説明

貨物コンテナ取扱ガントリークレーン用のワイヤロープリービング支持システム

水平ガントリーに沿って往復運動するよう取り付けられた運搬トロリーを有し、かつ運搬トロリー用のワイヤロープ荷物ホイスティングシステムを有する貨物コンテナ取扱クレーン用のワイヤロープリービング支持システムであり、少なくとも荷物ホイスティングシステムのワイヤロープを支持するため、かつ運搬トロリーがロープシステムを作動させて機械的に干渉することなくトロリーがそこを通ることを可能にするための機構が、該ガントリーの中間スパンに設けられる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の背景
本発明の分野
本発明は、貨物コンテナ取扱ガントリークレーンに関する。特に、このようなクレーンの貨物コンテナ運搬トロリー用のワイヤロープリービングシステムにおける改良に関する。具体的には、荷物ホイスト及びトロリー横行操作を実行するロープシステムが、クレーンの最大ロープ吊り下げ長さの少なくとも中間スパンで支持される、ガントリークレーン用のワイヤロープリービング支持システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の説明
本発明による改良の恩恵を受ける貨物コンテナ取扱ガントリークレーンは、陸、ドック又は水上で縦に広がって延び、貨物コンテナを1つの積み降ろし区域から別の積み降ろし区域に水平に移動させるよう運転、構成されているクレーンである。通常、このようなガントリークレーンのうち最も重いものは、ブリッジクレーン又はガントリークレーンの形態にて世界中の船積み港の波止場にある。一般に、波止場のガントリークレーンは、水平のスライド式ブーム又は片持ちブームを有し、後者は、通常その内側の端部を中心にしてそれを回転させることにより上昇させることができる。普及しているこの後者の型のクレーンの例が、米国特許第5,765,981号に開示されており、本発明の譲受人により開発されたものである。他の種類の大型ガントリーヤードクレーンは、大型貨物コンテナの保管又は移動区域に設置される。これらは細長いスパンのブリッジクレーンであり、一般にレールに載せられた車輪上のクレーンガントリーの両端から内側に設けられた垂直構造体により支持される。
【0003】
図1を参照すると、米国特許第5,765,981号の型のガントリークレーンが示されており、クレーン上部構造物13から突出した片持ち回転ブーム11を有している。これはクレーントラック車輪15上に支持され、クレーントラック車輪15は、岸壁の端面に平行に延びるドックレール上に載せられている。この上部構造物は、貨物コンテナ積み込み及び積み降ろし区域19の上方の高い位置にて中間高さに配置された水平のガントリー17を支持する。このガントリーは、上部構造物の主脚により下方から支持される。片持ち回転ブームの構成では、ブームの外側端部又は片持ち端部を垂直の高い積み込み位置まで回転するのに用いられるワイヤロープリービング23をガイドするために、シーブがクレーンの上部構造物の頂点21に設置される。ブームの外側端部又は中間及び端部はまた、ブームが水平になるまで降ろされ且つワイヤロープブームホイストリービング23が緩んでいるとき、機械的リンク25により該頂点から支持される。ブームを上昇させるワイヤロープホイストリービングは、片持ちブームが上部構造物に近接した内側端部にてそのヒンジ点27を中心にその積み込み位置まで回転させられるとき折りたたまる該リンクから負荷を切り離す。
【0004】
最も典型的に波止場で用いられる貨物コンテナ取扱クレーンのガントリーは、水平スライド式又は上昇式の片持ちブームであり、単一ビームのガントリーもあるが、他のたいていのガントリーはデュアルガーダービームである。本発明は、これらの基本的な型のガントリークレーン構成のいずれにも使用できる。これらのクレーンのすべては、通常は吊り下げられたオペレータの運転室31を有したクレーンガントリーセクション11及び17上のレールに載せられた可動貨物コンテナリフトトロリー29を用いる点において、米国特許第5,765,981号型のクレーンに類似している。このトロリーは、通常はクレーンガントリーの上部、内部又は下方に取り付けられたレールに沿って往復する。このトロリーは、ガントリーの下方で貨物コンテナリフティングスプレッダー33を吊り下げる。デュアルガーダービームガントリーの場合、荷物は、ガントリーの長さに亘って延びるガントリーサイドガーダー間でガントリーの中心を通って吊り下げられる。単一ビームガントリーでは、トロリーは、通常はビームの下方に取り付けられたレール上に吊り下げられる。この貨物コンテナリフティングスプレッダーは、トロリーから解放自在に吊り下げられる。このトロリーは、フリートスルー(fleet-through)ワイヤロープ荷物ホイストリービングのためのワイヤロープ吊り下げシーブを着脱式ヘッドブロック35により支持する。種々の長さのスプレッダーを、対応する種々のサイズのコンテナに適応すべくヘッドブロックに固定できる。
【0005】
ヘッドブロック35とスプレッダー33は、ドック又は船の上に置かれた貨物コンテナにつなげるために、運転室31内のオペレータによりクレーンガントリー11、17から上昇又は下降させ得る。貨物コンテナ運搬船の中又はクレーンの下又はそのバックリーチ(backreach)の下にて積み込み及び積み降ろし区域19間でガントリーに沿って運搬するために、トロリー29によりコンテナを持ち上げることをこのスプレッダーが可能にする。トロリーは、連続的なワイヤロープ駆動システムによりガントリーに沿って往復運動させられ、ヘッドブロックは、荷物ホイスティングワイヤロープシステムにより上昇及び下降させられ、通常はこの両方とも、機械室37に置かれたワイヤロープドラムにより駆動される。
【0006】
しかしながら、貨物コンテナの移動に関する従来技術において利用されるいくつかの種類のワイヤロープリービング及びトロリー駆動が存在する。これらは、トロリーロープ駆動及び荷物ホイストワイヤロープを含む。これら2つのシステムのうち後者は、主に本発明の実行から恩恵を受けるが、トロリー駆動ロープもまた恩恵を受け得る。これらのワイヤロープシステムは各々、添付の従来技術の図面に開示されており、これらの図面には、海岸の貨物コンテナ取扱クレーン用のロープ駆動トロリーのためのワイヤロープリービングと、クレーン上の遠隔場所から駆動されるワイヤロープ荷物ホイスティングシステムとの両方に典型的な装置が示される。これらの大型クレーンでは、ワイヤロープサグ、特に荷物ホイストワイヤロープシステムにおけるサグに関係する問題がある。ホイストトロリーが最大到達位置まで横行したとき、トロリー上の主ホイストロープシーブと、ガントリーの反対端部のホイストロープ支持シーブとの間の支持されていないロープ範囲が、最大に達する。この条件下で、ホイストロープは、ワイヤロープの支持されていない死荷重により最大サグを有するであろう。このカテナリー効果は、リフティングスプレッダーの下に荷物がない場合には過度になる。コンテナ荷物は、ロープサグを抑制する水平のロープに張力を与えるワイヤロープシステムにおいて、下向きの力を発生させる。より高い定格のリフティング能力を有するクレーンでは、主ワイヤロープ径は、重い荷物を取り扱うためにより大きい。したがって、主ホイストロープはより重く、吊り下げられるロープはより大きなサグを有する。
【0007】
ロープサグに対して最も好ましくない条件は、主トロリーが最も遠い到達位置に位置するときで、且つ、主ホイストドラムが船の船倉においてコンテナに係合すべくスプレッダーを降ろすためにほとんどのロープを繰り出したときである。スプレッダーがコンテナ上に達すると、主ホイストロープの緩みは最大になる。というのは、ロープサグを最小にするのに必要な張力を維持するロープ上の荷物が存在しないからである。このような条件下のサグは、30フィートにもなり得る。オペレータが係合コンテナを持ち上げ始めると、持ち上げられる荷物により作られる力は、突然緩いロープを引っ張り、「ロープ鞭打ち効果」を発生させる。これにより、ロープは跳ね返り、クレーンフレームの隣接した構造体上で打ち付けられ、これにより、ワイヤロープの早期の疲労破損だけでなく構造上の損傷も生じる。実際には、しばしば、ロープは停泊している船の構造要素に係合してそれを取り外してしまう。損傷した構造体は、船のデッキの上部に落ちて設備をさらに損傷させ場合によっては作業者又は乗組員に対して身体障害や死に至らし得る。跳ね返るロープはまた、不快な騒音と安全でない作業条件を作り出し、また、彼らがたまたま跳ね返るロープの近くいる場合には人を傷つけ得る。逆に言えば、同じ条件が反対に生じる:すなわち、荷物が上述した最も好ましくない条件下で解放されると、同じ鞭打ち効果が張力の解放から生じる。トロリーの内側のバックリーチ引っ込み最大位置はまた、好ましくないロープサグ条件を生じさせ、鞭打ち効果を起こさせ得る。
【0008】
1985年以前に建造されたこれらのクレーンでは、ワイヤロープへのカテナリー効果は、オペレータの懸念を高めるほど十分に厳しくはなかった。しかしながら、コンテナ船の大きさが大きくなるにつれ、相応してクレーンが大きくなりブーム到達範囲がさらに延びた。その結果、クレーン波止場トラックのためのレール軌間が、50フィートから100フィートに広がり、荷物持ち上げ中のクレーン軽打の可能性に対するより優れたクレーン運転上の安定性を与える。したがって、支持されていないワイヤロープのスパンは、従来技術のクレーンよりも長く、このことは、主ホイストロープの支持されていないスパンが、古いクレーンよりも十分に長くなることを意味する。したがって、クレーンの持ち上げ能力がより高くなり、さらに重い主ホイストワイヤロープの使用が必要となる。このことが問題を難しくし、さらに大きなロープサグを生じさせる。その結果、今ではロープサグカテナリー効果は過度なものとなり、確認済みの安全性の問題を生じさせている。
【0009】
図2を参照すると、ロープサグの問題を軽減するのに用いられる第1の型の基本的なワイヤロープリービング支持システムを示す。このシステムは、ガントリー17上で1対のカテナリーロープ支持トロリー39、41を用い、これらは、主ホイストトロリー29の両側に配置されてワイヤロープを支持する。この典型的な型のクレーンでは、上述した2つの独立ロープシステム、すなわちトロリー駆動システム及び荷物ホイストシステムが利用できる。簡単のため、後者、すなわち荷物ホイストシステムのみが、図2に示されている。というのは、あるクレーンでは、後に説明するように、主トロリー駆動のためにワイヤロープ駆動システムを利用しないからである。
【0010】
図3を参照すると、図2では省略したガントリークレーン用の主トロリー横行駆動システムのための典型的なリービングが示されている。この駆動システムのためのワイヤロープリービングの通常の構成では、1対の連続的な横行又はワイヤ駆動ロープ43が、貨物運搬トロリー29の両端に固定され、1つ又は1対のトロリー駆動ドラム45により駆動される。この用語「連続的」は、一般にワイヤロープが連続的なループであることを意味する。ロープの部分は、トロリーの運動方向に依存して引っ張られるか又は緩んでおり、トロリーが動くときにはロープは常に活動中であり、連続的に動いている。
【0011】
図3の「ロープトロリー」型のクレーンでは、2対の主トロリー駆動ロープ43用の駆動ドラム45は、通常はガントリー17上の中間スパンのどこかで機械室37(図1)内に設置される。これらの駆動ロープ対は、向かい合って巻かれ、油圧ロープテンショナ49を介してドラムからガントリーの両端に設けられた反転シーブ47に延びる。このロープ対は反転シーブにて方向を反転し、ガントリーに沿って移動自在にどこかに設置された貨物コンテナ運搬トロリー29の両端まで延びる。駆動ドラムの動作により、トロリーがガントリーに沿って一方向に移動させられ、駆動ドラムが逆回転すると、駆動ロープの緊張と弛緩の力を反転しトロリーの運動を反転させる。
【0012】
再び図2を参照する。「ロープトロリー」貨物コンテナ取扱クレーンにおけるトロリー駆動ロープ(図3)に加えて、リフティングスプレッダー33のための荷物ホイスト又はリフトロープ51の別のシステムが、ワイヤロープリービングシステム中に統合されている。これもまた機械室に設置された駆動ドラム53により遠隔位置から駆動され、クレーンガントリー17の一端にて反転シーブ47を介して延びている点において、トロリー駆動ロープにおける方向、操作及び位置と非常に類似している。しかしながら、2対のホイストロープは、主トロリー29に固定されておらず、該主トロリー上に取り付けられたフリートスルーホイストシーブ55を介してリービング(reeved)され、それにより、下方に向かって該ホイストシーブからヘッドブロック35に延び、該ヘッドブロック上の吊り下げシーブを中心にしてトロリーまで戻り、トロリー上のフリートスルー(fleet through)追加ホイストシーブを中心に外側にそこからガントリーの端部まで延び、そこでガントリーの反対端部にて反転シーブ47からデッド端部(dead-ended)57になっている点において異なっている。これらのホイストロープは、ヘッドブロックとトロリーシーブとの間で複数回リービングさせてより優れた機械的利点を得ることもできる。ホイストロープは、トロリー駆動ロープとは独立に動作し、また、コンテナ用のリフティングスプレッダーヘッドブロックがトロリーの移動中に同時に上昇又は下降させられているかに依存して、トロリーがガントリーに沿って移動しているとき静止又は移動し得る。
【0013】
クレーン用のワイヤロープリービングの第2の型は、「機械トロリー」コンテナクレーンと称される場合もある。ホイスティング機械類とトロリー横行機械類は両方とも、トロリー上に取り付けられる。トロリー上に取り付けられたホイスト機械類のドラムからのワイヤロープは、リフティングスプレッダーヘッドブロック上の反転シーブまで下がってから上がってトロリーに戻り、トロリーに対してデッド端部となっている。トロリー横行機械類は、トロリー車輪を駆動してガーダー上のレール又はガントリークレーンのブームに沿ってトロリーを移動させる。
【0014】
第3の型のワイヤロープリービングは、「セミ・ロープ・トロリー」コンテナクレーンと称される場合もある。これは最初の2つの型を組み合わせたものである。荷物ホイスト機械類は、ガントリー上の機械室内に設置され、ワイヤロープは、図2の「ロープトロリー」クレーンと同様にリービングされる。しかしながら、トロリー用のガントリー横行機械類は、上述した「機械トロリー」型コンテナクレーンと同じようにその上に取り付けられる。
【0015】
後者の2つの型の従来技術のクレーンは、次の欠点を有する。両方の場合において、トロリー横行機械類がトロリー上に取り付けられ、第2の型ではホイスティング機械類もトロリー上に取り付けられる。このトロリーは非常に重くなり、トロリーを支持するのに必要なクレーンガントリーガーダー構造体を必然的により強くし、それによりより重くしなければならない。加えて、降雨の初めやレールに早朝の霜が付いている場合などのようなひどい条件では、トロリーがトロリー横行機械類に相互連結された車輪により駆動される際、しばしば車輪がスリップする。
【0016】
「ロープトロリー」型のクレーンでは、トロリーはフリートスルーシーブのみを支持し、トロリー上に取り付けられたホイスティング機械類又はトロリー横行駆動機械類を有しない。したがって、ロープトロリー構造体は、可能な相対的に最も軽い重量であり、相応して、トロリー支持クレーン構造体は、最小重量にて構築し得る。ロープトロリーは駆動ロープにより牽引されるので、車輪のスリップはない。しかしながら、ホイスト機械類及びトロリー横行機械類のためのワイヤロープの長い長さが、機械室からガーダー端部とトロリーの両方にリービングされる際、ワイヤロープは、かなりのサグを経験して摩耗し、より高いメンテナンス費用が必要となる。
【0017】
ロープサグの問題を緩和するために、様々な解決策が用いられてきた。再び図2を参照すると、1対のカテナリーロープ支持トロリーを用いた第1の解決策が示されている。水側カテナリートロリー41が、主トロリー29とブーム先端イコライザプラットフォームとの間に設置されている。陸側カテナリートロリー39もまた、主トロリーと、主トロリーに関して水側カテナリートロリーとは反対側のトロリーガーダー端部タイ(tie)との間に設置される。ロープトロリーが牽引ロープによって水側最大到達位置に移動させられると、陸側カテナリートロリーは、主トロリーにより引かれてトロリーガーダー端部タイと主トロリーフレームとの間の中間スパン距離に移動する。こうすることにより、陸側カテナリートロリーが、主ホイストワイヤロープとトロリー牽引ロープとを支持し、これら両方におけるロープサグを元のサグの25%まで減少させる。主トロリーが最も遠い陸側バックリーチ位置に移動して戻ると、水側カテナリートロリーは、主トロリーにより引かれてブーム先端イコライザプラットフォームと主トロリーとの間の中間スパン距離まで進み、陸側カテナリートロリーが行うように水側トロリー駆動ロープ及びホイストロープに対してロープ支持を行う。カテナリートロリーは、主トロリーに係合した動力を備えない連続的なワイヤロープシステムにより作動される。主トロリーが移動すると、同時にカテナリートロリーが移動する。カテナリーロープリービングシステムにおいて、ロープ緩みを取り除き且つロープ張力の維持を助けるために、ロープ緊張システムもまた設けられる。
【0018】
カテナリートロリーロープ支持システムには以下のいくつかの欠点が存在する。
1.付加されたカテナリートロリー(少なくとも2つ)は、クレーンの建造コストだけでなく、付加された重量を支持するのに必要なガントリーガーダーの増大したサイズの点でも、実質的な費用を追加する。主トロリー駆動システムは、すべての横行動作中、カテナリートロリーを牽引しなければならない。このことが、主トロリー駆動システムのパワー要件を厳しくし、クレーンの効率を下げる。
【0019】
2.水側カテナリートロリーは、主トロリーとブーム先端イコライザシーブの間でガントリー上に設置される。このことは、水側カテナリートロリーを挿入可能にするには、余分のブーム長さ(5〜7フィート)についての増加コストが必要とされることを意味する。クレーンのブームは、クレーンが運転中でないときには積み込み位置まで上昇させなければならないので、ブームホイスト機構は、余分のブーム長さの重量に水側カテナリートロリーの追加重量を加えたものを持ち上げる必要があるからである。その結果、ブームリフティングシステムに必要とされるブームホイスト機構のサイズもまた大きくしなければならない。これらの追加の増大コストは、大型の電気モータ、大型のギア減速装置、並びにすべての必要な連結及び関連装置を含む。
【0020】
陸側カテナリートロリーは、主トロリーとガーダー端部シーブとの間に置かれる。このことはまた、余分の内側の端部ガーダーとレール長さ(8〜10フィート)が陸側トロリーを含むのに必要とされることを意味する。この拡張はまた、追加のトロリー並びにガントリー長さ及び強度のために実質的なコストのみならず重量をもクレーンに付加する。
【0021】
3.カテナリートロリーロープ支持システムでは、主トロリー上の追加の牽引ロープ対、カテナリートロリーシーブ及びクランプ並びに油圧緊張システムを設置することを要する。これは油圧システムであるから、油が地面や水上に漏れ得るので環境的に扱いやすくない。このことが、それらの事項に対するサービス及びメンテナンス要件に加わる。ロープのすべてが頻繁な注油を必要とする。牽引ロープ及びシーブを修理点検するため、いくつかのメンテナンスアクセスプラットフォームを設置しなければならない。これら2つのカテナリートロリーはまた、ベアリング、車軸、及び車輪の交換などのメンテナンスを行うためにアクセスプラットフォームを必要とする。
【0022】
4.水側カテナリートロリーは、必然的にブームヒンジ点とブーム先端イコライザプラットフォームとの間に設置される。主トロリーがブームヒンジ点と後部ガーダータイとの間でガントリーの中間のどこかの待機位置にあるとき、水側カテナリートロリーは、ブームヒンジ点からブーム先端イコライザプラットフォームまでの中間スパンのどこかのブーム上に位置する。ブームが積み込み位置まで上昇させられると、水側カテナリートロリーは、ブームにより持ち上げられ、カテナリー牽引ロープにより空中に吊るされ支持される。このことが、ロープが故障した場合の安全性についての懸念を増す。ロープが故障すると、カテナリートロリーは、地面又は船デッキの上部に落ちて重大な設備の損傷や場合によっては人身傷害を引き起こし得る。安全ロック又は停止装置は、100mphの衝撃速度を超える場合もある降下するトロリー重量の3トンを止めることはできない。
【0023】
5.ある場合には、クレーンのオペレータは、ブームが積み込み位置まで上昇させられる間に主トロリーがクレーンの脚間で横行する能力を要求する。これは、水側カテナリートロリーの操作を複雑にする。というのは、84度の角度にて上方に突出したブームによりトロリーレールに沿って上下に移動すべく動力供給しなければならないからである。これは、このシステムに対する安全性の観点のみならず、パワー要件をも厳しくする。
【0024】
6.カテナリートロリーロープ支持システムの場合の全体の製造及びメンテナンス費用は、必要とされる余分なブーム及びガーダー長さ、2つのカテナリートロリー、シーブ、車輪、車軸、牽引ロープのリービング、油圧シリンダ、ロープ緊張システム、及びカテナリートロリーを有するより重いブームを持ち上げるのに必要なより強いブームリフティング馬力を含めて、非常に高い。
【0025】
図4を参照すると、別の型のロープ支持システムが示されており、これは、ガントリーガーダー上に取り付けられた複数の固定位置ロープ支持ローラー59を利用する。このシステムでは、複数の反転シーブ61を主トロリーフレーム29上に設置する必要があり、また、いくつかの反転ロープベンド(bend)を主ホイストロープ上にて短距離にて用いる必要がり、これはホイストロープ寿命を相当短縮する。このロープリービング構成は、主ホイストロープの疲労寿命をロープ支持システムなしの場合の寿命の50%又はそれより小さいパーセントに減少させ得る。ロープ疲労寿命は、何本のワイヤストランドが、運転上の安全性の点から必要とされるロープ取り替えの前に壊れることが許容されるかによって決まる。これは、運転のロスとメンテナンスコストを発生させるのでコスト高となる。その結果、このシステムはコンテナクレーン産業において実用的でないと分かった。
【0026】
本発明は、クレーンのワイヤロープリービングのためのワイヤロープ支持システムを改良するものであり、従来の型の同様のクレーンワイヤロープ支持システムにおける欠点の影響を抑える。
【特許文献1】米国特許第5,765,981号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の概要
本発明は、水平のガントリーに沿って往復運動するため、かつその下に荷物を吊り下げるために取り付けられた貨物運搬トロリーを有する貨物コンテナ取扱クレーン用のワイヤロープリービング支持システムである。このクレーンは、クレーン上の遠隔位置から駆動される運搬トロリーのためのフリートスルーワイヤロープ荷物ホイスティングシステムを備える。
【0028】
本発明のロープ支持システムは、少なくとも2対のベルクランク及びプッシュロッドからなり、これらは、ガントリーの両端の中間でガントリーの向かい合った縦側面(longitudinal edge)に向き合った関係にて固定される。ベルクランクは、そのそれぞれの第1端部にてガントリーに対して旋回し、その反対側の端部の各々は、該端部に回転自在に係合した少なくとも1つのワイヤロープ支持ローラーを有し、ベルクランクが第1「静止」位置に方向付けられるとき、ワイヤロープ荷物ホイスティングシステムのワイヤロープの隣接部分の下に突出してそれを支持するよう構成される。このローラーは、ベルクランクが第2「作動」位置に方向付けられるとき、ワイヤの下から引っ込み、トロリーから離れて(clear)突出するように構成される。
【0029】
このプッシュロッドは、ベルクランクに隣接したガントリーの向き合った縦側面に固定された垂直トラック内に含まれ、このプッシュロッドは、トラック内で往復運動するように構成される。連接棒が、ベルクランク及びプッシュロッド対の各々に設けられる。この連接棒は、プッシュロッドにジャーナル(journalled)された第1端部を有し、その反対側の端部は、ベルクランクの旋回端部とベルクランクとローラーの係合部との間で、ベルクランクの両端の中間でベルクランクにジャーナルされる。
【0030】
少なくとも1対のプッシュロッドアクチュエータが、トロリーに固定され、プッシュロッドの下端部に整列し、それにより、ガントリーに沿ったトロリーの往復運動中にトロリーがプッシュロッド位置を通過する際、プッシュロッドアクチュエータがプッシュロッドの下端部を作動させ、アクチュエータの長手方向の移動に応じて第1位置の姿勢から垂直上方向にそれらを往復運動させる。
【0031】
プッシュロッドの上端部は、連接棒によりベルクランクの両端の中間でベルクランクに個別に相互連結され、プッシュロッドの運動により連接棒を移動させ、それにより、プッシュロッドがその上昇位置にあるときベルクランクを第2作動位置姿勢に移動させる。この姿勢では、支持ローラーは、トロリーから離れて引っ込められ、ロープ支持ローラーとの機械的干渉なしにトロリーを通過させる。アクチュエータがプッシュロッドとの接触から外れてプッシュロッドが連接棒によってベルクランクを第1静止位置に下げると、支持ローラーは、隣接ワイヤロープの下に突出してそれを支持する。
【0032】
本発明はまた、水平のガントリーに沿って往復運動するため、かつ荷物をその下に吊り下げるために取り付けられた貨物運搬トロリーを有する貨物コンテナ取扱クレーン用のワイヤロープリービングの支持方法を提供する。このクレーンは、運搬トロリーから貨物コンテナヘッドブロックを吊り下げるために少なくともフリートスルーワイヤロープ荷物ホイスティングシステムを備える。
【0033】
1対のワイヤ支持ローラーが、クレーンガントリーの向き合った縦側面上で向かい合った位置にて設けられ、ガントリーの該側面に近接して配置されたワイヤロープ荷物ホイスティングシステムのワイヤロープ部分の下に突出する。これらのローラーの各々は、ベルクランクの一方の端部に取り付けられ、該ベルクランクは、そのもう一方の端部にて、ガントリーに係合した構造体に対して旋回する。
【0034】
このベルクランクは、ベルクランクとプッシュロッドとの間に固定された連接棒を介してプッシュロッドにより作動される。運搬トロリー上のプッシュロッドアクチュエータは、プッシュロッドを垂直に往復運動させるよう構成され、それにより、プッシュロッドが該アクチュエータにより上昇させられると、ローラーはワイヤの下から引っ込められる。プッシュロッドが該アクチュエータとの接触から外れて下げられると、ローラーはワイヤの下に差し込まれる。この装置は、トロリーがガントリーに沿って前後に移動してガントリー上の支持ローラーの位置を通過するとき作動され、プッシュロッドを作動させて支持ローラーをワイヤロープの下に挿入し又ワイヤロープの下から移動させる。
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
本発明の目的
したがって、本発明の重要な目的は、ロープサグを小さくするために貨物コンテナ取扱ガントリークレーン用の改良されたワイヤロープリービング支持システムを提供することである。
【0036】
本発明の別の目的は、製造コストが安く設置が簡単な貨物コンテナ取扱ガントリークレーン用の簡素化されたワイヤロープ支持システムを提供することである。
【0037】
本発明の別の目的は、既存のクレーンに設置できるか、又は他の旧型装置の改装の形式よりもクレーンへの構造的な変更が少ない改良事項として改装され得る改良されたワイヤロープ支持システムを提供することである。
【0038】
本発明のさらに別の目的は、他のロープ支持システムよりも安全に運転できる改良されたワイヤロープ支持システムを提供することである。
【0039】
本発明のさらに別の目的は、クレーンの駆動システムのエネルギー出力を増すことなく、既存のクレーンに対して改装できるロープ支持システムを提供することである。
【0040】
本発明のさらに別の目的は、サービス及びメンテナンスが容易で低コストの改良されたワイヤロープ支持システムを提供することである。
【0041】
本発明の他の目的及び利点は、添付図面と共に本発明の装置と方法を参照すれば明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
好ましい実施態様の説明
本発明の好ましい実施態様の説明のため図面を参照するが、同じ参照番号は対応する図の同じ要素を表す。本発明は貨物コンテナ取扱クレーン用のワイヤロープリービング支持システムであり、該クレーンの例を図1に示す。このクレーンは、その水平のガントリー17に沿って往復運動するため且つ荷物をその下に吊り下げて運搬するために取り付けられた貨物運搬トロリー29を有する。このガントリーは、単一のビーム又はデュアルガーダービーム構造とし得る。
【0043】
このシステムは、「セミロープトロリー」駆動部又は「平衡ロープトロリー」駆動部と共に使用されるものであり、これらの駆動部は、クレーン上の遠隔位置から駆動でき且つ電気的及び手動で制御できる少なくともフリートスルーワイヤロープ荷物ホイストシステムから構成される。これはまた、統合されたワイヤロープトロリー駆動部を含むこともできる。図2を参照すると、本発明により最も広く変更された荷物ホイスティングワイヤロープシステムが示されている。本発明の目的は、より軽くより効率的な装置によりロープサグを防ぐために1対のカテナリートロリーを必要とすることを回避することである。
【0044】
本発明のワイヤロープリービング支持システムは、そのガントリー17上に取り付けられた貨物運搬トロリー29を有し、機械室内のホイストドラム53で遠隔駆動される荷物ホイストシステムを用いる貨物コンテナ取扱ガントリークレーンについての改装すなわち元の装置を設置するよう設計される。このトロリーは、ガントリーに沿って水平に往復運動し、かつ、単一のビームの下から又はそのサイドガーダー間でガントリーを通ってトロリーから荷物を吊り下げる、かつ、吊り下げられた荷物をガントリーの一方の端部から様々な積み込み及び積み降ろし区域間でもう一方の端部に運搬するよう構成される。
【0045】
本発明は、クレーンガントリー上のトロリーの可変位置の或る中間位置にて、平衡ロープトロリーの2つのワイヤロープリービングシステムの1以上の部分を支持するための改良装置である。このロープ支持システムは、クレーンが機械駆動トロリーを有するか又はトロリー駆動ロープが支持される必要がないならば、荷物ホイストロープのみを支持し、又は荷物ホイストロープとトロリー駆動ロープの両方を支持する。
【0046】
このロープ支持システムは、クレーンガントリーのほぼ中間にて該ガントリーの対向する縦側面上に取り付けられた少なくとも1対のロープ支持機構を含む。このことは、それらが鏡像の対向配置にてガントリー上で互いに真向かいに配置されることを意味する。単一のビームガントリーの場合、機構のこれらの対は、ガントリーの外側の縦側面に沿って対向関係にて配置される。デュアルガーダービームガントリーでは、通常、これらの機構は、その対向した内壁上に配置される。
【0047】
単一対の機構は、運搬トロリーがガントリーのどちらかの端部に位置しているときにロープサグのほぼ中間にてロープを支持すべく、ガントリーのほぼ中間長さにて対向関係にて取り付け得る。別法として、この支持システムは、複数の支持点をロープに与えるべくガントリーに沿って間隔を置いて配置された複数対の対向したロープ支持機構を含むことができる。よって、特許請求の範囲で用いられる用語「少なくとも」は、単一対の好ましい実施態様のみならず複数対の機構又はその要素が本発明により意図されることを意味する。
【0048】
図5〜8を参照する。少なくとも2対のベルクランク63及びプッシュロッド65が、ガントリーの両端部の中間にて向き合ってガントリーの縦の両側面に固定される。ベルクランクは、その夫々の第1端部にてガントリー17に対して旋回し(67)、その反対側の端部の各々は、それに回転自在に係合した少なくとも1つのワイヤロープ支持ローラー69を有する。このローラーは、ベルクランクが第1位置(図5及び7)に配置されているときワイヤロープ71の隣接部分の下に突出してそれを支持するように構成される。ローラーは、ベルクランクが第2の位置(図6及び8)に配置されているときワイヤの下から引っ込んでトロリーから離れて突出するように構成される。ローラーは、荷物ホイストロープのみを支持するか、又は複数のローラーにより、荷物ホイストロープとトロリー駆動ロープの両方を支持することができる。
【0049】
プッシュロッド65は、垂直のトラック73中に含まれ、このトラック73は、ブラケット75中に取り付けられ、このブラケット75は、ブラケットが、対向する鏡像関係の位置にてガントリーの各側面に各々1つ配置されるように、クレーンガントリーの対向縦側面に固定される。このトラックは、プッシュロッドがその中で垂直に往復運動できるように形成される。デュアルガーダービームガントリーでは、ガントリーの縦側面は、ガントリーガーダービームから成り、ブラケットは、ガーダーの内壁に固定される。単一ビームガントリーでは、ブラケットはビームの側面から吊り下げられる。
【0050】
ベルクランク63の各々は、プッシュロッド65のための垂直のトラック73を保持する同じブラケット75において、そのそれぞれの第1端部67にて旋回する。このブラケット構造体は、プッシュロッドとベルクランクとの間の関係を設定し、ガントリーに対するベルクランクの第1端部の相互連結を行う。ベルクランクの反対側の端部は、ワイヤロープ支持ローラー69をジャーナル(journal)する。
【0051】
ベルクランク63は、ベルクランクとプッシュロッドとの間に固定された連接棒77を介してプッシュロッド65により作動させられる。この連接棒は、プッシュロッドの上部とベルクランク上のオフセットジャーナル連結部79との間で延び、このオフセットジャーナル連結は、ベルクランクの旋回端部67とローラー69との中間に位置し、このローラー69は、ベルクランクの下端部上にジャーナルしている。図7及び8に最もよく示されているその構造上の幾何形状の結果、プッシュロッドを下げることにより、ベルクランクを押しそれをガントリー上の旋回点を中心にして回転させ、その外側端部を下げさせて第1位置に配置する。プッシュロッドを上昇させると、連接棒上を引っ張り、ベルクランクを第2位置まで回転させる。
【0052】
ベルクランク63の第1静止位置では、プッシュロッド65が下げられると、ベルクランクは、その第1端部67を中心にして回転させられガントリーまで旋回し、ローラー69が平行移動させられ、ワイヤロープ荷物ホイスティングシステムのワイヤロープ71の隣接部分の下に突出してそれを支持する。プッシュロッドが作動させられ、それによりその上昇位置に位置すると、ベルクランクは、その旋回軸を中心にガントリーに対して約90度第2又は作動位置まで回転させられ、ローラーは、ワイヤの下から引っ込められ、トロリーから離れて突出し、トロリーがガントリー上のロープ支持機構の位置を過ぎるときそれとの機械的干渉を回避する。第2ローラーは、図示されたローラーの下方に位置して、トロリー駆動ロープなどのワイヤロープの追加セットを支持できる。
【0053】
少なくとも1対のプッシュロッドアクチュエータ81が、トロリーに固定され、プッシュロッド65の下端部に整列し、ガントリー側面に平行であり、それにより、ガントリーに沿ったトロリーの往復運動中にトロリーがプッシュロッド位置を過ぎる際、ロッドの下端部が、アクチュエータの運動に応じて垂直に往復運動する。プッシュロッドの上端部は、ベルクランクの両端の中間でベルクランク63に連接棒77により個別に相互連結される。プッシュロッドの往復運動が連接棒を移動させ、それにより第1及び第2位置の間でベルクランクを移動させる。アクチュエータは、プッシュロッドを垂直に移動させ、プッシュロッドを上昇及び下降させ、それにより、トロリーがブラケットの位置を過ぎる際、ワイヤロープ支持ローラー69がトロリーから離れて引っ込み、ロープ支持ローラーとの機械的干渉なしでトロリーを通過させる。
【0054】
本発明の好ましい実施態様では、ロープ支持機構の各々は、2対の本質的に鏡像の細長いカム表面83を有し、このカム表面83は、互いに端と端をつないで互いに整列して取り付けられ、各1対はガントリーの対向サイドに取り付けられている。双ガーダーガントリーでは、カム表面は、ガントリーサイドガーダーの対向内側表面上でそのほぼ中間スパンに配置され、単一ビームガントリーでは、その外側側面上に配置される。その結果、トロリーがガントリー移動でその最も外側又は内側の位置に位置しているとき、一般にワイヤロープ支持システムは、トロリーとクレーンガントリーの反対側の端部との間で延びる最大ワイヤロープ吊り下げ長さの中間長さに配置される。
【0055】
カム表面83の隣接した両端部85は、プッシュロッド65の下端部の下を中心に配置され、互いにかみ合ってプッシュロッドの下端部にピンジャーナル(pin journalled)され、それにより、カム表面の2つの隣接端部85とプッシュロッドが、同時に共に垂直に往復運動する。トロリーがガントリーに固定されたカム表面の位置を通ってそれらを上昇させる際、プッシュロッドアクチュエータ81はカム表面の底部に接触する。
【0056】
カム表面83は、その反対側の外側端部にてスロット付き連結部87とジャーナルされ、それにより、カム表面の内側の隣接した両端部85は、ジャーナル端部を中心にした円弧ではなく垂直に移動できる。ストット付き連結部は、ガントリーから突出したピン89を含み、このピンは、水平のスロットを通ってカム表面の外側端部(前記隣接した端部から見て外側)に突出している。これらのピンは、カム表面を保持し且つピン上でのカム表面のわずかなスライド及び部分的な回転動作を可能にするように蓋がされ、それによりジャーナル連結を実現する。
【0057】
本発明の好ましい実施態様では、プッシュロッドアクチュエータ81はまたカム表面アクチュエータでもある。このプッシュロッドアクチュエータ81は、長さ方向に延び、トロリーに固定された本質的に平らな表面である。このプッシュロッドアクチュエータ81は、その両端部にローラー91を有し、トロリーがガントリー上のロープ支持システムの位置を通過する際にカム表面83との接触を開始及び終了させる。荷物ホイスト及びトロリー駆動の両方のワイヤロープ71は、トロリーに固定されるか又はトロリーにより運ばれるシーブを介してリービングされるので、トロリーのところで最も高くなる。トロリーがガントリー上のロープ支持システムステーションを通過するとき、ベルクランク63上のワイヤロープ支持ローラー69は、最も容易にロープの下に移行する。トロリーがガントリーに沿って往復運動する際、トロリー上のカムアクチュエータは、カム表面に係合して該カム表面を上昇及び下降させる。このアクチュエータは、最初はそれらが接触している第1カム表面を上昇させ、次にそれらがプッシュロッド下の中間点を過ぎて第2カム表面に接触すると第2カム表面の下降を開始させる。このプロセスは、トロリーが方向を反転すると逆になる。このカム表面は、ベルクランクの揺動動作をスムーズにする。
【0058】
図5を参照すると、トロリーに固定されたカムアクチュエータ81が示され、ちょうどカム表面83に近づいて図5の下側から接触している。アクチュエータ上の先導ローラー91は、ちょうどカム表面の旋回端部87の下に入っている。図6を参照すると、カムアクチュエータが前進しているのが示され、該アクチュエータがカム表面に係合して先導ローラーがちょうど中間点に近づいている。この中間点にて、両カム表面の浮動端部85とプッシュロッドの下端部が回転自在にピン留めされている。トロリーの前進におけるその点で、ベルクランク63は、その第2位置まで上昇され、ワイヤ支持ローラー69を引っ込める。カムアクチュエータが完全にカム表面の位置を通過すると、カム表面が穏やかに下方向に移動しプッシュロッドが下降することを可能にし、それによりベルクランクを作動してロープ支持ローラーをワイヤロープ71の下に滑らかに平行移動させて支持する。
【0059】
本発明はまた、貨物コンテナ取扱ガントリークレーン用のワイヤロープを支持する新規な方法を想定しており、このガントリークレーンは、その水平のガントリーに沿った往復運動のため、且つその下に荷物を吊り下げるために取り付けられた貨物運搬トロリーを有する。このクレーンは、運搬トロリーから貨物コンテナヘッドブロックを吊り下げるために、少なくともフリートスルーワイヤロープ荷物ホイスティングシステムを有する。クレーンガントリーの向かい合った縦側面上には、向き合った位置にて1対のワイヤ支持ローラーが設けられる。このローラーは、ガントリー側面に近接して配置されたワイヤロープ荷物ホイスティングシステムのワイヤロープ部分の下に突出する。これらのローラーの各々は、ベルクランクの一方の端部に取り付けられ、このベルクランクは、そのもう一方の端部にてガントリーに係合した構造体に対して旋回する。このベルクランクは、ベルクランクとプッシュロッドとの間に固定された連接棒を介してプッシュロッドにより作動される。本方法のステップは、プッシュロッドを垂直に往復運動させるよう構成された運搬トロリー上のアクチュエータを提供することを含む。プッシュロッドはベルクランクと係合し、それにより、プッシュロッドがアクチュエータによって上昇するにつれ、ローラーがワイヤの下から引っ込み、また、プッシュロッドがアクチュエータとの接触がなくなり下がると、ローラーがワイヤの下に差し込まれる。この方法は、トロリーをガントリーに沿って前後に移動させてガントリー上の支持ローラーの位置を通過させてプッシュロッドを作動させ、支持ローラーをワイヤの下に挿入しワイヤの下から除去することにより行われる。
【0060】
本方法はまた、ガントリーの対向縦側面に固定された少なくとも2対の細長いカム表面を提供し、トロリーがカム表面を通過する際にプッシュロッドアクチュエータ、よってカムアクチュエータが、カム表面を垂直に往復運動させるとき、プッシュロッドの制御された往復運動を行う。
【0061】
本発明の好ましい実施態様についての上述した説明から、ワイヤロープリービング支持システムは本発明の上記目的と利点を達成できること、及び、新規な装置改良が本明細書の従来技術の説明において上述した欠点を克服することが分かる。本発明の構成は、ガーダー壁上に1より多い組のロープ支持システムを設置することにより大型の貨物コンテナ及び荷物を取り扱う大型クレーンに利用できることは自明である。したがって、「貨物コンテナクレーン」用の「ロープ支持システム」を参照すると、追加の支持ローラー対を単一の組に代えて使用できる。同様に、ここで用語「ローラー」が参照されるとき、複数のローラーをベルクランク上に設けることにより、複数のローラーで代用できる。
【0062】
したがって、本発明により、従来技術の複数の支持ローラー機構より軽いのみならず、ダブルカテナリートロリークレーンよりも軽量かつ経済的なワイヤロープ支持システムが実現される。本発明は、ロープの摩耗がなくなり、ワイヤロープリービングを最小にし、それにより、同等の複数トロリークレーンよりもメンテナンス費用がかなり安くなる。
【0063】
よって、好ましい形態の本発明についての上記説明から、すべての目的が達成されそれに帰属する利点が満たされることが明らかであろう。ここではかなり詳しく説明したが、本発明は、特許請求の範囲で要求されるものを除いて上述した詳細には限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の改良装置を利用できる片持ち上昇自在ブームを有した典型的な従来技術による海岸の貨物コンテナ取扱ガントリークレーンの側面図である。
【図2】ロープサグを軽減するために1対の従来技術のカテナリートロリーを用いる従来技術の貨物コンテナ取扱トロリークレーン用のワイヤロープ荷物ホイストシステムの基本ワイヤロープリービング図の斜視図である。
【図3】従来技術の典型的なガントリートロリーワイヤロープ駆動システムの斜視図である。
【図4】ロープトロリーコンテナクレーンにおいてロープサグを軽減するための、従来技術によるホイストワイヤロープ用の代替のワイヤロープリービング及び支持システムの斜視図である。
【図5】ワイヤロープを支持するために水平に方向付けられたロープ支持ローラーを有する本発明のワイヤロープ支持機構の斜視図である。
【図6】ホイストトロリーが機械的干渉なしでロープ支持機構を迂回できるように垂直に方向付けられたロープ支持ローラーを有し、引っ込んだ位置にある図5のワイヤロープ支持機構の斜視図である。
【図7】ワイヤロープを支持する図5の条件下の支持ローラーを有し、部分的に破断した本発明のワイヤロープ支持機構の断面端面図である。
【図8】図6の条件下での図7の代替図である。
【符号の説明】
【0065】
17 ガントリー
29 貨物運搬トロリー
53 ホイストドラム
63 ベルクランク
65 プッシュロッド
67 ベルクランク
69 ワイヤロープ支持ローラー
71 ワイヤロープ
73 垂直トラック
75 ブラケット
77 連接棒
79 オフセットジャーナル連結部
81 プッシュロッドアクチュエータ
83 カム表面
85 端部
87 ストット付き連結部
89 ピン
91 ローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物コンテナ取扱クレーン用のワイヤロープリービング支持システムであって、前記クレーンは、水平のガントリーに沿って往復運動するため、かつ荷物をその下に吊り下げるために取り付けられた貨物運搬トロリーを有し、前記クレーンは、前記クレーン上の遠隔位置から駆動される前記運搬トロリーのためのフリートスルーワイヤロープ荷物ホイスティングシステムを有し、本発明の前記ロープ支持システムが、少なくとも2対のベルクランク及びプッシュロッドと、前記ベルクランク及びプッシュロッドの対の各々に対する連接棒と、少なくとも1対のプッシュロッドアクチュエータとを含み、
前記少なくとも2対のベルクランク及びプッシュロッドは、前記ガントリーの両端の中間で該ガントリーの向かい合った縦側面に向き合った関係にて固定され、前記ベルクランクは、その夫々の第1端部にて前記ガントリーに対して旋回し、ベルクランクの反対側の端部の各々は、該ベルクランクに回転自在に係合した少なくとも1つのワイヤロープ支持ローラーを有し、このワイヤロープ支持ローラーは、前記ベルクランクが第1静止位置に配置されるとき前記ワイヤロープ荷物ホイスティングシステムの前記ワイヤロープの前記隣接部分の下に突出してそれを支持するよう構成され、前記ローラーは、前記ベルクランクが第2作動位置に配置されるとき前記ワイヤの下から引っ込み前記トロリーから離れて突出するよう構成され;
前記プッシュロッドは、垂直のトラック中に含まれ、該トラックは、前記ベルクランクに隣接した前記ガントリーの向かい合った縦側面に固定され、前記ロッドは、前記トラック内で往復運動するよう構成され;
前記連接棒は、前記プッシュロッドにジャーナルされた第1端部を有し、連接棒の反対側の端部は、前記ベルクランクの両端の中間で、該ベルクランクの前記旋回端部と、該ベルクランクと前記ローラーとの係合部との間で前記ベルクランクにジャーナルされ;
前記少なくとも1対のプッシュロッドアクチュエータは、前記トロリーに固定され、前記プッシュロッドの下端部に整列しており、それにより、前記ガントリーに沿った前記トロリーの往復運動中に前記トロリーが前記プッシュロッド位置を通過する際、前記プッシュロッドアクチュエータが、前記ロッドの前記下端部を作動させ、前記アクチュエータの長手方向の移動に応じて前記第1位置姿勢から垂直上方向に往復運動し、そのため、前記プッシュロッドの上端部は、前記ベルクランクの両端の中間にて前記連接棒により前記ベルクランクに個別に相互連結されており、該上端部が前記連接棒を移動させ、それにより、前記プッシュロッドがその上昇位置にあるとき前記ベルクランクを前記第2作動位置姿勢に移動させ、それにより、前記支持ローラーを前記トロリーから離れて引っ込ませて、前記ロープ支持ローラーとの機械的干渉なしに前記トロリーを通過させ、また、前記アクチュエータが前記プッシュロッドと接触しなくなり、前記プッシュロッドが、前記連接棒により前記ベルクランクを前記第1静止位置に下降させ、それにより前記支持ローラーが隣接ワイヤロープの下に突出してそれを支持する、
前記ワイヤロープリービング支持システム。
【請求項2】
少なくとも2対の細長いカム表面を備え、該カム表面は、前記クレーンガントリーの向き合った縦側面上に端と端を整列して取り付けられ、互いに真向かいに向かい合った関係にて配置され、その各対の隣接した両端部は、前記プッシュロッドの下端部に相互連結されかつジャーナルされ、前記カム表面は、その反対側の外側端部にて前記ガントリーにジャーナルされ、それにより、前記トロリーが前記カム表面の位置を通る際に前記カム表面の前記隣接した両端部が同時に垂直に往復運動し、前記プッシュロッドアクチュエータが前記カム表面に接触する、
請求項1に記載のワイヤロープリービング支持システム。
【請求項3】
前記クレーンガントリーが、2つの平行で細長いガーダーから成り、前記貨物運搬トロリーから吊り下げられた前記荷物が、それらの間で吊り下げられ、前記2対のプッシュロッド、ベルクランク、連接棒及びカム表面が、前記ガーダーの向かい合った内壁上に取付けられる、請求項2に記載のワイヤロープリービング支持システム。
【請求項4】
前記2対のプッシュロッド、ベルクランク、連接棒及びカム表面が、前記ガントリーの中間スパン近くに配置される、請求項3に記載のワイヤロープリービング支持システム。
【請求項5】
前記ガントリーが、複数対のプッシュロッド、ベルクランク、連接棒及びカム表面を備え、これらが、前記ガントリーの両端の中間にて間隔をあけて離して取付けられる、請求項3に記載のワイヤロープリービング支持システム。
【請求項6】
前記ベルクランクが、荷物ホイスト及びトロリー駆動ワイヤロープリービングの両方を支持するために、回転自在に該ベルクランクに係合した少なくとも2つのワイヤロープローラーを有する、請求項3に記載のワイヤロープリービング支持システム。
【請求項7】
貨物コンテナ取扱クレーン用のワイヤロープリービング支持システムであって、前記クレーンは、水平のガントリーに沿って往復運動するため、かつ荷物をその下に吊り下げるために取り付けられた貨物運搬トロリーを有し、前記クレーンは、前記クレーン上の遠隔位置から駆動される前記運搬トロリーのためのフリートスルーワイヤロープ荷物ホイスティングシステムを有し、本発明の前記ロープ支持システムが、少なくとも2対のベルクランク及びプッシュロッドと、前記ベルクランク及びプッシュロッドの対の各々に対する連接棒と、少なくとも2対の細長いカム表面と、少なくとも1対のプッシュロッドアクチュエータとを含み、
前記少なくとも2対のベルクランク及びプッシュロッドは、前記ガントリーの両端の中間で該ガントリーの向かい合った縦側面に向き合った関係にて固定され、前記ベルクランクは、その夫々の第1端部にて前記ガントリーに対して旋回し、ベルクランクの反対側の端部の各々は、該ベルクランクに回転自在に係合した少なくとも1つのワイヤロープ支持ローラーを有し、このワイヤロープ支持ローラーは、前記ベルクランクが第1静止位置に配置されるとき前記ワイヤロープ荷物ホイスティングシステムの前記ワイヤロープの前記隣接部分の下に突出してそれを支持するよう構成され、前記ローラーは、前記ベルクランクが第2作動位置に配置されるとき前記ワイヤの下から引っ込み前記トロリーから離れて突出するよう構成され;
前記プッシュロッドは、垂直のトラック中に含まれ、該トラックは、前記ベルクランクに隣接した前記ガントリーの向かい合った縦側面に固定され、前記ロッドは、前記トラック内で往復運動するよう構成され;
前記連接棒は、前記プッシュロッドにジャーナルされた第1端部を有し、連接棒の反対側の端部は、前記ベルクランクの両端の中間で、該ベルクランクの前記旋回端部と、該ベルクランクと前記ローラーとの係合部との間で前記ベルクランクにジャーナルされ;
前記少なくとも2対の細長いカム表面は、前記クレーンガントリーの向き合った縦側面上で端と端が整列して取り付けられ、互いに真向かいに向き合った関係にて配置され、その各対の隣接した両端部は、前記プッシュロッドの下端部に相互連結されかつジャーナルされ、前記カム表面は、その反対側の外側端部にて前記ガントリーにジャーナルされ、それにより前記カム表面の前記隣接した両端部が同時に垂直に往復運動し;
前記少なくとも1対のカム表面アクチュエータは、前記トロリーに固定され、前記カム表面に整列しており、それにより、前記ガントリーに沿った前記トロリーの往復運動中に前記トロリーが前記カム表面位置を通過する際、前記アクチュエータが、前記カム表面を上昇させ、前記アクチュエータの長手方向の移動に応じて前記第1位置姿勢から垂直上方向に前記プッシュロッドの前記下端部を往復運動させ、そのため、前記プッシュロッドの上端部は、前記ベルクランクの両端の中間にて前記連接棒により該ベルクランクに個別に相互連結されており、該上端部が前記連接棒を移動させ、それにより、前記プッシュロッドがその上昇位置にあるとき、前記ベルクランクを前記第2作動位置姿勢に移動させ、それにより、前記支持ローラーを前記トロリーから離れて引っ込ませて、前記ロープ支持ローラーとの機械的干渉なしに前記トロリーを通過させ、また、前記アクチュエータが前記プッシュロッドに接触しなくなり、前記プッシュロッドが、前記連接棒により前記ベルクランクを前記第1静止位置に下降させ、それにより前記支持ローラーが隣接ワイヤロープの下に突出してそれを支持する、
前記ワイヤロープリービング支持システム。
【請求項8】
貨物コンテナ取扱クレーン用のワイヤロープリービングを支持する方法であって、前記クレーンは、水平のガントリーに沿って往復運動するため、かつ荷物をその下に吊り下げるために取り付けられた貨物運搬トロリーを有し、前記クレーンは、前記運搬トロリーから貨物コンテナヘッドブロックを吊り下げるための少なくともフリートスルーワイヤロープ荷物ホイスティングシステムを有し、
前記クレーンガントリーの向き合った縦側面上に向かい合った位置にて一対のワイヤ支持ローラーを設けるステップであって、前記ローラーは、前記側面に近接して配置された前記ワイヤロープ荷物ホイスティングシステムのワイヤロープ部分の下に突出し、前記ローラーの各々は、前記ベルクランクの一方の端部に取り付けられ、該ベルクランクは、そのもう一方の端部にて前記ガントリーに係合した構造体に対して旋回し、前記ベルクランクは、前記ベルクランクとプッシュロッドとの間で固定された連接棒を介して該プッシュロッドにより作動させられる前記ステップ;
前記プッシュロッドを垂直に往復運動させるよう構成されたプッシュロッドアクチュエータを前記運搬トロリー上に設けるステップであって、それにより、前記アクチュエータにより前記プッシュロッドを上昇させると、前記ローラーが前記ワイヤの下から引っ込められ、前記プッシュロッドが前記アクチュエータと接触しなくなり下降させられると、前記ローラーが前記ワイヤの下に差し込まれる前記ステップ;及び
前記トロリーを前記ガントリーに沿って前後に移動させ前記ガントリー上の支持ローラーの位置を通過させて前記プッシュロッドを作動させ、前記支持ローラーを前記ワイヤロープの下に挿入し又該ワイヤロープの下から移動させるステップ;
を含む方法。
【請求項9】
前記ガントリーの向き合った縦側面に固定された少なくとも2対の細長いカム表面を設け、前記トロリーが前記カム表面を通過する際に前記プッシュロッドアクチュエータが前記カム表面を垂直に往復運動させ、前記プッシュロッドの制御された往復運動を行う、請求項3に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−530395(P2007−530395A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506417(P2007−506417)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/010270
【国際公開番号】WO2005/097660
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(504225736)
【Fターム(参考)】