更新された収納部材情報を用いて前記店舗別収納部材情報を更新するようにしてもよい。これにより、収納部材のステータスをより詳細に管理することができる。
【0012】
また、本発明の一態様による貨幣処理システムにおいて、前記制御装置は、前記エアシュータのステータスを通知するステータス通知部から、前記収納部材が前記エアシュータにセットされたことを通知されると、前記収納部材情報のステータスを前記第1の状態から前記第2の状態に変更し、前記ステータス通知部から、前記エアシュータにセットされた前記収納部材が前記エアシュータにより前記金庫に搬送されたことを通知されると、前記収納部材情報のステータスを前記第2の状態から前記第3の状態に変更し、前記店舗内在高管理端末は、前記金庫から取り出された前記収納部材の収納部材識別子が前記出納室において読み取られると、前記店舗別収納部材情報のステータスを前記第3の状態から前記第4の状態に変更し、前記警送会社に搬送された前記収納部材の収納部材識別子が前記警送会社において読み取られると、前記店舗別収納部材情報のステータスを前記第4の状態から前記第5の状態に変更するようにしてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様による貨幣処理システムは、前記店舗内在高管理端末に接続され、かつ、前記収納部材識別子を読み取る第2の読取り機をさらに備えてもよい。
【0014】
また、本発明の一態様による貨幣処理システムは、前記店舗内在高管理端末と通信可能に接続されたCIT店舗内在高管理端末をさらに備え、前記第2の読取り機によって前記金庫から取り出された前記収納部材の収納部材識別子が読み取られると、前記店舗内在高管理端末は、当該収納部材の収納部材情報を、前記CIT店舗内在高管理端末に送信するようにしてもよい。これにより、警送会社はCIT店舗内在高管理端末から、警送会社に回収される収納部材の在高等の情報を得ることができる。
【0015】
また、本発明の一態様による貨幣処理システムは、前記CIT店舗内在高管理端末に接続され、かつ、前記収納部材識別子を読み取る第3の読取り機をさらに備えてもよい。
【0016】
また、本発明の一態様による貨幣処理システムにおいては、前記収納部材は、書き込みおよび読み出しが可能な記憶部を有し、前記記憶部は、前記店舗識別子および前記収納部材情報を記憶するようにしてもよい。これにより、店舗内在高管理端末やCIT店舗内在高管理端末がなくても、記憶部のリーダーを用いて収納部材情報を読み取ることができる。
【0017】
また、本発明の一態様による貨幣処理システムにおいては、前記エアシュータは、当該エアシュータにセットされた前記収納部材の前記記憶部に所定の情報を書き込むための書き込み部を有するようにしてもよい。これにより、収納部材に収納された貨幣の情報などを逐次記憶部に書き込むことができる。
【0018】
また、本発明の一態様による貨幣処理システムにおいては、前記エアシュータは、前記エアシュータにセットされた前記収納部材の前記収納部材識別子を読み取る読取り部を有し、かつ、前記読取り部で読み取られた前記収納部材識別子を前記制御装置に送信し、前記制御装置は、前記エアシュータの前記読取り部によって読み取られた収納部材識別子が、前記第1の読取り機によって読み取られた収納部材識別子と一致する場合に、前記店舗内在高管理端末に前記収納部材情報を送信するようにしてもよい。これにより、読取り機で収納部材識別子を読み取られた収納部材と異なる収納部材がエアシュータにセットされた場合における、管理情報と現物情報の不一致を防止することができる。
【0019】
また、本発明の一態様による貨幣処理システムにおいては、前記第1の読取り機は前記店舗に設置されたPOSレジスタに接続されているようにしてもよい。
【0020】
また、本発明の一態様による貨幣処理システムにおいては、前記POSレジスタは、前記第1の読取り機で読み取られた前記収納部材識別子と、前記店舗識別子としての前記POSレジスタの識別子とを前記制御装置に送信するようにしてもよい。
【0021】
また、本発明の一態様による貨幣処理システムにおいては、前記収納部材識別子は、前記収納部材の有するバーコードまたはICタグに記憶されているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明による貨幣処理システムによれば、収納部材のステータスおよび収納部材内の貨幣の在高を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態による貨幣処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】収納部を含むエアシュータ、および識別機の構成を示す構成図である。
【図3】(a)〜(c)は、収納機構により紙幣が収納部材に収納される様子を順に示す斜視図である。
【図4】収納機構を有する識別機の構成を示す構成図である。
【図5】収納部材をエアシュータにセットするときの、本実施形態による貨幣処理システムの動作を示すフロー図である。
【図6】識別機に貨幣を投入するときの、本実施形態による貨幣処理システムの動作を示すフロー図である。
【図7】(a)はカプセル情報の構成例を示し、(b)はレジスタ別カプセル情報の構成例を示す図である。
【図8】図1に示すシステムにおける、カプセルのステータスの遷移を説明するための図である。
【図9】店舗内在高管理端末に表示された、カプセルごとの在高を示す画面の一例である。
【図10】店舗内在高管理端末に表示された、カプセルの金種別在高を示す画面の一例である。
【図11】カプセルごとの在高を示す警送会社への送り状の一例である。
【図12】警送会社に設置された店舗内在高管理端末を含む貨幣処理システムの構成を示すブロック図である。
【図13】図10に示すシステムにおける、カプセルのステータスの遷移を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態に係る貨幣処理システムの構成を、図1を用いて説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る貨幣処理システム1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、貨幣処理システム1は、店員が顧客との間で貨幣(紙幣、硬貨)のやりとりをする店舗10と、店舗10内の貨幣を管理および回収する出納室20と、店舗10から出納室20に貨幣が収納された収納部材40を搬送するエアシュータ30とから構成されている。なお、図1において、店舗10は一つしか記載されていないが、一般的には、貨幣処理システム1は複数の店舗10を含む。
【0026】
次に、店舗10の構成について説明する。店舗10は、制御装置11と、POS(Point Of Sales)レジスタ12と、貨幣釣銭機13と、識別機14と、POSレジスタ12に接続された読取り機15とを含む。貨幣釣銭機13には、紙幣を入出金する紙幣釣銭機13Aと、硬貨を入出金する硬貨釣銭機13Bとがある。
【0027】
制御装置11は、図1に示すように、POSレジスタ12および貨幣釣銭機13に通信可能に接続されており、POSレジスタ12の表示部に所定のメッセージを表示させる。さらに、制御装置11は、貨幣釣銭機13内の貨幣の在高を管理するとともに、貨幣釣銭機13を制御する。
【0028】
また、制御装置11は、識別機14、および後で詳細に説明するエアシュータ30のステータス通知部31にも通信可能に接続されている。これにより、制御装置11は、識別機14を監視および制御するとともに、エアシュータ30を監視することが可能である。
【0029】
また、制御装置11は、図1に示すように、出納室20に設置された店舗内在高管理端末21と通信可能に接続されており、貨幣釣銭機13およびエアシュータ30にセットされた収納部材40内の貨幣の在高などのさまざまな情報を店舗内在高管理端末21に通知することが可能である。
【0030】
POSレジスタ12は、各種のメッセージや入出金情報(金種、枚数など)を表示する表示部と、店員が顧客からの受取金額などを入力するための入力部とを有する。
【0031】
また、POSレジスタ12は、読取り機15により読み取られた収納部材40の識別子(収納部材識別子)を制御装置11に通知する。この収納部材識別子は、収納部材40を示すものであり、収納部材ごとに一意に割り振られる。以下、収納部材識別子を「カプセルID」ともいう。
【0032】
読取り機15は、収納部材40の収納部材識別子を読み取る機器であり、例えば収納部材識別子を記憶する記憶部40m(後述)がICタグの場合にはICタグリーダである。また、収納部材識別子が収納部材40に貼付されたバーコードに記録される場合、読取り機15としてバーコードを読み取るバーコードリーダを用いる。
【0033】
貨幣釣銭機13は店員と顧客との間の精算処理などを行う。精算処理では、貨幣釣銭機13は、顧客が支払った代金を機内に収納する入金処理、および顧客へ支払う釣銭を機外に投出する出金処理を行う。
【0034】
また、貨幣釣銭機13は、出納室20の金庫22に機内の貨幣を回収するために、機内の貨幣を出金する回収動作を行う。
【0035】
また、貨幣釣銭機13は、投入された貨幣を収納し、収納された貨幣を操出可能な釣銭収納操出部を複数有する。各釣銭収納操出部は、割り当てられた金種の貨幣を収納する。貨幣釣銭機13内に収納される在高の上限値(残置枚数)は金種ごとに決められている。この残置枚数は、釣銭収納操出部が収納可能な貨幣の最大値とは限らない。例えば、高額紙幣の場合には、店舗内の在高を少なくするために、残置枚数として比較的低い値が設定される。
【0036】
識別機14は、投入された貨幣の識別を行う識別部145を有し、この識別部145により識別された貨幣をエアシュータ30の収納部32に投出するように構成されている。
【0037】
また、識別機14は、貨幣投入待ち状態か否かにより動作が異なる。貨幣投入待ち状態とは、貨幣の投入が可能な状態のことであり、貨幣投入待ち状態でなければ、貨幣を投入口から投入することができない、もしくは、投入された貨幣はリジェクトされ機外に投出される。貨幣投入待ち状態か否かについては制御装置11により設定される。即ち、制御装置11は、識別機14から通知された識別機14のステータスに基づいて、識別機14を貨幣の投入が可能な貨幣投入待ち状態にするか否かを決定する。
【0038】
さらに、識別機14は、制御装置11と通信可能に接続されており、識別機14のステータス(ジャム発生など)や識別した貨幣の情報(金種、枚数など)を制御装置11に通知する。
【0039】
次に、出納室20の構成について説明する。出納室20は、図1に示すように、店舗10内にある貨幣の在高を管理する店舗内在高管理端末21と、エアシュータ30によって店舗10から搬送された収納部材40を収納する金庫22と、金庫22から取り出された収納部材40の識別子を読み取るための読取り機23とを含む。
【0040】
店舗内在高管理端末21は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介して、店舗10に設置された制御装置11と通信可能に接続されている。この店舗内在高管理端末21は、店舗10内に設置された貨幣釣銭機13に収納されている貨幣の在高(金種、枚数)を管理するとともに、収納部材40に収納された貨幣の在高(金種、枚数)も管理する。
【0041】
次に、収納部材40を店舗10から出納室20に搬送するエアシュータ30について説明する。
【0042】
エアシュータ30は、店舗10の識別機14および出納室20の金庫22にそれぞれ接続されたエアチューブを有しており、エアチューブ内の空気圧により貨幣が収納された収納部材(カプセル)40を店舗10から出納室20に搬送するように構成されている。収納部材40は所定の方向を向くように、店員によりエアチューブの端部にセットされる。エアシュータ30には収納部材40が所定の位置にセットされたことを検知するセンサ(図示せず)が設けられている。後述のステータス通知部31は、このセンサにより収納部材40がエアシュータ30にセットされているか否かを知ることができる。
【0043】
エアシュータ30にセットされた収納部材40は、エアシュータ30に設けられた搬送ボタン(図示せず)を店員が押下することによって、出納室20に向けて搬送され、金庫22内に収納される。
【0044】
なお、エアシュータ30は、所定枚数の貨幣が収納部材40に収納されると、収納部材40を出納室20に向けて搬送するように構成することも可能である。これにより、所定枚数の貨幣を収納した収納部材40を自動的に出納室20に搬送することができる。
【0045】
また、エアシュータ30は、収納部材40に収納された貨幣の枚数を、後述のステータス通知部31により制御装置11を介して店舗内在高管理端末21に通知するとともに、店舗内在高管理端末21からの指示により収納部材40を搬送するように構成することも可能である。これにより、店舗内在高管理端末21の操作者は、収納部材40の在高を監視することができるとともに、収納部材40の在高に基づいて当該収納部材40を搬送することができる。
【0046】
次に、収納部材40の構成について詳細に説明する。図2に示すように、収納部材40は、例えば中空の円筒形状のものであり、側面には長手方向に延びる細長いスリット40aが設けられている。このスリット40aの長さは、収納部材40に収納されるべき紙幣の長さよりも大きく、スリット40aを介して収納部材40の内部に紙幣が投入される。なお、図2に示す収納部材40は、一例であり、収納部材40として様々なタイプのものを用いることができる。また、図2に示すように、収納部材40は、例えばICタグ等からなる記憶部40mを有する。この記憶部40mは、書き込みおよび読み出しが可能であり、収納部材40を識別するための識別番号(収納部材識別子)、および、収納部材40に収納された貨幣の情報(金種、枚数など)を記憶することができる。例えば、記憶部40mは、後述の収納部材情報を記憶してもよい。
【0047】
次に、図2を用いて、識別機14、およびエアシュータ30の有する収納部32の構成について詳しく説明する。
【0048】
図2に示すように、識別機14は、略直方体形状の筐体141と、投入口142と、投出口143と、搬送部144と、識別部145と、センサ146と、を備えている。
【0049】
識別機14の筐体141には、筐体141の外部から内部に紙幣を投入するための投入口142と、搬送部144により搬送された紙幣を筐体の内部から外部に投出する投出口143とが設けられている。
【0050】
搬送部144は、筐体141の内部に設けられ、投入口142により筐体141の内部に投入された紙幣を1枚ずつ搬送する。
【0051】
識別部145は、投入口142に投入され、搬送部144に搬送された紙幣の金種および真偽を識別する。
【0052】
センサ146は、例えばフォトインタラプタまたはフォトセンサから構成され、識別機14内のジャム(紙幣の詰まり)の発生を検知する。例えば、識別機14の投出口143から投出された紙幣が詰まり、収納部32の投入口322に正常に入らないときに、その紙幣を検知することができる。
【0053】
次に、エアシュータ30の有する収納部32の構成について図2を用いて説明する。収納部32は、エアシュータ30にセットされた収納部材40に、識別機14により識別された紙幣を収納する。収納部32の筐体321には投入口322が設けられており、識別機14の投出口143から投出された紙幣は投入口322から筐体321の内部に入り、一時保留部323に保留される。
【0054】
収納部32は収納機構324を備えており、この収納機構324は、一時保留部323に保留された紙幣を、エアシュータ30にセットされた収納部材40に収納するように構成されている。例えば、収納機構324は押し出し部材324aを有し、一時保留部323に保留された紙幣Sを収納部材40に押し込むように収納する。この押し込み動作の詳細について図3を用いて説明する。
【0055】
図3(a)〜(c)は、収納部材40と、押し出し部材324aを有する収納機構324とを示す斜視図であって、当該収納機構324により紙幣が収納部材40に収納される動作を順に示している。なお、図3に示す例では、収納部材40として、スリット40aが側面に設けられたものを使用している。図3に示すように、収納機構324の押し出し部材324aは、一時保留部323に保留された1枚の紙幣Sを収納部材40のスリット40aに向けて押し出し、紙幣Sを収納部材40に収納する。このようにして、識別機14に投入され、識別部145により識別された紙幣は、1枚ずつ収納部材40に収納される。
【0056】
また、収納部32はステータスを検知するためのセンサを有する。即ち、収納部32は、収納機構324の位置を検出するためのセンサ331と、一時保留部323に紙幣が存在するかどうかを検知するためのセンサ332とを有する。センサ331,332はフォトインタラプタまたはフォトセンサなどで構成される。
【0057】
センサ331により検知された収納機構324の位置情報によって、押し込み動作中か否かを知ることができる。
【0058】
このセンサ331およびセンサ332から得られる情報を用いて、収納部32にジャムが発生しているか否かを知ることができる。即ち、押し込み動作が終了したにもかかわらず一時保留部323に紙幣が存在するのであれば、ジャムが発生したと判断することができる。また、後述のセンサ333からの情報も用いてジャム発生の有無を判断してもよい。
【0059】
エアシュータ30は、図2に示すように、収納部材40に紙幣が収納されたことを検知するセンサ333を有する。このセンサ333は、フォトインタラプタまたはフォトセンサなどで構成され、一時保留部323と、エアシュータ30にセットされた収納部材40のスリット40aとの間(エアチューブに設けられたスリット等)に設けられている。
【0060】
次に、エアシュータ30のステータス通知部31について説明する。このステータス通知部31は、後述の各種のセンサ(センサ331〜333など)を用いてエアシュータ30(収納部32を含む。)のステータスを把握し、エアシュータ30のステータスを制御装置11に通知する。エアシュータ30のステータスは、収納部材40がエアシュータ30にセットされているか否か、収納動作中か否か、エアシュータ30内にジャムが発生しているか否かを含む。
【0061】
また、ステータス通知部31は、センサ333からの情報により、紙幣が収納部材40に収納されたことを知ることができ、紙幣が収納される度に制御装置11に通知してもよい。これにより、制御装置11は、収納部材40に収納されている紙幣の枚数を把握することができる。
【0062】
制御装置11は、収納部材40内の紙幣の在高を記憶する記憶部を有する。制御装置11が、この記憶部に記憶された在高を更新するタイミングは2つある。
【0063】
第1のタイミングは、識別機14に投入された貨幣が収納部材40に収納されたことをステータス通知部31から通知されたタイミングであり、このとき、制御装置11は記憶部に記憶された紙幣の在高を更新する。なお、ジャムの発生によって貨幣が収納部材40に収納されなかった場合には、当該貨幣は識別機14に再投入される。
【0064】
第2のタイミングは、識別機14に投入された紙幣が識別部14により識別されたことを識別機14から通知されたタイミングであり、このとき、制御装置11は記憶部に記憶された紙幣の在高を更新する。いずれのタイミングを用いるかはシステムの運用による。なお、第2のタイミングを用いる場合、識別機14に投入された紙幣がジャムの発生により識別機14から除去されて再投入されたものであるときは、ダブルカウントを避けるため、記憶部に記憶された貨幣の在高を更新しない。
【0065】
なお、紙幣を収納部材40に収納する収納部は、上記の例ではエアシュータに含まれていたが、識別機に含まれるようにしてもよい。図4は、収納部を有する識別機14Aの構成を示している。図4において、図3で説明した機能と同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付している。
【0066】
図4に示すように、エアシュータ30の端部は、識別機14Aの筐体141の外側面の近傍に設けられている。あるいは、エアシュータ30の端部は、識別機14Aの筐体141の外側面に取り付けられていてもよい。また、図4に示すように、識別機14の筐体141の内部において搬送部144の下流側端部の近傍には収納機構324が設けられている。このような識別機14A、投入口142に投入された紙幣は、搬送部144により一時保留部323まで搬送され、その後、図3を用いて説明したように、収納機構324により収納部材40内に収納される。
【0067】
識別機14Aは、エアシュータ30にセットされた収納部材40に紙幣を収納する収納機構324と、投入された紙幣の識別を行う識別部145とを有し、識別機14Aのステータスを通知するように構成される。
【0068】
次に、図5及び図6のフロー図を用いて、本実施形態による貨幣処理システムの動作を説明する。図5は収納部材40をエアシュータ30にセットするときの貨幣処理システムの動作を示し、図6は識別機14に貨幣を投入するときの貨幣処理システムの動作を示している。
【0069】
まず、POSレジスタ12は、カプセルIDの読取り処理を行う。このカプセルIDの読取り処理では、POSレジスタ12は、当該POSレジスタ12に接続された読取り機15により、エアシュータ30にセットすべき収納部材40のカプセルIDを読み取り、そして、読み取られたカプセルIDを制御装置11に通知する。この際、POSレジスタ12は、制御装置11に、カプセルIDとともに当該POSレジスタ12の識別子(レジスタID)を通知してもよい。
【0070】
制御装置11は、POSレジスタ12からカプセルIDを受信すると、カプセル情報(収納部材情報)の登録処理を行う。このカプセル情報の登録処理では、制御装置11は、収納部材40のカプセルIDを含むカプセル情報を新たに作成し、制御装置11の記憶部に記憶するとともに、レジスタIDおよび作成されたカプセル情報を店舗内在高管理端末21に送信する。
【0071】
ここで、図7(a)を用いてカプセル情報について具体的に説明する。図7(a)は、カプセル情報の構成(項目)の一例を示すものである。
【0072】
図7(a)に示すように、カプセル情報は、カプセルID、日付・時刻、金種別在高およびステータスから構成されている。「カプセルID」は、POSレジスタ12から通知された収納部材40の識別子である。
【0073】
カプセル情報の「日付・時刻」は、収納部材40がエアシュータ30にセットされた時刻であり、ステータス通知部31から制御装置11に通知される。なお、「日付・時刻」は、POSレジスタ12から通知された、収納部材40のカプセルIDを読み取った時刻でもよい。
【0074】
「金種別在高」は、識別機14から制御装置11に通知される情報であり、識別機14で識別された貨幣の金種ごとの枚数を示す。「ステータス」は、収納部材40のステータスを示すものであり、後で詳しく説明する。
【0075】
制御装置11は、作成したカプセル情報をレジスタIDとともに店舗内在高管理端末21に送信する。このレジスタIDは、POSレジスタ12の識別子である。
【0076】
店舗内在高管理端末21は、制御装置11からレジスタIDとカプセル情報とを受信すると、レジスタ別カプセル情報(店舗別収納部材情報)の登録処理を行う。このレジスタ別カプセル情報の登録処理では、店舗内在高管理端末21は、レジスタ別カプセル情報を作成し、店舗内在高管理端末21の記憶部に記憶する。なお、店舗内在高管理端末21の記憶部に既に金庫22に搬送された収納部材に関するレジスタ別カプセル情報があっても、その情報は削除しない。また、店舗内在高管理端末21の記憶部は、店舗内在高管理端末21が有してもよいし、通信可能に接続された他の装置の記憶部でもよい。
【0077】
ここで、図7(b)を用いてレジスタ別カプセル情報について具体的に説明する。図7(b)は、レジスタ別カプセル情報の構成(項目)の一例を示すものである。
【0078】
図7(b)に示すように、レジスタ別カプセル情報は、レジスタID、カプセルID、日付・時刻、在高、金種別在高およびステータスから構成されている。ここで、「日付・時刻」は、収納部材40がエアシュータ30にセットされた時刻(または店舗10において収納部材40のカプセルIDを読み取った時刻)、収納部材40に貨幣が収納された時刻、収納部材40が金庫22に搬送された時刻、または出納室20において収納部材40のカプセルIDを読み取った時刻である。また、「在高」は、収納部材40に収納された貨幣の枚数である。その他の項目については前述の通りである。
【0079】
図7(b)に示すように、レジスタ別カプセル情報では、店舗を示すレジスタIDと、カプセルIDとが関連付けられている。このため、収納部材と店舗がひも付けされ、どの収納部材にどの店舗の貨幣が投入されたか等について店舗内在高管理端末21で管理することが可能となる。
【0080】
収納部材に所定枚数の貨幣が収納されると、その収納部材は出納室の金庫に搬送され、店舗のエアシュータには新たな収納部材がセットされる。このようにセットされた収納部材についても、上記と同様の処理フローに従い、制御装置11によりカプセル情報が作成され、店舗内在高管理端末21によりレジスタ別カプセル情報が作成される。
【0081】
なお、制御装置11は、最新のカプセル情報のみ記憶するように構成してもよい。その場合、制御装置11は、POSレジスタ12から新たなカプセルIDを受信すると、古いカプセル情報を削除した上で、新たなカプセル情報の登録処理を行う。また、店員がPOSレジスタ12の入力部に指示することで、当該制御装置11と接続されたPOSレジスタ12の表示部に、制御装置11が記憶しているカプセル情報を表示するようにしてもよい。
【0082】
次に、識別機14に貨幣が投入されたときの貨幣処理システムの動作について、図6を用いて説明する。
【0083】
まず、ある取引における貨幣が識別機14の投入口142に投入されると、識別機14は入金処理を行う。この入金処理では、識別機14は、識別部145により投入された貨幣を識別し、入金データ(識別した貨幣の金種、枚数)を制御装置11に通知する。
【0084】
制御装置11は、識別機14から入金データを受信すると、当該制御装置11の記憶部に記憶されたカプセル情報を更新する。具体的には、図7(a)に示すカプセル情報の「金種別在高」の内容を更新する。例えば、入金データが、金種Aの貨幣5枚と金種Bの貨幣7枚とが入金されたことを示す場合、制御装置11はカプセル情報の金種Aおよび金種Bの在高をそれぞれ5および7だけ増加させる。なお、カプセル情報の更新は、エアシュータ30のステータス通知部31からの情報を併用して行ってもよい。即ち、識別機14からの入金データに加えて、例えばセンサ333等から得られる情報を用いてもよい。これにより、収納部材40への貨幣の収納をより確実に把握して、カプセル情報に反映することができる。
【0085】
次いで、制御装置11は、更新されたカプセル情報をレジスタIDとともに店舗内在高管理端末21に送信する。
【0086】
店舗内在高管理端末21は、制御装置11からレジスタIDと更新されたカプセル情報とを受信すると、レジスタ別カプセル情報の更新処理を行う。このレジスタ別カプセル情報の更新処理では、店舗内在高管理端末21は、通知されたレジスタIDおよびカプセルIDに対応するレジスタ別カプセル情報の内容を更新する。具体的には、図7(b)のレジスタ別カプセル情報の「在高」と「金種別在高」を更新する。
【0087】
カプセル情報およびレジスタ別カプセル情報の更新は、識別機14への貨幣投入時以外にも行われる。例えば、収納部材40のステータスが変わった場合にも、上記と同様に、制御装置11によるカプセル情報の更新および店舗内在高管理端末21への通知、並びに店舗内在高管理端末21によるレジスタ別カプセル情報の更新が行われる。
【0088】
次に、レジスタ別カプセル情報の項目の一つであるステータスについて、図8を用いて詳細に説明する。図8は、図1に示すシステムにおける収納部材40の取り得る3つのステータスおよびステータスの遷移を示している。“待機中”(状態M1)は、収納部材40がエアシュータ30にセットされる前(または読取り機15でカプセルIDが読み取られる前)の状態である。“使用中”(状態M2)は、収納部材40がエアシュータ30にセットされた状態である。“金庫に搬送済み”(状態M3)は、収納部材40がエアシュータ30により出納室の金庫22に搬送された状態である。
【0089】
制御装置11は、ステータス通知部31から、収納部材40がエアシュータ30にセットされたことを通知されると、カプセル情報のステータスを“待機中”から“使用中”に変更する。また、制御装置11は、ステータス通知部31から、エアシュータ30にセットされた収納部材40がエアシュータ30により金庫22に搬送されたことを通知されると、カプセル情報のステータスを“使用中”から“金庫に搬送済み”に変更する。前述のように、カプセル情報のステータスが変更されると、更新されたカプセル情報が店舗内在高管理端末21に送信され、レジスタ別カプセル情報が更新される。なお、収納部材40が出納室20の金庫22に搬送されると、制御装置11が記憶するカプセル情報はそれ以降更新されない。その後は、店舗内在高管理端末21がレジスタ別カプセル情報で管理する。
【0090】
店舗内在高管理端末21は、金庫22から取り出された収納部材40のカプセルIDが出納室20の読取り機23によって読み取られると、レジスタ別カプセル情報のステータスを“金庫に搬送済み”から“待機中”に変更する。
【0091】
上記からわかるように、レジスタ別カプセル情報を記憶・更新することで、店舗内在高管理端末21は、各店舗10内の収納部材40の在高およびステータス等を管理することができる。なお、店舗10の貨幣釣銭機13内の在高についても従来と同様に店舗内在高管理端末21で管理することができる。したがって、店舗内在高管理端末21は、貨幣処理システム1内の貨幣の在高を厳正に管理することができる。
【0092】
次に、店舗内在高管理端末21による収納部材40の管理イメージについて、図9および図10を用いて詳細に説明する。図9は、店舗内在高管理端末21に表示されたカプセル管理画面の一例である。
【0093】
「装置名」のカラムには、POSレジスタの名称(POS1,POS2,POS3)が表示される。この名称は、制御装置11から受信したレジスタIDに対応しており、店舗を識別するものである。
【0094】
「カプセルNo.」のカラムには、収納部材40の収納部材識別子に対応する番号が表示される。「日付・時刻」のカラムには、収納部材40のステータスが変わった日付および時刻が表示される。
【0095】
「カプセル収納金額」のカラムには、収納部材40に収納された金額が表示される。この金額は、レジスタ別カプセル情報の金種別在高の情報を用いて計算される。
【0096】
「金庫回収金額」のカラムには、出納室20の金庫22内に搬送された収納部材40に収納された金額が表示される。この金額は、収納部材40が金庫22に搬送される直前に収納部材40に収納された金額に等しい。店舗内在高管理端末21は、収納部材40のステータスが“使用中”から“金庫に搬送済み”に変わったことを制御装置11から通知されると、当該収納部材40の「カプセル収納金額」の金額に取り消し線を引くとともに、当該金額を「金庫回収金額」に表示する。
【0097】
「警送会社回収金額」のカラムには、収納部材40が金庫22から取り出されて警送会社(CIT:Cash In Transit)に搬送された金額が表示される。店舗内在高管理端末21は、収納部材40のステータスが“金庫に搬送済み”から“待機中”に変わると、当該収納部材40の「金庫回収金額」の金額に取り消し線を引くとともに、当該金額を「警送会社回収金額」に表示する。
【0098】
また、図9に示すように、「カプセル収納金額」、「金庫回収金額」および「警送会社回収金額」は、店舗ごとの小計のほか全店舗の合計が表示される。
【0099】
店舗内在高管理端末21は収納部材40に収納された貨幣の金種別在高も参照することができる。図10は、店舗内在高管理端末21に表示された金種別在高を画面の一例である。この画面は、例えば図9の画面の「カプセルNo.」カラムのカプセル番号をクリックすることにより表示される。図10は、カプセル番号1の収納部材40の金種別在高を表示している。
【0100】
店舗内在高管理端末21の操作者は、図9および図10の画面を参照することで、収納部材40に収納された貨幣がどこにどれだけあるのかを正確に把握することができる。したがって、本実施形態に係る貨幣処理システムによれば、収納部材のステータスおよび収納部材内の貨幣の在高管理を厳正に行うことができる。また、収納部材40内の貨幣の在高を店舗内在高管理端末21で把握しているため、銀行への入金を委託した警送会社に収納部材40を引き渡す際に、収納部材40内の貨幣を計数する必要がなく、出納室20における業務を効率化することができる。
【0101】
ところで、出納室20の金庫22から取り出された収納部材40はカプセルIDを読み取られた後、警送会社に搬送される。そして、収納部材40が警送会社に搬送されると、収納部材40内の貨幣が警送会社の警備員により取り出されて回収金額が計数される。この際、店舗内在高管理端末21の管理情報と照合可能とするため、店舗内在高管理端末21は、警送会社への送り状をプリンタ等の出力部(図示せず)から出力することができる。
【0102】
図11は、警送会社への送り状の一例を示している。この例では、店番号、店名、作成日、収納部材ごとの収納金額などが記載されている。この送り状を参照することで、警送会社は、回収した収納部材に収納された貨幣の金額と、店舗内在高管理端末21で管理している金額とを照合することができる。
【0103】
次に、変形例に係る貨幣処理システム1Aについて、図12を用いて説明する。この変形例に係る貨幣処理システム1Aでは、警送会社にも店舗内在高管理端末が設置される。
【0104】
図12は、貨幣処理システム1Aの構成を示すブロック図である。貨幣処理システム1Aは、図1で説明した構成を有するスーパーマーケット100と、警送会社200と、を含む。なお、図12において、図1で説明した機能と同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付している。
【0105】
警送会社200には、CIT店舗内在高管理端末201と、警送会社に搬送された収納部材40の収納部材識別子を読み取るための読取り機202とが設置されている。
【0106】
スーパーマーケット100の出納室20に設置された店舗内在高管理端末21と、警送会社200に設置されたCIT店舗内在高管理端末201とは、インターネット等の通信ネットワークを介して接続されている。店舗内在高管理端末21は、CIT店舗内在高管理端末201に金庫22に回収された収納部材40ごとの在高などに関する情報を送信する。これにより、CIT店舗内在高管理端末201は、スーパーマーケット100内に存在する収納部材40の各々について、位置(店舗10または出納室20)および収納された貨幣の在高を表示することができる。これにより、ユーザ(この場合、スーパーマーケット)の回収状況を、警送会社が把握することができるようになる。このため、警送会社は効率的に回収作業を行うことができる。その結果、ユーザは警送費用を削減することが可能となる。さらに、図11で説明した送り状がなくても、警送会社は収納部材40内の貨幣の在高と、管理上の在高とを照合することができる。
【0107】
次に、貨幣処理システム1Aにおける収納部材40のステータスについて、図13を用いて説明する。図13は、図12に示すシステムにおける収納部材40とり得る5つのステータスおよびステータスの遷移を示している。状態M1〜M3については、図8を用いて説明済みなので説明を省略する。
【0108】
“警送会社へ搬送中”(状態M4)は、収納部材40が警送会社に搬送中の状態である。“警送会社に搬送済み”(状態M5)は、収納部材40が警送会社に搬送された状態である。
【0109】
店舗内在高管理端末21は、金庫22から取り出された収納部材40のカプセルIDが出納室20の読取り機23によって読み取られると、レジスタ別カプセル情報のステータスを“金庫に搬送済み”から“警送会社へ搬送中”に変更する。
【0110】
また、店舗内在高管理端末21は、警送会社に搬送された収納部材40のカプセルIDが警送会社200の読取り機202によって読み取られると、その情報をCIT店舗内在高管理端末201から受信し、レジスタ別カプセル情報のステータスを“警送会社へ搬送中”から“警送会社に搬送済み”に変更する。なお、レジスタ別カプセル情報のステータス変更は、CIT店舗内在高管理端末201で行ってもよい。
【0111】
警送会社に搬送された収納部材40は開封され、内部に収納された貨幣が回収される。その後、空の収納部材40は、警送会社により、新たなカプセルIDを付与された後、スーパーマーケット100に返送される。
【0112】
なお、返送する収納部材40に新たなカプセルIDを付与しない場合、収納部材40のステータスは次のように遷移する。即ち、ユーザに返送された収納部材40のカプセルIDが店舗10の読取り機15によって読み取られると、制御装置11は、カプセル情報のステータスを“警送会社に搬送済み”から“待機中”に変更する。そして、店舗内在高管理端末21は、レジスタ別カプセル情報のステータスを“警送会社に搬送済み”から“待機中”に変更する。
【0113】
以上、本発明に係る実施形態について説明した。上記の説明では、読取り機15はPOSレジスタ12に接続されていたが、これに限らず、例えば制御装置11に接続されてもよい。
【0114】
また、上記説明では、レジスタIDはPOSレジスタ12の識別子であったが、これに限らず、店舗を識別可能な識別子(店舗識別子)であればよい。例えば、制御装置11等の店舗10に設置される装置のシリアル番号でもよい。
【0115】
また、エアシュータ30は、当該エアシュータにセットされた収納部材40の記憶部40mに所定の情報を書き込むための書き込み部を有してもよい。この書き込み部は、レジスタ別カプセル情報を記憶部40mに書き込むように構成することができる。店舗内在高管理端末21に通知するのと同様にして、制御装置11はエアシュータ30にレジスタIDおよびカプセル情報を送信し、その情報を元にエアシュータ30の書き込み部は収納部材40の記憶部40mにレジスタ別カプセル情報を書き込む。これにより、店舗内在高管理端末がなくても、レジスタ別カプセル情報を読み取ることができる。
【0116】
また、エアシュータ30は、当該エアシュータにセットされた収納部材40のカプセルIDを読み取るための読取り部を有してもよい。エアシュータ30は、この読取り部で読み取られたカプセルIDを制御装置11に送信する。制御装置11は、エアシュータ30で読み取られたカプセルIDが、読取り機15によって読み取られたカプセルIDと一致する場合に、店舗内在高管理端末21に収納部材情報を送信する。不一致の場合には、制御装置11は、店舗内在高管理端末21に収納部材情報を送信せず、不一致であることをPOSレジスタ12の表示部に表示させる。これにより、読取り機15でカプセルIDを読み取られた収納部材と異なる収納部材がエアシュータ30にセットされた場合に、管理情報と現物情報の間に不一致が発生することを防止することができる。
【0117】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0118】
1,1A 貨幣処理システム
10 店舗
11 制御装置
12 POSレジスタ
13 貨幣釣銭機
13A 紙幣釣銭機
13B 硬貨釣銭機
14,14A 識別機
20 出納室
21 店舗内在高管理端末
22 金庫
30 エアシュータ
31 ステータス通知部
32 収納部
40 収納部材(カプセル)
40a スリット
40m 記憶部
100 スーパーマーケット
141 筐体
142 投入口
143 投出口
144 搬送部
145 識別部
146 センサ
200 警送会社
321 筐体
322 投入口
323 一時保留部
324 収納機構
324a 押し出し部材
331,332,333 センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客と店員との間で貨幣をやりとりする店舗と、前記店舗内の貨幣を回収するための金庫が設置された出納室と、前記店舗と前記出納室との間で収納部材を搬送するエアシュータと、を備える貨幣処理システムであって、
前記エアシュータにセットされる前記収納部材から、前記収納部材を識別するための収納部材識別子を読み取る、第1の読取り機と、
前記第1の読取り機によって読み取られた前記収納部材識別子を用いて前記収納部材識別子を含む収納部材情報を作成し、前記収納部材情報および前記店舗を識別するための店舗識別子を送信する、制御装置と、
前記制御装置から前記店舗識別子および前記収納部材情報を受信し、かつ、前記収納部材情報を前記店舗識別子と関連付けた店舗別収納部材情報を記憶する、店舗内在高管理端末と、
を備えることを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項2】
前記エアシュータにセットされた前記収納部材に貨幣を収納する、収納部と、
投入された貨幣の識別を行う識別部を有し、前記識別部により識別された貨幣を前記収納部に投出する識別機と、をさらに備え、
前記制御装置は、ある取引において前記識別機に貨幣が投入されると、前記収納部により前記収納部材に収納された貨幣の金種別在高を用いて、前記収納部材情報を更新し、
前記店舗内在高管理端末は、前記制御装置から受信した前記更新された収納部材情報を用いて、前記店舗別収納部材情報を更新することを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項3】
前記店舗別収納部材情報は、前記収納部材が前記エアシュータにセットされた時刻もしくは前記店舗において前記収納部材の前記収納部材識別子が読み取られた時刻、前記収納部材に貨幣が収納された時刻、前記収納部材が前記金庫に搬送された時刻、および前記出納室において前記収納部材の前記収納部材識別子が読み取られた時刻のうち少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の貨幣処理システム。
【請求項4】
前記店舗別収納部材情報は、前記収納部材のステータスとして、前記収納部材が前記エアシュータにセットされる前の状態である第1の状態、前記収納部材が前記エアシュータにセットされた状態である第2の状態、および前記収納部材が前記エアシュータにより前記金庫に搬送された状態である第3の状態のうちいずれかを含み、
前記制御装置は、前記収納部材のステータスが変わると、前記収納部材情報を更新し、前記店舗内在高管理端末は、前記制御装置から受信した前記更新された収納部材情報を用いて前記店舗別収納部材情報を更新することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の貨幣処理システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記エアシュータのステータスを通知するステータス通知部から、前記収納部材が前記エアシュータにセットされたことを通知されると、前記収納部材情報のステータスを前記第1の状態から前記第2の状態に変更し、前記ステータス通知部から、前記エアシュータにセットされた前記収納部材が前記エアシュータにより前記金庫に搬送されたことを通知されると、前記収納部材情報のステータスを前記第2の状態から前記第3の状態に変更することを特徴とする請求項4に記載の貨幣処理システム。
【請求項6】
前記店舗別収納部材情報は、前記収納部材のステータスとして、前記収納部材が前記エアシュータにセットされる前の状態である第1の状態、前記収納部材が前記エアシュータにセットされた状態である第2の状態、前記収納部材が前記エアシュータにより前記金庫に搬送された状態である第3の状態、前記収納部材が警送会社に搬送中の状態である第4の状態、および前記収納部材が前記警送会社に搬送された状態である第5の状態のうちいずれかを含み、
前記制御装置は、前記収納部材のステータスが変わると、前記収納部材情報を更新し、前記店舗内在高管理端末は、前記制御装置から受信した前記更新された収納部材情報を用いて前記店舗別収納部材情報を更新することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の貨幣処理システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記エアシュータのステータスを通知するステータス通知部から、前記収納部材が前記エアシュータにセットされたことを通知されると、前記収納部材情報のステータスを前記第1の状態から前記第2の状態に変更し、前記ステータス通知部から、前記エアシュータにセットされた前記収納部材が前記エアシュータにより前記金庫に搬送されたことを通知されると、前記収納部材情報のステータスを前記第2の状態から前記第3の状態に変更し、
前記店舗内在高管理端末は、前記金庫から取り出された前記収納部材の収納部材識別子が前記出納室において読み取られると、前記店舗別収納部材情報のステータスを前記第3の状態から前記第4の状態に変更し、前記警送会社に搬送された前記収納部材の収納部材識別子が前記警送会社において読み取られると、前記店舗別収納部材情報のステータスを前記第4の状態から前記第5の状態に変更することを特徴とする請求項6に記載の貨幣処理システム。
【請求項8】
前記店舗内在高管理端末に接続され、かつ、前記収納部材識別子を読み取る第2の読取り機をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の貨幣処理システム。
【請求項9】
前記店舗内在高管理端末と通信可能に接続されたCIT店舗内在高管理端末をさらに備え、
前記第2の読取り機によって前記金庫から取り出された前記収納部材の収納部材識別子が読み取られると、前記店舗内在高管理端末は、当該収納部材の収納部材情報を、前記CIT店舗内在高管理端末に送信することを特徴とする請求項8に記載の貨幣処理システム。
【請求項10】
前記CIT店舗内在高管理端末に接続され、かつ、前記収納部材識別子を読み取る第3の読取り機をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の貨幣処理システム。
【請求項11】
前記収納部材は、書き込みおよび読み出しが可能な記憶部を有し、
前記記憶部は、前記店舗識別子および前記収納部材情報を記憶することを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の貨幣処理システム。
【請求項12】
前記エアシュータは、当該エアシュータにセットされた前記収納部材の前記記憶部に所定の情報を書き込むための書き込み部を有することを特徴とする請求項11に記載の貨幣処理システム。
【請求項13】
前記エアシュータは、前記エアシュータにセットされた前記収納部材の前記収納部材識別子を読み取る読取り部を有し、かつ、前記読取り部で読み取られた前記収納部材識別子を前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、前記エアシュータの前記読取り部によって読み取られた収納部材識別子が、前記第1の読取り機によって読み取られた収納部材識別子と一致する場合に、前記店舗内在高管理端末に前記収納部材情報を送信することを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の貨幣処理システム。
【請求項14】
前記第1の読取り機は前記店舗に設置されたPOSレジスタに接続されていることを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の貨幣処理システム。
【請求項15】
前記POSレジスタは、前記第1の読取り機で読み取られた前記収納部材識別子と、前記店舗識別子としての前記POSレジスタの識別子とを前記制御装置に送信することを特徴とする請求項14に記載の貨幣処理システム。
【請求項16】
前記収納部材識別子は、前記収納部材の有するバーコードまたはICタグに記憶されていることを特徴とする請求項1ないし15のいずれかに記載の貨幣処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−216005(P2012−216005A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79944(P2011−79944)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】