貨幣払出装置
【課題】カメラを用いて、貨幣が残っているか否かを判定する場合に、判定に好適な画像データを提供する。
【解決手段】透明な受け皿51と、受け皿51の上方に配置され受け皿51の貨幣受け面52aを撮像するカメラ54と、受け皿51の上方に配置されている撮像用光源55と、受け皿51の下方に配置されているストライプ板57とを備えている。ストライプ板57には、受けた光を反射する帯状白色部58と、受けた光を吸収する帯状黒色部59とが交互に縞模様状に形成されている。撮像用光源55からの光は、受け皿51を透過し、ストライプ板57の帯状白色部58で反射し、再び、受け皿51を透過して、カメラ54側に向かう。
【解決手段】透明な受け皿51と、受け皿51の上方に配置され受け皿51の貨幣受け面52aを撮像するカメラ54と、受け皿51の上方に配置されている撮像用光源55と、受け皿51の下方に配置されているストライプ板57とを備えている。ストライプ板57には、受けた光を反射する帯状白色部58と、受けた光を吸収する帯状黒色部59とが交互に縞模様状に形成されている。撮像用光源55からの光は、受け皿51を透過し、ストライプ板57の帯状白色部58で反射し、再び、受け皿51を透過して、カメラ54側に向かう。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣を払い出す貨幣払出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
貨幣を払い出す装置としては、例えば、釣銭を払い出す料金自動収受装置や自動販売機、さらに、銀行等に設置されているATM(Automated teller machine)等がある。
【0003】
これらの貨幣払出装置では、払い出した貨幣の取り忘れを検知するために各種機能が設けられている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載の技術では、硬貨が払い出される箇所に、静電容量式センサを設け、この静電容量式センサで検知された静電容量の変化により、硬貨が残されているか否かを判定している。また、特許文献2に記載の技術では、硬貨が払い出される箇所に、光電式センサ又は超音波式センサを設け、これらのセンサからの出力変化により、硬貨が残されているか否かを判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−193090号公報
【特許文献2】特開平6−36110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
貨幣の有無を検出するセンサとしては、以上で述べたセンサの他、撮像手段としてのカメラが考えられる。このカメラを用いた場合、貨幣払出装置の設置場所が屋外であると、太陽光に代表される外光による影響を受けて、カメラで得られた画像データから、貨幣が残っているか否かの判定を的確に行うことができないことが予想される。
【0007】
そこで、本発明では、カメラ等の撮像手段を用いて、貨幣が残っているか否かを判定する場合に、判定に好適な画像データを提供することができる貨幣払出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための発明に係る貨幣払出装置は、
払い出された貨幣を受ける受け皿を備えている貨幣払出装置において、
前記受け皿には、該受け皿を基準にして一方の側から他方の側へ光が透過する透明部が、少なくとも該受け皿の貨幣受け面を含む部分に形成され、前記受け皿を基準にして前記他方の側に配置され、前記一方の側からの光に照らされた前記貨幣受け面を撮像する撮像手段を備えている、ことを特徴とする。
【0009】
該貨幣払出装置では、受け皿の貨幣受け面を含む部分を透明にし、撮像手段が、受け皿を基準にして撮像手段と反対側からの光を含む光で、貨幣受け面を撮像するので、仮に、受け皿が西日等の外光に一時的に照らされても、撮像手段が取得する画像データ中で、受け皿表面上が外光を反射することによる輝度変化の影響を小さくすることができる。よって、該貨幣払出装置によれば、受け皿が外光に一時的に照らされても、貨幣が残っているか否かの判定をより確実に行うことができる。
【0010】
ここで、前記貨幣払出装置において、前記一方の側から前記貨幣受け面を照らすための光を発する光源を備えていてもよい。
【0011】
上記貨幣払出装置では、撮像に必要な光を安定して確保できるため、貨幣が残っているか否かの判定に、より好適な画像データを提供することができる。
【0012】
また、前記貨幣払出装置において、前記一方の側から前記貨幣受け面を照らす光は、該貨幣受け面を、高輝度部と低輝度部とを特定パターンで照らす光であってもよい。この場合、前記特定パターンは、前記高輝度部及び前記低輝度部がいずれも帯状を成し、帯状の該高輝度部と帯状の該低輝度部とが交互に並ぶ縞模様であってもよい。
【0013】
該貨幣払出装置では、撮像手段が特定パターンに照らされた貨幣受け面を撮像することになるので、貨幣払出後の画像データに対する基準画像データ、つまり、貨幣払出前の画像データが、どのようなデータであるか予め把握できる。よって、該貨幣払出装置によれば、基準画像データを得るために、貨幣払出直前に、受け皿の貨幣受け面を撮像する手間を省くことができる。さらに、該貨幣払出装置では、撮像手段が特定パターンに照らされた貨幣受け面を撮像することになるので、撮像手段は、貨幣受け面上に貨幣が存在すれば特定パターンが乱されている画像データを取得し、貨幣受け面上に貨幣が存在しなければ特定パターンが実質的に乱されていない画像データを取得することになる。よって、該貨幣払出装置では、貨幣が残っているか否かの判定の際には、特定パターンが乱されている画像データであるか否かを判断すればよいので、太陽光等の外光に貨幣受け面が一時的に照らされても、撮像手段が取得した画像データにより、貨幣が残っているか否かの判定を確実に行うことができる。
【0014】
また、前記貨幣払出装置において、前記光源からの光を受けて、前記貨幣受け面を前記特定パターンに照らすパターン板を備えていてもよい。
【0015】
また、前記貨幣払出装置において、前記光源は、前記受け皿を基準にして前記他方の側に配置され、前記パターン板は、前記受け皿の前記貨幣受け面を基準にして前記一方の側に配置され、前記透明部を介して前記他方の側の光源から光を受ける受光面を有し、前記パターン板の前記受光面には、受けた光を反射する反射部と受けた光を吸収する吸収部とが、前記特定パターンに併せて形成されていてもよい。
【0016】
また、前記貨幣払出装置において、前記光源は、前記受け皿を基準にして前記一方の側に配置され、前記貨幣受け面に向かって光を発するものであってもよい。
【0017】
該貨幣払出装置では、貨幣受け面上に貨幣が存在する場合、光源からの光はこの貨幣により遮られるため、貨幣が存在する部分と貨幣が存在しない部分とのコントラスト差を大きくすることができる。よって、該貨幣払出装置によれば、貨幣が残っているか否かの判定をより確実に行うことができる。
【0018】
また、前記貨幣払出装置において、前記他方の側は、前記受け皿の前記貨幣受け面に対向する背面と該貨幣受け面とのうち、該貨幣受け面側であり、前記他方の側に配置されている前記撮像手段は、前記一方の側に配置されている前記光源から発せられ、前記透明部を透過した光に照らされた前記貨幣受け面を撮像してもよい。
【0019】
また、前記貨幣払出装置において、前記他方の側は、前記受け皿の前記貨幣受け面に対向する背面と該貨幣受け面とのうち、該背面側であり、前記他方の側に配置されている前記撮像手段は、前記一方の側に配置されている前記光源から発せられ、前記貨幣受け面を経て、前記透過部を透過した光を受光してもよい。
【0020】
また、前記貨幣払出装置において、前記透明部は、前記一方の側からの光に対して、該一方の側に焦点を形成する凹レンズ光学系を形成してもよい。
【0021】
上記貨幣払出装置では、受け皿の貨幣受け面の位置での撮像領域を広げることができる。
【0022】
また、前記目的を達成するための発明に係る貨幣払出装置は、
払い出された貨幣を受ける受け皿を備えている貨幣払出装置において、
前記受け皿の貨幣受け面を撮像する撮像手段と、
前記受け皿の前記貨幣受け面に向かって光を発する光源と、
前記光源からの光を受けて、該貨幣受け面を、高輝度部と低輝度部とを特定パターンで照らすパターン部と、を備え、
前記パターン部は、前記受け皿の前記貨幣受け面よりも、上側と下側とのうちの一方の側に配置され、
前記撮像手段は、前記受け皿を基準にして、上側と下側とのうちの他方の側に配置され、
前記受け皿は、前記貨幣受け面を含む領域において、前記光源から前記パターン部までの光路、及び該パターン部から前記撮像手段までの光路となる部分が透明である、ことを特徴とする。
【0023】
該貨幣払出装置では、撮像手段が特定パターンに照らされた貨幣受け面を撮像することになるので、撮像手段は、貨幣受け面上に貨幣が存在すれば特定パターンが乱されている画像データを取得し、貨幣受け面上に貨幣が存在しなければ特定パターンが実質的に乱されていない画像データを取得することになる。よって、該貨幣払出装置では、貨幣が残っているか否かの判定の際には、特定パターンが乱されている画像データであるか否かを判断すればよいので、太陽光等の外光に貨幣受け面が一時的に照らされても、撮像手段が取得した画像データにより、貨幣が残っているか否かの判定を確実に行うことができる。さらに、撮像手段が、受け皿の貨幣受け面を基準にして撮像手段と反対側に配置されているパターン部からの光を含む光で、貨幣受け面を撮像するので、仮に、受け皿が西日等の外光に一時的に照らされても、撮像手段が取得する画像データ中で、貨幣が存在しない部分の輝度変化を小さくすることができる。よって、該貨幣払出装置によれば、受け皿が外光に一時的に照らされても、貨幣が残っているか否かの判定をより確実に行うことができる。
【0024】
また、該貨幣払出装置では、撮像手段が特定パターンに照らされた貨幣受け面を撮像することになるので、貨幣払出後の画像データに対する基準画像データ、つまり、貨幣払出前の画像データが、どのようなデータであるか予め把握できる。よって、該貨幣払出装置によれば、基準画像データを得るために、貨幣払出直前に、受け皿の貨幣受け面を撮像する手間を省くことができる。
【0025】
さらに、上記貨幣払出装置では、パターン部は、貨幣受け面を基準にして、撮像手段と反対側に配置されているため、当該パターン部が貨幣や利用者の手により磨耗することがなく、パターン部の磨耗による貨幣判定の検知精度の低下を防ぐことができる。
【0026】
また、前記貨幣払出装置において、前記受け皿は、全体が透明であってもよい。
【0027】
上記貨幣払出装置では、受け皿に、この受け皿の貨幣受け面の外縁に沿って、側周壁が存在する場合でも、当該貨幣払出装置を利用する利用者は、この側周壁を介して、貨幣受け面上の貨幣を見ることができる。
【0028】
また、前記貨幣払出装置は、前記撮像手段が撮像した画像データを受け付けて、該画像データを解析して、前記貨幣が払い出された前記受け皿に該貨幣が残っているか否かを判定する判定手段と、前記貨幣が前記受け皿に残っていることを警告する警告手段と、前記判定手段により、前記貨幣が払い出された前記受け皿に該貨幣が残っていると判定されると、前記警告手段により前記警告を実行させる警告制御手段と、を備えていてもよい。
【0029】
上記貨幣払出装置では、貨幣の取り忘れを防止することができる。
【0030】
また、前記貨幣払出装置において、前記警告手段は、前記光源とは異なる色の光を前記受け皿に向かって発する警告光源を有していてもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明では、受け皿が外光に一時的に照らされても、撮像手段が取得する画像データ中で、貨幣が存在しない部分の輝度変化を小さくすることができるので、貨幣が残っているか否かの判定を極めて確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る第一実施形態における料金自動収受装置の正面図である。
【図2】本発明に係る第一実施形態における料金自動収受装置の構成を示す説明図である。
【図3】本発明に係る第一実施形態における硬貨返却部の構成を示す説明図である。
【図4】本発明に係る第一実施形態における制御部の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る第一実施形態における硬貨有無判定部の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る第一実施形態における画像データを示す説明である。
【図7】本発明に係る第一実施形態における画像データから輝度微分グラフの作成手順を示す説明図で、同図(a)は画像データを示し、同図(b)は水平輝度分布グラフを示し、同図(c)は輝度微分グラフを示す。
【図8】本発明に係る第二実施形態における硬貨返却部の構成を示す説明図である。
【図9】本発明に係る第三実施形態における硬貨返却部の構成を示す説明図である。
【図10】本発明に係る第三実施形態における制御部の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明に係る第三実施形態における硬貨有無判定部の動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明に係る第四実施形態における硬貨返却部の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る貨幣払出装置の各種実施形態について、図面を用いて説明する。
【0034】
「第一実施形態」
まず、図1〜図7を用いて、本発明に係る第一実施形態としての貨幣払出装置について説明する。
【0035】
本実施形態の貨幣払出装置は、有料道路の料金自動収受装置で、図2に示すように、ディスプレイ11と、スピーカ12と、有料道路の通行券が挿入される通行券挿入部20と、通行券挿入部20に挿入された通行券を貯める通行券ストック部25と、紙幣が投入される紙幣投入部30と、投入された紙幣を貨幣価値毎に選別する紙幣選別部33と、紙幣選別部33で選別された各貨幣価値毎の紙幣を貯める紙幣ストック部35と、紙幣を返却する紙幣返却部39と、硬貨が投入される硬貨投入部40と、投入された硬貨を貨幣価値毎に選別する硬貨選別部43と、硬貨選別部43で選別された硬貨を貨幣価値毎に貯める硬貨ストック部45と、硬貨を返却する硬貨返却部50と、これらの各部を制御する制御部60と、を備えている。
【0036】
通行券挿入部20は、通行券挿入口から投入された通行券に磁気記録等されている情報を読み取る読取機(不図示)と、この通行券を通行券ストック部25に送る通行券搬送機構21を有している。通行券ストック部25は、通行券を貯める通行券容器26を有する。
【0037】
紙幣投入部30は、紙幣投入口から投入された紙幣の貨幣価値を検知するセンサ(不図示)と、この紙幣を紙幣選別部33へ送る紙幣搬送機構31とを有している。紙幣ストック部35は、貨幣価値毎に設けられている紙幣収納容器36a,36b,36cと、各紙幣収納容器36a,36b,36cのうちから制御部60からの指示に従っていずれかの紙幣収納容器に貯められた紙幣を紙幣返却部39に送る紙幣搬送機構37と、を有している。紙幣選別部33は、紙幣投入部30から送られてきた紙幣を、この紙幣投入部30で検知された貨幣価値に応じて、紙幣ストック部35の各紙幣収納容器36a,36b,36cのうちのいずれかの紙幣収納容器に送る紙幣選別機構34を有している。
【0038】
硬貨投入部40は、投入された硬貨を受ける受け皿(不図示)と、この硬貨受け皿からの硬貨の貨幣価値を検知するセンサ(不図示)と、この硬貨を硬貨選別部43へ送る硬貨搬送機構41とを有している。硬貨ストック部45は、貨幣価値毎に設けられている硬貨収納容器46a,46b,46c,46dと、各硬貨収納容器46a,46b,46c,46dのうちから制御部60からの指示に従っていずれかの硬貨収納容器に貯められた硬貨を硬貨返却部50に送る硬貨搬送機構47と、を有している。硬貨選別部43は、硬貨投入部40から送られてきた硬貨を、この硬貨投入部40で検知された貨幣価値に応じて、硬貨ストック部45の各硬貨収納容器46a,46b,46c,46dのうちのいずれかの硬貨収納容器に送る硬貨選別機構44を有している。
【0039】
硬貨返却部50は、硬貨ストック部45の硬貨搬送機構で送られてきた硬貨を受ける受け皿51と、この受け皿51を撮像するカメラ54と、光源55,56と、受け皿51上に光の縞模様を形成するためのストライプ板(パターン板)57と、を有している。なお、これらの具体的な構成や配置等に関しては、後述する。
【0040】
制御部60は、コンピュータであり、ハードウェアー構成として、各種演算を実行するCPUと、このCPUのワークエリア等になるRAMと、予め各種データやプログラム等が格納されているROMと、ハードディスクドライブ装置等の外部記憶装置と、外部装置との間でデータの入出力を行うインタフェース等を有して構成されている。
【0041】
この制御部60は、機能構成として、硬貨返却部50のカメラ54及び光源55を制御する撮像制御部62と、カメラ54で得られた画像データを解析して受け皿51に硬貨が残っているか否かの判定を行う硬貨有無判定部63と、受け皿51に硬貨が残っている場合に硬貨が残っている旨等の警告の制御を行う警告制御部64と、硬貨返却部50を除く他の部を制御する主制御部61と、を有している。これらの機能部は、いずれも、外部記憶装置に格納されているプログラムをCPUが実行することにより機能する。なお、このプログラムは、磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM等のコンピュータ読取可能な記憶媒体により、コンピュータに提供されてもよいが、通信装置を介して外部からコンピュータに提供されてもよい。
【0042】
図1に示すように、ディスプレイ11、スピーカ12、通行券挿入部20、紙幣投入部30、紙幣返却部39、硬貨投入部40、及び硬貨返却部50は、いずれも、料金自動収受装置の筐体10の前面に設けられている。
【0043】
硬貨返却部50の受け皿51は、図3に示すように、下方側に向かって滑らかに凹んだ形状を成し、凹形状の底の部分を形成する底板部52と、凹形状の側周部分を形成する側周壁部53と、を有する。底板部52と側周壁部53とは、滑らかに連続している。
【0044】
この受け皿51は、透明な材料で形成されている。具体的に、この受け皿51は、石英ガラス等のガラス材や、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂で形成されている。また、この受け皿51は、石英ガラス等のガラス材を各種樹脂シートでコーティングして形成してもよい。
【0045】
カメラ54は、この受け皿51に上方に配置され、受け皿51の底板部52の上面である貨幣受け面52aを含む領域を撮像できる向きに向けられている。
【0046】
光源55,56には、撮像用光源55と警告用光源56とがある。警告用光源56は、撮像用光源55が発する光とは異なる色の光を発する。これら光源55,56も、カメラ54と同様、受け皿51に上方に配置され、受け皿51の貨幣受け面52aを含む領域を照らせる向きに向けられている。撮像用光源55と受け皿51との間には、撮像用光源55からの光を分散させて、受け皿51の貨幣受け面52aを均等に照らすための拡散板(不図示)が設けられている。
【0047】
ストライプ板57は、少なくとも受け皿51の貨幣受け面52aよりもサイズ的に大きい。このストライプ板57の受光面となる一方の面には、受けた光の多くを反射する帯状白色部(反射部)58と、受けた光の多くを吸収する帯状黒色部(吸収部)59とが交互に縞模様状に形成されている。帯状黒色部59の幅は、当該料金自動収受装置が扱う硬貨のうちで最も外径の小さい硬貨の外径よりも小さく、例えば、この外径の2/3〜1/5程度である。このストライプ板57は、受け皿51の下方に配置され、受光面が上向きに向けられている。
【0048】
次に、図4及び図5に示すフローチャートに従って、以上で説明した料金自動収受装置の制御部60の動作について説明する。
料金自動収受装置の通行券挿入口に通行券が挿入されると、通行券挿入部20の読取機が、この通行券に磁気記録等されている情報を読み取り、この情報を制御部60に送る。制御部60の主制御部61は、この情報を取得すると(S11)、清算処理を実行する(S12)。
【0049】
この清算処理(S12)で、主制御部61は、まず、読取機からの情報を用いて、有料道路の走行区間を割り出し、この走行区間対応の通行料金を算出する。続いて、主制御部61は、この通行料金をディスプレイ11に表示させると共に、スピーカ12から音声出力させる。
【0050】
この通行料金の出力に対して、一枚以上の紙幣が紙幣投入部30の紙幣投入口に投入されると、この紙幣投入部30のセンサにより、各紙幣の貨幣価値が検知され、これが主制御部61に送られる。そして、投入された紙幣は、紙幣選別部33により、この紙幣の貨幣価値に応じて、紙幣ストック部35の各紙幣収納容器36a,36b,36cのうちで、同じ貨幣価値の紙幣が収納される紙幣収納容器に送られる。また、一個以上の硬貨が硬貨投入部40の受け皿に投入されると、この硬貨投入部40のセンサにより、各硬貨の貨幣価値が検知され、これが主制御部61に送られる。そして、投入された硬貨は、硬貨選別部43により、この硬貨の貨幣価値に応じて、硬貨ストック部45の各硬貨収納容器46a,46b,46c,46dのうちで、同じ貨幣価値の硬貨が収納される硬貨収納容器に送られる。主制御部61は、各センサから送られてきた貨幣価値の合計を算出し、この合計値から、先に算出した通行料金を減算する。そして、減算結果が0より大きいか否かにより、釣銭の払出が必要であるか否かを判断する(S13)。
【0051】
ステップ13で、主制御部61が釣銭の払出が不要と判断すると、一連の処理を終了する。また、ステップ13で、主制御部61が釣銭の払出必要と判断すると、スピーカ12から「釣銭があります。取り忘れにご注意下さい。」等の釣銭有りの旨を音声出力させる(S14)。さらに、ステップ13で、主制御部61が釣銭の払出必要と判断すると、撮像制御部62が撮像回数カウンタを1にする(S15)。
【0052】
次に、主制御部61は、ステップ13の判断過程で求めた減算結果に応じた貨幣価値分の硬貨を硬貨ストック部45に払い出させる(S17)。この際、主制御部61は、硬貨ストック部45に対して、払出硬貨の種類、及び、この種類の硬貨枚数を指示する。硬貨ストック部45の硬貨搬送機構47は、この指示を受けると、指定された種類の硬貨が収納されている硬貨収納容器46a,46b,46c,46dから、指示された枚数の硬貨を取り出して、これを硬貨返却部50へ送る。硬貨返却部50に送られた硬貨は、この硬貨返却部50の受け皿51に載る。
【0053】
なお、釣として、紙幣が払い出される場合もあるが、ここでは、その説明を省略する。
【0054】
撮像制御部62は、主制御部61が硬貨ストック部45に硬貨の払い出しを指示すると、タイマを駆動させ、このタイマにより予め定められた時間T1の経過が計測されると(S18)、このタイマをリセットしてから、撮像用光源55を点灯させると共に、カメラ54により受け皿51を撮像させる(S19)。なお、ここでの時間T1は、主制御部61が硬貨ストック部45に硬貨の払い出しを指示してから、実際に払い出された硬貨が利用者であるドライバー等により取り除かれるまでの最短時間と考えられる時間、例えば、3秒である。また、ここでは、撮像用光源55を撮像時に点灯させるようにしているが、撮像の有無に関係なく、常時点灯させておいてもよい。
【0055】
撮像用光源55からの光は、図3に示すように、受け皿51の貨幣受け面52a上に硬貨Cがなければ、透明な受け皿51を透過して、ストライプ板57に至る。ストライプ板57に至った光のうち、帯状白色部(反射部)58に至った光は、ここで、反射されて、再び、透明な受け皿51を透過してカメラ54側に向かう。一方、帯状黒色部(吸収部)59に至った光は、ここでほとんどが吸収される。このため、受け皿51の貨幣受け面52a上に硬貨がなければ、カメラ54の撮像により得られた画像は、図6に示すように、ストライプ板57に対応して、白帯(高輝度帯)と黒帯(低輝度帯)とが交互に並んだ縞模様の画像となる。
【0056】
また、受け皿51の貨幣受け面52a上に硬貨Cがあれば、この硬貨Cはストライプ板57よりカメラ54側に存在するため、カメラ54の撮像により得られた画像中の硬貨Cが存在する部分は、硬貨Cの画像となり、その部分の輝度は硬貨Cの輝度となる。したがって、図6に示すように、使い込まれた10円硬貨等の反射率の低い硬貨の像Iaは、低輝度の黒っぽい円形像として撮像され、50円、100円、500円硬貨等の反射率の高い硬貨の像Ibは、高輝度の白っぽい円形像として撮像される。但し、硬貨の輝度は、硬貨表面の汚れやキズ等の影響により反射率が変化するため、図6中の各硬貨の像Ia,Ibの輝度は変化するし、一つの硬貨中の輝度が一様にならならないこともある。また、硬貨が重なっている場合には、複数の円形像が重なることなり、全体として円形にならないこともある。
【0057】
硬貨有無判定部63は、撮像により得られた画像データをカメラ54から取得し、この画像データを解析して、受け皿51の貨幣受け面52a上に釣銭が残っているか否かを判定する(S20)。硬貨有無判定部63により、釣銭が残っていないと判定されると、一連の処理は終了する。また、釣銭が残っていると判定されると、撮像制御部62が撮像回数カウンタに1を加えて(S31)、この撮像回数カウンタのカウンタ値が予め定められた値aであるか否かを判断する(S32)。この予め定められた値aは、例えば、5〜15程度の値である。
【0058】
撮像制御部62により、カウンタ値が予め定められた値aではない、つまり、カウンタ値が予め定められた値aより小さいと判断されると、警告制御部64は、第一警告処理として、警告用光源56を点滅させる(S33)。この警告用光源56は、前述したように、撮像用光源55とは異なる色の光を発するため、利用者であるドライバー等にとって、受け皿51の貨幣受け面52aの色が変わったように見える。このため、ドライバー等にこの受け皿51を注目させることができる。
【0059】
そして、撮像制御部62は、タイマにより、先の撮像から予め定められた時間T2の経過が計測されると(S32)、ステップ19に戻り、再び、撮像用光源55を点灯させると共に、カメラ54により受け皿51を撮像させる。なお、ここでの時間T2は、例えば、1秒である。
【0060】
以下、ステップ20の硬貨有無判定処理で、釣銭が残っていないと判定されない限り、ステップ19,20,31,32,33,34の処理が繰り返し実行される。この間、撮像時を除いて、警告用光源56の点滅は継続する。また、これらのステップでの処理の過程で、ステップ32において、撮像制御部62により、撮像回数カウンタのカウンタ値が予め定められた値aになったと判断されると、警告制御部64は、第二警告処理として、例えば、スピーカ12から、例えば、「釣銭を取り忘れています。」等を複数回音声出力させて、一連の処理を終了する。この場合、この音声出力の音量は、ステップ14での釣銭有りの旨の音声出力の音量よりも大きい。
【0061】
なお、警告用光源56の点滅は、警告用光源56の点滅開始後に、ステップ20で硬貨が残っていないと判定された時点、又は、ステップ35の第二警告処理が終了した時点で、終了する。
【0062】
次に、ステップ20における硬貨有無判定処理の詳細について、図5に示すフローチャートに従って説明する。
【0063】
硬貨有無判定部63は、まず、ステップ19の撮像で得られた釣銭払出後の画像データを取得する(S21)。この画像データは、図6に示すように、釣銭が受け皿51上に残っている場合、白帯と黒帯とが交互に並んだ縞模様と、黒っぽい円形の硬貨像Ia及び/又は白っぽい円形の硬貨Ibとが表されている画像のデータである。
【0064】
次に、硬貨有無判定部63は、図7(a)に示すように、ステップ21で取得した画像データから、図7(b)に示すように、水平輝度分布グラフを作成する(S22)。この水平輝度分布グラフは、横軸に、白帯及び黒帯がそれぞれ伸びている方向(垂直方向)に対して垂直な方向(水平方向)の位置、言い換えると、白帯と黒帯とが並んでいる方向(水平方向)の位置をとり、縦軸に輝度をとったグラフである。このステップ22では、白帯及び黒帯がそれぞれ伸びている方向(垂直方向)で互いに異なるそれぞれの位置で、この水平輝度分布グラフを作成する。この水平輝度分布グラフは、釣銭が受け皿51上に残っていない場合、水平方向において、輝度の高い部分、つまり白帯部分と、輝度の低い部分、つまり黒帯部分とが交互に繰り返されるグラフになるが、釣銭が残っている場合、この釣銭が存在する部分の輝度が前述したように釣銭の輝度となる。なお、図7(b)に示す水平輝度分布グラフは、同図(a)中の垂直方向におけるb位置での水平輝度分布グラフである。
【0065】
続いて、硬貨有無判定部63は、図7(c)に示すように、水平輝度分布グラフの水平位置変化に対する輝度の微分値を求め、輝度微分グラフを作成する(S23)。この輝度微分グラフは、高輝度部分と低輝度部分との境目の位置でピーク値を示すグラフとなるため、釣銭が受け皿51上に残っていない場合、水平方向において、白帯部分と黒帯部分との境目の各位置でピーク値を示し、ピーク値相互間の間隔も一定である。一方、釣銭が受け皿51上に残っている場合、釣銭が存在しない部分に関しては、白帯部分と黒帯部分との境目の各位置でピーク値を示し、ピーク値相互間の間隔も一定になるが、釣銭が存在する部分に関しては、釣銭が存在する部分と釣銭が存在しない部分との境目や、反射率の異なる釣銭相互の境目等がピーク値となり、釣銭が存在しない部分に対して、釣銭が存在する部分では、ピーク値の発生パターンが変わる。但し、釣銭が例えば反射率の低い硬貨であり、この硬貨が黒帯部分に存在する場合には、釣銭が存在する部分と釣銭が存在しない部分との境目がピーク値を示さないこともある。また、ある釣銭が存在する部分で、この釣銭にキズが存在し、キズの部分と他の部分との反射率が異なる等の場合には、この釣銭が存在する部分中にピーク値を示すこともある。
【0066】
次に、硬貨有無判定部63は、輝度微分グラフを参照して、各ピーク値の相互間隔を算出する(S24)。具体的には、隣り合っている正ピーク値の相互間隔、隣り合っている負ピーク値の相互間隔、隣り合っている正ピーク値と負ピーク値との相互間隔のうち、少なくともいずれかの間隔を算出する。この場合、例えば、隣り合っている正ピーク値の相互間隔Dのみを算出する。
【0067】
次に、硬貨有無判定部63は、ステップ24で算出した各ピーク値の相互間隔Dの全てが、予め定められた範囲内(1.2×d〜0.8×d)であるか否かを判断する(S25)。仮に、釣銭が受け皿51上に残っていない場合、隣り合っている正ピーク値の相互間隔Dはいずれもほぼ一定で、黒帯部分と白帯部分とを併せた幅dに近い値になる。一方、釣銭が受け皿51上に残っていれば、前述したように、ピーク値の発生パターンが変化するため、釣銭が存在する部分を含む領域において、正ピーク値の相互間隔Dは、黒帯部分と白帯部分とを併せた幅よりも極端に長くなるか短くなる。そこで、ここでは、ステップ24で算出した各ピーク値の相互間隔Dの全てが、黒帯部分と白帯部分とを併せた幅dと実質的に同じ幅であると扱える(1.2×d〜0.8×d)の範囲内であるか否かを判断することで、硬貨の有無を判定している。
【0068】
そして、硬貨有無判定部63は、ステップ24で算出した各ピーク値の相互間隔Dの全ては、予め定められた範囲内(1.2×d〜0.8×d)であると判断すると、硬貨無しと判定し(S26)、ステップ24で算出した各ピーク値の相互間隔Dのうち、一つでも、予め定められた範囲内(1.2×d〜0.8×d)でないと判断した場合には、釣銭有りと判定する(S27)。
【0069】
なお、ステップ24において、例えば、隣り合っている正ピーク値と負ピーク値との相互間隔を算出する場合には、ステップ25で扱う予め定められた範囲は、黒帯部分の幅又は白帯部分の幅を基準にして定めることになる。また、ステップ24において、隣り合っている正ピーク値の相互間隔、隣り合っている負ピーク値の相互間隔、隣り合っている正ピーク値と負ピーク値との相互間隔のうち、少なくとも二種類の間隔を算出する場合には、各種類毎の算出間隔が、各種類毎の予め定められた範囲であるか否かを判断し、いずれの種類の算出間隔においても、予め定められた範囲内である場合には、硬貨無しと判定し、いずれか一種類の算出間隔でも、予め定められた範囲内でない場合には、硬貨有りと判定する。
【0070】
以上で、硬貨有無判定処理は終了する。
【0071】
以上、本実施形態では、硬貨返却部50の受け皿51を透明にし、カメラ54は、硬貨が存在しない部分に関しては、受け皿51の貨幣受け面52aよりも下からの光で、この貨幣受け面52aを撮像しているので、仮に、受け皿が西日等の外光に一時的に照らされても、カメラ54が取得する画像データ中で、硬貨が存在しない白帯部分及び黒帯部分の輝度変化を小さくすることができる。よって、本実施形態では、仮に、受け皿51が斜め上方から太陽光等の外光に照らされている場合でも、カメラ54の撮像により得られた画像データから、硬貨の有無を確実に判定することができる。
【0072】
さらに、本実施形態では、カメラ54が縞模様パターンに照らされた貨幣受け面52aを撮像するので、カメラ54は、貨幣受け面52a上に硬貨が存在すれば縞模様パターンが乱されている画像データを取得し、貨幣受け面52a上に硬貨が存在しなければ縞模様パターンが実質的に乱されていない画像データを取得することになる。よって、本実施形態では、硬貨が残っているか否かの判定の際には、縞模様パターンが乱されている画像データであるか否かを判断すればよいので、太陽光等の外光に貨幣受け面52aが一時的に照らされても、カメラ54が取得した画像データにより、貨幣が残っているか否かの判定をより確実に行うことができる。特に、本実施形態では、得られた画像データの水平輝度分布の微分値に基づいて、硬貨が残っているか否かの判定を行っているので、太陽光等の外光に貨幣受け面52aが一時的に照らされても、カメラ54が取得した画像データにより、貨幣が残っているか否かの判定をより確実に行うことができる。これは、太陽光等の外光に貨幣受け面52aが照らされても、硬貨が存在しない部分に関しては、微分値があまり変化しないのみならず、微分値のピーク値の相互間隔が変わらないから、つまり、貨幣が存在しない部分の微分値が一時的な外光の影響をほとんど受けないからである。
【0073】
また、本実施形態では、ストライプ板57を背景にして、受け皿51の貨幣受け面52aを撮像しているので、貨幣払出後の画像データに対する基準画像データ、つまり、貨幣払出前の画像データが、どのようなデータであるか予め把握できる。このため、本実施形態では、後述の第三実施形態及び第四実施形態のように、釣銭払出後の画像データの他に、釣銭払出前の画像データを取得し、さらに、両画像データの差分をとる必要はない。すなわち、本実施形態では、釣銭払出直前に、受け皿51の貨幣受け面52aを撮像する手間を省くことができる。なお、本実施形態において、貨幣払出前の画像データに関して予め把握しているデータは、図5中のステップ25において、各ピーク値の相互間隔Dの判定基準となる予め定められた範囲(1.2×d〜0.8×d)である。
【0074】
また、本実施形態では、ストライプ板57が受け皿51の下側に配置されているため、このストライプ板57の白黒の縞模様が硬貨や利用者の手により磨耗することがなく、縞模様の磨耗による硬貨の検知精度の低下を防ぐことができる。縞模様が磨耗した場合、白または黒の色が薄くなり(黒地に白のストライプか,白地に黒のストライプかによって替わります)、磨耗部と非磨耗部の反射率が近付くことになり、磨耗による直接的な輝度変化のみならず、光源からの光、さらには西日などの外光による輝度差として得られるエッジ強度に,磨耗部と非磨耗部では大きな差が発生する。このため、非磨耗部でのエッジ強度に注目した閾値でエッジ検出を行った場合、磨耗部では十分にエッジが検出されなくなり、硬貨が存在しないにもかかわらず、硬貨ありとする誤検出が発生し得る。なお、ここでは、受け皿51の下方に、間隔を開けてストライプ板57を配置しているが、間隔を開けずに、つまり、受け皿51の貨幣受け面52aと対向する背面52bにストライプ板57を貼り付けてもよいし、受け皿51の貨幣受け面52aよりも下に位置するよう、このストライプ板57を埋め込んでもよい。
【0075】
さらに、本実施形態では、釣銭が残っていると判定された場合、撮像用光源55とは異なる色の光を発する警告用光源56を点滅させる第一警告処理、さらに、釣銭を取り忘れている旨を音声出力する第二警告処理を行うので、釣銭の取り忘れを大幅に減少させることができる。なお、ここでは、釣銭の取り忘れを警告する方法として、警告用光源56の点滅と音声による警告の二つを例示しているが、ディスプレイ11での取り忘れ表示や、当該料金自動収受装置の先に存在している開閉バーを開けるタイミングを遅くする開閉バー制御を採用してもよい。
【0076】
また、本実施形態では、受け皿51全体を透明にしているため、利用者であるドライバー側から、受け皿51の貨幣受け面52a上に載っている硬貨を、受け皿51の透明な側周壁部53を介して見ることができる。よって、本実施形態では、この意味でも、釣銭の取り忘れを減少させることができる。
【0077】
なお、本実施形態では、パターン板としてストライプ板57を用いて、受け皿51の貨幣受け面52aを白黒の縞模様に照らしているが、受け皿51の貨幣受け面52aを、光に照らされている高輝度部分と光に照らされていない低輝度部分との特定パターン、例えば、白黒の水玉模様、白黒の格子模様に照らしても、基本的に、同様の処理を行うことができる。
【0078】
また、本実施形態では、ステップ24において、微分値のピーク値の相互間隔を算出し、ステップ25において、この間隔が予め定められている範囲内か否かにより、受け皿51上に硬貨が残っているか否かを判定しているが、予め定められた微分値以上の正ピーク値の数又は負ピーク値の数、又は両ピーク値の数をカウントし、これらの数が予め定められた数であるか否かにより、受け皿51上に硬貨が残っているか否かを判定してもよい。
【0079】
「第二実施形態」
次に、図8を用いて、本発明に係る第二実施形態としての貨幣払出装置について説明する。
【0080】
本実施形態の貨幣払出装置も、第一実施形態と同様、有料道路の料金自動収受装置で、その構成は、硬貨返却部のみが第一実施形態と異なっており、その他の構成は第一実施形態と同様である。なお、後述する第三実施形態、第四実施形態も、硬貨返却部が第一実施形態と異なっており、その他の構成は第一実施形態と基本的に同様である。
【0081】
本実施形態の硬貨返却部50aは、第一実施形態の硬貨返却部50と同様、受け皿51、カメラ54、撮像用光源55、警告用光源56、及びストライプ板57aを有している。カメラ54及び警告用光源56は、第一実施形態と同様、受け皿51の上方に配置されている。また、ストライプ板57aも、第一実施形態と同様、受け皿51の下方に配置されている。一方、撮像用光源56は、第一実施形態と異なり、受け皿51及びストライプ板57aの下方に配置されている。また、本実施形態のストライプ板57aには、第一実施形態と異なり、光を透過させる帯状透過部58aと、光を透過させない帯状遮光部58aとが交互に縞模様状に形成されている。なお、ストライプ板57aと撮像用光源55との間には、撮像用光源55からの光を拡散させる拡散板が設けられている。
【0082】
以上、本実施形態でも、第一実施形態と同様、硬貨返却部50の受け皿51を透明にし、カメラ54は、受け皿51の貨幣受け面52aよりも下からの光で、この貨幣受け面52aを撮像しているので、仮に、受け皿が西日等の外光に一時的に照らされても、カメラ54が取得する画像データ中で、硬貨が存在しない白帯部分及び黒帯部分の輝度変化を小さくすることができ、カメラ54の撮像により得られた画像データから、硬貨の有無を確実に判定することができる。さらに、本実施形態でも、第一実施形態と同様、ストライプ板57aを背景にして、受け皿51の貨幣受け面52aを撮像しているので、より確実に硬貨の有無判定を行うことができると共に、釣銭払出直前に、別途、受け皿51の貨幣受け面52aを撮像する手間を省くことができる。
【0083】
また、本実施形態では、硬貨返却部50の受け皿51を透明にし、カメラ54は、受け皿51よりも下からの光で受け皿51の硬貨受け面52aを撮像しているので、受け皿51上に硬貨があれば、カメラ54は、この硬貨を光の影として撮像することになる。このため、硬貨の色や硬貨の光反射率にあまり影響を受けることなく、硬貨の影の部分と他の部分とのコントラスト差の大きい画像データを得ることができる。したがって、仮に、受け皿51が斜め上方から太陽光等の外光に照らされている場合でも、本実施形態では、第一実施形態よりも、カメラ54の撮像により得られた画像データから、硬貨の有無をより確実に判定することができる。
【0084】
また、第一実施形態では、撮像用光源55からの光が、拡散板及び受け皿51を透過して、ストライプ板57に至り、このストライプ板57の帯状白色部58で反射し、これが再び受け皿51及び拡散板を透過してからカメラ54に至るのに対して、本実施形態では、撮像用光源56からの光が、拡散板、ストライプ板57aの帯状透過部58a、及び受け皿51の透過のみでカメラ54に至るので、撮像光源55からの光の減光量を少なくすることができる。このため、本実施形態では、この観点からも、第一実施形態より、硬貨が存在する部分と他の部分とのコントラスト差の大きい画像データを得ることができる。
【0085】
また、本実施形態では、撮像用光源55を受け皿51の下方に配置したので、受け皿51の上方に多くのスペースを確保できない場合でも、第一実施形態に劣らぬ効果を得ることができる。
「第三実施形態」
次に、図9〜図11を用いて、本発明に係る第三実施形態としての貨幣払出装置について説明する。
【0086】
本実施形態における貨幣払出装置の硬貨返却部50bは、図9に示すように、第二実施形態の硬貨返却部50aからストライプ板57aを削除したもので、その他の構成は第二実施形態の硬貨返却部50aと同じである。
【0087】
よって、本実施形態でも、第二実施形態と同様、硬貨返却部50bの受け皿51を透明にし、カメラ54は、受け皿51よりも下からの光で受け皿51の貨幣受け面52aを撮像しているので、硬貨の存在しない部分の輝度変化の小さい画像データを得ることができると共に、硬貨の色や硬貨の光反射率にあまり影響を受けることなく、硬貨が存在する部分と他の部分とのコントラスト差の大きい画像データを得ることができる。
【0088】
但し、本実施形態では、ストライプ板57,57aが存在しないため、制御部60bの動作が、第一実施形態や第二実施形態と異なっている。
【0089】
そこで、本実施形態の制御部60bの動作について、図10及び図11に示すフローチャートに従って説明する。
【0090】
図10のフローチャートに示すように、本実施形態でも、第一実施形態と同様、通行券のデータ取得処理(S11)、清算処理(S12)、釣銭の払出有無の判断処理(S13)、釣銭有りの旨の音声出力処理(S14)、撮像回数カウンタの「1」設定処理(S15)が実行される。
【0091】
その後、本実施形態では、釣銭払出前の受け皿51の撮像処理が行われる(S16)。つまり、撮像制御部62bは、撮像用光源55を点滅させると共に、カメラ54により釣銭払出前の受け皿51を撮像させる。この撮像によりカメラ54が取得した画像データは、硬貨有無判定部63bに送られ、硬貨有無判定部63bが管理している記憶部に一時的に格納される。
【0092】
この硬貨払出前の撮像処理が終了すると(S16)、第一実施形態と同じ釣銭払出処理(S17)が実行される。以降、第一実施形態と同様に、時間待ち(S18)、釣銭払出後の撮像処理(S19)、硬貨有無の判定処理(S40)、撮像回数カウンタのインクリメント処理(S31)、カウンタ値の判断処理(S32)、第一警告処理(S33)、時間待ち(S34)、第二警告処理(S35)が実行される。但し、本実施形態の硬貨有無の判定処理(S40)は、第一実施形態の硬貨有無の判定処理(S20)と異なる。
【0093】
そこで、本実施形態の硬貨有無の判定処理(S40)の詳細について、図11に示すフローチャートに従って説明する。
【0094】
硬貨有無判定部63は、まず、ステップ16の撮像で得られた釣銭払出前の画像データを取得する(S41)。続いて、硬貨有無判定部63は、ステップ19の撮像で得られた釣銭払出後の画像データを取得する(S42)。
【0095】
次に、硬貨有無判定部63は、画素毎に、釣銭払出前の画像データ中の画素データと釣銭払出後の画像データ中の対応画素データとの差分を算出し(S43)、画素毎の差分を二値化する(S44)。具体的には、差分が一定閾値未満である場合には、この差分を「0」とし、差分が一定閾値以上である場合には、この差分を「1」とする。
【0096】
次に、硬貨有無判定部63は、差分が一定閾値未満である画素、つまり、ステップ44で、差分が「0」とされた画素の総占有面積Aを求める(S45)。そして、この面積Aが予め定められた値ALより大きいか否か、つまり、二つの画像データの差がない部分が所定以上あるか否かを判断し(S46)、この面積Aが予め定められた値ALより大きいと判断すると、釣銭無しと判定し(S47)、この面積Aが予め定められた値ALより大きくないと判断すると、釣銭有りと判定する(S48)。
【0097】
なお、予め定められた値ALは、釣銭払出前の画像データと釣銭払出後の画像データとが完全一致し、全ての画素の二値化後の差分が「0」で、この差分が「0」の画素の総占有面積、つまり全ての画素の総占有面積AHよりも、多少小さい値である。これは、例えば、硬貨無しの場合でも、受け皿51上に小さなゴミ等があれば、釣銭払出前の事前画像データと実際の釣銭払出後の画像データとが完全一致しないからである。
【0098】
以上で、硬貨有無判定処理は終了する。
【0099】
以上、本実施形態では、ストライプ板57,57aが存在しないため、第一実施形態及び第二実施形態よりも、硬貨返却部50の製造コストを抑えることができる。
【0100】
「第四実施形態」
次に、図12を用いて、本発明に係る第四実施形態としての貨幣払出装置について説明する。
【0101】
本実施形態における貨幣払出装置の硬貨返却部50cは、第三実施形態のカメラ54と撮像用光源55との位置関係を逆転させたものである。
【0102】
このため、カメラ54は、撮像用光源55から、受け皿51の貨幣受け面52aを経て、その背面52bから出射した光を受光することになり、受け皿51の貨幣受け面52aから出射した光を受光する以上の実施形態とは異なる。但し、本実施形態は、カメラ54と撮像用光源55との位置関係が第三実施形態と逆で、そのためにカメラ54が受ける光の向きも逆になっているだけであるから、基本的には第三実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態は、光源55よりもカメラ54のほうがより多くのスペースを必要とする場合、貨幣払出装置の貨幣返却部上部スペースに余裕が少ないときにはより有効である。
【0103】
また、本実施形態では、受け皿51を、カメラ54と反対側、つまり撮像用光源55側に焦点を結ぶ凹レンズ光学系とすることで、受け皿51の貨幣受け面52aの位置での撮像領域を広げることができる。
【0104】
受け皿51を凹レンズ光学系にするためには、例えば、凹メニスカスレンズのように、貨幣受け面52aの曲率半径よりも、その背面52bの曲率半径が大きくなるようにしてもよいし(図12に示す)、凹フリネルレンズのように、貨幣受け面52aの背面52bに、凹レンズとして機能する複数のプリズムを形成してもよい。
【0105】
このように、受け皿51の貨幣受け面52aの位置での撮像領域が広がると、この貨幣受け面52aをケラレなく撮像することができる。また、受け皿51とカメラ54との間隔を小さくすることができ、省スペース化を図ることもできる。
【0106】
「各実施形態の変形例」
【0107】
以上の実施形態の受け皿51は、いずれも、受け皿51全体が透明であるが、貨幣受け面52a及びその背面52bで囲まれた底板部52のみが透明であってもよい。但し、この場合、利用者であるドライバー側から、受け皿51の貨幣受け面52a上に載っている硬貨を、受け皿51の側周壁部53を介して見ることができなくなる。
【0108】
また、実施形態では、いずれも、一つの筐体内に設けられたコンピュータにより、料金の清算処理、釣銭有無判定処理等を行っているが、異なる筐体内にそれぞれ設けられたコンピュータにより、複数の処理を分散処理するようにしてもよい。具体的には、例えば、第一筐体には、ディスプレイ11、スピーカ12、通行券挿入部20、通行券ストック部25、紙幣投入部30、紙幣選別部33、紙幣ストック部35、紙幣返却、硬貨投入部40、硬貨選別部43、硬貨ストック部45、硬貨返却部50を設けると共に、これら機能部のうち、硬貨有無判定部63,63bを除く機能部として機能するコンピュータを設け、第二筐体内には、硬貨有無判定部63,63bとして機能するコンピュータを設けるようにしてもよい。この場合、両コンピュータは、通信により、必要な情報等を送受信し合うことになる。
【0109】
また、以上の実施形態は、いずれも、硬貨の有無検知を対象にしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、紙幣の有無検知を対象にしてもよい。さらに、以上の実施形態は、いずれも、料金自動収受装置を対象にしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、貨幣を払い出す装置であれば、如何なる装置を対象にしてもよく、例えば、各種自動販売機、銀行等に設置されているATM等を対象にしてもよい。
【符号の説明】
【0110】
11:ディスプレイ、12:スピーカ、20:通行券挿入部、25:通行券ストック部、30:紙幣投入部、33:紙幣選別部、35:紙幣ストック部、39:紙幣返却部、40:硬貨投入部、43:硬貨選別部、45:硬貨ストック部、50,50a,50b,50c:硬貨返却部、51:受け皿、52:底板部、52a:貨幣受け面、52b:背面、53:側周壁部、54:カメラ、55:撮像用光源、56:警告用光源、57,57a:ストライプ板、58:帯状白色部(反射部)、58a:帯状透過部、59:帯状黒色部(吸収部)、59a:帯状遮光部、60,60b:制御部、61:主制御部、62,62b:撮像制御部、63,63b:硬貨有無判定部、64:警告制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣を払い出す貨幣払出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
貨幣を払い出す装置としては、例えば、釣銭を払い出す料金自動収受装置や自動販売機、さらに、銀行等に設置されているATM(Automated teller machine)等がある。
【0003】
これらの貨幣払出装置では、払い出した貨幣の取り忘れを検知するために各種機能が設けられている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載の技術では、硬貨が払い出される箇所に、静電容量式センサを設け、この静電容量式センサで検知された静電容量の変化により、硬貨が残されているか否かを判定している。また、特許文献2に記載の技術では、硬貨が払い出される箇所に、光電式センサ又は超音波式センサを設け、これらのセンサからの出力変化により、硬貨が残されているか否かを判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−193090号公報
【特許文献2】特開平6−36110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
貨幣の有無を検出するセンサとしては、以上で述べたセンサの他、撮像手段としてのカメラが考えられる。このカメラを用いた場合、貨幣払出装置の設置場所が屋外であると、太陽光に代表される外光による影響を受けて、カメラで得られた画像データから、貨幣が残っているか否かの判定を的確に行うことができないことが予想される。
【0007】
そこで、本発明では、カメラ等の撮像手段を用いて、貨幣が残っているか否かを判定する場合に、判定に好適な画像データを提供することができる貨幣払出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための発明に係る貨幣払出装置は、
払い出された貨幣を受ける受け皿を備えている貨幣払出装置において、
前記受け皿には、該受け皿を基準にして一方の側から他方の側へ光が透過する透明部が、少なくとも該受け皿の貨幣受け面を含む部分に形成され、前記受け皿を基準にして前記他方の側に配置され、前記一方の側からの光に照らされた前記貨幣受け面を撮像する撮像手段を備えている、ことを特徴とする。
【0009】
該貨幣払出装置では、受け皿の貨幣受け面を含む部分を透明にし、撮像手段が、受け皿を基準にして撮像手段と反対側からの光を含む光で、貨幣受け面を撮像するので、仮に、受け皿が西日等の外光に一時的に照らされても、撮像手段が取得する画像データ中で、受け皿表面上が外光を反射することによる輝度変化の影響を小さくすることができる。よって、該貨幣払出装置によれば、受け皿が外光に一時的に照らされても、貨幣が残っているか否かの判定をより確実に行うことができる。
【0010】
ここで、前記貨幣払出装置において、前記一方の側から前記貨幣受け面を照らすための光を発する光源を備えていてもよい。
【0011】
上記貨幣払出装置では、撮像に必要な光を安定して確保できるため、貨幣が残っているか否かの判定に、より好適な画像データを提供することができる。
【0012】
また、前記貨幣払出装置において、前記一方の側から前記貨幣受け面を照らす光は、該貨幣受け面を、高輝度部と低輝度部とを特定パターンで照らす光であってもよい。この場合、前記特定パターンは、前記高輝度部及び前記低輝度部がいずれも帯状を成し、帯状の該高輝度部と帯状の該低輝度部とが交互に並ぶ縞模様であってもよい。
【0013】
該貨幣払出装置では、撮像手段が特定パターンに照らされた貨幣受け面を撮像することになるので、貨幣払出後の画像データに対する基準画像データ、つまり、貨幣払出前の画像データが、どのようなデータであるか予め把握できる。よって、該貨幣払出装置によれば、基準画像データを得るために、貨幣払出直前に、受け皿の貨幣受け面を撮像する手間を省くことができる。さらに、該貨幣払出装置では、撮像手段が特定パターンに照らされた貨幣受け面を撮像することになるので、撮像手段は、貨幣受け面上に貨幣が存在すれば特定パターンが乱されている画像データを取得し、貨幣受け面上に貨幣が存在しなければ特定パターンが実質的に乱されていない画像データを取得することになる。よって、該貨幣払出装置では、貨幣が残っているか否かの判定の際には、特定パターンが乱されている画像データであるか否かを判断すればよいので、太陽光等の外光に貨幣受け面が一時的に照らされても、撮像手段が取得した画像データにより、貨幣が残っているか否かの判定を確実に行うことができる。
【0014】
また、前記貨幣払出装置において、前記光源からの光を受けて、前記貨幣受け面を前記特定パターンに照らすパターン板を備えていてもよい。
【0015】
また、前記貨幣払出装置において、前記光源は、前記受け皿を基準にして前記他方の側に配置され、前記パターン板は、前記受け皿の前記貨幣受け面を基準にして前記一方の側に配置され、前記透明部を介して前記他方の側の光源から光を受ける受光面を有し、前記パターン板の前記受光面には、受けた光を反射する反射部と受けた光を吸収する吸収部とが、前記特定パターンに併せて形成されていてもよい。
【0016】
また、前記貨幣払出装置において、前記光源は、前記受け皿を基準にして前記一方の側に配置され、前記貨幣受け面に向かって光を発するものであってもよい。
【0017】
該貨幣払出装置では、貨幣受け面上に貨幣が存在する場合、光源からの光はこの貨幣により遮られるため、貨幣が存在する部分と貨幣が存在しない部分とのコントラスト差を大きくすることができる。よって、該貨幣払出装置によれば、貨幣が残っているか否かの判定をより確実に行うことができる。
【0018】
また、前記貨幣払出装置において、前記他方の側は、前記受け皿の前記貨幣受け面に対向する背面と該貨幣受け面とのうち、該貨幣受け面側であり、前記他方の側に配置されている前記撮像手段は、前記一方の側に配置されている前記光源から発せられ、前記透明部を透過した光に照らされた前記貨幣受け面を撮像してもよい。
【0019】
また、前記貨幣払出装置において、前記他方の側は、前記受け皿の前記貨幣受け面に対向する背面と該貨幣受け面とのうち、該背面側であり、前記他方の側に配置されている前記撮像手段は、前記一方の側に配置されている前記光源から発せられ、前記貨幣受け面を経て、前記透過部を透過した光を受光してもよい。
【0020】
また、前記貨幣払出装置において、前記透明部は、前記一方の側からの光に対して、該一方の側に焦点を形成する凹レンズ光学系を形成してもよい。
【0021】
上記貨幣払出装置では、受け皿の貨幣受け面の位置での撮像領域を広げることができる。
【0022】
また、前記目的を達成するための発明に係る貨幣払出装置は、
払い出された貨幣を受ける受け皿を備えている貨幣払出装置において、
前記受け皿の貨幣受け面を撮像する撮像手段と、
前記受け皿の前記貨幣受け面に向かって光を発する光源と、
前記光源からの光を受けて、該貨幣受け面を、高輝度部と低輝度部とを特定パターンで照らすパターン部と、を備え、
前記パターン部は、前記受け皿の前記貨幣受け面よりも、上側と下側とのうちの一方の側に配置され、
前記撮像手段は、前記受け皿を基準にして、上側と下側とのうちの他方の側に配置され、
前記受け皿は、前記貨幣受け面を含む領域において、前記光源から前記パターン部までの光路、及び該パターン部から前記撮像手段までの光路となる部分が透明である、ことを特徴とする。
【0023】
該貨幣払出装置では、撮像手段が特定パターンに照らされた貨幣受け面を撮像することになるので、撮像手段は、貨幣受け面上に貨幣が存在すれば特定パターンが乱されている画像データを取得し、貨幣受け面上に貨幣が存在しなければ特定パターンが実質的に乱されていない画像データを取得することになる。よって、該貨幣払出装置では、貨幣が残っているか否かの判定の際には、特定パターンが乱されている画像データであるか否かを判断すればよいので、太陽光等の外光に貨幣受け面が一時的に照らされても、撮像手段が取得した画像データにより、貨幣が残っているか否かの判定を確実に行うことができる。さらに、撮像手段が、受け皿の貨幣受け面を基準にして撮像手段と反対側に配置されているパターン部からの光を含む光で、貨幣受け面を撮像するので、仮に、受け皿が西日等の外光に一時的に照らされても、撮像手段が取得する画像データ中で、貨幣が存在しない部分の輝度変化を小さくすることができる。よって、該貨幣払出装置によれば、受け皿が外光に一時的に照らされても、貨幣が残っているか否かの判定をより確実に行うことができる。
【0024】
また、該貨幣払出装置では、撮像手段が特定パターンに照らされた貨幣受け面を撮像することになるので、貨幣払出後の画像データに対する基準画像データ、つまり、貨幣払出前の画像データが、どのようなデータであるか予め把握できる。よって、該貨幣払出装置によれば、基準画像データを得るために、貨幣払出直前に、受け皿の貨幣受け面を撮像する手間を省くことができる。
【0025】
さらに、上記貨幣払出装置では、パターン部は、貨幣受け面を基準にして、撮像手段と反対側に配置されているため、当該パターン部が貨幣や利用者の手により磨耗することがなく、パターン部の磨耗による貨幣判定の検知精度の低下を防ぐことができる。
【0026】
また、前記貨幣払出装置において、前記受け皿は、全体が透明であってもよい。
【0027】
上記貨幣払出装置では、受け皿に、この受け皿の貨幣受け面の外縁に沿って、側周壁が存在する場合でも、当該貨幣払出装置を利用する利用者は、この側周壁を介して、貨幣受け面上の貨幣を見ることができる。
【0028】
また、前記貨幣払出装置は、前記撮像手段が撮像した画像データを受け付けて、該画像データを解析して、前記貨幣が払い出された前記受け皿に該貨幣が残っているか否かを判定する判定手段と、前記貨幣が前記受け皿に残っていることを警告する警告手段と、前記判定手段により、前記貨幣が払い出された前記受け皿に該貨幣が残っていると判定されると、前記警告手段により前記警告を実行させる警告制御手段と、を備えていてもよい。
【0029】
上記貨幣払出装置では、貨幣の取り忘れを防止することができる。
【0030】
また、前記貨幣払出装置において、前記警告手段は、前記光源とは異なる色の光を前記受け皿に向かって発する警告光源を有していてもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明では、受け皿が外光に一時的に照らされても、撮像手段が取得する画像データ中で、貨幣が存在しない部分の輝度変化を小さくすることができるので、貨幣が残っているか否かの判定を極めて確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る第一実施形態における料金自動収受装置の正面図である。
【図2】本発明に係る第一実施形態における料金自動収受装置の構成を示す説明図である。
【図3】本発明に係る第一実施形態における硬貨返却部の構成を示す説明図である。
【図4】本発明に係る第一実施形態における制御部の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る第一実施形態における硬貨有無判定部の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る第一実施形態における画像データを示す説明である。
【図7】本発明に係る第一実施形態における画像データから輝度微分グラフの作成手順を示す説明図で、同図(a)は画像データを示し、同図(b)は水平輝度分布グラフを示し、同図(c)は輝度微分グラフを示す。
【図8】本発明に係る第二実施形態における硬貨返却部の構成を示す説明図である。
【図9】本発明に係る第三実施形態における硬貨返却部の構成を示す説明図である。
【図10】本発明に係る第三実施形態における制御部の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明に係る第三実施形態における硬貨有無判定部の動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明に係る第四実施形態における硬貨返却部の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る貨幣払出装置の各種実施形態について、図面を用いて説明する。
【0034】
「第一実施形態」
まず、図1〜図7を用いて、本発明に係る第一実施形態としての貨幣払出装置について説明する。
【0035】
本実施形態の貨幣払出装置は、有料道路の料金自動収受装置で、図2に示すように、ディスプレイ11と、スピーカ12と、有料道路の通行券が挿入される通行券挿入部20と、通行券挿入部20に挿入された通行券を貯める通行券ストック部25と、紙幣が投入される紙幣投入部30と、投入された紙幣を貨幣価値毎に選別する紙幣選別部33と、紙幣選別部33で選別された各貨幣価値毎の紙幣を貯める紙幣ストック部35と、紙幣を返却する紙幣返却部39と、硬貨が投入される硬貨投入部40と、投入された硬貨を貨幣価値毎に選別する硬貨選別部43と、硬貨選別部43で選別された硬貨を貨幣価値毎に貯める硬貨ストック部45と、硬貨を返却する硬貨返却部50と、これらの各部を制御する制御部60と、を備えている。
【0036】
通行券挿入部20は、通行券挿入口から投入された通行券に磁気記録等されている情報を読み取る読取機(不図示)と、この通行券を通行券ストック部25に送る通行券搬送機構21を有している。通行券ストック部25は、通行券を貯める通行券容器26を有する。
【0037】
紙幣投入部30は、紙幣投入口から投入された紙幣の貨幣価値を検知するセンサ(不図示)と、この紙幣を紙幣選別部33へ送る紙幣搬送機構31とを有している。紙幣ストック部35は、貨幣価値毎に設けられている紙幣収納容器36a,36b,36cと、各紙幣収納容器36a,36b,36cのうちから制御部60からの指示に従っていずれかの紙幣収納容器に貯められた紙幣を紙幣返却部39に送る紙幣搬送機構37と、を有している。紙幣選別部33は、紙幣投入部30から送られてきた紙幣を、この紙幣投入部30で検知された貨幣価値に応じて、紙幣ストック部35の各紙幣収納容器36a,36b,36cのうちのいずれかの紙幣収納容器に送る紙幣選別機構34を有している。
【0038】
硬貨投入部40は、投入された硬貨を受ける受け皿(不図示)と、この硬貨受け皿からの硬貨の貨幣価値を検知するセンサ(不図示)と、この硬貨を硬貨選別部43へ送る硬貨搬送機構41とを有している。硬貨ストック部45は、貨幣価値毎に設けられている硬貨収納容器46a,46b,46c,46dと、各硬貨収納容器46a,46b,46c,46dのうちから制御部60からの指示に従っていずれかの硬貨収納容器に貯められた硬貨を硬貨返却部50に送る硬貨搬送機構47と、を有している。硬貨選別部43は、硬貨投入部40から送られてきた硬貨を、この硬貨投入部40で検知された貨幣価値に応じて、硬貨ストック部45の各硬貨収納容器46a,46b,46c,46dのうちのいずれかの硬貨収納容器に送る硬貨選別機構44を有している。
【0039】
硬貨返却部50は、硬貨ストック部45の硬貨搬送機構で送られてきた硬貨を受ける受け皿51と、この受け皿51を撮像するカメラ54と、光源55,56と、受け皿51上に光の縞模様を形成するためのストライプ板(パターン板)57と、を有している。なお、これらの具体的な構成や配置等に関しては、後述する。
【0040】
制御部60は、コンピュータであり、ハードウェアー構成として、各種演算を実行するCPUと、このCPUのワークエリア等になるRAMと、予め各種データやプログラム等が格納されているROMと、ハードディスクドライブ装置等の外部記憶装置と、外部装置との間でデータの入出力を行うインタフェース等を有して構成されている。
【0041】
この制御部60は、機能構成として、硬貨返却部50のカメラ54及び光源55を制御する撮像制御部62と、カメラ54で得られた画像データを解析して受け皿51に硬貨が残っているか否かの判定を行う硬貨有無判定部63と、受け皿51に硬貨が残っている場合に硬貨が残っている旨等の警告の制御を行う警告制御部64と、硬貨返却部50を除く他の部を制御する主制御部61と、を有している。これらの機能部は、いずれも、外部記憶装置に格納されているプログラムをCPUが実行することにより機能する。なお、このプログラムは、磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM等のコンピュータ読取可能な記憶媒体により、コンピュータに提供されてもよいが、通信装置を介して外部からコンピュータに提供されてもよい。
【0042】
図1に示すように、ディスプレイ11、スピーカ12、通行券挿入部20、紙幣投入部30、紙幣返却部39、硬貨投入部40、及び硬貨返却部50は、いずれも、料金自動収受装置の筐体10の前面に設けられている。
【0043】
硬貨返却部50の受け皿51は、図3に示すように、下方側に向かって滑らかに凹んだ形状を成し、凹形状の底の部分を形成する底板部52と、凹形状の側周部分を形成する側周壁部53と、を有する。底板部52と側周壁部53とは、滑らかに連続している。
【0044】
この受け皿51は、透明な材料で形成されている。具体的に、この受け皿51は、石英ガラス等のガラス材や、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂で形成されている。また、この受け皿51は、石英ガラス等のガラス材を各種樹脂シートでコーティングして形成してもよい。
【0045】
カメラ54は、この受け皿51に上方に配置され、受け皿51の底板部52の上面である貨幣受け面52aを含む領域を撮像できる向きに向けられている。
【0046】
光源55,56には、撮像用光源55と警告用光源56とがある。警告用光源56は、撮像用光源55が発する光とは異なる色の光を発する。これら光源55,56も、カメラ54と同様、受け皿51に上方に配置され、受け皿51の貨幣受け面52aを含む領域を照らせる向きに向けられている。撮像用光源55と受け皿51との間には、撮像用光源55からの光を分散させて、受け皿51の貨幣受け面52aを均等に照らすための拡散板(不図示)が設けられている。
【0047】
ストライプ板57は、少なくとも受け皿51の貨幣受け面52aよりもサイズ的に大きい。このストライプ板57の受光面となる一方の面には、受けた光の多くを反射する帯状白色部(反射部)58と、受けた光の多くを吸収する帯状黒色部(吸収部)59とが交互に縞模様状に形成されている。帯状黒色部59の幅は、当該料金自動収受装置が扱う硬貨のうちで最も外径の小さい硬貨の外径よりも小さく、例えば、この外径の2/3〜1/5程度である。このストライプ板57は、受け皿51の下方に配置され、受光面が上向きに向けられている。
【0048】
次に、図4及び図5に示すフローチャートに従って、以上で説明した料金自動収受装置の制御部60の動作について説明する。
料金自動収受装置の通行券挿入口に通行券が挿入されると、通行券挿入部20の読取機が、この通行券に磁気記録等されている情報を読み取り、この情報を制御部60に送る。制御部60の主制御部61は、この情報を取得すると(S11)、清算処理を実行する(S12)。
【0049】
この清算処理(S12)で、主制御部61は、まず、読取機からの情報を用いて、有料道路の走行区間を割り出し、この走行区間対応の通行料金を算出する。続いて、主制御部61は、この通行料金をディスプレイ11に表示させると共に、スピーカ12から音声出力させる。
【0050】
この通行料金の出力に対して、一枚以上の紙幣が紙幣投入部30の紙幣投入口に投入されると、この紙幣投入部30のセンサにより、各紙幣の貨幣価値が検知され、これが主制御部61に送られる。そして、投入された紙幣は、紙幣選別部33により、この紙幣の貨幣価値に応じて、紙幣ストック部35の各紙幣収納容器36a,36b,36cのうちで、同じ貨幣価値の紙幣が収納される紙幣収納容器に送られる。また、一個以上の硬貨が硬貨投入部40の受け皿に投入されると、この硬貨投入部40のセンサにより、各硬貨の貨幣価値が検知され、これが主制御部61に送られる。そして、投入された硬貨は、硬貨選別部43により、この硬貨の貨幣価値に応じて、硬貨ストック部45の各硬貨収納容器46a,46b,46c,46dのうちで、同じ貨幣価値の硬貨が収納される硬貨収納容器に送られる。主制御部61は、各センサから送られてきた貨幣価値の合計を算出し、この合計値から、先に算出した通行料金を減算する。そして、減算結果が0より大きいか否かにより、釣銭の払出が必要であるか否かを判断する(S13)。
【0051】
ステップ13で、主制御部61が釣銭の払出が不要と判断すると、一連の処理を終了する。また、ステップ13で、主制御部61が釣銭の払出必要と判断すると、スピーカ12から「釣銭があります。取り忘れにご注意下さい。」等の釣銭有りの旨を音声出力させる(S14)。さらに、ステップ13で、主制御部61が釣銭の払出必要と判断すると、撮像制御部62が撮像回数カウンタを1にする(S15)。
【0052】
次に、主制御部61は、ステップ13の判断過程で求めた減算結果に応じた貨幣価値分の硬貨を硬貨ストック部45に払い出させる(S17)。この際、主制御部61は、硬貨ストック部45に対して、払出硬貨の種類、及び、この種類の硬貨枚数を指示する。硬貨ストック部45の硬貨搬送機構47は、この指示を受けると、指定された種類の硬貨が収納されている硬貨収納容器46a,46b,46c,46dから、指示された枚数の硬貨を取り出して、これを硬貨返却部50へ送る。硬貨返却部50に送られた硬貨は、この硬貨返却部50の受け皿51に載る。
【0053】
なお、釣として、紙幣が払い出される場合もあるが、ここでは、その説明を省略する。
【0054】
撮像制御部62は、主制御部61が硬貨ストック部45に硬貨の払い出しを指示すると、タイマを駆動させ、このタイマにより予め定められた時間T1の経過が計測されると(S18)、このタイマをリセットしてから、撮像用光源55を点灯させると共に、カメラ54により受け皿51を撮像させる(S19)。なお、ここでの時間T1は、主制御部61が硬貨ストック部45に硬貨の払い出しを指示してから、実際に払い出された硬貨が利用者であるドライバー等により取り除かれるまでの最短時間と考えられる時間、例えば、3秒である。また、ここでは、撮像用光源55を撮像時に点灯させるようにしているが、撮像の有無に関係なく、常時点灯させておいてもよい。
【0055】
撮像用光源55からの光は、図3に示すように、受け皿51の貨幣受け面52a上に硬貨Cがなければ、透明な受け皿51を透過して、ストライプ板57に至る。ストライプ板57に至った光のうち、帯状白色部(反射部)58に至った光は、ここで、反射されて、再び、透明な受け皿51を透過してカメラ54側に向かう。一方、帯状黒色部(吸収部)59に至った光は、ここでほとんどが吸収される。このため、受け皿51の貨幣受け面52a上に硬貨がなければ、カメラ54の撮像により得られた画像は、図6に示すように、ストライプ板57に対応して、白帯(高輝度帯)と黒帯(低輝度帯)とが交互に並んだ縞模様の画像となる。
【0056】
また、受け皿51の貨幣受け面52a上に硬貨Cがあれば、この硬貨Cはストライプ板57よりカメラ54側に存在するため、カメラ54の撮像により得られた画像中の硬貨Cが存在する部分は、硬貨Cの画像となり、その部分の輝度は硬貨Cの輝度となる。したがって、図6に示すように、使い込まれた10円硬貨等の反射率の低い硬貨の像Iaは、低輝度の黒っぽい円形像として撮像され、50円、100円、500円硬貨等の反射率の高い硬貨の像Ibは、高輝度の白っぽい円形像として撮像される。但し、硬貨の輝度は、硬貨表面の汚れやキズ等の影響により反射率が変化するため、図6中の各硬貨の像Ia,Ibの輝度は変化するし、一つの硬貨中の輝度が一様にならならないこともある。また、硬貨が重なっている場合には、複数の円形像が重なることなり、全体として円形にならないこともある。
【0057】
硬貨有無判定部63は、撮像により得られた画像データをカメラ54から取得し、この画像データを解析して、受け皿51の貨幣受け面52a上に釣銭が残っているか否かを判定する(S20)。硬貨有無判定部63により、釣銭が残っていないと判定されると、一連の処理は終了する。また、釣銭が残っていると判定されると、撮像制御部62が撮像回数カウンタに1を加えて(S31)、この撮像回数カウンタのカウンタ値が予め定められた値aであるか否かを判断する(S32)。この予め定められた値aは、例えば、5〜15程度の値である。
【0058】
撮像制御部62により、カウンタ値が予め定められた値aではない、つまり、カウンタ値が予め定められた値aより小さいと判断されると、警告制御部64は、第一警告処理として、警告用光源56を点滅させる(S33)。この警告用光源56は、前述したように、撮像用光源55とは異なる色の光を発するため、利用者であるドライバー等にとって、受け皿51の貨幣受け面52aの色が変わったように見える。このため、ドライバー等にこの受け皿51を注目させることができる。
【0059】
そして、撮像制御部62は、タイマにより、先の撮像から予め定められた時間T2の経過が計測されると(S32)、ステップ19に戻り、再び、撮像用光源55を点灯させると共に、カメラ54により受け皿51を撮像させる。なお、ここでの時間T2は、例えば、1秒である。
【0060】
以下、ステップ20の硬貨有無判定処理で、釣銭が残っていないと判定されない限り、ステップ19,20,31,32,33,34の処理が繰り返し実行される。この間、撮像時を除いて、警告用光源56の点滅は継続する。また、これらのステップでの処理の過程で、ステップ32において、撮像制御部62により、撮像回数カウンタのカウンタ値が予め定められた値aになったと判断されると、警告制御部64は、第二警告処理として、例えば、スピーカ12から、例えば、「釣銭を取り忘れています。」等を複数回音声出力させて、一連の処理を終了する。この場合、この音声出力の音量は、ステップ14での釣銭有りの旨の音声出力の音量よりも大きい。
【0061】
なお、警告用光源56の点滅は、警告用光源56の点滅開始後に、ステップ20で硬貨が残っていないと判定された時点、又は、ステップ35の第二警告処理が終了した時点で、終了する。
【0062】
次に、ステップ20における硬貨有無判定処理の詳細について、図5に示すフローチャートに従って説明する。
【0063】
硬貨有無判定部63は、まず、ステップ19の撮像で得られた釣銭払出後の画像データを取得する(S21)。この画像データは、図6に示すように、釣銭が受け皿51上に残っている場合、白帯と黒帯とが交互に並んだ縞模様と、黒っぽい円形の硬貨像Ia及び/又は白っぽい円形の硬貨Ibとが表されている画像のデータである。
【0064】
次に、硬貨有無判定部63は、図7(a)に示すように、ステップ21で取得した画像データから、図7(b)に示すように、水平輝度分布グラフを作成する(S22)。この水平輝度分布グラフは、横軸に、白帯及び黒帯がそれぞれ伸びている方向(垂直方向)に対して垂直な方向(水平方向)の位置、言い換えると、白帯と黒帯とが並んでいる方向(水平方向)の位置をとり、縦軸に輝度をとったグラフである。このステップ22では、白帯及び黒帯がそれぞれ伸びている方向(垂直方向)で互いに異なるそれぞれの位置で、この水平輝度分布グラフを作成する。この水平輝度分布グラフは、釣銭が受け皿51上に残っていない場合、水平方向において、輝度の高い部分、つまり白帯部分と、輝度の低い部分、つまり黒帯部分とが交互に繰り返されるグラフになるが、釣銭が残っている場合、この釣銭が存在する部分の輝度が前述したように釣銭の輝度となる。なお、図7(b)に示す水平輝度分布グラフは、同図(a)中の垂直方向におけるb位置での水平輝度分布グラフである。
【0065】
続いて、硬貨有無判定部63は、図7(c)に示すように、水平輝度分布グラフの水平位置変化に対する輝度の微分値を求め、輝度微分グラフを作成する(S23)。この輝度微分グラフは、高輝度部分と低輝度部分との境目の位置でピーク値を示すグラフとなるため、釣銭が受け皿51上に残っていない場合、水平方向において、白帯部分と黒帯部分との境目の各位置でピーク値を示し、ピーク値相互間の間隔も一定である。一方、釣銭が受け皿51上に残っている場合、釣銭が存在しない部分に関しては、白帯部分と黒帯部分との境目の各位置でピーク値を示し、ピーク値相互間の間隔も一定になるが、釣銭が存在する部分に関しては、釣銭が存在する部分と釣銭が存在しない部分との境目や、反射率の異なる釣銭相互の境目等がピーク値となり、釣銭が存在しない部分に対して、釣銭が存在する部分では、ピーク値の発生パターンが変わる。但し、釣銭が例えば反射率の低い硬貨であり、この硬貨が黒帯部分に存在する場合には、釣銭が存在する部分と釣銭が存在しない部分との境目がピーク値を示さないこともある。また、ある釣銭が存在する部分で、この釣銭にキズが存在し、キズの部分と他の部分との反射率が異なる等の場合には、この釣銭が存在する部分中にピーク値を示すこともある。
【0066】
次に、硬貨有無判定部63は、輝度微分グラフを参照して、各ピーク値の相互間隔を算出する(S24)。具体的には、隣り合っている正ピーク値の相互間隔、隣り合っている負ピーク値の相互間隔、隣り合っている正ピーク値と負ピーク値との相互間隔のうち、少なくともいずれかの間隔を算出する。この場合、例えば、隣り合っている正ピーク値の相互間隔Dのみを算出する。
【0067】
次に、硬貨有無判定部63は、ステップ24で算出した各ピーク値の相互間隔Dの全てが、予め定められた範囲内(1.2×d〜0.8×d)であるか否かを判断する(S25)。仮に、釣銭が受け皿51上に残っていない場合、隣り合っている正ピーク値の相互間隔Dはいずれもほぼ一定で、黒帯部分と白帯部分とを併せた幅dに近い値になる。一方、釣銭が受け皿51上に残っていれば、前述したように、ピーク値の発生パターンが変化するため、釣銭が存在する部分を含む領域において、正ピーク値の相互間隔Dは、黒帯部分と白帯部分とを併せた幅よりも極端に長くなるか短くなる。そこで、ここでは、ステップ24で算出した各ピーク値の相互間隔Dの全てが、黒帯部分と白帯部分とを併せた幅dと実質的に同じ幅であると扱える(1.2×d〜0.8×d)の範囲内であるか否かを判断することで、硬貨の有無を判定している。
【0068】
そして、硬貨有無判定部63は、ステップ24で算出した各ピーク値の相互間隔Dの全ては、予め定められた範囲内(1.2×d〜0.8×d)であると判断すると、硬貨無しと判定し(S26)、ステップ24で算出した各ピーク値の相互間隔Dのうち、一つでも、予め定められた範囲内(1.2×d〜0.8×d)でないと判断した場合には、釣銭有りと判定する(S27)。
【0069】
なお、ステップ24において、例えば、隣り合っている正ピーク値と負ピーク値との相互間隔を算出する場合には、ステップ25で扱う予め定められた範囲は、黒帯部分の幅又は白帯部分の幅を基準にして定めることになる。また、ステップ24において、隣り合っている正ピーク値の相互間隔、隣り合っている負ピーク値の相互間隔、隣り合っている正ピーク値と負ピーク値との相互間隔のうち、少なくとも二種類の間隔を算出する場合には、各種類毎の算出間隔が、各種類毎の予め定められた範囲であるか否かを判断し、いずれの種類の算出間隔においても、予め定められた範囲内である場合には、硬貨無しと判定し、いずれか一種類の算出間隔でも、予め定められた範囲内でない場合には、硬貨有りと判定する。
【0070】
以上で、硬貨有無判定処理は終了する。
【0071】
以上、本実施形態では、硬貨返却部50の受け皿51を透明にし、カメラ54は、硬貨が存在しない部分に関しては、受け皿51の貨幣受け面52aよりも下からの光で、この貨幣受け面52aを撮像しているので、仮に、受け皿が西日等の外光に一時的に照らされても、カメラ54が取得する画像データ中で、硬貨が存在しない白帯部分及び黒帯部分の輝度変化を小さくすることができる。よって、本実施形態では、仮に、受け皿51が斜め上方から太陽光等の外光に照らされている場合でも、カメラ54の撮像により得られた画像データから、硬貨の有無を確実に判定することができる。
【0072】
さらに、本実施形態では、カメラ54が縞模様パターンに照らされた貨幣受け面52aを撮像するので、カメラ54は、貨幣受け面52a上に硬貨が存在すれば縞模様パターンが乱されている画像データを取得し、貨幣受け面52a上に硬貨が存在しなければ縞模様パターンが実質的に乱されていない画像データを取得することになる。よって、本実施形態では、硬貨が残っているか否かの判定の際には、縞模様パターンが乱されている画像データであるか否かを判断すればよいので、太陽光等の外光に貨幣受け面52aが一時的に照らされても、カメラ54が取得した画像データにより、貨幣が残っているか否かの判定をより確実に行うことができる。特に、本実施形態では、得られた画像データの水平輝度分布の微分値に基づいて、硬貨が残っているか否かの判定を行っているので、太陽光等の外光に貨幣受け面52aが一時的に照らされても、カメラ54が取得した画像データにより、貨幣が残っているか否かの判定をより確実に行うことができる。これは、太陽光等の外光に貨幣受け面52aが照らされても、硬貨が存在しない部分に関しては、微分値があまり変化しないのみならず、微分値のピーク値の相互間隔が変わらないから、つまり、貨幣が存在しない部分の微分値が一時的な外光の影響をほとんど受けないからである。
【0073】
また、本実施形態では、ストライプ板57を背景にして、受け皿51の貨幣受け面52aを撮像しているので、貨幣払出後の画像データに対する基準画像データ、つまり、貨幣払出前の画像データが、どのようなデータであるか予め把握できる。このため、本実施形態では、後述の第三実施形態及び第四実施形態のように、釣銭払出後の画像データの他に、釣銭払出前の画像データを取得し、さらに、両画像データの差分をとる必要はない。すなわち、本実施形態では、釣銭払出直前に、受け皿51の貨幣受け面52aを撮像する手間を省くことができる。なお、本実施形態において、貨幣払出前の画像データに関して予め把握しているデータは、図5中のステップ25において、各ピーク値の相互間隔Dの判定基準となる予め定められた範囲(1.2×d〜0.8×d)である。
【0074】
また、本実施形態では、ストライプ板57が受け皿51の下側に配置されているため、このストライプ板57の白黒の縞模様が硬貨や利用者の手により磨耗することがなく、縞模様の磨耗による硬貨の検知精度の低下を防ぐことができる。縞模様が磨耗した場合、白または黒の色が薄くなり(黒地に白のストライプか,白地に黒のストライプかによって替わります)、磨耗部と非磨耗部の反射率が近付くことになり、磨耗による直接的な輝度変化のみならず、光源からの光、さらには西日などの外光による輝度差として得られるエッジ強度に,磨耗部と非磨耗部では大きな差が発生する。このため、非磨耗部でのエッジ強度に注目した閾値でエッジ検出を行った場合、磨耗部では十分にエッジが検出されなくなり、硬貨が存在しないにもかかわらず、硬貨ありとする誤検出が発生し得る。なお、ここでは、受け皿51の下方に、間隔を開けてストライプ板57を配置しているが、間隔を開けずに、つまり、受け皿51の貨幣受け面52aと対向する背面52bにストライプ板57を貼り付けてもよいし、受け皿51の貨幣受け面52aよりも下に位置するよう、このストライプ板57を埋め込んでもよい。
【0075】
さらに、本実施形態では、釣銭が残っていると判定された場合、撮像用光源55とは異なる色の光を発する警告用光源56を点滅させる第一警告処理、さらに、釣銭を取り忘れている旨を音声出力する第二警告処理を行うので、釣銭の取り忘れを大幅に減少させることができる。なお、ここでは、釣銭の取り忘れを警告する方法として、警告用光源56の点滅と音声による警告の二つを例示しているが、ディスプレイ11での取り忘れ表示や、当該料金自動収受装置の先に存在している開閉バーを開けるタイミングを遅くする開閉バー制御を採用してもよい。
【0076】
また、本実施形態では、受け皿51全体を透明にしているため、利用者であるドライバー側から、受け皿51の貨幣受け面52a上に載っている硬貨を、受け皿51の透明な側周壁部53を介して見ることができる。よって、本実施形態では、この意味でも、釣銭の取り忘れを減少させることができる。
【0077】
なお、本実施形態では、パターン板としてストライプ板57を用いて、受け皿51の貨幣受け面52aを白黒の縞模様に照らしているが、受け皿51の貨幣受け面52aを、光に照らされている高輝度部分と光に照らされていない低輝度部分との特定パターン、例えば、白黒の水玉模様、白黒の格子模様に照らしても、基本的に、同様の処理を行うことができる。
【0078】
また、本実施形態では、ステップ24において、微分値のピーク値の相互間隔を算出し、ステップ25において、この間隔が予め定められている範囲内か否かにより、受け皿51上に硬貨が残っているか否かを判定しているが、予め定められた微分値以上の正ピーク値の数又は負ピーク値の数、又は両ピーク値の数をカウントし、これらの数が予め定められた数であるか否かにより、受け皿51上に硬貨が残っているか否かを判定してもよい。
【0079】
「第二実施形態」
次に、図8を用いて、本発明に係る第二実施形態としての貨幣払出装置について説明する。
【0080】
本実施形態の貨幣払出装置も、第一実施形態と同様、有料道路の料金自動収受装置で、その構成は、硬貨返却部のみが第一実施形態と異なっており、その他の構成は第一実施形態と同様である。なお、後述する第三実施形態、第四実施形態も、硬貨返却部が第一実施形態と異なっており、その他の構成は第一実施形態と基本的に同様である。
【0081】
本実施形態の硬貨返却部50aは、第一実施形態の硬貨返却部50と同様、受け皿51、カメラ54、撮像用光源55、警告用光源56、及びストライプ板57aを有している。カメラ54及び警告用光源56は、第一実施形態と同様、受け皿51の上方に配置されている。また、ストライプ板57aも、第一実施形態と同様、受け皿51の下方に配置されている。一方、撮像用光源56は、第一実施形態と異なり、受け皿51及びストライプ板57aの下方に配置されている。また、本実施形態のストライプ板57aには、第一実施形態と異なり、光を透過させる帯状透過部58aと、光を透過させない帯状遮光部58aとが交互に縞模様状に形成されている。なお、ストライプ板57aと撮像用光源55との間には、撮像用光源55からの光を拡散させる拡散板が設けられている。
【0082】
以上、本実施形態でも、第一実施形態と同様、硬貨返却部50の受け皿51を透明にし、カメラ54は、受け皿51の貨幣受け面52aよりも下からの光で、この貨幣受け面52aを撮像しているので、仮に、受け皿が西日等の外光に一時的に照らされても、カメラ54が取得する画像データ中で、硬貨が存在しない白帯部分及び黒帯部分の輝度変化を小さくすることができ、カメラ54の撮像により得られた画像データから、硬貨の有無を確実に判定することができる。さらに、本実施形態でも、第一実施形態と同様、ストライプ板57aを背景にして、受け皿51の貨幣受け面52aを撮像しているので、より確実に硬貨の有無判定を行うことができると共に、釣銭払出直前に、別途、受け皿51の貨幣受け面52aを撮像する手間を省くことができる。
【0083】
また、本実施形態では、硬貨返却部50の受け皿51を透明にし、カメラ54は、受け皿51よりも下からの光で受け皿51の硬貨受け面52aを撮像しているので、受け皿51上に硬貨があれば、カメラ54は、この硬貨を光の影として撮像することになる。このため、硬貨の色や硬貨の光反射率にあまり影響を受けることなく、硬貨の影の部分と他の部分とのコントラスト差の大きい画像データを得ることができる。したがって、仮に、受け皿51が斜め上方から太陽光等の外光に照らされている場合でも、本実施形態では、第一実施形態よりも、カメラ54の撮像により得られた画像データから、硬貨の有無をより確実に判定することができる。
【0084】
また、第一実施形態では、撮像用光源55からの光が、拡散板及び受け皿51を透過して、ストライプ板57に至り、このストライプ板57の帯状白色部58で反射し、これが再び受け皿51及び拡散板を透過してからカメラ54に至るのに対して、本実施形態では、撮像用光源56からの光が、拡散板、ストライプ板57aの帯状透過部58a、及び受け皿51の透過のみでカメラ54に至るので、撮像光源55からの光の減光量を少なくすることができる。このため、本実施形態では、この観点からも、第一実施形態より、硬貨が存在する部分と他の部分とのコントラスト差の大きい画像データを得ることができる。
【0085】
また、本実施形態では、撮像用光源55を受け皿51の下方に配置したので、受け皿51の上方に多くのスペースを確保できない場合でも、第一実施形態に劣らぬ効果を得ることができる。
「第三実施形態」
次に、図9〜図11を用いて、本発明に係る第三実施形態としての貨幣払出装置について説明する。
【0086】
本実施形態における貨幣払出装置の硬貨返却部50bは、図9に示すように、第二実施形態の硬貨返却部50aからストライプ板57aを削除したもので、その他の構成は第二実施形態の硬貨返却部50aと同じである。
【0087】
よって、本実施形態でも、第二実施形態と同様、硬貨返却部50bの受け皿51を透明にし、カメラ54は、受け皿51よりも下からの光で受け皿51の貨幣受け面52aを撮像しているので、硬貨の存在しない部分の輝度変化の小さい画像データを得ることができると共に、硬貨の色や硬貨の光反射率にあまり影響を受けることなく、硬貨が存在する部分と他の部分とのコントラスト差の大きい画像データを得ることができる。
【0088】
但し、本実施形態では、ストライプ板57,57aが存在しないため、制御部60bの動作が、第一実施形態や第二実施形態と異なっている。
【0089】
そこで、本実施形態の制御部60bの動作について、図10及び図11に示すフローチャートに従って説明する。
【0090】
図10のフローチャートに示すように、本実施形態でも、第一実施形態と同様、通行券のデータ取得処理(S11)、清算処理(S12)、釣銭の払出有無の判断処理(S13)、釣銭有りの旨の音声出力処理(S14)、撮像回数カウンタの「1」設定処理(S15)が実行される。
【0091】
その後、本実施形態では、釣銭払出前の受け皿51の撮像処理が行われる(S16)。つまり、撮像制御部62bは、撮像用光源55を点滅させると共に、カメラ54により釣銭払出前の受け皿51を撮像させる。この撮像によりカメラ54が取得した画像データは、硬貨有無判定部63bに送られ、硬貨有無判定部63bが管理している記憶部に一時的に格納される。
【0092】
この硬貨払出前の撮像処理が終了すると(S16)、第一実施形態と同じ釣銭払出処理(S17)が実行される。以降、第一実施形態と同様に、時間待ち(S18)、釣銭払出後の撮像処理(S19)、硬貨有無の判定処理(S40)、撮像回数カウンタのインクリメント処理(S31)、カウンタ値の判断処理(S32)、第一警告処理(S33)、時間待ち(S34)、第二警告処理(S35)が実行される。但し、本実施形態の硬貨有無の判定処理(S40)は、第一実施形態の硬貨有無の判定処理(S20)と異なる。
【0093】
そこで、本実施形態の硬貨有無の判定処理(S40)の詳細について、図11に示すフローチャートに従って説明する。
【0094】
硬貨有無判定部63は、まず、ステップ16の撮像で得られた釣銭払出前の画像データを取得する(S41)。続いて、硬貨有無判定部63は、ステップ19の撮像で得られた釣銭払出後の画像データを取得する(S42)。
【0095】
次に、硬貨有無判定部63は、画素毎に、釣銭払出前の画像データ中の画素データと釣銭払出後の画像データ中の対応画素データとの差分を算出し(S43)、画素毎の差分を二値化する(S44)。具体的には、差分が一定閾値未満である場合には、この差分を「0」とし、差分が一定閾値以上である場合には、この差分を「1」とする。
【0096】
次に、硬貨有無判定部63は、差分が一定閾値未満である画素、つまり、ステップ44で、差分が「0」とされた画素の総占有面積Aを求める(S45)。そして、この面積Aが予め定められた値ALより大きいか否か、つまり、二つの画像データの差がない部分が所定以上あるか否かを判断し(S46)、この面積Aが予め定められた値ALより大きいと判断すると、釣銭無しと判定し(S47)、この面積Aが予め定められた値ALより大きくないと判断すると、釣銭有りと判定する(S48)。
【0097】
なお、予め定められた値ALは、釣銭払出前の画像データと釣銭払出後の画像データとが完全一致し、全ての画素の二値化後の差分が「0」で、この差分が「0」の画素の総占有面積、つまり全ての画素の総占有面積AHよりも、多少小さい値である。これは、例えば、硬貨無しの場合でも、受け皿51上に小さなゴミ等があれば、釣銭払出前の事前画像データと実際の釣銭払出後の画像データとが完全一致しないからである。
【0098】
以上で、硬貨有無判定処理は終了する。
【0099】
以上、本実施形態では、ストライプ板57,57aが存在しないため、第一実施形態及び第二実施形態よりも、硬貨返却部50の製造コストを抑えることができる。
【0100】
「第四実施形態」
次に、図12を用いて、本発明に係る第四実施形態としての貨幣払出装置について説明する。
【0101】
本実施形態における貨幣払出装置の硬貨返却部50cは、第三実施形態のカメラ54と撮像用光源55との位置関係を逆転させたものである。
【0102】
このため、カメラ54は、撮像用光源55から、受け皿51の貨幣受け面52aを経て、その背面52bから出射した光を受光することになり、受け皿51の貨幣受け面52aから出射した光を受光する以上の実施形態とは異なる。但し、本実施形態は、カメラ54と撮像用光源55との位置関係が第三実施形態と逆で、そのためにカメラ54が受ける光の向きも逆になっているだけであるから、基本的には第三実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態は、光源55よりもカメラ54のほうがより多くのスペースを必要とする場合、貨幣払出装置の貨幣返却部上部スペースに余裕が少ないときにはより有効である。
【0103】
また、本実施形態では、受け皿51を、カメラ54と反対側、つまり撮像用光源55側に焦点を結ぶ凹レンズ光学系とすることで、受け皿51の貨幣受け面52aの位置での撮像領域を広げることができる。
【0104】
受け皿51を凹レンズ光学系にするためには、例えば、凹メニスカスレンズのように、貨幣受け面52aの曲率半径よりも、その背面52bの曲率半径が大きくなるようにしてもよいし(図12に示す)、凹フリネルレンズのように、貨幣受け面52aの背面52bに、凹レンズとして機能する複数のプリズムを形成してもよい。
【0105】
このように、受け皿51の貨幣受け面52aの位置での撮像領域が広がると、この貨幣受け面52aをケラレなく撮像することができる。また、受け皿51とカメラ54との間隔を小さくすることができ、省スペース化を図ることもできる。
【0106】
「各実施形態の変形例」
【0107】
以上の実施形態の受け皿51は、いずれも、受け皿51全体が透明であるが、貨幣受け面52a及びその背面52bで囲まれた底板部52のみが透明であってもよい。但し、この場合、利用者であるドライバー側から、受け皿51の貨幣受け面52a上に載っている硬貨を、受け皿51の側周壁部53を介して見ることができなくなる。
【0108】
また、実施形態では、いずれも、一つの筐体内に設けられたコンピュータにより、料金の清算処理、釣銭有無判定処理等を行っているが、異なる筐体内にそれぞれ設けられたコンピュータにより、複数の処理を分散処理するようにしてもよい。具体的には、例えば、第一筐体には、ディスプレイ11、スピーカ12、通行券挿入部20、通行券ストック部25、紙幣投入部30、紙幣選別部33、紙幣ストック部35、紙幣返却、硬貨投入部40、硬貨選別部43、硬貨ストック部45、硬貨返却部50を設けると共に、これら機能部のうち、硬貨有無判定部63,63bを除く機能部として機能するコンピュータを設け、第二筐体内には、硬貨有無判定部63,63bとして機能するコンピュータを設けるようにしてもよい。この場合、両コンピュータは、通信により、必要な情報等を送受信し合うことになる。
【0109】
また、以上の実施形態は、いずれも、硬貨の有無検知を対象にしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、紙幣の有無検知を対象にしてもよい。さらに、以上の実施形態は、いずれも、料金自動収受装置を対象にしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、貨幣を払い出す装置であれば、如何なる装置を対象にしてもよく、例えば、各種自動販売機、銀行等に設置されているATM等を対象にしてもよい。
【符号の説明】
【0110】
11:ディスプレイ、12:スピーカ、20:通行券挿入部、25:通行券ストック部、30:紙幣投入部、33:紙幣選別部、35:紙幣ストック部、39:紙幣返却部、40:硬貨投入部、43:硬貨選別部、45:硬貨ストック部、50,50a,50b,50c:硬貨返却部、51:受け皿、52:底板部、52a:貨幣受け面、52b:背面、53:側周壁部、54:カメラ、55:撮像用光源、56:警告用光源、57,57a:ストライプ板、58:帯状白色部(反射部)、58a:帯状透過部、59:帯状黒色部(吸収部)、59a:帯状遮光部、60,60b:制御部、61:主制御部、62,62b:撮像制御部、63,63b:硬貨有無判定部、64:警告制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
払い出された貨幣を受ける受け皿を備えている貨幣払出装置において、
前記受け皿には、該受け皿を基準にして一方の側から他方の側へ光が透過する透明部が、少なくとも該受け皿の貨幣受け面を含む部分に形成され、
前記受け皿を基準にして前記他方の側に配置され、前記一方の側からの光に照らされた前記貨幣受け面を撮像する撮像手段を備えている、
ことを特徴とする貨幣払出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の貨幣払出装置において、
前記一方の側から前記貨幣受け面を照らすための光を発する光源を備えている、
ことを特徴とする貨幣払出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の貨幣払出装置において、
前記一方の側から前記貨幣受け面を照らす光は、該貨幣受け面を、高輝度部と低輝度部とを特定パターンで照らす光である、
ことを特徴とする貨幣払出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の貨幣払出装置において、
前記特定パターンは、前記高輝度部及び前記低輝度部がいずれも帯状をなし、帯状の該高輝度部と帯状の該低輝度部とが交互に並ぶ縞模様である、
ことを特徴とする貨幣払出装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の貨幣払出装置において、
前記光源からの光を受けて、前記貨幣受け面を前記特定パターンに照らすパターン板を備えている、
ことを特徴とする貨幣払出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の貨幣払出装置において、
前記光源は、前記受け皿を基準にして前記他方の側に配置され、
前記パターン板は、前記受け皿の前記貨幣受け面を基準にして前記一方の側に配置され、前記透明部を介して前記他方の側の光源から光を受ける受光面を有し、
前記パターン板の前記受光面には、受けた光を反射する反射部と受けた光を吸収する吸収部とが、前記特定パターンに併せて形成され、
ことを特徴とする貨幣払出装置。
【請求項7】
請求項2に記載の貨幣払出装置において、
前記光源は、前記受け皿を基準にして前記一方の側に配置され、前記貨幣受け面に向かって光を発する、
ことを特徴とする貨幣払出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の貨幣払出装置において、
前記他方の側は、前記受け皿の前記貨幣受け面に対向する背面と該貨幣受け面とのうち、該貨幣受け面側であり、
前記他方の側に配置されている前記撮像手段は、前記一方の側に配置されている前記光源から発せられ、前記受け皿の前記透明部を透過した光に照らされた前記貨幣受け面を撮像する、
ことを特徴とする貨幣払出装置。
【請求項9】
請求項7に記載の貨幣払出装置において、
前記他方の側は、前記受け皿の前記貨幣受け面に対向する背面と該貨幣受け面とのうち、該背面側であり、
前記他方の側に配置されている前記撮像手段は、前記一方の側に配置されている前記光源から発せられ、前記貨幣受け面を経て、前期受け皿の前記透過部を透過した光を受光する、
ことを特徴とする貨幣払出装置。
【請求項10】
請求項9に記載の貨幣払出装置において、
前記透明部は、前記一方の側からの光に対して、該一方の側に焦点を形成する凹レンズ光学系を形成する、
ことを特徴とする貨幣払出装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の貨幣払出装置において、
前記受け皿は、全体が透明である、
ことを特徴とする貨幣払出装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の貨幣払出装置において、
前記撮像手段が撮像した画像データを受け付けて、該画像データを解析して、前記貨幣が払い出された前記受け皿に該貨幣が残っているか否かを判定する判定手段と、
前記貨幣が前記受け皿に残っていることを警告する警告手段と、
前記判定手段により、前記貨幣が払い出された前記受け皿に該貨幣が残っていると判定されると、前記警告手段により前記警告を実行させる警告制御手段と、
を備えている、
ことを特徴とする貨幣払出装置。
【請求項13】
請求項12に記載の貨幣払出装置において、
前記警告手段は、前記光源とは異なる色の光を前記受け皿に向かって発する警告光源を有する、
ことを特徴とする貨幣払出装置。
【請求項1】
払い出された貨幣を受ける受け皿を備えている貨幣払出装置において、
前記受け皿には、該受け皿を基準にして一方の側から他方の側へ光が透過する透明部が、少なくとも該受け皿の貨幣受け面を含む部分に形成され、
前記受け皿を基準にして前記他方の側に配置され、前記一方の側からの光に照らされた前記貨幣受け面を撮像する撮像手段を備えている、
ことを特徴とする貨幣払出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の貨幣払出装置において、
前記一方の側から前記貨幣受け面を照らすための光を発する光源を備えている、
ことを特徴とする貨幣払出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の貨幣払出装置において、
前記一方の側から前記貨幣受け面を照らす光は、該貨幣受け面を、高輝度部と低輝度部とを特定パターンで照らす光である、
ことを特徴とする貨幣払出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の貨幣払出装置において、
前記特定パターンは、前記高輝度部及び前記低輝度部がいずれも帯状をなし、帯状の該高輝度部と帯状の該低輝度部とが交互に並ぶ縞模様である、
ことを特徴とする貨幣払出装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の貨幣払出装置において、
前記光源からの光を受けて、前記貨幣受け面を前記特定パターンに照らすパターン板を備えている、
ことを特徴とする貨幣払出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の貨幣払出装置において、
前記光源は、前記受け皿を基準にして前記他方の側に配置され、
前記パターン板は、前記受け皿の前記貨幣受け面を基準にして前記一方の側に配置され、前記透明部を介して前記他方の側の光源から光を受ける受光面を有し、
前記パターン板の前記受光面には、受けた光を反射する反射部と受けた光を吸収する吸収部とが、前記特定パターンに併せて形成され、
ことを特徴とする貨幣払出装置。
【請求項7】
請求項2に記載の貨幣払出装置において、
前記光源は、前記受け皿を基準にして前記一方の側に配置され、前記貨幣受け面に向かって光を発する、
ことを特徴とする貨幣払出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の貨幣払出装置において、
前記他方の側は、前記受け皿の前記貨幣受け面に対向する背面と該貨幣受け面とのうち、該貨幣受け面側であり、
前記他方の側に配置されている前記撮像手段は、前記一方の側に配置されている前記光源から発せられ、前記受け皿の前記透明部を透過した光に照らされた前記貨幣受け面を撮像する、
ことを特徴とする貨幣払出装置。
【請求項9】
請求項7に記載の貨幣払出装置において、
前記他方の側は、前記受け皿の前記貨幣受け面に対向する背面と該貨幣受け面とのうち、該背面側であり、
前記他方の側に配置されている前記撮像手段は、前記一方の側に配置されている前記光源から発せられ、前記貨幣受け面を経て、前期受け皿の前記透過部を透過した光を受光する、
ことを特徴とする貨幣払出装置。
【請求項10】
請求項9に記載の貨幣払出装置において、
前記透明部は、前記一方の側からの光に対して、該一方の側に焦点を形成する凹レンズ光学系を形成する、
ことを特徴とする貨幣払出装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の貨幣払出装置において、
前記受け皿は、全体が透明である、
ことを特徴とする貨幣払出装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の貨幣払出装置において、
前記撮像手段が撮像した画像データを受け付けて、該画像データを解析して、前記貨幣が払い出された前記受け皿に該貨幣が残っているか否かを判定する判定手段と、
前記貨幣が前記受け皿に残っていることを警告する警告手段と、
前記判定手段により、前記貨幣が払い出された前記受け皿に該貨幣が残っていると判定されると、前記警告手段により前記警告を実行させる警告制御手段と、
を備えている、
ことを特徴とする貨幣払出装置。
【請求項13】
請求項12に記載の貨幣払出装置において、
前記警告手段は、前記光源とは異なる色の光を前記受け皿に向かって発する警告光源を有する、
ことを特徴とする貨幣払出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−248517(P2011−248517A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119470(P2010−119470)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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