説明

貯湯式給湯器

【課題】外部加熱回路の熱を間接加熱回路に伝達することにより熱交換器の周囲を短時間で加熱し、常時湯を取り出せるとともに、長時間の暖房運転等を可能にすることができる貯湯式給湯器を提供すること。
【解決手段】貯湯タンク1の上部に熱交換器21を配設し暖房を行う暖房用回路2と、貯湯タンク1の上部に熱交換器31を配設し風呂の追い焚きを行う追い焚き用回路3と、貯湯タンク1の湯を外部に取り出して加熱し貯湯タンク1に戻す外部加熱回路4とを備え、外部加熱回路4の加熱部15aより下流側の配管16aと、暖房用回路2の負荷11より下流側の配管23aとの間に、これら配管16a、23a内を流通する流体の熱交換を行う補助熱交換器5を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房や風呂の追い焚きを行う間接加熱回路と、貯湯タンクの湯を外部に取り出して加熱し貯湯タンクに戻す外部加熱回路とを備えた貯湯式給湯器に関し、特に、常時湯を取り出せるとともに、長時間の暖房運転等をすることができる貯湯式給湯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、集合住宅や一般の戸建て住宅などにおいて、浴槽内への給湯に温水ボイラーや深夜・夜間電力を利用した電気温水器等の電気給湯機が汎用されており、電気給湯機のタンク内に貯湯されている所定温度の温水を、浴槽の給湯口や蛇口から供給するようにしている。
また、この電気給湯機は、必要に応じて追い焚きを可能とするため、追い焚き用熱交換器を配設したり、浴室内の暖房や乾燥をするために、暖房用熱交換器を配設したりしている。
【0003】
ところで、暖房運転は、暖房用熱交換器により加熱された温水を室内の暖房機との間で循環させることにより行うが、暖房運転時は貯湯タンク内の湯の熱を消費するため、貯湯タンク内の温度が時間とともに下がっていき、長時間の暖房運転をすることができない。
また、貯湯タンク内の湯の温度を上げるために、ヒートポンプ等を用いた外部加熱回路により、貯湯タンクの湯を外部に取り出して加熱し貯湯タンクに戻す運転が行われるが、加熱して戻された湯は、貯湯タンクの上から順番にたまってくるため、暖房用熱交換器の周囲が加熱されるには時間がかかり、一時的に湯が取り出せない場合があるという問題を有している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来の貯湯式給湯器が有する問題点に鑑み、外部加熱回路の熱を間接加熱回路に伝達することにより間接加熱回路の熱交換器の周囲を短時間で加熱し、常時湯を取り出せるとともに、長時間の暖房運転等を可能にすることができる貯湯式給湯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の貯湯式給湯器は、貯湯タンクの上部に熱交換器を配設し、暖房や風呂の追い焚きを行う間接加熱回路と、貯湯タンクの湯を外部に取り出して加熱し貯湯タンクに戻す外部加熱回路とを備えた貯湯式給湯器において、前記外部加熱回路の加熱部より下流側の配管と、前記間接加熱回路の負荷より下流側の配管との間に、これら配管内を流通する流体の熱交換を行う補助熱交換器を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の貯湯式給湯器によれば、貯湯タンクの上部に熱交換器を配設し、暖房や風呂の追い焚きを行う間接加熱回路と、貯湯タンクの湯を外部に取り出して加熱し貯湯タンクに戻す外部加熱回路とを備えた貯湯式給湯器において、前記外部加熱回路の加熱部より下流側の配管と、前記間接加熱回路の負荷より下流側の配管との間に、これら配管内を流通する流体の熱交換を行う補助熱交換器を設けることから、間接加熱回路の運転により貯湯タンク内の温度が下がり、外部加熱回路が運転を開始すると、外部加熱回路の熱が補助熱交換器により間接加熱回路の循環液に伝わり、この加熱された間接加熱回路の循環液が貯湯タンク内の暖房用熱交換器を通ることにより、暖房用熱交換器を介して貯湯タンク内の温度を均一に上昇させることができる。
その結果、暖房用熱交換器と追い焚き用熱交換器の周囲の湯を短時間で加熱し、常時湯を取り出せるとともに、外部加熱回路の熱が伝達される間接加熱回路により、長時間の暖房運転等を可能にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の貯湯式給湯器の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
図1〜図3に、本発明の貯湯式給湯器の一実施例を示す。
この貯湯式給湯器は、貯湯タンク1(例えば、460L)から浴槽や蛇口に給湯するもので、貯湯タンク1の上部に暖房用熱交換器21を配設し暖房を行う暖房用回路2と、貯湯タンク1の上部に追い焚き用熱交換器31を配設し風呂の追い焚きを行う追い焚き用回路3と、貯湯タンク1の湯を外部に取り出して加熱し貯湯タンク1に戻す外部加熱回路4とを備えている。
そして、この貯湯式給湯器は、外部加熱回路4の加熱部15aより下流側の配管16aと、暖房用回路2の暖房機(負荷)11より下流側の配管23aとの間に、これら配管16a、23a内を流通する流体の熱交換を行う補助熱交換器5を設けている。
【0009】
貯湯タンク1は、所要の貯湯容量を有する円筒状のものからなり、貯湯タンク1内の水を設定温度まで加温するために、貯湯タンク1内の湯(水)を外部に取り出して加熱し、貯湯タンク1に戻す外部加熱回路4を備えている。
また、貯湯タンク1には、その底部位置に給水管6、上部位置に出湯管7を設けて、給水管6から給水することにより貯湯タンク1内の湯を押し上げるようにして、出湯管7から浴槽や蛇口に出湯するようにしている。
なお、浴槽には、貯湯タンク1の出湯管7と水道管Sの水道水側配管8とが接続されており、出湯管7の熱交換器配管32との合流部T2の上流側には、ソレノイドバルブ、流量センサ及び逆止弁を備えた温水制御手段9が設けられるとともに、水道水側配管8の熱交換器配管33との合流部T1の上流側には、同じ構成からなる水道水制御手段10が設けられている。
これらの制御手段9、10は、出湯管7からは貯湯タンク1の温水を、水道管Sからは水道水をそれぞれ浴槽に供給するに際し、浴槽に供給される温水及び水道水の温度に基づいて温水及び水道水の水量を調節し、浴槽の湯の温度及び湯量を適正に制御する。
【0010】
追い焚き用回路3の追い焚き用熱交換器31は、熱交換器配管32、33及びポンプ34を介し、貯湯タンク1内の貯湯と効率的に熱交換されるように貯湯タンク1の径よりも小径の螺旋状に形成されるとともに、この追い焚き用熱交換器31を、貯湯タンク1内の中央部に配設するようにして、これにより、貯湯タンク1内に貯留された温水の対流と循環が良好に維持し、追い焚き用熱交換器31による浴槽の追い焚きを効率よく確実に行えるようにしている。
また、貯湯タンク1の胴部には、その取付位置を上下方向に変えて複数の温度センサ1aを取り付け、この温度センサ1aによって、貯湯タンク1内の温水温度の低下を迅速で正確に検知し、必要に応じて外部加熱回路4による追加的な加熱を実施できるようにしている。
【0011】
一方、暖房用回路2は、追い焚き用熱交換器31とは別に貯湯タンク1内に独立して配設した暖房用熱交換器21と、浴室内に設置した暖房機(負荷)11と、暖房用熱交換器21と暖房機(負荷)11の間を温水が循環するように配管した暖房側配管22、23と、一方の暖房側配管23に接続された開放型の膨張タンク12及び循環用ポンプ13より構成され、通常は、図2に示すように、暖房用熱交換器21の内部で加熱した温水を暖房機(負荷)11との間で循環させることにより、暖房運転や乾燥運転を行うようになっている。
なお、本実施例では、暖房用回路2は床暖房パネル14を備えており、この床暖房パネル14も上記暖房機(負荷)11と同様に運転することができる。
【0012】
外部加熱回路4は、本実施例では、図3に示すように、貯湯タンク1から外部に取り出した湯をヒートポンプ15により加熱し、貯湯タンク1に戻すようにしている。
ヒートポンプ15は、水・冷媒熱交換器15a、圧縮機15b、蒸発器用ファン15c、蒸発器15d及び膨張弁15e等を備え、これらの中を冷媒が循環するようにしている。
一方、貯湯タンク1の底部からは水循環用配管16が延設されており、該水循環用配管16は、ヒートポンプ15の水・冷媒熱交換器15aを通って貯湯タンク1の胴部に接続されている。そして、循環用ポンプ17で貯湯タンク1の水を循環させることによって、貯湯タンク1内の水を水・冷媒熱交換器15aにおいて加熱し、高温の湯を貯湯タンク1内に貯湯するようにしている。
【0013】
補助熱交換器5は、外部加熱回路4の水・冷媒熱交換器15aより下流側の配管16aと、暖房用回路2の暖房機(負荷)11より下流側の配管23aとの間に配設されており、外部加熱回路4の熱を暖房用回路2の循環液に暖房用熱交換器21の直前で伝達する。
すなわち、図3に示すように、暖房用回路2の運転により貯湯タンク1内の温度が下がり、外部加熱回路4が運転を開始すると、外部加熱回路4の熱が補助熱交換器5により暖房用回路2の循環液に伝わり、この加熱された暖房用回路2の循環液が貯湯タンク1内の暖房用熱交換器21を通ることにより、暖房用熱交換器21を介して貯湯タンク1内の温度を上昇させることができる。
暖房用熱交換器21は、通常は貯湯タンク1内の熱を利用するためのものであるが、逆に暖房用熱交換器21に戻る循環液の温度が貯湯タンク1内の湯温より高ければ、外部加熱回路4の熱の一部を貯湯タンク1に回収することができ、これにより、貯湯タンク1内の湯を加熱し蓄熱量を増加させることができる。
なお、配管16aは、三方弁を介して、貯湯タンク1の中間位置及び下部位置に接続されており、例えば、タンク150L部温度センサにより測定した貯湯タンク1内の湯の温度が低い場合には、貯湯タンク1の中間位置に、高い場合には、貯湯タンク1の下部位置に、接続するように三方弁を切り替えるようにする。
【0014】
かくして、本実施例の貯湯式給湯器は、貯湯タンク1の上部に暖房用熱交換器21を配設し暖房を行う暖房用回路2と、貯湯タンク1の湯を外部に取り出して加熱し貯湯タンク1に戻す外部加熱回路4とを備えた貯湯式給湯器において、前記外部加熱回路4の加熱部15aより下流側の配管16aと、前記暖房用回路2の暖房機(負荷)11より下流側の配管23aとの間に、これら配管16a、23a内を流通する流体の熱交換を行う補助熱交換器5を設けることから、暖房用回路2の運転により貯湯タンク1内の温度が下がり、外部加熱回路4が運転を開始すると、外部加熱回路4の熱が補助熱交換器5により暖房用回路2の循環液に伝わり、この加熱された暖房用回路2の循環液が貯湯タンク1内の暖房用熱交換器21を通ることにより、暖房用熱交換器21を介して暖房用熱交換器21周囲の温度を均一に上昇させることができる。
その結果、暖房用熱交換器21の周囲を短時間で加熱し、常時湯を取り出せるとともに、外部加熱回路4の熱が伝達される暖房用回路2により、長時間の暖房運転等を可能にすることができる。
【0015】
以上、本発明の貯湯式給湯器について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、例えば、他の間接加熱回路である追い焚き用回路を補助熱交換器に接続するなど、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明の貯湯式給湯器は、間接加熱回路の熱交換器の周囲を短時間で加熱することにより常時湯を取り出せるとともに、外部加熱回路の熱を間接加熱回路に伝達することにより長時間の暖房運転等を可能にするという特性を有していることから、暖房運転等の間接加熱回路を備えた貯湯式給湯器の用途に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の貯湯式給湯器の一実施例を示す説明図である。
【図2】同貯湯式給湯器の間接加熱回路の運転状態を示す説明図である。
【図3】同貯湯式給湯器の間接加熱回路と外部加熱回路の運転状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0018】
1 貯湯タンク
2 暖房用回路(間接加熱回路)
21 暖房用熱交換器
22 暖房側配管
23 暖房側配管
23a 下流側の配管
3 追い焚き用回路(間接加熱回路)
31 追い焚き用熱交換器
32 熱交換器配管
33 熱交換器配管
34 ポンプ
4 外部加熱回路
5 補助熱交換器
6 給水管
7 出湯管
8 水道水側配管
9 温水制御手段
10 水道水制御手段
11 暖房機(負荷)
12 膨張タンク
13 循環用ポンプ
14 床暖房パネル
15 ヒートポンプ
15a 水・冷媒熱交換器
16 水循環用配管
16a 下流側の配管
17 循環用ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクの上部に熱交換器を配設し、暖房や風呂の追い焚きを行う間接加熱回路と、貯湯タンクの湯を外部に取り出して加熱し貯湯タンクに戻す外部加熱回路とを備えた貯湯式給湯器において、前記外部加熱回路の加熱部より下流側の配管と、前記間接加熱回路の負荷より下流側の配管との間に、これら配管内を流通する流体の熱交換を行う補助熱交換器を設けたことを特徴とする貯湯式給湯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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