説明

貯湯式給湯機

【課題】工事性を向上させ、使用性の高い貯湯式給湯機を提供すること。
【解決手段】本発明の貯湯式給湯機は、加熱手段2と、加熱手段2で加熱された湯を貯える貯湯タンク1と、貯湯タンク1の下部と加熱手段2とを接続する往き配管(5、7)と、貯湯タンク1の上部と加熱手段2とを接続する戻り配管(6、8)とを備え、往き配管(5、7)は、貯湯タンク1の下部からの配管5と加熱手段2からの配管7が往き接続口3で相互に接続されて構成されており、往き接続口3には止水手段を内蔵したことにより、工事の不具合を無くし、使用性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯式給湯機に関連するものであり、特に貯湯タンクと加熱手段とを接続する配管に設けた接続口に関連するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の貯湯式給湯機は、貯湯タンクと加熱手段とが配管で接続されており、貯湯タンクからの配管と加熱手段からの配管が、戻りと往きでそれぞれ接続口を設けて相互に接続されている。そして、貯湯タンクに水が満水である状態で、メンテナンス時に貯湯タンクと加熱手段との接続を解除する場合には、別途配管上に設けた水の供給を停止する止水手段を動作させて、貯湯タンクと加熱手段の通水状態を解除しなければならなかった(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
図5は、従来の貯湯式給湯機の構成図である。図5において、貯湯タンク101と、加熱手段(例えば、ヒートポンプユニット)102とが設けられており、貯湯タンク101の下部と加熱手段102が往き接続口103で接続されており、貯湯タンク101の上部と加熱手段102が戻り接続口104で接続されている。また往き接続口103と加熱手段102の間には止水手段107を備えている。
【非特許文献1】松下電器産業株式会社、ヒートポンプ給湯機 工事説明書(品番;HE−37K3XWS)、2006、p8−9、インターネット<URL:http://national.jp/sumai/hp/pdf/k_k3x.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、設置工事の過程で止水手段107の設置を忘れたり、また規格外の止水手段107(例えば、逆止弁付の止水手段)を取り付けたりと、工事担当者のミスによって沸き上げが停止したり、加熱手段を取り外す際には、貯湯タンク内の水を全て抜かなければ取り外せないという課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、工事性を向上させ、使用性の高い貯湯式給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の貯湯式給湯機は、加熱手段と、前記加熱手段で加熱された湯を貯える貯湯タンクと、前記貯湯タンクの下部と前記加熱手段とを接続する往き配管と、前記貯湯タンクの上部と前記加熱手段とを接続する戻り配管とを備え、前記往き配管は、前記貯湯タンクの下部からの配管と前記加熱手段からの配管が往き接続口で相互に接続されて構成されており、前記往き接続口には止水手段を内蔵したことにより、工事の不具合を無くし、使用性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、工事性を向上させ、使用性の高い貯湯式給湯機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明の貯湯式給湯機は、加熱手段と、前記加熱手段で加熱された湯を貯える貯湯タンクと、前記貯湯タンクの下部と前記加熱手段とを接続する往き配管と、前記貯湯タンクの上部と前記加熱手段とを接続する戻り配管とを備え、前記往き配管は、前記貯湯タンクの下部からの配管と前記加熱手段からの配管が往き接続口で相互に接続されて構成され
ており、前記往き接続口には止水手段を内蔵したことにより、工事の不具合を無くし、使用性を向上させることができる。
【0009】
第2の発明の貯湯式給湯機は、加熱手段と、前記加熱手段で加熱された湯を貯える貯湯タンクと、前記貯湯タンクの下部と前記加熱手段とを接続する往き配管と、前記貯湯タンクの上部と前記加熱手段とを接続する戻り配管とを備え、前記戻り配管は、前記貯湯タンクの上部からの配管と前記加熱手段からの配管が戻り接続口で相互に接続されて構成されており、前記戻り接続口には止水手段を内蔵したことにより、工事の不具合を無くし、使用性を向上させることができる。
【0010】
第3の発明の貯湯式給湯機は、特に第1または第2の発明において、止水手段をねじ込み式のバルブ構成にしたことにより、素手では操作できない構成にしているので、使用者が誤って操作してしまう恐れを低減することができる。
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における貯湯式給湯機の構成図である。本実施の形態では、貯湯式給湯機の加熱手段として冷媒を二酸化炭素としたヒートポンプを使用する。本実施の形態において、貯湯タンク1底部の水は、タンク往き配管5を通って往き接続口3を通り、ヒートポンプ往き配管7を経由し、ヒートポンプユニット2に接続される。ヒートポンプユニット2ではヒートポンプにより入水された水が温められる。その暖められた水が、ヒートポンプ戻り配管8を経由し、戻り接続口4を通り、タンク戻り配管6を通り、貯湯タンク1の上部に蓄えられる。この繰り返しによってヒートポンプ給湯機は貯湯タンク1にお湯がためられることになる。往き接続口3には、止水手段が内蔵されており、往き接続口3とヒートポンプユニット2との間に止水手段を別途設ける必要はない。
【0013】
本実施の形態において、貯湯タンク1とヒートポンプユニット2とを結ぶ配管のうち、貯湯タンク1の下部とヒートポンプユニット2とを接続する往き配管は、タンク往き配管5、往き接続口3、ヒートポンプ往き配管7で構成され、貯湯タンク1の上部とヒートポンプユニット2とを接続する戻り配管は、ヒートポンプ戻り配管8、戻り接続口4、タンク戻り配管6で構成されている。
【0014】
また、ヒートポンプユニット2は、圧縮機、水冷媒熱交換器、減圧装置、蒸発器を冷媒配管で順次環状に接続したヒートポンプサイクルを有しており、冷媒として二酸化炭素を使用している。またヒートポンプ往き配管7と水冷媒熱交換器の水入り口側が水ポンプ(図示せず)を介在して接続されており、水ポンプを動作させることによって、貯湯タンク1の下部から、水冷媒熱交換器に水を送水して、水冷媒熱交換器では、水と冷媒とが熱交換して、高温の湯が生成される。そして、水冷媒熱交換器の水出口側とヒートポンプ戻り配管8とが接続されており、水冷媒熱交換器で生成された高温水は、貯湯タンク1の上部に戻される。
【0015】
次に、メンテナンスなどでヒートポンプユニット2をシステムから取り外すときの方法について説明する。
【0016】
まず、貯湯タンク1内部に貯まったお湯を捨てないでヒートポンプユニット2の取り外しをするには2つの方法がある。
【0017】
1つ目の方法はヒートポンプ往き管7およびヒートポンプ戻り管8につながる往き接続
口3と戻り接続口4の両方に止水手段を取り付けることで、その両方閉めれば貯湯タンク1のお湯は貯まったままでヒートポンプユニット2は取り外す事が出来る。しかし、メンテナンス以外では使わない止水手段2つも必要というのは不経済でまた工事が煩雑になるため好ましくない。
【0018】
2つ目の方法は、往き接続口3に止水手段を内蔵し、貯湯タンク1内部を負圧にする方法である。本実施の形態では、往き接続口3にのみ止水手段を設ける方法について説明する。
【0019】
本実施の形態では止水手段を内蔵した往き接続口3一つで貯湯タンク1内部のお湯を貯まったままにするには、貯湯タンク1内部を負圧にする必要がある。負圧形成の方法は、まず逃がし弁パイプ11の先端をキャップや先を閉塞したゴムホース取り付けるなどして閉塞する。その状態で、貯湯タンク1底部からの排水管12の先に付いている排水手段12を開き貯湯タンク1の水を抜く、水が最初でるがしばらくでると水が出るのが収まる。原因は貯湯タンク1には空気が入っていかないので負圧状態になっているからで、その状態で排水手段12を閉じる。
【0020】
次に往き接続口3に内蔵された止水手段(今回の発明ではねじ込み式バルブ)を閉めた状態にするとヒートポンプユニット2ははずすことが出来る。次に図2、3、4で止水手段の構成を説明する。図2は止水手段を内蔵した往き接続口3である。この往き接続口では高さを抑えて、工事性を向上するためねじ込み式のバルブを使用している。ねじ込み式のバルブ開時の断面図が図3でねじをマイナスドライバ等で反時計回りに回してやることで水が流れる経路が開の状態になる。また図4のように、ねじをマイナスドライバ等で時計回りにねじ込むことで水の経路が閉の状態になる。
【0021】
以上のように、本実施の形態では、前記貯湯タンク1下部に設けられた往き接続口3に止水手段を内蔵したことにより、止水手段の付け忘れによるメンテナンス時にヒートポンプユニット2が外せない事象や、止水手段の圧損が大きく沸き上げに不具合が生じるなどの事例が起こらなくなる。また最初から止水手段を内蔵することで工事性を向上したヒートポンプ給湯機を提供することができる。またねじ込み式のバルブを使う事で間違って操作される恐れが無くなる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
以上のように、本発明にかかる貯湯式給湯機の構成において、止水手段を別途設置する必要がない構成とすることで、工事性が向上し、加熱手段がヒートポンプだけでなく、本発明と同じ構成を実現できる全ての加熱手段において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施の形態1におけるヒートポンプ給湯機の構成図
【図2】実施の形態1における往き接続口の構成図
【図3】実施の形態1における通常時往き接続時の構成図
【図4】実施の形態1におけるメンテナンス時往き接続口の構成図
【図5】従来の実施の形態におけるヒートポンプ給湯機の構成図
【符号の説明】
【0024】
1 貯湯タンク
2 ヒートポンプユニット
3 往き接続口(止水手段内蔵)
4 戻り接続口
5 タンク行き管
6 タンク戻り管
7 ヒートポンプ往き管
8 ヒートポンプ戻り管
9 逃がし弁接続管
10 逃がし弁(負圧弁付き)
11 逃がし弁パイプ
12 排水管
13 排水手段
101 貯湯タンク
102 ヒートポンプユニット
103 往き接続口
104 戻り接続口
105 タンク行き管
106 タンク戻り管
107 止水手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱手段と、前記加熱手段で加熱された湯を貯える貯湯タンクと、前記貯湯タンクの下部と前記加熱手段とを接続する往き配管と、前記貯湯タンクの上部と前記加熱手段とを接続する戻り配管とを備え、前記往き配管は、前記貯湯タンクの下部からの配管と前記加熱手段からの配管が往き接続口で相互に接続されて構成されており、前記往き接続口には止水手段を内蔵したことを特徴とする貯湯式給湯機。
【請求項2】
加熱手段と、前記加熱手段で加熱された湯を貯える貯湯タンクと、前記貯湯タンクの下部と前記加熱手段とを接続する往き配管と、前記貯湯タンクの上部と前記加熱手段とを接続する戻り配管とを備え、前記戻り配管は、前記貯湯タンクの上部からの配管と前記加熱手段からの配管が戻り接続口で相互に接続されて構成されており、前記戻り接続口には止水手段を内蔵したことを特徴とする貯湯式給湯機。
【請求項3】
止水手段をねじ込み式のバルブ構成にしたことを特徴とする請求項1または2に記載の貯湯式給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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